JP2008202054A - 変性重合体の製造方法、その方法で得られた変性重合体及びゴム組成物 - Google Patents

変性重合体の製造方法、その方法で得られた変性重合体及びゴム組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】シリカ及びカーボンブラックとの相互作用を高め、破壊特性、耐摩耗性、低発熱性を向上させ、かつ、良好な作業性を発揮し得るシリカ及び/又はカーボンブラック配合のゴム組成物を与えること。
【解決手段】有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる変性反応を行い、該変性反応の途中及び/又は終了後に反応系に縮合促進剤を加える変性重合体の製造方法であって、ランダマイザーの存在下にアニオン重合された該重合体の該活性部位の金属がアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種であり、該変性反応に使用するヒドロカルビルオキシシラン化合物が特定のものであることを特徴とする変性重合体の製造方法、及び上記方法で得られた変性重合体を含むゴム組成物、好ましくは、(A)該変性重合体少なくとも30重量%を含むゴム成分と、その100重量部当たり、(B)シリカ及び/又はカーボンブラック10〜100重量部を含むゴム組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、変性重合体の製造方法、その方法で得られた変性重合体及びゴム組成物に関する。さらに詳しくいえば、本発明は、シリカ系配合及びカーボンブラック系配合のゴム組成物の両方に用いた場合に、シリカ及びカーボンブラックとの相互作用を高め、破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性を同時に向上させると共に、良好な作業性を発揮し得る変性重合体の製造方法、この方法により得られた上記特性を有する変性重合体、この変性重合体を含むゴム組成物及び該ゴム組成物を用いたタイヤに関するものである。
近年、省エネルギーの社会的な要請によって、自動車の低燃費化に対する要求はより過酷なものとなりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の減少が求められてきている。タイヤの転がり抵抗を下げる手法としては、タイヤ構造の最適化による手法についても検討されてきたものの、ゴム組成物としてより発熱の少ない材料を用いることが最も一般的な手法として行われている。
このような発熱の小さいゴム組成物を得るために、これまで、ゴム組成物に使用する充填材の分散性を高める技術開発が数多くなされてきた。その中でも特に、リチウム化合物を用いたアニオン重合で得られるジエン系重合体の重合活性部位を充填材と相互作用を持つ官能基にて修飾する方法が、最も一般的になりつつある。
このような方法の中で最も代表的なものとして、充填材にカーボンブラックを用い、重合活性部位をスズ化合物にて修飾する方法(特許文献1)、同様にカーボンブラックを用い、重合活性末端にアミノ基を導入する方法(特許文献2)などが知られている。
一方、近年、自動車の安全性への関心の高まりに伴い、低燃費性能のみならず、湿潤路面での性能(以下ウェット性能という)、特に、制動性能についても要求が高まってきた。このため、タイヤトレッドのゴム組成物に対する性能要求は、単なる転がり抵抗の低減に止まらず、ウェット性能と低燃費性能を高度に両立するものが必要とされている。
このような良好な低燃費性と良好なウェット性能とを同時にタイヤに与えるゴム組成物を得る方法として、これまで一般的に用いられてきた補強用充填材であるカーボンブラックに変えてシリカを用いる方法がすでに行われている。
しかしながら、シリカを補強用充填材として用いた場合、カーボンブラックと比較して、ゴム組成物の破壊強度及び耐摩耗特性が著しく低下するのを免れないことも明らかとなっている。また、シリカの分散性が悪く、混練りを行う際の作業性についても、現実にタイヤを製造する上で大きな問題となってきている。
そこで、発熱性の良好なゴム組成物を生産性よく得るために、補強用充填材としてカーボンブラック又はシリカを単独で用いるのみでなく、シリカとカーボンブラックを併用し、さらに、このような多様な充填材に対して広く相互作用をもち、充填材の良好な分散性と、ゴム組成物の耐摩耗性とを与え得る活性部位変性重合体が必要とされている。
しかしながら、これまで、活性部位変性重合体の開発が、単一の充填材用として行われてきたため、充填材の種類に関係なく、各種の充填材との相互作用を充分にもつ活性部位変性重合体は、極めて限られているのが現状である。
例えば、前述のスズ化合物については、カーボンブラックに対する分散効果は大きいものの、シリカに対してはほとんど分散効果がない上、補強効果は全く発揮されない。また、特許文献3に、アミノシランのシリカに対する分散効果について報告されているものの、その効果については、必ずしも充分ではない。
他方、シリカの分散効果及び補強性改善効果のあるアルコキシシランを用いる方法が開示されているが(特許文献4、特許文献5、特許文献6)、その効果は不十分である。
また、アルキルリチウム又はリチウムアミドを重合開始剤とするアニオン重合により得られた重合体の活性末端に、ジアルキルアミノ基を有するアルコキシシランを導入した変性重合体が開示されている(特許文献7)。しかしながら、この変性重合体を用いる場合、良好な作業性と共に、シリカ配合に対する補強性及びシリカとカーボンブラックの両者に対する一定の分散効果が得られるものの、ジアルキルアミノ基を有するアルコキシシランが高価なために、これを用いた変性重合体も高価であり、工業化が困難であった。
また、シリカおよびシランカップリング剤を含むゴム組成物にシラノール縮合触媒を配合時に添加する手法も開示されているが(特許文献8、特許文献9)、この手法では、シリカ配合に対する補強性及びシリカに対する分散効果が得られるものの、ヒドロカルビルオキシシランで末端変性したポリマーを用いるものでないために、分散効果による物性向上効果が不十分である。
ところで、変性重合体を製造する際に用いられる活性部位を有する重合体は、通常、共役ジエン化合物単独又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物をアニオン重合させることにより得られる。このようなアニオン重合により得られた重合体の活性部位に、物性改良に大きな効果があると思われる一級アミノ基や有機オニウム塩基などの官能基を導入することは、アニオン重合の特性上容易ではなく、過酷な条件下でのポスト重合処理や高価な保護基を必要とし、その工業的価値は低いものであった。
また、これらの方法においては、重合体の活性部位に最高で一個の官能基を導入するのであって、重合体1分子当たり、複数個の前記官能基を導入するには、ジリチウム系開始剤やマクロモノマーを用いるなど、複雑な合成技術を使用する必要があるが、これらは工業的に利用しやすい方法とはいえない。さらに、ゴム組成物を調製する際に、前記官能基をヒドロカルビル化合物とシラン変性重合体を熱機械処理することで、物性の改良が試みられているが、この場合、その効果は不充分である上、貴重な混練り機のマシンタイムを消費する、混練り機中でのアルコール蒸散量が増えるなどの問題が生じ、工業的に好ましい方法とはいえない。
特公平5−87630号公報 特開昭62−207342号公報 特開平9−151275号公報 特開平1−188501号公報 特開平8−53513号公報 特開平8−53576号公報 特公平6−57767号公報 特開平10−67887号公報 特開2000−248117号公報
本発明は、このような状況下で、シリカ系配合及びカーボンブラック系配合のゴム組成物の両方に用いた場合に、シリカ及びカーボンブラックとの相互作用を高め、破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性を同時に向上させると共に、良好な作業性を発揮し得る変性重合体の製造方法、この方法により得られた上記特性を有する変性重合体、この変性重合体を含むゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、まず活性部位を有する重合体の該活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物残基を導入し、次いで、縮合促進剤を加えて得られる変性重合体により、縮合促進剤を加えない変性重合体と比較して大幅にゴム組成物としての性能が改良されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる変性反応を行い、該反応の途中及び/又は終了後に反応系に縮合促進剤を加える変性重合体の製造方法、
(2)前記重合体が、共役ジエン化合物を単独して、又は共役ジエン化合物と他のモノマーを重合して得られた重合体である上記(1)の変性重合体の製造方法、
(3)前記活性部位の金属がアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種である上記(1)又は上記(2)の変性重合体の製造方法、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの製造方法により得られた変性重合体、
(5)上記(4)の変性重合体を含むゴム組成物、
(6)(A)上記(4)の変性重合体少なくとも15重量%を含むゴム成分と、その100重量部当たり、(B)無機フィラー及び/又はカーボンブラック10〜100重量部を含む上記(5)のゴム組成物、
(7)有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させて得られた変性重合体に、配合時に縮合促進剤を添加してなるゴム組成物、及び
(8)上記(5)〜(7)のいずれかのゴム組成物を用いたタイヤ、
を提供するものである。
本発明の製造方法で得られる本発明の変性重合体は、シリカ系配合及びカーボンブラック系配合のゴム組成物におけるゴム成分として用いた場合、シリカ及びカーボンブラックの両方に対する相互作用を高め、破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性を同時に向上させると共に、良好な作業性を発揮することができる。
さらに、本発明のゴム組成物を用いて得られる本発明のタイヤは、低燃費性が良好であると共に、特に破壊特性及び耐摩耗性に優れており、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるので、生産性にも優れている。
まず、本発明の変性重合体の製造方法について説明する。
本発明の変性重合体の製造方法においては、有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位に、ヒドロカルビルオキシシラン化合物残基を導入する変性を行い、次いで該反応系に縮合促進剤を加える。
また、本発明における重合体の変性は、重合体の変性段階では縮合促進剤を加えず、有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位に、ヒドロカルビルオキシシラン化合物残基を導入して得た変性重合体に、配合時に縮合促進剤を添加することによっても行うことができる。
本発明の方法において用いられる有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の製造方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
また、前記活性部位の金属はアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種であることが好ましく、特にリチウム金属が好ましい。
上記溶液重合法においては、例えばリチウム化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物単独又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物をアニオン重合させることにより、目的の重合体を製造することができる。
さらには、ハロゲン含有モノマーを混在させ、ポリマー中のハロゲン原子を有機金属化合物によって活性化することも有効である。例えば、イソブチレン単位、パラメチルスチレン単位及びパラブロモメチルスチレン単位を含む共重合体の臭素部分をリチオ化して活性部位とすることも有効である。
尚、前記活性部位は重合体の分子中に存在すればよく、特に限定されないが、重合体がアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を重合開始剤としたアニオン重合によるものである場合には、一般的に前記活性部位は重合体の末端にくる。
上記共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン;イソプレン;1,3−ペンタジエン;2,3−ジメチルブタジエン;2−フェニル−1,3−ブタジエン;1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
また、これらの共役ジエン化合物との共重合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン;α−メチルスチレン;1−ビニルナフタレン;3−ビニルトルエン;エチルビニルベンゼン;ジビニルベンゼン;4−シクロヘキシルスチレン;2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。
さらに、単量体として共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、それぞれ1,3−ブタジエン及びスチレンの使用が、単量体の入手の容易さなどの実用性の面、及びアニオン重合特性がリビング性などの点で優れることなどから、特に好適である。
また、溶液重合法を用いた場合には、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。尚、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含量は好ましくは3〜50重量%、さらには5〜45重量%の範囲が好ましい。
重合開始剤のリチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルーフェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物などが挙げられるが、これらの中で、n−ブチルリチウムが好ましい。
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドなどが挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能などの点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミドなどの環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、二級アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することが多いが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
前記リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在化にアニオン重合させることにより、目的の共役ジエン系重合体が得られる。
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
また、所望により用いられるランダマイザーとは、共役ジエン重合体のミクロ構造の制御、例えばブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン部分の1、2結合、イソプレン重合体における3、4結合の増加など、あるいは共役ジエン化合物−芳香族ビニル化合物共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えばブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
これらのランダマイザーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
この重合においては、重合開始剤、溶媒、単量体など、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物などの反応阻害物質を除去したものを用いることが望ましい。
尚、エラストマーとして重合体を得る場合は、得られる重合体又は共重合体の、示差熱分析法により求めたガラス転移点(Tg)が−110℃〜−15℃であることが好ましい。ガラス転移点が−110℃未満の重合体を得るのは困難であり、また−15℃を超える場合には室温領域で粘度が高くなりすぎ、取り扱いが困難となる場合がある。
本発明においては、このようにして得られた有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体に対して、ヒドロカルビルオキシシラン化合物を、該活性部位に対して好ましくは化学量論的量又はそれより過剰の、さらに好ましくは、見かけの活性部位の0.3モル当量以上加え(通常、該変性用ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、その1モルが活性部位数モル当量に相当する)、該活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させて、該活性部位に実質的にヒドロカルビルオキシシラン化合物残基を導入したのち、縮合促進剤を加える方法を用いる。
縮合促進剤を加える時期としては、ヒドロカルビルシラン化合物残基を導入した変性直後の反応系に添加することが好ましいが、該反応により変性された重合体を乾燥して後、配合時、望ましくは配合の第1ステージにおいて縮合促進剤を添加してもよい。
この変性反応において、使用する重合体は、少なくとも20%のポリマー鎖が該活性部位を有するものが好ましい。
前記変性方法において、重合体の活性部位の変性に用いられるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば一般式(I)
Figure 2008202054
(式中、A1は(チオ)エポキシ、(チオ)イソシアネート、(チオ)ケトン、(チオ)アルデヒド、イミン、アミド、イソシアヌル酸トリエステル、(チオ)カルボン酸ヒドロカルビルエステル、(チオ)カルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物及び炭酸ジヒドロカルビルエステルの中から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R1は単結合又は二価の不活性炭化水素基、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、nは0〜2の整数であり、OR3が複数ある場合、複数のOR3はたがいに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。)
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物を用いることができる。ここで部分縮合物とは、ヒドロカルビルオキシシラン化合物のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
前記一般式(I)において、A1における官能基の中で、イミンはケチミン、アルジミン、アミジンを包含し、(チオ)カルボン酸エステルは、アクリレートやメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステルを包含する。また、(チオ)カルボン酸の金属塩の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Znなどを挙げることができる。
1のうちの二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基を好ましく挙げることができる。このアルキレン基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基などが挙げられる。
2及びR3としては、炭素1〜20のアルキル基,炭素数2〜20のアルケニル基,炭素数6〜18のアリール基,炭素数7〜18のアラルキル基などを挙げることができる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基などが挙げられる。
また、該アリール基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよく、その例としては、フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基などが挙げられる。さらに該アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよく、その例としては、ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基などが挙げられる。
nは0〜2の整数であるが、0が好ましく、また、この分子中には活性プロトン及びオニウム塩を有しないことが必要である。
この一般式(I)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば(チオ)エポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランなど、及びこれらの化合物におけるエポキシ基をチオエポキシ基に置き換えたものを好ましく挙げることができるが、これらの中で、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好適である。
また、イミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物,メチルジエトキシシリル化合物,エチルジエトキシシリル化合物,メチルジメトキシシリル化合物,エチルジメトキシシリル化合物などを好ましく挙げることができるが、これらの中で特に、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが好適である。また、イミン(アミジン)基含有化合物の他の例として、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール,1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール,N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5-ジヒドロイミダゾール、N−(3−イソプロポキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール等が挙げられ、その中でも、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールが好ましい。
さらに、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物として、カルボン酸エステル基含有化合物が挙げられる。具体的には、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、その中でも、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
また、ヒドロカルビルオキシシラン化合物としてイソシアネート基含有化合物が挙げられる。具体的には、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、その中でも3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
さらに、ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、カルボン酸無水物含有化合物が挙げられる。具体的には、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられ、その中でも、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物が好ましい。
これらのヒドロカルビルオキシシラン化合物(I)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、前記変性方法において、重合体の活性部位の変性に用いられるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば一般式(II)
Figure 2008202054
(式中、A2は環状三級アミン、非環状三級アミン、ニトリル、ピリジン、スルフィド及びマルチスルフィドの中から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R4は単結合又は二価の不活性炭化水素基、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、mは0〜2の整数であり、OR6が複数ある場合、複数のOR6は互いに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。)
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物を用いることができる。尚、ここで部分縮合物とは一般式(I)で記載したのと同様である。
前記一般式(II)において、A2のうちの非環状三級アミンはN,N−二置換アニリンなどのN,N−二置換芳香族アミンを包含し、また環状三級アミンは、環の一部として(チオ)エーテル結合を含むことができる。R4のうちの二価の不活性炭化水素基、R5及びR6については、それぞれ前記一般式(I)におけるR1、R2及びR3について説明したとおりである。この分子中には活性プロトン及びオニウム塩は有しないことが必要である。
この一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば非環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン,3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン,3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン,3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランなどを挙げることができるが、これらの中で、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン及び3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
また、環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン,(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン,(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン,2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン,2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン,3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シラン,3−(1−ヘプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシラン,3−〔10−(トリエトキシシリル)デシル〕−4−オキサゾリンなどが挙げることができるが、これらの中で、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン及び(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シランを好ましく挙げることができる。特に、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
さらに、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−シアノエチルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これらのヒドロカルビルオキシシラン化合物(II)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記変性方法において、重合体の活性部位の変性に用いられるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば一般式(III)
7 p−Si(OR84-p (III)
(式中、R7及びR8は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、pは0〜2の整数であり、OR8が複数ある場合、複数のOR8はたがいに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。)
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物を用いることができる。尚、ここで部分縮合物とは一般式(I)で記載したのと同様である。
前記一般式(III)において、R7及びR8は、前述の一般式(I)におけるR2及びR3で説明したとおりである。
この一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシランなどを挙げることができるが、これらの中で、特にテトラエトキシシランが好適である。
このヒドロカルビルオキシシラン化合物(III)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、この変性において、重合体の活性部位の変性に用いられるヒドロカルビルオキシシラン化合物として、前記一般式(I)(II)及び(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物を任意に混合して用いることもできる。
本発明における前記変性反応は、溶液反応及び固相反応のいずれも用いることができるが、溶液反応(重合時に使用した未反応モノマーを含んでいてもよい。)が好適である。また、この変性反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いて行ってもよく、多段連続式反応器やインラインミキサなどの装置を用いて連続式で行ってもよい。また、該変性反応は、重合反応終了が望まれる転化率に達した後、脱溶媒処理、水処理、熱処理などを行う前に実施することが肝要である。
また、変性反応の温度は、20℃以上で行うことが好ましいが、共役ジエン系重合体の重合温度をそのまま用いることができ、30〜120℃がさらに好ましい範囲として挙げられる。反応温度が低くなると重合体の粘度が上昇しすぎる、反応物の分散性が悪くなる傾向がある。一方、反応温度が高くなると、重合活性部位が失活し易くなる傾向がある。
この変性反応においては、重合体の活性部位に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基の縮合又は未反応のヒドロカルビルオキシシラン化合物との縮合を縮合促進剤の存在下に行うことが好ましい。この縮合促進剤としては、一般にアルコキシ縮合硬化型室温架橋(RTV)シリコーンのための硬化触媒として知られている金属化合物と、水との組み合わせが使用でき、例えばスズのカルボン酸塩及び/又はチタンアルコキシドと水との組み合わせを好ましく挙げることができる。尚、水の反応系中への投入は、アルコール等の水と相溶性のある有機溶媒の溶液としてもよいし、種々の化学工学的手法を用いて水を直接炭化水素溶液中に注入・分散させても良い。
縮合促進剤として用いられる金属化合物としては、下記一般式(IV)で表される酸化数2のスズ化合物、
Sn(OCOR92 ・・・(IV)
(式中、R9は炭素数2〜19のアルキル基である。)
下記一般式(V)で表される酸化数4のスズ化合物、
10 xSnA3 y1 4-y-x・・・(V)
(式中、R10は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、xは1〜3の整数、yは1又は2、A3は炭素数2〜30のカルボキシル基、炭素数5〜20のα,γ−ジオニル基、炭素数3〜20のヒドロカルビルオキシ基、及び炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で三置換されたシロキシ基から選ばれる基、B1はヒドロキシル基又はハロゲンである。)
及び下記一般式(VI)で表されるチタン化合物
4 zTiB2 4-z・・・(VI)
(式中、A4は炭素数3〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基及び/又は炭素数1〜20のアルコキシ基で三置換されたシロキシ基から選ばれる基、B2は炭素数5〜20のα,γ−ジオニル基、zは2又は4である。)
が好ましい。
より具体的には、前記スズのカルボン酸塩としては、二価のスズのジカルボン酸塩や、四価のジヒドロカルビルスズのジカルボン酸塩(ビス(ヒドロカルビルジカルボン酸)塩を含む)、ビス(α、γ―ジケトネート)、アルコキシハライド、モノカルボン酸塩ヒドロキシド、アルコキシ(トリヒドロカルビルシロキシド)、アルコキシ(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)、ビス(トリヒドロカルビルシロキシド)、ビス(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)、等を好適に用いることができる。スズに結合したヒドロカルビル基としては炭素数が4以上のものが望ましく、炭素数4から炭素数8のものが特に好ましい。
前記チタン化合物としては、酸化数4のチタンのテトラアルコキシド、ジアルコキシビス(α、γ―ジケトネート)、テトラキス(トリヒドロカルビオキシド)などが挙げられ、特にテトラキス(トリヒドロカルビオキシド)が好適に用いられる。
水としては、単体やアルコール等の溶液、炭化水素溶媒中の分散ミセル等の形態が好適に用いられるほか、必要ならば固体表面の吸着水や水和物の水和水等の、反応系中で水を放出し得る化合物が潜在的に含んだ水分も有効に用いることができる。従って吸着水を持つ固体や、水和物など、容易に水を放出することができる化合物を上記金属化合物と併用することも好ましい態様として挙げられる。
縮合促進剤を形成するこれら二者は、反応系に別々に投入しても、使用直前に混合して混合物として投入してもよいが、混合物の長期保存は金属化合物の分解を招くので好ましくない。
この縮合促進剤の使用量は、前記金属化合物の金属及びプロトン源の、系内に存在するヒドロカルビルオキシシリル結合総量に対するモル比が、共に0.1以上になるように選定するのが好ましい。
前記金属化合物の金属および反応に有効な水のモル数は、反応系内に存在するヒドロカルビオキシシリル基の総量に対するモル比として、共に0.1以上が好ましい。上限は目的や反応条件によっても異なるが、縮合処理以前の段階で重合体活性部位に結合されたヒドロカルビオキシシリル基の量に対して0.5から3モル当量の有効な水が存在することが好ましい。
また、該縮合促進剤を用いた反応は20℃以上の温度で行うことが好ましく、さらには30〜120℃の範囲が好ましい。反応時間としては、0.5〜120分程度で行うことが好ましく、さらには3〜60分の範囲が好ましい。
本発明においては、この変性反応時に、所望により、公知の老化防止剤や重合反応を停止する目的でショートストップ剤を、重合体の活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物残基を導入した後の工程において、添加することができる。また、変性反応終了後、多価アルコールの高級カルボン酸エステルなどの縮合抑制剤を反応系に添加してもよい。
このようにして変性処理したのち、脱溶媒などの従来公知の後処理を行い、目的の変性重合体を得ることができる。この変性重合体の重合鎖活性部位変性基の分析は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や、核磁気共鳴分光(NMR)を用いて行うことができる。
また、該変性重合体のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは10〜150、より好ましくは15〜100である。ムーニー粘度が10未満の場合は破壊特性を始めとするゴム物性が十分に得られず、150を超える場合は作業性が悪く配合剤とともに混練りすることが困難である。
本発明はまた、このようにして得られた変性重合体をも提供する。
また、本発明における変性重合体は、前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物残基を末端に導入して得られた一次変性の重合体に、配合の段階で、前記縮合剤を添加・混練りすることによっても得ることができる。
本発明の変性重合体は、シリカ系配合及びカーボンブラック系配合のゴム組成物におけるゴム成分として用いた場合、シリカ及びカーボンブラックの両方に対する相互作用を高め、破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性を同時に向上させると共に、良好な作業性を発揮することができる。
本発明のゴム組成物は、前記方法により得られた変性重合体を含むものであり、通常(A)該変性重合体少なくとも15重量%を含むゴム成分と、その100重量部当たり、(B)無機フィラー及び/又はカーボンブラック10〜100重量部を含む組成物が用いられる。
本発明のゴム組成物においては、(A)成分のゴム成分として、前記変性重合体を少なくとも15重量%含むことが好ましい。この量が15重量%未満では所望の物性を有するゴム組成物が得られにくく、本発明の目的が達せられない場合がある。ゴム成分中の該変性重合体のより好ましい含有量は30重量%以上であり、特に40〜100重量%が好適である。
この変性重合体は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、この変性重合体と併用されるゴム成分としては、天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物等が挙げられる。また、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化スズのような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているものでもよい。
本発明のゴム組成物においては、(B)成分の補強用充填剤として、無機フィラー及び/又はカーボンブラックが好ましく用いられる。
ここで、無機フィラーとは、シリカ又は下記式で表される化合物をいう。
mM1 ・xSiOy・zH2
(式中、M1 は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、m、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。尚、上記式において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。)
上記式で表わされる無機フィラーとしては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。また、前記一般式(I)中のM1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
上記式で表されるこれらの無機化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの化合物はシリカと混合して使用することもできる。
本発明においては、無機フィラーとして最も好ましいのはシリカである。該シリカとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。
このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。一方、カーボンブラックとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意のものを選択して用いることができる。このカーボンブラックとしては、例えばFEF,SRF,HAF,ISAF,SAF等が挙げられる。好ましくはヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上で、かつ、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ミリリットル/100g以上のカーボンブラックである。このカーボンブラックを用いることにより、諸物性の改良効果は大きくなるが、特に、耐摩耗性に優れるHAF,ISAF,SAFが好ましい。
この(B)成分の補強用充填剤の配合量は、前記(A)成分のゴム成分100重量部に対して、10〜100重量部であることが好ましい。(B)成分の補強用充填剤の配合量が、前記(A)成分のゴム成分に対し、10重量部未満では補強性や他の物性の改良効果が充分に発揮されにくく、また、100重量部を超えると加工性などが低下する原因となる。補強性や他の物性及び加工性などを考慮すると、この(B)成分の配合量は、20〜60重量部の範囲が特に好ましい。
本発明のゴム組成物においては、(B)成分の補強用充填材としてシリカを用いる場合、その補強性をさらに向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することができる。このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。これらのシランカップリング剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分として、分子活性部位にシリカとの親和性の高い官能基が導入された変性重合体が用いられているため、シランカップリング剤の配合量は、通常の場合より低減することができる。好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカに対して、好ましくは1〜20重量%の範囲で選定される。この量が1重量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20重量%を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果及びゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、5〜15重量%の範囲である。
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100重量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0重量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0重量部である。0.1重量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性、低発熱性が低下するおそれがあり、10.0重量部を超えるとゴム弾性が失われる原因となる。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアジニン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100重量部に対し、0.1〜5.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0重量部である。
また、本発明のゴム組成物で使用できるプロセス油としては、例えばパラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100重量部に対して、0〜100重量部が好ましく、100重量部を超えると加硫ゴムの引張強度、低発熱性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド、アンダートレッド、サイドウォール、カーカスコーティングゴム、ベルトコーティングゴム、ビードフィラー、チェーファー、ビードコーティングゴム等のタイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業品等の用途にも用いることができるが、特にタイヤトレッド用ゴムとして好適に使用される。
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて、上記のように各種薬品を含有させた本発明のゴム組成物が未加硫の段階で各部材に加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
このようにして得られた本発明のタイヤは、低燃費性が良好であると共に、特に破壊特性及び耐摩耗性に優れており、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるので、生産性にも優れている。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、重合体の物性は、下記の方法に従って測定した。
《重合体の物性》
重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー〔GPC;東ソ−製HLC−8020、カラム;東ソ−製GMH−XL(2本直列)〕により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
重合体のブタジエン部分のミクロ構造は、赤外法(モレロ法)によって求め、重合体中のスチレン単位含有量は1H−NMRスペクトルの積分比より算出した。
重合体のムーニー粘度は東洋精機社製のRLM−01型テスターを用いて、100℃で測定した。
また、加硫ゴムの物性を下記の方法で測定すると共に、ゴム組成物のムーニー粘度を下記のようにして測定した。
《加硫ゴムの物性》
(1)低発熱性
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzでtanδ(50℃)を測定した。tanδ(50℃)が小さい程、低発熱性である。
(2)破壊特性(引張応力)
300%伸張時の応力(Tb)をJIS K6301−1995に従って測定した。
(3)耐摩耗性
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%の摩耗量を測定し、コントロールの耐摩耗性を100として、耐摩耗指数として指数表示した。指数が大きい方が良好となる。
《ゴム組成物のムーニー粘度》
JIS K6300−1994に準拠し、130℃にてムーニー粘度〔ML1+4/130℃〕を測定した。
また、重合に用いる原材料としては、特にことわりのない限り、乾燥精製したものを用いた。
製造例1(重合体A)
乾燥し、窒素置換された800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(16%)、スチレンのシクロヘキサン溶液(21%)をブタジエン単量体40g、スチレン単量体10gとなるように注入し、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.34ミリモルを注入し、これにn−ブチルリチウム(BuLi)0.38ミリモルを加えた後、50℃の温水浴中で1.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。
この後、重合系にさらに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに常法に従い乾燥することにより重合体Aを得た。得られた重合体の分析値を第1表に示す。
製造例2(重合体B)
乾燥し、窒素置換された800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(16%)、スチレンのシクロヘキサン溶液(21%)をブタジエン単量体40g、スチレン単量体10gとなるように注入し、これにジテトラヒドロフリルプロパン0.44ミリモルを加え、さらにn−ブチルリチウム(BuLi)0.48ミリモルを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。
この重合系にテトラエトキシシラン0.43ミリモルを加えた後、さらに50℃で30分間変性反応を行った。この後、重合系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに常法に従い乾燥することにより重合体Bを得た。得られた重合体の分析値を第1表に示す。
製造例3〜7(重合体C〜G)
製造例2において、変性剤であるテトラエトキシシランの代わりに、第1表に示す種類の変性剤を用いた以外は、製造例2と同様にして重合体C〜重合体Gを得た。得られた各重合体の分析値を第1表に示す。
製造例8(重合体H)
乾燥し、窒素置換された800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(16%)、スチレンのシクロヘキサン溶液(21%)をブタジエン単量体40g、スチレン単量体10gとなるように注入し、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.44ミリモルを注入し、これにn−ブチルリチウム(BuLi)0.48ミリモルを加えた後、50℃の温水浴中で1.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。
この重合系にテトラエトキシシラン0.43ミリモルを加えた後、さらに50℃で30分間変性反応を行った。この後、重合系に、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ1.26ミリモル及び水1.26ミリモルを加えた後、50℃で30分間縮合反応を行った。この後、重合系にさらに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを添加し、反応を停止させた。その後、常法に従い乾燥することにより、重合体Hを得た。得られた重合体の分析値を第1表に示す。
製造例9〜12(重合体I〜L)
製造例8において、変性剤であるテトラエトキシシランの代わりに、第1表に示す種類のものに変更した以外は、製造例8と同様にして重合体I〜重合体Lを得た。得られた重合体の分析値を第1表に示す。
製造例13(重合体M)
製造例8において、縮合促進剤であるビス(2−エチルヘキサノエート)スズの代わりに、チタンテトラキス(2−エチルヘキシルオキシド)を用いた以外は、製造例8と同様にして重合体Mを得た。得られた重合体の分析値を第1表に示す。
製造例14(重合体N)
製造例8において、重合開始剤であるn−ブチルリチウムの代わりに、反応系で調製されたリチウムヘキサメチレンイミド(ヘキサメチレンイミド/Liモル比=0.9)を、リチウム当量で0.48ミリモル用いた以外は、製造例8と同様にして重合体Nを得た。得られた重合体の分析値を第1表に示す。
製造例15(重合体O)
製造例2において、重開始剤であるn−ブチルリチウムの代わりに、反応系で調製されたリチウムヘキサメチレンイミド(ヘキサメチレンイミド/Liモル比=0.9)を、リチウム当量で0.48ミリモル用いた以外は、製造例2と同様にして重合体Oを得た。得られた重合体の分析値を第1表に示す。
Figure 2008202054
Figure 2008202054
Figure 2008202054
(注)
Base Mw ;変性反応前の重量平均分子量(Mw)
Total Mw;一段目変性反応後の重量平均分子量(Mw)
BEHAS ;ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ
TEHO ;チタンテトラキス(2−エチルヘキシルオキシド)
HMI ;反応系で合成されたヘキサメチレンイミノリチウム
TEOS ;テトラエトキシシラン
TTC ;四塩化スズ
TEOSPDI ;N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール
DMBTESPA;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン
GPMOS ;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
GPEOS ;3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
実施例1〜7及び比較例1〜8
製造例1〜15で得られた重合体を用い、第2表に示す配合1及び配合2に従って、それぞれシリカ系配合のゴム組成物及びカーボンブラック系配合のゴム組成物を以下に示す方法により調製し、ゴム組成物のムーニー粘度を測定すると共に、160℃、15分間の条件で加硫し、加硫ゴムの物性を測定した。その結果を第3表に示す。
実施例8
重合体Dを用い、第2表に示す配合3及び配合4に従って、それぞれシリカ系配合のゴム組成物及びカーボンブラック系配合のゴム組成物を以下に示す方法により調製し、ゴム組成物のムーニー粘度を測定すると共に、160℃、15分間の条件で加硫し、加硫ゴムの物性を測定した。その結果を第3表に示す。
《配合1 シリカ系配合》
第1表に示す種類の重合体80重量部及び天然ゴム20重量部に対し、第2表の配合1に従って、シリカ、アロマオイル、ステアリン酸、カップリング剤及び老化防止剤6Cを配合してマスターバッチを調製し、さらに亜鉛華、加硫促進剤DPG、DM、NS及び硫黄を配合してシリカ系配合ゴム組成物を調製した。
《配合2 カーボンブラック系配合》
第1表に示す種類の重合体80重量部及び天然ゴム20重量部に対し、第2表の配合2に従って、カーボンブラック、アロマオイル、ステアリン酸及び老化防止剤6Cを配合してマスターバッチを調製し、さらに亜鉛華、加硫促進剤DPG、DM、NS及び硫黄を配合してカーボンブラック系配合ゴム組成物を調製した。
《配合3 シリカ系配合》
マスターバッチを調製する第1ステージで縮合促進剤BEHASを添加したこと以外は、配合1と同様にしてシリカ系配合ゴム組成物を調製した。
《配合4 カーボンブラック系配合》
マスターバッチを調製する第1ステージで縮合促進剤BEHASを添加したこと以外は、配合2と同様にしてカーボンブラック系配合ゴム組成物を調製した。
Figure 2008202054
(注)
シリカ;日本シリカ工業(株)製「ニプシルAQ(商標)」
カーボンブラック;東海カーボン(株)製「シーストKH(N339)(商標)」
カップリング剤;デグサ社製シランカップリング剤「Si69(商標)」、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
老化防止剤6C;N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
加硫促進剤DPG;ジフェニルグアニジン
加硫促進剤DM;メルカプトベンゾチアジルジスルフィド
加硫促進剤NS;N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
縮合促進剤BEHAS;ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ
Figure 2008202054
Figure 2008202054
Figure 2008202054
以上の結果、本発明の変性重合体(実施例1〜7)は、シリカ系配合及びカーボンブラック系配合のいずれにおいても、低発熱性及び摩耗特性について優れていることがわかる。特にシリカ系での摩耗と低ロス性(低発熱性)の改善効果は顕著である。
また、配合時に縮合促進剤を加えた実施例8でも同様の傾向が認められる。
本発明によれば、シリカ系配合及びカーボンブラック系配合のゴム組成物の両方に用いた場合に、シリカ及びカーボンブラックとの相互作用を高め、破壊特性、耐摩耗性及び低発熱性を同時に向上させると共に、良好な作業性を発揮し得る変性重合体を提供することができる。
特に本発明のゴム組成物を使用した乗用車用タイヤトレッドは無機フィラーを多く含有する配合においても、加硫ゴムのヒステリシスロスを低下することができ、補強性が大幅に改良される。
さらに、縮合促進剤を変性反応後の重合体に加えた場合、コールドフロー耐性も改良されるため、コールドフロー耐性を改良するために使用する多価カップリング剤を部分使用する必要がないという利点もある。

Claims (15)

  1. 有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる変性反応を行い、該変性反応の途中及び/又は終了後に反応系に縮合促進剤を加える変性重合体の製造方法であって、ランダマイザーの存在下にアニオン重合された該重合体の該活性部位の金属がアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種であり、該変性反応に使用するヒドロカルビルオキシシラン化合物が、
    一般式(III)
    7 p−Si−(OR84-p ・・・(III)
    (式中、R7及びR8は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、pは0〜2の整数であり、OR8が複数ある場合、複数のOR8はたがいに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。)
    で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及び/又はその部分縮合物の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする変性重合体の製造方法。
  2. 前記重合体が、共役ジエン化合物を単独重合して、又は共役ジエン化合物と他のモノマーを共重合して得られた重合体である請求項1に記載の変性重合体の製造方法。
  3. 前記他のモノマーが芳香族ビニル化合物である請求項2に記載の変性重合体の製造方法。
  4. 前記活性部位が前記重合体の末端にあり、かつ少なくともその一部が活性状態である請求項1〜3のいずれかに記載の変性重合体の製造方法。
  5. 有機金属型の前記活性部位を有する前記重合体に、変性用ヒドロカルビルオキシシラン化合物を該部位に対する化学量論的量又はそれより過剰量加えて反応させる請求項1〜4のいずれかに記載の変性重合体の製造方法。
  6. 前記縮合促進剤が、スズのカルボン酸塩及び/又はチタンアルコキシドと水との組み合わせである請求項1〜5のいずれかに記載の変性重合体の製造方法。
  7. 前記スズのカルボン酸塩が、下記一般式(IV)
    Sn(OCOR92 ・・・(IV)
    (式中、R9は炭素数2〜19のアルキル基である。)
    で表される酸化数2のスズ化合物、又は下記一般式(V)
    10 xSnA3 y1 4-y-x・・・(V)
    (式中、R10は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、xは1〜3の整数、yは1又は2、A3は炭素数2〜30のカルボキシル基、炭素数5〜20のα,γ−ジオニル基、炭素数3〜20のヒドロカルビルオキシ基、及び炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で三置換されたシロキシ基から選ばれる基、B1はヒドロキシル基又はハロゲンである。)
    で表される酸化数4のスズ化合物であり、前記チタンアルコキシドが下記一般式(VI)
    4 zTiB2 4-z・・・(VI)
    (式中、A4は炭素数3〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基及び/又は炭素数1〜20のアルコキシ基で三置換されたシロキシ基から選ばれる基、B2は炭素数5〜20のα,γ−ジオニル基、zは2又は4である。)で表されるチタン化合物である請求項6に記載の変性重合体の製造方法。
  8. 前記共役ジエン化合物が1,3−ブタジエン又はイソプレンである請求項2〜7のいずれかに記載の変性重合体の製造方法。
  9. 前記芳香族ビニル化合物がスチレンである請求項3〜8のいずれかに記載の変性重合体の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により得られる変性重合体。
  11. ムーニー粘度(ML1+4/100℃)が10〜150である請求項10記載の変性重合体。
  12. 請求項10又は11に記載の変性重合体を含むゴム組成物。
  13. (A)前記変性重合体少なくとも15重量%を含むゴム成分と、その100重量部当たり、(B)無機フィラー及び/又はカーボンブラック10〜100重量部を含む請求項12に記載のゴム組成物。
  14. 前記無機フィラーとしてシリカ10〜100重量部を含む請求項13記載のゴム組成物。
  15. 請求項12〜14のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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