JPH0967308A - 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トの精製方法 - Google Patents

3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トの精製方法

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JPH0967308A
JPH0967308A JP24845395A JP24845395A JPH0967308A JP H0967308 A JPH0967308 A JP H0967308A JP 24845395 A JP24845395 A JP 24845395A JP 24845395 A JP24845395 A JP 24845395A JP H0967308 A JPH0967308 A JP H0967308A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メ
タ)アクリレ−トの着色及び経時的な変色を有効に防止
できる3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)
アクリレ−トの精製方法を提供する。 【解決手段】 シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリ
レ−トを有機過酸でエポキシ化して得られる3,4−エ
ポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートを含
有する反応粗液を(a)水洗し、(b)アルカリ中和処
理し、(c)温度30〜100℃で減圧し低沸成分含量
を3〜50重量%とし、(d)アルカリ水洗し、(e)
温度30〜100℃で(c)の工程の絶対圧の1/2以
下の減圧で低沸成分含量を1重量%以下とする3,4−
エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートの
精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3,4−エポキシ
シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トの着色及び
経時的な変色を有効に防止する3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トの精製方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリレート化合物は、熱や紫
外線、イオン化放射線、ラジカル重合重合開始剤の存在
下で容易に単独重合または不飽和基含有化合物と共重合
することが可能であり、塗料用樹脂等の中間原料として
有用な化合物である。このメタアクリレート化合物の一
種である3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メ
タ)アクリレ−トは、着色し易く、これを用いた製品が
着色しあるいは経時的に変色を起こす場合がある。この
問題に対しては、固体脱色剤を添加した後に低温貯蔵す
る方法が特開平2−191267号公報に開示され、あ
るいは経時的変色防止剤の添加が、特開平4−2176
74号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、3,4−エポ
キシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トは、反
応夾雑物である有機過酸等を除去するため、蒸留や水
洗、あるいは中和処理等により反応粗液の精製が行われ
る。従って、前記開示された方法では、これら精製操作
の後に別途に、固体脱色剤を添加し、その後にバッチに
よる攪拌混合、固液分離を行わねばならず作業として甚
だ煩わしい。さらに、経時的変色防止剤を新たに添加す
ることも場合によっては必要となる。従って、これらの
煩わしい作業に代わり、着色を防止し、さらに経時的変
色を防止し得る簡便かつ効果的な方法の開発が望まれて
いる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、3,4−
エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−トの
精製方法を詳細に検討した結果、低沸成分低減工程でア
ルカリ処理を行ったところ上記問題点を解決しうること
を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、下記一般式(I)で表
されるシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−トを
有機過酸でエポキシ化して得られる下記一般式(II)
で表される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メ
タ)アクリレートを含有する反応粗液を(a)水洗し、
(b)アルカリ中和処理し、(c)温度30〜100℃
で減圧し低沸成分含量を3〜50重量%とし、(d)ア
ルカリ水洗し、(e)温度30〜100℃で(c)の工
程の絶対圧の1/2以下の減圧で低沸成分含量を1重量
%以下とすることを特徴とする3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル(メタ)アクリレートの精製方法を提供
するものである。また、前記記載の(d)アルカリ水洗
が、ミキサ−セトラ−による連続的アルカリ水洗である
こと特徴とする3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレートの精製方法を提供するものであ
る。さらに、前記記載の(c)または(e)の低沸成分
低減処理を、フラッシュ管で行うことを特徴とする3,
4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレー
トの精製方法を提供するものである。以下、詳細に本発
明を説明する。
【0006】
【化3】
【0007】
【化4】
【0008】一般式(II)で表される3,4−エポキ
シシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートは、上記
一般式(I)で表されるシクロヘキセニルメチル(メ
タ)アクリレ−トを有機過酸でエポキシ化して得られる
反応粗液中に含有される。有機過酸としては、過蟻酸、
過酢酸、過プロピオン酸、m−クロロ過安息香酸、トリ
フルオロ過酢酸、過安息香酸等が例示できる。これらは
触媒と併用してよく、触媒としては炭酸ソーダ等のアル
カリ類や、硫酸等の酸類が使用できる。
【0009】反応はバッチ式の他、連続式でも実施でき
る。連続式の場合はピストンフロー型式が好ましい。ま
た、バッチ方式の場合には、有機過酸を逐次的に仕込む
セミバッチ方式が好ましい。セミバッチ式の場合は、反
応器内にシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−ト
を所定量仕込み、この中に必要に応じて触媒、安定剤を
溶解させ、この中に前記過酢酸などの有機過酸を滴下す
る。
【0010】有機過酸とシクロヘキセニルメチル(メ
タ)アクリレ−トとの反応モル比は0.1〜10の範
囲、好ましくは0.5〜10の範囲、特には0.8〜
1.5の範囲であることが好ましい。有機過酸とシクロ
ヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−トとのモル比が1
0を越える場合には、過剰の有機過酸による副反応や未
反応の有機過酸の回収に多大の時間と費用を要すること
になる。逆に、有機過酸とシクロヘキセニルメチル(メ
タ)アクリレ−トとのモル比が0.1以下の場合には、
未反応のシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−ト
の重合によるロス、未反応のシクロヘキセニルメチル
(メタ)アクリレ−トの回収に多大の時間と費用を要す
ることになる。
【0011】反応温度は、0〜70℃の範囲であること
が好ましい。この温度範囲であれば、エポキシ化反応が
有機過酸の分解反応に優先するからである。なお、エポ
キシ化反応の際、有機過酸から生じる対応する有機酸、
アルコール、水でエポキシ基が開環する副反応が生じる
場合があるので、予めこのような副反応が生じない温度
を選択して反応させることとが好ましい。
【0012】反応は溶媒存在下でもよい。溶媒を添加す
ることにより反応粗液の粘度低下、有機過酸を希釈する
ことによる反応の安定化、さらには有機酸と3,4−エ
ポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートとの
反応遅延等の効果がある。使用できる溶媒としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプ
ロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、p−シメン等の芳
香族炭化水素、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ノナン、デカン、デカリンなどの脂肪族
炭化水素や脂環族炭化水素、シクロヘキサノール、ヘキ
サノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、
フルフリルアルコール等のアルコール、クロロホルム、
ジメチルクロライド、四塩化炭素、クロルベンゼン等の
ハロゲン化物、酢酸エチル、プロピオン酸イソアミル、
安息香酸メチル等のエステル化物、メチルエチルケトン
などのケトン化合物等を挙げることができる。溶媒の使
用量は、シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ−ト
の0.5〜5倍重量であることが好ましく、特には1.
5〜3倍重量であることが好ましい。0.5倍重量より
少ない場合には、反応安定化などの効果が少なく、逆に
5倍重量より多くしても反応安定化などの効果はそれほ
ど上昇せず、溶媒の回収に多大の費用を要するので無駄
になる。
【0013】上記エポキシ化反応を行う際には、通常、
分子状酸素含有ガスを吹き込みながら行う。分子状酸素
としては通常空気が用いられ、反応容器に吹き込まれ
る。吹込位置は液中に直接吹き込んでもよいし、また気
相中に吹き込んでも所定の効果は得られる。吹込量は任
意に選べるが、多すぎると溶媒ロスとなるので好ましく
ない。また、系内での爆発混合気形成を回避するため、
空気と共に系内に窒素を吹き込むのが通常であるが、そ
の吹込ガス中の酸素濃度は0.01%(容量)以上好ま
しくは3%(容量)以上である。酸素濃度は高いほど効
果があり、上限値は系での爆発限界酸素濃度以下でなけ
ればならないが、その値は使用する溶媒により異なる。
例えば、溶媒に酢酸エチルを使用した場合には10%酸
素濃度で吹き込む。
【0014】エポキシ化反応を行う際には重合防止剤を
添加することもできる。重合防止剤としては、ハイドロ
キノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベン
ゾキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、2,4
−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチ
ル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メ
トキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレ
ゾール、2,5−ジヒドロキシ−p−キノン、ピペリジ
ン、エタノールアミン、α−ニトロソ−β−ナルトー
ル、ジフェニルアミン、フェノチアジン、N−ニトロソ
フェニルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロ
キシルアミン等を用いることができる。
【0015】有機過酸の安定剤として、リン酸水素アン
モニウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸−2−エチ
ルヘキシルエステル、ピロリン酸カリウム−2−エチル
ヘキシルエステル、ピロリン酸ナトリウム−2−エチル
ヘキシルエステル、トリポリリン酸、トリポリリン酸カ
リウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸−
2−エチルヘキシルエステル、トリポリリン酸カリウム
−2−エチルヘキシルエステル、テトラポリリン酸、テ
トラポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸ナトリウ
ム、テトラポリリン酸−2−エチルヘキシルエステル、
テトラポリリン酸カリウム−2−エチルヘキシルエステ
ル、テトラポリリン酸ナトリウム−2−エチルヘキシル
エステル、ヘキサメタン酸カリウム、ヘキサメタリン酸
ナトリウム等を用いることができる。こられは各単独で
もよいし、2種以上を併用することもできる。
【0016】反応の終了は、残存する有機過酸の濃度等
を分析しておこなう。反応が終了したら、反応粗液から
有機過酸等を除去するために水洗をする。水洗に用いる
装置としては、有機層と水層との接触時間(水洗工程に
おける滞留時間)が短いことが必要である。滞留時間は
水洗工程での3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレートのロス量および3,4−エポキシ
シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートと有機酸水
溶液との反応速度によって決定される。
【0017】滞留時間が短い水洗装置として遠心抽出器
またはミキサーセトラータイプを使用することができ
る。これらを工夫し、更に滞留時間が短くなるように、
例えばミキサーセトラータイプの場合には、ミキサー部
にラインミキサーを用い、セトラー部にできるだけ小さ
い槽を用いることができる。また、抽出塔の場合には、
できるだけ小さい塔を使用して仕込み量を大きくすれば
よい。なお、遠心抽出器の場合には有機層と水層のいず
れを連続層とするかによっても滞留時間に影響する。ミ
キサーセトラータイプも遠心抽出器も有機層と水層の混
合度を強くする程分液時間が長く必要となるので、滞留
時間は分液性にも影響される。この点で、抽出塔の場合
には比重差が小さく分液性が悪い場合でも遠心力を利用
して短時間に分液できるので有利である。遠心抽出器を
使用した場合には滞留時間は短く、数秒〜数十秒、ある
いは高々1分程度である。
【0018】水洗の温度は3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチル(メタ)アクリレートと粗液夾雑物との反応
を抑制させるため低温であることが好ましい。但し、温
度を下げすぎると分液性が悪くなるので、0〜50℃の
範囲、特には15〜30℃の範囲であることが好まし
い。
【0019】水洗工程での反応粗液と抽剤である水との
仕込み割合は、任意であるが、通常は水/反応粗液=
0.5〜3重量比の範囲、特には1〜2重量比の範囲で
行うことが好ましい。水洗工程では、有機酸の抽出除去
とともに残存有機過酸の除去を行うには、水洗粗液中の
残存有機酸含量を0.1%以下、好ましくは0.05%
以下、残存有機過酸含量を0.1%以下、好ましくは
0.05%以下になるように水/反応粗液の割合を調節
する。
【0020】次いでアルカリ中和を行う。使用するアル
カリとしては、NaOH、KOH、K2CO3、Na2
3、NaHCO3、KHCO3、NH3等を使用すること
ができる。分液性の点からは、NaOH、Na2CO3
NaHCO3の水溶液を使用することが好ましい。アル
カリ水溶液の濃度は、0.1〜10%、より好ましくは
0.5〜2%の濃度範囲で行うことが好ましい。アルカ
リ水溶液の濃度を0.1%以下にした場合は、反応粗液
中に残存する高沸点有機酸および高沸点有機過酸を十分
に除去できない。またアルカリ水溶液の濃度を10%以
上にした場合には、処理時の排水負荷が大きくなり経済
的でない。
【0021】アルカリ中和工程での反応粗液と抽剤であ
るアルカリ水溶液との仕込み割合は、任意であるが、通
常はアルカリ水溶液/反応粗液=0.1〜5重量比の範
囲、特には0.3〜2重量比の範囲で行うことが好まし
い。0.1以下にした場合には、反応粗液中に残存する
高沸点有機酸および高沸点有機過酸を十分に除去できな
い。また、当該比を5以上とした場合には、処理槽が大
きくなり、処理時の排水負荷が大きくなるなどの問題が
ある。
【0022】アルカリ水溶液のpHは、9以上にしなけ
ればならない。これ以下では有機酸あるいは有機過酸を
除去できないからである。またアルカリ水溶液の温度は
0〜50℃の範囲で行うことが好ましい。0℃以下では
分液性が悪くなる。また、50℃以上で行うとアルカリ
水溶液中に溶解する有機酸が増加し、排水負荷の問題と
なる。
【0023】アルカリ中和処理は連続もしくはバッチで
行うが、連続の場合はミキサーセトラータイプが好まし
い。なお、アルカリ中和処理では有機酸の除去と共に残
存有機過酸を除去することが重要であり、反応粗液中の
残存有機過酸含量を0.01%以下にする必要がある。
【0024】アルカリ中和を行った粗液から低沸成分を
低減させる。低沸成分の低減にはフラッシュ管または薄
膜蒸発器を用いて2段階に分割して行うことが好まし
く、特にはフラッシュ管によることが好ましい。1段階
目の低減処理は、加熱温度30〜100℃、好ましくは
50〜70℃の範囲で行い、用いた溶媒の物性によって
任意の減圧状態を選択する。溶媒に酢酸エチルを用いた
場合には、圧力10〜500torr、好ましくは80
〜200torrの範囲であることが好ましい。処理後
の溶媒濃度は、3〜50重量%が好ましく、特に好まし
くは10〜20重量%の範囲である。溶媒濃度を3重量
%以下にするには高真空にしなければならず、留出する
溶媒を捕集する際に回収のロスが大きくなるため不利で
ある。逆に50重量%以上とすると、続く2段階目の低
沸成分の低減処理が高真空で行なわれるため、留出する
溶媒がコンデンサーで捕集できず回収ロスになる。2段
階目の低沸成分の低減処理は、加熱温度30〜100℃
の範囲、特には50〜70℃の範囲で行うことが好まし
い。そのときの圧力は第1段階目の圧力の絶対圧の1/
2以下になるよう減圧度を強化して行う。圧力は使用す
る溶媒の物性により異なり、例えば、溶媒に酢酸エチル
を用いた場合には、5〜250torrの範囲、好まし
くは10〜40torrの範囲である。処理後の2段階
目の溶媒濃度は、1重量%以下であることが好ましい。
【0025】低沸成分の各段階の低減工程においては、
水洗またはアルカリ中和により失われた重合防止剤ある
いは有機過酸の安定剤を補うため、アルカリ中和後これ
らを適当量補充して行うことが好ましい。また重合防止
効果のある分子状酸素を蒸留器に導入してもよく、この
場合導入位置は塔底液が留出するラインから吹き込むこ
とが好ましい。吹込量は真空系の能力、あるいは処理液
が安定に流下するかどうか、あるいは流出した溶媒をコ
ンデンサーで捕集する際の回収ロスという観点から選択
する。
【0026】本発明においては、低沸成分の低減処理工
程の1段階目が終了した時点で、2段階目の前に、例え
ばミキサ−セトラ−タイプによるアルカリ水洗を連続的
に行う。2段階目の低沸成分の低減処理後にバッチによ
るアルカリ処理工程を追加すると、単に作業工程を増や
すことになるため従来法と比較し優位ではなく、品質面
でも水分が高くて使用できない場合がある。また、低沸
成分低減工程の前に処理したのでは、先のアルカリ水洗
による溶媒により希釈され、着色防止効果が充分に現れ
ない。従って溶媒の混在が少ない状態である低沸成分の
低減処理工程の1段階目と2段階目の間に着色防止のた
めのアルカリ水洗処理をする。
【0027】アルカリ水洗は、ミキサーセトラータイプ
により連続的水洗が好ましい。使用するアルカリとして
は、NaOH、KOH、K2CO3、Na2CO3、NaH
CO3、KHCO3、NH3等を使用することができる。
分液性の点からは、NaOH、Na2CO3、NaHCO
3の水溶液を使用することが好ましい。アルカリ水洗工
程は、10〜90℃、好ましくは10〜50℃の温度範
囲で行うのがよい。使用するアルカリ濃度は、分液でき
る比重差を取れる範囲であることが必要であり、50%
以下であることが好ましく、特には10%以下であるこ
とが好ましい。また、アルカリ水洗工程での水洗粗液と
抽剤であるアルカリ水溶液との仕込み割合は、アルカリ
水溶液/低沸成分処理粗液=0.1〜10の範囲、好ま
しくは、0.5〜2(重量比)の範囲である。アルカリ
水洗後の粗液を2段階目の低沸成分の低減処理工程に導
入する場合は、アルカリ水洗で重合防止剤の水層側へロ
スが生じるので、これを必要に応じて追加仕込みする。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に実施例を示し本発明の効果
を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によ
って限定されるものではない。
【0029】(比較例1)図1の反応工程により、撹拌
機および冷却用ジャケットが付いた内容量20リットル
のSUS316製反応槽1にシクロヘキセニルメチルア
クリレ−ト(以後CHMAと略する)3000g、酢酸
エチル11,100g、ハイドロキノンモノメチルエ−
テル0.9g、トリポリリン酸ナトリウム9.0gを加
え、反応器には挿入管から酸素/チッ素(10/90容
量%)の混合ガスを32リットル/Hrで吹込んだ。次
いで反応温度を40℃に保ち、30%の過酢酸溶液5,
623gを定量ポンプで4時間かけて仕込んだ。仕込み
終了後、さらに5時間熟成槽2にて熟成後、反応を終了
させた。このようにして3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチルアクリレ−ト(以後AETHBと略する)を含
む反応粗液19,723gを得た。ロ−タ外径46c
m、ロ−タ内径25mmのロ−タを毎分4,000回転
させている遠心抽出器3に軽液入口よりAETHBを含
む反応粗液を2,108g/分の速度で仕込むと同時
に、重液入口より水を3,590g/分の速度で仕込む
ことにより、軽液出口より軽液を1,664g/分の速
度で、重液出口より重液を4,034g/分の速度で得
た。得られた軽液を再度同じ遠心抽出器に2,108g
/分の速度で仕込むと同時に、重液入口より水を3,5
90g/分の速度で仕込むことにより、軽液出口より軽
液を1,877g/分の速度で、重液出口より重液を
3,821g/分の速度で得た。軽液中の酢酸、過酢酸
濃度はそれぞれ400ppm、150ppmであった。
このようにして得られた粗液(遠心抽出軽液)を撹拌機
および冷却用ジャケットが付いた内容量15リットルの
SUS316製処理槽(アルカリ中和槽4)に3,00
0g仕込み、そこに1%NaOH水溶液を3,000g
仕込み、温度を10℃に保ちながら1時間撹拌をした。
次に分液槽5で分離した粗液2,790gにハイドロキ
ノンモノメチルエ−テル0.16gを加え、第一蒸発装
置6としてSUS製スミス式薄膜蒸発器で1段階目の低
沸成分の低減処理をした。操作条件は加熱温度60℃圧
力、150mmHgで、塔底液留出ラインから酸素/窒
素の混合ガスを32リットル/Hrで吹き込んだ。この
塔底液をアルカリ水洗槽7および関連装置を使用しない
で、加熱温度60℃、圧力40mmHgの条件により第
二蒸発装置8で2段目脱低沸を行い、塔底液留出ライン
から、酸素/窒素(10/90容量%)の混合ガスを3
2リットル/Hrで吹込んだ。塔底液は538gであっ
た。またガスクロマトグラフィ−分析で組成を調べたと
ころ、AETHB96.4%であった。n−ヘキサン1
00ccに塔底液10gを溶解し、重合物の含量を測定
したところ、重合体量含量は0.01%であった。この
粗製品の着色度(APHA、以下同じ。)は200であ
った。これに脱色剤「キョーワード」(協和化学工業
(株)製商品名)0.4部を添加し、常温で約2時間攪
拌処理した。濾過分離した液の着色度は55であった。
【0030】(比較例2)比較例1で得られた着色度2
00の粗製品と1%NaOH水溶液をアルカリ溶液/粗
製品=1/1で約5分バッチでアルカリ処理した。分離
後の液の着色度は80であった。
【0031】(比較例3)比較例1の製造において、低
沸成分の低減処理工程の1段階目と2段目をフラッシュ
管で行ったが、アルカリ処理はしなかった。得られた粗
製品の着色度は50であった。
【0032】(実施例1)比較例1の製造において、低
沸成分の低減処理工程の1段階目と2段目をフラッシュ
管で行い、1段階目が終了した後の反応粗液は、ミキサ
−セトラ−(スタティックミキサーおよびアルカリ水洗
槽7)で1%NaOH水溶液のアルカリ処理を行い、続
けて2段目の低沸成分の低減処理を行った。着色度およ
び経時的着色度(常圧空気雰囲気下、200mlの褐色
ポリビン中で温度10℃の冷蔵庫にて保存)の結果を比
較例1の結果と共に表−1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレ−トの精製方法の特定の段階にアルカ
リ水洗処理を行うことにより、固体脱色剤等の薬剤の添
加無しに製品の着色を防止することができる。しかも着
色防止効果は極めて優れ、本発明により精製された3,
4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−
ト製品は、経時的な着色も有効に防止できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル(メタ)アクリレ−トの精製工程図の一例であ
る。
【符号の説明】
1 エポキシ化反応槽 2 熟成槽 3 遠心抽出器 4 アルカリ中和槽 5 分液槽 6 第一蒸発装置 7 アルカリ水洗槽 8 第二蒸発装置
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 303/16 C07D 303/16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるシクロヘキ
    セニルメチル(メタ)アクリレ−トを有機過酸でエポキ
    シ化して得られる下記一般式(II)で表される3,4
    −エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート
    を含有する反応粗液を(a)水洗し、(b)アルカリ中
    和処理し、(c)温度30〜100℃で減圧し低沸成分
    含量を3〜50重量%とし、(d)アルカリ水洗し、
    (e)温度30〜100℃で(c)の工程の絶対圧の1
    /2以下の減圧で低沸成分含量を1重量%以下とするこ
    とを特徴とする3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
    (メタ)アクリレートの精製方法。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 請求項1記載の(d)アルカリ水洗が、
    ミキサ−セトラ−による連続的アルカリ水洗であること
    特徴とする3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メ
    タ)アクリレートの精製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の(c)または(e)の低
    沸成分低減処理を、フラッシュ管で行うことを特徴とす
    る3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アク
    リレートの精製方法。
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GB9618084A GB2306957B (en) 1995-09-01 1996-08-29 Preparation of a purified 3,4-epoxycyclohexyl methyl(meth)acrylate & a process for preparing a stabilized 3,4-epoxycyclohexyl methyl(meth)acrylate composition
FR9610617A FR2738247B1 (fr) 1995-09-01 1996-08-30 Procede de preparation de (meth)acrylate de 3,4- epoxycyclohexylmethyle purifie et (meth)acrylate de 3,4- epoxycyclohexylmethyle stabilise obtenu a partir de celui-ci
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JP2003012659A (ja) * 2001-06-29 2003-01-15 Daicel Chem Ind Ltd エポキシ化反応粗液の精製方法
WO2019138988A1 (ja) * 2018-01-12 2019-07-18 株式会社ダイセル 脂環式エポキシ化合物製品
US11932723B2 (en) 2018-12-28 2024-03-19 Daicel Corporation High-purity 3,4-epoxycyclohexylmethyl methacrylate

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