JP4792721B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
(1)ポリカーボネート樹脂100重量部と、スチレン・アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれる少なくとも1種の樹脂10〜1000重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、該組成物の赤外線吸収スペクトルを測定した場合、2933±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークと2965±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークの強度比(赤外吸収ピーク強度比)が、下式1を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物、
赤外吸収ピーク強度比=I(2933cm−1)/I(2965cm−1)≧0.43 −[式1]
I(2933cm−1):該組成物中の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
I(2965cm−1):該組成物中の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
(2)前記ポリカーボネート樹脂組成物が、構造周期0.001〜5μm未満の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μm未満の分散構造を形成していることを特徴とする上記(1)記載のポリカーボネート樹脂組成物、
(3)スチレン・アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれる少なくとも1種の樹脂が、剪断速度100〜10000sec−1の範囲の剪断下でポリカーボネート樹脂と相溶となる樹脂を含むものであることを特徴とする上記(1)〜(2)いずれか記載のポリカーボネート樹脂組成物、
(4)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする上記(1)〜(3)いずれか記載のポリカーボネート樹脂組成物、
(5)前記ポリカーボネート樹脂組成物が、さらにゴム質重合体を含有することを特徴とする上記(4)記載のポリカーボネート樹脂組成物、
(6)ゴム質重合体がポリカーボネート樹脂100重量部に対して、1〜100重量部であることを特徴とする上記(5)記載のポリカーボネート樹脂組成物、
(7)ポリカーボネート樹脂100重量部と、スチレン・アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれる少なくとも1種の樹脂10〜1000重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物からなるペレットであって、該ペレット表面の赤外線吸収スペクトルを測定した場合、2933±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークと2965±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークの強度比(赤外吸収ピーク強度比)が、下式2を満足することを特徴とするペレット、
赤外吸収ピーク強度比=Ip(2933cm−1)/Ip(2965cm−1)≧0.43−[式2]
Ip(2933cm−1):ペレット表面の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
Ip(2965cm−1):ペレット表面の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
(8)ポリカーボネート樹脂100重量部と、スチレン・アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれる少なくとも1種の樹脂10〜1000重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物からなるフィルムまたはシートであって、該フィルムまたはシート表面の赤外線吸収スペクトルを測定した場合、2933±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークと2965±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークの強度比(赤外吸収ピーク強度比)が、下式3を満足することを特徴とするフィルムまたはシート、
赤外吸収ピーク強度比=If(2933cm−1)/If(2965cm−1)≧0.43−[式3]
If(2933cm−1):フィルムまたはシート表面の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
If(2965cm−1):フィルムまたはシート表面の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
(9)ポリカーボネート樹脂100重量部と、スチレン・アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれる少なくとも1種の樹脂10〜1000重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物からなる射出成形品であって、該射出成形品表面の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークと2965±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークの強度比(赤外吸収ピーク強度)が、下式4を満足することを特徴とする射出成形品、
赤外吸収ピーク強度比=Ii(2933cm−1)/Ii(2965cm−1)≧0.43−[式4]
Ii(2933cm−1):射出成形品表面の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
Ii(2965cm−1):射出成形品表面の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールA、つまり2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルアルカンあるいは4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた1種以上のジヒドロキシ化合物を主原料とするものが好ましく挙げられる。なかでもビスフェノールA、つまり2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料として製造されたものが好ましい。具体的には、上記ビスフェノールAなどをジヒドロキシ成分として用い、エステル交換法あるいはホスゲン法により得られたポリカーボネートが好ましい。さらに、上記ビスフェノールAは、これと共重合可能なその他のジヒドロキシ化合物、例えば4,4'−ジヒドロキシジフェニルアルカンあるいは4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどと併用することも可能であり、その他のジヒドロキシ化合物の使用量は、ジヒドロキシ化合物の総量に対し、10モル%以下であることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂と、スチレン・アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有するものである。
赤外吸収ピーク強度比=I(2933cm−1)/I(2965cm−1)≧0.43−[式1]
I(2933cm−1):該組成物の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
I(2965cm−1):該組成物の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
なお、上記においてピーク強度とは、ピーク位置における強度値から、該位置におけるベース直線上の強度値を差し引いた値のことを指す。またかかるベース直線とは、3200cm−1、及び2700cm−1の強度を結んだ直線のことである。またかかる赤外線吸収スペクトルの測定は、赤外吸収ATR測定により行うことができる。赤外線吸収スペクトルにおいて、2933cm−1付近に現れるピークは、C=O及びO−C−Oのコンビネーションに帰属し、2965cm−1付近に現れるピークはC−H非対称伸縮に帰属するものである。すなわち、上記赤外吸収ピーク強度比は、ポリカーボネートのC=Oに対しシス−トランス構造が支配的なアモルファス相に対する、ポリカーボネートのC=Oに対しトランス−トランス構造が支配的なセミクリスタル相の割合を表し、本発明においては、ポリカーボネート樹脂組成物中、赤外線吸収スペクトルで測定されるポリカーボネート樹脂のセミクリスタル相/アモルファス相比が、上記式(1)を満たす場合に、耐衝撃性が飛躍に向上することを見いだしたものである。
(ここでTsはスピノーダル曲線上の温度)
ここで両相連続構造とは、混合する樹脂の両成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造を指す。この両相連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)に記載されている。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
により計算することができる。
上記ポリカーボネート樹脂組成物は、上記のように2軸押出機等を用いて溶融混練し、ガット状またはシート状に吐出したものをカッティングすることによりペレット状に加工することができる。
Ip(2933cm−1):ペレット表面の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
Ip(2965cm−1):ペレット表面の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
上記赤外線吸収スペクトルにおける吸収のピーク強度、測定法は、前記式1において説明したのと同様である。
上記ポリカーボネート樹脂組成物は、溶融製膜を経ることによりフィルムまたはシートに加工することができる。
If(2933cm−1):フィルムまたはシート表面の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
If(2965cm−1):フィルムまたはシート表面の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
上記赤外吸収スペクトルにおける吸収のピーク強度、測定法は、前記式1において説明したのと同様である。
上記ポリカーボネート樹脂組成物は、射出成形を経ることにより射出成形品を得ることができる。
Ii(2933cm−1):射出成形品表面の2933±5cm−1の範囲に現れる赤外吸収のピーク強度
Ii(2965cm−1):射出成形品表面の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
上記赤外線吸収スペクトルにおける吸収のピーク強度、測定法とは、前期式1において説明したのと同様である。 また本発明の射出成形品は、ポリカーボネート樹脂とポリカーボネート樹脂以外の樹脂とが、構造周期0.001〜5μm未満の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μm未満の分散構造を形成していることが好ましい。
実施例、比較例では以下の評価方法を用いた。
得られたペレットを、ホッパ下から先端に向かって、240℃−250℃−260℃−260℃に設定した日精樹脂工業社製射出成形機(PS−60E9DSE)で、金型温度80℃とし、保圧10秒、冷却時間30秒の成形サイクルで厚さ1/8インチ(3.2mm)のモールドノッチ付きアイゾット衝撃試験片を成形した。
実施例、比較例で得られた吐出ガット、ペレット表面、射出成形品表面、シート表面について、パーキンエルマー社製Spectrum One フーリエ変換赤外吸収ATR装置を用い、分解能4cm−1、積算回数4回で、赤外線吸収スペクトルを測定し、2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度と2965±55cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度を求めた。また該赤外吸収ピーク強度とは、ピーク位置における強度値から、該位置におけるベース直線上の強度値を差し引いた値で計算した。またかかるベース直線とは、3200cm−1、及び2700cm−1の強度を結んだ直線とした。
i)電子顕微鏡による観察
吐出ガット。ペレット、射出成形品またはシートをヨウ素染色法によりポリカーボネート樹脂を染色後、ウルトラミクロトームを用いて超薄切片を切り出し、サンプルとした。そのサンプルについて日立製作所製H−7100型透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して相構造の観察を行った。両相連続構造が観察されたものは、下記ii)の測定を行い、構造周期を決定した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)。
厚さ1/8インチ(3.2mm)のモールドノッチ付きアイゾット試験片を使用し、ASTM D638に従い、アイゾット衝撃値を測定した。
PC−1:ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製“ユーピロン”E2000、ガラス転移温度151℃、0.7gを100mlの塩化 メチレンに溶解し20℃で測定した時の比粘度1.18)
PC−2:ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製“ユーピロン”S2000、ガラス転移温度151℃、0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し20℃で測定した時の比粘度0.78)
PC−3:ポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製“タフロン”A1900、ガラス転移温度151℃、0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し20℃で測定した時の比粘度0.48)
PC−4:ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製“ユーピロン”H4000、ガラス転移温度151℃、0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し20℃で測定した時の比粘度0.44)
不活性粒子:平均粒径2.5μm(2次径)の湿式シリカ
離型剤−1:エチレングリコールモンタン酸エステル(クラリアントジャパン社製、Licowax E)。
表1記載の組成からなる原料を、押出温度250℃に設定し、ニーディングゾーンを2つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数300rpmとした2軸押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットを、氷水中に急冷した。各実施例のガットはいずれも透明であり、またこれらのガットをヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったが、いずれのサンプルについても0.001μm以上の構造物がみられず相溶化していることを確認した。これらのガットの2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度と2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度を求め、下式1に従って計算した赤外吸収ピーク強度比を表1に示した。
I(2933cm−1):該組成物中の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
I(2965cm−1):該組成物中の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
次に、ダイから吐出後のガットを10℃に温調した水を満たした冷却バス中を15秒間かけて通過させることで急冷し構造を固定した後ストランドカッターでペレタイズしペレットを得た。各実施例のペレットはいずれも透明であるが、ヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、切り出した超薄切片であるサンプルを用いて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったところ、実施例1〜3及び5〜6は0.001μm以上の構造物がみられず相溶化しているが、実施例4では、0.07μmの両相連続構造が形成していることを確認した。またこれらのペレットの2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度と2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度を求め、下式2に従って計算した赤外吸収ピーク強度比を表1に示した。
Ip(2933cm−1):ペレット表面の2933±5cm−1の範囲に現れる赤外吸収のピーク強度
Ip(2965cm−1):ペレット表面の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
得られたペレットを用いて上記製造法にしたがって厚さ1/8インチ(3.2mm)のアイゾット衝撃試験片を成形した。このアイゾット衝撃試験片を用いて、ASTM D638に従い23℃でのアイゾット衝撃試験を行った。結果を表1に示した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)。
Ii(2933cm−1):射出成形品表面の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
Ii(2965cm−1):射出成形品表面の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
[比較例1〜2]
スクリュー回転数を100、及び200回転とする以外は実施例1〜6と同様にして溶融混練を行いガットを得た。比較例1のガットは不透明であり、比較例2のガットは透明であった。これらのサンプルについても実施例1〜6と同様にペレット、成形品を作製し、それぞれ顕微鏡観察及び赤外吸収ピーク強度比を求め表1に示した。また比較例1のサンプルの構造周期は、電子顕微鏡写真から構造周期を求めた。また、実施例1〜6と同様に成形評価を行い結果を表1に示した。
表2記載の組成からなる原料を実施例1〜6と同様にして溶融混練を行いペレットを得た。さらに、得られたペレットを用いて、押出温度250℃に設定し、先端部にTダイを有する単軸押出機(φ40mm)に供給し、フィルム化を行った。尚、フィルム化においては、Tダイの下部に50℃に温調したハードクロムの鏡面キャストドラムにTダイの口金から吐出した樹脂をキャストし、さらに50℃に温調した第2ドラムを通過後、巻き取り速度が一定となる様、毎分5mに設定したロール間を通過後、巻き取りロールにより巻き取ることによりフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは0.1mmであった。また得られたフィルムは透明であったが、ヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行い、いずれのサンプルも両相連続構造物が存在することを確認した。また、小角X線散乱によって構造周期を測定した。またこれらのフィルムの2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度と2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度を求め、下式4に従って計算した赤外吸収ピーク強度比を表2に示した。
If(2933cm−1):フィルム表面の2933±5cm−1の範囲に現れる赤外吸収のピーク強度
If(2965cm−1):フィルム表面の2965±5cm−1の範囲に現れる赤外吸収のピーク強度
次に上記得られたフィルムから長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.1mmのサンプルを切り出し、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で測定した引張強度、引張伸びを測定した結果を表2に記載した。
表2記載の組成からなる原料を、スクリュー回転数を100、及び200回転とする以外は実施例7〜11と同様にして溶融混練を行いガットを得た。これらのサンプルについても実施例7〜11と同様にペレット、フィルムを作製し、それぞれ顕微鏡観察及び赤外吸収ピーク強度比を求め表2に示した。また比較例3のサンプルの構造周期は、電子顕微鏡写真から構造周期を求めた。また、実施例7〜11と同様にフィルムから長さ×幅×厚み=50mm×10mm×0.1mmのサンプルを切り出し、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で測定した引張強度、引張伸びを測定した結果を表2に記載した。
ゴム質重合体を配合した表3記載の組成からなる原料を実施例1〜6と同様にして溶融混練を行いペレット、成形品を作製し、それぞれ透過型電子顕微鏡観察及び赤外吸収ピーク強度比を求め、表3に示した。またいずれのサンプルにおいてもガット、及びペレットでは、PCとPBTが相溶したマトリックスに、ゴム質重合体が分散した構造であった。一方、成形品では、上記マトリックスにおいてPCとPBTが相分離した構造となり、かかる構造の構造周期について、電子顕微鏡から構造周期を求めた。また実施例1〜6と同様に成形評価を行い、23℃、及び−40でのアイゾット衝撃試験を行い、結果を表3に示した。尚使用樹脂は、以下に示すものを使用した。
PC−1:ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製“ユーピロン”E2000、ガラス転移温度151℃、0.7gを100mlの塩
ゴム質重合体−1:コアシェルポリマー(鐘淵化学(株)製“カネエース”FM511)
ゴム質重合体−2:コアシェルポリマー(三菱レーヨン(株)製“メタブレン”S2001)
離型剤−2:ポリエチレン(三井化学社製、“ハイゼックス”7000F)。
Claims (9)
- ポリカーボネート樹脂100重量部と、スチレン・アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれる少なくとも1種の樹脂10〜1000重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、該組成物の赤外線吸収スペクトルを測定した場合、2933±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークと2965±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークの強度比(赤外吸収ピーク強度比)が、下式1を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
赤外吸収ピーク強度比=I(2933cm−1)/I(2965cm−1)≧0.43 −[式1]
I(2933cm−1):該組成物中の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
I(2965cm−1):該組成物中の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度 - 前記ポリカーボネート樹脂組成物が、構造周期0.001〜5μm未満の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μm未満の分散構造を形成していることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- スチレン・アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれる少なくとも1種の樹脂が、剪断速度100〜10000sec−1の範囲の剪断下でポリカーボネート樹脂と相溶となる樹脂を含むものであることを特徴とする請求項1〜2いずれか記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物が、さらにゴム質重合体を含有することを特徴とする請求項4記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ゴム質重合体がポリカーボネート樹脂100重量部に対して、1〜100重量部であることを特徴とする請求項5記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂100重量部と、スチレン・アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれる少なくとも1種の樹脂10〜1000重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物からなるペレットであって、該ペレット表面の赤外線吸収スペクトルを測定した場合、2933±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークと2965±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークの強度比(赤外吸収ピーク強度比)が、下式2を満足することを特徴とするペレット。
赤外吸収ピーク強度比=Ip(2933cm−1)/Ip(2965cm−1)≧0.43−[式2]
Ip(2933cm−1):ペレット表面の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
Ip(2965cm−1):ペレット表面の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度 - ポリカーボネート樹脂100重量部と、スチレン・アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれる少なくとも1種の樹脂10〜1000重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物からなるフィルムまたはシートであって、該フィルムまたはシート表面の赤外線吸収スペクトルを測定した場合、2933±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークと2965±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークの強度比(赤外吸収ピーク強度比)が、下式3を満足することを特徴とするフィルムまたはシート。
赤外吸収ピーク強度比=If(2933cm−1)/If(2965cm−1)≧0.43−[式3]
If(2933cm−1):フィルムまたはシート表面の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
If(2965cm−1):フィルムまたはシート表面の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度 - ポリカーボネート樹脂100重量部と、スチレン・アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体の水添物から選ばれる少なくとも1種の樹脂10〜1000重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物からなる射出成形品であって、該射出成形品表面の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークと2965±5cm−1の範囲に現れる吸収ピークの強度比(赤外吸収ピーク強度)が、下式4を満足することを特徴とする射出成形品。
赤外吸収ピーク強度比=Ii(2933cm−1)/Ii(2965cm−1)≧0.43−[式4]
Ii(2933cm−1):射出成形品表面の2933±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
Ii(2965cm−1):射出成形品表面の2965±5cm−1の範囲に現れる吸収のピーク強度
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