JP3602620B2 - 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トの精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トの着色及び経時的な変色を有効に防止する3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トの精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
(メタ)アクリレート化合物は、熱や紫外線、イオン化放射線、ラジカル重合重合開始剤の存在下で容易に単独重合または不飽和基含有化合物と共重合することが可能であり、塗料用樹脂等の中間原料として有用な化合物である。
このメタアクリレート化合物の一種である3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トは、着色し易く、これを用いた製品が着色しあるいは経時的に変色を起こす場合がある。この問題に対しては、固体脱色剤を添加した後に低温貯蔵する方法が特開平2−191267号公報に開示され、あるいは経時的変色防止剤の添加が、特開平4−217674号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トは、反応夾雑物である有機過酸等を除去するため、蒸留や水洗、あるいは中和処理等により反応粗液の精製が行われる。従って、前記開示された方法では、これら精製操作の後に別途に、固体脱色剤を添加し、その後にバッチによる攪拌混合、固液分離を行わねばならず作業として甚だ煩わしい。さらに、経時的変色防止剤を新たに添加することも場合によっては必要となる。
従って、これらの煩わしい作業に代わり、着色を防止し、さらに経時的変色を防止し得る簡便かつ効果的な方法の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トの精製方法を詳細に検討した結果、低沸成分低減工程でアルカリ処理を行ったところ上記問題点を解決しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、下記一般式(I)で表されるシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−トを有機過酸でエポキシ化して得られる下記一般式(II)で表される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートを含有する反応粗液を(a)水洗し、(b)アルカリ中和処理し、(c)温度30〜100℃で減圧し低沸成分含量を3〜50重量%とし、(d)アルカリ水洗し、(e)温度30〜100℃で(c)の工程の絶対圧の1/2以下の減圧で低沸成分含量を1重量%以下とすることを特徴とする3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートの精製方法を提供するものである。また、前記記載の(d)アルカリ水洗が、ミキサ−セトラ−による連続的アルカリ水洗であること特徴とする3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートの精製方法を提供するものである。さらに、前記記載の(c)または(e)の低沸成分低減処理を、フラッシュ管で行うことを特徴とする3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートの精製方法を提供するものである。以下、詳細に本発明を説明する。
【0006】
【化3】
【0007】
【化4】
【0008】
一般式(II)で表される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートは、上記一般式(I)で表されるシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−トを有機過酸でエポキシ化して得られる反応粗液中に含有される。
有機過酸としては、過蟻酸、過酢酸、過プロピオン酸、m−クロロ過安息香酸、トリフルオロ過酢酸、過安息香酸等が例示できる。これらは触媒と併用してよく、触媒としては炭酸ソーダ等のアルカリ類や、硫酸等の酸類が使用できる。
【0009】
反応はバッチ式の他、連続式でも実施できる。連続式の場合はピストンフロー型式が好ましい。また、バッチ方式の場合には、有機過酸を逐次的に仕込むセミバッチ方式が好ましい。セミバッチ式の場合は、反応器内にシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−トを所定量仕込み、この中に必要に応じて触媒、安定剤を溶解させ、この中に前記過酢酸などの有機過酸を滴下する。
【0010】
有機過酸とシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−トとの反応モル比は0.1〜10の範囲、好ましくは0.5〜10の範囲、特には0.8〜1.5の範囲であることが好ましい。有機過酸とシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−トとのモル比が10を越える場合には、過剰の有機過酸による副反応や未反応の有機過酸の回収に多大の時間と費用を要することになる。逆に、有機過酸とシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−トとのモル比が0.1以下の場合には、未反応のシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−トの重合によるロス、未反応のシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−トの回収に多大の時間と費用を要することになる。
【0011】
反応温度は、0〜70℃の範囲であることが好ましい。この温度範囲であれば、エポキシ化反応が有機過酸の分解反応に優先するからである。なお、エポキシ化反応の際、有機過酸から生じる対応する有機酸、アルコール、水でエポキシ基が開環する副反応が生じる場合があるので、予めこのような副反応が生じない温度を選択して反応させることとが好ましい。
【0012】
反応は溶媒存在下でもよい。溶媒を添加することにより反応粗液の粘度低下、有機過酸を希釈することによる反応の安定化、さらには有機酸と3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートとの反応遅延等の効果がある。
使用できる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、p−シメン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、デカリンなどの脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素、シクロヘキサノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、フルフリルアルコール等のアルコール、クロロホルム、ジメチルクロライド、四塩化炭素、クロルベンゼン等のハロゲン化物、酢酸エチル、プロピオン酸イソアミル、安息香酸メチル等のエステル化物、メチルエチルケトンなどのケトン化合物等を挙げることができる。
溶媒の使用量は、シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−トの0.5〜5倍重量であることが好ましく、特には1.5〜3倍重量であることが好ましい。0.5倍重量より少ない場合には、反応安定化などの効果が少なく、逆に5倍重量より多くしても反応安定化などの効果はそれほど上昇せず、溶媒の回収に多大の費用を要するので無駄になる。
【0013】
上記エポキシ化反応を行う際には、通常、分子状酸素含有ガスを吹き込みながら行う。分子状酸素としては通常空気が用いられ、反応容器に吹き込まれる。吹込位置は液中に直接吹き込んでもよいし、また気相中に吹き込んでも所定の効果は得られる。吹込量は任意に選べるが、多すぎると溶媒ロスとなるので好ましくない。また、系内での爆発混合気形成を回避するため、空気と共に系内に窒素を吹き込むのが通常であるが、その吹込ガス中の酸素濃度は0.01%(容量)以上好ましくは3%(容量)以上である。酸素濃度は高いほど効果があり、上限値は系での爆発限界酸素濃度以下でなければならないが、その値は使用する溶媒により異なる。例えば、溶媒に酢酸エチルを使用した場合には10%酸素濃度で吹き込む。
【0014】
エポキシ化反応を行う際には重合防止剤を添加することもできる。重合防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,5−ジヒドロキシ−p−キノン、ピペリジン、エタノールアミン、α−ニトロソ−β−ナルトール、ジフェニルアミン、フェノチアジン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等を用いることができる。
【0015】
有機過酸の安定剤として、リン酸水素アンモニウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸−2−エチルヘキシルエステル、ピロリン酸カリウム−2−エチルヘキシルエステル、ピロリン酸ナトリウム−2−エチルヘキシルエステル、トリポリリン酸、トリポリリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸−2−エチルヘキシルエステル、トリポリリン酸カリウム−2−エチルヘキシルエステル、テトラポリリン酸、テトラポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸−2−エチルヘキシルエステル、テトラポリリン酸カリウム−2−エチルヘキシルエステル、テトラポリリン酸ナトリウム−2−エチルヘキシルエステル、ヘキサメタン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。こられは各単独でもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0016】
反応の終了は、残存する有機過酸の濃度等を分析しておこなう。反応が終了したら、反応粗液から有機過酸等を除去するために水洗をする。
水洗に用いる装置としては、有機層と水層との接触時間(水洗工程における滞留時間)が短いことが必要である。滞留時間は水洗工程での3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートのロス量および3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートと有機酸水溶液との反応速度によって決定される。
【0017】
滞留時間が短い水洗装置として遠心抽出器またはミキサーセトラータイプを使用することができる。これらを工夫し、更に滞留時間が短くなるように、例えばミキサーセトラータイプの場合には、ミキサー部にラインミキサーを用い、セトラー部にできるだけ小さい槽を用いることができる。また、抽出塔の場合には、できるだけ小さい塔を使用して仕込み量を大きくすればよい。なお、遠心抽出器の場合には有機層と水層のいずれを連続層とするかによっても滞留時間に影響する。
ミキサーセトラータイプも遠心抽出器も有機層と水層の混合度を強くする程分液時間が長く必要となるので、滞留時間は分液性にも影響される。この点で、抽出塔の場合には比重差が小さく分液性が悪い場合でも遠心力を利用して短時間に分液できるので有利である。遠心抽出器を使用した場合には滞留時間は短く、数秒〜数十秒、あるいは高々1分程度である。
【0018】
水洗の温度は3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートと粗液夾雑物との反応を抑制させるため低温であることが好ましい。但し、温度を下げすぎると分液性が悪くなるので、0〜50℃の範囲、特には15〜30℃の範囲であることが好ましい。
【0019】
水洗工程での反応粗液と抽剤である水との仕込み割合は、任意であるが、通常は水/反応粗液=0.5〜3重量比の範囲、特には1〜2重量比の範囲で行うことが好ましい。水洗工程では、有機酸の抽出除去とともに残存有機過酸の除去を行うには、水洗粗液中の残存有機酸含量を0.1%以下、好ましくは0.05%以下、残存有機過酸含量を0.1%以下、好ましくは0.05%以下になるように水/反応粗液の割合を調節する。
【0020】
次いでアルカリ中和を行う。使用するアルカリとしては、NaOH、KOH、K2CO3、Na2CO3、NaHCO3、KHCO3、NH3等を使用することができる。分液性の点からは、NaOH、Na2CO3、NaHCO3の水溶液を使用することが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は、0.1〜10%、より好ましくは0.5〜2%の濃度範囲で行うことが好ましい。アルカリ水溶液の濃度を0.1%以下にした場合は、反応粗液中に残存する高沸点有機酸および高沸点有機過酸を十分に除去できない。またアルカリ水溶液の濃度を10%以上にした場合には、処理時の排水負荷が大きくなり経済的でない。
【0021】
アルカリ中和工程での反応粗液と抽剤であるアルカリ水溶液との仕込み割合は、任意であるが、通常はアルカリ水溶液/反応粗液=0.1〜5重量比の範囲、特には0.3〜2重量比の範囲で行うことが好ましい。0.1以下にした場合には、反応粗液中に残存する高沸点有機酸および高沸点有機過酸を十分に除去できない。また、当該比を5以上とした場合には、処理槽が大きくなり、処理時の排水負荷が大きくなるなどの問題がある。
【0022】
アルカリ水溶液のpHは、9以上にしなければならない。これ以下では有機酸あるいは有機過酸を除去できないからである。またアルカリ水溶液の温度は0〜50℃の範囲で行うことが好ましい。0℃以下では分液性が悪くなる。また、50℃以上で行うとアルカリ水溶液中に溶解する有機酸が増加し、排水負荷の問題となる。
【0023】
アルカリ中和処理は連続もしくはバッチで行うが、連続の場合はミキサーセトラータイプが好ましい。なお、アルカリ中和処理では有機酸の除去と共に残存有機過酸を除去することが重要であり、反応粗液中の残存有機過酸含量を0.01%以下にする必要がある。
【0024】
アルカリ中和を行った粗液から低沸成分を低減させる。低沸成分の低減にはフラッシュ管または薄膜蒸発器を用いて2段階に分割して行うことが好ましく、特にはフラッシュ管によることが好ましい。
1段階目の低減処理は、加熱温度30〜100℃、好ましくは50〜70℃の範囲で行い、用いた溶媒の物性によって任意の減圧状態を選択する。溶媒に酢酸エチルを用いた場合には、圧力10〜500torr、好ましくは80〜200torrの範囲であることが好ましい。処理後の溶媒濃度は、3〜50重量%が好ましく、特に好ましくは10〜20重量%の範囲である。溶媒濃度を3重量%以下にするには高真空にしなければならず、留出する溶媒を捕集する際に回収のロスが大きくなるため不利である。逆に50重量%以上とすると、続く2段階目の低沸成分の低減処理が高真空で行なわれるため、留出する溶媒がコンデンサーで捕集できず回収ロスになる。
2段階目の低沸成分の低減処理は、加熱温度30〜100℃の範囲、特には50〜70℃の範囲で行うことが好ましい。そのときの圧力は第1段階目の圧力の絶対圧の1/2以下になるよう減圧度を強化して行う。圧力は使用する溶媒の物性により異なり、例えば、溶媒に酢酸エチルを用いた場合には、5〜250torrの範囲、好ましくは10〜40torrの範囲である。処理後の2段階目の溶媒濃度は、1重量%以下であることが好ましい。
【0025】
低沸成分の各段階の低減工程においては、水洗またはアルカリ中和により失われた重合防止剤あるいは有機過酸の安定剤を補うため、アルカリ中和後これらを適当量補充して行うことが好ましい。また重合防止効果のある分子状酸素を蒸留器に導入してもよく、この場合導入位置は塔底液が留出するラインから吹き込むことが好ましい。吹込量は真空系の能力、あるいは処理液が安定に流下するかどうか、あるいは流出した溶媒をコンデンサーで捕集する際の回収ロスという観点から選択する。
【0026】
本発明においては、低沸成分の低減処理工程の1段階目が終了した時点で、2段階目の前に、例えばミキサ−セトラ−タイプによるアルカリ水洗を連続的に行う。
2段階目の低沸成分の低減処理後にバッチによるアルカリ処理工程を追加すると、単に作業工程を増やすことになるため従来法と比較し優位ではなく、品質面でも水分が高くて使用できない場合がある。また、低沸成分低減工程の前に処理したのでは、先のアルカリ水洗による溶媒により希釈され、着色防止効果が充分に現れない。従って溶媒の混在が少ない状態である低沸成分の低減処理工程の1段階目と2段階目の間に着色防止のためのアルカリ水洗処理をする。
【0027】
アルカリ水洗は、ミキサーセトラータイプにより連続的水洗が好ましい。使用するアルカリとしては、NaOH、KOH、K2CO3、Na2CO3、NaHCO3、KHCO3、NH3等を使用することができる。分液性の点からは、NaOH、Na2CO3、NaHCO3の水溶液を使用することが好ましい。アルカリ水洗工程は、10〜90℃、好ましくは10〜50℃の温度範囲で行うのがよい。
使用するアルカリ濃度は、分液できる比重差を取れる範囲であることが必要であり、50%以下であることが好ましく、特には10%以下であることが好ましい。また、アルカリ水洗工程での水洗粗液と抽剤であるアルカリ水溶液との仕込み割合は、アルカリ水溶液/低沸成分処理粗液=0.1〜10の範囲、好ましくは、0.5〜2(重量比)の範囲である。アルカリ水洗後の粗液を2段階目の低沸成分の低減処理工程に導入する場合は、アルカリ水洗で重合防止剤の水層側へロスが生じるので、これを必要に応じて追加仕込みする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を示し本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0029】
(比較例1)
図1の反応工程により、撹拌機および冷却用ジャケットが付いた内容量20リットルのSUS316製反応槽1にシクロヘキセニルメチルアクリレ−ト(以後CHMAと略する)3000g、酢酸エチル11,100g、ハイドロキノンモノメチルエ−テル0.9g、トリポリリン酸ナトリウム9.0gを加え、反応器には挿入管から酸素/チッ素(10/90容量%)の混合ガスを32リットル/Hrで吹込んだ。
次いで反応温度を40℃に保ち、30%の過酢酸溶液5,623gを定量ポンプで4時間かけて仕込んだ。仕込み終了後、さらに5時間熟成槽2にて熟成後、反応を終了させた。このようにして3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレ−ト(以後AETHBと略する)を含む反応粗液19,723gを得た。
ロ−タ外径46cm、ロ−タ内径25mmのロ−タを毎分4,000回転させている遠心抽出器3に軽液入口よりAETHBを含む反応粗液を2,108g/分の速度で仕込むと同時に、重液入口より水を3,590g/分の速度で仕込むことにより、軽液出口より軽液を1,664g/分の速度で、重液出口より重液を4,034g/分の速度で得た。
得られた軽液を再度同じ遠心抽出器に2,108g/分の速度で仕込むと同時に、重液入口より水を3,590g/分の速度で仕込むことにより、軽液出口より軽液を1,877g/分の速度で、重液出口より重液を3,821g/分の速度で得た。軽液中の酢酸、過酢酸濃度はそれぞれ400ppm、150ppmであった。
このようにして得られた粗液(遠心抽出軽液)を撹拌機および冷却用ジャケットが付いた内容量15リットルのSUS316製処理槽(アルカリ中和槽4)に3,000g仕込み、そこに1%NaOH水溶液を3,000g仕込み、温度を10℃に保ちながら1時間撹拌をした。
次に分液槽5で分離した粗液2,790gにハイドロキノンモノメチルエ−テル0.16gを加え、第一蒸発装置6としてSUS製スミス式薄膜蒸発器で1段階目の低沸成分の低減処理をした。操作条件は加熱温度60℃圧力、150mmHgで、塔底液留出ラインから酸素/窒素の混合ガスを32リットル/Hrで吹き込んだ。
この塔底液をアルカリ水洗槽7および関連装置を使用しないで、加熱温度60℃、圧力40mmHgの条件により第二蒸発装置8で2段目脱低沸を行い、塔底液留出ラインから、酸素/窒素(10/90容量%)の混合ガスを32リットル/Hrで吹込んだ。塔底液は538gであった。
またガスクロマトグラフィ−分析で組成を調べたところ、AETHB96.4%であった。n−ヘキサン100ccに塔底液10gを溶解し、重合物の含量を測定したところ、重合体量含量は0.01%であった。
この粗製品の着色度(APHA、以下同じ。)は200であった。これに脱色剤「キョーワード」(協和化学工業(株)製商品名)0.4部を添加し、常温で約2時間攪拌処理した。濾過分離した液の着色度は55であった。
【0030】
(比較例2)
比較例1で得られた着色度200の粗製品と1%NaOH水溶液をアルカリ溶液/粗製品=1/1で約5分バッチでアルカリ処理した。分離後の液の着色度は80であった。
【0031】
(比較例3)
比較例1の製造において、低沸成分の低減処理工程の1段階目と2段目をフラッシュ管で行ったが、アルカリ処理はしなかった。得られた粗製品の着色度は50であった。
【0032】
(実施例1)
比較例1の製造において、低沸成分の低減処理工程の1段階目と2段目をフラッシュ管で行い、1段階目が終了した後の反応粗液は、ミキサ−セトラ−(スタティックミキサーおよびアルカリ水洗槽7)で1%NaOH水溶液のアルカリ処理を行い、続けて2段目の低沸成分の低減処理を行った。着色度および経時的着色度(常圧空気雰囲気下、200mlの褐色ポリビン中で温度10℃の冷蔵庫にて保存)の結果を比較例1の結果と共に表−1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トの精製方法の特定の段階にアルカリ水洗処理を行うことにより、固体脱色剤等の薬剤の添加無しに製品の着色を防止することができる。しかも着色防止効果は極めて優れ、本発明により精製された3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−ト製品は、経時的な着色も有効に防止できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トの精製工程図の一例である。
【符号の説明】
1 エポキシ化反応槽
2 熟成槽
3 遠心抽出器
4 アルカリ中和槽
5 分液槽
6 第一蒸発装置
7 アルカリ水洗槽
8 第二蒸発装置
Claims (3)
- 請求項1記載の(d)アルカリ水洗が、ミキサ−セトラ−による連続的アルカリ水洗であること特徴とする3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートの精製方法。
- 請求項1記載の(c)または(e)の低沸成分低減処理を、フラッシュ管で行うことを特徴とする3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートの精製方法。
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