JP5149220B2 - 高度に熱安定化された共重合ポリアミド - Google Patents
高度に熱安定化された共重合ポリアミドInfo
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Description
そのため、PA6Tにポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミドや、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンからなる非晶性芳香族ポリアミド(以下、PA6Iと略称する場合がある。)などを共重合させ、融点を220〜340℃程度にまで低融点化した6T系共重合ポリアミドとして用いられている。該6T系共重合ポリアミドは確かに、低吸水性、高耐熱性、高耐薬品性という特性を持ってはいるものの、流動性が低く成形性や成形品表面外観が不十分である可能性や、靭性、耐光性に劣る可能性がある。そのため、外装部品のような成形品の外観が要求されたり、日光などに曝される用途では改善が望まれている。また比重も大きく、軽量性の面でも改善が望まれている。
具体的には、ジカルボン酸単位として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を1〜40%配合するような半脂環族ポリアミドの電気及び電子部材はハンダ耐熱性が向上すること(例えば、特許文献1)が開示されている。
また、ジカルボン酸単位の85〜100モル%が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位からなり、ジアミン単位が脂肪族ジアミンからなるポリアミドは耐光性、靭性、成形性、耐熱性などに優れること(例えば、特許文献2)が開示されている。
さらに、PA66とPA6CとPA6の三元共重合ポリアミドフィラメント技術(例えば、特許文献3)も開示されている。
またさらに、シクロヘキサンジカルボン酸と炭素数11〜13の直鎖脂肪族ジアミンの共重合成分を50モル%以上含む共重合ポリアミド(例えば、特許文献4)も開示されている。
また、特許文献1に開示された共重合ポリアミドは、吸水率が高く、さらにガス化量の低減などの熱安定化効果や耐熱変色効果も十分ではなく、成形性も十分ではなかった。
さらに、特許文献4に開示された共重合ポリアミドも強度、耐熱性、熱安定化効果や耐熱変色効果の面などで十分ではなかった。
しかしながら、特許文献1−4に開示された共重合ポリアミドは、熱滞留時の安定性や低ガス化の点でも十分なものではなかった。
[1]
(a)(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と(a−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンとからなる単位と、
(b)(b−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸と(b−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンとからなる単位と、
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸からなる単位と、を含む共重合ポリアミドであって、
前記(a)が40.1〜99.8モル%、前記(b)が0.1〜59.8モル%、前記(c)が0.1〜59.8モル%である共重合ポリアミド。
[2]
前記(a−2)と前記(b−2)が炭素数6の脂肪族ジアミンである、前記[1]に記載の共重合ポリアミド。
[3]
前記(b−1)が脂肪族ジカルボン酸である、前記[1]又は[2]に記載の共重合ポリアミド。
[4]
前記(c)が、ε−カプロラクタム及び/又はラウロラクタムである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の共重合ポリアミド。
[5]
前記(a)が40.1〜90モル%、前記(b)が5.0〜54.9モル%、前記(c)が5.0〜20.0モル%である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の共重合ポリアミド。
[6]
融点が290℃以上である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の共重合ポリアミド。
[7]
融点が300℃以上である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の共重合ポリアミド。
(a)(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と(a−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンとからなる単位;
(b)(b−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸と(b−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンとからなる単位;
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸からなる単位。
そして、本実施の形態の共重合ポリアミドは、(a)が40.1〜99.8モル%、(b)が0.1〜59.8モル%、(c)が0.1〜59.8モル%で各単位が共重合しているものである。
本実施の形態に用いられる(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、トランス体、シス体の異性体が存在する。トランス体とシス体のどちらか一方を用いてもよく、種々の比率の前記異性体混合物として用いてもよい。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、高温で異性化し一定の比率になることやシス体の方がトランス体に比べて、ジアミンとの当量塩の水溶性が高いことから、トランス体/シス体比がモル比にして、50/50〜0/100であることが好ましい。より好ましくは40/60〜10/90であり、さらに好ましくは35/65〜15/85である。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のトランス体/シス体モル比は、液体クロマトグラフィー(HPLC)やNMRにより求めることができる。
本実施の形態に用いられる(b−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を除く、脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、ジグリコール酸などの炭素数3〜20の直鎖又は分岐状の飽和脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。
脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などの炭素数5〜10の無置換又は環の炭素上が種々の置換基で置換された脂環族ジカルボン酸などを挙げることができる。
(b−1)としては、炭素数が6〜12の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。より好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸である。さらに好ましくは、アジピン酸、セバシン酸であり、よりさらに好ましくは、アジピン酸である。
前記(b−1)としては、1種で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。さらに、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸成分を含んでもかまわない。
本実施の形態に用いられる(a−2)や(b−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンは、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、3−メチル−1,5−ジアミノペンタンなどの脂肪族ジアミンを挙げることができる。これら炭素数6〜8の脂肪族ジアミンの中でも、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンを用いるのが好ましい。より好ましくは、ヘキサメチレンジアミンである。
前記(a−2)及び(b−2)としては、1種で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。さらに、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、ビスヘキサメチレントリアミンなどの3価以上の多価脂肪族アミンを含んでもかまわない。
また、(a−2)と(b−2)は同じでも異なっていてもよい。
(b−2)の添加量は、(b−1)と同モル量付近であることが好ましい。重合反応中の脂肪族ジアミン成分の系外への逃散も考慮して、具体的には、(b−1)のモル量1.00に対して、(b−2)のモル量は、0.90〜1.20が好ましい。より好ましくは、0.95〜1.10であり、さらに好ましくは、0.98〜1.05であり、よりさらに好ましくは、1.00〜1.03である。
本実施の形態に用いられる(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸とは、重縮合可能なラクタム及び/又はアミノカルボン酸を意味している。
炭素数が4〜14のラクタム及び/又はアミノカルボン酸を用いるのが好ましく、より好ましくは、炭素数6〜12のラクタム及び/又はアミノカルボン酸である。
ラクタムとしては、例えばブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ラウロラクタム(ドデカノラクタム)などを挙げることができる。ε−カプロラクタム、ラウロラクタムなどが好ましく、より好ましくは、ε−カプロラクタムである。
アミノカルボン酸としては、前記ラクタムが開環した化合物であるω−アミノカルボン酸やα,ω−アミノ酸などを挙げることができる。アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された炭素数4〜14の直鎖又は分岐状の飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましく、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などが挙げられ、アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸なども挙げることができる。
本実施の形態において、これらラクタム及び/又はアミノカルボン酸を1種で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸などを挙げることができる。本発明では、これらのモノカルボン酸を1種で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用するモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミンなどの芳香族モノアミンなどを挙げることができる。本発明では、これらのモノアミンを1種で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
40.1モル%以上であれば、融点が高く、耐熱性などに優れる共重合ポリアミドとすることができる。99.8モル%以下であることにより、高温での熱滞留時の安定性や低ガス化、耐熱変色性に優れる共重合ポリアミドとすることができる。
(a)単位の割合は、40.1モル%以上であれば、特に限定されるものではないが、41.0モル%以上であることが好ましく、42.0モル%以上であることがより好ましく、43.0モル%以上であることがさらに好ましく、44.0モル%以上であることがよりさらに好ましい。
(a)単位の割合は、99.8モル%以下であれば、特に限定されるものではないが、90.0モル%以下であることが好ましく、85.0モル%以下であることがより好ましく、80.0モル%以下であることがさらに好ましく、75.0モル%以下であることがよりさらに好ましい。
また、(a)単位の割合は、吸水性の観点からは、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、引張強度及び引張伸度の観点からは、70モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることがより好ましい。
(b)単位の割合は、100−[(a)単位の割合+(c)単位の割合]モル%として求めることができる。
また、(b)単位の割合の好ましい範囲として、(b)単位の割合の下限は、0.1モル%であれば、特に限定されるものではないが、100−[(a)単位の割合の上限値+(c)単位の割合の下限値]モル%として求めることができる。(b)単位の割合の上限は、59.8モル%であれば、特に限定されるものではないが、100−[(a)単位の割合の下限値+(c)単位の割合の下限値]モル%として求めることもできる。
(c)単位の割合は、0.1モル%以上であれば、特に限定されるものではないが、0.5モル%以上であることが好ましく、1.0モル%以上であることがより好ましく、3.0モル%以上であることがさらに好ましく、5.0モル%以上であることがよりさらに好ましい。
(c)単位の割合は、59.8モル%以下であれば、特に限定されるものではないが、55.0モル%以下であることが好ましく、40.0モル%以下であることがより好ましく、25.0モル%以下であることがさらに好ましく、20.0モル%以下であることがよりさらに好ましい。
また、重合形態としては、バッチ式でも連続式でもかまわない。また、重合装置も特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、ニーダーなどの押出機型反応器などを用いることができる。
熱溶融法の連続式も当業者にはよく知られている。より具体的には水を溶媒としてポリアミド形成成分を含有する約40〜60質量%の溶液は、予備装置の容器において約40〜100℃まで予備加熱され、次いで濃縮層/反応器に移され、約0.1〜0.5MPaの圧力及び約200〜270℃の温度で約70〜90%に濃縮される。次いで約200〜350℃の温度に保ったフラッシャーに排出され、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後必要に応じて減圧することにより重合が完成する。次いで、ポリアミド溶融物は押し出されてストランドとなり、冷却、カッティングされペレットとなる。
(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と(a−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンに水を加えた(a)単位の均一の塩水溶液と、(b−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外の脂肪族及び/又は脂環族ジカルボン酸と(b−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンに水を加えた(b)単位の均一の塩水溶液とを混合する。これに(c)ラクタム成分及び/又はアミノカルボン酸成分を固体又は水溶液の状態で添加した原料((a)単位、(b)単位、(c)単位となる成分を含む)の均一水溶液(濃度は40〜70質量%)を調製する。必要に応じて、従来公知の触媒、又は前記末端封止剤などの添加剤を添加し、これをオートクレーブなどの耐圧容器に仕込み、窒素置換した後、110〜180℃の温度条件下(ゲージ圧0.1〜0.6MPa)で水溶液濃度が65〜90質量%になるまで水蒸気を徐々に抜いて濃縮する。続いて、加熱を続け、圧力をゲージ圧で1.5〜5.0MPaに昇圧し、さらに水蒸気を徐々に抜いて、反応させながら融点近くになるまで内部温度を上昇させる。その後、1〜2時間かけて徐々に降圧させ、ゲージ圧を0MPaにする。そのまま取り出すことも可能だが、その状態のまま時間をかけて反応を進めたり、減圧にして重合反応を加速したりすることにより所望の分子量に向上させることができる。最終的には、溶融状態のまま、紡口から窒素などで圧力をかけて、ストランド状で取り出し、ペレタイザーなどでカットしペレット状で7,000〜100,000の数平均分子量(Mn)を有する共重合ポリアミドを得る。
数平均分子量(Mn)は、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、分子量標準試料としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
共重合ポリアミドの数平均分子量(Mn)が7,000以上であれば、共重合ポリアミドの靱性を発現できる傾向があり、また100,000以下であれば、共重合ポリアミドの良好な成形性を保つことができる傾向がある。
融点の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製、Diamond−DSCなどが挙げられる。
融点の測定方法として、具体的には、サンプル10mgを用いて、昇温スピード20℃/minの条件下、サンプルの融点に応じて300〜400℃まで昇温して、得られた融解曲線のピーク温度を融点とする。
融点が、270℃以上であれば、耐熱性に優れる共重合ポリアミドとすることができ、345℃以下であれば、押出、成形などの溶融加工での熱分解などの心配が少ない。
ガラス転移温度の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製、Diamond−DSCなどが挙げられる。
ガラス転移温度の測定方法として、具体的には、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させ、溶融状態のサンプルを液体窒素中に急冷し、固化させ、測定サンプルとする。サンプル10mgを用いて、昇温スピード20℃/minの条件下、30〜300℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度を測定する。
また、ガラス転移温度の測定装置として、粘弾性測定装置(レオメトリック社製、RDA−II)を用いて、共重合ポリアミドの成形片をサンプルとし、固体状態での動的粘弾性測定を行い、ガラス転移温度を測定することもできる。
ガラス転移温度が50℃以上であれば、共重合ポリアミドの耐熱性や耐薬品性の低下が起き難く、吸水性が増すことも少ない。また、ガラス転移温度が160℃以下であれば、外観のよい成形品を得ることができる。
強化ポリアミドにおける無機充填材は、特に限定されるものではないが、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、二硫化モリブデン、アパタイトなどを挙げることができる。この中でも、物性、安全性、経済性の面から、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、窒化ホウ素、チタン酸カリウム、アパタイトが好ましく用いられる。
ガラス繊維や炭素繊維の中でも、数平均繊維径は、3〜30μm、重量平均繊維長が100〜750μmであり、重量平均繊維長数と平均繊維径とのアスペクト比(L/D)が10〜100のものが、高い特性を発現するという観点から好ましく用いられる。
また、ウォラストナイトは、数平均繊維径は、3〜30μm、重量平均繊維長が10〜500μmであり、前記アスペクト比(L/D)が3〜100のものが好ましく用いられる。
さらに、タルク、マイカ、カオリン、窒化珪素、チタン酸カリウムは数平均繊維径が0.1〜3μmのものが好ましく用いられる。
より具体的には、混合方法は、例えば、本実施の形態の共重合ポリアミドと無機充填材とをヘンシェルミキサーなどを用いて混合し溶融混練機に供給し混練する方法や、単軸又は2軸押出機で溶融状態にした共重合ポリアミドに、サイドフィーダーから無機充填材を配合する方法などを挙げることができる。
溶融混練を行う装置としては、公知の装置を用いることができる、例えば単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー及びミキシングロールなどの溶融混練機が好ましく用いられる。
これら他の樹脂又はその変性体は、1種を配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
本実施の形態の成形品は、表面外観に優れるため、成形品表面に塗装膜を形成させた成形体としても好ましく用いられる。塗装方法は、公知の方法であれば、特に限定されるものではなく、例えばスプレー法、静電塗装法などを用いることができる。また、塗装を行う塗料は、公知のものであれば、特に限定されるものではなく、メラミン架橋タイプのポリエステルポリオール樹脂塗料、アクリルウレタン系塗料などが使用可能である。
実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。なお、本実施例において、1kg/cm2は、0.098MPaを意味する。
(a−1)
(1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(1,4−CHDA) イーストマンケミカル社製 商品名 1,4−CHDA HPグレード(トランス体/シス体=25/75)
(b−1)
(2)アジピン酸(ADA) 和光純薬工業製 商品名 アジピン酸
(3)1,3−シクロヘキサンジカルボン酸(1,3−CHDA) イソフタル酸から誘導した。
(a−2)及び(b−2)
(4)ヘキサメチレンジアミン(HMD) 和光純薬工業製 商品名 ヘキサメチレンジアミン
(5)オクタメチレンジアミン(C8DA) 東京化成工業製 商品名 1,8−ジアミノオクタン
(c)
(6)ε−カプロラクタム(CPL) 和光純薬工業製 商品名 ε−カプロラクタム
(7)イソフタル酸(IPA) 和光純薬工業製 商品名 イソフタル酸
(8)テレフタル酸(TPA) 和光純薬工業製 商品名 テレフタル酸
(a−2)及び(b−2)の対照
(9)ドデカメチレンジアミン(C12DA) 東京化成工業製 商品名 1,12−ジアミノドデカン
(10)テトラメチレンジアミン(TMD) 和光純薬工業製 商品名 1,4−ブタンジアミン
(1)融点(℃)
JISK7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とし、Tm1+40℃の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)のピーク温度を融点(Tm(℃))とした。
ASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)を成形後の絶乾状態で密封保存したもの(dry as mold)を用意し、試験前質量(吸水前質量)を測定した。80℃の純水中に120時間浸漬させた。その後、水中から試験片を取り出し、表面の付着水分をふき取り、恒温恒湿(23℃、50RH%)雰囲気下に30分放置後、試験後質量(吸水後質量)を測定した。吸水前質量に対しての吸水後質量の増分を吸水量とし、吸水前質量に対する吸水量の割合を、試行数n=3で求め、その平均値を吸水率とした。
オートクレーブで共重合ポリアミドを重合する際に、溶融状態のまま取り出すには、高温で、溶融ポリマーを保持した後、溶融ポリマーに窒素で内圧をかけ、オートクレーブの下部に設けた紡口より、ストランド状で取り出し、水を張ったストランドバスで冷却し、ペレタイザーなどでカットしペレット状で取り出した。この際の紡口から水に冷却されるまでの溶融状態のストランドの状態、該ストランドからのガス発生で判断した。
[熱滞留安定性]
5:泡を含まず、無色透明のストランドが問題なく引けた。
4:少し気泡を持つが、ストランドが問題なく引けた。
3:少し発泡し、白色のストランドが引けた。
2:発泡量が増し、少し太い白色ストランドがなんとか引けた。
1:発泡が多すぎて、非常に太くなりストランドにならなかった。
[熱滞留ガス抑制]
5:ストランドからガスがほとんど発生しなかった。
4:ストランドから微量のガスが発生した。
3:ストランドから少しガスが発生した。
2:ストランドから更にガス量が多かった。
1:ストランドから多量のガスが発生した。
また、共重合ポリアミドが、受ける熱履歴の程度を示す為に、高温での滞留時間を測定した。具体的には、溶融樹脂温度が300℃以上になってからの時間及び320℃以上になってからの時間について測定した。
それぞれの組成物のペレットをオーブン中で20分間130℃加熱(空気雰囲気下)を行い、その後の変色を観察した。
耐熱変色性の評価基準(目視)
○:ペレットの熱変色が小さかった。
△:ペレットの熱変色が少し大きかった。
×:ペレットの熱変色が非常に大きかった。
ASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)を用いて、ASTM D638に準じて行った。
ASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)に、波長254nmの紫外線光(UV光)を1mm離れた距離で24時間照射し、UV照射前後の引張強度保持率(%)により評価した。
PA6C/66/6=44.6/44.1/11.3(モル比)
トランス体/シス体のモル比が25/75である1,4−CHDA447.8g(2.601mol)、ADA376.0g(2.573mol)、HMD601.2g(5.174mol)、CPL75.0g(0.663mol)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの50%均一水溶液を作った。そこに、末端封止剤の酢酸を(a)単位、(b)単位、(c)単位の合計モル数の0.1%の酢酸を加えた。(この実施例1の場合0.0058モルに当たる0.35gの酢酸)
したがって、該溶液は、(a)単位((a−1)として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(1,4−CHDA)と(a−2)としてヘキサメチレンジアミン(HMD))が44.6モル%、(b)単位((b−1)としてアジピン酸(ADA)と(b−2)としてヘキサメチレンジアミン(HMD))が44.1モル%、(c)単位((c)としてε−カプロラクタム(CPL))が11.3モル%である原料モノマーの50%均一水溶液に全単位のモル数に対して0.1モル%の酢酸を加えたものであった。
この水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧(株)製)に仕込み、モノマーが析出しないように液温(内温)50℃に保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。次に液温を約50℃から、槽内の圧力がゲージ圧(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧を表記)にして約2.5kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約140℃だった)。それから、槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続け約75%まで濃縮した(この系での液温は約160℃だった)。その後、水の除去を止め、槽内の圧力が約35kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約250℃だった)。それから、槽内の圧力を約35kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続けた。その後、液温が300℃まで上昇したら、加熱は続けながら最後に90分ほどかけながら圧力を大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)までゆっくり降圧した。液温(溶融樹脂温)は最終的に約320〜325℃になるようにヒーター温度を調整した。液温(樹脂温)はその状態のまま、槽内を真空装置で600torrの減圧下に10分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、共重合ポリアミドを得た。この共重合ポリアミドの分子量は、GPCでの測定(溶媒:HFIP、分子量標準試料:PMMA)よりMn=10,500、Mw=40,000であった。得られた共重合ポリアミドの評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=44.6/50.4/5.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=44.6/35.4/20.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=44.6/54.4/1.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=44.6/27.7/27.7(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=44.6/20.0/35.4(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=44.6/11.3/44.1(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=44.6/5.0/50.4(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=44.6/1.0/54.4(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=57.0/38.0/5.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66/6=57.0/23.0/20.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA8C/66/6=75.0/20.0/5.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA8C/66/6=75.0/15.0/10.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA8C/66/6=75.0/5.0/20.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA8C/66/6=65.0/30.0/5.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/6C’/6=42.0/43.0/15.0(モル比)
(1,3−CHDAはC’と略)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表1に示す。
PA6C/66=44.6/55.4(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。しかし、重合後のストランドが好ましくなく、そのままストランドカッター(ペレタイザー)でストランドをカットできなかったので、ストランドを水中で冷却後、粉砕機にて粉砕して、ペレットくらいの大きさにしてから、評価を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/6=44.6/55.4(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/66=57.0/43.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。しかし、重合後のストランドが好ましくなく、そのままストランドカッター(ペレタイザー)でストランドをカットできなかったので、ストランドを水中で冷却後、粉砕機にて粉砕して、ペレットくらいの大きさにしてから、評価を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/6=57.0/43.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いたこと、と最終的に約325〜330℃になるようにヒーター温度を調整した以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA8C/66=75.0/25.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。しかし、重合後のストランドが好ましくなく、そのままストランドカッター(ペレタイザー)でストランドをカットできなかったので、ストランドを水中で冷却後、粉砕機にて粉砕して、ペレットくらいの大きさにしてから、評価を行った。評価結果を表2に示す。
PA8C/6=75.0/25.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA8C/66=65.0/35.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。しかし、重合後のストランドが好ましくなく、そのままストランドカッター(ペレタイザー)でストランドをカットできなかったので、ストランドを水中で冷却後、粉砕機にて粉砕して、ペレットくらいの大きさにしてから、評価を行った。評価結果を表2に示す。
PA8C/6=65.0/35.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA12C/66/6=75.0/20.0/5.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/6I/6=42.0/43.0/15.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/6T/6=42.0/43.0/15.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA4C/46/6=44.6/35.4/20.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
PA6C/66/6=35.0/45.0/20.0(モル比)
実施例1において、前記割合になるようにモノマーの添加比率を変更した原料モノマーの50%均一水溶液(0.1モル%酢酸含む)を用いた以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った。評価結果を表2に示す。
これに対して、(b)単位や(c)単位のモル%が、前記特定の範囲外にある比較例1−8の共重合ポリアミドは、高温で熱滞留安定性、熱滞留ガス抑制において、十分満足できるものではなかった。ポリマー(熱安定化剤など添加しない)として熱安定性が十分でないことを意味し、溶融加工(押出、成形)などの際にも、条件幅が狭くなるため扱いにくくなる可能性が大きい。また、耐熱性が上昇しているものの、耐熱変色性が十分満足できるものではなく、高温の使用環境化での変色の可能性がある。さらに引張強度、引張伸度でも十分満足できるものではなかった。
また、(a)単位のモル%が前記特定の範囲外にある比較例13の共重合ポリアミドは、耐熱性向上の点で、実施例1−16の共重合ポリアミドと比較して十分満足できるものではなく、高い耐熱性が要求される用途に用いるのに十分な耐熱性を有するものではなかった。一方、実施例1−16の共重合ポリアミドは、融点の向上による耐熱性の向上が図れるだけではなく、吸水率が低減し、さらに熱滞留安定性、熱滞留ガス抑制、強度の点でも向上されたものであった。また、ポリマー(熱安定化剤など添加しない)として熱安定性が高いことを意味し、溶融加工(押出、成形)などの際にも、条件幅が広く扱いやすい可能性が大きい。
さらに、(b−1)単位として脂肪族及び/又は脂環族ジカルボン酸ではない、芳香族ジカルボン酸を用いた比較例10及び11の共重合ポリアミドは、耐熱性は向上しているものの、熱変色が非常に大きく、熱滞留安定性、熱滞留ガス抑制、耐熱変色性においても十分満足できるものではなく、また、UV照射後の強度保持率が極端に低下するため耐光性、耐候性に十分満足できるものではなかった。
またさらに、(a−2)及び(b−2)単位として炭素数6未満の脂肪族ジアミンを用いた比較例12の共重合ポリアミドは、吸水率が高すぎるものであり、炭素数8より大きい脂肪族ジアミンを用いた比較例9の共重合ポリアミドは、耐熱性、強度、耐熱変色の点で十分満足できるものではなかった。
Claims (7)
- (a)(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と(a−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンとからなる単位と、
(b)(b−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸と(b−2)炭素数6〜8の脂肪族ジアミンとからなる単位と、
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸からなる単位と、を含む共重合ポリアミドであって、
前記(a)が40.1〜99.8モル%、前記(b)が0.1〜59.8モル%、前記(c)が0.1〜59.8モル%である共重合ポリアミド。 - 前記(a−2)と前記(b−2)が炭素数6の脂肪族ジアミンである、請求項1に記載の共重合ポリアミド。
- 前記(b−1)が脂肪族ジカルボン酸である、請求項1又は2に記載の共重合ポリアミド。
- 前記(c)が、ε−カプロラクタム及び/又はラウロラクタムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の共重合ポリアミド。
- 前記(a)が40.1〜90モル%、前記(b)が5.0〜54.9モル%、前記(c)が5.0〜20.0モル%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の共重合ポリアミド。
- 融点が290℃以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の共重合ポリアミド。
- 融点が300℃以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の共重合ポリアミド。
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