JP4696476B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を配合してなるポリマーアロイに充填材を含有せしめてなる熱可塑性樹脂組成物であって、ポリマーアロイ中の優れた規則性による高強度、高剛性に加えて、表面外観に優れた成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂からなるポリマーアロイは、優れた機械特性、寸法安定性、耐薬品性を有し各種工業分野に広く使用されており、中でも、自動車部品として広く使用されている。
自動車分野において、使用部位によっては、特に高い機械的性質が必要となることから、これらの改良を目的に、無機粒子、ガラス繊維に代表される充填材を配合することが有効であることは周知である。
特許文献1には、ポリカーボネート樹脂と、ポリブチレンテレフタレート樹脂をスピノーダル分解により、構造周期0.001〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの分散構造とすることで、機械強度が改良されることを示しており、さらにタルク、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、セリサイト、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、岩綿、炭酸カルシウム、ケイ砂、ワラステナイト、硫酸バリウム、ガラスビーズ、酸化チタンなどの強化材、非板状充填材を配合することが記載されている。しかし上記特許文献に記載されている様に単に強化材、非板状充填材を配合するのみでは、表面外観に優れた成形品を得るには必ずしも満足すべきものではなく、さらなる改良が要望されていた。
特開2003−286414号公報(第2頁、実施例)
本発明は、少なくともポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を配合してなるポリマーアロイに、特定の充填材を含有せしめることで、高強度、高剛性に加えて、表面外観に優れた成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物を提供することをその課題とするものである。
本発明者らは、少なくともポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を配合してなるポリマーアロイに、充填材を含有せしめた熱可塑性樹脂組成物において、高強度、高剛性に加えて、優れた耐候性を有すことで表面外観に優れた成形品を提供すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂組成物中、前記ポリマーアロイが、構造周期0.001〜5μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μm未満の分散構造を形成させ、かつ特定の充填材を配合することで高強度、高剛性に加えて、表面外観に優れた成形品が得られることを見出し本発明を完成させるにいたった。
すなわち本発明は、
(1)少なくともポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂をポリブチレンテレフタレート樹脂/ポリカーボネート樹脂=10/90〜90/10(重量比)の範囲で配合してなるポリマーアロイに、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂の合計量100重量部に対し、下記(a)無機粒子1重量部から200重量部および/または下記(b)ガラス繊維10重量部から100重量部を含有せしめてなる熱可塑性樹脂組成物であって、さらに該熱可塑性樹脂組成物中、前記ポリマーアロイが、構造周期0.001〜5μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μmの分散構造を形成していることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(a)レーザー回折法で測定した数平均粒子径が10μm以下の無機粒子
(b)熱可塑性樹脂組成物中のガラス繊維の60重量%以上が繊維長0.1〜1mmの範囲にあるガラス繊維
(2)前記無機粒子が、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウムの中から選ばれた1種以上であることを特徴とする前記(1)記載の熱可塑性樹脂組成物であり、また
(3)前記ポリマーアロイを構成するポリカーボネート樹脂が、ポリカーボネート樹脂0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し20℃で測定した時の比粘度0.8以上であることを特徴とする前記(1)または(2)記載の熱可塑性樹脂組成物である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリマーアロイ中の優れた規則性による高強度、高剛性に加えて、優れた耐候性を有すことで表面外観に優れた成形品を得ることができるため、これらの特性を活かし自動車部品として有用に用いることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(1)ポリブチレンテレフタレート樹脂
本発明で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体と1,4−ブタンジオールあるいはそのエステル形成性誘導体とを主成分とし重縮合反応によって得られる重合体であって、特性を損なわない範囲において共重合成分を含んでも良く、共重合成分の共重合量は全単量体に対して20モル%以下であることが好ましい。
これら重合体および共重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)ポリ(ブチレン/エチレン)テレフタレート等が挙げられ、単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
またこれら重合体および共重合体は、成形性、機械的特性の観点からo−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度が0.36〜1.60、特に0.52〜1.25の範囲にあるものが好適であり、さらには0.6〜1.0の範囲にあるものが最も好ましい。
(2)ポリカーボネート樹脂
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールA、つまり2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルアルカンあるいは4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた1種以上のジヒドロキシ化合物を主原料とするものが好ましく挙げられる。なかでもビスフェノールA、つまり2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主原料として製造されたものが好ましい。具体的には、上記ビスフェノールAなどをジヒドロキシ成分として用い、エステル交換法あるいはホスゲン法により得られたポリカーボネートが好ましい。さらに、上記ビスフェノールAは、これと共重合可能なその他のジヒドロキシ化合物、例えば4,4'−ジヒドロキシジフェニルアルカンあるいは4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどと併用することも可能であり、その他のジヒドロキシ化合物の使用量は、ジヒドロキシ化合物の総量に対し、10モル%以下であることが好ましい。
また上記ポリカーボネート樹脂は、優れた耐衝撃性と成形性の観点から、ポリカーボネート樹脂0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し20℃で測定したときの比粘度が0.1〜2.0、特に0.5〜1.5の範囲にあるものが好適であり、さらには0.8〜1.5の範囲にあるものが最も好ましい。
(3)ポリマーアロイ
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いるポリマーアロイは、少なくとも上記ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を配合してなるポリマーアロイからなり、かかるポリマーアロイが、構造周期0.001〜5μm未満の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μm未満の分散構造を形成していることが必要である。
かかる構造を有するポリマーアロイを得る方法としては、後述のスピノーダル分解を利用する方法が好ましい。
一般に、2成分の樹脂からなるポリマーアロイには、相溶系、非相溶系および半相溶系がある。相溶系は、平衡状態である非剪断下において、ガラス転移温度以上、熱分解温度以下の実用的な温度の全領域において相溶な系である。非相溶系は、相溶系とは逆に、全領域で非相溶となる系である。半相溶系は、ある特定の温度および組成の領域で相溶し、別の領域で非相溶となる系である。さらにこの半相溶系には、その相分離状態の条件によってスピノーダル分解によって相分離するものと、核生成と成長によって相分離するものがある。
さらに3成分以上からなるポリマーアロイの場合は、3成分以上のいずれもが相溶である系、3成分以上のいずれもが非相溶である系、2成分以上のある相溶な相と、残りの1成分以上の相が非相溶な系、2成分が半相溶系で、残りの成分がこの2成分からなる半相溶系に分配される系などがある。本発明においては、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂以外の3成分以上からなるポリマーアロイの場合、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂以外の3成分目が、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂の少なくともいずれかに分配される系であることが好ましい。この場合ポリマーアロイの構造は、2成分からなる非相溶系の構造と同等になる。以下2成分の樹脂からなるポリマーアロイで代表して説明する。
上記非相溶系においても溶融混練によってスピノーダル分解を誘発することが可能であり、それには、溶融混練時の剪断速度100〜10000sec−1の剪断下で一旦相溶化し、その後非剪断下とすることにより相分解するいわゆる剪断場依存型スピノーダル分解により相分離する。この剪断場依存型スピノーダル分解様式の基本部分については、上述の一般的な半相溶系におけるスピノーダル分解と同様であることから、以下一般的な半相溶系におけるスピノーダル分解について説明した後、本発明に特徴的な部分を付記する形で説明する。
一般にスピノーダル分解による相分離とは、異なる2成分の樹脂組成および温度に対する相図において、スピノーダル曲線の内側の不安定状態で生じる相分離のことを指す。一方、核生成と成長による相分離とは、該相図においてバイノーダル曲線の内側であり、かつスピノーダル曲線の外側の準安定状態で生じる相分離のことを指す。
かかるスピノーダル曲線とは、組成および温度に対して、異なる2成分の樹脂を混合した場合、相溶な場合の自由エネルギーと相溶しない2相における自由エネルギーの合計との差(ΔGmix)を濃度(φ)で二回偏微分したもの(∂ΔGmix/∂φ)が0となる曲線のことである。スピノーダル曲線の内側では、∂ΔGmix/∂φ<0の不安定状態であり、スピノーダル曲線の外側では∂ΔGmix/∂φ>0である。
またバイノーダル曲線とは、組成および温度に対して、系が相溶な領域と非相溶な領域の境界の曲線のことである。
ここで相溶状態とは、分子レベルで均一に混合している状態のことである。具体的には異なる成分からなる相が、0.001μm以上の構造物を形成していない場合を指す。また、非相溶状態とは、相溶状態でない場合のことである。すなわち異なる成分からなる相が、0.001μm以上の構造物を形成している状態のことを指す。ここで、0.001μm以上の構造物とは、例えば、構造周期0.001〜1μmの両相連続構造や粒子間距離0.001〜1μmの分散構造などのことである。相溶か否かは、例えばPolymer Alloys and Blends, Leszek A Utracki, hanser Publishers,MunichViema New York,P64,に記載の様に、電子顕微鏡、示差走査熱量計(DSC)、その他種々の方法によって判断することができる。
詳細な理論によると、スピノーダル分解では、一旦相溶領域の温度で均一に相溶化した混合系の温度を、不安定領域の温度まで急速に変化させた場合、系は共存組成に向けて急速に相分離を開始する。その際濃度は一定の波長に単色化され、構造周期(Λm)で両分離相が共に連続して規則正しく絡み合った両相連続構造を形成する。この両相連続構造形成後、その構造周期を一定に保ったまま、両相の濃度差のみが増大する過程をスピノーダル分解の初期過程と呼ぶ。
さらに上述のスピノーダル分解の初期過程における構造周期(Λm)は熱力学的に下式のような関係がある。
Λm〜[│Ts−T│/Ts]−1/2
(ここでTsはスピノーダル曲線上の温度)
ここで両相連続構造とは、混合する樹脂の両成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造を指す。この両相連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)に記載されている。
上記剪断場依存型スピノーダル分解では、剪断を賦与することにより相溶領域が拡大する。つまりはスピノーダル曲線が剪断を賦与することにより大きく変化するため、スピノーダル曲線が変化しない上記一般的なスピノーダル分解に比べて、同じ温度変化幅においても実質的な過冷却度(│Ts−T│)が大きくなる。その結果、上述の関係式におけるスピノーダル分解の構造周期を小さくすることが容易となる。
スピノーダル分解では、この様な初期過程を経た後、波長の増大と濃度差の増大が同時に生じる中期過程、濃度差が共存組成に達した後、波長の増大が自己相似的に生じる後期過程を経て、最終的には巨視的な2相に分離するまで進行する。本発明においては、本発明で規定する範囲内の所望の構造周期に到達した段階で構造を固定すればよい。また中期過程から後期過程にかける波長の増大過程において、組成や界面張力の影響によっては、片方の相の連続性が途切れ、上述の両相連続構造から分散構造に変化する場合もある。この場合には本発明で規定する範囲内の所望の粒子間距離に到達した段階で構造を固定すればよい。
ここで分散構造とは、片方の相が連続相であるマトリックスの中に、もう片方の相である粒子が点在している、いわゆる海島構造のことをさす。
またこの初期過程から構造発展させる方法に関しては、特に制限はないが、ポリマーアロイを構成する個々の樹脂成分のガラス転移温度のうち、最も低い温度以上で熱処理する方法が通常好ましく用いられる。さらにはポリマーアロイが相溶状態で単一のガラス転移温度を有する場合や、相分解が進行しつつある状態で、ポリマーアロイのガラス転移温度がポリマーアロイを構成する個々の樹脂成分のガラス転移温度間にある場合には、そのポリマーアロイ中のガラス転移温度のうち最も低い温度以上で熱処理することがより好ましい。
またスピノーダル分解による構造を固定化する方法としては、急冷等により、相分離相の一方または両方の相の構造を固定する方法や、一方が熱硬化する成分である場合、熱硬化性成分の相が反応によって自由に運動できなくなることを利用する方法、さらに一方が結晶性樹脂である場合、結晶性樹脂相を結晶化によって自由に運動できなくなることを利用する方法が挙げられる。中でも結晶性樹脂を用いた場合、結晶化による構造固定が好ましく用いられる。
一方、核生成と成長により相分離する系では、その初期から海島構造である分散構造が形成されてしまい、それが成長するため、本発明の様な規則正しく並んだ構造周期0.001〜5μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μmの範囲の分散構造を形成させることは困難である。
かかる両相連続構造、もしくは分散構造が得られていることを確認するためには、規則的な周期構造が確認されることが重要である。そのためには、例えば、光学顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察により、両相連続構造が形成されることの確認に加えて、光散乱装置や小角X線散乱装置を用いて行う散乱測定において、散乱極大が現れることを確認する。なお、光散乱装置、小角X線散乱装置は最適測定領域が異なるため、構造周期の大きさに応じて適宜選択して用いられる。この散乱測定における散乱極大の存在は、ある周期を持った規則正しい相分離構造が存在することの証明であり、その周期Λm は、両相連続構造の場合構造周期に対応し、分散構造の場合粒子間距離に対応する。またその値は、散乱光の散乱体内での波長λ、散乱極大を与える散乱角θm を用いて次式
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
により計算することができる。
スピノーダル分解を実現させるためには、2成分以上の樹脂を、一旦相溶状態とした後、スピノーダル曲線の内側の不安定状態とすることが必要である。一般的な半相溶系におけるスピノーダル分解においては、相溶条件下で溶融混練後、非相溶域に温度ジャンプさせることによって、スピノーダル分解を生じさせ得る。一方、上記剪断場依存型スピノーダル分解においては、非相溶系において、溶融混練時の剪断速度100〜10000sec−1の範囲の剪断下で相溶化しているため、非剪断下とすることのみでスピノーダル分解を生じさせ得る。本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を配合してなるポリマーアロイは、上記剪断場依存型スピノーダル分解に属し、溶融混練時の剪断速度100〜10000sec−1の範囲の剪断下で相溶化するため、非剪断下とすることのみでスピノーダル分解を生じさせ得る。なお、上記において剪断速度は、例えば平行円盤型剪断賦与装置を用いる場合、所定の温度に加熱し溶融状態とした樹脂を平行円盤間に投入し、中心からの距離(r)、平行円盤間の間隔(h)、回転の角速度(ω)から、ω×r/hとして求めることが可能である。
かかるポリマーアロイの具体的な製造方法としては、上記剪断場依存型スピノーダル分解を利用する方法が好ましい例として挙げられ、溶融混練時の相溶化を実現させる方法として、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を、2軸押出機のニーディングゾーンにおいて、高剪断応力下で溶融混練する方法が好ましい方法として挙げられる。
かかる2軸押出機を用いる場合、ニーディングブロックを多用したスクリューアレンジにしたり、樹脂温度を下げたり、スクリュー回転数を高くしたり、使用ポリマーの粘度を上げることによってより高剪断応力状態を形成することにより、適宜調節することができる。
使用ポリマーの粘度を上げ高剪断応力状態を形成する場合、好ましいポリカーボネート樹脂の比粘度は、0.5〜1.5の範囲であり、さらに好ましくは、0.8〜1.5の範囲である。ここでポリカーボネート樹脂の比粘度は、ポリカーボネート0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し20℃で測定することによって求めることができる。
かかるポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂との配合量の、ポリブチレンテレフタレート樹脂/ポリカーボネート樹脂=10/90〜90/10(重量比)であり、15/85〜85/15(重量比)の範囲が好ましい。
また、上記ポリマーアロイに、さらにポリマーアロイを構成する成分を含むブロックコポリマーやグラフトコポリマーやランダムコポリマーなどの第3成分を添加することは、相分離した相間における界面の自由エネルギーを低下させ、両相連続構造における構造周期や、分散構造における分散粒子間距離の制御を容易にするため好ましい。この場合、通常、かかるコポリマーなどの第3成分は、それを除く2成分の樹脂からなるポリマーアロイの各相に分配されるため、2成分の樹脂からなるポリマーアロイ同様に取り扱うことができる。
また、本発明のポリマーアロイには、さらに他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を本発明の構造を損なわない範囲で含有させることもできる。これらの熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリエステル、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド等が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は、本発明のポリマーアロイを製造する任意の段階で配合することが可能である。例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を配合する際に同時に添加する方法や、予めポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を溶融混練した後に添加する方法や、始めにポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂のうち、いずれか片方の樹脂に添加し溶融混練後、残りの樹脂を配合する方法等が挙げられる。
なお、本発明のポリマーアロイには、本発明の目的を損なわない範囲でさらに各種の添加剤を含有させることもできる。これらの添加剤としては、例えば酸化防止剤(リン系、硫黄系など)、紫外線吸収剤、熱安定剤(ヒンダードフェノール系など)、エステル交換反応抑制剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、染料および顔料を含む着色剤、難燃剤(ハロゲン系、リン系など)、難燃助剤(三酸化アンチモンに代表されるアンチモン化合物、酸化ジルコニウム、酸化モリブデンなど)、発泡剤、カップリング剤(エポキシ基、アミノ基メルカプト基、ビニル基、イソシアネート基を一種以上含むシランカップリング剤やチタンカップリング剤)、抗菌剤等が挙げられる。
これらの添加剤は、本発明のポリマーアロイを製造する任意の段階で配合することが可能である。例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を配合する際に同時に添加する方法や、予めポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を溶融混練した後に添加する方法や、始めにポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂のうち、いずれか片方の樹脂に添加し溶融混練後、残りの樹脂を配合する方法等が挙げられる。
本発明においては、上記ポリマーアロイに、高強度、高剛性を付与することを目的として、充填材を含有せしめるが、該充填材としては、下記(a)無機粒子および/または(b)ガラス繊維であることが必要である。
(a)レーザー回折法で測定した数平均粒子径が10μm以下の無機粒子
(b)熱可塑性樹脂組成物中のガラス繊維の60重量%以上が繊維長0.1〜1mmの範囲にあるガラス繊維
充填材が上記(a)無機粒子および/または(b)ガラス繊維である場合にのみ、表面外観に優れた成形品を得ることができる。
上記(a)無機粒子としては、例えばタルク、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、セリサイト、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、ケイ砂、ワラステナイト、硫酸バリウム、ガラスビーズ、酸化チタン等が、挙げられるが、中でも優れた成形品の表面外観を得るためには、該無機粒子は、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウムの中から選ばれた1種以上であることが好ましい。また、レーザー回折法で測定した場合の(a)無機粒子の数平均粒子径は、10μm以下であることが必要であるが、さらには7μm以下であることが好ましく、さらには5μm以下であることが最も好ましい。下限としては製造時のハンドリングの点から0.1μm以上であることが好ましい。
また(a)上記無機粒子の粒度分布としては大きすぎる粒子は存在しない方が好ましい。
これら(a)無機粒子の配合率はポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂の合計量100重量部に対し、1重量部から200重量部の範囲であり、好ましくは、10重量部から100重量部の範囲である。
また、充填材として(b)ガラス繊維を用いる場合には、熱可塑性樹脂組成物中のガラス繊維の60重量%以上が繊維長0.1〜1mmの範囲にあることが必要である。これにより優れた高強度、高剛性に加えて、表面外観に優れた成形品が得られる。
またかかる繊維長分布は、0.1〜1mmの範囲のものが60重量%以上であることが必要であるが、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。また、繊維長分布の好ましい範囲としては、0.1〜0.8mm、より好ましくは0.15〜0.7である。なお、熱可塑性樹脂組成物中のガラス繊維長分布は、熱可塑性樹脂組成物のペレットをるつぼに採取し、電気炉内で500℃、30分間加熱して完全に灰化した後、冷却し、1%中性洗剤水溶液を適量加えて超音波洗浄器で3分間撹拌し、次いで、撹拌溶液をガラス製ピペットで専用のガラス板に採取して実態顕微鏡を用いて写真撮影を行い、その後、写真撮影をした繊維について、デジタイザーを用いて200本の繊維長を測定することで、繊維長分布を求めることができる。繊維長分布は、なるべくブロードのピークではなく、分布範囲が狭くシャープなものの方が、本発明の効果をより効果的かつ安定して発揮する。例えば、繊維長が短いものが多量に混入した場合には、機械的強度の低下、衝撃強度の低下などが起こり、また、長いものが多く混入した場合、流動性低下、表面外観低下などが起こりやすくなるため好ましくない。
なお、本発明の繊維長分布の範囲内にするためには、少なくとも成形に供する前の熱可塑性樹脂組成物(例えばペレットの状態)が本発明の範囲内あるいは若干長めの分布であることが好ましい。さらには熱可塑性樹脂組成物を配合する場合、始めに上記ポリマーアロイを配合してペレタイズした後、単軸あるいは2軸押出機等を用いてガラス繊維を配合し再度溶融混練する方法や、上記ポリマーアロイを配合して充分な剪断条件下で溶融混練し、押出機の先端に近い部位からサイドフィーダーからガラス繊維を配合する方法が本発明の繊維長分布の範囲内にするために好ましい。いずれにしてもガラス繊維を配合する段階ではガラス繊維の過度の破損を招かぬ程度の混合条件となるよう配慮すべきである。
これら(b)ガラス繊維の配合率はポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂の合計量100重量部に対し10重量部から100重量部の範囲である。
また本発明のポリマーアロイに充填材を含有せしめた熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物中(例えばペレットの状態)で、前記ポリマーアロイが、構造周期0.001〜5μm未満の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μm未満の分散構造を形成していることが必要である。かかる構造を有するポリマーアロイを得る方法としては、前述のスピノーダル分解を利用する方法が好ましい。さらにはより表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物を得るためには、熱可塑性樹脂組成物中(例えばペレットの状態)で、構造周期0.002〜1μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.002〜1μmの範囲の分散構造に制御することが好ましく、さらには、構造周期0.003〜0.5μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.003〜0.5μmの範囲の分散構造に制御することがより好ましく、さらには、構造周期0.003〜0.3μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.003〜0.3μmの範囲の分散構造に制御することが最も好ましい。本発明においてはこのように規則性の高い相構造を有する熱可塑性樹脂組成物を与えるポリマーアロイを用いるため、表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
上記熱可塑性樹脂組成物は、上述のようにポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂を2軸押出機等を用いて十分な程度の高剪断応力下で溶融混練して一旦相溶化させ、押出機からガット状またはシート状に吐出し、吐出後直ぐに冷却することによって、2成分の樹脂が相溶状態で構造が固定された状態か、あるいはスピノーダル分解の初期状態である構造周期が0.1μm以下の両相連続構造を有する状態、より好ましくは2成分の樹脂が相溶状態で構造が固定された状態のガットまたはシートをカッティングすることによりペレット状に加工して得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中(例えばペレットの状態)で、前記ポリマーアロイが、構造周期0.001〜5μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μmの分散構造を形成させる好ましい方法は、前記2成分の樹脂が相溶状態で構造が固定された状態か、あるいはスピノーダル分解の初期状態である構造周期が0.1μm以下の両相連続構造を有する状態のペレットを製造した後、単軸あるいは2軸押出機等を用いて充填材を配合し再度溶融混練し、その過程においてスピノーダル分解をさらに進行させ、構造周期が0.001〜5μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μmの範囲の分散構造を形成させる方法や、上記ポリマーアロイを配合して充分な剪断条件下で溶融混練し、押出機の先端に近い部位からサイドフィーダーから充填材を配合し、その過程においてスピノーダル分解をさらに進行させ、構造周期が0.001〜5μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μmの範囲の分散構造を形成させる方法が挙げられる。
本発明から得られる熱可塑性樹脂組成物の成形方法は、任意の方法が可能であり、成形形状は、任意の形状が可能である。成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形などを挙げることができるが、中でも射出成形が好ましい成形方法として例示できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品は、自動車部品、電気部品等に広く用いることができるが、中でも、自動車部品として好適に用いることができる。
自動車部品の例としては、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、エアフローメーター、エアポンプ、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、サーモスタットハウジング、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、エンジンマウント、イグニッションホビン、イグニッションケース、クラッチボビン、センサーハウジング、アイドルスピードコントロールバルブ、バキュームスイッチングバルブ、ECUハウジング、バキュームポンプケース、インヒビタースイッチ、回転センサー、加速度センサー、ディストリビューターキャップ、コイルベース、ABS用アクチュエーターケース、ラジエータタンクのトップ及びボトム、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、オイルキャップ、オイルパン、オイルフィルター、フューエルキャップ、フューエルストレーナー、ディストリビューターキャップ、ベーパーキャニスターハウジング、エアクリーナーハウジング、タイミングベルトカバー、ブレーキブ−スター部品、各種ケース、燃料関係・排気系・吸気系等の各種チューブ、各種タンク、燃料関係・排気系・吸気系等の各種ホース、各種クリップ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、各種パイプ、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、ブレーキパッド摩耗センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコンパネルスイッチ基板、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ステップモーターローター、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、トルクコントロールレバー、スタータースイッチ、スターターリレー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、デュストリビューター、サンバイザーブラケット、各種モーターハウジング、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアミラーステー、ホーンターミナル、ウィンドウォッシャーノズル、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ランプリフレクター、ランプソケット、ランプハウジング、ランプベゼル、ドアハンドル、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクター、ヒューズ用コネクターなどの各種コネクターなどが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに説明する。
[実施例1〜10]
表1上段記載の組成からなる樹脂原料を、押出温度270℃に設定し、ニーディングゾーンを2つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数300rpmとした2軸押出機(池貝工業社製PCM−30)に供給し、ダイから吐出後のガットを、氷水中に急冷した。各実施例のガットはいずれも透明であり、またこれらのガットをヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察を行ったが、いずれのサンプルについても0.001μm以上の構造物がみられず相溶化していることを確認した。
次に、ダイから吐出後のガットを10℃に温調した水を満たした冷却バス中を15秒間かけて通過させることで急冷し構造を固定した後ストランドカッターでペレタイズしペレットを得た。
得られたペレットに対し、さらに表1中段の充填材を配合し、押出温度270℃に設定し、スクリュー回転数100rpmとしたフルフライトスクリューの単軸押出機(田辺−40mm)に供給し、ダイから吐出後のガットを、10℃に温調した水を満たした冷却バス中を15秒間かけて通過させることで急冷し構造を固定した後ストランドカッターでペレタイズし射出成形用のペレットを得た。
該ペレットを、ホッパ下から先端に向かって、250℃−260℃−270℃−270℃に設定した日精樹脂工業社製射出成形機(PS−60E9DSE)で、金型温度80℃とし、保圧10秒、冷却時間30秒の成形サイクルで厚さ1/8インチ(3.2mm)のASTM1号ダンベル試験片、及びASTM D−790準拠の曲げ試験片を成形した。
またガラス繊維を配合したサンプルについては、射出成形用のペレットをるつぼに採取し、電気炉内で500℃、30分間加熱して完全に灰化した後、冷却し、1%中性洗剤水溶液を適量加えて超音波洗浄器で3分間撹拌し、次いで、撹拌溶液をガラス製ピペットで専用のガラス板に採取して実態顕微鏡を用いて写真撮影を行い、その後、写真撮影をした繊維について、デジタイザーを用いて200本の繊維長を測定することで、繊維長分布を求め、表1に記載した。
得られた成形品について以下の通り評価した結果を表1に記載した。
(1)引張強度
ASTM D638(ASTM1号ダンベル)に準拠し、測定を行った。
(2)曲げ試験
ASTM D790に準拠し、測定を行った。
(3)成形品光沢
100×100×3mmの試験片を用いて、JIS K 7105の光沢度測定に準拠して、デジタル変角光沢計(スガ試験機(株)社製、UGV−40)にて45度−45度反射における光沢度を測定した。
また上記射出成形用ペレットから超薄切片を切り出し、上記ガット同様に、透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した。電子顕微鏡写真では黒色に染色されたポリカーボネート相と、白色のポリブチレンテレフタレート相が、互いに連続相を形成している両相連続構造、及び粒子間距離の均一な分散構造が観察された。
また、上記の両相連続構造、および分散構造の構造周期を小角X線散乱で測定した。小角X線散乱においてピーク位置(θm)から下式で構造周期(Λm)を計算した結果を表1に記載した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)。
Figure 0004696476
[比較例1〜8、10]
表2上段記載の組成からなる樹脂原料を溶融混練する際、スクリュー回転数を100とする以外は実施例1〜10と同様にして溶融混練を行いガットを得た。比較例1〜8及び10のガットは不透明であった。これらのサンプルについても実施例1〜10と同様にペレット、射出成形品を作製し、実施例1〜10と同様に成形評価を行い、結果を表2に示した。
また上記射出成形用ペレットから超薄切片を切り出し、上記ガット同様に、透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した。比較例1〜8、10のいずれの例においても電子顕微鏡写真では大きいもので5μm以上の分散粒子が不均一に分散している構造が観察された。
[比較例9]
充填材として、レーザー回折法で測定した数平均粒子径が本発明の範囲から外れる無機粒子(タルク)を用いた以外は、実施例1〜10と同様にして溶融混練を行いガットを得た。このサンプルについても実施例1〜10と同様にペレット、射出成形品を作製し、実施例1〜10と同様に成形評価を行い結果を表2に示した。
また上記射出成形用ペレットから超薄切片を切り出し、上記ガット同様に、透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した。電子顕微鏡写真では黒色に染色されたポリカーボネート相と、白色のポリブチレンテレフタレート相が、互いに連続相を形成している両相連続構造、及び粒子間距離の均一な分散構造が観察された。
[比較例11]
充填材として、ガラス繊維を用い、表2上段記載の組成からなる樹脂原料と、表2中段記載のガラス繊維を同時に配合し、押出温度270℃に設定し、スクリュー回転数100rpmとしたフルフライトスクリューの単軸押出機(田辺−40mm)に供給し、ダイから吐出後のガットを、10℃に温調した水を満たした冷却バス中を15秒間かけて通過させることで急冷し構造を固定した後ストランドカッターでペレタイズし射出成形用のペレットを得た。また上記射出成形用ペレットから超薄切片を切り出し、実施例1〜10と同様に、透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察した。電子顕微鏡写真では大きいもので5μm以上の分散粒子が不均一に分散している構造が観察された。
本サンプルについても実施例1〜10と同様に射出成形品を作製し、実施例1〜10と同様に成形評価を行い結果を表2に示した。
Figure 0004696476
また、実施例、比較例において使用樹脂は、以下に示すものを使用した。
PBT:ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製“トレコン”1100S、ガラス転移温度32℃、結晶融解温度220℃)
PC−1:ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製“ユーピロン”E2000、ガラス転移温度151℃、0.7gを100mlの塩化 メチレンに溶解し20℃で測定した時の比粘度1.18)
PC−2:ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製“ユーピロン”S2000、ガラス転移温度151℃、0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し20℃で測定した時の比粘度0.78)
タルク−1:PKP80(富士タルク工業社製)を200メッシュの篩いにかけパスしたタルク、数平均粒子径が4.5μmのタルク
タルク−2:PKP80(富士タルク工業社製)を150メッシュの篩いにかけパスしたタルク、数平均粒子径が10.2μmのタルク
タルク−3:LMS300(富士タルク工業社製)、数平均粒子径が4.5μmのタルク
ガラス繊維:ガラス繊維径9μm、長さ3mm長のガラス繊維
またタルクの粒径は、レーザー回折法により以下の条件で測定し、得られたメディアン径(数平均粒子径)を示した。
測定機器;島津製作所(株)製SALD2000J
測定粒子範囲;0.1〜100μm

Claims (3)

  1. 少なくともポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂をポリブチレンテレフタレート樹脂/ポリカーボネート樹脂=10/90〜90/10(重量比)の範囲で配合してなるポリマーアロイに、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂の合計量100重量部に対し、下記(a)無機粒子1重量部から200重量部および/または下記(b)ガラス繊維10重量部から100重量部を含有せしめてなる熱可塑性樹脂組成物であって、さらに該熱可塑性樹脂組成物中、前記ポリマーアロイが、構造周期0.001〜5μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜5μmの分散構造を形成していることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
    (a)レーザー回折法で測定した数平均粒子径が10μm以下の無機粒子
    (b)熱可塑性樹脂組成物中のガラス繊維の60重量%以上が繊維長0.1〜1mmの範囲にあるガラス繊維
  2. 前記無機粒子が、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウムの中から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ポリマーアロイを構成するポリカーボネート樹脂が、ポリカーボネート樹脂0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し20℃で測定した時の比粘度0.8以上であることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
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