JP6196826B2 - ブロー成形用ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ブロー成形性を改善したブロー成形用ポリアミド樹脂組成物に関する。
近年自動車の軽量化を求める中で、樹脂部品が多用されている。中でもエンジン周辺部品として耐熱性、耐薬品性、成形性に優れるポリアミド樹脂の使用が増えている。従来、エンジンの吸排気系に接続するダクト部品としては、射出成形により得られるポリアミド66を用いた一次成形体を相互に溶着し、一部品として用いていた。しかし、一次成形体の溶着を考慮した形状の設計は、単純な形状であれば十分対応可能であったが、一方で形状の複雑化には十分に対応しきれず設計の自由度が制限されていた。
このような背景の中、ブロー成形による各種部品の成形が検討されている。ブロー成形は通常、筒状の、例えばパリソンを成形し、続けてエアを吹き込むことで金型形状に応じた成形体を得ることが可能になる。また、複数の一次成形体を使う必要性がなく、溶着という工程も不要になるため、部品の接合を行うことなく最終成形品を一工程であることが可能となる。
ブロー成形用材料に求められる性能として、パリソンの耐ドローダウン性や延伸性が挙げられる。延伸性は押し出したパリソンを金型に挟み込んで所望の形状に成形する際に重要であるが、延伸性を左右する要素としてパリソンの固化速度が挙げられる。固化が早い材料であると、パリソンが所望の形状に延伸される前に冷却固化され完全な成形ができない。したがって吹き込み完了まで溶融状態を保つ必要がある。
従来よりブロー成形用ポリアミド樹脂として、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂等を主体としたアロイ樹脂が使われてきた(特許文献1)。中でもポリアミド6樹脂はポリアミド66樹脂や結晶性半芳香族ポリアミド樹脂に比べて結晶性が低いためにパリソンが固化し難く、ブロー成形に特に適している。
一方でポリアミド66樹脂のような結晶性の高いポリアミド樹脂であっても、非晶性ポリアミド樹脂と混合して用いることで、結晶性を制御しブロー成形性を向上させる試みが行われている(特許文献2)。
特開2007−204675号公報
特開2009−132908号公報
本発明者らは、以下のようなことを見出した。
ブロー成形可能なポリアミド樹脂組成物であっても、ブロー成形性、例えば、肉厚均一性、表面外観まで十分に向上させることは難しかった。
本発明は、ポリアミド樹脂が本来有する耐熱性を維持しながら、ブロー成形性を改善したブロー成形用ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は下記の通りである。
(1) 結晶性ポリアミド樹脂(A)50〜95質量部、非晶性ポリアミド樹脂(B)5〜50質量部の合計100質量部に対し、分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)0.3〜2質量部、ガラス繊維10〜100質量部を含有するブロー成形用ポリアミド樹脂組成物。
(2)JIS K7210に準拠し、温度275℃、荷重5kgfの条件で測定したメルトフローレートが0.5〜5g/10分であることを特徴とする(1)のブロー成形用ポリアミド樹脂組成物。
(3)さらにニグロシン(E)を含有することを特徴とする(1)または(2)のブロー成形用ポリアミド樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)のブロー成形用ポリアミド樹脂組成物を成形してなるブロー成形体。
(5)自動車部品である(4)のブロー成形体。
本発明によれば、ポリアミド樹脂が本来有する耐熱性を維持しながら、ブロー成形性を改善したブロー成形用ポリアミド樹脂組成物を提供することができる。このようなブロー成形用ポリアミド樹脂組成物は、肉厚均一性、表面外観を向上したブロー成形体とすることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、結晶性ポリアミド樹脂(A)、非晶性ポリアミド樹脂(B)、分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)および繊維状強化材(D)を含有するポリアミド樹脂組成物である。
本発明で用いる結晶性ポリアミド樹脂(A)とは、アミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミンとジカルボン酸を主たる原料として、アミド結合を主鎖内に有する重合体である。
前記アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられ、ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。このような原料を用いたポリアミド樹脂は、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリウンデカアミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリデカミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)等である。
前記ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等が挙げられ、ジカルボン酸としては、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。なお、これらのジアミンとジカルボン酸は一対の塩として用いることもできる。
このような原料を用いたポリアミド樹脂は、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)等であり、さらには、これらの混合物、あるいは共重合体等が挙げられる。上記の中でも、加工性、経済性の点からナイロン6、ナイロン66が好ましく、高温環境下における機械的特性、例えば曲げ弾性率に優れる点でナイロン66が特に好ましい。
本発明で用いる結晶性ポリアミド樹脂(A)の分子末端はカルボキシル基およびアミノ基である。これら分子末端は後述する分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)と反応して溶融粘度を増大させるために必要であり、モノカルボン酸やモノアミンで末端封鎖することは好ましくないが、得られるポリアミド樹脂組成物の高温環境下での滞留安定性を改善するなどの目的で必要に応じて末端封鎖を行ってもよい。カルボキシル基およびアミノ基の総末端基量は特に限定されないが、50mmol/kg以上、好ましくは55mmol/kg以上、より好ましくは60mmol/kg以上である。なお、総末端基量とは、カルボキシル基とアミノ基の合計の末端基量をいう。
本発明で用いる結晶性ポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、ウベローデ型粘度計を使用し、96質量%硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した相対粘度が2.0〜4.0であることが好ましく、2.2〜3.8であることがより好ましく、2.4〜3.6であることがさらに好ましい。結晶性ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が2.0未満であると後述する分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)との反応性が顕著となり、過剰にダイスウェルを起こすなどブロー成形性を低下させる傾向がある。一方、相対粘度が4.0を超えると、分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)との反応性が低く、適度なブロー成形性を与えることが困難となる。
また、より好ましい方法としては、相対粘度が3.0〜4.0の高粘度結晶性ポリアミド樹脂(a−1)と、相対粘度が2.0〜2.9の低粘度結晶性ポリアミド樹脂(a−2)を混合して用いることである。前記(a−1)の相対粘度と(a−2)の相対粘度は、その差が0.5以上とすることが特に好ましい。高粘度結晶性ポリアミド樹脂(a−1)は分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)との反応性が比較的低いため、架橋構造による耐熱性低下が起き難く、さらにパリソンの固化時間を長くすることができる反面、溶融粘度の増大効果はそれほど大きくない。一方、低粘度結晶性ポリアミド樹脂(a−2)は分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)との反応性が良好であるため、架橋構造を作り易く、耐熱性は低下しやすいが溶融粘度の増大効果は大きい。これら高粘度結晶性ポリアミド樹脂(a−1)と低粘度結晶性ポリアミド樹脂(a−2)を混合して用いると、それら相対粘度の加重平均値と等しい結晶性ポリアミド樹脂を用いた場合に比べて、耐熱性、パリソン固化時間、溶融粘度のバランスの良好なポリアミド樹脂組成物が得られるので好ましい。前記(a−1)と(a−2)を混合して用いる場合は、(a−1)/(a−2)=30/70〜70/30(質量比)であることが好ましく、(a−1)/(a−2)=40/60〜60/40(質量比)であることがより好ましく、(a−1)/(a−2)=50/50(質量比)であることがさらに好ましい。
本発明における非晶性ポリアミド樹脂(B)とは、示差走査型熱量計で20℃/分で昇温した際に結晶の融解による吸熱ピークが検出されず、20℃/分で降温した際に結晶化による発熱ピークが検出されないポリアミド樹脂であって、ジカルボン酸成分とジアミン成分を反応させて得られるポリアミド樹脂である。
非晶性ポリアミド樹脂(B)のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸とイソフタル酸が好ましい。非晶性ポリアミド樹脂(B)のジアミン成分としては、1,6−ヘキサンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等が挙げられ、中でも、1,6−ヘキサンジアミンが好ましい。
非晶性ポリアミド樹脂(B)の相対粘度は、1.5〜5.0であることが好ましく、2.0〜4.5であることがより好ましく、2.5〜4.0であることがさらに好ましい。非晶性ポリアミド樹脂(B)の相対粘度が5.0を超えると、ブロー成形機からパリソンを押し出すことが困難となったり、結晶性ポリアミド樹脂(A)との相溶性が低下する場合がある。一方、相対粘度が1.5未満の場合、溶融粘度が低すぎてパリソンがドローダウンしてしまう場合がある。
結晶性ポリアミド樹脂(A)と非晶性ポリアミド樹脂(B)の含有比率は、(A)/(B)=50/50〜95/5(質量比)であることが必要であり、60/40〜90/10(質量比)であることが好ましく、65/35〜80/20であることがより好ましい。結晶性ポリアミド樹脂(A)の含有量が50質量部より少ない場合、つまり非晶性ポリアミド樹脂(B)が50質量部より多い場合、得られるポリアミド樹脂組成物の耐熱性が低下する。一方、結晶性ポリアミド樹脂(A)が95質量部より多い場合、つまり非晶性ポリアミド樹脂(B)が5質量部より少ない場合、得られるポリアミド樹脂組成物をブロー成形した際のパリソン固化時間が早すぎてしまい、ブロー成形性が損なわれる。
本発明における分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)は、結晶性ポリアミド樹脂(A)の末端基と反応性を有する官能基を有する化合物である。分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)は結晶性ポリアミド樹脂(A)と架橋反応を起こし、結晶性ポリアミド樹脂(A)の溶融粘度を増大させることによりブロー成形性を向上させる。さらに、分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)を含有させることにより、得られるポリアミド樹脂組成物の結晶化速度を制御し、ブロー成形性をより向上させることが可能となる。また、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物の分子量は200〜500g/molであることが必要であり、210〜450g/molであることが好ましく、220〜400g/molであることがより好まし。エポキシ基含有アルコキシシラン化合物の分子量が200g/mol未満の場合、結晶性ポリアミド樹脂(A)との反応性が高すぎてゲル化を起こしたり、ブロー成形体表面にブリードアウトする場合がある。一方、分子量が500g/molを超える場合、結晶性ポリアミド樹脂(A)との反応性が乏しく、所望の溶融粘度に到達することは困難となる。
このようなエポキシ基含有アルコキシシラン化合物の具体例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられ、ブロー成形性向上、得られるブロー成形体の表面外観向上の観点から、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
本発明において、分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)の含有量は、結晶性ポリアミド樹脂(A)および非晶性ポリアミド樹脂(B)の合計100質量部に対して0.3〜2質量部であることが必要であり、0.5〜1.7質量部であることが好ましく、1.0〜1.5質量部であることがより好ましい。分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)の配合量が0.3質量部未満であると、溶融粘度が十分に増大せず、パリソンのドローダウンが過度に起きてしまい、ブロー成形体が得られなかったり、得られたとしても厚みが均一でなかったりするという問題がある。一方、2質量部を超えると、溶融粘度の増大が顕著となり過ぎてしまうことに起因して、ブロー成形体の肉厚を制御することが困難となるばかりでなく、耐熱性も低下してしまう。
本発明における繊維状強化材(D)は、ブロー成形性の向上、ブロー成形品の表面外観の向上の観点からガラス繊維であることが必要である
繊維状強化材(D)としてガラス繊維を用いる場合、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。また、シランカップリング剤は、集束剤に分散され、ガラス繊維を束ねるための集束剤として表面処理されていてもよい。シランカップリング剤としては、ビニルシラン系、アクリルシラン系、エポキシシラン系、アミノシラン系等が挙げられるが、ポリアミド樹脂とガラス繊維との密着効果を得やすい点で、アミノシラン系カップリング剤が特に好ましい。
繊維状強化材(D)の繊維長は、0.1〜7mmのものが好ましく、0.5〜6mmのものがさらに好ましい。繊維状強化材(D)の繊維長が0.1mm未満であると、補強効果に劣る場合があり、一方、7mmを超えると、ブロー成形性に悪影響を及ぼす場合がある。また、繊維状強化材(D)の繊維径は3〜20μmのものが好ましく、5〜13μmのものがさらに好ましい。繊維状強化材(D)の繊維径が3μm未満であると、溶融混練時に折損しやすく、一方、20μmを超えると、補強効果に劣る場合がある。また、断面形状として、円形断面であるものを好ましく用いることができるが、必要に応じて、長方形、楕円、それ以外の異形断面である繊維状強化材を用いることができる。
本発明における繊維状強化材(D)の含有量は、結晶性ポリアミド樹脂(A)および非晶性ポリアミド樹脂(B)の合計100質量部に対して10〜100質量部含有させる必要があり、20〜80質量部であることが好ましく、30〜60質量部であることがより好ましい。繊維状強化材(D)の含有量が10質量部未満であると、高温環境下での曲げ弾性率が低下する。一方、100質量部を超えるとパリソンの固化時間が短くなっていまいブロー成形性が損なわれる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、さらにニグロシン(E)を含有することができる。ニグロシン(E)を含有することで、結晶性ポリアミド樹脂(A)の結晶化温度を低下させることができる。その結果、ブロー成形時のパリソン成形性が改善する。一般的に、ポリアミド樹脂は結晶化速度が速く、溶融状態からの固化が早い材料であるが、これにガラス繊維やタルク等のフィラーが配合されると、さらに固化が早くなってしまい、パリソンが金型に転写されるより前に固化し、目的形状のブロー成形体が得られなくなる傾向がある。本発明では、ニグロシン(E)を含有させることで、パリソンの固化時間を長くすることができ、ブロー成形性の低下を抑制することができる。
ニグロシン(E)は、COLOR INDEXにC.I.SOLVENT BLACK 5及びC.I.SOLVENT BLACK 7として記載されているような黒色アジン系縮合混合物が挙げられる。このようなニグロシンの合成は、例えば、アニリン、アニリン塩酸塩及びニトロベンゼンを、塩化鉄の存在下、反応温度160〜180℃で酸化及び脱水縮合することにより行い得るものである。さらに、このようにして得られたニグロシンを精製し、アニリンやジフェニルアミンを0.1%未満にした精製アニリンを用いてもよい。このようなニグロシンとして、オリヱント化学工業社製のCramity81やNUBIAN BLACKシリーズが市販されている。
本発明におけるニグロシン(E)の含有量は、特に限定されるものではないが、結晶性ポリアミド樹脂(A)および非晶性ポリアミド樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.1〜1.0質量部であることが好ましく、0.2〜0.9質量部であることがより好ましく、0.3〜0.8質量部であることがさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、JIS K7210に準拠し、温度275℃、荷重5kgfの条件で測定したメルトフローレートが0.5〜5g/10分であることが好ましく、0.7〜3g/10分であることがより好ましく、1〜2g/10分であることがさらに好ましい。ポリアミド樹脂組成物のメルトフローレートが0.5g/10分未満である場合、溶融粘度が高すぎるためにブロー成形を行うことが困難となる場合がある。一方、5g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎるためにパリソンがドローダウンしてしまい、均一な肉厚の成形体を得ることが困難となってしまう。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、2軸押出機を用いて270〜350℃の温度で溶融混錬することが好ましい。また、繊維状強化材(D)による補強効果を効果的に発現させるには、繊維状強化材(D)以外の原料をブレンドして2軸押出機の基部から供給し、十分に溶融混合した後に、繊維状強化材(D)をサイドフィードし、減圧脱気することが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、着色防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、離型安定剤等の添加剤を添加してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、必要に応じて他の重合体を配合することも可能である。このような重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレンなどのエラストマー、およびこれらの無水マレイン酸などによる酸変性物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−フェニルマレイミド共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
本発明で得られたポリアミド樹脂組成物をブロー成形加工方法に付することにより、本発明のブロー成形体を得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、従来のポリアミド樹脂組成物からなるブロー成形体に比べて、高い耐熱性と良好なブロー成形性を有し、空気移送系構成部品、冷却水移送系構成部品、オイル移送系構成部品、その他の流体を移送する容器およびパイプ、燃料タンクまたはオイルタンク等の自動車用部品、電気部品に用いることができる。
自動車用部品としては、吸排気ダクト、ラジエタ−パイプ、ラジエタ−ヘッダー、イクスパンジョンタンク、他の媒体を輸送するパイプおよび容器、特に自動車の空気ダクトパイプ、オイル循環パイプおよび容器等が挙げられる。
特にポリアミド樹脂としてポリアミド66樹脂を用いた場合には、良好なブロー成形性を有しながら高温環境下における曲げ弾性率が顕著に向上し、自動車の吸排気ダクト等のダクト類に好適に使用できる。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.原料
(1)ポリアミド樹脂
・a−1:ポリアミド66樹脂(アセンド社製「65A」、相対粘度3.6)
・a−2:ポリアミド66樹脂(ユニチカ社製「E2000」、相対粘度2.7)
・a−3:ポリアミド6樹脂(ユニチカ社製「A1030BRL」相対粘度2.5)
(2)非晶性ポリアミド樹脂
・b:イソフタル酸/テレフタル酸/1,6−ヘキサンジアミンの重縮合体(DSM社製「X21」)
(3)エポキシ基含有化合物
・c−1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−403」、分子量236g/mol)
・c−2:トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(坂本薬品工業社製「SR−TMP」、分子量302g/mol)
(4)繊維状強化材
・d:ガラス繊維(オーウェンスコーニング社製「MAFT692」)
(5)ニグロシン
・e:ニグロシン(オリエント化学社製「Cramity81」)
以下に、実施例および比較例で用いた評価方法を示す。なお、以下のうち、(1)、(3)および(4)については、射出成形機(東芝機械社製「EC−100」)を用い、シリンダー温度280℃、金型温度80℃にて射出成形した試験片を用いて評価を行った。
2.試験方法
(1)メルトフレーレイト(MFR)(g/10分)
JIS K7210に準拠し、温度275℃、荷重5kgfの条件で測定した。
(2)200℃曲げ弾性率(GPa)
射出成形により得られた試験片を用い、ISO178に準拠し、200℃に設定した恒温槽内にて曲げ弾性率を測定した。本発明においては、2GPa以上である物を実用に耐えうるものとした。
(3)パリソン固化時間(s)
ブロー成形機(石川島播磨重工業社製「IPB−10」)を用い、シリンダー温度280℃、吐出量15kg/h、ダイ外形80mm、肉厚2mmでパリソンを押出し、金型温度80℃、ブロー空気圧8kgf/cmでブロー成形を行い、23℃の雰囲気下でパリソンを押出した状態で成形を中断し、所定時間放置した後にブロー成形を再開した。成形不良が起きることなく良好にブロー成形が再開できる最長放置時間をパリソン固化時間とした。本発明においては、固化時間が8秒以上を実用の範囲とした。
(4)荷重たわみ温度(℃)
射出成形により得られた試験片を用い、ISO75にしたがって、曲げ応力1.80MPaの条件下において、フラットワイズ法で測定した。本発明においては、200℃以上であるものを実用に耐えうるものとした。
(5)ブロー成形性
(3)の条件下ブロー成形を行い、その結果より下記基準により評価した。
〇:ブロー成形性が良好であった。すなわち、肉厚が均一で表面外観が良好なブロー成形体とすることができた。
△:ブロー成形はできたが、ブロー成形体の肉厚に斑があった。
×:ブロー成形性が十分にできず、所定の形状のブロー成形体が得られなかった。
実施例1
二軸押出機(東芝機械社製「TEM37BS型」)を用い、ポリアミド66樹脂(a−2)70質量部、非晶性ポリアミド(b−1)30質量部、エポキシ基含有化合物(c−1)1質量部、ニグロシン(e)0.5質量部をドライブレンドして押出機の根元供給口からトップフィードし、さらに繊維状強化材(d)45質量部を押出機の中流供給口からサイドフィードし、バレル温度270〜290℃、スクリュー回転数300rpm、吐出20kg/hの条件で、ベントを効かせながら押出しを実施した。
押出機先端から吐出された溶融樹脂をストランド状に引き取り、冷却水で満たしたバットを通過させて冷却固化した後、ペレット状にカッティングしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを、上記のような方法で射出成形またはブロー成形に付し、試験片を作製した。その組成と各評価結果を表1、2に示す。
実施例2〜14、比較例1〜7
表1の組成の通りにした以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得、該ポリアミド樹脂組成物を射出成形およびブロー成形し試験片を得た。得られた試験片について評価を実施した。その組成と評価結果を表1、2に示す。
実施例1〜14において、高い耐熱性と長いパリソン固化時間を示す樹脂組成物が得られた。特に実施例1〜14はポリアミド66樹脂を用いたため、ブロー成形性に優れかつ高温環境下における曲げ弾性率が高かった。中でも実施例2〜13はポリアミド66樹脂として高粘度ポリアミド66樹脂と低粘度ポリアミド66樹脂を併用したことにより、耐熱性と固化時間のバランスが良化した結果となった。
比較例1では、非晶性ポリアミド樹脂の配合量が過少であったために、固化時間が短すぎた。
比較例2では、非晶性ポリアミド樹脂の配合量が過多であったために、固化時間は長いものの、耐熱性が不十分であった。
比較例3では、エポキシ基含有化合物の配合量が過少であったために、MFRが過大となり(溶融粘度が十分に増大せず)、また固化時間も短くブロー成形性が劣った。
比較例4では、エポキシ基含有化合物の配合量が過多であったために、MFRが過小となり(溶融粘度が過度に増大した)、ブロー成形体の肉厚が不均一であった。
比較例5では、エポキシ基含有化合物としてアルコキシシラン化合物とは異なる構造の化合物を用いたため、MFRが過大となり(溶融粘度が十分に増大せず)、また固化時間が短くブロー成形性が劣った。
比較例6では、繊維状強化材の配合量が過少であったために、耐熱性が不十分であった。
比較例7では、繊維状強化材の配合量が過多であったために、固化時間が短くブロー成形性が劣った。

Claims (5)

  1. 結晶性ポリアミド樹脂(A)50〜95質量部、非晶性ポリアミド樹脂(B)5〜50質量部の合計100質量部に対し、分子量200〜500g/molのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物(C)0.3〜2質量部、ガラス繊維10〜100質量部を含有するブロー成形用ポリアミド樹脂組成物。
  2. JIS K7210に準拠し、温度275℃、荷重5kgfの条件で測定したメルトフローレートが0.5〜5g/10分であることを特徴とする請求項1記載のブロー成形用ポリアミド樹脂組成物。
  3. さらにニグロシン(E)を含有することを特徴とする請求項1または2記載のブロー成形用ポリアミド樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のブロー成形用ポリアミド樹脂組成物を成形してなるブロー成形体。
  5. 自動車部品である請求項4記載のブロー成形体。
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