JP5369816B2 - 変性共役ジエン系重合体の製造方法、変性共役ジエン系重合体、及びゴム組成物 - Google Patents

変性共役ジエン系重合体の製造方法、変性共役ジエン系重合体、及びゴム組成物 Download PDF

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Description

本発明は変性共役ジエン系重合体の製造方法、変性共役ジエン系重合体、及びゴム組成物に関し、更に詳しくは、加工性を損なうことなく、低発熱性、低温特性、及び耐摩耗性等に優れたゴム製品を製造可能な変性共役ジエン系重合体の製造方法、及びこの製造方法によって製造された変性共役ジエン系重合体、並びにゴム組成物に関する。
近年、省エネルギーの社会的な要請に関連して、自動車の低燃費化に対する要求はより過酷なものとなりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗性の更なる低減が求められている。タイヤの転がり抵抗性を低減する手法としては、タイヤ構造を最適化するといった手法があるが、ゴム組成物としてより発熱性の少ない材料を用いる手法が最も一般的である。
このような発熱性の少ないゴム組成物を得るために、シリカを充填剤として含有させるといったことが行われている。しかしながら、通常、ゴム組成物とシリカとの相互作用は弱いため、所望の性質を有する材料を製造するためには、充填剤を多量に使用しなくてはならないという問題があった。
この問題を解決するゴム組成物として、有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、共役ジエン化合物をアニオン重合して得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端を、充填剤と相互作用する官能基を有するアルコキシシラン誘導体で変性した変性共役ジエン系重合体を含有するゴム組成物が提案されている。
しかし、タイヤのサイドウォールゴムやトレッドゴム等で特に重要なシス1,4−ポリブタジエン構造を有する変性共役ジエン系重合体を含有するゴム組成物を適用した例は少ない。また、シリカを配合したゴム組成物における変性効果は必ずしも十分ではない。特に、シス1,4−ポリブタジエン構造を有する変性共役ジエン系重合体を含有するゴム組成物については、シリカを配合することによる変性効果が殆どないのが実情である。
そこで、上記欠点を克服すべく、希土類触媒を用いて得られたシス含量の高い共役ジエン系重合体の活性末端を、充填剤と相互作用する官能基を有するアルコキシシラン誘導体と反応させることにより、末端変性された変性共役ジエン系重合体を得る試みや、アルコキシシラン誘導体による変性にあたり、反応系に縮合促進剤を添加する試みがなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
国際公開第03/046020号パンフレット 特開2005−8870号公報
ゴム組成物の耐摩耗性等の機械的特性を向上させる方法として、変性前の共役ジエン系重合体の分子量を増加させる方法がある。しかしながら、この方法によると、得られるゴム組成物のムーニー粘度が上昇するのを抑制することができず、加工性が悪くなるといった問題が生じていた。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、加工性を損なうことなく、低発熱性、低温特性、及び耐摩耗性等に優れたゴム製品を製造可能な変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供することにある。
また、その課題とするところは、加工性を損なうことなく、低発熱性、低温特性、及び耐摩耗性等に優れたゴム製品を製造可能な変性共役ジエン系重合体を提供することにある。
更に、その課題とするところは、加工性を損なうことなく、低発熱性、低温特性、及び耐摩耗性等に優れたゴム製品を製造可能なゴム組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、所定の成分を主成分とする触媒の存在下で、一部の第一の共役ジエン化合物を重合する第1工程と、特定の成分を追加し、残部の第一の共役ジエン化合物を重合して第一及び第二の共役ジエン系重合体を得る第2工程と、第一及び第二の共役ジエン系重合体の活性末端を変性剤で変性する第3工程と、を有する製造方法を採用することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示す変性共役ジエン系重合体の製造方法、変性共役ジエン系重合体、及びゴム組成物が提供される。
[1]下記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒の存在下、一部の第一の共役ジエン化合物を重合する第1工程と、引き続き、反応系内に、下記(b)成分を更に追加し、残部の第一の共役ジエン化合物を重合して、ビニル結合含有率が10%未満、かつシス1,4−結合含有率が75%以上であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が25万〜80万の、活性末端を有する第一の共役ジエン系重合体、及びゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1万〜15万の、活性末端を有する第二の共役ジエン系重合体を得る第2工程と、更に、前記第一及び第二の共役ジエン系重合体の前記活性末端と変性剤を反応させる第3工程と、を有する変性共役ジエン系重合体の製造方法。
(a)成分;周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素含有化合物、又は前記希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物
(b)成分;アルモキサン及び一般式(1):AlR(一般式(1)中、R及びRは、相互に独立に、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を示し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。但し、Rは、R又はRと、同一であってもよく、異なっていてもよい)の少なくともいずれかに対応する有機アルミニウム化合物
(c)成分;ハロゲン含有化合物
[2]前記変性剤が、アルコキシシラン化合物である前記[1]に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
[3]前記第2工程が、前記(b)成分とともに第二の共役ジエン化合物を更に追加する工程である前記[1]又は[2]に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
[4]前記第一の共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン、及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
[5]前記変性剤が、アルコキシシラン化合物である場合に、前記活性末端に導入されたアルコキシシリル基を縮合させる第4工程、を更に有する前記[2]〜[4]のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
[6]前記アルコキシシラン化合物が、下記(d)〜(f)成分からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有するアルコキシシラン化合物である前記[2]〜[5]のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
(d)成分;エポキシ基
(e)成分;イソシアネート基
(f)成分;アシル基
[7]前記第4工程の直前に、下記(g)又は(h)成分からなる縮合促進剤を添加する前記[5]又は[6]に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
(g)成分;チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、及びスズ(Sn)からなる群より選択される少なくとも一つの元素を含有する化合物
(h)成分;多価アルコールのカルボン酸部分エステル
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法により得られる変性共役ジエン系重合体。
[9]前記[8]に記載の変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物。
[10]前記変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含むゴム成分100質量部と、前記ゴム成分100質量部に対し、20〜120質量部のシリカ及びカーボンブラックの少なくともいずれかと、を含有する前記[9]に記載のゴム組成物。
[11]前記ゴム成分が、前記変性共役ジエン系重合体20〜100質量%と、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、エチレン/α−オレフィン共重合ゴム、エチレン/α−オレフィン/ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、及びハロゲン化ブチルゴムからなる群より選択される少なくとも1種の他のゴム80〜0質量%(但し、変性共役ジエン系重合体+他のゴム=100質量%)と、を含む前記[10]に記載のゴム組成物。
本発明の変性共役ジエン系重合体の製造方法によれば、加工性を損なうことなく、低発熱性、低温特性、及び耐摩耗性等に優れたゴム製品を製造可能である変性共役ジエン系重合体を製造することができるという効果を奏する。
また、本発明の変性共役ジエン系重合体は、加工性を損なうことなく、低発熱性、低温特性、及び耐摩耗性等に優れたゴム製品を製造可能であるという効果を奏するものである。
更に、本発明のゴム組成物は、加工性を損なうことなく、低発熱性、低温特性、及び耐摩耗性等に優れたゴム製品を製造可能であるという効果を奏するものである。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
I 変性共役ジエン系重合体の製造方法
本発明の変性共役ジエン系重合体の製造方法は、下記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒の存在下、一部の第一の共役ジエン化合物を重合する第1工程と、引き続き、反応系内に、下記(b)成分を更に追加し、残部の第一の共役ジエン化合物を重合して、ビニル結合含有率が10%未満、かつシス1,4−結合含有率が75%以上であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が25万〜80万の、活性末端を有する第一の共役ジエン系重合体、及びゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1万〜15万の、活性末端を有する第二の共役ジエン系重合体を得る第2工程と、更に、第一及び第二の共役ジエン系重合体の活性末端と変性剤を反応させる第3工程と、を有する方法である。以下、各工程について詳細に説明する。
(a)成分;周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素含有化合物、又は希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物
(b)成分;アルモキサン及び一般式(1):AlR(一般式(1)中、R及びRは、相互に独立に、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を示し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。但し、Rは、R又はRと、同一であってもよく、異なっていてもよい)の少なくともいずれかに対応する有機アルミニウム化合物
(c)成分;ハロゲン含有化合物
1 第1工程
第1工程は、上記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒の存在下、一部の第一の共役ジエン化合物を重合する工程である。
一部の第一の共役ジエン化合物を重合する重合反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。重合反応に溶媒を用いる場合、溶媒は不活性な有機溶媒であれば良い。例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数6〜20の飽和脂環式炭化水素;1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素等がある。なお、溶媒中の第一の共役ジエン化合物の濃度は、通常、5〜50質量%であり、7〜35質量%であることが好ましい。
重合反応は、共役ジエン系重合体の活性末端を失活させないために、重合反応系内に酸素、水或いは炭酸ガス等の失活作用のある化合物の混入を極力なくするような配慮が必要である。
重合反応の温度は、通常、−30〜200℃であり、0〜150℃であることが好ましい。また、重合反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いて行っても良く、多段連続式反応器等の装置を用いて連続式で行っても良い。
第一の共役ジエン化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、ミルセン等がある。これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレン、及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本明細書中、「一部の第一の共役ジエン化合物」とは、第一の共役ジエン化合物全体に対して、通常、50〜95質量%をいい、60〜90質量%であることが好ましく、70〜85質量%であることが更に好ましい。この範囲外であると、第一の共役ジエン系重合体及び第二の共役ジエン系重合体の構成比を所望の範囲に制御し難い傾向にある。なお、第一の共役ジエン化合物の重合割合は、例えば、重合反応の反応時間や反応温度を制御する、分割して添加する等の操作により制御することができる。
(1) 触媒の構成成分
重合反応に使用される触媒は、上記(a)〜(c)成分を主成分とするものである。なお、第一の共役ジエン系重合体の分子量を調節する目的で、水素ガスを共存させて重合反応を行っても良い。
(i) (a)成分
(a)成分は、周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素含有化合物、又は希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物である。周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素としては、例えば、ネオジム、プラセオジウム、セリウム、ランタン、ガドリニウム等がある。これらの中でも、ネオジムが好ましい。また、希土類元素含有化合物としては、希土類元素のカルボン酸塩、希土類元素のアルコキサイド、希土類元素のβ−ジケトン錯体、希土類元素のリン酸塩、又は希土類元素の亜リン酸塩等がある。
希土類元素のカルボン酸塩としては、例えば、一般式(2):(R−COMで表される化合物がある。
(一般式(2)中、Mは、周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素を示し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
一般式(2)中、Rとして表される炭素数1〜20の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状、かつ飽和又は不飽和のアルキル基であることが好ましい。また、R−COで表される基として、具体的には、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸(シェル化学社製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸である)等を挙げることができる。これらの中でも、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸、バーサチック酸が好ましい。なお、カルボキシル基は、1級、2級又は3級の炭素原子に結合している。
希土類元素のアルコキサイドとしては、例えば、一般式(3):(RO)Mで表される化合物がある。
(一般式(3)中、Mは、周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素を示し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
一般式(3)中、Rとして表される炭素数1〜20の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状、かつ飽和又は不飽和のアルキル基であることが好ましい。具体的には、2−エチルヘキシル基、オレイル基、ステアリル基、フェニル基、ベンジル基を挙げることができる。これらの中でも、2−エチルヘキシル基、ベンジル基が好ましい。
希土類元素のβ−ジケトン錯体のβ−ジケトン錯体として、具体的には、アセチルアセトン錯体、ベンゾイルアセトン錯体、プロピオニルアセトン錯体、バレリルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体等を挙げることができる。これらの中でも、アセチルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体が好ましい。
希土類元素のリン酸塩又は希土類元素の亜リン酸塩のリン酸部位又は亜リン酸部位として、具体的には、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸等を挙げることができる。これらの中でも、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸が好ましい。
以上、例示した中でも、ネオジムのリン酸塩又はネオジムのカルボン酸塩が特に好ましく、ネオジムの2−エチルヘキサン酸塩、バーサチック酸塩等のカルボン酸塩が最も好ましい。
ルイス塩基は、希土類元素含有化合物を溶剤に容易に可溶化させるために用いられるものであり、例えば、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコールがある。
ルイス塩基の使用量は、希土類元素化合物1mol当り、通常、0.1〜30molであり、1〜10molであることが好ましい。また、反応物は重合反応系中で調製して使用しても良く、予め別途調製して使用しても良い。
(a)成分の使用量は、100gの第一の共役ジエン化合物に対し、0.00001〜1.0mmolであることが好ましく、0.0001〜0.5mmolであることが更に好ましい。(a)成分の使用量が0.00001mmol未満であると、重合活性が低くなる場合がある。一方、1.0mmol超であると、触媒濃度が高くなるので脱触媒工程が必要となる場合がある。なお、(a)成分は、1種単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
(ii) (b)成分
(b)成分は、アルモキサン及び一般式(1):AlRの少なくともいずれかに対応する有機アルミニウム化合物である。
(一般式(1)中、R及びRは、相互に独立に、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を示し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。但し、Rは、R又はRと同一であってもよく、異なっていてもよい)
アルモキサンとしては、例えば、一般式(4)又は(5)で表される構造を有する化合物や、ファインケミカル,23,(9),5(1994)、J.Am.Chem.Soc.,115,4971(1993)、J.Am.Chem.Soc.,117,6465(1995)に記載されたアルモキサンの会合体等がある。
Figure 0005369816
(一般式(4)及び(5)中、Rは、相互に独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、nは、2以上の整数を示す。)
一般式(4)及び(5)中、Rで表される炭素数1〜20の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基等を挙げることができる。これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基、t−ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。また、nは2以上の整数であり、4〜100の整数であることが好ましい。
アルモキサンとして、具体的には、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、n−プロピルアルモキサン、n−ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、t−ブチルアルモキサン、ヘキシルアルモキサン、イソヘキシルアルモキサン等を挙げることができる。
アルモキサンは、公知の如何なる技術を用いて調製しても良い。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の有機溶媒中に、トリアルキルアルミニウム又はジアルキルアルミニウムモノクロライドを加え、更に水、水蒸気、水蒸気含有窒素ガス、又は硫酸銅5水和物や硫酸アルミニウム16水和物等の結晶水を有する塩を加えて反応させることにより調製することができる。なお、アルモキサンは、1種単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
一般式(1):AlRで表される化合物として、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム、エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等を挙げることができる。これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。なお、有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
(b)成分の使用割合は、一般に、(a)成分に対するAlのmol比で表すことができる。(a)成分と(b)成分のmol比((a):(b))は、通常、1:1〜1:500であり、1:3〜1:250であることが好ましく、1:5〜1:200であることが更に好ましい。これらの構成成分比の範囲外であると、高活性な触媒として作用しなかったり、脱触媒工程が必要になったりするため好ましくない。
(iii) (c)成分
(c)成分は、ハロゲン含有化合物である。ハロゲン含有化合物としては、例えば、金属ハロゲン化物とルイス塩基との反応物や、ジエチルアルミニウムクロリド、四塩化ケイ素、トリメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、四塩化スズ、三塩化スズ、三塩化リン、ベンゾイルクロリド、t−ブチルクロリド等がある。
金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、臭化金、ヨウ化金等がある。これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、ルイス塩基としては、例えば、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等がある。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン等のリン化合物;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸(シェル化学社製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸である)等のカルボニル化合物;トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド等の窒素化合物;テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル等のエーテル化合物;2−エチルヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等のアルコールを挙げることができる。これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
ルイス塩基の使用量は、金属ハロゲン化物1molあたり、通常、0.01〜30molであり、0.5〜10molであることが好ましい。この金属ハロゲン化物とルイス塩基との反応物を使用すると、第一の共役ジエン系重合体中に残存する金属の量を低減することができる。
(c)成分の使用割合は、(a)成分と(c)成分のmol比で表すことができる。(a)成分と(c)成分のmol比((a):(c))は、通常、1:0.1〜1:30であり、1:0.2〜1:15であることが好ましい。これらの構成成分比の範囲外であると、高活性な触媒として作用しなかったり、脱触媒工程が必要になったりするため好ましくない。
(iv) 他の成分
触媒成分として、(a)〜(c)成分以外に、必要に応じて、共役ジエン化合物及び非共役ジエン化合物の少なくともいずれか(本明細書中、「他の成分」ともいう)を、(a)成分1molあたり、0〜1000molの割合で用いても良い。他の成分として用いられる共役ジエン化合物は、重合反応に使用する第一の共役ジエン化合物と同じく、1,3−ブタジエン、イソプレン等を用いることができる。また、非共役ジエン化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、1,4−ビニルヘキサジエン、エチリデンノルボルネン等がある。触媒成分としての他の成分は必須ではないが、これを併用すると、触媒活性が一段と向上するという利点がある。
(2) 触媒の調製方法
触媒は、例えば、溶媒に溶解させた(a)〜(c)成分、更に必要に応じて、他の成分を反応させることで調製することができる。その際、各成分の添加順序は任意で良い。各成分は、予め混合、反応、及び熟成させることが、重合活性の向上、重合開始誘導時間の短縮の点から好ましい。
熟成温度は、通常、0〜100℃であり、20〜80℃であることが好ましい。熟成温度が0℃未満であると、十分に熟成が行われない場合がある。一方、100℃超であると、触媒活性の低下や第一の共役ジエン系重合体の分子量分布が広がる場合があり好ましくない。熟成時間は、特に制限はなく、重合反応槽に添加する前にライン中で接触させることもできる。通常は、0.5分以上であれば十分であり、数日間は安定である。
2 第2工程
第2工程は、(b)成分を更に追加し、残部の第一の共役ジエン化合物を重合して、ビニル結合含有率が10%未満、かつシス1,4−結合含有率が75%以上であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が25万〜80万の、活性末端を有する第一の共役ジエン系重合体、及びゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1万〜15万の、活性末端を有する第二の共役ジエン系重合体を得る工程である。なお、第2工程は、第1工程で重合反応終了後、脱溶媒処理、水処理、熱処理、共役ジエン系重合体の単離に必要な諸操作等を行う前に実施することが肝要である。
残部の第一の共役ジエン化合物を重合する重合反応の条件としては、第1工程と同様のことがいえる。但し、(b)成分を更に追加する必要がある。(b)成分は、第1工程で触媒の主成分として記載した成分であり、その追加量は、一般に、(a)成分に対するAlのmol比で表すことができる。(a)成分と(b)成分のmol比((a):(b))は、通常、1:1〜1:500であり、1:3〜1:250であることが好ましく、1:5〜1:200であることが更に好ましい。これらの構成成分比の範囲外であると、高活性な触媒として作用しなかったり、脱触媒工程が必要になったりするため好ましくない。なお、本明細書中、「残部の第一の共役ジエン化合物」とは、第1工程で未反応として重合反応系中に残留した第一の共役ジエン化合物に加えて、新たに重合反応系中に追加した第一の共役ジエン化合物をもいう。
また、第2工程は、(b)成分とともに第二の共役ジエン化合物を更に追加する工程であることが好ましい。第二の共役ジエン化合物としては、特に限定されるものではなく、第一の共役ジエン化合物で例示したものを挙げることができる。なお、第二の共役ジエン化合物は、第一の共役ジエン化合物とは異なるものをいう。また、第二の共役ジエン化合物の追加量は、第一の共役ジエン化合物の総量に対して5〜15質量%である。
第一の共役ジエン系重合体のMwは、25万〜80万であり、27万〜70万であることが好ましく、30万〜60万であることが更に好ましい。Mwが25万未満であると、加硫後のゴム製品の耐摩耗性等の機械的特性が劣る場合がある。一方、80万超であると、加工性が劣る場合がある。なお、Mwは重合反応に使用する触媒の使用量を制御することによって調整することができる。
第二の共役ジエン系重合体のMwは1万〜15万であり、1万〜10万であることが好ましく、2万〜8万であることが更に好ましい。Mwが1万未満であると、加硫後のゴム製品の耐摩耗性等の機械的特性が劣る場合がある。一方、15万超であると、加工性に劣る場合がある。なお、Mwは重合反応に使用する(b)成分の追加量を制御することによって容易に調整することができる。
第一及び第二の共役ジエン系重合体のビニル結合含有率は10%未満であり、5%未満であることが好ましく、2%未満であることが更に好ましい。ビニル結合含有率が10%以上であると、加硫後のゴム製品の耐摩耗性等の機械的特性が劣る場合がある。なお、ビニル結合含有率は重合反応の温度を制御することによって容易に調整することができる。
また、第一及び第二の共役ジエン系重合体のシス1,4−結合含有率は75%以上であり、85%以上であることが好ましく、90〜99.9%であることが更に好ましい。シス1,4−結合含有率が75%未満であると、加硫後のゴム製品の耐摩耗性等の機械的特性が劣る場合がある。なお、シス1,4−結合含有率は重合反応の温度を制御することによって容易に調整することができる。
更に、第一の共役ジエン系重合体と第二の共役ジエン系重合体の構成比(第一の共役ジエン系重合体:第二の共役ジエン系重合体)は、通常、質量比で50:50〜95:5であり、60:40〜90:10であることが好ましく、70:30〜85:15であることが更に好ましい。構成比がこの範囲外にあると、加工性が悪くなったり、所望の性質が得られ難くなったりする。なお、構成比は、重合反応の条件や第二の共役ジエン化合物の追加量等によって容易に制御することができる。
3 第3工程
第3工程は、第一及び第二の共役ジエン系重合体の活性末端と変性剤を反応させる(以下、「変性反応」という)工程である。なお、第3工程は、第2工程で重合反応終了後、脱溶媒処理、水処理、熱処理、共役ジエン系重合体の単離に必要な諸操作等を行う前に実施することが肝要である。即ち、本発明の変性共役ジエン系重合体では、第1工程から第3工程まで、連続して行う必要があり、途中で脱溶媒処理、水処理、熱処理、共役ジエン系重合体の単離に必要な諸操作等を行う前に実施することが肝要である。
変性反応は、溶液反応(重合反応で使用した未反応の第一の共役ジエン化合物を含んだ溶液でも良い)で行うことが好ましい。また、変性反応の形式については特に制限されるものではなく、バッチ式反応器を用いて行っても良く、多段連続式反応器やインラインミキサ等の装置を用いて連続式で行っても良い。なお、第一の及び第二の共役ジエン系重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性を有するものが好ましい。
変性反応の温度は、重合反応の温度を適用することができる。具体的には、20〜100℃が好ましく、40〜90℃が更に好ましい。温度が20℃未満であると、変性反応の進行が遅く、第一及び第二の共役ジエン系重合体の活性末端が失活する場合がある。一方、100℃超であると、第一及び第二の共役ジエン系重合体の活性末端が失活し易くなり、好ましくない。また、変性反応の反応時間は、通常、5分〜5時間であり、15分〜1時間であることが好ましい。
変性剤は、特に制限されるものではないが、アルコキシシラン化合物が好ましく、下記(d)〜(f)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有するアルコキシシラン化合物であることが更に好ましい。なお、変性剤は、部分縮合物であっても良く、変性剤と部分縮合物の混合物であっても良い。ここでいう「部分縮合物」とは、変性剤のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
(d)成分;エポキシ基
(e)成分;イソシアネート基
(f)成分;アシル基
変性剤のうち、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物として、具体的には、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランを挙げることができる。これらの中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましい。
また、イソシアネート基含有アルコキシシラン化合物として、具体的には、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリイソプロポキシシラン等を挙げることができる。これらの中でも、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが好ましい。
更に、アシル基含有アルコキシシラン化合物として、具体的には、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等を挙げることができる。これらの中でも、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。なお、変性剤は1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
変性剤の使用量は、第一及び第二の共役ジエン系重合体の合計に対してmol比で、0.000001〜0.01であることが好ましく、0.00001〜0.001であることが更に好ましい。使用量が0.000001未満であると、変性反応の進行が十分でなく、充填剤の分散性が十分に改良されない場合がある。一方、0.01超であると、変性反応は十分に飽和しており、経済上好ましくない。
変性剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、一括して添加する方法、分割して添加する方法、連続的に添加する方法等がある。これらの中でも、一括して添加する方法が好ましい。変性した後、従来公知の後処理を行い、変性共役ジエン系重合体を製造することができる。
4 第4工程
本発明の変性共役ジエン系重合体の製造方法は、第3工程で変性剤としてアルコキシシラン化合物を用いる場合、第一及び第二の共役ジエン系重合体の活性末端に導入されるアルコキシシリル基を縮合する第4工程を更に有することが好ましい。
縮合反応は、通常、水溶液中で行う。縮合反応の温度は、通常、85〜180℃であり、100〜170℃であることが好ましく、110〜150℃であることが更に好ましい。温度が85℃未満であると、縮合反応の進行が遅く、反応を完結することができない場合があり、変性共役ジエン系重合体に経時変化が発生し、品質上問題が生じる場合がある。一方、180℃超であると、物性を低下させる場合があるので好ましくない。
水溶液のpHの値は、通常、9〜14であり、10〜12であることが好ましい。pHの値が9未満であると、縮合反応の進行が遅く、反応を完結することができない場合があるため、変性共役ジエン系重合体に経時変化が発生し、品質上問題が生じる場合がある。
反応時間は、通常、5分〜10時間であり、15分〜5時間程度であることが好ましい。反応時間が5分未満であると、縮合反応が十分進行していない場合がある。一方、10時間超であると、縮合反応が飽和しているため、経済上好ましくない。なお、縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPaであり、0.05〜10MPaであることが好ましい。
縮合反応の形式については特に制限されるものではなく、バッチ式反応器を用いて行っても良く、多段連続式反応器等の装置を用いて連続式で行っても良い。また、縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
また、第4工程の直前(即ち、縮合反応の直前)に、下記(g)成分又は(h)成分からなる縮合促進剤を添加することが好ましい。これは、アルコキシシリル基の縮合反応を促進させるために用いられる。なお、縮合促進剤は、縮合反応後に添加することもできるが、縮合促進剤が均一に分散せず、触媒性能が低下する場合があるため好ましくはない。なお、本明細書中、第4工程の直前とは、縮合反応開始から5分〜5時間前をいい、好ましくは15分〜1時間前をいう。
(g)成分;チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、及びスズ(Sn)からなる群より選択される少なくとも一つの元素を含有する化合物
(h)成分;多価アルコールのカルボン酸部分エステル
(1) (g)成分
(g)成分は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、及びスズ(Sn)からなる群より選択される少なくとも一つの元素を含有する化合物である。
チタン(Ti)を含有する化合物として、具体的には、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトラn−プロポキシチタニウム、テトラi−プロポキシチタニウム、テトラn−ブトキシチタニウム、テトラn−ブトキシチタニウムオリゴマー、テトラsec−ブトキシチタニウム、テトラtert−ブトキシチタニウム、テトラ(2−エチルヘキシル)チタニウム、ビス(オクタンジオレート)ビス(2−エチルヘキシル)チタニウム、テトラ(オクタンジオレート)チタニウム、チタニウムラクテート、チタニウムジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリブトキシステアレート、チタニウムトリプロポキシステアレート、チタニウムトリプロポキシアセチルアセトネート、チタニウムジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタニウムトリプロポキシエチルアセトアセテート、チタニウムプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムトリブトキシアセチルアセトネート、チタニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、チタニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタニウムオキサイド、ビス(ラウレート)チタニウムオキサイド、ビス(ナフテート)チタニウムオキサイド、ビス(ステアレート)チタニウムオキサイド、ビス(オレエート)チタニウムオキサイド、ビス(リノレート)チタニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタニウム、テトラキス(ラウレート)チタニウム、テトラキス(ナフテート)チタニウム、テトラキス(ステアレート)チタニウム、テトラキス(オレエート)チタニウム、テトラキス(リノレート)チタニウム等を挙げることができる。
また、ジルコニウム(Zr)を含有する化合物として、具体的には、テトラエトキシジルコニウム、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトラi−プロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラsec−ブトキシジルコニウム、テトラtert−ブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルヘキシル)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム等を挙げることができる。
更に、ビスマス(Bi)を含有する化合物として、具体的には、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス等を挙げることができる。
また、アルミニウム(Al)を含有する化合物として、具体的には、トリエトキシアルミニウム、トリn−プロポキシアルミニウム、トリi−プロポキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、トリtert−ブトキシアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、アルミニウムジブトキシステアレート、アルミニウムジブトキシアセチルアセトネート、アルミニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウム等を挙げることができる。
更に、スズ(Sn)を含有する化合物として、具体的には、ビス(n−オクタノエート)スズ、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(ラウレート)スズ、ビス(ナフトエネート)スズ、ビス(ステアレート)スズ、ビス(オレエート)スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジn−オクタノエート、ジブチルスズジ2−エチルヘキサノエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、ジブチルスズビス(ベンジルマレート)、ジブチルスズビス(2−エチルヘキシルマレート)、ジn−オクチルスズジアセテート、ジn−オクチルスズジn−オクタノエート、ジn−オクチルスズジ2−エチルヘキサノエート、ジn−オクチルスズジラウレート、ジn−オクチルスズマレート、ジn−オクチルスズビス(ベンジルマレート)、ジn−オクチルスズビス(2−エチルヘキシルマレート)等を挙げることができる。
(2) (h)成分
(h)成分は、多価アルコールのカルボン酸部分エステルである。具体的には、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステル等を挙げることができる。
縮合促進剤の使用量として、反応系内に存在するアルコキシシリル基に対する化合物のmol比が、0.1〜10であることが好ましく、0.5〜5であることが特に好ましい。mol比が0.1未満であると、縮合反応が十分に進行しない場合がある。一方、10超であると、経済上好ましくない。
II 変性共役ジエン系重合体
本発明の変性共役ジエン系重合体は、「I 変性共役ジエン系重合体の製造方法」により得られるものである。
変性共役ジエン系重合体のムーニー粘度(ML1+4,125℃)は、20〜80であることが好ましく、30〜50であることがより好ましい。ムーニー粘度が20未満であると、破壊特性を始めとするゴム物性が低下する傾向にあり、好ましくない。一方、80超であると、作業性が悪くなり、配合剤とともに混練することが困難になる場合がある。
III ゴム組成物
本発明のゴム組成物は、「II 変性共役ジエン系重合体」に記載の変性共役ジエン系重合体を含むものである。また、変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含むゴム成分と、ゴム成分100質量部に対し、20〜120質量部の充填剤と、を含有するものであることが好ましい。
1 構成成分
(1) ゴム成分
ゴム成分は、20質量%以上の変性共役ジエン系重合体と、他のゴムと、を含むものである(但し、変性共役ジエン系重合体+他のゴム=100質量%)。
(i) 変性共役ジエン系重合体
ゴム成分に含まれる変性共役ジエン系重合体は、「II 変性共役ジエン系重合体」に記載の変性共役ジエン系重合体である。変性共役ジエン系重合体の含有割合は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上であることが特に好ましい。含有割合が20質量%未満であると、低発熱性や低温特性等が悪化する場合がある。
(ii) 他のゴム
ゴム成分に含まれる他のゴムは、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、エチレン/α−オレフィン共重合ゴム、エチレン/α−オレフィン/ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、及びハロゲン化ブチルゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらは、従来公知の方法に従って調製したものを用いても良く、市販されているものを用いても良い。
他のゴムの含有割合は、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。含有割合が80質量%超であると、低発熱性や低温特性等が悪化する場合がある。
(2) 充填剤
充填剤は、シリカ及びカーボンブラックの少なくともいずれかであることが好ましい。充填剤の使用量は、ゴム成分100質量部に対し、通常、20〜120質量部であり、30〜100質量部であることが好ましく、35〜90質量部であることが更に好ましい。使用量が20質量部未満であると、充填剤を含有させる効果が十分に発揮しない場合がある。一方、120質量部超であると、ゴム組成物の加工性が悪くなるという場合がある。
(i) シリカ
シリカとしては特に制限されるものではなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等がある。これらの中でも、耐破壊特性の改良効果、ウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果、低温特性が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
充填剤としてシリカを用いる場合、その補強性を更に向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することができる。このシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等がある。これらの中でも、補強性の改善効果等の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好ましい。なお、これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いても良く、2種以上組み合わせて用いても良い。
変性共役ジエン系重合体として分子末端にシリカとの親和性の高いアルコキシシリル基が導入されたものを用いる場合、シランカップリング剤の配合量は、通常の場合より低減することができる。シランカップリング剤の配合割合は、シランカップリング剤の種類等により異なるが、シリカに対して、1〜20質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることが更に好ましい。配合割合が1質量%未満であると、効果が十分に発揮され難い。一方、20質量%超であると、ゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。
(ii) カーボンブラック
カーボンブラックとしては特に制限されるものではなく、例えば、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等がある。これらの中でも、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80mL/100g以上のカーボンブラックが好ましく、耐摩耗性に優れるHAF、ISAF、SAFが特に好ましい。
(3) その他の添加剤
本発明のゴム組成物の物性が損なわれない範囲で、所望により、通常、ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば、加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等のその他の添加剤を含有させることができる。
2 ゴム組成物の製造方法
本発明のゴム組成物は、本発明の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分を、必要に応じて充填剤とともにロール等の開放式混練機、バンバリーミキサー等の密閉式混練機等の混練機を用いて混練することによって製造することができる。
3 物性値
ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、30〜100であることが好ましく、40〜90であることがより好ましい。ムーニー粘度が30未満であると、破壊特性が悪化する場合がある。一方、100超であると、加工性が劣る場合がある。
本発明のゴム組成物は、成形加工後に加硫を行なうことで、各種ゴム製品に適用可能である。例えば、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等のタイヤ用途を始め、防振ゴム、防舷材、ベルト、ホース、その他の工業品等の用途に用いることができるが、特にタイヤトレッド用ゴムとして好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[ムーニー粘度(ML1+4,100℃)]:JIS K6300に準拠し、予熱1分、測定時間4分、温度100℃の条件で測定した。
[ムーニー粘度(ML1+4,125℃)]:JIS K6300に準拠し、予熱1分、測定時間4分、温度125℃の条件で測定した。
[重量平均分子量(Mw)]:東ソー社製のHLC−8120GPCを用い、検出器として、示差屈折計を用いて、次の条件で測定した。
カラム;東ソー社製、カラムGMHHXL
移動層;テトラヒドロフラン
カラム温度;40℃
[構成比]:第一の共役ジエン系重合体と第二の共役ジエン系重合体を含有する第二の反応溶液を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)に供し、得られたGPC曲線の重量平均分子量25万〜80万に相当する部分のピーク面積(第一の共役ジエン系重合体)と重量平均分子量1万〜15万に相当する部分のピーク面積(第二の共役ジエン系重合体)の比率によって算出した。表1中、「構成比 第一の共役ジエン系重合体:第二の共役ジエン系重合体」と示す。
[ビニル結合含有率(%)及びシス1,4−結合含有率(%)]:赤外法(モレロ法)によって求めた。
[水溶液のpHの値]:pHメーターによって測定した。
[引張強さT(MPa)]:JIS K6301に準拠して測定した。
[低発熱性(3%tanδ)]:米国レオメトリック社製の動的スペクトロメーターを使用し、引張動歪3%、周波数15Hz、50℃の条件で測定した。指数で表示し、数値が大きいほど、発熱性が小さく、良好である。
[低温特性(−20℃G’)]:米国レオメトリック社製の動的スペクトロメーターを使用し、引張動歪0.1%、周波数15Hz、−20℃の条件で測定した。指数で表示し、数値が大きいほど、低温特性(雪上、氷上路面でのグリップ性能)が大きく良好である。
[耐摩耗性]:ランボーン型摩耗試験機(島田技研社製)を用い、スリップ比60%、室温下で測定した。指数で表示し、数値が大きいほど、耐摩耗性は良好である。
実施例1 (変性共役ジエン系重合体Aの製造)
(第1工程)
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサンを2.4kg、1,3−ブタジエンを300g仕込んだ。これらに、別途、バーサチック酸ネオジム(以下、「NdVer」ともいう)(0.09mmol)のシクロヘキサン溶液と、メチルアルモキサン(以下、「MAO」ともいう)(1.0mmol)のトルエン溶液と、水素化ジイソブチルアルミニウム(以下、「DIBAH」ともいう)(3.5mmol)及びジエチルアルミニウムクロリド(以下、「DEAC」ともいう)(0.18mmol)のトルエン溶液と、1,3−ブタジエン(4.5mmol)と、を50℃で30分間反応熟成させて調製した触媒を仕込み、80℃で15分間重合反応を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ65%であった。
(第2工程)
更に、残りの重合体溶液に、DIBAH(4.0mmol)を追加し、80℃で30分間重合反応を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。この重合体溶液200gを抜き取り、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、重合反応を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、第一及び第二の共役ジエン系重合体を得た。得られた第一及び第二の共役ジエン系重合体の高分子量成分側(第一の共役ジエン系重合体)のMwは31.3万であり、低分子量成分側(第二の共役ジエン系重合体)のMwは7.3万であり、その構成比(第一の共役ジエン系重合体:第二の共役ジエン系重合体)は70:30であり、第一及び第二の共役ジエン系重合体の合計のシス1,4−結合含有率は96.8%であり、ビニル結合含有率は1.1%であった。
(第3工程)
更に、残りの重合体溶液を温度60℃に保ち、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(以下、「GPMOS」ともいう)(4.5mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間変性反応を行った。その後、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、変性重合体溶液2.5kgを得た。次に、水酸化ナトリウムによりpH10に調整した水溶液20Lに変性重合体溶液を添加し、110℃で2時間、脱溶媒とともに縮合反応を行った後、110℃のロールで乾燥して、変性共役ジエン系重合体Aを製造した。変性共役ジエン系重合体Aのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は41であった。
実施例2 (変性共役ジエン系重合体Bの製造)
実施例1の第1工程において、80℃で20分間重合反応を行い、第3工程の2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加する前に、テトライソプロピルチタネート(以下、「IPOTi」ともいう)(13.5mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間混合したこと以外は、実施例1と同様の仕込み組成、重合方法にて変性共役ジエン系重合体Bを製造した。変性共役ジエン系重合体Bのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は48であった。
実施例3 (変性共役ジエン系重合体Cの製造)
実施例1の第3工程の2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加する前に、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス(以下、「EHABi」ともいう)(13.5mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間混合したこと以外は、実施例1と同様の仕込み組成、重合方法にて変性共役ジエン系重合体Cを製造した。変性共役ジエン系重合体Cのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は45であった。
実施例4 (変性共役ジエン系重合体Dの製造)
(第1工程)
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサンを2.4kg、1,3−ブタジエンを240g仕込んだ。これらに、別途、NdVer(0.09mmol)のシクロヘキサン溶液と、MAO(1.0mmol)のトルエン溶液と、DIBAH(4.5mmol)及びDEAC(0.18mmol)のトルエン溶液と、1,3−ブタジエン(4.5mmol)と、を50℃で30分間反応熟成させて調製した触媒を仕込み、80℃で30分間重合反応を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。
(第2工程)
更に、残りの重合体溶液に、DIBAH(3.0mmol)を追加した後、1,3−ブタジエン60gを仕込み、80℃で30分間重合反応を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。この重合体溶液200gを抜き取り、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、重合反応を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、第一及び第二の共役ジエン系重合体を得た。得られた第一及び第二の共役ジエン系重合体の高分子量成分側(第一の共役ジエン系重合体)のMwは34.3万であり、低分子量成分側(第二の共役ジエン系重合体)のMwは14.5万であり、その構成比(第一の共役ジエン系重合体:第二の共役ジエン系重合体)は84:16であり、第一及び第二の共役ジエン系重合体の合計のシス1,4−結合含有率は96.4%であり、ビニル結合含有率は1.1%であった。
(第3工程)
更に、残りの重合体溶液を温度60℃に保ち、GPMOS(4.5mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間変性反応を行った。その後、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド(以下、「EHAZrO」ともいう)(13.5mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間混合させた。その後、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、変性重合体溶液2.5kgを得た。次に、水酸化ナトリウムによりpH10に調整した水溶液20Lに変性重合体溶液を添加し、110℃で2時間、脱溶媒とともに縮合反応を行った後、110℃のロールで乾燥して、変性共役ジエン系重合体Dを製造した。変性共役ジエン系重合体Dのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は43であった。
実施例5 (変性共役ジエン系重合体Eの製造)
実施例1の第1工程において、DIBAHの使用量を3.1mmolに、第2工程において、DIBAHの使用量を4.5mmolに、第3工程の2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加する前にトリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム(以下、「EHAAl」ともいう)(13.5mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間混合したこと以外は、実施例1と同様の仕込み組成、重合方法にて変性共役ジエン系重合体Eを製造した。変性共役ジエン系重合体Eのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は45であった。
実施例6 (変性共役ジエン系重合体Fの製造)
実施例1の第1工程において、DIBAHの使用量を4.2mmolに、第2工程において、DIBAHの使用量を3.5mmolに、第3工程の2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加する前にビス(2−エチルヘキサノエート)スズ(以下、「EHASn」ともいう)(13.5mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間混合したこと以外は、実施例1と同様の仕込み組成、重合方法にて変性共役ジエン系重合体Fを製造した。変性共役ジエン系重合体Fのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は48であった。
実施例7 (変性共役ジエン系重合体Gの製造)
実施例1の第1工程において、DIBAHの使用量を2.2mmolに、第2工程において、DIBAHの使用量を5.2mmolに、第3工程のGPMOSを3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(以下、「IPEOS」ともいう)に代え、第3工程の2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加する前にソルビタン酸トリオレエート(以下、「STO」ともいう)(135mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間混合したこと以外は、実施例1と同様の仕込み組成、重合方法にて変性共役ジエン系重合体Gを製造した。変性共役ジエン系重合体Gのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は47であった。
実施例8 (変性共役ジエン系重合体Hの製造)
実施例7の第2工程において、DIBAHの使用量を5.3mmolに、第3工程のSTOをソルビタン酸モノラウレート(以下、「SML」ともいう)に代えたこと以外は、実施例7と同様の仕込み組成、重合方法にて変性共役ジエン系重合体Hを製造した。変性共役ジエン系重合体Hのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は51であった。
比較例1 (変性共役ジエン系重合体Iの製造)
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサンを2.4kg、1,3−ブタジエンを300g仕込んだ。これらに、別途、NdVer(0.09mmol)のシクロヘキサン溶液と、MAO(1.8mmol)のトルエン溶液と、DIBAH(5.0mmol)及びDEAC(0.18mmol)のトルエン溶液と、1,3−ブタジエン(4.5mmol)と、を50℃で30分間反応熟成させて調製した触媒を仕込み、80℃で60分間重合を行った。1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。この重合体溶液200gを抜き取り、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、重合反応を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、共役ジエン系重合体を得た。得られた共役ジエン系重合体のMwは26.8万であり、1,4−シス結合含有率は96.5%であり、ビニル結合含有率は1.1%であった。
更に、残りの重合体溶液を温度60℃に保ち、GPMOS(4.5mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間変性反応を行った。その後、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、変性重合体溶液2.5kgを得た。次に、水酸化ナトリウムによりpH10に調整した水溶液20Lに変性重合体溶液を添加し、110℃で2時間、脱溶媒とともに縮合反応を行い、110℃のロールで乾燥して、変性共役ジエン系重合体Iを製造した。変性共役ジエン系重合体Iのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は56であった。
比較例2 (変性共役ジエン系重合体Jの製造)
比較例1で2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加する前にIPOTi(13.5mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間混合したこと以外は、比較例1と同様の仕込み組成、重合方法にて変性共役ジエン系重合体Jを製造した。変性共役ジエン系重合体Jのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は52であった。
比較例3 (変性共役ジエン系重合体Kの製造)
比較例2でIPOTiの代わりにEHASnを添加し、30分間混合したこと以外は、比較例2と同様の仕込み組成、重合方法にて変性共役ジエン系重合体Kを製造した。変性共役ジエン系重合体Kのムーニー粘度(ML1+4,125℃)は63であった。
比較例4 (重合体L)
市販のポリブタジエンゴム(JSR社製、商品名「ポリブタジエンゴムBR01」)の物性値を表1に示す。
Figure 0005369816
なお、表1において、略記した化合物名を以下に記す。
GPMOS;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
IPOTi;テトライソプロピルチタネート
EHABi;トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス
EHAZrO;ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド
EHAAl;トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム
EHASn;ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ
IPEOS;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
STO;ソルビタン酸トリオレエート
SML;ソルビタン酸モノラウレート
実施例9
実施例1で製造した変性共役ジエン系重合体Aを用いて、表2に示す配合処方によりゴム組成物を製造した。ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は57であった。また、得られたゴム組成物について、150℃、12分の条件で加硫して加硫ゴムを調製した。加硫ゴムの引張強さTは20.2MPaであり、低発熱性(3%tanδ)の指数は132であり、低温特性(−20℃G’)の指数は189であり、耐摩耗性の指数は122であった。なお、指数の値は比較例8の加硫ゴムを基準として算出している。
Figure 0005369816
なお、表2において、*1〜*7は、次のとおりである。
*1 日本シリカ工業社製、商品名「ニプシールAQ」
*2 富士興産社製、商品名「フッコールアロマックス#3」
*3 デグサ社製、商品名「Si69」(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
*4 大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)
*5 大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」(1,3−ジフェニルグアニジン)
*6 大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーDM」(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
*7 大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーNS−F」(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
実施例10〜16及び比較例5〜8
表3に記載した変性共役ジエン系重合体又は重合体を用いたこと以外は、実施例9と同様にして各ゴム組成物を製造し、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定した。また、各ゴム組成物を用いて、実施例9と同様にして加硫ゴムを調製し、物性値の評価を行った。ゴム組成物の測定結果及び加硫ゴムの評価結果を表3に併せて示す。
Figure 0005369816
表3からわかるように、本発明の変性共役ジエン系重合体の製造方法により得られた変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物は、配合時のムーニー粘度が低く、加工性が良好である。また、それらを用いて調製した加硫ゴムは、低発熱性、低温特性、耐摩耗性に優れている。
本発明は、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等のタイヤ用途を始め、防振ゴム、防舷材、ベルト、ホース、その他の工業品等の用途での利用が期待される。

Claims (11)

  1. 下記(a)〜(c)成分を主成分とする触媒の存在下、一部の第一の共役ジエン化合物を重合する第1工程と、
    引き続き、反応系内に、下記(b)成分を更に追加し、残部の第一の共役ジエン化合物を重合して、ビニル結合含有率が10%未満、かつシス1,4−結合含有率が75%以上であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が25万〜80万の、活性末端を有する第一の共役ジエン系重合体、及びゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1万〜15万の、活性末端を有する第二の共役ジエン系重合体を得る第2工程と、
    更に、前記第一及び第二の共役ジエン系重合体の前記活性末端と変性剤を反応させる第3工程と、を有する変性共役ジエン系重合体の製造方法。
    (a)成分;周期律表の原子番号57〜71にあたる希土類元素含有化合物、又は前記希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物
    (b)成分;アルモキサン及び一般式(1):AlR(一般式(1)中、R及びRは、相互に独立に、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を示し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。但し、Rは、R又はRと、同一であってもよく、異なっていてもよい)の少なくともいずれかに対応する有機アルミニウム化合物
    (c)成分;ハロゲン含有化合物
  2. 前記変性剤が、アルコキシシラン化合物である請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
  3. 前記第2工程が、前記(b)成分とともに第二の共役ジエン化合物を更に追加する工程である請求項1又は2に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
  4. 前記第一の共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン、及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
  5. 前記変性剤が、アルコキシシラン化合物である場合に、前記活性末端に導入されたアルコキシシリル基を縮合させる第4工程を更に有する請求項2〜4のいずれか1項に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
  6. 前記アルコキシシラン化合物が、下記(d)〜(f)成分からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有するアルコキシシラン化合物である請求項2〜5のいずれか1項に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
    (d)成分;エポキシ基
    (e)成分;イソシアネート基
    (f)成分;アシル基
  7. 前記第4工程の直前に、下記(g)又は(h)成分からなる縮合促進剤を添加する請求項5又は6に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
    (g)成分;チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、及びスズ(Sn)からなる群より選択される少なくとも一つの元素を含有する化合物
    (h)成分;多価アルコールのカルボン酸部分エステル
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法により得られる変性共役ジエン系重合体。
  9. 請求項8に記載の変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物。
  10. 前記変性共役ジエン系重合体を20質量%以上含むゴム成分100質量部と、
    前記ゴム成分100質量部に対し、20〜120質量部のシリカ及びカーボンブラックの少なくともいずれかと、を含有する請求項9に記載のゴム組成物。
  11. 前記ゴム成分が、前記変性共役ジエン系重合体20〜100質量%と、
    天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、エチレン/α−オレフィン共重合ゴム、エチレン/α−オレフィン/ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、及びハロゲン化ブチルゴムからなる群より選択される少なくとも1種の他のゴム80〜0質量%(但し、変性共役ジエン系重合体+他のゴム=100質量%)と、を含む請求項10に記載のゴム組成物。
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