JP4279092B2 - アダマンチルエステル化合物の製造方法 - Google Patents

アダマンチルエステル化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、機能性材料や電子材料の原料として有用なアダマンチルエステル化合物を製造する方法及びその原料となる1,3−アダマンタンジオールを製造する方法に関する。
アダマンタン誘導体は耐熱性に優れ、透明性が高い特徴を有することから、耐熱性高分子等の高機能性材料や、半導体用レジスト等の電子材料に応用することが期待されている化合物である。中でも1,3−アダマンタンジオールから誘導される3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチルエステル化合物は、レジスト材料として注目されている。
上記アダマンチルエステル化合物の原料物質である1,3−アダマンタンジオールをアダマンタンから直接合成する方法としては、イミド化合物及びコバルト化合物の存在下、アダマンタンを酸素酸化させる方法(例えば、特許文献1参照)や、ルテニウム化合物の存在下アダマンタンを次亜塩素酸類により酸化させる方法(例えば、特許文献2参照)などが報告されている。しかしながら、これらの方法を用いた場合、通常、目的物はアダマンタノール、アダマンタノン等との混合物として得られ、収率は前記イミド化合物を使用した反応の場合58%であり、前記ルテニウム触媒を使用した反応の場合55%であり、どちらも満足できるものではない。
一方、1,3−アダマンタンジオールをより高収率で得る方法として、アダマンタンから1,3−ジハロゲン化アダマンタンを経由して1,3−アダマンタンジオールを得る方法が考えられる。ここで、アダマンタンから1,3−ジハロゲン化アダマンタンを得る方法としては、アダマンタンにハロゲン化ホウ素及び/またはハロゲン化アルミニウムを作用させる方法(例えば、非特許文献1あるいは非特許文献2参照)、アダマンタンにハロスルホン酸を作用させる方法(例えば、非特許文献3参照)、収率は劣るが、アダマンタンに一般的な直接ハロゲン化を適用する方法(例えば、非特許文献4参照)などが報告されている。また、1,3−ジハロゲン化アダマンタンから1,3−アダマンタンジオールを得る方法としては、ピリジンの存在下、加水分解する方法(例えば、特許文献3参照)が報告されている。
特開平9−327626号公報 特開2000−219646号公報 特開2000−327604号公報 イー アール テラティー(E.R.Telaty)他2名著,ジャーナルオブザケミカルソサイエティーシー(Jounal of the Chemical Society C),1963年,p.1902 エッチ シュテッター(H.Stetter)他2名著,アンゲバンデケミーインターナショナルエディション(Angewandte Chemie International Edition),第7巻,1968年,p.894 ジー エー トルスティコフ他2名著,テトラヘドロンレターズ(Tetrahedron Letters),1972年,p.3191 「ユニットプロセスインオーガニックケミストリー」("Unit Process in Organic Chemistry"),(米国),1947年,マグロウヒル社(McGraw-Hill),p.168
1,3−ハロゲン化アダマンタンを経由して1,3−アダマンタンジオールを得る方法は、直接1,3−アダマンタンジオールを得る方法よりも高収率で目的物を得ることができ、特に、アダマンタンにハロスルホン酸を作用させて、1,3−ジハロゲン化アダマンタンを得、これを加水分解する方法は80%以上の高収率を達成することができて好適である。
しかしながら、ハロスルホン酸を用いて1,3−ジハロゲン化アダマンタンを得る方法においては、ガスクロマトグラフィーでは確認できないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で確認される分子量が300以上と比較的高分子量の有機不純物(該有機不純物を「高分子量不純物」ともいう。)成分が副生することが明らかとなった。そして、ここで副生した高分子量不純物は分離が困難でありること、更に該高分子量不純物は後段の加水分解反応に対しては特に問題とならないが、このような高分子量不純物を含む1,3−アダマンタンジオールを原料としてアダマンチルエステル化合物を製造しようとした場合には、その不純物含有量が多いとエステル化反応において副反応を助長し、その後の分液操作等の操作性を著しく悪化せしめ、更に晶析等の精製によって除去し難い高分子量不純物が多く生成する原因となることが明らかとなった。
そこで、本発明は、アダマンタンから高分子量不純物含有量の少ない1,3−アダマンタンジオールを効率的に製造する方法を提供し、延いては上記のような問題を起すことなく1,3−アダマンタンジオールからアダマンチルエステル化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、1,3−アダマンタンジオールからアダマンチルエステル化合物を製造する際において、1,3−アダマンタンジオールに含まれる高分子量不純物の含有量が0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下の場合には、上述したような新たな高分子量不純物の副生が起こり難く、活性炭処理や晶析により、例えば高分子量不純物が0.1重量%以下といった高純度のアダマンチルエステル化合物を得ることができるという知見を得るに至った。更に、1,3−アダマンタンジオールの精製に関しても、高分子量不純物を例えば0.5重量%以上と多量に含む1,3−アダマンタンジオールを特定の溶媒中で活性炭処理した場合には、これを効率よく除去することができ、蒸留等の特別な装置を用いることなく低コストで不純物含有量を0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下とすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、第一の本発明は、1,3−アダマンタンジオールと重合性基を有するカルボン酸化合物とを反応させて1,3−アダマンタンジオールの水酸基の少なくとも一方がエステル化されたアダマンチルエステル化合物を製造する方法において、
アダマンタンをハロゲン化して1,3−ジハロゲン化アダマンタンを得た後に該1,3−ジハロゲン化アダマンタンと水とを反応させて300以上の分子量を有する有機不純物の含有量が0.5重量%以上である1,3−アダマンタンジオールを得るジオール粗体製造工程、及び
当該ジオール粗体製造工程で得られた300以上の分子量を有する有機不純物の含有量が0.5重量%以上である1,3−アダマンタンジオールを炭素数1〜3のアルコール又は炭素数1〜3のアルコールと水との混合液中で活性炭と接触させて前記有機不純物の含有量が0.3重量%以下である1,3−アダマンタンジオールを得る精製ジオール製造工程を含み、
当該精製ジオール製造工程で得られた前記有機不純物の含有量が0.3重量%以下である1,3−アダマンタンジオールを原料として使用することを特徴とする前記アダマンチルエステル化合物の製造方法である。
また、第二の本発明は、アダマンタンをハロゲン化して1,3−ジハロゲン化アダマンタンを得た後に該1,3−ジハロゲン化アダマンタンと水とを反応させることにより、300以上の分子量を有する有機不純物の含有量が0.5重量%以上である1,3−アダマンタンジオールを得る工程、及び
前記工程で得られた300以上の分子量を有する有機不純物の含有量が0.5重量%以上である1,3−アダマンタンジオールを炭素数1〜3のアルコール又は炭素数1〜3のアルコールと水との混合液中で活性炭と接触させて前記有機不純物の含有量が0.3重量%以下である1,3−アダマンタンジオールを得る工程(以下、本活性炭処理工程ともいう)を含むことを特徴とする1,3−アダマンタンジオールの製造方法である。

本発明によれば、アダマンタンにハロスルホン酸を作用させて得られるジハロゲン化アダマンタンを加水分解して1,3−アダマンタンジオールを製造する方法において不可避的に生成する高分子量不純物を蒸留等の特別の設備を要する精製法を採用することなく、簡便且つ効率的に除去することができる。そして、このような方法で高分子量不純物量が低減された1,3−アダマンタンジオールを原料として用いることにより、高純度のアダマンチルエステル化合物を効率よく製造することが可能となる。
本発明のアダマンチルエステルの製造方法では、1,3−アダマンタンジオールと重合性基を有するカルボン酸化合物とを反応させて1,3−アダマンタンジオールの水酸基の少なくとも一方がエステル化されたアダマンチルエステル化合物を製造するが、このとき原料として「300以上の分子量を有する有機不純物の含有量が0.3重量%以下である1,3−アダマンタンジオール」(以下、原料ジオールともいう。)を使用することが重要である。
原料ジオール中に含まれる高分子量不純物の含有量が0.3重量%を越える場合には、エステル化反応において更なる高分子量不純物が生成し、目的物を単離する際に行なう分液操作の操作性や分液効率が低下するばかりでなく、晶析等の精製によって高分子量不純物の含有量が例えば0.1重量%以下といった高純度のアダマンチルエステルを得ることが困難となる。このような問題発生の防止効果という観点から、原料ジオールに含まれる高分子量不純物の含有量は0.3重量%以下、特に0.2重量%以下であるのが好適である。
なお、原料ジオール中に含まれる高分子量不純物とは、その分子量が300以上(因みに1,3−アダマンタンジオールの分子量は168である)を有するものを意味し、単一の化合物であっても複数種類の化合物の混合物であってもよい。通常、このような不純物は1,3−アダマンタンジオールを合成する過程で副生物として生成するものであることが多い。不純物の分子量が300より大きいことはGPCにより分析を行った場合、不純物に由来するピークが1,3−アダマンタンジオールに由来するピークより前に(短い保持時間で)分離ピークとして観測されることにより容易に確認することができる。なお、高分子量不純物のすべてを単離することは困難であり、その含有量を正確に決定することは困難である。本発明においては、高分子量不純物の含有量(重量%)はGPC測定により得られた高分子量不純物に由来するピーク(RI検出器による)の合計面積に基づき、所定濃度のポリスチレン(平均分子量37900)の溶液について同一条件で別途行なったGPC測定で得られた該ポリスチレンに由来するピーク面積とポリスチレン重量との関係を用いて(その関係が高分子量不純物のピーク面積と重量との間にも適用されると仮定して)求めた重量から決定したものである。
また、原料ジオールは、アダマンタン、1−アダマンタノール、1,3−ハロゲン化アダマンタン等の高分子量不純物以外の不純物(ここで、原料ジオールが有機溶媒に溶解した溶液であるとき或いは当該溶液から溶媒を除去して得られたものであるとき、当該有機溶媒は不純物には含まない。以下、これら不純物を「その他不純物」ともいう。)を含有していてもよい。原料ジオール中に含まれる高分子量不純物およびその他不純物の量は、1,3−アダマンタンジオール、高分子量不純物およびその他不純物の合計重量を基準として、高分子量不純物の含有量は0.3重量%以下、好適には0.2重量%以下であり、その他不純物は5重量%以下、特に3重量%以下であることが好ましい。
原料ジオールとしては上記条件を満足するものであれば特に限定されないが、入手が容易なアダマンタンを1次原料とし、更にアダマンタンから高収率で1,3−アダマンタンジオールが得られるという観点から、アダマンタンをハロゲン化して1,3−ジハロゲン化アダマンタンを得た後に該1,3−ジハロゲン化アダマンタンと水とを反応させる工程(以下、ジオール粗体製造工程ともいう。)により得られた高分子量不純物の含有量が0.5重量%以上の1,3−アダマンタンジオール(以下、ジオール粗体ともいう。)から高分子量不純物を除去してその含有量を0.3重量%以下としたものを使用するのが好適である。
上記1,3−ジハロゲン化アダマンタンとしては、例えば、1,3−ジクロロアダマンタン、1,3−ジブロモアダマンタン、1,3−ジヨードアダマンタン等が挙げられる。
上記ジオール粗体製造工程で得られたジオール粗体は、通常、高分子量不純物を1,3−アダマンタンジオール、高分子量不純物及びその他不純物の合計重量を基準として0.5重量%以上(多くの場合0.6〜1.0重量%)含有している。上記工程で得られたジオール粗体中に含まれる高分子量不純物は、多成分の混合物であり、現在の分析技術を用いてその構造を特定することは困難である。しかしながら、高分子量不純物を分離して赤外分光分析により分析したところ、エーテル結合由来の吸収が観測されたことから、恐らくアダマンタンが酸化的に開裂して不飽和結合をもつ化合物が生成し、該化合物が重合することによって生成したオリゴマー(2量体や3量体等)又はポリマー成分を主成分とするものであると考えられる。
上記ジオール粗体製造工程において、アダマンタンをハロゲン化して1,3−ジハロゲン化アダマンタンを得る方法は特に限定されず、従来技術として説明した各種方法が採用できるが、収率がよく簡便であるという理由により、アダマンタンをハロスルホン酸によりジハロゲン化する方法を採用するのが好適である。
上記ハロゲン化反応では、アダマンタンとハロスルホン酸とを混合することにより行なうことができる。アダマンタンとしては試薬或いは工業用に入手可能なものが何ら制限なく使用できる。また、ハロスルホン酸とは、XSOH(式中、Xはハロゲンを示す。)で示される化合物であり、ハロゲン(式中のX)としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。ハロスルホン酸の具体例としては、クロロスルホン酸、ブロモスルホン酸、ヨードスルホン酸等が挙げられるが、入手の容易さから特にクロロスルホン酸を使用するのが好ましい。
上記ハロゲン化反応において、使用するアダマンタンとハロスルホン酸の量比は、特に制限されるものではないが、ハロスルホン酸の量があまり少ないと反応が十分に進行しなくなるため、ハロスルホン酸がアダマンタン1モルに対して4モル以上であることが好ましい。収率をより向上させるため、或いは後述するように有機溶媒を使用せずに反応を遂行する場合において反応媒体としても機能するようにするために、ハロスルホン酸の使用量はアダマンタン1モルに対して5〜15モル、特に6〜12モルとするのが好適である。
上記ハロゲン化反応の反応条件は、特に限定されるものではないが、−5℃〜30℃の温度で3〜24時間反応させるのが好適である。また、反応圧力も特に限定されるものではないが、特殊な装置を要さず操作も簡便であることから通常、常圧下で実施される。
アダマンタンとハロスルホン酸との混合は、如何なる方法により行っても良いが、通常は、アダマンタンまたはその溶液に、ハロスルホン酸を滴下することにより行われる。このとき、上記混合は溶媒の不存在下あるいは有機溶媒または無機溶媒中で実施することができる。溶媒としてはハロスルホン酸に対して不活性なものであれば制限なく使用できる。例えば、有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒が好適に使用でき、無機溶媒としては、濃硫酸等が好適に使用できる。
アダマンタンとハロスルホン酸との反応に用いる設備(装置)は、ハロスルホン酸が水分と反応して分解し酸性ガスを発生するのを防ぐため、大気との接触を断つ構造であることが好ましい。また、設備(装置)内部は、あらかじめ窒素等の不活性ガスで十分置換・乾燥しておき、反応中は乾燥剤を使用するか、窒素等の不活性ガスを通気することにより、水分の浸入を防いだ状態で反応を実施するのが望ましい。
このようにして得られた反応液から、1,3−ジハロゲン化アダマンタンを分離するには、如何なる方法を用いてもよいが、通常、反応液と氷水とを混合して反応を停止した後、反応を有機溶媒存在下で行なった場合には必要に応じて有機溶媒を追加した後に水層と有機層を分離することにより、また反応を無溶媒あるいは無機溶媒の存在下で行なった場合には生成物を有機溶媒で抽出することにより好適に行うことができる。このとき抽出に用いる有機溶媒としては、反応時に使用できるとした有機溶媒が好適に使用できる。また、反応を、有機溶媒の不存在下、あるいは無機溶媒の存在下で行った場合には、ジハロゲン化アダマンタンは反応液から析出するので、ろ過により分離しても良い。分離は、温度があまり高いとトリハロゲン化体への反応が進行する可能性があるため、常温以下の温度で実施するのが好ましい。このようにして得られた抽出溶液又は析出物を水洗した後、乾燥することにより粗1,3−ジハロゲン化アダマンタン(通常、淡褐色の粉末)を得ることができる。上記粗1,3−ジハロゲン化アダマンタンには、通常1,3−ジハロゲン化アダマンタンが85〜95重量%程度含まれており、その他に1−ハロゲン化アダマンタンが1〜5重量%程度、1,2−ジハロゲン化アダマンタン及び1,4−ジハロゲン化アダマンタンが合計で0.5〜8重量%程度、1,3,5−及び1,3,6−等のトリハロゲン化アダマンタンが合計で0.5〜6重量%程度、高分子量不純物が0.4〜2重量%程度含まれている。
前記ジオール粗体製造工程では、第二段目の反応として、以上の方法により得られた粗1,3−ジハロゲン化アダマンタンを用い、これを水溶性有機溶媒の存在下、水と反応させて1,3−アダマンタンジオールを生成させる。このとき水溶性有機溶媒としては、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメトキシエタン等が挙げられ、反応のし易さや反応後の溶媒除去操作が比較的容易であることから、N,N−ジメチルホルムアミドを用いるのが最も好ましい。なお、第二段目の反応を行なう前に粗1,3−ジハロゲン化アダマンタンを本活性炭処理工程と同様にして活性炭処理することもできる。しかしながら、ジオール粗体製造工程で増加する高分子量不純物やその他不純物を除去する必要があることから、両者をまとめて除去することが効率的である。従って、工程を簡略化するという観点からは、粗1,3−ジハロゲン化アダマンタンをそのまま第二段目の反応に供し、ジオール粗体としてから活性炭処理を行なうのが好適である。
第二段目の反応において水溶性有機溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、反応性を考慮し、アダマンタン1モルに対して1モル以上、好ましくは2〜20モル使用する。水の使用量は、特に限定されるものではないが、反応性及び生成物の溶解性を考慮すると、アダマンタン1モルに対して5モル以上、特に20〜500モルとするのが好適である。
第二段目の反応条件は特に限定されないが、温度は、120〜200℃、特に140〜180℃で実施するのが好適である。また、反応中に溶媒が蒸発するのを防ぎ、更に上記のような好適な反応温度を達成するために、反応は密閉系で行うことが好ましく、その場合の圧力は0.1〜2.0MPaとするのが好適である。また、反応時間は、反応液中のジハロゲン化アダマンタンの濃度によって異なるが、反応を完結させるため、3〜48時間が好ましい。
上記第二段目の反応において、反応液は当初懸濁状態を呈しているが、反応の進行に伴い(1,3−アダマンタンジオールが水を含む溶媒に可溶なため)反応液は透明な均一溶液へと変化する。反応液からの1,3−アダマンタンジオールの単離は、如何なる方法で行っても良く、例えば反応液をろ過した後、濾液に塩基を加えて反応中に発生したハロゲン化水素を処理(中和)し、次いで溶液に多量の塩を投入して目的物を析出させ、析出した固体をそのままろ過するか、或いはテトラヒドロフランなどの有機溶媒を用いて濾液から目的物を抽出した後に溶媒を除去することにより粗1,3−アダマンタンジオール(通常褐色の固体)を得ることができる。このとき、中和に使用する塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を用いることができる。このようにして得られた粗1,3−アダマンタンジオール(ジオール粗体)には、1,3−アダマンタンジオールが92〜97重量%程度含まれており、その他に1−アダマンタノール1〜5重量%、未反応のジハロゲン化及びトリハロゲン化アダマンタン0.5〜3重量%、高分子量不純物0.5〜1.5重量%を含有する。
本発明の製造方法では、前記ジオール粗体製造工程等の方法により得られたジオール粗体は、炭素数1〜3のアルコール又は炭素数1〜3のアルコールと水との混合液(以下、総称して特定共存溶媒ともいう。)中で活性炭と接触させる工程(本活性炭処理工程或いは精製ジオール製造工程)を経ることにより、高分子量不純物の含有量を1,3−アダマンタンジオール、高分子量不純物およびその他不純物の合計重量を基準として0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下に低減させることができる。同じ活性炭を用いても上記条件を満足しない条件下でジオール粗体と活性炭とを接触させた場合には、高分子量不純物除去効率が悪く、高分子量不純物の含有量を0.3重量%以下とするのは困難である。
本活性炭処理工程で特定共存溶媒として使用する炭素数1〜3のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノールおよびイソプロピルアルコールが使用できる。また、炭素数1〜3のアルコールと水との混合液を使用する場合、該アルコールと水の混合比率は任意に選ぶことができるが、水の比率が高いと除去効率が低下する傾向があるため、水の比率は、0.1〜50重量%、特に5〜10重量%とするのが好適である。このとき使用する特定共存溶媒の量は特に制限されるものではないが、回収率低下防止の観点からジオール粗体を完全に溶解する量以上であるのが好適であり、高分子量不純物除去効率の観点からはジオール粗体の重量に対して2〜20倍、特に5〜10倍の重量の特定共存溶媒を使用することが好ましい。高分子量不純物の除去効率の観点からは、メタノール或いはエタノール又はこれらアルコールと水の混合物、特にメタノール又はメタノールと水の混合液を使用するのが好適である。メタノール又はメタノールと水の混合液を特定共存溶媒とした場合には、一度の活性炭処理で高分子量不純物量を0.3重量%以下とすることが可能である。
本活性炭処理工程で使用する活性炭としては試薬又は工業的に入手可能なものが特に限定されず使用できるが、高分子量不純物の除去効率の観点から好適な活性炭を例示すれば精製白鷺(武田薬品工業株式会社製)等を挙げることができる。活性炭の添加量も特に制限されないが、少なすぎると高分子量不純物の除去効果が小さく、多すぎると目的物の回収率が低下するため、原料ジオールの重量に対して0.05〜0.5倍、特に0.1〜0.2倍の重量の活性炭を使用するのが好適である。
本活性炭処理の方法は、活性炭とジオール粗体を上記特定共存溶媒の存在下に接触させる方法であれば特に限定されず、活性炭を含む固相中にジオール粗体を特定共存溶媒に溶解した溶液を通じて行う方法、特定共存溶媒中で活性炭とジオール粗体とを混合して一定時間攪拌する方法が採用できる。中でも操作の簡便性の観点から後者の方法を採用するのが好適である。このとき、本活性炭処理の温度は、特に制限はないが、高すぎると活性炭処理の効果が低下し、低い場合は1,3−アダマンタンジオールの析出を防ぐためにより多くの溶媒量が必要となることから、0〜30℃で行うのが好ましい。また、活性炭処理の時間は、特に制限はないが、短すぎると効果が小さく、ある程度の時間以上行ってもそれ以上効果が高まることはない。通常は、3時間以上実施すれば十分である。なお、特定共存溶媒の種類によっては1度の活性炭処理では高分子量不純物量を0.3重量%以下にできないこともあるが、この場合でも活性炭処理を2〜3回繰り返すことにより0.3重量%以下とすることができる。
このようにして本活性炭処理を行なった後、活性炭と処理液とを分離して高分子量不純物の含有量が0.3重量%以下の1,3−アダマンタンジオール(即ち、原料ジオール)を得ることができる。このとき、活性炭の分離方法としては、ろ過等の公知の方法が制限無く使用でき、例えば、セライトを敷き詰めたろ紙を通過させ、得られた溶液から特定共存溶媒を除去し、乾燥することで目的物の白色固体を得ることができる。このようにして得られた、1,3−アダマンタンジオールには、1−アダマンタノール等のその他不純物が含まれることがあるが、これら不純物は酢酸エチル、アセトンなど、目的物の溶解度の低い極性溶媒で洗浄することにより除去することができる。
本発明のアダマンチルエステル化合物の製造方法では、このようにして得られた「高分子量不純物の含有量が0.3重量%以下の1,3−アダマンタンジオール(原料ジオール或いは精製ジオール)」と重合性基を有するカルボン酸化合物とを反応させて1,3−アダマンタンジオールの水酸基の少なくとも一方がエステル化されたアダマンチルエステル化合物を製造する。該アダマンチルエステル化合物としては、例えば、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルクロトネート、1,3−アダマンチルジアクリレート、1,3−アダマンチルジメタクリレート、1,3−アダマンチルジ(2−エポキシ)ブチレート等が挙げられる。
このとき、重合性基を有するカルボン酸化合物(原料カルボン酸ともいう)としては、ビニル基、エポキシ基等の重合性基及びカルボキシル基をそれぞれ分子内に1個以上有する化合物であれば公知の化合物が特に限定されず使用できるが、レジスト材料として使用する場合には、アクリル酸又はメタクリル酸{総称して(メタ)アクリル酸ともいう}を使用するのが好適である。
原料ジオールと原料カルボン酸との反応は、アルコール化合物とカルボン酸化合物とを反応させてエステル化合物を得る方法として知られている公知の方法が採用できる。また、エステル化に際しては、1,3−アダマンタンジオールの2つの水酸基の何れか一方又は両方をエステル化してもよいが、レジストの極性を制御するためのレジスト材料として有用であるという理由から、硫酸触媒の存在下1,3−アダマンタンジオールと原料カルボン酸とを縮合反応させることにより、1,3−アダマンタンジオールの一方の水酸基のみを選択的にエステル化するのが好適である。
上記反応において原料カルボン酸の添加比率は、特に制限はないが、原料ジオール1モルに対して1モル量以上、反応を速やかに進行させるため、特に2〜5倍モル量を使用するのが好適である。
上記反応において高分子量不純物の増加を抑制する観点から、重合禁止剤を添加するのが好適である。重合禁止剤としては、既存のものから有効なものを制限なく選んで使用することができる。例えば、ヒドロキノン、ナフトキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、イオウ化合物、リン化合物、銅化合物、酸素等あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。重合禁止剤の添加量は、特に制限はなく、反応中の重合を抑制するに十分な、適当な量を選べばよく、通常、原料カルボン酸の重量に対して0.01〜10重量%である。
硫酸の添加量は、特に制限はないが、少なすぎると反応速度が極端に遅くなり、多すぎると副反応により収率が低下するため、通常、原料ジオールの重量に対して0.5〜10重量%、特に1〜3重量%が好適である。
原料ジオールと原料カルボン酸との反応は、溶媒の不存在下でも可能ではあるが、副反応を抑制するため、通常は、有機溶媒の存在下で行う。また、反応中に副生する水を除去するため水と共沸する溶媒を使用することが好ましい。このような有機溶媒の例として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン等が挙げられ、特に、共沸脱水の効率のよさと後述する反応温度を保持するのに有利である点から、トルエンの使用が好適である。有機溶媒の量は、特に制限はないが、少ない場合は、原料ジオールの両方の水酸基がエステル化された化合物の生成量が増加し、目的物の収率が低下するため、通常、原料ジオールの重量に対して、1〜20倍の重量、特に3〜10倍の重量が好適である。
原料ジオールと原料カルボン酸との反応の温度は、低すぎる場合は極端に反応速度が低下し、高すぎる場合は重合体が生成しやすくなるため、60〜150℃、特に80〜120℃が好適である。反応時間は、特に制限なく、反応が十分な転化率に達するまで行えば良い。通常は、2〜48時間で十分な転化率を得ることができる。
このようにして得られた反応液から、アダマンチルエステル化合物を分離するには、公知の如何なる方法を用いてもよいが、例えば、アルカリ洗浄、水洗を行った後、適宜活性炭処理及び再結晶を行うことにより高純度のアダマンチルエステル化合物を単離することができる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1
アダマンタン5.0g(0.037mol)を100mlの三つ口フラスコに入れ、窒素ガスを通じて乾燥させた。次に、窒素をフローしたまま、温度を0℃まで冷却し、クロロスルホン酸25.7g(0.22mol)を滴下した。懸濁状となった反応液の温度を10℃まで上げると、反応液から発泡が始まった。発泡が収まるまでそのままの温度を維持すると、2時間後溶液は透明の均一溶液となった。
次に、温度を25℃まで上げ、さらに8時間反応させた。懸濁状となった反応溶液を氷水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、水酸化ナトリウム溶液及びイオン交換水で洗浄後、溶媒留去、乾燥させて7.4g(収率98%)の褐色の固体を得た。該固体中には、1,3−ジクロロアダマンタンが90重量%、1,2−ジクロロアダマンタン及び1,4−ジクロロアダマンタンが合計5重量%、1−クロロアダマンタン類が3重量%、トリクロロアダマンタンが合計1重量%、高分子量不純物が0.6重量%含まれていた。
この固体を耐圧反応装置に入れN,N−ジメチルホルムアミド5.3g(0.073mol)と水22.2g(1.2mol)を加え、窒素置換の後、密閉して150℃で10時間反応させた。反応液をろ過後、炭酸ナトリウム3.7g(0.035mol)を加え、析出した固体をろ過し、イオン交換水で二回洗浄した後、乾燥させてジオール粗体として5.3g(収率86%)の淡褐色固体を得た。この固体をガスクロマトグラフィー(GC)及びGPCにより分析したところ、その組成は、1,3−アダマンタンジオールが94.7重量%、1−アダマンタノールが2.4重量%、1,3−ジクロロアダマンタンが0.8重量%、トリクロロアダマンタンが合計1.3重量%及び高分子量不純物0.79重量%であった。
上記のジオール粗体(淡褐色固体)を、5重量%の水を含むメタノール32gからなる共存溶媒に40℃で溶解し、1.0gの活性炭を加えて3時間室温で攪拌した。その後、セライトを敷き詰めたろ紙でろ過し、溶媒を除去し、11gの酢酸エチルを加えて、スラリー状態で3時間攪拌した。スラリーから固体をろ別し、乾燥して白色の固体5.1g(収率83%)を得た。この固体組成をGC及びGPC分析により求めた。結果を表1に示す。
Figure 0004279092
実施例2
実施例1において、共存溶媒を10重量%の水を含むメタノール32gに代える以外は同様にしてジオール粗体の調製及び活性炭処理を行ない、処理後の精製物の組成を調べた。その結果を併せて表1に示す。
実施例3
実施例1において、共存溶媒を純メタノール(純度99%以上)32gに代える以外は同様にしてジオール粗体の調製及び活性炭処理を行ない、処理後の精製物の組成を調べた。その結果を併せて表1に示す。
実施例4
実施例1において、共存溶媒を33重量%の水を含むメタノール48gに代える以外は同様にしてジオール粗体の調製及び活性炭処理を行ない、処理後の精製物の組成を調べた。その結果を併せて表1に示す。
実施例5
実施例1において、共存溶媒を33重量%の水を含むエタノール42gに代え、活性炭処理を2回繰り返した他は実施例1と同様にしてジオール粗体の調製及び活性炭処理を行ない、処理後の精製物の組成を調べた。その結果を併せて表1に示す。
実施例6
実施例1において、共存溶媒を33重量%の水を含む2−プロパノール42gに代え、活性炭処理を3回繰り返した他は実施例1と同様にしてジオール粗体の調製及び活性炭処理を行ない、処理後の精製物の組成を調べた。その結果を併せて表1に示す。
比較例1
実施例6において、共存溶媒を酢酸32gに代える以外は同様にしてジオール粗体の調製及び活性炭処理を行ない、処理後の精製物の組成を調べた。その結果を併せて表1に示す。
比較例2
実施例6において、共存溶媒を33重量%の水を含む酢酸32gに代える以外は同様にして原料ジオールの調製及び活性炭処理を行ない、処理後の精製物の組成を調べた。その結果を併せて表1に示す。
比較例3
実施例6において共存溶媒を1−ブタノール53gに代える以外は同様にして原料ジオールの調製及び活性炭処理を行ない、処理後の精製物の組成を調べた。その結果を併せて表1に示す。
比較例4
実施例6において共存溶媒をテトラヒドロフラン53gに代える以外は同様にして原料ジオールの調製及び活性炭処理を行ない、処理後の精製物の組成を調べた。その結果を併せて表1に示す。
実施例7
実施例1で得られた1,3−アダマンタンジオール(高分子量不純物0.18重量%)5.0g(0.030mol)を、ディーンスターク型脱水管を接続した100mlの四つ口フラスコに入れ、トルエン25ml、メタクリル酸7.7g(0.090mol)、p−メトキシフェノール0.15g、濃硫酸0.10gを加え、空気を流通させつつ、88℃で12時間攪拌した。この間、発生した蒸気は、コンデンサーで液化させ、ディーンスターク管で水を除去して、フラスコ内に還流させた。反応液は、当初、1,3−アダマンタンジオールの不溶分により、懸濁状態を呈していたが、反応の進行に従って、徐々に透明な均一溶液へと変化していった。反応後、溶液を室温まで冷却し、10重量%水酸化ナトリウム水溶液24gで洗浄し、5重量%食塩水25mlで2回、純水25mlで2回洗浄した。反応液には、固体の析出や濁りは認められず、分液操作を良好に行うことができた。
分液後の溶液に、活性炭1.4gを加え、3時間室温で攪拌処理した後、活性炭をろ過により除去した。ろ液から溶媒を除去して、乾燥させ、淡黄色の固体6.2g(収率88%)を得た。
この固体をGC及びGPCで分析したところ、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの含有量が93.8重量%であり、高分子量不純物は0.93重量%であった。
上記アダマンチルエステル粗体5.0gを、20.0gのn−ヘキサンに溶解して、60℃に加熱して溶解させ、約−3℃/分の速度で冷却した、50℃になった時点で、種結晶を約0.01g投入し、攪拌しながら冷却を続けた。結晶が増加し始めたところで、冷却を中断し、そのままの温度で1時間保持した後、再度冷却を開始し、溶液の温度が3℃になったところで1時間保持し、その後析出した固体をろ過した。固体は、0℃のn−ヘキサンで洗浄した後、乾燥させ、4.5gの白色の固体を得た。上記の晶析操作を、同様にしてさらに2回繰り返し、3.8g(3回の晶析の収率76%、全収率67%)の白色の固体を得た。
この固体をGC及びGPCで分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの含有量は99.4重量%、高分子量不純物の含有量は0.09重量%であった。
実施例8
実施例7においてメタクリル酸をアクリル酸6.4gに代える以外は同様にしてアダマンチルエステル化合物の調製及び精製処理を行ない、処理後の精製物の組成を調べた。この際、分液操作に支障は無かったもの反応液には若干の濁りが認められた。精製処理後、全収率53%で固体が得られ、該固体中の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は98.9重量%、高分子量不純物の含有量は0.27重量%であった。
実施例9
実施例7において1,3−アダマンタンジオールを実施例6で得られたもの(高分子量不純物の含有量0.27重量%)に代える以外は同様にしてアダマンチルエステル化合物の調製及び精製処理を行なった。この際、分液操作に支障は無かったもの反応液には若干の濁りが認められた。精製処理後、全収率63%で固体が得られ、精製物の組成を調べた結果、該固体中の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの含有量は99.2重量%、高分子量不純物の含有量は0.21重量%であった。
比較例5
実施例7において1,3−アダマンタンジオールを比較例1で得られたもの(高分子量不純物の含有量0.48重量%)に代える以外は同様にしてアダマンチルエステル化合物の調製及び精製処理を行なった。この際、反応中に重合物と思われる固体の生成により反応液は著しく濁り、分液時においては、固体成分の沈殿と分液性の不良により、分液操作は困難を極めた。精製処理後、全収率41%で固体が得られ、精製物の組成を調べた結果、該固体中の3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの含有量は94.3重量%、高分子量不純物の含有量は0.86重量%であった。
第一の本発明の製造方法により得られるアダマンチルエステル化合物は電子材料分野におけるレジスト材料として利用できる。また、第二の本発明の製造方法により得られる1,3−アダマンタンジオールは上記アダマンチルエステルの合成原料として利用できる。

Claims (2)

  1. 1,3−アダマンタンジオールと重合性基を有するカルボン酸化合物とを反応させて1,3−アダマンタンジオールの水酸基の少なくとも一方がエステル化されたアダマンチルエステル化合物を製造する方法において、
    アダマンタンをハロゲン化して1,3−ジハロゲン化アダマンタンを得た後に該1,3−ジハロゲン化アダマンタンと水とを反応させて300以上の分子量を有する有機不純物の含有量が0.5重量%以上である1,3−アダマンタンジオールを得るジオール粗体製造工程、及び
    当該ジオール粗体製造工程で得られた300以上の分子量を有する有機不純物の含有量が0.5重量%以上である1,3−アダマンタンジオールを炭素数1〜3のアルコール又は炭素数1〜3のアルコールと水との混合液中で活性炭と接触させて前記有機不純物の含有量が0.3重量%以下である1,3−アダマンタンジオールを得る精製ジオール製造工程を含み、
    当該精製ジオール製造工程で得られた前記有機不純物の含有量が0.3重量%以下である1,3−アダマンタンジオールを原料として使用することを特徴とする前記アダマンチルエステル化合物の製造方法。
  2. アダマンタンをハロゲン化して1,3−ジハロゲン化アダマンタンを得た後に該1,3−ジハロゲン化アダマンタンと水とを反応させることにより、300以上の分子量を有する有機不純物の含有量が0.5重量%以上である1,3−アダマンタンジオールを得る工程、及び
    前記工程で得られた300以上の分子量を有する有機不純物の含有量が0.5重量%以上である1,3−アダマンタンジオールを炭素数1〜3のアルコール又は炭素数1〜3のアルコールと水との混合液中で活性炭と接触させて前記有機不純物の含有量が0.3重量%以下である1,3−アダマンタンジオールを得る工程
    を含むことを特徴とする1,3−アダマンタンジオールの製造方法。
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