JP4157448B2 - 重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法 - Google Patents

重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、機能性材料や電子材料の原料モノマーとして有用な重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法に関する。
アダマンタン誘導体は耐熱性に優れ透明性が高い特徴を有することから耐熱性高分子等の高機能性材料や半導体用レジスト等の電子材料に応用することが期待されている化合物である。なかでも、重合性不飽和カルボン酸とアダマンタノール類とのエステル化合物は、単独あるいは他のモノマーと共に、高分子材料やレジスト材料の原料モノマーとして使用される極めて有用な化合物である。特に、アダマンタンジオール類をモノエステル化して得られる、ヒドロキシアダマンチルエステル類は、その配合割合によって、溶媒溶解性等レジスト樹脂の極性に起因する種々の物性をコントロールすることができ、重要な化合物である。
従来、こうした重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類(以下、これらを単に「重合性アダマンチルエステル類」と称する)の好適な製造方法として、アダマンタノール類と重合性不飽和カルボン酸ハライドとを混合し反応させる方法(例えば、特許文献1参照)や、硫酸等の酸触媒の存在下、アダマンタノール類と重合性不飽和カルボン酸とを縮合させる方法(例えば、特許文献2参照)が報告されている。しかして、アダマンタンジオール類と不飽和カルボン酸とを反応させ、アダマンタンジオール類の1つの水酸基のみがエステル化された、重合性アダマンチルモノエステル類を得ようとする場合、前者の方法は目的とするモノエステルの他に、ジエステル体も相当量副生するため、収率が低いという欠点がある。
これに対して、後者の方法は、こうしたジエステル体の副生が少なく、収率が良好であるため大変有利な方法である。ところが、この方法は、ガスクロマトグラフィー(GC)では確認されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって初めて確認される、目的とする重合性アダマンチルエステル類よりもピークの出現時間が早い分子量が300〜5000程度の高分子量の不純物成分(以下、これらの不純物成分を単に「オリゴマー不純物」とも呼ぶ)が前者に比較して多くなる。
このオリゴマー不純物の副生を抑制するため、種々の重合禁止剤を配合することが提案されているものの(例えば、特許文献3参照)、これらの多くは上記硫酸を使用しての過酷な条件下での反応中に分解や失活してしまい、十分な効果が得られていないのが実状である。これらオリゴマー不純物の混入は、溶媒溶解性や重合体の耐熱性などの物性に好ましくない影響を与える可能性があり、特に電子材料用途として用いる場合に大きな問題となるため、できる限り低減することが望まれていた。
特開2000−119220号公報 特開昭63−33350号公報 特開平5−320095号公報
このような状況において、本発明は、上記アダマンタノール類と重合性不飽和カルボン酸とを、硫酸および重合禁止剤の存在下で反応させる重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法において、オリゴマー不純物の生成の極めて少ない方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行ってきた。その結果、上記反応の系中に、特定の硫酸塩を共存せしめることで、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、アダマンタノール類と重合性不飽和カルボン酸とを、硫酸および重合禁止剤の存在下で反応させる重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法において、アルカリ金属硫酸塩またはアルカリ土類金属硫酸塩を共存させることを特徴とする重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法である。
本発明によれば、オリゴマー不純物の生成を高度に抑えた状態で、重合性アダマンチルエステル類を高い収率で製造することが可能である。
オリゴマー不純物の含有量が少ない重合性アダマンチルエステル類は、溶媒溶解性や重合体の耐熱性に優れており、本発明は、耐熱性高分子等の機能性材料やレジスト等の電子材料などの原料モノマーの製造方法として極めて有用である。
本発明において、反応原料のアダマンタノール類とは、アタマンタン環に少なくとも1個の水酸基が結合した化合物であり、公知の化合物が制限なく使用できる。一般には、下記一般式(2)
Figure 0004157448

(式中、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、水酸基、または低級アルキル基を示し、このうち少なくとも1つは水酸基である)
で示される化合物が好適である。
ここで、R、R、RおよびRの低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜5のものが挙げられ、特に、メチル基が好ましい。
これらのアダマンタノール類の具体例としては、1−アダマンタノール、2−アダマンタノール、1,3−アダマンタンジオール、1,4−アダマンタンジオール、5−メチル−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオール、5−エチル−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジエチル−1,3−アダマンタンジオール、5−プロピル−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジプロピル−1,3−アダマンタンジオール、5−エチル−7−メチル−1,3−アダマンタンジオール、1,3,5−アダマンタントリオール、1,3,6−アダマンタントリオール、7−メチル−1,3,5−アダマンタントリオール等が挙げられる。このうち、一般式(3)
Figure 0004157448
(式中、RおよびRは、各々独立に、水素原子または低級アルキル基を示す)
で示されるアダマンタンジオール類が得られる重合性アダマンチルエステル類の有用性の面等から好ましく、特に、1,3−アダマンタンジオールおよび5−メチル−1,3−アダマンタンジオールが好ましい。
また、重合性不飽和カルボン酸とは、重合性不飽和基を有するカルボン酸が制限なく使用できる。ここで、重合性不飽和基としては、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、アリルメチル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基等の基が挙げられる。
このような重合性不飽和カルボン酸の好適なものとしては、
下記一般式(4)
Figure 0004157448
(式中、Rは、水素原子または低級アルキル基を示す)
で示される化合物が挙げられる。
ここで、Rの低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜5のものが挙げられ、特に、メチル基が好ましい。また、Rが水素原子の化合物は、オリゴマー不純物が多量に生成する傾向があり、本発明の効果がより顕著に発揮されるため好ましい。
これらの重合性不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、2−エチルプロペン酸等などが挙げられ、このうち特に、アクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。
本発明では、上記アダマンタノール類と重合性不飽和カルボン酸とを反応させて重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類を得る。この重合性アダマンチルエステル類は、
モノエステル体だけでなく、ジエステル体、トリエステル体等の多エステル化されたものであっても良い。好適には、前記したアダマンタノール類および重合性不飽和カルボン酸として好適なものを使用して製造される、一般式(5)
Figure 0004157448
〔式中、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、水素原子、水酸基、低級アルキル基、または下記式(5)
Figure 0004157448
(但し、R13は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で示される基であり、このうち少なくとも1つは上記式(5)で示される基である〕
で示される化合物であるのが好ましい。
こうした重合性アダマンチルエステル類としては、例えば、1−アダマンチルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、2−アダマンチルアクリレート、2−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、3−メチル−1−アダマンチルアクリレート、3−メチル−1−アダマンチルメタクリレート、3−エチル−1−アダマンチルアクリレート、3−エチル−1−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−1−アダマンチルアクリレート、2−メチル−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル=2−エチルプロペノエート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル=2−プロピルプロペノエート、3−ヒドロキシ−5−メチル−1−アダマンチルアクリレート、3−エチル−5−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−5−プロピル−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−5−メチル−1−アダマンチルメタクリレート、3−エチル−5−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−5−プロピル−1−アダマンチルメタクリレート、3,5−ジメチル−7−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、3,5−ジエチル−7−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、3−エチル−5−ヒドロキシ−7−メチル−1−アダマンチルアクリレート、3,5−ジメチル−7−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、3,5−ジエチル−7−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、3−エチル−5−ヒドロキシ−7−メチル−1−アダマンチルメタクリレート等のアダマンチルモノエステル類;1,3−アダマンチルジアクリレート、1,3−アダマンチルジメタクリレート、5−ヒドロキシ−1,3−アダマンチルジメタクリレート、5−ヒドロキシ−1,3−アダマンチルジアクリレート等のアダマンチルジエステル類;1,3,5−アダマンチルトリアクリレート、1,3,5−アダマンチルトリメタクリレート等のアダマンチルトリエステル類等が挙げられる。
このうち特に、一般式(6)
Figure 0004157448

(但し、R14、R15およびR16は、各々独立に、水素原子または低級アルキル基を示す)
で示される3−ヒドロキシアダマンチルモノエステル類が好ましく、特に、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、3−ヒドロキシ−5−メチル−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−5−メチル−1−アダマンチルメタクリレートが好ましい。
本発明の製造方法において、重合性不飽和カルボン酸の使用量は、特に制限されるものではないが、モノエステル化の場合、アダマンタノール類に対して等モル量以上、好適には、反応を速やかに進行させるため、2〜5倍モル量を使用するのが好ましい。ジエステル化及びトリエステル化の場合は、重合性不飽和カルボン酸の使用量は、それぞれ、上記のモノエステル化の2倍及び3倍とすればよい。
本発明において、上記アダマンタノール類と重合性不飽和カルボン酸との反応は、酸触媒である硫酸の存在下に実施する。硫酸の使用量は、特に制限されるものではないが、少なすぎると反応速度が極端に遅くなり、多すぎると副反応により収率が低下するため、通常、アダマンタノール類に対して0.5〜10質量%、好適には1〜3質量%が望ましい。
このように硫酸を使用しての反応では、前記したようにオリゴマー不純物の副生が激しくなるため、本発明では重合禁止剤を使用する。重合禁止剤としては、既存のものから有効なものを制限なく選んで使用することができる。例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール等のフェノール系化合物;ベンゾキノン、ナフトキノン等のキノン系化合物;フェノチアジン、アニリン等のアミン系化合物;後述する例示化合物のようなニトロキシルラジカル系化合物;ジチオカルバミン酸銅等の銅化合物;イオウ化合物;リン化合物;酸素等が挙げられ、これらは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
とりわけ、下記一般式(1)
Figure 0004157448

(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、または低級アルコキシ基を示す)
で示されるニトロキシルラジカル系化合物は、本発明においては、その重合禁止能が大きく促進され、オリゴマー不純物の生成抑制の効果が高いため特に好ましい。
ここで、Rのハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜5のものが挙げられ、特に、メチル基が好ましい。低級アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等の炭素数1〜5のものが挙げられ、特に、メトキシ基が好ましい。一般式(1)においてRは、水素原子および水酸基であるのが特に好ましく、水素原子であるのが最も好ましい。
上記一般式(1)で示されるニトロキシルラジカル系化合物を具体的に例示すると、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−クロロ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等あげられる。このうち2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等を用いるのがより好ましい。
本発明において、重合禁止剤の使用量は、特に制限されるものではなく、反応中の重合を抑制するに十分な適当な量を選べばよい。通常は、重合性不飽和カルボン酸に対して0.01〜10質量%であるのが好ましい。
本発明の最大の特徴は、上記アダマンタノール類と不飽和カルボン酸とを硫酸および重合禁止剤の存在下で反応させるに際し、アルカリ金属硫酸塩、またはアルカリ土類金属硫酸塩を共存させることである。それにより、オリゴマー不純物の生成量を大きく低減することができる。その理由は定かではないが、前記したように硫酸存在下での反応により、その能力が十分に発揮することが困難になる、重合禁止剤の活性が維持・促進されるものと推定される。
上記反応系中に、アルカリ金属硫酸塩またはアルカリ土類金属硫酸塩を共存させる方法は、これら硫酸塩を直接添加する方法が一般的である。この他、触媒である硫酸と反応して、これら硫酸塩を生成させる塩を添加する方法等を採用しても良い。後者の方法は、使用する塩の種類によっては反応が遅くなるおそれもあるため、硫酸塩を直接添加する前者の方法を採択するのがより好ましい。また、後者の方法は、触媒である硫酸が硫酸塩に変化して消費されるため、該硫酸の使用量を、この消費量分だけ多く配合するのが好ましい。
アルカリ金属硫酸塩またはアルカリ土類金属硫酸塩を直接添加する場合、該塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム等の硫酸アルカリ金属塩;硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素リチウム等の硫酸水素アルカリ金属塩;硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸アルカリ土類金属塩など好適に用いられ、特に、硫酸ナトリウムが安価に入手でき、効果も良好であるため好ましい。
硫酸と反応して、そのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を生成する塩を添加する場合、該塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸アルカリ土類金属塩;塩化ナトリウム、塩化リチウム等の塩酸アルカリ金属塩;塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム等の塩酸アルカリ土類金属塩;硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等の硝酸アルカリ金属塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸リチウム等の亜硫酸アルカリ金属塩;亜硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム等の亜硫酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。このうち、反応に影響が少ない炭酸アルカリ金属塩および炭酸アルカリ土類金属塩が好適に用いられる。
反応系中において、アルカリ金属硫酸塩またはアルカリ土類金属硫酸塩の存在量は、特に制限はないものの、少なすぎると効果が低く、多すぎると反応速度が低下することから、触媒である硫酸に対して0.1〜3倍モル量、特に、0.5〜1倍モル量が好ましい。なお、硫酸と反応して、そのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を生成する塩を添加する場合において、これらの塩は、実質的な硫酸量、すなわち実際の硫酸量から添加する塩と当量の硫酸分を減じた量、に対して0.1〜3倍モル量、特に、0.5〜1倍モル量を添加するのが好ましい。

アダマンタノール類と重合性不飽和カルボン酸との反応は、溶媒の不存在下でも可能であるが、副反応を抑制するため、通常は、有機溶媒の存在下で行うのが好ましい。また、反応中に副生する水を除去するため水と共沸する溶媒を使用することが好ましい。このような有機溶媒の例として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の鎖状飽和炭化水素系有機溶媒;シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素系有機溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒;ジオキサン等のエーテル系有機溶媒が挙げられ、特に、共沸脱水の効率のよさと後述する反応温度を保持するのに有利である点から、トルエンが好ましい。
有機溶媒の量は、特に制限はないが、少ない場合は、副反応が増加する場合があるため、通常、アダマンタノール類に対して、1〜20倍量、好ましくは3〜10倍量が適当である。
反応中において、発生した蒸気は、コンデンサーで液化させ、ディーンスターク管等により水を除去して、フラスコ内に還流させるのが好ましい。共沸脱水のために、気化した溶媒の全量が反応系に還流しない場合は、望ましい溶媒量を保つために溶媒の補充を行うことが好ましい。
反応温度は、低すぎる場合は極端に反応速度が低下し、高すぎる場合は重合体が生成しやすくなるため、60〜150℃、好ましくは80〜120℃が適当である。
反応時間は、特に制限なく、反応が十分な転化率に達するまで行えば良い。通常は、2〜48時間で十分な転化率を得ることができる。
以上の反応で得られた反応液から重合性アダマンチルエステル類を分離する方法は、公知の方法を制限無く用いることができ、通常、アルカリ水溶液を用いて余分な重合性不飽和カルボン酸を中和し、水相が中性になるまで数回水洗し、溶媒除去し、乾燥させることにより固体を得る。この固体には、通常、目的物である重合性アダマンチルエステルが80質量%以上含まれている。
この後、より高純度の目的物を得るために、活性炭処理や再結晶等の公知の方法で、さらに精製を行っても良い。
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1
ディーンスターク管を接続した100mlの四つ口フラスコに、1,3−アダマンタンジオール5.0g(0.030mol)、トルエン25ml、アクリル酸6.5g(0.090mol)、硫酸ナトリウム0.15g、濃硫酸0.10g、2,2,6、6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.15gを入れ、空気を流通させつつ、90℃で15時間攪拌した。この間、発生した蒸気は、コンデンサーで液化させ、ディーンスターク管で水を除去して、フラスコ内に還流させた。反応液は、当初、1,3−アダマンタンジオールの不溶分により、懸濁状態を呈していたが、反応の進行に従って、徐々に透明な均一溶液へと変化していった。反応液は、薄い褐色であった。反応後、溶液を室温まで冷却し、10質量%水酸化ナトリウム水溶液24gで洗浄し、5質量%食塩水25mlで2回、純水25mlで2回洗浄し、溶媒を除去して、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの粗体を得た。この粗体を、23gのn−ヘキサンに60℃で溶解し、3℃まで徐々に温度を下げて結晶を析出させ、ろ別して4.9g(収率74%)の固体を得た。
この固体をGC及びGPCにより分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は95質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.7質量%であった。
比較例1
実施例1において、硫酸ナトリウムを添加せずに、同様に実施した。反応液は濃褐色であり、黒色の固体が析出していた。晶析後、4.1g(収率62%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は89質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は6.5質量%であった。
実施例2
実施例1において、2,2,6、6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルの代わりに4−ヒドロキシ−2,2,6、6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.15gを使用して、同様に実施した。
晶析後、4.8g(収率73%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は95質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は1.0質量%であった。
比較例2
実施例2において、硫酸ナトリウムを添加せずに、同様に実施した。反応液は濃褐色であり、黒色の固体が析出していた。
晶析後、4.2g(収率64%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は90質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は6.2質量%であった。
実施例3
実施例1において、2,2,6、6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルの代わりに4−メトキシフェノール0.15gを使用して、同様に実施した。
晶析後、4.6g(収率70%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は93質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は2.9質量%であった。
比較例3
実施例3において、硫酸ナトリウムを添加せずに、同様に実施した。反応液は濃褐色であり、黒色の固体が析出していた。
晶析後、4.2g(収率64%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は89質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は6.6質量%であった。
実施例4
実施例1において、アクリル酸の代わりにメタクリル酸7.7gを使用して、同様に実施した。
晶析後、6.2g(収率88%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの含有量は95質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.2質量%であった。
比較例4
実施例4において、硫酸ナトリウムを添加せずに、同様に実施した。反応液は濃褐色であり、黒色の固体が析出していた。
晶析後、5.3g(収率75%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの含有量は92質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.5質量%であった。
実施例5
実施例1において、1,3−アダマンタンジオールの代わりに1−アダマンタノール4.5gを使用して、同様に実施した。
晶析後、5.0g(収率82%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、1−アダマンチルアクリレートの含有量は96質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.8質量%であった。
比較例5
実施例5において、硫酸ナトリウムを添加せずに、同様に実施した。反応液は濃褐色であり、黒色の固体が析出していた。
晶析後、4.4g(収率72%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、1−アダマンチルアクリレートの含有量は90質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は3.5質量%であった。
実施例6
実施例1において、硫酸ナトリウムの代わりに硫酸カリウム0.18gを使用して、同様に実施した。
晶析後、4.9g(収率74%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は95質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.8質量%であった。
実施例7
実施例1において、硫酸ナトリウムの代わりに硫酸カルシウム0.14gを使用して、同様に実施した。
晶析後、4.8g(収率73%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は94質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は1.2質量%であった。
実施例8
実施例1において、硫酸ナトリウムの代わりに炭酸ナトリウム0.11gを使用し、さらに使用する濃硫酸の量を0.21gとし、同様に実施した。ここで、炭酸ナトリウムと濃硫酸の中和反応により、系中では0.15gの硫酸ナトリウムが生成しており、触媒として機能する濃硫酸は0.11gとなっている。
晶析後、4.9g(収率74%)の固体が得られ、この固体をGC及びGPCで分析した結果、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレートの含有量は95質量%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.7質量%であった。

Claims (3)

  1. アダマンタノール類と重合性不飽和カルボン酸とを、硫酸および重合禁止剤の存在下で反応させる重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法において、アルカリ金属硫酸塩またはアルカリ土類金属硫酸塩を共存させることを特徴とする重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法。
  2. 重合禁止剤が、一般式(1)
    Figure 0004157448
    (式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、または低級アルコキシ基を示す)
    で示されるニトロキシルラジカル系重合禁止剤である請求項1記載の重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法。
  3. アダマンタノール類が、1,3−アダマンタンジオールである請求項1または請求項2記載の重合性不飽和カルボン酸アダマンチルエステル類の製造方法。
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