JP2009280807A - ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents

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敦 中山
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Abstract

【課題】ゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとの相互作用に優れ、これら充填剤の分散性を改善することができ、低発熱性、耐摩耗性などに優れた充填材・ゴムマスターバッチ及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物、該組成物を用いてなる、上記特性を有するタイヤを提供する。
【解決手段】(A)充填材分散液と天然ゴム又は合成ゴムラテックスとを混合し凝固したもの脱水乾燥してなる充填材・ゴムマスターバッチと(B)活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、分子内に1級アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と、1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させて変性を行なった後、チタン化合物からなるチタン系縮合促進剤の存在下、前記2官能性ケイ素化合物が関与する縮合反応を行ってなる変性共役ジエン系重合体、又は該変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物を乾式混合することを特徴とするゴム組成物組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関する。さらに詳しくは、本発明は、充填材の分散性が高く、耐摩耗性及び低発熱(低ロス)性に優れるゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関する。
近年、省資源及び省エネルギーの社会的な要請及び環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求はより過酷なものとなりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても耐摩耗性の向上及び転がり抵抗の減少が求められてきている。タイヤの耐摩耗性の向上及び転がり抵抗を下げる手法としては、タイヤ構造の最適化による手法についても検討されてきたものの、ゴム組成物として耐摩耗性にすぐれより発熱性の低い材料を用いることが最も一般的な手法として行われている。しかしながら高耐摩耗性と低発熱性両者を満足する二律背反の技術を克服するためには解決すべき問題が残されている。
発熱性の低いゴム組成物を得るためには、これまで、シリカやカーボンブラックを充填剤とするゴム組成物用の変性ゴムの技術開発が多くなされてきた。その中でも特に、有機リチウムを用いたアニオン重合で得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端を充填剤と相互作用する官能基を含有するアルコキシシラン誘導体で変性する方法が有効なものとして提案されている(例えば、特許文献1又は2参照)。
しかし、これらの多くは重合体末端のリビング性が容易に確保できるポリマーへの適用であり、シリカやカーボンブラックを配合したゴム組成物における変性効果は必ずしも充分なものが得られていない。また、従来の変性手法の多くは、主鎖に対する分岐付与を充分行なうことが出来ないため、実用に供する際に、コールドフローが大きな障害になり、これに対処するために部分カップリングを行なうと、必然的に変性効果が低減するという問題があった。
そこで、上記欠点を克服し、より変性効果を向上させようとして、共役ジエン系重合体の活性末端をアルコキシシランで変性するにあたり、反応系に縮合促進剤を添加する方法が提案されているが(例えば、特許文献3参照)、しかしながら、このゴム組成物においては、シリカ系充填材に対する低ロス効果の向上は大きいものの、カーボンブラック充填材に対する低ロス効果は十分とはいえない。
また、耐摩耗性を向上させるためには、微粒子径の充填材を使用したり、充填材の配合量を多くすることによって得られるが、低発熱性との両立は困難である。
しかしながら、ゴム・充填材マスターバッチはゴム成分中への充填材の分散性が向上することによって耐摩耗性が向上する。ゴム・充填材マスターバッチとしては、天然ゴム・カーボンブラックマスターバッチが用いられる。
特公平6−53763号公報 特公平6−57767号公報 WO03/087171号パンフレット
本発明は、このような状況下で、ゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとの相互作用に優れ、これら充填剤の分散性を改善することができ、低発熱性、耐摩耗性などに優れた充填材・ゴムマスターバッチ及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物、該組成物を用いてなる、上記特性を有するタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、充填材・ゴムマスターバッチと共役ジエン系重合体の活性末端に分子内に特定の構造を有するアミノ基及びケイ素原子に結合したヒドロカルビロキシ基を少なくとも有する2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させて変性反応を行なった後、特定のチタン化合物からなる縮合促進剤の存在下で縮合反応を行ってなる変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物によって、上記問題が解決されることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1] (A)充填材分散液と天然ゴム又は合成ゴムラテックスとを混合し凝固したものを脱水乾燥してなる充填材・ゴムマスターバッチと、(B)活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、分子内に1級アミノ基が保護されかつ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させて変性を行なった後、チタン化合物からなるチタン系縮合促進剤の存在下前記2官能性ケイ素化合物が関与する縮合反応を行ってなる変性共役ジエン系重合体、又は該変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物を乾式混合することを特徴とするゴム組成物、
[2] (A)充填材・ゴムマスターバッチに含まれる充填材が、カーボンブラック、シリカ及び一般式(I)
nM・xSiOy・zH2O・・・・・・・・(I)
[式中,Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物または水酸化物、それらの水和物、及び前記金属野炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y、及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種である上記[1]のゴム組成物。
[3](A)充填材・ゴムマスターバッチの脱水乾燥工程に多軸連続混練機を用いる上記[1]又は[2]のゴム組成物、
[4] (B)共役ジエン系重合体の活性末端に結合してなる、2官能性ケイ素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された1級アミノ基を遊離のアミノ基に変換する脱保護してなる共役ジエン系重合体を用いる
上記[1]のゴム組成物、
[5] (B)成分の変性剤として用いられる前記2官能性ケイ素原子を含む化合物が一般式(I)
Figure 2009280807
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるケイ素化合物、一般式(II)
Figure 2009280807
(式中、R7〜R11は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R12は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。)で表されるケイ素化合物及び、一般式(III)
Figure 2009280807
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R13は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるケイ素化合物である上記[1]又は[4]のゴム組成物、
[6] 前記(B)変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物が、(B)成分とカーボンブラック、シリカ及び一般式(I)
nM・xSiOy・zH2O・・・・・・・・(I)
[式中,Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物または水酸化物、それらの水和物、及び前記金属野炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y、及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種の充填材を乾式混合して得られたものである上記[1]のゴム組成物、及び
[7] 上記[1]〜[6]いずれかにのゴム組成物を用いることを特徴とするタイヤ、
を提供するものである。
本発明によれば、ゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとの相互作用に優れ、これら充填剤の分散性を改善することができ、低発熱性、耐摩耗性などに優れた充填材・ゴムマスターバッチ及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物、該組成物を用いてなる、上記特性を有するタイヤを提供することができる。
まず、(A)成分のゴム・充填材マスターバッチの製法について説明する。
本発明に用いられるゴム・充填材マスターバッチ(以後ゴム・充填材ウェットマスターバッチ又は単にウェットマスターバッチと省略することがある。)は、ゴム成分と充填材を含有するマスターバッチであって、(a)充填材分散スラリー液とゴムラテックスを調製する工程、(b)前記スラリー液とゴムラテックス混合し、得られた混合し液を凝固処理する工程、(c)前記(b)工程で形成された充填材とゴム成分を含む凝固物を取り出す工程、及び(d)前記(c)工程で取り出された該凝固物を乾燥させる工程を経て製造される。
[(a)工程]
この工程は、充填材分散スラリー液とゴムラテックスとを調製する工程である。
<充填材分散スラリー液の調製>
前記充填材分散スラリー液は、カーボンブラック、シリカ及び一般式(I)
nM・xSiOy・zH2O ・・・(I)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種の充填材を、高速せん断ミキサーを用いて水に代表される分散溶媒中に分散させることによって調製することができる。
ここで、カーボンブラックとしては、通常ゴム工業に用いられるものが使用できる。例えば、SAF、HAF、ISAF、FEF、GPFなど種々のグレードのカーボンブラックを単独に又は混合して使用することができる。
シリカは特に限定されないが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカが好ましい。これらは単独に又は混合して使用することができる。
前記一般式(I)で表わされる無機充填材は、具体的には、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。
また、一般式(I)で表される無機充填材としては、Mがアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及びアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一種のものが好ましい。
中でも充填材としてはカーボンブラック、シリカ及び水酸化アルミニウムが好ましい。
本発明において、スラリー液の調製に用いられる高速せん断ミキサーとは、ローターとステーター部からなる高速せん断ミキサーであって、高速で回転するローターと、固定されたステーターが狭いクリアランスで設置され、ローターの回転によって高いせん断速度を生み出す。
高速せん断とは、せん断速度が2000/s以上、好ましくは4000/s以上であることを意味する。
高速せん断ミキサーは、市販品としては、例えば特殊機化工業社製ホモミキサー、独PUC社製コロイドミル、独キャビトロン社製キャビトロン、英シルバーソン社製ハイシアーミキサーなどが挙げられる。
前記の高速せん断ミキサーを用いて得られたスラリー液の特性としては、(i)スラリー液中の充填材の粒度分布は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつ(ii)スラリー液から回収した乾燥充填材の24M4DBP吸油量は、分散溶媒に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上保持することが好ましい。ここで、24M4DBP吸油量は、ISO 6894に準拠して測定される値である。
さらに好ましくは、体積平均粒子径(mv)が20μm以下、かつ90体積%粒径(D90)が25μm以下である。粒度が大きすぎるとゴム中の充填材分散が悪化し、補強性、耐摩耗性が悪化することがある。
他方、粒度を小さくするためにスラリーに過度のせん断力をかけると、充填材のストラクチャーが破壊され、補強性の低下を引き起こす。スラリー液から回収乾燥した充填材の24M4DBP吸油量が、分散溶媒に分散させる前の充填材の24M4DBP吸油量の93%以上であることが望ましい。さらに好ましくは96%以上である。
スラリー液において、前記充填材の濃度は1〜15質量%とするのが好ましく、特に2〜10質量%の範囲であることが好ましい。充填材の濃度が1質量%未満では必要とするスラリー容量が多くなりすぎ、また15質量%以上では、スラリー液の粘度が高くなりすぎて、作業上問題が生じる。
本発明においては、このスラリー液としては、水分散スラリー液であることが、特にゴム液として天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスを用いる場合に、混合性の観点から好ましい。
<ゴムラテックスの調製>
(a)工程において用いられるゴムラテックスとしては、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックス、あるいは溶液重合による合成ゴムの有機溶媒溶液などを挙げることができるが、これらの中で、得られるマスターバッチの性能や製造しやすさなどの観点から、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスが好適である。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、酵素で処理した脱蛋白ラテックス、官能基を導入したラテックス、前記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
天然ゴムラテックスはゴム炭化水素の微粒子を分散質とするコロイドゾルであり、電気的に負に帯電している。通常安定際としてアンモニアその他アルカリをくわえてpH9〜10として保存する。ラテックスには約30%のゴム分がふくまれており、前記濃縮ラテックスは60%に濃縮されている。
合成ゴムラテックスとしては、例えばスチレン−ブタジエン重合体ゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴムなどのラテックスを使用することができる。
[(b)工程]
この工程は、前記スラリー液とゴムラテックス混合し、得られた混合し液を凝固処理する工程である。
<スラリー液とゴムラテックスの混合>
スラリー液と前記ゴムラテックスとの混合は、例えば、ホモミキサー中に該スラリー液を入れ、攪拌しながら、ラテックスを滴下する方法や、逆にラテックスを攪拌しながら、これに該スラリー液を滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー流とラテックス流とを、激しい水力攪拌の条件下で混合する方法などを用いることもできる。
<前記混合液の凝固>
前記のようにして得られたスラリー液とゴムラテックスとを凝固処理して、凝固物を形成させる。この凝固方法としては、従来公知の方法、例えば蟻酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩の凝固剤を用いてもよく、加熱したり、超音波をかける等してもよい。
凝固物中のゴム成分100質量部当たり、全充填材量は5〜150質量部が好ましく、充填材がカーボンブラックのみの場合は20〜100質量部が好ましい。
[(c)工程]
(c)工程は、前記(b)工程で形成された凝固物を、従来公知の固液分離手段を用いて取り出し、充分に洗浄する工程である。洗浄は、通常水洗法が採用される。
[d工程]
(d)工程は、前記(c)工程で取り出され、充分に洗浄された凝固物を乾燥させる工程である。
<凝固物の乾燥>
当該(d)工程においては、凝固物を混練しゴム成分中に充填材を均一に分散させるため凝固物の乾燥は機械的せん断力をかけながら実施することが望ましい。したがって、工業的生産性の観点から、連続混練機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の多軸混練押出機を用いることがより好ましく、特に二軸混練押出機を用いることが好ましい。
また、乾燥手段のみに限定すると、真空乾燥機、熱風乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー、バンドドライヤー等の通常の乾燥機を用いることができるが、上述のように充填材の分散性及び均一性をさらに向上せるためには、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行うのが好ましい。
上記工程を経ることのよって(A)成分である充填材・ゴムマスターバッチを得ることができる。
次に、(B)成分の変性共役ジエン系重合体について説明をする。
本発明において(B)成分として用いられる変性共役ジエン系重合体は、活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、分子内に1級アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物(以下、アルコキシシラン化合物と称することがある)を反応させて変性を行なう工程、及びチタン化合物からなるチタン系縮合促進剤の存在下、前記2官能性ケイ素原子を含む化合物が関与する縮合反応を行なうことによって得ることができる。
なお、縮合促進剤は、通常、共役ジエン系重合体の活性末端にアルコキシシラン化合物を添加し、変性反応させた後、縮合反応前に加えるが、アルコキシシラン化合物の添加前(変性反応前)に加えたのち、アルコキシシラン化合物を添加して変性反応後、縮合反応を行なってもよい。
本発明のゴム組成物において用いられる活性末端を有する共役ジエン系重合体は、ジエン系モノマーを単独で、又は他のモノマーと共重合して得られるものであり、その製造方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
また、共役ジエン系重合体の分子中に存在する活性部位の金属はアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種であることが好ましく、アルカリ金属が好ましく、特にリチウム金属が好ましい。
上記溶液重合法においては、例えば有機アルカリ金属化合物、特にリチウム化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物単独又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物をアニオン重合させることにより、目的の重合体を製造することができる。
さらには、ハロゲン含有モノマーを混在させ、ポリマー中のハロゲン原子を有機金属化合物によって活性化することも有効である。例えば、イソブチレン単位、パラメチルスチレン単位及びパラブロモメチルスチレン単位を含む共重合体の臭素部分をリチオ化して活性部位とすることも有効である。
上記共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン;イソプレン:1,3−ペンタジエン:2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン:2−フェニル−1,3−ブタジエン:1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが特に好ましい。
また、これらの共役ジエン化合物との共重合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン:α−メチルスチレン:1−ビニルナフタレン;3−ビニルトルエン;エチルビニルベンゼン:ジビニルベンゼン:4−シクロへキシルスチレン;2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。
さらに、単量体として共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、それぞれ1,3−ブタジエン及びスチレンの使用が、単量体の入手の容易さなどの実用性面、及びアニオン重合特性がリビング性などの点で優れることなどから、特に好適である。
また、溶液重合法を用いた場合には、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。尚、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含量は0〜55質量%の範囲が好ましい。
重合開始剤のリチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロベンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応性生物などが挙げられるが、これらの中で、特にn−ブチルリチウムが好適である。
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドなどが挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミドなどの環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、二級アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
前記リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の共役ジエン系重合体が得られる。
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
また、所望により用いられるランダマイザーとは共役ジエン系重合体のミクロ構造の制御、例えばブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン部分の1,2結合、イソプレン重合体における3,4結合の増加など、あるいは共役ジエン化合物一芳香族ビニル化合物共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えばブタジエンースチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイサーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピぺリジノエタンなどのエーテル類及び三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
これらのランダマイザーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
この重合においては、重合開始剤、溶媒、単量体など、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物などの反応阻害物質を除去したものを用いることが望ましい。
尚、エラストマーとして重合体を得る場合は、得られる重合体又は共重合体の、示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)が−95℃〜−15℃であることが好ましい。ガラス転移温度を上記範囲にすることによって、粘度が高くなるのを抑え、取り扱いが容易な重合体を得ることができる。
本発明においては、まず、上記のように得られた共役ジエン系重合体に対して、その活性末端に分子内に1級アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させる変性反応を行なう。
分子内に1級アミノ基が保護され、1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物(以下「変性剤」と略称することがある)としては、例えば一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)が挙げられる。
Figure 2009280807
式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。
Figure 2009280807
式中、R7〜R11は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R12は炭素数1〜12の2価に炭化水素基を示す。
Figure 2009280807
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R13は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)
上記式(I)〜(III)において、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の炭化水素基の具体例としては、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,各種ペンチル基,各種ヘキシル基,各種オクチル基,各種デシル基,各種ドデシル基,各種テトラデシル基,各種ヘキサデシル基,各種オクタデシル基,各種イコシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基,フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基,ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基等が好ましく、エチル基、メチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアリーレンアルキレン基等が挙げられる。
上記炭素数1〜12アルキレン基は、直鎖状、分枝状のいずれであってもよく、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、2-メチルトリメチレン基、イソペンチレン基、イソへキシレン基、イソオクチレン基、2−エチルへキシレン基、イソデシレン基などの分枝状のアルキレン基が挙げられる。
炭素数6〜12のアリーレン基としては、例えばフェニレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基、等が挙げられ、炭素数7〜12のアリーレンアルキレン基としては、例えばフェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、キシリレン基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、特にトリメチレン基が好ましい。
Aの反応性基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基が好ましく、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、中でも塩素が好ましい。
炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基などを挙げることができる。
上記炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基,n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基,sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、各種ヘキソキシ基、各種オクトキシ基、各種デシロキシ基、各種ドデシロキシ基,各種テトラデシロキシ基、各種ヘキサデシロキシ基、各種オクタデシロキシ基、各種イコシロキシ基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリーロキシ基としては、例えばフェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられ、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジロキシ基、フェネチロキシ基、ナフチルメトキシ基等が挙げられる。これらの中で1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にエトキシ基が好ましい。
その他の反応性基としては、カルボニル基、酸無水物残基、各ジヒドロイミダゾリニル基、N−メチルピロリドニル基、イソシアネート基等を含有する基が挙げられる。
また、式(I)のR3,R4およびR5の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよく、同様に式(II)のR9,R10およびR11の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよい。この4〜7員環としては炭素数4〜7のメチレン基を有するものを挙げることができる。
保護された1級アミノ基及びケイ素原子に結合したアルコキシ基を少なくとも有する2官能性ケイ素原子を含む化合物としては、例えばN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン、および1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンなどを挙げることができる。
また、前記Aがハロゲン原子である化合物として例えば、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルメトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルエトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルメトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルエトキシクロロシランなどが挙げられる。
好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。
これらの変性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。またこの変性剤は部分縮合物であってもよい。
ここで、部分縮合物とは、変性剤のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
上記の変性反応においては、使用する重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性を有するものが好ましい。
上記変性剤による変性反応において、該変性剤の使用量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・共役ジエン系重合体である。同含有量は、さらに好ましくは1〜100mmol/kg・共役ジエン系重合体であり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・共役ジエン系重合体である。ここで、共役ジエン系重合体とは、製造時または製造後、添加される老化防止剤などの添加剤を含まないポリマーのみの質量を意味する。変性剤の使用量を上記範囲にすることによって、充填剤の分散性に優れ、加硫後の機械特性、耐摩耗性、低発熱性が改良される。
なお、上記変性剤の添加方法は、特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、あるいは、連続的に添加する方法などが挙げられるが、一括して添加する方法が好ましい。
また、変性剤は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制して低発熱性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
本発明では、上記した変性剤として用いる上記アルコキンシラン化合物が関与する縮合反応を促進するために、特定の縮合促進剤を用いる。
ここで用いる縮合促進剤は、上記変性反応前に添加することもできるが、変性反応後、および縮合反応開始前に添加することが好ましい。変性反応前に添加した場合、活性末端との直接反応が起こり、活性末端にヒドロカルビロキシ基が導入されない場合がある。
また、縮合反応開始後に添加した場合、縮合促進剤が均一に分散せず触媒性能が低下する場合がある。
縮合促進剤の添加時期としては、通常、変性反応開始5分〜5時間後、好ましくは変性反応開始15分〜1時間後である。
本発明で用いる縮合促進剤は、チタン(Ti)のアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩が好ましく用いられる。
具体的な縮合促進剤としては、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ステアレート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)などが挙げられる。中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好ましい。
この縮合促進剤の使用量としては、上記化合物のモル数が、反応系内に存在するヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10となることが好ましく、0.5〜5が特に好ましい。縮合促進剤の使用量を上記範囲にすることによって縮合反応が効率よく進行する。
本発明における縮合反応は、水溶液中で行うことが好ましく、縮合反応時の温度は85〜180℃が好ましく、さらに好ましくは100〜170℃、特に好ましくは110〜150℃である。
縮合反応時の温度を上記範囲にすることによって、縮合反応を効率よく進行完結することができ、得られる変性共役ジエン系重合体の経時変化によるポリマーの老化反応などによる品質の低下などを抑えることができる。
なお、縮合反応時間は、通常、5分〜10時間、好ましくは15分〜5時間程度である。縮合反応時間を上記範囲にすることによって縮合反応を円滑に完結することができる。
なお、縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
縮合反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても、多段連続式反応器などの装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
本発明の変性共役ジエン系重合体の変性剤由来のアミノ基は、保護されていても、脱保護して1級アミンに変換されていても、いずれの場合でも好適である。もし脱保護処理を行なう場合には以下の手順が用いられる。
すなわち、該保護アミノ基上のシリル保護基を加水分解することによって遊離したアミノ基に変換する。これを脱溶媒処理することにより、1級アミノ基を有する乾燥したポリマーが得られる。なお、該縮合処理を含む段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーまでのいずれかの段階において必要に応じて変性剤由来の保護1級アミノ基の脱保護処理を行うことができる。
本発明においては、上記の如く縮合処理したのち、さらに(c)脱保護工程を施し、共役ジエン系重合体の活性末端に結合してなる、2官能性ケイ素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された1級アミノ基を遊離基のアミノ基に変換することにより、目的の変性共役ジエン系重合体を得ることができる。
本発明において得られる(B)成分の変性共役ジエン系重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜150、より好ましくは15〜100である。ムーニー粘度の値を上記範囲にすることによって、混練り作業性および加硫後の機械的特性のすぐれたゴム組成物を得ることができる。
本発明に用いられる(B)成分のゴム組成物においては、カーボンブラック、シリカ及び一般式(I)
nM・xSiOy・zH2O ・・・(I)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種の充填材を用いることができる。中でもカーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム又はそれらの組み合わせを用いることが好ましい。
充填材としてカーボンブラックを用いる場合は(B)成分100質量部当たり、全充填材量が5〜100質量部が好ましい。充填材がカーボンブラックのみの場合10〜100質量部が好ましく、シリカのみの場合3〜80質量部が好ましい。
尚、各充填材についての詳細の説明は、(B)成分の充填材の説明で述べた通りである。
(B)成分のゴム組成物においては補強用充填剤としてシリカを用いる場合、その補強性及び低発熱性をさらに向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することができる。
このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−卜リエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドおよび3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる(B)成分を含むゴム組成物においては、ゴム成分として、分子活性部位にシリカとの親和性の高い官能基が導入された変性重合体が用いられているため、シランカップリング剤の配合量は、通常の場合より低減することができる。好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカに対して、このましくは1〜20質量%の範囲で選定される。この量が1質量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20質量%を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果およびゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、5〜15質量%の範囲である。
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常、ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
また、本発明のゴム組成物において、全ゴム成分を100質量部とした場合に、上記ゴム・充填材マスターバッチにおけるゴム成分を20質量部以上含み、(B)成分におけるゴム成分を20質量部以上含むことが好ましい。本発明のゴム組成物に追加して用いられる他のゴム成分としては、通常の天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物などが挙げられる。
また、本発明のゴム組成物は、ロールなどの開放式混練機、バンバリーミキサーなどの密閉式混練機などの混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後に加硫を行ない、各種ゴム製品に適用可能である。例えば、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ用途を始め、防振ゴム、防舷材,ベルト、ホースその他の工業品などの用途に用いることができるが、特に、低発熱性、耐摩耗性、破壊強度のバランスに優れた、低燃費用タイヤ、大型タイヤ、高性能タイヤのトレッド用ゴムとして好適に使用される。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例中の各種の測定は下記の方法によって行った。
<変性共役ジエン重合体>
(1)共役ジオレフィン部分のビニル含量(ジオレフィン部分全体に対する%)
270MHz1H−NMRによって求めた。
(2)結合スチレン含量(ポリマー中の質量%)
270MHz1H−NMRによって求めた。
(3)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)
JIS K6300に従って、Lローター、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃で求めた。
(4)加硫ゴムの物性評価
加硫ゴムの物性は下記(イ)及び(ロ)の方法により測定を行った。
(イ)低ロス性:米国レオメトリックス社製の動的スペクトロメーターを使用し、引張動歪1%、周波数10Hz、50℃の条件でtanδを測定し、比較例1を100とする指数で示した。数値が大きいほど、転がり抵抗が小さく、良好である。
(ロ)耐摩耗性:ランボーン型摩耗試験機を用い、スリップ率が25%の摩耗量で表し、また、測定温度は室温とした。指数が大きいほど、耐摩耗性は良好である。
(ハ)フィラー分散性:ISO 11345:2006C法に準拠して測定し、比較例1を100として指数化した。数値が大きい程、フラー分散性は良好である。
(A)ゴム・充填材マスターバッチの作製
(A−1)ゴム・充填材ウェットマスターバッチの製法
(1)スラリー液の調製
水中にカーボンブラック(N220)を5質量%の割合で入れ、シルバーソン社製ハイシアーミキサーにて微分散させてスラリー液を作製した。
(2)マスターバッチの調製
上記(1)で作製したスラリー液2.64kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3.00kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてpH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物880gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、混練することによってゴム成分中に充填材を分散させると共に、乾燥させゴム・充填材マスターバッチを作製した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当りのカーボンブラックの量は44.0質量部であった。
同様の方法で、用いるスラリー液の量を調整することにより天然ゴム100質量部当たりのカーボンブラックの量が30質量部及び70質量部のマスターバッチを作製し、表1及び表2に示す実施例、比較例に用いた。
(A−2)ゴム・充填材乾式マスターバッチの作製
天然ゴムTSR20とカーボンブラックを2.5Lバンバリーミキサーで混練りした。なお、混練条件は、回転数70rpm、混練時間3分30秒、落下温度150℃であった。
(B)変性共役ジエン共重合体の作製
<変性剤の合成>
合成例1:N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランの合成
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたガラスフラスコ中のジクロロメタン溶媒400ml中にアミノシラン部位として36gの3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Gelest社製)を加えた後、さらに保護部位として塩化トリメチルシラン(Aldrich社製)48ml、トリエチルアミン53mlを溶液中に加え、17時間室温下で攪拌し、その後反応溶液をエバポレーターにかけることにより溶媒を取り除き、反応混合物を得、さらに得られた反応混合物を665Pa条件下で減圧蒸留することにより、130〜135℃留分としてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを40g得た。
重合例1:変性共重合体(a)の合成
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,750g、テトラヒドロフラン41.3g、スチレン100g、1,3−ブタジエン390gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム215mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、更に5分重合させた。リアクターからポリマー溶液を、メタノール1gを添加したシクロヘキサン溶液30g中に少量サンプリングした後、合成例1で得られたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mgを加えて、変性反応を15分間行った。この後、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン8.11gを加え、更に15分間攪拌した。最後に反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、共重合体aを得た。得られた共重合体の結合スチレン量、ビニル含量及びムーニー粘度を第1表−1に示す。
重合例2:変性共重合体(b)の合成
重合例1において、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタンをチタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)4.30gに変更した以外は、重合例1と同様にして、共重合体(b)を得た。得られた共重合体の結合スチレン量、ビニル含量及びムーニー粘度を第1表−1に示す。
重合例3:変性共重合体(c)の合成
重合例1において、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタンをテトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン6.19gに変更した以外は、重合例1と同様にして、共重合体(c)を得た。得られた共重合体の結合スチレン量、ビニル含量及びムーニー粘度を第1表−1に示す。
重合例4:変性共重合体(d)の合成
乾燥し、窒素置換された800ミリリットルの耐圧ガラス容器にブタジエンのシクロヘキサン溶液(16%)、スチレンのシクロヘキサン溶液(21%)をブタジエン単量体40g、スチレンの単量体10gになるように注入しこれにジテトラヒドロフリルプロパン0.44ミリモルを加え、さらにn−ブチルリチウム0.48ミリモルを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。重合の添加率はほぼ100%であった。
この重合系にSnCl4(四塩化スズ)0.43ミリモルを加えたのち、さらに50℃で30分間変性反応を行った。その後、重合系ニ2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液加えて反応停止を行い、さらに常法に従い乾燥することによって変性共重合体(d)を得た。得られた共重合体の結合スチレン量、ビニル含量及びムーニー粘度を第1表−2に示す。
重合例5:変性重合体(e)の合成
重合例4においてSnCl4(四塩化スズ)の代わりにテトラエトキシシランを用いた以外は重合例4と同様にして変性共重合体(e)を得た。得られた共重合体の結合スチレン量、ビニル含量及びムーニー粘度を第1表−2に示す。
重合例6:無変性共重合体の合成
重合例1において変性及び縮合反応を行わなかった以外は重合例1と同様にして無変性共重合体を得た。得られた共重合体の結合スチレン量、ビニル含量及びムーニー粘度を第1表−1及び−2に示す。
実施例1〜9、並びに比較例1〜10
第1表−1及び−2に示す(A)成分の充填材・ゴムマスターバッチ及び(B)成分の変性共役ジエン系重合体を配合組成に従って混練し、得られたゴム組成物を常法により加硫を行いそれぞれのサンプルについて、低ロス性、耐摩耗性、フィラー分散性の評価を行った。評価結果を第1表−1、−2に示す。
Figure 2009280807
Figure 2009280807
注」
*1.カーボンブラックN220:東海カーボン社製「シースト6」
*2.シリカ:東ソー・シリカ社製「ニプシルAQ」
*3.老化防止剤:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製「ノクラック6C」
*4.シランカップリング剤:デグッサ社製「Si69」
*5.加硫促進剤DPG:ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製「ノクセラーD」
*6.加硫促進剤DM:ジ−2−ベンゾチアジル-ジスルフィド、大内新興化学工業社製「ノクセラーDM」
*7.加硫促進剤NS:N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製「ノクセラーNS−F」
*8.N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン
*9.テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン
*10.チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)
*11.テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン
*12.テトラエトキシシラン
本発明のゴム組成物は、ゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとの相互作用に優れ、これら充填剤の分散性を改善することができ、低発熱性、耐摩耗性などに優れた充填材・ゴムマスターバッチ及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物、該組成物を用いてなる、上記特性を有するタイヤを提供することができる。

Claims (7)

  1. (A)充填材分散液と天然ゴム又は合成ゴムラテックスとを混合し凝固したものを脱水乾燥してなる充填材・ゴムマスターバッチと、(B)活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に分子内に1級アミノ基が保護されかつ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させて変性を行なった後、チタン化合物からなるチタン系縮合促進剤の存在下前記2官能性ケイ素化合物が関与する縮合反応を行ってなる変性共役ジエン系重合体、又は該変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物を乾式混合することを特徴とするゴム組成物。
  2. (A)充填材・ゴムマスターバッチに含まれる充填材が、カーボンブラック、シリカ及び一般式(I)
    nM・xSiOy・zH2O・・・・・・・・(I)
    [式中,Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物または水酸化物、それらの水和物、及び前記金属野炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y、及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
    で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. (A)充填材・ゴムマスターバッチの脱水乾燥工程に多軸連続混練機を用いる請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. (B)共役ジエン系重合体の活性末端に結合してなる、2官能性ケイ素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された1級アミノ基を遊離のアミノ基に変換する脱保護してなる共役ジエン系重合体を用いる請求項1に記載のゴム組成物。
  5. (B)成分の変性剤として用いられる前記2官能性ケイ素原子を含む化合物が一般式(I)
    Figure 2009280807
    (式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるケイ素化合物、一般式(II)
    Figure 2009280807
    (式中、R7〜R11は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R12は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。)で表されるケイ素化合物及び、一般式(III)
    Figure 2009280807
    (式中、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R3〜R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R13は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表されるケイ素化合物である請求項1又は4に記載のゴム組成物。
  6. 前記(B)変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物が、(B)成分とカーボンブラック、シリカ及び一般式(I)
    nM・xSiOy・zH2O・・・・・・・・(I)
    [式中,Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物または水酸化物、それらの水和物、及び前記金属野炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y、及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
    で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種の充填材を乾式混合して得られたものである請求項1に記載のゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物を用いることを特徴とするタイヤ。
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