JP5703066B2 - ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents

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本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関する。さらに詳しくは、本発明は、特定の変性官能基を重合末端に有する変性共役ジエン系重合体と、特定構造のシランカップリング剤とを、それぞれ所定の割合で含む、低発熱性の向上したタイヤを与えるゴム組成物、及び該ゴム組成物を部材に用いてなる前記性状を有するタイヤ、特に空気入りタイヤに関するものである。
従来、発熱性の低いゴム組成物を得るために、シリカやカーボンブラックを充填材とするゴム組成物用の変性ゴムの技術開発が多くなされてきた。その中でも特に、有機リチウムを用いたアニオン重合で得られる共役ジエン系重合体の重合活性部位を充填材と相互作用する官能基を含有するアルコキシシラン誘導体で変性する方法が有効なものとして提案されている(例えば、特許文献1又は2参照)。
また、良好な低燃費性と良好なウェット性能とを同時にタイヤに与えるゴム組成物を得る方法として、補強用充填材として、これまで一般的に用いられてきたカーボンブラックに変えてシリカ等の無機充填材を用いる方法がすでに行われている。
しかしながら、シリカは、その表面官能基であるシラノール基の水素結合により粒子同士が凝集する傾向にあり、ゴム中へのシリカ粒子の分散が不十分になるため、通常は、シリカ表面のシラノール基がアルコキシシランと縮合反応することを利用して種々のアルコキシシランが、シリカ表面処理剤あるいはカップリング剤として用いられている。例えば、最近シランカップリング剤として、アシルチオアルキルトリアルコキシシランなどの保護化メルカプトシランが開発されている(例えば、特許文献3参照)。この保護化メルカプトシランは、ゴム組成物中へのシリカの分散性を良くし、作業性を向上させると共に、転がり抵抗性能も向上させる作用を有している。
特公平6−57767号公報 国際公開2003/029299号パンフレット 特表2001−505225号公報
本発明は、このような状況下で、より一層低発熱性の向上したタイヤを与えるゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いてなる、前記性状を有するタイヤ、特に空気入りタイヤを提供することを課題とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の変性官能基を重合末端に有する変性共役ジエン系重合体を所定の割合で含むゴム成分と、無機充填材を所定の割合で含む充填材と、特定構造のシランカップリング剤とを、それぞれ所定の割合で含有するゴム組成物により、その課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1](A)(a−1)共役ジエン系重合体の重合活性末端に、加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基と、充填材表面へのポリマー濃縮能のある基とを有する変性剤Iの少なくとも1種を反応させてなる変性共役ジエン系重合体10〜100質量%と、(a−2)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム90〜0質量%とからなるゴム成分と、その100質量部に対して、(B)無機充填材5〜200質量部を含み、かつ(C)前記無機充填材と結合可能な原子又は官能基と、チオエステル基及び/又はジチオエステル基と、を少なくとも有するシランカップリング剤を、前記(B)成分中の無機充填材に対して1〜25質量%の割合で含むことを特徴とするゴム組成物、
[2]変性剤Iにおいて、加水分解処理後の酸性官能基における、下記で定義されるpKa値が13未満である、上記[1]に記載のゴム組成物、
<pKa値>
pKa値は、酸解離定数Kaの逆数の対数値であり、変性剤Iを加水分解した後の酸性官能基にプロトンが結合した化合物についてのpKa値とする。
[3]変性剤Iが、充填材表面へのポリマー濃縮能のある基として、加水分解によりシラノール基を生成するケイ素含有基を有する、上記[1]又は[2]に記載のゴム組成物、
[4]加水分解によりシラノール基を生成するケイ素含有基が、ケイ素原子に直接結合するハロゲン原子及び/又はヒドロカルビロキシ基を有するケイ素含有基である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のゴム組成物、
[5]加水分解により、ハロゲン原子及び/又はヒドロカルビロキシ基の10%以上がシラノール基を生成する、上記[4]に記載のゴム組成物、
[6](a−1)変性共役ジエン系重合体が、共役ジエン系重合体の重合活性末端に変性剤Iを反応させた後、加水分解処理して得られたものである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のゴム組成物、
[7](a−1)変性共役ジエン系重合体が、共役ジエン系重合体の重合活性末端に変性剤Iを反応させた後、加水分解処理の前又は後に、縮合促進剤の存在下に縮合反応処理して得られたものである、上記[6]に記載のゴム組成物、
[8]変性共役ジエン系重合体が、重合末端に、シラノール基と共に酸性官能基を持つ変性基を有する、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のゴム組成物、
[9]加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基が、加水分解処理前において、エステル基、チオエステル基(S−酸エステル基及びO−酸エステル基の双方を含む。)、ジチオエステル基、カルボン酸無水物残基、チオカルボン酸無水物残基、カルボン酸チオ無水物残基、ジチオカルボン酸無水物残基、ジカルボン酸無水物残基、ジ(チオカルボン酸)無水物残基及びチオエーテル基の中から選ばれる少なくとも一種の基である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のゴム組成物、
[10]加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基を加水分解処理した後の酸性官能基が、カルボキシ基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、ジカルボン酸残基、ジ(チオカルボン酸)残基及びメルカプト基の中から選ばれる少なくとも一種の基である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のゴム組成物、
[11](a−1)変性共役ジエン系重合体の25℃におけるバウンドラバー量が40質量%以上である、上記[1]〜[10]のいずれかに記載のゴム組成物、
<バウンドラバー量の測定方法>
変性共役ジエン系重合体100質量部と湿式シリカ(BET法比表面積:205±10m2/g)60質量部とを混練室内容積2リットルの密閉式混練装置を使用して、{(混練されているゴム組成物の体積/混練室内容積)×100}が60%にて混練りし、最高混練温度160℃に達した時点で、当該ゴム混練り物を密閉式混練装置から排出して、バウンドラバー量測定用ゴム組成物Mを得る。このゴム組成物M0.2gを1mm角に裁断して質量を測定した後、トルエン25mL中に加えて、25℃にて48時間放置した後、ガラス繊維フィルターでろ過し、トルエン不溶分を分離した後、分離したトルエン不溶分を25℃にて真空乾燥した後秤量し、下記式によりバウンドラバー量(%)を求める。
バウンドラバー量(%)={(トルエン不溶分の質量―ゴム組成物M中の湿式シリカの質量)/(ゴム組成物Mの質量―ゴム組成物M中の湿式シリカの質量)}×100
但し、シリカのBET法比表面積は、ISO 5794/1に準拠して測定する。
[12](C)シランカップリング剤における無機充填材と結合可能な官能基が、アルコキシシリル基である、上記[1]〜[11]のいずれかに記載のゴム組成物、
[13](C)シランカップリング剤が、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物である、上記[1]〜[12]のいずれかに記載のゴム組成物、
Figure 0005703066
[式中、R1は−Cl、−Br、R6O−、R6C(=O)O−、R67C=NO−、R67N−又は−(OSiR67m(OSiR567)(ただし、R6及びR7は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)、R2はR1、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R3はR1、R2又は−[O(R8O)a0.5−基(ただし、R8は炭素数1〜18のアルキレン基、aは1〜4の整数である。)、R4は炭素数1〜18の二価の炭化水素基、R5は炭素数1〜18の一価の炭化水素基を示し、x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。]
Figure 0005703066
[式中R9は炭素数1〜20の直鎖もしくは、分岐、環状のアルキル基であり、Gはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、Zaはそれぞれ独立して二つの珪素原子と結合することのできる基で、[−O−]0.5、[−O−G−]0.5又は[−O−G−O−] 0.5から選ばれる基であり、Zbはそれぞれ独立して二つの珪素原子と結合することのできる基で、 [−O−G−O−] 0.5で表される官能基であり、Zcはそれぞれ独立して−Cl、−Br、−OR10、R10C(=O)O−、R1011C=NO−、R1011N−,R10−,HO−G−O−で表される官能基であり、R,Gは上記表記と一致する。
m、n、u、v、wはそれぞれ独立して1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、かつ(u/2)+v+2w=2又は3である。
A部が複数である場合、複数のA部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なっていても良く、Bが複数である場合、複数のB部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なっても良い。]
[14]一般式(2)で表されるシランカップリング剤が、下記式(2−a)、(2−b)及び(2−c)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種である、上記[13]に記載のゴム組成物、
Figure 0005703066
[式中、Lはそれぞれ独立して、炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示し、xは1〜20の数、yは0〜20の数を示す。]
[15](B)無機充填材がシリカである、上記[1]〜[14]のいずれかに記載のゴム組成物、
[16](a−1)変性共役ジエン系重合体が、変性芳香族ビニル−共役ジエン共重合体である、上記[1]〜[15]のいずれかに記載のゴム組成物、
[17]重合活性末端を有する共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物一種以上、又は共役ジエン化合物一種以上と芳香族ビニル化合物とをアニオン重合させて得られたものである、上記[1]〜[16]のいずれかに記載のゴム組成物、
[18]縮合促進剤を乾式配合してなる、上記[1]〜[17]のいずれかに記載のゴム組成物、
[19]上記[1]〜[18]のいずれかに記載のゴム組成物を部材に用いたことを特徴とするタイヤ、及び
[20]部材がトレッドである、上記[19]に記載のタイヤ、
を提供するものである。
本発明によれば、より一層低発熱性の向上したタイヤ、特に空気入りタイヤを与えることができ、かつ揮発性有機化合物(VOC)の発生を抑制したゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いてなる、前記性状を有するタイヤ、特に空気入りタイヤを提供することができる。
まず、本発明のゴム組成物について説明する。
本発明のゴム組成物は、(A)(a−1)共役ジエン系重合体の重合活性末端に、加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基と、充填材表面へのポリマー濃縮能のある基とを有する変性剤Iの少なくとも1種を反応させてなる変性共役ジエン系重合体10〜100質量%と、(a−2)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム90〜0質量%とからなるゴム成分と、その100質量部に対して、(B)無機充填材5〜200質量部を含み、かつ(C)前記無機充填材と結合可能な原子又は官能基と、チオエステル基及び/又はジチオエステル基と、を少なくとも有するシランカップリング剤を、前記(B)成分中の無機充填材に対して1〜25質量%の割合で含むことを特徴とする。
ここで、チオエステル基及びジチオエステル基は、いずれもチオカルボン酸エステル基であり、チオエステル基とは、チオ酸(S−酸)のエステル基をいい、ジチオエステル基とは、ジチオ酸のエステル基をいう。
[(A)ゴム成分]
((a−1)変性共役ジエン系重合体)
本発明のゴム組成物における(A)ゴム成分の一つを構成する(a−1)変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン系重合体の重合活性末端に、加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基と、充填材表面へのポリマー濃縮能のある基とを有する変性剤Iの少なくとも1種を反応させてなる重合体である。
<重合活性末端を有する共役ジエン系重合体>
当該変性共役ジエン系重合体の製造に用いられる重合活性末端を有する共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物、又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とを、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてアニオン重合により重合したもの、又はランタン系列希土類金属化合物を含む重合開始剤を用いて配位重合により重合したものであることが好ましい。
重合方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであっても良い。
前記共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、二種以上組み合わせて用いても良いが、これらの中で、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
また、芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロへキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良いが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。
本発明において、重合活性末端を有する共役ジエン系重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体又はスチレン−イソプレン−ブタジエン三元共重合体であることが好ましく、これらの中で、ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体(以下、「SBR」と略称することがある。)が特に好ましい。
これらの重合活性末端を有する共役ジエン系重合体は、該重合活性末端に、変性剤Iを反応させて、末端に所定の変性基を形成させるには、前記共役ジエン系重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性又は擬似リビング性を有するものであることが好ましい。
《アニオン重合》
上述のアニオン重合の開始剤として用いられる有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性末端である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端にリチウムアミド化合物由来の窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性末端である共役ジエン系重合体が得られる。
前記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロベンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられるが、これらの中で、特にn−ブチルリチウムが好適である。
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド等の環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、第2アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
前記有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶媒、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶媒中において、共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の重合活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる。
また、有機リチウム化合物を重合開始剤として用いた場合には、前述のランタン系列希土類金属化合物を含む触媒を用いた配位重合に比べ、活性末端を有する共役ジエン重合体のみならず、活性末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体も効率よく得ることができる。
前記炭化水素系溶媒としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらは単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良い。
また、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。尚、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含量は55質量%以下の範囲が好ましい。
また、所望により用いられるランダマイザーとは共役ジエン系重合体のミクロ構造の制御、例えばスチレン−ブタジエン共重合体におけるブタジエン部分の1,2結合、イソプレン重合体における3,4結合の増加等、あるいは共役ジエン一芳香族ビニル共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えばスチレン−ブタジエン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化等の作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピぺリジノエタン等のエーテル類及び三級アミン類等を挙げることができる。また、カリウムt−アミレート、カリウムt−ブトキシド等のカリウム塩類、ナトリウムt−アミレート等のナトリウム塩類も用いることができる。
これらのランダマイザーは、一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
この有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてアニオン重合させることにより得られる重合活性末端を有する共役ジエン系重合体としては、共役ジエン化合物一種以上と芳香族ビニル化合物との共重合体が好ましく、スチレン−ブタジエン共重合体がより好ましい。
《配位重合》
一方、ランタン系列希土類金属化合物を含む重合開始剤を用いて、配位重合で当該重合活性末端を有する共役ジエン系重合体を製造する場合は、下記(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分を組み合わせて用いるのが更に好ましい。
前記配位重合に用いる(イ)成分は、希土類金属化合物、及び希土類金属化合物とルイス塩基との錯化合物等から選択される。ここで、希土類金属化合物としては、希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩等が挙げられ、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコール等が挙げられる。前記希土類金属化合物の希土類元素としては、ランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウムが好ましく、これらの中でも、ネオジムが特に好ましい。また、(イ)成分として、具体的には、ネオジムトリ−2−エチルヘキサノエート,それとアセチルアセトンとの錯化合物,ネオジムトリネオデカノエート,それとアセチルアセトンとの錯化合物,ネオジムトリn−ブトキシド等が挙げられる。これら(イ)成分は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いても良い。
前記配位重合に用いる(ロ)成分は、有機アルミニウム化合物から選択される。該有機アルミニウム化合物として、具体的には、式:R12 3Alで表されるトリヒドロカルビルアルミニウム化合物、式:R12 2AlH又はR12AlH2で表されるヒドロカルビルアルミニウム水素化物(式中、R12は、それぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基である)、炭素数1〜30の炭化水素基を持つヒドロカルビルアルミノキサン化合物等が挙げられる。該有機アルミニウム化合物として、具体的には、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムヒドリド、アルキルアルミニウムジヒドリド、アルキルアルミノキサン等が挙げられる。これらの化合物は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いても良い。なお、(ロ)成分としては、アルミノキサンと他の有機アルミニウム化合物とを併用するのが好ましい。
前記配位重合に用いる(ハ)成分は、加水分解可能なハロゲンを有する化合物又はこれらとルイス塩基の錯化合物;三級アルキルハライド、ベンジルハライド又はアリルハライドを有する有機ハロゲン化物;非配位性アニオン及び対カチオンからなるイオン性化合物等から選択される。かかる(ハ)成分として、具体的には、アルキルアルミニウム二塩化物、ジアルキルアルミニウム塩化物、四塩化ケイ素、四塩化スズ、塩化亜鉛とアルコール等のルイス塩基との錯体、塩化マグネシウムとアルコール等のルイス塩基との錯体、塩化ベンジル、塩化t−ブチル、臭化ベンジル、臭化t−ブチル、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。これら(ハ)成分は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いても良い。
前記重合開始剤は、前記の(イ),(ロ),(ハ)成分以外に、必要に応じて、重合用単量体と同じ共役ジエン化合物及び/又は非共役ジエン化合物を用いて予備的に調製しても良い。また、(イ)成分又は(ハ)成分の一部又は全部を不活性な固体上に担持して用いても良い。前記各成分の使用量は、適宜設定することができるが、通常、(イ)成分は単量体100g当たり0.001〜0.5ミリモル(mmol)である。また、モル比で(ロ)成分/(イ)成分は5〜1,000、(ハ)成分/(イ)成分は0.5〜10が好ましい。
前記配位重合における重合温度は、−80〜150℃の範囲が好ましく、−20〜120℃の範囲が更に好ましい。また、配位重合に用いる溶媒としては、上述のアニオン重合で例示した反応に不活性な炭化水素溶媒を用いることができ、反応溶液中の単量体の濃度もアニオン重合の場合と同様である。更に、配位重合における反応圧力もアニオン重合の場合と同様であり、反応に使用する原材料も、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を実質的に除去したものが望ましい。
このランタン系列希土類元素化合物を含む重合開始剤を用いて配位重合させることにより得られる重合活性末端を有する共役ジエン系重合体としては、共役ジエン化合物一種以上の単独重合体又は共重合体が好ましく、ポリブタジエンがより好ましい。
当該重合活性末端を有する共役ジエン系重合体としては、有機アルカリ金属化合物、特にアルキルリチウムを用いてアニオン重合してなるものが好ましい。
<変性剤I>
本発明において、(a−1)成分である変性共役ジエン系重合体は、前述のようにして得られた重合活性末端を有する共役ジエン系重合体の該重合活性末端に、変性剤Iを反応させることにより、得られた重合体である。
当該変性剤Iとしては、加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基と、充填材表面へのポリマー濃縮能のある基とを有する化合物が用いられる。
この変性剤Iとしては、加水分解処理後の酸性官能基における、下記で定義されるpKa値が13未満であるものが好ましい。
<pKa値>
pKa値は、酸解離定数Kaの逆数の対数値であり、変性剤Iを加水分解した後の酸性官能基にプロトンが結合した化合物についてのpKa値とする。
当該変性剤Iにおいて、加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基を加水分解処理した後の酸性官能基が、カルボキシ基、チオカルボキシ基(S−酸基及びO−酸基の双方を含む。)、ジチオカルボキシ基、ジカルボン酸残基、ジ(チオカルボン酸)残基及びメルカプト基の中から選ばれる少なくとも一種の基であることが好ましい。
換言すれば、当該変性剤Iにおいて、加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基が、加水分解処理前において、エステル基、チオエステル基(S−酸エステル基及びO−酸エステル基の双方を含む。)、ジチオエステル基、カルボン酸無水物残基、チオカルボン酸無水物残基、カルボン酸チオ無水物残基、ジチオカルボン酸無水物残基、ジカルボン酸無水物残基、ジ(チオカルボン酸)無水物残基及びチオエーテル基の中から選ばれる少なくとも一種の基であることが好ましい。
また、変性剤Iにおいて、充填材表面へのポリマー濃縮能のある基としては、加水分解によりシラノール基を生成するケイ素含有基を好ましく挙げることができる。この加水分解によりシラノール基を生成するケイ素含有基としては、ケイ素原子に直接結合するハロゲン原子及び/又はヒドロカルビロキシ基を有するケイ素含有基が好ましく、さらに、加水分解により、前記ハロゲン原子及び/又はヒドロカルビロキシ基の10%以上がシラノール基を生成するケイ素含有基が好ましい。なお、シラノール生成率の測定方法については、後で詳述する。
当該変性剤Iとしては、例えば下記一般式(3)又は一般式(4)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005703066
前記一般式(3)中、A1、A2及びA3は、それぞれ独立に炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基、ハロゲン原子及び炭素数1〜20のヒドロカルビル基から選ばれる官能基であり、A1、A2及びA3の少なくとも2以上が炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基及びハロゲン原子から選ばれる官能基である。R13は炭素数1〜20の二価の炭化水素基であり、Xは、加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基である。
Figure 0005703066
前記一般式(4)中、A1、A3、R13及びXは、前記一般式(3)と同じである。
なお、一般式(3)及び一般式(4)のA1、A2及びA3における、炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基及びハロゲン原子から選ばれる官能基の内、炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基が好ましい。また、A1、A2及びA3における、炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基及びハロゲン原子の合計の10%以上が、加水分解処理により、Si原子と共にシラノール基を生成することが好ましい。
すなわち、当該変性共役ジエン系重合体が重合末端にシラノール基を有することにより、ゴム組成物中の無機充填材が特にシリカである場合、該シリカとの反応性がより高くなり、ゴム組成物中のシリカの分散性が向上し、ゴム組成物の低発熱性が向上するという大きな効果を奏する。また、シラノール基は揮発性有機化合物(VOC)を発生しないので、作業環境上好ましい。
前記一般式(3)及び一般式(4)のA1、A2及びA3における、炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはアルケニロキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、炭素数7〜20のアラルキロキシ基等が挙げられるが、これらの中で、良好な反応性を有する観点から、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましい。このアルコキシ基を構成するアルキル基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであっても良い。このようなアルコキシ基としては、例えばエトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、各種ペントキシ基、各種ヘキソキシ基、各種ヘプトキシ基、各種オクトキシ基、各種デシロキシ基、シクロペチロキシ基、シクロヘキシロキシ基などを挙げることができ、これらの中で、反応性の観点から、炭素数2〜6のアルコキシ基が好ましく、特にエトキシ基が好ましい。A1、A2及びA3は同一であっても異なっていても良い。
また、前記一般式(3)及び一般式(4)のA1、A2及びA3におけるハロゲン原子としては、例えば塩素原子や臭素原子が挙げられる。
前記一般式(3)及び一般式(4)において、R13のうちの炭素数1〜20の二価の炭化水素基としては、変性剤の性能の観点から、炭素数1〜20のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜10のアルカンジイル基がより好ましく、炭素数2〜6のアルカンジイル基がさらに好ましい。
炭素数2〜6のアルカンジイル基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであっても良く、例えばエチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,2−プロパンジイル基、各種ブタンジイル基、各種ペンタンジイル基、各種ヘキサンジイル基などを挙げることができるが、これらの中で直鎖状のもの、例えばエチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基などが挙げられ、特に1,3−プロパンジイル基が好ましい。
前記一般式(3)及び一般式(4)において、Xの内の加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるものの加水分解処理前の官能基としては、エステル基、チオエステル基(S−酸エステル基及びO−酸エステル基の双方を含む。)、ジチオエステル基、カルボン酸無水物残基、チオカルボン酸無水物残基、カルボン酸チオ無水物残基、ジチオカルボン酸無水物残基、ジカルボン酸無水物残基、ジ(チオカルボン酸)無水物残基、チオエーテル基などを挙げることができる。
ここで、前記カルボン酸無水物残基、チオカルボン酸無水物残基、カルボン酸チオ無水物残基及びジチオカルボン酸無水物残基は、加水分解処理後には、それぞれカルボン酸残基、チオカルボン酸(O−酸)残基、チオカルボン酸(S−酸)残基及びジチオカルボン酸残基となり、前記ジカルボン酸無水物残基及びジ(チオカルボン酸)無水物残基は、加水分解処理後には、それぞれジカルボン酸残基、ジ(チオカルボン酸)残基となる。前記エステル基は、加水分解処理後には、カルボキシ基となり、チオエステル基は、加水分解処理後には、同様にチオカルボキシ基(S−酸基及びO−酸基の双方を含む。)となり、ジチオエステル基は、加水分解処理後には、ジチオカルボキシ基となり、チオエーテル基は、加水分解処理後には、メルカプト基となる。
これらの加水分解処理後の官能基は、いずれも酸性官能基であり、そのpKa値は、前述の定義において、13未満であることが好ましい。
変性剤Iを加水分解した後の酸性官能基にプロトンが結合した化合物についてのpKa値は、「化学便覧基礎編改訂5版」に記載されたデータを用いる。但し、「化学便覧基礎編改訂5版」に記載のない化合物については、水溶液中、温度25℃で平沼産業(株)製自動滴定装置COM−1600にてpKa値を測定する。
前記一般式(3)で表される変性剤Iの具体例としては、3−[2−(ジエトキシメチルシリル)エチル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−[2−(ジエトキシエチルシリル)エチル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−[2−(ジプロポキシメチルシリル)エチル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−[2−(ジプロポキシエチルシリル)エチル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−[3−(ジエトキシメチルシリル)プロピル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−[3−(ジエトキシエチルシリル)プロピル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−[3−(ジプロポキシメチルシリル)プロピル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオン、3−[3−(ジプロポキシエチルシリル)プロピル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオン、トリメチルシリル4−(メチルジエトキシシリル)ブタノエート、トリメチルシリル4−(エチルジエトキシシリル)ブタノエート、トリメチルシリル4−(メチルジプロポキシシリル)ブタノエート、トリメチルシリル4−(エチルジプロポキシシリル)ブタノエート、3−(トリプロポキシシリル)プロピル(トリメチルシリル)スルフィド、3−(トリプロポキシシリル)プロピル(トリメチルシリル)スルフィド、3−(トリエトキシシリル)プロピル(トリメチルシリル)スルフィド、3−(トリエトキシシリル)プロピル(トリメチルシリル)スルフィド、2−(トリプロポキシシリル)エチル(トリメチルシリル)スルフィド、2−(トリプロポキシシリル)エチル(トリメチルシリル)スルフィド、2−(トリエトキシシリル)エチル(トリメチルシリル)スルフィド、2−(トリエトキシシリル)エチル(トリメチルシリル)スルフィドなどが挙げられる。
また、前記一般式(4)で表される変性剤Iの具体例としては、3−[2−(ジエトキシメチルシリル)エチル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオンの二量体、3−[2−(ジエトキシエチルシリル)エチル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオンの二量体、3−[2−(ジプロポキシメチルシリル)エチル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオンの二量体、3−[2−(ジプロポキシエチルシリル)エチル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオンの二量体、3−[3−(ジエトキシメチルシリル)プロピル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオンの二量体、3−[3−(ジエトキシエチルシリル)プロピル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオンの二量体、3−[3−(ジプロポキシメチルシリル)プロピル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオンの二量体、3−[3−(ジプロポキシエチルシリル)プロピル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオンの二量体などが挙げられる。
前記一般式(3)及び一般式(4)で表される変性剤Iの具体例は、有機金属化合物を重合開始剤とするアニオン重合で得られる、重合活性末端を有する共役ジエン系重合体の変性剤として好適であるが、ランタン系列希土類元素を含む重合開始剤を用いて配位重合することにより得られる、重合活性末端を有する共役ジエン系重合体の変性剤としても用いることができる。
<変性共役ジエン系重合体の製造>
本発明において、(a−1)成分の変性共役ジエン系重合体は、前述したアニオン重合又は配位重合により得られた、重合活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、前述した変性剤Iを反応させた後、水の存在下、酸性、中性又はアルカリ性の条件で加水分解処理して得られるが、所望により、共役ジエン系重合体の重合活性末端に変性剤Iを反応させた後、水の存在下、酸性、中性又はアルカリ性の条件で加水分解処理する前又は後に、縮合促進剤の存在下に縮合反応処理して得られたものであっても良い。
前記の変性剤Iを反応させる変性反応工程、その後加水分解処理する加水分解工程及び所望により縮合反応処理する縮合反応工程を以下に詳述する。
《変性反応工程》
この変性反応工程においては、重合活性末端有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、上述の一般式(3)により表わされる変性剤Iを、該共役ジエン系重合体の活性末端に対して、好ましくは化学量論的量又はそれより過剰に加え、該重合体の活性末端と反応させる。
本発明における変性反応工程は、通常、重合反応と同じ温度、圧力条件で実施される。
《加水分解工程》
この加水分解工程においては、変性反応工程又は所望による縮合反応工程終了後、水の存在下、酸性、中性又はアルカリ性の条件で加水分解反応が行われる。これにより、変性共役ジエン系重合体に結合した加水分解性官能基が効率よく加水分解され、シラノール基と、酸性官能基とが変性共役ジエン系重合体の末端に生成する。
この加水分解反応に用いる水の量は、開始剤のLiなどのモル量より過剰なモル量、例えば2〜4倍のモル量であることが好ましい。加水分解時間は、通常10分〜数時間程度である。
なお、アルカリ性条件で加水分解反応を行う場合には、塩基性化合物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属、好ましくは水酸化ナトリウムを加えることが望ましく、酸性条件で加水分解反応を行う場合には、酸性化合物として、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、酢酸、ギ酸などのカルボン酸、四塩化ケイ素などを加えることが望ましい。
上述のように、(a−1)変性共役ジエン系重合体が、重合末端に、シラノール基と酸性官能基とを持つ変性基を有することが好ましい。
《縮合反応工程》
本発明においては、共役ジエン系重合体の重合活性末端に変性剤Iを反応させた後、加水分解処理の前又は後に、縮合促進剤の存在下に縮合反応処理する縮合反応工程を設けることができる。
縮合反応で用いる縮合促進剤は、変性反応後、及び縮合反応開始前に添加することが好ましい。変性反応前に添加した場合、活性末端との直接反応が起こり、活性末端に所望の変性基が導入されない場合がある。また、縮合反応開始後に添加した場合、縮合促進剤が均一に分散せずその触媒性能が低下する場合がある。
縮合促進剤の添加時期としては、変性反応工程と加水分解工程との間に縮合反応工程を設ける場合には、通常変性反応開始5分〜5時間後、好ましくは変性反応開始15分〜1時間後である。加水分解工程後に縮合反応工程を設ける場合には、通常加水分解反応開始5分〜5時間後、好ましくは10分〜2時間後である。
縮合促進剤としては、金属元素を含むものが好ましく、周期律表の2族〜15族に属する金属の少なくとも一種を含有する化合物であることがより好ましい。
前記金属元素を含む縮合促進剤としては、Ti、Sn、Bi、Zr及びAlの中から選ばれる少なくとも一種を含み、かつ前記金属のアルコキシド、カルボン酸塩又はアセチルアセトナート錯塩であるものが好適である。
Tiを金属成分として含む縮合促進剤としては、チタン(Ti)のアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩が好ましく用いられる。
具体的には、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレエート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテネート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテネート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ステアレート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)などが挙げられる。
なかでも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好ましい。
Snを金属成分として含む縮合促進剤としては、Sn(OCOR312で表される酸化数2のスズ化合物(式中、R31は炭素数2〜19のアルキル基である)、R32 xSnA5 y1 4-y-xで表される酸化数4のスズ化合物(式中、R32は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、xは1〜3の整数、yは1又は2、A5は炭素数2〜30のカルボキシ基、炭素数5〜20のβ−ジカルボニル基、炭素数3〜20のヒドロカルビルオキシ基、及び炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で三置換されたシロキシ基から選ばれる基、B1はヒドロキシル基又はハロゲンである)が好ましい。
より具体的には、前記スズのカルボン酸塩としては、二価のスズのジカルボン酸塩や、四価のジヒドロカルビルスズのジカルボン酸塩(ビス(ヒドロカルビルジカルボン酸)塩を含む)、ビス(β−ジケトネート)、アルコキシハライド、モノカルボン酸塩ヒドロキシド、アルコキシ(トリヒドロカルビルシロキシド)、アルコキシ(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)、ビス(トリヒドロカルビルシロキシド)、ビス(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)、等を好適に用いることができる。スズに結合したヒドロカルビル基としては炭素数が4以上のものが望ましく、炭素数4から炭素数8のものが特に好ましい。
また、Zr、Bi、又はAlを金属成分として含む縮合促進剤(例えば、これら金属のアルコキシド、カルボン酸、又はアセチルアセトナート錯塩)としては、下記(a)〜(e)が挙げられる。
(a)ビスマスのカルボン酸塩
(b)ジルコニウムのアルコキシド
(c)ジルコニウムのカルボン酸塩
(d)アルミニウムのアルコキシド
(e)アルミニウムのカルボン酸塩
具体的には、(a)として、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテネート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス等が挙げられる。
(b)及び(c)として、テトラエトキシジルコニウム、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラsec−ブトキシジルコニウム、テトラtert−ブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルヘキソキシ)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテネート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテネート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム等が挙げられる。
(d)及び(e)として、トリエトキシアルミニウム、トリn−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、トリtert−ブトキシアルミニウム、トリ(2−エチルヘキソキシ)アルミニウム、アルミニウムジブトキシステアレート、アルミニウムジブトキシアセチルアセトネート、アルミニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテネート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウム等が挙げられる。
これらの中で、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、トリイソプロポキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が好ましい。
これらの縮合促進剤の中では、Tiを金属原子として含むものが好ましい。縮合促進剤の使用量としては、該縮合促進剤のモル数が、反応系内に存在するヒドロカルビルオキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10となることが好ましく、0.5〜5が特に好ましい。縮合促進剤の使用量を上記範囲にすることによって縮合反応が効率よく進行する。
本発明における縮合反応は、上述の縮合促進剤と、水蒸気又は水の存在下で進行する。水蒸気の存在下の場合として、スチームストリッピングによる脱溶媒処理が挙げられ、スチームストリッピング中に縮合反応が進行する。この場合、有機溶媒中で、縮合促進剤の存在下に縮合反応工程を経た後、スチームストリッピングによる脱溶媒処理が施される。
また、縮合反応を有機溶媒中に水が液滴として分散している系又は水溶液中で行っても良い。
縮合反応時の温度は20〜180℃が好ましく、さらに好ましくは30〜170℃、特に好ましくは50〜170℃である。縮合反応時の温度を前記範囲にすることによって、縮合反応を効率よく進行完結することができ、得られる変性共役ジエン系重合体の経時変化によるポリマーの老化反応などによる品質の低下などを抑えることができる。
なお、縮合反応時間は、好ましくは5分〜10時間、より好ましくは15分〜5時間程度である。縮合反応時間を前記範囲にすることによって縮合反応を円滑に完結することができる。
縮合反応時の反応系の圧力は、好ましくは0.01〜20MPa、より好ましくは0.05〜10MPaである。
縮合反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても、多段連続式反応器などの装置を用いて連続式で行っても良い。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
上述の加水分解工程、又は縮合反応工程と加水分解工程とを終了後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液等を重合反応系に加えて、重合反応を停止する。
その後、水蒸気を吹き込んで溶媒の分圧を下げるスチームストリッピング等の脱溶媒処理や真空乾燥処理を経て当該変性共役ジエン系重合体が得られる。
前記変性反応工程において、共役ジエン系重合体の重合末端に変性剤Iを反応させて導入された変性基においては、前述した加水分解工程や、スチームストリッピングなどの水蒸気を用いる脱溶媒処理工程において、シラノール基が生成すると共に、ジカルボン酸の酸無水物残基やジチオカルボン酸の酸無水物残基は、それぞれジカルボン酸残基やジチオカルボン酸残基に、エステル基やジチオエステル基は、それぞれカルボキシ基やチオカルボキシ基になるなど、酸性官能基が生成する。
このような加水分解による、保護基を脱離させる操作や、チオエポキシ基の開環、あるいはジ(チオ)カルボン酸無水物の開環、(チオ)エステルの分解などの操作は、変性反応工程終了から、脱溶媒して乾燥ポリマーとなるまでのいずれの段階で行っても良い。
このようにして得られた(a−1)成分の変性共役ジエン系重合体は、重合末端に変性剤として、酸性官能基を有すると共に、充填材表面へのポリマー濃縮能のあるシラノール基などを有するケイ素含有基が導入されたものとなる。
本発明に係る(a−1)変性共役ジエン系重合体は、上述のアニオン重合又は配位重合により得られた共役ジエン系重合体の重合活性末端に、前記の変性剤Iの少なくとも1種を反応させてなる変性共役ジエン系重合体であって、変性芳香族ビニル−共役ジエン共重合体又は変性共役ジエン重合体が好ましく、変性芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が特に好ましい。変性芳香族ビニル−共役ジエン共重合体としては、変性スチレン−ブタジエン共重合体(以下、変性SBRと略称することがある。)が好ましく、変性共役ジエン重合体としては、変性ポリブタジエンが好ましい。
本発明において、充填材表面へのポリマー濃縮能の程度については、当該変性共役ジエン系重合体の25℃におけるバウンドラバー量で表すことができる。この25℃におけるバウンドラバー量は40質量%以上であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。
バウンドラバー量(%)は以下のようにして測定される。
変性共役ジエン系重合体100質量部と湿式シリカ(BET法比表面積:205±10m2/g、東ソウ・シリカ株式会社製、商品名「ニプシルAQ」)60質量部とを混練室内容積2リットルの密閉式混練装置を使用して、{(混練されているゴム組成物の体積/混練室内容積)×100}が60%にて混練りし、最高混練温度160℃に達した時点で、当該ゴム混練り物を排出して、バウンドラバー量測定用ゴム組成物Mを得る。
このゴム組成物M0.2gを1mm角に裁断して質量を測定した後、トルエン25mL中に加えて、25℃にて48時間放置した後、ADVANTEC社製ガラス繊維フィルターでろ過し、トルエン不溶分を分離した後、分離したトルエン不溶分を25℃にて真空乾燥した後秤量し、下記式によりバウンドラバー量を求める。
バウンドラバー量(%)={(トルエン不溶分の質量―ゴム組成物M中の湿式シリカの質量)/(ゴム組成物Mの質量―ゴム組成物M中の湿式シリカの質量)}×100
なお、シリカのBET法比表面積は、ISO 5794/1に準拠して測定する。
((a−2)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム)
本発明のゴム組成物における(A)ゴム成分のもう一つの成分を構成する(a−2)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムにおいて、ジエン系合成ゴムとしては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエン−ポリイソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン三元共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。
この(a−2)成分は、一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明のゴム組成物においては、低発熱性及び耐摩耗性の観点から、前記(a−1)変性共役ジエン系重合体と、(a−2)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムとからなる(A)ゴム成分は、(a−1)成分10〜100質量%と(a−2)成分90〜0質量%とからなることを要し、(a−1)成分30〜100質量%と(a−2)成分70〜0質量%とからなることが好ましく、(a−1)成分50〜100質量%と(a−2)成分50〜0質量%とからなることが更に好ましい。
なお、(A)ゴム成分において、(a−2)成分である天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムを必須成分として用いる場合は、(a−1)成分10〜95質量%と(a−2)成分90〜50質量%とからなることが好ましく、(a−1)成分30〜95質量%と(a−2)成分70〜5質量%とからなることがより好ましく、(a−1)成分50〜95質量%と(a−2)成分50〜5質量%とからなることが更に好ましい。
[(B)無機充填材]
本発明のゴム組成物においては、(B)成分として無機充填材を含有する。この(B)成分の無機充填材は、本発明の効果を好適に発揮させる観点から、ゴム成分100質量部に対して、5〜200質量部を含むことを要し、10〜200質量部を含むことが好ましく、10〜150質量部を含むことが更に好ましく、10〜120質量部を含むことが特に好ましい。
本発明のゴム組成物においては、無機充填材として、シリカや、シリカ以外の無機系補強性充填材を用いることができる。
<シリカ>
本発明において、無機充填材として用いるシリカとしては市販のあらゆるものが使用でき、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。シリカのBET法比表面積としては100m2/g以上のものが好ましく、より好ましくは150m2/g以上、特に好ましくは170m2/g以上である。このようなシリカとしては東ソーシリカ社製、商品名「ニプシルAQ」(BET法比表面積 =205m2/g)、「ニプシルKQ」、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」(BET法比表面積 =175m2/g)等の市販品を用いることができる。
<シリカ以外の無機系補強性充填材>
シリカ以外の無機系補強性充填材としては、下記一般式(5)で表される化合物を用いることができる。
dM3・xSiOy・zH2O ・・・(5)
ここで、一般式(5)中、M3は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、d、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。
尚、一般式(5)において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。
前記一般式(5)で表わされる無機充填材としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。また、前記一般式(5)中のM3がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
一般式(5)で表されるこれらの無機化合物は、単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。これらの無機系補強性充填材の平均粒径は、混練作業性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能のバランスなどの観点から、0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜5μmの範囲がより好ましい。
本発明においては、無機充填材としては、特にシリカが好適である。
(カーボンブラック)
本発明のゴム組成物は、所望により、上述の無機充填材に加えてを含有しても良い。このカーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えばGPF、FEF、SRF、HAF、N339、IISAF、ISAF、SAF等が用いられ、窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)が20〜250m2/gであることが好ましい。このカーボンブラックは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明において、カーボンブラックは、無機充填材には含まれない。
本発明のゴム組成物が充填材全量中、(B)無機充填材として、好ましくはシリカ5〜95質量%と、カーボンブラック95〜5質量%と、を含むことにより、低発熱性及び耐摩耗性の向上したゴム組成物となる。
[(C)シランカップリング剤]
本発明のゴム組成物において、(C)成分として用いるシランカップリング剤は、前述した(B)無機充填材と結合可能な原子又は官能基と、チオエステル基及び/又はジチオエステル基(すなわち保護されたメルカプト基)と、を少なくとも有する化合物である。
前記の無機充填材と結合可能な官能基としては、アルコキシシリル基を好ましく挙げることができる。
このような(C)シランカップリング剤としては、例えば下記の(C−1)化合物及び/又は(C−2)化合物を用いることができる。
((C−1)化合物)
当該(C−1)化合物としては、下記一般式(1)
Figure 0005703066
[式中、R1は−Cl(塩素原子)、−Br(臭素原子)、R6O−、R6C(=O)O−、R67C=NO−、R67N−又は−(OSiR67m(OSiR567)(ただし、R6及びR7は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)、R2はR1、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R3はR1、R2又は−[O(R8O)a0.5−基(ただし、R8は炭素数1〜18のアルキレン基、aは1〜4の整数である。)、R4は炭素数1〜18の二価の炭化水素基、R5は炭素数1〜18の一価の炭化水素基を示し、x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。]
で表されるシランカップリング剤が用いられる。
前記一般式(1)において、炭素数1〜18の一価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基等を挙げることができる。ここで、前記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであっても良く、前記アリール基及びアラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していても良い。
前記一般式(1)において、R8で表される炭素数1〜18のアルキレン基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであっても良いが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
また、R4で表される炭素数1〜18の二価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数5〜18のシクロアルキレン基、炭素数6〜18のシクロアルキルアルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数7〜18のアラルキレン基を挙げることができる。前記アルキレン基及びアルケニレン基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであっても良く、前記シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基は、環上に低級アルキル基などの置換基を有していても良い。
このR4としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、特に直鎖状アルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基を好ましく挙げることができる。
前記一般式(1)で表されるシランカップリング剤の例としては、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
これらのシランカップリング剤の中で、下記式(1−a)
Figure 0005703066
で表される3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシランは、商標「NXT」としてMomentive Performance Materials社が上市している。
本発明におけるゴム組成物に、当該(c−1)シランカップリング剤を用いることにより、ゴム加工時の作業性に優れると共に、低発熱及び耐摩耗性の良好なタイヤを与えることができる。
((c−2)化合物)
当該(c−2)化合物としては、下記一般式(2)
Figure 0005703066
[式中R9は炭素数1〜20の直鎖もしくは、分岐、環状のアルキル基であり、Gはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、Zaはそれぞれ独立して二つの珪素原子と結合することのできる基で、[−O−]0.5、[−O−G−]0.5又は[−O−G−O−] 0.5から選ばれる基であり、Zbはそれぞれ独立して二つの珪素原子と結合することのできる基で、 [−O−G−O−] 0.5で表される官能基であり、Zcはそれぞれ独立して−Cl、−Br、−OR10、R10C(=O)O−、R1011C=NO−、R1011N−,R10−,HO−G−O−で表される官能基であり、R,Gは前記表記と一致する。
m、n、u、v、wはそれぞれ独立して1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、かつ(u/2)+v+2w=2又は3である。
A部が複数である場合、複数のA部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なっていても良く、Bが複数である場合、複数のB部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なっても良い。]
で表されるシランカップリング剤が用いられる。
前記一般式(2)で表されるシランカップリング剤の具体例としては、下記の式(2−a)、式(2−b)及び(2−c)
Figure 0005703066
[式中Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示し、xは1〜20の数、yは0〜20の数を示す。]
で示される構造を有する化合物の中から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
前記式(2−a)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社が、商標「NXT Low−V Silane」として、また、式(2−b)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社が、商標「NXT Ultra Low−V Silane」として、さらに、化学式(2−c)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社が、商標、「NXT Z」として上市している。
前述した(C)成分のシランカップリング剤は、チオール部分がアルカノイル基で保護されたチオエステル構造を形成しているため、該チオエステル部分で加水分解されやすい。一方、変性共役ジエン系重合体は重合末端にシラノール基と共に、酸性官能基を持つ変性基を有することから、該変性基は充填材表面に濃縮され、かつ前記酸性官能基が、当該シランカップリング剤のチオエステル部分の加水分解反応の促進に寄与する。その結果、本発明のゴム組成物は、低発熱性及び耐摩耗性が向上する。なお、必要に応じ、当該シランカップリング剤のチオール部分の脱保護の目的で、DPG(1,3−ジフェニルグアニジン)などに代表されるプロトンドナーを脱保護化剤として、最終混練工程に配合することができる。その使用量は、(A)ゴム成分100質量部に対して、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部である。
本発明においては、前述した(C)成分のシランカップリング剤は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良く、また、その配合量は本発明の効果、すなわち低発熱性、耐摩耗性を共に満たすために、前記(B)無機充填材に対して、1〜25質量%の範囲で選定される。好ましい配合量は2〜25質量%、より好ましい配合量は2〜20質量%である。
また、作業中における揮発性有機化合物(VOC)の発生をできるだけ抑制して、加工性の良好なゴム組成物を得る場合には、当該(C)成分のシランカップリング剤として、前記VOCの発生がないか、発生があっても極めて少ないものが好ましい。
このようなシランカップリング剤としては、前述した式(2−b)及び式(2−c)で表される(c−2)化合物を挙げることができる。
本発明のゴム組成物においては、前述した変性共役ジエン系重合体の製造方法のように、その合成時に縮合促進剤を加えても良いが、ゴム組成物の調製時に縮合促進剤を乾式配合して加えても良く、あるいはこれらの操作を組み合わせても良い。ここで、乾式配合とは、(A)ゴム成分、(B)無機充填材、(C)シランカップリング剤等のゴム組成物の各原材料を混練機内で混練りする際に、併せて縮合促進剤を配合して混練りする配合方法をいう。
当該縮合促進剤の内容については、前述した変性共役ジエン系重合体の製造方法における縮合反応において説明したとおりであり、特にチタン原子を含む縮合促進剤が好ましい。
当該縮合促進剤をゴム組成物の調製時に添加する場合には、第1混練段階において、他成分と、通常20〜185℃程度、好ましくは60〜175℃の温度で混練りすることが好ましい。
ゴム組成物における当該縮合促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部当たり、シリカとシラノールの反応性の観点から0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。
[ゴム組成物の調製]
本発明のゴム組成物は、硫黄架橋性であることが好ましく、加硫剤として硫黄が好適に用いられる。その使用量としては、(A)ゴム成分100質量部に対し、硫黄分(硫黄及び硫黄供与剤の硫黄分の合計量)を0.1〜10質量部配合することが好ましい。この範囲であれば、加硫ゴム組成物の必要な弾性率及び強度を確保すると共に低燃費性を得ることができるからである。この観点から、硫黄分を0.2〜8質量部配合することがさらに好ましい。
当該ゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、前述した(A)成分、(B)成分、(C)成分、加硫剤及び所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば硫黄以外の加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、可塑剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を含有させることができる。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアゾリルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(1,3−ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、(A)ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部である。
また、本発明におけるゴム組成物で使用できる軟化剤として用いるプロセス油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、(A)ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)が悪化するのを抑制することができる。
さらに、本発明におけるゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。その使用量は、(A)ゴム成分100質量部に対して、0.1〜6.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜5.0質量部である。
本発明のゴム組成物は、前記配合処方により、ロールなどの開放式混練機、バンバリーミキサーなどの密閉式混練機などの混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後に加硫を行ない、各種ゴム製品に適用可能である。例えば、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、サイド補強ゴム、ビード部(特にビードフィラー)などのタイヤ用途を始め、防振ゴム、防舷材,ベルト、ホースその他の工業品などの用途に用いることができるが、特に、低発熱性、耐摩耗性、破壊強度のバランスに優れた、低燃費用タイヤ、大型タイヤ、高性能タイヤのトレッド用ゴムとして好適に使用される。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、前述した本発明のゴム組成物を部材に用いたことを特徴とする。部材としては、トレッド、ベーストレット、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラーを好ましく挙げることができ、これらのいずれかに、本発明のゴム組成物を用いることができるが、トレッドに用いることが好ましく、特にキャップトレッドに用いることが好ましい。
本発明のゴム組成物をトレッドに用いたタイヤ、特に空気入りタイヤは、転がり抵抗が低く低燃費性に優れると共に、耐摩耗性に優れる。なお、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。本発明のゴム組成物をトレッドに用いる場合は、例えばトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
<変性共役ジエン系重合体についての測定>
(1)重量平均分子量(Mw)
GPC[東ソー製、HLC−8020]により検出器として示差屈折計を用いて測定し、単分散ポリスチレンを標準としたポリスチレン換算で示した。なお、カラムはGMHXL[東ソー製]で、移動相はテトラヒドロフランである。
(2)変性SBRのスチレン含有量(質量%)
270MHZ 1H−NMRによって求めた。
(3)ブタジエン部分中のビニル結合含有量(質量%)
フーリエ変換赤外分光光度計(商品名「FT/IR−4100」、日本分光社製)を使用し、特開2005−015590号公報に記載されたフーリエ変換赤外分光法によって、ブタジエン部分中のビニル結合含有量(%)を測定した。
(4)シラノール生成率(%)
アルコキシシリル基及びハロゲン原子の加水分解量については、エトキシシリル基の例で説明する。1H−NMRにおいて、変性された重合体のSiOCH2CH3に特徴づけられる3.6−3.7ppm付近の多量バンドと、ベース部分の数平均分子量から計算を行い、重合体のアルコキシシラン量M(%)を算出した。GPCの注入サンプル量対比のベース同等成分のピーク面積から、GPCでの未カップリング成分の比率RGPC%を計算した。カップリングなどの後反応成分を減ずるために、前記M(%)とRGPC%との差を求め、これを、シラノール生成数を100として、計算した。シラノール生成率に用いる数平均分子量は、Mark−Houwink式で校正したGPCから求めた数平均分子量を適用した。
(5)バウンドラバー量(%)
上述の方法により、各変性共役ジエン系重合体のバウンドラバー量(%)を測定した。
<変性剤Iについての測定>
(6)pKa値の測定
上述のように、pKa値の数値は、「化学便覧基礎編改訂5版」に記載されたデータを用いた。但し、「化学便覧基礎編改訂5版」に記載のない化合物については、水溶液中、温度25℃で平沼産業(株)製自動滴定装置COM−1600にてpKa値を測定した。
<ゴム組成物の物性>
(8)加硫ゴム組成物の動的損失正接(tanδ)
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、歪み5%、周波数15Hzでtanδを測定した。比較例1又は8のtanδを100として下記式にて指数表示した。指数値が小さい程、低発熱性であり、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
動的損失正接(tanδ)指数={(供試加硫ゴム組成物のtanδ)/(比較例1又は8の加硫ゴム組成物のtanδ)}×100
変性剤Iとして、以下の7種の変性剤I−A〜I−Gを用いた。変性剤I−A〜I−Gのいずれも、試薬メーカーから入手できる。変性剤I−A〜I−Gの酸性官能基をプロトン化して得られる化合物及び官能基のpKaを第1表に示す。
Figure 0005703066
(注)
変性剤I−A: 3−[2−(ジエトキシメチルシリル)エチル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオン:化学式(3−a)
変性剤I−B: トリメチルシリル4−(エチルジプロポキシシリル)ブタノエート:化学式(3−b)
変性剤I−C: 3−(トリプロポキシシリル)プロピル(トリメチルシリル)スルフィド:化学式(3−c)
変性剤I−D: 変性剤I−Aの二量体:化学式(4−a)
変性剤I−E: プロピル(ジメチル)エトキシシラン:化学式(5−a)
変性剤I−F: 3−トリメチルシリルオキシプロピル(ジエトキシ)メチルシラン:化学式(5−b)
変性剤I−G: メチルトリエトキシシラン:化学式(5−c)
Figure 0005703066
Figure 0005703066
製造例1 変性SBR−Aの製造
<活性末端を有するSBRの製造>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60g及びスチレン15gとなるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.70mmolを加え、さらにn−ブチルリチウム(BuLi)0.70mmolを加えた後、50℃の温水浴中で1.5時間重合反応を行なった。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
<変性反応工程>
次に、重合反応系に変性剤I−Aである3−[2−(ジエトキシメチルシリル)エチル]−ジヒドロフラン−2,5−ジオンのリチウム(Li)対比等モルとなる量を加えて、さらに50℃で30分間変性反応を行った。
<加水分解工程及びその後の工程>
その後、重合反応系に、1モル/リットルの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を少しずつ加え、pH10.5になった段階で、水をリチウム(Li)対比3倍のモル量加え、30分間撹拌した。次に、重合反応系に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液を加えて重合反応を停止させた。その後、水蒸気を吹き込んで溶媒の分圧を下げて(スチームストリッピング)脱溶媒した後、真空乾燥して変性SBR−Aを得た。
製造例2 変性SBR−A−2の製造
製造例1の変性反応工程に続いて、縮合促進剤としてテトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン1.50gを加え、更に15分間攪拌した。その後、製造例1と同様にして加水分解工程及びその後の工程を経て、変性SBR−A−2を得た。
製造例3〜5 変性SBR−B乃至変性SBR−Dの製造
製造例1において、変性剤I−Aの代わりに、変性剤I−Bであるトリメチルシリル4−(エチルジプロポキシシリル)ブタノエートを用いた以外は、製造例1と同様にして、変性SBR−Bを製造した(製造例3)。
同様にして、変性剤I−Aの代わりに、変性剤I−Cである3−(トリプロポキシシリル)プロピル(トリメチルシリル)スルフィドを用いて変性SBR−Cを製造し(製造例4)、変性剤I−Aの代わりに、変性剤I−Dである変性剤I−Aの二量体を用いて変性SBR−Dを製造した(製造例5)。
比較製造例1〜3 変性SBR−E乃至変性SBR−Gの製造
変性剤I−Aの代わりに、変性剤I−Eであるプロピル(ジメチル)エトキシシランを用いて変性SBR−Eを製造し(比較製造例1)、変性剤I−Aの代わりに、変性剤I−Fである3−トリメチルシリルオキシプロピル(ジエトキシ)メチルシランを用いて変性SBR−Fを製造し(比較製造例2)、変性剤I−Gであるメチルトリエトキシシランを用いて変性SBR−Gを製造した(比較製造例3)。
以上のようにして得られた変性SBR−A乃至変性SBR−Gの重量平均分子量、スチレン含有量及びブタジエン部分のビニル結合含有量並びにシラノール生成率及びバウンドラバー量を第5表及び第6表に示す。
実施例1〜8及び比較例1〜8
製造例1〜5及び比較製造例1〜3で得られた変性SBR−A〜D及び変性SBR−E〜Gを用い、第2表、第3表及び第4表の配合処方に従い、実施例1〜8及び比較例1〜8の16種類のゴム組成物を調製した。
次に、これら16種類のゴム組成物を空気入りタイヤのキャップトレッド(トレッドの踏面側)に配設して、それぞれタイヤサイズ215/45ZR17の乗用車用空気入りタイヤを常法に従って製造し、それら16種類の空気入りタイヤのキャップトレッドからtanδ測定用サンプルを切り出して、動的損失正接(tanδ)を上記の方法で測定した。tanδの評価結果は第5表及び第6表に示す。
Figure 0005703066
[注]
1)変性共役ジエン系重合体: 製造例1〜5及び比較製造例1〜2で得られた変性SBR−A〜C及び変性SBR−E〜F
2)ポリイソプレンゴム: JSR株式会社製、商品名「IR2200」
3)軟化剤: 三共油化工業株式会社製、商品名「A/Oミックス」
4)シリカ: 東ソー・シリカ(株)「ニプシルAQ」
5)シランカップリング剤: 第5表及び第6表に示すシランカップリング剤
6)老化防止剤6C: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
7)縮合促進剤: 第5表に示すように、実施例4のゴム組成物に第1混練段階でテトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタンを2質量部配合した。
8)加硫促進剤DPG: 1,3−ジフェニルグアニジン:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
9)加硫促進剤DM: ジベンゾチアゾリルジスルフィド:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーDM」
10)加硫促進剤CZ: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド:大内新興化学工業社製「ノクセラーCZ」
Figure 0005703066
[注]
1)変性共役ジエン系重合体: 比較製造例2で得られた変性SBR−F
2)天然ゴム: RSS#3
3)〜9)は、第2表と同じ
Figure 0005703066
[注]
1)変性共役ジエン系重合体: 製造例3〜5及び比較製造例3で得られた変性SBR−B〜D及び変性SBR−G
2)〜9)は、第3表と同じ
Figure 0005703066
[注]
NXT: Momentive Performance Materials社製、商品名「NXT」(登録商標)
S2.5: デグサ社製、商品名「Si75」(登録商標)、化学名:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドの混合物(一分子中のSの数が平均2.4)
Figure 0005703066
[注]
NXT Z: Momentive Performance Materials社製、商品名「NXT Z」(登録商標)
第5表及び第6表から明らかなように、本発明の実施例1〜5のキャップトレッドゴム組成物は、比較例1〜7のキャップトレッドゴム組成物と比較して、tanδが著しく低減し、優れた低発熱性が得られた。同様に、本発明の実施例6〜8のキャップトレッドゴム組成物は、比較例8のキャップトレッドゴム組成物と比較して、tanδが著しく低減し、優れた低発熱性が得られた。
本発明のゴム組成物は、特定の変性官能基を重合末端に有する変性共役ジエン系重合体と、特定構造のシランカップリング剤とを組み合わせることにより、より一層低発熱性の向上したタイヤ、特に空気入りタイヤを与えることができ、かつ揮発性有機化合物(VOC)の発生を抑制した加工性の良好なものとなったので、乗用車用空気入りタイヤ、軽自動車用空気入りタイヤ、軽トラック用空気入りタイヤ、トラック・バス用空気入りタイヤなどの各種タイヤの各種部材、特にトレッドとして好適に用いられる。

Claims (21)

  1. (A)(a−1)共役ジエン系重合体の重合活性末端に、加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基と、充填材表面へのポリマー濃縮能のある基とを有する変性剤Iの少なくとも1種を反応させた後、加水分解処理して得られる変性共役ジエン系重合体50〜100質量%と、(a−2)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム50〜0質量%とからなるゴム成分と、その100質量部に対して、(B)無機充填材5〜200質量部を含み、かつ(C)前記無機充填材と結合可能な原子又は官能基と、チオエステル基及び/又はジチオエステル基と、を少なくとも有するシランカップリング剤を、前記(B)成分中の無機充填材に対して1〜25質量%の割合で含むことを特徴とするゴム組成物。
  2. 変性剤Iにおいて、加水分解処理後の酸性官能基における、下記で定義されるpKa値が13未満である、請求項1に記載のゴム組成物。
    <pKa値>
    pKa値は、酸解離定数Kaの逆数の対数値であり、変性剤Iを加水分解した後の酸性官能基にプロトンが結合した化合物についてのpKa値とする。
  3. 変性剤Iが、充填材表面へのポリマー濃縮能のある基として、加水分解によりシラノール基を生成するケイ素含有基を有する、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 加水分解によりシラノール基を生成するケイ素含有基が、ケイ素原子に直接結合するハロゲン原子及び/又はヒドロカルビロキシ基を有するケイ素含有基である、請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 加水分解により、ハロゲン原子及び/又はヒドロカルビロキシ基の10%以上がシラノール基を生成する、請求項4に記載のゴム組成物。
  6. 加水分解処理が、水の存在下、アルカリ性の条件で行われる、請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. (a−1)変性共役ジエン系重合体が、共役ジエン系重合体の重合活性末端に変性剤Iを反応させた後、加水分解処理の前又は後に、縮合促進剤の存在下に縮合反応処理して得られたものである、請求項6に記載のゴム組成物。
  8. (a−1)変性共役ジエン系重合体が、重合末端に、シラノール基と共に酸性官能基を持つ変性基を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
  9. 加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基が、加水分解処理前において、エステル基、チオエステル基(S−酸エステル基及びO−酸エステル基の双方を含む。)、ジチオエステル基、カルボン酸無水物残基、チオカルボン酸無水物残基、カルボン酸チオ無水物残基、ジチオカルボン酸無水物残基、ジカルボン酸無水物残基、ジ(チオカルボン酸)無水物残基及びチオエーテル基の中から選ばれる少なくとも一種の基である、請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物。
  10. 加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基を加水分解処理した後の酸性官能基が、カルボキシ基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、ジカルボン酸残基、ジ(チオカルボン酸)残基及びメルカプト基の中から選ばれる少なくとも一種の基である、請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物。
  11. (a−1)変性共役ジエン系重合体の25℃におけるバウンドラバー量が40質量%以上である、請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物。
    <バウンドラバー量の測定方法>
    変性共役ジエン系重合体100質量部と湿式シリカ(BET法比表面積:205±10m/g)60質量部とを混練室内容積2リットルの密閉式混練装置を使用して、{(混練されているゴム組成物の体積/混練室内容積)×100}が60%にて混練りし、最高混練温度160℃に達した時点で、当該ゴム混練り物を密閉式混練装置から排出して、バウンドラバー量測定用ゴム組成物Mを得る。このゴム組成物M0.2gを1mm角に裁断して質量を測定した後、トルエン25mL中に加えて、25℃にて48時間放置した後、ガラス繊維フィルターでろ過し、トルエン不溶分を分離した後、分離したトルエン不溶分を25℃にて真空乾燥した後秤量し、下記式によりバウンドラバー量(%)を求める。
    バウンドラバー量(%)={(トルエン不溶分の質量―ゴム組成物M中の湿式シリカの質量)/(ゴム組成物Mの質量―ゴム組成物M中の湿式シリカの質量)}×100
    但し、シリカのBET法比表面積は、ISO 5794/1に準拠して測定する。
  12. (C)シランカップリング剤における無機充填材と結合可能な官能基が、アルコキシシリル基である、請求項1〜11のいずれかに記載のゴム組成物。
  13. (C)シランカップリング剤が、下記一般式(1)、式(2−a)、式(2−b)及び式(2−c)で表わされる化合物の中から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜12のいずれかに記載のゴム組成物。
    Figure 0005703066

    [式中、Rは−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RN−又は−(OSiR(OSiR)(ただし、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。)、RはR、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、RはR、R又は−[O(RO)0.5−基(ただし、Rは炭素数1〜18のアルキレン基、aは1〜4の整数である。)、Rは炭素数1〜18の二価の炭化水素基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基を示し、x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。]
    Figure 0005703066

    [式中、Lはそれぞれ独立して、炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示し、xは1〜20の数、yは0〜20数を示す。]
  14. (B)無機充填材がシリカである、請求項1〜13のいずれかに記載のゴム組成物。
  15. (a−1)変性共役ジエン系重合体が、変性芳香族ビニル−共役ジエン共重合体である、請求項1〜14のいずれかに記載のゴム組成物。
  16. 重合活性末端を有する共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物一種以上、又は共役ジエン化合物一種以上と芳香族ビニル化合物とをアニオン重合させて得られたものである、請求項1〜15のいずれかに記載のゴム組成物。
  17. 変性剤Iが、下記一般式(3)又は一般式(4)で表わされる化合物である請求項1〜16のいずれかに記載のゴム組成物。
    Figure 0005703066

    [式中、A、A及びAは、それぞれ独立に炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基、ハロゲン原子及び炭素数1〜20のヒドロカルビル基から選ばれる官能基であり、A、A及びAの少なくとも2以上が炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基及びハロゲン原子から選ばれる官能基である。R13は炭素数1〜20の二価の炭化水素基であり、Xは、加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基である。]
    Figure 0005703066

    [式中、A及びAは、それぞれ独立に炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基、ハロゲン原子及び炭素数1〜20のヒドロカルビル基から選ばれる官能基であり、A及びAの少なくとも2以上が炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基及びハロゲン原子から選ばれる官能基である。R13は炭素数1〜20の二価の炭化水素基であり、Xは、加水分解処理後の官能基が酸性官能基であるもの、及び加水分解により脱保護可能な基でプロトンが保護されてなる酸性官能基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基である。]
  18. 縮合促進剤を乾式配合してなる、請求項1〜17のいずれかに記載のゴム組成物。
  19. ジエン系合成ゴムが、ポリイソプレンゴムである、請求項1〜18のいずれかに記載のゴム組成物。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載のゴム組成物を部材に用いたことを特徴とするタイヤ。
  21. 部材がトレッドである、請求項20に記載のタイヤ。
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