JP2014532796A - ポリヒドロキシポリマーを含む耐加水分解性ポリアミド組成物 - Google Patents

ポリヒドロキシポリマーを含む耐加水分解性ポリアミド組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、高温加水分解安定性が改善された熱可塑性組成物に関する。特定のポリアミド又はポリアミドブレンド物にポリヒドロキシポリマーを添加すると、高温のエチレングリコール水溶液に浸した後のこれら熱可塑性組成物の破断点伸びが改善する。この熱可塑性組成物は、水性高温液体移送用のホース及びパイプの製造に有用である。

Description

本発明は、長期加水分解安定性が改善されたポリアミド組成物の分野に関する。
ポリアミドは、好ましい耐薬品性、加工性、及び耐熱性を有している。これらの特性のため、ポリアミドは特に、要求の多い高性能の自動車用途及び電気/電子用途に好適である。自動車分野においては、高温の液体と接触する自動車用ホース、パイプ、及びチューブに用いるための耐高温性のポリマーを得ることが現在広く望まれている。ポリアミドを含むプラスチック部品が自動車用ホースの中などで高温水溶液に長時間浸ると、一般的にポリマーの加水分解のために機械特性が低下する傾向にある。
このような高温の用途では、これらポリアミドを曝すことが可能な温度範囲の拡大を図るため、典型的にガラス繊維などの充填材が使用されている。
しかしながら、ラジエーターや空調(A/C)のホースなど、ガラス繊維を含むポリアミドが望ましくない用途が数多く存在する。これらの用途では、ホースを必要に応じて曲げたり特殊な形状に成形したりすることができるようにポリアミドを柔軟にする必要がある。自動車の不凍液などの、水又は水酸基を含有する材料を移送するためにホースが使用される用途では、ポリアミドが優れた高温加水分解安定性を有していることが有利である。
米国特許第5455292号明細書には、ポリアミド組成物の加水分解安定性を改善するためにリン酸エステル化合物を使用することが開示されている。これらのエステル化合物は、ポリアミド樹脂組成物100重量部に対して1〜200重量部の範囲で使用されている。
欧州特許第0411601B1号明細書には、瓶の成形に使用される積層物用の、ポリアミド/ポリビニルアルコール混合物及びアルキルカルボキシ置換ポリオレフィンを含むポリエチレンなどの、ポリオレフィンのブレンド物が開示されている。
欧州特許出願公開第1687376A1号明細書には、ポリアミドとポリビニルアルコールと軟化剤との混合物を用いた物品の成形方法であって、混合物の成分が予め混合されることなしに押出機に添加される方法が開示されている。
米国特許出願公開第20110028621A1号明細書には、ポリアミドポリマーと、エチレン/ビニルアルコールコポリマー及びポリ(ビニルアルコール)から選択される0.25〜20重量%の多価ポリマーと、0〜3重量%の補助安定剤と、0〜60重量%の補強剤とを含む熱可塑性組成物が開示されている。
米国特許出願公開第20100029821A1号明細書には、ポリアミドポリマーと、0.1〜10重量%の多価アルコールと、0.1〜3重量%の補助安定剤と、10〜60重量%の補強剤と、0〜50重量%の高分子強化剤とを含む熱可塑性組成物が開示されている。
米国特許出願公開第20100029815A1号明細書には、ポリアミド樹脂と、エチレン/ビニルアルコールコポリマー及びポリ(ビニルアルコール)から選択される0.25〜20重量%の多価ポリマーと、0〜3重量%の補助安定剤と、10〜60重量%の補強剤と、0〜20重量%の高分子強化剤とを含む成形物品が開示されている。
高温水性液移送用のホース及びパイプの製造に使用するための、高温加水分解安定性を示す、補強充填材を含まないポリアミド組成物が必要とされ続けている。
本明細書では、
A)ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド)、ポリ(ヘキサメチレンテトラデカンジアミド)、ポリ(ヘキサメチレンヘキサデカンジアミド)、又はこれらのいずれかの組み合わせから選択される脂肪族ポリアミド約65〜約85重量%と、
B)エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、又はこれらの組み合わせから選択され、0.5〜30g/10分のメルトインデックスを有するポリヒドロキシポリマー約15〜約35重量%と、
を含む熱可塑性組成物であって、
130℃で1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸した後の熱可塑性組成物の破断点伸びが、成分(B)を含まない同じ熱可塑性組成物の破断点伸びよりも少なくとも300%大きく、
重量%は成分(A)と(B)の合計を基準とする、
熱可塑性組成物が開示される。
本明細書では、
A)
i)ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド)、ポリ(ヘキサメチレンテトラデカンジアミド)、ポリ(ヘキサメチレンヘキサデカンジアミド)、又はこれらのいずれかの組み合わせから選択される、0超〜約50重量%の脂肪族ポリアミドと、
ii)ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンテトラデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンヘキサデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、又はこれらのいずれかの組み合わせから選択され、脂肪族繰り返し単位:半芳香族繰り返し単位のモル比が50:50〜80:20である、約50〜100重量%の半芳香族コポリアミドと、
の混合物75〜95重量%と、
B)エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、又はこれらの組み合わせから選択され、0.5〜30g/10分のMIを有するポリヒドロキシポリマー約5〜約25重量%と、
を含む熱可塑性組成物であって、
130℃で1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸した後の熱可塑性組成物の破断点伸びが、成分(B)を含まない同じ熱可塑性組成物の破断点伸びよりも少なくとも300%大きく、
重量%は成分(A)と(B)の合計を基準とする、
熱可塑性組成物も開示される。
本明細書では更に、
A)ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンテトラデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンヘキサデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、又はこれらのいずれかの組み合わせから選択され、脂肪族繰り返し単位:半芳香族繰り返し単位のモル比が50:50〜80:20である半芳香族コポリアミド75〜95重量%と、
B)エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、又はこれらの組み合わせから選択され、0.5〜30g/10分のMIを有するポリヒドロキシポリマー約5〜約25重量%と、
のブレンド物を含む熱可塑性組成物であって、
130℃で1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸した後の熱可塑性組成物の破断点伸びが、成分(B)を含まない同じ熱可塑性組成物の破断点伸びよりも少なくとも300%大きく、
重量%は成分(A)と(B)の合計を基準とする、
熱可塑性組成物も開示される。
熱可塑性組成物は、アイオノマーポリマー、酸若しくは酸無水物でグラフト化されたエチレンポリマー、アルファオレフィンホモポリマー若しくはコポリマー、又はこれらのいずれかの組み合わせから選択される1種または複数種のポリマー0超〜約25重量%を更に含んでもよい。また、これらの熱可塑性組成物を含むホース及びパイプも開示される。
定義
本明細書全体を通じ、「約〜」及び「〜又は約〜」という言葉は、対象となる量又は値が、指定された値又は同程度の他の値であり得ることを意味している。この言葉は、同様の数値であれば同等に本発明の結果又は効果を促進することを示すことを意図している。
本明細書において、用語「破断点伸び」とは、ISO527−2/5A/1又はASTM D638に従って測定したポリマーの伸びのことをいう。
本明細書において、用語「浸す」とは、重量比50/50の水/エチレングリコール溶液に完全に浸漬し、規定時間加熱し、溶液から取り出し、所定物性を試験した熱可塑性組成物を意味する。
本明細書において、用語「繰り返し単位」とは、1つの二価酸分子と1つのジアミン分子との反応によって得られる生成物又は構造単位のことをいう。1つの二価酸分子と1つのジアミン分子との反応によって繰り返し単位が生成する。例えば、1つのドデカン二酸(C12)分子と1つのヘキサメチレンジアミン分子(C6)との反応から、ポリ(ヘキサメチレンドデカンアミド)の繰り返し単位がつくられ、この例における繰り返し単位は「612」と表すことができる。
本明細書において、用語「メルトインデックス」あるいは(MI)とは、210℃、2.16kgの荷重(210℃/2.16kg)でISO1133又はASTM D1238によって測定したポリマーのメルトフローレートのことをいう。当業者によってこれらいずれかの方法で算出されたMIが、請求項中で挙げられているMIを成すであろう。
本明細書において、用語「水酸基含量」とは、ポリヒドロキシアルコールを含む水酸基(−OH)含有モノマーのモル%のことをいう。例えば、エチレンビニルアルコール(EvOH)はエチレンモノマーとビニルアルコールモノマーとから合成される。EvOHの水酸基含量は、EvOHポリマー中のビニルアルコールモノマーのモル%である。残りのモル%はエチレンモノマー由来である。
用語「モル比」とは、脂肪族繰り返し単位のモル数の、半芳香族繰り返し単位のモル数に対する比率のことをいう。脂肪族繰り返し単位は、1つの脂肪族ジアミン分子と1つの脂肪族二価酸分子との反応由来である。半芳香族繰り返し単位は、1つの脂肪族ジアミン分子と、1つ以上の芳香族基を含む1つの二価酸分子との反応由来である。
概要
ポリヒドロキシポリマーをポリアミドに添加すると、これらポリアミドの高温加水分解安定性を大幅に改善できることが発見された。驚くべきことに、ポリヒドロキシポリマーは非常に特殊なポリアミドについてのみ高温加水分解安定性を改善させるようである。加水分解安定性の改善は、高温でエチレングリコール水溶液に浸した後の、ポリアミドとポリヒドロキシポリマーとを含む熱可塑性組成物の破断点伸びを測定することによって間接的に評価することができる。本発明の熱可塑性組成物の破断点伸びは、130℃で50/50の水/エチレングリコール混合物に浸して1000時間後、ポリヒドロキシポリマーを含まない同じ熱可塑性組成物の破断点伸びよりも少なくとも300%大きい。
ポリアミド
本発明の熱可塑性組成物は特定のポリアミドを含む。ポリアミドは1種または複数種のジカルボン酸、1種または複数種のジアミン、及び/又は1種または複数種のアミノカルボン酸の縮合生成物、及び/又は、繰り返し単位がカプロラクタム及びラウロラクタムなどである1種または複数種の環状ラクタムの開環重合生成物である。
本発明の熱可塑性組成物に有用なポリアミドは、様々な組み合わせの、ドデカン二酸(C12)、テトラドデカン二酸(C14)、ヘキサドデカン二酸(C16)、及び/又はテレフタル酸(T)と、ヘキサメチレンジアミン(C6)とから形成される。具体的には、本発明に有用なポリアミドは、ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド)(PA612)、ポリ(ヘキサメチレンテトラデカンジアミド)(PA614)、ポリ(ヘキサメチレンヘキサデカンジアミド)(PA616)、ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)(PA612/6T)、ポリ(ヘキサメチレンテトラデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)(PA614/6T)、ポリ(ヘキサメチレンヘキサデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)(PA616/6T)、又はこれらポリアミドのいずれかの組み合わせから選択される。ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド)(PA612)、ポリ(ヘキサメチレンテトラデカンジアミド)(PA614)、及びポリ(ヘキサメチレンヘキサデカンジアミド)(PA616)は脂肪族ポリアミドである。
熱可塑性組成物が脂肪族ポリアミドとポリヒドロキシポリマーとを含む場合、脂肪族ポリアミドの量は、ポリアミドとポリヒドロキシポリマーの総重量基準で約65〜約90重量%、好ましくは約70〜約85重量%、より好ましくは約75〜約82重量%である。
本発明の半芳香族コポリアミドPA612/6T、PA614/6T、及びPA616/6Tは、50:50〜90:10、好ましくは60:40〜80:20、より好ましくは60:40〜75:25の、脂肪族繰り返し単位:半芳香族繰り返し単位の繰り返し単位比率を有する。脂肪族繰り返し単位には、ヘキサメチレンジアミン/ドデカン二酸(612)、ヘキサメチレンジアミン/テトラドデカン二酸(614)、ヘキサメチレンジアミン/ヘキサデカン二酸(616)が含まれる。半芳香族繰り返し単位はヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸(6T)である。
脂肪族ポリアミドと半芳香族コポリアミドとのブレンド物が本発明の熱可塑性組成物のポリアミド成分として用いられる場合、脂肪族ポリアミド(つまりPA612、PA614、PA616)の半芳香族コポリアミドに対する重量比は、約50:50重量%〜約0:100重量%、好ましくは45:55重量%〜約10:90重量%、より好ましくは約40:60重量%〜約20:80重量%である。ブレンド物は1種または複数種の脂肪族ポリアミドを含んでいてもよい。
本発明のポリアミドは約170℃〜約240℃の融点を有する。
ジアミンと二価酸とを含むポリアミドを命名する場合、ジアミンを最初に示す。例えばPA612では、「6」はヘキサメチレンジアミンを指し、「12」はドデカン二酸を指す。
ポリヒドロキシポリマー
本発明のポリヒドロキシポリマーは、エチレン/ビニルアルコールコポリマー及びポリ(ビニルアルコール)ポリマーからなる群から選択される。本発明のポリヒドロキシポリマーは、ISO1133又はASTM D1238によって測定されたメルトインデックス(MI)が約0.2〜約30g/10分である。好ましくは、ポリヒドロキシポリマーは、0.5〜20g/10分、より好ましくは0.8〜15g/10分のMIを有する。
ポリヒドロキシポリマーがエチレン/ビニルアルコールコポリマー(EvOH)の場合、EvOHは約10〜90モル%、好ましくは30〜80モル%、より好ましくは40〜75モル%の含量のビニルアルコールモノマーを含有していてもよく、ここで、モル%の残部はエチレンモノマーである。本発明の熱可塑性組成物に有用である好適なEvOHの非限定例としては、日本合成化学工業株式会社(日本国東京)から入手可能なSoarnol(登録商標)A又はDコポリマー、日本国東京の株式会社クラレから入手可能なEVAL(登録商標)コポリマーが挙げられる。
本発明での使用に好適なポリ(ビニルアルコール)ポリマー(PvOH)は、0.2〜約30g/10分のMIを有する。好ましくは、ポリヒドロキシポリマーは0.5〜20g/10分、より好ましくは0.8〜15g/10分のMIを有する。PvOHは100モル%のビニルアルコールモノマーを含む。好適なPvOHの非限定例としては、Kuraray Europe Gmbhから入手可能なMowiol(登録商標)ブランドの樹脂が挙げられる。
熱可塑性組成物のポリアミドが脂肪族ポリアミドのみを含む場合、本発明の熱可塑性組成物は、脂肪族ポリアミドとポリヒドロキシポリマーの総重量%基準で約15〜約35重量%、好ましくは18〜35重量%のポリヒドロキシポリマーを含んでいてもよい。
熱可塑性組成物のポリアミド成分が、熱可塑性組成物のポリアミド成分として半芳香族コポリアミドのみ、又は、少なくとも50重量%の半芳香族コポリアミドと脂肪族ポリアミドとのブレンド物を含む場合、半芳香族コポリアミド、又は、半芳香族コポリアミドと脂肪族ポリアミドとのブレンド物の重量%は、ポリアミド成分とポリヒドロキシポリマーの総重量%基準で、熱可塑性組成物の約75〜約95%、好ましくは約80〜約95重量%、より好ましくは約85〜約95重量%である。つまり、ポリアミドが半芳香族コポリアミド、又は、半芳香族コポリアミドと50重量%以下の脂肪族ポリアミドとのブレンド物の場合、本発明の熱可塑性組成物は、ポリアミドとポリヒドロキシポリマーの総重量%基準で、約5〜約25重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは約5〜約15重量%のポリヒドロキシポリマーを含んでいてもよい。
付加的な添加剤
本発明の熱可塑性組成物は高分子強化剤を含んでいてもよい。高分子強化剤の例としては、アイオノマーポリマー及びグラフト化オレフィンポリマーが挙げられる。
アイオノマーポリマーは、ポリマーの有機主鎖に加えて金属イオンも含有する熱可塑性樹脂である。アイオノマーは、エチレンや、例えばアクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、又はマレイン酸モノエチルエステル(MAME)等のα,β−不飽和C〜Cカルボン酸、などのオレフィンから形成されるイオン性コポリマーであり、コポリマー中の少なくとも複数のカルボン酸部分は、中和されて対応するカルボン酸塩を形成している。好ましくは、酸コポリマーの約5〜約99.9%の酸部分が、リチウム、ナトリウム、又はカリウムのようなアルカリ金属、マンガン又は亜鉛のような遷移金属、及びこれらの混合物から選択される中和剤によって形式的に中和されている。アイオノマーは、アルキル基が1〜8の炭素原子を有している、アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートから選択される軟化コモノマーを任意選択的に含んでいてもよい。一般的に、アイオノマーはE/X/Yコポリマーと記載することができ、ここでEはエチレンなどのオレフィン、Xはα,β−不飽和C〜Cカルボン酸、Yは軟化コモノマーであり、XはE/X/Yコポリマーの2重量%又は約2重量%から、30重量%又は約30重量%であり、YはE/X/Yコポリマーの約0重量%〜約40重量%の量存在することができ、カルボン酸官能基は少なくとも部分的に中和されている。本発明での使用に好適なアイオノマーは、デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Companyから商標Surlyn(登録商標)として購入することができる。
本発明の熱可塑性組成物に添加されてもよいグラフト化されたオレフィンポリマーは、オレフィンポリマーを少なくとも1種のエチレン性不飽和カルボン酸又は酸無水物モノマー及びこれらの誘導体でグラフト化することによって得ることができる。エチレン性不飽和カルボン酸又は酸無水物モノマーは、エチレン性不飽和カルボン酸及びエチレン性不飽和カルボン酸無水物、またあまり好ましくはないがこのような酸の誘導体、及びこれらの混合物も含むもの、から選択される少なくとも1種のモノマーである。酸及び酸無水物の例としては、モノ−又はジ−又はポリカルボン酸であってもよく、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、及び、例えばジメチルマレイン酸無水物又はシトラコン酸無水物などの置換マレイン酸無水物、ナジック酸無水物、ナジックメチル無水物、及びテトラヒドロフタル酸無水物が挙げられ、マレイン酸無水物が特に好ましい。不飽和酸誘導体の例は、例えばマレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリルアミド、マレイミド、グリシジルメタクリレート及びジメチルフマレートなどの、塩、アミド、イミド、及びエステルである。オレフィンポリマー上にこのようなモノマーをグラフト化する技術は既知である。これらの技術の例は、米国特許第4612155号明細書及び欧州特許出願公開第0369604号明細書に記載されている。本発明では、グラフト化オレフィンポリマーを製造するために用いるグラフト用モノマーとして、マレイン酸無水物に関して本明細書で特に述べる。
グラフト化することができるオレフィンポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、並びに、エチレン/プロピレン(EP)、エチレン−ブテン、エチレン−4メチル−1−ペンテン、及び、エチレン−オクテンコポリマーなどのエチレンアルファオレフィンコポリマーが挙げられる。オレフィンポリマーには、米国特許5272236号明細書及び米国特許第5278272号明細書に記載されているような、幾何拘束型触媒作用によって合成される実質的に直鎖のエチレンポリマー(メタロセンベースのポリマー)も含まれる。グラフト化オレフィンポリマーは、例えばアルコール又はアミン化合物との反応によって更に官能化されていてもよい。上述の基準を満たす実質的に直鎖のエチレンポリマーの例としては、例えばThe Dow Chemical Companyによって、幾何拘束型触媒作用により製造されている、ENGAGE(商標)ポリオレフィンエラストマー及び他のオレフィンポリマーが挙げられる。
オレフィンポリマーにグラフト化されていてもよいエチレン性不飽和カルボン酸又は酸無水物のモノマーの濃度は、オレフィンポリマーと不飽和カルボン酸又は酸無水物化合物との合計重量基準で、最低約0.01重量%、好ましくは約0.05重量%から、最大約10重量%、好ましくは約5重量%、最も好ましくは約2重量%までである。グラフト化されたオレフィンポリマーの一例としては、デラウェア州ウィルミントンのE.I.du Pont de Nemours and CompanyのFUSABOND(登録商標)樹脂が挙げられる。
本発明では、熱可塑性組成物は、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、膨張剤、潤滑剤、可塑剤、着色剤、顔料などの、当該技術分野で一般的に使用されている他の添加剤も含んでいてよい。
好ましい実施形態の熱可塑性組成物は補強剤を含有しない。補強剤には、無機材料を含まない組成物と比較して、存在下で熱可塑性組成物の引張強度を10%以上増加させるいずれの無機材料も含まれる。補強剤としては、有効量の炭酸カルシウム、円形断面のガラス繊維、非円形断面のガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、タルク、マイカ、珪灰石、焼成粘土、カオリン、珪藻土、硫酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、炭酸ナトリウムアルミニウム、バリウムフェライト、チタン酸カリウム及びこれらの混合物が挙げられる。
熱安定剤の例としては、ヒンダードフェノール酸化防止剤、アミン酸化防止剤、及びリンべースの酸化防止剤が挙げられる。高温に曝された際の組成物の機械特性を保持するために、ポリアミド組成物には従来3つの種類の熱安定剤が用いられている。1つは任意選択的にリンベースの相乗剤と組み合わせてもよいフェノール系酸化防止剤の使用、任意選択的にリンベースの相乗剤と組み合わせてもよい芳香族アミンの使用であり、3つ目は銅塩及び誘導体の使用である。
本発明のポリアミドは、例えばオートクレーブを用いたバッチ法で、又は連続法を用いて、当業者に公知のいずれかの手段によって製造することができる。潤滑剤、消泡剤、エンドキャピング剤などの添加剤を重合混合物に添加してもよい。アミン末端の濃度は、溶液のpHを調整して反応化学量論を管理することによって、及び重合工程中に失われるジアミンの量を管理することによって、ポリアミド製造中に制御することができる。アミン末端は当該技術分野で公知のエンドキャピング剤を添加することによって調整することもできる。一般的なエンドキャピング剤は酢酸である。
本発明の熱可塑性組成物は、ポリアミドとポリヒドロキシポリマーとの溶融混合によって得ることができ、この溶融混合により全てのポリマー成分は十分混合され、全ての非ポリマー成分は熱可塑性組成物中に十分に分散される。本発明のポリマー成分及び非ポリマー成分を混合するために、いずれの溶融混合法も用いることができる。例えば、ポリマー成分と非ポリマー成分を、単軸又は二軸の押出機、撹拌機、単軸又は二軸のニ−ダー、又はバンバリーミキサーなどのメルトミキサーに供給してもよい。ポリマー成分と非ポリマー成分の添加は、全成分の同時添加であっても、数回に分けた段階的な添加であってもよい。ポリマー成分と非ポリマー成分が数回に分けて段階的に添加される場合、ポリマー成分及び/又は非ポリマー成分の一部が最初に添加及び溶融混合され、その後、引き続いて、十分に混合された組成物が得られるまで、残りのポリマー成分及び非ポリマー成分が既に溶融した成分に添加される。
本発明の熱可塑性組成物は、これから製造される成形物品又は押出物品の高温加水分解安定性を向上させるのに有用である。高温加水分解安定性は、熱可塑性組成物から作製した引張試験片を130℃で1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸すことによって評価することができる。引張試験棒はISO527−2/5A/1又はASTM D638に従って作製した。130℃で1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸した後、ISO527−2/5A/1又はASTM D638に従って引張試験片の破断点伸びを測定した。対照熱可塑性組成物も、130℃で1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸した前後共に試験を行った。対照組成物は、ポリヒドロキシポリマーを含んでいないこと以外は本発明の熱可塑性組成物と同一であった。試験結果は表1〜3に示されている。
表1〜3に示されているように、PA610/6T、PA612/6T、PA612、PA1010、PA66/6T、及びPA612とPA612/6Tのブレンド物を含む様々なポリアミドにポリヒドロキシポリマーが添加され、熱可塑性組成物が作られた。これらの組成物は実施例E1〜E4及び比較例C2、C5、C7〜C9、C11〜C12、C14、及びC16に示されている。これらの熱可塑性組成物を、130℃で500時間及び1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸し、次いで、破断点伸びと、同様に130℃で500時間及び1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸したポリヒドロキシポリマーを含んでいない同じ熱可塑性組成物と比較した破断伸びの値を試験した。ポリヒドロキシポリマーを含有していない熱可塑性組成物は、比較例C1、C3、C4、C6、C10、C13、C15及びC17に示されている。また、ベースライン測定として、全ての実施例及び比較例について、130℃で50/50の水/エチレングリコール混合物に浸す前(0時間)の破断点伸びを試験した。
表1〜3に示されているように、ポリヒドロキシポリマーと共に、ポリアミドPA612、PA612/6T、又は、PA612とPA612/6Tとのブレンド物を含む熱可塑性組成物のみが、ポリヒドロキシポリマーを含まない同一の熱可塑性組成物の破断点伸びよりも少なくとも300%大きい破断点伸びを示した。
本明細書に開示されている熱可塑性組成物は、高温の水溶液及びクーラント溶液を移送するホース、チューブ、及びパイプの製造用途に使用することができる。本発明の熱可塑性組成物から製造することができる成形又は押出された熱可塑性物品の例としては、内燃機関エンジンに使用するためのホース及びパイプが挙げられるが、これらに限定されない。例には、自動車用、バス用、電車用、船用、トラクターや穀物収穫機などの農業機械用、可動式及び固定式の発電装置用、トラック用、道路及び路外工事装置用の、ラジエーターホース及びクーラントホースが含まれる。
本発明の熱可塑性組成物を含むホース及びパイプは、当業者が用いるいずれの技術によっても製造することができる。製造方法の例としては押出、射出、熱成形又は圧縮成形、及びブロー成形が挙げられる。好ましくは、物品は押出法によって製造される。
本発明を以下の実施例により更に詳しく説明する。以下の実施例は例示目的で示されているにすぎず、また、本発明を実施例に限定するために用いられているものではないことが理解されるべきである。
実施例(E)及び比較例(C)に従う熱可塑性組成物を準備するために、以下の材料を使用した。
PA610/6T(ポリ(ヘキサメチレンデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド))=610:6Tの繰り返し単位のモル比が80:20である、融点200℃、固有粘度1.2の半芳香族コポリアミド。
PA612/6T(ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド))−612:6Tの繰り返し単位のモル比が75:25である、融点200℃、固有粘度1.2の半芳香族コポリアミド。
PA612−ドデカン二酸と1,6−ヘキサメチレンジアミンとから合成された、融点218℃、密度1.06g/cmの脂肪族ポリアミド、米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.DuPont de Nemours and Companyから販売。
PA1010(ポリ(デカメチレンデカンジアミド))−セバシン酸とデカメチレンジアミンとから合成された、融点200℃、固有粘度1.0の脂肪族ポリアミド。
PA66/6T 66:6Tの繰り返し単位のモル比が75:25である、融点255℃の半芳香族ポリアミド。
EVAL E105B−日本国クラレ株式会社から入手可能な、約56モル%のビニルアルコール繰り返し単位を有するエチレンビニルアルコールコポリマー。
EVAL F171−日本国クラレ株式会社から入手可能な、約68モル%のビニルアルコール繰り返し単位を有するエチレンビニルアルコールコポリマー。
Surlyn 9320は、米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.DuPont de Nemours and Companyから購入可能である、複数の酸基が亜鉛イオンで部分的に中和されているエチレン/酸/アクリレートターポリマーである。
Elvaloy EP4934−4は、米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.DuPont de Nemours and Companyから入手可能な、(エチレン/グリシジルメタクリレートコポリマー)である。
ENGAGE 8180−密度0.863g/cm(ASTM D792)、メルトフローレート0.50(190℃/2.16kg)の低密度高性能エチレン−オクテンコポリマー、米国ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから販売。
Naugard(登録商標)445ヒンダードアミンは、コネチカット州ミドルベリーのUniroyal Chemical Companyから購入可能な、4,4ジ(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンのことをいう。
熱安定剤HS7:1:3.75−3.75部のステアレート系ワックスバインダー中に7部のヨウ化カリウムと1部のヨウ化銅とが混合された混合物。
熱安定剤HS7:1:1−1部のステアレート系ワックスバインダー中に7部のヨウ化カリウムと1部のヨウ化銅とが混合された混合物。
Fusabond N493−密度0.87g/cm、MI1.6g/10分(190℃/2.16kg)の、無水マレイン酸でグラフト化されたエチレン−オクテンコポリマー、米国デラウェア州ウィルミントンのE.I.DuPont de Nemours and Companyから販売。
50/50の水/エチレングリコール混合物A−表1と表2の実施例及び比較例で用いた50:50重量%のエチレングリコールと水との混合物。使用したエチレングリコールは独国ダルムシュタットのMerck Chemicalsから入手可能である。
50/50の水/エチレングリコール混合物B−表3の実施例及び比較例で用いた自動車用クーラント試験液は、トヨタ自動車株式会社から入手可能な、エチレングリコールと水の50:50混合物ベースの、予め混合されているトヨタロングライフクーラントであった。
熱可塑性組成物の準備
スクリュー速度約300rpm、押出量100kg/h、溶融温度約280℃の条件で、約230℃〜250℃で運転された40mmの二軸押出機(Berstorff ZE40)を用いて、表1及び表2に記載の成分を溶融ブレンドすることによって実施例と比較例を準備した。引張試験片は、約90℃の成形温度で成形した。
表3の実施例及び比較例は、約265℃の温度で、25mmのW&P同方向二軸押出機(Coperion、ZSK25)中で成分を溶融ブレンドすることによって準備した。その後、ブレンドした組成物を、約230〜240℃のバレル温度で、成形温度約75〜90℃で運転しているNissei射出成形機を用いて引張試験棒に成形した。表に示されている成分量は、熱可塑性組成物総重量基準の重量%で示されている。
引張試験片は、表3の組成物に関してはASTM D638タイプIVの形状に成形し、表1及び表2に関してはISO527−2/5A/1に従って成形した。
高温加水分解試験
4Lの容量のオートクレーブを使用して高温加水分解試験を行った。オートクレーブは浸漬ヒーターと温度制御システムを備えていた。オートクレーブをエチレングリコール/水混合物のAとBのいずれかで満たした。試験する引張試験片は、クーラント溶液中に十分にあるいは完全に浸した。オートクレーブを閉じ、クーラント溶液を130℃に加熱すると内部圧力が約2barになった。規定時間後、オートクレーブを室温(約20℃)まで冷却し、圧力を開放し、一連の引張試験片を引張試験用に取り出した。その後オートクレーブを閉じ、130℃に加熱することで再加圧して、オートクレーブ中に残っている引張試験片の高温加水分解試験を続けた。この手順を最終の時間に達するまで繰り返した。試験中、引張試験片は規定時間、130℃で確実にエージングさせた。この時間には溶液の加熱及び冷却に必要な時間は含まなかった。
破断点伸び
破断点伸び(EI)は、表1及び表2の結果についてはISO527−2/5A/1に従って測定し、表3の結果についてはASTM D638(クロスヘッド速度50mm/分)に従って測定した。測定は射出成形した引張試験片について、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸す前(0時間)と、50/50の水/エチレングリコール混合物に130℃で500時間及び1000時間浸した後の両方に行われた。対照引張試験片(C1、C3、C4、C6、C10、C13、C14、及び16)はポリヒドロキシポリマーを含んでいないが、ポリヒドロキシポリマーを含有している本発明の実施例及び他の比較例と同じ試験条件(130℃で1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物)で測定した。
実施例E1〜E2及びC1〜C5
実施例E1〜E2及び比較例C1〜C5の熱可塑性組成物は表1に示されている。実施例E1は、PA612/6T、エチレンビニルアルコール(EvOH)、及びアイオノマー(Surlyn)を含有している。比較例C3は、E1と同じであるがEvOHを含まない組成物である。実施例E2は、PA612、EvOH、及びアイオノマーを含有している。比較例C4は、E2と同じであるがEvOHを含まない組成物である。比較例C1は、EvOHを含まずPA1010を含み、C2はEvOHとPA1010を含んでいる。比較例C5は、PA66/6T、EvOH、及びアイオノマーのブレンド物である。表1及び表2に示されている他の成分に含まれるものは、酸化防止剤とヒンダードアミン型光安定剤(HALS)である。典型的な酸化防止剤の例としては、Irganox及びIrgafos酸化防止剤が挙げられる。典型的なHALSの例としては、Ciba Incから入手可能な、Chimassorb(登録商標)及びTinuvin(登録商標)製品が挙げられる。具体的な酸化防止剤又はHALS化合物は当業者が容易に選択することができる。これらの組成物を、130℃で50/50の水/エチレングリコール混合物Aに浸す前(0時間)と、130℃で50/50の水/エチレングリコール混合物Aに500時間及び1000時間浸した後に試験した。
PA1010にEvOHを使用しても、少なくとも300%の破断点伸びの改善はみられなかった。PA66/6TにEvOHを使用すると、浸漬500時間後には破断点伸びが約60%減少し、1000時間後には破断点伸びが測定できない程に試料が劣化した。その一方で、EvOHをPA612/6T(E1)又はPA612(E2)と混合した場合、破断点伸びの改善はそれぞれ1179%と318%である。破断点伸びの値は、熱可塑性組成物の加水分解安定性の間接的な測定である。対照と比較して破断点伸びの値が大きいほど、あるいは高いほど、熱可塑性組成物の加水分解安定性がより優れている。
Figure 2014532796
実施例E3及びC6〜C14
実施例E3及び比較例C6〜C14の熱可塑性組成物は表2に示されている。実施例E3は、PA612、EvOH、及びアイオノマーを含有している。比較例C13は、E3と同じであるがEvOHを含まない組成物である。比較例C14は、E3と同じであるが13重量%しかEvOHを含まない組成物である。比較例C7〜9は、PA1010、EvOH、及びアイオノマーを含有している。比較例C6は、C7〜9と同じであるがEvOHを含まない組成物である。比較例C11〜12は、PA610/6T、EvOH、及びアイオノマーを含有している。C10は、C11〜12と同じであるがEvOHを含まない組成物である。これらの組成物を、130℃で50/50の水/エチレングリコール混合物Aに浸す前(0時間)と、130℃で50/50の水/エチレングリコール混合物Aに500時間及び1000時間浸した後に試験した。
PA1010中及びPA610/6T中にEvOHを使用しても、130℃で50/50の水/エチレングリコール混合物に浸した1000時間後、EvOHを含まない同じ熱可塑性組成物と比較して、少なくとも300%の破断点伸びの改善はみられなかった。
その一方で、EvOHをPA612と異なる濃度で混合した場合(E3及びC14)、破断点伸びの改善はそれぞれ467%と75%である。C14中のEvOHの濃度は、ポリアミド(PA612)とポリヒドロキシポリマーの重量%基準でわずか13重量%である。13重量%というポリヒドロキシポリマー濃度は、熱可塑性樹脂の破断点伸びを、ポリヒドロキシポリマーを含まない同じ熱可塑性組成物の破断点伸びよりも少なくとも300%改善するのに必要なポリヒドロキシポリマーの最低濃度よりも低い。
Figure 2014532796
実施例E4及びC15〜C17
実施例E4及び比較例C15〜C17の熱可塑性組成物は表3に示されている。これらの組成物は、PA612/6Tと、又は、PA612及びPA612/6Tと、アルファオレフィンコポリマー及びグラフト化オレフィンポリマーとのブレンド物である。表3に示されている他の成分に含まれるものは、酸化防止剤、造核剤、及びカラーコンセートレートである。酸化防止剤の典型例としては、Akrochem及びIrgafos酸化防止剤が挙げられる。造核剤の典型例としては、タルク及び窒化ホウ素が挙げられる。具体的な酸化防止剤、造核剤、又はカラーコンセートレートは当業者が容易に選択することができる。
E4の熱可塑性組成物は、C15がポリヒドロキシポリマーを含まない以外はC15と同様である。E4では、ポリヒドロキシポリマーを含まない同様の組成物(C15)と比較して、312%の破断点伸びの改善が見られた。
C16は、PA612/6T70重量%に対してEvOH30重量%の重量比を有する。加熱した50/50の水/エチレングリコール混合物Bに1024時間浸した後、EvOHを含有しないC17と比較して破断点伸びの改善がみられなかった。この結果は、EvOHの濃度が約30重量%の場合、破断点伸びの性能が低下することを示している。
Figure 2014532796

Claims (10)

  1. A)ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド)、ポリ(ヘキサメチレンテトラデカンジアミド)、ポリ(ヘキサメチレンヘキサデカンジアミド)、又はこれらのいずれかの組み合わせから選択される脂肪族ポリアミド約65〜約85重量%と、
    B)エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、又はこれらの組み合わせから選択され、0.5〜30g/10分のメルトインデックスを有するポリヒドロキシポリマー約15〜約35重量%と、
    を含む熱可塑性組成物であって、
    130℃で1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸した後の前記熱可塑性組成物の破断点伸びが、成分(B)を含まない同じ熱可塑性組成物の破断点伸びよりも少なくとも300%大きく、重量%は成分(A)と(B)の合計を基準とする、熱可塑性組成物。
  2. 前記脂肪族ポリアミドがポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド)である、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
  3. 前記ポリヒドロキシポリマーが約18〜約35重量%存在する、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
  4. 補強剤が存在しない、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
  5. A)
    i)ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド)、ポリ(ヘキサメチレンテトラドデカンジアミド)、ポリ(ヘキサメチレンヘキサデカンジアミド)、又はこれらのいずれかの組み合わせから選択される、0超〜約50重量%の脂肪族ポリアミドと、
    ii)ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンテトラデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンヘキサデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、又はこれらのいずれかの組み合わせから選択され、脂肪族繰り返し単位:半芳香族繰り返し単位のモル比が50:50〜80:20である、約50〜100重量%の半芳香族コポリアミドと、
    の混合物75〜95重量%と、
    B)エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、又はこれらの組み合わせから選択され、0.5〜30g/10分のMIを有するポリヒドロキシポリマー約5〜約25重量%と、
    のブレンド物を含む熱可塑性組成物であって、
    130℃で1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸した後の前記熱可塑性組成物の破断点伸びが、成分(B)を含まない同じ熱可塑性組成物の破断点伸びよりも少なくとも300%大きく、重量%は成分(A)と(B)の合計を基準とする、熱可塑性組成物。
  6. A)ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンテトラデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンヘキサデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)、又はこれらのいずれかの組み合わせから選択され、脂肪族繰り返し単位:半芳香族繰り返し単位のモル比が50:50〜80:20である半芳香族コポリアミド75〜95重量%と、
    B)エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、又はこれらの組み合わせから選択され、0.5〜30g/10分のMIを有するポリヒドロキシポリマー約5〜約25重量%と、
    のブレンド物を含む熱可塑性組成物であって、
    130℃で1000時間、50/50の水/エチレングリコール混合物に浸した後の前記熱可塑性組成物の破断点伸びが、成分(B)を含まない同じ熱可塑性組成物の破断点伸びよりも少なくとも300%大きく、重量%は成分(A)と(B)の合計を基準とする、熱可塑性組成物。
  7. 前記ポリヒドロキシポリマーが、水酸基含量10〜90モル%のエチレン/ビニルアルコールコポリマーである、請求項1、5及び6のいずれか1項に記載の熱可塑性組成物。
  8. 前記ポリヒドロキシポリマーが約5〜約20重量%存在する、請求項5又は6に記載の熱可塑性組成物。
  9. アイオノマーポリマー、酸でグラフト化されたエチレンポリマー、酸無水物でグラフト化されたエチレンポリマー、アルファオレフィンホモポリマー、アルファオレフィンコポリマー、又はこれらのいずれかの組み合わせから選択される1種または複数種のポリマー0超〜約25重量%を更に含む、請求項1に記載の熱可塑性組成物。
  10. 請求項1、5、及び6のいずれか1項に記載の熱可塑性組成物を含む、ホース、パイプ、又はチューブ。
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