JP2011089032A - タイヤ - Google Patents

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JP2011089032A JP2009243815A JP2009243815A JP2011089032A JP 2011089032 A JP2011089032 A JP 2011089032A JP 2009243815 A JP2009243815 A JP 2009243815A JP 2009243815 A JP2009243815 A JP 2009243815A JP 2011089032 A JP2011089032 A JP 2011089032A
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/80Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
    • Y02T10/86Optimisation of rolling resistance, e.g. weight reduction 

Abstract

【課題】氷上性能、操縦安定性、転がり抵抗及び耐摩耗性に優れたタイヤを提供する。
【解決手段】変性前の重量平均分子量が15×104を超え200×104以下である高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)100質量部に対して、変性前の重量平均分子量が2×103〜15×104である低分子量変性共役ジエン系重合体(B)5〜50質量部及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m/g)と音響式粒度分布測定によって求められる一次凝集体の直径の最頻値Aac(nm)とが、下記式(c−1):
ac≧−0.76×(CTAB)+274・・・(c−1)
を満たす含水ケイ酸(C1)を含む補強性充填材(C)10〜200質量部を配合してなるゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とするタイヤである。
【選択図】図1

Description

本発明は、特定の高分子量変性重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)と、特定の低分子量変性重合体(B)及び特定構造の含水ケイ酸(C1)を含む補強性充填材(C)とを所定量含むゴム組成物を用いたタイヤに関し、特には、氷上性能、操縦安定性、転がり抵抗及び耐摩耗性に優れたタイヤに関するものである。
従来、氷上性能を向上させるためにガラス転移点(Tg)を下げ、低温(ここで、低温とは、氷上走行時の温度であり、−20〜0℃程度である)での弾性率を低く設定したものが多い。しかしながら、一般に低温での弾性率を下げると高温での弾性率も低下する傾向があるため、従来のタイヤは、乾燥路面での操縦安定性能(以下、「操縦安定性」という)が低く、湿潤路面での操縦安定性能も十分とは言えなかった。
これに対し、特許文献1では、ゴムマトリックスに発泡剤を配合してなり、加硫後の気泡率と、0℃及び60℃での動的弾性率とが特定に範囲にあるゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに用い、且つそのゴム組成物のゴムマトリックスとして変性共役ジエン系重合体を用いたタイヤ(スタッドレスタイヤ)が提案されている。この提案では、特定の変性共役ジエン系重合体を用いて、一定程度の氷上性能を達成し得た。
しかしながら、更に氷上性能を向上することが要請されている。
また、従来、ゴム用補強性充填材(C)としては、カーボンブラックが使用されている。これは、カーボンブラックがゴム組成物に高い耐摩耗性を付与し得るからである。近年、省資源、省エネルギーの社会的な要請に伴い、自動車の燃料消費節約を目的として、タイヤに用いるゴムの低発熱化により、タイヤの転がり抵抗を低減することが求められるようになってきた。これに対し、カーボンブラックの単独使用でゴムの低発熱化を図ろうとする場合、カーボンブラックの充填量を減らす、あるいは、粒径の大きいものを使用することが考えられるが、いずれの場合も補強、耐摩耗性、湿潤路面でのグリップ性が低下するのを避けられないことが知られている。
一方、ゴムの低発熱性を向上させるために補強性充填材としてシリカを用いることが知られているが(例えば、特許文献2〜5)、シリカはその表面官能基であるシラノール基の水素結合により粒子同士が凝集する傾向にあり、また、シラノール基は親水性を有する−OH基のためにゴム分子とのぬれ性が良くなく、ゴム中へのシリカの分散は悪い。これをよくするためには混練時間を長くする必要がある。また、ゴム中へのシリカの分散が不十分なためゴム組成物のムーニー粘度が高くなり、押出しなどの加工性に劣るなどの欠点を有していた。さらに、シリカ粒子の表面が酸性であることから、ゴム組成物を加硫する際に、加硫促進剤として使用される塩基性物質を吸着し、加硫が十分行われず、弾性率が上がらないという欠点も有していた。
これらの欠点を改良するために、シランカップリング剤が開発されたが、依然としてシリカの分散は十分なレベルには達しておらず、特に工業的に良好なシリカ粒子の分散を得ることは困難であった。そこで、疎水化剤で表面を処理したシリカを混練してシランカップリング剤の反応を促進することが行われている(特許文献2)。
また、特許文献6には、疎水性沈降ケイ酸を用いることが開示されているが、完全疎水化処理した沈降ケイ酸を用いているので、シランカップリング剤が反応する表面シラノール基が存在しなくなるため、ゴムの補強が十分にとれないという欠点があった。さらに、低発熱性を高めるため、シリカを大粒径化することが行われているが、大粒径化により、シリカの比表面積が低下し、補強性が悪くなる。特許文献7には、特殊形状のシリカを用いることが開示されているが、ゴム組成物の低発熱性、耐摩耗性が十分ではない。
特開2004−238619号公報 特開平6−248116号公報 特開平7−70369号公報 特開平8−245838号公報 特開平3−252431号公報 特開平6−157825号公報 特開2006−37046号公報
上述のように、従来の技術では、タイヤの転がり抵抗を十分に低減した上で、タイヤの氷上性能、ドライ操作性及び耐摩耗性を十分に向上させることができなかった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、氷上性能、操縦安定性、転がり抵抗及び耐摩耗性に優れたタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)と、特定の低分子量変性共役ジエン系重合体(B)及び特定構造の含水ケイ酸(C1)とを含む補強性充填材(C)を配合してなるゴム組成物をタイヤに適用することで、氷上性能、操縦安定性、転がり抵抗及び耐摩耗性をバランスよく改良できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のタイヤは、変性前の重量平均分子量が15×104を超え200×104以下である高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)100質量部に対して、変性前の重量平均分子量が2×103〜15×104である低分子量変性共役ジエン系重合体(B)5〜50質量部及び
セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m/g)と音響式粒度分布測定によって求められる一次凝集体の直径の最頻値Aac(nm)とが、下記式(c−1):
ac≧−0.76×(CTAB)+274・・・(c−1)
を満たす含水ケイ酸(C1)を含む補強性充填材(C)10〜200質量部を配合してなるゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とする。
本発明のタイヤにおいて、前記低分子量変性共役ジエン系重合体(B)の結合芳香族ビニル含有量(X)(%)及び共役ジエン部分のビニル結合含有量(Y)(%)が、X+(Y/2)<25を満たすことが好ましく、また、スズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含有することが好ましい。また、前記低分子量変性共役ジエン系重合体(B)の好適例は、低分子量変性ポリブタジエン及び/又は低分子量変性ポリイソプレンである。
本発明のタイヤにおいて、前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)が、スズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含有することが好ましく、前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)の好適例は、変性ポリブタジエンゴム及び/又は変性ポリイソプレンゴムである。
本発明のタイヤにおいて、更に、前記補強性充填材(C)が、カーボンブラックを含むことが好ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記ゴムマトリックス(A)が高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)10〜100質量%とジエン系ゴム(A2)90〜0質量%とからなることが好ましい。
更に、ゴムマトリックス(A)100質量部に対して、平均長径5〜1000μmの微粒子3〜30質量部を含むことが好ましい。
前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)がケイ素原子含有官能基を含有し、該官能基がジアルコキシシラン化合物又はトリアルコキシシラン化合物に由来することが好ましく、また、前記重合体(A1)が窒素原子含有官能基を含有し、官能基が第一アミノ基を有することが一層好ましく、前記重合体(A1)が、下記一般式(p−1)又は下記一般式(p−2)で表わされることがより一層好ましい。
Figure 2011089032
[式中、R4及びR6は夫々独立に−OR、−OH又は炭素数1〜20のアルキル基であり、R5は炭素数1〜20のアルキレン基であり、Rは硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のヒドロカルビル基である]
Figure 2011089032
[式中、R7及びR9は夫々独立に−OR、−OH又は炭素数1〜20のアルキル基であり、R8及びR10は夫々独立に炭素数1〜20のアルキレン基であり、Rは硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、MはSi、Ti、Sn、Bi、Zr又はAlであり、R11は−OH、炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数2〜30のヒドロカルビルカルボキシル基、炭素数5〜20の1,3−ジカルボニル含有基、炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、並びに炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で三置換されたシロキシ基からなる群から選ばれる基であり、複数のR11は同一でも異なっていても良く、kは{(Mの価数)−2}であり、nは0又は1である]
さらに前記重合体(A1)が、重合体の重合開始末端にC−N結合を有することが特に好ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記含水ケイ酸(C1)が、その灼熱減量と加熱減量とが下記式(c−2):
(灼熱減量)−(加熱減量)≦3・・・(c−2)
を満たすことが好ましい。ここで、灼熱減量とは、750℃で3時間加熱した時の質量減少百分率を言い、加熱減量とは、105℃で2時間加熱した時の質量減少百分率を言う。
本発明のタイヤにおいて、前記含水ケイ酸(C1)の音響式粒度分布測定によって求められる一次凝集体の直径の最頻値が1μm以下であることが好ましく、前記含水ケイ酸(C1)のCTABが50〜250m/gであることが好ましい。
更に、本発明のタイヤにおいて、前記タイヤ部材がトレッドであることを特徴とする。
また、本発明のタイヤにおいて、前記ゴム組成物が加硫後のゴムマトリックス(A)中に気泡を気泡率として5〜50体積%有することが好ましい。
本発明によれば、特定の高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)と、低分子量変性共役ジエン系重合体(B)及び特定構造の含水ケイ酸(C1)とを含む補強性充填材(C)を配合してなるゴム組成物をタイヤに適用することで、バランスよく、氷上性能、操縦安定性、転がり抵抗及び耐摩耗性に優れたタイヤを提供することができる。
図1は、実施例、比較例で使用した含水ケイ酸のCTABとAacの関係を示すグラフである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のタイヤは、変性前の重量平均分子量が15×104を超え200×104以下である高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)100質量部に対して、変性前の重量平均分子量が2×103〜15×104である低分子量変性共役ジエン系重合体(B)5〜50質量部及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m/g)と音響式粒度分布測定によって求められる一次凝集体の直径の最頻値Aac(nm)とが、下記式(c−1):
ac≧−0.76×(CTAB)+274・・・(c−1)
を満たす含水ケイ酸(C1)を含む補強性充填材(C)10〜200質量部を配合してなるゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とする。
[ゴムマトリックス(A)]
上記ゴムマトリックス(A)は、上記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)を含むことを要し、また、ゴムマトリックス(A)が、上記重合体(A1)10〜100質量%とジエン系ゴム(A2)90〜0質量%とからなることが好ましく、上記重合体(A1)10〜90質量%とジエン系ゴム(A2)90〜10質量%とからなることが更に好ましい。ここで、ジエン系ゴム(A2)としては、本発明にかかる変性共役ジエン系重合体(A1)以外の、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン三元共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。これらのジエン系ゴム(A2)の内、天然ゴムが好ましい。なお、これらジエン系ゴム(A2)は、単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。ゴムマトリックス(A)中、変性共役ジエン系重合体(A1)を10質量%以上とするのは、氷上性能と低転がり抵抗の効果を奏するためである。
(高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)、低分子量変性共役ジエン系重合体(B))
本発明のタイヤに用いるゴム組成物は、変性前の重量平均分子量が15×104を超え200×104以下である高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)100質量部に対して、変性前の重量平均分子量が2×103〜15×104である低分子量変性共役ジエン系重合体(B)5〜50質量部及び補強性充填材(C)10〜200質量部を配合してなる。
ここで、高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)の変性前の重量平均分子量を15×104を超え200×104以下と限定するのは、15×104以下であると耐摩耗性及び耐破壊特性が低下するからであり、200×104を超えるとゴム組成物の作業性が低下するからである。これらの観点から高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)の変性前の重量平均分子量は20×104〜150×104であることが好ましく、20×104〜120×104であることが更に好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn)が1〜3であることが好ましく、1.1〜2.7であることがより好ましい。変性共役ジエン重合体の分子量分布を前記範囲内にすることで変性共役ジエン重合体をゴム組成物に配合しても、ゴム組成物の作業性を低下させることがなく、混練りが容易で、ゴム組成物の物性を十分に向上させることができる。
また、低分子量変性共役ジエン系重合体(B)の変性前の重量平均分子量を2×103〜15×104と限定するのは、2×103未満であると高温での動的せん断貯蔵弾性率G' が低下すると共に動的損失正接tanδが上昇するからであり、15×104を超えると作業性が低下するからである。これらの観点から低分子量変性共役ジエン系重合体(B)の変性前の重量平均分子量は5×103〜12×104であることが好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn)が1〜3であることが好ましく、1.1〜2.7であることがより好ましい。変性共役ジエン重合体の分子量分布を前記範囲内にすることで変性共役ジエン重合体をゴム組成物に配合しても、ゴム組成物の作業性を低下させることがなく、混練りが容易で、ゴム組成物の物性を十分に向上させることができる。
そして、低分子量変性共役ジエン系重合体(B)の配合量を5〜50質量部と限定するのは、5質量部未満であるとタイヤの氷上性能及びウエット性能を改良できないからであり、50質量部を超えると耐摩耗性及び耐破壊特性が低下するからである。これらの観点から低分子量変性共役ジエン系重合体(B)の配合量は5〜40質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることが更に好ましい。
本発明のタイヤに用いるゴム組成物において、前記低分子量変性共役ジエン系重合体(B)の結合芳香族ビニル含有量(X)(%)及び共役ジエンのビニル結合含有量(Y)(%)が、X+(Y/2)<25を満たすことが好ましい。{X+(Y/2)}が25未満であれば、氷上性能が改良されるからである。
本発明のタイヤに用いるゴム組成物において、前記低分子量変性共役ジエン系重合体(B)が、スズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含有することが好ましく、また、前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)が、スズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含有することが好ましい。
これらの官能基は、補強性充填材(C)との反応性に富み、ゴム組成物の補強性を向上するからである。
特に、スズ含有官能基はカーボンブラックとの反応性に富むので好ましく、ケイ素含有官能基はシリカ(含水ケイ酸)との反応性に富むので好ましく、窒素含有官能基はカーボンブラック及びシリカ(含水ケイ酸)の双方との反応性に富むので好ましい。
上記ケイ素原子含有官能基は、1つの実施形態において、ジアルコキシシラン化合物又はトリアルコキシシラン化合物に由来することが好ましい。ここで、ジアルコキシシラン化合物の2つのアルコキシ基は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基である。同様に、トリアルコキシシラン化合物の3つのアルコキシ基は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基である。
上記窒素原子含有官能基は、別の実施形態において、アミノ基を有することが好ましく、第一アミノ基を有することがさらに好ましい。
スズ含有官能基としては、ハロゲン化スズ化合物残基が挙げられ、例えば、トリフェニルスズクロリド、トリブチルスズクロリド、トリイソプロピルスズクロリド、トリヘキシルスズクロリド、トリオクチルスズクロリド、ジフェニルスズジクロリド、ジブチルスズジクロリド、ジヘキシルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリド、フェニルスズトリクロリド、ブチルスズトリクロリド、オクチルスズトリクロリド及び四塩化スズからなる群から選択される塩化スズ化合物から塩素原子が1つ以上離脱して生成する残基が好ましい。
また、ケイ素含有官能基としては、下記一般式(1)で表わされるヒドロカルビルオキシシラン化合物及びその部分縮合物の−OR3が1つ以上離脱して形成される残基が挙げられる。
Figure 2011089032
式中、Aは、イソシアネート基、チオイソシアネート基、イミン残基、アミド基、第一アミノ基、第一アミンのオニウム塩残基,環状第二アミノ基、環状第二アミンのオニウム塩残基、非環状第二アミノ基及び非環状第二アミンのオニウム塩残基、イソシアヌル酸トリエステル残基、環状第三アミノ基、非環状第三アミノ基、ニトリル基、ピリジン残基、環状第三アミンのオニウム塩残基、非環状第三アミンのオニウム塩残基、エポキシ基、チオエポキシ基、ケトン基、チオケトン基、アルデヒド基,チオアルデヒド基、カルボン酸エステル残基、チオカルボン酸エステル残基、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化物残基、炭酸ジヒドロカルビルエステル残基、スルフィド基,マルチスルフィド基、ヒドロキシ基、チオール基、アリル又はベンジルSn結合を有する基、スルフォニル基及びスルフィニル基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R1は単結合又は二価の不活性炭化水素基、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、mは0〜2の整数であり、OR3が複数ある場合、複数のOR3は同一でも異なっていてもよい。上記の内、第一アミノ基は変性反応終了後までアルキルシリル基(例えば、メチルシリル基やエチルシリル基)等により保護されていることが好ましい。
1のうちの二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基を好ましく挙げることができる。このアルキレン基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基などが挙げられる。
2及びR3としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基などを挙げることができる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロぺニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
また、上記アリール基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよく、その例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。さらに該アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよく、その例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
また、窒素含有官能基としては、上記一般式(1)で表わされるヒドロカルビルオキシシラン化合物及びその部分縮合物の−OR3が1つ以上離脱して形成される残基の内、Aがイソシアネート基、チオイソシアネート基、イミン残基、アミド基、第一アミノ基、第一アミンのオニウム塩残基,環状第二アミノ基、環状第二アミンのオニウム塩残基、非環状第二アミノ基及び非環状第二アミンのオニウム塩残基、イソシアヌル酸トリエステル残基、環状第三アミノ基、非環状第三アミノ基、ニトリル基、ピリジン残基、環状第三アミンのオニウム塩残基、非環状第三アミンのオニウム塩残基である窒素含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物残基が挙げられる。
上記一般式(1)で表わされる窒素含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物の内、イミン残基含有ヒドロカルビルオキシシアン化合物として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン,N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物,メチルジエトキシシリル化合物,エチルジエトキシシリル化合物,メチルジメトキシシリル化合物,エチルジメトキシシリル化合物などを好ましく挙げることができるが、これらの中で特に、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが好適である。
また、他のイミン残基(アミジン基)含有化合物としては、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、3−〔10−(トリエトキシシリル)デシル〕−4−オキサゾリンなどが挙げることができるが、これらの中で、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール及び1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾールを好ましく挙げることができる。また、N-(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−イソプロポキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールなどが挙げられ、内、好ましいのはN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールである。
また、上記一般式(1)で表わされる窒素含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物の内、イソシアネート基含有化合物としては、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシランなどが挙げられ、これらに中でも、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
上記一般式(1)で表わされる窒素含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物の内、環状第三アミノ基含有化合物としては、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ヘプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシランを好ましく挙げることができる。特に3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン及び(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シランが好適である。さらに、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、4−エチルピリジンなどを挙げることができる。
上記一般式(1)で表わされる窒素含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物の内、非環状第三アミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランなどが挙げることができるが、これらの中で、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン及び3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
更に、上記一般式(1)で表わされる窒素含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物の例として、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−シアノエチルトリエトキシシラン等も挙げられる。
また、窒素含有官能基としては、上記一般式(1)で表わされるヒドロカルビルオキシシラン化合物及びその部分縮合物の−OR3が1つ以上離脱して形成される残基の内、下記一般式(2)で表わされる一価の官能基又は下記一般式(3)で表わされる二価の官能基が特に好ましい。一般式(2)又は一般式(3)の第一アミノ基がカーボンブラック及びシリカ(含水ケイ酸)の双方の補強性を特に向上するからである。
Figure 2011089032
式中、R4及びR6は夫々独立に−OR、−OH又は炭素数1〜20のアルキル基であり、R5は炭素数1〜20のアルキレン基であり、Rは硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のヒドロカルビル基である。
Figure 2011089032
ここで、R7及びR9は夫々独立に−OR、−OH又は炭素数1〜20のアルキル基であり、R8及びR10は夫々独立に炭素数1〜20のアルキレン基であり、Rは硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、MはSi、Ti、Sn、Bi、Zr又はAlであり、R11は−OH、炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数2〜30のヒドロカルビルカルボキシル基、炭素数5〜20の1,3−ジカルボニル含有基、炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、並びに炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で三置換されたシロキシ基からなる群から選ばれる基であり、複数のR11は同一でも異なっていても良く、kは{(Mの価数)−2}であり、nは0又は1の整数である]
上記一般式(2)及び(3)のR4、R6、R7及びR9の−ORとしては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられ、これらの官能基は、硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い。硫黄原子は、例えば、−SH、−SX−(Xは1〜5の整数である)、エピチオ基としてR中に含まれていても良い。酸素原子は、−OH、−O−、エポキシ基、アシル基、カルボキシル基としてR中に含まれていても良い。窒素原子は、アミノ基(第一アミノ基、第二アミノ基、又は非環状もしくは環状第三アミノ基)、イミノ基、アミジン基、イソシアネート基、N−ヒドロキシ基、N−オキシド基、シアノ基、ニトリル基、イミン残基としてR中に含まれていても良い。
また、R4、R6、R7及びR9の炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
なお、R中に含まれていても良いハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、沃素のいずれであっても良いが、塩素又は臭素が好ましい。
前記のR5、R8及びR10の炭素数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基等が挙げられる。
なお、通常、R7とR9は同一であり、R8とR10は同一である。上記一般式(3)で表わされる二価の官能基は、通常同一である上記一般式(2)で表わされる一価の官能基を有する二つのポリマー鎖が縮合されて生成するからである。
上記の一般式(2)又は(3)の第一アミノ基は、上記一般式(1)の場合と同様に、変性反応終了後までアルキルシリル基(例えば、メチルシリル基やエチルシリル基)等により保護されていることが好ましい。
アニオン重合の開始剤として後述するリチウムアミド化合物からリチウムが離脱した残基も、高分子量変性共役ジエン系重合体又は低分子量変性共役ジエン系重合体が含有する窒素含有官能基として好ましい。
また、前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)が含有するスズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基の内、上記一般式(2)で表わされる一価の官能基又は上記一般式(3)で表わされる二価の官能基が好ましい。
一方、前記低分子量変性共役ジエン系重合体(B)が含有するスズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基の内、上記一般式(2)で表わされる一価の官能基又は上記一般式(3)で表わされる二価の官能基以外の官能基であっても良い。
上記一般式(2)で表わされる一価の官能基又は上記一般式(3)で表わされる二価の官能基は補強性充填材との反応性が高いため、高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)と補強性充填材との反応により、ゴム組成物の補強性が更に向上し、ドライ操縦安定性能、耐摩耗性や耐破壊性が更に向上するからである。
上記一般式(2)で表わされる一価の官能基又は上記一般式(3)で表わされる二価の官能基を含む変性共役ジエン重合体(前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)及び/又は前記低分子量変性共役ジエン系重合体(B)をいう)は、重合体の重合終結末端に窒素原子及びケイ素原子を含有する官能基を有する変性共役ジエン重合体の例として、特定の第一アミノ基含有官能基を有する変性共役ジエン重合体であって、下記一般式(p−1)又は下記一般式(p−2)で表わされることが特に好ましい。
Figure 2011089032
ここで、R4〜R6は上記と同義である。
Figure 2011089032
ここで、R7〜R11、M、k及びnは上記と同義である。
なお、上記一般式(p−1)及び(p−2)の−(Polymer)は共役ジエン重合体のポリマー鎖である。
また、通常、R7とR9は同一であり、R8とR10は同一である。縮合される二つのポリマー鎖は、通常同一であるからである。
本発明のタイヤに用いるゴム組成物において、前記低分子量変性共役ジエン系重合体は、変性ポリブタジエン及び/又は変性ポリイソプレンであることが好ましく、変性ポリブタジエンが特に好ましい。そして、前記高分子量変性共役ジエン系重合体は、変性ポリブタジエンゴム及び/又は変性ポリイソプレンゴムであることが好ましく、変性ポリブタジエンゴムが特に好ましい。低分子量変性共役ジエン系重合体及び高分子量変性共役ジエン系重合体のガラス転移点(Tg)を低くして、氷上性能を向上するためである。
低分子量変性共役ジエン系重合体及び高分子量変性共役ジエン系重合体に用いられる共役ジエン単量体としては、例えば1.3−ブタジエン、イソプレン、1.3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニルー1,3−ブタジエン、1、3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1、3−ブタジエンが特に好ましい。
また、低分子量変性共役ジエン系重合体及び高分子量変性共役ジエン系重合体に用いられる芳香族ビニル単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロへキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。
(重合反応系)
本発明のタイヤに用いるゴム組成物に用いられる低分子量変性共役ジエン系重合体及び高分子量変性共役ジエン系重合体を得るための重合反応系について説明をする。共役ジエン系重合体の活性末端と変性剤とを反応させ、共役ジエン系重合体の活性末端にスズ含有官能基、ケイ素含有官能基又は窒素含有官能基を導入するためには、共役ジエン系重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性又は擬似リビング性を有するものが好ましい。このようなリビング性を有する重合反応としては、例えば、アニオン重合と配位アニオン重合とがあるが、広範囲の変性が可能である点でアニオン重合が好ましい。
(アニオン重合)
上述のアニオン重合の開始剤として用いられるアルカリ金属化合物としては、リチウム化合物が好ましい。リチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、すなわちC−N結合を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
前記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロベンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応性生物等が挙げられるが、これらの中で、特にn−ブチルリチウムが好適である。
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデ
シルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウ
ムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド等の環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、二級アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
前記リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶剤中において、共役ジエン単量体又は共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる。
また、リチウム化合物を重合開始剤として用いた場合には、ランタン系列希土類元素化合物を含む触媒を用いた場合に比べ、活性末端を有する共役ジエン系重合体のみならず、活性末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体も効率よく得ることができる。
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
また、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。尚、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル単量体の含有量は55質量%以下の範囲が好ましい。
また、所望により用いられるランダマイザーとは共役ジエン系重合体のミクロ構造の制御、例えばブタジエン重合体におけるビニル結合、ブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン部分のビニル結合、イソプレン重合体におけるビニル結合の増加等、あるいは共役ジエン一芳香族ビニル共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えばブタジエンースチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化等の作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
ランダマイザーとして具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、オキソラニルプロパンオリゴマー類[特に2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパンを含む物等]、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピぺリジノエタン等のエーテル類及び三級アミン類等を挙げることができる。また、カリウムt−アミレート、カリウムt−ブトキシド等のカリウム塩類、ナトリウムt−アミレート等のナトリウム塩類も用いることができる。
これらのランダマイザーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
上述のアニオン重合においては、重合開始剤、溶媒、単量体等、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を除去したものを用いることが望ましい。
上記重合反応は、回分式及び連続式のいずれで行ってもよい。
このようにして活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる。
本発明においては、以上のようにして得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体に、上述のスズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基を導入し得る変性剤を、該共役ジエン系重合体の活性末端に対して、好ましくは化学量論的量又はそれより過剰に加え、該重合体に結合している活性末端と反応させる。変性反応は重合反応と同様の温度条件、圧力条件により行えば良い。
上述の変性剤の使用量は、リチウム原子1g原子当量あたり、変性反応し得る官能基を基準として、通常、0.2〜10当量、好ましくは0.5〜5.0当量であり、0.2当量未満では、加硫ゴムの反撥弾性、低発熱性の効果が劣り、一方10当量を超えると、未反応物が多くなり臭気が発生したり、加硫速度を早めたり、加硫ゴムの反撥弾性、低発熱性の効果が減少したりして好ましくない。
次に、上記一般式(3)で表わされる二価の官能基を導入し得る変性剤としては、上述の保護された第一アミノ基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物が好適に用いられるが、この変性剤により第一段変性反応を行った後、Si、Ti、Sn、Bi、Zr又はAlの金属化合物からなる縮合促進剤と水との組み合わせの存在下で第二段変性反応を行う必要がある。
前記の縮合促進剤として、より具体的には、二価のスズのジカルボン酸{特に、ビス(ヒドロカルビルカルボン酸)塩}や、四価のジヒドロカルビルスズのジカルボン酸塩{ビス(ヒドロカルビルカルボン酸)}塩を含む)、ビス(β−ジケトネート)、アルコキシハライド、モノカルボン酸塩ヒドロキシド、アルコキシ(トリヒドロカルビルシロキシド)、アルコキシ(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)、ビス(トリヒドロカルビルシロキシド)、ビス(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)等を好適に用いることができる。スズに結合したヒドロカルビル基としては炭素数が4以上のものが望ましく、炭素数4から炭素数8のものが特に好ましい。
前記チタン化合物としては、四価のチタンのテトラアルコキシド、ジアルコキシビス(β−ジケトネート)、テトラキス(トリヒドロカルビオキシド)などが挙げられ、特にテトラキス(トリヒドロカルビオキシド)が好適に用いられる。
前記ビスマス化合物としては、ビスマスのカルボン酸塩{特に、ヒドロカルビルカルボン酸塩}を挙げることができ、前記ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムのアルコキシドやジルコニウムのカルボン酸塩{特に、ヒドロカルビルカルボン酸塩}を挙げることができる。
また、前記アルミニウム化合物としては、アルミニウムのアルコキシドやアルミニウムのカルボン酸塩{特に、ヒドロカルビルカルボン酸塩}を挙げることができ、前記ケイ素化合物としては、ケイ素のアルコキシドやケイ素のカルボン酸塩{特に、ヒドロカルビルカルボン酸塩}を挙げることができる。
前記チタン化合物として、具体的には、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテネート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテネート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ステアレート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)などが挙げられる。中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好ましい。
また、スズ化合物としては、具体的には、2−エチルヘキサン酸第一スズ{[CH3(CH2)3CH(C25)CO2]2Sn(二価)}、オクタン酸第一スズ、ネオデカン酸第一スズ、イソオクタン酸第一スズ、イソデカン酸第一スズ、2,2−ジメチルデカン酸、二酢酸ジブチルスズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、二オクタン酸ジブチルスズ及び二ラウリン酸ジメチルスズ等が挙げられる。
ビスマス化合物としては、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテネート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス等を挙げることができる。
前記ジルコニウム化合物としては、具体的には、テトラエトキシジルコニウム、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトラi−プロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラsec−ブトキシジルコニウム、テトラtert−ブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルへキシル)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノニート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテネート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテネート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム等を挙げることができる。
前記アルミニウム化合物としては、具体的には、トリエトキシアルミニウム、トリn−プロポキシアルミニウム、トリi−プロポキシアルミニウム、トリn−プトキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、トリtert−ブトキシアルミニウム、トリ(2−エチルへキシル)アルミニウム、アルミニウムジブトキシステアレート、アルミニウムジブトキシアセチルアセトネート、アルミニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテネート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウム等を挙げることができる。
水としては、単体やアルコール等の溶液、炭化水素溶媒中の分散ミセル等の形態が好適に用いられるほか、必要ならば固体表面の吸着水や水和物の水和水等の、反応系中で水を放出し得る化合物が潜在的に含んだ水分も有効に用いることができる。従って吸着水を持つ固体や、水和物など、容易に水を放出することができる化合物を前記縮合促進剤と併用することも好ましい態様として挙げられる。
縮合促進剤と水とは、反応系に別々に投入しても、使用直前に混合して混合物として投入してもよいが、混合物の長期保存は金属化合物の分解を招くので好ましくない。
尚、水の反応系中への投入は、アルコール等の水と相溶性のある有機溶媒の溶液としてもよいし、種々の化学工学的手法を用いて水を直接炭化水素溶液中に注入・分散させても良い。また、水は第二段変性反応終了後に、スチームストリッピング等により加えても良い。
この縮合促進剤の使用量は、前記金属化合物の金属及びプロトン源の、系内に存在するヒドロカルビルオキシシリル結合総量に対するモル比が、共に0.1以上になるように選定するのが好ましい。
前記縮合促進剤の金属及び反応に有効な水のモル数は、反応系内に存在するヒドロカルビオキシシリル基の総量に対するモル比として、共に0.1以上が好ましい。上限は目的や反応条件によっても異なるが、縮合処理以前の段階で重合体活性部位に結合されたヒドロカルビオキシシリル基の量に対して0.5から3モル当量の有効な水が存在することが好ましい。
また、該縮合促進剤を用いた第二段変性反応は20℃以上の温度で行うことが好ましく、更には30〜120℃の範囲が好ましい。反応時間としては、0.5分〜10時間、好ましくは0.5分〜5時間、より好ましくは0.5〜120分程度、3〜60分の範囲が更に好ましい。
なお、第二段変性反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
本発明においては、この変性反応時に、所望により、公知の老化防止剤や重合反応を停止する目的でショートストップ剤を、重合体の活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物残基を導入した後の工程において、添加することができる。また、変性反応終了後、多価アルコールの高級カルボン酸エステルなどの縮合抑制剤を反応系に添加してもよい。
このようにして変性処理したのち、スチームストリッピング等の脱溶媒などの従来公知の後処理を行い、目的の変性重合体を得ることができる。
前記二段変性反応終了後に保護された窒素原子の保護基を脱離させ、第一アミノ基を生成する脱保護処理は、上述したスチームストリッピング等の水蒸気を用いる脱溶媒処理以外に、二段変性反応の段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーまでのいずれかの段階において必要に応じて種々の方法で第一アミノ基上の保護基を加水分解することによって遊離した第一アミノ基に変換し、ヒドロカルビルオキシシラン化合物由来の保護された第一アミノ基の脱保護処理を行うことができる。
(配位アニオン重合)
次に、配位アニオン重合の重合触媒系について説明をする。配位アニオン重合の重合触媒系としては、有機溶媒中でランタン系列希土類元素化合物を含む触媒が用いられる。
ランタン系列希土類元素化合物を含む触媒としては、
(a)成分:周期律表の原子番号57〜71の希土類元素含有化合物、又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物、
(b)成分:下記一般式(4):
AlR121314 ・・・(4)
(ここで、R12及びR13は同一又は異なり、炭素数1〜10のヒドロカルビル基又は水素原子で、R14は炭素数1〜10のヒドロカルビル基であり、但し、R14は上記R12又はR13と同一又は異なっていても良い)で表される有機アルミニウム化合物、並びに
(c)成分:ルイス酸、金属ハロゲン化物と、ルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物の少なくとも一種からなる触媒系により共役ジエン単量体を重合するのが好ましい。
また、本発明において、ランタン系列希土類元素化合物を含む触媒系には、上記(a)〜(c)成分の他に、さらに(d)成分として、有機アルミニウムオキシ化合物、所謂アルミノキサンを添加するのが好ましい。ここで、前記触媒系は、前記(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び共役ジエン単量体の存在下で予備調製されてなるのが、さらに好ましい。
本発明において、ランタン系列希土類元素化合物を含む触媒系の(a)成分は、周期律表の原子番号57〜71の希土類元素を含有する化合物、又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物である。ここで、原子番号57〜71の希土類元素の中でも、ネオジム、プラセオジム、セリウム、ランタン、ガドリニウム、サマリウム等、又はこれらの混合物が好ましく、ネオジムが特に好ましい。
前記希土類元素含有化合物としては、炭化水素溶媒に可溶な塩が好ましく、具体的には、前記希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩が挙げられ、これらの中でも、カルボン酸塩及びリン酸塩が好ましく、カルボン酸塩が特に好ましい。
ここで、炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
上記希土類元素のカルボン酸塩としては、下記一般式(5):
(R15−CO231 ・・・(5)
(式中、R15は炭素数1〜20のヒドロカルビル基で、M1は周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。ここで、R15は、飽和又は不飽和でもよく、アルキル基及びアルケニル基が好ましく、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでも良い。また、カルボキシル基は、1級、2級又は3級の炭素原子に結合している。該カルボン酸塩として、具体的には、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸]等の塩が挙げられ、これらの中でも、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、バーサチック酸の塩が好ましい。
上記希土類元素のアルコキサイドとしては、下記一般式(6):
(R16O)32 ・・・(6)
(式中、R16は炭素数1〜20のヒドロカルビル基で、M2は周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。R16Oで表されるアルコキシ基としては、2−エチル−ヘキシルオキシ基、オレイルオキシ基、ステアリルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、2−エチル−ヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基が好ましい。
上記希土類元素のβ−ジケトン錯体としては、上記希土類元素のアセチルアセトン錯体、ベンゾイルアセトン錯体、プロピオニトリルアセトン錯体、バレリルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体等が挙げられる。これらの中でも、アセチルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体が好ましい。
上記希土類元素のリン酸塩及び亜リン酸塩としては、上記希土類元素と、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸等との塩が挙げられ、これらの中でも、上記希土類元素と、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸との塩が好ましい。
上記希土類元素含有化合物の中でも、ネオジムのリン酸塩、及びネオジムのカルボン酸塩がさらに好ましく、特にネオジムの2−エチルヘキサン酸塩、ネオジムのネオデカン酸塩、ネオジムのバーサチック酸塩等のネオジムの分岐カルボン酸塩が最も好ましい。
また、(a)成分は、上記希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物でも良い。該反応物は、ルイス塩基によって、希土類元素含有化合物の溶剤への溶解性が向上しており、また、長期間安定に貯蔵することができる。上記希土類元素含有化合物を溶剤に容易に可溶化させるため、また、長期間安定に貯蔵するために用いられるルイス塩基は、希土類元素1モル当り0〜30モル、好ましくは1〜10モルの割合で、両者の混合物として、又は予め両者を反応させた生成物として用いられる。ここで、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコールが挙げられる。
以上に述べた(a)成分としての希土類元素含有化合物又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物は、一種単独で使用することも、二種以上を混合して用いることもできる。
本発明において、末端活性重合体の重合に用いる触媒系の(b)成分である上記一般式(4)で表される有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(b)成分としての有機アルミニウム化合物は、一種単独で使用することも、二種以上を混合して用いることもできる。
本発明において、末端活性重合体の重合に用いる触媒系の(c)成分は、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物からなる群から選択される少なくとも一種のハロゲン化合物である。
上記ルイス酸は、ルイス酸性を有し、炭化水素に可溶である。具体的には、二臭化メチルアルミニウム、二塩化メチルアルミニウム、二臭化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二臭化ブチルアルミニウム、二塩化ブチルアルミニウム、臭化ジメチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジブチルアルミニウム、塩化ジブチルアルミニウム、セスキ臭化メチルアルミニウム、セスキ塩化メチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化ジブチルスズ、三臭化アルミニウム、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化スズ、四塩化ケイ素等が例示できる。これらの中でも、塩化ジエチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、及び二臭化エチルアルミニウムが好ましい。
また、トリエチルアルミニウムと臭素の反応生成物のようなアルキルアルミニウムとハロゲンの反応生成物を用いることもできる。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチル−ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モル当り、通常0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
また、(d)成分であるアルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、クロロアルミノキサン等が挙げられる。(d)成分としてアルミノキサンを加えることで、分子量分布がシャープになり、触媒としての活性も向上する。
本発明で使用する触媒系の各成分の量又は組成比は、その目的又は必要性に応じて適宜選択される。このうち、(a)成分は、1,3−ブタジエン 100gに対し、0.00001〜1.0ミリモル用いるのが好ましく、0.0001〜0.5ミリモル用いるのがさらに好ましい。(a)成分の使用量を上記範囲内にすることによって優れた重合活性が得られ、脱灰工程の必要性がなくなる。
また、(a)成分と(b)成分の割合は、モル比で、(a)成分:(b)成分が通常1:1〜1:700、好ましくは1:3〜1:500である。
さらに、(a)成分と(c)成分中のハロゲンの割合は、モル比で、通常1:0.1〜1:30、好ましくは1:0.2〜1:15、さらに好ましくは1:2.0〜1:5.0である。
また、(d)成分中のアルミニウムと(a)成分との割合は、モル比で、通常1:1〜700:1、好ましくは3:1〜500:1である。これらの触媒量又は構成成分比の範囲内にすることで、高活性な触媒として作用し、また、触媒残渣を除去する工程の必要性がなくなるため好ましい。
また、上記の(a)〜(c)成分以外に、重合体の分子量を調節する目的で、水素ガスを共存させて重合反応を行っても良い。
触媒成分として、上記の(a)成分、(b)成分、(c)成分及び必要により用いられる(d)成分以外に、必要に応じて、1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体を少量、具体的には、(a)成分の化合物1モル当り0〜1000モルの割合で用いても良い。触媒成分としての1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体は必須ではないが、これを併用すると、触媒活性が一段と向上する利点がある。
上記触媒の製造は、例えば、溶媒に(a)成分〜(c)成分を溶解させ、さらに必要に応じて、1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体を反応させる。
その際、各成分の添加順序は、特に限定されず、さらに(d)成分としてアルミノキサンを添加しても良い。重合活性の向上、重合開始誘導期間の短縮の観点からは、これら各成分を、予め混合して、反応させ、熟成させることが好ましい。
ここで、熟成温度は、0〜100℃程度であり、20〜80℃が好ましい。0℃未満では、充分に熟成が行われにくく、100℃を超えると、触媒活性の低下や、分子量分布の広がりが起こる場合がある。
また、熟成時間は、特に制限なく、重合反応槽に添加する前にライン中で接触させることでも熟成でき、通常は、0.5分以上あれば充分であり、数日間は安定である。
上記末端活性を有する共役ジエン(共)重合体の製造においては、前記ランタン系列希土類元素含有化合物を含む触媒系を用いて有機溶媒中で、共役ジエン単量体単独又は、共役ジエン単量体と他の共役ジエン単量体の溶液重合を行なうことによって得られる。ここで、重合溶媒としては、不活性の有機溶媒を用いる。不活性の有機溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
これらの中でも、炭素数5〜6の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が特に好ましい。これらの溶媒は、一種単独で使用してもよく、二種以上を混合して使用しても良い。
この配位アニオン重合に用いられる溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
本発明において、配位アニオン重合反応における温度は、好ましくは−80〜150℃、より好ましくは−20〜120℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
配位アニオン重合反応により得られた活性末端を有する共役ジエン(共)重合体の該活性末端を変性する場合は、上述の予備変性反応工程において予めヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させた後、加水分解によりシラノール基を生成する特性基と、該特性基の近傍に(i)該活性部位に付加もしくは置換反応を行う事によって有機シラン化合物と該共役ジエン(共)重合体とを結合し且つ該反応後に該シラノール基と補強性充填材との反応を促進する官能基又は(ii)該シラノール基と補強性充填材との反応を促進する官能基とを有する有機シラン化合物を反応させることが変性反応を円滑に進める見地から好ましい。
上述のアニオン重合及び配位アニオン重合においては、重合開始剤、溶媒、単量体等、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を除去したものを用いることが望ましい。
上記重合反応は、回分式及び連続式のいずれで行っても良い。
このようにして活性末端を有する共役ジエン(共)重合体が得られる。
本発明に係る変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン部分のシス−1,4結合量が30%以上であることが好ましい。30%未満であると、ゴム組成物の低温特性が悪化し、タイヤの氷上性能が悪化するからである。
(補強性充填材(C))
本発明のタイヤに用いるゴム組成物は、上記ゴムマトリックス(A)100質量部に対して、含水ケイ酸(C1)を含む上記補強性充填材(C)5〜200質量部、好ましくは20〜200質量部、更に好ましくは20〜150質量部、一層好ましくは20〜120質量部、特に好ましくは30〜100質量部を含むものである。補強性充填材(C)が5質量部未満であると、高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)と補強性充填材(C)との相互作用を享受することができず、補強性充填材(C)が200質量部を超えるとタイヤの転がり抵抗が著しく大きくなるからである。本発明においては、含水ケイ酸(C1)を含む上記補強性充填材(C)は、更に、カーボンブラックを含むことが好ましい。
前記一般式(2)又は前記一般式(3)で表わされる高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)は、カーボンブラックとシリカ(含水ケイ酸)の双方と好適に反応するので、ゴムマトリックスを前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)と天然ゴムとの併用としたとき、天然ゴム中に多く存在し勝ちなシリカ(含水ケイ酸)と前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)との反応により、前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)中にシリカ(含水ケイ酸)がより多く分配され、トレッドゴム組成物の−20℃における動的貯蔵弾性率E'が著しく小さくなるため、−20℃におけるトレッドの柔軟性が高くなり、氷上性能が更に向上する。
また、前記一般式(2)又は前記一般式(3)で表わされる官能基を分子鎖末端に有する高分子量変性共役ジエン系重合体は、カーボンブラックとシリカ(含水ケイ酸)の双方と好適に反応するので、カーボンブラックとシリカ(含水ケイ酸)の双方の分散性が向上し、トレッドゴム組成物の30℃における動的貯蔵弾性率E'が大きくなるため、本発明の冬用タイヤのドライ操縦安定性能が向上する。
上述の観点から、ゴムマトリックスとしては、前記変性共役ジエン系重合体と天然ゴムとの併用(変性共役ジエン系重合体10〜100質量%と天然ゴム90〜0質量%)がより好ましく、補強性充填材としてカーボンブラックとシリカ(含水ケイ酸)の併用(カーボンブラック10〜90質量%とシリカ(含水ケイ酸)90〜10質量%、より好ましくは、カーボンブラック20〜80質量%とシリカ(含水ケイ酸)80〜20質量%)が更に好ましい。
[含水ケイ酸(C1)]
本発明で用いる構造性の含水ケイ酸(C1)は、シリカやカーボンブラックなどで一般に測定されている方法で測定した特性値が、次のような指標で表すことができる構造(一次凝集)を持つことが特徴であり、次のような関係を満たすことで確認できる。
即ち、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m/g)と音響式粒度分布測定によって求められる一次凝集体の直径の最頻値Aac(nm)とが、下記式(c−1):
ac≧−0.76×(CTAB)+274・・・(b−1)
を満たし、さらにその灼熱減量(750℃で3時間加熱した時の質量減少%)と加熱減量(105℃で2時間加熱した時の質量減少%)とが下記式(c−2):
(灼熱減量)−(加熱減量)≦3・・・(b−2)
を満たす含水ケイ酸(C1)であることが好ましく、このような含水ケイ酸(C1)と上記ゴムマトリックス(A)とを併用したゴム組成物を用いたタイヤは、優れた転がり抵抗、ウエット性能及び耐摩耗性を示す。
(CTAB:含水ケイ酸(C1)の比表面積)
セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)は、含水ケイ酸表面に対するセチルトリメチルアンモニウムブロミドの吸着量から算出した含水ケイ酸の比表面積(m/g)である。
CTABの測定は、ASTM D3765-92記載の方法に準拠して行うことができる。ASTM D3765-92記載の方法は、カーボンブラックのCTABを測定する方法であるので、若干の修正を加える。即ち、カーボンブラックの標準品を使用せず、セチルトリメチルアンムニウムブロミド(以下、CE-TRABと略記する)標準液を調製し、これによって含水ケイ酸OT(ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)溶液の標定を行い、含水ケイ酸表面に対するCE-TRAB1分子当たりの吸着断面積を0.35nm2としてCE-TRABの吸着量から、比表面積を算出する。
本発明で用いる含水ケイ酸は、CTABが50〜250m/g、好ましくは100〜200m/gであることが望ましい。CTABが50m/g未満であるとゴム組成物の貯蔵弾性率が著しく低下し、250m/gより大きいと未加硫時のゴム組成物の粘度が上昇するおそれがある。
(Aac:含水ケイ酸(C1)の粒度分布径)
:含水ケイ酸の粒子径として、音響式粒度分布測定装置によって測定した径(音響式粒度分布径)が構造性の発達の指標になる。含水ケイ酸の粒子は、微粒径の粒子が一次凝集したものと、僅かに二次凝集しているものも含んでいる。
音響式粒度分布測定装置による測定は、含水ケイ酸の0.01M KCl水溶液を超音波で5分間分散処理し、泡を除去して二次凝集体を破壊した後、測定する。含水ケイ酸の一次凝集体の粒径と粒子数の分布が得られ、このうち、最も頻度が多く現われた粒子の直径をAac(nm)とすると、
ac≧−0.76×(CTAB)+274・・・(b−1)
を満足する含水ケイ酸(C1)であることが好ましく、このような含水ケイ酸(C1)と上記ゴムマトリックス(A)とを併用したゴム組成物を用いたタイヤは、優れた転がり抵抗、ウエット性能及び耐摩耗性を示す。Aacが、この条件を満たさない時、転がり抵抗、ウエット性能及び耐摩耗性のいずれか又は全部が低下する。さらに、Aacは、1μm以下であることが好ましい。1μmより大きいと含水ケイ酸が破壊核となり、ゴム組成物の力学的特性が損なわれるおそれがある。
(含水ケイ酸(C1)の加熱減量及び灼熱減量)
さらに、本発明で用いる含水ケイ酸(C1)は、その灼熱減量(750℃で3時間加熱した時の質量減少%)と加熱減量(105℃で2時間加熱した時の質量減少%)とが下記式(c−2):
(灼熱減量)−(加熱減量)≦3・・・(b−2)
を満たすことが好ましい。
加熱減量及び灼熱減量は、JIS K6220-1ゴム用配合剤の試験方法に準じて行い、加熱減量は通常105±2℃で2時間加熱した時の質量の減少%、灼熱減量は通常750±25℃で3時間強熱した時の質量の減少%である。
(含水ケイ酸(C1)の使用量)
本発明で用いる含水ケイ酸(C1)の使用量は、好ましくはゴムマトリックス(A)100質量部に対して、10〜200質量部であり、より好ましくは、20〜150質量部である。
(含水ケイ酸(C1)の製造)
本発明で使用する含水ケイ酸(C1)は、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸アルカリ塩水溶液を硫酸等の鉱酸で中和することにより含水ケイ酸を析出、沈殿させる方法、いわゆる沈殿法含水ケイ酸の製造方法に準じて製造される。例えば、予め一定量の温水を張り込んだ反応容器中に、pH、温度を制御しながらケイ酸ナトリウムおよび硫酸を入れ、一定時間して含水ケイ酸スラリーを得る。続いて、該含水ケイ酸スラリーをフィルタープレス等のケーキ洗浄が可能なろ過機により濾別、洗浄して副生電解質を除去した後、得られた含水ケイ酸ケーキをスラリー化し、噴霧乾燥機等の乾燥機を用いて乾燥し製造される。
(無機充填材)
なお、補強性充填材以外に、所望により、以下の無機充填材を配合しても良い。例えば、アルミナ(Al23)、アルミナ−水和物(Al23・H2O)、水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。
(シランカップリング剤)
本発明では、シランカップリング剤を用いることが好ましい。シランカップリング剤は含水ケイ酸(C1)表面に残存するシラノール基とゴム成分ポリマーと反応して、含水ケイ酸(C1)とゴムマトリックス(A)との結合橋として作用し補強相を形成する。本発明で用いられるシランカップリング剤は、好ましくは下記一般式(d−1)、(d−2)及び(d−3):
m3-mSi-(CH2)a-Sb-(CH2)a-SiAm3-m・・・(d−1)
[式中、AはCn2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルル基であり、mは1〜3の整数、aは1〜9の整数、bは1以上の整数で分布を有していてもよい。但し、mが1の時、2つのBは同一でも異なってもよく、mが2又は3の時、2つ又は3つのAは同一でも異なってもよい。]
m3-mSi-(CH2)c-Y・・・(d−2)
[式中、AはCn2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルル基であり、Yはメルカプト基、ビニル基、アミノ基、グリシドキシ基又はエポキシ基であり、mは1〜3の整数、cは0〜9の整数である。但し、mが1の時、2つのBは同一でも異なってもよく、mが2又は3の時、2つ又は3つのAは同一でも異なってもよい。]
m3-mSi-(CH2)a-Sb-Z・・・(d−3)
[式中、AはCn2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基であり、Zはベンゾチアゾリル基、N,N-ジメチルチオカルバモイル基又はメタクリロイル基であり、mは1〜3の整数、aは1〜9の整数、bは1以上の整数で分布を有していてもよい。但し、mが1の時、2つのBは同一でも異なってもよく、mが2又は3の時、2つ又は3つのAは同一でも異なってもよい。]で表される化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種である。
具体的には、一般式(d-1)で表されるシランカップリング剤としては、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス-(3-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィドが挙げられ、
一般式(d-2)で表されるシランカップリング剤としては、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられ、
一般式(d-3)で表されるシランカップリング剤としては、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィドが挙げられる。
シランカップリング剤の使用量は、含水ケイ酸(C1)の配合量の1〜20質量%が好ましい。使用量が1質量%未満では、十分なカップリング効果が得られないことがあり、20質量%を超えると、ポリマーのゲル化を引き起こすことがある。
(カーボンブラック)
本発明のタイヤに用いるゴム組成物では、含水ケイ酸(C1)と共にカーボンブラックを補強用充填材として用いることができる。カーボンブラックを配合することによって、ゴム組成物の耐摩耗性を向上することができる。なお、カーボンブラックとしては、例えば、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、N285、N339、HAF−HS、HAF、HAF−LSグレードのもの等が挙げられ、GPF,FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFグレードのものが好ましく、HAF,ISAF,SAFグレードのものが更に好ましい。また、窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)が70〜200m2/gであることが好ましく、特に好ましくは85〜180m2/gである。
カーボンブラックの使用量は、好ましくはゴムマトリックス(A)100質量部に対して80質量部以下で、カーボンブラックと含水ケイ酸(C1)を合わせた総配合量が200質量部以下であることが好ましい。総配合量をゴムマトリックス(A)100質量部に対して200質量部以下とすることで、低発熱性及び耐摩耗性を十分に向上させることができる。
ここで、含水ケイ酸(C1)とカーボンブラックの総配合量の20質量%以上が含水ケイ酸(C1)であることが好ましい。含水ケイ酸(C1)の配合量を含水ケイ酸(C1)とカーボンブラックの総配合量の20質量%以上とすることで、転がり抵抗、ウエット性能及び耐摩耗性をバランスよく十分に向上させることができる。
(微粒子)
本発明のタイヤに用いるゴム組成物は、所望により、ゴムマトリックス100質量部に対して、平均長径5〜1000μm、好ましくは5〜500μmの微粒子を好ましくは3〜30質量部、より好ましくは3〜15質量部を含んでも良い。
この微粒子は、(1)トレッド表面で氷上路面を引っ掻き、氷上グリップ性を向上する効果や、(2)微粒子がトレッドから脱離して、トレッドの表層部(トレッド表面及びその近傍)に穴部を形成し、氷上の氷から融解した水を排水する効果を奏する。微粒子の平均長径とは、平均最大径をいう。
ここで、微粒子の平均長径として5μm以上であることが好ましいのは、引っ掻き効果により氷上性能がより向上するからであり、微粒子の平均長径として1000μm以下であることが好ましいのは、耐磨耗性や耐破壊性がより向上するからである。
また、微粒子を3質量部以上含むことが好ましいのは、氷上性能がより向上するからであり、微粒子を15質量部以下含むことが好ましいのは、耐磨耗性や耐破壊性がより向上するからである。
平均長径は、電子顕微鏡で100個の微粒子を無作為に選び、夫々の長径を測定し、測定した100個の長径を相加平均したものである。
また、微粒子は、そのアスペクト比が1.1以上であることが好ましく、且つ角部が存在していることが好ましい。より好ましくはアスペクト比が1.2以上、更に好ましくは1.3以上である。ここで、角部が存在するとは、表面の全てが球面或いは滑らかなカーブ面でないことを意味する。本発明の微粒子には最初から角部を有する微粒子も使用できるが、微粒子が球形状であっても粉砕することにより、微粒子表面に角部を存在させて使用することができると共に、より多くの角部を存在させることができる。
本発明のゴム組成物に配合される前記微粒子は、上述のものに限られず、タイヤの加硫によっても軟化することなく微粒子として加硫後に存在するものであれば良い。前記微粒子としては、モース硬度が2以上である微粒子が好ましく、例えば、石膏微粒子、方解石微粒子、蛍石微粒子、正長石微粒子、石英微粒子、金剛石微粒子、鉄微粒子、卵殻粉、酸化ジルコニウム微粒子、炭酸カルシウム系微粒子、シリカ微粒子、珪灰石微粒子、アルカリ長石微粒子、天然酸化珪素微粒子、多孔質天然ガラス(例えばモース硬度5)微粒子等の無機微粒子、胡桃殻その他の種子の殻や果実の核等の植物性微粒子、(メタ)アクリル系硬化樹脂微粒子、エポキシ硬化樹脂微粒子等の有機硬化微粒子、酸化亜鉛ウィスカー(たとえば、松下アムテック(株)製のパナテトラ(テトラポット形状酸化亜鉛))、沖縄県産の星の砂、グラスファイバー、アルミニウムウイスカー、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリビニルホルマール繊維、芳香族ポリアミド繊維等のタイヤの加硫温度では軟化又は溶融しない短繊維、膨張黒鉛、熱膨張マイクロカプセル、シラスバルーン等が挙げられるが、更に好ましくは、モース硬度5以上のシリカガラス(モース硬度6.5)、石英(モース硬度7.0)、溶融アルミナ(モース硬度9.0)等を挙げることができる。中でも単結晶アルミナ、多結晶アルミナ等のアルミナ(酸化アルミニウム)、シリカガラス等が安価で容易に使用することができるので特に好ましい。
上述の膨張黒鉛は、黒鉛粒子の層間に熱により気化する物質を内包する粒子サイズとして平均長径が30〜600μm、好ましくは100〜350μmの粉体物質であり、加硫時の熱によって膨張して黒鉛膨張体(Expanded Graphite)となることが好ましい。
膨張黒鉛は炭素原子から形成されたシートが層状に重なり、その層間に気化性層間物質を含む構造をしており、例えば加熱によりその層間物質が気化膨張し、黒鉛膨張体となる。膨張処理前は材質が硬いために混合による品質低下が起りにくく、また一定温度にて不可逆的に膨張するため、タイヤの加硫によってゴムマトリックス内部に空間を伴う異物を容易に形成させることができる。このようなゴムを用いたタイヤのトレッド部は他の微粒子と同様に摩耗時に表面凹凸が適度に形成され、氷とタイヤの接触面上の水膜を効率よく除去することによって氷上摩擦力の向上に動く。
膨張開始温度が190℃以下の膨張黒鉛としては、例えば巴工業より米国のUCAR Graphtech社製の「グラフガード160−50」又は「グラフガード160−80」等が市販されており、入手可能である。膨張黒鉛は用語的には酸処理を行った直後の未膨張品を示すが、熱処理後の既膨張品のことを呼ぶ場合もある。本発明にてゴム組成物として配合される膨張黒鉛は熱処理前の未膨張品である。
また、上述の熱膨張マイクロカプセルは、熱により気化、分解又は化学反応して気体を発生する液体又は固体を熱可塑性樹脂に内包した粉体粒子であり、その膨張開始温度以上の温度、通常140〜190℃の温度で加熱すると膨張し、その熱可塑性樹脂からなる外殻中に気体が封じ込められるものであり、この熱可塑性樹脂粒子の平均長径は膨張前で5〜300μmであるものが好ましく、更に好ましくは平均長径10〜200μmのものである。
このような熱膨張性熱可塑性樹脂粒子としては、例えば、現在、スウェーデンのEXPANCEL社より商品名「エクスパンセル091DU−80」又は「エクスパンセル092DU−120」等として、あるいは松本油脂社より商品名「マツモトマイクロスフェアーF−85」又は「マツモトマイクロスフェアーF−100」等として入手可能である。
上述のように、前記微粒子がトレッドから脱離して、トレッドの表層部(トレッド表面及びその近傍)に穴部を形成することが好ましく、このためには、微粒子がトレッドゴム組成物と加硫接着しないか加硫接着強度が低いことが望ましい。
本発明のタイヤに用いるゴム組成物に前記微粒子を配合する場合、微粒子を含む非線状の微粒子含有樹脂体として配合しても良い。ここで、微粒子含有樹脂体は、ゴムマトリックス100質量部に対して3〜30質量部配合することが好ましく、微粒子含有樹脂体の平均粒径が10〜1000μmであることが好ましい。この樹脂体は、タイヤの加硫時にゴム組成物の温度が加硫最高温度に達するまでの間に該ゴム組成物のマトリックス中で溶融又は軟化するものであり、上述のタイヤの加硫時に溶融又は軟化する短繊維と同様の材料からなる。なお、微粒子含有樹脂体の平均粒径の測定方法は、微粒子の平均長径の測定方法と同様である。
また、タイヤの加硫時にゴム組成物の温度が加硫最高温度に達するまでの間に該ゴム組成物のマトリックス中で溶融又は軟化する上述の短繊維中に微粒子を含有させ、この微粒子含有短繊維として配合しても良い。タイヤの加硫時に溶融又は軟化する短繊維の構成及び材料は、上述の通りである。微粒子含有短繊維の配合量は、本発明のゴム組成物のゴムマトリックス100質量部に対し3〜20質量部であることが好ましく、3〜15質量部であることが更に好ましい。
(発泡剤)
本発明のタイヤに用いるゴム組成物においては、ゴムマトリックス(A)100質量部に対して、発泡剤1〜15質量部が配合されることが好ましい。
この発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンやベンゼンスルホニルヒドラジド誘導体、p,p'−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、二酸化炭素を発生する重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、窒素を発生するニトロソスルホニルアゾ化合物、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソフタルアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、p,p'−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド等が挙げられる。これら発泡剤の中でも、製造加工性の観点から、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)が好ましい。また、これら発泡剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
上記発泡剤の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて粒子状、液状等の中から適宜選択することができる。なお、発泡剤の形態は、例えば顕微鏡等を用いて観察することができる。また、粒子状の発泡剤の平均粒径は、例えば、コールターカウンター等を用いて測定することができる。
また、上記発泡剤には、発泡助剤として尿素、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛や亜鉛華等を併用するのが好ましい。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。発泡助剤を併用することにより、発泡反応を促進して反応の完結度を高め、経時的に不要な劣化を抑制することができる。
(気泡率)
本発明のタイヤのトレッドは、ゴムマトリックス中に気泡を気泡率として5〜50体積%有することが好ましい。気泡率(Vs)は、次式により算出できる。
Vs=(ρ0/ρ1−1)×100(%)
(式中、ρ1は加硫後のゴム組成物の密度(g/cm3)を表し、ρ0は加硫後のゴム組成物における固相部の密度(g/cm3)を表す。)
なお、加硫後のゴム組成物の密度及び加硫後のゴム組成物における固相部の密度は、エタノール中の質量と空気中の質量を測定し、これから算出される。また、気泡率(Vs)は、前述した発泡剤及び発泡助剤の種類、量等により適宜変化させることができる。
気泡率が5体積%以上であることが好ましいのは、氷上性能をより向上し得るからであり、気泡率が50体積%以下であることが好ましいのは、耐磨耗性や耐破壊性がより向上するからである。
(短繊維)
本発明のタイヤに用いるゴム組成物は、熱可塑性樹脂からなる短繊維であって、該短繊維が加硫時にゴム組成物の温度が加硫最高温度に達するまでの間に該ゴム組成物のマトリックス中で溶融又は軟化することを特徴とする短繊維を含有しても良い。ここで、該短繊維の配合量は、前記ゴムマトリックス100質量部に対し0.2〜10質量部であり、好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫最高温度とは、加硫時におけるゴム組成物が達する最高温度を意味する。例えば、モールド加硫の場合には、ゴム組成物がモールド内に入ってからモールドを出て冷却されるまでの間にゴム組成物が達する最高温度を意味する。該加硫最高温度は、例えば、ゴム組成物中に熱電対を埋め込むこと等により測定することができる。
本発明の冬用タイヤに係るゴム組成物が前記短繊維を含有すると、加硫後、トレッド中に長尺状気泡が存在し、該トレッドの摩耗によって長尺状気泡が表面に露出して穴部が形成され、効率的な排水を行う排水路として機能する。ここで、穴部とは、穴状、窪み状及び溝状のいずれの形状であっても良い。また、トレッドの穴部の表面が溶融又は軟化した短繊維が固化した保護層で被覆されているため、水路形状保持性、水路エッジ部摩耗性、荷重入力時の水路保持性等にも優れる。保護層の厚みとしては、0.5〜50μmが好ましい。
前記短繊維の素材としては、前記熱特性を有する熱可塑性樹脂である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。上記熱特性を有する短繊維としては、例えば、その融点が前記加硫最高温度よりも低い結晶性高分子からなる短繊維等が好適に挙げられる。該結晶性高分子からなる短繊維を例に説明すると、該短繊維の融点と、前記ゴム組成物の加硫最高温度との差が大きくなる程、前記ゴム組成物の加硫中に速やかに該短繊維が溶融する。一方、短繊維の融点が、ゴム組成物の加硫最高温度に近くなり過ぎると、加硫初期に速やかに該短繊維が溶融せず、加硫終期に短繊維が溶融する。加硫終期では、該短繊維内に存在していた空気が拡散し、加硫したゴム組成物中に分散乃至取り込まれてしまっており、溶融した短繊維内には充分な量の空気が保持されない。他方、短繊維の融点が低くなり過ぎると、ゴム組成物の混練り時の熱で短繊維が溶融し、混練りの段階で短繊維同士の融着による分散不良、混練りの段階で短繊維が複数に分断されてしまう、短繊維がゴム組成物中に溶け込んでミクロに分散してしまう等の不都合が生じ好ましくない。
前記短繊維の融点(又は軟化点)の上限としては、特に制限はないものの、以上の点を考慮して選択するのが好ましく、一般的には、前記ゴム組成物の加硫最高温度よりも、10℃以上低いのが好ましく、20℃以上低いのがより好ましい。ゴム組成物の工業的な加硫温度は、一般的には最高で約190℃程度であるが、例えば、加硫最高温度がこの190℃に設定されている場合には、前記短繊維の融点としては、通常190℃以下の範囲で選択され、180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。一方、ゴム組成物の混練りを考慮すると、前記短繊維の融点(又は軟化点)としては、混練り時の最高温度に対して、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が特に好ましい。前記ゴム組成物の混練りでの最高温度を例えば95℃と想定した場合には、前記短繊維の融点としては、100℃以上が好ましく、105℃以上がより好ましく、115℃以上が特に好ましい。なお、前記短繊維の融点は、それ自体公知の融点測定装置等を用いて測定することができ、例えば、DSC測定装置を用いて測定した融解ピーク温度を前記融点とすることができる。
前記短繊維は、前述の結晶性高分子から形成されていてもよいし、非結晶性高分子から形成されていてもよいし、結晶性高分子と非結晶性高分子とから形成されていてもよいが、本発明においては、相転移があるために粘度変化がある温度で急激に起こり、粘度制御が容易な点で結晶性高分子を含む有機素材から形成されているのが好ましく、結晶性高分子のみから形成されるのがより好ましい。
前記結晶性高分子としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、シンジオタクティック-1,2-ポリブタジエン(SPB)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の単一組成重合物や、共重合、ブレンド等により融点を適当な範囲に制御した
ものも使用でき、更にこれらに添加剤を加えたものも使用できる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これら結晶性高分子の中でも、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体が好ましく、汎用で入手し易い点でポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)がより好ましく、融点が低く、取扱いが容易な点でポリエチレン(PE)が特に好ましい。
また、前記非結晶性高分子としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル、これらの共重合体、これらのブレンド物等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。また、前記結晶性高分子と前記非結晶性高分子とを併用してもよい。
前記短繊維の繊度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記氷雪上性能を向上させる観点からは、1〜1100dTexが好ましく、2〜900dTexがより好ましい。また、前記短繊維の平均径(D)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該短繊維を含むゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴム中に、後述のミクロな排水溝として機能し得る長尺状気泡を効率良く形成するためには、0.03〜0.3mmが好ましく、0.06〜0.25mmがより好ましい。平均径(D)が、0.03mm未満であると、長尺状の円柱発泡溝が形成されにくくなり、また前記短繊維の製造時に糸切れが多く発生する点で好ましくなく、0.3mmを超えると、前記短繊維の平均径(直径)が大きくなり、同一配合量では円柱発泡溝の数が減少して、排水効率が悪くなる傾向がある。
[ゴム組成物]
本発明のタイヤに用いるゴム組成物には、上記重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)、上記重合体(B)、上記含水ケイ酸(C1)の他に、前述のカーボンブラック等の充填材及びシランカップリング剤等に加えて、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。本発明のタイヤに用いるゴム組成物は、上記重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)、(B)及び含水ケイ酸(C1)に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明のタイヤに用いるゴム組成物には、所望により前記ゴムマトリックス100質量部に対して、更に軟化剤1〜50質量部を配合しても良い。軟化剤を配合することにより加工性が改良されるからである。
なお、低分子量変性共役ジエン系重合体と軟化剤との双方を配合する場合は、前記低分子量変性共役ジエン系重合体と前記軟化剤との合計配合量が、ゴムマトリックス100質量部に対して、6〜60質量部であることが好ましい。6質量部以上であると加工性が改良されるからであり、60質量部以下であると耐摩耗性及び耐破壊特性が向上するからである。これらの観点から前記低分子量変性共役ジエン系重合体と前記軟化剤との合計配合量は6〜55質量部であることが好ましく、6〜50質量部であることが更に好ましい。
本発明のタイヤに用いるゴム組成物において、所望により配合される軟化剤としては、流動点の低い(例えば、流動点−10〜−60℃程度、好ましくは流動点−20〜−60℃、更に好ましくは流動点−30〜−60℃)ナフテン系プロセスオイルやパラフィン系プロセスオイル等のプロセスオイル、あるいはジブチル・フタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチル・ベンジル・フタレート、ジ−n−オクチル・フタレート等の可塑剤が挙げられる。
本発明のタイヤに用いるゴム組成物は、硫黄架橋性であることが好ましく、加硫剤として硫黄が好適に用いられる。その使用量としては、ゴムマトリックス100質量部に対し、硫黄分(硫黄及び硫黄供与剤の硫黄分の合計量)を0.1〜10質量部配合することが好ましい。この範囲であれば、加硫ゴム組成物の必要な弾性率及び強度を確保すると共に低燃費性を得ることができるからである。この観点から、硫黄分を0.5〜7質量部配合することが更に好ましい。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴムマトリックス100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
更に、本発明のタイヤに用いるゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。その使用量は、ゴムマトリックス100質量部に対して、0.1〜6.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5.0質量部である。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とし、上記ゴム組成物をトレッドに用いることが好ましい。上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、バランスよく、氷上性能、操縦安定性、転がり抵抗及び耐摩耗性に優れる。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。例えば、それらは、タイヤのトレッドストック、サイドウォールストック、又は他のタイヤ部材ストック配合物等の種々のゴム製品に使用することができる。
本発明のタイヤに用いるゴム組成物は、前記配合処方により、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、押出成形後、タイヤ成形機上で通常の方法により成型され、生タイヤが形成された後、加硫が行われ、タイヤのトレッドとなる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(重合体の物性評価)
本発明に係る高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)及び低分子量変性共役ジエン系重合体(B)の変性前の重量平均分子量(Mw)、結合スチレン含有量及びビニル結合含有量を下記の方法に従って測定した。
(変性前の重量平均分子量(Mw))
GPC[東ソー製、HLC−8020]により検出器として屈折計を用いて測定し、単分散ポリスチレンを標準としたポリスチレン換算で示した。なお、カラムはGMHXL[東ソー製]で、溶離液はテトラヒドロフランである。
(結合スチレン含有量)
1H-NMRでスペクトルの積分比を算出することにより求めた。
(ビニル結合含有量)
赤外法(モレロ法)により求めた。
(重合体の製造)
製造例1:高分子量未変性共役ジエン系重合体A1Xの製造
乾燥し、窒素置換された内容積約900mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー100g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.015mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.50mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。その後さらに、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応停止をおこない、さらに,常法に従い乾燥することにより重合体A1Xを得た。得られた未変性の重合体A1Xのビニル結合含有量は20%、重量平均分子量(Mw)は300,000であった。
製造例2:高分子量変性共役ジエン系重合体A1Aの製造
乾燥し、窒素置換された内容積約900mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー100g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.015mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.50mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。この重合系にテトラエトキシシラン0.50mmolをシクロヘキサン溶液として加え50℃において30分攪拌した。その後さらに、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応停止をおこない、さらに,常法に従い乾燥することにより重合体A1Aを得た。得られたケイ素含有官能基変性の重合体A1Aのビニル結合含有量は20%、重量平均分子量(Mw)は300,000であった。
製造例3:高分子量変性共役ジエン系重合体A1Bの製造
乾燥し、窒素置換された内容積約900ミリリットルの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー100g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.015mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.50mmolのリチウムヘキサメチレンイミド(HMILi)を加えた後、撹拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行なった。重合転化率は、ほぼ100%であった。その後さらに、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応停止をおこない、さらに、常法に従い乾燥することにより、重合体A1Bを得た。得られた窒素含有官能基変性の重合体A1Bのビニル結合含有量は20%、重量平均分子量(Mw)は300,000であった。
製造例4:低分子量未変性共役ジエン系重合体BXの製造
乾燥し、窒素置換された内容積約900mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー25g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.015mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.50mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。その後さらに、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応停止をおこない、さらに,常法に従い乾燥することにより、重合体BXを得た。得られた未変性の重合体BXのビニル結合含有量は20%、重量平均分子量(Mw)は80,000であった。
製造例5:低分子量変性共役ジエン系重合体B1の製造
乾燥し、窒素置換された内容積約900mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー25g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.015mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.50mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。この重合系に四塩化錫0.50mmolをシクロヘキサン溶液として加え50℃において30分攪拌した。その後さらに、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応停止をおこない、さらに,常法に従い乾燥することにより重合体B1を得た。得られたスズ含有官能基変性の重合体B1のビニル結合含有量は20%、重量平均分子量(Mw)は80,000であった。
(含水ケイ酸(C1)の製造)
製造例6:含水ケイ酸C1Aの製造
攪拌機を備えた容量180Lのジャケット付ステンレス製反応槽に、水93Lとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 160g/L、SiO2/Na2Oモル比3.3)0.6Lを入れ96℃に加熱した。得られた溶液中のNa2O濃度は、0.005mol/Lであった。この溶液の温度を96℃に維持しながら、上記と同じケイ酸ナトリウム水溶液を540ml/分、硫酸(18mol/L)を24ml/分の流量で同時に滴下した。流量を調整しながら、反応溶液中のNa2O濃度を0.00〜0.01mol/Lの範囲に維持して中和反応を行なった。反応途中から白濁をはじめ、47分目に粘度が上昇してゲル状溶液となった。さらに添加を続けて90分で反応を停止した。反応停止後、反応液温度を96℃に30分間維持した。生じた溶液中のシリカ濃度は55g/Lであった。引き続いて、上記濃度の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得た。得られたケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾過、水洗を行なって湿潤ケーキを得た。次いで、湿潤ケーキを乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥して湿式法含水ケイ酸Aを得た。
製造例7:含水ケイ酸C1Bの製造
製造例C1Aと同じ容器および原料を使用し、水93Lとケイ酸ナトリウム水溶液0.6Lを入れ、78℃に加熱した。得られた溶液中のNa2O濃度は0.005mol/Lであった。この溶液の温度を78℃に維持しながら、上記と同じケイ酸ナトリウム水溶液を540ml/分、硫酸(18mol/L)を24ml/分の流量で同時に滴下した。流量を調整しながら、反応溶液中のNa2O濃度を0.00〜0.01mol/Lの範囲に維持して中和反応を行なった。反応途中から白濁をはじめ、49分目に粘度が上昇してゲル状溶液となった。さらに添加を続けて90分で反応を停止した。反応停止後、反応液温度を78℃に60分間維持した。生じた溶液中のシリカ濃度は55g/Lであった。引き続いて、上記濃度の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得た。以下製造例C1Aと同様な方法で湿式法含水ケイ酸C1Bを得た。
製造例8:含水ケイ酸C1Cの製造
製造例C1Aと同じ容器および原料を使用し、水86Lとケイ酸ナトリウム水溶液0.5Lを入れ、96℃に加熱した。得られた溶液中のNa2O濃度は0.005mol/Lであった。この溶液の温度を96℃に維持しながら、上記と同じケイ酸ナトリウム水溶液を615ml/分、硫酸(18mol/L)を27ml/分の流量で同時に滴下した。流量を調整しながら、反応溶液中のNa2O濃度を0.00〜0.01mol/Lの範囲に維持して中和反応を行なった。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、40分目に粘度が上昇してゲル状溶液となった。さらに添加を続けて90分で反応を停止した。反応停止後、反応液温度を96℃に30分間維持した。生じた溶液中のシリカ濃度は62g/Lであった。引き続いて、上記濃度の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得た。以下製造例C1Aと同様な方法で湿式法含水ケイ酸C1Cを得た。
(含水ケイ酸の物性評価)
上記のようにして製造した実施例1〜4及び比較例5に用いた含水ケイ酸(C1A〜C1C)、比較例1〜4及び6に用いた市販のシリカ充填材N−AQ(東ソー・シリカ社製商品名「Nipsil AQ」)について、CTAB(m/g)、Aac(nm)、式(c−1)右辺値(nm)、式(c−2)左辺値(質量%)を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。また、図1に実施例、比較例で使用した含水ケイ酸(C1)及びシリカ充填材のCTAB(m/g)と音響式粒度分布径Aac(nm)の関係をグラフで示す。
実施例で用いた含水ケイ酸(C1)は、Aac(nm)がAac(nm)=−0.76×(CTAB)+274の直線より上にあって、上記の式(c−1)を満たしているのに対して、比較例で使用したシリカ充填材は、Aac(nm)が小さいことが分かる。また、表2から実施例の含水ケイ酸(C1)は、灼熱減量と加熱減量の差が上記式(c−2)をも満たしている。これらの含水ケイ酸(C1)を上記ゴムマトリックス(A)及び上記重合体(B)と組み合わせて使用することで氷上性能、操縦安定性、転がり抵抗及び耐摩耗性に優れたタイヤが得られた。
Figure 2011089032
(CTABの測定)
ASTM D3765-92記載の方法に準拠して実施した。ASTM D3765-92記載の方法は、カーボンブラックのCTABを測定する方法であるので、若干の修正を加えた。すなわち、カーボンブラックの標準品であるIRB#3(83.0m2/g)を使用せず、別途セチルトリメチルアンムニウムブロミド(以下、CE-TRABと略記する)標準液を調製し、これによって含水ケイ酸OT(ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)溶液の標定を行い、含水ケイ酸表面に対するCE-TRAB1分子当たりの吸着断面積を0.35nm2としてCE-TRABの吸着量から、比表面積(m2/g)を算出した。これは、カーボンブラックと含水ケイ酸とでは表面が異なるので、同一表面積でもCE-TRABの吸着量に違いがあると考えられるからである。
(音響式粒度分布径の測定)
各含水ケイ酸の0.01M KCl水溶液を超音波で5分間分散処理し、泡を除去した後、超音波式粒度分布測定装置DT1200(Dispertion Technology社製)を用いて、含水ケイ酸の1次凝集体の直径の最頻値Aac(nm)を測定した。
(加熱減量及び灼熱減量の測定)
含水ケイ酸サンプルを秤量し、加熱減量の場合は105±2℃でサンプルを2時間加熱し、灼熱減量の場合は750±25℃でサンプルを3時間加熱した後、質量を測定し、加熱前のサンプル質量との差を加熱前の質量に対して百分率で表した。
(ゴム組成物の調製及びタイヤの成形)
上記重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)と前記重合体(B)及び上記含水ケイ酸(C1)を含む補強性充填材(C)を用いて、表2上欄に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物をタイヤ部材としてトレッド部材に用い、通常の加硫条件で加硫して、一層構造のトレッドでタイヤサイズ195/60R15の空気入りタイヤを試作し、下記に示す方法でタイヤ性能を評価した。その結果を表2下欄に示す。
(タイヤ性能評価)
<氷上性能>
氷上路面のテストコースにて、乗用車の4輪全てに供試タイヤを装着して20kmの初速度にて氷上路面上での制動距離を測定し、次式により指数で表した。数値が大きいほど、氷上性能が良好である。
氷上性能(指数)=(比較例1のタイヤの制動距離/供試タイヤの制動距離)×100
<操縦安定性の評価点(乾燥路面における操縦安定性)>
試作したタイヤを乗用車の4輪に装着し、このテスト車輌にてテストドライバーがテストコース走行を行った。テストドライバーによる各タイヤの乾燥路面における操縦安定性および乗り心地についてのフィーリング結果につき、コントロールタイヤ(比較例1)との対比にて、以下に示す評価基準に従い評点付けを行った。
+4:一般ドライバーが分かる程度に良いと感じる場合
+3:一般ドライバーのうち、熟練ドライバーが分かる程度に良いと感じる場合
+2:テストドライバーが明確に分かる程度に良いと感じる場合
+1:テストドライバーが微妙に分かる程度に良いと感じる場合
−1:テストドライバーが微妙に分かる程度に悪いと感じる場合
−2:テストドライバーが明確に分かる程度に悪いと感じる場合
−3:一般ドライバーのうち、熟練ドライバーが分かる程度に悪いと感じる場合
−4:一般ドライバーが分かる程度に悪いと感じる場合
<転がり抵抗性能>
SAE J2452に準拠して、空気入りラジアルタイヤの転がり抵抗を測定し、比較例1のタイヤの転がり抵抗を100として、以下の式により指数表示した。指数値が大きい程、転がり抵抗が小さく良好であることを示す。
転がり抵抗性能(指数)=(比較例1のタイヤの転がり抵抗/供試タイヤの転がり抵抗)×100
<耐摩耗性>
タイヤでの実地耐摩耗量を測定し、該摩耗量の逆数を算出し、比較例1を100として指数表示をした。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
Figure 2011089032
*1 ISAF{N2SA(m2/g)=115(m2/g)}、旭カーボン(株)製 商品名「旭#80」
*2 ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、Evonik社製 商品名「Si69」シランカップリング剤
*3 N―(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
*4 ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーDM」
*5 N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
*6 ジフェニルグアジニン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
*7 ジニトロソペンタメチレンテトラミン
上記重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)と前記重合体(B)及び上記含水ケイ酸(C1)を含む補強性充填材(C)を配合したゴム組成物を用いたタイヤ(実施例1〜4)は、前記共重合体(A1)を含まない未変性の重合体(AX)を用い、前記共重合体(B)を含まない未変性の重合体(BX)を用い、且つ、前記含水ケイ酸(C1)を配合しないゴム組成物を用いたタイヤ(比較例1)との比較から、タイヤ性能[(1)氷上性能(2)操縦安定性(3)転がり抵抗(4)耐摩耗性]が高度にバランスされ、大幅に性能向上していることが分かる。
また、前記タイヤ(実施例1〜4)は、前記共重合体(A1)を含む前記ゴムマトリックス(A)を用い、前記重合体(B)を含まず、且つ、前記含水ケイ酸(C1)を配合しないゴム組成物を用いたタイヤ(比較例2〜3)との比較からタイヤ性能[(1)氷上性能(2)操縦安定性(3)転がり抵抗(4)耐摩耗性]が高度にバランスされ、性能向上していることが分かる。
また、前記タイヤ(実施例1〜4)は、前記共重合体(A1)を含まない前記ゴムマトリックス(A)を用い、前記重合体(B)を含み、且つ、前記含水ケイ酸(C1)を配合しないゴム組成物を用いたタイヤ(比較例4)との比較からタイヤ性能[(1)氷上性能(2)操縦安定性(3)転がり抵抗(4)耐摩耗性]が高度にバランスされ、性能向上していることが分かる。
更に、前記試験体(実施例1〜4)は、前記共重合体(A1)を含まない前記ゴムマトリックス(A)を用い、前記共重合体(B)を含まず、且つ、前記含水ケイ酸(C1)を配合したゴム組成物を用いた試験体(比較例5)との比較から、タイヤ性能[(1)氷上性能(2)操縦安定性(3)転がり抵抗(4)耐摩耗性]が高度にバランスされ、性能向上していることが分かる。
また、前記タイヤ(実施例1〜4)は、前記共重合体(A1)を含む前記ゴムマトリックス(A)を用い、前記重合体(B)を含み、且つ、前記含水ケイ酸(C1)を配合しないゴム組成物を用いたタイヤ(比較例6)との比較からタイヤ性能[(1)氷上性能(2)操縦安定性(3)転がり抵抗(4)耐摩耗性]が高度にバランスされ、性能向上していることが分かる。

Claims (18)

  1. 変性前の重量平均分子量が15×104を超え200×104以下である高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴムマトリックス(A)100質量部に対して、変性前の重量平均分子量が2×103〜15×104である低分子量変性共役ジエン系重合体(B)5〜50質量部及び
    セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m/g)と音響式粒度分布測定によって求められる一次凝集体の直径の最頻値Aac(nm)とが、下記式(c−1):
    ac≧−0.76×(CTAB)+274・・・(c−1)
    を満たす含水ケイ酸(C1)を含む補強性充填材(C)10〜200質量部
    を配合してなるゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに用いたことを特徴とするタイヤ。
  2. 前記低分子量変性共役ジエン系重合体(B)の結合芳香族ビニル含有量(X)(%)及び共役ジエン部分のビニル結合含有量(Y)(%)が、X+(Y/2)<25を満たすことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記低分子量変性共役ジエン系重合体(B)が、スズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記低分子量変性共役ジエン系重合体(B)が、低分子量変性ポリブタジエン及び/又は低分子量変性ポリイソプレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)が、スズ含有官能基、ケイ素含有官能基及び窒素含有官能基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)が、変性ポリブタジエンゴム及び/又は変性ポリイソプレンゴムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ。
  7. 更に、前記補強性充填材(C)が、カーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ。
  8. 前記ゴムマトリックス(A)が高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)10〜100質量%とジエン系ゴム(A2)90〜0質量%とからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ。
  9. 更に、ゴムマトリックス(A)100質量部に対して、平均長径5〜1000μmの微粒子3〜30質量部を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のタイヤ。
  10. 前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)がケイ素原子含有官能基を含有し、該官能基がジアルコキシシラン化合物又はトリアルコキシシラン化合物に由来することを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載のタイヤ。
  11. 前記高分子量変性共役ジエン系重合体(A1)が窒素原子含有官能基を含有し、該官能基が第一アミノ基を有することを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載のタイヤ。
  12. 前記高分子量変性共役ジエン重合体(A1)が、下記一般式(p−1)又は下記一般式(p−2)で表わされることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のタイヤ。
    Figure 2011089032
    [式中、R4及びR6は夫々独立に−OR、−OH又は炭素数1〜20のアルキル基であり、R5は炭素数1〜20のアルキレン基であり、Rは硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のヒドロカルビル基である]
    Figure 2011089032
    [式中、R7及びR9は夫々独立に−OR、−OH又は炭素数1〜20のアルキル基であり、R8及びR10は夫々独立に炭素数1〜20のアルキレン基であり、Rは硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、MはSi、Ti、Sn、Bi、Zr又はAlであり、R11は−OH、炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数2〜30のヒドロカルビルカルボキシル基、炭素数5〜20の1,3−ジカルボニル含有基、炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、並びに炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で三置換されたシロキシ基からなる群から選ばれる基であり、複数のR11は同一でも異なっていても良く、kは{(Mの価数)−2}であり、nは0又は1である]
  13. 前記高分子量変性共役ジエン重合体(A1)が、重合体の重合開始末端にC−N結合を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のタイヤ。
  14. 前記含水ケイ酸(C1)は、その灼熱減量(750℃で3時間加熱した時の質量減少%)と加熱減量(105℃で2時間加熱した時の質量減少%)とが下記式(c−2):
    (灼熱減量)−(加熱減量)≦3・・・(c−2)
    を満たすことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のタイヤ。
  15. 前記含水ケイ酸(C1)の音響式粒度分布測定によって求められる一次凝集体の直径の最頻値が1μm以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のタイヤ。
  16. 前記含水ケイ酸(C1)のCTABが50〜250m/gであることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のタイヤ。
  17. 前記タイヤ部材がトレッドであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のタイヤ。
  18. 前記ゴム組成物が加硫後のゴムマトリックス(A)中に気泡を気泡率として5〜50体積%有することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のタイヤ。
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