JP5319108B2 - ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、低発熱性であり、且つ加工性の良好なゴム組成物並びにそのゴム組成物をサイドウォールに用いた空気入りタイヤ及びそのゴム組成物をサイド補強ゴムに用いたランフラットタイヤに関する。
従来より、発熱性の低いゴム組成物を得るために、シリカやカーボンブラックを充填材とするゴム組成物用の変性ゴムの技術開発が多くなされてきた。その中でも特に、リチウム化合物を用いたアニオン重合で得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端を充填材と相互作用する官能基を含有するアルコキシシラン誘導体で変性する方法が有効なものとして提案されている(例えば、特許文献1又は2参照)。
また、活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、ヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる第1次変性の後、その後更にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる第二次変性を行うことを特徴とする変性重合体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3、4又は5参照)。
しかしながら、上述の製造方法で得られた変性重合体を用いたゴム組成物において、カーボンブラック主体の補強性充填材を配合すると低発熱性は確保できるものの、未加硫ゴム組成物の粘度が高く、加工性(未加硫ゴム組成物の作業性)が著しく悪化してしまう。
この未加硫ゴム組成物の粘度を低くするため、プロセスオイル等の軟化剤を配合する又は配合量を増加することが考えられるが、それにより低発熱性が悪化してしまう。
従って、空気入りタイヤのサイドウォールやランフラットタイヤのサイド補強ゴムに好適な、低発熱性で且つ加工性の良好なゴム組成物が求められている。
特公平6−53763号公報 特公平6−57767号公報 WO03/046020号パンフレット WO03/048216号パンフレット WO03/087171号パンフレット
本発明は、このような状況下で、低発熱性と良好な加工性とを兼ね備えたゴム組成物を提供することを目的とし、そのゴム組成物をサイドウォールに用いた空気入りタイヤ及びそのゴム組成物をサイド補強ゴムに用いたランフラットタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の変性ポリマーとカーボンブラック主体の補強性充填材とを含むゴム組成物において、特定のアルコキシシラン化合物を配合することにより、低発熱性と加工性とを両立し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表わされる共役ジエン重合体及び/又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体からなる変性ポリマーを含むゴム成分と、カーボンブラック単独又はカーボンブラックとシリカとからなる補強性充填材と、下記一般式(2)で表わされるアルコキシシラン化合物とを含むことを特徴とするゴム組成物並びにそのゴム組成物をサイドウォールに用いた空気入りタイヤ及びそのゴム組成物をサイド補強ゴムに用いたランフラットタイヤである。
Figure 0005319108
[式中、−(Polymer)は共役ジエン重合体及び/又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体のポリマー鎖であり、1及びR3は夫々独立に−OR、−OH、炭素数1〜20のアルキル基又はハロゲンであり、R2及びR4は夫々独立に−OR、−OH、−(Polymer)、又は硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/もしくはハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基であり、Rは硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、MはSi、Ti、Sn、Bi又はZrであり、Raは−OH、−(Polymer)、ハロゲン、炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数2〜30のヒドロカルビルカルボキシル基、炭素数5〜20の1,3−ジカルボニル含有基、炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、並びに炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で三置換されたシロキシ基からなる群から選ばれる基であり、複数のRaは同一でも異なっていても良く、kは{(Mの価数)−2}であり、nは0〜10の整数である]
Figure 0005319108
[式中、R5及びR6は夫々独立に硫黄原子、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基であり、mは1〜4の整数である]
本発明によれば、低発熱性と良好な加工性とを兼ね備えたゴム組成物を提供することができると共に、そのゴム組成物をサイドウォールに用いた低発熱性空気入りタイヤ及びそのゴム組成物をサイド補強ゴムに用いことにより耐久性が向上したランフラットタイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物のゴム成分に含まれる変性ポリマーは、共役ジエン重合体及び/又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体からなる。
前記共役ジエン重合体に用いられる共役ジエン単量体としては、例えば1.3−ブタジエン、イソプレン、1.3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニルー1,3−ブタジエン、1、3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1、3−ブタジエンが特に好ましい。共役ジエン重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体等が挙げられる。
また、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体に用いられる芳香族ビニル単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロへキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。共役ジエン−芳香族ビニル共重合体としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン三元共重合体等が挙げられる。
前記共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体としては、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン共重合体が好ましく、ポリブタジエンが特に好ましい。
更に、本発明のゴム組成物のゴム成分に含まれる変性ポリマーは、下記一般式(1)で表わされる。
Figure 0005319108
ここで、R1及びR3は夫々独立に−OR、−OH、炭素数1〜20のアルキル基又はハロゲンであり、R2及びR4は夫々独立に−OR、−OH、−(Polymer)、又は硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/もしくはハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基であり、Rは硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、MはSi、Ti、Sn、Bi又はZrであり、Raは−OH、−(Polymer)、ハロゲン、炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数2〜30のヒドロカルビルカルボキシル基、炭素数5〜20の1,3−ジカルボニル含有基、炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、並びに炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で三置換されたシロキシ基からなる群から選ばれる基であり、複数のRaは同一でも異なっていても良く、kは{(Mの価数)−2}であり、nは0〜10の整数である。nは好ましくは0〜8の整数である。
なお、−(Polymer)は共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体のポリマー鎖である。
前記のR1、R2、R3及びR4の−ORとしては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられ、これらの官能基は、硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い。硫黄原子は、例えば、−SH、−SX−(Xは1〜5の整数である)、エピチオ基としてR中に含まれていても良い。酸素原子は、−OH、−O−、エポキシ基、アシル基、カルボキシル基としてR中に含まれていても良い。窒素原子は、アミノ基(第一アミノ基、第二アミノ基、又は非環状もしくは環状第三アミノ基)、イミノ基、イミン残基、アミジン基、イソシアネート基、N−ヒドロキシ基、N−オキシド基、シアノ基としてR中に含まれていても良い。
また、前記のR1及びR3の炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
前記のR2及びR4の硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、これらの官能基は、硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い。硫黄原子は、例えば、−SH、−SX−(Xは1〜5の整数である)、エピチオ基としてアルキル基中に含まれていても良い。酸素原子は、−OH、−O−、エポキシ基、アシル基、カルボキシル基としてアルキル基中に含まれていても良い。窒素原子は、アミノ基(第一アミノ基、第二アミノ基又は非環状もしくは環状第三アミノ基)、イミノ基、イミン残基、アミジン基、イソシアネート基、N−ヒドロキシ基、N−オキシド基、シアノ基としてアルキル基中に含まれていても良い。
1及びR3としてのハロゲン、並びにR中に含まれていても良いハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、沃素のいずれであっても良いが、塩素又は臭素が好ましい。
前記一般式(1)で表わされる変性ポリマーは、アニオン重合又は配位アニオン重合により得られた共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる第一段変性反応の後、更に特定の縮合促進剤を用いて第二段変性反応を行うことにより得られる。
前記のヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、イミン残基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、特に保護された第一アミノ基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物、前記以外の非環状第三アミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、環状第三アミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、アミジン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、エポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、エピチオ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、イソシアネート基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、カルボン酸エステル残基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、カルボン酸無水物残基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、シアノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、ピリジン含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物及び前記以外のアルコキシシラン化合物(アルキルアルコキシシラン化合物も含まれる)等が挙げられる。
保護された第一アミノ基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン又はN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン等を好ましく挙げることができる。特に好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン又は1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンを挙げることができる。
前記以外のイミン残基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジエトキシシリル化合物、メチルジメトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物などを好ましく挙げることができるが、これらの中で特に、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが好適である。
前記以外の非環状第三アミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、例えば3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン,3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン,3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン,3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランなどを好ましく挙げることができるが、これらの中で特に、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン及び3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
また、環状第三アミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン,(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン,(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン,2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン,2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン,3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シラン,3−(1−ヘプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン,3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシラン,3−〔10−(トリエトキシシリル)デシル〕−4−オキサゾリンなどを好ましく挙げることができるが、これらの中で、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン及び(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シランをより好ましく挙げることができる。特に、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
また、アミジン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N−(3−トリメトキシシリルプロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−イソプロポキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール等が挙げられ、その中でも、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールが好ましい。
エポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、例えば2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン等を好ましく挙げることができるが、これらの中で、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好適である。
エピチオ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、前記のエポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物のエポキシ基をエピチオ基に置き換えたものを好ましく挙げることができる。
イソシアネート基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、その中でも3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
カルボン酸エステル残基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、その中でも、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
カルボン酸無水物残基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられ、その中でも、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物が好ましい。
ヒドロカルビルオキシシラン化合物の内、前記以外のアルコキシシラン化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン等を挙げることができるが、これらの中で、特にテトラエトキシシランが好適である。
更に、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−シアノエチルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
前記のヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る変性ポリマーを製造するための第二段変性反応においては、共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性部位に導入されたヒドロカルビルオキシシラン化合物残基の縮合又は未反応のヒドロカルビルオキシシラン化合物との縮合を縮合促進剤の存在下に行うことが好ましい。この縮合促進剤としては、一般にアルコキシ縮合硬化型室温架橋(RTV)シリコーンのための硬化触媒として知られている、Si、Ti、Sn、Bi又はZrの金属化合物と、水との組み合わせが使用できる。
前記の縮合促進剤の内、金属化合物としては、下記一般式(3)で表される二価のスズ化合物、下記一般式(4)で表される四価のスズ化合物及び下記一般式(5)で表されるチタン化合物が好ましい。
Sn(OCOR72 ・・・(3)
ここで、R7は炭素数2〜19のアルキル基である。
8 xSnA1 y1 4-y-x ・・・(4)
ここで、R8は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、xは1〜3の整数、yは1又は2、A1は炭素数2〜30のヒドロカルビルカルボキシル基、炭素数5〜20の1,3−ジカルボニル含有基、炭素数3〜20のヒドロカルビルオキシ基、及び炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で三置換されたシロキシ基から選ばれる基、B1はヒドロキシル基又はハロゲンである。
2 zTiB2 4-z ・・・(5)
ここで、A2は炭素数3〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基及び/又は炭素数1〜20のアルコキシ基で三置換されたシロキシ基から選ばれる基、B2は炭素数5〜20の1,3−ジカルボニル含有基、zは2又は4である。
前記の縮合促進剤の内、金属化合物として、より具体的には、前記スズのカルボン酸塩としては、二価のスズのジカルボン酸{特に、ビス(ヒドロカルビルカルボン酸)塩}や、四価のジヒドロカルビルスズのジカルボン酸塩{ビス(ヒドロカルビルカルボン酸)}塩を含む)、ビス(β−ジケトネート)、アルコキシハライド、モノカルボン酸塩ヒドロキシド、アルコキシ(トリヒドロカルビルシロキシド)、アルコキシ(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)、ビス(トリヒドロカルビルシロキシド)、ビス(ジヒドロカルビルアルコキシシロキシド)等を好適に用いることができる。スズに結合したヒドロカルビル基としては炭素数が4以上のものが望ましく、炭素数4から炭素数8のものが特に好ましい。
前記チタン化合物としては、四価のチタンのテトラアルコキシド、ジアルコキシビス(β−ジケトネート)、テトラキス(トリヒドロカルビオキシド)などが挙げられ、特にテトラキス(トリヒドロカルビオキシド)が好適に用いられる。
前記チタン化合物として、チタン(Ti)のアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩が好ましく用いられる。
具体的なチタン化合物としては、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ステアレート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)などが挙げられる。中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)等が好ましい。
ビスマス化合物としては、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス等を挙げることができる。
水としては、単体やアルコール等の溶液、炭化水素溶媒中の分散ミセル等の形態が好適に用いられるほか、必要ならば固体表面の吸着水や水和物の水和水等の、反応系中で水を放出し得る化合物が潜在的に含んだ水分も有効に用いることができる。従って吸着水を持つ固体や、水和物など、容易に水を放出することができる化合物を前記金属化合物と併用することも好ましい態様として挙げられる。
縮合促進剤を形成するこれら金属化合物と水は、反応系に別々に投入しても、使用直前に混合して混合物として投入してもよいが、混合物の長期保存は金属化合物の分解を招くので好ましくない。
尚、水の反応系中への投入は、アルコール等の水と相溶性のある有機溶媒の溶液としてもよいし、種々の化学工学的手法を用いて水を直接炭化水素溶液中に注入・分散させても良い。また、水は第二段変性反応終了後に、スチームストリッピング等により加えても良い。
この縮合促進剤の使用量は、前記金属化合物の金属及びプロトン源の、系内に存在するヒドロカルビルオキシシリル結合総量に対するモル比が、共に0.1以上になるように選定するのが好ましい。
前記金属化合物の金属および反応に有効な水のモル数は、反応系内に存在するヒドロカルビオキシシリル基の総量に対するモル比として、共に0.1以上が好ましい。上限は目的や反応条件によっても異なるが、縮合処理以前の段階で重合体活性部位に結合されたヒドロカルビオキシシリル基の量に対して0.5から3モル当量の有効な水が存在することが好ましい。
また、該縮合促進剤を用いた第二段変性反応は20℃以上の温度で行うことが好ましく、更には30〜120℃の範囲が好ましい。反応時間としては、0.5分〜10時間、好ましくは0.5分〜5時間、より好ましくは0.5〜120分程度、3〜60分の範囲が更に好ましい。
なお、第二段変性反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
本発明においては、この変性反応時に、所望により、公知の老化防止剤や重合反応を停止する目的でショートストップ剤を、重合体の活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物残基を導入した後の工程において、添加することができる。また、変性反応終了後、多価アルコールの高級カルボン酸エステルなどの縮合抑制剤を反応系に添加してもよい。
このようにして変性処理したのち、スチームストリッピング等の脱溶媒などの従来公知の後処理を行い、目的の変性ポリマーを得ることができる。
前記二段変性反応終了後に保護された窒素原子の保護基を脱離させ、第一アミノ基を生成する脱保護処理は、上述したスチームストリッピング等の水蒸気を用いる脱溶媒処理以外に、二段変性反応の段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーまでのいずれかの段階において必要に応じて種々の方法で第一アミノ基上の保護基を加水分解することによって遊離した第一アミノ基に変換し、ヒドロカルビルオキシシラン化合物由来の保護された第一アミノ基の脱保護処理を行うことができる。
但し、加水分解により第一アミノ基を生成し得る前駆体が加水分解されないで変性ポリマー中に存在していても、この変性ポリマーの混練り時に第一アミノ基を保護していた保護基が外れ、第一アミノ基が生成するので、第一アミノ基を生成し得る前駆体は変性ポリマーが混練りされる前の段階で加水分解されなくても良い。
本発明に係る変性ポリマーは、例えば以下のようにして得られる。
ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを用い、縮合促進剤の内、金属化合物として二価のSnのビス(ヒドロカルビルカルボン酸)塩を用いて、前記二段変性反応終了後にスチームストリッピング等により保護された窒素原子の保護基を脱離させれば、下記式(6)で表わされる第一アミノ基を有する変性ポリマーが得られる。
Figure 0005319108
また、ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンを用い、縮合促進剤の内、金属化合物として二価のSnのビス(ヒドロカルビルカルボン酸)塩を用いて、前記二段変性反応を行えば、下記式(7)で表わされる変性ポリマーが得られる。
Figure 0005319108
更に、ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、テトラエトキシシランを用い、縮合促進剤の内、金属化合物として二価のSnのビス(ヒドロカルビルカルボン酸)塩を用いて、前記二段変性反応を行えば、下記式(8)で表わされる変性ポリマーが得られる。
Figure 0005319108
次に、前記一般式(1)で表わされる変性ポリマーを得るための重合反応系について説明をする。共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端に変性剤により第一アミノ基を含む化合物を導入するためには、使用する重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性又は擬似リビング性を有するものが好ましい。このようなリビング性を有する重合反応としては、例えば、アニオン重合と配位アニオン重合とがある。
上述のアニオン重合の開始剤として用いられるアルカリ金属化合物としては、リチウム化合物が好ましい。リチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が得られる。
前記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロベンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応性生物等が挙げられるが、これらの中で、特にn−ブチルリチウムが好適である。
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド等の環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、二級アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−Situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
前記リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶剤中において、共役ジエン単量体又は共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の活性末端を有する共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が得られる。
また、リチウム化合物を重合開始剤として用いた場合には、前述のランタン系列希土類元素化合物を含む触媒を用いた場合に比べ、活性末端を有する共役ジエン重合体のみならず、活性末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体も効率よく得ることができる。
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
また、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。尚、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル単量体の含量は55質量%以下の範囲が好ましい。
また、所望により用いられるランダマイザーとは共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体のミクロ構造の制御、例えばブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン部分の1,2結合、イソプレン重合体における3,4結合の増加等、あるいは共役ジエン一芳香族ビニル共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えばブタジエンースチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化等の作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、オキソラニルプロパンオリゴマー類[特に2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパンを含む物等]、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピぺリジノエタン等のエーテル類及び三級アミン類等を挙げることができる。また、カリウムt−アミレート、カリウムt−ブトキシド等のカリウム塩類、ナトリウムt−アミレート等のナトリウム塩類も用いることができる。
これらのランダマイザーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
次に、配位アニオン重合の重合触媒系について説明をする。配位アニオン重合の重合触媒系としては、有機溶媒中でランタン系列希土類元素化合物を含む触媒が用いられる。
ランタン系列希土類元素化合物を含む触媒としては、
(A)成分:周期律表の原子番号57〜71の希土類元素含有化合物、又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物、
(B)成分:下記一般式(9):
AlR91011 ・・・(9)
ここで、R9及びR10は同一又は異なり、炭素数1〜10のヒドロカルビル基又は水素原子で、R11は炭素数1〜10のヒドロカルビル基であり、但し、R11は上記R9又はR10と同一又は異なっていてもよい)で表される有機アルミニウム化合物、並びに
(C)成分:ルイス酸、金属ハロゲン化物と、ルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物の少なくとも一種からなる触媒系により共役ジエン単量体を重合するのが好ましい。
また、本発明において、ランタン系列希土類元素化合物を含む触媒系には、上記(A)〜(C)成分の他に、更に(D)成分として、有機アルミニウムオキシ化合物、所謂アルミノキサンを添加するのが好ましい。ここで、前記触媒系は、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び共役ジエン単量体の存在下で予備調製されてなるのが、更に好ましい。
本発明において、ランタン系列希土類元素化合物を含む触媒系の(A)成分は、周期律表の原子番号57〜71の希土類元素を含有する化合物、又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物である。ここで、原子番号57〜71の希土類元素の中でも、ネオジム、プラセオジウム、セリウム、ランタン、ガドリニウム等、又はこれらの混合物が好ましく、ネオジムが特に好ましい。
前記希土類元素含有化合物としては、炭化水素溶媒に可溶な塩が好ましく、具体的には、前記希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩が挙げられ、これらの中でも、カルボン酸塩及びリン酸塩が好ましく、カルボン酸塩が特に好ましい。
ここで、炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
上記希土類元素のカルボン酸塩としては、下記一般式(10):
(R12−CO231 ・・・(10)
(式中、R12は炭素数1〜20のヒドロカルビル基で、M1は周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。ここで、R12は、飽和又は不飽和でもよく、アルキル基及びアルケニル基が好ましく、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよい。また、カルボキシル基は、1級、2級又は3級の炭素原子に結合している。該カルボン酸塩として、具体的には、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸]等の塩が挙げられ、これらの中でも、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、バーサチック酸の塩が好ましい。
上記希土類元素のアルコキサイドとしては、下記一般式(11):
(R13O)32 ・・・(11)
(式中、R13は炭素数1〜20のヒドロカルビル基で、M2は周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。R13Oで表されるアルコキシ基としては、2−エチル−ヘキシルオキシ基、オレイルオキシ基、ステアリルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、2−エチル−ヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基が好ましい。
上記希土類元素のβ−ジケトン錯体としては、上記希土類元素のアセチルアセトン錯体、ベンゾイルアセトン錯体、プロピオニトリルアセトン錯体、バレリルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体等が挙げられる。これらの中でも、アセチルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体が好ましい。
上記希土類元素のリン酸塩及び亜リン酸塩としては、上記希土類元素と、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸等との塩が挙げられ、これらの中でも、上記希土類元素と、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸との塩が好ましい。
上記希土類元素含有化合物の中でも、ネオジムのリン酸塩、及びネオジムのカルボン酸塩が更に好ましく、特にネオジムの2−エチルヘキサン酸塩、ネオジムのネオデカン酸塩、ネオジムのバーサチック酸塩等のネオジムの分岐カルボン酸塩が最も好ましい。
また、(A)成分は、上記希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物でもよい。該反応物は、ルイス塩基によって、希土類元素含有化合物の溶剤への溶解性が向上しており、また、長期間安定に貯蔵することができる。上記希土類元素含有化合物を溶剤に容易に可溶化させるため、また、長期間安定に貯蔵するために用いられるルイス塩基は、希土類元素1モル当り0〜30モル、好ましくは1〜10モルの割合で、両者の混合物として、又は予め両者を反応させた生成物として用いられる。ここで、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコールが挙げられる。
以上に述べた(A)成分としての希土類元素含有化合物又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物は、一種単独で使用することも、二種以上を混合して用いることもできる。
本発明において、末端活性重合体の重合に用いる触媒系の(B)成分である上記一般式(9)で表される有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(B)成分としての有機アルミニウム化合物は、一種単独で使用することも、二種以上を混合して用いることもできる。
本発明において、末端活性重合体の重合に用いる触媒系の(C)成分は、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物からなる群から選択される少なくとも一種のハロゲン化合物である。
上記ルイス酸は、ルイス酸性を有し、炭化水素に可溶である。具体的には、二臭化メチルアルミニウム、二塩化メチルアルミニウム、二臭化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二臭化ブチルアルミニウム、二塩化ブチルアルミニウム、臭化ジメチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジブチルアルミニウム、塩化ジブチルアルミニウム、セスキ臭化メチルアルミニウム、セスキ塩化メチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化ジブチルスズ、三臭化アルミニウム、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化スズ、四塩化ケイ素等が例示できる。これらの中でも、塩化ジエチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、及び二臭化エチルアルミニウムが好ましい。
また、トリエチルアルミニウムと臭素の反応生成物のようなアルキルアルミニウムとハロゲンの反応生成物を用いることもできる。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチル−ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モル当り、通常0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
また、(D)成分であるアルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、クロロアルミノキサン等が挙げられる。(D)成分としてアルミノキサンを加えることで、分子量分布がシャープになり、触媒としての活性も向上する。
本発明で使用する触媒系の各成分の量又は組成比は、その目的又は必要性に応じて適宜選択される。このうち、(A)成分は、1,3−ブタジエン 100gに対し、0.00001〜1.0ミリモル用いるのが好ましく、0.0001〜0.5ミリモル用いるのが更に好ましい。(A)成分の使用量を上記範囲内にすることによって優れた重合活性が得られ、脱灰工程の必要性がなくなる。
また、(A)成分と(B)成分の割合は、モル比で、(A)成分:(B)成分が通常1:1〜1:700、好ましくは1:3〜1:500である。
更に、(A)成分と(C)成分中のハロゲンの割合は、モル比で、通常1:0.1〜1:30、好ましくは1:0.2〜1:15、更に好ましくは1:2.0〜1:5.0である。
また、(D)成分中のアルミニウムと(A)成分との割合は、モル比で、通常1:1〜700:1、好ましくは3:1〜500:1である。これらの触媒量又は構成成分比の範囲内にすることで、高活性な触媒として作用し、また、触媒残渣を除去する工程の必要性がなくなるため好ましい。
また、上記の(A)〜(C)成分以外に、重合体の分子量を調節する目的で、水素ガスを共存させて重合反応を行ってもよい。
触媒成分として、上記の(A)成分、(B)成分、(C)成分及び必要により用いられる(D)成分以外に、必要に応じて、1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体を少量、具体的には、(A)成分の化合物1モル当り0〜1000モルの割合で用いてもよい。触媒成分としての1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体は必須ではないが、これを併用すると、触媒活性が一段と向上する利点がある。
上記触媒の製造は、例えば、溶媒に(A)成分〜(C)成分を溶解させ、更に必要に応じて、1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体を反応させる。
その際、各成分の添加順序は、特に限定されず、更に(D)成分としてアルミノキサンを添加してもよい。重合活性の向上、重合開始誘導期間の短縮の観点からは、これら各成分を、予め混合して、反応させ、熟成させることが好ましい。
ここで、熟成温度は、0〜100℃程度であり、20〜80℃が好ましい。0℃未満では、充分に熟成が行われにくく、100℃を超えると、触媒活性の低下や、分子量分布の広がりが起こる場合がある。
また、熟成時間は、特に制限なく、重合反応槽に添加する前にライン中で接触させることでも熟成でき、通常は、0.5分以上あれば充分であり、数日間は安定である。
上記末端活性を有する共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の製造においては、前記ランタン系列希土類元素含有化合物を含む触媒系を用いて有機溶媒中で、共役ジエン単量体単独又は、共役ジエン単量体と他の共役ジエン単量体の溶液重合を行なうことによって得られる。ここで、重合溶媒としては、不活性の有機溶媒を用いる。不活性の有機溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
これらの中でも、炭素数5〜6の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が特に好ましい。これらの溶媒は、一種単独で使用してもよく、二種以上を混合して使用してもよい。
この配位アニオン重合に用いられる溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
本発明において、配位アニオン重合反応における温度は、好ましくは−80〜150℃、より好ましくは−20〜120℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
上述のアニオン重合及び配位アニオン重合においては、重合開始剤、溶媒、単量体等、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を除去したものを用いることが望ましい。
上記重合反応は、回分式及び連続式のいずれで行ってもよい。
このようにして活性末端を有する共役ジエン重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が得られる。
本発明においては、以上のようにして得られた活性末端を有する重合体に、後述する変性剤を、該重合体の活性末端に対して、好ましくは化学量論的量又はそれより過剰に加え、該重合体に結合している活性末端と反応させる。
本発明のゴム組成物をランフラットタイヤのサイド補強ゴムに用いる場合は、耐発熱性を確保するために共役ジエン部のビニル結合含有量が5〜60%であることがより好ましい。特に好ましくは10〜50%である。なお、シス−1,4結合含有量及びビニル結合含有量の測定は、赤外法(モレロ法)による。
また、本発明に係る変性ポリマーは、変性剤又は重合停止剤と反応させる前に常法により単離した場合のGPCによるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が100,000〜500,000であることが好ましく、120,000〜300,000であることが更に好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn)が1〜3であることが好ましく、1.1〜2.7であることがより好ましい。変性ポリマーの変性剤又は重合停止剤と反応させる前に常法により単離した場合のGPCによるポリスチレン換算の数平均分子量を前記範囲内にすることによって加硫物の弾性率の低下、ヒステリシスロスの上昇を抑えて優れた耐破壊特性を得るとともに、変性ポリマーを含むゴム組成物の優れた混練作業性が得られる。
ここで、数平均分子量(Mn)及び分子量分布は、GPC[東ソー製、HLC−8220]により検出器として屈折計を用いて測定し、単分散ポリスチレンを標準としたポリスチレン換算で示した。なお、カラムはGMHXL[東ソー製]で、溶離液はテトラヒドロフランである。
本発明のゴム組成物のゴム成分は、前記一般式(1)で表わされる変性ポリマー1〜100質量%及びジエン系ゴム99〜0質量%からなることが好ましい。変性ポリマーが1質量%以上あれば、本発明の効果を享受することができるからである。ここで、ジエン系ゴムとしては、本発明にかかる変性ポリマー以外の、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエン−ポリイソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン三元共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック単独又はカーボンブラックとシリカとからなる補強性充填材を10〜100質量部、より好ましくは30〜80質量部、前記アルコキシシラン化合物を0.1〜50質量部、より好ましくは1〜30質量部含むことが好ましい。また、補強性充填材がカーボンブラック主体であり、カーボンブラック80〜100質量%及びシリカ20〜0質量%からなることが好ましい。
補強性充填材として用いられるカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)が20〜100m2/gであることが好ましい。この範囲のカーボンブラックとしては、例えばGPF、FEF、SRF、HAF、N339等が挙げられる。カーボンブラック窒素吸着比表面積は、好ましくは25〜100m2/gであり、特に好ましくは35〜100m2/gである。特に、低発熱性(低燃費性)に優れるHAF及びFEFが好ましい。
補強性充填材として所望によりカーボンブラックと共に用いられるシリカとしては、市販のあらゆるものが使用でき、なかでも湿式シリカ 、乾式シリカ 、コロイダルシリカ を用いるのが好ましい。シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)としては100m2/g以上のものが好ましく、より好ましくは150m2/g以上、特に好ましくは170m2/g以上である。このようなシリカとしては東ソーシリカ社製、商品名「ニプシルAQ」(BET比表面積 =190m2/g)、「ニプシルKQ」、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積 =175m2/g)等の市販品を用いることができる。
本発明のゴム組成物は、下記一般式(2)で表わされるアルコキシシラン化合物を含むことを要する。補強性充填材がカーボンブラック主体である本発明のゴム組成物に含まれる変性ポリマーは、通常混練時には、第二段変性反応の縮合反応により得られた結合が切断されないため未加硫ゴム組成物の粘度が高く、加工性が悪いが、このアルコキシシラン化合物を配合することにより縮合反応により得られた結合の切断が進行し未加硫ゴム組成物の粘度が低下するため、加工性が大幅に改良される。一方、変性ポリマーの優れた低発熱性は維持されるため、本発明のゴム組成物の低発熱性と加工性の両立を達成することができる。
Figure 0005319108
ここで、R5及びR6は夫々独立に硫黄原子、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基である。mは1〜4の整数であり、好ましくは、3〜4の整数である。
硫黄原子は、例えば、−SH、−SX−(Xは1〜5の整数である)、エピチオ基としてヒドロカルビル基中に含まれていても良い。酸素原子は、−OH、−O−、エポキシ基、アシル基、カルボキシル基としてヒドロカルビル基中に含まれていても良い。窒素原子は、アミノ基(第一アミノ基、第二アミノ基、又は非環状もしくは環状第三アミノ基)、イミノ基、イミン残基、アミジン基、イソシアネート基、N−ヒドロキシ基、N−オキシド基、シアノ基としてヒドロカルビル基中に含まれていても良い。ケイ素原子は、例えば、(RbO)3Si−Rc−Sx1−Rd−のように硫黄原子と組み合わせて用いられることが好ましい。ここで、Rb、Rc、Rdは炭素数1〜10、特に炭素数1〜4のアルキル基、x1は2〜5の平均数である。
前記一般式(2)で表わされるアルコキシシラン化合物の具体例としては、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のモノアルキルトリアルコキシシラン化合物、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメメトキシシラン等のテトラアルコキシシラン化合物、ジアルキルジアルコキシシラン化合物やビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド等の硫黄含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。
これらのアルコキシシラン化合物の内、オクチルトリメトキシシランが特に好ましい。
本発明に係るゴム組成物は、硫黄架橋性であることが好ましく、加硫剤として硫黄が好適に用いられる。その使用量としては、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分(硫黄及び硫黄供与剤の硫黄分の合計量)を0.1〜10質量部配合することが好ましい。この範囲であれば、加硫ゴム組成物の必要な弾性率及び強度を確保すると共に低燃費性を得ることができるからである。この観点から、硫黄分を0.5〜8質量部配合することが更に好ましく、1.0〜8質量部配合することが特に好ましい。
本発明に係るゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば硫黄以外の加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を含有させることができる。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2-メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
また、本発明のゴム組成物で使用できる軟化剤として用いるプロセス油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)が悪化するのを抑制することができる。
更に、本発明のゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜6.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5.0質量部である。
本発明のゴム組成物は、前記配合処方により、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、空気入りタイヤのサイドウォールやランフラットタイヤのサイド補強層として用いられる。
本発明のゴム組成物を用いた空気入りタイヤを以下、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施態様の断面を示す模式図である。
図1において、本発明の空気入りタイヤの好適な実施態様は、一対のビードコア1、1'間にわたってトロイド状に連なり、両端部が該ビードコア1をタイヤ内側から外側へ巻き上げられる少なくとも1枚のラジアルカーカスプライからなるカーカス2と、該カーカス2のサイド領域のタイヤ軸方向外側に配置されて外側部を形成するサイドウォール3と、該カーカス2のクラウン領域のタイヤ径方向外側に配置されて接地部を形成するトレッド4と、該トレッド4と該カーカス2のクラウン領域の間に配置されて補強ベルトを形成するベルト5と、該カーカス2のタイヤ内方全面に配置されて気密膜を形成するインナーライナー6とを具える空気入りタイヤであって、サイドウォール3に本発明のゴム組成物を用いるものである。これにより、本発明の空気入りタイヤは、低発熱性に優れ、転がり抵抗が軽減されることとなる。
更に、本発明のゴム組成物は、加工性が良好であるので、空気入りタイヤの生産性にも優れている。
図2は、本発明のランフラットタイヤの一実施態様の断面を示す模式図である。図2において、本発明のランフラットタイヤの好適な実施態様は、一対のビードコア1、1'間にわたってトロイド状に連なり、両端部が該ビードコア1をタイヤ内側から外側へ巻き上げられる少なくとも1枚のラジアルカーカスプライからなるカーカス2と、該カーカス2のサイド領域のタイヤ軸方向外側に配置されて外側部を形成するサイドウォール3と、該カーカス2のクラウン領域のタイヤ径方向外側に配置されて接地部を形成するトレッド4と、該トレッド4と該カーカス2のクラウン領域の間に配置されて補強ベルトを形成するベルト5と、該カーカス2のタイヤ内方全面に配置されて気密膜を形成するインナーライナー6と、一方の該ビードコア1から他方の該ビードコア1'へ延びる該カーカス2本体部分と該ビードコア1に巻き上げられる巻上部分との間に配置されるビードフィラー7と、該カーカス2のサイド領域の該ビードフィラー7側部からショルダー区域8にかけて、該カーカス2と該インナーライナー6との間に、タイヤ回転軸に沿った断面形状が略三日月形である、少なくとも1枚のサイド補強ゴム9とを具えるランフラットタイヤであって、サイド補強ゴム9に本発明のゴム組成物を用いるものである。本発明のランフラットタイヤは、低発熱性に優れる本発明のゴム組成物からなるサイド補強ゴム9を具備することにより、通常走行時の転がり抵抗が軽減されると共に、ランフラット走行時の耐久性が大幅に向上することとなる。
更に、本発明のゴム組成物は、加工性が良好であるので、ランフラットタイヤの生産性にも優れている。
本発明のタイヤは、本発明に係るゴム組成物をサイドウォール3及び/又はサイド補強ゴム9に用いて通常のランフラットタイヤの製造方法によって製造される。すなわち、前記のように各種薬品を含有させた本発明に係るゴム組成物が未加硫の段階で各部材に加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により成型され、生タイヤが形成される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、未加硫ゴム組成物の物性並びに空気入りタイヤの転がり抵抗及びランフラットタイヤの転がり抵抗及びランフラット耐久性は、下記の方法に従って測定した。
《未加硫ゴム組成物の物性》
<ムーニー粘度>
JIS K 6300−1:2001に準拠して、ML1+4の条件で130℃にて測定し、比較例1又は6の未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を100として、以下の式により指数表示した。指数値が小さい程、ムーニー粘度が小さく良好であることを示す。
ムーニー粘度(指数)=(供試未加硫ゴム組成物のムーニー粘度/比較例1又は6の未加硫ゴム組成物のムーニー粘度)×100
《空気入りタイヤの評価》
<転がり抵抗>
SAE J2452に準拠して、空気入りラジアルタイヤの転がり抵抗を測定し、比較例1又は6のタイヤの転がり抵抗を100として、以下の式により指数表示した。指数値が小さい程、転がり抵抗 が小さく良好であることを示す。
転がり抵抗(指数)=(供試タイヤの転がり抵抗/比較例1又は6のタイヤの転がり抵抗)×100
<ランフラット耐久性>
各供試タイヤ(タイヤサイズ215/45ZR17)を常圧でリム組みし、内圧230kPaを封入してから38℃の室内中に24時間放置後、バルブのコアを抜き、内圧を大気圧として、荷重4.17kN(425kg)、速度89km/h、室内温度38℃の条件でドラム走行テストを行なった。各供試タイヤの故障発生までの走行距離を測定し、比較例1又は6の走行距離を100として、以下の式により、指数表示した。指数が大きい程、ランフラット耐久性が良好である。
ランフラット耐久性(指数)=(供試タイヤの走行距離/比較例1又は6のタイヤの走行距離)×100
製造例1:未変性ポリマーAの製造
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン1.4kg、1,3−ブタジエン250g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン(0.0285mmol)を注入し、これに2.85mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行なった。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。この重合体溶液を、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.3gを含むメタノール溶液に抜き取り重合を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、未変性ポリマーAを得た。得られた未変性ポリマーAのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は150,000、及び分子量分布(Mw/Mn)は1.1であった。
製造例2:変性ポリマーBの製造
変性前の重合体の製造は前記重合体Aと同様の方法にて行なった。引き続き重合触媒を失活させることなく、重合溶液を温度50℃に保ち、第一アミノ基が保護されたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mgを加えて、変性反応を15分間行った。この後、縮合促進剤であるテトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン8.11gを加え、更に15分間攪拌した。最後に反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒及び保護された第一アミノ基の脱保護を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、変性ポリマーBを得た。変性ポリマーBは、前記式(6)における二価のSnを4価のTiに置き換えた変性ポリマーである。得られた変性ポリマーBのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は170,000、及び分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
製造例3:変性ポリマーCの製造
変性前の重合体の製造は前記重合体Cと同様の方法にて行なった。引き続き重合触媒を失活させることなく、重合溶液を温度50℃に保ち、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン1020mgを加えて、変性反応を15分間行った。この後、縮合促進剤であるテトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン8.11gを加え、更に15分間攪拌した。最後に反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、変性ポリマーCを得た。変性ポリマーCは、前記式(7)における二価のSnを4価のTiに置き換えた変性ポリマーである。得られた変性ポリマーCの数平均分子量(Mn)は170,000、及び分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
なお、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンは、チッソ(株)製、商標「サイラエース S340」を用いた。
製造例4:N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランの合成
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたガラスフラスコ中のジクロロメタン溶媒400ml中にアミノシラン部位として36gの3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Gelest社製)を加えた後、更に保護部位として塩化トリメチルシラン(Aldrich社製)48ml、トリエチルアミン53mlを溶液中に加え、17時間室温下で攪拌し、その後反応溶液をエバポレーターにかけることにより溶媒を取り除き、反応混合物を得、更に得られた反応混合物を5mm/Hg条件下で減圧蒸留することにより、130〜135℃留分としてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを40g得た。このN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを製造例2(変性ポリマーBの製造)に用いた。
実施例1〜5及び比較例1〜9
製造例1で得られた未変性ポリマーA及び、製造例2及び3で得られた変性ポリマーB及びCを用い、表1及び表2に示す配合処方に従い、実施例1〜5及び比較例1〜9の14種類のゴム組成物を調製した。これら14種類の未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。結果を表1及び2に示す。
次に、これら14種類のゴム組成物を図1に示す空気入りタイヤのサイドウォール3に配設して、それぞれタイヤサイズ215/45ZR17の乗用車用空気入りタイヤを常法に従って製造し、それら14種類の空気入りタイヤについて転がり抵抗を評価した。結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005319108
[注]
1)カーボンブラック:HAF{N2SA(m2/g)=77(m2/g)}、旭カーボン(株)製 商標「旭#70」
2)アルコキシシラン化合物:オクチルトリメトキシシラン
3)軟化剤:アロマティックオイル、富士興産(株)製 商標「アロマックス#3」
4)老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、精工化学(株)製 商標「オゾノン6C」
5)加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製 商標「ノクセラーCZ」
Figure 0005319108
[注]
6)シリカ:東ソー・シリカ(株)製 商標「ニプシルAQ」
7)アルコキシシラン化合物:オクチルトリメトキシシラン
8)軟化剤:アロマティックオイル、富士興産(株)製 商標「アロマックス#3」
9)老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、精工化学(株)製 商標「オゾノン6C」
10)加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製 商標「ノクセラーCZ」
表1及び2から明らかなように、本発明である実施例1〜5のゴム組成物は、変性ポリマーを含むゴム成分と、カーボンブラック単独又はカーボンブラックとシリカとからなる補強性充填材と、前記一般式(2)で表わされるアルコキシシラン化合物とを含むことにより、比較例3〜5のゴム組成物対比、未加硫ゴム組成物のムーニー粘度が軽減し、低発熱性が同等以上であり、空気入りタイヤの転がり抵抗も同等以上であった。また、実施例1〜5のゴム組成物は、比較例1、2、4、6〜9のゴム組成物対比、低発熱性が向上し、空気入りタイヤの転がり抵抗が向上した。
実施例6〜10及び比較例10〜18
製造例1で得られた未変性ポリマーA及び、製造例2及び3で得られた変性ポリマーB及びCを用い、表3及び表4に示す配合処方に従い、実施例6〜10及び比較例10〜18の14種類のゴム組成物を調製した。これら14種類の未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。結果を表3及び4に示す。
次に、これら14種類のゴム組成物を図2に示すランフラットタイヤのサイド補強ゴム9に配設して、それぞれタイヤサイズ215/45ZR17の乗用車用空気入りランフラットタイヤを常法に従って製造し、それら14種類の空気入りタイヤについて転がり抵抗及びランフラット耐久性を評価した。結果を表3及び表4に示す。
Figure 0005319108
[注]
1)〜5)は、表1の1)〜5)と同じである。
Figure 0005319108
[注]
6)〜10)は、表1の6)〜10)と同じである。
表3及び4から明らかなように、本発明である実施例6〜10のゴム組成物は、変性ポリマーを含むゴム成分と、カーボンブラック単独又はカーボンブラックとシリカとからなる補強性充填材と、前記一般式(2)で表わされるアルコキシシラン化合物とを含むことにより、比較例10〜18のゴム組成物対比、未加硫ゴム組成物のムーニー粘度が同等であり、低発熱性が向上するので、ランフラットタイヤの転がり抵抗が軽減され、且つランフラット耐久性が飛躍的に向上した。
本発明のゴム組成物は乗用車用、軽自動車用、軽トラック用及びトラック・バス用空気入りタイヤのサイドウォールとして、特に空気入りランフラットタイヤのサイド補強ゴムとして好適に用いられる。
本発明の空気入りタイヤの一実施態様の断面を示す模式図である。 本発明のランフラットタイヤの一実施態様の断面を示す模式図である。
符号の説明
1、1' ビードコア
2 カーカス
3 サイドウォール
4 トレッド
5 ベルト
6 インナーライナー
7 ビードフィラー
8 ショルダー区域
9 サイド補強ゴム

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表わされる共役ジエン重合体及び/又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体からなる変性ポリマーを含むゴム成分と、カーボンブラック単独又はカーボンブラックとシリカとからなる補強性充填材と、下記一般式(2)で表わされるアルコキシシラン化合物とを含むことを特徴とするゴム組成物。
    Figure 0005319108
    [式中、−(Polymer)は共役ジエン重合体及び/又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体のポリマー鎖であり、1及びR3は夫々独立に−OR、−OH、炭素数1〜20のアルキル基又はハロゲンであり、R2及びR4は夫々独立に−OR、−OH、−(Polymer)、又は硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/もしくはハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基であり、Rは硫黄原子、酸素原子、窒素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、MはSi、Ti、Sn、Bi又はZrであり、Raは−OH、−(Polymer)、ハロゲン、炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数2〜30のヒドロカルビルカルボキシル基、炭素数5〜20の1,3−ジカルボニル含有基、炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、並びに炭素数1〜20のヒドロカルビル基及び/又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基で三置換されたシロキシ基からなる群から選ばれる基であり、複数のRaは同一でも異なっていても良く、kは{(Mの価数)−2}であり、nは0〜10の整数である]
    Figure 0005319108
    [式中、R5及びR6は夫々独立に硫黄原子、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子及び/又はハロゲン原子を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基であり、mは1〜4の整数である]
  2. 前記ゴム成分100質量部に対して、前記補強性充填材を10〜100質量部、前記アルコキシシラン化合物を0.1〜50質量部含む請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分が、前記変性ポリマー1〜100質量%及びジエン系ゴム99〜0質量%からなる請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記補強性充填材が、カーボンブラック80〜100質量%及びシリカ20〜0質量%からなる請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物をサイドウォールに用いた空気入りタイヤ。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物をサイド補強ゴムに用いたランフラットタイヤ。
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