JP2704284B2 - エポキシ化された(メタ)アクリレート化合物を含む組成物 - Google Patents

エポキシ化された(メタ)アクリレート化合物を含む組成物

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JP2704284B2 JP1005816A JP581689A JP2704284B2 JP 2704284 B2 JP2704284 B2 JP 2704284B2 JP 1005816 A JP1005816 A JP 1005816A JP 581689 A JP581689 A JP 581689A JP 2704284 B2 JP2704284 B2 JP 2704284B2
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Description

【発明の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本発明はエポキシ化された(メタ)アクリレート化合
物を含む組成物に関するものである。(メタ)アクリレ
ート化合物は熱、紫外線、イオン化放射線,ラジカル重
合開始剤の存在下で容易に単独重合または他の不飽和基
含有化合物と共重合することが可能で、また塗料用樹脂
の中間原料としても有用である。
《従来の技術》 従来より各種のアクリル酸エステル類モノマーが知ら
れている。
例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル等の単官能モノマーおよびトリ
メチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート等の多官能モノマーが一般的に
知られている。
しかしながら、単官能モノマーは印刷インキおよび塗
料に用いた場合には硬化後の未反応モノマーの臭気がは
なはだしく問題となる。
また多官能モノマーは塗料および印刷インキの希釈剤
として用いる場合には、樹脂に対して多量に使用する必
要があり、したがって樹脂が有する特性が失われるとい
う欠点を有している。
その点 (式中Rは水素原子またはメチル基を表わす)で表わさ
れるシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレートを酸
化剤でエポキシ化して得られる (式中Rは水素原子またはメチル基を表わす)は低粘度
で、かつ、低臭気で広範囲に亘る樹脂への溶解性を有し
ており、このものはインキ、塗料、接着剤、被覆剤、成
型用樹脂の原料あるいは改質剤として有用である。
しかし、この一般式(II)で示されるエポキシ化され
た(メタ)アクリル酸エステル(以下Rが水素原子の時
はAETHB、Rがメチル基の時はMETHBと略す)は極めて重
合し易く製造工程、貯蔵及び輸送中に熱、光およびその
他の要因によってしばしば重合することが知られてい
る。
これを防ぐために特願昭63−10083号出願(特開平1
−186876号)においては、アクリルモノマーの一般的な
禁止剤では当該(メタ)アクリル酸エステル、すなわち
AETHB(METHB)に対しては重合禁止能は十分ではないと
した上で、アミン類、とりわけピペリジンが好ましいと
いうことが開示されている。
また特願昭62−252217号出願(特開平1−96177号)
においても重合禁止剤についての記載はあるが、その効
果については全く触れられてないため、前記特願昭63−
10083号出願がAETHB(METHB)の重合防止方法に関する
実質的に唯一の従来技術であった。
《発明が解決しようとする課題》 これに対して、本発明者らは、前記特願昭63−10083
号出願(特開平1−186876号)において述べられている
ピペリジン単独あるいはピペリジンとハイドロキノン等
のいわゆる通常の禁止剤との併用ではAETHB(METHB)の
重合防止効果は、まだ十分とは言えないことを確かめ
た。
この理由の一つは特願昭63−10083号(特開平1−186
876号)が出願された当時においては、AETHB(METHB)
が未だ工業的規模で生産されていなかったため製品とし
て具備すべき品質が十分予見できなかったことにある。
すなわち、重合防止効果をある程度有しているとして
も工業的規模で生産するためには、得られた製品が目的
とする品質に合致するかどうかが重要になるのである。
この点に関してその後開発が進み、製品中に微量の重合
物が含まれると問題があることが明らかになっている。
例えば塗料用樹脂の中間原料を合成する際に、重合物
を含むAETHB(METHB)を使うと重合物が粘着性の不溶解
物として析出し、プロセス上種々の問題を生じるととも
に塗料の商品価値を著しく低下せしめてしまう。
製品AETHB(METHB)中に含まれる微量の重合物はAETH
B(METHB)自体の低分子量重合物が主成分と考えられる
が、これらの重合物の含有量はn−ヘキサンあるいはn
−ヘプタンに製品を少量溶解した時に白濁するかどうか
で明瞭に確認することができる(N−ヘプタンを使った
このような溶解性試験を以下HTと呼ぶ)。製品として使
えるAETHB(METHB)はHTが透明あるいはわずかに白濁す
る程度でなければならないことがわかっている。
翻って、特願昭63−10083号出願(特開平1−186876
号)の方法を追試して得られたAETHB(METHB)中のHTを
調べると白濁もしくは沈殿物が析出する程の強い白濁で
あるため、品質的には十分ではないと判断される。
すなわち、AETHB(METHB)を工業的に生産するために
は、さらに効果的な重合抑制方法を確立する必要があ
り、本発明者らが出願した当時は依然として、それを可
能にする技術は存在しなかったのである。
本発明者らは、このような課題に対して鋭意研究を行
い、特定の重合防止剤を組み合わせてAETHB(METHB)組
成物として用いれば上記目的に極めて合致することを見
い出し本発明を完成するに至った。
《発明の構成》 すなわち、本発明は、 「一般式(I) (式中Rは水素原子またはメチル基を表わす)で表わさ
れる化合物を酸化剤でエポキシ化して得られる 一般式(II) (式中Rは水素原子またはメチル基を表わす)で表わさ
れる化合物および下記の[A群] ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、
P−ベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシ−P−キノンか
ら選ばれるキノン類 および[B群] リン酸、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン
酸、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロ
リン酸2−エチルヘキシルエステル、ピロリン酸カリウ
ム2−エチルヘキシルエステル、ピロリン酸ナトリウム
2−エチルヘキシルエステル、トリポリリン酸、2−エ
チルヘキシルトリポリリン酸カリウム、2−エチルヘキ
シルトリポリリン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルテ
トラポリリン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルテトラ
ポリリン酸カリウムから選ばれるリン酸またはリン酸化
合物、 から選ばれる各々少くとも1種の化合物を共存せしめた
ことを特徴とするエポキシ化された(メタ)アクチレー
ト化合物を含む組成物。」 である。
以下に本発明のAETHB(METHB)を含む組成物について
詳しく説明する。先ずAETHB(METHB)を含む組成物中の
主成物であるエポキシ化合物を製造する反応工程につい
て説明する。
すなわち、一般式(I)で表わされるシクロヘキセニ
ルメチル(メタ)アクリレートを酸化剤でエポキシ化す
ることにより一般式(II)で表わされるAETHB(METHB)
が得られる。
この際用いる酸化剤は不飽和結合をエポキシ化できる
ものなら何でもよく過ギ酸、過酢酸、過プロピオン酸、
m−クロロ過安息香酸、トリフルオロ過酢酸、過安息香
酸、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド、クミル
ハイドロパーオキサイド、テトラリルハイドロパーオキ
サイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイ
ドなどの各種ハイドロパーキサイド類、過酸化水素など
を例として挙げることができる。
酸化剤は触媒と併用してもよく、例えば、有機過酸を
用いる場合なら炭酸ソーダなどのアルカリや硫酸などの
酸を触媒として併用しうる。
同じく上記各種のハイドロパーオキサイド類を用いる
場合ならモリブデンヘキサカルボニルなど公知の触媒能
を有するものを、また、過酸化水素を用いる場合ならタ
ングステン酸と苛性ソーダの混合物を併用することがで
きる。
反応をバッチで行なう場合は先ず、反応容器内にシク
ロヘキセニルメチル(メタ)アクリレートを所定量仕込
み、この中に必要に応じて触媒、安定剤を溶解させ、こ
の中に前記酸化剤を滴下して行なう。酸化剤とシクロヘ
キセニルメチル(メタ)アクリレートとの反応モル比は
理論的には1/1であるが、本発明の方法では0.1〜10の範
囲、好ましくは、0.5〜10の範囲、さらに好ましくは0.8
〜1.5の範囲である。
酸化剤とシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレー
トとのモル比が10を越える場合はシクロヘキセニルメチ
ル(メタ)アクリレートの転化率および反応時間短縮、
(メタ)アクリレートの重合によるロスの減少という点
で好ましいが、過剰の酸化剤による副反応や酸化剤の選
択率および未反応の酸化剤を回収回収する場合に多大の
費用を要する、などの欠点がある。
逆に酸化剤とシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリ
レートとの反応のモル比が0.1以下の場合は酸化剤の選
択率、添加率、酸化剤による副反応を抑制するという点
で好ましいが、(メタ)アクリレートの重合によるロ
ス、未反応のシクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレ
ートを回収する場合に多大の費用を要する、などの欠点
がある。
反応温度はエポキシ化反応が酸化剤の分解反応に優先
するような上限値以下で行ない、たとえば、過酢酸を用
いる場合なら70℃以下で、ターシャリブチルハイドロパ
ーオキサイドを用いる場合なら150℃以下が好ましい。
反応温度が低いと反応の完結までに長時間を要するの
で、過酢酸を用いる場合なら0℃、ターシャリブチルハ
イドロパーオキサイドを用いる場合なら20℃という下限
値以上で行うことが好ましい。
また、エポキシ化反応の際、酸化剤からの副生などに
よる有機酸、アルコール、水でエポキシ基が開環してし
まう副反応が生じるので、副反応量が少なくなるような
温度を前記したような温度領域から選定して実施する。
反応圧力は一般的には常圧下で操作されるが、加圧ま
たは低圧下でも実施できる。また、反応は溶媒存在下で
も実施できる。
溶媒存在下での反応は反応粗液の粘度低下、酸化剤を
希しゃくすることによる安定化などの効果があるため好
ましい。
使用される溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレ
ンなど芳香族化合物、クロロフォルム、ジメチルクロラ
イド、四塩化炭素、クロルベンゼンなどのハロゲン化
物、酢酸エチル、酢酸ブチル、などのエステル化物、ア
セトン、メチルエチルケトンなどのケトン化合物、1、
2−ジメトキシエタンなどのエーテル化合物などを用い
ることができる。
溶媒の使用量はシクロヘキセニルメチル(メタ)アク
リレートに対して0.5〜5倍量が好ましい。
0.5倍量より少ない場合は酸化剤を希しゃくすること
による安定化などの効果が少なく、逆に5倍量より多く
しても安定化効果はそれ程アップせず溶媒の回収に多大
の費用を要するので無駄となる。
本発明のポイントは2つのグループに属する特定の重
合防止剤をそれぞれ少なくとも2種類混合して用いたエ
ポキシ化された(メタ)アクリレート化合物を含む組成
物にある。
ところでエポキシ化反応時に特願昭63−10083号出願
(特開平1−186876号)に記載された禁止剤を添加した
だけではHTで白濁する。
これはわずかではあるが反応中に重合が起きるためで
あると考えられている。
しかしながら、このような現象は軽微であるため、例
えば液体クロマトグラフィーのような分析機器でも明瞭
に検知できないため見逃してしまう。HTで白濁した反応
粗液は後の精製工程を経て製品化される間にさらに重合
が進み、製品のHTは沈殿物を伴う程の濁りとなる。
このような現象に対して本発明者らは前記[A、B
群]から選ばれた少くとも1種以上の化合物を共存せし
めた組成物として製造工程、保管、流通過程に供するこ
とにより解決できることを見出した。このとき組成物に
分子状酸素を共存させることにより効果を十分に発揮さ
せることができるが、具体的には、運搬または保管中の
タンクに空気を共存させていればよい。
通常、液体を容器中に保管する場合には特に意識しな
くても容器の上部の空間に空気が存在する状態になるの
で共存状態が必然的に形成される。但し、事前に空気を
吹き込む操作を行なっておいてもてもよい。
吹込量は任意に選べるが、多過ぎると、溶媒ロスとな
るので好ましくない。
また、系内での爆発混合気形成を回避するため空気と
ともに系内に窒素を共存させるのが通常であるが、その
場合の吹込みガス中の酸素濃度は0.01%(容量)以上,
好ましくは3%(容量)以上である。酸素濃度は高い程
効果があるが上限値は系での爆発下限界酸素濃度とな
り、その値は使用溶媒により異なるものである。
特に本発明で規定する2種以上の化合物の組合わせで
使用した場合は各群の化合物の単独使用あるいは各群か
らの2種のみによる併用にかかる効果よりはるかに優
れ、その相乗効果も極めて大きいことは特筆すべきもの
である。
次に本発明のエポキシ化された(メタ)アクリレート
組成物を製造する際の情況を具体的に説明する。
本発明のエポキシ化された(メタ)アクリレート組成
物に対して用いられる[A群]の化合物の一部、例えば
ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルと
分子状酸素の組合わせが、いわゆるアクリル酸やアクリ
ル酸エステルの重合防止に効果があることは公知であ
り、特願昭63−10083号出願(特開平1−186876号)の
実施例でも空気雰囲気下で禁止効果を比較している。
本発明のエポキシ化された(メタ)アクリレート組成
物に対して[B群]の少くとも1種の化合物を必須の成
分として添加する理由は用いる酸化剤が微量とはいえ分
解しラジカル源を発生するのを抑制することに効果があ
ると考えられるためである。
次に重合防止剤の使用量は対象とする化合物の種類、
製造工程上の条件によって任意に変えられるが、[A
群]の化合物としては反応原料であるシクロヘキセニル
メチル(メタ)アクリレートに対して0.005〜5重量
%、より好ましくは0.001〜0.1重量%、[B群]の化合
物として0.001〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.2重
量%の範囲で添加するのがよい。
添加方法は粉末のままでも良いし、溶媒に溶解して添
加してもよい。
反応は連続もしくはバッチで行うが、連続の場合はピ
ストンフロー型式が好ましい。
この時用いる重合防止剤は各々単独で仕込んでも良い
が粉末状のものの場合は溶媒に溶解してから仕込むのが
良い。
また、原料エステルに溶解して仕込んでも良い。ま
た、バッチ方式の場合も同様であるが、酸化剤は逐次的
に仕込むセミバッチ方式が望ましい。
本発明のポイントは、[A群]および[B群]から選
ばれる各々少くとも1種を共存せしめて重合を防止する
点にあるが、本発明はそのまま精製工程にも有効に活用
できるのである。
反応終了後のエポキシ化反応粗液は溶媒、低沸点物
質、未反応原料、触媒などの除去、中和、吸着剤やイオ
ン交換樹脂処理などによって精製することができる。
特に酸化剤として有機過酸を用いる場合は反応粗液の
中和水洗を行うのが好ましい。これは、中和せずに溶媒
等の低沸点成分を除去しようとすると極めて重合し易い
ためである。
中和に用いるアルカリ水溶液としては例えば、NaOH、
KOH、K2CO3、Na2CO3、NaHCO3、NH3などのようなアルカ
リ性物質の水溶液を使用することができる。使用する際
の濃度は広い範囲で自由に選択することができる。分液
性の点からNaOH、Na2CO3水溶液、NaHCO3水溶液を用いる
のが好ましい。
中和および水洗は10〜90℃、好ましくは10〜50℃の温
度範囲で行うのが良い。中和あるいは水洗を行った反応
粗液から低沸点成分を除去するには重合禁止剤を添加し
た後薄膜式蒸発器などを用いるのが良い。
特に反応粗液中に含まれる[A、B群]から選ばれた
化合物が下層水中に抽出され中和上層液中の含量が減少
する場合もあるが、その際は、中和終了後各群の化合物
を適当量補充するのが好ましい。また、中和水洗時にも
分子状酸素を系内に吹込むことが望ましい。
中和水洗工程では、有機酸の中和除去とともに残存有
機過酸を除去することが重要である。次の低沸点成分除
去工程を安定に操作するためには、中和上層液中の残存
有機過酸含量を0.1%以下、好ましくは0.01%以下にな
るまで繰り返し中和水洗する必要がある。
従って連続式に中和水洗する場合は多段式になるが、
通常3〜5段にすれば有機過酸濃度を規定値以下に下げ
ることができる。
多段式の場合は最終段階は完全な水洗もしくはせいぜ
い1%程度のアルカリ水溶液を使うのが好ましい。
これは低沸点成分を除去したのち塔底液をそのまま製
品にするような場合にはアルカリ金属が製品に混入し品
質に影響を及ぼすためである。
これはバッチで繰返し中和する場合も同様である。な
お、連続式で中和水洗した場合、下層水を向流式に前中
和に使うことは何ら問題なく、またその方が経済的であ
る。
中和水洗に使用するアルカリ量は反応粗液中の有機過
酸と有機酸の合計量に対して当量比で0.5〜3倍量、好
ましくは1.1〜1.5倍量使用するのがよく必要以上に量を
増やすのは経済的ではない。また当量比を必要以上に下
げた場合有機過酸あるいは有機酸を除去するのに多量の
水を要するため、得策ではないし、また、溶媒等の下層
水中への溶解ロスも増加する。
中和水洗工程の次に溶媒を除去する。
(脱低沸工程) 脱低沸には通常薄膜式蒸発器を用いるが、加熱温度は
重合防止の点から50〜180℃、好ましくは、60〜100℃で
行うのがよい。
圧力は低沸点成分の物性によって任意に選べるが加熱
温度との関係で減圧で操作するのが一般的である。
分子状酸素を蒸発器に導入する場所は任意に選べるが
塔底液が留出するラインから吹込むのが普通である。
吹込み量は任意に選べるが上限量は真空系の能力、あ
るいは塔底液が安定に流下するかどうか、あるいは留出
した低沸点成分をコンデンサーで補集する際の回収ロス
をいう観点から自ずと制限される。脱低沸工程で得られ
る塔底液は純度的には94〜96%までしか達していない
が、本発明の成果として、HTが透明もしくはわずかに白
濁する程度の品質である。
したがって,通常の用途ではこのまま製品として十分
通用するものである。
さらに高純度の製品を得るためには次に製品化工程を
行う。製品化工程は、残存低沸点成分を完全に除去する
もので脱低沸工程と同様に行うが、更に減圧度を増して
高真空下で行うのが一般的である。
以下実施例をさらに詳しく説明する。
実施例−1 撹拌機および冷却用ジャケットが付いた内容量200リ
ットルのガラス反応器にシクロヘキセニルメチルメタク
リレート14.4kg、酢酸エチル52.8kg、ハイドロキノンモ
ノメチルエーテル12g、ピロリン酸12gを加え、かつ反応
器に挿入管から酸素/チッ素(10/90容量%)の混合ガ
スを100Nリットル/Hrで吹込んだ。
次いで反応温度を50℃に保ち、30%過酢酸溶液24.8kg
を定量ポンプで4時間かけて仕込んだ。仕込み終了後、
更に4時間熟成後反応を終了させた。反応粗液1gを採取
しn−ヘプタン10gに溶解したところ透明であった。
反応粗液を室温まで冷却後10%Na2CO3 50kgを加え30
分撹拌後、30分間静置して分液させる。下層水を除去後
更に10%Na2CO3 50kgを加え同様な操作を行う。
この時上層液中の残存過酢酸濃度は0.02%で酢酸は完
全に消失していた。
次いで、1%Na2CO3 50kgを加え同様な操作を行った
ところ過酢酸濃度は0.01%以下であった。
次に、中和上層液、70.5kgにハイドロキノンモノメチ
ルエーテル12g、ピロリン酸12gを加え、ガラス製スミス
式薄膜蒸発器で脱低沸処理した。操作条件は加熱温度80
℃、圧力150mmHgで、塔底液留出ラインから酸素/窒素
(10/90容量%)の混合ガスを100Nリットル/Hrで吹込ん
だ。
塔底液の取得量は14.2kgであった。
またガスクロマトグラフィー分析で組成を調べたとこ
ろMETHB 94.7%、酢酸エチル1.8%、シクロヘキセニル
メチルメタクリレート1.0%、その他2.5%であった。
塔底液1gをn−ヘプタン10gに溶かしたところ、透明
であった。
実施例−2 撹拌機および冷却用ジャケットが付いた内容量200リ
ットルのガラス反応器にシクロヘキセニルメチルメタク
リレート14.4kg、酢酸エチル52.8kg、ハイドロキノン12
g、2−エチルヘキシルトリポリリン酸ナトリウム12gを
加え、かつ反応器に挿入管から酸素/チッ素(10/90容
量%)の混合ガスを100Nリットル/Hrで吹込んだ。次い
で反応温度を40℃に保ち、30%過酢酸溶液24.8kgを定量
ポンプで4時間かけて仕込んだ。
仕込み終了後、更に6時間熟成後反応を終了させた。
反応粗液1gを採取しn−ヘプタン10gに溶解したところ
透明であった。
反応粗液を室温まで冷却後、10%NaOH 40kgを加え30
分撹拌後、30分間静置して分液さる。下層水を除去後更
に10%Na2CO3 40kgを加え同様な操作を行う。
この時上層液中の残存過酢酸濃度は0.03%で酢酸は完
全に消失していた。次いで、1%NaOH 40kgを加え同様
な操作を行ったところ過酢酸濃度は0.01%以下であっ
た。
次に、中和上層液69.6kgにハイドロキノン12g、2−
エチルヘキシルトリポリリン酸ナトリウム12gを加え、
ガラス製スミス式薄膜蒸発器で脱低沸処理した。
操作条件は加熱温度100℃、圧力150mmHgで塔底液留出
ラインから、酸素/窒素(10/90容量%)の混合ガスを1
00Nリットル/Hrで吹込んだ。塔底液の取得量は13.9kgで
あった。またガスクロマトグラフィー分析で組成を調べ
たところMETHB 95.5%、酢酸エチル1.7%、シクロヘキ
セニルメチルメタクリレート1.2%、その他1.6%であっ
た。
塔底液1gをn−ヘプタン10gに溶かしたところわずか
に白濁したが沈殿物は認められなかった。続いて、同じ
装置で加熱温度80℃、圧力2〜3mmHgの条件下でさらに
脱低沸して高純度品を得た。
この時塔底からは微量の空気を系内に導入した。塔底
液の取得量は9.6kgであった。ガスクロマトグラフィー
分析したところMETHB純度は98.1%であった。塔底液1g
をn−ヘプタン10gに溶かしたところ白濁したが、製品
として使えるものであった。
比較例1 撹拌機および冷却用ジャケットが付いた内容量200リ
ットルのガラス反応器にシクロヘキセニルメチルメタク
リレート14.4kg、酢酸エチル52.8kg、ハイドロキノンモ
ノメチルエーテル12g、ピロリン酸12gを加え、かつ反応
器に挿入管から酸素/チッ素(10/90容量%)の混合ガ
スを100Nリットル/Hrで吹込んだ。次いで反応温度を50
℃に保ち、30%過酢酸溶液24.8kgを定量ポンプで4時間
かけて仕込んだ。
仕込み終了後、さらに4時間熟成後反応を終了させ
た。反応粗液1gを採取しn−ヘプタン10gに溶解したと
ころ透明であった。
反応粗液を室温まで冷却後、10%Na2CO3 50kgを加え3
0分撹拌後、30分間静置して分液させる。
下層水を除去後更に10%Na2CO3 50kgを加え同様な操
作を行う。
この時上層液中の残存過酢酸濃度は0.02%で酢酸は完
全に消失していた。
次いで、Na2CO3 50kgを加え同様な操作を行った
ところ過酢酸濃度は0.01%以下であった。次に、中和上
層液71.1kgにピロリン酸24gを加え添加したものをガラ
ス製スミス式薄膜蒸発器で脱低沸処理した。
操作条件は加熱温度100℃圧力150mmHgで塔底液ライン
から酸素/窒素(10/90容量%)の混合ガスを100Nリッ
トル/Hrで吹き込んだ。塔底液を3.3kg取得したが蒸発器
の振動異音が発生したため、操作を中断した。
蒸発器を解体したところ樹脂状の重合物が壁面および
撹拌羽根に付着していた。得られた塔底液1gをn−ヘプ
タン10gに溶解したところ多量の白色沈殿物が析出し
た。
比較例2 ピロリン酸24gの代わりにハイドロキノン24gを添加し
た以外は比較例1と同様に行なったところ、比較例1と
同じ結果が得られた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (式中Rは水素原子またはメチル基を表わす)で表わさ
    れる化合物を酸化剤でエポキシ化して得られる 一般式(II) (式中Rは水素原子またはメチル基を表わす)で表わさ
    れる化合物および下記の[A群] ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、
    P−ベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシ−P−キノンか
    ら選ばれるキノン類 および[B群] リン酸、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン
    酸、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロ
    リン酸2−エチルヘキシルエステル、ピロリン酸カリウ
    ム2−エチルヘキシルエステル、ピロリン酸ナトリウム
    2−エチルヘキシルエステル、トリポリリン酸、2−エ
    チルヘキシルトリポリリン酸カリウム、2−エチルヘキ
    シルトリポリリン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルテ
    トラポリリン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルテトラ
    ポリリン酸カリウムから選ばれるリン酸またはリン酸化
    合物、 から選ばれる各々少くとも1種の化合物を共存せしめた
    ことを特徴とするエポキシ化された(メタ)アクリレー
    ト化合物を含む組成物。
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