JP2007176734A - 表面被覆セラミック焼結体 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度変化の環境下で繰り返し使用しても表面層が剥離しにくい表面被覆セラミック焼結体を提供することである。
【解決手段】セラミック基体1の表面に中間層2を介してセラミック基体1よりも熱膨張係数の大きな表面層3が積層された表面被覆セラミック焼結体10であって、中間層2が、セラミックマトリックス中にセラミック粒子及びセラミック短繊維の少なくとも一方を分散してなる。この表面被覆セラミック焼結体10は、中間層2に分散するセラミック粒子及びセラミック短繊維の熱膨張係数と、前記セラミックマトリックスの熱膨張係数との間に1ppm以上の差があるのが好ましい。また、中間層2の熱膨張係数が、セラミック基体1の熱膨張係数より大きく、且つ表面層3の熱膨張係数より小さいのが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面被覆セラミック焼結体に関し、特に熱膨張係数の小さなセラミック基体に、剥離することなく熱膨張係数の大きなセラミックスをコーティングしてなる表面被覆セラミック焼結体に関するものである。
近時、半導体製造装置用部品、液晶製造装置用部品や機械工具等において、セラミックス表面に耐食性、耐摩耗性の高いセラミックスをコーティングする要求が高まってきている。例えば、半導体製造装置においてはハロンゲンプラズマに対する耐食性を要求されたり、機械工具においては耐摩耗性が要求される。
上記耐食性あるいは耐摩耗性セラミックコーティングを実施するに当り、相対的に熱膨張係数の小さな基体の表面に熱膨張係数の大きなセラミックスをコーティングすると、冷却時にコーティング表面に引張りの残留応力が残るため、表面コーティング層(表面層)にクラックが発生し、表面層が基体表面から剥離するという問題があった。この問題を解決するために、セラミック基体の熱膨張係数と表面層の熱膨張係数との中間の熱膨張係数を有する中間層を用いる試みがなされている(特許文献1および特許文献2)。
特開平5−238859号公報 特開2003−137676号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のセラミックコーティングにおいても、温度変化のあるような環境下で繰り返し使用しているうちにクラックが進展し、表面層が剥離するなどの問題があった。
したがって、本発明の課題は、温度変化の環境下で繰り返し使用しても表面層が剥離しにくい表面被覆セラミック焼結体を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、セラミック基体と表面層との間に、セラミックマトリックス中にセラミック粒子及びセラミック短繊維の少なくとも一方を分散した中間層を設けた場合には、表面層にクラックが生じたとしても、該中間層が、温度変化の環境下で繰り返し使用されることによるクラックの進展を抑制し、さらに該クラックがセラミック基体との界面まで到達することを抑制するので、表面層の剥離が抑制され、その結果、温度変化の環境下で繰り返し使用しても表面層が剥離しにくい表面被覆セラミック焼結体となるという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の表面被覆セラミック焼結体は、セラミック基体の表面に中間層を介して前記セラミック基体よりも熱膨張係数の大きな表面層が積層されたものであって、前記中間層が、セラミックマトリックス中にセラミック粒子及びセラミック短繊維の少なくとも一方を分散してなることを特徴とする。
上記のようなセラミック粒子又はセラミック短繊維を含有した中間層構造を採用することにより、表面層に発生したクラックの進展を抑制し、中間層や表面層の剥離を抑制することができ、その結果、被覆層(中間層・表面層)の剥離を抑制することができる。
特に、前記中間層が、該中間層に分散するセラミック粒子及びセラミック短繊維の熱膨張係数と前記セラミックマトリックスの熱膨張係数との間に1ppm以上の差がある、すなわち前記分散粒子及び短繊維の周辺に残留応力を生じさせてなることが好ましい。これにより、クラックの進展阻害効果が増し、剥離をさらに効果的に抑制することができる。
また、前記中間層の熱膨張係数が、前記セラミック基体の熱膨張係数より大きく、且つ前記表面層の熱膨張係数より小さいことが好ましい。これにより、セラミック基体と表面層との間の熱応力が緩和され、剥離を抑制することができる。
前記中間層が複数の層で構成され、該複数の層のうち少なくとも1層が前記セラミックマトリックス中に前記セラミック粒子及びセラミック短繊維の少なくとも一方を分散してなることが好ましい。これにより、熱応力が緩和され、剥離をより効果的に抑制することができる。
前記中間層が、耐食性セラミックス及び耐摩耗性セラミックスの少なくとも一方からなることが好ましい。これにより、表面層にクラックが発生しても、耐食性や耐摩耗性を高く保つことができる。
前記表面層がクラックを具備することが好ましい。これにより、表面層や中間層に発生する残留応力を低減し、剥離をより効果的に抑制することができる。
本発明によれば、セラミック基体と表面層との間に、セラミックマトリックス中にセラミック粒子及びセラミック短繊維の少なくとも一方を分散した中間層を設けるので、温度変化の環境下で繰り返し使用しても表面層が剥離しにくい表面被覆セラミック焼結体とすることができるという効果がある。
<表面被覆セラミック焼結体>
以下、本発明の表面被覆セラミック焼結体の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかる表面被覆セラミック焼結体を示す概略断面図である。図1に示すように、この表面被覆セラミック焼結体10は、セラミック基体1の表面に中間層2を介して前記セラミック基体1よりも熱膨張係数の大きな表面層3が積層されて構成されている。
(セラミック基体)
セラミック基体2は、特に限定されるものではなく、例えば窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライト、コージェライト、スピネル(MgAl24)、YAG(Y3Al512)、ダイシリケート等を主成分とする焼結体が挙げられる。これらの中でも、高強度構造材料として炭化珪素及び窒化珪素が、耐食性部材として窒化アルミニウム、スピネル及びYAGが、低熱膨張材料としてコージェライトが、低コスト材料としてアルミナが好適に用いられる。また、前記主成分の他、必要に応じて他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば周期律表第3a族元素の酸化物、ダイシリケートやモノシリケートなどのシリケート化合物、アルミナ、シリカ、マグネシアなどが挙げられる。
(中間層)
中間層2は、セラミックマトリックス中にセラミック粒子及びセラミック短繊維の少なくとも一方を分散してなる。これにより、該中間層2が、表面層3で発生したクラックの進展を抑制することができる。クラックの進展を抑制することができる理由としては、表面層3で発生したクラックの先端が中間層2に到達した際に、該クラックの先端がセラミック粒子またはセラミック短繊維によって偏向されて破壊エネルギーが増大し、クラックの進展が抑制されると推察される。
中間層2を構成する前記セラミックマトリックスとしては、特に限定されるものではなく、例えばRE2SiO5で表される周期律表第3a族元素のモノシリケート結晶(REは周期律表第3a族元素を示す)、ムライト、コーディエライトや、RE2Si27で表される周期律表第3a族元素のダイシリケート結晶(REは周期律表第3a族元素を示す)等が挙げられる。
特に本発明では、高温安定性、耐食性などに優れる点で、RE2Si27で表される周期律表第3a族元素のダイシリケート結晶を構成成分とするのが好ましい。ここで、周期律表第3a族元素とは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれる少なくとも1種である。周期律表第3a族元素のダイシリケートは、高温の水蒸気に対する耐食性も高く、高融点でもあり、たとえ表面層3にクラックが存在しても、セラミック基体1に対するその影響を小さくすることができる。
特に、ダイシリケートとしては、Y2Si27、Er2Si27、Yb2Si27およびLu2Si27の少なくとも1種を用いるのがよい。Er、YbおよびLuは、イオン半径が小さくイオン間の結合力が大きい。このため、Er、YbおよびLuを含むダイシリケートは熱膨張係数が比較的小さくなる。これにより、表面層3などの被覆層の剥離を効果的に抑制することができる。また、Yは他の周期律表第3a族元素と比較して安価である点で好ましい。
前記セラミック粒子およびセラミック短繊維の組成としては、セラミックスからなりかつ形状が粒子状または短繊維状であれば特に限定されるものではなく、例えば窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウム、炭化タングステン、窒化チタン、炭化チタン等が挙げられる。
前記セラミック粒子の平均粒子径は0.1〜5μm、好ましくは0.3〜1μmであるのがよい。これに対し、前記平均粒子径が0.1μmより小さいと、クラックの進展を抑制できないおそれがあり、5μmより大きいと、セラミック基体1または表面層3との密着性が低下するおそれがある。前記平均粒子径は、中間層断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真撮影し、画像解析で測定して得られた値である。
前記セラミック短繊維の平均直径は0.1〜3μm、好ましくは0.3〜1μmであり、セラミック短繊維の平均長さは5〜200μm、好ましくは10〜100μmであるのがよい。セラミック短繊維がこのような形状であると、クラックの進展を効率よく抑制することができる。前記短繊維の平均直径および平均長さは、中間層断面をSEMで写真撮影し、画像解析で測定して得られた値である。
セラミックマトリックスと、セラミック粒子またはセラミック短繊維との割合は、クラックの進展を確実に抑制する上で、セラミック粒子またはセラミック短繊維の含有量が、セラミックマトリックス総量に対して1〜30体積%、好ましくは5〜15体積%であるのがよい。これに対し、前記含有量が5体積%より低いと、クラックの進展を抑制できないおそれがあり、30体積%より多いと、セラミック基体1または表面層3との密着性が低下するおそれがある。
また、セラミック粒子及びセラミック短繊維の熱膨張係数と、セラミックマトリックスの熱膨張係数との間に1ppm(1×10-6)以上の差があるのが好ましい。これにより、クラックの進展阻害効果が増し、剥離をさらに効果的に抑制することができる。また、前記差の上限値としては、10ppm(10×10-6)以下であるのが好ましい。前記差が10ppmより大きいと、セラミックスマトリックスと分散粒子あるいは短繊維との間にクラックが発生し、クラック進展抑制効果が得られないおそれがあるので好ましくない。なお、前記所定の差があれば、セラミック粒子及びセラミック短繊維の熱膨張係数は、セラミックマトリックスの熱膨張係数に対して大きくてもよく、または小さくてもよい。
前記熱膨張係数は、セラミック粒子、セラミック短繊維およびセラミックマトリックスと同組成の焼結体をそれぞれ作製し、各焼結体の熱膨張係数をTMA法(JIS R 1618)を用いて40〜1200℃の温度範囲で測定することにより得られた値である。
中間層2の熱膨張係数は、セラミック基体1の熱膨張係数より大きく、且つ表面層3の熱膨張係数より小さいのが好ましい。これにより、セラミック基体1と表面層3との間の熱応力が緩和され、剥離を抑制することができる。具体的には、中間層2の熱膨張係数は3×10-6〜4.5×10-6であるのが好ましく、セラミック基体1の熱膨張係数は3×10-6〜6×10-6であるのが好ましく、表面層3の熱膨張係数は7×10-6〜12×10-6であるのが好ましい。この範囲内で、中間層2、セラミック基体1及び表面層3の各熱膨張係数が上記した所定の関係となるのがよい。なお、前記熱膨張係数は、各層と同組成の焼結体をそれぞれ作製し、各焼結体の熱膨張係数を前記と同様にして測定することにより得られた値である。
中間層2は、耐食性セラミックス及び耐摩耗性セラミックスの少なくとも一方からなるのが好ましい。これにより、表面層3にクラックが発生しても、耐食性や耐摩耗性を高く保つことができる。前記耐食性セラミックスとしては、例えばY2Si27、Er2Si27、Yb2Si27等が挙げられ、耐摩耗性セラミックスとしては、例えばLu2Si27等が挙げられる。
中間層2の厚みは3〜50μm、好ましくは10〜30μmであるのがよい。厚みが50μmを超えると、剥離しやすくなるおそれがあり、厚みが3μm未満になると、クラックの進展を抑制できないおそれがある。
(表面層)
表面層3は、例えばアルミナ、イットリア等の希土類化合物、YAG(Y3Al512)、スピネル(MgAl24)、マグネシア(MgO)等の耐食性や耐摩耗性に優れるものの他、所望の特性を有するセラミックスを採用することができる。
表面層3の厚みは5〜200μm、好ましくは10〜150μm、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは15〜50μmであるのがよい。表面層3の厚みが5μm未満になると、微粒子等の衝突により剥離してしまうおそれがある。一方、表面層3の厚みが200μmを超えると、中間層2との熱膨張係数差の影響が強くなり、表面層3が剥離しやすくなるおそれがある。
また、表面層3がクラックを具備するのが好ましい。これにより、表面層3や中間層2に発生する残留応力を低減し、剥離をより効果的に抑制することができる。前記クラックの形状は特に限定されるものではなく、また表面層3に前記クラックを具備させるには、後述する焼成条件で表面層を形成すればよい。また、表面層3の表面を研削してクラックを具備させてもよい。
<製造方法>
次に、上記で説明した表面被覆セラミック焼結体10の製造方法について説明する。
まず、平均粒子径0.2〜0.6μm程度の窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウム等のセラミック粉末に、酸化ルテチウム、二酸化ケイ素等の焼結助剤や、必要に応じて他の成分を混合し、さらにバインダー、溶媒等を添加し混合してスラリーを得る。ついで、得られたスラリーを乾燥した後、プレス成形などの方法で成形し、1800〜1900℃で5〜10時間焼成することによりセラミック基体1を得る。
ついで、中間層2および表面層3の原料となるスラリーをそれぞれ作製する。なお、中間層2の原料となるスラリーは、上記した所定の関係となるように、各成分を配合して調製するのが好ましい。
次に、セラミック基体1の表面に、中間層2用のスラリーを例えばスプレーガン等で吹き付けて塗布し、乾燥した後、1400〜1700℃で0.5〜5時間の熱処理を行って中間層2を形成する。この中間層2の表面に、表面層3用のスラリーを上記と同様にしてスプレーガン等で吹き付けて塗布し、乾燥した後、熱処理を行って表面層3を形成する。
一方、上記のように中間層2および表面層3を個別に焼成するのではなく、例えばセラミック基1上に、各層のスラリーを順次塗布し乾燥した後、これらの各層を同時に焼成することもできる。また、中間層2および表面層3は、上記のようにしてスラリーを吹き付けて塗布する方法の他、例えば蒸着法、CVD法、スパッタ法等の薄膜形成法や溶射法などを用いて形成することもできる。
なお、上記で説明した実施形態では、中間層が1層で構成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、中間層が複数層で構成されていてもよい。この場合には、該複数の層のうち少なくとも1層が、前記セラミックマトリックス中に前記セラミック粒子及びセラミック短繊維の少なくとも一方を分散してなる。このような構成であっても、上記した実施形態と同様の効果を奏することができると共に、熱応力が緩和され、剥離をより効果的に抑制することができる。
以上のような構成を有する本発明の表面被覆セラミック焼結体は、例えば半導体製造装置用部品、液晶製造装置用部品や機械工具等に好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例]
<試料No.1〜14>
以下の手順で、図1に示すような形態の試料No.1〜14の試験片を作製した。
まず、セラミック基体として、窒化珪素(Si34)、炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)の各焼結体を準備した。そして、これらのセラミック基体を、縦4mm、横40mm、厚み3mmの形状に加工した。
ついで、熱膨張係数の大きな表面層として、粉末状のアルミナ(Al23)、イットリア(Y23)、Y3Al512(YAG)、MgAl24(スピネル)を準備した。
また、中間層として、下記に示すセラミック粒子及びセラミック短繊維(分散相)と、セラミックマトリックスとして、粉末状のY2Si27、Er2Si27、Yb2Si27及びLu2Si27を準備した。
(分散相)
セラミック粒子
Si34:平均粒子径0.5μm
SiC:平均粒子径0.5μm
AlN:平均粒子径0.5μm
セラミック短繊維
SiC:平均直径0.5μm、平均長さ50μm
上記で準備した、セラミック基体、表面層および中間層(分散相・セラミックマトリックス)を表1に示す組み合わせで用いた。すなわち、表面層および中間層の各原料を秤量し、これに水、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)をそれぞれ添加し、ついで、酸化ジルコニウムボールを用いて24時間回転ミルで混合し、表面層用および中間層用の各スラリーを作製した。なお、中間層用スラリーは、セラミック粒子またはセラミック短繊維の含有量が、セラミックマトリックス総量に対して10体積%となる割合で作製した。
そして、上記セラミックス基体の表面に、上記で作製した各層のスラリーを、表1に示す組み合わせでスプレーガンを用いて順次吹き付けて塗布した。ついで、乾燥させた後、これらの各層を表1に示す温度条件で1時間熱処理して表面被覆セラミック焼結体である試験片(試料No.1〜14)を得た。
なお、中間層(分散相・セラミックマトリックス)および表面層の熱膨張係数は、各層と同組成の焼結体をそれぞれ作製し、各焼結体の熱膨張係数をTMA法(JIS R 1618)を用いて40〜1200℃の温度範囲で測定することにより得た。その結果を表1に示す。なお、表1中、「α」は熱膨張係数を意味する。
また、中間層および表面層の厚みについて、上記で得られた焼結体を走査型電子顕微鏡(SEM)で断面観察して測定した結果、中間層の厚みは20μmであり、表面層の厚みは50μmであった。
<試料No.15〜19>
以下の手順で、中間層を有しない形態の試料No.15〜19の試験片を作製した。
まず、セラミック基体として、Si34、SiC、AlNの各焼結体を準備し、これらのセラミック基体を前記試料No.1〜14と同様にして、縦4mm、横40mm、厚み3mmの形状に加工した。
ついで、熱膨張係数の大きな表面層として、粉末状のAl23、Y23、YAG、スピネルを準備し、セラミック基体および表面層を表1に示す組み合わせで用いた。すなわち、前記試料No.1〜14と同様にして作製した表面層用のスラリーを、上記セラミックス基体の表面に、表1に示す組み合わせでスプレーガンを用いて吹き付けて塗布した。
そして、乾燥させた後、表1に示す温度条件で1時間熱処理を行い焼成し、中間層を有しない形態の試験片(試料No.15〜19)を得た。
なお、表面層の熱膨張係数は、前記試料No.1〜14と同様にして測定することにより得た。その結果を表1に示す。また、表面層の厚みについて、前記試料No.1〜14と同様にして測定した結果、表面層の厚みは50μmであった。
<評価>
上記で得られた試料No.1〜19の試験片を用いて、熱衝撃性試験を行った。熱衝撃性試験は、1000℃までの昇温と200℃までの降温を繰り返す熱サイクル試験を1000サイクル行い、100サイクル毎に表面層に剥離があるか否かを蛍光探傷液浸透法を用いて観察した。その結果を表1に示す。なお、表1中、「熱衝撃性試験」の「○」は、1000サイクル後の表面層にクラックがないことを意味する。
Figure 2007176734
表1から明らかなように、本発明の範囲内である試料No.1〜14の試験片は、500サイクル以上の熱衝撃試験結果において、表面層および被覆層(中間層・表面層)に剥離が生じなかった。このことから、試料No.1〜14の試験片は耐熱衝撃性に優れていることがわかる。これに対し、本発明の範囲外である試料No.15〜19の試験片は、いずれも100サイクル以下の熱衝撃試験で表面層あるいは被覆層が剥離した。
本発明の一実施形態にかかる表面被覆セラミック焼結体を示す概略断面図である。
符号の説明
1 セラミック基体
2 中間層
3 表面層
10 表面被覆セラミック焼結体

Claims (6)

  1. セラミック基体の表面に中間層を介して前記セラミック基体よりも熱膨張係数の大きな表面層が積層された表面被覆セラミック焼結体であって、
    前記中間層が、セラミックマトリックス中にセラミック粒子及びセラミック短繊維の少なくとも一方を分散してなることを特徴とする表面被覆セラミック焼結体。
  2. 前記中間層に分散するセラミック粒子及びセラミック短繊維の熱膨張係数と、前記セラミックマトリックスの熱膨張係数との間に1ppm以上の差がある請求項1記載の表面被覆セラミック焼結体。
  3. 前記中間層の熱膨張係数が、前記セラミック基体の熱膨張係数より大きく、且つ前記表面層の熱膨張係数より小さい請求項1又は2記載の表面被覆セラミック焼結体。
  4. 前記中間層が複数の層で構成され、該複数の層のうち少なくとも1層が前記セラミックマトリックス中に前記セラミック粒子及びセラミック短繊維の少なくとも一方を分散してなる請求項1〜3のいずれかに記載の表面被覆セラミック焼結体。
  5. 前記中間層が、耐食性セラミックス及び耐摩耗性セラミックスの少なくとも一方からなる請求項1〜4のいずれかに記載の表面被覆セラミック焼結体。
  6. 前記表面層が、クラックを具備する請求項1〜5のいずれかに記載の表面被覆セラミック焼結体。
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