JP2014162767A - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】(メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含むエステル化反応液から(メタ)アクリル酸エステルと重質分とを蒸留分離し、この重質分を分解、エステル化反応させて有価物を回収する重質分解器のリボイラーにおける閉塞運転トラブルを防止して、長期に亘り安定かつ効率的に(メタ)アクリル酸エステルを製造する。
【解決手段】重質分解器に重質分と酸触媒含有液との混合液を導入して分解、エステル化反応させることにより(メタ)アクリル酸エステル及びアルコールを含む有価物を回収するに当たり、下記(1)及び/又は(2)の条件を満たす酸触媒濃度とする。
(1) 酸触媒含有液の酸触媒濃度が28重量%以下
(2) 混合液の酸触媒濃度が1〜3重量%
【選択図】図1

Description

本発明は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に係り、特に、(メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含むエステル化反応液から(メタ)アクリル酸エステルと重質分とを蒸留分離し、この重質分を重質分解器に送給して分解、エステル化反応させて有価物を回収するに当たり、重質分解器のリボイラーにおける閉塞運転トラブルを防止して、長期に亘り安定かつ効率的に(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法に関する。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸との総称であり、そのいずれか一方でもよく双方でもよい。
(メタ)アクリル酸エステルは重合性を有する化合物であって、得られる重合体に優れた特性を付与することができることから、種々の用途、例えば塗料、接着剤、粘着剤、合成樹脂、繊維などの原料として幅広く用いられている。
(メタ)アクリル酸エステルの製造方法としては、酸触媒の存在下、(メタ)アクリル酸とアルコールとをエステル化反応させる方法が一般に広く用いられている。更に、得られたエステル化反応液から酸触媒及び未反応の(メタ)アクリル酸を除去するために、水で抽出後、アルカリ水溶液で処理し、その後、(メタ)アクリル酸エステルを含有する油層(有機層)と、このような洗浄、中和処理で生じる水及び中和塩を含有する水層とを静置槽で静置分離することが一般的に行われている(例えば特許文献1)。
図1は、従来の一般的なアクリル酸エステルの製造プロセスを示す系統図であって、アクリル酸、アルコールは、酸触媒の存在下、エステル化反応器1を経てエステル化反応し、エステル化反応で生成する水は、エステル化反応器1から系外へ排出される。エステル化反応液は、抽出塔(触媒回収塔)2で水と向流接触して酸触媒が抽出分離、回収され、回収された触媒の一部はエステル化反応器1の入口側へ循環されて再利用され、残部は後段の重質分解器7に送給され、重質分解器7における重質分の分解に使用される。抽出塔2からの反応液は、アクリル酸分離塔3でアルカリ水溶液が添加されて中和されると共に、水で洗浄される。アクリル酸分離塔3からの中和・洗浄処理液は、静置槽4で油水分離され、水相は系外へ排出され、油相は次の軽沸分離塔5に送給されて未反応のアルコール等の軽沸分が蒸留分離され、塔頂より抜き出される。軽沸分離塔5の塔底液は、次の精製塔6に送給されて重質分が蒸留分離され、製品の高純度アクリル酸エステルが塔頂より取り出される。精製塔6の塔底液は、重質分解器7に送給され、重質分の分解、蒸留でアクリル酸やアクリル酸エステルやアルコールを生成させ、これら有価物は反応器に循環させ、この重質分解器7の塔底液は廃油として系外へ排出される。なお、図中、7Aは重質分解器7のリボイラーである。
即ち、精製塔6の塔底液には、アクリル酸とアルコールとのエステル化反応工程で副生したマレイン酸アルキル、ダイマー酸アルキル、アルコキシプロピオン酸アルキル、ヒドロキシプロピオン酸アルキル等のミカエル付加物が含まれているため、この塔底液を重質分解器7に送給し、抽出塔2からの回収触媒と原料タンクからのアクリル酸を添加してこれらを分解し、また、エステル化反応させると共に蒸留分離して、アルコール、アクリル酸アルキル、アクリル酸等の有価物を回収し、これらを反応系に循環させる。なお、この重質分解器7には、製造プロセスのプロセス外抜き出し液(反応開始時の規格外プロセス液、反応停止時のプロセス抜き出し液、アクリル酸分離塔、静置槽の油水界面より抜き出される有機層及び/又は水層のうち有機層のみを分離したもの等)も導入されて処理される場合もある。
図2は、従来の一般的なアクリル酸エステルの製造プロセスを示す別の系統図であって、アクリル酸、アルコールは、固体酸触媒の存在下、エステル化反応器1を経てエステル化反応し、エステル化反応で生成する水は、エステル化反応器1から系外へ排出される。エステル化反応液は、アクリル酸分離塔3でアルカリ水溶液が添加されて中和されると共に、水で洗浄される。アクリル酸分離塔3からの中和・洗浄処理液は、静置槽4で油水分離され、水相は系外へ排出され、油相は次の溶媒回収塔(溶媒分離塔)8に送給されて溶媒が蒸留分離され、その後軽沸分離塔5に送給されて未反応のアルコール等の軽沸分が蒸留分離され、塔頂より抜き出される。軽沸分離塔5の塔底液は、次の精製塔6に送給されて重質分が蒸留分離され、製品の高純度アクリル酸エステルが塔頂より取り出される。精製塔6の塔底液は、重質分解器7に送給され、重質分の分解、蒸留でアクリル酸やアクリル酸エステルやアルコールを生成させ、これら有価物は反応器に循環させ、この重質分解器7の塔底液は廃油として系外へ排出される。なお、図中、7Aは重質分解器7のリボイラーである。
即ち、前述の如く、精製塔6の塔底液には、アクリル酸とアルコールとのエステル化反応工程で副生したマレイン酸アルキル、ダイマー酸アルキル、アルコキシプロピオン酸アルキル、ヒドロキシプロピオン酸アルキル等のミカエル付加物が含まれているため、この塔底液を重質分解器7に送給し、系外からの酸触媒と原料タンクからのアクリル酸を添加してこれらを分解し、また、エステル化反応させると共に蒸留分離して、アルコール、アクリル酸アルキル、アクリル酸等の有価物を回収し、これらを反応系に循環させる。なお、この重質分解器7には、前述の如く、製造プロセスのプロセス外抜き出し液(反応開始時の規格外プロセス液、反応停止時のプロセス抜き出し液、アクリル酸分離塔、静置槽の油水界面より抜き出される有機層及び/又は水層のうち有機層のみを分離したもの等)も導入されて処理される場合もある。
特許文献2には、(メタ)アクリル酸エステル精製工程で分離された重質分に酸触媒を添加して分解することにより、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、及びアルコールを回収するに当たり、エーテル類の副生を抑制して高い回収率で分解する方法として、重質分に対する酸触媒の添加量を0.1〜1.0重量%(重質分と酸触媒との合計に対する酸触媒の濃度としては1.0重量%より少ない値となる。)とする方法が記載されているが、従来において、重質分解器の運転トラブルと酸触媒との関係についての検討はなされておらず、重質分解器の安定運転のために酸触媒濃度を調製することは行われていない。
特開2003−231665号公報 特開2003−226668号公報
従来、精製塔6からの重質分を分解して有価物を回収する重質分解器7では、リボイラー7Aの閉塞トラブルで安定運転が阻害される問題があった。
重質分解器7のリボイラー7Aが閉塞した場合には、運転を停止してリボイラー7A内を洗浄する必要があり、長期連続運転を行えずに生産性が著しく低下したり、洗浄のためのコストが増えることとなる。
本発明は上記従来の問題点を解決し、このような(メタ)アクリル酸エステルの製造プロセスにおいて、重質分解器のリボイラーにおける閉塞トラブルを防止して、重質分解器を長期に亘り安定に連続運転可能とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、重質分解器のリボイラーの閉塞物の形成には、重質分解器に導入される酸触媒が関係しており、重質分解器に導入される酸触媒の濃度を制御することにより、この閉塞トラブルを抑制することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] (メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて(メタ)アクリル酸エステルを含むエステル化反応液を得る反応工程と、該エステル化反応液から(メタ)アクリル酸エステルと重質分とを蒸留分離する精製工程と、該重質分を酸触媒含有液との混合液として重質分解器に導入して分解、エステル化反応させることにより(メタ)アクリル酸エステル及びアルコールを含む有価物を回収する回収工程とを含む(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、下記(1)及び/又は(2)の条件を満たすことを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
(1) 前記酸触媒含有液の酸触媒濃度が28重量%以下
(2) 前記混合液の酸触媒濃度が1〜3重量%
[2] 前記酸触媒含有液の酸触媒濃度が10〜25重量%で、前記混合液の酸触媒濃度が1〜2.5重量%であることを特徴とする[1]に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[3] 前記エステル化反応液中の酸触媒を水で抽出して回収する抽出工程を含み、前記混合液は、該抽出工程からの酸触媒含有液と原料(メタ)アクリル酸を含むことを特徴とする[1]又は[2]に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[4] 前記有価物を前記反応工程に返送する返送工程を含むことを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[5] 前記重質分解器の塔頂より前記有価物を回収し、前記重質分解器の塔底液を廃油として系外に排出する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法であって、該重質分解器に導入される前記混合液に対する該廃油の割合が10〜40重量%であることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
本発明によれば、(メタ)アクリル酸エステル製造プロセスにおいて、(メタ)アクリル酸エステルと蒸留分離された重質分から有価物を回収するための重質分解器のリボイラーの閉塞トラブルを防止して、長期に亘り、安定かつ効率的な(メタ)アクリル酸エステルの製造を行える。
一般的なアクリル酸エステルの製造プロセスの一例を示す系統図である。 一般的なアクリル酸エステルの製造プロセスの別の例を示す系統図である。
以下に本発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、(メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて(メタ)アクリル酸エステルを含むエステル化反応液を得る反応工程と、このエステル化反応液から(メタ)アクリル酸エステルと重質分とを蒸留分離する精製工程と、分離された重質分を酸触媒含有液との混合液として重質分解器に導入して分解、エステル化反応させることにより(メタ)アクリル酸エステル及びアルコールを含む有価物を回収する回収工程とを含む(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、下記(1)及び/又は(2)の条件を満たすことを特徴とする。
(1) 前記酸触媒含有液の酸触媒濃度が28重量%以下
(2) 前記混合液の酸触媒濃度が1〜3重量%
即ち、本発明者は、重質分解器のリボイラーの閉塞トラブルの原因について検討した結果、リボイラー内の閉塞物の形成には酸触媒が寄与しており、重質分解器への酸触媒の導入量を上記(1)及び/又は(2)、好ましくは上記(1)及び(2)の条件を満たすように制御することにより、リボイラー内の閉塞物の形成を抑制して、重質分解器の運転トラブルを防止することができることを知見した。
本発明において、酸触媒含有液とは、重質分解器に導入される液のうち、酸触媒を含む液を指し、図1における抽出塔2の塔底から抜き出される液の流通液、即ち、図1の「※1」で示す配管の流通液が該当する。或いは、図2における「※1」で示す配管の流通液が該当する。また、重質分と酸触媒含有液との混合液とは、この酸触媒含有液に、(メタ)アクリル酸エステルと蒸留分離された重質分とが混合された液であり、図1,2における「※2」で示す配管の流通液が該当する。この混合液が重質分解器への全導入液となる。
酸触媒含有液とは、酸触媒を含有していればよく、特に制限はないが、通常、図1に示す如く、抽出塔2の塔底から抜き出される酸触媒含有抽出液、或いは、図2における酸触媒の導入液である。
酸触媒含有液中の酸触媒濃度が28重量%より高いと、重質分解器7のリボイラー8Aの閉塞トラブルを引き起こし易い。ただし、酸触媒含有液中の酸触媒濃度が低過ぎると、重質分解器における酸触媒量が不足し、重質分の分解、エステル化反応効率が低下するため、酸触媒含有液の酸触媒濃度は、特に5〜28重量%、とりわけ10〜25重量%、中でも10〜20重量%とすることが好ましい。なお、酸触媒含有液の酸触媒濃度が高くても、これに重質分を混合した混合液の酸触媒濃度が低ければ、重質分解器内の酸触媒濃度が抑えられ、リボイラーの閉塞トラブルは抑制される傾向にあるが、混合液の酸触媒濃度が低くても、酸触媒含有液の酸触媒濃度が高過ぎると、やはりリボイラーの閉塞トラブルを引き起こし易い。これは、酸触媒含有液は通常水溶液であるのに対し、その他の液は有機溶剤であるため混合性が悪く、混合液全体に対する濃度が低くとも、重質分解器で水が蒸発した際には局所的に酸触媒が高濃度で存在し、閉塞物形成の要因になるためであると推定される。
また、混合液中の酸触媒濃度が3重量%より高いと、重質分解器7のリボイラー8Aの閉塞トラブルを引き起こし易い。ただし、混合液中の酸触媒濃度が低過ぎると、重質分解器における酸触媒量が不足し、重質分の分解、エステル化反応効率が低下するため、混合液の酸触媒濃度は、特に1〜3重量%、とりわけ1〜2.5重量%、中でも1.5〜2.5重量%とすることが好ましい。なお、混合液の酸触媒濃度が高くても、酸触媒含有液の酸触媒濃度が低ければ、重質分解器に導入される前の酸触媒含有液中での閉塞物原因物質の形成が防止されることにより、リボイラーの閉塞トラブルは抑制される傾向にあるが、前記(1)の条件のみを満たす場合であっても、混合液の酸触媒濃度は3重量%以下であることが好ましい。また、前記(2)の条件のみを満たす場合であっても、酸触媒含有液の酸触媒濃度は28重量%以下であることが好ましい。即ち、上記(1)と(2)の条件をともに満たすように酸触媒濃度を調整することが好ましい。
この酸触媒濃度の調整は、例えば、図1の製造プロセスの場合、エステル化反応器1への酸触媒供給量を調整したり、抽出塔2の塔底液から別ラインへ液を排出して酸触媒濃度を下げる方法の他、重質分解器への重質分の送給量に対して、回収触媒、(メタ)アクリル酸、及び抜き出し液の送給量を調整する方法や、抽出塔2への水の導入量を調整して抽出塔2からの回収触媒液の酸触媒濃度を調整する方法などが挙げられる。
以下に、(メタ)アクリル酸エステルの一般的な製造方法について、図1を参照して説明するが、本発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、図1に示す製造プロセスに限らず、図2に示す製造プロセス、その他、(メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含むエステル化反応液から(メタ)アクリル酸エステルと重質分とを蒸留分離し、この重質分を重質分解器に送給して分解、エステル化反応させて有価物を回収する方法に適用することができる。
本発明で製造される(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されず、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルの製造では、一般的には(メタ)アクリル酸とアルコールとから酸触媒の存在下、エステル化反応器1を経てエステル化反応させて対応するエステルを製造する。通常原料である(メタ)アクリル酸とアルコールとは、モル比1.0:0.5〜1.0:2.0の割合で反応器に供給される。酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、あるいは、メタンスルホン酸等の有機酸や硫酸、塩酸等の鉱酸が用いられる。酸触媒は反応液に対し、0.1〜5.0重量%、好ましくは1.0〜2.5重量%の割合で添加される。反応は70〜180℃の温度で、蒸留や共沸蒸留によりエステル化反応で生成する反応生成水を除去しながら行われる(反応蒸留方式)。生成水の除去を容易にするために、反応に不活性な共沸剤が添加されることがある。共沸剤としては、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン等の炭化水素が用いられることが多い。反応生成水は蒸気分離膜、ベーパーレイション膜などの膜分離や、蒸留以外の方法で除去される場合もある。
また、反応系には、通常、ポリマーの生成を防止するために、重合防止剤が添加される。重合防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン等のアミン類、ジブチルジチオカルバミン酸銅、酢酸マンガン等の重金属塩、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、テトラメチルピペリジノオキシル誘導体等のアミノキシル類が知られている。重合防止剤の添加量は、エステル化反応液中の重合防止剤濃度が20〜1000ppm程度となる量とすることが好ましい。
エステル化反応液は、抽出塔(触媒回収塔)2で水と向流接触して酸触媒が抽出分離、回収され、回収された酸触媒の一部はエステル化反応器1の入口側へ循環され再利用され、残部は後段の重質分解器7に送給され、重質分解器7における重質分の分解に使用される。抽出塔2からの反応液は、アクリル酸分離塔3でアルカリ水溶液が添加されて中和されると共に、水で洗浄された後、アクリル酸分離器3の塔頂から静置槽4に送給されて油水分離される。
抽出塔2でエステル化反応液と向流接触させる水の比率は、エステル化反応液に対して0.5(重量比)以下が好ましく、最適には0.05〜0.2(重量比)である。水は、新しく添加されても良いが、エステル化反応器1から得られる反応生成水を用いることもでき、この場合には、排水量を少なくすることができる利点がある。
抽出塔2の形式としては、通常のものを用いることができる。一般的な抽出塔は、塔下部よりエステル化反応液、塔上部より抽出用の水を供給し、塔頂より酸触媒などが抽出除去された反応液を、塔底より酸触媒、(メタ)アクリル酸等を含む水溶液を得る型式のものであるが、特に制限されるものではない。抽出塔としては、充填塔、棚段塔などが一般的に用いられるが、液液接触効率の高い装置が好ましい。抽出塔は、一段でも多段に設けてもよい。
アクリル酸分離塔3としては抽出塔2と同様のものを用いることができる。中和に用いるアルカリ水溶液としては、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を挙げることができる。酸性の水溶性不純物を含有するエステル化反応液を中和してこれらの不純物を完全に除去するために、中和後のアクリル酸含有液のpHが9以上となるようにアルカリ水溶液を供給することが好ましい。
アクリル酸分離塔3で中和、洗浄して(メタ)アクリル酸等の酸性の水溶性不純物を除去した後のエステル化反応液(以下、「中和・洗浄処理液」と称す場合がある。)は、アクリル酸分離塔3の塔頂から抜き出され、中和、洗浄に用いた水は塔底より排水として系外へ排出される。アクリル酸分離塔3からの中和・洗浄処理液には、中和・洗浄処理液中のアルカリ金属の除去効率を高めるために、更に水が添加される場合もあり、その後静置槽4に送給される。この中和・洗浄処理液への水の添加量は、少な過ぎるとアルカリ金属の除去効率の向上効果を十分に得ることができず、多過ぎてもそれ以上の効果の向上は望めず、徒に液量が増大して工業的に不利である。従って、添加する水の量は、中和・洗浄処理液に対して通常、0〜100重量%、好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは2〜6重量%である。
中和・洗浄処理液に添加する水は、金属成分などの新たな汚染源となるものを高濃度に含まないものであれば良く、工水、純水、蒸気凝縮水などを用いることができる。
必要に応じて水が添加された中和・洗浄処理液は、次いで静置槽4で静置されて油水分離され、水相は排水として系外へ排出され、油相は軽沸分離塔5に送給されてアルコール等の軽沸分が塔頂より蒸留分離され、塔頂留出物は反応器1へ循環される。一方、塔底液は更に精製塔6で高沸分が蒸留分離され、塔頂より製品のアクリル酸エステルが分離される。
精製塔6の塔底液は、抽出塔2からの回収触媒(回収触媒を含む抽出液)、原料タンクからのアクリル酸、必要に応じてプロセス外抜き出し液との混合液からなる酸触媒含有液と混合されて重質分解器7に導入され、重質分中のミカエル付加物等が分解、エステル化反応され、アクリル酸アルキル、アルコール、アクリル酸等を含む有価物が塔頂より抜き出される。この有価物はエステル化反応器1又はアクリル酸分離塔3に返送される。一方、重質分解器7の塔底液は廃油として系外へ排出される。
この重質分解器7の運転条件については特に制限はないが、通常、反応温度150〜200℃、反応圧力90〜100kPaが採用される。また、廃油として抜き出す塔底液の量にも特に制限はないが、通常、重質分解器7に導入される混合液に対して10〜40重量%程度の条件とすることが好ましい。
なお、図1では、エステル化反応液を抽出塔2、アクリル酸分離塔3、静置槽4、軽沸分離塔5、精製塔6で順次処理して得られた精製塔6の塔底液である重質分を重質分解器7で分解しているが、本発明で重質分解器において分解する重質分は、エステル化反応液から(メタ)アクリル酸エステルと蒸留分離された重質分であればよく、何ら図1に示される処理を経たものに限定されない。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下において、アクリル酸ブチル、n−ブタノール、ブトキシプロピオン酸ブチル等の濃度はガスクロマトグラフィーにより測定した。
[実施例1]
図1に示すアクリル酸ブチルの製造プロセスにおいて、精製塔6から得られた塔底液と、抽出塔2からの回収触媒液と、原料タンクからのアクリル酸とを重質分解器7に送給して重質分の分解、エステル化反応を行った。精製塔6の塔底液の組成は以下の通りであり、塔底液は820kg/hrで重質分解器7に導入した。また、抽出塔2からの回収触媒液の組成は以下の通りであり、回収触媒液は110kg/hrで重質分解器7に導入し、アクリル酸は110kg/hrで重質分解器7に導入した。
<塔底液組成>
アクリル酸ブチル:41重量%
ブトキシプロピオン酸ブチル:48重量%
ヒドロキシプロピオン酸ブチル:1重量%
ダイマー酸ブチル:4重量%
マレイン酸ジブチル:5重量%
<回収触媒液組成>
水:75重量%
ブタノール:3重量%
p−トルエンスルホン酸:18重量%
即ち、酸触媒含有液の酸触媒濃度は18重量%で、混合液の酸触媒濃度は1.9重量%である。
重質分解器は反応温度170℃、反応圧力100kPa、塔底液抜出量240kg/hrで運転し、塔頂留出物はエステル化反応器1に循環した。
この結果、90日間、重質分解器7のリボイラー7Aの閉塞トラブルを引き起こすことなく安定に連続運転することができた。
[比較例1]
実施例1において、エステル化反応器1への酸触媒供給量を変更し、酸触媒含有液(回収触媒)の酸触媒(p−トルエンスルホン酸)濃度を30重量%、混合液の酸触媒濃度を3.5重量%として運転を行ったところ、運転開始から15日間で重質分解器7のリボイラー7Aの閉塞トラブルにより運転停止となった。
1 エステル化反応器
2 抽出塔
3 アクリル酸分離塔
4 静置槽
5 軽沸分離塔
6 精製塔
7 重質分解器
7A リボイラー
8 溶媒回収塔

Claims (5)

  1. (メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて(メタ)アクリル酸エステルを含むエステル化反応液を得る反応工程と、該エステル化反応液から(メタ)アクリル酸エステルと重質分とを蒸留分離する精製工程と、該重質分を酸触媒含有液との混合液として重質分解器に導入して分解、エステル化反応させることにより(メタ)アクリル酸エステル及びアルコールを含む有価物を回収する回収工程とを含む(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、下記(1)及び/又は(2)の条件を満たすことを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
    (1) 前記酸触媒含有液の酸触媒濃度が28重量%以下
    (2) 前記混合液の酸触媒濃度が1〜3重量%
  2. 前記酸触媒含有液の酸触媒濃度が10〜25重量%で、前記混合液の酸触媒濃度が1〜2.5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  3. 前記エステル化反応液中の酸触媒を水で抽出して回収する抽出工程を含み、前記混合液は、該抽出工程からの酸触媒含有液と原料(メタ)アクリル酸を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  4. 前記有価物を前記反応工程に返送する返送工程を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  5. 前記重質分解器の塔頂より前記有価物を回収し、前記重質分解器の塔底液を廃油として系外に排出する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法であって、該重質分解器に導入される前記混合液に対する該廃油の割合が10〜40重量%であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
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