JP2007197695A - スチレン系樹脂組成物の製造方法および成形品 - Google Patents

スチレン系樹脂組成物の製造方法および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、優れた規則性を有し、かつその構造を微細に制御することにより、優れた機械特性、耐熱性、流動性ならびに塗装性、メッキ性を有する成形材料として有用なスチレン系樹脂組成物を得る製造方法を提供することを課題とするものである。
【解決手段】(A)スチレン系樹脂、(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むスチレン系樹脂組成物を溶融混練により製造する方法であって、少なくとも1ヵ所以上もしくは一時的に樹脂圧力が2.0MPa以上となる領域もしくは時間が存在する条件下で溶融混練することを特徴とするスチレン系樹脂組成物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ナノメーターオーダーからミクロンオーダーに構造制御可能なスチレン系樹脂組成物の溶融混練による製造方法に関する。また優れた機械特性を活かして構造材料や、優れた規則性を活かして機能材料として有用に用いることができるスチレン系樹脂組成物に関する。
スチレン系樹脂は優れた機械的性質、成形加工性、外観によって電気・電子機器、自動車、機械部品、雑貨、その他各種用途など広範な分野で使用されている。しかしながら、スチレン系樹脂は耐衝撃性、耐熱性に劣るため、耐衝撃性を改善するためにはゴム等の柔軟成分の添加、耐熱性を改善するためにはガラス転移温度の高い樹脂や結晶性樹脂の添加などポリマーアロイ化する方法や、ガラス繊維や鉱物などの充填剤を添加する方法が多数検討されている。
しかしながらスチレン系樹脂へゴム成分、他樹脂および充填剤などを添加し溶融混練する際には、両者の相溶性、分散性、さらには条件によって熱劣化などによりスチレン系樹脂の特性を大きく低下させるなどの問題点があった。
これらの問題を解決する手法として、ゴム成分を高含有する粉末状熱可塑性樹脂を、L/Dが7.8〜16、スクリュー圧縮比が1.4〜2である単軸押出機を用いて、押出機先端部とダイ入り口の圧力差が0.3Pa以下、ダイ部直前の樹脂温度120〜160℃、樹脂圧力を1.0〜3.0MPaでストランドを押出し造粒体とする製造方法(特許文献1)が開示されている。しかしながら該製造方法を本願ポリマーアロイへ転用した場合、単軸押出機であり、L/Dが小さいため均一な溶融混練が困難であり、得られるポリマーの相構造を制御する事ができなかった。
また有機化クレイとポリマーとを充満領域での換算樹脂圧力が一定範囲内であり、かつ総剪断量および/または単位面積あたりの総剪断エネルギーが一定範囲となる条件下で溶融混練を行う方法(特許文献2)が開示されている。しかしながら該製造方法も本願ポリマーアロイへ転用した場合、高剪断、高樹脂圧力により発熱し、本願ポリマーでは熱劣化により機械特性を大きく低下させてしまうため、さらなる改良が望まれた。
次にポリマーアロイ化する際には、両ポリマーと相溶性を有する相溶化剤の添加が多数検討されている。例えばシンジオタクチックポリスチレン系樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂に、芳香族ビニル単量体、カーボネート単量体、アクリル単量体の2種以上から構成されるブロックまたはグラフト共重合体を相溶化剤として添加する方法(特許文献3)が開示されている。しかしながら該公報記載の発明により得られる樹脂組成物は、押出機などによる溶融混練や溶融ブレンドの後、射出成形、ブロー成形するなどの一般的な方法で製造されるため、スチレン系樹脂との相溶性改良は十分ではなく、さらに規則的な構造周期を形成せず、靭性向上に十分な効果が得られていないのが現状である。
またスピノーダル分解によって相分離せしめた、2成分以上の樹脂からなるポリマーアロイであり、周期構造が0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離が0.01〜1μmの分散構造とする方法(特許文献4)が開示されている。しかしながら該公報記載のポリマーアロイは、溶融混練後、特殊なプレス成形によって該構造物を得たものであり、この組成物を単純に射出成形等の一般的な成形方法で成形すると、成形を経る間に構造周期が大きくなりすぎ優れた物性が得られず、また安定して上記相構造を得ることができなかった。
特開2003−136526号公報(第2頁) 米国特許第6472460号公報 特開2004−210916号公報(第2−3頁) 特開2003−286414号公報(第2頁、第15−17頁)
本発明は、上記課題を解決し、優れた規則性を有し、かつその構造を微細に制御することにより、優れた機械特性、耐熱性、流動性、ならびに塗装性、メッキ性を有する成形材料として有用なスチレン系樹脂組成物を得る製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、(A)スチレン系樹脂、(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むスチレン系樹脂組成物を溶融混練により製造する方法であって、少なくとも1ヵ所以上もしくは一時的に樹脂圧力が2.0MPa以上となる領域もしくは時間が存在する条件下で溶融混練することにより、上記課題を解決することを見出し本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、
(1)(A)スチレン系樹脂、(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むスチレン系樹脂組成物を溶融混練により製造する方法であって、少なくとも1ヵ所以上もしくは一時的に樹脂圧力が2.0MPa以上となる領域もしくは時間が存在する条件下で溶融混練することを特徴とするスチレン系樹脂組成物の製造方法、
(2)前記樹脂圧力が、2.0〜10.0MPaであることを特徴とする上記(1)記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法、
(3)前記溶融混練を、バレル長さ対バレル直径の比(以下L/Dと略す)が18〜200である二軸混練押出機で行うことを特徴とする上記(1)または(2)記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法、
(4)前記溶融混練時の剪断下では相溶し、吐出後の非剪断下で相分離することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法、
(5)スチレン系樹脂組成物の構造周期が、0.001〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの分散構造となることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法、
(6)(A)スチレン系樹脂が炭素数1〜4のアルキル基により置換されたスチレン系単量体単位を含むことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法、
(7)(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂が(b)ポリカーボネート樹脂である上記(1)〜(6)のいずれか記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法、
(8)上記(b)ポリカーボネート樹脂が、(b1)2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと(b2)2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)プロパンから選ばれた少なくとも一種の2官能フェノール系化合物を共重合してなる芳香族共重合ポリカーボネートを含む上記(7)記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法、
(9)(A)スチレン系樹脂、(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むスチレン系樹脂組成物に、さらに(c1)変性スチレン系重合体および(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体を含むことを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法、
(10)(c1)変性スチレン系重合体が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、およびオキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有するビニル系単量体単位を含むことを特徴とする上記(9)記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法、
(11)(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体が、ポリカーボネート樹脂セグメントとビニル系重合体セグメントを含むことを特徴とする上記(9)記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法、および
(12)上記(1)〜(11)のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法によって得られるスチレン系樹脂組成物からなる成形品、
である。
本発明により、優れた規則性を有し、かつその構造を微細に制御することにより、優れた機械特性、耐熱性、流動性、ならびに塗装性、メッキ性を有する成形品が得られ、一般的な成形材料として実用性の高いスチレン系樹脂組成物の製造方法を得ることができた。
以下に本発明のスチレン系樹脂組成物の製造方法について具体的に説明する。
本発明で用いる(A)スチレン系樹脂としては、少なくとも1種のスチレン系単量体が重合された樹脂が使用できる。具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ゴム変性スチレン系樹脂、およびゴム変性スチレン系樹脂とポリフェニレンオキシドとのポリマーブレンド体(変性ポリフェニレンオキシド樹脂)などが挙げられる。
ゴム変性スチレン系樹脂としては、通常ゴム状重合体の存在下に、スチレン、αメチルスチレン等のスチレン系単量体および必要に応じこれと共重合可能なビニル単量体を加えた単量体混合物を、例えば塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、沈殿重合または乳化重合等の方法により重合または共重合(以下「(共)重合」と称する場合もある)することにより得られるものであり、スチレン系単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体にグラフトした構造をとったもの、スチレン系単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラフトした構造をとったものが使用できる。
このようなゴム変性スチレン系樹脂の具体例としては、例えば、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体)およびAES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)などが挙げられる。
具体的には、ゴム質重合体5〜80重量%に対し、スチレン系単量体、およびその他の共重合可能なビニル系単量体からなる単量体混合物95〜20重量%をグラフト重合して得られるグラフト(共)重合体5〜100重量部と、スチレン系単量体、およびその他の共重合可能なビニル系単量体からなる単量体混合物を重合して得られるスチレン系(共)重合体0〜95重量部とからなるものが好適である。
上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適であり、具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポリイソプレン、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−脂肪酸ビニル共重合体、およびエチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまたはブタジエン共重合体の使用が好ましい。
スチレン系単量体の具体例としては、スチレンが好ましく使用されるが、溶融混練時の剪断下での自由体積減少による相溶性向上の観点から、炭素数1〜4のアルキル基により置換されたスチレン系単量体の1種以上を好ましく含むことができる。炭素数1〜4のアルキル基により置換されたスチレン系単量体としては、例えばα−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特にα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレンが好ましく使用される。
スチレン系単量体以外の単量体としては、一層の耐衝撃性、耐薬品性、メッキ性向上を目的とする場合にはシアン化ビニル系単量体が、また靭性および色調の向上を目的とする場合には(メタ)アクリル酸エステル系単量体が、それぞれ好ましく用いられる。
シアン化ビニル系単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、必要に応じて他のビニル系単量体、例えばビニルトルエンなど、スチレン系単量体以外の芳香族ビニル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、およびN−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体などを使用することもできる。
上記のグラフト(共)重合体において用いる単量体または単量体混合物は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、スチレン系単量体が5〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜80重量%である。シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、樹脂組成物の成形加工性の観点から、1〜50重量%であることが好ましく、特に40重量%以下が好ましく用いられる。特にメッキ密着性が必要な場合には、25〜40重量%の範囲にすることで、メッキ処理時のキャタリスト工程での触媒吸着能力を向上させることができるために、好ましく用いられる。また(メタ)アクリル酸エステル系単量体を混合する場合には、靱性および耐衝撃性の観点から、80重量%以下であることが好ましく、特に75重量%以下が好ましく用いられる。単量体また単量体混合物における芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の配合量の総和は、95〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは90〜30重量%である。
グラフト(共)重合体を得る際のゴム質重合体と単量体混合物との配合割合は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、全グラフト(共)重合体100重量%中に、ゴム質重合体が5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上である。また、樹脂組成物の耐衝撃性および成形品の外観の観点からは、80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは70重量%以下である。また、単量体または単量体混合物の配合割合は、95重量%以下であることが好ましく、より好ましくは90重量%以下、あるいは20重量%以上であることが好ましく、より好ましくは30重量%以上である。
グラフト(共)重合体は、公知の重合法で得ることができる。例えば、ゴム質重合体ラテックスの存在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤に溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に供給して乳化重合する方法などによって得ることができる。
グラフト(共)重合体は、ゴム質重合体に単量体または単量体混合物がグラフトした構造をとったグラフト(共)重合体の他に、グラフトしていない(共)重合体を含有したものである。グラフト(共)重合体のグラフト率は特に制限がないが、耐衝撃性および光沢が均衡してすぐれる樹脂組成物を得るためには、20〜80%、特に25〜50%の範囲であることが好ましい。ここで、グラフト率は次式により算出される値である。
グラフト率(%)=[<ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有量>]×100
グラフトしていない(共)重合体の特性は特に制限されないが、メチルエチルケトン可溶分の極限粘度[η](30℃で測定)が、0.25〜1.00dl/g、特に0.25〜0.80dl/gの範囲であることが、すぐれた耐衝撃性の樹脂組成物を得るために好ましい条件である。
スチレン系(共)重合体はスチレン系単量体を必須とする共重合体である。スチレン系単量体の具体例としては、スチレンが好ましく使用されるが、溶融混練時の剪断下での自由体積減少による相溶性向上の観点から、炭素数1〜4のアルキル基により置換されたスチレン系単量体の1種以上を好ましく含むことができる。炭素数1〜4のアルキル基により置換されたスチレン系単量体としては、例えばα−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特にα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレンが好ましく使用される。
芳香族ビニル系単量体以外の単量体としては、一層の耐衝撃性、耐薬品性、メッキ性向上を目的とする場合にはシアン化ビニル系単量体が、また靭性および色調の向上を目的とする場合には(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく用いられる。
シアン化ビニル系単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく使用される。(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましく使用される。
また、必要に応じて使用されるこれらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、ビニルトルエンなど、スチレン系単量体以外の芳香族ビニル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体が挙げられる。
本発明において、マレイミド系単量体を共重合したスチレン系共重合体、即ち、マレイミド基変性スチレン系共重合体は、ポリスチレン系樹脂中に含有させて使用することにより、樹脂組成物の耐熱性を向上でき、さらに難燃性も特異的に向上できるため、好ましく使用することができる。
スチレン系(共)重合体の構成成分であるスチレン系単量体の割合は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、全単量体に対し5〜90重量%が好ましく、より好ましくは10〜80重量%の範囲である。シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、耐衝撃性、流動性の観点から、1〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは40重量%以下の範囲である。特にメッキ密着性が必要な場合には、25〜40重量%の範囲にすることで、メッキ処理時のキャタリスト工程での触媒吸着能力を向上させることができるために、好ましく用いられる。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を混合する場合には、靭性、耐衝撃性の観点から、80重量%以下が好ましく、さらに好ましくは75重量%以下の範囲である。更に、これらと共重合可能な他のビニル系単量体を混合する場合には、60重量%以下が好ましく、特に50重量%以下の範囲が好ましい。
スチレン系(共)重合体の特性には制限はないが、メチルエチルケトン溶媒を用いて、30℃で測定した極限粘度[η]が、0.25〜5.00dl/g、特に0.35〜3.00dl/gの範囲のものが、すぐれた耐衝撃性および成形加工性を有する樹脂組成物が得られることから好ましい。
スチレン系(共)重合体の製造法には特に制限がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状−懸濁重合法および溶液−塊状重合法など通常の方法を用いることができる。
本発明の(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂と溶融混練可能な熱可塑性樹脂であれば特に制限はなく、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、四フッ化ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリチオエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラストマ、ポリアルキレンオキサイド、あるいはカルボキシル基等を含有するオレフィン系共重合体等の樹脂等を挙げることができるが、好ましくはポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、中でも耐衝撃性、耐熱性改良の観点からポリカーボネート樹脂を含む事が最も効果的である。
上記ポリカーボネート樹脂としては芳香族ホモポリカーボネートと芳香族コポリカーボネートより選ぶことができる。製造方法としては、2官能フェノール系化合物に苛性アルカリ及び溶剤の存在下でホスゲンを吹き込むホスゲン法、あるいは二官能フェノール系化合物と炭酸ジエチルとを触媒の存在下でエステル交換させるエステル交換法を挙げることができる。該芳香族ポリカーボネートは粘度平均分子量が1万〜10万の範囲が好適である。ここで、上記2官能フェノール系化合物は、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等であるが、溶融混練時の剪断下での自由体積減少による相溶性向上の観点から、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)プロパンを含むことが好ましい。本発明において、2官能フェノール系化合物は、単独で用いてもよいし、あるいはそれらを併用してもよい。
(A)スチレン系樹脂とポリカーボネート樹脂とを溶融混練する場合、両者の溶融粘度差を小さくする、(a2)シアン化ビニル含有量を低減する、および上記2官能フェノール系化合物併用による共重合ポリカーボネートを使用するなどにより、本発明の樹脂圧力範囲内で容易に所望の相構造に制御することが可能である。さらにあらかじめ後述する樹脂組成および温度に対する相図を作成する事で容易に構造制御範囲を知ることが可能となる。
また(A)スチレン系樹脂とポリカーボネート樹脂とをアロイ化する場合、(A)スチレン系樹脂と(b)ポリカーボネート樹脂の合計を100重量%として、(b)ポリカーボネート樹脂が20〜70重量%の範囲が好ましく用いられ、さらには25〜60重量%の範囲がより好ましく、特に30〜50重量%の範囲であれば、両相連続構造が比較的得られやすく、さらに機械特性、流動性、塗装性、メッキ性を有する材料が得られる。従来ポリカーボネート樹脂がリッチ成分とならなければ、衝撃強度は低いものであったが、本発明よりポリカーボネート樹脂が30重量%でも高衝撃化できるため、ポリカーボネート樹脂がリッチ成分である組成に対して、流動性、耐薬品性、メッキ性を飛躍的に向上させることができる。
ポリエステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル、もしくはエステル形成誘導体と、ジオールとを、公知の方法により縮合させて得られるものが挙げられ、芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステル、液晶ポリエステルなどが使用できる。ここで、上記芳香族ジカルボン酸としては、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸などが挙げられ、これらのエステル形成誘導体も、ポリエステル樹脂の製造に用いることができる。上記ジオールの例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2〜6個の炭素原子を有するポリメチレングリコール、または1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAおよびこれらエステル形成誘導体が挙げられる。
ポリエステル樹脂の好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリビスフェノールAイソフタレートなどが挙げられる。上記ポリエステル樹脂は、o−クロロフェノール溶媒中における25℃での極限粘度(〔η〕25℃、o−クロロフェノール、単位dl/g)が0.4〜2のものが好ましく、さらに好ましくは0.6〜1.5のものである。
(A)スチレン系樹脂とポリエステル樹脂とを溶融混練する場合、両者の分子量を下げることにより相溶領域が拡大し、本発明の樹脂圧力範囲内で容易に所望の相構造を得ることができる。
ポリアミド樹脂としては、通常、ジアミンとジカルボン酸との縮合によって製造されるものや、ラクタムの開環重合によって製造されるものなどが使用できる。これらのポリアミド樹脂の好ましい例としては、ナイロン6,6、ナイロン6,9、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン4,6などが挙げられる。また、ナイロン6/6,6、ナイロン6/6,10、ナイロン6/12、ナイロン6/6,12、ナイロン6/6,6/6,10、ナイロン6/6,6/12などの共重合ポリアミド類も使用できる。さらに、ナイロン6/6,T(T;テレフタル酸成分)、テレフタル酸、イソフタル酸のような芳香族ジカルボン酸とメタキシリレンジアミン、あるいは脂環族ジアミンから得られる半芳香族ポリアミド類、ポリエステルアミドなどを用いることもできる。上記ポリアミド樹脂は、90%ギ酸溶媒中、濃度1g/100cc、温度25℃で測定した相対粘度〔ηrel 〕が1.0〜4.0のものが好ましく、さらに好ましくは1.5〜3.5のものである。以上のポリアミド樹脂は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
(A)スチレン系樹脂とポリアミド樹脂とを溶融混練する場合、スチレン系樹脂中のシアン化ビニル含有量を増加させることにより、両者のSP(溶解度パラメーター)値を近似させるなどの方法により相溶領域が拡大し、本発明の樹脂圧力範囲内で容易に所望の相構造を得ることができる。
本発明でのスチレン系樹脂組成物を構成する樹脂成分の組成については特に制限がないが、(A)スチレン系樹脂と(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂の合計100重量%に対して、通常(A)スチレン系樹脂が10〜95重量%の範囲が好ましく用いられ、さらには15〜85重量%の範囲がより好ましく、特に20〜80重量%の範囲であれば両相連続構造が比較的得られやすいので好ましく用いられる。
本発明の(A)スチレン系樹脂と(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むスチレン系樹脂組成物は一般に、溶融混練押出機により製造されるが、樹脂圧力が低く剪断量が少ないため、得られる組成物はマイクロオーダーの不規則な相構造を有し、優れた特性が得られなかった。そこで上述特異的な相構造を安定して形成するためには、少なくとも1ヵ所以上もしくは一時的に樹脂圧力が2.0MPa以上となる領域もしくは時間が存在する条件下で溶融混練する必要がある。押出機を用いて溶融混練する際には、通常最も樹脂圧力が高くなる箇所、例えば逆フルフライトやニーディングブロックによる樹脂滞留箇所で樹脂圧力が2.0MPa以上となるようにすることが好ましい。
本発明の製造方法における樹脂圧力とは、溶融混練装置に取り付けた樹脂圧力計で測定した値であり、ゲージ圧を樹脂圧力とする。
樹脂圧力が2.0MPa以上であれば機械的性能が許す限り特に制限はないが、好ましくは2.0〜10.0MPaの範囲で用いられ、さらには2.0〜7.0MPaの範囲がより好ましく、特に2.0〜5.0MPaの範囲であれば、両相連続構造がより安定して得られやすく、樹脂の劣化が小さいため好ましく用いられる。
溶融混練時の樹脂圧力を調整する方法としては、特に制限はないが、例えば(イ)溶融混練温度の低下による樹脂粘度の向上、(ロ)目的の樹脂圧力になるような分子量のポリマーを選択する、(ハ)逆フルフライト、ニーディングブロック導入などのスクリューアレンジ変更による樹脂滞留、(ニ)バレル内のポリマー充満率を上げる、(ホ)スクリュー回転数を上げる、(へ)任意の添加剤を混合することによる樹脂粘度の向上、(ト)炭酸ガス導入などの超臨界状態などが挙げられる。
上記樹脂圧力は、例えば、押出機を用いて溶融混練する際には、フルフライト部、ニーディングブロック部、吐出口手前部など任意のバレル部分に設けられた樹脂圧力計のゲージ圧で示される値である。本発明では、(A)スチレン系樹脂と(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を溶融混練する際に少なくとも1カ所以上樹脂圧力が2.0MPa以上となる領域が存在すればよい。溶融混練装置の中で逆フルフライトやニーディングブロックによる樹脂滞留箇所が樹脂圧力が高くなる傾向があるため、これらの樹脂滞留箇所における樹脂圧力を測定し、樹脂圧力が2.0MPa以上となるような条件で溶融混練すればよい。また、本発明では、溶融混練する際に一時的に樹脂圧力が2.0MPa以上となる時間が存在すればよい。ここで、樹脂圧力が2.0MPa以上となる時間は1秒以上であることが好ましく、逆フルフライトやニーディングブロックによる樹脂滞留箇所に樹脂が1秒以上滞留することで、一時的に樹脂圧力が2.0MPa以上になる時間が存在することになる。樹脂圧力が2.0MPa以上になる時間は、さらに好ましくは、5秒から5分程度である。
上記バレル内のポリマー充満率とは、バレル内にポリマーが充填されている割合をいい、同一スクリュー回転数であれば、吐出量を増すことにより、充満率を上げることができる。充満率はポリマーがベントアップ(水分や残存モノマーを脱気するために設けた減圧口に樹脂が上がること)しない範囲で高くすることが、樹脂圧力調整、および生産効率の点から好ましい。また充満率が低い場合には、樹脂圧力調整が困難となるばかりか、過剰な熱履歴により樹脂劣化するため好ましくない。
また上記スクリュー回転数は、一般的に溶融混練できる範囲であれば特に制限はないが、20〜2000rpmの範囲とすることができる。好ましくは30〜1800rpmの範囲であり、さらに好ましくは40〜1600rpmの範囲であり、特に50〜1500rpmの範囲とすることが好ましい。回転数が20rpm未満では、本発明の樹脂圧力調整が困難となり、所望の相構造が得られないため好ましくない。また回転数が2000rpmを超えると、過剰な剪断による発熱などにより樹脂が劣化するばかりか、溶融混練機への負荷が大きくなりすぎるため好ましくない。
本発明で用いる溶融混練機のバレル長さ対バレル直径の比(L/D)は、一般的に樹脂の加熱、可塑化、溶融混練を行う上で、18〜200の範囲で用いることが好ましく、さらに好ましくは19〜150の範囲で用いられ、特に20〜100の範囲で用いることが好ましい。L/Dが18以上の溶融混練機を使用することで、樹脂を十分溶融させることができ、好ましい構造制御が可能となる。さらに、溶融混練機への負荷を適度におさえることができる。またL/Dが200以下の溶融混練機を使用することで、樹脂に過剰な熱履歴を与えることを防ぐことができ、樹脂が劣化を押さえることができる。さらに、溶融混練機への負荷を適度に制御することもできる。さらに、溶融混練機のL/Dが18以上のものを使用することで、樹脂組成物の微分散化、相溶化の促進が期待できる。
さらに用いるスクリューのアレンジメントは、少なくとも1ヵ所以上に、逆フルフライトやニーディングブロックによる樹脂滞留箇所を設けることにより、容易に樹脂圧力が2.0MPa以上となり、所望の相構造が得られるため好ましい。
本発明のスチレン系樹脂組成物を溶融混練する際は、樹脂温度の上昇に留意する必要がある。過剰な剪断による樹脂圧力上昇は、樹脂の焼けや熱劣化が生じるため樹脂温度が150〜300℃の範囲となるように、バレル温度を設定することが好ましい。樹脂温度が150℃未満では、樹脂が十分溶融するに至らない場合や、樹脂粘度が高くなりすぎるために、所望の構造制御が困難であるばかりか、溶融混練機への負荷が大きくなりすぎるために好ましくない。また樹脂温度が300℃を超えると、樹脂の溶融には十分であるが、過剰な熱履歴により樹脂が劣化するばかりか、本発明の樹脂圧力に制御することが困難となるため好ましくない。
本発明のスチレン系樹脂組成物を溶融混練する際は、樹脂圧力が2.0MPa以上、好ましくは2.0〜10.0MPaの範囲となるように、バレル温度、スクリュー回転数、原料供給速度(充満率)、樹脂温度とのバランスを見ながら調整することにより製造することが好ましい。
本発明のスチレン系樹脂組成物を溶融混練により製造する際は、溶融混練時の剪断下で一旦相溶解し、吐出後の非剪断下で後述のスピノーダル分解によって相分離することによって構造形成せしめることが好ましい。
本発明では、スチレン系樹脂組成物が構造周期0.001〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの分散構造を有するものとすることができ、優れた機械特性、流動性、および塗装性、メッキ性を発現する。
かかる構造周期または粒子間距離をもつ樹脂組成物を得るためには、(A)スチレン系樹脂、(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂とが、後述の部分相溶系や、剪断場依存型相溶解・相分解する系や、反応誘発型相分解する系であることが好ましい。
一般に、2成分の樹脂からなるポリマーアロイには、これらの組成に対して、ガラス転移温度以上、熱分解温度以下の実用的な全領域において相溶する相溶系や、逆に全領域で非相溶となる非相溶系や、ある領域で相溶し、別の領域で相分離状態となる、部分相溶系があり、さらにこの部分相溶系では、その相分離状態の条件によってスピノーダル分解によって相分離する場合と、核生成と成長によって相分離する場合がある。
さらに3成分以上からなるポリマーアロイの場合は、3成分以上のいずれもが相溶する系、3成分以上のいずれもが非相溶である系、2成分以上のある相溶した相と、残りの1成分以上の相が非相溶な系、2成分が部分相溶系で、残りの成分がこの2成分からなる部分相溶系に分配される系などがある。本発明で好ましい3成分以上からなるポリマーアロイは、2成分が部分相溶系で、残りの成分がこの2成分からなる部分相溶系に分配される系であり、この場合ポリマーアロイの構造は、2成分からなる部分相溶系の構造で代替できることから、以下2成分の樹脂からなるポリマーアロイで代表して説明する。
スピノーダル分解による相分離とは、異なる2成分の樹脂組成および温度に対する相図においてスピノーダル曲線の内側の不安定状態で生じる相分離のことを指し、また核生成と成長による相分離とは、該相図においてバイノーダル曲線の内側であり、かつスピノーダル曲線の外側の準安定状態で生じる相分離のことを指す。
かかるスピノーダル曲線とは、組成および温度に対して、異なる2成分の樹脂を混合した場合、相溶した場合の自由エネルギーと相溶しない2相における自由エネルギーの合計との差(ΔGmix)を濃度(φ)で二回偏微分したもの(∂2ΔGmix/∂φ2)が0となる曲線のことであり、またスピノーダル曲線の内側では、∂2ΔGmix/∂φ2<0の不安定状態であり、外側では∂2ΔGmix/∂φ2>0である。
またかかるバイノーダル曲線とは、組成および温度に対して、系が相溶する領域と相分離する領域の境界の曲線のことである。
ここで本発明における相溶する場合とは、分子レベルで均一に混合している状態のことであり、具体的には異なる2成分の樹脂を主成分とする相がいずれも0.001μm以上の相構造を形成していない場合を指し、また、非相溶の場合とは、相溶状態でない場合のことであり、すなわち異なる2成分の樹脂を主成分とする相が互いに0.001μm以上の相構造を形成している状態のことを指す。相溶するか否かは、例えばPolymer Alloys and Blends, Leszek A Utracki, hanserPublishers,Munich Viema New York,P64,に記載の様に、電子顕微鏡、示差走査熱量計(DSC)、その他種々の方法によって判断することができる。
詳細な理論によると、スピノーダル分解では、一旦相溶領域の温度で均一に相溶した混合系の温度を、不安定領域の温度まで急速にした場合、系は共存組成に向けて急速に相分離を開始する。その際濃度は一定の波長に単色化され、構造周期(Λm)で両分離相が共に連続して規則正しく絡み合った両相連続構造を形成する。この両相連続構造形成後、その構造周期を一定に保ったまま、両相の濃度差のみが増大する過程をスピノーダル分解の初期過程と呼ぶ。
さらに上述のスピノーダル分解の初期過程における構造周期(Λm)は熱力学的に下式のような関係がある。
Λm〜[│Ts−T│/Ts]−1/2(ここでTsはスピノーダル曲線上の温度)
スピノーダル分解では、この様な初期過程を経た後、波長の増大と濃度差の増大が同時に生じる中期過程、濃度差が共存組成に達した後、波長の増大が自己相似的に生じる後期過程を経て、最終的には巨視的な2相に分離するまで進行するが、本発明で規定する構造を得るには、この最終的に巨視的な2相に分離する前の所望の構造周期に到達した段階で構造を固定すればよい。
また中期過程から後期過程にかける波長の増大過程において、組成や界面張力の影響によっては、片方の相の連続性が途切れ、上述の両相連続構造から分散構造に変化する場合もある。この場合には所望の粒子間距離に到達した段階で構造を固定すればよい。
本発明でいう、両相連続構造とは、混合する樹脂の両成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造を指す。この両相連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)に記載されている。
また、本発明にいう分散構造とは、片方の樹脂成分が主成分であるマトリックスの中に、もう片方の樹脂成分が主成分である粒子が点在している、いわゆる海島構造のことをさす。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、構造周期0.001〜1μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの範囲の分散構造に構造制御されたものを得ることができる。より優れた機械特性を得るためには、構造周期0.01〜0.5μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.01〜0.5μmの範囲の分散構造に制御することが好ましく、さらには、構造周期0.01〜0.4μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.01〜0.4μmの範囲の分散構造に制御することがより好ましく、極めて優れた特性を得るためには構造周期0.01〜0.3μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.01〜0.3μmの範囲の分散構造に制御することが最も好ましい。かかる構造周期の範囲、および粒子間距離の範囲に制御することにより本発明効果である優れた機械特性、耐熱性、流動性を有する構造物を効果的に得ることができる。
一方、上述の準安定領域での相分離である核生成と成長では、その初期から海島構造である分散構造が形成されてしまい、それが成長するため、本発明の様な規則正しく並んだ構造周期0.001〜1μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの範囲の分散構造を形成させることは困難である。
またこれらのスピノーダル分解による両相連続構造、もしくは分散構造を確認するためには、規則的な周期構造が確認されることが重要である。これは例えば、光学顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察により、両相連続構造が形成されることの確認に加えて、光散乱装置や小角X線散乱装置を用いて行う散乱測定において、散乱極大が現れることの確認が必要である。なお、光散乱装置、小角X線散乱装置は最適測定領域が異なるため、構造周期または粒子間距離の大きさに応じて適宜選択して用いられる。この散乱測定における散乱極大の存在は、ある周期を持った規則正しい相分離構造を持つ証明であり、その周期Λmは、両相連続構造の場合構造周期に対応し、分散構造の場合粒子間距離に対応する。またその値は、散乱光の散乱体内での波長λ、散乱極大を与える散乱角θmを用いて次式により計算することができる。
Λm =(λ/2)/sin(θm/2)
上記スピノーダル分解を実現させるためには、スチレン系樹脂とスチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を相溶状態とした後、スピノーダル曲線の内側の不安定状態とすることが必要である。
まずこの2成分以上からなる樹脂で相溶状態を実現する方法としては、共通溶媒に溶解後、この溶液から噴霧乾燥、凍結乾燥、非溶媒物質中の凝固、溶媒蒸発によるフィルム生成等の方法により得られる溶媒キャスト法や、部分相溶系を、相溶条件下で溶融混練による溶融混練法が挙げられる。中でも溶媒を用いないドライプロセスである溶融混練による相溶化が、実用上好ましく用いられる。
溶融混練により相溶化させるには、通常の押出機が用いられるが、2軸押出機を用いることが好ましい。また、樹脂の組合わせによっては射出成形機の可塑化工程で相溶化できる場合もある。相溶化のための温度は、部分相溶系の樹脂が相溶する条件である必要がある。
次に上記溶融混練により相溶状態とした樹脂組成物をスピノーダル曲線の内側の不安定状態として、スピノーダル分解せしめるに際し、不安定状態とするための温度、その他の条件は、樹脂の組み合わせによっても異なり一概にはいえないが、相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより設定することができる。
スピノーダル分解による構造生成物を固定化する方法としては、急冷等による短時間で相分離相の一方または両方の成分の構造固定や、一方が熱硬化する成分である場合、熱硬化性成分の相が反応によって自由に運動できなくなることを利用した構造固定や、さらに一方が結晶性樹脂である場合、結晶性樹脂相を結晶化によって自由に運動できなくなることを利用した構造固定が挙げられる。
本発明において(A)スチレン系樹脂と(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂とを上記スピノーダル分解により相分離させて本発明のスチレン系樹脂組成物とするには、前述したようにスチレン系樹脂と部分相溶系や、剪断場依存型相溶解・相分解する系や、反応誘発型相分解する系である樹脂を組み合わせることが好ましい。
一般に部分相溶系には、同一組成において低温側で相溶しやすくなる低温相溶型相図を有するものや、逆に高温側で相溶しやすくなる高温相溶型相図を有するものが知られている。この低温相溶型相図における相溶と非相溶の分岐温度で最も低い温度を、下限臨界共溶温度(lower critical solution temperature略してLCST)と呼び、高温相溶型相図における相溶と非相溶の分岐温度で最も高い温度を、上限臨界共溶温度(upper critical solution temperature略してUCST)と呼ぶ。
部分相溶系を用いて相溶状態となった2成分以上の樹脂は、低温相溶型相図の場合、LCST以上の温度かつスピノーダル曲線の内側の温度にすることで、また高温相溶型相図の場合、UCST以下の温度かつスピノーダル曲線の内側の温度にすることでスピノーダル分解を行わせることができる。
またこの部分相溶系によるスピノーダル分解の他に、非相溶系においても溶融混練によってスピノーダル分解を誘発すること、例えば溶融混練時等の剪断下で一旦相溶し、非剪断下で再度不安定状態となり相分解するいわゆる剪断場依存型相溶解・相分解によってもスピノーダル分解による相分離が可能であり、この場合においても、部分相溶系の場合と同じくスピノーダル分解様式で分解が進行し規則的な両相連続構造を有する。さらにこの剪断場依存型相溶解・相分解は、スピノーダル曲線が剪断場により変化し、不安定状態領域が拡大するため、スピノーダル曲線が変化しない部分相溶系の温度変化による方法に比べて、その同じ温度変化幅においても実質的な過冷却度(│Ts−T│)が大きくなり、その結果、上述の関係式におけるスピノーダル分解の初期過程における構造周期を小さくすることが容易となるためより好ましく用いられる。かかる溶融混練時の剪断下により相溶化させるには、通常の押出機が用いられるが、2軸押出機を用いることが好ましい。また、樹脂の組合わせによっては射出成形機の可塑化工程で相溶化できる場合もある。この場合における相溶化のための温度、初期過程を形成させるための熱処理温度、および初期過程から構造発展させる熱処理温度や、その他の条件は、樹脂の組み合わせによっても異なり一概にはいえないが、種々の剪断条件下での相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより条件を設定することができる。また上記射出成形機の可塑化工程での相溶化を確実に実現させる方法として、予め2軸押出機で溶融混練し相溶化させ、吐出後氷水中などで急冷し相溶化状態で構造を固定させたものを用いて射出成形する方法などが好ましい例として挙げられる。
また、本発明を構成するスチレン系樹脂組成物に、さらにポリマーアロイを構成する成分を含むブロックコポリマーやグラフトコポリマーやランダムコポリマーなどのコポリマーである第3成分を添加することは、相分解した相間における界面の自由エネルギーを低下させるため、両相連続構造における構造周期や、分散構造における分散粒子間距離の制御を容易にするため好ましく用いられる。この場合通常、かかるコポリマーなどの第3成分は、それを除く2成分の樹脂からなるポリマーアロイの各相に分配されるため、2成分の樹脂からなるポリマーアロイ同様に取り扱うことができる。
さらに本発明のスチレン系樹脂組成物は、前記のとおり相分解した相間における界面の自由エネルギーを低下させ、両相連続構造における構造周期や、分散構造における分散粒子間距離の制御を容易にするため、(c1)変性スチレン系重合体および(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体を好ましく併用添加することができる。
(c1)変性スチレン系重合体とは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基およびオキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有するビニル系単量体単位を含んでなるスチレン系重合体(以下、(c1)変性スチレン系重合体と略称する。)を用いることができる。
この(c1)変性スチレン系重合体としては、スチレン系単量体を含む一種または二種以上のビニル系単量体を重合または共重合して得られる構造を有し、かつ分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基およびオキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有する重合体である。これらの官能基を含有する化合物の含有量については制限されないが、特に変性スチレン系重合体100重量%として0.01〜20重量%の範囲であることが好ましい。
(c1)変性スチレン系重合体中にカルボキシル基を導入する方法には特に制限はないが、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸、フタル酸およびイタコン酸などのカルボキシル基または無水カルボキシル基を有するビニル系単量体を所定のビニル系単量体と共重合する方法、γ,γ’−アゾビス(γ−シアノバレイン酸)、α,α’−アゾビス(α−シアノエチル)−p−安息香酸および過酸化サクシン酸などのカルボキシル基を有する重合開始剤および/またはチオグリコール酸、α−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプト−イソ酪酸および2,3または4−メルカプト安息香酸などのカルボキシル基を有する重合度調節剤を用いて、所定のビニル系単量体を(共)重合する方法、およびメタクリル酸メチルやアクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体と所定のビニル系単量体、必要に応じてシアン化ビニル系単量体との共重合体をアルカリによってケン化する方法などを用いることができる。
上記ヒドロキシル基を導入する方法についても特に制限はないが、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、メタクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、シス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、4,4−ジヒドロキシ−2−ブテンなどのヒドロキシル基を有するビニル系単量体を、所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
上記エポキシ基を導入する方法についても特に制限はないが、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルおよびp−グリシジルスチレンなどのエポキシ基を有するビニル系単量体を、所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
中でも、メタクリル酸グリシジルを共重合させることによりエポキシ基を導入したエポキシ変性スチレン系重合体は、スチレン系樹脂組成物中に含有させて使用した場合、本発明の樹脂組成物の衝撃強度を向上させるため好ましく用いることができる。
上記アミノ基を導入する方法についても特に制限はないが、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレンなどのアミノ基およびその誘導体を有するビニル系単量体を、所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
上記オキサゾリン基を導入する方法についても特に制限はないが、例えば2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどのオキサゾリン基を有するビニル系単量体を所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
(c1)変性スチレン系重合体の特性には制限はないが、メチルエチルケトン溶媒を用いて、30℃で測定した極限粘度[η]が、0.25〜5.00dl/g、特に0.35〜3.00dl/gの範囲のものが、すぐれた耐衝撃性および成形加工性を有する樹脂組成物が得られることから好ましい。
(c1)変性スチレン系重合体の製造法には特に制限がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状−懸濁重合法および溶液−塊状重合法など通常の方法を用いることができる。
さらに本発明で用いる(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体とは、ポリカーボネート樹脂セグメントとビニル系重合体セグメントからなるものが好ましく、ポリカーボネート樹脂セグメントが連続相を形成し、ビニル系重合体セグメントが分散相となる多相構造を有するグラフト重合体(以下(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体と略す)が好ましい。
この(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体中のポリカーボネート樹脂セグメントを形成するポリカーボネート樹脂とは、前記(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂として例示した(b)ポリカーボネート樹脂全てが使用可能である。
また(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体中のビニル系重合体セグメントを形成するビニル系重合体とは、前記(A)スチレン系樹脂、および(c1)変性スチレン系重合体で例示したビニル系単量体全てが使用可能である。
(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体の製造方法は、ポリカーボネート系樹脂の水性懸濁液にビニル系単量体、ラジカル共重合性有機過酸化物およびラジカル重合開始剤を加え、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こらない条件下で加熱し、前記ビニル系単量体、ラジカル共重合性有機過酸化物およびラジカル重合開始剤をポリカーボネート系樹脂に含浸せしめ、次いでこの水性懸濁液の温度を上昇させ、ビニル系単量体とラジカル共重合性有機過酸化物とを、ポリカーボネート系樹脂中で共重合して生成したグラフト化前駆体を100〜350℃で溶融混合して(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体を得ることができる。
このような(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体としては、例えばポリカーボネート樹脂にスチレンとアクリロニトリルからなる単量体混合物をグラフト重合して得られるPC−g−SAN(ポリカーボネート−グラフト−スチレン/アクリロニトリル共重合体、例えば日本油脂株式会社製「モディパー CH430」)、ポリカーボネート樹脂にスチレン単量体をグラフト重合して得られるPC−g−PS(ポリカーボネート−グラフト−ポリスチレン、例えば日本油脂株式会社製「モディパー CL130D」)、ポリカーボネート樹脂にスチレンとアクリロニトリル、および官能基変性ビニルからなる単量体混合物をグラフト重合して得られるPC−g−mSAN(ポリカーボネート−グラフト−変性スチレン/アクリロニトリル共重合体、例えば日本油脂株式会社製「モディパー CL440G」)などを挙げることができる。
(c1)変性スチレン系重合体および(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体を併用添加することにより、相分解した相間における界面の自由エネルギーを低下させるため、両相連続構造における構造周期や、分散構造における分散粒子間距離の制御を容易にすることができ、樹脂組成物の機械特性などを向上させることができる。
(c1)変性スチレン系重合体および(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体の添加量は(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲が好ましい。さらに好ましくは0.5〜35重量部の範囲であり、特に好ましい範囲としては1〜30重量部の範囲にある場合である。添加量を0.2重量部以上使用することで、相溶化剤としての効果を発揮することができ、構造周期や粒子間距離の制御が可能となる。また添加量を40重量部以下とすることで、樹脂組成物の流動性、滞留安定性を維持することができるため好ましい。
また(c1)変性スチレン系重合体、(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体の添加比率は(c1):(c2)=99:1〜1:99(重量比)の範囲で用いられる。好ましくは99:1〜10:90(重量比)の範囲であり、特に好ましい範囲としては99:1〜20:80(重量比)の範囲にある場合である。これらの範囲とすることで、相溶化剤としてのすぐれた効果をえることができ、構造周期や粒子間距離の制御が可能となるため好ましい。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、上述の製造方法により、構造周期0.001〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの分散構造という特異的な相構造を、実用的な溶融混練よって安定的に得ることができ、スチレン系樹脂の優れた機械特性、流動性、および塗装性、メッキ性を発現することができる。
さらに本発明においては、強度及び寸法安定性等を向上させるため、必要に応じて充填材を用いてもよい。充填材の形状としては繊維状であっても非繊維状であってもよく、繊維状の充填材と非繊維状充填材を組み合わせて用いてもよい。かかる充填材としては、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素などの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状および/または非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
強度及び寸法安定性等を向上させるため、かかる充填材を用いる場合、その配合量は特に制限はないが、通常(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して0.1〜200重量部配合される。
本発明のスチレン系樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、ポリオレフィン系化合物、シリコーン系化合物、長鎖脂肪族エステル系化合物、長鎖脂肪族アミド系化合物、などの離型剤、防食剤、着色防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウムなどの滑剤、紫外線防止剤、着色剤、発泡剤などの通常の添加剤を添加することができる。
これらの添加剤は、本発明のスチレン系樹脂組成物を溶融混練する任意の段階で配合することが可能であり、例えば、少なくとも2成分の樹脂を配合する際に同時に添加する方法や、予め2成分の樹脂を溶融混練した後に添加する方法や、始めに片方の樹脂に添加し溶融混練後、残りの樹脂を配合する方法が挙げられる。
本発明から得られるスチレン系樹脂組成物の成形方法は、任意の方法が可能であり、成形形状は、任意の形状が可能である。成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形などを挙げることができるが、中でも射出成形は射出後、金型内で熱処理と構造固定化が同時にできることから好ましく、またフィルムおよび/またはシート押出成形であれば、フィルムおよび/またはシート延伸時に熱処理し、その後の巻き取り前の自然冷却時に構造固定ができることから好ましい。もちろん上記成形品を別途熱処理し構造形成させることも可能である。
本発明におけるスチレン系樹脂組成物は、優れた機械特性、流動性をいかして、構造材料として有用に用いることができ、例えば電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類、雑貨などに好適に使用することができる。
本発明のスチレン系樹脂組成物の成形体は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電機部品キャビネット、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスク、DVDなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、携帯電話関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、エアフローメーター、エアポンプ、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、サーモスタットハウジング、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、エンジンマウント、イグニッションホビン、イグニッションケース、クラッチボビン、センサーハウジング、アイドルスピードコントロールバルブ、バキュームスイッチングバルブ、ECUハウジング、バキュームポンプケース、インヒビタースイッチ、回転センサー、加速度センサー、ディストリビューターキャップ、コイルベース、ABS用アクチュエーターケース、ラジエータタンクのトップ及びボトム、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、オイルキャップ、オイルパン、オイルフィルター、フューエルキャップ、フューエルストレーナー、ディストリビューターキャップ、ベーパーキャニスターハウジング、エアクリーナーハウジング、タイミングベルトカバー、ブレーキブ−スター部品、各種ケース、燃料関係・排気系・吸気系等の各種チューブ、各種タンク、燃料関係・排気系・吸気系等の各種ホース、各種クリップ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、各種パイプ、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、ブレーキパッド摩耗センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコンパネルスイッチ基板、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ステップモーターローター、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、トルクコントロールレバー、スタータースイッチ、スターターリレー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、デュストリビューター、サンバイザーブラケット、各種モーターハウジング、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアミラーステー、ホーンターミナル、ウィンドウォッシャーノズル、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、ラジエターグリル、グリルエプロンカバーフレーム、ランプリフレクター、ランプソケット、ランプハウジング、ランプベゼル、ドアハンドルなどの自動車外装材、センターコンソール、インストルメントパネル、インパネコア、インパネパッド、グローブボックス、ハンドルコラム、アームレスト、レバーパーキング、フロントピラートリム、ドアトリム、ピラートリム、コンソールボックスなどの自動車内装材、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクター、ヒューズ用コネクターなどの各種コネクターなどの自動車部品;パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ファックス、コピー、ワープロ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フレキシブルディスクドライブなどの記憶装置のハウジング、シャーシ、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビンなどの電気・電子機器部品、機械部品、その他各種用途に有用である。
本発明をさらに具体的に説明するために、以下、実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
[参考例1] (A)スチレン系樹脂
<A−1>グラフト(共)重合体
以下にグラフト共重合体の調製方法を示す。なおグラフト率は次の方法で求めたものである。グラフト共重合体の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この溶液を8000rpm(遠心力10,000G(約100×103m/s2))30分遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定した。
グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]×100
ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
上記アセトン溶液の濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、析出物(アセトン可溶分)を得た。この可溶分を、70℃で5時間減圧乾燥後、0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて極限粘度を測定した。また得られたグラフト共重合体中の各単量体単位の含有率について、30μm程度のフィルム状の試料をプレス成形により作成し、FT−IR分析より得られるピーク強度比から測定した。
<A−1−1>
ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子径0.3μm)50部(固形分換算)の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物50部を加えて乳化重合した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固した後、洗浄、乾燥してパウダー状として得た。
得られたグラフト共重合体のグラフト率は42%、メチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.37dl/g、各単量体単位の含有率は、ブタジエン単位50重量%、スチレン単位35重量%、アクリロニトリル単位15重量%であった。
<A−1−2>
ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子径0.2μm)50部(固形分換算)の存在下でメタクリル酸メチル70%、スチレン25%、アクリロニトリル5%からなる単量体混合物50部を加えて乳化重合した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固した後、洗浄、乾燥してパウダー状として得た。
得られたグラフト共重合体のグラフト率は45%、メチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.30dl/g、各単量体単位の含有率は、ブタジエン単位50重量%、メタクリル酸メチル単位35重量%、スチレン単位12重量%、アクリロニトリル単位3重量%であった。
<A−2>ビニル系共重合体の調製
以下にビニル系共重合体の調製方法を示す。なお得られたポリマーを、70℃で5時間減圧乾燥後、0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて極限粘度を測定した。また得られたビニル系共重合体中の各単量体単位の含有率について、30μm程度のフィルム状の試料をプレス成形により作成し、FT−IR分析より得られるピーク強度比から測定した。
<A−2−1>
スチレン−アクリロニトリル共重合体“トヨラック”1050B(東レ(株)製)を使用した。メチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.39dl/g、各単量体単位の含有率は、スチレン単位76重量%、アクリロニトリル単位24重量%であった。
<A−2−2>
スチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体を調製した。得られたビニル系共重合体のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.53dl/g、各単量体単位の含有率は、スチレン単位70重量%、アクリロニトリル単位30重量%であった。
<A−2−3>
スチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体を調製した。得られたビニル系共重合体のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.98dl/g、各単量体単位の含有率は、スチレン単位70重量%、アクリロニトリル単位30重量%であった。
<A−2−4>
スチレン40%、アクリロニトリル30%、α−メチルスチレン30%からなる単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体を調製した。得られたビニル系共重合体のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.52dl/g、各単量体単位の含有率は、スチレン単位40重量%、アクリロニトリル単位30重量%、α−メチルスチレン単位30重量%であった。
<A−2−5>
スチレン65%、アクリロニトリル35%からなる単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体を調製した。得られたビニル系共重合体のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.54dl/g、各単量体単位の含有率は、スチレン単位65重量%、アクリロニトリル単位35重量%であった。
[参考例2] (B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂
<B−1>芳香族ポリカーボネート“ユーピロン”S3000(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)を使用した。
<B−2>芳香族ポリカーボネート“ユーピロン”S2000(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)を使用した。
<B−3>芳香族ポリカーボネート“ユーピロン”E2000(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)を使用した。
<B−4>2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン24.3%、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン30.6%、およびジフェニルカーボネート45.1%とを撹拌槽に仕込み窒素置換後150℃で溶融した。ここにテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび水酸化ナトリウムを添加し150℃で1時間撹拌により反応を行った。次いで220℃まで昇温した後、27kPa(200mmHg)まで減圧して1時間撹拌、さらに温度を250℃まで昇温した後、2kPa(15mmHg)まで減圧し1時間撹拌により反応を進行させた。得られた反応物を遠心薄膜型蒸発装置に送入し反応を進行させた後、横型撹拌重合装置へ送入し290℃で30分滞留により重合を完結させた。横型撹拌装置よりダイを通してストランド状とし、カッターにてペレット化した共重合芳香族ポリカーボネートを使用した。
[参考例3]
(c1)変性スチレン系重合体
以下に変性ビニル系重合体の調製方法を示す。なお得られたポリマーを、70℃で5時間減圧乾燥後、0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて極限粘度を測定した。また得られた変性ビニル系重合体中の各単量体単位の含有率について、30μm程度のフィルム状の試料をプレス成形により作成し、FT−IR分析より得られるピーク強度比から測定した。
<c1−1>スチレン69.7%、アクリロニトリル30%、グリシジルメタクリレート0.3%からなる単量体混合物を懸濁重合して変性ビニル系共重合体を調製した。得られた変性ビニル系共重合体のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.53dl/g、各単量体単位の含有率は、スチレン単位69.7重量%、アクリロニトリル単位30重量%、グリシジルメタクリレート単位0.3重量%であった。
(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体
<c2−1>ポリカーボネート−グラフト−スチレン/アクリロニトリル共重合体(PC−g−SAN)“モディパーCH430”(日本油脂(株)製)を使用した。
[実施例1〜15、比較例1〜2]
表1、表2記載の実施例および比較例の組成からなる原料を、L/D=45.5の2軸スクリュー押出機(日本製鋼社製TEX30α)に供給し、回転数=300rpm、原料供給速度=25kg/hrの条件下で、樹脂圧力を3.0MPa近傍となるよう、バレル温度を各々変更し、加熱、可塑化、溶融混練を経てダイから吐出後のガットをすぐに氷水中にて急冷し、構造を固定したのちペレット状のポリマーを製造した。なお表中の樹脂温度は吐出直後のポリマー温度を熱電対により測定したものであり、樹脂圧力は押出機バレルのニーディング部分に設けられた樹脂圧力計のゲージ圧で示される値である。
得られたペレット状のポリマーを用い、射出成形機(住友重機社製、プロマット40/25)により、射出圧を下限圧+1MPaでそれぞれの試験片を成形し、次の条件で物性を測定した。
[耐衝撃性]:ASTM D256−56Aに従い耐衝撃性を評価した。6本測定した平均の値とする。
[引張弾性率]:ASTM D638に従い引張弾性率を評価した。
[引張強さ]:ASTM D638に従い引張強さを評価した。
[引張伸び]:ASTM D638に従い引張伸びを評価した。
[耐熱性]:ASTM D648(荷重:1.82MPa)に従い耐熱性を評価した。
[流動性]:スパイラルフロー(断面形状:幅10mm×厚み2mm)の流動長(スパイラルフロー長)を、シリンダー温度240℃、金型温度60℃、射出圧力50MPaで測定した。
[メッキ膜の密着強度]:下記15)電気メッキ(光沢銅メッキ)まで施した角板を80℃で2時間ベーキング後、1時間放冷した後、メッキ膜を10mm巾で長さ20mmにわたってT剥離する際の力量(Kg)を測定することによって評価した。
[メッキのサーマルサイクル性テスト]:下記19)電気メッキ(クロムメッキ)まで施した角板を90℃(1hr)→室温(15min)→−35℃(1hr)→室温(15min)を1サイクルとして3サイクル実施し、メッキ表面に異常(フクレ、ハガレ、クラック)の有無を観察して評価した。
(メッキ条件)
金型温度60℃で成形した80mm×80mm×3mm厚の角板成形品を下記条件でメッキ処理を行った。
1)脱脂試験片を“エースクリーンA−220”(奥野製薬工業(株)製)を用い55℃×4分間浸漬。
2)水洗
3)エッチング98重量%硫酸を用い60℃×10分間浸漬。
4)水洗
5)酸処理5重量%塩酸を用い30℃×2分間浸漬。
6)水洗
7)キャタリスト濃塩酸150ml、キャタリストC50ml(奥野製薬工業(株)製)および水1000mlからなる溶液に20℃×2分間浸漬。
8)水洗
9)アクセレーター10重量%硫酸を用い40℃×3分間浸漬。
10)水洗
11)無電解銅メッキOPC−750(奥野製薬工業(株)製)を用い30℃×8分間浸漬。
12)水洗
13)活性化5重量%の硫酸を用い30秒間浸漬。
14)水洗
15)電気メッキ(光沢銅メッキ)テストピースを濃硫酸50g、硫酸銅(5水和物)200g、SCB−MU10ml、SCB−I1ml(奥野製薬工業(株)製)および水1000mlからなる酸性銅メッキ浴中におき、温度20〜25℃、電流密度4A/dmの条件下で、厚み約30μmの銅メッキ膜を形成。
16)水洗
17)電気メッキ(光沢ニッケルメッキ)ホウ酸40g、塩化ニッケル・(6水和物)50g、硫酸ニッケル(7水和物)300g、モノライト1ml(奥野製薬工業(株)製)、アクナB−I20ml(奥野製薬工業(株)製)および水1000mlからなるメッキ浴中で、温度50℃、電流密度5A/dm2 の条件下で、厚み約15μmのニッケルメッキ膜を形成。
18)水洗
19)電気メッキ(クロムメッキ)濃硫酸5g、酸化クロム250gおよび水1000mlからなるメッキ浴中で温度45℃、電流密度20A/dm2 の条件下で、厚み約0、2μmのクロムメッキ膜を形成。
さらに上記ペレット状のポリマー、および射出成形により得られた成形品から厚み100μmの切片を切り出したサンプルについて、ヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて5万倍に拡大して観察を行った。
また上記ペレット状のポリマー、および射出成形により得られた成形品から厚み100μmの切片を切り出したサンプルについて、両相連続構造の場合の構造周期または分散構造の場合の粒子間距離を小角X線散乱(0.4μ未満の構造周期または粒子間距離の場合)もしくは光散乱(0.4μ以上の構造周期または粒子間距離の場合)にて測定した。いずれのサンプルもピークが観察され、該ピーク位置(θm)から下式で計算した、構造周期または粒子間距離(Λm)を求めた。
Λm =(λ/2)/sin(θm/2)
各サンプルの透過型電子顕微鏡写真から構造の状態、小角X線散乱もしくは光散乱から構造周期または粒子間距離、さらには耐衝撃性、引張特性、耐熱性、流動性およびメッキ性の測定結果を表1、表2に示す。
Figure 2007197695
Figure 2007197695
実施例1〜15より、本発明のとおり(A)スチレン系樹脂、(b)ポリカーボネート系樹脂の種類、および添加比率を変更した場合においても、樹脂圧力2.0MPa以上で溶融混練する事により、1μm以下の両相連続構造および分散構造である微細な相構造を実用的な射出成形において安定して得ることができ、機械特性、耐熱性、流動性を改良する事ができた。特に実施例7に記載の<A−2−4>α−メチルスチレン単位を有するスチレン系樹脂、および実施例11に記載の<B−4>共重合芳香族ポリカーボネートを使用した場合には、溶融混練時の剪断下での自由体積減少により相溶性が向上し、所望の相構造が得られやすく、顕著な特性向上がみられた。さらに実施例3、4、15に記載の<A−1−1>グラフト重合体を増量した場合、および実施例8、14、15に記載の<A−2−5>アクリロニトリル含有量の高いビニル系共重合体を用いた場合、機械特性を維持したまま、メッキ性を向上させることができた。
対して比較例1、2のように、溶融混練時の樹脂圧力が2.0MPa以下の場合、得られたペレット状のポリマー、および成形品は所望の相構造が得られず、機械特性は低いものとなった。
[実施例16〜27、比較例3〜5]
表3、表4記載の実施例16〜25、比較例3〜5の組成からなる原料を、L/D=45.5の2軸スクリュー押出機(日本製鋼社製TEX30α)に供給し、表中の条件にて加熱、可塑化、溶融混練を経てダイから吐出後のガットをすぐに氷水中にて急冷し、構造を固定したのちペレット状のポリマーを製造した。また実施例26、27の組成からなる原料を、L/D=28の2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、表中の条件にて加熱、可塑化、溶融混練を経てダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定したのちペレット状のポリマーを製造した。なお表中の樹脂温度は吐出直後のポリマー温度を熱電対により測定したものであり、樹脂圧力は押出機バレルのニーディング部分に設けられた樹脂圧力計のゲージ圧で示される値である。
その後、上記と同様に射出成形を行い、各サンプルの透過型電子顕微鏡写真から構造の状態、小角X線散乱もしくは光散乱から構造周期または粒子間距離、さらには耐衝撃性、引張特性、耐熱性、流動性およびメッキ性の測定結果を表3、表4に示す。
Figure 2007197695
Figure 2007197695
実施例16〜22より、(A)スチレン系樹脂、(b)ポリカーボネート系樹脂からなるスチレン系樹脂組成物に、さらに(c1)変性スチレン系重合体および(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体を添加し、樹脂圧力を2.0MPa以上で溶融混練する事により、実施例1〜15と比較すると、さらに安定して1μm以下の両相連続構造である微細な相構造を実用的な射出成形において得ることができ、機械特性、流動性、メッキ性を改良する事ができた。特に実施例20に記載のとおり、樹脂圧力を上げることにより、相構造がさらに微細化し、耐衝撃性、引張り伸びが顕著に向上する。
さらに実施例26、27より、L/Dの小さい溶融混練機を用いた場合には、相溶化に必要な反応時間が短くなるため、若干特性が低下する傾向が見られるが、1μm以下の両相連続構造および分散構造である微細な相構造を安定して得ることができ、機械特性、流動性を改良する事ができる。
また実施例13〜15、25から、高衝撃化のために必要なポリカーボネート樹脂が30重量部と少ない場合でも、樹脂圧力を2.0MPa以上で溶融混練する事により、両相連続構造の微細な構造が得られ、ポリカーボネート樹脂50重量部添加している比較例1と同等の耐衝撃性を発現しながら、流動性、メッキ性を飛躍的に向上できる。
対して比較例3〜5のように、スチレン系樹脂組成物に、さらに(c1)変性スチレン系重合体および(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体を添加しても、溶融混練時の樹脂圧力が2.0MPa以下の場合、得られたペレット状のポリマー、および成形品は所望の相構造が得られず、機械特性は大幅に低下した。特に耐衝撃性、引張り伸びなどの靱性の低下が顕著であった。
電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類、雑貨など種々の用途に用いることができる。

Claims (12)

  1. (A)スチレン系樹脂、(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むスチレン系樹脂組成物を溶融混練により製造する方法であって、少なくとも1ヵ所以上もしくは一時的に樹脂圧力が2.0MPa以上となる領域もしくは時間が存在する条件下で溶融混練することを特徴とするスチレン系樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記樹脂圧力が、2.0〜10.0MPaであることを特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記溶融混練を、バレル長さ対バレル直径の比(以下L/Dと略す)が18〜200である二軸混練押出機で行うことを特徴とする請求項1または2記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記溶融混練時の剪断下では相溶し、吐出後の非剪断下で相分離することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
  5. スチレン系樹脂組成物の構造周期が、0.001〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの分散構造となることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
  6. (A)スチレン系樹脂が炭素数1〜4のアルキル基により置換されたスチレン系単量体単位を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
  7. (B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂が(b)ポリカーボネート樹脂である請求項1〜6のいずれか1項記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
  8. 上記(b)ポリカーボネート樹脂が、(b1)2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと(b2)2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)プロパンから選ばれた少なくとも一種の2官能フェノール系化合物を共重合してなる芳香族共重合ポリカーボネートを含む請求項7記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
  9. (A)スチレン系樹脂、(B)スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むスチレン系樹脂組成物に、さらに(c1)変性スチレン系重合体および(c2)ポリカーボネート系グラフト重合体を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
  10. (c1)変性スチレン系重合体が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、およびオキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有するビニル系単量体単位を含むことを特徴とする請求項9記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
  11. (c2)ポリカーボネート系グラフト重合体が、ポリカーボネート樹脂セグメントとビニル系重合体セグメントを含むことを特徴とする請求項9記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物の製造方法によって得られるスチレン系樹脂組成物からなる成形品。
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