JP2009137471A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムを40〜100質量%含むゴム成分を含有するゴム組成物からなり、且つ動的貯蔵弾性率E’(動歪2%)の180℃以上における極小点が150℃での動的貯蔵弾性率E’(動歪2%)の70%以上であるトレッドを配設してなることを特徴とするタイヤである。
【選択図】図1
Description
このような外部からの入力を緩和するため、トレッドのセンター部のタイヤ幅方向両側に配置されたショルダー部のリブを特定の形状にする方法が採用されている。例えば、特許文献1においては、偏摩耗抑制のためにトレッドのショルダー部に細リブを設けることが提案されている。
すなわち、本発明は、
(1)センター部と、該センター部のタイヤ幅方向両側のショルダー部とに分割されたトレッドを有する空気入りタイヤであって、該センター部の動的貯蔵弾性率E’と比較して、該ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’がより小さいことを特徴とする空気入りタイヤ、
(2){(センター部の動的貯蔵弾性率E’)/(ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’)}が1.2以上である上記(1)の空気入りタイヤ、
(3)前記ショルダー部を形成するゴム組成物に、ゴム成分中、アニオン重合により生成した共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端と窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)とを反応させる変性反応を行って得られた変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を10質量%以上配合してなる上記(1)又は(2)の空気入りタイヤ、
(4)前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)が、下記一般式(I)
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)及びその部分縮合物から選ばれた少なくとも1種である上記(3)の空気入りタイヤ。
(5)前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)が、分子内に第一アミノ基が保護され、且つ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じ珪素原子に結合した2官能性珪素原子を含む化合物である上記(3)の空気入りタイヤ、
(6)前記2官能性珪素原子を含む化合物が一般式(II)
(7)一般式(II)又は一般式(IV)における反応性基Aがハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基である上記(6)の空気入りタイヤ、
(8)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、前記共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の前記活性末端と前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)とを反応させる変性反応を行い、周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素の化合物からなる縮合促進剤の存在下で、縮合反応させたものである上記(3)〜(7)のいずれかの空気入りタイヤ、
(9)前記縮合促進剤が、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、又はアルミニウム(Al)の化合物からなり、前記縮合促進剤を構成する化合物は、前記元素のアルコキシド、カルボン酸塩、又はアセチルアセトナート錯塩である上記(8)の空気入りタイヤ、
(10)前記縮合促進剤が、チタンのアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩、又はこれらの混合塩の中から選ばれる少なくとも1種のチタン系縮合促進剤である上記(9)の空気入りタイヤ、
(11)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、活性末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体に、分子内に第一アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じ珪素原子に結合した2官能性珪素原子を含む化合物を反応させて変性を行ない、チタン系縮合促進剤の存在下、前記2官能性珪素化合物が関与する縮合反応を行なうことによって得られたものである上記(10)の空気入りタイヤ、
(12)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、更に、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端に結合してなる、2官能性珪素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された第一アミノ基を遊離のアミノ基に変換させたものである上記(11)の空気入りタイヤ、
(13)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の一つの原料モノマーとして用いられる共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン及び2−フェニル−1,3−ブタジエンから選ばれる少なくとも1種である上記(3)〜(12)のいずれかの空気入りタイヤ、
(14)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体のもう一つの原料モノマーとして用いられる芳香族ビニル化合物がスチレンである上記(3)〜(12)のいずれかの空気入りタイヤ、
(15)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、変性スチレン−ブタジエンゴムである上記(3)〜(14)のいずれかの空気入りタイヤ、
(16)前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、更に充填材を20〜120質量部配合してなる上記(3)〜(15)のいずれかの空気入りタイヤ、
(17)前記充填材が、カーボンブラック及び/又はシリカである上記(16)の空気入りタイヤ、及び
(18)前記カーボンブラックと前記シリカとの含有割合(カーボンブラック:シリカ)が、質量比で(100:0)〜(5:95)である上記(19)の空気入りタイヤを提供するものである。
本発明の空気入りタイヤは、上記のタイヤ部材構成において、センター部13aの動的貯蔵弾性率E’と比較して、ショルダー部13b及び13cの動的貯蔵弾性率E’が、より小さいことを特徴とする。これにより、ショルダー部13b及び13cがセンター部13aより柔らかくなるため、外部からの応力集中を低減し、その結果、ショルダー部13b及び13cの耐偏摩耗性が改良される。
本発明の空気入りタイヤにおいては、{(センター部の動的貯蔵弾性率E’)/(ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’)}が1.2以上であることが好ましく、1.5以上であることが更に好ましい。1.2以上であると、耐偏摩耗性が更に向上するからである。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、第二アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の活性末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が得られる。
また、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。尚、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含有量は5〜55質量%が好ましい。
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及びその部分縮合物を用いることができる。ここで、部分縮合物とは、ヒドロカルビルオキシシラン化合物のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
R1のうちの二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基を好ましく挙げることができる。このアルキレン基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基,エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。
また、該アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、その例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。更に該アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、その例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
nは0〜2の整数であるが、0が好ましく、また、この分子中には活性プロトン及びオニウム塩を有しないことが必要である。
これらのヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物も用いることができる。
前記2官能性珪素原子を含む化合物が一般式(II)
また、式(II)のR6、R7及びR8の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよく、同様に式(III)のR12、R13及びR14の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよい。式(IV)のR16は炭素数1〜12のアルキレン基である。
上記式(II)又は上記式(IV)における反応性基Aが、重合活性末端との反応性を考慮して、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましい。
好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジエトキシメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。
ここで、部分縮合物とは、変性剤のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
また、変性剤は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制して低燃費性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
このような縮合促進剤としては、第三アミノ基を含有する化合物、又は周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素を一種以上含有する有機化合物を用いることができる。更に縮合促進剤として、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、及びスズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも一種以上の金属を含有する、アルコキシド、カルボン酸塩、又はアセチルアセトナート錯塩であることが好ましい。
ここで用いる縮合促進剤は、前記変性反応前に添加することもできるが、変性反応の途中及び又は終了後に変性反応系に添加することが好ましい。変性反応前に添加した場合、活性末端との直接反応が起こり、例えば、活性末端に保護された第一アミノ基を有するヒドロカルビロキシ基が導入されない場合がある。
縮合促進剤の添加時期としては、通常、変性反応開始5分〜5時間後、好ましくは変性反応開始15分〜1時間後である。
具体的なチタン系縮合促進剤としては、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ステアレート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)などが挙げられる。中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好ましい。
また、縮合反応を水溶液中で行ってもよく、縮合反応温度は85〜180℃が好ましく、更に好ましくは100〜170℃、特に好ましくは110〜150℃である。
縮合反応時の温度を前記範囲にすることによって、縮合反応を効率よく進行完結することができ、得られる変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体及び共役ジエン重合体の経時変化によるポリマーの老化反応等による品質の低下等を抑えることができる。
なお、縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
縮合反応を水溶液中で行う場合の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても、多段連続式反応器等の装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
すなわち、第一アミノ基上の保護基を加水分解することによって遊離した第一アミノ基に変換する。これを脱溶媒処理することにより、第一アミノ基を有する変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体及び共役ジエン重合体を得ることができる。なお、該縮合処理を含む段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーまでのいずれかの段階において必要に応じて変性剤由来の保護された第一アミノ基の脱保護処理を行うことができる。
本発明に好適に用いられる変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体としては、変性スチレン−ブタジエンゴム(以下、「変性SBR」と略称することがある)が好ましい。
このようにして得られた変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体は、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が、好ましくは10〜150、より好ましくは15〜100である。ムーニー粘度が10未満の場合は耐破壊特性を始めとするゴム物性が十分に得られず、150を超える場合は作業性が悪く配合剤とともに混練りすることが困難である。
また、前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を配合した本発明に係る未加硫ゴム組成物のムーニ−粘度(ML1+4,130℃)は、好ましくは10〜150、より好ましくは30〜100である。
例えば、天然ゴム、未変性の共役ジエン−芳香族ビニル共重合体、例えば、乳化重合スチレン−ブタジエンゴム、未変性の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム、窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)以外の変性剤による変性反応を行って得られたスチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレンゴム等の外、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びハロゲン化メチル基を持つスチレンとイソブチレンの共重合体等が挙げられる。
これらのジエン系ゴムの一部又は全てが多官能型変性剤、例えば四塩化スズのような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているジエン系変性ゴムであることがより好ましい。
充填材としては、カーボンブラック及び/又はシリカであることが好ましい。
カーボンブラックとしても特に制限はなく、例えば、HAF、N339、IISAF、1SAF、SAF等が用いられる。
カーボンブラックの窒素吸着法比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは70〜180m2/g、より好ましくは80〜180m2/gである。また、DBP吸油量(JIS K 6217−4:2001に準拠して測定する)は、好ましくは70〜160mL/100g、より好ましくは90〜160mL/100gである。カーボンブラックを用いることにより、耐破壊特性、耐摩耗性等の改良効果は大きくなる。耐摩耗性に優れるN339、IISAF、ISAF、SAFが特に好ましい。
本発明に係るショルダー部を形成するゴム組成物は、充填材として、カーボンブラック単独使用すること又はカーボンブラックとシリカとを併用することが更に好ましい。従って、カーボンブラックとシリカとの含有割合(カーボンブラック:シリカ)が、質量比で(100:0)〜(5:95)であることが好ましく、(95:5)〜(5:95)であることが更に好ましい。
シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)としては80m2/g以上のものが好ましく、より好ましくは120m2/g以上、特に好ましくは150m2/g以上である。BET比表面積の上限値には特に制限はないが、通常450m2/g程度である。このようなシリカとしては東ソーシリカ社製、商品名「ニプシルAQ」(BET比表面積 =190m2/g)、「ニプシルKQ」、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積 =175m2/g)等の市販品を用いることができる。
カーボンブラック、又はシリカは、それぞれ、1種用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシーリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられるが、これらの中で補強性改善効果等の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、更に好ましくは1.0〜5.0質量部である。0.1質量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性、低燃費性が低下するおそれがあり、10.0質量部を超えるとゴム弾性が失われる原因となる。
本発明の空気入りタイヤ10は、前記ゴム組成物をトレッド13のショルダー部13b及び13cに用いて通常のタイヤの製造方法によって製造される。すなわち、前記のように各種薬品を含有させた前記ゴム組成物が未加硫の段階でショルダー部の部材に加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。通常、トレッド13のセンター部13aとショルダー部13b及び13cとは押出機により一体的に押出成形され、トレッド部材となる。
このようにして得られた本発明の空気入りタイヤは、耐偏摩耗性を好適に向上することとなる。
なお、各例における諸特性は、以下に示す方法に従って測定した。
<ミクロ構造の分析法>
赤外法(モレロ法)により、1−4シス結合含有量及びビニル結合含有量(%)を測定した。また、結合スチレン量は、1H−NMRでスペクトルの積分比を算出することにより求めた。
<ムーニー粘度(ML1+4,100℃)の測定>
JIS K6300に従って、Lロ一夕一、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃で求めた。
各種空気入りタイヤのトレッド表層を1mm削った後、センター部とショルダー部とから厚さ2mm、幅5mm、長さ40mmのシートを切り出し、試料とした。この試料について、上島製作所(株)製スペクトロメーターを用い、チャック間距離10mm、初期歪10%、動歪1%、周波数52Hz、室温で動的貯蔵弾性率E’を測定した。
<ウェット制動性(湿潤路面での制動性)>
各種空気入りタイヤを試験車に装着し、湿潤路面での実車試験にて、操縦安定性をドライバーのフィーリング評点で表し、以下の式から指数表示した。指数値が大きい程、ウェット制動性が優れることを示す。
{(供試タイヤのフィーリング評点)/(比較例2のタイヤのフィーリング評点)}×100
<耐偏摩耗性>
各種空気入りタイヤを試験車に装着し、テストコースを同一条件で周回走行後、各トレッドのセンター部及びショルダー部の摩耗量を測定し、以下の式から指数により耐偏摩耗性を評価した。指数が大きい程、耐偏摩耗性が良好である。
[{比較例2のタイヤの(ショルダー部摩耗量−センター部摩耗量)}/{供試タイヤの(ショルダー部摩耗量−センター部摩耗量)}]×100
窒素置換された内容積5L(リットル)のオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,750g、テトラヒドロフラン41.3g、スチレン125g、1,3−ブタジエン375gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム215mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、更に5分重合させた。この後、得られた重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、未変性スチレン−ブタジエンゴムを得た。未変性スチレン−ブタジエンゴムの結合スチレン量は24.5質量%、共役ジエン部のビニル含有量は56モル%であった。
<変性剤の合成>
合成例1:N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランの合成
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたガラスフラスコ中のジクロロメタン溶媒400mL中にアミノシラン部位として36gの3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Gelest社製)を加えた後、更に保護部位として塩化トリメチルシラン(Aldrich社製)48mL、トリエチルアミン53mLを溶液中に加え、17時間室温下で攪拌し、その後反応溶液をエバポレーターにかけることにより溶媒を取り除き、反応混合物を得、更に得られた反応混合物を圧力665Pa条件下で減圧蒸留することにより、130〜135℃留分としてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを40g得た。
<第一アミン変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴムの合成>
窒素置換された内容積5L(リットル)のオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,750g、テトラヒドロフラン41.3g、スチレン125g、1,3−ブタジエン375gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム215mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、更に5分重合させた。リアクターからポリマー溶液を、メタノール1gを添加したシクロヘキサン溶液30g中に少量サンプリングした後、合成例1で得られたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mgを加えて、変性反応を15分間行った。この後、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン8.11gを加え、更に15分間攪拌した。最後に反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒及び保護された第一アミノ基の脱保護を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、第一アミン変性スチレン−ブタジエンゴムを得た。得られた第一アミン変性スチレン−ブタジエンゴムの結合スチレン量は24.5質量%、共役ジエン部のビニル含有量は56モル%、ムーニー粘度は32であった。
製造例2と同様に、重合反応を行った後、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン853mgを加えて、変性反応を15分間行った。この後、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン8.11gを加え、更に15分間攪拌した。最後に反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴムを得た。得られた変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴムの結合スチレン量24.5質量%、共役ジエン部のビニル含有量は56モル%、ムーニー粘度は35であった。
なお、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンは、チッソ(株)製、商標「サイラエース S340」を用いた。
製造例2と同様に、重合反応及び合成例1で得られたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを加えた変性反応を行った後、縮合反応をすることなく、重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、製造例1と同様に、スチームストリッピングにより脱溶媒及び保護された第一アミノ基の脱保護を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、第一アミン変性(縮合反応なし)スチレン−ブタジエンゴムを得た。得られた第一アミン変性(縮合反応なし)スチレン−ブタジエンゴムの結合スチレン量24.5質量%、共役ジエン部のビニル含有量は56モル%、ムーニー粘度は25であった。
表1に示す配合組成のゴム組成物A〜Eを調製し、表2に示すように実施例1〜4及び比較例1〜5の空気入りタイヤ(タイヤサイズ195/60R15)の各トレッドのセンター部及びショルダー部に配設した。
次に、それら9種類の空気入りタイヤについて夫々、(センター部の動的貯蔵弾性率E’/ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’)、ウェット制動性及び耐偏摩耗性を評価した。結果を表2に示す。
*1.SBR1712:JSR社製油展乳化重合スチレン−ブタジエンゴム、結合スチレン量23.5質量%、伸展油37.5質量部、表1には伸展油を含んだ量を記載
*2.製造例1で得た未変性SBR:未変性溶液重合スチレン−ブタジエンゴム
*3.製造例2で得た変性SBR:製造例2で得た第一アミン変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴム
*4.製造例3で得た変性SBR:製造例3で得たN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴム
*5.製造例4で得た変性SBR:製造例4で得た第一アミン変性(縮合反応なし)スチレン−ブタジエンゴム
*6.BR−01:JSR社製ポリブタジエンゴム
*7.カーボンブラック:N234、東海カーボン社製、商品名「シースト7HM」3
*8.シリカ:東ソー・シリカ社製、商品名「ニプシールAQ」
*9.各ゴム組成物は、いずれも、その他成分として下記の配合剤を含有する。
ステアリン酸:2質量部、
亜鉛華:3質量部、
老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクラック6C」1質量部、
シランカップリング剤:デグッサ社製、商品名「Si69」2.4質量部、
加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーCZ」0.5質量部、
促進剤 DPG:ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーD」0.5質量部、
促進剤 DM:ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業(株)製「ノクセラーDM」1質量部。
硫黄1.5質量部
また、実施例2〜4の空気入りタイヤは、比較例1〜5の空気入りタイヤと比較して、ウェット制動性を良好に維持すると共に、耐偏摩耗性を大幅に向上した。
11 カーカス
12 ベルト
13 トレッド
13a センター部
13b、13c ショルダー部
13d トレッドベースゴム部
Claims (18)
- センター部と、該センター部のタイヤ幅方向両側のショルダー部とに分割されたトレッドを有する空気入りタイヤであって、該センター部の動的貯蔵弾性率E’と比較して、該ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’がより小さいことを特徴とする空気入りタイヤ。
- {(センター部の動的貯蔵弾性率E’)/(ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’)}が1.2以上である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ショルダー部を形成するゴム組成物に、ゴム成分中、アニオン重合により生成した共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端と窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)とを反応させる変性反応を行って得られた変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を10質量%以上配合してなる請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)が、下記一般式(I)
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)及びその部分縮合物から選ばれた少なくとも1種である請求項3に記載の空気入りタイヤ。 - 前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)が、分子内に第一アミノ基が保護され、且つ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じ珪素原子に結合した2官能性珪素原子を含む化合物である請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記2官能性珪素原子を含む化合物が一般式(II)
- 一般式(II)又は一般式(IV)における反応性基Aがハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基である請求項6に記載の空気入りタイヤ。
- 前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、前記共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の前記活性末端と前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)とを反応させる変性反応を行い、周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素の化合物からなる縮合促進剤の存在下で、縮合反応させたものである請求項3〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記縮合促進剤が、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、又はアルミニウム(Al)の化合物からなり、前記縮合促進剤を構成する化合物は、前記元素のアルコキシド、カルボン酸塩、又はアセチルアセトナート錯塩である請求項8に記載の空気入りタイヤ。
- 前記縮合促進剤が、チタンのアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩、又はこれらの混合塩の中から選ばれる少なくとも1種のチタン系縮合促進剤である請求項9に記載の空気入りタイヤ。
- 前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、活性末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体に、分子内に第一アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じ珪素原子に結合した2官能性珪素原子を含む化合物を反応させて変性を行ない、チタン系縮合促進剤の存在下、前記2官能性珪素化合物が関与する縮合反応を行なうことによって得られたものである請求項10に記載の空気入りタイヤ。
- 前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、更に、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端に結合してなる、2官能性珪素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された第一アミノ基を脱保護し遊離のアミノ基に変換させたものである請求項11に記載の空気入りタイヤ。
- 前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の一つの原料モノマーとして用いられる共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン及び2−フェニル−1,3−ブタジエンから選ばれる少なくとも1種である請求項3〜12のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体のもう一つの原料モノマーとして用いられる芳香族ビニル化合物がスチレンである請求項3〜12のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、変性スチレン−ブタジエンゴムである請求項3〜14のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、更に充填材を20〜120質量部配合してなる請求項3〜15のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記充填材が、カーボンブラック及び/又はシリカである請求項16に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーボンブラックと前記シリカとの含有割合が、質量比で
(100:0)〜(5:95)である請求項17に記載の空気入りタイヤ。
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