JP5724199B2 - 非水電解液二次電池用負極材料、その製造方法および非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池用負極材料、その製造方法および非水電解液二次電池 Download PDF

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Description

本発明は非水電解液二次電池の負極用炭素材料の製造方法に関するものである。また本発明はこの方法で製造した炭素材料を用いた電極、及びこの電極を備えた非水電解液二次電池に関するものである。
リチウムイオンを吸蔵・放出できる正極及び負極、並びにLiPF6やLiBF4などのリチウム塩を溶解させた非水電解液からなる非水系リチウム二次電池が開発され、実用に供されている。この電池の負極材料としては種々のものが提案されているが、高容量であること及び放電電位の平坦性に優れていることなどから、天然黒鉛、コークス等の黒鉛化で得られる人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズピッチ、黒鉛化炭素繊維等の黒鉛質の炭素材料が用いられている。また、一部の電解液に対して比較的安定しているなどの理由で非晶質の炭素材料も用いられている。更には、黒鉛質炭素粒子の表面に非晶質炭素を被覆あるいは付着させ、黒鉛と非晶質炭素の特性を併せもたせた炭素材料も用いられている。
特許文献1には、炭素質物に該炭素質物より平均粒径の小さな有機化合物を混合し、その後加熱焼成して、多層構造とした電極材料の製法が記載されている。また、炭素質物と有機化合物の混合物を加圧圧着してから加熱焼成することが記載されている。
特許文献2では、本来は鱗片状、鱗状、板状である黒鉛質炭素粒子に力学的エネルギー処理を与えて、黒鉛質粒子表面にダメージを与えるとともに粒子形状を球形にすることで急速充放電特性を向上させた球形化黒鉛質炭素材料が用いられ、更に、球形化黒鉛質炭素粒子の表面に非晶質炭素を被覆あるいは付着させることで、黒鉛と非晶質炭素の特性、そして急速充放電性を併せ持った複層構造の球形化炭素材料を用いることが提案されている。
また、特許文献2には、球形化黒鉛質炭素粒子の表面に非晶質炭素を被覆させた電極用複層構造炭素材料の製法として、球形化黒鉛質炭素粒子と有機化合物とを混合し、500℃〜3000℃で焼成することが記載されている。更に、有機化合物としてコールタールピッチや、石炭系重質油、石油系重視油、ナフサ分解重質油等が上げられており、必要により溶媒とともに用いるとの記載がある。
また、昨今では水系リチウム二次電池の用途展開が図られ、従来のノート型パソコンや、移動通信機器、携帯型カメラ、携帯型ゲーム機など向けに加え、電動工具、電気自動車向けなど、従来にも増した急速充放電性を持ち同時に高サイクル特性も併せ持つ非水系リチウム二次電池が望まれている。
特許第3164458号公報 特許第3534391号公報
しかしながら本発明者らの検討によると、特許文献1に記載の方法では、固体の炭素物質と固体の有機化合物の固体同士の混合であるため、炭素質物の粒子の周りを有機化合物で被覆することが困難で、炭素物質粒子に有機化合物が付着している状態がほとんどであり、黒鉛粒子表面が炭素質物で被覆されずに露出している部分が多くなり、不可逆容量が
多い欠点がある。また黒鉛が球形化されておらず、鱗片状、すなわち平板形状をしているため、これらをバインダーで結着しで負極電極とした場合に、電極中のLiイオンの移動に際し、平板状黒鉛を回り込む必要が生じ、急速充放電性が劣るという欠点もあり、本発明者らが目的としている性能を発現できないという問題があった。
また、特許文献2に記載の方法では、球形化黒鉛質炭素粒子と有機化合物とを混合し焼成する際に、500℃〜3000℃の温度で行うため、特許文献1に記載の方法に比べ、急速充電特性に優れた電極材料を提供することができるが、単に本発明者らが目的としている性能を発現する電極材料を提供するまで至っていない。
そこで、本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、高容量、低不可逆容量で、急速充放電特性、高サイクル特性を併せ持つ非水電解液二次電池用の負極材料の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者等は、鋭意検討の結果、球形化黒鉛質炭素粒子と有機化合物とを混合し焼成して、球形化黒鉛質炭素粒子の表面に非晶質炭素を被覆させた電極用複層構造炭素材料を製造するにあたり、球形化黒鉛質炭素粒子と有機化合物との混合物を、特定の条件で圧密して焼成を行うことで、高容量で、急速充放電特性、高サイクル特性に優れた非水電解液二次電池用の負極材料が得られることを見出した。
すなわち、平均粒径が3〜50μm、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、X線広角回折法によるLcが900Å以上、タップ密度が0.8g/cm以上、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.15〜0.5の範囲にある球形化黒鉛粒子(A)と、有機化合物を含む組成物(B)とを混合した嵩密度が0.3g/cm〜2g/cmの範囲の球形化黒鉛と混合物(C)を焼
成するにあたり、球形化黒鉛粒子混合物(C)を嵩密度の1.05倍〜3倍に圧縮して400℃以上で焼成することで、高容量で、急速充放電特性、高サイクル特性に優れた非水電解液二次電池用負極材を製造することができる。
すなわち本発明の要旨は、以下のとおりである。
1.平均粒径が3〜50μm、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、Lcが900Å以上、タップ密度が0.8g/cm以上、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.15〜0.5である球形化黒鉛
粒子(A)と、200℃以下の条件下において液状である有機化合物(B)とを混合した球形化黒鉛粒子混合物(C)を焼成して、球形化黒鉛粒子(A)の表面を非晶質炭素で被覆した負極材料(D)を製造する方法において、嵩密度が0.3g/cm〜2g/cm
である混合物(C)を嵩密度に対して1.05倍〜3倍に圧縮した後、400℃以上で焼成することを特徴とする非水電解液二次電池用負極材料の製造方法
1に記載の有機化合物(B)が重質油、タール、ピッチ類のからなる群より選ばれる少なくとも1種類である非水電解液二次電池用負極材料の製造方法。
.1又は2に記載の方法で製造された非水電解液二次電池用負極材料及び結着樹脂を含有する負極層を集電体上に有する非水電解液二次電池用負極。
3に記載の負極、リチウムイオンを吸蔵放出できる正極及び非水電解液からなる非水電解液二次電池。
本発明の製造方法により得られた非水電解液二次電池用負極材料を電極として用いた非水電解液二次電池は、低不可逆容量で、急速充放電特性と高サイクル特性を併せ持つ特性を示すものである。
本発明の製造方法は、平均粒径が3〜50μm、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、X線広角回折法によるLcが900Å以上、タップ密度が0.8g/cm以上、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.15〜0.5の範囲にある球形化黒鉛粒子(A)と、有機化合物(B)とを混合した嵩密度が0.3g/cm〜2g/cmの範囲の球形化黒鉛と混合物(C)を焼成
するにあたり、球形化黒鉛粒子混合物(C)を嵩密度の1.05倍〜3倍に圧縮して400℃以上で焼成することが特徴である。
<球形化黒鉛粒子(A)>
球形化黒鉛粒子(A)は、平均粒径が3〜50μm、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、X線広角回折法によるLcが900Å以上、タップ密度が0.8g/cm以上、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.15〜0.5の範囲にあるものである。
・球形化黒鉛粒子(A)の製造方法
本発明に用いる球形化黒鉛粒子(A)は、上記の性状であれば、製法に制限はないが、例えば天然で産出される鱗片、鱗状、板状、塊状の黒鉛、或いは、例えば石油コークス、石炭ピッチコークス、石炭ニードルコークス、メソフェーズピッチなどを2500℃以上に加熱して製造した人造黒鉛に、力学的エネルギー処理を与えることで製造できる。力学的エネルギー処理は、例えば、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有する装置を用い、そのローターを高速回転することにより、その内部に導入した前期天然黒鉛、人造黒鉛に対し、衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し与えることで製造できる。
本発明に用いる球形化黒鉛粒子(A)は、例えば、前述の特許第3164458号公報に記載されている電極用炭素材料も用いることができる。
・球形化黒鉛粒子(A)の物性
本発明における球形化黒鉛粒子(A)は以下の物性を示すものである。なお、本発明における測定方法は特に制限はないが、特段の事情がない限り実施例に記載の測定方法に準じる。
・球形化黒鉛粒子(A)の平均粒径
本発明の球形化黒鉛粒子(A)の平均粒径については特に制限が無いが、使用される範囲として、50μm以下、好ましくは40μm以下、更に好ましくは35μm以下、3μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは6μm以上である。粒径が小さすぎると、比表面積が大きくなることで、本発明の方法で製造した非水電解液二次電池用負極材料の不可逆容量が大きくなり、粒径が大きすぎると本発明の方法で製造した非水電解液二次電池用負極材料の粒子と電解液との接触面積が減ることで、急速充放電性が悪くなる。
なお粒径は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの2(容量)%水溶液約1mlに、炭素粉末約20mgを加え、これをイオン交換水約200mlに分散させたものを、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製 LA−920)を用いて体積基準粒度分布を測定し、平均粒径(メジアン径)を求めることができる。なお測定条件は超
音波分散1分間、超音波強度2、循環速度2、相対屈折率1.50である。
・球形化黒鉛粒子(A)のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)
本発明の球形化黒鉛粒子(A)のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下であることが好ましく、3.36Å以下であことが更に好ましい。本発明の球形化黒鉛粒子(A)のX線広角回折法によるLcが900Å以上であることが好ましく、950Å以上であることがより好ましい。
この数値範囲内では、この炭素材料の粒子の表面を除くほとんどの部分の結晶性が高いということであり、本発明の方法で製造した非水電解液二次電池用負極材料は、非晶質炭素材料に見られるような不可逆容量が大きいことによる低容量化を生じない高容量電極となることを示している。測定方法は後述の実施例に記載の方法にて測定するものとする。
・球形化黒鉛粒子(A)のタップ密度
本発明の球形化黒鉛粒子(A)のタップ密度は、0.8g/cm以上である。より好ましくは、0.9g/cm以上である。
球形化黒鉛粒子(A)のタップ密度が0.8g/cm以上であるということは、球形化黒鉛粒子(A)が球状を呈していることを示している。タップ密度が0.8g/cmより小さい場合は球形黒鉛質粒子が充分な球形粒子となっていないことを示し、本発明の方法で製造した非水電解液二次電池用負極材料をからなる電極内に充分な連通性空隙が確保されず、空隙に保持ざれた電解液内のLiイオンの移動性が落ちることで、急速充放電特性が低下してしまう。
なお測定方法は、後述の実施例に記載の方法にて測定するものとする。
・球形化黒鉛粒子(A)のラマンスペクトル(Raman)スペクトル
本発明の球形化黒鉛粒子(A)のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPの強度Iと、1360cm−1付近のピークPの強度Iとを測定し、その強度比R(R=I/I)を算出して定義する。その値は0.2以上0.5以下である。ラマンR値が0.15〜0.5の範囲であるということは、黒鉛質炭素粒子を球形化する過程で力学的エネルギー処理を与えることによるダメージにより、黒鉛質粒子表面に微細なクラックや欠損、構造欠陥などが作られていることを示している。すなわち、球形化黒鉛粒子(A)は扁平な黒鉛粒子が折り曲げや巻き込み、角取りをされながら球形化されると同時に粒子表面に微細なクラックや欠損、構造欠陥などが形成された黒鉛質粒子であり、本発明の方法で製造した非水電解液二次電池用負極材料の粒子表面にも微細なクラックや欠損、構造欠陥が存在することにより、負極材料粒子内部へのLiイオンの出入りのしやすさ、及び球形化された粒子であることでの電極内での空隙確保によるLiイオンの良移動性の相乗効果で急速充放電性を向上させた負極材料になることを示している。ラマンR値は、通常0.15以上0.5以下であり、0.18以上0.4.5以下であることが好ましく、0.2以上0.4以下であることが更に好ましい。
ラマンR値がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く虞がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く虞がある。
なお測定方法は、後述の実施例に記載の方法にて測定するものとする。
・球形化黒鉛粒子(A)の真密度
本発明の球形化黒鉛粒子(A)の真密度は2.21g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは2.23g/cm以上、更に好ましくは2.25g/cm以上である。真密度は2.21g/cm以上であるということは、黒鉛粒子の本体の結晶性が
高いことで、本発明の方法で製造した非水電解液二次電池用負極材料の不可逆容量が小さいことを示す。
・球形化黒鉛粒子(A)のBET比表面積(SA)
本発明の球形化黒鉛粒子(A)のBET法で測定した比表面積については、4m/g
、以上12m/g以下を満たすことが好ましい。通常4m/g以上、好ましくは4.
5m/g以上である。また、通常10m/g以下、好ましくは9m/g以下、より好ましくは8m/g以下である。
比表面積がこの範囲を下回ると、Liが出入りする部位が少なく、高速充放電特性出力特性に劣り、一方、比表面積がこの範囲を上回ると、活物質の電解液に対する活性が過剰になり、初期不可逆容量が大きくなるため、高容量電池を製造できない可能性がある。
なお測定方法は、後述の実施例に記載の方法にて測定するものとする。
・球形化黒鉛粒子(A)の平均円形度
球形化黒鉛粒子(A)は、液中に分散させた数千個の粒子をCM3Dカメラを用いて1個ずつ撮影し、その平均的な形状パラメータを算出することが可能なフロー式粒子解析計において、10〜40μmの範囲の粒子を対象とした平均円形度(粒子面積相当円の周囲長を分子とし、撮影された粒子投影像の周囲長を分母とした比率で、粒子像が真円に近いほど1に近づき、粒子像が細長い或いはでこぼこしているほど小さい値になる)が0.8
8以上となることが好ましく、より好ましくは0.90以上である。なお、本発明に用いる球形化黒鉛粒子(A)の平均円形度が上記の値を下回ると、本発明の効果が得られなくなる可能性がある。
・球形化黒鉛粒子(A)のX線構造解析(XRD)
球形化黒鉛粒子(A)のX線構造解析(XRD)から得られる、Rhombohedral(菱面体晶) に対するHexagonal(六方体晶)の結晶の存在比(3R/2H
)は0.20以上であることが好ましい。3R/2Hがこの範囲を下回ると、高速充放電特性の低下を招く虞がある。
なお、X線構造解析(XRD)の測定方法は、0.2mmの試料板に炭素材料を配向しないように充填し、X線回折装置で、CuKα線にて出力30kV、200mAで測定する。得られた43.4°付近の3R(101)、及び44.5°付近の2H(101)の両ピークからバックグラウンドを差し引いた後、強度比3R(101)/2H(101)を算出できる。
<有機化合物(B))>
本発明の有機化合物(B)は特に制限はないが、球形化黒鉛粒子(A)の周りに被覆或いは均質に付着するものであり、下記に記載されるような有機化合物を含有する組成物であってもよい。好ましくは200℃までの温度で液状となる有機化合物である。
例えば、有機化合物(B)が常温で固体であっても、200℃までの温度で液状となるものであれば、混合時に加熱することで有機化合物(B)を液状とし、球形化黒鉛粒子(A)の周りにより均質に被覆或いは均質に付着させることができるので好ましい。これらの中でも好ましくは、有機化合物(B)が常温で液状であると、球形化黒鉛粒子(A)と有機化合物(B)を混合した場合、有機化合物(B)が球形化黒鉛粒子(A)の周りにより被覆或いは均質に付着することができるのでより好ましい。
具体的には有機化合物そのものとしては、上述した特性の有するものの中でも、200℃以下で液状であることが好ましく、100℃以下で液状であることが更に好ましく、50℃以下で液状であることがなお好ましく、常温で液状であることが最も好ましい。有機化合物(B)の液状である温度が、高すぎると有機化合物(B)で球形化黒鉛粒子(A)
の周りを充分に濡らすために加熱する温度を高める必要が生じる。なお、有機化合物(B)が200℃でも固体状である場合は、球形化黒鉛粒子(A)の周りに均質に被覆或いは均質に付着させることが困難となる傾向がある。
なお、本発明でいう液状とは、水や油のように容易に流動する液体であり、固体である粒子とは異なる。常温では固体であっても200℃までの加熱で液体状になるものも本発明の有機化合物(B)に含まれる。一方球形化黒鉛粒子(A)は粒子状の固体である。そのため、粒子状の球形化黒鉛粒子(A)に液体状の有機化合物(B)を混合すると、粒子状の球形化黒鉛粒子(A)は液状の有機化合物(B)により容易に湿った状態になることができる。
具体的には、有機化合物(B)は、石油系や石炭系の重質油、ナフサの熱分解での重質油、及びそれら得られるタール、ピッチ類、更には、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトリル、フェノール樹脂、セルロース等の樹脂類を用いることができる。この中でも特に、石油系や石炭系の重質油、ナフサの熱分解での重質油を用いることが好ましい。
また、有機化合物(B)の比重は、0.8g/cm3以上、1.2g/cm3以下が好ましく、0.9g/cm3以上1.1g/cm3以下が更に好ましい。
有機化合物(B)の残炭率の下限は0.5%以上が好ましく、1%以上が更に好ましく、2%以上がなお好ましい、有機化合物(B)の残炭率の上限は60%以下が好ましく、50%以下がなお好ましく、40%以下がなお好ましい。
有機化合物(B)を窒素、アルゴン、二酸化炭素中等の不活性雰囲気で500℃以上の温度で焼成すると、有機化合物(B)に含まれる低分子量成分は気化して除外され、高分子量成分の一部は分解気化して除外されるが、高分子量成分の一部は重合縮合されて更に高分子量化され炭素質成分として残り、これが、球形化黒鉛粒子(A)の周りに被覆される。この焼成後に炭素質成分として残る量を焼成する前の有機化合物(B)の量で割り100倍した値を有機化合物(B)の残炭率と定義する。
有機化合物(B)の残炭率が低すぎると、焼成後に球形化黒鉛粒子(A)の周りに被覆される炭素質の量が少なくなってしまい非晶質炭素被覆複層構造炭素材料としての高充電レート特性を発現できないことがある。残炭率が低すぎる有機化合物(B)を用いて被覆の量を高めるためには、有機化合物(B)の量を増加させることが必要であるが、そうなると、有機化合物(B)中で球形化黒鉛粒子(A)が沈降分離してしまうこともあり好ましくない。有機化合物(B)の残炭率が高すぎると、焼成後に球形化黒鉛粒子(A)の周りに被覆される炭素質の量が多くなくなってしまい、非晶質炭素に起因した不可逆容量の増加をきたしてしまうことがある。残炭率が高すぎる有機化合物(B)を用いて被覆の量を下げるためには、有機化合物(B)の量を減らすことが必要となり、有機化合物(B)と球形化黒鉛粒子(A)を混合するときに、有機化合物(B)で球形化黒鉛粒子(A)を充分に濡らすことができなくなり、被覆状態の悪化をきたす傾向がある。
また、これらの有機化合物を必要により溶媒等に溶解或いは分散させた液状物を用いることができるが、特に混合物に制限はない。この中でも200℃までの温度で液状となるものが好ましい。例えば、溶媒として水や、鎖状或いは環状炭化水素類、若しくはその混合物を用いることができる。
<球形化黒鉛粒子混合物(C)>
本発明の球形化黒鉛粒子混合物(C)(本明細書では、単に混合物(C)と呼ぶ場合がある)は、球形化黒鉛粒子(A)と有機化合物(B)を混合することによって得られる。
球形化黒鉛粒子(A)100重量部に対する有機化合物(B)の混合量は、特に限定はしないが、好ましくは下限0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、なお好まし
くは2重量%以上。球形化黒鉛粒子(A)100重量部に対する有機化合物(B)の混合量の上限は、特に限定はしないが、好ましくは2000重量%以下、更に好ましくは1000重量%以下、なお好ましくは800重量%以下である。有機化合物(B)の混合量が少なすぎると、使用する有機化合物の種類によっては、焼成後に残る有機化合物由来の非晶質炭素の量が少なくなりすぎて、非晶質炭素での球形化黒鉛(A)の被覆が不十分になってしまい、充電受け入れ性の高さや、可逆容量の高さという非晶質炭素被覆複層構造炭素材料としての電池特性が低減してしまう場合がある。有機化合物(B)の混合量が多すぎると、使用する有機化合物の種類によっては、焼成後に残る有機化合物由来の非晶質炭素の量が多くなりすぎて、非晶質炭素の結晶性の低さに起因する不可逆容量の増加をきたしてしまうことがある。
・球形化黒鉛粒子混合物(C)の製造方法
球形化黒鉛粒子(A)と、有機化合物(B)を、次の混合工程で混合し、球形化黒鉛粒子混合物(C)を製造することができることが好ましいが、下記に記載の工程に限定されるわけではない。
(混合工程)
球形化黒鉛粒子(A)と、有機化合物(B)との混合方法は、混合物(C)の嵩密度が0.5g/cm〜2g/cmの範囲となれば、その方法は特に限定されないが、下限は
0.5g/cm以上が好ましく、0.6g/cm以上が更に好ましい。上限は、2.0g/cm以下が好ましく、1.9g/cm以下が更に好ましく、1.8g/cm以下が更に好ましい。混合物(C)の嵩密度が小さすぎると焼成容器への混合物(C)の量が減ってしまい、生産効率落ちてしまい好ましくない。混合物(C)の嵩密度が大きすぎると混合物(C)を圧縮するための荷重が大きくなり好ましくない。なお、この嵩密度は、球状黒鉛と有機化合物との混合物(C)を、圧縮やタッピング、振動等を与えずに容器に入れて、混合物(C)の重量(g)を混合物(C)の体積(cm)で割ることで求めた値をいい、一般的に、嵩密度、或いは見かけ密度と呼ばれる。例えば、焼成用容器の重量と内容積を測定しておき、混合物(C)をこの焼成用容器に入れた後重量を測定し、焼成用容器と混合物(C)の合計重量から焼成用容器の重量を引いた値を混合物(C)の重量とし、この混合物(C)の重量を焼成用容器の内容積で割ることで、の混合物(C)の嵩密度を求めることができる。
混合物(C)の嵩密度を0.5g/cm以上とするためには、球形化黒鉛粒子(A)
のタップ密度が、上述した球形化黒鉛粒子(A)のタップ密度の範囲にあることが望ましい。球形化黒鉛粒子(A)のタップ密度が、上述した球形化黒鉛粒子(A)のタップ密度の下限以下になると混合物(C)の嵩密度が0.5g/cm未満になってしまうことがあり好ましくない。また、混合物(C)の嵩密度を2g/cmの以下にするためには、球形化黒鉛粒子(A)と有機化合物(B)の混合の段階では、過度な圧縮を行わないことが重要で、そのためには、次記で述べる混合装置を使用する方法が挙げられる。
混合のための装置の例としては、リボンミキサー、スクリュー型ミキサー、レディゲミキサー、プラネタリー型ミキサー、攪拌羽根型ミキサー、ニーダー、混練機等が挙げられる。これらの混合用装置を一つ選択して用いてもいいし、複数を用いて混合を繰り返しても良い。
球形化黒鉛粒子(A)と、有機化合物(B)を混練用装置に投入し、一定時間混合を行う。混合の時間は、混合装置や、球形化黒鉛粒子(A)と有機化合物(B)の混合比率によるが、下限は、10秒以上が好ましく、1分上が更に好ましく、2分以上がなお好ましい。混合時間の上限は24時間以下が望ましく、12時間以下更に好ましく、6時間以下がなお好ましい、混合時間が短すぎると混合が充分に行われず、球形化黒鉛粒子(A)と、有機化合物(B)が不均質の混合物となることが懸念される。混合時間が過度に長すぎると、混合の均質性には問題ないが、単位製造量あたりの消費電力が大きくなり、単位時
間の製造量が小さくなるため望ましくない。
有機化合物が常温で液状である場合、混合の温度は常温で行うことで問題ないが、必要により加熱して行うことで均質混合性を高めることができる。また、有機化合物が粘調である場合や固体の場合は、加熱により混合の均質性を高める方法をとる。加熱する場合の上限は、500℃以下が好ましく、更に好ましくは400℃以下である。加熱の温度が高すぎると、有機化合物(C)の熱分解や酸化が生じる場合があり好ましくない。
更に球形化黒鉛粒子(A)と有機化合物(B)とを混合した混合物(C)は次の焼成工程で炭素化されるが、混合して得られた混合物(C)を圧縮前の嵩密度に対して1.05倍〜3倍に圧縮して焼成する必要がある。
(焼成工程)
上記工程で得られた、球形化黒鉛粒子(A)と有機化合物(B)との混合物(C)は、混合物(C)を焼成設備で加熱することで、非水電解液電極用炭素材料を得ることができる。
焼成は、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素、炭酸ガス、水素等の非酸化性ガス雰囲気中や、真空中等で行う。また、コークス粒の中に有機化合物(C)を埋めて、外からの酸素が該コークスと反応することで、有機化合物(C)には酸素が及ばない状態を作ることで行うこともできる。焼成雰囲気の酸素ガスの濃度は、2%以下が好ましく、1%以下が更に好ましく、0.5%以下が更に好ましい。加熱処理雰囲気の酸素濃度が高すぎると該有機化合物(B)は球形黒鉛粒子(A)よりも燃えやすいため、該有機化合物(B)が燃焼により消失してしまい、焼成有機化合物での被覆若しくは付着されてない電極用炭素材料となってしまい、焼成有機化合物での被覆若しくは付着された複層構造炭素材料としての電池特性を発現できない。
焼成工程は1段で行っても2段以上に分割して行っても良いが、工程の複雑化によるコストアップを懸念すると、3段以下で行うことが望ましい。
容器に球形化黒鉛粒子(A)と、有機化合物(B)との混合物(C)を充填する。この場合容器は加熱する温度で形状を維持することのできる耐熱性を持っていれば、形状、材質を問わない。混合物(C)の充填された容器を1段目の焼成設備にセットし、不活性ガスを流通させながら加熱昇温し所定温度に到達してから所定時間保持する。その後焼成設備の温度を下げて、1段目焼成後の混合物の充填された容器を取り出す。1段目焼成後の
混合物の充填された容器をそのまま、或いは、別の容器に移し替えて2段目の焼成設備にセットする。1段目焼成に用いた容器が、2段目焼成温度での耐熱性があれば、そのまま用いることが可能であり、1段目焼成に用いた容器が、2段目焼成温度までの耐熱性がないのであれば、あれば段目焼成温度までの耐熱性のある容器に移しかえれば良い。2段目の焼成設備に不活性ガスを流通させながら加熱昇温し所定温度に到達してから所定時間保持する。その後焼成設備の温度を下げて、2段目焼成後の混合物の充填された容器を取り出す。1段目と2段目の焼成を続けて行う場合は、容器に球形化黒鉛粒子(A)と、有機化合物(B)との混合物(C)を充填する容器を2段目の焼成温度に対し耐熱性のある容器を用いる。焼成を1段で行う場合も、焼成温度に対し耐熱性のある容器を用いる。
・焼成工程における焼成温度
有機化合物(B)は、加熱する温度領域で反応の中身が異なってくる。500℃までの工程では、主に、有機化合物中の低沸点成分の気化による逸散や、有機化合物の側鎖の分解により生じるメタンガス、エタンガス、炭酸ガス、一酸化炭素等の逸散、気化されずに残る高分子量成分の重縮合反応及びそれに伴う水素ガス等の発生が起こる。この500℃以下で起こる重縮合反応は、有機化合物の種類によって、加熱温度状態下、液状で進行する場合と固体状で進行する場合が有る。500℃以上では、気化されずに残った高分子量
成分や重宿合により高分子下化された有機化合物の更なる重縮合反応が主体となるが、500℃以下の温度に比べると有機化合物の分子量が大きくなっているため、主に固体状で重宿合反応が進行する。温度の上昇とともに有機化合物の分子量は増大し700℃以上になるとほとんどが炭素成分からなる重合物となり、一般に炭素質と呼ばれる化合物となる。更なる加熱温度の上昇にともない、重合は進行し炭素成分の量の増加した炭素質重合物となっていき、3000℃まで加熱重合したものを一般に黒鉛と称する。
1段で焼成を行う場合の温度の下限は、500℃以上、好ましくは600℃以上、更に好ましくは700℃以上。有機化合物は焼成により炭素化されるが、温度が低すぎると焼成有機物の炭素化が充分でなく、電気伝導性が低いことに起因し、非水電解液二次電池の負極材料として用いた場合、電池としての性能が充分に発現されないことがある。温度の上限は特に限定されないが、通常は3300℃以下、好ましくは3000℃以下、更に好ましくは2000℃以下で行う。焼成温度が高すぎると球形化黒鉛に被覆した有機化合物由来の炭素質成分による高充電特性を充分に発現できないことがある。
2段で焼成行う場合は、1段目で主に有機化合物中の低沸点成分の気化による逸散や、有機化合物の側鎖の分解を行い、2段目で主に重縮合反応の進行による炭素化を行う。1段目での焼成温度の下限は300℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃以上で行う。焼成温度の上限は特に限定されない。1段目の温度が低すぎると、有機化合物中の低沸点成分の気化による逸散が十分に行われず、2段目の焼成に持ち越すことになる。2段目の焼成の下限は、500℃以上、好ましくは600℃以上、更に好ましくは700℃以上。有機化合物は焼成により炭素化されるが、温度が低すぎると焼成有機物の炭素化が充分でなく、電気伝導性が低いことに起因し、非水電解液二次電池の負極材料として用いた場合、電池としての性能が充分に発現されないことがある。温度の上限は特に限定されないが、通常は3300℃以下、好ましくは3000℃以下、更に好ましくは2000℃以下で行う。焼成温度が高すぎると球形化黒鉛に被覆した有機化合物由来の炭素質成分による高充電特性を充分に発現できないことがある。2段で焼成行う場合は、1段目での焼成後に一度温度を下げて、改めて2段目の焼成を行うことも可能で有るし、1段目での焼成後そのまま2段目の焼成を続けることも可能である。段目での焼成後に一度温度を下げて、改めて2段目の焼成を行う場合は、1段目と2段目で同じ焼成設備を用いても、異なる焼成設備を用いても良いが、1段目の有機化合物中の低沸点成分の気化によ
る逸散主に行う設備と、2段目の重縮合を主に行う設備を分けた方が効率的である。1段目の焼成と2段目の焼成を続けて行う場合は、一つの焼成ゾーンで1段目の有機化合物中
の低沸点成分の気化による逸散を主に行う焼成と2段目の重縮合を主に行う焼成を行っても良いが、1段目焼成を行うゾーンと2段目焼成を行うゾーンとを持つ焼成設備として、1段目のゾーンでの焼成の後、2段目の焼成ゾーンに被焼成物を移動して行う方法が効率てきである。
・焼成工程における焼成時間
焼成での室温から所定温度へ到達するまでの時間の下限は特に限定されないが、1分以上が好ましく5分以上が更に好ましい。所定温度までに到達する時間が短すぎると重縮合が進行するより早く有機化合物の気化逸散、或いは突沸が生じることにより有機化合物の消失が生じることも懸念され好ましく無い。所定温度へ到達するまでの時間の上限は特に限定されないが、30日以下が好ましく、15日以下が更に好ましく、1日以下がなお好ましい。所定温度へ到達するまでの時間が長いと、消費電力の増加や製造量の低下でコスト的に不利となる。所定温度での保持時間の下限は、1分以上が好ましく、5分以上が更に好ましく、10分以上がなお好ましい。保持時間が少ないと所定温度での重縮合反応が充分の行われないことがある。所定温度での保持時間の上限は、15日以下が好ましく、2日以下が更に好ましく、1日以下がなお好ましい。所定温度での保持時間が長いと、消費電力の増加や製造量の低下でコスト的に不利となる。
・焼成工程における焼成設備
焼成の設備は、上記焼成温度、焼成雰囲気を確保できるものであれば、特に限定されない。その例としては、菅状炉、箱型炉、ベルト型炉、ローラハウス型炉、リードハンマー型炉、アチソングラファイト炉等が上げられる。加熱方式は、外熱式、内熱式、加熱した非酸化性ガスでの加熱等、その方式を問わない。
・焼成工程における充填方法(圧縮方法)
容器に球形化黒鉛粒子(A)と、有機化合物(B)との混合物(C)を充填方法が、本発明の非水電解液用負極材料の製造方法で重要となる。特許文献1には混合物(C)の充填方法が記載されてないが、これは通常の充填方法で実施することを示している。通常の充填方法とは、混合装置で混合した混合物Cを焼成用容器に移してそのままの状態で焼成する方法である。これ対し、本発明は、球形化黒鉛粒子(A)有機化合物(B)との混合物(C)を焼成用容器に移し混合物Cの嵩密度の1.05倍〜3倍の密度に圧縮してから焼成を行う。
なお、混合物Cを圧縮する下限は、混合物(C)の嵩密度の1.05倍以上、好ましくは1.08倍以上、更に好ましくは1.12倍以上である。混合物(C)を圧縮度が下限以下の場合は圧縮による焼成の効果が充分に発揮されず電池性能の向上がみられない。混合物(C)を圧縮する上限は、混合物(C)の嵩密度の3倍以下、好ましくは2.5倍以下、更に好ましくは2.0倍以下である。混合物(C)の圧縮度が上限以上の場合は、混合物(C)を焼成した後の焼成混合物(C)が強固に固まってしまいその後の粉砕工程で多大のエネルギーを要することになり、粉砕にかかる労力、粉砕エネルギーの増大を来たすことになり望ましくない。すなわち焼成混合物が簡単に崩せる状態となる範囲までの圧縮である必要がある。C)を焼成する場合、混合物(C)の中の有機化合物(B)に含まれている低沸点成分の気化ガスや、有機化合物の側鎖の分解により生じるメタンガス、エタンガス、炭酸ガス、一酸化炭素等のガスが発生し該混合物(C)の粒子間隙を通って混合物(C)の上部空間に抜ける。この時、混合物(C)を上記範囲で圧縮すると混合物(C)の粒子間空隙が小さくなること及び、一部の粒子間空隙が塞がることで、有機化合物(B)から発生する該ガスが抜けにくくなり、球形化黒鉛粒子(A)若しくは有機化合物(B)の付着した球形化黒鉛粒子(A)の周りの該発生ガスの存在時間及びガス濃度が高くなる。このため、発生ガスによるCVD(Chemical Vapor Deposition)反応がより強
くなり、球形化黒鉛粒子(A)若しくは有機化合物(B)の付着した球形化黒鉛粒子(A)に発生ガス由来の炭素質が均質に付着することができる。CVDは化学蒸着とも呼ばれるが、メタン、エタン、ベンゼン、ナフタレン等の炭素元素を含むガスが加熱重合され、黒鉛粒子や炭素粒子表面に炭素質として被覆、或いは付着積層する反応である。混合物(C)を圧縮しない場合は、有機化合物(B)から発生する該ガスが混合物(C)の間を簡単に抜けてしまい、CVD反応で黒鉛粒子や炭素粒子表面に炭素質として着く炭素質の量が少なくなり、本発明による急速充電性やサイクル特性向上の効果が充分に発現されない。また、混合物(C)を圧縮することで、球形化黒鉛粒子(A)若しくは有機化合物(B)の付着した球形化黒鉛粒子(A)同士の接触性が高まり、そのことで焼成時に混合物(C)の熱伝導性が向上し、混合物(C)がより均質に焼成される。
混合物(C)の熱伝導性が高いことでより短時間で混合物(C)の温度が上昇し、より短時間での焼成が可能となる。これにより、製造能力の向上、焼成エネルギーの低減が可能となる。また、混合品(C)の熱伝導性が向上することで、短時間で混合物(C)の温度が上昇し、良質は炭素質が残りやすくなる。このため、本発明による充放電にともなう発生ガス量低減の効果が発現される。これに対し、混合物(C)を圧縮しない場合は、球形化黒鉛粒子(A)若しくは有機化合物(B)の付着した球形化黒鉛粒子(A)同士の接触性が弱く、そのことで焼成時の混合物(C)の熱伝導性が悪く、混合物(C)の均質加
熱が困難になる。混合物(C)の熱伝導性が悪いことで混合物(C)の温度上昇が遅くなり、より長時間での焼成を必要とする。また、混合品(C)の熱伝導性が悪いことで、混合物(C)の温度が上昇しにくくなり、良質は炭素質が残りにくくなる。このため、本発明による充放電にともなう発生ガス量低減の効果が発現されない。
このようにして得られた混合物(C)の焼成物は、球形化黒鉛粒子(A)に、CVD由来の炭素質物質、及び有機化合物の残炭分由来の炭素質物質が被覆した複層構造炭素材料となる。すなわち、結晶性の高い球形化黒鉛粒子(A)の外側を結晶性の低い非晶質炭素で被覆された構造の粒子となっている。この複層構造炭素材料はそのまま、あるいは必要により次の粉砕分級工程で粉砕分級した後に、非水電解液二次電池用負極材料(本発明では負極材料(D))ともいう)として用いることができる。
(粉砕分級工程)
混合物(C)の焼成により得られた複層構造炭素材料は、必要により粉砕分級を行う。粉砕は、ハンマーミル、ボールミル、ピンミル、ターボミル、クリプトロンミル、コロプレックスミル等どのような装置を使用しても問題ない。また分級も、風力分級、篩による分級等の一般的な方法で行うことができる。
<非水電解液二次電池用負極材料(負極材料(D))>
球形化黒鉛粒子(A)と有機化合物(B)を混合し焼成することにより、有機化合物(B)が非晶質炭素となり、球形化黒鉛粒子(A)の表面を非晶質炭素で被覆することにより複層構造炭素材料、つまり負極材料(D)が製造できる。
上述のような製造方法で得られた負極材料(D)は、以下のように物性を示す。
本発明の負極材料(D)における球形化黒鉛粒子(A)に対する有機化合物(B)由来の非晶質炭素での被覆率は、0.1%以上30%以下を満たすことが好ましい。通常0.1%以上、好ましくは0.5%以上である。また、通常30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。被覆率が小さすぎると、球形化黒鉛粒子(A)を非晶質炭素で被覆することで、球形化黒鉛粒子(A)の表面の余分な細孔を非晶質炭素で覆うことによる不可逆容量低減の効果や、非晶質炭素を被覆することで得られる急速充電性の効果が失われる傾向にある。被覆率が大きすぎると非晶質炭素の電気伝導性の低さの影響が強くなり、また、非晶質炭素自身のもつ不可逆容量の多さの影響も大きくなり、電池容量やサイクル特性の悪化を示すようになる。測定方法は実施例に記載の方法に従う。
負極材料(D)は,X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下Lcが900Å以上、タップ密度が0.8g/cm以上、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.2〜0.6の範囲にあることが好ましい負極材料(D)のタップ密度(測定法は後述の実施例のとおり)は0.8g/cm以上であることが好ましく、0.85g/cm以上であることがより好ましい。タップ密度が0.8g/cm未満であるということは負極材料(D)の原料である球形黒鉛質粒子(A)が充分な球形粒子となっていないことを示し、電極内での連続した空隙が充分確保されず、空隙に保持ざれた電解液内のLiイオンの移動性が落ちることで、急速充放電特性が低下してしまう。
本発明の電極用炭素材料に用いる負極材料(D)のラマンR値(測定法は後述の実施例のとおり)は0.25〜0.6の範囲にあることが好ましく、0.2〜0.5の範囲にある範囲であることがより好ましく、0.2〜0.4の範囲にある範囲であることが更に好ましい。本発明者らの検討では、電極用複層構造炭素材料のラマンR値0.2以下である負極材料(D)を用いた場合は、目的とする急速充放電特性に到達しないことが分かって
いる。負極材料(D)のラマンR値は、非晶質炭素を被覆する前の球形黒鉛質粒子(A)のラマンR値と、被覆非晶質炭素のラマンR値との影響を受ける。複層構造炭素材料である負極材料(D)のラマンR値が低いということは、被覆する前の球形黒鉛質粒子(A)のラマンR値が低いということで、黒鉛質炭素粒子の力学的エネルギー処理において粒子表面に充分なダメージを受けた球状化粒子となっていないことを表し、ダメージによる黒鉛質粒子表面の微細なクラックや欠損、構造欠陥などのLiイオンの受け入れもしくは放出の場所の量が少ないことでLiイオンの急速充放電性が悪くなる。また、負極材料(D)のラマンR値が0.6より大きいということは、球形化黒鉛質粒子(A)を被覆している非晶質炭素の量が多いことを表し、非晶質炭素量の持つ不可逆容量の大きさの影響が大きくなり、その結果電池容量が小さくなってしまう。
なお、X線広角回折法は、粒子全体の結晶性を表す指標として用いられ、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルは粒子の表面の性状を現す指標として利用されている。
また、負極材料(D)は、X線広角回折法(測定法は後述の実施例のとおり)による菱面体黒鉛層の配向に基づく101面の強度3R(101)と六方晶系黒鉛層の配向に基づく101面の強度2H(101)との比3R/2Hが0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることが更に好ましい。菱面体3Rとは黒鉛の網面構造の積み重なりが3層おきに繰り返される結晶形態で、六方晶体2Hとは黒鉛の網面構造の積み重なりが2層おきに繰り返される結晶形態である。両面体3Rの比率の多い結晶形態を示す黒鉛質粒子の場合、比率の少ない黒鉛粒子に比べLiイオンの受け入れ性が高い。
負極材料(D)のBET法による比表面積(測定法は後述の実施例のとおり)は0.5〜8m2/gの範囲であることが好ましく、1〜6m2/gの範囲であることがより好ましく、2〜5m2/gの範囲であることが更に好ましい。負極材料(D)の比表面積が、小さすぎるとLiイオンの受け入れ性が悪くなり、大き過ぎると不可逆容量が増加して電池容量の減少を来たす。
負極材料(D)の平均粒径は2〜30μmの範囲であることが好ましく、4〜20μmの範囲であることがより好ましく、6〜15μmの範囲であることがさらに好ましい。粒径が小さすぎると、比表面積が大きくなることでの不可逆容量の増加を来たし、大きすぎると電解液と球形化黒鉛粒子(A)の粒子との接触面瀬が減ることで、急速充放電性が悪くなる。
<非水電解液二次電池用負極>
本発明の方法により製造した負極材料(D)を用いて負極を作製するには、負極材料に結着樹脂を配合したものを水性若しくは、有機系媒体でスラリーとし、必要によりこれに増粘材を加えて集電体に塗布し、乾燥すればよい。
結着樹脂としては、非水電解液に対して安定で、かつ非水溶性のものを用いるのが好ましい。例えばスチレン、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド等の合成樹脂;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体やその水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン、スチレン共重合体、スチレン・イソプレン、スチレンブロック共重合体やその水素化物等の熱可塑性エラストマー;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニデンフルオライド、ポリペンタフルオロプロピレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素化高分子などを用いることができる。有機系媒体としては、例えばN−メチルピロリドンや、ジメチルホルムアミドを挙げることができる。
結着樹脂は負極材料100重量部に対して通常は0.1重量部以上、好ましくは0.2
重量部以上用いる。結着樹脂の割合が小さすぎると、負極材料相互間や負極材料と集電体との結着力が弱く、負極から負極材料が剥離して電池容量が減少したリサイクル特性が悪化したりする。逆に結着樹脂の割合が大きすぎると負極の容量が減少し、かつリチウムイオンの負極材料への出入が妨げられるなどの問題が生ずる。従って結着樹脂は負極材料100重量部に対して多くても10重量部、通常は7重量部以下となるように用いるのが好ましい。
スラリーに添加する増粘材としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース類やポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等を用いればよい。なかでも好ましいのはカルボキシメチルセルロースである。増粘材は負極材料100重量部に対して通常は0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7重量部となるように用いる。
負極集電体としては従来からこの用途に用い得ることが知られている銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素などを用いればよい。集電体の形状は通常はシート状であり、その表面に凹凸をつけたものや、ネット、パンチングメタルなどを用いるものも好ましい。
集電体に負極材料と結着樹脂のスラリーを塗布・乾燥したのちは、加圧して集電体上に形成された電極の密度を大きくし、もって負極層単位体積当たりの電池容量を大きくするのが好ましい。電極の密度は1.2〜1.8g/cmの範囲にあることが好ましく1.
3〜1.6g/cmであることがより好ましい。電極密度が小さすぎると、電極の厚み
が大きくなり、電池の中におさめることのできる量がへることで、電池の容量が小さくなってしまう。電極密度が大きすぎると、電極内の粒子間空隙が減少し、空隙に保持される電解液量が減り、Liイオンの移動性が小さくなり、急速充放電性が小さくなる。
<非水電解液二次電池>
本発明に係る非水電解液二次電池は、上記の負極を用いる以外は、常法に従って作成することができる。正極材料としては基本組成がLiCoO2で表されるリチウムコバルト
複合酸化物、LiNiO2で表されるリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO2やLiMn24で表されるリチウムマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物、二酸化マンガン等の遷移金属酸化物、及びこれらの複合酸化物混合物、さらにはTiS2、Fe
2、Nb34、Mo34、CoS2、V25、CrO3、V33、FeO2、GeO2、L
iNi0.33Mn0.33Co0.332等を用いればよい。これらの正極材料に結着樹脂を配合
したものを適当な溶媒でスラリー化して集電体に塗布・乾燥することにより正極を作製できる。なおスラリー中にはアセチレンブラックやケッチェンブラック等の導電材を含有させるのが好ましい。また所望により増粘材を含有させてもよい。増粘材や結着樹脂としてはこの用途に周知のもの、例えば負極の作成に用いるものとして例示したものを用いればよい。正極材料100重量部に対する配合比率は、導電剤は0.5〜20重量部、特に1〜15重量部が好ましく、増粘材は 0.2〜10重量部、特に0.5〜7重量部が好ましく、結着樹脂は水でスラリー化するときは0.2〜10重量部、特に0.5〜7重量部が好ましく、N−メチルピロリドンなどの結着樹脂を溶解する有機溶媒でスラリー化するときには0.5〜20重量部、特に1〜15重量部が好ましい。正極集電体としては、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタルなどやこれらの合金を用いればよい。なかでもアルミニウム、チタン、タンタルやその合金を用いるのが好ましく、アルミニウムないしはその合金を用いるのが最も好ましい。
電解液も従来周知の非水溶媒に種々のリチウム塩を溶解させたものを用いることができる。非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン
などの環状エステル、クラウンエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテルなどを用いればよい。通常はこれらをいくつか併用する。なかでも環状カーボネートと鎖状カーボネート、又はこれに更に他の溶媒を併用するのが好ましい。
またビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、無水コハク酸、無水マレイン酸、プロパンスルトン、ジエチルスルホン等の化合物やジフルオロリン酸リチウムのようなジフルオロリン酸塩等が添加されていても良い。更に、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていても良い。
非水溶媒に溶解させる電解質としては、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSOなどを用いればよい。電解液中の電解質の濃度は通常は0.5〜2モル/リットル、好ましくは0.6〜1.5モル/リットルである。
正極と負極との間に介在させるセパレーターには、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンの多孔性シートや不織布を用いるのが好ましく、更には、ポリエステル、ポリイミト゛、ポリエーテル等の多孔性シートや不織布を用いることもできる。
本発明に係る非水電解液二次電池は、負極/正極の容量比を1.01〜1.5に設計することが好ましく1.02〜1.4に設計することがより好ましい。容量比が小さすぎると、正極から負極にリチウムが充電される場合に、負極粒子表面にリチウムが析出する場合があり、リチウムの損失につながる。容量比が大きすぎると、充放電に使われない余分な負極を多く含むことになり、負極のコストアップにつながる傾向がある。
次に実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、本明細書における粒径、タップ密度、BET法比表面積、真密度、X線回折、複層構造炭素粉材料の被覆率、ラマンRなどの測定は次記により行った。
平均粒径;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの2(容量)%水溶液約1mlに、炭素粉末約20mgを加え、これをイオン交換水約200mlに分散させたものを、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製 LA−920)を用いて体積基準粒度分布を測定し、平均粒径(メジアン径)、10%積算部のd10粒径、90%積算部のd90粒径を求めた。測定条件は超音波分散1分間、超音波強度2、循環速度2、相対屈折率1.50である。
タップ密度;粉体密度測定器タップデンサーKYT−3000((株)セイシン企業社製)を用いて測定した。目開き300μmの篩から20cm3のタップセルに炭素粉末を落下させ、セルに満杯に充填したのち、ストローク長10mmのタップを1000回行って、そのときの密度をタップ密度とした。
BET法比表面積;Micromeritics社製 Gemini2360を用いて測定した。窒素流通下で、10分間350℃で予備乾燥し、更に5分間窒素ガスを流したのち、窒素ガス吸着によるBET6点法により測定した。
X線回折;炭素粉末に約15%のX線標準高純度シリコン粉末を加えて混合したものを材料とし、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を線源とし、反射式ディフラクトメーター法で広角X線回折曲線を測定し、学振法を用いて面間隔(d002)及び結晶子の大きさ(Lc)を求めた。また、Rhombohedral(菱面体晶) に
対するHexagonal(六方体晶)の結晶の存在比(3R/2H)は、X線構造解析
(XRD)から得られる、43.4°付近の3R(101)、及び44.5°付近の2H(101)の両ピークからバックグラウンドを差し引いた後、強度比3R(101)/2H(101)を求めることで算出した。
球形化黒鉛粒子(A)の球形化黒鉛質粒子の表面を非晶質炭素で被覆したことでなる複層構造炭素材料の非晶質炭素のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)とLcは、原料タールピッチを単独で(黒鉛粒子との混合なしで)所定温度にて焼成粉砕したものについて、上記方法で求めた。
複層構造炭素材料の被覆率;次式により求めた。
被覆率(重量%)=100−(K×D)/((K+T)×N)×100
この式において、Kは重質油との混合に供した球形黒鉛粒子の重量(Kg)、Tは球形黒鉛粒子との混合に供した被覆原料である重質油の重量(kg)、DはKとTの混合物のうち実際に焼成に供した混合物量、Nは焼成後の複層構造炭素材料の重量を示す。
ラマン測定;日本分光社製NR−1800を用い、波長514.5nmのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において、1580cm−1の付近のピークPAの強度IA、1360cm−1の範囲のピークPBの強度IBを測定し、その強度の比R=IB/IAを求めた。試料の調製にあたっては、粉末状態のものを自然落下によりセルに充填し、セル内のサンプル表面にレーザー光を照射しながら、セルをレーザー光と垂直な面内で回転させて測定を行った。
実施例1
(球形化黒鉛粒子(A)の作成)
天然に産出する黒鉛で、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.36ÅでLcが1000Å以上、タップ密度が0.46g/cm、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.13、平均粒径28.7μm、真密度2.27g/cmにある鱗片状黒鉛粒子を、(株)奈良機械製作所製社製ハイブリダイゼーションシステムを用いて、ローターの周速度60m/秒、5分の条件で20kg/hrの処理速度で鱗片状黒鉛粒子を連続的に処理することで、黒鉛粒子表面にダメージを与えながら球形化処理を行い、その後更に分級処理により微粉の除去を行った。得られた球形化黒鉛粒子(A)は、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.36ÅでLcが1000Å以上、Rhombohedral(菱面体晶) に対するHexagon
al(六方体晶)の結晶の存在比(3R/2H)は0.278、タップ密度が1.00g/cm、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.24、平均粒径16.6μm、BET法比表面積7.0m/g、真密度2.27g/cm、平均円形度が、0.958であった。
(球形化黒鉛粒子(A)と有機物(B)の混合)
次にこの球形化黒鉛粒子(A)100重量部と、有機化合物(B)として石油由来の重質油20重量部を内容積100Lの混合機に仕込み室温で10分間攪拌混合を行い、球形化黒鉛粒子と有機化合物として石油由来の重質油との混合物(C)を得た。
(混合物(C)の焼成)
この混合物(C)を、内寸120mm角で深さ85mmのステンレス製バットに高さ65mmまで投入した。この時の混合物(C)の重量は1000g、容積は936cmとなり、嵩密度は1.07g/cmとなった。次いで、バット中の混合物(C)を5cm角で高さ10cm角のステンレス製角柱で押し込み、更に混合物(C)を加えステンレス製角柱で押し込むことを4回繰り返し、ステンレス製バット中の混合物(C)の高さを6
5mmとした。この時のステンレス製バット中の圧縮後の混合物の重量は1600gであり密度は1.71g/cmであった。混合物の圧縮度は、圧縮した後の混合物(C)の密度1.71g/cmを未圧縮時の嵩密度1.07g/cmで割ることで求められ、この実施例1では1.6倍の圧縮となった。
次いで、圧縮した混合物(C)の入ったテンレス製バットを、焼成炉にセットし、窒素ガスを流通しながら室温から720℃まで120分かけて昇温し、720℃で40分保持し、その後60℃まで冷却し、1段目の焼成品を得た。
1段目焼成品を黒鉛性るつぼに入れ替え、1段目の焼成炉とは別の焼成炉にセットし、窒素ガスを流通しながら室温から1300℃まで40分かけて昇温し、1300℃で40分保持し、その後40℃まで冷却し、2段目の焼成品を得た。
(焼成後混合物(C)の粉砕)
2段目焼成品を、コロプレックスミルを使用し2500rpmで粉砕し、45μm目開きの篩で分級したと。この時の篩収率は99%であった。
こうして得られた、複層構造球形化炭素材料である非水電解液二次電池用負極材料(D)の物性を表1に記す。
(初期可逆容量、不可逆容量測定用電池の作製)
上記非水電解液二次電池用負極材料(D)100重量部に、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液100重量部、及びをスチレンブタジエンゴムの50%水分散液2重量部を加えて混練し、スラリーとした。銅箔上にこのスラリーをドクターブレード法で目付け11.8mg/cmに塗布した。110℃で乾燥したのちロールプレスにより密度を1.63g/cmとした。これを12.5mmφに切り出し、190℃で減圧乾燥して負極とした。
この負極と14φに打ち抜いた厚み0.5mmのリチウム箔と電解液を含浸させたセパレーターを介して重ねて、充放電試験用の電池を作製した。電解液としてはエチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート=2:3:4(重量比)混合液に、LiPF6を1.2モル/リットルとなるように溶解させたものを用いた。
(初期可逆容量、不可逆容量の測定)
上記、初期可逆容量、不可逆容量測定用電池を用いて、先ず350mAh(非水電解液二次電池用負極材料1g当に換算した容量)まで0.04C(25hrで充電)で充電後、0.08C(12.5hrで放電)で1500mVまで放電した(1サイクル目)。次いで0.04C(25hrで充電)で5mVまで充電し、充電電流が002mAになるまで更に充電を続けた(CM3CV充電)後、0.08C(12.5hrで放電)で1500mVまで放電するサイクルを2度繰りかえした(2サイクル目、3サイクル目)。この1サイクル目から3サイクル目までのそれぞれの充電容量から放電容量を引いた値の3サイクル合計値を不可逆容量とし、3サイクル目の放電容量を可逆容量とし、水電解液二次電池用負極材料1g当たりに換算した値で、表1に示す。
(急速充放電評価用電池の作製)
上記非水電解液二次電池用負極材料100重量部に、カルボキシメチルセルロースの1%水溶液100重量部、及びをスチレンブタジエンゴムの50%水分散液2重量部を加えて混練し、スラリーとした。銅箔上にこのスラリーをドクターブレード法で目付け12.0mg/cm2に塗布した。110℃で乾燥したのちロールプレスにより密度を1.63g/cmとした。これを32mm×22mm角に切り出し、190℃で減圧乾燥して負極とした。
リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体85重量部に、カーボンブラック10重量部、ポリビニレデンフルオロライド12%N−メチルピロリドン溶液41.7重
量部、及び適量のN−メチルピロリドンを加え混練し、スラリーとした。アルミニウム箔にこのスラリーをドクターブレード法で目付け24.3mg/cmに塗布した。110℃で乾燥し、更に正極層の密度が2.6g/cmとなるようにロールプレスを行った。これを30mm×20mm角に切り出し、140℃で乾燥して正極とした。
上記の負極と正極とを電解液を含浸させたセパレーターを介して重ねて、充放電試験用の電池を作製した。電解液としてはエチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート=3:5:2(重量比)混合液にビニレンカーボネートを2%添加し、LiPF6を1.2モル/リットルとなるように溶解させたものを用いた。
この電池に、先ず0.2C(5hrで充電)で4.1Vまで充電し、さらに4.1Vで0.1mAとなるまで充電したのち、0.2C(5hrで放電)で3.0Vまで放電、次いで、0.2Cで4.2Vまで充電し、さらに4.2Vで0.1mAとなるまで充電したのち、0.2Cで3.0Vまで放電を2回繰り返し、初期調整とした。
(急速放電性評価)
それぞれ充電は、0.1C(10hrで充電)で4.2Vまで充電し更に4.2Vで2hr充電したのち(0.2CM3CM3V)、0.2C(5hrで放電)、1C(1hrで放電),2C(0.5hrで放電、3C(0.33hrで放電)で3.0Vまでの放電試験を実施し、0.1C(10hrで放電)の放電容量に対する各レートでの放電容量を%で表した結果を表1に記した。
(急速充電性評価)
急速放電性評価の後、急速充電性評価を実施した。0.2C(5hrで充電)で4.2Vまで充電し更に4.2Vで2hr充電(0.2CM3CM3V)、及び0.2C(5hrで充電)、1C(1hrで充電)、2C(0.5hrで充電)、3C(0.33hrで充電)で4.2Vまでの充電試験を実施し、0.2C(5hrで充電)で4.2Vまで充電し更に4.2Vで2hr充電(0.2CM3CM3V)した時の充電容量に対する各充電試験での充電容量を%で表した結果を表1に記した。なお、それぞれの充電の後、0.2Cで3.0Vまでの放電を行っている。
(サイクル特性評価)
上記電池で、1Cで4.2Vまで充電、0.5Cで3・0Vまでの放電を繰り返し、1サイクル目の放電容量に対する200サイクル、300サイクル、500サイクル目の放電容量をそれぞれ200サイクル、300サイクル維持率、500サイクル維持率として%で表し、表1に記した。
比較例1
実施例1と同じ方法で得られた混合物(C)を、内寸120mm角で深さ85mmのステンレス製バットに高さ65mmまで投入した。この時の混合物(C)の重量は1000g、容積は936cmとなり、嵩密度は1.07g/cmとなった。
この混合物(C)圧縮しないで(圧縮度1)そのまま用いた以外は、実施例1と同様に実施し、結果を表−1に記す。
Figure 0005724199
本発明による製造方法で得られた非水電解液二次電池用伝教材料を電極として用いた非水電解液二次電池は、低不可逆容量で、急速充放電特性と高サイクル特性を併せ持つ優れた特性を示すものである。

Claims (4)

  1. 平均粒径が3〜50μm、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、Lcが900Å以上、タップ密度が0.8g/cm以上、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.15〜0.5である球形化黒鉛粒子(A)と、200℃以下の条件下において液状である有機化合物(B)とを混合した球形化黒鉛粒子混合物(C)を焼成して、球形化黒鉛粒子(A)の表面を非晶質炭素で被覆した負極材料(D)を製造する方法において、嵩密度が0.3g/cm〜2g/cmである混合物(C)を嵩密度に対して1.05倍〜3倍に圧縮した後、400℃以上で焼成することを特徴とする非水電解液二次電池用負極材料の製造方法。
  2. 有機化合物(B)が重質油、タール、ピッチ類のからなる群より選ばれる少なくとも1種類である請求項1に記載の非水電解液二次電池用負極材料の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法で製造された非水電解液二次電池用負極材料及び結着樹脂を含有する負極層を集電体上に有する非水電解液二次電池用負極。
  4. 請求項に記載の負極、リチウムイオンを吸蔵放出できる正極及び非水電解液からなる非水電解液二次電池。
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