JP2004175627A - 耐食性セラミックス - Google Patents

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Abstract

【課題】1000℃以上の高温域において、高温の水蒸気に対する耐水蒸気腐食性が高く、寿命の長い高耐食性セラミックスを提供する
【解決手段】セラミック基体1と、セラミック基体1の表面に設けられた耐食セラミック層2と、耐食セラミック層2上に設けられた表面保護層3とからなり、耐食セラミック層2は、互いに異なる周期律表第3a族元素のダイシリケート結晶から形成された複数のダイシリケート層2a,2bから形成されており、表面保護層3は、周期律表第3a族元素で安定化された酸化ジルコニウムからなり、セラミック基体1、耐食セラミック層2を形成する複数のダイシリケート層2a、2b及び表面保護層の各熱膨張係数は、セラミック基体から表面保護層に向かって、傾斜して並んでいることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高温用部材として、特に、ガスタービンエンジン用部品などの熱機関用部品として好適に使用される耐食性セラミックスに関する。
【0002】
【従来技術】
従来、エンジニアリングセラミックスとして知られている窒化珪素、炭化珪素やサイアロンは、耐熱性、耐熱衝撃性、耐摩耗性及び耐酸化性に優れることから、特にガスタービンやターボロータ等の熱機関用部品として応用が進められている。
このような珪素を含む非酸化物セラミックスは、一般には焼結助剤を添加することにより高密度で高強度の特性が得られている。例えば、窒化珪素粉末にY、AlあるいはMgOなどを焼結助剤として加え、焼成することによって高密度で高強度の窒化珪素質焼結体を得ることができる。
このようなセラミックスは、1000℃以上という金属材料では用いることのできない高い温度領域において使用することが可能であり、例えば40%以上という従来の金属材料で不可能であった熱効率を実現することも可能となっている。
【0003】
これらのセラミックスを内燃機関、特にガスタービン用部材に用いる場合、高強度のみならず、さらに他の特性も高温という厳しい環境下において優れていることが要求される。例えば、ガスタービンエンジン等の燃焼機関においては、高温燃焼ガス気流による腐食に強いことが要求され、或いは微小粒子の衝突に対する耐摩耗性や耐衝撃性を高めることが必要となる。
【0004】
ところが、珪素を含む非酸化物セラミックスは、ガスタービン燃焼ガス中に含まれる高温水蒸気と反応し、その結果高温水蒸気による腐食でセラミックスの消耗が激しく寿命が短いという問題が生じている。特に、ガスタービンに用いられる燃焼器ライナ、トランジションダクト及び静翼等の部品では、水蒸気を含む高温の燃焼ガスに曝され、表面のセラミックスの消耗が顕著であった。
【0005】
そこで、これまで焼結助剤及び粒界相の検討や焼成条件等を改善する等、各種の改良に加えて、酸化保護膜を作製することにより改善が進められてきた。例えば、窒化珪素またはサイアロンを主成分とする焼結体表面を、SiOを主体とするガラス層で被覆し、高温水蒸気に対する耐性を改善するという試みが行なわれている(例えば特許文献1参照)
また、窒化珪素質焼結体上に耐酸化性の良好なアルミナ、ムライト、ジルコニアなどをCVDや溶射の手法で保護膜をコーティングし、耐酸化性、耐エロージョン、コロージョン性を向上する試みがなされている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−183676号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のように、表面にガラス層を形成する方法では、気流の伴わない静的な条件下での特性向上の効果はあるものの、実際のエンジン中で高温高圧高速ガスに曝されるとガラスの蒸発によって表面被覆層が急速に消耗し、寿命が短く保護膜の用をなさないという問題があった。
また、アルミナ、ムライト等は窒化珪素等に比べれば耐食性が高いものの、水蒸気分圧の高い雰囲気中では耐食性が低く、耐久性に劣るため、実用性が不十分であるという問題があった。さらに、ジルコニアは高温水蒸気に対する耐性が高いが基材の窒化珪素との熱膨張差から表面被覆層が剥離するという問題があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、1000℃以上の高温域において、高温水蒸気に対する耐食性が高く、寿命の長い耐食性セラミックスを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、セラミック基体と、該セラミック基体の表面に設けられた耐食セラミック層と、該耐食セラミック層上に設けられた表面保護層とからなり、
前記耐食セラミック層は、互いに異なる周期律表第3a族元素のダイシリケート結晶から形成された複数のダイシリケート層から形成されており、
前記表面保護層は、周期律表第3a族元素で安定化された酸化ジルコニウムからなり、
前記セラミック基体、耐食セラミック層を形成する複数のダイシリケート層及び表面保護層の各熱膨張係数は、セラミック基体から表面保護層に向かって、傾斜して並んでいることを特徴とする耐食性セラミックスが提供される。
【0010】
本発明は、セラミック基体表面に、耐食セラミック層を介して安定化ジルコニアからなる表面保護層を設けたものであるが、中間層である耐食セラミック層を異なるダイシリケート結晶により形成された複数のダイシリケート結晶層により形成し、各層の熱膨張係数が、セラミック基体から表面保護層に向かって傾斜して配列するように設定させたことが重要な特徴である。即ち、このように熱膨張係数が傾斜するように各層を配列することにより、表面保護層とセラミック基体との間の熱膨張差による熱応力が有効に緩和され、表面保護層の剥離が有効に防止され、この結果、各層の特性が安定して発揮され、高温水蒸気に対する耐性が改善され、特に高温で動作するガスタービンエンジン等の内燃機関を構成する部品として好適に用いることのできる耐食性セラミックスを実現したものである。
【0011】
本発明においては、表面保護層の厚みが5〜200μmであることが好ましい。表面保護層の厚みを、この範囲に設定しておくことにより、セラミック基体との熱膨張差による表面保護層の剥離を効果的に防止できる。
【0012】
また、前記表面保護層は、Al及びSiの含有量が合計で1質量%以下に抑制されていることが好ましい。高温水蒸気との反応によって消耗の激しいAl及びSiの含有量が少量(1質量%以下)に抑制された安定化ジルコニアは、高温水蒸気腐食に強く、窒化珪素等のセラミック基体表面を保護し、特にガスタービンエンジン用部品等に好適のセラミックスを提供することができる。
【0013】
更に、前記表面保護層が柱状結晶からなり、該柱状結晶の長軸がセラミック基体表面に略垂直であることが好ましい。即ち、耐食セラミック層との界面から表面方向に柱状に伸びた組織を有していると、熱応力により表面保護層にクラックが入ったとしても、このクラックは柱状結晶の界面に発生するため、表面保護層がセラミック基体から剥がれることなく、セラミック基体に付着したままの状態に保持されるからである。
【0014】
上述した表面保護層の気孔率は1〜30%であることが好ましい。これにより、セラミック基体と表面保護層との熱膨張差による応力が一層緩和され、表面保護層の剥がれ抑制効果が高められるからである。
【0015】
本発明において、前記耐食セラミック層を形成する各ダイシリケート結晶層の気孔率は5%以下であることが好ましい。これにより、表面保護層にクラックが入ったとしても、耐食セラミック層自体の耐食性が高く、セラミック基体の腐食を抑制できるからである。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に示す通り、本発明の耐食性セラミックスは、セラミック基体1と、該セラミック基体1の表面に設けられた耐食セラミック層2と、該耐食セラミック層2上に設けられた表面保護層3とからなっている。
尚、本発明においては、以下に述べる耐食セラミック層2や表面保護層3の形成のために周期律表第3a族元素が使用され、また、セラミック基体1の作製のために必要により使用される焼結助剤として周期律表第3a族元素の化合物が使用されるが、かかる周期律表第3a族元素(以下、REで示すことがある)は、所謂希土類元素であり、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選択される元素である。
【0017】
(セラミック基体1)
セラミック基体1としては、種々のセラミック焼結体から形成されているものが使用されるが、本発明においては、金属の炭化物、窒化物、硼化物、珪化物等の非酸化物セラミック焼結体、就中、窒化ケイ素質焼結体、炭化ケイ素質焼結体及びサイアロン質焼結体が好適である。
【0018】
即ち、窒化ケイ素質焼結体、炭化ケイ素質焼結体及びサイアロン質焼結体は、何れも機械的強度等の特性に優れているものの、高温燃焼ガス雰囲気中での耐食性に劣っている。従って、これらの表面を後述する耐食セラミック層2及び表面保護層3で被覆することにより、耐食性を有効に改善することができ、高温構造部品としての寿命を向上させることができるからである。特に窒化ケイ素質焼結体は室温から高温での強度が高く、ガスタービン用部材として好適な耐食性セラミックスを実現するためには、最も有利である。
【0019】
尚、セラミック基体1中には、通常、焼結助剤として、周期律表第3a族元素の酸化物(もしくは焼成により酸化物を形成し得る炭酸塩、硝酸塩等)やSiOを、その機械的特性が損なわれない範囲の量で含有していてもよい。
【0020】
(表面保護層3)
本発明の耐食性セラミックスにおいて、最表面に位置する表面保護層3は、周期律表第3a族元素で安定化された酸化ジルコニウム(安定化ジルコニア)から形成される。即ち、酸化ジルコニウムは温度変化が起こると相変態を起こし、その際に体積変化を生じてクラックを発生するため、安定化させることによってクラック発生を防止することができる。
このような安定化ジルコニアからなる表面保護層3は、前述したセラミック基体1に比して熱膨張係数が大きく、またSiO、Al、ムライト、コージェライト、YAGなどの保護膜に比べ、高温水蒸気を含む酸化雰囲気において非常に高い安定性を示し、この結果、優れた耐酸化性及び耐食性を発揮することが可能となる。さらに、融点が高いため、耐熱性に優れ、高温での寿命が長いという利点もある。
【0021】
酸化ジルコニウムの安定化のために使用される周期律表第3a族元素は、特に制限されるものではないが、Y、Er、Yb、及びLuの少なくとも1種であることが好ましい。これらの元素はイオン半径が小さく、これらの元素で安定化することにより、熱膨張係数が比較的小さくなり、熱応力による表面保護層3の剥離を効果的に抑制できるためである。
周期律表第3a族元素の含有量は、酸化ジルコニウムを安定化させ、水蒸気に対する耐食性に大きな影響を与えない範囲であればよく、特に、3〜15モル%、更には5〜12モル%であることが良い。
【0022】
本発明において、かかる表面保護層3の厚みは5〜200μm、特に10〜150μm、さらには30〜100μmであることが好ましい。これは、熱膨張差を低減して保護層3の剥がれを防ぎ、耐食性セラミックスの寿命を長くするためである。
【0023】
また、表面保護層3中におけるAl及びSi含量は、合計で1質量%以下、特に0.1質量%以下、更には0.01質量%以下に抑制されていることが好ましい。即ち、表面保護層3を形成する安定化ジルコニア中には、AlやSiが含まれることがあるが、これらの含有量が合計で1質量%を越えると、高温水蒸気中での腐食が大きくなる傾向があるためである。
【0024】
さらに、表面保護層3は、安定化ジルコニアの柱状結晶から形成されており、柱状結晶の長軸がセラミック基体表面に略垂直であることが望ましい。即ち、熱応力により表面保護層3にクラックが入っても、柱状結晶の界面においてクラックが発生するため、クラックが入った表面保護層3は、セラミック基体1から剥がれることなくセラミック基体1に付着したままになるためである。
【0025】
更には、上述した表面保護層3の気孔率が1〜30%、特に2〜15%であることが好ましい。これは、表面保護層3に微粒子が衝突してもクラックの発生及び進展を効果的に抑制し、欠けや剥離を抑制するためである。
【0026】
(耐食セラミック層2)
本発明において、セラミック基体1と表面保護層3との間の中間層として形成される耐食セラミック層2は、周期律表第3a族元素のダイシリケート結晶からなる複数の層2a,2bから形成されており、この層2a,2bを形成するダイシリケートの周期律表3a族元素は互いに異なっている。
これらダイシリケート結晶は、REを周期律表第3a族元素として、下記式:
RESi
で表され、高温の水蒸気に対する耐食性が高く、高融点でもあり、たとえ表面保護層3にピンホールやクラックが存在しても、このようなダイシリケート結晶からなる耐食セラミック層2を設けることにより、セラミック基体1に対するその影響を小さくすることができる。
【0027】
しかも、本発明において、最も重要な特徴は、耐食セラミック層2が、これらのダイシリケート結晶が互いに異なる周期律表第3a族元素を含み、セラミック基体1から表面保護層3に向かって各層の熱膨張係数が傾斜して並ぶように配列されていることにある。即ち、セラミック基体1、ダイシリケート結晶層2a,2b及び表面保護層3の順に熱膨張係数が漸次大きくなっている。
このように熱膨張経緯数が傾斜的に変化していることにより、この耐食セラミック層2によって、セラミック基体1と表面保護層3との間の熱膨張差による生じる熱応力が有効に緩和され、表面保護層3の剥離を有効に防止することができ、高温下での寿命を長くすることが可能となるものである。
【0028】
図1に示す例において、耐食セラミック層2は2つのダイシリケート結晶層2a,2bで形成されているが、熱膨張係数が傾斜して配列される限りにおいて、3層以上のダイシリケート結晶層によって耐食セラミック層2が形成されていてもよいことは勿論である。
【0029】
本発明において、各ダイシリケート結晶層2a,2bのダイシリケートの種類(周期律表第3a族元素の種類)は、熱膨張係数が傾斜して配列される限りにおいて、特に制限されるものではないが、一般的には、高温下での耐水蒸気性等の点で、ダイシリケート結晶層2a,2bの少なくとも一層がErSi、YbSiまたはLuSiで形成されていることが好ましい。
【0030】
このような耐食セラミック層2を形成する各ダイシリケート結晶層2a,2bの厚みは、熱応力緩和、高信頼性及び長寿命のため、それぞれ、1〜100μm、特に10〜70μm、20〜50μmであるのが良く、複数のダイシリケート結晶層で形成される耐食セラミック層2の厚みは、2乃至500μmの範囲にあるのがよい。
【0031】
さらに、各ダイシリケート結晶層2a,2bの気孔率は5%以下、特に3%以下であることが好ましい。これは、たとえ表面層3にピンホールやクラックが存在しても、セラミック基体1に対するその影響を小さくすることができるためである。
【0032】
このように構成された本発明の耐食性セラミックスは、特に、耐酸化性及び水蒸気に対する耐食性に優れるており、タービンロータ、ノズル、コンバスタライナ、トランジションダクトなどのガスタービンエンジン用部品等の内燃機関部品に好適に用いられる。
【0033】
(耐食性セラミックスの製造)
上述した耐食性セラミックスは、例えば、以下の方法で製造することができる。
【0034】
まず、窒化珪素セラミック等からなるセラミック基体を準備する。セラミック基体は、コストの点で焼結体であるのがよく、また、既に述べたように、焼結助剤が含まれていても良く、例えば、周期律表第3a族酸化物等を0.5〜10モル%、二酸化珪素を1〜20モル%含む窒化珪素焼結体を用いることができる。
【0035】
このセラミック基体の表面に、周期律表第3a族元素を含むダイシリケート(RESi)結晶層を複数設けて耐食セラミック層を形成する。
例えば、RESiで表わされる粉体、あるいはRE粉末とSiO粉末とを所定の割合で混合した混合粉末を、所定の溶媒や分散剤に分散させてスラリーを調製し、このスラリーをセラミック基体表面に順次塗布し、1400℃以上の高温で熱処理することによって前述した複数のダイシリケート結晶層からなる耐食セラミック層を作製できる。塗布には、スラリーを吹き付けるスプレー法、スラリーの中に浸漬するディッピング法等を採用することができる。尚、スラリーをセラミック基体表面に均一に形成するため、スラリーの粘度を0.5〜3.0Pa・sにすることが好ましい。
【0036】
耐食セラミック層は、上述のように、スラリーをセラミック基体表面に順次塗布し、熱処理する塗布法を用いることによって安価に且つ密着良く形成できるが、その他にもプラズマ溶射法、CVD法、PVD法等の既存の成膜技術で形成することも可能である。
【0037】
次いで、上記の耐食セラミック層上に安定化ジルコニアからなる表面保護層を形成する。
表面保護層形成用の出発原料としては、高純度(99.9%以上)の酸化ジルコニウム粉末と周期律表第3a族元素酸化物(RE)粉末を用いる。また、既に周期律表第3a族元素酸化物で安定化された安定化ジルコニア粉末を用いても良い。いずれの場合においても、原料粉末中にAl及びSiの含有量が合計で1質量%以下であることが好ましい。
【0038】
これらの原料粉末を溶媒や分散剤を加えて混合し、スラリーを作製する。このスラリーを上記の耐食セラミック層を有するセラミック基体表面に塗布し、これを乾燥して被覆層を形成する。塗布には、耐食セラミック層の形成と同様、スプレー法、ディッピング法等を採用することができる。また、スラリーを耐食セラミック層表面に均一に形成するため、スラリーの粘度は0.5〜3.0Pa・sであることが好ましい。
【0039】
次いで熱処理を行って表面保護層を形成することができる。熱処理温度は、表面保護層を十分緻密化するために、1300℃〜1600℃、特に1350〜1550℃、さらには1400〜1500℃の温度であることが望ましい。
【0040】
表面保護層は、上述のように、スラリー塗布・熱処理により、安価に且つ密着良く形成できるが、その他にもプラズマ溶射法、CVD法、PVD法等の既存の成膜技術で表面保護層を形成することも可能である。
また、柱状結晶を作るためには、CVD法及びPVD法を用いることが好ましく、特に、EB−PVD(Electron Beam Phisical Vaper Deposition)法を用いるのが良い。
さらに、気孔率を1〜30%に制御するには、熱処理温度を制御すればよい。例えば、Y量が8質量%の安定化ジルコニア粉末を用いての塗布法により表面保護層を形成する場合、熱処理温度を1300〜1600℃の範囲で調整すればよい。また、安定化剤の含有量や熱処理時間を変えても気孔率を調整できる。
【0041】
このような製造方法により、Al及びSiの含有量が少なく、周期律表第3a族元素で安定化された酸化ジルコニウムからなり、特に気孔率が5〜30%、厚みが5〜200μmの表面保護層を有する本発明の耐食性セラミックスを作製することができる。さらに、柱状結晶で、長軸がセラミック基体表面に略垂直な表面保護層を形成することもできる。
【0042】
【実施例】
実験例1
セラミック基体として、窒化珪素焼結体を準備した。窒化珪素焼結体は、酸化ルテチウムを3mol量%、二酸化珪素を6モル%焼結助剤として加えて焼成したものである。
これらのセラミック基体は、縦4mm、横40mm、厚み3mmの形状に加工した。
【0043】
このセラミック基体表面に、耐食セラミック層を形成した。即ち、熱膨張係数がセラミック基体に最も近く且つ小さい周期律表第3a族元素のダイシリケートの粉末からなるスラリーを、スプレーガンでセラミック基体表面に吹き付けて塗布し、乾燥後に温度1650℃で10分間の熱処理を行って第1の耐食セラミック層を形成した。
次に、第1の耐食セラミック層よりも低く、以下に形成する表面保護層よりも高い熱膨張率の中間の熱膨張率を持つ周期律表第3a族元素のダイシリケート粉末からなるスラリーをスプレーガンでセラミック基体表面に吹き付けて塗布し、乾燥後に温度1600℃で10分間の熱処理を行って第2の耐食セラミック層を形成した。また、所望により第3の耐食セラミック層を同様の方法で形成した。
【0044】
純度99.9%のZrO粉末、純度99.9%のY粉末、Lu粉末、Yb粉末、Er粉末、Sm粉末及びSc粉末を表1に示す組成となるよう秤量し、これに水、バインダー(PVA)を添加して酸化ジルコニウムボールを用いて24時間回転ミルで混合し、スラリーを作製した。
また、比較のために(試料No.16〜18)、純度99.9%のAl粉末、ムライト(MU)粉末及びコーディエライト(CJ)粉末を用いて同様の方法でスラリーを作製した。
得られたスラリーを、上記セラミック基体の表面にスプレーガンで吹き付けて塗布し、120℃の乾燥機中で乾燥した。得られた試料を大気中で表1の条件で熱処理して表面保護層を作製した。
【0045】
なお、試料No.12は、EB−PVD法によって安定化ジルコニアからなる表面層を形成した。
また、試料No.19は、比較のため、窒化珪素質焼結体からなるセラミック基体に、耐食セラミック層及び表面保護層を形成せずに評価した。
【0046】
評価は、熱衝撃性試験及び曝露試験を行った。また、熱衝撃性試験は、1300℃−300℃の条件で、熱サイクル試験を100サイクル行い、表面層にクラックがあるかどうか蛍光探傷液浸透法を用いて観察した。
また、曝露試験は、曝露試験装置に試料を載置し、メタンガスを燃焼させ、表2の流速で、試料に燃焼ガスを吹き付けた。
【0047】
【表1】
Figure 2004175627
【0048】
【表2】
Figure 2004175627
【0049】
本発明の試料No.1〜15は熱衝撃試験による被覆層の剥離も無く曝露試験による減肉量も2μm以下であり、耐熱衝撃性、耐食性に優れていることがわかる。
また、表面層に安定化ZrOを用いていない試料No.16〜18はいずれも熱衝撃試験で被覆層にクラックが生じ、さらに減肉量が100μm以上となった。
【0050】
【発明の効果】
本発明の耐食性セラミックスでは、1000℃以上、特に1000〜1500℃の燃焼ガス雰囲気中でも耐水蒸気腐食性が高く、寿命を改善して長時間使用が可能な耐食性セラミックスを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐食性セラミックスの断面構造の一例を示す図。
【符号の説明】
1:セラミック基体
2:耐食セラミック層
2a,2b:ダイシリケート結晶層
3:表面保護層

Claims (9)

  1. セラミック基体と、該セラミック基体の表面に設けられた耐食セラミック層と、該耐食セラミック層上に設けられた表面保護層とからなり、
    前記耐食セラミック層は、互いに異なる周期律表第3a族元素のダイシリケート結晶から形成された複数のダイシリケート層から形成されており、
    前記表面保護層は、周期律表第3a族元素で安定化された酸化ジルコニウムからなり、
    前記セラミック基体、耐食セラミック層を形成する複数のダイシリケート層及び表面保護層の各熱膨張係数は、セラミック基体から表面保護層に向かって、傾斜して並んでいることを特徴とする耐食性セラミックス。
  2. 前記表面保護層は、5〜200μmの厚みを有している請求項1記載の耐食性セラミックス。
  3. 前記表面保護層は、Al及びSiの含有量が合計で1質量%以下に抑制されている請求項1又は2のいずれかに記載の耐食性セラミックス。
  4. 前記表面保護層が柱状結晶からなり、該柱状結晶の長軸がセラミック基体表面に略垂直である請求項1乃至3のいずれかに記載の耐食性セラミックス。
  5. 前記表面保護層の気孔率が1〜30%である請求項1乃至4のいずれかに記載の耐食性セラミックス。
  6. 前記耐食セラミック層を形成するダイシリケート層の各々は、気孔率が5%以下である請求項1乃至5のいずれかに記載の耐食性セラミックス。
  7. 前記表面保護層の熱膨張係数が前記セラミック基体の熱膨張係数よりも大きい請求項1乃至6のいずれかに記載の耐食性セラミックス。
  8. 前記セラミック基体が窒化珪素焼結体である請求項1乃至7のいずれかに記載の耐食性セラミックス。
  9. 前記ダイシリケート結晶がErSi、YbSiまたはLuSiである請求項1乃至8のいずれかに記載の耐食性セラミックス。
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