JP2009114366A - 高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、ビニル芳香族モノマー20〜99質量%、グリシジルアルキル(メタ)アクリレート1〜80質量%及びアルキル(メタ)アクリレート0〜70質量%の割合でこれらを共重合して得られた反応基含有アクリル系共重合体(B)を0.5〜10質量部含有させてなることを特徴とする高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
しかし、ブロー成形や押し出し成形可能な領域に増粘するためには大量のオレフィン樹脂を添加する必要があり、これら方法で得られた高溶融粘度ポリアミド樹脂は、耐熱性・耐薬品性(耐ガソリン性)が低下する欠点を有し、例えば高い耐熱性と薬品性が求められる自動車部品や、燃料系部品には適用できない。また、押し出し成形やブロー成形の様に、比較的長く成形機内に滞留する成形方法では、ポリアミド樹脂の加工温度で長く滞留するために、オレフィンの分解が発生して著しく粘度が低下したり、成形時のガスが多くなり、成形性に影響が出たり出来上がった成形品の外観を損ねたりする問題もあった。
即ち、本発明は、以下の構成を採用するものである。
(1)ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、ビニル芳香族モノマー20〜99質量%、グリシジルアルキル(メタ)アクリレート1〜80質量%及びアルキル(メタ)アクリレート0〜70質量%からなる反応基含有アクリル系共重合体(B)を0.5〜10質量部含有させてなることを特徴とする高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物。
(2)反応基含有アクリル系共重合体(B)が、エポキシ価が800〜6000当量/106gで、かつ質量平均分子量が500〜100000である前記(1)に記載の高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物。
(3)ポリアミド樹脂(A)が、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6T/6、ナイロンMXD−6、ナイロン11、ナイロン12及びこれらの混合物又は共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記(1)又は(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)ポリアミド樹脂(A)、反応基含有アクリル系共重合体(B)及び(A)以外の非晶性ポリアミド樹脂(C)を含有する高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物であって、該樹脂組成物中の組成が、ポリアミド樹脂(A)80〜97質量%、反応基含有アクリル系共重合体(B)0.5〜10質量%及び(A)以外の非晶性ポリアミド樹脂(C)を3〜20質量%含み、かつ該樹脂組成物の示差走査型熱量計(DSC)により測定した降温結晶化温度TC2N(℃)と、(C)を含まない樹脂組成物の降温結晶化温度TC2M(℃)とが、以下の関係を満たす、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物。
TC2M(℃)−TC2N(℃) ≧ 5(℃)
(5)ポリアミド樹脂(A)以外の樹脂と反応基含有アクリル系共重合体(B)とを溶融混練させて得た樹脂組成物とポリアミド樹脂(A)とを、溶融混練することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
また、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカンメチレンジアミン、ドデカンメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどのジアミンとテレルタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸などのジカルボン酸とを重縮合して得られる重合体または共重合体もしくはこれらのブレンド物などを例示することができるがこれらに限定されるものではない。
更に具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4・6、ナイロン6・10、ナイロンMXD−6、ナイロン6/ナイロン66共重合体、ナイロン6T/ナイロン66共重合体、ナイロン6T/ナイロン6共重合体、ナイロン6T/ナイロン6I共重合体等を例示することができるがこれらに限定されるものではない。しかし、本発明においてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン66/ナイロン6共重合体、ナイロン66/6I共重合体が好ましい。
ポリアミド樹脂(A)のアミノ末端基およびカルボキシル末端基は、反応基含有アクリル系共重合体(B)の反応基と反応して高溶融粘度化するため、アミノ末端基量およびカルボキシル末端基量は、ある程度必要であるが特に限定されるものでは無く、各々10〜90当量/106g程度でよい。
共重合体組成は、好ましくは(X)が20〜99質量%、(Y)が1〜80質量%、(Z)が0〜40質量%、さらに好ましくは、(X)が25〜90質量%、(Y)が10〜75質量%、(Z)が0〜35質量%、最も好ましくは、(X)が30〜85質量%、(Y)が15〜70質量%、(Z)が0〜30質量%からなる共重合体である。これらの組成は、ポリアミド系樹脂(A)との反応に寄与する官能基濃度に影響するため、上述のように適切に制御する必要がある。上述の組成から外れる場合、ポリアミド樹脂(A)との反応性が低下し、成形加工性の低下する虞がある。なお、(Z)の下限は5質量%が好ましい。
グリシジルアルキル(メタ)アクリレート(Y)としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルメチル(メタ)アクリレート、グリシジルエチル(メタ)アクリレート、グリシジルブチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができるが、中でもグリシジルメタクリレートが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート(Z)としては、メチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、ブチル(メタ)クリレートなどを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができるが、中でもメチルメタクリレートが好ましい。
好ましい具体例として、スチレン/グリシジルメタクリレート/メチルメタクリレート、スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
反応基含有アクリル系共重合体(B)のエポキシ価は、好ましくは800〜6000当量/106gであり、より好ましくは1000〜4500当量/106gであり、さらに好ましくは1100〜4000当量/106である。エポキシ価が800当量/106g未満であると、ポリアミド樹脂(A)との反応性が不足しており増粘効果が不十分である。一方、6000当量/106を超えるとゲル化等が発生し成形品外観、成形性に悪影響をおよぼすことがある。
なお、本発明における反応基含有アクリル系共重合体(B)の製造方法は特に限定されず、従来から提案されている当業者周知の方法により製造することができ、高温に保たれた反応容器内にビニル単量体を連続的に供給して重合させる高温連続重合法は、短時間でビニル重合体を得ることができる効率的方法によって製造することもできる(特表昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報、同60−215007号公報、特開2002−3504号など参照)。
前者の方法においてはポリアミド樹脂(A)が溶融状態にあるので、添加によりそのまま高溶融粘度化されるが、後者の方法においては、反応基含有アクリル系共重合体(B)が分散混合されたポリアミド樹脂(A)との混合物は、高溶融粘度化のために加熱再溶融される。
スクリュー構成は、練りの優れるニーディングディスクを数箇所組み込んだほうが好ましい。この様に反応基含有アクリル系共重合体を混合溶融して作成した高溶融粘度ポリアミド樹脂は均一で溶融状態における粘度安定性が高く、特に押出成形、ブロー成形に適した流動特性を有している。
この場合の好ましい組成は、ポリアミド樹脂(A)80〜97質量%、反応基含有アクリル系共重合体(B)0.5〜10質量%及び(A)以外の非晶性ポリアミド樹脂(C)を3〜20質量%含むポリアミド樹脂組成物である。
また、ポリアミド樹脂のアミノ末端基、およびカルボキシル末端基は(B)成分の反応基と反応し高溶融粘度化するため、アミノ末端基量、およびカルボキシル末端量はある程度必要であるが特に限定されるものでは無く、各々10〜90当量/106g程度でよい。
TC2M(℃)−TC2N(℃) ≧ 5(℃)
すなわち、非晶性ポリアミド樹脂(C)を添加しない場合の樹脂組成物のTc2M (℃)から、非晶性ポリアミド樹脂(C)を添加した場合の樹脂組成物Tc2 N(℃)を差し引いた時の差が5℃以上であることが好ましい。
Tc2N (℃)に関与する重要な因子は非晶性ポリアミド樹脂(C)であり、結晶性ポリアミド樹脂(A)とアミド交換反応によって分子相容することにより、結晶性ポリアミド樹脂の結晶化速度をコントロールして成形時の固化速度をコントロールすることができ、Tc2N (℃)を低下させてポリアミド系樹脂組成物の Tc2M(℃)−Tc2N(℃) ≧5℃が達成でき、複雑な形状の三次元ブロー成形が容易になる。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂、または、エラストマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−ポリイソプレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレン共重合体などの共役ジエン系重合体;該共役ジエン系重合体の水素添加物;エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィン系ゴム;ポリアクリル酸エステルなどのアクリル酸ゴム;ポリオルガノシロキサン;熱可塑性エラストマー;エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基等を有する熱可塑性エラストマー;エチレン系アイオノマー共重合体などが挙げられ、これらは1種または、2種以上で使用される。中でも、アクリル系ゴム、共役ジエン系共重合体または共役ジエン系共重合体の水素添加物が好ましい。さらには、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−1、4−ヘキサジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−1、4−ヘキサジエン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体(NCR)、スチレン−クロロプレン共重合体(SCR)、ブタジエン−スチレン共重合体(BS)、エチレン−プロピレンエチリデン共重合体、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−エチレン共重合体、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)共重合体(α−MES−B−α−MES)、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリイソプレン−ポリ(α−メチルスチレン)共重合体等の樹脂または、エラストマーをポリアミド樹脂組成物に添加することもできる。
溶融粘度が1500Pa・s未満であるとドローダウンにより成形が出来ない場合があり、20000Pa・sを超えると溶融粘度が高すぎて成形機への負荷が大きく、破損する恐れがある。またブロー成形の場合、粘度が高すぎてパリソンの放出が難しく、肉厚の制御がうまく出来ない場合がある。
溶融粘度は、好ましくは2000〜18000Pa・s、より好ましくは2500〜15000Pa・sである。
なお、実施例、比較例において使用した原料は下記の物である。
(1)ポリアミド樹脂
・ナイロン6:東洋紡ナイロン、銘柄=T−850、相対粘度:3.5
キャピログラフ せん断速度:0.5mm/分、溶融粘度:1650Pa・s、
(以下、A-1と記載することがある。)
・ナイロン66:東洋紡ナイロン 銘柄=T−662 相対粘度=2.8
キャピログラフ せん断速度:0.5mm/分、溶融粘度:950Pa・s、
(以下、A-2と記載することがある。)
・ナイロン6T/6I:東洋紡ナイロン 銘柄T−714E 相対粘度:2.0、
(以下、Cと記載することがある。)
なお、ポリアミド樹脂の相対粘度はウベローデ粘度管を用い、20℃において96%硫酸溶液(ポリアミド樹脂濃度1g/dl)で測定した。
(1)反応基含有アクリル系共重合体(B-1)の合成:
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器にメチルエチルケトン50部を入れ70℃に昇温した後、スチレン34.5質量部、グリシジルメタクリレート44.5質量部、メチルメタクリレート21.0質量部の混合物と、アゾビスジメチルバレロニトリル2部を50部のメチルエチルケトンに滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。その後、減圧することにより、メチルエチルケトンを反応器中から除去し、反応化合物(B-1)を得た。
得られた反応化合物(B-1)のNMR分析結果は、スチレン/グリシジルメタクリレート/メチルメタクリレート=38/37/25(質量%)の組成であった。ガラス転移温度は51℃、重量平均分子量は1200であった。エポキシ価は2626当量/106gであった。
撹拌機、冷却器および加熱マントルを具備した1.5リットルの丸底フラスコ中で乳化重合によって製造した。フラスコには最初に脱イオン水900質量部、酢酸0.2質量部、FeSO4 0.005質量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩二水和物0.06質量部からなる溶液を仕込んだ。溶液に窒素ガスを散布して75℃に加熱した。75℃において、水75質量部中でドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.7質量部を用いて乳化させたスチレン182質量部、グリシジルメタクリレート48.4質量部およびブチルメタクリレートモノマー25.8質量部をフラスコに加え、次に過硫酸ナトリム0.22質量部を開始剤として加えた。次に反応をそのまま約2時間、または固形物含有量の調査によってモノマーの99.9%以上が置換されるまで進行させた。反応遂行後にエマルジョンを室温に冷却し次いで噴霧乾燥して白色の粉末を得た。
得られた反応化合物(B-2)のNMR分析結果は、スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルブチルメタクリレート=71/19/10(質量%)の組成であった。ガラス転移温度は55℃、重量平均分子量は10000であった。エポキシ価は1330当量/106gであった。
なお、エポキシ価は下記のように測定した。
・エポキシ価の測定法:
100mlのエレンマイヤーフラスコにサンプルを秤量し、10〜15mlのメチレンクロライドを加えて、マグネチックスターラーにて撹拌溶解した。10mlのテトラエチルアンモニュウムブロマイド試薬を加え、0.1規定パークロリック酸で滴定した。終点は青から緑に変色して2分間安定な点とした。滴定に要したパークロリック酸の量(ml)を読み取って、以下の式によって算出した。
エポキシ価(当量/106g)=(N×A×1000)/W
W:サンプルの質量(g)
A:滴定に要したパークロリック酸の量(ml)
N:パークロリック酸の規定度
・マレイン酸変性ハイデンシティエチレン(HDPE):
アドテックス社製、DH−0200(以下、D-1と記載することあり。)
・未変性HDPE:
プライムポリマー社製、ハイゼックス6203B(以下、D-2と記載することあり。)
・ガラス繊維:オーウェンスコーニング社製、銘柄:MA411
・離型剤:ステアリン酸マグネシウム(以下、Eと記載することあり。)
・酸化防止剤:塩化第二銅(以下、Fと記載することあり。)
ヨウ化カリウム(以下、Gと記載することあり。)
キャピラリーレオメータ使用:東洋精機(株)製品名=キャピログラフ1B
測定条件:剪断速度 0.5mm/分
測定温度:ナイロン6は250℃、ナイロン66は285℃で実施。
ノズル形状:穴の直径=0.5mm、穴の長さ=5mm
示差走査型熱量計(DSC)を用い窒素ガス雰囲気下、昇温速度20℃/分で300℃まで昇温して5分間保持し、降温速度10℃/分で降温させ、得られたサーモグラムの降温結晶化時の発熱ピーク温度から降温結晶化温度TC2M(℃)、TC2N(℃)を求めた。
実施例、比較例の高溶融粘度ポリアミド樹脂の製造法は、表1に示した配合比率に従い計量して、2軸押出機(東芝機械社製 TEM35φ)を使用し、ナイロン6の場合、シリンダ温度250℃、ナイロン66の場合、シリンダ温度280℃に設定し、スクリュー回転数=100rpmにて溶融混練した。ポリアミド樹脂、反応基含有アクリル系共重合体、離型剤、酸化防止剤は混合しポッパーより投入し、ガラス繊維はベント口からサイドフィードで投入した。
射出成形機(東芝IS−100E:型締力100トン)にてナイロン6の場合、シリンダ温度250℃、金型温度70℃、背圧20kg/cm2、射出圧力150MPaの条件で物性試験用のISOダンベル試験片を作製した。これを用いて成形品バリレベル、耐衝撃性、耐熱性評価を行った。
・成形品バリレベル:
縦100mm、横100mm、厚さ2mmの平板用金型(フィルムゲート)を用いて、上述の成形条件により平板を成形し、成形品バリレベルを以下の基準に従って評価した。
◎:バリ確認無し。
○:成形品の一部に1mm長のバリが発生。
×:成形品に1mm長以上のバリが発生。
ノッチ付きシャルピー衝撃強度をISO 179−1−eAに準じて試験を行った。試験温度は23℃で行った。
・耐ガソリン性:
JIS−Z 0208に準じたカップ法によるガソリンバリア性(g・mm/m2・day)の評価を行なった。
テスト溶液として、トルエン:イソオクタン=1:1溶液(容量比)90Vol%と、エタノール10Vol%を含む混合溶液を使用した。測定は40℃で行なった。
・耐熱性:
熱変形温度をISO 75−1.2に準じて測定した。
シリンダ温度を220〜265℃に設定し、単軸押出機(L/D=25、フルフライトスクリュー、スクリュー径65mm)に前記の平板成形品を製造するダイリップを取り付け、次に冷却水槽の先端に異形押出製品の最終寸法を決定するサイジング金型を取り付け、水槽を経由して、引取機を装備した異形押出成形設備により成形し、その成形品のサイジング金型加工状況、製品寸法精度を評価した。
なお、サイジング金型加工状況と製品精度、表面平滑性の評価基準は以下に従った。
・サイジング金型加工状況(連続生産性):
○:「サイジング金型内での樹脂の付着性もなく加工性はスムーズなものであり、ダイ〜サイジング間での成形品のエッジ形状精度が高いものであった。」
×:「サイジング金型内での樹脂付着が生じ、サイジング工程へ移ることができなかった。または、サイジング工程で加工性が悪く、成形品のエッジ精度が低く、連続生産性を悪化させる」とした。
・製品寸法精度:
前記の平板成形品を製造するダイリップを取り付けた異形押出成形をし、その成形品の製品寸法精度を評価した。
○:製品の寸法が設計通りである。
△:製品の寸法が設計値から0.3mm未満ですれる。
×:製品の寸法が設計値より0.5mm以上ずれる。
混練した樹脂組成物を、Tダイ押出成形機(単軸押出機:L/D=25、フルフライトスクリュー、スクリュー径65mm)のシリンダ温度を220〜265℃に設定し、幅30cm、厚さ400μmのシートを製造した。その際の巻き取りロールまでの樹脂のたれを目視で観察することにより、シートの引取り性を評価した。また、その際のロールからのシート剥離性も評価した。なお、評価基準は以下の通りである。
・シート剥離性:
○:ロールからの剥離性良好
△:ロールへの粘着性が強く、時折剥離困難となるため、安定して量産できない。
×:ロールへの粘着性が強く、剥離が困難で、正常なシートが採取できない。
・シート引取り性:
◎:たれが全く生じない。
○:わずかにたれが生じるが実用上差し支えない。
×:溶融シートが自重でたれてしまい、正常なシートが採取できない。
ダイレクトブロー成型機(単軸押出し機:L/D=25、フルフライトスクリュー、スクリュー径65mm)のシリンダ温度を220〜265℃に設定し、図1に示すダイレクトブロー成形蛇腹成形品を製造した。シリンダ先端には、パリソン形成用ダイリップを取り付け、金型内でブローエアーを封入し、蛇腹成形品を連続生産した。このときの、パリソン保持状態、製品寸法精度を以下の基準により評価した。
・パリソン保持状態:
○:ノズルから5cm以上垂れない。
△:ノズルから20cm以上垂れるが、ブロー可能。
×:ノズルから大きく垂れすぎて、パリソン計量ができず、ブロー不可能。
・製品肉厚精度:
○:断面の肉厚ムラが0.3mm以内
×:断面の肉厚ムラが0.3mm以上
ナイロン6(A-1)を100質量部、反応基含有アクリル系共重合体(B-1)1質量部、離型剤としてステアリン酸マグネシウム(E)0.2質量部、酸化防止剤としてヨウ化銅(F)0.02質量部、ヨウ化カリウム(G)0.15質量部を混合し、該混合物を、二軸押出機(東芝機械社製 TEM35φ)を使用し、スクリュー回転数100rpm、シリンダ温度250℃に設定して溶融混練した。
得られた樹脂組成物について、上記の各種成型を行い、上記の各評価を実施した。その結果を表1に示した。
<実施例2>
ナイロン6T/6I共重合非晶性ナイロン(東洋紡ナイロンT−714E)(C)を80質量部、反応基含有アクリル系共重合体(B-1)20質量部、離型剤としてステアリン酸マグネシウム(E)2質量部、酸化防止剤としてヨウ化銅(F)0.2質量部、ヨウ化カリウム(G)1.5質量部を混合し、該混合物を、二軸押出機(東芝機械社製 TEM35φ)を使用し、スクリュー回転数100rpm、バレル温度230〜245℃にて溶融混練して改質用マスターペレット(α)を作製した。
次いで、得られた改質用マスターペレット5質量部と、ナイロン6(A-1)95質量部を成形機ホッパー内でドライブレンドして、射出成形機(東芝IS−100E:型締力100トン)にてシリンダ温度250℃、金型温度70℃、背圧20kg/cm2の条件で物性試験用の試験片を作製し、これを用いて、成形品バリレベル、耐衝撃性、耐熱性評価を実施例1と同様に行った。
また、その他の成形についても実施例1と同様条件にて実施し、各項目の評価を行った。その結果を表1に示した。
実施例1と同じ原料組成に、さらにガラス繊維25質量部を混合して、実施例1と同様に溶融混練した。得られた樹脂組成物について、各種成型を行い、上記の各評価を実施した。その結果を表1に示した。
<実施例4>
ナイロン6(A-1)をナイロン66(A-2)に代え、反応基含有アクリル系共重合体(B-1)1質量部を反応基含有アクリル系共重合体(B-2)4質量部に代え、シリンダ温度を280℃に設定した以外は、実施例1と同様に溶融混練した。得られた樹脂組成物について、射出成形285℃、異形押出成形260〜305℃、Tダイ押出シート成形260〜305℃、ダイレクトブロー成形285℃にシリンダ温度設定し、その他の条件については、実施例1と同様の条件にて成形し、各種評価を実施した。その結果を表1に示した。
<実施例5>
実施例2と同様にして、未変性HDPE樹脂(D-2)50質量部、反応基含有アクリル系共重合体(B-1)50質量部、離型剤としてステアリン酸マグネシウム(E)2質量部、酸化防止剤としてヨウ化銅(F)0.2質量部、ヨウ化カリウム(G) 1.5質量部を混合し、予め200〜230℃にて溶融混練して改質用マスターペレット(β)を作製した。次に、得られた改質用マスターペレット3質量部と、ナイロン6(A-1)97質量部をドライブレンドして、実施例2と同様の条件下にて、射出成形、異形押出成形、Tダイ押出シート成形、ダイレクトブロー成形して各種評価を行った。その結果を表1に示した。
<実施例6>
ナイロン6(A-1)を89質量部、反応基含有アクリル系共重合体(B-1)1質量部、ナイロン6T/6I共重合非晶性ナイロン(東洋紡ナイロンT−714E)(C)10質量部、離型剤としてステアリン酸マグネシウム(E)0.2質量部、酸化防止剤としてヨウ化銅(F)0.02質量部、ヨウ化カリウム(G)0.15質量部を混合し、該混合物を、二軸押出機(東芝機械社製 TEM35φ)を使用し、スクリュー回転数100rpm、シリンダ温度250℃に設定して溶融混練した。
得られた樹脂組成物について、上記の各種成型を行い、上記の各評価を実施した。その結果を表1に示した。
比較例1、3、4、6、7は、実施例1と同様に、ナイロン樹脂(A)100質量部に対して、必要により反応基含有アクリル系共重合体(B)各必要質量部、離型剤としてステアリン酸マグネシウム(E)0.2質量部、酸化防止剤としてヨウ化銅(F)0.02質量部、ヨウ化カリウム(G)0.15質量部を混合し、ナイロン6樹脂の場合は、シリンダ温度250℃、ナイロン66樹脂の場合は、シリンダ温度280℃に設定して溶融混練した。
比較例2に関しては、上記に原料に加えて、さらにガラス繊維25質量部混合して、溶融混練した。また、比較例5に関しては、上記原料(但し、ナイロン6樹脂は70質量部)に、マレイン酸変性HDPE(D -1)30質量部を混合し溶融混練した。
得られた樹脂組成物を用いて、ナイロン6樹脂の場合は、実施例1と同様の条件下にて、ナイロン66樹脂の場合は、実施例4と同様の条件下にて、射出成形、異形押出成形、Tダイ押出シート成形、ダイレクトブロー成形して各種評価を行った。その結果を表2に示した。
Tダイ押出成形では、本発明の樹脂組成物の溶融強度が大幅に向上するため、ロールからのシート剥離性、およびシート引取り性を改善する事ができる。
ダイレクトブロー成形では、パリソンの保持が優れており、さらに製品精度が良好となるため、連続生産時の安定性、および良品生産率が大幅に向上する。さらに、実施例2、6においては、空気中に放出されたパリソンがより固化しにくく、より複雑な形状であっても形状付与が容易である。
また、ガソリン透過性が大きく増加しており、燃料系部品には適合できない結果である。また、比較例6、7は反応基含有アクリル共重合体の配合量が、本発明の範囲外である。比較例6は、反応基含有アクリル共重合体(B)の配合量が、0.005%と少なすぎるため充分増粘できておらず、特にブロー成形時のパリソン保持状態が悪い。また、比較例7は、反応基含有アクリル共重合体(B)の配合量が、15%と多すぎるため、特にブロー成形時において、パリソン保持状態は良好であるが、反応性が高すぎて、溶融粘度が安定せず、パリソン肉厚が変動してしまい好ましくない。また、粘度が余りにも高すぎるため、成形機のトルク限界値に非常に近い状態にあり、しばしば機械が停止してしまい、連続生産性が非常に悪い結果であった。
W0・・底面直径(金型寸法:57mm)
W1・・蛇腹谷部直径(金型寸法:47mm)
W2・・蛇腹山部直径(金型寸法:63mm)
Claims (5)
- ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、ビニル芳香族モノマー20〜99質量%、グリシジルアルキル(メタ)アクリレート1〜80質量%及びアルキル(メタ)アクリレート0〜70質量%からなる反応基含有アクリル系共重合体(B)を0.5〜10質量部含有させてなることを特徴とする高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物。
- 反応基含有アクリル系共重合体(B)が、エポキシ価が800〜6000当量/106gで、かつ質量平均分子量が500〜100000である請求項1に記載の高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(A)が、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6T/6、ナイロンMXD−6、ナイロン11、ナイロン12及びこれらの混合物又は共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(A)、反応基含有アクリル系共重合体(B)及び(A)以外の非晶性ポリアミド樹脂(C)を含有する高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物であって、該樹脂組成物中の組成が、ポリアミド樹脂(A)80〜97質量%、反応基含有アクリル系共重合体(B)0.5〜10質量%及び(A)以外の非晶性ポリアミド樹脂(C)を3〜20質量%含み、かつ該樹脂組成物の示差走査型熱量計(DSC)により測定した降温結晶化温度TC2N(℃)と、(C)を含まない樹脂組成物の降温結晶化温度TC2M(℃)とが、以下の関係を満たす、請求項1〜3のいずれかに記載の高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物。
TC2M(℃)−TC2N(℃) ≧ 5(℃) - ポリアミド樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂と反応基含有アクリル系共重合体(B)とを溶融混練させて得た樹脂組成物とポリアミド樹脂(A)とを、溶融混練することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高溶融粘度ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
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