JP5363738B2 - ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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本発明は、ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関し、より詳しくは、耐摩耗性を維持しつつ、優れた氷雪路面でのタイヤの制動・駆動性能(氷上性能)、湿潤路面上におけるタイヤの制動・駆動性能(WET性能)及び低ヒステリシス性能(低燃費性能)を有するゴム組成物及び該ゴム組成物をトレッドに用いた空気入りタイヤに関するものである。
スパイクタイヤが規制されて以来、氷雪路面上でのタイヤの制動・駆動性能(以下、氷上性能という。)を向上させるため、特にタイヤのトレッドについての研究が盛んに行われている。氷雪路面においては氷雪路面とタイヤとの摩擦熱等により水膜が発生し易く、その水膜はタイヤと氷雪路面との間の摩擦係数を低下させる。このため、タイヤにおける氷上性能を向上させるためには、タイヤのトレッドの水膜除去能やエッヂ効果及びスパイク効果を改良することが必要である。
タイヤのトレッドに水膜除去能を持たせるには、タイヤの路面にミクロな排水溝(深さ、幅共に100μm程度)を多数設け、このミクロな排水溝により水膜を排除し、タイヤの氷雪路面上での摩擦係数を大きくする。しかし、この場合、タイヤの使用初期における氷上性能を向上させることはできるものの、タイヤの摩耗に伴い、徐々に氷上性能が低下してしまうという問題がある。そこで、タイヤが摩耗しても氷上性能が低下しないようにするため、ミクロな水膜除去効果を狙ってトレッド内に気泡を形成しておくことが考えられ、この気泡には球状のものに加えて有機繊維樹脂による筒状のものが考えられている。
また、上記の有機繊維についても微粒子を含有させ、より引っ掻き効果を加味させることにより氷雪路面上での摩擦係数を更に大きくすることが提案されている(例えば、特許文献1、及び特許文献2を参照)。
これらの方法によって氷上性能は大幅に改善されてきているが、耐摩耗性の観点からみると未発泡のゴムに対しては劣るということはどうしても免れることができない大きな問題点でもある。
また、トレッドに用いられるゴム成分としては、ガラス転移温度が−60℃以下の天然ゴムや高シスポリブタジエン等が用いられる。特に、高シスポリブタジエンはガラス転移温度が低く、ゴム成分中の高シスポリブタジエンの比率を増やすことによって氷上性能は向上するが、それに伴ってWET性能(湿潤路面上におけるタイヤの制動・駆動性能)が低下する。
また、トレッドに用いられる充填剤成分としては、カーボンブラック及びシリカが主に用いられ、上記WET性能の改良が可能な充填剤としてシリカが用いられている。しかしながら、シリカと高シスポリブタジエンを混合した場合、作業性が悪く、カーボンブラックのように組成物の力学的性能を高めることは難しいという問題がある。
最近、低ヒステリシス性能(低燃費性能)及び耐摩耗性を改良するために、シリカやカーボンブラックを充填剤とするゴム組成物に使用する変性ゴムの技術開発が数多くなされてきた。その中でも特に、有機リチウム化合物を用いたアニオン重合で得られるジエン系重合体の重合活性末端を充填剤と相互作用を有するアルコキシシラン誘導体で変性する方法が有効なものとして提案されている。(例えば、特許文献3参照)
しかし、これらの多くは重合体末端のリビング性が容易に確保できるポリマーへの適用であり、スタッドレスタイヤ用トレッドゴムに特に重要なシス−1,4−ポリブタジエンについての変性改良は少なく、また、シリカやカーボンブラックを配合したゴム組成物における変性効果は必ずしも十分なものは得られていない。特にシス−1,4−ポリブタジエンについては、カーボンブラック配合ゴムにおける変性効果は殆ど得られていないのが実状である。
一方、希土類触媒を用いて得られたシス含量の高い共役ジエン重合体の活性末端とアルコキシシラン化合物とを反応させることにより、シラン変性された共役ジエン重合体を得る試みもあるが、この方法によれば、コールドフローの改良効果は大きいものの、シラン変性によるムーニー粘度の上昇は多くの場合で著しく、また単離された共重合体中には可視的サイズのゲルが生成する場合が多く、加工性・物性の観点からは未だ改良の余地が残されていた。
本出願人は、上記活性末端を有する重合体にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応後、続いて特定の化合物で第2次反応させることで上記問題点を改善できることを提案した(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、タイヤの氷雪路面における制動・駆動性能性能、湿潤路面上における制動・駆動性能及び低ヒステリシス性能の更なる改良が求められている。
特開2003−201371号公報 特開2001−233993号公報 WO02/02356パンフレット WO03/046020パンフレット
本発明は、このような状況下で、耐摩耗性を維持しつつ、優れた氷雪路面でのタイヤの制動・駆動性能(以下、氷上性能という)、湿潤路面上におけるタイヤの制動・駆動性能(以下、WET性能という)及び低ヒステリシス性能(以下、低燃費性能という)を有するゴム組成物及び該ゴム組成物をトレッドに用いた空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ゴム成分として特定の末端変性共役ジエン系重合体、と特定の無機化合物粉体及び充填剤を含む組成物により、ゴムの硬さの温度依存性を少なくすることによりその目的を達成し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、
1. (A)末端変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分、(B)平均粒径8〜40μmの下記一般式(I)で表される無機化合物粉体及び(C)充填剤を含むことを特徴とするゴム組成物、
M・xSiO2・yH2O ・・・・・・・・・(I)
〔式中、Mは、Al、Mg、Ti及びCaから選ばれる少なくとも一つの金属の金属酸化物又は金属水酸化物であり、x及びyはそれぞれ独立に0〜10の整数である。〕
2. 前記無機化合物粉体が下記一般式(II)で表される上記1のゴム組成物、
Al23・aSiO2・bH2O ・・・・・・・・・(II)
〔式中、a及びbはそれぞれ独立に0〜4の整数である。〕
3. 前記無機化合物粉体の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して、5〜50質量部である上記1又は2のゴム組成物、
4. 前記無機化合物粉体が水酸化アルミニウムである上記1〜3のいずれかのゴム組成物、
5. 前記末端変性共役ジエン系重合体が、1,3−ブタジエンを80モル%以上含む共役ジエン系モノマーを重合して得られ、主鎖の共役ジエン部分におけるシス−1,4−結合の含量が75モル%以上であり、活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端と、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 I 及び/又はその部分縮合物とを反応させる工程を含む方法で製造されたものである上記1〜4のいずれかのゴム組成物、
Figure 0005363738
〔式中、A1はエポキシ、チオエポキシ、イソシアネート、チオイソシアネート、ケトン、チオケトン、アルデヒド、チオアルデヒド、アミド、ケチミン、イミン残基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル残基、カルボン酸エステル残基、チオカルボン酸エステル残基、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化物残基及び炭酸ジヒドロカルビルエステル残基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R1は単結合又は二価の炭化水素基であり、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、nは0から2の整数であり、R2が複数ある場合、複数のR2は同一でも異なっていても良く、OR3が複数ある場合、複数のOR3は同一でも異なっていても良く、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。〕
6. 前記末端変性共役ジエン系重合体が、前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物 I を反応させる第一次変性の後に、縮合促進剤を加えて、導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基と未反応のヒドロカルビルオキシシラン化合物との縮合反応を行なう第二次変性工程(a)を含む方法で製造されたものである上記5のゴム組成物、
7. 前記末端変性共役ジエン系重合体が、ヒドロカルビルオキシシラン化合物 I 及び/又はその部分縮合物を反応させる第一次変性後に、さらにヒドロカルビルオキシシラン化合物を加え、縮合促進剤の存在下で反応させる第二次変性を行う工程(b)を含む方法で製造されたものである上記5のゴム組成物、
8. 前記末端変性共役ジエン系重合体が、前記第二次変性工程(b)に用いるヒドロカルビルオキシシラン化合物として、前記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 I 及び/又はその部分縮合化合物、下記一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 II 及び/又はその部分縮合物、並びに下記一般式(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 III及び/又はその部分縮合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いて製造されたものである上記7のゴム組成物、
Figure 0005363738
〔式中、A2は、環状三級アミン、非環状三級アミン、ピリジン、スルフィド,マルチスルフィド、ニトリル、環状三級アミンのオニウム塩及び非環状三級アミンのオニウム塩から選ばれる化合物の残基、アリル又はベンジルSn結合を有する基、スルフォニル、スルフィニル並びにニトリルから選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R4は単結合又は二価の不活性炭化水素基、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、mは0から2の整数であり、R5が複数ある場合、複数のR5は同一でも異なっていても良く、OR6が複数ある場合、複数のOR6は同一でも異なっていても良い。〕
Figure 0005363738
〔式中、A3は、アルコール,チオール,一級アミン及びそのオニウム塩,環状二級アミン及びそのオニウム塩、並びに非環状二級アミン及びそのオニウム塩から選ばれる化合物の残基、R7は単結合又は二価の不活性炭化水素基、R8及びR9は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、qは0から2の整数であり、R8が複数ある場合、複数のR8は同一でも異なっていても良く、OR9が複数ある場合、複数のOR9は同一でも異なっていても良い。〕
9. 前記縮合促進剤が、下記(1)から(8)で表わされる金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種である上記6〜8のいずれかのゴム組成物、
(1)酸化数2のスズの炭素数3から30のカルボン酸塩
Sn(OCOR102 ・・・・・(VI)
〔式中、R10は、炭素数2から19の有機基であり、複数ある場合は同一でも異なっていても良い。〕
(2)酸化数4のスズの化合物で次の一般式を満足するもの
11 rSnA4 t1 (4-t-r) ・・・・・(VII)
〔式中、rは1から3の整数,tは1又は2の整数であり、かつt+rは3又は4の整数である。R11は炭素数1から30の脂肪族炭化水素基、B1はヒドロキシル基又はハロゲンである。A4は、(a)炭素数2から30のカルボキシル基、(b)炭素数5から30の1,3−ジケトン基、(c)炭素数3から30のヒドロカルビルオキシ基、及び(d)炭素数1から20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1から20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換(同一でも異なっていても良い)されたシロキシ基から選ばれる基であり、A4が複数ある場合は同一でも異なっていても良い。〕
(3)酸化数4のチタン化合物で、次の一般式を満足するもの
5 xTiB2 (4-x) ・・・・・(VIII)
〔式中、xは2又は4の整数である。A5は(e)炭素数3から30のヒドロカルビルオキシ基、(f)炭素数1から30のアルキル基及び/又は炭素数1から20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換されたシロキシ基であり、A5が複数ある場合は同一でも異なっていても良い。B2は、炭素数5から30の1,3−ジケトン基である。〕
(4)ビスマスのカルボン酸塩
(5)ジルコニウムのアルコキシド
(6)ジルコニウムのカルボン酸塩
(7)アルミニウムのアルコキシド
(8)アルミニウムのカルボン酸塩
10. 前記活性末端を有する共役ジエン系重合体が、下記(i)、(ii)、(iii)の各要素それぞれから選ばれる少なくとも一種の化合物を組み合わせてなる重合触媒を用いて、1,3−ブタジエンを80モル%以上含む共役ジエン系モノマーを重合させることにより製造されたものである上記5〜9のいずれかのゴム組成物、
(i)成分;周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素含有化合物、又は、これらの化合物とルイス塩基との反応物
(ii)成分;アルモキサン及び/又はAlR121314(式中、R12及びR13は同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子、R14は炭素数1〜10の炭化水素基であり、ただし、R14は上記R12又はR13と同一又は異なっていても良い)に対応する有機アルミニウム化合物
(iii)成分;ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物ハロゲン含有化合物
11. 前記末端変性共役ジエン系重合体の変性前に単離した重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜3.5、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4、100℃)が5〜50、主鎖の共役ジエン部分におけるシス−1,4−結合含有量が75モル%以上であり、かつ該共役ジエン系重合体を構成するモノマー、1,3−ブタジエンのみからなる上記1〜10のいずれかのゴム組成物、
12. 前記(A)ゴム成分が、天然ゴムを10〜90質量%、及び末端変性共役ジエン系重合体を90〜10質量%含む請求項1〜11のいずれかに記載のゴム組成物。
13. 前記(C)充填剤がカーボンブラック及び/又はシリカからなる上記1〜12のいずれかのゴム組成物、
14. 前記(A)ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを5〜95質量部及びシリカを5〜95質量部含む請求項13に記載のゴム組成物。
15. さらに、発泡剤を含み、発泡率が3〜50%である上記1〜14のいずれかのゴム組成物、
16. (A)ゴム成分100質量部に対して、さらに(D)有機繊維を0.02〜20質量部含む上記1〜15のいずれかのゴム組成物。
17. 前記(D)有機繊維に使用される平均繊維径が0.01〜0.1mm、その平均長さが0.5〜20mmである上記16のゴム組成物、
18. 前記(D)有機繊維を構成する素材がポリエチレン及び/又はポリプロピレンからなる結晶性高分子であり、かつ融点が190℃以下である上記16又は17のゴム組成物、
19. 前記(D)有機繊維が微粒子を含有する上記16〜18のいずれかのゴム組成物、
20. 上記1〜19のいずれかのゴム組成物をトレッドに用いたことを特徴とする空気入りタイヤ、及び
21. 乗用車用ラジアルタイヤである上記20の空気入りタイヤ
を提供するものである。
本発明によれば、耐摩耗性を維持しつつ、優れた氷上性能、WET性能及び低燃費性能を有するゴム組成物及び該ゴム組成物をトレッドに用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物は、(A)末端変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分、(B)平均粒径5μm以上の下記一般式(I)で表される無機化合物粉体及び(C)充填剤を含むことを特徴とする。
M・xSiO2・yH2O ・・・・・・・・・(I)
ここで、Mは、Al、Mg、Ti、Caから選ばれる少なくとも一つの金属の金属酸化物又は金属水酸化物であり、x,yは共に0〜10の整数である。
本発明において、(B)無機化合物粉体が平均粒径5μm以上であることを要するのは、5μm以上であれば、氷上性能及びWET性能が向上するからである。無機化合物粉体の粒径を大きくすることにより排水溝が大きくなるため、排水が効率よく行われる。これにより、排水性能が向上する。一方、平均粒径が40μm以下であれば、耐摩耗性が好適に維持できるので好ましい。
上記一般式(I)で表される無機化合物粉体は、x,yが共に0である場合には、Al、Mg、Ti、Caから選ばれる少なくとも一つの金属の金属酸化物又は金属水酸化物となる。
上記一般式(I)で表される無機化合物の具体例としては、アルミナ(Al23)、水酸化アルミニウム〔Al(OH)3等〕、水酸化マグネシウム〔Mg(OH)2〕、酸化マグネシウム(MgO2)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)等が挙げられる。なお、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO3)も本発明の無機化合物と同等の効果を発揮するものとなる。
さらに、一般式(I)で表される(B)無機化合物粉体は、下記一般式(II)で表される無機化合物粉体であることが好ましい。
Al23・aSiO2・bH2O ・・・・・・・・・(II)
ここで、aは0〜4の整数であり、bは0〜4の整数である。
上記一般式(II)で表される無機化合物の具体例としては、水酸化アルミニウム、アルミナ、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)等が挙げられる。また、本発明で用いる水酸化アルミニウムは、アルミナ水和物も含むものである。
以上述べた(B)無機化合物粉体の内、水酸化アルミニウムが氷上性能及びWET性能の向上の観点から特に好ましい。
本発明で用いる前記特性を有する(B)無機化合物粉体の配合量は、前記(A)ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは、5〜20質量部である。(B)無機化合物粉体の配合量を前記範囲にすることによって耐摩耗性を維持し優れたWET性能を得ることができる。
前記末端変性共役ジエン系重合体は、シス−1,4結合含量が75%以上の活性末端を有する共役ジエン系重合体の該末端にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させた後、さらに末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基を特定化合物と反応させる。
シス−1,4結合含量が75%以上の活性末端を有する重合体の製造方法については特に制限はなく、溶液重合方法,気相重合方法,バルク重合方法のいずれも用いることができるが、特に溶液重合方法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれでも良い。
重合モノマーとしての共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン;イソプレン;1,3−ペンタジエン;2,3−ジメチルブタジエン;2−フェニル−1,3−ブタジエン;1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良いが、これらの中で、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
また、これらの共役ジエンモノマーに少量の他の炭化水素モノマーを少量共存せさても良いが、共役ジエンモノマーは、全モノマー中80モル%以上であることが好ましい。
前記シス結合が75%の共役ジエン系重合体の中間体の製造方法については特に限定されず公知のものを用いることができるが、重合触媒としては下記(i)、(ii)、(iii)の各成分それぞれから選ばれる少なくとも一種の化合物を組み合わせてなるものが好ましい。すなわち、
(i)成分
本発明において、末端活性重合体の重合に用いる触媒系の(i)成分は、周期律表の原子番号57〜71の希土類元素を含有する化合物、又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物である。ここで、原子番号57〜71の希土類元素の中でも、ネオジム、プラセオジウム、セリウム、ランタン、ガドリニウム等、又はこれらの混合物が好ましく、ネオジムが特に好ましい。
上記希土類元素含有化合物としては、炭化水素溶媒に可溶な塩が好ましく、具体的には、上記希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、1,3−ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩が挙げられ、これらの中でも、カルボン酸塩及びリン酸塩が好ましく、カルボン酸塩が特に好ましい。
ここで、炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
上記希土類元素のカルボン酸塩としては、次の一般式を満足するもの
(R15−CO231 ・・・・・(IX)
(式中、R15は炭素数1〜20の炭化水素基で、M1は周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。ここで、R15は、飽和又は不飽和でも良く、アルキル基及びアルケニル基が好ましく、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでも良い。また、カルボキシル基は、1級、2級又は3級の炭素原子に結合している。該カルボン酸塩として、具体的には、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸]等の塩が挙げられ、これらの中でも、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、バーサチック酸の塩が好ましい。
上記希土類元素のアルコキサイドとしては、次の一般式を満足するもの
(R16O)31 ・・・・・(X)
(式中、R16は炭素数1〜20の炭化水素基で、M1は周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。R16Oで表されるアルコキシ基としては、2−エチル−ヘキシルオキシ基、オレイルオキシ基、ステアリルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、2−エチル−ヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基が好ましい。
上記希土類元素の1,3−ジケトン錯体としては、上記希土類元素のアセチルアセトン錯体、ベンゾイルアセトン錯体、プロピオニトリルアセトン錯体、バレリルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体等が挙げられる。これらの中でも、アセチルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体が好ましい。
上記希土類元素のリン酸塩及び亜リン酸塩としては、上記希土類元素と、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸等との塩が挙げられ、これらの中でも、上記希土類元素と、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸との塩が好ましい。
上記希土類元素含有化合物の中でも、ネオジムのリン酸塩、及びネオジムのカルボン酸塩が更に好ましく、特にネオジムの2−エチルヘキサン酸塩、ネオジムのネオデカン酸塩、ネオジムのバーサチック酸塩等のネオジムの分岐カルボン酸塩が最も好ましい。
また、(i)成分は、上記希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物でも良い。該反応物は、ルイス塩基によって、希土類元素含有化合物の溶剤への溶解性が向上しており、また、長期間安定に貯蔵することができる。上記希土類元素含有化合物を溶剤に容易に可溶化させるため、また、長期間安定に貯蔵するために用いられるルイス塩基は、希土類元素1モル当り0〜30モル、好ましくは1〜10モルの割合で、両者の混合物として、又は予め両者を反応させた生成物として用いられる。ここで、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコールが挙げられる。
以上に述べた(i)成分としての希土類元素含有化合物又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
(ii)成分
本発明において、末端活性重合体の重合に用いる触媒系の(ii)成分は、有機アルミニウムオキシ化合物及び/又は次の一般式を満足するもの
AlR121314 ・・・・・(XI)
(式中、R12及びR13は同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R14は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R14は上記R12又はR13と同一又は異なっていても良い)で表される有機アルミニウム化合物である。
有機アルミニウムオキシ化合物、所謂アルモキサンとしては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、クロロアルミノキサン等が挙げられる。アルミノキサンを加えることで、分子量分布がシャープになり、触媒としての活性も向上する。
前記有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(B)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
(iii)成分
本発明において、末端活性重合体の重合に用いる触媒系の(iii)成分は、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物からなる群から選択される少なくとも一種のハロゲン化合物である。
上記ルイス酸は、ルイス酸性を有し、炭化水素に可溶である。具体的には、二臭化メチルアルミニウム、二塩化メチルアルミニウム、二臭化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二臭化ブチルアルミニウム、二塩化ブチルアルミニウム、臭化ジメチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジブチルアルミニウム、塩化ジブチルアルミニウム、セスキ臭化メチルアルミニウム、セスキ塩化メチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化ジブチルスズ、三臭化アルミニウム、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化スズ、四塩化ケイ素等が例示できる。これらの中でも、塩化ジエチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、及び二臭化エチルアルミニウムが好ましい。
また、トリエチルアルミニウムと臭素の反応生成物のようなアルキルアルミニウムとハロゲンの反応生成物を用いることもできる。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチル−ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モル当り、0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
本発明において、共役ジエン系重合体の重合に使用する触媒系の各成分の量又は組成比は、その目的又は必要性に応じて適宜選択される。このうち、(i)成分は、共役ジエン系化合物 100gに対し、0.00001〜1.0ミリモル用いるのが好ましく、0.0001〜0.5ミリモル用いるのが更に好ましい。(i)成分の使用量を上記範囲内にすることによって優れた重合活性が得られ、脱灰工程の必要性がなくなる。
また、(i)成分と(ii)成分の有機アルミニウム化合物の割合は、モル比で、(i)成分:(ii)成分有機のアルミニウム化合物が1:1〜1:700、好ましくは1:3〜1:500である。
更に、(i)成分と(iii)成分中のハロゲンの割合は、モル比で、1:0.1〜1:30、好ましくは1:0.2〜1:15、更に好ましくは1:2.0〜1:5.0である。
また、(ii)成分であるアルモキサンのアルミニウムと(i)成分との割合は、モル比で、1:1〜700:1、好ましくは3:1〜500:1である。これらの触媒量又は構成成分比の範囲内にすることで、高活性な触媒として作用し、また、触媒残渣を除去する工程の必要性がなくなるため好ましい。
また、上記の(i)〜(iii)成分以外に、重合体の分子量を調節する目的で、水素ガスを共存させて重合反応を行っても良い。
触媒成分として、上記の(i)成分、(ii)成分、(iii)成分以外に、必要に応じて、1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物を少量、具体的には、(i)成分の化合物1モル当り0〜1000モルの割合で用いても良い。触媒成分としての1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物体は必須ではないが、これを併用すると、触媒活性が一段と向上する利点がある。
上記触媒の製造は、例えば、溶媒に(i)成分〜(iii)成分を溶解させ、さらに必要に応じて、1,3−ブタジエン等の共役ジエン系化合物を反応させる。
その際、各成分の添加順序は、特に限定されず、重合活性の向上、重合開始誘導期間の短縮の観点からは、これら各成分を、予め混合して、反応させ、熟成させることが好ましい。ここで、熟成温度は、0〜100℃程度であり、20〜80℃が好ましい。0℃未満では、充分に熟成が行われにくく、100℃を超えると、触媒活性の低下や、分子量分布の広がりが起こる場合がある。
また、熟成時間は、特に制限なく、重合反応槽に添加する前にライン中で接触させることでも熟成でき、通常は、0.5分以上あれば充分であり、数日間は安定である。
この重合においては、触媒、溶媒、モノマー等、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を実質的に除去したものを用いることが望ましい。
本発明に係わる、第1次変性の反応において、使用する重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性を有するものが好ましい。
この第1次変性反応方法において、重合体の活性末端との反応に用いられるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、好ましくは一般式(III)
Figure 0005363738
(式中、A1は(チオ)エポキシ(グリシドキシ基を含む)、(チオ)イソシアネート、(チオ)ケトン、(チオ)アルデヒド、アミド、ケチミン、イミン残基、イソシアヌル酸トリエステル残基、(チオ)カルボン酸ヒドロカルビルエステル残基、(チオ)カルボン酸の金属塩の残基、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化物残基及び炭酸ジヒドロカルビルエステル残基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R1は単結合又は二価の不活性炭化水素基、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、nは0〜2の整数であり、R2が複数ある場合、複数のR2は同一でも異なっていても良く、OR3が複数ある場合、複数のOR3はたがいに同一でも異なっていても良く、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 I 及び/又はその部分縮合物を用いることができる。
ここで、部分縮合物とは、ヒドロカルビルオキシシラン化合物のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
前記一般式(III)において、A1における官能基の中で、残基を形成する化合物として、イミンはケチミン、アルジミン、アミジンを包含し、(チオ)カルボン酸エステルは、アクリレートやメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステルを包含する。また、(チオ)カルボン酸の金属塩の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Zn等を挙げることができる。
1のうちの二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基を好ましく挙げることができる。このアルキレン基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであっても良いが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
2及びR3としては、炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜18のアルケニル基,炭素数6〜18のアリール基,炭素数7〜18のアラルキル基等を挙げることができる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであっても良く、その例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基等が挙げられる。
また、該アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していても良く、その例としては、フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基等が挙げられる。さらに該アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していても良く、その例としては、ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。
nは0〜2の整数であるが、0が好ましく、また、この分子中には活性プロトン及びオニウム塩を有しないことが必要である。
この一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 I としては、例えば(チオ)エポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エボキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン及びこれらの化合物におけるエポキシ基をチオエポキシ基に置き換えたものを好ましく挙げることができるが、これらの中で、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシランが好適である。
また、イミン残基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物,メチルジエトキシシリル化合物,エチルジエトキシシリル化合物,メチルジメトキシシリル化合物,エチルジメトキシシリル化合物等を好ましく挙げることができるが、これらの中で特に、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが好適である。
さらに、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物として、以下のものを挙げることができる。すなわち、イミノ(アミジン)基含有化合物としては、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、3−〔10−(トリエトキシシリル)デシル〕−4−オキサゾリン等が挙げることができるが、これらの中で、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール及び1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾールを好ましく挙げることができる。また、N-(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−イソプロポキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール等が挙げられ、内、好ましいのはN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールである。
また、カルボン酸エステル基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、この内、好ましいのは3-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランである。さらに、イソシアネート基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、内、好ましいのは3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランである。また、カルボン酸無水物含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3-トリエトキシシリルプロピルサクシニック無水物、3−トリメトキシシリルプロピルサクシニック無水物、3−メチルジエトキシシリルプロピルサクシニック無水物等が挙げられ、この内、好ましいのは3−トリエトキシシリルプロピルサクシニック無水物である。
これらのヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。また、前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物も用いることができる。
上記第1次変性において、活性末端を有する重合体該端末とヒドロカルビルオキシシラン化合物とがまず反応するが、導入された残基は、続いて、(1)多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させて安定化を行うか、或いは、(2)縮合促進剤の存在下において、残存又は新たに加えられたヒドロカルビルオキシシラン化合物と反応させるかのいずれかの方法が必要とされる。後者の方法(2)としては、さらに下記(2−1)〜(2−3)の態様がある。すなわち、
(2−1);第1次変性の後、さらにヒドロカルビルオキシシラン化合物及び縮合促進剤を加えて第2次変性を行なう方法、
(2−2);第1次変性の後、縮合促進剤を加えて、末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基と未反応ヒドロカルビルオキシシラン化合物との縮合反応を行なう方法、及び
(2−3);前記の(2−1)及び(2−2)の各反応に続いて、さらに多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させ安定化を行う方法である。
ここで、多価アルコールのカルボン酸部分エステルとは、多価アルコールとカルボン酸とのエステルであり、かつ水酸基を一つ以上有する部分エステルを意味する。
具体的には、炭素数4以上の糖類又は変性糖類と脂肪酸とのエステルが好ましく用いられる。このエステルは、さらに好ましくは、(a)多価アルコールの脂肪酸部分エステル、特に炭素数10〜20の飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル(モノエステル,ジエステル,トリエステルのいずれでも良い)、(b)多価カルボン酸と高級アルコールの部分エステルを、多価アルコールに1ないし3個結合させたエステル化合物等が挙げられる。
上記の部分エステルの原料に用いられる多価アルコールとしては、好ましくは少なくとも三つの水酸基を有する炭素数5又は6の糖類(水素添加されていても、水素添加されていなくても良い),グリコールやポリヒドロキシ化合物等が用いられる。また、原料脂肪酸としては、好ましくは炭素数10〜20の飽和又は不飽和脂肪酸であり、例えばステアリン酸,ラウリン酸,パルミチン酸が用いられる。
多価アルコールの脂肪酸部分エステルの中ではソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、具体的には、ソルビタンモノラウリン酸エステル,ソルビタンモノパルミチン酸エステル,ソルビタンモノステアリン酸エステル,ソルビタントリステアリン酸エステル,ソルビタンモノオレイン酸エステル及びソルビタントリオレイン酸エステル等が挙げられる。
また、市販品としては、ICI社の商標としてのSPAN60(ソルビタンステアリン酸エステル),SPAN80(ソルビタンモノオレイン酸エステル),SPAN85(ソルビタントリオレイン酸エステル)等がある。
該部分エステルの添加量は、重合体に付与されたヒドロカルビルオキシシリル基の1モルに対して0.2〜10モル、特に1〜10モルが好ましい。
また、前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 I 及び/又はその部分縮合物とともに、さらに、下記一般式(IV)
Figure 0005363738
(式中、A2は、環状三級アミン,非環状三級アミン,ピリジン,スルフィド,マルチスルフィド、ニトリル及び環状三級アミンのオニウム塩から選ばれる化合物の残基、非環状三級アミンのオニウム塩,アリル又はベンジルSn結合を有する基,スルフォニル,スルフィニル及びニトリルから選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R4は単結合又は二価の不活性炭化水素基、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、mは0から2の整数であり、R5が複数ある場合、複数のR5は同一でも異なっていても良く、OR6が複数ある場合、複数のOR6は同一でも異なっていても良い。)
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 II 及び/又はその部分縮合物、並びに下記一般式(V)
Figure 0005363738
(式中、A3はアルコール、チオール、第一級アミン及びそのオニウム塩、環状二級アミン及びそのオニウム塩並びに非環状二級アミン及びそのオニウム塩から選ばれる化合物の残基、R7は単結合又は二価の不活性炭化水素基、R8及びR9は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、qは0〜2の整数であり、R8が複数ある場合、複数のR8は同一でも異なっていても良く、OR9が複数ある場合、複数のOR9はたがいに同一でも異なっていても良い。)
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 III及び/又はその部分縮合物と併用することができる。
この一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 II及び/又は、その部分縮合物は、活性末端との直接反応は実質的に起こらず、反応系に未反応として残存するため、活性末端に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基との縮合に消費される。
前記一般式(IV)において、A2のうちの非環状三級アミンは、N,N−(二置換)アニリン等のN,N−(二置換)芳香族アミンを含有し、また環状三級アミンは、環の一部として(チオ)エーテルを含むことができる。R4のうちの二価の不活性炭化水素基、R5及びR6については、それぞれ前記一般式(III)におけるR1、R2及びR3について説明したとおりである。
この一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 IIとしては、例えば非環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン,3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン,3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン,3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ )シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン等が挙げることができるが、これらの中で、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン及び3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
また、環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン,(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン,(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン,2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン,2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン,3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シラン,3−(1−ヘプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシランを好ましく挙げることができる。特に3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
さらに、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、4−エチルピリジン等を挙げることができる。
これらのヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらのヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物も用いることができる。
次に、前記方法(2−1)の態様において、重合体の活性末端に導入された前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物 I の残基と縮合させるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、前記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 I 及びその部分縮合物、前記一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 II及びその部分縮合物、並びに一般式(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 III及びその部分縮合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
前記一般式(V)において、A3のうちの一級アミンはアニリン等の芳香族アミンを包含し、また非環状二級アミンはN−(一置換)アニリン等のN−(一置換)芳香族アミンを包含する。さらに、非環状三級アミンのオニウム塩は、N,N−(二置換)アニリン等のN,N−(二置換)芳香族アミンのオニウム塩を包含する。また。環状二級アミンや環状三級アミンの場合は、環の一部として(チオ)エーテルを含むことができる。R7のうちの二価の不活性炭化水素基、R8及びR9については、それぞれ前記一般式(III)におけるR1、R2及びR3について説明したとおりである。
この一般式(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 IIIとしては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、オクタデシルジメチル(3−トリメチルシリルプロピル)アンモニウムクロリド、オクタデシルジメチル(3−トリエチルシリルプロピル)アンモニウムクロリド、シアノメチルトリメトキシシラン、シアノメチルトリエトキシシラン、スルホニルメチルトリメトキシシラン、スルホニルメチルトリエトキシシラン、スルフィニルメチルトリメトキシシラン、スルフィニルメチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
以上述べたヒドロカルビルオキシシラン化合物 I、II及びIIIは、それぞれ一種を単独で用いて良く、二種以上を組み合わせて用いても良く、ヒドロカルビルオキシシラン化合物 I、II及びIIIを適宜併用しても良い。
本発明において、縮合促進剤の存在下において、残存又は新たに加えられたヒドロカルビルオキシシラン化合物と反応させる前記方法(2)の場合には、まず活性末端を有する重合体と、反応系に加えられた実質上化学量論的量のヒドロカルビルオキシシラン化合物 I とが反応して、実質的に該末端の全てにヒドロカルビルオキシシリル基が導入され(第1次変性)、さらに上記で導入されたヒドロカルビルオキシシリル基にヒドロカルビルオキシシリル基含有化合物(ヒドロカルビルオキシシラン化合物 I、II及び/又はIII)を反応させることにより、該活性末端に当量より多くのヒドロカルビルオキシシラン化合物残基が導入される。このため、低発熱性や加工性に一層の効果が得られるので、前記方法(2)は前記方法(1)より好ましい。
本発明において、ヒドロカルビルオキシシラン化合物がアルコキシシリル化合物である場合、前記方法(2)におけるアルコキシシリル基同士の縮合反応は、(残存又は新たに加えられた)遊離アルコキシシランと重合体末端のアルコキシシリル基の間で起こることが、また場合によっては重合体末端のアルコキシシリル基同士で起こることが好ましく、遊離アルコキシシラン同士の反応は不必要である。したがって、アルコキシシラン化合物を新たに加える場合は、そのアルコキシシリル基の加水分解性が、重合体末端のアルコキシシリル基の加水分解性を凌駕しないようにすることが効率の点から好ましい。たとえば、ヒドロカルビルオキシシラン化合物 I には加水分解性の大きなトリメトキシシリル基含有化合物を用い、新たに添加するヒドロカルビルオキシシラン化合物 I、II及び/又はIIIにはこれより加水分解性の劣るアルコキシシリル基(たとえばトリエトキシシリル基)を含有する化合物を用いる組み合わせは、好適である。逆に例えば、ヒドロカルビルオキシシラン化合物 I をトリエトキシシリル基含有、かつ新たに添加するヒドロカルビルオキシシラン化合物 I、II及び/又はIIIをトリメトキシシリル基含有とすることは、本発明の範囲に含まれるものの、反応効率の観点からは好ましくない。
本発明における変性反応は、溶液反応及び固相反応のいずれも用いることができるが、溶液反応(重合時に使用した未反応モノマーを含んだ溶液でも良い)が好適である。また、この変性反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いて行っても良く、多段連続式反応器やインラインミキサ等の装置を用いて連続式で行っても良い。また、該変性反応は、重合反応終了後、脱溶媒処理、水処理、熱処理、重合体単離に必要な諸操作等を行う前に実施することが肝要である。
前記変性反応の温度は、共役ジエン系重合体の重合温度をそのまま用いることができる。具体的には20から100℃が好ましい範囲として挙げられる。温度が低くなると重合体の粘度が上昇する傾向があり、温度が高くなると重合活性末端が失活し易くなるので好ましくない。
次に、前記第2次変性を促進するためには、縮合促進剤の存在下で行なうことが好ましい。この縮合促進剤としては、一般にアルコキシ縮合硬化型室温架橋(RTV)シリコーンのための硬化触媒として知られている金属化合物が挙げられ、これら縮合促進剤と水との組み合わせにより前記第2次変性が促進される。たとえば、スズのカルボン酸塩及び/又はチタンアルコキシドである縮合促進剤と水との組み合わせを好ましく挙げることが出来る。水の反応系中への投入方法には特に制限が無い。アルコール等の水と相溶可能な有機溶媒の溶液としても良いし、種々の化学工学的手法を用いて水を直接炭化水素溶液中に注入・分散・溶解させても良い。
このような前記縮合促進剤としては、下記(1)から(3)で表わされる金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
(1)酸化数2のスズの炭素数3から30のカルボン酸塩
Sn(OCOR102 ・・・・・(VI)
式中、R10は、炭素数2から19の有機基であり、2つのOCOR10は同一でも異なっていても良い。
(2)酸化数4のスズの化合物で次の一般式を満足するもの
11 rSnA4 t1 (4-t-r) ・・・・・(VII)
式中、rは1から3の整数,tは1又は2の整数であり、かつt+rは3又は4の整数である。R11は炭素数1から30の脂肪族炭化水素基、B1はヒドロキシル基又はハロゲンである。A4は、(a)炭素数2から30のカルボキシル基、(b)炭素数5から30の1,3−ジケトン基、(c)炭素数3から30のヒドロカルビルオキシ基、及び(d)炭素数1から20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1から20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換(同一でも異なっていても良い)されたシロキシ基から選ばれる基であり、A4が複数ある場合は同一でも異なっていても良い。
(3)酸化数4のチタン化合物で、次の一般式を満足するもの
5 xTiB2 (4-x) ・・・・・(VIII)
式中、xは2又は4の整数である。A5は、(e)炭素数3から30のヒドロカルビルオキシ基、(f)炭素数1から30のアルキル基及び/又は炭素数1から20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換されたシロキシ基であり、A5が複数ある場合は同一でも異なっていても良い。B2は、炭素数5から30の1,3−ジケトン基である。
(4)ビスマスのカルボン酸塩
(5)ジルコニウムのアルコキシド
(6)ジルコニウムのカルボン酸塩
(7)アルミニウムのアルコキシド
(8)アルミニウムのカルボン酸塩
前記スズのカルボン酸塩としては、具体的には、(1)二価のスズのジカルボン酸塩(特に好ましくは炭素数8から20のカルボン酸塩)や、(2)四価のジヒドロカルビルスズのジカルボン酸塩〔ビス(ヒドロカルビルジカルボン酸)塩を含む〕、ビス(1,3−ジケトネート)、アルコキシハライド、モノカルボン酸塩ヒドロキシド、アルコキシ(トリヒドロカルビルシロキシド)、アルコキシ(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)、ビス(トリヒドロカルビルシロキシド)、ビス(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)等が好適に用いることが出来る。スズに直接結合したヒドロカルビル基としては炭素数4以上が望ましく、炭素数4から8が特に好ましい。
また、前記チタン化合物としては、チタン(Ti)のアルコキシド、カルボン酸塩及びジアルコキシビス(β―ジケトネート)等が挙げられ、酸化数4のチタンのテトラアルコキシド、アセチルアセトナート錯塩、テトラキス(トリヒドロカルビルオキシシロキシド)等が好ましく用いられ、特にテトラアルコキシドが好適に用いられる。
前記チタン化合物の具体例としては、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)等が挙げられる。中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好ましい。
ビスマスのカルボン酸塩の具体例としては、例えば、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス等が挙げられる。
ジルコニウムのアルコキシド又はジルコニウムのカルボン酸塩の具体例としては、例えば、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルヘキソキシ)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム等が挙げられる。
アルミニウムのアルコキシド又はアルミニウムのカルボン酸塩の具体例としては、
例えば、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、アルミニウムジブトキシステアレート、アルミニウムジブトキシアセチルアセトネート、アルミニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウム等が挙げられる。
以上述べた縮合促進剤の内、チタン(Ti)のアルコキシド、カルボン酸塩及びジアルコキシビス(1,3―ジケトネート)等が好ましく、それらの内、酸化数4のチタンのテトラアルコキシド、アセチルアセトナート錯塩、テトラキス(トリヒドロカルビオキシシロキシド)等が更に好ましく、酸化数4のチタンのテトラアルコキシドが特に好ましい。この酸化数4のチタンのテトラアルコキシドの好適例として、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタンが挙げられる。
水としては、単体やアルコール等の溶液、炭化水素溶媒中の分散ミセル等の形態が好適に用いられるほか、必要ならば固体表面の吸着水や水和物の水和水等の、反応系中で水を放出し得る化合物が潜在的に含んだ水分も有効に用いることが出来る。
縮合促進剤と水との二者は、反応系に別々に投入しても、使用直前に混合して混合物として投入しても良いが、混合物を長期保存は金属化合物の分解を招くので好ましくない。
この縮合促進剤及び水の使用量として、前記金属化合物の金属及び反応に有効な水のモル数が、反応系内に存在するヒドロカルビルオキシシリル基総量に対するモル比が、共に0.1以上が好ましい。上限は目的や反応条件によっても異なるが、縮合処理以前の段階で重合体末端に結合されたヒドロカルビルオキシシリル基総量に対するモル比が0.5〜3程度の有効な水が存在することが好ましい。前記縮合促進剤である金属化合物の金属及び反応に有効な水のモル比は求められる反応条件によっても異なるが、1/0.5−1/20程度が好適である。
さらに、本発明においては、重合体の活性末端にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させた後、縮合促進剤単独又は縮合促進剤と水とを加えて反応させ、その後さらに、前記多価アルコールのカルボン酸エステル化合物と反応させることもできる。
本発明においては、この変性反応時に、所望により、公知の老化防止剤やショートストップ剤を、重合体の活性末端にヒドロカルビルオキシシラン化合物残基を導入した後の工程において、添加することができる。
上記の如く変性処理したのち、脱溶媒等の従来公知の後処理を行い、目的の変性重合体を得ることができる。この変性重合体の重合鎖末端変性基の分析は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC),薄層クロマトグラフィー等の液体をキャリアとしたクロマトグラフィーや、核磁気共鳴分光(NMR)を用いて行うことができる。
前記末端変性共役ジエン系重合体の変性前に単離した重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜3.5、1.5〜2、6がより好ましい。また、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4,100℃)が10〜150、より好ましくは15〜70である。
主鎖の共役ジエン部分におけるシス−1,4−結合の含有量が75モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることが望ましく、また、ビニル結合の含有量は低いことが望ましく1.5モル%以下が好ましく、より好ましくは1.0モル%以下であり、かつ該共役ジエン系重合体を構成するモノマーが、実質的に1,3−ブタジエンのみからなる物が好ましい。
上記未変性前の共役ジエン系重合体の諸特性を上記範囲にすることによって上記変性剤、縮合促進剤を用いて変性された変性後の重合体は、優れた作業性を有し、低燃費性及び充填剤との補強性を高めると共に、DRY性能を維持し、極低温から0℃近傍までの優れた氷上性能及び優れたWET性能を有するゴム組成物を得ることができる。
本発明のゴム組成物において、(A)ゴム成分を構成する重合体としては、特に制限は無く、必須成分である前記変性ジエン系重合体の他に、ジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物等が挙げられる。また、その一部が多官能型、例えば四塩化スズ,四塩化珪素のような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているものでも良い。
また、氷上性能を考慮した場合にはガラス転移温度が−60℃以下のものを用いることが好ましい。
(A)ゴム成分としては、天然ゴム10〜90質量%、実質上ポリブタジエン単独重合体からなる変性共役ジエン系重合体(今後変性ポリブタジエン重合体と称することがある。)90〜10質量%、より好ましくは、天然ゴム30〜60質量%、変性ポリブタジエン重合体40〜70質量%であることが望ましい。両者の配合量を上記範囲にすることによって、作業性に優れ、破壊特性、耐摩耗性及びDRY性能を維持し、優れた氷上性能を確保することができる。
本発明のゴム組成物においては、さらに(C)補強性充填剤含有することが必要である。補強性の充填剤としては、カーボンブラック及び/又はシリカが好ましい。前記カーボンブラックは、そのゴム層の力学的性能を高め、加工性等を改善させるものである限り、I2吸着量、CTAB比表面積、N2吸着量、DBP吸着量等の範囲を適宜選択した公知のカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックの種類としては、例えば、SAF、ISAF−LS、HAF、HAF−HS等の公知のものを適宜選択して使用することができる。耐摩耗性を考慮すると、微粒子径のISAFやSAFが好ましい。
上記ゴム層においてカーボンブラックの含有量は(A)ゴム成分100質量部に対して好ましくは5〜95質量部、より好ましくは10〜60質量部である。
カーボンブラックの含まれる量を上記範囲にすることにより耐摩耗性を維持し、優れたWET性能を得ることができる。
また、上記発泡ゴム層において、シリカは、狭義の二酸化珪素のみを示すものではなく、ケイ酸系充填剤を意味し、具体的には、無水ケイ酸の他に、含水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩を含む。
上記ゴム層においてシリカの含有量は(A)ゴム成分の100質量部に対して、好ましくは5〜95質量部、より好ましくは15〜80質量部である。シリカの含有量を上記範囲とし、前記変性ジエン系(ポリブタジエン)重合体と組み合わせることにより、温度変化によるゴム組成物の硬度の低下を減少させDRY性能を維持するばかりではなく、優れた氷上性能及びWET性能を得ることができる。
尚、カーボンブラック及びシリカを合わせた合計の配合量は(A)成分100質量部に対して、好ましくは30〜120質量部、より好ましくは40〜80質量部であり、また、カーボンブラックとシリカの混合比[カーボンブラック]/[シリカ]は質量比で0.04〜6.0であることが好ましい。
特に、WET性能を重視した場合にはシリカの配合比率を増すことが好ましい。
本発明のゴム組成物においては、補強用充填剤としてシリカを用いる場合、その補強性及び低発熱性をさらに向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することができる。
このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−卜リエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられるが、これらの中で補強性改善効果等の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上組み合わせて用いても良い。
好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類等により異なるが、シリカに対して、好ましくは1〜20質量%の範囲で選定される。
本発明のゴム組成物の氷上性能をさらに向上するために、発泡剤を配合し独立気泡を有する発泡ゴム層にすることが好ましい。
前記発泡ゴム層における発泡率は、3〜50%の範囲であることが好ましく、15〜40%の範囲にあることが特に好ましい。
発泡率が3%未満であると、前記トレッドにおける凹部の体積が小さく、前記氷上性能を十分に向上させることができない。一方、発泡率が50%を超えると、トレッドにおける前記氷上性能は十分であるものの、トレッド内における気泡が多くなり破壊限界が低下する傾向にあり、耐久性の点で好ましくない。
また、発泡ゴム層において、発泡剤と併せて、融点が190℃以下の(D)有機繊維を合わせて配合することがさらに排水効果を高める上でより好ましい。
前記発泡剤としては、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンやベンゼンスルホニルヒドラジド誘導体、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、二酸化炭素を発生する炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、窒素を発生するニトロソスルホニルアゾ化合物、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタルアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、P−トルエンスルホニルセミカルバジド、P,P’−オキシービス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等が挙げられる。
これらの発泡剤の中でも、製造加工性を考慮すると、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)が好ましく、特にアゾジカルボンアミド(ADCA)が好ましい。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。上記発泡剤の作用により、得られた上記加硫ゴムは発泡率に富む発泡ゴムとなる。
本発明においては、効率的な発泡を行う観点から、その他の成分として発泡助剤を用い、上記発泡剤と併用するのが好ましい。上記発泡助剤としては、例えば、尿素、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛や亜鉛華等、通常、発泡製品の製造に使用する助剤等が挙げられる。これらの中でも、尿素、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛等が好ましい。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記発泡剤の含有量としては、目的に応じて適宜決定すれば良いが、一般にはゴム成分100質量部に対して1〜10質量部程度が好ましい。
上記(D)成分に使用される有機繊維としては、必ずしもその材質、形状、径、長さ等が一致した同じものを同時に使用することはなく、互いに異なった有機繊維を使用しても良いが、共に以下の性質を有する範囲の有機繊維を使用することが望ましい。
(D)成分に使用される有機繊維の材質は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかしながら、上述したように、(A)ゴム成分との関係から加硫時に加硫最高温度に達するまでの間に、(A)ゴム成分のゴムマトリックスの粘度よりも低くなる粘度特性を有する繊維を構成する樹脂を用いることが本発明においては好ましい。即ち、上記有機繊維を構成する樹脂としては、ゴム組成物が加硫最高温度に達するまでの間に溶融(軟化を含む)する熱特性を有していることが好ましい。
このような熱特性を上記有機繊維を構成する樹脂が有していると、ゴム組成物を加硫して得た加硫ゴム中に、ミクロな排水溝として機能し得る上述の長尺状気泡を容易に形成することができる。
尚、加硫最高温度とは、ゴム組成物の加硫時におけるゴム組成物が達する最高温度を意味する。例えば、モールド加硫の場合には、ゴム組成物がモールド内に入ってからモールドを出て冷却されるまでに該ゴム組成物が達する最高温度を意味する。加硫最高温度は、例えば、ゴム組成物中に熱電対を埋め込むこと等により測定することができる。また、ゴムマトリックスの粘度は、流動粘度を意味し、例えば、コーンレオメーター、キャピラリーレオメーター等を用いて測定する。また、上記有機繊維を構成する樹脂の粘度は、溶融粘度を意味し、例えば、コーンレオメーター、キャピラリーレオメーター等を用いて測定する。
従って、本発明で選択される好ましい樹脂は、例えば、その融点が上記加硫最高温度よりも低い結晶性高分子樹脂等が特に好適に挙げられる。
上記結晶性高分子では、その融点と、ゴム組成物の加硫最高温度との差が大きくなる程、ゴム組成物の加硫中に速やかに溶融するため、高分子の粘度がゴムマトリックスの粘度よりも低くなる時期が早くなる。このため、高分子が溶融すると、そのゴム組成物に配合した発泡剤から発生したガス等のゴム組成物に存在するガスは、ゴムマトリックスよりも低粘度である高分子の内部に集まる。その結果、加硫ゴム中には、ゴムマトリックスとの間に微粒子を含有する樹脂層を有する独立気泡、即ち、上記樹脂により被覆されたカプセル状の長尺状気泡が潰れのない状態で効率良く形成される。
路面と実質接する発泡層を有するタイヤトレッドゴムにおいては、このカプセル状の長尺状気泡はトレッドの表面に現れ、表面の摩耗により生じた溝が上記ミクロな排水溝として機能し、水膜排除効果として作用する。
これに対して、有機繊維を構成する樹脂の融点が、ゴム組成物の加硫最高温度に近い場合、加硫初期に速やかに溶融せず、加硫末期に溶融する。加硫末期では、ゴム組成物中に存在するガスの一部は加硫したゴムマトリックス中に取り込まれてしまい、溶融した樹脂の内部には集まらない。その結果、上記ミクロな排水溝として効果的機能する長尺状気泡が、効率良く形成されず、また、有機繊維の樹脂融点が低過ぎる場合、有機繊維をゴム組成物中に配合し混練りする際に有機繊維同士の融着が発生し、有機繊維の分散不良が生じる。これもまた、ミクロな排水溝して機能し得る長尺状気泡が効率良く形成されない。したがって、有機繊維の樹脂の融点は、加硫前の各工程における温度では溶融軟化せず、加硫工程中にゴムマトリックスと樹脂との粘度とが逆転するような範囲で選択するのが好ましい。
有機繊維を構成する樹脂の融点の上限としては、特に制限はないものの上記の点を考慮して選択するのが好ましく、上記ゴムマトリックスの加硫最高温度よりも低く、10℃以上低いのがより好ましく、20℃以上低いのが特に好ましい。ゴム組成物の工業的な加硫温度は、一般的には最高で約190℃程度であるが、例えば、加硫最高温度がこの190℃を超えて設定されている場合には、上記樹脂の融点としては、190℃以下の範囲で選択され、180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。
なお、上記樹脂の融点は、それ自体公知の融点測定装置等を用いて測定することができ、例えば、DSC測定装置を用いて測定した融解ピーク温度を上記融点とすることができる。
以上のことから有機繊維を構成する樹脂は、結晶性高分子及び/又は非結晶性高分子から形成されていても良い。但し、上述したように本発明においては、相転移があるために粘度変化がある温度で急激に起こり、粘度制御が容易な点で結晶性高分子を多く含む有機素材から形成されていることが好ましく、結晶性高分子のみから形成されるのがより好ましい。
このような結晶性高分子の具体例としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、シンジオタクティック−1,2−ポリブタジエン(SPB)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の単一組成重合物や、共重合、ブレンド等により融点を適当な範囲に制御したものも使用でき、更にこれらの樹脂に添加剤を加えたものも使用できる。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの結晶性高分子の中でも、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体が好ましく、汎用で入手し易い点でポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)がより好ましく、融点が比較的低く、取扱いが容易な点でポリエチレン(PE)が特に好ましい。
尚、非結晶性高分子の樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル、これらの共重合体、これらのブレンド物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
また、本発明において所望により使用される(D)成分の有機繊維としては、その繊維の平均長さが、0.5〜20mmの範囲、特に、1〜10mmの範囲にある短繊維であることが好ましい。
上記発泡ゴム層を形成する際の加硫ゴム中に、このような長さで有機繊維が存在すれば、徐水効果が有効に作用すると共に、前述の発泡剤等を含めるとミクロな排水溝として効率良く機能し得る長尺状気泡を十分に形成することも可能となる。上記有機繊維の平均長さを上記範囲にすることにより作業性を確保し上記効果を充分に得ることが出来る。
また、上記有機繊維において、その平均繊維径が0.01〜0.1mmの範囲、特に、0.015〜0.09mmの範囲が好ましい。平均繊維径を上記範囲にすることによって繊維等の切断による加工性の問題もなく、優れた徐水効果を得ることができる。
本発明においては、加流後に気泡を形成させるために、上記発泡ゴム層の成形前の加硫ゴム中及び/又は有機繊維中に発泡剤を配合する。発泡剤及び有機繊維を用いることにより、加硫ゴム或いはトレッドとなる上記発泡ゴム層は、長尺状気泡を有してミクロな排水溝を形成して水膜除去能が付与される。
本発明の発泡層を有するゴム組成物においては、(D)成分である有機繊維がさらに微粒子を含有することが、より氷上性能を高める上で好ましい。この微粒子を含有する有機繊維(以下、(E)微粒子含有有機繊維という)を構成する素材、平均繊維長、平均径、融点等は、前述の(D)成分の有機繊維を用いることができる。上記微粒子としては、モース硬度が2以上の無機微粒子が好ましく用いられる。このような微粒子としては、例えば、石膏、方解石、蛍石、正長石、石英、金剛石等が挙げられるが、好ましくは、モース硬度5以上のシリカガラス(硬度6.5)、石英(硬度7.0)、溶融アルミナ(硬度9.0)等を挙げることができる。中でもシリカガラス、アルミナ(酸化アルミニウム)等が安価で容易に使用することができる。また、微粒子が角部を有することが引っ掻き効果向上の観点から好ましい。
また、上記微粒子はその粒径分布の頻度数の80質量%以上、好ましく90質量%以上が10〜50μmの範囲にあることが好ましく、また、その平均粒径が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
(E)微粒子含有有機繊維長尺発泡体は、予め所定量の微粒子を有機繊維を構成する素材に混練し有機繊維にしたのち、前述の(D)有機繊維を用いて長尺発泡体を製造した同じ方法で得ることができる。この、微粒子含有の長尺発泡体は、前述の徐水効果はもとより、エッヂ効果や引っ掻き効果等を発現しさらなる氷上性能の向上をはかることができる。
本発明において、無機化合物粉体や微粒子の平均粒径及び粒径分布は、電子顕微鏡法により粉体又は微粒子の投影面積円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径であり、Heywood径とも呼ぶ。)無作為に200個を測定し、粒径分布を得ると共に、相加平均により平均粒径を求める。
有機繊維の平均繊維径及び平均長さは、顕微鏡法により、無作為に200個の長さと直径をそれぞれ測定し、それぞれ相加平均により平均繊維径及び平均長さを求める。
本発明に使用するその他の成分としては、本発明の効果を害しない範囲で用いることができ、例えば、硫黄等の加硫剤、ジベンゾチアジルジスルフィド等の加硫促進剤、加硫促進助剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−ベンゾチアジル−スルフェンアミド等の硫化防止剤、オゾン劣化防止剤、着色剤、帯電防止剤、分散剤、滑剤、酸化防止剤、軟化剤等の他に、通常ゴム業界で用いる各種配合剤等を目的に応じて適宜選択して使用することができる。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
以下に、図面を参照しながら、本発明の1つの実施の形態を説明する。
本発明のゴム組成物が発泡剤を含み(D)成分の有機繊維を含有する場合、加硫後、ゴムマトリックス中に長尺状気泡が存在している。有機繊維のゴム組成物中での配向を一定の方向に揃えた場合には、図1に示すように、長尺状発泡体1(平均長さ:L'、 平均径:D')が一定の方向に配向した状態で存在している。なお、繊維の配向方向は、ゴム組成物の押出し工程で一定の方向に揃えることができる。加硫後のゴム組成物の配向状態は、該ゴム組成物を押出し方向と平行にスライスし、その断面を顕微鏡で観察することで確認できる。ここで、長尺状発泡体1は、溶融した有機繊維を構成する樹脂が、加硫したゴムマトリックス2に接着してなる保護層3により囲まれている。また、該保護層3内には、前記発泡剤から発生したガスが取り込まれている。
かかるゴム組成物をタイヤのトレッドに使用した場合、該トレッドが摩耗すると、図2に示すように、長尺状発泡体1が表面に露出して形成される凹部4が、効率的な排水を行う排水路として機能する。
本発明に係るタイヤの発泡ゴム層を形成するには、上記で詳述したゴム組成物を、以下の条件、手法にて混練り、熱入れ、押出等を行なう。
混練は、混練装置への投入体積、ローター回転速度、混練温度、混練時間等の混練装置等の諸条件について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。混練装置としては、市販品を好適に使用することができる。
熱入れ又は押出は、熱入れ又は押出時間、熱入れ又は押出装置等の諸条件について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。熱入れ又は押出装置としては、市販品を好適に使用することができる。尚、熱入れ又は押出温度は、発泡剤が存在する場合はその発泡を起こさないような範囲で適宜選択される。押出温度は、90〜110℃程度が望ましい
本発明において、押出等により上述の有機繊維は押出方向に配向させることが好ましく、このような配向を効果的に行うには、限られた温度範囲の中でゴム組成物の流動性を制御し、具体的にはゴム組成物中に、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、エステル系オイル等の可塑剤、液状ポリイソプレンゴム、液状ポリブタジエンゴム等の液状ポリマー等の加工性改良剤を適宜添加してゴム組成物の粘度を変化させ、その流動性を高める。
本発明において、加硫の条件乃至方法等については特に制限はなく、ゴム成分の種類等に応じて適宜選択することができるが、本発明のようにトレッドとしての発泡ゴム層を製造する場合にはモールド加硫が良い。加硫の温度としては、上述したように加硫中の上記ゴム組成物の加硫最高温度が上記有機繊維を構成する樹脂の融点以上になるように選択されることが好ましい。加硫最高温度が樹脂の融点未満であると、上述したように繊維が溶融せず、発泡により生じたガスを樹脂中に取り込むことができない。発泡ゴム層に長尺状気泡を効率良く形成できない。加硫装置は、特に制限はなく、市販品を好適に使用することができる。
本発明のタイヤのトレッド(発泡ゴム層)においては、トレッド表面に生じた長尺状気泡の凹部は方向性を持たせてある。このため、効率的な排水を行う排水路として機能する。なお、該凹部は上記保護層、特に微粒子を存在させた保護層を有するため、該凹部は、耐剥離性、水路形状保持性、水路エッヂ部摩耗性、荷重入力時の水路保持性等に優れる。更に本発明のタイヤにおいては、長尺状気泡が発泡層全体に存在するため、使用初期から末期まで上記凹部による諸機能が発揮され、上記氷上性能に優れる。
本発明において、発泡ゴム層に形成される長尺状気泡の平均径(μm)は、10〜500μm程度であるのが好ましい。上記平均径が10μm未満であると、ゴム表面に形成されるミクロの排水溝の水排除性能が低下することがあり、上記平均径が500μmを越えると、ゴムの耐カット性、ブロック欠けが悪化し、また、乾燥路面での耐摩耗性が悪化することがある。
本発明に係るタイヤは、いわゆる乗用車用のみならず、トラック・バス用等の各種の乗物に好適に適用できる。氷雪路面上でのスリップを抑えることが必要な構造物に好適に使用でき、タイヤのトレッドは、上記氷上でのスリップを抑えることが必要な限り、例えば、更生タイヤの貼り替え用のトレッド、中実タイヤ、等に使用できる。また、タイヤが空気入りタイヤである場合、内部に充填する気体としては空気のほかに窒素等の不活性ガスを用いることができる。
尚、上記実施形態においては二層構造を持つトレッドを例にして説明したが、トレッドの構造は特に制限はなく一層構造でも良い。更にタイヤ半径方向に分割された多層構造、タイヤ周方向或いはトレッド幅方向に分割された構造でも良く、トレッドの表面層の少なくとも一部が本発明のゴム組成物により構成されていることが好ましい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、各種の測定法は下記の方法に基づいておこなった。
製造例1[末端変性ポリブタジエンゴムの製造]
<触媒の調製>
乾燥・窒素置換された、ゴム詮付容積100ミリリットルのガラスびんに、以下の順番に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(15.2質量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(0.56モル/リットル)0.59ミリリットル、メチルアルミノキサンMAO(東ソ−アクゾ製PMAO)のトルエン溶液(アルミニウム濃度として3.23モル/リットル)10.32ミリリットル、水素化ジイソブチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.90モル/リットル)7.77ミリリットルを投入し、室温で2分間熟成した後、塩素化ジエチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.95モル/リットル)1.45ミリリットルを加え室温で、時折攪拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒溶液中のネオジムの濃度は、0.011モル/リットルであった。
<重合体中間体の製造>
約900ミリリットル容積のゴム栓付きガラスびんを乾燥・窒素置換し、乾燥精製されたブタジエンのシクロヘキサン溶液及び乾燥シクロヘキサンを各々投入し、ブタジエン12.5質量%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、前記調製した触媒溶液2.28ミリリットル (ネオジム換算0.025mmol)を 投入し、50℃温水浴中で1.0時間重合を行った。
<第1次変性処理>
第1次変性剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPMOS)をヘキサン溶液(1.0モル/リットル)として、23.5ミリモルを投入し、50℃で60分間処理した。
<第2次変性処理>
続いて、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール(TEOSIPDI)(第2次変性剤)をヘキサン溶液(1.0モル/リットル)として、23.5ミリモルを投入し、50℃で30分間攪拌した後、縮合促進剤として、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタンのシクロヘキサン溶液(1モル/リットル)を13.5ミリリットル (70.5 eq / Nd相当)と、イオン交換水32ul (70.55eq / Nd相当)を投入し、50℃温水浴中で1.0時間処理した。その後、重合系に老化防止剤2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール5質量%溶液2ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに微量のNS−5を含むイソプロパノール中で再沈殿を行ない、ドラム乾燥することにより末端変性ポリブタジエンゴムを得た。
なお、重合体のシス−1,4−結合の含量が94モル%、ビニル含量が1.0モル%分子量分布Mw/Mnが1.82及びムーニー粘度(ML1+4、100℃)が46であった。
製造例2[未変性ポリブタジエンゴムの製造]
製造例1と同様にして、重合体中間体を製造し、第1次変性処理及び第2次変性処理のいずれもすることなく、重合系に老化防止剤2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール5%溶液2ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに微量のNS−5を含むイソプロパノール中で再沈殿を行ない、ドラム乾燥することにより未変性ポリブタジエンゴムを得た。
実施例1〜10及び比較例1〜9
表1に示す各配合内容に基づいて常法により、実施例1〜10及び比較例1〜9の19種類のゴム組成物を製造した。
各ゴム組成物の加硫時における加硫温度は、ゴム組成物中に熱電対を埋め込んで測定しながら行った。加硫最高温度に達するまでに、各有機繊維樹脂の融点を超え、上記ゴム組成物の加硫時において、上記樹脂粘度はゴムマトリックス粘度より低くなった。なお、各有機繊維樹脂の上記加硫最高温度における粘度(溶融粘度)は、コーンレオメーターを用いて測定(ゴムのトルクがMaxをむかえたら終了とし、トルクをゴム粘度として、トルクの変化と発泡圧力の変化を測定)したところ、6であった。一方、上記ゴム組成物の上記加硫最高温度における粘度(流動粘度)は、モンサント社製コーンレオメーター型式1−C型を使用し、温度を変化させながら100サイクル/分の一定振幅入力を与えて経時的にトルクを測定し、その際の最小トルク値を粘度としたところ(ドーム圧力0.59MPa、ホールディング圧力0.78MPa、クロージング圧力0.78MPa、振り角±5°)、11であった。
得られた各ゴム組成物をトレッド(発泡ゴム層)に用い常法によって試験用の乗用車用ラジアルタイヤ、タイヤサイズ185/70R15を製造した。
<発泡率の測定>
発泡率のVsは、トレッドにおける全発泡率を意味し、各トレッドからサンプリングした試料(n=10)を用いて次式により算出した。
Vs=(ρ0 /ρ1−1)×100(%)
ここで、ρ1 は、加硫ゴム(発泡ゴム)の密度(g/cm3)を表す。ρ0 は、加硫ゴム(発泡ゴム)における固相部の密度(g/cm3 )を表す。なお、加硫後のゴム(発泡ゴム)の密度及び加硫後のゴム(発泡ゴム)における固相部の密度は、例えば、エタノール中の質量と空気中の質量を測定し、これから算出した。評価結果を表1に示す。
[タイヤ性能評価]
<氷上性能>
前記試験用のタイヤ(タイヤサイズ185/70R15)を国産1600CCクラスの乗用車に4本を装着し、氷温−1℃の氷上制動性能確認した。比較例1のタイヤをコントロールとして下記の式により指数で表示した。数値の大きい方が、氷上性能が優れていることを示す。評価結果を表1に示す。
氷上性能=(比較例1のタイヤの制動距離/供試タイヤの制動距離)×100
<WET性能>
湿潤アスファルト路面にて、初速度40、60、80km/hrからの制動距離を測定し、比較例1のタイヤをコントロールタイヤとし、各速度でコントロールタイヤを100とし、下記の式により数値を求め、その三水準の平均値にて指数表示した。従って、数値が大なる程良好である。評価結果を表1に示す。
(比較例1のタイヤの制動距離÷供試タイヤの制動距離)×100
<低燃費性能>
低燃費性能は、スチール平滑面を有する外径が1707.6mm、幅が350mmの回転ドラムを用い、4500N(460kg)の荷重の作用下で、80km/hの速度で回転させたときの惰行法を持って転がり抵抗を測定し、評価した。測定値は比較例1の値を100として下記の式により指数化した。この数値が大きい程、転がり抵抗が小さく、低燃費性能が良好であることを示す。評価結果を表1に示す。
(比較例1のタイヤの転がり抵抗÷供試タイヤの転がり抵抗)×100
<耐摩耗性>
実車にて舗装路面を1万km走行後、残溝を測定し、トレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離を相対比較し、比較例1のタイヤを100(8000km/mmに相当)として指数表示した。指数が大きい程、耐摩耗性が良好なことを示す。評価結果を表1に示す。
(供試タイヤのトレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離÷比較例1のタイヤのトレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離)×100
Figure 0005363738
[注]
*1.変性ポリブタジエンゴム:製造例1で得られたものを使用した。
*2.未変性ポリブタジエンゴム:製造例2で得られたものを使用した。
*3.カーボンブラック:[N134(N2SA:146m2/g)]:旭カーボン社製)
*4.シリカ:(Nipsil AQ:東・ソーシリカ株式会社製)
*5.シランカップリング剤:(デグサ社製、商品名「Si69」)
*6.プロセスオイル:ナフテン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名「ダイアナプロセスオイルNS−24」、流動点:−30℃)
*7.老化防止剤:(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
*8.加硫促進剤:(MBTS:ジベンゾチアジルジスルフィド)
*9.加硫促進剤:(CBS:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
*10.発泡剤:(DNPT:ジニトロソペンタメチレンテトラミン)
*11.有機短繊維a:繊維を構成する樹脂(ポリエチレン融点132℃、繊維平均径32μm、繊維平均長さ2mm)
*12.有機短繊維b:繊維を構成する樹脂(ポリエチレン融点132℃、繊維平均径32μm、繊維平均長さ2mm、微粒子:モース硬度が9の溶融アルミナ、微粒子含有量15質量部、微粒子平均粒径20μm、粒径分布の頻度数の90質量%が10〜50μmの範囲にあった)
*13.水酸化アルミニウムX:(昭和電工(株)製、商品名「ハイジライトH−31」、平均粒径20μm)
*14.水酸化アルミニウムY:(昭和電工(株)製、商品名「ハイジライトH−32」、平均粒径8μm)
*15.水酸化アルミニウムZ:(昭和電工(株)製、商品名「ハイジライトH−43」、平均粒径1μm)
表1から次のようなことがわかる。
実施例1〜10について変性ポリブタジエンゴムの使用量が増えるに従って転がり抵抗性(低燃費性)が改善されていることがわかる。また(B)成分の平均粒径5μm以上の無機化合物粉体を配合することによりWET性能が改善されていることがわかる。したがって、変性ポリブタジエンと(B)成分とを組み合わせることにより、耐摩耗性を維持しつつ氷上性能、WET性能及び低燃費性能を大幅に向上したゴム組成物を得ることができる。
また、さらに発泡剤、有機繊維、さらには微粒子含有有機繊維との組み合わせにより氷上性能が大幅に改善されていることがわかる。
本発明は、耐摩耗性を維持しつつ、優れた氷上性能、WET性能及び低燃費性能を有するゴム組成物及び該ゴム組成物をトレッドに用いた空気入りタイヤを提供することができるので、乗用車用タイヤ、軽乗用車用タイヤ、小型トラック用タイヤやトラック・バス用タイヤに好適に用いられ、特に冬用やオールシーズン用の乗用車用ラジアルタイヤに好適に用いることができる。
有機繊維を含有するゴム組成物の加硫後の断面概略説明図である。 有機繊維を含有するゴム組成物の摩耗進行後の断面概略説明図である。
符号の説明
1 長尺状気泡
2 ゴムマトリックス
3 保護層
4 凹部
L’長尺状気泡の平均長さ
D’長尺状気泡の平均径

Claims (21)

  1. (A)末端変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分、(B)平均粒径8〜40μmの下記一般式(I)で表される無機化合物粉体及び(C)充填剤を含むことを特徴とするゴム組成物。
    M・xSiO2・yH2O ・・・・・・・・・(I)
    〔式中、Mは、Al、Mg、Ti及びCaから選ばれる少なくとも一つの金属の金属酸化物又は金属水酸化物であり、x及びyはそれぞれ独立に0〜10の整数である。〕
  2. 前記無機化合物粉体が下記一般式(II)で表される請求項1に記載のゴム組成物。
    Al23・aSiO2・bH2O ・・・・・・・・・(II)
    〔式中、a及びbはそれぞれ独立に0〜4の整数である。〕
  3. 前記無機化合物粉体の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して、5〜50質量部である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記無機化合物粉体が水酸化アルミニウムである請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 前記末端変性共役ジエン系重合体が、1,3−ブタジエンを80モル%以上含む共役ジエン系モノマーを重合して得られ、主鎖の共役ジエン部分におけるシス−1,4−結合の含量が75モル%以上であり、活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端と、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 I 及び/又はその部分縮合物とを反応させる工程を含む方法で製造されたものである請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
    Figure 0005363738
    〔式中、A1はエポキシ、チオエポキシ、イソシアネート、チオイソシアネート、ケトン、チオケトン、アルデヒド、チオアルデヒド、アミド、ケチミン、イミン残基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル残基、カルボン酸エステル残基、チオカルボン酸エステル残基、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化物残基及び炭酸ジヒドロカルビルエステル残基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R1は単結合又は二価の炭化水素基であり、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、nは0から2の整数であり、R2が複数ある場合、複数のR2は同一でも異なっていても良く、OR3が複数ある場合、複数のOR3は同一でも異なっていても良く、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。〕
  6. 前記末端変性共役ジエン系重合体が、前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物 I を反応させる第一次変性の後に、縮合促進剤を加えて、導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基と未反応のヒドロカルビルオキシシラン化合物との縮合反応を行なう第二次変性工程(a)を含む方法で製造されたものである請求項5に記載のゴム組成物。
  7. 前記末端変性共役ジエン系重合体が、ヒドロカルビルオキシシラン化合物 I 及び/又はその部分縮合物を反応させる第一次変性後に、さらにヒドロカルビルオキシシラン化合物を加え、縮合促進剤の存在下で反応させる第二次変性を行う工程(b)を含む方法で製造されたものである請求項5に記載のゴム組成物。
  8. 前記末端変性共役ジエン系重合体が、前記第二次変性工程(b)に用いるヒドロカルビルオキシシラン化合物として、前記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 I 及び/又はその部分縮合化合物、下記一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 II 及び/又はその部分縮合物、並びに下記一般式(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物 III及び/又はその部分縮合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いて製造されたものである請求項7に記載のゴム組成物。
    Figure 0005363738
    〔式中、A2は、環状三級アミン、非環状三級アミン、ピリジン、スルフィド,マルチスルフィド、ニトリル、環状三級アミンのオニウム塩及び非環状三級アミンのオニウム塩から選ばれる化合物の残基、アリル又はベンジルSn結合を有する基、スルフォニル、スルフィニル並びにニトリルから選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R4は単結合又は二価の不活性炭化水素基、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、mは0から2の整数であり、R5が複数ある場合、複数のR5は同一でも異なっていても良く、OR6が複数ある場合、複数のOR6は同一でも異なっていても良い。〕
    Figure 0005363738
    〔式中、A3は、アルコール,チオール,一級アミン及びそのオニウム塩,環状二級アミン及びそのオニウム塩、並びに非環状二級アミン及びそのオニウム塩から選ばれる化合物の残基、R7は単結合又は二価の不活性炭化水素基、R8及びR9は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、qは0から2の整数であり、R8が複数ある場合、複数のR8は同一でも異なっていても良く、OR9が複数ある場合、複数のOR9は同一でも異なっていても良い。〕
  9. 前記縮合促進剤が、下記(1)から(8)で表わされる金属化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項6〜8のいずれかに記載のゴム組成物。
    (1)酸化数2のスズの炭素数3から30のカルボン酸塩
    Sn(OCOR102 ・・・・・(VI)
    〔式中、R10は、炭素数2から19の有機基であり、2つのOCOR10は同一でも異なっていても良い。〕
    (2)酸化数4のスズの化合物で次の一般式を満足するもの
    11 rSnA4 t1 (4-t-r) ・・・・・(VII)
    〔式中、rは1から3の整数,tは1又は2の整数であり、かつt+rは3又は4の整数である。R11は炭素数1から30の脂肪族炭化水素基、B1はヒドロキシル基又はハロゲンである。A4は、(a)炭素数2から30のカルボキシル基、(b)炭素数5から30の1,3−ジケトン基、(c)炭素数3から30のヒドロカルビルオキシ基、及び(d)炭素数1から20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1から20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換(同一でも異なっていても良い)されたシロキシ基から選ばれる基であり、A4が複数ある場合は同一でも異なっていても良い。〕
    (3)酸化数4のチタン化合物で、次の一般式を満足するもの
    5 xTiB2 (4-x) ・・・・・(VIII)
    〔式中、xは2又は4の整数である。A5は(e)炭素数3から30のヒドロカルビルオキシ基、(f)炭素数1から30のアルキル基及び/又は炭素数1から20のヒドロカルビルオキシ基で合計三置換されたシロキシ基であり、A5が複数ある場合は同一でも異なっていても良い。B2は、炭素数5から30の1,3−ジケトン基である。〕
    (4)ビスマスのカルボン酸塩
    (5)ジルコニウムのアルコキシド
    (6)ジルコニウムのカルボン酸塩
    (7)アルミニウムのアルコキシド
    (8)アルミニウムのカルボン酸塩
  10. 前記活性末端を有する共役ジエン系重合体が、下記(i)、(ii)、(iii)の各要素それぞれから選ばれる少なくとも一種の化合物を組み合わせてなる重合触媒を用いて、1,3−ブタジエンを80モル%以上含む共役ジエン系モノマーを重合させることにより製造されたものである請求項5〜9のいずれかに記載のゴム組成物。
    (i)成分;周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素含有化合物、又は、これらの化合物とルイス塩基との反応物
    (ii)成分;アルモキサン及び/又はAlR121314(式中、R12及びR13は同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子、R14は炭素数1〜10の炭化水素基であり、ただし、R14は上記R12又はR13と同一又は異なっていても良い)に対応する有機アルミニウム化合物
    (iii)成分;ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物ハロゲン含有化合物
  11. 前記末端変性共役ジエン系重合体の変性前に単離した重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜3.5、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4、100℃)が5〜50、主鎖の共役ジエン部分におけるシス−1,4−結合含有量が75モル%以上であり、かつ該共役ジエン系重合体を構成するモノマー、1,3−ブタジエンのみからなる請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物。
  12. 前記(A)ゴム成分が、天然ゴムを10〜90質量%、及び末端変性共役ジエン系重合体を90〜10質量%含む請求項1〜11のいずれかに記載のゴム組成物。
  13. 前記(C)充填剤がカーボンブラック及び/又はシリカからなる請求項1〜12のいずれかに記載のゴム組成物。
  14. 前記(A)ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを5〜95質量部及びシリカを5〜95質量部含む請求項13に記載のゴム組成物。
  15. さらに、発泡剤を含み、発泡率が3〜50%である請求項1〜14のいずれかに記載のゴム組成物。
  16. (A)ゴム成分100質量部に対して、さらに(D)有機繊維を0.02〜20質量部含む請求項1〜15のいずれかに記載のゴム組成物。
  17. 前記(D)有機繊維に使用される平均繊維径が0.01〜0.1mm、その平均長さが0.5〜20mmである請求項16に記載のゴム組成物。
  18. 前記(D)有機繊維を構成する素材がポリエチレン及び/又はポリプロピレンからなる結晶性高分子であり、かつ融点が190℃以下である請求項16又は17に記載のゴム組成物。
  19. 前記(D)有機繊維が微粒子を含有する請求項16〜18のいずれかに記載のゴム組成物。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載のゴム組成物をトレッドに用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  21. 乗用車用ラジアルタイヤである請求項20に記載の空気入りタイヤ。
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