JP4172220B2 - ポリマーアロイおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた機械特性を活かして構造材料や、優れた規則性を活かして機能材料として有用に用いることができる、ナノメーターオーダーからミクロンオーダーに構造制御可能なポリマーアロイに関する。
【0002】
【従来の技術】
2種以上の樹脂を一旦、1相状態に相溶後、相分離させることによって得られるポリマーアロイとしては、核生成と成長からなるもの、およびスピノーダル分解からなるものが知られている。
【0003】
特開平3−20333号公報には、衝撃性の改良を主目的に2種の樹脂を相溶後スピノーダル分解させることにより両相連続構造を有するポリマーアロイの製法が記載されている。上記公報は分散相が1μmより小さい場合に靭性向上をはかり得ることを教示しているが、同公報には、同公報記載のポリマーアロイの分散径は全く開示されていない。本発明者らの検討によれば、同公報記載の方法では、分散径を小さく制御することが困難であった。したがってより衝撃強度を改良するために、より微細に構造制御する方法が要望されていた。
【0004】
また特開平8−113829号公報には、特定の温度域で互いに相溶する部分相溶系のポリマーブレンドを相溶状態で溶融紡糸した繊維を、その後熱処理等でスピノーダル分解あるいは核生成と成長により相分解させ、繊維横断面中に0.001〜0.4μmの分散構造を形成させたポリマーブレンド繊維が記載されている。しかしながら同法は、溶融紡糸における伸張流動場を経て該構造を形成させるという特殊な方法を採用して微分散構造を得るに至ったものであり、形状が固定されるため、使用可能な範囲が限られており、汎用可能な方法が望まれていた。また同公報記載の発明は、当初繊維断面中に0.002μmの分散構造を形成させ、それを熱処理によって構造を成長させることで、微細で均一なサイズが得られるとの例示があるものの、当初分散構造が形成される条件では、一般に核生成と生長により相分解するため、均一な分散状態を得ることは困難であり、優れた機械特性を有する構造材料には適していない。これまでには優れた規則性を有し、かつその構造が微細であり、さらにはその構造が均一に分散した構造物については知られていなかった。
【0005】
また特開平9−169867号公報には、樹脂と溶媒との間のスピノーダル分解により、周期構造0.05〜2μmの両相連続構造のゲルからなる微多孔膜が記載されている。しかしながら同法は樹脂と溶媒との間でスピノーダル分解させたものであるため、最終的にはゲル状の多孔質を得られるものであり、2種以上の樹脂からなる両相連続構造物を得ることができないものであった。
【0006】
またポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂は、機械特性、耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気的特性に優れ、自動車、電気・電子部品などの広い分野で使用されている。
【0007】
該ポリエステル樹脂は、耐熱性が優れていることから高温雰囲気下で連続使用することが可能である。しかし高温高湿の条件下に長時間さらされると、ポリエステル樹脂は、加水分解と熱劣化が次第に進行して靭性が低下するという欠点があった。
【0008】
一方、ゴム質重合体は一般に耐衝撃性や耐加水分解性に優れることから、ポリエステルと併用することは上記の課題解決を図るために有効だと考えられ多くの検討が行われている。なかでも特公昭57−54058号公報および特公昭57−59261号公報には不飽和カルボン酸およびその誘導体をグラフトした変性エチレン重合体をポリエステル樹脂に配合する方法、特公平7−62105号公報にはポリエステル樹脂、エチレン/αオレフィン共重合体、マレイン酸またはその無水物、ラジカル発生剤を溶融混合する方法などが開示されている。しかしながら、これらの方法では耐衝撃性はある程度改良されるものの、高温高湿処理後の強度や靭性の低下を防止する効果は不十分であり、より微細に構造制御する方法が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた機械特性を有する構造材料や、優れた規則性を有する機能材料を提供するにあたり、優れた規則性を有し、かつその構造を微細に制御することが可能であり、さらにはその構造が均一に分散した、少なくとも2成分の樹脂からなるポリマーアロイを提供することをその課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、優れた機械特性を有する構造材料や、優れた規則性を有する機能材料を提供すべく鋭意検討した結果、ポリマーアロイにおけるスピノーダル分解を利用し、その初期過程で特定の構造周期を形成後、熱処理等により構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または分散粒子の中心間距離0.01〜1μmの分散構造に構造制御されることを見いだし本発明を完成させるにいたった。
【0011】
すなわち本発明は、
(1)スピノーダル分解によって相分離せしめた、ポリカーボネートとスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレート、ポリスチレンとポリビニルメチルエーテル、ポリスチレンとポリイソプレン、ポリスチレンとポリフェニルメチルシロキサン、エチレン・酢酸ビニル共重合体と塩素化ポリエチレン、ポリアクリル酸ブチルと塩素化ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチルとスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリプロピレンと高密度ポリエチレン、ポリプロピレンとエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレンとエチレン・ポリプロピレン共重合体、ポリプロピレンとスチレン・ブタジエン共重合体、ポリプロピレンとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物、ポリカーボネートとスチレン・ブタジエン共重合体、ポリカーボネートとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物、ポリブチレンテレフタレートとスチレン・ブタジエン共重合体、およびポリブチレンテレフタレートとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれるいずれかの樹脂の組合せからなるポリマーアロイであり、上記スピノーダル分解の初期過程において構造周期0.001〜0.1μmの両相連続構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造まで発展せしめたものであることを特徴とするポリマーアロイ、
(2)前記ポリマーアロイが、少なくとも1種のゴム質重合体を含むことを特徴とする(1)記載のポリマーアロイ、
(3)ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を含むスピノーダル分解によって相分離せしめたポリマーアロイであり、かつ該ポリマーアロイが構造周期0.01〜1μmの両相連続構造を有することを特徴とするポリマーアロイ、
(4)前記ポリマーアロイが、溶融混練を経て製造されたものである(1)〜(3)いずれか記載のポリマーアロイ、
(5)前記スピノーダル分解が、溶融混練時の剪断下では相溶し、吐出後の非剪断下で相分離するものである(4)記載のポリマーアロイ、
(6)エポキシ樹脂モノマーおよび/またはオリゴマーに、ポリエーテルスルホンまたはフェノキシ樹脂を相溶させエポキシ樹脂を硬化させることにより相分解させる方法、
熱硬化性ポリアリルエーテルオリゴマーに、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、およびポリエーテルケトンケトンから選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂を相溶化し、熱硬化性ポリアリルエーテルオリゴマーを重合させて相分解させる方法、
アクリルゴムをポリエステル樹脂に一旦相溶解させ、その後、架橋剤を添加し該アクリルゴムを架橋することによる分子量増加に伴い相分解させる方法、
ポリエステルオリゴマーとゴム質重合体を一旦相溶解させ、その後、鎖延長剤を添加しポリエステルオリゴマーを架橋することによる分子量増加に伴い相分解させる方法、のいずれかによりポリマーアロイを構成する樹脂成分のうち少なくとも1成分の前駆体を、残りの樹脂成分の共存下で化学反応せしめることによりスピノーダル分解を誘発せしめて、スピノーダル分解の初期過程において構造周期0.001〜0.1μmの両相連続構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造まで発展せしめたものであることを特徴とするポリマーアロイ、
(7)前記スピノーダル分解が、化学反応前は一旦相溶し、化学反応後に相分離するものである(6)記載のポリマーアロイ、
(8)射出成形用である(1)〜(7)いずれか記載のポリマーアロイ、
(9)フィルムおよび/またはシート押出成形用である(1)〜(7)いずれか記載のポリマーアロイ、
(10)ポリカーボネートとスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレート、ポリスチレンとポリビニルメチルエーテル、ポリスチレンとポリイソプレン、ポリスチレンとポリフェニルメチルシロキサン、エチレン・酢酸ビニル共重合体と塩素化ポリエチレン、ポリアクリル酸ブチルと塩素化ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチルとスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリプロピレンと高密度ポリエチレン、ポリプロピレンとエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレンとエチレン・ポリプロピレン共重合体、ポリプロピレンとスチレン・ブタジエン共重合体、ポリプロピレンとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物、ポリカーボネートとスチレン・ブタジエン共重合体、ポリカーボネートとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物、ポリブチレンテレフタレートとスチレン・ブタジエン共重合体、およびポリブチレンテレフタレートとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれるいずれかの樹脂の組合せをスピノーダル分解により相分離せしめるポリマーアロイの製造方法であって、スピノーダル分解の初期過程において構造周期0.001〜0.1μmの両相連続構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造まで発展せしめることを特徴とするポリマーアロイの製造方法、
(11)前記樹脂の組合せを溶融混練することによりスピノーダル分解を誘発することを特徴とする(10)記載のポリマーアロイの製造方法、
(12)溶融混練時の剪断下で前記樹脂の組合せを相溶し、吐出後の非剪断下で相分離することを特徴とする(11)記載のポリマーアロイの製造方法、
(13)エポキシ樹脂モノマーおよび/またはオリゴマーに、ポリエーテルスルホンまたはフェノキシ樹脂を相溶させエポキシ樹脂を硬化させることにより相分解させる方法、
熱硬化性ポリアリルエーテルオリゴマーに、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、およびポリエーテルケトンケトンから選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂を相溶化し、熱硬化性ポリアリルエーテルオリゴマーを重合させて相分解させる方法、
アクリルゴムをポリエステル樹脂に一旦相溶解させ、その後、架橋剤を添加し該アクリルゴムを架橋することによる分子量増加に伴い相分解させる方法、
ポリエステルオリゴマーとゴム質重合体を一旦相溶解させ、その後、鎖延長剤を添加しポリエステルオリゴマーを架橋することによる分子量増加に伴い相分解させる方法、のいずれかによりポリマーアロイを構成する樹脂成分のうち少なくとも1成分の前駆体を、残りの樹脂成分の共存下で化学反応せしめることによりスピノーダル分解を誘発し、スピノーダル分解の初期過程において構造周期0.001〜0.1μmの両相連続構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造まで発展せしめることを特徴とするポリマーアロイの製造方法、
(14)化学反応前は一旦相溶し、化学反応後に相分離することを特徴とする(13)記載のポリマーアロイの製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】
本発明の少なくとも2成分の樹脂からなるポリマーアロイは、特定の構造周期を有する両相連続構造または特定の粒子間距離を有する分散構造を有するものである。
【0014】
かかる構造を有するポリマーアロイは、特定のスピノーダル分解による相分離、具体的には、スピノーダル分解の初期過程において構造周期0.001〜0.1μmの両相連続構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造まで発展せしめることにより得ることができる。
【0015】
一般に、2成分の樹脂からなるポリマーアロイには、これらの組成に対して、ガラス転移温度以上、熱分解温度以下の実用的な全領域において相溶する相溶系や、逆に全領域で非相溶となる非相溶系や、ある領域で相溶し、別の領域で相分離状態となる、部分相溶系があり、さらにこの部分相溶系には、その相分離状態の条件によってスピノーダル分解によって相分離するものと、核生成と成長によって相分離するものがある。
【0016】
さらに3成分以上からなるポリマーアロイの場合は、3成分以上のいずれもが相溶する系、3成分以上のいずれもが非相溶である系、2成分以上のある相溶した相と、残りの1成分以上の相が非相溶な系、2成分が部分相溶系で、残りの成分がこの2成分からなる部分相溶系に分配される系などがある。本発明で好ましい3成分以上からなるポリマーアロイは、2成分が部分相溶系で、残りの成分がこの2成分からなる部分相溶系に分配される系であり、この場合ポリマーアロイの構造は、2成分からなる部分相溶系の構造で代替できることから、以下2成分の樹脂からなるポリマーアロイで代表して説明する。
【0017】
スピノーダル分解による相分離とは、異なる2成分の樹脂組成および温度に対する相図においてスピノーダル曲線の内側の不安定状態で生じる相分離のことを指し、また核生成と成長による相分離とは、該相図においてバイノーダル曲線の内側であり、かつスピノーダル曲線の外側の準安定状態で生じる相分離のことを指す。
【0018】
かかるスピノーダル曲線とは、組成および温度に対して、異なる2成分の樹脂を混合した場合、相溶した場合の自由エネルギーと相溶しない2相における自由エネルギーの合計との差(ΔGmix)を濃度(φ)で二回偏微分したもの(∂2ΔGmix/∂φ2)が0となる曲線のことであり、またスピノーダル曲線の内側では、∂2ΔGmix/∂φ2<0の不安定状態であり、外側では∂2ΔGmix/∂φ2>0である。
【0019】
またかかるバイノーダル曲線とは、組成および温度に対して、系が相溶する領域と相分離する領域の境界の曲線のことである。
【0020】
ここで本発明における相溶する場合とは、分子レベルで均一に混合している状態のことであり、具体的には異なる2成分の樹脂を主成分とする相がいずれも0.001μm以上の相構造を形成していない場合を指し、また、非相溶の場合とは、相溶状態でない場合のことであり、すなわち異なる2成分の樹脂を主成分とする相が互いに0.001μm以上の相構造を形成している状態のことを指す。相溶するか否かは、例えばPolymer Alloys and Blends, Leszek A Utracki, hanser Publishers,Munich Viema New York,P64,に記載の様に、電子顕微鏡、示差走査熱量計(DSC)、その他種々の方法によって判断することができる。
【0021】
詳細な理論によると、スピノーダル分解では、一旦相溶領域の温度で均一に相溶した混合系の温度を、不安定領域の温度まで急速にした場合、系は共存組成に向けて急速に相分離を開始する。その際濃度は一定の波長に単色化され、構造周期(Λm)で両分離相が共に連続して規則正しく絡み合った両相連続構造を形成する。この両相連続構造形成後、その構造周期を一定に保ったまま、両相の濃度差のみが増大する過程をスピノーダル分解の初期過程と呼ぶ。
【0022】
さらに上述のスピノーダル分解の初期過程における構造周期(Λm)は熱力学的に下式のような関係がある。
Λm〜[│Ts−T│/Ts]-1/2
(ここでTsはスピノーダル曲線上の温度)
ここで本発明でいうところの両相連続構造とは、混合する樹脂の両成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造を指す。この両相連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)に記載されている。
【0023】
スピノーダル分解では、この様な初期過程を経た後、波長の増大と濃度差の増大が同時に生じる中期過程、濃度差が共存組成に達した後、波長の増大が自己相似的に生じる後期過程を経て、最終的には巨視的な2相に分離するまで進行するが、本発明においては、最終的に巨視的な2相に分離する前の所望の構造周期に到達した段階で構造を固定すればよい。また中期過程から後期過程にかける波長の増大過程において、組成や界面張力の影響によっては、片方の相の連続性が途切れ、上述の両相連続構造から分散構造に変化する場合もある。この場合には所望の粒子間距離に到達した段階で構造を固定すればよい。
【0024】
ここで本発明にいうところの分散構造とは、片方の樹脂成分が主成分であるマトリックスの中に、もう片方の樹脂成分が主成分である粒子が点在している、いわゆる海島構造のことをさす。
【0025】
本発明では、スピノーダル分解の初期過程の構造周期を0.001〜0.1μmの範囲に制御することで、上述の中期過程以降で波長および濃度差が増大しても、構造周期0.01〜1μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの範囲の分散構造に構造制御することができる。より優れた機械特性を得るためには、構造発展させた後、構造周期0.01〜0.5μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.01〜0.5μmの範囲の分散構造に制御することが好ましく、さらには、構造周期0.01〜0.3μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.01〜0.3μmの範囲の分散構造に制御することがより好ましい。
【0026】
一方、上述の準安定領域での相分離である核生成と成長では、その初期から海島構造である分散構造が形成されてしまい、それが成長するため、本発明の様な規則正しく並んだ構造周期0.01〜1μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの範囲の分散構造を形成させることは困難である。
【0027】
またこれらのスピノーダル分解による両相連続構造、もしくは分散構造を確認するためには、規則的な周期構造が確認されることが重要である。これは例えば、光学顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察により、両相連続構造が形成されることの確認に加えて、光散乱装置や小角X線散乱装置を用いて行う散乱測定において、散乱極大が現れることの確認が必要である。なお、光散乱装置、小角X線散乱装置は最適測定領域が異なるため、構造周期の大きさに応じて適宜選択して用いられる。この散乱測定における散乱極大の存在は、ある周期を持った規則正しい相分離構造を持つ証明であり、その周期Λm は、両相連続構造の場合構造周期に対応し、分散構造の場合粒子間距離に対応する。またその値は、散乱光の散乱体内での波長λ、散乱極大を与える散乱角θm を用いて次式
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
により計算することができる。
【0028】
スピノーダル分解を実現させるためには、2成分以上からなる樹脂を相溶状態とした後、スピノーダル曲線の内側の不安定状態とすることが必要である。
【0029】
まずこの2成分以上からなる樹脂で相溶状態を実現する方法としては、共通溶媒に溶解後、この溶液から噴霧乾燥、凍結乾燥、非溶媒物質中の凝固、溶媒蒸発によるフィルム生成等の方法により得られる溶媒キャスト法や、部分相溶系を、相溶条件下で溶融混練することによる溶融混練法が挙げられる。中でも溶媒を用いないドライプロセスである溶融混練による相溶化が、実用上好ましく用いられる。
【0030】
溶融混練により相溶化させるには、通常の押出機が用いられるが、2軸押出機を用いることが好ましい。また、樹脂の組合わせによっては射出成形機の可塑化工程で相溶化できる場合もある。相溶化のための温度は、部分相溶系の樹脂が相溶する条件である必要がある。
【0031】
次に溶融混練により相溶状態としたポリマーアロイをスピノーダル曲線の内側の不安定状態として、スピノーダル分解せしめるに際し、不安定状態とするための温度、その他の条件は樹脂の組み合わせによっても異なり、一概にはいえないが、相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより設定することができる。本発明においては前記の如く、初期過程の構造周期を特定の範囲に制御した後、中期過程以降でさらに構造発展させて本発明で規定する特定の両相連続構造もしくは、分散構造とすることが好ましい。
【0032】
この初期過程で本発明で規定する特定の構造周期に制御する方法に関しては、特に制限はないが、ポリマーアロイを構成する個々の樹脂成分のガラス転移温度のうち最も低い温度以上で、かつ上述の熱力学的に規定される構造周期を小さくなるような温度で熱処理することが好ましい。ここでガラス転移温度とは、示差走査熱量計(DSC)にて、室温から20℃/分の昇温速度で昇温時に生じる変曲点から求めることができる。
【0033】
またこの初期過程から構造発展させる方法に関しては、特に制限はないが、ポリマーアロイを構成する個々の樹脂成分のガラス転移温度のうち最も低い温度以上で熱処理する方法が通常好ましく用いられる。さらにはポリマーアロイが相溶化状態で単一のガラス転移温度を有する場合や、相分解が進行しつつある状態でポリマーアロイ中でのガラス転移温度がポリマーアロイを構成する個々の樹脂成分のガラス転移温度間にある場合には、そのポリマーアロイ中のガラス転移温度のうち最も低い温度以上で熱処理することがより好ましい。またポリマーアロイを構成する個々の樹脂成分として結晶性樹脂を用いる場合、該熱処理温度を結晶性樹脂の結晶融解温度以上とすることは、熱処理による構造発展が効果的に得られるため好ましく、また該熱処理温度を結晶性樹脂の結晶融解温度±20℃以内とすることは上記構造発展の制御を容易にするために好ましく、さらには結晶融解温度±10℃以内とすることがより好ましい。ここで樹脂成分として2種以上の結晶性樹脂を用いる場合、該熱処理温度は、結晶性樹脂の結晶融解温度のうち最も高い温度を基準として、かかる結晶融解温度±20℃以内とすることが好ましく、さらにはかかる結晶融解温度±10℃以内とすることがより好ましい。但し、後述のフィルムおよび/またはシートの延伸時に熱処理する際には、該熱処理温度を結晶性樹脂の昇温結晶化温度以下とすることが好ましい。ここで結晶性樹脂の結晶融解温度とは、示差走査熱量計(DSC)にて、室温から20℃/分の昇温速度で昇温時に生じる融解曲線のピーク温度から求めることができ、また結晶化樹脂の昇温結晶化温度とは、結晶融解温度以上で融解したサンプルを急冷し得られたサンプルを用いて、示差走査熱量計(DSC)にて、室温から20℃/分の昇温速度で昇温時に生じる結晶化曲線のピーク温度から求めることができる。
【0034】
またスピノーダル分解による構造生成物を固定化する方法としては、急冷等による短時間での相分離相の一方または両方の成分の構造固定や、一方が熱硬化する成分である場合、熱硬化性成分の相が反応によって自由に運動できなくなることを利用した構造固定や、さらに一方が結晶性樹脂である場合、結晶性樹脂相を結晶化によって自由に運動できなくなることを利用した構造固定が挙げられるが、中でも結晶性樹脂を用いた場合、結晶化による構造固定が好ましく用いられる。
【0035】
また本発明で用いられる樹脂については、スピノーダル分解により相分離せしめられる少なくとも2成分を組み合わせて用いる限り特に制限はないが、かかる2成分の系は、一般的に、2成分を構成する樹脂の溶解度パラメーターの差が小さくなる様選択することや、いずれか一方の樹脂として分子量の低いものを用いることによって実現される。
【0036】
スピノーダル分解により相分離せしめられる少なくとも2成分を組み合わせとしては、例えば部分相溶系の組み合わせが挙げられる。
【0037】
部分相溶系には、同一組成において低温側で相溶しやすくなる低温相溶型相図を有するものや、逆に高温側で相溶しやすくなる高温相溶型相図を有するものが知られている。この低温相溶型相図における相溶と非相溶の分岐温度で最も低い温度を、下限臨界共溶温度(lower critical solution temperature略してLCST)と呼び、高温相溶型相図における相溶と非相溶の分岐温度で最も高い温度を、上限臨界共溶温度(upper critical solution temperature略してUCST)と呼ぶ。
【0038】
部分相溶系を用いて相溶状態となった2成分以上の樹脂は、低温相溶型相図の場合、LCST以上の温度かつスピノーダル曲線の内側の温度にすることで、また高温相溶型相図の場合、UCST以下の温度かつスピノーダル曲線の内側の温度にすることでスピノーダル分解を行わせることができる。
【0039】
上記高温相溶型相図を有する樹脂の組み合わせとしては、例えばポリカーボネートとスチレン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンナフタレート共重合体とポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート/ポリ−p−ヒドロキシ安息香酸コポリエステルとポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンナフタレート共重合体と塩素化ポリエチレン、ポリスチレンとポリ−ε−カプロラクトン、ポリフッ化ビニリデンとポリメタクリル酸メチル、塩素化ポリブタジエンと塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンエーテルとオルトクロロスチレン−パラクロロスチレン共重合体、ポリフェニレンエーテルとオルトフロロスチレン−パラフロロスチレン共重合体などが挙げられ、また上記低温相溶型相図を有する樹脂の組み合わせとしては、ポリ塩化ビニルとポリメタクリル酸n−アルキル、ポリ塩化ビニルとポリアクリル酸n−アルキル、ポリビニルフェノールとポリメタクリル酸n−アルキル、ポリジメチルシロキサンとポリスチレン、ポリフッ化ビニリデンとポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデンとポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリル酸エチル、ポリ酢酸ビニルとポリアクリル酸メチル、ポリスチレンとポリビニルメチルエーテル、ポリメタクリル酸メチルとスチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリル酸メチルとビニルフェノール−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニルとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、テトラメチルポリカーボネートとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体、テトラメチルポリカーボネートとスチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルフェノールとエチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルフェノールとエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ−ε−カプロラクトンとスチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレンとブタジエン−ビニルエチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体とスチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体とスチレン−N−フェニルマレイミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体とフッ化ビニリデン−ヘキサフロロアセトン共重合体などが挙げられる。
【0040】
またこの部分相溶系によるスピノーダル分解の他に、非相溶系においても溶融混練によってスピノーダル分解を誘発すること、例えば溶融混練時等の剪断下で一旦相溶し、非剪断下で再度不安定状態となり相分解するいわゆる剪断場依存型相溶解・相分解によってもスピノーダル分解による相分離が可能であり、この場合においても、部分相溶系の場合と同じくスピノーダル分解様式で分解が進行し規則的な両相連続構造を有する。さらにこの剪断場依存型相溶解・相分解は、スピノーダル曲線が剪断場により変化し、不安定状態領域が拡大するため、スピノーダル曲線が変化しない部分相溶系の温度変化による方法に比べて、その同じ温度変化幅においても実質的な過冷却度(│Ts−T│)が大きくなり、その結果、上述の関係式におけるスピノーダル分解の初期過程における構造周期を小さくすることが容易となるためより好ましく用いられる。
【0041】
かかる溶融混練時の剪断下により相溶化させるには、通常の押出機が用いられるが、2軸押出機を用いることが好ましい。また、樹脂の組合わせによっては射出成形機の可塑化工程で相溶化できる場合もある。相溶化のための温度、初期過程を形成させるための熱処理温度、および初期過程から構造発展させる熱処理温度や、その他の条件は、樹脂の組み合わせによっても異なり一概にはいえないが、種々の剪断条件下での相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより条件を設定することができる。また上記射出成形機の可塑化工程での相溶化を確実に実現させる方法として、予め2軸押出機で溶融混練し相溶化させ、吐出後氷水中などで急冷し相溶化状態で構造を固定させた材料を用いて射出成形する方法などが好ましい例として挙げられる。
【0042】
上記剪断場依存型相溶解・相分解する樹脂の組み合わせとしては、通常非相溶系であっても剪断下で相溶し、非剪断下でスピノーダル分解するような組み合わせであり、例えばポリカーボネートとスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレート、ポリスチレンとポリビニルメチルエーテル、ポリスチレンとポリイソプレン、ポリスチレンとポリフェニルメチルシロキサン、エチレン・酢酸ビニル共重合体と塩素化ポリエチレン、ポリアクリル酸ブチルと塩素化ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチルとスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリプロピレンと高密度ポリエチレン、ポリプロピレンとエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレンとエチレン・ポリプロピレン共重合体、ポリプロピレンとスチレン・ブタジエン共重合体、ポリプロピレンとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物、ポリカーボネートとスチレン・ブタジエン共重合体、ポリカーボネートとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物、ポリブチレンテレフタレートとスチレン・ブタジエン共重合体、ポリブチレンテレフタレートとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物などが挙げられ、なかでもポリカーボネートとスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンと高密度ポリエチレン、ポリプロピレンとエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレンとエチレン・ポリプロピレン共重合体が優れた機械特性を有する点で好ましく挙げられる。特にポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を含むポリマーアロイであり、かつ該ポリマーアロイが構造周期0.01〜1μmの両相連続構造を有するポリマーアロイは優れた強度および靱性を有する点で好ましい。
【0043】
さらに相溶系においても化学反応に伴う分子量変化等によって不安定状態となり相分解するいわゆる反応誘発型相分解によってもスピノーダル分解による相分離が可能である。例えばポリマーアロイを構成する樹脂成分の原料、オリゴマー或いは低分子量物など(樹脂成分の前駆体)が残りの樹脂成分と相溶系であって、上記モノマー、オリゴマー或いは低分子量物を高重合度化し、アロイ化すべき樹脂とした場合に他の樹脂成分と相分離を生じるような場合、ポリマーアロイを構成する樹脂成分のうち少なくとも1成分の前駆体を、残りの樹脂成分の共存下で、化学反応せしめることによりスピノーダル分解を誘発せしめることが可能である。この場合においても、部分相溶系の場合と同じくスピノーダル分解様式で分解が進行し規則的な両相連続構造を有する。さらにこの反応誘発型相分解は、スピノーダル曲線が分子量変化により変化し、不安定状態領域が拡大するため、スピノーダル曲線が変化しない部分相溶系の温度変化による方法に比べて、その同じ温度変化幅においても実質的な過冷却度(│Ts−T│)が大きくなり、その結果上述の関係式におけるスピノーダル分解の初期過程における構造周期を小さくすることが容易となるためより好ましく用いられる。またこの場合、重合や架橋による分子量変化に伴い、ガラス転移温度や、結晶性樹脂の場合における結晶融解温度が変化し、さらに分子量変化による相溶解から相分解への変化は系によって各々異なるため、相溶化のための温度、初期過程を形成させるための熱処理温度、および初期過程から構造発展させる熱処理温度や、その他の条件は、一概にはいえないが、種々の分子量との組み合わせでの相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより条件を設定することができる。
【0044】
また上記反応誘発型相分解する樹脂の組み合わせは、化学反応前には前記前駆体と残りの樹脂成分が一旦相溶状態となり、かかる前駆体を化学反応により樹脂とすることによりスピノーダル分解が誘発されるような樹脂の組み合わせであり、またこの化学反応としては、分子量増加をもたらすものであれば特に限定はなく、重縮合や、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、イオン共重合等の付加重合や、重付加、付加縮合、開環重合等の重合反応の他に、架橋反応やカップリング反応が好ましい例として挙げることができる。通常、係る化学反応をアロイ化する残りの樹脂の存在下で行うことにより、反応誘発型相分解が生じる。反応誘発型相分解の具体例としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、4官能型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂モノマーおよび/またはオリゴマーに、ポリエーテルスルホンやフェノキシ樹脂等の樹脂を相溶させエポキシ樹脂を硬化させることにより相分解させる方法や、熱硬化性ポリアリルエーテルオリゴマーに、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトンから選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂を相溶化し、熱硬化性ポリアリルエーテルオリゴマーを重合させて相分解させる方法、アクリルゴムをポリエステル樹脂に一旦相溶解させ、その後、架橋剤を添加し該アクリルゴムを架橋することによる分子量増加に伴い相分解させる方法、ポリエステルオリゴマーとゴム質重合体を一旦相溶解させ、その後、鎖延長剤を添加しポリエステルオリゴマーを架橋することによる分子量増加に伴い相分解させる方法等が挙げられる。
【0045】
さらにポリマーアロイを構成する樹脂成分のうち、少なくとも1成分が結晶性樹脂である場合、結晶性樹脂相の結晶化によってポリマーアロイの構造の固定が容易となるため少なくとも1成分を結晶化樹脂とすることが好ましい。
【0046】
ここで本発明でいう結晶性樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)にて、結晶融解温度の観測される樹脂であれば特に限定するものでないが、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン・ビニル等を挙げることができる。
【0047】
上記ポリエステル樹脂としてはジカルボン酸(あるいは、そのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
上記ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。またジオール成分としては炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、あるいは分子量400〜6000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0049】
これらの重合体ないしは共重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが挙げられ、ポリエステル組成物の成形性からポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが特に好ましく、最も好ましいのはポリブチレンテレフタレートである。
【0050】
また、これらのポリエステル樹脂はo−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度が0.36〜1.60dl/g、とくに0.52〜1.35dl/gの範囲にあるものが機械的特性、成形性の点から好適である。
【0051】
また本発明のポリマーアロイには、その衝撃強度を改良し、かつ湿熱時の耐加水分解性を改良するため、少なくとも1種のゴム質重合体を含むことが好ましい。
【0052】
上記ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体などのジエン系ゴム、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−メタクリレート、エチレン−ブチルアクリレートなどのエチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、例えばブチルアクリレート−ブタジエン共重合体などのアクリルゴム、エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体などのエチレン−プロピレン非共役ジエン3元共重合体、ブチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレンなどがあげられる。
【0053】
前記反応誘発型相分解の方法の例として挙げた、アクリルゴムをポリエステル樹脂に一旦相溶解させ、その後、架橋剤を添加し該アクリルゴムを架橋することによる分子量増加に伴い相分解させる方法に用いられるアクリルゴムとしてはオレフィン/アクリル酸エステル共重合体ゴムが好ましく、この例としては少なくとも1種類のα−オレフィンと、少なくとも1種類のC1〜C18アルキル(メタ)クリレート(アクリレート又はメタクリレート)を重合して製造したものが挙げられる。さらに該アクリルゴムを架橋するためには、該アクリルゴムに架橋部位を付与することのできる少量の官能基含有不飽和単量体を共重合することが有効である。かかる官能基含有不飽和単量体は、酸基、ヒドロキシル基、エポキシ基、イソシアナート基、アミン基、オキサゾリン基、ジエン基、またはその他の架橋剤と反応性を有する官能基を含むものである。このような官能基含有不飽和単量体を共重合しない場合は、架橋部位を、例えばゴムのエステル基の部分加水分解により発生させることができる。このような共重合体ゴムの重合に適したα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、オクテンなどとこれらの混合物が含まれるが、C1〜C4のα−オレフィンが好ましく、エチレンが多くの場合最も好ましい。α−オレフィンと共重合させるのに適したアルキル(メタ)クリレートは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチルなどとそれらの混合物が含まれる。C1〜C12のアルキル(メタ)アクリレートが多くの場合好ましく、C1〜C4のアルキル(メタ)クリレートが多くの場合最も好ましい。中でもエチレン、C1〜C4アルキルアクリレートおよび官能基が酸基である官能基含有不飽和単量体の3元共重合体が好ましく、かかる3元共重合体の具体的組成としては、エチレンを少なくとも約30モル%、アクリル酸メチルを約10〜69.5モル%、およびマレイン酸モノエチルを約0.5〜10モル%含むものが好ましい例として挙げられる。アクリルゴムは本質的に非結晶性で、ガラス転移温度が室温以下、すなわち約23℃以下のものが好ましい。
【0054】
上記アクリルゴムの架橋に用いられる架橋剤は、アクリルゴムの反応性官能基と共有結合することによりゴムを架橋するのに選択された多官能性化合物、すなわち少なくとも二官能性化合物のことを指す。ゴムが、例えばアクリル酸またはマレイン酸単位から誘導されたカルボキシ官能基を有している場合、共有結合性架橋剤としては、ヒドロキシル、アミン、イソシアナアート、エポキシまたはその他の酸反応性官能基を有する化合物の使用が適している。効果的な架橋剤としては、ビスフェノールAのようなジオール類、ペンタエリトリトールのようなポリオール類、メチレンジアニリン、ジフェニルグアニジンなどのようなアミン類、トルエンジイソシアナート、イソシアナートを末端基とするポリエステルオリゴマーのようなイソシアナート類、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのようなエポキシド類を挙げることができる。一般に、架橋剤の使用量は、アクリルゴムや架橋剤の分子量に依存するが、通常アクリルゴムの約15重量%を超えない量である。
【0055】
上記架橋剤の添加方法には特に制限はないが、本発明の効果を得るためには、一旦相溶化させたアロイに添加し、架橋反応せしめることにより架橋させる方法が好ましい方法として挙げられる。例えば一旦相溶化させたアロイにかかる架橋剤添加後、単軸又は2軸押出機などの押出機中で溶融混練する方法や、単軸又は2軸押出機などの押出機の主フィーダーからアロイを構成する樹脂を先に添加し溶融混練後、押出機の中間部からかかる架橋剤を追添加する方法等が挙げられる。またかかる架橋剤の架橋反応が遅く、架橋に要する時間よりもアロイ成分を相溶化させる時間の方が短い場合、アロイを構成する樹脂とかかる架橋剤を同時に配合し、単軸又は2軸押出機などの押出機で同時に溶融混練することも可能である。
【0056】
前記、ポリエステルオリゴマーとゴム質重合体を一旦相溶解させ、その後、鎖延長剤を添加してポリエステルオリゴマーを鎖延長する際に用いるポリエステルオリゴマーは、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度が0.1〜0.35dl/g、特に0.2〜0.3dl/gの範囲にあるものが好適に用いられれる。またかかる鎖延長する際に用いる鎖延長剤は、二官能性またはそれ以上の官能基を有するものであれば特に限定はしないが、たとえばイソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、フェニルカーボネート系またはフェニルエステル系化合物、ラクタム化合物、エポキシ化合物、芳香族テトラカルボン酸無水物などが挙げられる。好ましくはイソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、フェニルカーボネート化合物である。これらは単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を用いてもよい。
【0057】
鎖延長剤に用いられるイソシアネート化合物として、例えば、4,4’− ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、前記イソシアネート化合物は、それぞれ2量化しカルボジイミド化された化合物を用いても良い。さらに、これらは2種以上が併用されても良い。好ましくは、4,4’− ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。
【0058】
鎖延長剤に用いられるオキサゾリン化合物とは1分子中に2個以上のオキサゾリン環を有する化合物であり、例えば2,2−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾイル)ベンゼン、2,2-ビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2-ビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2-ビス(4-エチル-2-オキサゾリン)、2,2-ビス(4,4-ジエチル-2-オキサゾリン)、2,2-ビス(4-プロピル-2-オキサゾリン)、2,2-ビス(4-ブチル-2-オキサゾリン)、2,2-ビス(4-ヘキシル-2-オキサゾリン)、2,2-ビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2-ビス(4-シクロヘキシル-2-オキサゾリン)、2,2-ビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)、2,2-エチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2-テトラメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2-ヘキサメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2-オクタメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2-エチレンビス(4-エチル-2-オキサゾリン)、2,2-テトラエチレンビス(4-エチル-2-オキサゾリン)、2,2-シクロへキシレンビス(4-エチル-2-オキサゾリン)等のビスオキサゾリン化合物が挙げられるが、好ましくは2,2-ビス(2-オキサゾリン)が挙げられる。
【0059】
鎖延長剤に用いられるフェニルカーボネート系化合物またはフェニルエステル系化合物として、たとえば、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル、フタル酸ジフェニル、2,6―ナフタレンジカルボン酸ジフェニル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジフェニル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジフェニル、4,4−ビフェニルジカルボン酸ジフェニルなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましくは、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジフェニル、フタル酸ジフェニルを単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0060】
鎖延長剤に用いられるラクタム化合物としては、たとえば下記一般式(1)で示される化合物が挙げられ、式中Arが炭素数6〜20のアリーレン基、具体的にはp−フェニレン、m−フェニレン、o−フェニレン、2,6−ナフチレン、1,5−ナフチレン、2,7−ナフチレン、4,4’−ビフェニレンであるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0061】
【化1】
【0062】
鎖延長剤に用いられるエポキシ化合物として、たとえばテレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステルをはじめとする各種芳香族ジカルボン酸のジグリシジルエステル、p−フェニレンジグリシジルエーテルをはじめとする芳香族ジグリシジルエーテル、各種脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエステル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0063】
鎖延長剤に用いられる芳香族テトラカルボン酸無水物として、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0064】
上記各種鎖延長剤は、通常反応系中のポリマーのモル数に対し当量〜1.5倍モル量用いられる。添加量は、用いる鎖延長剤の種類、反応温度等によって最適値が異なる。添加量が少ない場合には、鎖延長反応が不十分な場合がある。
【0065】
上記鎖延長剤の添加方法に特に制限はないが、本発明の効果を得るためには、一旦相溶化させたアロイに添加し、鎖延長反応せしめることにより鎖延長させる方法が好ましい方法として挙げられる。例えば一旦相溶化させたアロイにかかる鎖延長剤添加後、単軸又は2軸押出機などの押出機中で溶融混練する方法や、単軸又は2軸押出機などの押出機の主フィーダーからアロイを構成する樹脂もしくはオリゴマーを先に添加し溶融混練後、押出機の中間部からかかる鎖延長剤を追添加する方法等が挙げられる。またかかる鎖延長剤の反応が遅く、鎖延長に要する時間よりもアロイ成分を相溶化させる時間の方が短い場合、アロイを構成する樹脂もしくはオリゴマーとかかる鎖延長剤を同時に配合し、単軸又は2軸押出機などの押出機で同時に溶融混練することも可能である。
【0066】
また、本発明を構成する2成分の樹脂からなるポリマーアロイに、さらにポリマーアロイを構成する成分を含むブロックコポリマーやグラフトコポリマーやランダムコポリマーなどのコポリマーである第3成分を添加することは、相分解した相間における界面の自由エネルギーを低下させ、両相連続構造における構造周期や、分散構造における分散粒子間距離の制御を容易にするため好ましく用いられる。この場合通常、かかるコポリマーなどの第3成分は、それを除く2成分の樹脂からなるポリマーアロイの各相に分配されるため、2成分の樹脂からなるポリマーアロイ同様に取り扱うことができる。
【0067】
本発明でのポリマーアロイを構成する樹脂成分の組成については特に制限はないが、2成分の場合、通常95重量%/5重量%〜5重量%/95重量%の範囲が好ましく用いられ、さらには90重量%/10重量%〜10重量%/90重量%の範囲がより好ましく、特に75重量%/25重量%〜25重量%/75重量%の範囲であれば両相連続構造が比較的得られやすいので好ましく用いられる。
【0068】
なお、本発明のポリマーアロイには、本発明の目的を損なわない範囲でさらに他の各種の添加剤を含有せしめることもできる。これら他の添加剤としては、例えば、タルク、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、セリサイト、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、岩綿、炭酸カルシウム、ケイ砂、ワラステナイト、硫酸バリウム、ガラスビーズ、酸化チタンなどの強化材、非板状充填材、あるいは酸化防止剤(リン系、硫黄系など)、紫外線吸収剤、熱安定剤(ヒンダードフェノール系など)、滑剤、離型剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、染料および顔料を含む着色剤、難燃剤(ハロゲン系、リン系など)、難燃助剤(三酸化アンチモンに代表されるアンチモン化合物、酸化ジルコニウム、酸化モリブデンなど)、発泡剤、カップリング剤(エポキシ基、アミノ基メルカプト基、ビニル基、イソシアネート基を一種以上含むシランカップリング剤やチタンカップリング剤)、抗菌剤等が挙げられる。
【0069】
これらの添加剤は、本発明のポリマーアロイを製造する任意の段階で配合することが可能であり、例えば、少なくとも2成分の樹脂を配合する際に同時に添加する方法や、予め2成分の樹脂を溶融混練した後に添加する方法や、始めに片方の樹脂に添加し溶融混練後、残りの樹脂を配合する方法等が挙げられる。
【0070】
本発明から得られるポリマーアロイの成形方法は、任意の方法が可能であり、成形形状は、任意の形状が可能である。成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形などを挙げることができるが、中でも射出成形は射出時の可塑化工程で相溶解させ、射出後、スピノーダル分解し金型内で熱処理と構造固定化が同時にできることから好ましく、またフィルムおよび/またはシート押出成形であれば、押出時に相溶解させ、吐出後、スピノーダル分解しフィルムおよび/またはシート延伸時に熱処理し、その後の巻き取り前の自然冷却時に構造固定ができることから好ましい。もちろん上記成形品を別途熱処理し構造形成させることも可能である。またかかるフィルムおよび/またはシート化の製造方法としては、単軸あるいは2軸押出機を用いてTダイから溶融押出し、キャストドラムで冷却固化してシート化する方法、溶融押出シートを2つのロール間で成形するポリッシング方法やカレンダーリング方法などがあるが、ここでは特に限定されるものではない。またキャストドラムにキャストする際、溶融樹脂をキャストドラムに密着させるには、静電印加を与える方法、エアーナイフを用いる方法、キャストドラムに対向する押さえのドラムを用いる方法等を用いることもできる。さらにはフィルムおよび/またはシート化用の押出機に供給する前に、予め2軸押出機を用いて相溶化させその構造を凍結させたペレットを用いることがより好ましい。また延伸してフィルム化する方法は、特に制限はなく、逐次2軸延伸、同時2軸延伸でも構わなく、また通常延伸倍率は2〜8倍の間、延伸速度は500〜5000%/分の間が多く用いられる。さらに延伸時の熱処理温度は、ポリマーアロイを構成する個々の樹脂成分のガラス転移温度のうち最も低い温度以上で熱処理する方法が通常好ましく用いられるが、ポリマーアロイが相溶化状態で単一のガラス転移温度を有する場合や、相分解が進行しつつある状態でポリマーアロイ中でのガラス転移温度が、ポリマーアロイを構成する個々の樹脂成分のガラス転移温度間にある場合には、そのポリマーアロイ中のガラス転移温度のうち最も低い温度以上で熱処理することがより好ましい。またポリマーアロイを構成する個々の樹脂成分として結晶性樹脂を用いる場合、該熱処理温度を結晶性樹脂の昇温結晶化温度以下とすることは、結晶性樹脂の結晶化による延伸の阻害を受けにくくする観点から好ましい。
【0071】
本発明におけるポリマーアロイは、一般にその構成成分の特徴によって様々な利用方法があるが、中でも片方の樹脂として、耐衝撃性に優れる樹脂を用いて耐衝撃性を高めた構造材料や、片方の樹脂として、耐熱性に優れる樹脂を用いて耐熱性を高めた耐熱樹脂材料や、片方の樹脂に磁性体や触媒等を坦時させ機能性成分を微細分散化させた機能性樹脂材料に好適に用いることができる。また本発明の構造制御が、可視光の波長以下も可能であることを利用した透明性樹脂材料にも好適に用いることができる。
【0072】
かかる耐衝撃性を高めた構造材料は、例えば自動車部品や電機部品などに好適に使用することができる。
【0073】
自動車部品の例としては、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、エアフローメーター、エアポンプ、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、サーモスタットハウジング、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、エンジンマウント、イグニッションホビン、イグニッションケース、クラッチボビン、センサーハウジング、アイドルスピードコントロールバルブ、バキュームスイッチングバルブ、ECUハウジング、バキュームポンプケース、インヒビタースイッチ、回転センサー、加速度センサー、ディストリビューターキャップ、コイルベース、ABS用アクチュエーターケース、ラジエータタンクのトップ及びボトム、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、オイルキャップ、オイルパン、オイルフィルター、フューエルキャップ、フューエルストレーナー、ディストリビューターキャップ、ベーパーキャニスターハウジング、エアクリーナーハウジング、タイミングベルトカバー、ブレーキブ−スター部品、各種ケース、燃料関係・排気系・吸気系等の各種チューブ、各種タンク、燃料関係・排気系・吸気系等の各種ホース、各種クリップ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、各種パイプ、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、ブレーキパッド摩耗センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコンパネルスイッチ基板、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ステップモーターローター、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、トルクコントロールレバー、スタータースイッチ、スターターリレー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、デュストリビューター、サンバイザーブラケット、各種モーターハウジング、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアミラーステー、ホーンターミナル、ウィンドウォッシャーノズル、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ランプリフレクター、ランプソケット、ランプハウジング、ランプベゼル、ドアハンドル、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクター、ヒューズ用コネクターなどの各種コネクターなどが挙げられる。
【0074】
また電気部品の例としては、コネクター、コイル、各種センサー、LEDランプ、ソケット、抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電気部品キャビネット、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスク・DVD等の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品、オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、携帯電話関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライター関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等の光学機器/精密機械関連部品などが挙げられる。
【0075】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに説明する。
実施例1〜5
表1記載の組成からなる原料を、押出温度250℃に設定した2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。本ガットはいずれも透明であり、また該ガットをヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったが、いずれのサンプルについても0.001μm以上の構造物がみられず相溶化していることを確認した。このことから、本系は、押出温度250℃の押出機中の剪断下で相溶化することがわかる。また該ガットから10mg切り出したサンプルのガラス転移温度を、DSCにて20℃/分の昇温速度で測定した結果を、表1に記した。
【0076】
尚、本系はLCST型相図を有する系であり、押出機の剪断下で相溶領域が拡大したものである。
【0077】
さらに上記氷水中に急冷し、構造を固定したガットから厚み100μmの切片を切り出し、実施例1〜3については250℃、実施例4については270℃、実施例5については230℃でそれぞれ熱処理を行い、この熱処理中の構造形成過程を小角X線散乱を用いて追跡した。いずれのサンプルも、熱処理開始から1分後以降にピークが出現し、またこのピークは、そのピーク位置を変化させずに強度を増加させる様子が観測された。この小角X線散乱においてピーク位置を変化させずに強度を増加させる過程はスピノーダル分解の初期過程に対応する。表1には該ピーク位置(θm)から下式で計算した、構造周期(Λm)を記した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
またこの小角X線散乱測定中初期過程の切片については、一部をすぐに氷水中に急冷し構造を固定し、ヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったところ、いずれのサンプルも両相連続構造が観察された。
【0078】
図1に実施例2のスピノーダル分解初期過程で得られた構造物の透過型電子顕微鏡写真を示す。尚、該写真中、黒色部はポリカーボネートを主成分とする相であり、白色部はポリブチレンテレフタレートを主成分とする相である。
【0079】
さらに上記小角X線散乱を測定した切片は、初期過程において構造を形成させた後、さらにそれぞれ上記記載の各々の温度で計10分間熱処理を続け、構造形成を行い、本発明のポリマーアロイ構造物を得た。該サンプルについても、上記初期過程同様に小角X線散乱から構造周期、及び透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した結果を表1に記載した。なお、分散構造を有する場合の粒子間距離も両相連続構造における構造周期と同じ方法で算出される。
【0080】
図2に実施例2のスピノーダル分解初期過程で両相連続相を形成後、発展して得られた構造物の透過型電子顕微鏡写真を示す。尚、該写真中、黒色部はポリカーボネートを主成分とする相であり、白色部はポリブチレンテレフタレートを主成分とする相である。
【0081】
また、上記ダイから吐出後、氷水中に急冷し構造を固定したガットを用い、加熱プレスにより上記熱処理と同様の温度、時間で熱処理を行ったシート(厚み0.2mm)を作製した。さらに該シートから厚み100μmの切片を切り出し、上記ガットからの切り出しサンプルと同様に、小角X線散乱から構造周期または粒子間距離を求めた結果、及び透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した結果を表1に記載した。本結果から、加熱プレスでの熱処理によっても、上記ガットからの切り出しサンプルと同様に構造が形成されていることがわかる。次に該シートから、長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.2mmのサンプルを切り出し、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で測定した引張強度、引張伸び、及び、打ち抜きプレスで試験片を取り、ASTM D1822に従って引張衝撃試験を測定結果を表1に記載した。
【0082】
さらに、上記ダイから吐出後、氷水中に急冷し構造を固定し相溶化した状態のガットを、ストランドカッターに供給し、ペレットを作製した。次にかかるペレットを用いて、再度押出温度250℃に設定し、滞留時間10分間に調整した先端部にTダイを有する単軸押出機(φ40mm)に供給し、シート化を行った。尚、シート化においては、Tダイの下部に50℃に温調したハードクロムの鏡面キャストドラムにTダイの口金から吐出した樹脂をキャストし、さらに50℃に温調した第2ドラムを通過後、巻き取り速度が一定となる様、毎分5mに設定したロール間を通過後、巻き取りロールにより巻き取ることによりシートを得た。得られたシートの厚みは0.1mmであった。また得られたシートは透明であったが、ヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったところ、いずれのサンプルも両相連続構造物が存在することを確認した。さらに得られたシートから10mg切り出したサンプルのガラス転移温度、及び昇温結晶化温度を、DSCにて20℃/分の昇温速度で測定した結果を、表1に記した。DSCでの測定結果から、得られたシートはガラス転移温度が2つ存在し、このことは再度押出機での溶融時間中に相分離が進行していることを示唆している。次にこのことを確認すべく、得られたシートから別途サンプルを切り出し250℃で熱処理中の構造形成過程を小角X線散乱を用いて追跡したところ、いずれのサンプルもピークが存在し、またそのピークは、その後1分間はピーク位置を変化させずに強度を増加させる様子が観測された。この小角X線散乱においてピーク位置を変化させずに強度を増加させる過程はスピノーダル分解の初期過程における構造発展に対応する。表1には上記同様にこの初期過程における構造周期を計算した値を記した。以上のことから、再度押出機内での溶融時間中にスピノーダル分解が進行し、その結果得られたシートからは、両相連続構造物がみられたものと考えられる。
【0083】
次に上記得られたシートから100mm角のサンプルを切り出し、4辺をクリップで固定し、90℃60秒間予熱後、90℃で温調されたオーブン内で、延伸速度2000%/分、延伸倍率3倍で、4辺のクリップを同時2軸延伸となるよう延伸させた。延伸後のサンプルについても、上記同様に小角X線散乱から構造周期、及び透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した結果を表1に記載した。この延伸後のサンプルでは、延伸前と比較し構造周期が増大しており、この延伸時の熱処理時に構造発展がなされたものと考えられる。さらに延伸後得られたシートから長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.03mmのサンプルを切り出し、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で測定した引張強度、引張伸びを測定した結果を表1に記載した。
【0084】
なお、使用樹脂は、以下に示すものを使用した。
PC−1:芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製“ユーピロン”S2000、ガラス転移温度151℃)
PBT−1:ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製“トレコン”1100S、ガラス転移温度32℃、結晶融解温度220℃)。
【0085】
比較例1
押出温度を280℃に設定した以外は、実施例2と同様に溶融混練し、ダイから吐出後すぐに氷水中に急冷し、構造を固定したガットを得たが、本ガットは濁っており、また該ガットをヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて1000倍に拡大して観察を行うと、0.5μm以上の不均一な分散構造物が観測された。このことから、本系は、押出温度280℃の押出機中の剪断下で相溶化していないことがわかる。本系についても、実施例2と同様に機械特性を測定した結果、および構造の状態を観察した結果を表1に記載した。
【0086】
比較例2
熱処理温度を220℃で10分間行ったこと以外は、実施例2と同様であり、該サンプルの機械特性を測定した結果、および構造周期、構造の状態を観察した結果を表1に記載した。但し、本サンプルの構造周期の測定には、小角光散乱装置による測定で求めた。本例の様に、熱処理温度が低く初期過程における構造周期が十分小さくならない場合、両成分の濃度差を十分なものとするために構造発展を施すと、構造周期を本発明範囲内に制御することが困難なものとなる。また本例の様に、かかる構造周期が本発明範囲を外れると、機械特性の劣るものしか得られなかった。
【0087】
比較例3
初期構造形成後、急冷し、熱処理を行わなかったこと以外は、実施例4のサンプルと同様であり、該サンプルの機械特性を測定した結果、および構造周期、構造の状態を観察した結果を表1に記載した。
【0088】
本発明のスピノーダル分解の初期過程で、特定構造周期の両相連続構造物を形成し、さらにその構造を発展させたサンプルにおいて、優れた強度/靱性を有することがわかる。
【0089】
【表1】
【0090】
実施例6〜7
表2記載の組成からなる原料を、押出温度240℃に設定した2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。本ガットはいずれも透明であり、また該ガットをヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったが、いずれのサンプルについても0.001μm以上の構造物がみられず相溶化していることを確認した。このことから、本系は、いずれも押出温度240℃の押出機中の剪断下で相溶化することがわかる。
【0091】
尚、本系は、LCST型相図を有する系であり、押出機の剪断下で相溶領域が拡大したものである。
【0092】
さらに上記氷水中に急冷し、構造を固定したガットから厚み100μmの切片を切り出し、実施例6では240℃で、実施例7では200℃で熱処理を行い、この熱処理中の構造形成過程を小角X線散乱を用いて追跡した。いずれのサンプルも、熱処理開始から1分後以降にピークが出現し、またこのピークは、そのピーク位置を変化させずに強度を増加させる様子が観測された。この小角X線散乱においてピーク位置を変化させずに強度を増加させる過程はスピノーダル分解の初期過程に対応する。表2には該ピーク位置(θm)から下式で計算した、構造周期(Λm)を記した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
またこの上記小角X線散乱中初期過程の切片については、一部をすぐに氷水中に急冷し構造を固定し、ヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったところ、両相連続構造が観察された。
【0093】
さらに上記、上記小角X線散乱を測定した切片は、初期過程において構造を形成させた後、さらに240℃で計10分間熱処理を続け、構造形成を行い、本発明のポリマーアロイ構造物を得た。該サンプルについても、上記初期過程同様に小角X線散乱から構造周期、及び透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した結果をそれぞれ表2に記載した。
【0094】
また、上記ダイから吐出後、氷水中に急冷し構造を固定したガットを用い、加熱プレスにより上記熱処理と同様の温度、時間で熱処理を行ったシート(厚み0.8mm)を作製した。さらに該シートから厚み100μmの切片を切り出し、上記ガットからの切り出しサンプルと同様に、小角X線散乱から構造周期または粒子間距離を求めた結果、及び透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した結果を表1に記載した。本結果から、加熱プレスでの熱処理によっても、上記ガットからの切り出しサンプルと同様に構造が形成されていることがわかる。次に該シートから、長さ×幅×厚み=85mm×20mm×0.8mmの短冊状サンプルを切り出し、試験片の片端20mmを保持して試験片が水平になるように片持ち状態で固定し、100、110、120、130、140、150、160℃のオーブン中に60分間放置した後、保持した部分と反対側の先端が自重によって垂れ下がった垂直距離を測定した。次にこの各温度での垂れ下がり垂直距離と温度をプロットし各点間を直線で結び、垂れ下がり垂直距離3mmと交差する温度を耐熱温度とし、その値を表2に記載した。
【0095】
なお、使用樹脂は、以下に示すものを使用した。
PC−1:芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製“ユーピロン”S2000、ガラス転移温度151℃)
AS−1:スチレン−アクリロニトリル共重合体(東レ(株)製“トヨラック”1050B、ガラス転移温度102℃)。
【0096】
比較例4
押出温度を290℃に設定した以外は、実施例6と同様に溶融混練し、ダイから吐出後すぐに氷水中に急冷し、構造を固定したガットを得たが、本ガットは濁っており、また該ガットをヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて1000倍に拡大して観察を行うと、0.5μm以上の不均一な分散構造物が観測された。このことから、本系は、押出温度290℃の押出機中の剪断下で相溶化していないことがわかる。本系についても、実施例6と同様に耐熱性を測定した結果、および構造の状態を観察した結果を表2に記載した。
【0097】
本発明のスピノーダル分解の初期過程で、特定構造周期の両相連続構造物を形成し、さらにその構造を発展させたサンプルにおいて、優れた耐熱性を有することがわかる。
【0098】
【表2】
【0099】
実施例8〜12
表3記載の組成からなる原料の内、鎖延長剤及び添加剤を無添加とし、押出温度250℃に設定した2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。本ガットはいずれも透明であり、また該ガットをオスニウム酸染色法によりエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったが、いずれのサンプルについても0.001μm以上の構造物がみられず相溶化していることを確認した。このことから、本系は、押出温度250℃の押出機中の剪断下で相溶化することがわかる。
【0100】
次に鎖延長剤および添加剤を加えて、表3記載の組成からなる原料を、押出温度250℃に設定した2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。さらに該ガットから厚み100μmの切片を切り出し、実施例8〜10のサンプルについては250℃、実施例11のサンプルについては270℃、実施例12のサンプルについては230℃でそれぞれ熱処理を行い、この熱処理中の構造形成過程を小角X線散乱を用いて追跡した。いずれのサンプルも、熱処理開始から5分後以降にピークが出現し、またこのピークは、そのピーク位置を変化させずに強度を増加させる様子が観測された。この小角X線散乱においてピーク位置を変化させずに強度を増加させる過程はスピノーダル分解の初期過程に対応する。表3には該ピーク位置(θm)から下式で計算した、構造周期(Λm)を記した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
またこの小角X線散乱測定中初期過程の切片については、一部をすぐに氷水中に急冷し構造を凍結し、オスニウム酸染色法によりEVAを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったところ、いずれのサンプルも両相連続構造が観察された。
【0101】
次に、上記構造を固定したガットをペレタイズし、再度押出温度250℃に設定し、滞留時間が5分間となる様スクリュー回転数を調整した2軸スクリュー押出機(日本製鋼所製TEX30α)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。本ガットは若干透明性の低下がみられ、また該ガットをオスニウム酸染色法によりEVAを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて透過型電子顕微鏡にて観察を行った。いずれのサンプルも両相連続構造が観察された。これらのことから、本系は鎖延長剤を添加後、再度溶融混練時にポリエステルオリゴマーが重合し、その分子量増加によって相分解が引き起こされたものと考えられる。
【0102】
上記再度溶融混練したガットは、加熱プレス(250℃×3分間)でシート化し、得られたシート(厚み0.2mm)から、長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.2mmのサンプルを切り出し、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で測定した引張強度、引張伸び、及び、打ち抜きプレスで試験片を取り、ASTM D1822に従って引張衝撃試験を行い、その測定結果を表1に記載した。さらに上記試験片を80℃95%RHで1000時間の湿熱処理を行った後、未処理試験片と同様に引張試験および引張衝撃試験を行い、その測定結果、および構造周期、構造の状態を観察した結果を表3に記載した。
【0103】
また、使用樹脂は、以下に示すものを使用した。
PBT−2:ポリエステルオリゴマー(ポリブチレンテレフタレート:o−クロロフェノール溶液で25℃で測定したときの固有粘度が0.28dl/gのもの)
EVA:ゴム質重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体:東ソー社製
“ウルトラセン”760;酢酸ビニル含量42%)
X−1:鎖延長剤(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)
X−2:添加剤(トリメチルリン酸(TMPA))。
【0104】
比較例5
ポリエステル樹脂としてポリマーであるPBT−1を使用し、鎖延長剤を添加しなかった以外は、実施例8〜10と同様に溶融混練し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定したサンプルを得たが、本サンプルは濁っており、また該ガットをオスニウム酸染色法によりEVAを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて1000倍に拡大して観察を行うと、1.0μm以上の不均一な分散構造物が観測された。このことから、本サンプルは、押出温度250℃の押出機中の剪断下で相溶化していないことがわかる。本サンプルについても、実施例8〜12と同様に機械特性を測定した結果、および構造の状態を観察した結果を表3に記載した。
【0105】
また、使用樹脂は、以下に示すものを使用した。
PBT−1:ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート:東レ(株)製“トレコン”1100S)
EVA:ゴム質重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体:東ソー社製
“ウルトラセン”760;酢酸ビニル含量42%)
【0106】
【表3】
【0107】
本発明のスピノーダル分解の初期過程で、特定構造周期の両相連続構造物を形成後、構造を発展させたサンプルにおいて、優れた強度/靱性を有し、さらに湿熱処理後もその特性が保持されることがわかる。
【0108】
実施例13〜15
表4記載の組成からなる原料の内、まず架橋剤無添加の状態で押出温度250℃に設定した2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。本ガットはいずれも透明であり、また該ガットをオスニウム酸染色法によりARを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったが、いずれのサンプルについても0.001μm以上の構造物がみられず相溶化していることを確認した。このことから、本系は、押出温度250℃の押出機中の剪断下で相溶化することがわかる。
【0109】
次に上記の構造を固定したガットから得られたペレットに架橋剤を表4記載の添加量となるよう添加し、同様に押出温度250℃に設定した2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。さらに該ガットから厚み100μmの切片を切り出し、250℃で熱処理を行い、この熱処理中の構造形成過程を小角X線散乱を用いて追跡した。いずれのサンプルも、熱処理開始から5分後以降にピークが出現し、またこのピークは、そのピーク位置を変化させずに強度を増加させる様子が観測された。この小角X線散乱においてピーク位置を変化させずに強度を増加させる過程はスピノーダル分解の初期過程に対応する。表4には該ピーク位置(θm)から下式で計算した、構造周期(Λm)を記した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
またこの小角X線散乱測定中初期過程の切片については、一部をすぐに氷水中に急冷し構造を凍結し、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったところ、いずれのサンプルも両相連続構造が観察された。
【0110】
次に、上記構造を固定したガットをペレタイズし、再度押出温度250℃に設定し、滞留時間が5分間となる様スクリュー回転数を調整した2軸スクリュー押出機(日本製鋼所製TEX30α)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固定した。本ガットは若干透明性の低下がみられ、また該ガットをオスニウム酸染色法によりARを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて透過型電子顕微鏡にて観察を行った。いずれのサンプルも両相連続構造が観察された。これらのことから、本系は架橋剤を添加後、再度溶融混練時にゴム質重合体の分子量増加によって相分解が引き起こされたものと考えられる。
【0111】
上記再度溶融混練したガットは、加熱プレス(250℃×3分間)でシート化し、得られたシート(厚み0.2mm)から、長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.2mmのサンプルを切り出し、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で測定した引張強度、引張伸び、及び、打ち抜きプレスで試験片を取り、ASTM D1822に従って引張衝撃試験を行い、その測定結果を表2に記載した。さらに上記試験片を80℃95%RHで1000時間の湿熱処理を行った後、未処理試験片と同様に引張試験および引張衝撃試験を行い、その測定結果、および構造周期、構造の状態を観察した結果を表4に記載した。
【0112】
また、使用樹脂は、以下に示すものを使用した。
PBT−3:ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート:o−クロロフェノール溶液で25℃で測定したときの固有粘度が0.53dl/gのもの)
AR−1:ゴム質重合体(アクリルゴム:デュポン社製、VAMAC−123;エチレン約73モル%、アクリル酸メチル約26モル%およびカルボン酸約1モル%の共重合品)
X−3:架橋剤(イソシアネート基末端のポリエステルオリゴマー:モベイ社製、“モンジュール”E−501)。
【0113】
比較例6
ゴム質重合体と架橋剤を予め、押出温度200℃に設定した2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−30)で混練したものを用いた以外は、実施例13〜15と同様に溶融混練し、ダイから吐出後すぐに氷水中に急冷し、構造を固定したサンプルを得たが、本サンプルは濁っており、また該サンプルをオスニウム酸染色法によりARを染色したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて1000倍に拡大して観察を行うと、0.5μm以上の不均一な分散構造物が観測された。このことから、本サンプルは、押出温度280℃の押出機中の剪断下で相溶化していないことがわかる。本サンプルについても、実施例13〜15と同様に機械特性を測定した結果、および構造周期、構造の状態を観察した結果を表4に記載した。
【0114】
【表4】
【0115】
本発明のスピノーダル分解の初期過程で、特定構造周期の両相連続構造物を形成後、構造を発展させたサンプルにおいて、優れた強度/靱性を有し、さらに湿熱処理後もその特性が保持されることがわかる。
【0116】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明のポリマーアロイは、組み合わせる樹脂によって強度および靱性に優れたり、耐熱性に優れたりするなどの特性を有するものであり、これらの特性を活かして構造材料として有用に用いることができる。さらには本発明のポリマーアロイは、規則性に優れる特性も有しており、これを活かして機能材料としても有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2のスピノーダル分解初期過程で得られた構造物の透過型電子顕微鏡写真を示す。
【図2】実施例2のスピノーダル分解初期過程で両相連続相を形成後、発展して得られた構造物の透過型電子顕微鏡写真を示す。
Claims (14)
- スピノーダル分解によって相分離せしめた、ポリカーボネートとスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレート、ポリスチレンとポリビニルメチルエーテル、ポリスチレンとポリイソプレン、ポリスチレンとポリフェニルメチルシロキサン、エチレン・酢酸ビニル共重合体と塩素化ポリエチレン、ポリアクリル酸ブチルと塩素化ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチルとスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリプロピレンと高密度ポリエチレン、ポリプロピレンとエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレンとエチレン・ポリプロピレン共重合体、ポリプロピレンとスチレン・ブタジエン共重合体、ポリプロピレンとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物、ポリカーボネートとスチレン・ブタジエン共重合体、ポリカーボネートとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物、ポリブチレンテレフタレートとスチレン・ブタジエン共重合体、およびポリブチレンテレフタレートとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれるいずれかの樹脂の組合せからなるポリマーアロイであり、上記スピノーダル分解の初期過程において構造周期0.001〜0.1μmの両相連続構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造まで発展せしめたものであることを特徴とするポリマーアロイ。
- 前記ポリマーアロイが、少なくとも1種のゴム質重合体を含むことを特徴とする請求項1記載のポリマーアロイ。
- ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を含むスピノーダル分解によって相分離せしめたポリマーアロイであり、かつ該ポリマーアロイが構造周期0.01〜1μmの両相連続構造を有することを特徴とするポリマーアロイ。
- 前記ポリマーアロイが、溶融混練を経て製造されたものである請求項1〜3いずれか1項記載のポリマーアロイ。
- 前記スピノーダル分解が、溶融混練時の剪断下では相溶し、吐出後の非剪断下で相分離するものである請求項4記載のポリマーアロイ。
- エポキシ樹脂モノマーおよび/またはオリゴマーに、ポリエーテルスルホンまたはフェノキシ樹脂を相溶させエポキシ樹脂を硬化させることにより相分解させる方法、
熱硬化性ポリアリルエーテルオリゴマーに、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、およびポリエーテルケトンケトンから選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂を相溶化し、熱硬化性ポリアリルエーテルオリゴマーを重合させて相分解させる方法、
アクリルゴムをポリエステル樹脂に一旦相溶解させ、その後、架橋剤を添加し該アクリルゴムを架橋することによる分子量増加に伴い相分解させる方法、
ポリエステルオリゴマーとゴム質重合体を一旦相溶解させ、その後、鎖延長剤を添加しポリエステルオリゴマーを架橋することによる分子量増加に伴い相分解させる方法、のいずれかによりポリマーアロイを構成する樹脂成分のうち少なくとも1成分の前駆体を、残りの樹脂成分の共存下で化学反応せしめることによりスピノーダル分解を誘発せしめて、スピノーダル分解の初期過程において構造周期0.001〜0.1μmの両相連続構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造まで発展せしめたものであることを特徴とするポリマーアロイ。 - 前記スピノーダル分解が、化学反応前は一旦相溶し、化学反応後に相分離するものである請求項6記載のポリマーアロイ。
- 射出成形用である請求項1〜7いずれか1項記載のポリマーアロイ。
- フィルムおよび/またはシート押出成形用である請求項1〜7いずれか1項記載のポリマーアロイ。
- ポリカーボネートとスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレート、ポリスチレンとポリビニルメチルエーテル、ポリスチレンとポリイソプレン、ポリスチレンとポリフェニルメチルシロキサン、エチレン・酢酸ビニル共重合体と塩素化ポリエチレン、ポリアクリル酸ブチルと塩素化ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチルとスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリプロピレンと高密度ポリエチレン、ポリプロピレンとエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレンとエチレン・ポリプロピレン共重合体、ポリプロピレンとスチレン・ブタジエン共重合体、ポリプロピレンとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物、ポリカーボネートとスチレン・ブタジエン共重合体、ポリカーボネートとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物、ポリブチレンテレフタレートとスチレン・ブタジエン共重合体、およびポリブチレンテレフタレートとスチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれるいずれかの樹脂の組合せをスピノーダル分解により相分離せしめるポリマーアロイの製造方法であって、スピノーダル分解の初期過程において構造周期0.001〜0.1μmの両相連続構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造まで発展せしめることを特徴とするポリマーアロイの製造方法。
- 前記樹脂の組合せを溶融混練することによりスピノーダル分解を誘発することを特徴とする請求項10記載のポリマーアロイの製造方法。
- 溶融混練時の剪断下で前記樹脂の組合せを相溶し、吐出後の非剪断下で相分離することを特徴とする請求項11記載のポリマーアロイの製造方法。
- エポキシ樹脂モノマーおよび/またはオリゴマーに、ポリエーテルスルホンまたはフェノキシ樹脂を相溶させエポキシ樹脂を硬化させることにより相分解させる方法、
熱硬化性ポリアリルエーテルオリゴマーに、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、およびポリエーテルケトンケトンから選ばれた1種以上の熱可塑性樹脂を相溶化し、熱硬化性ポリアリルエーテルオリゴマーを重合させて相分解させる方法、
アクリルゴムをポリエステル樹脂に一旦相溶解させ、その後、架橋剤を添加し該アクリルゴムを架橋することによる分子量増加に伴い相分解させる方法、
ポリエステルオリゴマーとゴム質重合体を一旦相溶解させ、その後、鎖延長剤を添加しポリエステルオリゴマーを架橋することによる分子量増加に伴い相分解させる方法、のいずれかによりポリマーアロイを構成する樹脂成分のうち少なくとも1成分の前駆体を、残りの樹脂成分の共存下で化学反応せしめることによりスピノーダル分解を誘発し、スピノーダル分解の初期過程において構造周期0.001〜0.1μmの両相連続構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構造まで発展せしめることを特徴とするポリマーアロイの製造方法。 - 化学反応前は一旦相溶し、化学反応後に相分離することを特徴とする請求項13記載のポリマーアロイの製造方法。
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