JP2009091334A - アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細加工用の化学増幅型フォトレジスト樹脂やLED封止剤などの高機能性ポリマー原料として有用なアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法を提供する。
【解決手段】有機溶媒中、(メタ)アクリル酸とアダマンタノール類を反応させてアダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、反応液をアルカリ洗浄後、重合禁止剤を添加し、酸素含有ガス存在下で濃縮することを特徴とするアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、微細加工用の化学増幅型フォトレジスト樹脂やLED封止剤などの高機能性ポリマー原料として有用なアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法に関する。
アダマンチル(メタ)アクリレート類は微細加工用の化学増幅型フォトレジスト樹脂のモノマーとして使用されているが、微細化が進むに従い益々モノマーの高純度化および品質の安定性が求められている。中でもモノマーに含まれるポリマーやオリゴマーは歩留まりの低下や品質のバラツキの原因となるため厳密に管理する必要がある。
アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法としては、安価に入手可能な(メタ)アクリル酸とアダマンタノール類を酸触媒存在下に脱水エステル化する方法(特許文献1〜6参照)が有用である。上記反応においては、(メタ)アクリル酸や生成したアダマンチル(メタ)アクリレート類の重合物が副生するため、重合禁止剤存在下に反応させるのが一般的である。しかしながら、重合禁止剤存在下に反応を行っても、なお製品中に重合成分が含まれており、不溶解分の原因として問題であった。
一方、他の製造方法として、(メタ)アクリル酸クロライド類や無水(メタ)アクリル酸類とアダマンタノール類を用いて製造する方法、ジハロゲン化アダマンタンを精製し、エステル化を行う際の重合物生成を抑制する方法など多くの製造方法が開示されている(特許文献7〜8参照)。しかし、各方法ともそれぞれ問題を抱えており、例えばハロゲン法で得た原料を使用する場合は、ハロゲン類の混入で重合が却って促進され収率が低下するなど経済的に好ましくなく、有効な重合物抑制方法については見出されていない。
特開2001−106650号公報 特開2001−354619号公報 特公平7−61980号公報 特開2000−119220号公報 特許第3507024号公報 特開2002−226436号公報 特開2005−75798号公報 特開2005−104964号公報
本発明は、上述したような事情を鑑みてなされたものであり、重合物量が少なく安定した品質のアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題について鋭意検討を重ねた結果、濃縮工程において発生する重合物が製品中の不溶解分の原因の一つとなることから、余剰の(メタ)アクリル酸を除去する目的としたアルカリ洗浄操作後において、特定の重合禁止剤を添加し、且つ酸素含有ガス存在下で、ある一定の温度範囲で濃縮操作を行うことで重合物量が少なく安定した品質のアダマンチル(メタ)アクリレート類が製造できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、有機溶媒中、(メタ)アクリル酸とアダマンタノール類を反応させてアダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、反応液をアルカリ洗浄後、重合禁止剤を添加し、酸素含有ガス存在下で濃縮することを特徴とするアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法に関するものである。
本発明で製造されたアダマンチル(メタ)アクリレート類は、フォトレジスト樹脂やLED封止剤などの高機能性ポリマー原料用途に使用することができる
本発明で使用するアダマンタノール類は下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2009091334

(式中、R〜Rは、同一または異なって、水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシルオキシ基またはハロゲン基を示し、Rは水素原子、水酸基、ハロゲン基またはカルボニル基を示す。)
上記のアダマンタノール類の例として、1−アダマンタノール、2−アダマンタノール、1,3−アダマンタンジオール、1,3,5−アダマンタントリオール、1,3,5,7−アダマンタンテトラオール、3,5−ジメチル−1−アダマンタノール、5,7−ジメチルアダマンタンジオール、5−メトキシ−1,3−アダマンタンジオール、5−エトキシ−1,3−アダマンタンジオール、1,3−アダマンタンジメタノール等が挙げられ、これらは置換基を有していても良い。
本発明で使用する(メタ)アクリル酸は、アダマンタノール類の水酸基1当量に対して1.0〜10倍当量、好ましくは1.2〜6倍当量使用する。使用量がこの範囲より少ないと未反応のアダマンタノール類が残り、逆に多いと釜効率が低下するとともにジエステルや重合物の副生が促進される。
本発明では、酸触媒により脱水エステル化を促進させる。使用する酸は、脱水反応を進行させる強酸であれば特に制限は無いが、一般的に硫酸、p−トルエンスルホン酸等が使用される。その触媒量は、原料であるアダマンタノール類1モルに対して0.005〜1.0モル、好ましくは0.01〜0.1モルの割合である。使用量をこの範囲より少なくすれば反応速度が低下し、逆に多くすればアダマンチル(メタ)アクリレート類の選択率が低下する。
本発明においては、反応の進行と共に生成する水を反応溶媒とともに留去することにより反応を促進させる。留去された反応溶媒は、例えばDean−Stark水分離器などにより共に留去された水と分離した後、再び反応器に戻すことができる。また、反応器に蒸留塔を設置し反応溶媒と水との分離効率を上げることもできる。
使用される反応溶媒は、水との相溶性が低く、アダマンタノール類およびアダマンチル(メタ)アクリレート類との相溶性が高く、反応に対し不活性な有機溶媒が好ましい。さらに、反応中に副生する水を除去するため、水と共沸する溶媒を用いることが好ましい。そのような有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の炭素数6〜10の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらの溶媒は2種以上の溶媒を混合した系でも使用できる。溶媒は、原料として用いるアダマンタノール類1重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の割合で使用する。
反応温度は60〜150℃が好ましい。反応温度が60℃よりも低いと反応速度が著しく低下し、150℃よりも高いとアダマンチル(メタ)アクリレート類の選択率が低下する。反応温度は、基本的に使用する有機溶媒と水との常圧での共沸温度で決定されるが、反応圧力を陰圧あるいは加圧とすることにより調節することが可能である。
反応工程では、アダマンチル(メタ)アクリレート類の重合を抑制するため、重合禁止剤を使用する。重合禁止剤とは、反応、精製、濃縮、乾燥等において、目的物質の重合を抑制するために少量添加する物質の総称であり、本発明で使用される重合禁止剤として、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、テトラメチルピペリジン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ニトロソベンゼン、m−ジニトロベンゼン、ニトロソフェノール、フェノチアジン、ピクリン酸、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム、p−フェニルジアミンヒドロキノンなどを使用することができ、好ましくはヒドロキノン、メチルヒドロキノンなどのヒドロキノン類やp−メトキシフェノールなどのフェノール類である。また、この重合禁止剤は1種又は2種以上併用して用いることができる。重合禁止剤はガスクロマトグラフィーや液クロマトグラフィーなどの簡便な分析手段で濃度の定量ができる化合物を選択することが工程管理の点で望ましい。
反応時に用いられる重合禁止剤は、(メタ)アクリル酸類に対して0.005〜1.5モル%、好ましくは0.01〜0.5モル%を使用する。使用量がこの範囲より少ないと反応中に重合が起こり、逆に多い場合は、製品中への残留による純度低下や着色といった問題を発生させるので好ましくない。
さらに、重合禁止剤は、その使用条件により重合禁止効果を向上させるために酸素含有ガスの存在下で使用することが一般的に知られている。酸素含有ガスとは0.5容量%以上の酸素を含むガスを意味し、上限濃度に特に制限はなく純酸素や空気を直接用いても良いが、爆発・火災防止の観点から不活性ガスにて使用する有機溶媒の爆発範囲外まで希釈することが望ましい。一般的には酸素濃度が0.5〜10.0容量%が好適である。希釈に用いる不活性ガスとして窒素、ヘリウム、アルゴン等が例示される。
反応終了後は、反応液をアルカリで洗浄することにより硫酸触媒および未反応の(メタ)アクリル酸を除去する。アルカリで洗浄する場合の洗浄液は反応液と相溶しない水溶液を使用する。アルカリの種類は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのようなテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド類の水溶液が例示でき、濃度は1〜25重量%の範囲とするのが好ましく、pHは8〜13.5、洗浄温度は10〜80℃の範囲で実施することができる。1回のアルカリ水溶液の量は反応液1重量部に対し0.1〜1重量部の範囲で行うのが好ましい。2回以上アルカリ洗浄を繰り返す場合は水溶液中のアルカリ濃度やアルカリ水溶液量を段階的に変化させることも可能である。
洗浄は、反応液とアルカリ水溶液を混合させておこなう。混合とは反応液とアルカリ水溶液が効率よく接触すれば特に限定はしないが、例えばバッチ式の場合は攪拌機による混合、連続式の場合はスタティックミキサーへの流通や混合装置を組み合わせたポンプへの流通による混合等が例示される。アルカリ洗浄後に反応液中に含まれる硫酸触媒量が100ppm以下、未反応の(メタ)アクリル酸濃度が1%以下となるように混合時の接触時間、温度、洗浄回数を決める必要がある。反応液とアルカリ水溶液を混合した後、静置分離あるいは遠心分離によってバッチ式あるいは連続式で反応液とアルカリ水溶液を分離する。
また、アルカリ洗浄後に水洗を1回あるいは2回以上行うことにより、反応液中に残存するアルカリ分を除去することができる。この場合水洗に使用する水はイオン性不純物を極力除くことが好ましく、具体的には電気伝導度が10mS/m以下の水を使うことが好ましく例示される。水洗に使用される水量は反応液1重量部に対し0.1〜1重量部の範囲で行う。水洗の方法は反応液と水を混合することで行われ、混合後反応液と水は分離される。混合の方法および/または分離の方法は上述のアルカリ洗と同様な方法を用いてもよく別の方法を用いてもかまわない。水洗後に反応液中に含まれるアルカリ量が100ppm以下となるように混合時の接触時間、温度、洗浄回数を決める必要がある。
アルカリ洗の後あるいはアルカリ洗後の水洗の後、金属性不純物を除く目的で酸洗浄をおこなうこともできる。加える酸としては、水溶性の酸であるギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸が挙げられるが、反応液との分離性を考えた場合、無機酸を用いるのが望ましい。濃度は1〜25重量%の範囲とするのが好ましく、アルカリ洗浄同様10〜80℃の範囲で実施することができる。1回の酸水溶液の量は反応液1重量部に対し0.1〜1重量部の範囲で行うのが好ましい。2回以上酸洗浄を繰り返す場合は水溶液中の酸濃度や酸水溶液量を段階的に変化させることも可能である。洗浄は反応液と酸水溶液を混合させておこなう。混合・分離の方法はアルカリ洗浄後の分離と同様の手法をとることができる。
また、酸洗浄後に水洗を1回あるいは2回以上行うことにより、反応液中に残存する酸分を除去することができる。この場合水洗に使用する水はイオン性不純物を極力除くことが好ましく、具体的には電気伝導度が10mS/m以下の水を使うことが好ましく例示される。水洗に使用される水量は反応液1重量部に対し0.1〜1重量部の範囲で行う。水洗の方法は反応液と水を混合することで行われ、混合後反応液と水は分離される。混合の方法および/あるいは分離の方法は上述の酸洗浄と同様な方法を用いてもよく別の方法を用いてもかまわない。水洗後に反応液中に含まれる酸量が100ppm以下となるように混合時の接触時間、温度、洗浄回数を決める必要がある。
アルカリ洗浄後、反応溶液から溶媒を蒸発除去し反応溶液中のアダマンチル(メタ)アクリレート類濃度を増加させる濃縮を行う。濃縮工程では、重合禁止剤濃度をアダマンチル(メタ)アクリレート類に対して0.005〜5.0モル%、好ましくは0.01〜1.0モル%の範囲で含有させて実施する。ここで重合禁止剤は、ラジカルをトラップし重合を防止する機能を持つ化合物であれば特に制限はなく、前述の反応工程で用いた重合禁止剤と同一種類の重合禁止剤を1種又は2種以上が使用できるが、その中でもヒドロキノン、メチルヒドロキノンなどのヒドロキノン類やp−メトキシフェノールなどのフェノール類を用いることが好適である。使用量が上記範囲より少ないと濃縮中に重合が起こり、逆に多い場合は、製品中への残留による純度低下や着色といった問題を発生させるので好ましくない。重合禁止剤の添加方法に制限はなく、直接添加、アダマンチル(メタ)アクリレート類と予め混合したマスターバッチ添加、溶液での添加等が挙げられる。添加タイミングについてはアルカリ洗浄後に実施する各工程中、濃縮工程直前のいずれでもよい。濃縮前の分析において、アダマンチル(メタ)アクリレート類に対し、上記範囲内であれば差し支えないため、一度過剰添加し、濃縮前の工程で過剰分を取り除き、所定濃度に調整する方法もとることができる。
本発明で重合禁止剤と共に使用する酸素含有ガスは、その酸素含有濃度が0.5〜10.0容量%の範囲であることが好適である。酸素含有濃度がこれよりも低いと重合禁止効果が十分ではなく、これよりも高いと本発明で使用可能な有機溶媒の爆発下限界を越えるおそれがあり、10.0容量%を超える濃度で吹き込んでも効果は変わらない。酸素含有ガスは、バッチ式あるいは連続式で濃縮される反応液に供給することができるが、連続で供給する形式が常時系内含有酸素量をコントロールすることができるので好ましい。連続で供給する場合の供給量は、重合禁止剤が極微量の酸素の存在下でその効力を発揮することから下限の制限は流量0m/時より多ければ特に設定する必要は無いが、上限については、先述の爆発下限未満で使用することに加え、濃縮が減圧でおこなわれる場合は、コンデンサーや真空ポンプ能力等の設備の能力に依存するため製造設備にあった上限を設ける必要がある。酸素吹き込みガスの量は、アダマンチル(メタ)アクリレート類1モルに対して0.005〜0.2L/分、好ましくは0.01〜0.1L/分とする。ガス量がこれ以上少ない場合は重合禁止効果が十分ではなく、またこの範囲を超えて多く吹き込んでもその効果は変わらない。
濃縮温度は、10〜60℃の範囲、好ましくは30〜60℃で実施する。濃縮温度が60℃より高いと重合物の生成量が増加する。また、10℃よりも低いとコンデンサーの温度をさらに低下させる必要があり非効率である。濃縮時の圧力は濃縮温度が10〜60℃の範囲内であれば、特に制限はなく、加圧系、常圧系、減圧系のいずれでも実施可能であるが、通常、減圧系での濃縮が効率よく実施でき、好適である。減圧下の場合、圧力に制限はなく留去すべき溶剤の種類および濃縮装置の能力を考慮し、任意に決めることができる。濃縮の終点については、目的物の特性、濃縮方法、使用する装置により変化するため、用途に合わせ、適宜選択されなければならない。また、濃縮後の反応液に含まれるアダマンチル(メタ)アクリレート類の濃度は30〜70%、好ましくは40〜65%の範囲にすることが好ましい。濃縮については、縦型濃縮槽、横型濃縮槽、ロータリーエバポレーター型濃縮槽等、バッチ式あるいは連続式で酸素含有ガスを吹き込め、且つ目的物を所望の濃度まで濃縮できれば特に制限は設けない。酸素含有ガスの吹き込み方法については、液が吹き込み管を逆流することなく液中に供給できればその方法に制限はない。上部鏡より吹き込み管を槽中に導入し吹き込む方法、槽の側面から吹き込む方法、あるいは下部の液抜き口より吹き込む方法が例示できる。濃縮については撹拌機付きの槽を使用する場合、その多くは撹拌しながら行うため、吹き込み管を挿入する場合は、撹拌による液流に対して十分な強度を持たせることが必要である。
濃縮後のアダマンチル(メタ)アクリレート類を含む溶液については、そのままの状態で提供することもできるが、貧溶媒を添加するか、あるいは添加せずに、冷却温度を制御して晶析する等の公知の方法により固形物として得ることができる。ここで貧溶媒とは、晶析温度にてアダマンチル(メタ)アクリレート類の溶解度が5%以下の溶媒でありかつ反応溶媒と均一溶媒となる溶液であれば特に限定はしないが、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類等が例示することができる。晶析後、固液分離により湿結晶を取り出すことができ、必要に応じ、貧溶媒あるいは貧溶媒とその他溶媒の混合溶媒によってリンスを行い湿結晶に含まれる不要成分を除去し結晶の純度を上げることができる。リンスで使用される貧溶媒やその他の溶媒は晶析に使用した貧溶媒あるいは反応溶媒であっても別の溶媒類であっても構わない。さらに目的物の用途に応じ、晶析で得られたアダマンチル(メタ)アクリレート類を再度溶媒に溶解し、濃縮および/または晶析を繰り返す再結晶を行ってもよい。
再結晶の際に濃縮工程を含む場合は、前述の濃縮方法を繰り返し実施することが好ましい。再結晶の目的はアダマンチル(メタ)アクリレート類の純度を上げることであり、最終的に得られるアダマンチル(メタ)アクリレート類の純度は90%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上である。再結晶により99.9%以上のアダマンチル(メタ)アクリレート類を得ることは可能であるが使用溶媒量と純度から最適晶析回数を決定するのが好ましい。晶析後のアダマンチル(メタ)アクリレート類の乾燥については含有溶媒や水分が合計5%以下となるようにおこなえば乾燥方法に関して特に限定はしないが、風乾や減圧乾燥等の慣用の方法を例示することができる。
以下、実施例を挙げて本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。なお、実施例において、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの純度の評価は液クロマトグラフィーにて、重合物の評価はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)および目的物をメタノール/ヘキサン重量比10:1の混合溶媒に完全溶解させ、目視により透明性を判断する溶解性試験にて行った。
参考例1
攪拌機、温度計、Dean−Stark水分離器、ジムロート冷却器、ガス吹込み管をつけた2Lの5つ口ジャケット付きセパラブルフラスコに1,3−アダマンタンジオール84.0g、メタクリル酸124.1g、p−メトキシフェノール0.38g、濃硫酸1.2g、溶媒としてトルエン750mlを仕込み、少量の空気を流しながら還流下(110℃)で5時間反応を行い、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む反応液851gを得た。この反応液に水450gと25重量%NaOH水溶液105gを液温35〜45℃の範囲でpH11.0まで攪拌しながら添加した。静置後、下層のアルカリを分離し、上層に残った反応液を純水で、洗浄水のpHが7になるまで2回水洗を繰り返した。
実施例1
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む溶液について、参考例1と同様の装置を使用し、重合禁止剤として、p−メトキシフェノールを目的物に対し0.05モル%となるように添加した。混合ガスの吹き込みについてはフラスコ上部鏡より液深下部まで到達する長さのガラス管を挿入し、連続的に窒素40mL/分、空気10mL/分をガスミキサーにて混合後、酸素濃度4.2容量%に調整し、連続的に吹き込みながら液温50℃、圧力10.6kPaにて減圧濃縮を行った。なお、系内を減圧とするため、ガス供給ラインの途中に背圧弁を設け、ガス流れが陽圧領域に流量計を設置し、流量ならびに酸素濃度の監視を行った。濃縮の終点は目的物の濃度が60%となった時点とし、濃縮後の残液に対し、目的物濃度が30%となるようにn−へキサンを添加し、10℃まで冷却後、ヌッチェにて固液分離を行った。得られた湿結晶に対し、同重量のn−へキサンでリンスを行った後、室温で24時間風乾し、純度99.3%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。得られた結晶に対してGPC測定を実施したところ、オリゴマーを含む重合物含有量は0.05重量%であり、メタノール/ヘキサン重量比10:1の混合溶媒による溶解性試験の結果、溶液は無色透明であった(表1参照)。
実施例2
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む溶液について、重合禁止剤として、p−メトキシフェノールを目的物に対し7モル%となるように添加した以外は、すべて実施例1と同様の操作を行い、純度98.5%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。GPC測定の結果、オリゴマーを含む重合物含有量は0.03重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は無色透明であった(表1参照)。
比較例1
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む溶液について、重合禁止剤として、p−メトキシフェノールを目的物に対し0.05モル%となるように添加し、空気を窒素で希釈し酸素濃度4.0%のガスを吹き込みながら、液温70℃、圧力13.3kPaにて減圧濃縮を行った以外はガス吹き込み量、濃度監視等について実施例1と同様の操作を行い、純度99.2%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。GPC測定の結果、オリゴマーを含む重合物含有量は0.18重量%であり、メタノール/ヘキサン重量比10:1の混合溶媒による溶解性試験の結果、溶液は僅かに白濁した(表1参照)。
比較例2
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む溶液について、重合禁止剤として、p−メトキシフェノールを目的物に対し0.05モル%相当を添加し、酸素含有ガスを吹き込まなかった以外は実施例1と同様の操作を行い、純度99.3%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。GPC測定の結果、オリゴマーを含む重合物含有量は0.15重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は僅かに白濁した(表1参照)。
比較例3
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを含む溶液について、重合禁止剤を添加しなかった以外は実施例1と同様の操作を行い、純度99.3%の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート(白色結晶)を得た。GPC測定の結果、オリゴマーを含む重合物含有量は0.16重量%であり、溶解性試験の結果、溶液は僅かに白濁した(表1参照)。
Figure 2009091334

Claims (6)

  1. 有機溶媒中、(メタ)アクリル酸と一般式(1)で表されるアダマンタノール類を反応させてアダマンチル(メタ)アクリレート類を製造する方法において、反応液をアルカリ洗浄後、重合禁止剤を添加し、酸素含有ガス存在下で濃縮することを特徴とするアダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法。
    Figure 2009091334

    (式中、R〜Rは、同一または異なって、水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシルオキシ基またはハロゲン基を示し、Rは水素原子、水酸基、ハロゲン基またはカルボニル基を示す。)
  2. 濃縮温度が10〜60℃である請求項1記載の製造方法。
  3. 酸素含有ガス中の酸素濃度が0.5〜10.0容量%である請求項1記載の製造方法。
  4. 酸素含有ガスを連続的に吹き込んで濃縮する請求項1記載の製造方法。
  5. 重合禁止剤がフェノール類又はヒドロキノン類から選ばれた1種以上である請求項1記載の製造方法。
  6. 重合禁止剤をアダマンチル(メタ)アクリレート類に対し、0.005〜5.0モル%添加する請求項1記載の製造方法。
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