JP3523316B2 - 半芳香族ポリアミドの製造法 - Google Patents

半芳香族ポリアミドの製造法

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JP3523316B2
JP3523316B2 JP02056594A JP2056594A JP3523316B2 JP 3523316 B2 JP3523316 B2 JP 3523316B2 JP 02056594 A JP02056594 A JP 02056594A JP 2056594 A JP2056594 A JP 2056594A JP 3523316 B2 JP3523316 B2 JP 3523316B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリアミドの製
造法に関する。詳しくは、力学性能、耐熱性、低吸水
性、耐薬品性などの性能に優れ、エンジニアリングプラ
スチックとして好適な半芳香族ポリアミドの製造法に関
する。 【0002】 【従来の技術】従来からナイロン6、ナイロン66など
に代表される結晶性ポリアミドは、その優れた特性と溶
融成形の容易さから、衣料用、産業資材用繊維、あるい
は汎用のエンジニアリングプラスチックとして広く用い
られているが、一方では、耐熱性不足、吸水による寸法
安定性不良などの問題点も指摘されている。特に近年の
表面実装技術(SMT)の発展に伴うリフローハンダ耐
熱性を必要とする電気・電子分野、あるいは年々耐熱性
への要求が高まる自動車のエンジンルーム部品などにお
いては、従来のポリアミドでの使用が困難となってきて
おり、より耐熱性、寸法安定性、機械特性、物理化学特
性に優れたポリアミドへの要求が高まっている。 【0003】このような世の中の要求に対し、テレフタ
ル酸と1,6−ヘキサンジアミンを主成分とする半芳香
族ポリアミドが種々提案され、一部は実用化されてい
る。しかしながら、テレフタル酸と1,6−ヘキサンジ
アミンからなるポリアミド(以下、PA6−Tと略称す
る)は、ポリマーの分解温度を超える370℃付近に融
点があるため、溶融成形が困難であり、実用に耐えるも
のではない。そのため実際には、アジピン酸、イソフタ
ル酸などのジカルボン酸成分、あるいはナイロン6など
の脂肪族ポリアミドを30〜40モル%共重合すること
により、実使用可能温度領域、すなわち280〜320
℃程度にまで低融点化した組成で用いられているのが現
状である。 【0004】このように、通常、高耐熱性の半芳香族ポ
リアミドはその分解温度と融点が接近した組成で使用さ
れるので、従来の重合法、例えばバッチ式溶融重合法な
どではポリマーの分解を伴わずに重合を行い高分子化す
る事は困難であった。そのために、半芳香族ポリアミド
の重合方法として多くの方法が提案されてきた。その中
でも、反応型押出機を用いて溶融剪断条件下に重縮合を
進める方法(以下押出機重合と略記する)は、重合中の
樹脂の劣化を抑えることができる有効な方法として研究
例が多い。 【0005】特開昭59−155426号公報、および
特開昭59−161428号公報には、PA6−T系の
半芳香族ポリアミドを製造する際に、ジアミン成分とジ
カルボン酸成分とからなる低次縮合物を2軸スクリュー
式押出反応機を使用して重縮合反応を行う方法が開示さ
れている。この方法では重縮合時間の短縮が達成でき、
色調の優れたポリアミドは生成するが、機械的強度、耐
熱老化性などの物性が不十分であった。これに対して、
特開昭61−228022号公報では、低次縮合物を、
押出機重合を行った後に、さらに固相重合を行うことに
よって前記の問題点をある程度改善できることが開示さ
れている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らの研究によ
れば、上記のような、溶融押出機を用いた従来公知の半
芳香族ポリアミドの製造法では、ジカルボン酸成分の6
0〜100モル%がテレフタル酸であるカルボン酸成分
と、ジアミン成分の60〜100モル%が炭素数6〜1
8の脂肪族ジアミンであるジアミン成分とからなる塩、
あるいは低次縮合物を出発原料としてポリアミドを重合
した場合には、押出機重合における重合性、高温による
ポリマーの劣化、ポリマー前駆体の熱可塑性が悪く、ス
クリュー回転モーターに大きな負荷がかかったりスクリ
ューから異常音が発生すること、ジアミン成分とジカル
ボン酸成分のモルバランスのずれが生じることなどが依
然として問題であり、重合の制御が困難であることが明
らかになった。 【0007】本発明の目的は、押出機重合中における前
記の問題点を改善し、その結果、高重合度で劣化の少な
いポリアミドを得ることができ、力学性能、耐熱性、耐
薬品性、低吸水性などの諸性能に優れる半芳香族ポリア
ミドの製造法を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果、低次縮合物をポ
リマー前駆体として、溶融押出機により重縮合反応を行
い半芳香族ポリアミドを製造する場合に、ポリマー前駆
体をポリアミドの存在下で押出機重合することにより、
重合性に優れ、ポリアミドの劣化が少なく、上記の諸性
能が優れたポリアミドが得られることを見出して本発明
を完成した。 【0009】本発明によれば、上記の目的は、ジカルボ
ン酸成分の60〜100モル%がテレフタル酸であるジ
カルボン酸成分と、ジアミン成分の60〜100モル%
が炭素数6〜18の脂肪族ジアミン成分とからなり、末
端封止剤の存在下に調製された低次縮合物を、濃硫酸中
30℃で測定した極限粘度[η]が0.6dl/g以上
であるポリアミドの存在下に、溶融押出機を用いて溶融
剪断条件下に加熱し、重縮合させることを特徴とするポ
リアミドの製造法を提供することにより達成される。以
下、本発明を具体的に説明する。 【0010】本発明の方法においては、押出機による
合を行う前のポリマー前駆体は、テレフタル酸を主成分
とするジカルボン酸成分と、炭素数6〜18の脂肪族ジ
アミンを主成分とするジアミン成分からなる低次縮合物
である。低次縮合物は、原料のジカルボン酸成分および
ジアミン成分、またはジカルボン酸成分とジアミン成分
の塩を、水、アルコールなどの溶媒中で150〜350
℃に加熱し、徐々に溶媒を留去しながら反応させた後に
乾燥したものを用いる。低次縮合物の粒子サイズは1c
m以下であり、好ましくは0.5cm以下である。 【0011】また、低次縮合物の濃硫酸中30℃で測定
した極限粘度[η]は0.1dl/g以上であり、かつ
低次縮合物中のモノマー残存量が5%以下であることが
好ましい。このような条件を満たすことにより、重合速
度がさらに大きくなると共に、ジアミン成分とジカルボ
ン酸成分のモルバランスのずれをさらに小さく抑えるこ
とができる。 【0012】上記低次縮合物中の残存モノマー量は、G
PC法により解析することができる。例えば、Macromo
l. Chem., Rapid Commun.1, 397-402(1980)に示されて
いるように、無水トリフルオロ酢酸によりトリフルオロ
アセチル化した後、THFを用いてGPC法により測定
を行い、全ピーク面積に対するモノマーのピーク面積
(%)を残存モノマー量とすることができる。 【0013】本発明の製造法により好適に製造すること
ができるポリアミドのジカルボン酸成分は、テレフタル
酸成分が60モル%以上であり、好ましくは75モル%
以上、より好ましくは90モル%以上である。テレフタ
ル酸成分が60モル%未満の場合には、得られるポリア
ミドの耐熱性、耐薬品性などの物性が低下するため好ま
しくない。テレフタル酸成分以外の他のジカルボン酸成
分としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリ
メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグル
タル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,
3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;イソフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフ
タレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェ
ニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジ安息香酸、4,
4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’
−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカ
ルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸、あるいはこれらの任意の混合物を挙
げることができる。これらのうち芳香族ジカルボン酸が
好ましく使用される。さらに、トリメリット酸、トリメ
シン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸を溶融成
形が可能な範囲内で用いることもできる。 【0014】原料のジアミン成分は、炭素数6〜18の
脂肪族ジアミン成分が60モル%以上であり、好ましく
は75モル%以上、より好ましくは90モル%以上であ
る。炭素数6〜18の脂肪族ジアミン成分の例として
は、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジア
ミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジア
ミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,10−デカ
ンジアミン、1,12−ドデカンジアミンなどの直鎖脂
肪族ジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミ
ン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミ
ン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミ
ン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチ
ル−1,9−ノナンジアミンなどの分岐を有する鎖状脂
肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロ
ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−ア
ミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミンな
ど、あるいはこれらの任意の混合物を挙げることができ
る。これらのうち、最終的に得られるポリマーの性能が
優れるという理由から、1,6−ヘキサンジアミン、
1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミ
ン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミ
ン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカ
ンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、
5−メチル−1,9−ノナンジアミンが好ましい。より
好ましくは、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカ
ンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12
−ドデカンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジ
アミンが好ましく、特に、1,9−ノナンジアミン、2
−メチル−1,8−オクタンジアミンあるいはこれらの
混合物を使用したときに、力学性能、耐熱性、耐薬品
性、低吸水性、および成形性のいずれの性能にも顕著に
優れたポリアミドが得られるので好ましい。 【0015】炭素数6〜18の脂肪族ジアミン成分以外
の他のジアミン成分としては、p−フェニレンジアミ
ン、m−フェニレンジアミン、キシレンジアミン、4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエ
ーテルなどの芳香族ジアミン、あるいはこれらの任意の
混合物を挙げることができる。 【0016】前記低次縮合物を合成する際に、重縮合速
度の増加および重合時の劣化防止のために、リン酸、亜
リン酸、次亜リン酸、またはその塩またはエステルなど
のリン系触媒を添加することが好ましい。このうち、生
成するポリマーの品質から、次亜リン酸誘導体が好まし
く、特に次亜リン酸ナトリウムが価格および取扱いの容
易さから好ましい。これらの触媒の添加量はジカルボン
酸およびジアミンの総量に対して、0.01〜5重量%
であることが好ましく、0.05〜2重量%であること
がより好ましく、0.07〜1重量%であることが特に
好ましい。添加量が0.01重量%より少ないと、重合
速度がこれらの触媒を添加しない場合とほとんど変わら
ず、着色、劣化しやすいなど、得られるポリマーの品質
も十分なものではない。一方、添加量が5重量%より多
いと、逆に重合速度が低下し、着色、ゲル化などの劣化
を伴ったポリマーしか得られなくなるので好ましくな
い。 【0017】さらに、前記低次縮合物を合成する際に、
分子量調節および溶融安定性向上、あるいは耐熱水性の
向上のために末端封止剤を添加する。末端封止剤として
は、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基と
反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はな
いが、反応性および封止末端の安定性などの点から、モ
ノカルボン酸またはモノアミンが好ましく、取扱いの容
易さなどの点から、モノカルボン酸がより好ましい。そ
の他、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネー
ト、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコ
ール類なども使用できる。 【0018】末端封止剤として使用できるモノカルボン
酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ト
リデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボ
ン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカル
ボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボ
ン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカ
ルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸、
あるいはこれらの任意の混合物を挙げることができる。
これらの内、反応性、封止末端の安定性、価格などの点
から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン
酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が特に好
ましい。 【0019】末端封止剤としてモノカルボン酸を使用し
た場合、ポリアミドのアミノ基末端は、これらのモノカ
ルボン酸で封止されることにより、下記の一般式(I)
で示される封止末端を形成する。 【0020】 【化1】 (式中、Rは上記のモノカルボン酸からカルボキシル基
を除いた残基であり、好ましくはアルキル基、シクロア
ルキル基、アリール基、アラルキル基である。) 【0021】末端封止剤として使用するモノアミンとし
ては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば、メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、
オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ
ブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘキシル
アミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミ
ン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチ
ルアミンなどの芳香族モノアミン、あるいはこれらの任
意の混合物を挙げることができる。これらの内、反応
性、沸点、封止末端の安定性および価格などの点から、
ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシ
ルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、
アニリンが特に好ましい。 【0022】末端封止剤としてモノアミンを使用した場
合、ポリアミドのカルボキシル基末端は、これらのモノ
アミンで封止されることにより、下記の一般式(II)で
示される封止末端を形成する。 【0023】 【化2】 (式中、R1は上記のモノアミンからアミノ基を除いた
残基であり、好ましくはアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基である。R2は水素原子
または上記のモノアミンからアミノ基を除いた残基であ
り、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基である。) 【0024】本発明の方法で、ポリアミドを製造する際
に用いることができる末端封止剤の使用量は、用いる末
端封止剤の反応性、沸点、反応装置、反応条件などによ
って変化するが、通常、ジカルボン酸とジアミンの総モ
ル数に対して0.1〜15モル%の範囲内で使用され
る。 【0025】本発明のポリアミドの製造法によれば、上
記の方法で得たポリマー前駆体としての低次縮合物を、
溶融押出機中で重縮合させるのであるが、その際に、重
合性、重合中の劣化、ポリマー前駆体の可塑性、ジアミ
ン成分とジカルボン酸成分のモルバランスのずれなどを
改善するために、ポリマー前駆体と共に、濃硫酸中30
℃で測定した極限粘度[η]が0.6dl/g以上であ
るポリアミドを押出機に仕込み、共押出ししてポリアミ
ドを得る。 【0026】前述の問題点に対して抑制効果を発現させ
るためには、添加剤として使用するポリアミドはポリマ
ー前駆体よりも可塑性の良いものであることが望まし
い。すなわち、添加剤として使用するポリアミドの融点
は、ポリマー前駆体単独で重合して得られるポリアミド
の融点(Tm1)以下であり、好ましくはTm1〜Tm
1より50℃低い温度である。また、添加剤として使用
するポリアミドの添加量は、その融点によって多少最適
値に差は生じるが、ポリマー前駆体に対して0.5重量
%以上が好ましい。より好ましくは1〜70重量%であ
り、さらに好ましくは1〜50重量%であり、特に好ま
しくは2〜30重量%である。さらに、添加剤として使
用するポリアミドの融解潜熱は、ポリマー前駆体の融解
潜熱よりも小さい方が好ましい。添加剤として使用する
ポリアミドの融点、添加量、および融解潜熱が、このよ
うな条件を満たしていれば、上記問題点の抑制効果が大
きく、得られるポリアミドの諸物性も優れる。ただし、
添加剤として使用するポリアミドに関しては、以上の条
件をすべて満たす必要はなく、例えば、添加剤として使
用するポリアミドの融点が非常に低いものであれば、融
解潜熱はポリマー前駆体に比べて大きくても差支えな
い。 【0027】本発明の製造法において添加剤として使用
するポリアミドの極限粘度[η]は0.6dl/g以上
であり、好ましくは0.7〜3.0dl/gである。こ
の範囲であれば、添加剤として前記の効果が得られる
が、0.6dl/gより小さいと、ジアミンとジカルボ
ン酸のモルバランスのずれが大きくなる傾向にあり、
3.0dl/gより大きいと、粘度が大きすぎて効果が
ほとんどないばかりか、押出機の運転自体が困難とな
る。 【0028】以上のような条件を満たした、添加剤用ポ
リアミドの好適な例としては、ナイロン6、ナイロン6
6などの汎用ポリアミド、ナイロン11、ナイロン1
2、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン121
2などの長鎖脂肪族ポリアミド、非晶性ポリアミド、低
融点の半芳香族ポリアミド、ポリマー前駆体と同一組成
の半芳香族ポリアミドなどを挙げることができる。とく
に、ポリマー前駆体と同一組成の半芳香族ポリアミド
で、結晶化度が小さくポリマー前駆体より融解潜熱の小
さいもの、たとえば、本発明の方法における最終段階に
おいて押出機より吐出されたストランドを水浴中で急冷
しペレット化したものは、添加剤用のポリアミドとして
好適に使用できる。 【0029】本発明のポリアミドの製造法において、前
記以外の添加物、例えば従来公知の、着色剤、紫外線吸
収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、
結晶化促進剤、可塑剤、潤滑剤などの他の添加剤を重縮
合反応時の任意の段階で添加することもできる。 【0030】また、本発明の製造法により得られたポリ
アミドは、ガラス繊維、炭素繊維、無機粉末状フィラ
ー、有機粉末状フィラーなどを配合した強化系、他種ポ
リマーとのアロイなどの形態でも使用することができ、
射出成形、ブロー成形、押出し成形、圧縮成形、延伸、
真空成形などの成形法が適用できる。さらにエンジニア
リングプラスチックとして通常の成形体のみならず、フ
ィルムや繊維の形態にも成形可能であり、産業資材、工
業材料、家庭用品などに好適に使用することができる。 【0031】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるもので
はない。なお、実施例中の極限粘度、引張強度、引張伸
びは以下の方法により測定した。 【0032】極限粘度[η]:濃硫酸中、30℃にて、
0.05,0.1,0.2,0.4g/dlの濃度の試
料の固有粘度(ηinh )を測定し、これを濃度0に外挿
した値を極限粘度[η]とした。 ηinh =[ln(t1/t0)]/c 〔式中、ηinh は固有粘度(dl/g)を表し、t0
溶媒の流下時間(秒)を表し、t1は試料溶液の流下時
間(秒)を表し、cは溶液中の試料の濃度(g/dl)
を表す。〕 【0033】引張強度、引張伸度:ポリアミドの融点よ
り約20℃高い温度で射出成形した絶乾状態の試験片
を、以下の方法で測定した。 【0034】 【表1】 【0035】参考例1 テレフタル酸3272.9g(19.70モル)、1,
9−ノナンジアミン3165.8g(20.0モル)、
安息香酸73.27g(0.60モル)、次亜リン酸ナ
トリウム一水和物6.5g(原料に対して0.1重量
%)および蒸留水6リットルを内容積20リットルのオ
ートクレーブに入れ、窒素置換した。100℃で30分
間撹拌し、2時間かけて内部温度を210℃に昇温し
た。この時、オートクレーブは22kg/cm2まで昇
圧した。そのまま1時間反応を続けた後230℃に昇温
し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐
々に抜いて圧力を22kg/cm2に保ちながら反応さ
せた。次に、30分かけて圧力を10kg/cm2まで
下げ、更に1時間反応させた。その後、2mm以下の大
きさまで粉砕して、100℃、減圧下で12時間乾燥
し、極限粘度[η]が0.31dl/gの低次縮合物を
得た。 【0036】参考例2 ジアミン成分として、1,9−ノナンジアミン284
9.2g(18.0モル)、2−メチル−1,8−オク
タンジアミン316.58g(2.0モル)を使用した
以外は、参考例1と全く同じ方法で反応を行い、極限粘
度[η]が0.25dl/gの低次縮合物を得た。 【0037】比較例1 参考例1で得た低次縮合物を120℃で24時間減圧乾
燥した後に、ベントつき2軸押出機(スクリュー径40
mm、L/D=28、バレル温度=310/320/3
30/340/340/340/330/330℃、第
2、第4ゾーンは大気中解放ベント、第7ゾーンは減圧
(10mmHg)ベント、回転数60rpm)に、10
kg/時の速度で供給して溶融重縮合を行い、極限粘度
[η]=1.18dl/gのポリアミドを得た。このポ
リアミドは、シリンダ温度340℃、金型温度100℃
で射出成形し、得られた成形品の各種物性値を測定し
た。得られた結果を下記の表2に示す。 【0038】実施例1 参考例1で得た低次縮合物と、比較例1で得たポリアミ
ド(該低次縮合物に対して5重量%)をドライブレンド
し、120℃で24時間減圧乾燥した後、ベントつき2
軸押出機(スクリュー径40mm、L/D=28、バレ
ル温度=310/320/330/330/330/3
30/330/330℃、第2、第4ゾーンは大気中解
放ベント、第7ゾーンは減圧(10mmHg)ベント、
回転数60rpm)に、10kg/時の速度で供給して
溶融重縮合を行い、極限粘度[η]=1.38dl/g
のポリアミドを得た。このポリアミドは、シリンダ温度
340℃、金型温度100℃で射出成形し、得られた成
形品の各種物性値を測定した。得られた結果を下記の表
2に示す。 【0039】実施例2 実施例1において、参考例2で得た低次縮合物を使用
し、添加用ポリアミドとして比較例1で得たポリアミド
を10重量%使用した以外は全く同じ方法でポリアミド
を製造し、極限粘度[η]=1.27dl/gのポリア
ミドを得た。結果を下記の表2に示す。 【0040】 【表2】 【0041】 【発明の効果】本発明のポリアミドの製造法によれば、
ジカルボン酸成分の60〜100モル%がテレフタル酸
であるジカルボン酸成分と、ジアミン成分の60〜10
0モル%が炭素数6〜18の脂肪族ジアミンであるジア
ミン成分とからなる低次縮合物を出発原料として溶融押
出機を用いて重縮合反応を行う場合に、重合性、操作
性、高温によるポリマーの劣化、ジアミン成分とジカル
ボン酸成分のモルバランスのずれを効果的に抑制するこ
とができ、重合度が大きく、力学性能、耐熱性、低吸水
性、耐薬品性などの性能に優れ、エンジニアリングプラ
スチックとして好適なポリアミドを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−256502(JP,A) 特開 平6−256503(JP,A) 特開 平2−115226(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/36

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ジカルボン酸成分の60〜100モル%
    がテレフタル酸であるジカルボン酸成分と、ジアミン成
    分の60〜100モル%が炭素数6〜18の脂肪族ジア
    ミン成分とからなり、末端封止剤の存在下に調製された
    低次縮合物を、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度
    [η]が0.6dl/g以上であるポリアミドの存在下
    に、溶融押出機を用いて溶融剪断条件下に加熱し、重縮
    合させることを特徴とするポリアミドの製造法。
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