JP2008181870A - 非水系二次電池用複合黒鉛粒子、それを含有する負極材料、負極及び非水系二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】球状黒鉛粒子とバインダー黒鉛との複合黒鉛粒子で、要件(a)〜(g)の何れかを満たす。(a)表面に、該球状黒鉛粒子の少なくとも一部が露出。(b)表面近傍に、該球状黒鉛粒子の不完全な積層構造を有す。(c)該球状黒鉛粒子、該複合黒鉛粒子のメジアン径をa、bの比c=a/bが0.93以上。(d)ラマンR値が0.15〜0.25、平均円形度が0.85以上、タップ密度が0.87〜1.25g/cm3、BET比表面積が2.5〜8m2/g。(e)0.01〜2μmの細孔容積が0.05〜1mL/g。(f)BET比表面積で規格化した表面に存在するCO基の量が、1.15〜5μmol/m2。(g)該複合黒鉛粒子を用いた電極に、特定の電解液を滴下させ、電極上から完全に消失するまでの平均時間が180秒以下。
【選択図】図2
Description
(a)表面に、該球状黒鉛粒子の少なくとも一部が露出している複合黒鉛粒子を含有する。
(b)表面近傍に、該球状黒鉛粒子の不完全な積層構造を有する複合黒鉛粒子を含有する。
(c)該球状黒鉛粒子のメジアン径をaとし、該複合黒鉛粒子のメジアン径をbとした時、その比c=a/bが0.93以上である。
(d)ラマンR値が0.10以上0.30以下、平均円形度が0.85以上、タップ密度が0.87g/cm3以上1.25g/cm3以下、かつ、BET比表面積が2.5m2/g以上8.0m2/g以下である。
(e)水銀ポロシメーターで測定された0.01μm以上2μm以下の細孔容積が0.05mL/g以上1mL/g以下である。
(f)BET比表面積で規格化した表面に存在するCO基の量が、1.15μmol/m2以上5μmol/m2以下である。
(g)該複合黒鉛粒子を用いて下記(i)の条件でスラリーを調製後、圧延銅箔上にドクターブレード法で塗布して乾燥後、活物質層密度1.70g/cm3にプレスした電極の中央部長手方向に、下記(ii)の組成を有する電解液を高さ5cmから5μL滴下させた時に、該電解液が電極上にて完全に消失するまでの時間の平均値が180秒以下である。
(i)スラリーの調製条件
該複合黒鉛粒子を20.00±0.02g、1質量%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を20.00±0.02g、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)水性ディスパーションを0.25±0.02g秤り取り、手で攪拌し、その後遊星回転式のミキサー(ハイブリッドミキサー)にて5分間攪拌、30秒脱泡して調製。
(ii)電解液組成
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(容量比=2:2:3)に、1.0MのLiPF6を含有させ、更にビニレンカーボネート2容量%を添加。
また本発明は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を有する非水系二次電池であって、該負極が、上記非水系二次電池用負極であることを特徴とする非水系二次電池を提供するものである。
(A)複合黒鉛粒子の構成
本発明の負極材料は、本発明の複合黒鉛粒子を主な成分とする。そして本発明の複合黒鉛粒子は、例えば、球状黒鉛粒子と黒鉛化可能なバインダー(以下単に、「バインダー」ということがある)とを捏合し、捏合物の成形体を、粉砕後に黒鉛化又は黒鉛化後に粉砕又は磨砕することにより得られる。すなわち、この場合、形成された複合黒鉛粒子の構成は、炭素質粒子が焼成された黒鉛質粒子の少なくとも一部(一部又は全て)複合黒鉛粒子と、バインダーが焼成されたもの(これも黒鉛質である)が複合化した構造を有するものである。
本発明の複合黒鉛粒子は、少なくとも、以下の要件(a)〜要件(g)よりなる群から選ばれる何れかを満たすものである。
(a)表面に、該球状黒鉛粒子の少なくとも一部が露出している複合黒鉛粒子を含有する。
(b)表面近傍に、該球状黒鉛粒子の不完全な積層構造を有する複合黒鉛粒子を含有する。
(c)該球状黒鉛粒子のメジアン径をaとし、該複合黒鉛粒子のメジアン径をbとした時、その比c=a/bが0.93以上である。
(d)ラマンR値が0.10以上0.30以下、平均円形度が0.85以上、タップ密度が0.87g/cm3以上1.25g/cm3以下、かつ、BET比表面積が2.5m2/g以上8.0m2/g以下である。
(e)水銀ポロシメーターで測定された0.01μm以上2μm以下の細孔容積が0.05mL/g以上1mL/g以下である。
(f)BET比表面積で規格化した表面に存在するCO基の量が、1.15μmol/m2以上5μmol/m2以下である。
(g)該複合黒鉛粒子を用いて下記(i)の条件でスラリーを調製後、圧延銅箔上にドクターブレード法で塗布して乾燥後、活物質層密度1.70g/cm3にプレスした電極の中央部長手方向に、下記(ii)の組成を有する電解液を高さ5cmから5μL滴下させた時に、該電解液が電極上にて完全に消失するまでの時間の平均値が180秒以下である。
該複合黒鉛粒子を20.00±0.02g、1質量%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を20.00±0.02g、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)水性ディスパーションを0.25±0.02g秤り取り、手で攪拌し、その後遊星回転式のミキサー(ハイブリッドミキサー)にて5分間攪拌、30秒脱泡して調製。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(容量比=2:2:3)に、1.0MのLiPF6を含有させ、更にビニレンカーボネート2容量%を添加。
(1)要件(a)
複合黒鉛粒子の表面に、球状黒鉛粒子の少なくとも一部が露出している複合黒鉛粒子を含有する。
本発明の非水系二次電池用複合黒鉛粒子は、黒鉛粒子を一次粒子として形成した球状又は楕円状の球状黒鉛粒子を用いて複合化したものであり、複合黒鉛粒子製造時の粉砕・磨砕により球状黒鉛粒子の表面が粗く削られた状態になっている。図1に該複合黒鉛粒子の走査型電子顕微鏡写真(以下、「SEM」と略記する)を示す。要件(a)の状態は、図1中の円又は楕円内に示す様に、該複合黒鉛粒子が製造時に粉砕・磨砕される事で、少なくとも球状黒鉛粒子の一部が露出している面を有する状態;該複合黒鉛粒子の製造時の粉砕・磨砕によって生じた破断面が捲れ上がり、複合黒鉛粒子の表面に、球状黒鉛粒子中の黒鉛粒子が浮き上がっている状態;又は、該複合黒鉛粒子の製造時の粉砕・磨砕によって剥離した複合黒鉛粒子中の球状黒鉛粒子の一部が表面に付着している状態等を意味する。
複合黒鉛粒子の表面近傍に、球状黒鉛粒子の不完全な積層構造を有する複合黒鉛粒子を含有する。
ここで、「不完全な積層構造」とは、該複合黒鉛粒子表面に、球状黒鉛粒子の一部が種々の方向に折り重なっている状態を意味する。本発明における非水系二次電池用複合黒鉛粒子は、粉砕・磨砕により、出発原料である球状黒鉛粒子の一次粒子である黒鉛粒子の切片が、該複合黒鉛粒子表面にて種々の方向に向かっている状態等を有するものである。この様な表面状態によって、前述の要件(a)に記す通り、粒子内部へのリチウムイオンの泳動を円滑にして充電受入性が向上すると共に、極板への電解液浸液性が向上する。
球状黒鉛粒子のメジアン径をaとし、複合黒鉛粒子のメジアン径をbとしたとき、その比c=a/bが0.93以上である。
「メジアン径」は、レーザー散乱式粒度分布測定により求めた体積基準の直径であり、その測定方法は以下の通りである。
界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標))の0.2質量%水溶液10mLに、黒鉛質複合粒子0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「HORIBA製LA−920」に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準メジアン径として測定したものを、本発明における体積基準メジアン径(以下、「メジアン径」と略記する)DLμmと定義する。
本発明において、球状黒鉛粒子のメジアン径をa、複合黒鉛粒子のメジアン径をbとした時にその比であるメジアン径比cは下記式にて定義される。
c=a/b
本発明においては、上記メジアン径の比cは0.93以上が好ましく、更には1.00以上がより好ましい。球状黒鉛粒子を原料に粉砕・磨砕させる事で複合黒鉛粒子を得るが、粉砕・磨砕の強度を高くする事で、球状黒鉛粒子のメジアン径に対して複合黒鉛粒子のそれは小さくなる傾向がある。この様な条件の場合、複合黒鉛粒子表面の黒鉛粒子の少なくとも一部が、原料状態の球状黒鉛粒子のそれに比べてより起き上がった(捲れ上がった)状態になり、こうした表面構造は、粒子内への電解液の浸透性が向上しリチウムイオンの泳動を円滑にし、良好なる充電受入性の発現をもたらす。
複合黒鉛粒子のラマンR値が0.10以上0.30以下、平均円形度が0.85以上、タップ密度が0.87g/cm3以上、1.25g/cm3以下、かつ、BET比表面積が2.5m2/g以上8.0m2/g以下である。
(イ)ラマンR値の定義
後述するようなラマン測定において得られたラマンスペクトルにおいて、1580cm−1付近の最大ピークの強度IAと、1360cm−1付近の最大ピークの強度IBの強度比IB/IAをラマンR値と定義する。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :15〜25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理
(単純平均、コンボリューション5ポイント)
本発明の要件(d)においては、ラマンR値は0.30以下が必須である。好ましくは0.29以下、特に好ましくは0.28以下である。ラマンR値がこの上限を上回ると、初期サイクルにおける充放電不可逆容量が大きくなる場合がある。また、要件(d)においては、ラマンR値は0.10以上が必須である。性能上は、ラマンR値は低い方が好ましいが、ラマンR値0.10未満のものを得ようとすると歩留まりが悪化し、著しく生産性が悪くなる場合がある。
(イ)平均円形度の定義
平均円形度は、測定対象(複合黒鉛粒子)0.2gを界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2体積%水溶液50mLに混合し、フロー式粒子像分析装置「シスメックスインダストリアル社製FPIA−2000」を用い、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6μm〜400μmに指定し、粒径10μm〜40μmの範囲の粒子について測定した下記式で与えられる円形度の値の平均値として定義される。
円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影像の周長
本発明の要件(d)においては、平均円形度は0.85以上、より好ましくは0.90以上である。また上限は、好ましくは0.98以下、特に好ましくは0.95以下である。平均円形度がこの範囲を下回ると、粒子間の空隙が小さくなり、負荷特性が低下する場合がある。一方、平均円形度がこの範囲を上回る値とするためには、衝撃力を主体に粒子の相互作用も含めた圧縮、摩擦、剪断力等の機械的作用を繰り返し粒子に与える球形化処理を強く又は長時間行なう必要性があり、球形化時に副生する微粉を多く取り除かなければならず、製造コストが高くなる場合がある。
(イ)タップ密度の定義
本発明において、タップ密度は、粉体密度測定器である(株)セイシン企業社製「タップデンサーKYT−4000」を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して、複合黒鉛粒子を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
本発明の複合黒鉛粒子のタップ密度は特に限定はないが、0.87g/cm3以上が好ましく、0.90g/cm3以上がより好ましく、0.95g/cm3以上が特に好ましい。また、1.25g/cm3以下が好ましく、1.20g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、負極の製造に際して集電体に塗布する負極材料のスラリー濃度を低下させる必要があり、塗膜の密度が小さくなり、プレスしたとき複合黒鉛粒子が破壊されやすく、電池性能が低下する場合がある。逆に、タップ密度が高すぎると、塗工性が悪化するため複合黒鉛粒子の形状と粒径分布の調整に更なる工程が必要で、収率が低下し、かつコストが上昇する場合がある。
本発明の複合黒鉛粒子のBET法で測定したBET比表面積については特に限定はないが、通常2.5m2/g以上、好ましくは3.0m2/g以上である。また、通常8.0m2/g以下、好ましくは6.0m2/g以下、より好ましくは5.5m2/g以下、特に好ましくは5m2/g以下である。比表面積がこの範囲を下回ると、出力特性が低下する場合がある。一方、比表面積がこの範囲を上回ると、初期不可逆容量が大きくなり、サイクル特性が悪化する場合がある。
水銀ポロシメーターで測定された0.01μm以上2μm以下の細孔容積が0.05mL/g以上1mL/g以下である。
(イ)水銀ポロシメーターによる複合黒鉛粒子の細孔容積の測定方法と定義
本発明における複合黒鉛化粒子の水銀ポロシメーターによる細孔容積は、細孔容積測定装置「マイクロメリティックス社製オートポアIV9520」を用い、付属のセルに試料を封入し、減圧下(50μmHg)室温にて10分間の前処理を行なった後、水銀を4.0psia(ポンド平方インチ絶対圧力)〜40000psiaまで多段階に昇圧後、3.0psiaまで多段階に降圧させて測定される水銀圧入量より定義される。更に詳しくはこの時水銀に加えた圧力PからWashburn式(D=−(1/P)4γcosψ)を用いて細孔直径Dを計算して得られた水銀圧入退出曲線より定義される。この時、γは水銀の表面張力、ψは接触角を示す。
上記測定方法による、本発明における複合黒鉛粒子の0.01μm以上2μm以下の細孔容積は、0.05mL/g以上が好ましく、0.1mL/g以上がより好ましく、0.2mL/g以上が特に好ましい。また、1mL/g以下が好ましく、0.5mL/g以下がより好ましく、0.4mL/g以下が特に好ましい。該複合黒鉛粒子はその製造過程において、より粉砕・磨砕される事で、0.01μm以上、2μm以下の細孔容積が増える傾向が見られる。この領域の細孔容積が増える事で、粒子内部への電解液の浸透性向上が期待でき、極板内部でのリチウムイオンの移動が円滑になり、結果として電池のサイクル特性向上、充放電時の負荷特性の向上に貢献する。
BET比表面積で規格化した表面に存在するCO基の量が、1.15μmol/m2以上5μmol/m2以下である。
(イ)複合黒鉛粒子表面のCO基の量の測定方法
本発明において、複合黒鉛粒子表面のCO基の量は、TPD−MS(Temperature Prpgrammed Desorption & Decomposition Mass−Spectroscopy;昇温脱離法)にて測定した。昇温脱離法とは、試料を加熱した時に発生・脱離する微量ガス成分、発生量、発生温度を測定し、試料の化学的性質を解析する手法である。質量分析計(MS)としてはm/z=2〜200の低い質量領域において、充分な検出感度を有する、無機ガス分析用のものを用いる必要がある。また、加熱された試料から発生する熱による酸化の影響を避けて分析時のブランクレベルを下げるためにキャリアガスとして用いるHeガス中のO2、H2O、N2、CO2が充分に除去され、分析系内への漏れこみを最小限に抑えることが可能な分析装置を用いる必要がある。その目安としては、ブランク測定時において、キャリアガスのHeより僅かに生成するm/z=8のピークと比較して、O2(m/z=32)のピークが同等以下でなくてはならない。
本発明における複合黒鉛粒子の「BET比表面積で規格化した表面に存在するCO基の量」は、1.15μmol/m2以上が好ましく、1.20μmol/m2以上がより好ましく、1.35μmol/m2以上が特に好ましい。また、5μmol/m2以下が好ましく、4μmol/m2以下がより好ましく、3μmol/m2以下が特に好ましい。該複合黒鉛粒子表面にCO基の量が多い場合、CMCとの親和性が向上し、その上に添着されるSBRの分散性が向上する。この事により、極板特性が良好に保たれ、電池のサイクル特性が向上する。
該複合黒鉛粒子を用いて下記(i)の条件でスラリーを調製後、圧延銅箔上にドクターブレード法で塗布して乾燥後、活物質層密度1.70g/cm3にプレスした電極の中央部長手方向に、下記(ii)の組成を有する電解液を、高さ5cmから5μL滴下させた時に、該電解液が電極上にて完全に消失するまでの時間の平均値が180秒以下である。
該複合黒鉛粒子を20.00±0.02g、1質量%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を20.00±0.02g、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)ディスパージョンを0.25±0.02g秤り取り、手で攪拌し、その後遊星回転式のミキサー(ハイブリッドミキサー)にて5分間攪拌、30秒脱泡して調製。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(容量比=2:2:3)に、1.0MのLiPF6を含有させ、更にビニレンカーボネート2容積%を添加。
本発明において、極板上の電解液の消失時間は特に限定はないが、180秒以下が好ましく、140秒以下がより好ましく、120秒以下が特に好ましく、110秒以下が更に好ましい。電解液消失時間が長いと、電池作製時に電解液を注液する過程で時間が掛かり、生産性の低下を招く場合がある。また、電解液の消失時間が長いことは、極板内部での電解液の浸透性が悪い事を意味し、電池特性、ことに充放電時の負荷特性並びにサイクル特性の低下につながる場合がある。そのため、良好な浸液性を発現する極板、更にはその極板を構成する材料が必要である。本発明における非水系二次電池用複合黒鉛粒子は、その特徴ある粒子構造により良好な電解液浸液性を発現可能な粒子である。
(i)極板上黒鉛結晶配向比
本発明における非水系二次電池用複合黒鉛粒子を用いて、下記の極板作製方法Aにより作製された所定極板について、下記の方法で測定した極板上黒鉛結晶配向比I110/I004については、特に限定はないが、通常0.08以上、好ましくは0.09以上、特に好ましくは0.10以上、また、通常0.20以下、好ましくは0.18以下、特に好ましくは0.16以下である。配向比I110/I004が上記範囲を下回ると、電池を作製したときの電池充電時の電極膨張が大きくなり、電極の単位体積当たりの電池容量を大きくし難く、更にはサイクル試験中に膨張収縮により活物質の脱落等によりサイクル特性が低下しやすい。一方、配向比I110/I004が上記範囲を上回ると、プレス後の電極の充填密度を上げ難くなる場合もある。
複合黒鉛粒子100重量部に、スチレン・ブタジエンゴムの水性ディスパージョンを固形分として2重量部、カルボキシメチルセルロース(重量平均分子量25万〜30万)水溶液を固形分として1重量部加えてスラリーとし、このスラリーを厚さ18μmの銅箔よりなる集電体上に乾燥後重量として10±0.1mg/cm2付着するようにドクターブレードを用いて塗布して乾燥させた後に、ロールプレス(カレンダー)を用いて、活物質層が1.73±0.03g/cm3になるようにプレス荷重を調整し、1回のプレスで圧密する。
上記極板作製方法Aで調製した極板について、X線回折により極板上の黒鉛の(110)面と(004)面とのチャートを測定し、測定したチャートについて、プロファイル関数として非対称ピアソンVIIを用いて、フィッティングすることによりピーク分離を行ない、(110)面と(004)面のピークの積分強度を算出する。得られた積分強度から、「(110)面積分強度/(004)面積分強度」で表わされる比率を算出し、極板上黒鉛結晶配向比と定義する。
ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
スリット :発散スリット=1度、受光スリット=0.1mm、散乱スリット=1度
測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:76.5度≦2θ≦78.5度 0.01度/3秒
(004)面:53.5度≦2θ≦56.0度 0.01度/3秒
試料調製 :ガラス板に0.1mm厚さの両面テープで所定極板を固定
前記の極板作製方法Aにより、活物質層の密度が1.73±0.03g/cm3である極板を作製する際に必要とされるプレス荷重の範囲については特に限定はないが、長さ5cmあたりに換算して、好ましくは200kgf/5cm以上、特に好ましくは250kgf/5cm以上、更に好ましくは300kgf/5cm以上であり、また、通常1200kgf/5cm以下、好ましくは1000kgf/5cm以下、特に好ましくは850kgf/5cm以下であるような複合黒鉛粒子が望ましい。すなわち、上記範囲のプレス荷重に調整することにより、活物質層の密度が1.73±0.03g/cm3の極板を作製できるような複合黒鉛粒子が、本発明の複合黒鉛粒子として好ましい。
本発明の非水系二次電池用複合黒鉛粒子(以下、「複合黒鉛粒子(A)」と略記する場合がある)は、単独で非水系二次電池用負極材料とすることもできるが、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長性炭素繊維、導電性カーボンブラック、非晶質被覆黒鉛、樹脂被覆黒鉛及び非晶質炭素よりなる群から選ばれる1種以上の、上記複合黒鉛粒子とは形状又は物性の異なる炭素質粒子(以下、「炭素質粒子(B)」と略記する)を更に含有させて非水系二次電池用負極材料とすることも好ましい。
球状黒鉛粒子の主成分としては、塗工性を上げるためタップ密度の高いものを得るという観点から、球形度の高いものが好ましく、球形化天然黒鉛が特に好ましい。通常、X線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が0.340nm以下を示すような結晶性の高い天然黒鉛を原料とするものが例に挙げられる。具体的には天然黒鉛若しくはこれらに機械的粉砕品を加えて円形度を向上させたものが好ましい。
「黒鉛化可能なバインダー」(以下、単に「バインダー」と記載することがある)としては、具体的には、含浸ピッチ、バインダーピッチ、コールタールピッチ、石炭液化油等の石炭系重質油、アスファルテン等の直留系重質油、エチレンヘビーエンドタール等の分解系重質油等の石油系重質油等が挙げられる。
充放電容量の増加とプレス性の改良のために、炭素質粒子とバインダーの混合に際し、黒鉛化触媒を添加しても良い。黒鉛化触媒としては、鉄、ニッケル、チタン、ケイ素、ホウ素等の金属及びこれらの炭化物、酸化物、窒化物等の化合物が挙げられる。なかでも、ケイ素、ケイ素化合物、鉄、鉄化合物が好ましく、ケイ素化合物のなかでは炭化珪素、鉄化合物のなかでは酸化鉄が特に好ましい。
炭素質粒子、バインダー及び所望により添加された黒鉛化触媒等の原料は、まず、加熱下で捏合される。これにより、炭素質粒子及び捏合温度では溶融しない原料に液状のバインダーが添着された状態となる。この場合、捏合機に全原料を仕込んで捏合と昇温を同時に行っても良いし、捏合機にバインダー以外の成分を仕込んで攪拌状態で加熱し、捏合温度まで温度が上がった後に常温又は加硫溶融状態のバインダーを仕込んでも良い。
得られた捏合物は、そのまま、揮発成分(以下、「VM」と略記する)の除去と炭化を目的とする脱VM焼成工程に供してもよいが、ハンドリングしやすいように、成形してから脱VM焼成工程に供することが好ましい。
得られた成形体は、炭素質粒子及びバインダーの揮発成分(VM)を除去して、黒鉛化時の充填物の汚染、充填物の成形体への固着を防ぐために、脱VM焼成を行う。脱VM焼成は、通常600℃以上、好ましくは650℃以上で、通常1300℃以下、好ましくは1100℃以下の温度で、通常0.1時間〜10時間行う。加熱は、酸化を防止するために、通常、窒素、アルゴン等不活性ガスの流通下又はブリーズ、パッキングコークス等の粒状炭素材料を間隙に充填した非酸化性雰囲気で行う。
脱VM焼成により得られた炭化物成形体は、次いで、高温で加熱して黒鉛化する。黒鉛化時の加熱温度は、通常2600℃以上、好ましくは2800℃以上で加熱する。また、加熱温度が高過ぎると、黒鉛の昇華が顕著となるので、3300℃以下が好ましい。加熱時間は、バインダー及び炭素質粒子が黒鉛となるまで行えばよく、通常1〜24時間である。
このようにして得られた黒鉛化処理物は、通常はこのままでは本発明の要件を満たさないので、粉砕もしくは磨砕を行う。その工程は粗粉砕、中粉砕、微粉砕の3工程に大別される。
本発明に記載の要件を満たすためには、該黒鉛化処理物の粗粉砕・中粉砕においては、例えば「オリエント工業社製VM−32型粉砕機」を用いる場合には、黒鉛化処理物をベルト搬送式のフィーダーにて、300kg/分のスピードで粉砕機に搬入し、粉砕羽根回転数を1000回転/分以上にて粉砕・磨砕する。また本粉砕段階で過度な粉砕・磨砕を行なうと、黒鉛化処理物の粒子表面に多くの微粉が発生し、この微粉により粉砕処理品を塗布した電極にて電池を作製した場合に初回充放電時の不可逆容量が増加する場合がある。
また、微粉砕においては、例えば「ターボ工業社製TB−250型粉砕機」を用いる場合には、黒鉛化処理物を定量式のスパイラルフィーダーにて、50kg/分、55kg/分又は60kg/分で搬入して粉砕する。粉砕機への黒鉛化処理物の搬入速度を高めると、粉砕羽根回転数を一定にした場合、粉砕後の黒鉛化処理物の比表面積は低下する場合がある。
得られた粉砕又は磨砕物から必要に応じ大径粒状物・小径粒状物(微紛)除去を行っても良い。
本発明の複合黒鉛粒子は、非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の負極材料として好適に用いることができる。また前記したように、本発明の複合黒鉛粒子(A)と炭素質粒子(B)とを配合したものも、負極材料として好適に用いることができる。
本発明の複合黒鉛粒子、本発明の負極材料を用いて製造された本発明の非水系二次電池用負極は、特にリチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の負極として極めて有用である。
有するスラリーを調製し、これを集電体上に塗布、乾燥することにより得られる。
平均粒径100μmの黒鉛粒子を奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−3型にて、ローター周速度70m/秒で9分間の球形化処理を行い、平均粒径21.7μmの球状黒鉛粒子を得た。
この複合黒鉛粒子を負極材料として用い、前述の方法により、活物質層密度1.70±0.03g/cm3の活物質層を有する極板を作製した。すなわち具体的には、上記負極材料20.00±0.02g、1質量%カルボキシメチルセルロース水溶液を20.00±0.02g(固形分換算で0.200g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン0.25±0.02g(固形分換算で0.1g)を、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
上記方法で作製した負極シートを4cmx3cmの板状に打ち抜き負極とし、LiCoO2からなる正極を同面積で打ち抜き組み合わせた。負極と正極の間には、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの混合溶媒(容量比=25:37.5:37.5)に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させ、更に添加剤としてビニレンカーボネートを2容積%添加した電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、ラミネート型電池を作製した。
上記した方法で作製したラミネート型電池を、12時間放置した後、電流密度0.2CmA/cm3で、両電極間の電位差が4.1Vになるまで充電を行い、その後3Vになるまで0.2CmA/cm3で放電を行った。これを2回繰り返し、更に同電流値で、両電極間の電位差が4.2Vになるまで充電を実施した。ここまでに発生する膨れ量a(mL)は、浸漬容積法(アルキメデスの原理に基づく溶媒置換法)により計測した。その後、85℃の恒温槽内に3日間放置して、更に膨れる量b(mL)を求め、「a+b(mL)」を「高温耐久試験時のセル膨れ量」とした。表1の結果は、ラミネート型電池2個について、それぞれ測定し平均値を求めることで得た。
前記した方法で作製した負極シートを、12.5mmφに打ち抜き負極とし、厚さ0.5mmの金属Li箔を同サイズに打ち抜きステンレス板に圧着したものを正極とし、2極式セルを作製した。セルの作製は、水分値20ppm以下に調整したドライボックス内で行った。負極と正極との間には、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートの混合溶媒(容量比、25:30:30)に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させた電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置いた。
100×[2.0C(8.0mA/cm2)]/[0.05C(0.2mA/cm2)]である。この方法にて行った充放電試験の結果を表1に示す。
実施例1で粉砕羽根回転数を6000回転/分に設定した以外は実施例1と同様にして複合黒鉛粒子を得、上記物性を測定し、次いで実施例1と同様にして、極板(負極シート)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久試験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の充放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性」を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測定結果を表1に示す。
平均粒径100μmの黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−3型にてローター周速度65m/秒で12分間球形化処理を行い,平均粒径13.7μmの球状黒鉛粒子を得た。この球状黒鉛粒子と、黒鉛化可能なバインダーとして軟化点88℃のバインダーピッチとを、100:30の重量比で用い、粉砕時の粉砕羽根回転数を6000回転/分とした以外は実施例1と同様にして複合黒鉛粒子を得、上記物性を測定し、次いで実施例1と同様にして、極板(負極シート)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久試験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の充放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性」を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測定結果を表1に示す。
平均粒径100μmの黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−3型にてローター周速度60m/秒で7分間球形化処理を行い、平均粒径17.3μmの球状黒鉛粒子を得た。この球状黒鉛粒子と、黒鉛化可能なバインダーとして軟化点88℃のバインダーピッチとを、100:30の重量比で用い、粉砕時の粉砕羽根回転数を6000回転/分とした以外は実施例1と同様にして複合黒鉛粒子を得、上記物性を測定し、次いで実施例1と同様にして、極板(負極シート)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久試験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の充放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性」を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測定結果を表1に示す。
実施例4で粉砕時の粉砕羽根回転数を8000回転/分とした以外は実施例4と同様にして複合黒鉛粒子を得、上記物性を測定し、次いで実施例1と同様にして、極板(負極シート)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久試験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の充放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性」を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測定結果を表1に示す。
平均粒径100μmの黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−3型にてローター周速度60m/秒で9分間球形化処理を行い、平均粒径21.5μmの球状黒鉛粒子を得た。これを更にジェットミルで粉砕し、球状黒鉛粒子表面の一次粒子が切平面方向に異方化された球状黒鉛粒子を得た。これを実施例1と同様にして複合黒鉛粒子を得、上記物性を測定し、次いで実施例1と同様にして、極板(負極シート)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久試験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の充放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性」を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測定結果を表1に示す。
実施例5で作製した複合黒鉛粒子に、実施例1で作成した球状黒鉛粒子を5/5の比率で混合し、これを実施例1と同様にして物性を測定し、次いで実施例1と同様にして、極板(負極シート)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久試験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の充放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性」を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測定結果を表1に示す。
実施例1で得られた複合黒鉛粒子を用い、実施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製し、実施例1に記載の電解液をマイクロシリンジにて5μL吸引後、5cmの高さから極板上に長手方向に5μLで5点ずつ順次滴下させ、電解液が極板上で完全に消失するまでの時間を測定し、その平均値を求めた。この値を、以下、「電解液消失時間」と略記する。電解液消失時間の測定結果を表1に示す。
実施例2で得られた複合黒鉛粒子を用い、実施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8に記載の方法で電解液消失時間を測定した結果を表1に示す。
実施例3で得られた複合黒鉛粒子を用い、実施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8に記載の方法で電解液消失時間を測定した結果を表1に示す。
実施例4で得られた複合黒鉛粒子を用い、実施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8に記載の方法で電解液消失時間を測定した結果を表1に示す。
実施例5で得られた複合黒鉛粒子を用い、実施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8に記載の方法で電解液消失時間を測定した結果を表1に示す。
実施例6で得られた複合黒鉛粒子を用い、実施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8に記載の方法で電解液消失時間を測定した結果を表1に示す。
実施例1と同様に複合球状黒鉛粒子を得、粉砕時の粉砕羽根回転数2000回転/分に変えた以外は実施例1と同様に行った。上記物性を測定し、次いで、実施例1と同様にして、極板(負極シート)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久試験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の充放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性」を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測定結果を表1に示す。
実施例3と同様に複合球状黒鉛粒子を得、粉砕時の粉砕羽根回転数2000回転/分に変えた以外は実施例1と同様に行った。上記物性を測定し、次いで実施例1と同様にして、極板(負極シート)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久試験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の充放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性」を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測定結果を表1に示す。
実施例4と同様に複合球状黒鉛粒子を得、粉砕時の粉砕羽根回転数2500回転に変えた以外は実施例1と同様に行った。上記物性を測定し、次いで実施例1と同様にして、極板(負極シート)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久試験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の充放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性」を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測定結果を表1に示す。
実施例14で得られた複合黒鉛粒子を用い、実施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8に記載の方法で、電解液消失時間を測定した結果を表1に示す。
実施例15で得られた複合黒鉛粒子を用い、実施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8に記載の方法で、電解液消失時間を測定した結果を表1に示す。
実施例16で得られた複合黒鉛粒子を用い、実施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8に記載の方法で、電解液消失時間を測定した結果を表1に示す。
Claims (9)
- 球状黒鉛粒子と黒鉛化可能なバインダーの黒鉛化物とが複合化した非水系二次電池用の複合黒鉛粒子であって、該複合黒鉛粒子が次の要件(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)
(a)表面に、該球状黒鉛粒子の少なくとも一部が露出している複合黒鉛粒子を含有する。
(b)表面近傍に、該球状黒鉛粒子の不完全な積層構造を有する複合黒鉛粒子を含有する。
(c)該球状黒鉛粒子のメジアン径をaとし、該複合黒鉛粒子のメジアン径をbとした時、その比c=a/bが0.93以上である。
(d)ラマンR値が0.10以上0.30以下、平均円形度が0.85以上、タップ密度が0.87g/cm3以上1.25g/cm3以下、かつ、BET比表面積が2.5m2/g以上8.0m2/g以下である。
(e)水銀ポロシメーターで測定された0.01μm以上2μm以下の細孔容積が0.05mL/g以上1mL/g以下である。
(f)BET比表面積で規格化した表面に存在するCO基の量が、1.15μmol/m2以上5μmol/m2以下である。
(g)該複合黒鉛粒子を用いて下記(i)の条件でスラリーを調製後、圧延銅箔上にドクターブレード法で塗布して乾燥後、活物質層密度1.70g/cm3にプレスした電極の中央部長手方向に、下記(ii)の組成を有する電解液を高さ5cmから5μL滴下させた時に、該電解液が電極上にて完全に消失するまでの時間の平均値が180秒以下である。
(i)スラリーの調製条件
該複合黒鉛粒子を20.00±0.02g、1質量%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を20.00±0.02g、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)水性ディスパーションを0.25±0.02g秤り取り、手で攪拌し、その後遊星回転式のミキサー(ハイブリッドミキサー)にて5分間攪拌、30秒脱泡して調製。
(ii)電解液組成
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(容量比=2:2:3)に、1.0MのLiPF6を含有させ、更にビニレンカーボネート2容量%を添加。
よりなる群から選ばれる何れかを満たすことを特徴とする非水系二次電池用複合黒鉛粒子。 - 球状黒鉛粒子に、黒鉛化可能なバインダーを捏合し、次いで黒鉛化処理をして得られた非水系二次電池用の複合黒鉛粒子であって、該複合黒鉛粒子が次の要件(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)
(a)表面に、該球状黒鉛粒子の少なくとも一部が露出している複合黒鉛粒子を含有する。
(b)表面近傍に、該球状黒鉛粒子の不完全な積層構造を有する複合黒鉛粒子を含有する。
(c)該球状黒鉛粒子のメジアン径をaとし、該複合黒鉛粒子のメジアン径をbとした時、その比c=a/bが0.93以上である。
(d)ラマンR値が0.10以上0.30以下、平均円形度が0.85以上、タップ密度が0.87g/cm3以上1.25g/cm3以下、かつ、BET比表面積が2.5m2/g以上8.0m2/g以下である。
(e)水銀ポロシメーターで測定された0.01μm以上2μm以下の細孔容積が0.05mL/g以上1mL/g以下である。
(f)BET比表面積で規格化した表面に存在するCO基の量が、1.15μmol/m2以上5μmol/m2以下である。
(g)該複合黒鉛粒子を用いて下記(i)の条件でスラリーを調製後、圧延銅箔上にドクターブレード法で塗布して乾燥後、活物質層密度1.70g/cm3にプレスした電極の中央部長手方向に、下記(ii)の組成を有する電解液を高さ5cmから5μL滴下させた時に、該電解液が電極上にて完全に消失するまでの時間の平均値が180秒以下である。
(i)スラリーの調製条件
該複合黒鉛粒子を20.00±0.02g、1質量%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を20.00±0.02g、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)水性ディスパーションを0.25±0.02g秤り取り、手で攪拌し、その後遊星回転式のミキサー(ハイブリッドミキサー)にて5分間攪拌、30秒脱泡して調製。
(ii)電解液組成
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(容量比=2:2:3)に、1.0MのLiPF6を含有させ、更にビニレンカーボネート2容量%を添加。
よりなる群から選ばれる何れかを満たすことを特徴とする非水系二次電池用複合黒鉛粒子。 - 該球状黒鉛粒子が、湾曲又は屈曲した複数の鱗片状又は鱗状黒鉛からなるものである請求項1又は請求項2に記載の非水系二次電池用複合黒鉛粒子。
- 該複合黒鉛粒子が、黒鉛化処理物を粉砕又は磨砕して得られたものである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の非水系二次電池用複合黒鉛粒子。
- 請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の非水系二次電池用複合黒鉛粒子を含有することを特徴とする非水系二次電池用負極材料。
- 更に、該複合黒鉛粒子とは形状又は物性の異なる炭素質粒子を含有してなる請求項5記載の非水系二次電池用負極材料。
- 該炭素質粒子の平均円形度が0.88以上である請求項6記載の負極材料。
- 集電体及びその上に形成された活物質層を有する負極であって、該活物質層が、請求項5ないし請求項7の何れかに記載の非水系二次電池用負極材料を用いて形成されていることを特徴とする非水系二次電池用負極。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を有する非水系二次電池であって、該負極が、請求項8記載の非水系二次電池用負極であることを特徴とする非水系二次電池。
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