JP6036401B2 - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に係り、(メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含有するエステル化反応液を中和、洗浄した後、油水分離して得られた油相を軽沸分離塔、及び精製塔に順次送給して(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、軽沸分離塔における蒸留運転トラブルを防止して、長期に亘り安定かつ効率的に(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法に関する。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸との総称であり、そのいずれか一方でもよく双方でもよい。
(メタ)アクリル酸エステルは重合性を有する化合物であって、得られる重合体に優れた特性を付与することができることから、種々の用途、例えば塗料、接着剤、粘着剤、合成樹脂、繊維などの原料として幅広く用いられている。
(メタ)アクリル酸エステルの製造方法としては、酸触媒の存在下、(メタ)アクリル酸とアルコールとをエステル化反応させる方法が一般に広く用いられている。更に、得られたエステル化反応液から酸触媒及び未反応の(メタ)アクリル酸を除去するために、水で抽出後、アルカリ水溶液で処理し、その後、(メタ)アクリル酸エステルを含有する油層(有機層)と、このような洗浄、中和処理で生じる水及び中和塩を含有する水層とを静置槽で静置分離することが一般的に行われている(例えば特許文献1)。
図1は、従来の一般的なアクリル酸エステルの製造プロセスを示す系統図であって、アクリル酸、アルコールは、酸触媒の存在下、エステル化反応器1を経てエステル化反応し、エステル化反応で生成する水は、エステル化反応器1から系外へ排出される。エステル化反応液は、抽出塔(触媒回収塔)2で水と向流接触して酸触媒が抽出分離、回収され、回収された触媒の一部はエステル化反応器1の入口側へ循環されて再利用され、残部は後段の重質分解器7に送給され、重質分解器7における重質分の分解やエステル化反応に使用される。抽出塔2からの反応液は、アクリル酸分離塔3でアルカリ水溶液が添加されて中和されると共に、水で洗浄される。アクリル酸分離塔3からの中和・洗浄処理液は、静置槽4で油水分離され、水相は系外へ排出され、油相は次の軽沸分離塔5に送給されて未反応のアルコール等の軽沸分が蒸留分離され、塔頂より抜き出される。軽沸分離塔5の塔底液は、次の精製塔6に送給されて重質分が蒸留分離され、製品の高純度アクリル酸エステルが塔頂より取り出される。精製塔6の塔底液は、重質分解器7に送給され、重質分の分解、蒸留でアクリル酸やアクリル酸エステルやアルコールを生成させ、これら有価物は反応器に循環させ、この重質分解器7の塔底液は廃油として系外へ排出される。
図2は、従来の一般的なアクリル酸エステルの製造プロセスを示す別の系統図であって、アクリル酸、アルコールは、固体酸触媒の存在下、エステル化反応器1を経てエステル化反応し、エステル化反応で生成する水は、エステル化反応器1から系外へ排出される。エステル化反応液は、アクリル酸分離塔3でアルカリ水溶液が添加されて中和されると共に、水で洗浄される。アクリル酸分離塔3からの中和・洗浄処理液は、静置槽4で油水分離され、水相は系外へ排出され、油相は次の溶媒回収塔(溶媒分離塔)8に送給されて溶媒が蒸留分離され、その後軽沸分離塔5に送給されて未反応のアルコール等の軽沸分が蒸留分離され、塔頂より抜き出される。軽沸分離塔5の塔底液は、次の精製塔6に送給されて重質分が蒸留分離され、製品の高純度アクリル酸エステルが塔頂より取り出される。精製塔6の塔底液は、重質分解器7に送給され、重質分の分解、蒸留でアクリル酸やアクリル酸エステルやアルコールを生成させ、これら有価物は反応器に循環させ、この重質分解器7の塔底液は廃油として系外へ排出される。
なお、従来、(メタ)アクリル酸エステルの製造において、反応液を蒸留塔で蒸留し、塔頂から軽沸分、塔底から高沸分を蒸留分離し、塔の中段部分から得られた気体状の(メタ)アクリル酸エステル留分を水滴捕捉部材を通過させて気体中のミストを除去することにより、この気体中にミストとして存在している重合防止剤を除去し、重合防止剤を含まない製品(メタ)アクリル酸エステルを得る方法が特許文献2で提案されている。この水滴捕捉部材が油相中の水滴の除去に用いられた例はない。
特開2003−231665号公報 特開2005−239564号公報
(メタ)アクリル酸エステルの製造プロセスにおいては、エステル化反応液の中和に用いた水酸化ナトリウム等に由来するアルカリ金属塩が持ち込まれることで、後段の軽沸分離塔等の蒸留塔が汚染され、蒸留性能が悪化するという問題があった。
即ち、水酸化ナトリウム等の塩基性化合物を用いて(メタ)アクリル酸を中和することにより(メタ)アクリル酸ナトリウム等のアルカリ金属塩が生成し、これが後段の蒸留系統に持ち込まれると、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩が蒸留塔内の充填物等に固着して蒸留塔の安定運転を阻害する。具体的には、アクリル酸エステルの製造プロセスでは、軽沸分離塔におけるアルコール等の蒸留分離性能が悪化し、製品のアクリル酸エステルにアルコール等が混入するようになる。
この場合には、運転を停止して軽沸分離塔内を清掃したり充填物を交換したりする必要があり、長期連続運転を行えず、生産性は著しく低下することとなる。
本発明は上記従来の問題点を解決し、このような(メタ)アクリル酸エステルの製造プロセスにおいて、軽沸分離塔におけるアルカリ金属塩に起因する蒸留運転トラブルを防止する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アルカリ金属は、軽沸分離塔に持ち込まれる水中に含まれて軽沸分離塔に持ち込まれること、従って、軽沸分離塔の前段の(メタ)アクリル酸分離塔や静置槽内に水滴捕捉部材を設けて油相に混入した微小水滴を捕捉し、軽沸分離塔に導入される液中の水分量を低減することにより、軽沸分離塔における蒸留運転トラブルを防止することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] (メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含有するエステル化反応液を、(メタ)アクリル酸分離塔で中和、洗浄し、中和・洗浄処理液を静置槽で静置して油水分離し、得られた油相を軽沸分離塔に導入してアルコールを含む軽沸分を除去する工程を含む(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、該(メタ)アクリル酸分離塔及び/又は該静置槽内における油水界面と液抜き出し口との間の、該油水界面よりも1〜5m上方に水滴捕捉部材を設けたことを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[2] 前記水滴捕捉部材は、略水平に設けられていることを特徴とする[1]に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[3] 前記水滴捕捉部材が、気体中に同伴される液体の微粒子を気体中から分離除去する作用を有するものであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[4] (メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含有するエステル化反応液を、中和、洗浄して塔上部より(メタ)アクリル酸エステルを含有する中和・洗浄処理液を抜き出すと共に、塔下部より(メタ)アクリル酸を含有する排水を得る(メタ)アクリル酸分離塔において、該塔内の油水界面と中和・洗浄処理液抜き出し口との間の、該油水界面よりも1〜5m上方に水滴捕捉部材が設けられていることを特徴とする(メタ)アクリル酸分離塔。
[5] (メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含有するエステル化反応液を、中和、洗浄して得られた中和・洗浄処理液を静置して、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする油層と水層とに油水分離し、槽上部より油相を抜き出すと共に、槽下部より水相を抜き出す静置槽において、
該槽内の油水界面と油相抜き出し口との間の、該油水界面よりも1〜5m上方に水滴捕捉部材が設けられていることを特徴とする静置槽。
本発明によれば、(メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含有するエステル化反応液を中和、洗浄した後、油水分離して得られた油相を軽沸分離塔、及び精製塔に順次送給して(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、軽沸分離塔におけるアルカリ金属塩に起因する蒸留運転トラブルを防止し、長期に亘り、安定かつ効率的な(メタ)アクリル酸エステルの製造を行える。
一般的なアクリル酸エステルの製造プロセスの一例を示す系統図である。 一般的なアクリル酸エステルの製造プロセスの別の例を示す系統図である。
以下に本発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、(メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含有するエステル化反応液を、(メタ)アクリル酸分離塔で中和、洗浄し、中和・洗浄処理液を静置槽で静置して油水分離し、得られた油相を軽沸分離塔に導入してアルコールを含む軽沸分を除去する工程を含む(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、該(メタ)アクリル酸分離塔及び/又は該静置槽内における油水界面と液抜き出し口との間に水滴捕捉部材を設けたことを特徴とする。
また、本発明の(メタ)アクリル酸分離塔は、このような本発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において用いられる(メタ)アクリル酸分離塔であって、塔内の油水界面(即ち、(メタ)アクリル酸分離塔の運転時に油水界面が存在する位置)と中和・洗浄処理液抜き出し口との間に、水滴捕捉部材が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の静置槽は、このような本発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において用いられる静置槽であって、槽内の、油水界面(即ち、静置槽の運転時に油水界面が存在する位置)と、油相抜き出し口との間に、水滴捕捉部材が設けられていることを特徴とする。
前述の如く、ナトリウム等のアルカリ金属は、静置槽で油水分離され軽沸分離塔に導入される油相に含まれる水滴中に含有されて軽沸分離塔内に持ち込まれることにより、軽沸分離塔内の特に充填材表面にアルカリ金属塩が析出し、これが堆積することで軽沸分離塔の安定運転を阻害する。
このため、本発明では、(メタ)アクリル酸分離塔及び/又は静置槽の油水界面と液抜き出し口との間の領域、即ち、油相内に位置する部分に、水滴捕捉部材を設け、油相中の微小水滴をこの水滴捕捉部材により捕捉して除去することで、軽沸分離塔へのアルカリ金属の持ち込みを防止する。
水滴捕捉部材としては、気体中に同伴される液体の微粒子(ミスト)を気体中から分離除去する作用を有するもの(以下「デミスター」と称することがある)を用いることができる。デミスターとしては、市販のものを用いることができるが、(メタ)アクリル酸分離塔及び静置槽の安定運転を阻害しないために、以下のようなものを用いることが好ましい。
即ち、水滴捕捉部材は、通常、SUS、亜鉛鍍金鉄、銅、アルミニウム等の金属線やガラス繊維、ポリプロピレン、テフロン等の網状物が複数枚積層されて構成されたものが一般的であり、空間率(網状物積層体の見掛け体積に対する空間部分の割合)、表面積比(網状物積層体の見掛け表面積と網状物積層体の見掛け体積の比)、密度(網状物積層体の見掛け体積に対する網状物積層体の重さの比)で、その性能が評価されるものであるが、空間率については94%以上、特に97〜99.5%程度であることが好ましく、表面積比は150〜2000m/m、特に150〜500m/mであることが好ましい。また、密度は70〜500kg/m、特に100〜200kg/mであることが好ましい。空間率が小さ過ぎると、圧力損失が大きくなり、逆に空間率が大き過ぎると水滴の捕捉効率が低下する。表面積比が小さ過ぎると水滴の捕捉効率が低くなり、逆に表面積比が大き過ぎると空間率が小さくなって圧力損失が多くなる傾向がある。密度は、網状物の材質によっても異なるが、小さ過ぎると水滴の捕捉効率が低下し、大き過ぎると圧力損失が大きくなる。
また、網状物積層体の見掛け上の厚さについては、占有体積を抑えた上で十分な水滴の捕捉効率を得る上で10〜40cm程度であることが好ましい。
水滴捕捉部材は、(メタ)アクリル酸分離塔及び/又は静置槽の油水界面と液抜き出し口との間の領域であれば、どのような位置に設けてもよいが、一般的には、油水界面よりも1〜5m程度上方に設けることが、油相内の水滴を効率的に捕捉する上で好ましい。水滴捕捉部材の設置位置が油水界面に近すぎると、本来油水分離されて排水として排出される水滴まで補足してしまう場合があり、水滴捕捉部材の使用効率が悪い。水滴捕捉部材の設置位置が液抜き出し口に近過ぎると、液抜き出し口近傍の液流の変化で水滴の捕捉効率が安定しない場合がある。
なお、水滴捕捉部材は、(メタ)アクリル酸分離塔及び/又は静置槽の油相内において、油相の液流がすべて水滴捕捉部材を通過して液抜き出し口から流出するように、(メタ)アクリル酸分離塔及び/又は静置槽に略水平に、(メタ)アクリル酸分離塔及び/又は静置槽の横断面の全体に存在するように設けることが好ましい。ここで、「略水平」とは水平に対して±30°以内の傾きであることをさす。
水滴捕捉部材に捕捉された水滴は一部互いに会合して大きな水滴となって油層内を流下するものであるが、その多くは水滴捕捉部材に捕捉されたまま水滴捕捉部材の網状物の積層体内に保持され、(メタ)アクリル酸分離塔又は静置槽のメンテナンス時に水滴捕捉部材から取り除かれる。
このように、(メタ)アクリル酸分離塔及び/又は静置槽の所定の位置に水滴捕捉部材を設けて、油層中の微小水滴を捕捉することにより、この水滴中に含まれて軽沸分離塔に持ち込まれるアルカリ金属量を大幅に低減して軽沸分離塔を長期に亘り安定に連続運転することが可能となる。
以下に、(メタ)アクリル酸エステルの一般的な製造方法について図1を参照して説明する。ただし、本発明の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、図1に示す製造プロセスに限らず、図2に示す製造プロセス、その他、(メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含有するエステル化反応液を中和、洗浄した後、油水分離して得られた油相を軽沸分離塔、及び精製塔に順次送給して(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法に適用することができる。
本発明で製造される(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されず、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルの製造では、一般的には(メタ)アクリル酸とアルコールとから酸触媒の存在下、エステル化反応器1を経てエステル化反応させて対応するエステルを製造する。通常原料である(メタ)アクリル酸とアルコールとは、モル比1.0:0.5〜1.0:2.0の割合で反応器に供給される。酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、あるいは、メタンスルホン酸等の有機酸や硫酸、塩酸等の鉱酸が用いられる。酸触媒は反応液に対し、0.1〜5.0重量%、好ましくは1.0〜2.5重量%の割合で添加される。反応は70〜180℃の温度で、蒸留や共沸蒸留によりエステル化反応で生成する反応生成水を除去しながら行われる(反応蒸留方式)。生成水の除去を容易にするために、反応に不活性な共沸剤が添加されることがある。共沸剤としては、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン等の炭化水素が用いられることが多い。反応生成水は蒸気分離膜、ベーパーレイション膜などの膜分離や、蒸留以外の方法で除去される場合もある。
また、反応系には、通常、ポリマーの生成を防止するために、重合防止剤が添加される。重合防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン等のアミン類、ジブチルジチオカルバミン酸銅、酢酸マンガン等の重金属塩、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、テトラメチルピペリジノオキシル誘導体等のアミノキシル類が知られている。重合防止剤の添加量は、エステル化反応液中の重合防止剤濃度が20〜1000ppm程度となる量とすることが好ましい。
エステル化反応液は、抽出塔(触媒回収塔)2で水と向流接触して酸触媒が抽出分離、回収され、回収された酸触媒の一部はエステル化反応器1の入口側へ循環され再利用され、残部は後段の重質分解器7に送給され、重質分解器7における重質分の分解に使用される。抽出塔2からの反応液は、アクリル酸分離塔3でアルカリ水溶液が添加されて中和されると共に、水で洗浄された後、アクリル酸分離器3の塔頂から静置槽4に送給されて油水分離される。
抽出塔2でエステル化反応液と向流接触させる水の比率は、エステル化反応液に対して0.5(重量比)以下が好ましく、最適には0.05〜0.2(重量比)である。水は、新しく添加されても良いが、エステル化反応器1から得られる反応生成水を用いることもでき、この場合には、排水量を少なくすることができる利点がある。
抽出塔2の形式としては、通常のものを用いることができる。一般的な抽出塔は、塔下部よりエステル化反応液、塔上部より抽出用の水を供給し、塔頂より酸触媒などが抽出除去された反応液を、塔底より酸触媒、(メタ)アクリル酸等を含む水溶液を得る型式のものであるが、特に制限されるものではない。抽出塔としては、充填塔、棚段塔などが一般的に用いられるが、液液接触効率の高い装置が好ましい。抽出塔は、一段でも多段に設けてもよい。
アクリル酸分離塔3としては抽出塔2と同様のものを用いることができる。ただし、アクリル酸分離塔3に水滴捕捉部材を設ける場合は、前述の如く、アクリル酸分離塔3内の所定位置に水滴捕捉部材を設置する。
中和に用いるアルカリ水溶液としては、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を挙げることができる。酸性の水溶性不純物を含有するエステル化反応液を中和してこれらの不純物を完全に除去するために、中和後のアクリル酸含有液のpHが9以上となるようにアルカリ水溶液を供給することが好ましい。
アクリル酸分離塔3で中和、洗浄して(メタ)アクリル酸等の酸性の水溶性不純物を除去した後のエステル化反応液(以下、「中和・洗浄処理液」と称す場合がある。)は、アクリル酸分離塔3の塔頂から抜き出され、中和、洗浄に用いた水は塔底より排水として系外へ排出される。アクリル酸分離塔3からの中和・洗浄処理液には、中和・洗浄処理液中のアルカリ金属の除去効率を高めるために、更に水が添加される場合もあり、その後静置槽4に送給される。この中和・洗浄処理液への水の添加量は、少な過ぎるとアルカリ金属の除去効率の向上効果を十分に得ることができず、多過ぎてもそれ以上の効果の向上は望めず、徒に液量が増大して工業的に不利である。従って、添加する水の量は、中和・洗浄処理液に対して通常、0〜100重量%、好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは2〜6重量%である。
中和・洗浄処理液に添加する水は、金属成分などの新たな汚染源となるものを高濃度に含まないものであれば良く、工水、純水、蒸気凝縮水などを用いることができる。
必要に応じて水が添加された中和・洗浄処理液は、次いで静置槽4で静置されて油水分離され、水相は排水として系外へ排出され、油相は軽沸分離塔5に送給される。静置槽4に水滴捕捉部材を設ける場合は、前述の如く、静置槽4内の所定の位置に水滴捕捉部材を設置する。
静置槽4から軽沸分離塔5に送給された油相は、アルコール等の軽沸分が塔頂より蒸留分離され、塔頂留出物は反応器1へ循環される。一方、塔底液は更に精製塔6で高沸分が蒸留分離され、塔頂より製品のアクリル酸エステルが分離される。
精製塔6の塔底液は重質分解器7で処理され、有価物は反応系へ循環され、塔底液は廃油として系外へ排出される。即ち、精製塔6の塔底液には、アクリル酸とアルコールとのエステル化反応工程で副生したアルコキシプロピオン酸アルキル等のミカエル付加物が含まれているため、この塔底液を重質分解器7に送給し、酸触媒(図1では、抽出塔2の回収酸触媒)、アクリル酸を添加してこれらを分解すると共に蒸留分離してアルコール、アクリル酸エステル等の有価物を回収し、これらを反応系に循環させる。
軽沸分離塔5としては通常蒸留塔として用いられるものであれば、どのようなものでも良く、好ましくは充填塔が用いられる。また、精製塔6としては通常蒸留塔として用いられるものであれば、どのようなものでも良く、好ましくは棚段塔が用いられる。また、重質分解器7は通常蒸留装置として用いられるものであればどのようなものでも良く、好ましくは単蒸留用のドラムが用いられる。
なお、上記の運転時に、中和・洗浄・静置時に抜き出される有機層及び/又は水層が発生し、また、反応開始時には、規格外プロセス液が、反応停止時にはプロセス抜き出し液等などが発生し、これらは、プロセス(ストリーム)外に抜き出される。これらのプロセス外抜き出し液には未反応原料などの有価物が含まれる一方で、有機層中にポリマー、水層中にアルカリ金属塩が含まれ、有機層/水層界面には双方が濃縮していると考えられ、プロセス外抜き出し液のプロセスへの循環でこれらがプロセスに再持ち込みされた場合には運転悪化の原因ともなりうるため、プロセス外抜き出し液のプロセスへの循環の際には注意が必要である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下において、アクリル酸ブチル、n−ブタノール、ブトキシプロピオン酸ブチルの濃度はガスクロマトグラフィーにより測定した。
[実施例1]
重合防止剤としてフェノチアジンとハイドロキノンを併用し、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸を用い、図1に示す製造装置により、アクリル酸ブチルの製造を行った。
アクリル酸分離塔3には、水滴捕捉部材として、YORK社製「YORK MESH 431」を、塔内の油水界面より4m上方に水平断面方向にかつ水平断面の全体に設けた。この水滴捕捉部材は、SUS316よりなる網状物の積層体であり、空間率は98.2%、表面積比は280m/m、密度は144kg/mで、見掛け上の厚さは15cmである。
アクリル酸とn−ブタノールとは1:1のモル比で用いた。また、p−トルエンスルホン酸は反応液に対して1.3重量%用い、反応温度は95℃とした。重合防止剤は、エステル化反応液中のフェノチアジン濃度が30ppm、ハイドロキノン濃度が300ppmとなるように用いた。
エステル化反応器1の出口液13t/hrを抽出塔2に送給し、水1200kg/hrで洗浄抽出処理した後、13t/hrの流量でアクリル酸分離塔3に送給し、25重量%水酸化ナトリウム水溶液150kg/hrと水400kg/hrで中和、水洗した。
抽出塔2からアクリル酸分離塔3に送給される液の組成はアクリル酸ブチル87重量%、n−ブタノール6重量%、ブトキシプロピオン酸ブチル4重量%であった。(メタ)アクリル酸分離塔からの中和・洗浄処理液13t/hrに水400kg/hrを添加して静置槽4で油水分離し、水層を軽沸分離塔5、精製塔6で順次蒸留して製品のアクリル酸ブチルを得た。
上記運転条件で、軽沸分離塔5の蒸留運転トラブルを起こすことなく、54日間連続運転を安定に行うことができた。
アクリル酸分離塔で使用後の水滴捕捉部材を取り外し確認したところポリアクリル酸ブチル、アクリル酸ナトリウム等から成るヘドロ状物質の付着が確認された。水滴捕捉部材を設けない場合は、これらの物質が下流へ持ち込まれ運転を悪化させていたと考えられる。また、水滴捕捉部材が汚れ、メッシュの閉塞が目立つ状態で運転した際には運転開始から19日程度で運転状況が悪化し運転停止となっていたことからも、水滴捕捉部材のポリマー・水滴捕捉効果を十分に発揮させることが運転上重要である。
なお、実施例1では水滴捕捉部材をアクリル酸分離塔3に設けているが、静置槽4に設けてもよく、アクリル酸分離塔3と静置槽4との両方に設けてもよい。
1 エステル化反応器
2 抽出塔
3 アクリル酸分離塔
4 静置槽
5 軽沸分離塔
6 精製塔
7 重質分解器
8 溶媒回収塔

Claims (5)

  1. (メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含有するエステル化反応液を、(メタ)アクリル酸分離塔で中和、洗浄し、中和・洗浄処理液を静置槽で静置して油水分離し、得られた油相を軽沸分離塔に導入してアルコールを含む軽沸分を除去する工程を含む(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、
    該(メタ)アクリル酸分離塔及び/又は該静置槽内における油水界面と液抜き出し口との間の、該油水界面よりも1〜5m上方に水滴捕捉部材を設けたことを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  2. 前記水滴捕捉部材は、略水平に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  3. 前記水滴捕捉部材が、気体中に同伴される液体の微粒子を気体中から分離除去する作用を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  4. (メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含有するエステル化反応液を、中和、洗浄して塔上部より(メタ)アクリル酸エステルを含有する中和・洗浄処理液を抜き出すと共に、塔下部より(メタ)アクリル酸を含有する排水を得る(メタ)アクリル酸分離塔において、
    該塔内の油水界面と中和・洗浄処理液抜き出し口との間の、該油水界面よりも1〜5m上方に水滴捕捉部材が設けられていることを特徴とする(メタ)アクリル酸分離塔。
  5. (メタ)アクリル酸とアルコールとを酸触媒の存在下に反応させて得られた(メタ)アクリル酸エステルを含有するエステル化反応液を、中和、洗浄して得られた中和・洗浄処理液を静置して、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする油層と水層とに油水分離し、槽上部より油相を抜き出すと共に、槽下部より水相を抜き出す静置槽において、
    該槽内の油水界面と油相抜き出し口との間の、該油水界面よりも1〜5m上方に水滴捕捉部材が設けられていることを特徴とする静置槽。
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