JP5446215B2 - ブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物およびそれを用いたブロー成形品 - Google Patents

ブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物およびそれを用いたブロー成形品 Download PDF

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本発明は、ポリアミド樹脂の優れた物性を保持し、かつブロー成形に適した強化ポリアミド系樹脂組成物に関する。詳しくは複雑な形状の製品や多くのインサート部品を一体成形する三次元ブロー成形や多次元押出ブロー成形、多層成形等の高度なブロー成形に好適な強化ポリアミド系樹脂組成物に関する。
ナイロン6やナイロン66等に代表される結晶性ポリアミド樹脂は一般的に溶融粘度が低く、ブロー成形時にパリソン形体保持が困難でドローダウンが起こり易いため、パリソン質量の計量が困難な場合や、製品の肉厚のコントロールが困難な場合がある。そのため結晶性ポリアミド樹脂にガラス繊維等を配合し、見かけの溶融粘度を高くする方法が提案されている(特許文献1)。しかしこの方法は溶融粘度の安定性が悪く、特に大型ブロー成形品ではドローダウンが起き易く、ブロー製品の肉厚変動が大きくなり好ましくない。
一方、結晶性ポリアミド樹脂にガラス繊維および変性オレフィン樹脂、例えばアイオノマー樹脂等を配合することが提案されている(特許文献2)。この方法では溶融粘度が多少高くなり単純な小型ブロー成形品では肉厚斑は減少するが、複雑な形状の製品や多くのインサート部品を一体成形する三次元ブロー成形や多次元押出ブロー成形、多層成形等の高度なブロー成形では比較的長いパリソンを使用するため、ドローダウンが起こり易く、均一な製品を成形することが出来ない。また、多量にオレフィンやアイオノマーを添加することで、成形品の機械強度が低下したり、長期の耐熱老化性が低下するという問題もあった。
また、結晶性ポリアミド樹脂にガラス繊維およびポリアミド樹脂の増粘作用を有する多官能性添加剤、例えばエポキシ基や無水マレイン酸基等を含有する化合物を配合することが提案されている(特許文献3)。この方法では組成物の溶融安定性は向上するが、組成物中の結晶性ポリアミド樹脂の結晶化速度が速いために、パリソンの固化速度が速くなり、長いパリソンが必要でかつパリソンの放出からエアー吹き付けまでに時間のかかる三次元ブロー成形や多次元押出ブロー成形、多層成形等の高度なブロー成形ではパリソンの成形工程で結晶化による固化が起こり易く、例えばエアー吹き付けまでに固化が始まり、エアー吹き付け時に破れてしまったり、インサート部が冷えて充分に膨らまずに穴が開いてしまったりすることがあり、十分満足出来るブロー成形品を製造することが極めて難しい状況であった。
特公昭40−5233号公報 特公昭60−170664公報 特表2003−525993公報
そこで 本発明者はポリアミド樹脂に強度、剛性および耐熱性向上を目的にガラス繊維等の強化材を配合した組成物のブロー成形性を改良し、複雑な形状の製品や多くのインサート部品を一体成形する三次元ブロー成形や多次元押出ブロー成形、多層成形等の高度なブロー成形性を有するポリアミド樹脂組成物の提供を課題とするものである。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、結晶性ポリアミド樹脂を含む組成物の降温結晶化温度を特定温度以下にして、かつ特定の増粘剤を配合することにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成を採用する。
(1)相対粘度2.5〜3.8の結晶性ポリアミド樹脂(A)、非晶性ポリアミド樹脂(B)、グリシジル基を2個以上含有する反応基含有アクリル共重合体(C)および繊維状強化材(D)からなる樹脂組成物であって、前記反応基含有アクリル共重合体(C)が、(X)ビニル芳香族モノマー20〜99質量%、(Y)グリシジル(メタ)アクリレート1〜80質量%および(Z)アルキル(メタ)アクリレート0〜70質量%の比率で共重合してなる共重合体であり、該共重合体の質量平均分子量が500〜100,000であり、該樹脂組成物の示差走査型熱量計(DSC)で求められる降温結晶化温度をTc2N(℃)、前記樹脂組成物の中で前記(B)成分のみを含有しない場合の降温結晶化温度をTc2M(℃)としたとき、下記関係を満足し、かつ前記樹脂組成物の融点より25℃高い温度にて、0.5mm/分の剪断速度で測定した溶融粘度が3,000〜40,000Pa・sであることを特徴とするブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
Tc2M(℃)−Tc2N(℃) ≧ 5(℃
(2)反応基含有アクリル共重合体(C)のエポキシ価が、800〜6,000当量/10 gである前記(1)に記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
)塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅、酢酸銅のうちの少なくとも1種を含む前記(1)または(2)に記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
)ポリオレフィン、反応基含有ポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、反応基含有ポリオレフィン系エラストマーのうち1種または2種以上を含む前記(1)〜()のいずれかに記載のブロー成形用強化ポリアミド樹脂組成物。
)前記(1)〜()のいずれかに記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物を用いて得られるブロー成形品。
)ブロー成形品が、自動車関連部品である前記()に記載のブロー成形品。
)自動車関連部品が、吸気、排気系部品である前記()に記載のブロー成形品。
)吸気・排気系部品が、エアホース、エアダクト、ターボダクト、ターボホース、インテークマニホールド、エグゾ−ストマニホールドである前記()記載のブロー成形品。
)ブロー成形が、ダイレクトブロー、三次元ブロー、三次元エクスチェンジブロー、サクションブロー、三次元サクションブロー、三次元エクスチェンジサクションブロー、インジェクションストレッチブローのいずれか1種である前記()に記載のブロー成形品。
本発明によれば、ポリアミド樹脂本来の優れた強度、剛性、耐薬品性および耐熱性を保持しつつ、強化ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度と固化速度を、結晶性ポリアミド樹脂に非晶性ポリアミド樹脂と特定の反応基含有アクリル共重合体を配合することにより、容易にコントロールすることができる。
このため、強化ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度と固化速度を、所望の複雑な形状で外観が良好なブロー成形品を成形できるように調整することが可能であり、ブロー成形に好適な強化ポリアミド系樹脂組成物を提供することができる。
したがって、ガラス繊維等の強化材配合ポリアミド樹脂組成物のブロー成形性を改良することができ、複雑な形状の製品のみならず、多くのインサート部品を一体成形する三次元ブロー成形や多次元押出ブロー成形、多層成形等の高度なブロー成形にも対処可能である。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明の(A)結晶性ポリアミド樹脂とは、分子中に酸アミド結合(―CONH―)を有し、かつ、融点とガラス点移転が存在するものであり、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリジンなどから得られる重合体または共重合体もしくはこれらのブレンド物、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸とを重縮合して得られる融点を有する結晶性重合体または結晶性共重合体もしくはこれらのブレンド物等を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
更に具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロンMXD−6、ナイロン6/ナイロン66共重合体、ナイロン6T/ナイロン66共重合体、ナイロン6T/ナイロン6共重合体等が挙げられる。本発明においてはナイロン6およびナイロン66、ナイロン6T/ナイロン6共重合体またはこれらのブレンド物が特に好ましい。
本発明におけるポリアミド樹脂のアミノ末端基およびカルボキシル末端基は、反応基含有アクリル共重合体(C)の反応基と反応し高溶融粘度化するため、アミノ末端基量およびカルボキシル末端量はある程度必要であるが特に限定されるものでは無く、各々10〜90当量/10g程度でよい。
これらの結晶性ポリアミド樹脂の相対粘度は2.5〜3.8である。相対粘度が2.5より低い場合は、反応性増粘剤等で増粘してもブロー成形時のパリソンの溶融安定性が十分でなく安定して好ましい製品が得られにくい。一方、相対粘度が3.8より大きい場合では、通常の溶融重合では得られず、固相重合などの後工程が必要であり経済的に好ましくない。
本発明における非晶性ポリアミド樹脂(B)とは、分子中に酸アミド結合(―CONH―)を有し、融点が観測されず、ガラス転移点のみ観測されるポリアミド樹脂である。
具体的には、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等より重縮合によって得られる重合体および共重合体である。更に具体的には、ナイロン6T/ナイロン66共重合体、ナイロン6T/ナイロン6共重合体、ナイロン6T/ナイロン6I共重合体、ナイロンTMD−T/ナイロン6共重合体およびナイロン6I重合体等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
これらの非晶性ポリアミド樹脂の相対粘度は1.8〜3.8であり、好ましくは2.0〜3.5である。相対粘度が1.8より小さい場合は組成物全体の溶融粘度を低下させて好ましくない。一方、3.8より大きい場合は溶融重合で得られず、固相重合が必要であり、経済的でない。
非晶性ポリアミド樹脂の配合量は3〜20質量%であることが好ましい。配合量が3質量%未満では組成物のTc2を充分効果的に下げることが出来ない場合があり、また20質量%を超えると組成物全体の結晶化度が低下する場合がある。
本発明におけるグリシジル基を2個以上含有する反応基含有アクリル共重合体(C)としては、反応基含有アクリル系共重合体は、従来から提案されている当業者周知の方法により製造することができる。また、高温に保たれた反応容器内にビニル単量体を連続的に供給して重合させる高温連続重合法は、短時間でビニル重合体を得ることができる効率的方法によって製造することもできる(例えば特開昭59−6207号公報、同60−215007号公報、特開2002−3504号公報など参照)。
本発明における反応基含有アクリル系共重合体(C)は、ビニル芳香族モノマー20〜99質量%、グリシジルアルキル(メタ)アクリレート1〜80質量%及びアルキル(メタ)アクリレート0〜70質量%の比率で共重合反応してなる共重合体である。
具体例としてスチレン/グリシジルメタクリレート/メチルメタクリレート、スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
特に、反応基含有アクリル系共重合体(C)としては、(X)ビニル芳香族モノマー20〜99質量%、(Y)グリシジルアルキル(メタ)アクリレート1〜80質量%および(Z)アルキル(メタ)アクリレート0〜70質量%の比率で共重合反応してなる共重合体が好ましい。より好ましくは(X)20〜99質量%、(Y)1〜80質量%および(Z)0〜40質量%の比率で共重合反応してなる共重合体で、さらに好ましくは、(X)25〜90質量%、(Y)10〜75質量%および(Z)0〜35質量%の比率で共重合反応してなる共重合体で、最も好ましくは、(X)30〜85質量%、(Y)15〜70質量%および(Z)0〜30質量%の比率で共重合反応してなる共重合体である。
これらの反応基含有アクリル系共重合体(C)の組成は、ポリアミド樹脂との反応に寄与する官能基濃度に影響するため、適切に制御する必要がある。上述の組成から外れる場合、ポリアミド樹脂との反応性が低下し、成形加工性が低下することがある。なお、(Z)の下限は5質量%以上のものが好ましい。
反応基含有アクリル系共重合体(C)の反応基であるグリシジル基の濃度は極めて重要であり、エポキシ価は800〜6,000当量/10gであることが好ましく、より好ましくは1,000〜4,500当量/10gであり、さらに好ましくは1,100〜4,000当量/10gである。
エポキシ価が800当量/10g未満であると、ポリアミド樹脂との反応性が不足して増粘効果が不十分になることがある。一方、6,000当量/10gを超えるとゲル化等が発生し、成形品外観、成形性に悪影響をおよぼすことがある。
反応基含有アクリル系共重合体(C)の重量平均分子量は、500〜100,000であることが好ましく、より好ましくは700〜50,000、さらに好ましくは900〜20,000である。重量平均分子量が500未満であると、未反応の反応基アクリル系共重合体が、成形品表面にブリードアウトし成形品表面の汚染をひきおこすことがある。一方、100,000を超えるとポリアミド樹脂との相溶性が悪くなり、相分離及びゲル化等が発生し成形品外観に悪影響をおよぼすことがある。
反応基含有アクリル系共重合体(C)の添加量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し0.1〜10質量部であることが好ましい。最適添加量はエポキシ価により変化し、エポキシ価が高ければ添加量は少なくてよく、エポキシ価が低ければ添加量を多くする必要がある。前記エポキシ価の範囲であれば添加量0.1質量部未満であると増粘効果が低く、10質量部を超えると部分的にゲル化等が発生し成形品外観、成形性に悪影響をおよぼすことがある。
また、反応基含有アクリル系共重合体(C)は、重合終了後のポリアミド樹脂に対し添加することができる。例えば重合終了後の重合機内に添加する、あるいは重合機を出た直後の溶融状態のポリアミド樹脂に直接添加剤を混合混練する方法及び固体化(たとえば粉末、ペレット状など)したポリアミド樹脂に添加剤を加え、次いで溶融混練する方法などが適用できる。
前者の方法においてはポリアミド樹脂が溶融状態にあるので、添加剤の添加によりそのまま高溶融粘度化されるが、後者の方法においては添加剤を均一に分散混合されたポリアミド樹脂は高溶融粘度化のために加熱再溶融される。
加熱再溶融方法には特に制限はなく、当業者に周知のいずれの方法も可能であり、単軸押出機、2軸押出機、加圧ニーダ、バンバリーミキサ等が使用することができる。なかでも2軸押出機を使用することが好ましい。
2軸押出機の条件は、ポリアミド樹脂の種類、添加剤種類・量など種々の要因により異なり一義的に決められない。ポリアミド樹脂の融点は170〜320℃範囲であり、その加工温度は融点+25℃前後で温度設定をすればよい。反応時間は10分間以内、例えば1分から数分間で充分目的とする溶融粘度に到達すると考えてよい。
スクリュー構成は練りの優れるニーデングディスクを数箇所組み込むことが好ましい。この様に反応基含有アクリル系共重合体を混合溶融して作成した高溶融粘度ポリアミド樹脂は、均一で溶融状態における粘度安定性が高く、特に押出成形、ブロー成形に適した流動特性を有している。
また、本発明の樹脂組成物中には、高度架橋によりゲル等が発生しない範囲であれば、上記反応基含有アクリル系共重合体(C)以外の化合物も任意に添加することができる。

上記反応基含有アクリル系共重合体(C)以外の化合物が持つ官能基は、溶融押出時にアミノ基あるいはカルボキシル基と反応するものであればいかなるものでも良い。また、1分子中に異なった種類の官能基を持つことも差し支えない。例えば、グリシジル基、カルボキシル基、カルボン酸金属塩、エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボジイミド基等の官能基、さらにはラクトン、ラクチド、ラクタム等ポリエステル末端と開環付加する官能基が挙げられる。このうち、好ましい官能基としては、反応の速さの観点から、グリシジル基あるいはカルボジイミド基が挙げられる。
本発明における繊維状強化材(D)としては、強度や剛性および耐熱性等の物性を最も効果的に改良するものであり、具体的にはガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ジルコニヤ繊維等の繊維状のもの、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等のウイスカー類、針状ワラストナイト、ミルドフィバー等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
特にガラス繊維、炭素繊維などが好ましく用いられる。これらの繊維状強化材は未処理のままでも使用できるが、有機シラン系化合物、有機チタン系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ系化合物等のカップリング剤で予め処理をしてあるものが好ましい。カップリング剤で処理してあるガラス繊維を配合したポリアミド系樹脂組成物では優れた機械的特性や外観特性の優れた成形品が得られるので好ましい。また 他の繊維状強化材においても、カップリング剤が未処理の場合は後添加して使用することが出来る。
さらに繊維状強化材に加えて、いわゆる無機質充填材、例えばタルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、ワラストナイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム等を添加することが出来る。
本発明における繊維状強化材(D)の配合量は5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。配合量が50質量%を超えると余裕時の伸びが無くなりエアー吹き付け時に穴が開く場合がある。また5質量%未満では強化材の効果が充分発揮できない場合がある。
本発明のポリアミド系樹脂組成物では、ブロー成形時に高温の溶融状態で長時間、滞留させる時はポリアミド系樹脂組成物の耐熱安定性のために耐熱剤を添加することが有用である。また、120℃以上の高温環境下で有効な長期熱老化性防止剤としては、銅化合物、例えば酢酸銅、ヨウ化銅、塩化銅、臭化銅、のようなハロゲン化銅などが使用できる。銅化合物の添加量はポリアミド系樹脂組成物100質量部に対して0.005〜0.5質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5質量部である。
銅化合物は、またヨウ化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウムのようなハロゲン化アルカリとの併用も効果的である。またその他の耐熱剤としては、抗酸化剤や酸化防止剤としてリン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト化合物、チオエーテル系化合物等も公知の範囲で使用することが出来る。
本発明の樹脂組成物は、示差走査型熱量計(DSC)で求められる降温結晶化温度をTc2N(℃)、本発明の樹脂組成物の組成中で非晶性ポリアミド樹脂(B)成分のみを含有しない場合の降温結晶化温度をTc2M(℃)としたとき、下記関係を満足することが必要である。
Tc2M(℃)−Tc2N(℃) ≧ 5(℃)
Tc2N (℃)に関与する重要な因子は非晶性ポリアミド樹脂(B)であり、結晶性ポリアミド樹脂(A)とのアミド交換反応によって分子相容することにより、結晶性ポリアミド樹脂の結晶化速度をコントロールして成形時の固化速度をコントロールすることができる。このことにより、Tc2N (℃)を低下させてポリアミド系樹脂組成物の Tc2M(℃)−Tc2N (℃) ≧5℃が達成でき、複雑な形状の三次元ブロー成形が容易になる。
複雑な形状の三次元ブロー成形時には「長いパリソン」必要であるが、ポリアミド系樹脂組成物のTc2N(℃)とTc2M(℃)の差が5℃未満であると、「長いパリソン」の成形工程の途中で固化が起こり始め、良好な成形品を得ることが極めて難しくなる。また金型温度を極めて高温にすることで、仮にブロー成形が出来たとしても、成形品の表面外観にガラス繊維等の浮き出し現象が現れ、成形品の表面外観が良好な成形品を製造することが出来ない。
Tc2N(℃)とTc2M(℃)の差の上限は、用いるポリアミド樹脂の結晶化速度、融点、強化材の配合量などによって変化するので一概には決められないが、概ね30℃である。あまり差が大きくなりすぎると、成形品の結晶性が低下し、熱間の剛性・強度、荷重たわみ温度などが低下したり、成形金型温度を120℃以上の高温にすることが必要になるなど成形性が低下することがあるので、20℃程度がより好ましく、15℃程度が、さらに好ましい。
一方、増粘剤であるグリシジル基を2個以上含有する反応基含有アクリル系共重合体(C)は、結晶性ポリアミド樹脂および非晶性ポリアミド樹脂のいずれとも反応してポリアミド系樹脂組成物の溶融粘度を高めている。本発明においては、前記ポリアミド樹脂組成物の融点より25℃高い温度で0.5mm/分の低い剪断速度で測定した溶融粘度が、3,000〜40,000Pa・s である。好ましくは4,000〜30,000Pa・s、より好ましくは、5,000〜20,000Pa・sであり、これらの範囲であることにより、成形性と生産性が優れる。
一般にブロー成形時のパリソン成形は比較的低い剪断速度で押し出されるため、溶融粘度が3,000Pa・s未満では、ノズルから放出したパリソンが自重でドローダウンして
成形できなかったり、成形品の肉厚が不均一となる場合がある。一方、溶融粘度が40,000Pa・sを超えると溶融粘度が高すぎて成形機や押出し機モーターに負荷がかかって成形機破損の恐れがある。
なお、本発明におけるポリアミド系樹脂組成物の融点とは、示差走査型熱量計(DSC)を用いて窒素ガス雰囲気下、20℃から350℃まで20℃/分の速度で昇温した時に得られるサーモグラムの結晶の融解による吸熱ピークのピークトップの温度である。ナイロン6とナイロン66のように2種類以上のポリアミド樹脂を用いた場合は、より高温側に発現するピークを樹脂組成物の融点として溶融粘度の測定温度を決定する。
本発明のポリアミド系樹脂組成物が、溶融粘度が上記の範囲であり、かつ前記のTc2M(℃)からTc2N(℃)を差し引いた時の差が5℃以上である遅い結晶化速度を有することにより、複雑な形状の製品や多くのインサート部品を一体成形する三次元ブロー成形や多次元押出ブロー成形、多層成形等の高度なブロー成形に適する材料となる。
本発明の樹脂組成物に対して、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、表面平滑性、剛性、その他機械特性等を改良するために、以下のような樹脂を添加することができる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂、または、エラストマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−ポリイソプレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレン共重合体などの共役ジエン系重合体;該共役ジエン系重合体の水素添加物;エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィン系ゴム;ポリアクリル酸エステルなどのアクリル酸ゴム;ポリオルガノシロキサン;熱可塑性エラストマー;エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基等を有する熱可塑性エラストマー;エチレン系アイオノマー共重合体などが挙げられ、これらは1種または、2種以上で使用される。中でも、アクリル系ゴム、共役ジエン系共重合体または共役ジエン系共重合体の水素添加物が好ましい。さらには、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−1,4−ヘキサジエン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体(NCR)、スチレン−クロロプレン共重合体(SCR)、ブタジエン−スチレン共重合体(BS)、エチレン−プロピレンエチリデン共重合体、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−エチレン共重合体、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)共重合体(α−MES−B−α−MES)、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリイソプレン−ポリ(α−メチルスチレン)共重合体等の樹脂または、エラストマーをポリアミド樹脂組成物に添加することもできる。
さらに、上述の樹脂は、ポリアミド樹脂組成物との相溶性を高めるために、カルボン酸、エポキシ基等の官能基を含有したものであれば、さらに好ましく溶融混合することができる。また、上述の樹脂に対する官能基は、ポリアミド樹脂末端と反応する官能基であれば、限定されるものではなく、任意で使用することができる。
また、本発明のポリアミド系樹脂組成物には、必要に応じて耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、結晶核剤、離型剤、変性剤、帯電防止剤、難燃剤、オレフィン系やその他衝撃改良剤、顔料、染料等を添加することが出来る。また 本発明の目的を損なわない範囲で他の樹脂や充填剤等を配合することが出来る。
本発明のポリアミド系樹脂組成物を製造する方法としては、上述した相対粘度2.5〜4.0の結晶性ポリアミド樹脂(A)、非晶性ポリアミド樹脂(B)、グリシジル基を2個以上含有する反応基含有アクリル樹脂(C)および繊維状強化材(D)および必要に応じて各種安定剤、離型剤や顔料を配合し、混合および溶融混錬することによって製造できる。溶融混錬方法は、当業者に周知のいずれかの方法も可能であり、単軸押出機、2軸押出機、加圧ニーダ、バンバリーミキサ等が使用することができる。なかでも2軸押出機を使用することが好ましい。一般的な溶融混練り条件としては、2軸押出機ではシリンダ温度は使用するポリアミド樹脂の融点より15〜50℃高い温度で、混錬時間は2〜15分間である。
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
また、以下の実施例、比較例において示した各特性、物性値は、下記の試験方法で測定した。
・ ポリアミド樹脂の相対粘度は、ウベローデ粘度管を用い、20℃において96%硫酸溶液(ポリアミド樹脂濃度1g/dl)で測定した(JIS K 6810に準拠)。
・ ポリアミド樹脂組成物の融点は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、窒素ガス雰囲気下、20℃から350℃まで20℃/分の速度で昇温してサーモグラムの結晶の融解による吸熱ピークを得て、そのピークトップ温度を測定した。
・ 曲げ強度は、ISO−178に準拠して測定した。
・ 曲げ弾性率は、ISO−178に準拠して測定した。
・ シャルピー衝撃強度は、ISO−179−1−eAに準拠して測定した。
(6)降温結晶化温度(Tc2)の測定は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、各サンプルは水分率0.03%以下の乾燥状態でDSC装置に封入し、水分による変動を防止し、窒素気流下で20℃/分の昇温速度にて300℃まで昇温し、その温度で5分間保持した後、10℃/分の速度で100℃まで降温させることにより測定した。
(7)メルトフローインデックス(MFI)の測定は、JIS K−7210に準拠して、融点プラス10℃の温度において荷重2,160grをかけ、10分間で流動した樹脂量(gr)である。なお、各サンプルは水分率0.03以下の乾燥状態で装置に装入し、水分によるMFIの変動を防止した。
(8)溶融粘度は、キャピラリーレオメーター(東洋精機社 キャピログラフIC)を用い、前記DSCで求めたポリアミド樹脂組成物の融点+25℃の温度で、剪断速度0.5mm/分で測定した。
(9)ブロー成形でのパリソンの固化およびパリソンのドローダウンは次のように測定した。
ブロー成形機(日本製鋼社製NB3B、50φダイレクトブロー成形機)を用い、ダイの内径/外形=40/45mmφのパリソンを押出し、図1に示す蛇腹形状の成形品を用いてパリソン固化の状態と、ドローダウンの状態について確認した。
パリソンは、肉厚の偏差をつけずに均一の厚さで押出して成形品の肉厚からドローダウンの評価を行った。エアーの噴きつけは、型締め5秒後に実施し、吹き付け時間は15秒間とした。
なお、パリソン固化とドローダウンの評価基準は、以下のとおりである。
<パリソンの固化>
ブロー成形品破れ・穴あき無し : ○
ブロー成形品破れ・穴あき有り : ×
<パリソンのドローダウン>(図2の側断面概略図参照)
成形品A部とB部の肉厚差 ≦0.5mm : ○
ドローダウンして計量できない : ×
また、実施例、比較例において使用した原料は次のとおりである。
(A)結晶性ポリアミド樹脂
ナイロン6:T−850(東洋紡績社製、相対粘度 3.5)
ナイロン66:T−662(東洋紡績社製、相対粘度2.8)
ナイロン6T/6:TY−503NX1(東洋紡績社製、相対粘度2.5)
(B)非晶性ポリアミド樹脂
6T/6I共重合ナイロン(EMS社製 グリボリーG21、相対粘度2.0)
(C)反応基含有アクリル系共重合体
反応基含有アクリル系共重合体(C−1):
<合成方法>
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器にメチルエチルケトン50質量部を入れ70℃に昇温した後、スチレン34.5質量部、グリシジルメタクリレート44.5質量部、メチルメタクリレート21.0質量部の混合物と、アゾビスジメチルバレロニトリル2質量部を50質量部のメチルエチルケトンに滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。その後、減圧することにより、メチルエチルケトンを反応器中から除去し、反応化合物(C-1)を得た。
<組成、特性>
得られた反応化合物(C-1)のNMR分析結果は、スチレン/グリシジルメタクリレー
ト/メチルメタクリレート=38/37/25(質量%比)の組成であった。また、ガラス転移温度は51℃、重量平均分子量は1,200であった。エポキシ価は2,626当量/10gであった。
反応基含有アクリル系共重合体(C−2):
<合成方法>
撹拌機、冷却器および加熱マントルを具備した1.5リットルの丸底フラスコ中で乳化重合によって製造した。フラスコには最初に脱イオン水900質量部、酢酸0.2質量部、FeSO0.005質量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩二水和物0.06質量部からなる溶液を仕込んだ。溶液に窒素ガスを散布して75℃に加熱した。75℃において、水75質量部中でドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.7質量部を用いて乳化させたスチレン182質量部、グリシジルメタクリレート48.4質量部およびブチルメタクリレートモノマー25.8質量部をフラスコに加え、次に過硫酸ナトリウム0.22質量部を開始剤として加えた。次に反応をそのまま約2時間、または固形物含有量の調査によってモノマーの99.9%以上が置換されるまで進行させた。反応遂行後にエマルジョンを室温に冷却し次いで噴霧乾燥して白色の反応化合物粉末(C-2)を得た。
<組成、特性>
反応化合物(C-2)のNMR分析結果は、スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチ
ルメタクリレート=71/19/10(質量%比)の組成であった。また、ガラス転移温度は55℃、重量平均分子量は10,000であった。エポキシ価は1,330当量/10gであった。
(D)繊維状強化材
ガラス繊維:オーウェンスコーニング社製03MAFT2A
(E)その他 添加剤
安定剤:ヨウ化カリウム(ナカライテスク社製、試薬)および 塩化第2銅(試薬)
離型剤:モンタン酸エステルワックスのWE40(クラリアントジャパン社製)
黒顔料:EPC8E313(住化カラー社製)
実施例、比較例のポリアミド系樹脂組成物の製造法は、表1、表2に示した配合比率に従い計量して、35φ二軸押出機(東芝機械社製)でシリンダ温度は、ナイロン6の場合は250℃、ナイロン66の場合は285℃、ナイロン6T/6の場合は320℃に設定し、スクリュー回転数100rpmにて溶融混錬した。ガラス繊維以外の原料はあらかじめ混合しメインホッパーから投入し、ガラス繊維はベント口からサイドフィードで投入した。
得られたポリアミド系樹脂組成物のペレットは、射出成形機でそれぞれの評価試料を成形し、機械特性を評価した。
成形条件は、ナイロン6を使用した場合はシリンダ温度250℃、金型温度80℃であり、ナイロン66の場合はシリンダ温度285℃、金型温度90℃、ナイロン6T/6の場合はシリンダ温度320℃、金型温度130℃である。
ブロー成形性の評価は、ダイレクトブロー成形機を用いて、ドローダウンや成形品の状態を評価した。成形条件は、シリンダ温度設定は射出成形の場合と同様に設定し、金型温度は、全ての場合で40℃とした。
評価結果は表1に示した。
Figure 0005446215
Figure 0005446215
実施例1および実施例2では(A)成分としてRV(相対粘度)3.5のナイロン6を用い、(B)成分として6T/6I共重合体を使用し、(C−1)及び(C−2)成分としてそれぞれ分子量、エポキシ価数の異なるS/GMA/MMA共重合体を配合したポリアミド系樹脂組成物である。いずれもTc2は非晶性ポリアミドを3質量%配合した比較例1のTc2と比べて約10℃前後低く、(C)成分の配合割合が僅かな量でありながら、溶融粘度が極めて高い値を示している。その結果、ブロー成形時、型締めしてから5秒経った後にエアー吹き付けしてもブロー成形品の破れや穴はなく、また出来上がった成形品のノズル側の肉厚A部と反ノズル側の肉厚B部との肉厚差が少なく、極めてドローダウンが抑えられていることがわかる。
一方、比較例1では、Tc2M(℃)とTc2N(℃)との温度差が小さく、また比較例2では、(B)成分が配合されていないので、それぞれTc2 が高く、固化速度が速すぎるため、部分的に固化した後にエアー噴きつけされることになり、伸びない部分が発生して穴が開いたり、成形品に破れが発生した。また、比較例2は、MAH−LDPE(無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン)が配合されて増粘しているので、溶融粘度は高いが、射出成形試験片により測定される機械的物性である曲げ強度、弾性率及び熱変形温度が実施例1や2と比較して劣っている。
比較例3は、(C)成分が配合されず溶融粘度が低いため、ブロー成形時の樹脂組成物ペレットの計量中、絶えずノズルからパリソンのドローダウンが観察され、また計量を完了できずブロー成形することが出来なかった。また機械的物性のシャルピー衝撃強度が著しく低下していた。
実施例3は、(A)成分としてナイロン66を用いて同様に実施した結果であるが、RV2.8のナイロンを用いても(C−1)成分のS/GMA/MMA共重合体の添加量を僅か1.2質量%にするだけで、極めて高い溶融粘度が得られ、(B)成分の非晶性ポリアミドの配合により、極めて固化速度の早いナイロン66の場合でもナイロン6と同様にTc2を下げることが可能となり、エアー吹き付け時の固化速度が改良され、良好な成形性が得られることがわかる。
一方、実施例3の組成中で(C−1)成分を含まない組成である比較例4は、成形性が著しく劣っている。また、(B)成分の非晶性ポリアミドを含まない組成である比較例5は、固化速度が速く、ブロー成形品に破れ・穴あきが認められた。
実施例4は、(A)成分としてナイロン6T/6を用いた結果であるが、高融点のナイ
ロン6T/6の場合でも、(C−1)成分のS/GMA/MMA共重合体の配合で増粘が達成でき、(B)成分の非晶性ポリアミドの配合でTc2のコントロールができ、極めて良好なブロー成形性が得られた。一方、実施例4の組成中で(C−1)成分を含まない組成である比較例6は、成形性が著しく劣っていた。
本発明は、ポリアミド樹脂の優れた強度、剛性、耐薬品性および耐熱性を保持し、ブロー成形に好適なポリアミド系樹脂組成物でありながら、複雑な形状のブロー成形品を成形が可能であり、また得られる成形品の外観も優れている。
このため、自動車のエンジンルーム内にある金属部品の代替の可能性がある。例えばインテークマニホールド、エアダクト、ホース、ターボダクト、ラジエーター部品等の幅広い部品での利用の可能性がある。したがって産業界に寄与すること大である。
ブロー成形評価に用いた蛇腹形状の成形品の側面概略図である。 ブロー成形評価に用いた蛇腹形状の成形品の側断面概略図である。
符号の説明
L・・・・成形品長さ(金型寸法:230mm)
W0・・・底面直径(金型寸法:57mm)
W1・・・蛇腹谷部直径(金型寸法:47mm)
W2・・・蛇腹山部直径(金型寸法:63mm)
A・・・・パリソンノズル側肉厚

Claims (9)

  1. 相対粘度2.5〜3.8の結晶性ポリアミド樹脂(A)、非晶性ポリアミド樹脂(B)、グリシジル基を2個以上含有する反応基含有アクリル共重合体(C)および繊維状強化材(D)からなる樹脂組成物であって、前記反応基含有アクリル共重合体(C)が、(X)ビニル芳香族モノマー20〜99質量%、(Y)グリシジル(メタ)アクリレート1〜80質量%および(Z)アルキル(メタ)アクリレート0〜70質量%の比率で共重合してなる共重合体であり、該共重合体の質量平均分子量が500〜100,000であり、該樹脂組成物の示差走査型熱量計(DSC)で求められる降温結晶化温度をTc2N(℃)、前記樹脂組成物の中で前記(B)成分のみを含有しない場合の降温結晶化温度をTc2M(℃)としたとき、下記関係を満足し、かつ前記樹脂組成物の融点より25℃高い温度にて、0.5mm/分の剪断速度で測定した溶融粘度が3,000〜40,000Pa・sであることを特徴とするブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
    Tc2M(℃)−Tc2N(℃) ≧ 5(℃)
  2. 反応基含有アクリル共重合体(C)のエポキシ価が、800〜6,000当量/10 gである請求項1に記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
  3. 前記ブロー用ポリアミド系樹脂組成物中に塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅、酢酸銅のうちの少なくとも1種を含む請求項1または2に記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物。
  4. 前記ブロー用ポリアミド系樹脂組成物中にポリオレフィン、反応基含有ポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、反応基含有ポリオレフィン系エラストマーのうちの1種または2種以上を含む請求項1〜3のいずれかに記載のブロー成形用強化ポリアミド樹脂系組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のブロー成形用強化ポリアミド系樹脂組成物を用いて得られたブロー成形品。
  6. ブロー成形品が、自動車関連部品である請求項5記載のブロー成形品。
  7. 自動車関連部品が、吸気、排気系部品であることを特徴とする請求項6記載のブロー成形品。
  8. 吸気・排気系部品が、エアホース、エアダクト、ターボダクト、ターボホース、インテークマニホールド、エグゾ−ストマニホールドであることを特徴とする請求項7記載のブロー成形品。
  9. ブロー成形が、ダイレクトブロー、三次元シングルブロー、三次元エクスチェンジブロー、サクションブロー、三次元サクションブロー、三次元エクスチェンジサクションブロー、インジェクションストレッチブローのいずれか1種である請求項8記載のブロー成形品。
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