JP7272370B2 - 窒化ケイ素基板の製造方法および窒化ケイ素基板 - Google Patents

窒化ケイ素基板の製造方法および窒化ケイ素基板 Download PDF

Info

Publication number
JP7272370B2
JP7272370B2 JP2020553947A JP2020553947A JP7272370B2 JP 7272370 B2 JP7272370 B2 JP 7272370B2 JP 2020553947 A JP2020553947 A JP 2020553947A JP 2020553947 A JP2020553947 A JP 2020553947A JP 7272370 B2 JP7272370 B2 JP 7272370B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicon nitride
substrate
less
nitride substrate
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020553947A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020090832A1 (ja
Inventor
道夫 本田
昌孝 藤永
卓司 王丸
耕司 柴田
哲夫 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Corp filed Critical Ube Corp
Publication of JPWO2020090832A1 publication Critical patent/JPWO2020090832A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7272370B2 publication Critical patent/JP7272370B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B35/00Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products
    • C04B35/515Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on non-oxide ceramics
    • C04B35/58Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on non-oxide ceramics based on borides, nitrides, i.e. nitrides, oxynitrides, carbonitrides or oxycarbonitrides or silicides
    • C04B35/584Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on non-oxide ceramics based on borides, nitrides, i.e. nitrides, oxynitrides, carbonitrides or oxycarbonitrides or silicides based on silicon nitride
    • C04B35/593Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on non-oxide ceramics based on borides, nitrides, i.e. nitrides, oxynitrides, carbonitrides or oxycarbonitrides or silicides based on silicon nitride obtained by pressure sintering
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B35/00Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products
    • C04B35/622Forming processes; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products
    • C04B35/64Burning or sintering processes
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Description

本発明は、絶縁基板および回路基板に用いられる窒化ケイ素基板の製造方法、および、この製造方法によって製造される窒化ケイ素基板に関する。
近年、各種のセラミックス(焼結体)基板が半導体モジュール用基板や構造用部材として広く用いられている。例えば、大電力で発熱量の大きな半導体素子を実装する半導体モジュール用基板としては、機械的強度の高さ、熱伝導率の高さ、電気的絶縁性の高さが要求される。窒化アルミニウムや窒化ケイ素等の窒化物焼結体はこれらの特性に優れており、これらの窒化物焼結体基板が広く用いられている。
窒化物基板の元となる窒化物焼結体は、窒化物(AlN、Si等)粉末を主成分としたグリーンシートを高温の窒素雰囲気中で焼結することによって作製される。この際、大面積の窒化物焼結体を製造し、この焼結体から所望の大きさをもつ上記の基板を複数枚切り出すという製造方法が一般的である。この焼結は電気炉等を用いて行われるが、製造コストを低減するために、複数のグリーンシートを積層して焼結することにより、複数の窒化物焼結体を同時に得るという手法が用いられる。
この焼結の際には、積層した窒化物焼結体間の接着を防止するため、窒化物焼結体とされるべきグリーンシートは、分離材を表面に塗布した上で積層される。焼結後、分離材によって複数の窒化物焼結体を分離することができる。
窒化アルミニウムや窒化ケイ素等の窒化物焼結体は1600℃以上の高温で焼結する必要があるため、焼結温度以上の高温で安定な窒化ホウ素(BN)粉が窒化物焼結体間の剥離性を良好にするために分離材として広く用いられている。
上記のように、BN粉は、窒化物焼結体間に介在させたまま焼結が行われるため、焼結時に窒化物焼結体を拘束したり、窒化物焼結体と反応したりすることにより、変形させることがないようにしなければならない。そのため、使用するBN粉の性状やBN粉の塗布方法等の製造条件を選択する必要がある。
特許文献1には、複数のグリーンシートをその間に高耐熱性の微粒子からなる剥離材を介在させて積層し、この積層グリーンシートの積層方向に押圧しながら、焼成する板状セラミック焼結体の製造方法が開示されている。この発明では、焼結時の反りやクラックを防止し、重ね合わせたシートが固着することなく、容易に剥離できることが記載されている。しかしながら、セラミック焼結体として窒化ケイ素薄板に関する記載はなく、窒化ケイ素薄板の製造に剥離材として窒化ケイ素粉を用いることについての記載は全くない。
特許文献2には、分離材が酸素量0.01~0.5重量%、平均粒子径4~20μm、比表面積20m/g以下の窒化ホウ素(BN)粉であり、前記BN粉を0.05~1.4mg/cmの塗布量でグリーンシート表面に塗布する窒化珪素基板の製造方法が開示されている。この発明では、剥離性が良好で、相対密度が高くかつ、高強度、高熱伝導率であって、変形の少ない窒化珪素基板を提供することが記載されている。しかしながら、曲げ強度は790MPa以下、熱伝導率は93W/mK以下である。
特許文献3には、窒化珪素粒子と、少なくとも酸化マグネシウムからなる焼結助剤を含有する窒化珪素焼結体からなる窒化ケイ素基板であって、前記窒化珪素粒子は、短径aが0.5~5μmでかつ短径aに対する長径bの比(b/a)が2以上の柱状結晶粒子を面積比で30%以上含み、前期基板表面の算術平均粗さRaが0.3~2μm以上であり、基板表面に残存するBNと窒化ケイ素の比がBの蛍光X線強度とSiの蛍光X線強度の比(B/Si)で6.5×10-5を超え300×10-5以下であることを特徴とする窒化珪素基板の製造方法、及び窒化珪素基板、並びにそれを使用した回路基板が開示されている。しかしながら、窒化ケイ素基板表面に残存する分離材である窒化ホウ素の残存量を適正な範囲とすることで銅板を接合した際の耐ヒートサイクル性が改善されるが、曲げ強度は750MPa以上、830MPa以下である。
特開平1-87574号公報 特開2011-178598号公報 特開2011-216577号公報 国際公開第2013/146713号
これらの従来技術によれば、セラミックグリーンシートの表面に分離材である窒化ホウ素を塗布することで、複数枚のグリーンシートを積層して焼結した後、剥離性が良好で、変形の少ない窒化ケイ素基板が得られるが、基板表面に分離材である窒化ホウ素が残存するために、銅板を接合した際の耐ヒートサイクル性に問題が生じており、改善されることが望まれている。
また、これらの従来技術では、近年益々発熱量が増大する半導体モジュールに対しては熱伝導性または機械的特性が不足しがちであり、特に動作中の高温域まで放熱性を安定に確保することがより一層望まれている現状においては、熱伝導性と機械的特性の両面で性能不足であるという問題もある。
例えば、耐ヒートサイクル性を改善すべく、グリーンシート表面への窒化ホウ素(BN)分離材の塗布量を少なくする方法、あるいは、窒化珪素焼結体表面をラッピング、あるいはホーニング等の加工条件を強化してBN分離材を強制的に除去加工する方法などを採用して、基板表面に残存するBNと窒化ケイ素の比を表すB/Si蛍光X線強度比を5×10-5以下とすると、窒化ケイ素焼結体表面に欠陥が残存またはダメージが発生することに伴って、その曲げ強度が低下する。
特許文献3では、窒化珪素粒子と、少なくとも酸化マグネシウムからなる焼結助剤を含有する窒化珪素焼結体からなる窒化ケイ素基板において、前記窒化珪素粒子が、短径aが0.5~5μmでかつ短径aに対する長径bの比(b/a)が2以上の柱状結晶粒子を面積比で30%以上含み、前記基板表面の算術平均粗さRaが0.3~2μmであり、基板表面に残存するBNと窒化ケイ素の比がBの蛍光X線強度とSiの蛍光X線強度の比(B/Si)を6.5×10-5を超え300×10-5以下という適正な範囲とすることによって、窒化ケイ素基板表面に銅板を接合する際の接合強度を高め、耐ヒートサイクル性を改善している。しかしながら、特許文献3の方法では、前記b/a比が2以上の柱状結晶粒子の面積比を30%以上にして、基板表面に所定の深さの凹部を形成することによって、分離材であるBNが凹部に残留して、最表面にBNが存在しなくなるようにするという方法で耐ヒートサイクル性を改善しているため、窒化ケイ素基板表面の凹凸が大きくなっている。このため、窒化ケイ素焼結体の曲げ強度は830MPa以下のレベルに留まっている。
本発明者らは、分離材として、従来の窒化ホウ素粉に代えて窒化ケイ素粉を用いることで、銅と接合した際のヒートサイクル性が十分でないという問題を解決できるとともに、所定の特性を有する窒化ケイ素粉を用いることで、さらに上記の曲げ強度が低下するという問題とヒートサイクルに対する耐久性が十分でないという問題の両方をも一気に解決できることを見出した。
即ち、本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、銅と接合した際のヒートサイクル性に優れた窒化ケイ素基板及びその製造方法と、従来技術よりもはるかに高強度、高熱伝導であって、変形の少ない窒化ケイ素基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ね、窒化ケイ素基板の製造のための分離材として窒化ホウ素(BN)粉ではなく窒化ケイ素(SN)粉を用いることができること、またそれにより耐ヒートサイクル性に優れた窒化ケイ素基板が得られること、並びに、特定の比表面積、粒度、酸素量を有し、アルミニウム含有量が少ない窒化ケイ素(SN)粉を分離材として、塗布量などの製造条件を特定の範囲とすることにより、剥離性が良好で、高強度、高熱伝導であって、変形の少ない窒化ケイ素基板が得られることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は以下に関する。
〔態様1〕 窒化ケイ素粉末および焼結助剤を含む複数枚のグリーンシートをそれらの間に分離材を配置して積層し、前記分離材は窒化ケイ素粉を含み、
得られる積層体中の前記複数枚のグリーンシートを焼結し、
前記積層体から分離することによって複数枚の窒化ケイ素焼結体を得、
前記窒化ケイ素焼結体から窒化ケイ素基板を得る、
ことを特徴とする窒化ケイ素基板の製造方法。
〔態様2〕 前記複数枚のグリーンシートの前記焼結を、窒化ケイ素製囲繞体又は窒化ホウ素製囲繞体内で行うことを特徴とする態様1に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
〔態様3〕 前記複数枚のグリーンシートの周りを窒化ケイ素粉で覆って前記焼結を行うことを特徴とする態様1又は2に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
〔態様4〕 前記焼結後に得られる前記窒化ケイ素焼結体の表面に残存する前記分離材を除去することを特徴とする態様1~3のいずれか一項に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
〔態様5〕 前記分離材は、BET法により測定される比表面積が1m/g以上20m/g以下であり、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の50%粒子径D50が20μm以下であり、かつ、酸素量が0.3重量%以上2重量%未満であり、
前記分離材は0.1mg/cm以上3mg/cm以下の塗布量で前記グリーンシートの表面に塗布されていることを特徴とする態様1~4のいずれか一項に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
〔態様6〕 前記分離材のアルミニウム含有量が50ppm未満であることを特徴とする態様5に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
〔態様7〕 前記焼結が、窒素雰囲気中でガス圧力0.15MPa以上3MPa以下、焼結温度1750℃以上1910℃以下で6時間以上22時間以下保持して行われることを特徴とする態様5又は6に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
〔態様8〕 窒化ケイ素粒子と焼結助剤を含有する窒化ケイ素焼結体からなる窒化ケイ素基板であって、厚さが0.5mm以下であり、前記基板の表面に窒化ホウ素粉を有していないことを特徴とする窒化ケイ素基板。
〔態様9〕 前記基板の表面における窒化ホウ素と窒化ケイ素の比がホウ素(B)の蛍光X線強度とケイ素(Si)の蛍光X線強度の比(B/Si)で15×10-5以下であることを特徴とする態様8に記載の窒化ケイ素基板。
〔態様10〕 前記基板が窒化ホウ素(BN)を含まないことを特徴とする態様8に記載の窒化ケイ素基板。
〔態様11〕 窒化ケイ素粒子と焼結助剤を含有する窒化ケイ素焼結体からなる窒化ケイ素基板であって、前記窒化ケイ素粒子は、短径aが0.5~5μmでかつ短径aに対する長径bの比(b/a)が2以上の柱状結晶粒子を前記基板表面における面積比で35%以下とし、かつ前記基板表面の算術平均表面粗さが0.03μm以上0.5μm以下であり、前記基板表面における窒化ホウ素と窒化ケイ素の比がホウ素(B)の蛍光X線強度とケイ素(Si)の蛍光X線強度の比(B/Si)で15×10-5以下であることを特徴とする窒化ケイ素基板。
〔態様12〕 前記基板の表面に窒化ホウ素粉を有していないことを特徴とする態様11に記載の窒化ケイ素基板。
〔態様13〕 熱伝導率が室温において80W/(m・K)以上であり、4点曲げ強度が室温において800MPa以上であることを特徴とする態様11または12に記載の窒化ケイ素基板。
〔態様14〕 前記分離材のアルミニウム含有量が50ppm未満であることを特徴とする態様11~13のいずれか一項に記載の窒化ケイ素基板。
〔態様15〕 厚さが0.5mm以下であることを特徴とする態様11~14のいずれか一項に記載の窒化ケイ素基板。
〔態様16〕 態様8~15のいずれか一項に記載の窒化ケイ素基板を用いたことを特徴とする絶縁基板および回路基板。
本発明の窒化ケイ素基板によれば、基板表面に窒化ホウ素(BN)粉が存在しないため、銅板を接合した際の耐ヒートサイクル性が改善され、長期にわたって安定して使用できる窒化ケイ素基板を得ることができる。
また本発明によれば、複数枚のグリーンシートをSN分離材を介して積層した後に窒化ケイ素焼結体を焼結した場合に、複数枚の窒化ケイ素焼結体を容易に剥離でき、高強度、高熱伝導を有し、かつ変形の少ない窒化ケイ素基板を得ることができる。特に、酸化マグネシウムを焼結助剤として用いる窒化ケイ素焼結体の場合に、特に本発明は有効である。
本発明の窒化ケイ素基板の製造方法においてグリーンシート2を積層した状態を示す図である。 本発明の窒化ケイ素基板の製造方法においてグリーンシート2を積層し詰め粉5をした状態を示す図である。 窒化ケイ素焼結体表面の窒化ケイ素粒子8及び分離材9の微細構造を示す模式図である。
本発明の窒化ケイ素基板の製造方法および窒化ケイ素基板について詳しく説明する。本発明の窒化ケイ素基板は絶縁性セラミックス基板として好適に用いられるものである。
〔第一の側面:分離材として窒化ケイ素粉の使用〕
本発明のこの側面では、
「窒化ケイ素粉末および焼結助剤を含む複数枚のグリーンシートをそれらの間に分離材を配置して積層し、前記分離材は窒化ケイ素粉を含み、
得られる積層体中の前記複数枚のグリーンシートを焼結し、
前記積層体から分離することによって複数枚の窒化ケイ素焼結体を得、
前記窒化ケイ素焼結体から窒化ケイ素基板を得る、
ことを特徴とする窒化ケイ素基板の製造方法」と、
「窒化ケイ素粒子と焼結助剤を含有する窒化ケイ素焼結体からなる窒化ケイ素基板であって、厚さが0.5mm以下であり、前記基板の表面に窒化ホウ素粉を有していないことを特徴とする窒化ケイ素基板」
が提供される。
従来、分離材を介して、窒化ケイ素粉末および焼結助剤を含む複数枚のグリーンシートを積層して焼結する際には、原料の窒化ケイ素粉末の焼結温度より高い焼結あるいは反応温度を有する窒化ホウ素粉が分離材として用いられ、板状窒化ケイ素焼結用の分離材として窒化ケイ素粉は用いられていない。しかし、本発明者は、従来技術の予想に反して、意外にも、窒化ケイ素粉が板状窒化ケイ素焼結用の分離材として用いることができること、しかも板状焼結体表面に窒化ホウ素粉が残留しないので、得られる窒化ケイ素基板に銅を接合した際にヒートサイクル性が改良される効果を有する、優れた分離材であることを見出した。分離材は、焼結すべき基材と全く反応しないものではなく、かえって基材とある程度の反応をしないと分離材として機能を発揮できないので、窒化ケイ素粉は、基材と反応することは分離材としての使用から排除されるものではなく、基材に対して異物(不純物)でない点で、板状窒化ケイ素焼結用の分離材として優れていることを確認した。
本発明のこの側面では、窒化ケイ素基板の製造方法において、まず、原料調整・混合工程として、窒化ケイ素粉末に焼結助剤となるセラミックス粉末を分散媒となる有機溶剤を使用し、ボールミル等で混合し、さらに、バインダー及び可塑剤と混合してスラリーを作製する。
窒化ケイ素粉末としては、シート成形法及びグリーンシートの焼結による窒化ケイ素基板の製造に原料として用いられる任意の窒化ケイ素粉末を用いることができるが、好ましい窒化ケイ素粉末として、比表面積が10.0m/g以上、酸素含有量が1.0wt%以上、アルミニウム含有量が100ppm未満であってよく、より好ましくは、比表面積が13.0m/g以上、酸素含有量が1.2wt%以上2.3wt%以下、アルミニウム含有量が50ppm未満である。窒化ケイ素粉末は、1つの態様において、比表面積が25.0m/g以下、酸素含有量が2.3wt%以下であってよい。
焼結助剤としては、窒化ケイ素基板の製造に用いられる任意の焼結助剤を用いることができ、特に限定されないが、酸化物焼結助剤が好適に用いられる。酸化物としては、酸化マグネシウム、希土類元素の酸化物は、希土類元素としてはY、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等があげられるが、酸化物Yが好ましい。焼結助剤として例えば二酸化ケイ素を用いてもよい。
例えば、窒化ケイ素原料98質量%から81質量%に対して、酸化マグネシウムの添加量0.5質量%から4質量%、希土類元素の酸化物の添加量1.5質量%から15質量%の範囲であってよく、より好ましくは、窒化ケイ素原料97.5質量%から91質量%に対して、酸化マグネシウムの添加量1.0質量%から3質量%、かつ希土類元素の酸化物の添加量1.5質量%から6質量%の範囲であってよい。
高熱伝導率の窒化ケイ素基板を得るため焼結助剤としては、酸化マグネシウム(MgO)および希土類元素の酸化物(RExOy)が好ましい。酸化マグネシウムは比較的低温で液相を形成するため、窒化ケイ素焼結体の焼結を促進することができ、且つ、窒化ケイ素粒子に固溶し難いため、窒化ケイ素基板の熱伝導率を高くすることができる。また希土類元素としてはY、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等があげられるが、中でもYの酸化物Yは窒化ケイ素基板の高密度化に有効であり、より好ましい。
次に、成形工程として、上記混合して作製したスラリーを必要に応じて粘度調整し、これをドクターブレード法、押し出し成形法、もしくはそれに準じた方法により所定厚さのシート状に成形する。このときのシート成形体の板厚は、半導体パワーモジュールなどの用途に応じて適宜決定できるが、0.1mmから0.6mm程度までの範囲とすること、さらには0.2mmから0.5mm程度、さらには0.2mmから0.40mm程度までの範囲とすることが好ましい。シート成形体の板厚は、任意の十箇所以上の測定値の平均値とする。
次に、グリーンシートを所望の形状に切断した後、切断されたグリーンシートの片面もしくは両面に分離材を塗布した後、分離材が塗布されたグリーンシートを複数枚、積層して焼結する。積層体の最下層の下側、最上層の上側には、分離材を塗布することが好ましいが、塗布しなくてもよい。
本発明及び第一の側面において用いる分離材は、窒化ケイ素(SN)粉を含む粉末である。本発明及び第一の側面によれば、窒化ケイ素のグリーンシート間の分離材として窒化ケイ素(SN)粉を用いることにより、焼結後に窒化ケイ素焼結体の表面に従来技術のように窒化ホウ素(BN)粉が残留することがなく、残留するとしても窒化ケイ素(SN)粉であるので、窒化ケイ素基板を銅と接合した際のヒートサイクル性に優れることができる。分離材としては窒化ケイ素(SN)粉だけを好ましく用いることができるが、分離材として窒化ケイ素(SN)粉を用いる効果が得られる限り、窒化ホウ素(BN)粉が一部含まれてもよい。例えば、窒化ホウ素(BN)粉を30重量%以下、さらに10重量%以下含んでもよい。しかし、本発明では好ましく分離材として窒化ケイ素(SN)粉だけを用いるので、以下では特に断らない限り分離材として窒化ケイ素(SN)粉を用いるものとして説明する。
分離材の比表面積は、BET法により測定される比表面積が1m/g以上20m/g以下であることが好ましい。分離材の比表面積は、分離材のグリーンシート表面への密着性を考慮して選択される。比表面積が小さすぎて密着性が不足すると取扱い時に剥離し易くなる一方、比表面積が大きすぎると焼結時にグリーンシート中の焼結助剤と著しく反応して、分離材を介して焼結体同士がくっついて剥離出来なくなるおそれがある。比表面積は、1m/g以上12m/g以下、2m/g以上7m/g以下であることがより好ましい。
分離材の平均粒子径としては、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の50%粒子径(D50)が20μm以下であることが好ましい。分離材のD50が大きすぎると、分離材のグリーンシートへの密着性が悪くなって取扱い時に剥離し易い。D50は、10μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下であることがより好ましい。D50は1μm以下であってよい。D50の下限は限定されないが、D50は0.3μm以上であってよい。体積基準の50%粒子径(D50)とは、体積基準の粒子径の累積値が全累積値の50%になる粒子径をいう。
分離材の酸素量は0.1質量%以上2.0質量%未満であることが好ましい。分離材の酸素量は、焼結時に分離材が窒化ケイ素焼結体の焼結助剤成分と、適度に反応して、窒化ケイ素焼結体の表面に存在して、隣接する窒化ケイ素焼結体同士の接着を防ぎ、剥離性を良くするとともに、窒化ケイ素焼結体の変形を防止できる範囲になるように選択することが望ましい。酸素量が多すぎると、焼結時にグリーンシート中の焼結助剤と著しく反応して、分離材を介して焼結体同士がくっついて剥離出来なくなる。特に、この現象は、焼結助剤として酸化マグネシウムを用いた場合、焼結助剤との反応が起こり易く、窒化ケイ素基板の厚さが0.1~0.6mmの場合に顕著になる。一方、酸素量が少なすぎると、焼結時に分離材と窒化ケイ素焼結体の反応がほとんど起こらないため、焼結収縮に伴い分離材が基板表面を移動することもあり、グリーンシート表面に塗布された分離材の均一性が損なわれ、分離材の存在割合の少ない場所が発生して隣接する窒化ケイ素焼結体が接着し剥離性が損なわれる。分離材の酸素量は上記観点から0.3~2.0質量%未満、0.3~1.2質量%がより好ましい。
分離材のアルミニウム含有量は100ppm未満であることが好ましい。アルミニウム含有量が多すぎると、焼結後にβ型窒化ケイ素粒子内部に固溶するアルミニウムが増加する。固溶したアルミニウムイオンによるフォノン散乱は熱伝導率低下の原因となり、得られる窒化ケイ素基板の熱伝導率が低下するので好ましくない。アルミニウム含有量の好ましい範囲は50ppm以下、さらには40ppm以下であることがより好ましい。
分離材のグリーンシート表面への塗布量は、0.1mg/cm以上4.0mg/cm以下であることが好ましい。分離材の塗布量が多すぎると、多量の分離材が焼結過程で窒化ケイ素焼結体表面の窒化ケイ素粒子間に容易に入り込み、収縮を阻害するため、窒化ケイ素焼結体の密度が低下し、強度も低下する。一方、分離材の塗布量が少なすぎると、分離材が不十分となる箇所が出現し、隣接する窒化ケイ素焼結体間の反応により、窒化ケイ素焼結体同士が付着してしまい、剥離出来なくなる。上記観点から、分離材の好ましい塗布量は、0.1mg/cm以上3mg/cm以下、さらには0.2mg/cm以上1mg/cm以下であることがより好ましい。
分離材の塗布方法としては、グリーンシート表面へ均一に塗布するため、分離材を有機溶媒に分散させたスラリーを作製した後に、スプレー式の塗布機により霧状にして片面若しくは両面に塗布してもよいし、分離材を刷毛で直接片面若しくは両面に塗布してもよい。ここで、スラリーを作製する際には、分離材と有機溶媒とを窒化ケイ素製ボールを用いて混合することが好ましい。有機溶媒を用いてスラリーとする理由は、水を用いてスラリーを作製した場合、水存在下では分離材の酸素量が増加し、剥離性が悪化するためである。分離材と有機溶媒の割合は重量比で分離材/有機溶媒=1/10から1/2程度の範囲が適当である。また、窒化ケイ素製ボールを用いて混合するのは、分離材の凝集を壊砕し、均一分散させるためである。
分離材を有機溶媒に分散させたスラリーが塗布、乾燥されたグリーンシートは数枚~数十枚重ねて、積層された後、グリーンシート中のバインダー等の有機成分を除去するために脱脂を行う。脱脂は900℃以下の大気中、もしくは窒素、アルゴン等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。積層するグリーンシートの枚数は5~50枚が好ましい。
脱脂工程の後、グリーンシートを焼結する(焼結工程)。図1に、複数のグリーンシート2を分離材1を介在して積層し、セッタ3上に置き、周囲をスペーサ4が囲い、さらに頂部をセッタ3で押さえた状態の例を断面図として示す。上下のセッタ3と周囲のスペーサ4とによって、複数のグリーンシート2の積層体の囲繞体が形成されている。セッタ3と周囲のスペーサ4とに囲まれた複数のグリーンシート2の積層体は、加熱炉内に配置され、所定の温度に加熱される。本発明において、セッタ3及びスペーサ4は、窒化ホウ素製であってよいが、好ましくは窒化ケイ素製である。セッタ3及びスペーサ4が窒化ホウ素製であると、焼結時にセッタ3及びスペーサ4から焼結体に窒化ホウ素が蒸気拡散するので、窒化ケイ素製のセッタ3及びスペーサ4を用いることが好ましい。窒化ケイ素製のセッタ3及びスペーサ4は、窒化ケイ素焼結体からなればよいが、窒化ケイ素焼結体からの焼結助剤などの蒸散を抑えるためにグリーンシート2の最高焼結温度より高い温度で焼成したものを用いてよい。また、図2を参照すると、窒化ホウ素製のセッタ3及びスペーサ4を用いる場合であっても、複数のグリーンシート2の積層体の周囲に窒化ケイ素粉を詰め粉5で覆うことによっても、窒化ホウ素製のセッタ3及びスペーサ4から焼結体への窒化ホウ素の蒸気拡散を防止することができるので好ましい。さらに、窒化ケイ素製のセッタ3及びスペーサ4を用い、かつ窒化ケイ素粉を詰め粉5で覆ってもよい。なお、本発明において、分離材としての窒化ケイ素粉を介在した複数のグリーンシート2の積層体を熱処理する装置は、図1及び図2に示す態様に限定されるものではない。
分離材を介在したグリーンシートの積層体は、脱脂及び焼結される。分離材を介在したグリーンシートの積層体は、耐熱性セッタ上に設置され、側面を耐熱性スペーサで囲んでから、頂面を耐熱性セッタで押圧した状態で、加熱してよい。セッタ及びスペーサ(本明細書においてセッタとスペーサを合わせて囲繞体ともいう。)は従来の窒化ホウ素(BN)製のほか、本発明によれば、好ましく窒化ケイ素(SN)製のものにすることができる。囲繞体は窒化ホウ素(BN)製であっても、分離材として窒化ケイ素(SN)粉を用いると、焼結後の窒化ケイ素基板表面に窒化ホウ素(BN)粉が残留しないので、得られる窒化ケイ素基板は銅と接合した際の耐熱性、ヒートサイクル性に優れることができる。また、窒化ホウ素(BN)粉を用いないので、窒化ケイ素基板表面に含まれるBNの含有量も顕著に少なくすることができる。さらに、囲繞体を窒化ケイ素(SN)製にすれば、BNの蒸気拡散に基づく混入も完全に防止することができる。また、グリーンシートの積層体の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めて焼結することによっても、BNの混入を防止することができる。
脱脂後のグリーンシートは例えば10Pa以下の真空にして残留ガスを除去した後、真空中あるいは希ガスなどの不活性雰囲気中でもよいが、窒素で置換した雰囲気中で焼結することが好ましい。
窒素雰囲気圧力は、例えば10MPa以下の高圧でもよいが、好ましくは0.15MPa以上3MPa以下の低圧であってよい。高圧にするにはコストがかかり、一方、雰囲気ガス圧力が低すぎると、焼結時の最高保持温度を好適な焼成温度にあげることが困難になる。
焼結温度は、例えば1600℃以上1950℃以下であってよいが、1750℃以上1900℃以下であることがより好ましく、例えば、1790℃以上1880℃以下であってよい。焼結時の最高保持温度が低いと、焼結の進行速度が遅く、緻密な窒化ケイ素基板を得ることが難しい。あるいは、低い最高保持温度で緻密な窒化ケイ素基板が得られたとしても、柱状のβ型窒化ケイ素粒子の成長が不十分になるので、低い熱伝導率の窒化ケイ素基板しか得られないので、熱伝導率をあげることは困難である。最高保持温度が高すぎると、柱状のβ型窒化ケイ素粒子の成長が著しく速くなり、窒化ケイ素基板表面の凹凸が大きくなり、隣接する窒化ケイ素焼結体間の反応により、窒化ケイ素焼結体同士が付着してしまい、剥離が困難になる。
焼結温度、特に最高保持温度における保持時間は、一般的には4時間以上、また30時間以下であってよいが、6時間以上22時間以下の程度が好ましく、焼成温度のプロファイルなどによっても変化してよい。
窒化ケイ素焼結体は、特に表面に窒化ホウ素粉を含まないので、そのまま窒化ケイ素基板として用いてもよいが、ブラスト加工等による表面処理を施すことが好ましい。ブラスト加工は例えば、10~100μmのSiC砥粒を窒化ケイ素基板表面に噴射することによって、表面に突出した窒化ケイ素粒子を削り、表面粗さを低減して、金属板との接合性を良好にするために実施する。ブラスト加工、さらにはラップ処理によって除去される窒化ケイ素基板の表面の深さ(厚さ)は、例えば、30μm以下であってよいが、好ましくは20μm以下、さらには10μm以下、特には5μm以下であってよい。本発明の第一の側面によれば、最低限のブラスト加工によって、分離材の除去、優れた表面特性を実現することができる。
上記した窒化ケイ素基板の製造方法を採用することにより、複数枚の窒化ケイ素焼結体を容易に剥離でき、焼結体表面の凹凸も適正なレベルに制御されているため、高強度を有し、かつ変形の少ない窒化ケイ素基板を得ることができる。また、窒化ケイ素基板表面にBN粉が存在しないため、さらには基板がBNを含まないか極微量にしか含まないため、銅板を接合した際の耐ヒートサイクル性が改善され、長期にわたって安定して使用できる。
この側面によれば、分離材として従来のBN粉に代えてSN粉を用いることで、基板表面にBN粉が残留していない窒化ケイ素基板を得ることができる。この側面において、基板表面のBNは蛍光X線分析によって分析できるが、窒化ケイ素基板は、ホウ素(B)の蛍光X線強度とケイ素(Si)の蛍光X線強度の比(B/Si)で15×10-5以下、12×10-5以下、10×10-5以下、8×10-5以下であってよく、さらには6.5×10-5未満、5×10-5未満であることができる。特に、焼結の際にグリーンシート積層体を窒化ケイ素製の囲繞体(セッタ)内に設置したり、グリーンシート積層体の周りを窒化ケイ素粉で覆って焼結することで、基板表面にBN粉及び本体にBNを含まない窒化ケイ素基板を得ることができる。この側面の窒化ケイ素基板は、BN含有量を任意に少なくすることができ、蛍光X線分析によってホウ素(B)が検出限界以下とし、BNを含まないものにすることができる。窒化ケイ素基板がBNを含まないとは、蛍光X線分析によってホウ素(B)が検出限界以下であることを意味するが、本発明では分離材にも囲繞体にも窒化ケイ素を用いることで、窒化ケイ素基板がBNを完全に含まないものであってよい。
この側面における窒化ケイ素基板は、分離材を用いて製造される窒化ケイ素基板、厚さが例えば0.5mm以下の窒化ケイ素基板に好適に適用される。さらには、厚さは0.45mm以下、0.4mm以下、0.35mm以下であってよい。また厚さが0.1mm以上、0.15mm以上であってよい。この側面においてシート成形を経て得られる窒化ケイ素基板は、算術平均粗さRaが0.03μm以上0.5μm以下に研磨された表面にX線を照射した際に得られるβ型窒化ケイ素の(101)面の回折強度I(101)と(210)面の回折強度I(210)の比I(101)/I(210)が0.62以上0.95以下であることを特徴としてよい。
この側面における窒化ケイ素基板の製造方法及び窒化ケイ素基板の好ましい態様は、下記に記載する第二の側面の窒化ケイ素基板の製造方法及び窒化ケイ素基の各態様を含む。
この側面において、熱伝導率が室温において80W/(m・K)以上、さらには90W/(m・K)以上、かつ4点曲げ強度が室温において800MPa以上、さらには900MPa以上の窒化ケイ素基板を得ることが可能である。本発明の窒化ケイ素基板はシート成形で得られる薄いグリーンシートを焼結して得られるものであり、CIP成形や金型プレス成形及び焼結して得られるバルクの焼結体とは本質的に異なる。
〔第二の側面:高強度、高熱伝導度の窒化ケイ素基板〕
本発明の第二の側面では、特定の比表面積、粒度、酸素量を有し、アルミニウム含有量が少ない窒化ケイ素(SN)粉を分離材として、塗布量などの製造条件を特定の範囲とすることにより、剥離性が良好で、高強度、高熱伝導であって、変形の少ない窒化ケイ素基板が得られることを見出した。また、この側面で得られる窒化ケイ素基板は柱状結晶粒子を特定の面積比で含むものであってよい。本発明の第二の側面は、本発明の第一の側面に対して好適な実施態様という側面を有するものであり、第一の側面で説明した事項は、さらに限定する点は別として、原則として、この側面でも適用できる。
この側面によれば、「窒化ケイ素粉末および焼結助剤を含む複数枚のグリーンシートをそれらの間に分離材を配置して積層し、
得られる積層体中の前記複数枚のグリーンシートを焼結し、
前記積層体から分離することによって複数枚の窒化ケイ素焼結体を得、
前記窒化ケイ素焼結体から窒化ケイ素基板を得る、窒化ケイ素基板の製造方法であって、
前記分離材は、窒化ケイ素粉を含み、BET法により測定される比表面積が1m/g以上20m/g以下であり、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の50%粒子径をD50とし、前記D50が20μm以下であり、かつ、酸素量が0.3重量%以上2重量%未満であり、
前記分離材は0.1mg/cm以上3mg/cm以下の塗布量で前記グリーンシートの表面に塗布されていることを特徴とする窒化ケイ素基板の製造方法」が提供され、
さらに、「窒化ケイ素粒子と焼結助剤を含有する窒化ケイ素焼結体からなる窒化ケイ素基板であって、前記窒化ケイ素粒子は、短径aが0.5~5μmでかつ短径aに対する長径bの比(b/a)が2以上の柱状結晶粒子を前記基板表面における面積比で35%以下とし、かつ前記基板表面の算術平均表面粗さが0.03μm以上0.5μm以下であり、前記基板表面における窒化ホウ素と窒化ケイ素の比がホウ素(B)の蛍光X線強度とケイ素(Si)の蛍光X線強度の比(B/Si)で15×10-5以下であることを特徴とする窒化ケイ素基板」が提供される。
本発明の第二の側面の窒化ケイ素基板の製造方法においては、まず、原料調整・混合工程として、窒化ケイ素粉末に焼結助剤となるセラミックス粉末を分散媒となる有機溶剤を使用し、ボールミル等で混合し、さらに、バインダー及び可塑剤と混合してスラリーを作製する。
第二の側面において、原料の窒化ケイ素粉末は、第一の側面におけると同様に、窒化ケイ素基板の製造に通常用いられる窒化ケイ素粉末のいずれも用いることができ、好ましくは、比表面積が10.0m/g以上、酸素含有量が1.0wt%以上、アルミニウム含有量が100ppm未満、より好ましくは、比表面積が13.0m/g以上、酸素含有量が1.2wt%以上2.3wt%以下、アルミニウム含有量が50ppm未満の窒化ケイ素粉末であってよい。窒化ケイ素粉末は、1つの態様において、比表面積が25.0m/g以下、酸素含有量が2.3wt%以下であってよい。
さらに、原料の窒化ケイ素粉末は、比表面積が5~30m/gであり、粒子表面から粒子表面直下3nmまでに存在する酸素の含有割合をFSO(質量%)とし、粒子表面直下3nmから内側に存在する酸素の含有割合をFIO(質量%)とし、比表面積をFS(m/g)とした場合に、FS/FSOが8~25であり、FS/FIOが22以上である窒化ケイ素粉末であってよく、この窒化ケイ素粉末は特許文献4に開示された製法により製造できる。
高熱伝導率の窒化ケイ素基板を得るため焼結助剤としては、酸化マグネシウム(MgO)および希土類元素の酸化物(RExOy)が好ましい。酸化マグネシウムは比較的低温で液相を形成するため、窒化ケイ素焼結体の焼結を促進することができ、且つ、窒化ケイ素粒子に固溶し難いため、窒化ケイ素基板の熱伝導率を高くすることができる。また希土類元素としてはY、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等があげられるが、中でもYの酸化物Yは窒化ケイ素基板の高密度化に有効であり、より好ましい。焼結助剤としてさらに例えば二酸化ケイ素を用いてもよい。
窒化ケイ素原料98質量%から81質量%に対して、酸化マグネシウムの添加量は0.5質量%から4.0質量%までの範囲であることが好ましく、希土類元素の酸化物の添加量は1.5質量%から15質量%までの範囲であることが好ましい。より好ましくは、窒化ケイ素原料97.5質量%から91質量%に対して、酸化マグネシウムの添加量は、1.0質量%から3質量%、かつ希土類元素の酸化物の添加量は、1.5質量%から6質量%の範囲であってよい。二酸化ケイ素など追加の酸化物を添加する場合には、酸化マグネシウムと別途0.3質量%から1.5質量%の範囲で添加してもよい。
次に、成形工程として、上記混合して作製したスラリーを必要に応じて粘度調整し、これをドクターブレード法、押し出し成形法、もしくはそれに準じた方法により所定厚さのシート状に成形する。このときのシート成形体の板厚は、半導体パワーモジュールに応じて適宜決定できるが、0.2mmから0.6mm程度までの範囲とすることが好ましい。のシート成形体の板厚は、任意の十箇所以上の測定値の平均値とする。
次に、グリーンシートを所望の形状に切断した後、切断されたグリーンシートの片面もしくは両面に分離材を塗布した後、分離材が塗布されたグリーンシートを複数枚、積層して焼結する。
分離材は、窒化ケイ素(SN)粉を含み、BET法により測定される比表面積が1m/g以上20m/g以下、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の50%粒子径D50が20μm以下、酸素量0.3質量%以上2質量%未満、アルミニウム含有量が50ppm未満であり、塗布量は0.1mg/cm以上3mg/cm以下である。より好ましくは、D50は10μm以下、5μm以下、酸素量は0.3質量%以上1.2質量%以下、アルミニウム含有量は40ppm以下、塗布量は0.2mg/cm以上1mg/cm以下であってよい。分離材は、窒化ケイ素(SN)粉のみからなることが好ましく、以下では分離材SN粉について記載するが、SN粉を用いる効果が得られる限り、一部を窒化ホウ素(BN)粉にしてもよい。
本発明のこの側面の分離材のBET法により測定される比表面積は1m/g以上20m/g以下である。比表面積が1m/g以上では、分離材のグリーンシート表面への密着性がよくなって取扱い時に剥離し難くなる。比表面積が20m/g以下であると、分離材の前記酸素量を少なくでき、2質量%を超えないようにして、分離材が焼結時にグリーンシート中の焼結助剤と反応して、分離材を介して焼結体同士がくっついて剥離出来なくなることを回避できる。上記観点から、分離材の比表面積は1m/g以上12m/g以下が好ましく、2m/g以上7m/g以下がより好ましい。
本発明のこの側面の分離材のD50は20μm以下である。D50が20μm以下であると、分離材のグリーンシートへの密着性がよいので取扱い時に剥離し難い。D50は5μm以下、3μm以下、2μm以下であることがより好ましい。D50は1μm以下であってよい。D50の下限は限定されないが、D50は0.3μm以上であってよい。
本発明のこの側面の分離材の酸素量は0.3質量%以上2質量%未満である。分離材の酸素量がこの範囲であれば、焼結時に分離材粉が窒化ケイ素焼結体の焼結助剤成分と、適度に反応して、窒化ケイ素焼結体の表面に存在して、隣接する窒化ケイ素焼結体同士の接着を防ぎ、剥離性を良くするとともに、窒化ケイ素焼結体の変形を防止できる。酸素量が2質量%より少ないと、焼結時にグリーンシート中の焼結助剤と著しく反応して、分離材を介して焼結体同士がくっついて剥離出来なくなることを防止できる。この反応及び現象は、焼結助剤として酸化マグネシウムを用いた場合に、焼結助剤との反応が起こり易く、窒化ケイ素基板の厚さが0.2~0.6mmの場合に顕著になる。一方、酸素量が0.3質量%以上であると、焼結時に分離材と窒化ケイ素焼結体の反応が起こり易いので、焼結収縮に伴い分離材が基板表面を移動することがなく、グリーンシート表面に塗布された分離材の均一性が保たれ、分離材の存在割合の少ない場所が発生せず、隣接する窒化ケイ素焼結体が接着し剥離性が損なわれることが防止される。分離材の酸素量は上記観点から0.3~1.2質量%がより好ましい。
本発明のこの側面の分離材のアルミニウム含有量は50ppm未満であることが好ましい。50ppm以上では、焼結後にβ型窒化ケイ素粒子内部に固溶するアルミニウムが増加する。固溶したアルミニウムイオンによるフォノン散乱は熱伝導率低下の原因となり、得られる窒化ケイ素基板の熱伝導率が90W/(m・K)未満、さらには80W/(m・K)未満に低下することがあるので好ましくない。アルミニウム含有量の好ましい範囲は40ppm以下である。
本発明のこの側面の分離材のグリーンシート表面への塗布量は0.1mg/cm以上3mg/cm以下である。分離材の塗布量が3mg/cm以下の場合、多量の分離材が焼結過程で窒化ケイ素焼結体表面の窒化ケイ素粒子間に容易に入り込むことがなく、収縮を阻害しないので、窒化ケイ素焼結体の密度が向上し、強度も向上する。一方、分離材の塗布量が0.1mg/cm以上であると、分離材が十分に存在するので、隣接する窒化ケイ素焼結体間の反応により、窒化ケイ素焼結体同士が付着して、剥離出来なくなることを防止できる。上記観点から、分離材の好ましい塗布量は0.2mg/cm以上1mg/cm以下である。
分離材の塗布方法としては、グリーンシート表面へ均一に塗布するため、分離材を有機溶媒に分散させたスラリーを作製した後に、スプレー式の塗布機により霧状にして片面若しくは両面に塗布してもよいし、分離材を刷毛で直接片面若しくは両面に塗布してもよい。ここで、スラリーを作製する際には、分離材と有機溶媒とを窒化ケイ素製ボールを用いて混合することが好ましい。有機溶媒を用いてスラリーとする理由は、水を用いてスラリーを作製した場合、水存在下では分離材の酸素量が増加し、剥離性が悪化するためである。分離材と有機溶媒の割合は重量比で分離材/有機溶媒=1/10から1/2程度の範囲が適当である。また、窒化ケイ素製ボールを用いて混合するのは、分離材の凝集を壊砕し、均一分散させるためである。
分離材を有機溶媒に分散させたスラリーが塗布、乾燥されたグリーンシートは数枚~数十枚重ねて、積層された後、グリーンシート中のバインダー等の有機成分を除去するために脱脂を行う。脱脂は900℃以下の大気中、もしくは窒素、アルゴン等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。積層するグリーンシートの枚数は5~50枚が好ましい。
分離材を介在したグリーンシートの積層体は、脱脂及び焼結される。グリーンシートの積層体は、耐熱性セッタ上に設置され、側面を耐熱性スペーサで囲んでから、頂面を耐熱性セッタで押圧した状態で、(脱脂及び)焼結されてよいが、セッタ及びスペーサ(本明細書において囲繞体ともいう。)は従来の窒化ホウ素(BN)製のほか、本発明によれば、好ましく窒化ケイ素(SN)製のものにすることができる。囲繞体は窒化ホウ素(BN)製であっても、分離材として窒化ケイ素(SN)粉を用いると、焼結後の窒化ケイ素基板表面に窒化ホウ素(BN)粉が残留しないので、得られる窒化ケイ素基板は銅を接合した際の耐熱性に優れることができる。さらに、囲繞体を窒化ケイ素(SN)製にすれば、蒸気拡散に基づくBNの混入も完全に防止することができる。窒化ケイ素製囲繞体は高い温度で焼成したものを用いてよい。また、グリーンシートの積層体の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めて焼結することによっても、BNの混入を防止することができる。
脱脂後のグリーンシートは10Pa以下の真空にして残留ガスを除去した後、窒素で置換した雰囲気中で焼結することが好ましい。窒素雰囲気中で圧力0.15MPa以上3MPa以下、焼結温度1750℃以上1910℃以下、より好ましくは1790℃以上1880℃以下で6時間以上22時間以下保持して焼結することが好ましい。
窒素ガス圧力0.15MPa以上であると、焼結時の最高保持温度を1750℃以上、さらには1790℃以上にあげることは出来る。最高保持温度が1750℃以上、さらには1790℃以上であると、焼結の進行速度が速く、緻密な窒化ケイ素基板を得ることができる。あるいは、最高保持温度1750℃以上、さらには1790℃以上で、緻密な窒化ケイ素基板を得ると、柱状のβ型窒化ケイ素粒子の成長が十分であり、高い熱伝導率の窒化ケイ素基板が得られるので、熱伝導率を80W/(m・K)以上、さらには90W/(m・K)以上にすることができる。最高保持温度が1910℃以下、さらには1880℃以下であると、柱状のβ型窒化ケイ素粒子の成長が適当な速度であり、窒化ケイ素基板表面の凹凸が大きくならず、隣接する窒化ケイ素焼結体間の反応により、窒化ケイ素焼結体同士が付着してしまい、剥離出来なくなることが防止される。
窒化ケイ素焼結体は、基板表面状態は優れており、特に基板表面にBN粉が残留せず、BN含有量もなしか極めて少ないので、そのまま窒化ケイ素基板として用いてもよいが、ブラスト加工等による表面処理を施すことが好ましい。ブラスト加工は例えば、10~100μmのSiC砥粒を窒化ケイ素基板表面に噴射することによって、表面に突出した窒化ケイ素粒子を削り、表面粗さを低減して、金属板との接合性を良好にするために実施する。ブラスト加工、さらにはラップ処理によって除去される窒化ケイ素基板の表面の深さ(厚さ)は、例えば、30μm以下であってよいが、好ましくは20μm以下、さらには10μm以下、特には5μm以下であってよい。本発明の第二の側面では、最低限のブラスト加工によって、分離材の除去、優れた表面特性を実現することができる。
上記した窒化ケイ素基板の製造方法を採用することにより、複数枚の窒化ケイ素焼結体を容易に剥離でき、窒化ケイ素焼結体を構成する柱状窒化ケイ素粒子が適度な大きさであって、焼結体表面の凹凸も適正なレベルに制御されているため、高強度、高熱伝導を有し、かつ変形の少ない窒化ケイ素基板を得ることができる。また、基板表面にBN粉が存在しないため、銅板を接合した際の耐ヒートサイクル性が改善され、長期にわたって安定して使用できる。具体的には、窒化ケイ素粒子と、少なくとも酸化マグネシウムからなる焼結助剤を含有する窒化ケイ素焼結体からなる窒化ケイ素基板であって、前記窒化ケイ素粒子は、短径aが0.5~5μmでかつ短径aに対する長径bの比(b/a)が2以上の柱状結晶粒子を面積比で35%以下、さらには30%以下、25%以下とし、かつ前記基板表面の算術平均表面粗さが0.03μm以上0.5μm以下の窒化ケイ素基板が得られる。
また、この側面によれば、分離材として従来のBN粉に代えてSN粉を用いることで、基板表面にBN粉が残留していない窒化ケイ素基板を得ることができる。この側面において、基板表面のBNは蛍光X線分析によって分析できるが、窒化ケイ素基板は、ホウ素(B)の蛍光X線強度とケイ素(Si)の蛍光X線強度の比(B/Si)で15×10-5以下で、12×10-5以下、10×10-5以下、8×10-5以下あってよく、さらには6.5×10-5未満、5×10-5以下であることができる。特に、焼結の際にグリーンシート積層体を窒化ケイ素製の囲繞体(セッタ)内に設置したり、グリーンシート積層体の周りを窒化ケイ素粉で覆って焼結することで、基板表面及び本体にBNを含まない窒化ケイ素基板を得ることができる。この側面の窒化ケイ素基板は、BN含有量を任意に少なくすることができ、蛍光X線分析によってホウ素(B)が検出限界以下とし、またBNを含まないものにすることができる。
また、この側面によれば、熱伝導率が室温において80W/(m・K)以上、かつ4点曲げ強度が室温において800MPa以上の窒化ケイ素基板を得ることが可能である。熱伝導率は、室温において85W/(m・K)以上、90W/(m・K)以上、95W/(m・K)以上、97W/(m・K)以上、100W/(m・K)以上、であってよく、4点曲げ強度は、室温において840MPa以上、900MPa以上、930MPa以上、960MPa以上、1000MPa以上であってよい。本発明の窒化ケイ素基板はシート成形で得られる薄いグリーンシートを焼結して得られるものであり、CIP成形や金型プレス成形及び焼結して得られるバルクの焼結体とは本質的に異なる。
この側面における窒化ケイ素基板は、分離材を用いて製造される厚さが0.5mm以下の窒化ケイ素基板に好適に適用される。さらには、厚さは0.45mm以下、0.4mm以下、0.35mm以下であってよい。また厚さが0.1mm以上、0.15mm以上であってよい。この側面においてシート成形を経て得られる窒化ケイ素基板は、算術平均粗さRaが0.03μm以上0.5μm以下に研磨された表面にX線を照射した際に得られるβ型窒化ケイ素の(101)面の回折強度I(101)と(210)面の回折強度I(210)の比I(101)/I(210)が0.62以上0.95以下であることを特徴とする。
少なくとも酸化マグネシウムからなる焼結助剤を含有する窒化ケイ素焼結体からなる窒化ケイ素基板であって、前記窒化ケイ素粒子は、短径aが0.5~5μmでかつ短径aに対する長径bの比(b/a)が2以上の柱状結晶粒子を面積比で35%以下、さらには30%以下、特に25%以下としたのは、柱状結晶粒子を面積比を小さくすると、焼成時に基板表面に柱状結晶粒子によって形成される凹部にD50が20μm以下の分離材が偏析して、分離材の無い箇所が出来ることを防止でき、分離材の無い箇所で隣接する基板同士が反応して剥離出来なくなったり、強制的に引き剥がして窒化ケイ素焼結体表面に欠陥が残存することご防止するができるので、曲げ強度を向上させることができるからである。
図3に、窒化ケイ素焼結体表面の微細構造の模式図を示す。図3において、柱状結晶粒子である窒化ケイ素粒子8が存在する領域において、窒化ケイ素粒子8の柱状結晶粒子間に窒化ケイ素(SN)粉からなる分離材9が埋没する形で存在する様子が示されている。
窒化ケイ素基板表面の算術平均表面粗さが0.03μm以上0.5μm以下としたのは、0.03μm以上では、加工時の残留応力等による窒化ケイ素基板の曲げ強度の低下を防止できるからである。0.5μm以下であると、回路形成用の金属板との接合が容易となるからである。基板表面の算術平均表面粗さは、0.4μm以下、0.3μm以下であってよい。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明は、それらの実施例により限定されるものではない。本発明の分離材および原料として使用したSN粉の物性測定と本発明の窒化ケイ素基板の評価方法は以下の方法により行った。
(SN粉の比表面積の測定方法)
SN粉の比表面積は、Mountech社製Macsorbを用いて、窒素ガス吸着によるBET1点法にて測定して求めた。
(SN粉のD50の測定方法)
分離材SN粉の粒度分布は、レーザ回折散乱法により以下のようにして測定した。前記粉末を、ヘキサメタリン酸ソーダ0.2質量%水溶液中に投入して、直径26mmのステンレス製センターコーンを取り付けた超音波ホモジナイザーを用いて300Wの出力で6分間分散処理して希薄溶液を調製し、測定試料とした。レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラックMT3000)を用いて測定試料の粒度分布を測定し、体積基準の粒度分布曲線とそのデータを得た。得られた粒度分布曲線とそのデータより、D50を算出した。
(SN粉の酸素量の測定方法)
SN粉の全酸素含有量FTOと表面酸素含有量FSOは、以下の方法により測定した。まず、窒化ケイ素粉末を秤量し、窒化ケイ素粉末の表面酸素と内部酸素の合計である全酸素含有量FTOをJIS R1603-10酸素の定量方法に準拠した不活性ガス融解-二酸化炭素赤外線吸収法(LECO社製、TC-136型)で測定した。次に、秤量した窒化ケイ素粉末を、窒化ケイ素粉末1質量部に対しフッ化水素が5質量部となるように、窒化ケイ素粉末とフッ酸水溶液とを混合し、室温で3時間攪拌した。これを吸引濾過し、得られた固形物を120℃で1時間真空乾燥した後、このフッ酸処理粉末の重量と酸素含有量を測定した。この値を補正前FIO(フッ酸処理粉末に対する質量%)とした。内部酸素量FIO(窒化ケイ素粉末に対する質量%)は下記の式(1)から算出し、表面酸素量FSO(窒化ケイ素粉末に対する質量%)を下記の式(2)から算出した。このようにして求めた表面酸素量が、粒子表面から粒子表面直下3nmの範囲に存在する酸素に起因することは、前記のフッ酸処理前後における窒化ケイ素粉末のX線光電子スペクトルのデプス・プロファイル及び処理前後の粉末重量変化より確認した。
FIO(質量%)=((フッ酸処理粉末の重量)(g))/(窒化ケイ素粉末重量(g))×補正前FIO(質量%)・・・・(1)
FSO(質量%)=FTO(質量%)-FIO(質量%)・・・・(2)
(SN粉末のAlの含有量の測定方法)
分離材SN粉のAlの含有量は、以下のようにして測定した。フッ酸と硝酸とを混合した液を収容した容器に、上記粉末を投入し密栓して、同容器にマイクロ波を照射して加熱し、窒化ケイ素を完全に分解し、得られた分解液を超純水で定容して検液とした。エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP-AES(SPS5100型)を用いて、検出された波長とその発光強度から検液中のAlの金属不純物を定量し、Alの含有量を算出した。
(窒化ケイ素基板の剥離性の評価方法)
窒化ケイ素基板の剥離性の評価は、窒化ケイ素基板に割れやクラックが発生することなく容易に剥離できた場合を(○)、木製ハンマーで衝撃を加えて剥離する際に窒化ケイ素基板に割れやクラックが発生する基板が一枚でもあった場合を(△)と判定した。
(短径aが0.5~5μmでかつ短径aに対する長径bの比(b/a)が2以上の柱状結晶粒子の面積比の測定方法)
短径aが0.5~5μmでかつ短径aに対する長径bの比(b/a)が2以上の柱状結晶粒子の面積比は、以下の方法で、短径a及び長径bを測定することにより算出した。窒化ケイ素基板の任意の断面を研磨した後、エッチングして焼結助剤成分を溶出させた後に走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、観察倍率5000倍にてSEM写真を撮影し、画像解析装置により短径a及び長径bを測定する。これらの測定結果から、短径aが0.5~5μmの窒化ケイ素粒子を選択し、かつ短径aに対する長径bの比(b/a)が2以上である柱状結晶粒子の合計面積を求める。この柱状結晶粒子の合計面積が測定面積に占める面積率(面積比)を算出した。
(窒化ケイ素基板表面の算術平均表面粗さの測定方法)
窒化ケイ素基板表面の算術平均表面粗さは、以下のようにして測定した。得られた窒化ケイ素基板表面の算術平均粗さRaはJIS B 0601-2001(ISO4287-1997)に準拠して測定した。触針式の表面粗さ計を用い、焼結後のブラスト加工等による表面処理を施した窒化ケイ素質焼結体の表面に、触針先端半径が2μmの触針を当て、測定長さを5mm、触針の走査速度を0.5mm/秒に設定して表面粗さを測定し、この測定で得られた5箇所の平均値を算術平均粗さRaの値とした。
(窒化ケイ素基板の曲げ強度の測定方法)
窒化ケイ素基板の曲げ強度は、以下のようにして測定した。得られた窒化ケイ素基板の曲げ強度測定には、幅4.0mm×厚さ0.35mm×長さ40mmの曲げ試験片を使用した。インストロン社製万能材料試験機を用いて、試験片の厚み(0.35mmt)が異なる以外は、JIS R1601に準拠した方法で、内スパン10mm、外スパン30mmの4点曲げ試験冶具により、室温の4点曲げ強度を測定した。
(窒化ケイ素基板の熱伝導率の測定方法)
窒化ケイ素基板の熱伝導率測定では、窒化ケイ素基板の直径10mmφ×厚さ1mmtの円盤形状試験片を作製し、この円盤状試験片を用いて、JIS R1611に準拠したフラッシュ法により熱伝導率を室温で測定した。
(窒化ケイ素基板の表面のB/Si蛍光X線強度比の測定方法)
窒化ケイ素基板の表面のB/Si蛍光X線強度比は、XRF(蛍光X線分析:X-ray Fluorescence Analysis)を用いて、窒化珪素基板表面における特にホウ素(B)とシリコン(Si)の組成分析を行い、XRFの測定結果からB/Si蛍光X線強度比を求めた。ここで、蛍光X線としては、BのKα線(エネルギー0.183keV)、SiのKα線(エネルギー 1.74keV)が対象となり、これらの強度比がB/Si蛍光X線強度比である。なお、実施例の表において「B/Si」欄の「不検出」とは、蛍光X線分析においてB元素が検出されなかったことを表す。
(実施例1)
焼結助剤として酸化マグネシウム(MgO)粉末(比表面積3m/g、高純度化学研究所製)、酸化イットリウム(Y)粉末(比表面積3m/g、信越化学工業製)を用意した。
特許文献4に開示された方法により製造した比表面積18.5m/g、酸素含有量1.77重量%の原料SN粉94.5質量部に、焼結助剤として前記の酸化イットリウム3.5質量部および前記の酸化マグネシウム2質量部を配合し、アミン系の分散剤を粉末に対して2質量部溶解したトルエン-イソプロパノール-キシレン溶媒および粉砕媒体である窒化ケイ素製ボールと共にボールミル用樹脂製ポットに投入して、24時間湿式混合した。得られたスラリーを目開き44μmの篩に通した後、前記樹脂製ポット中の混合粉末100質量部に対しPVB系樹脂バインダー16質量部および可塑剤(ジメチルフタレ-ト)4質量部を溶解したトルエン-イソプロパノール-キシレン溶媒を添加し、さらに24時間湿式混合して、シート成形用スラリーを得た。この成形用スラリーの粘度が50ポイズ程度となるよう真空脱泡して溶媒量を調整後、ドクターブレード装置を使用して、得られた混合粉末スラリーをキャリアフィルム上に所定の厚みでキャストして、シート成形されたグリーンシートを得た。さらに、得られたグリーンシートを温度120℃、所定の圧力で3枚積層圧着処理して、焼き上がり寸法が0.35mm程度の厚みとなるシートを作製した。その後、これを60mm×70mmに切断してグリーンシートとした。
表1に示す分離材SN粉とエタノールとを分離材SN粉/エタノール=1/5の割合で直径10mmの窒化ケイ素製ボールを用いてバッチ式振動ミルを用いて、振動数1200cpm、振幅8mmで5分間混合して、分離材SN粉スラリーを作製した後、スプレー式の塗布機を用いて、グリーンシートの片側の表面(最下段のグリーンシートは両面のそれぞれ)に、0.6mg/cmの塗布量で塗布した。分離材を塗布したグリーンシートの乾燥は、25℃大気中で5分間行った。また、分離材SN粉の塗布量は塗布・乾燥工程前後のシートの重量を測定し、その重量の差をシートの塗布面の面積で割ることにより算出した。
分離材SN粉1が塗布されたグリーンシート2は塗布された面を上面とし10枚積層して、BN製セッタ3上に配置し、BN製セッタ3上の積層されたグリーンシート2の脇にBN製スペーサ4を配置して、その上にBN製セッタ3を載せた(図1)。空気中400~600℃で2~5時間加熱することにより、予め添加した有機バインダー成分等を十分に脱脂(除去)した。次いで、この脱脂体を、0.8MPaの窒素雰囲気下で、1850℃まで加熱し、さらに1850℃で10時間保持して焼結した。室温まで冷却し、10枚の窒化ケイ素焼結体が積層された窒化ケイ素焼結体を得た。その後、各窒化ケイ素焼結体を分離し、窒化ケイ素焼結体間が剥離できるか否かを確認した。10枚の窒化ケイ素焼結体に割れやクラックが発生することなく容易に剥離できた。分離した窒化ケイ素質焼結体をブラスト研磨加工し、実施例1の窒化ケイ素基板を得た。なお、ブラスト研磨加工による除去厚みは、平均値で10μm以下であった。
実施例1における、原料粉末に用いたSN粉(原料SN粉)、分離材に用いたSN粉(分離材SN粉)の物性値および塗布量と、焼結条件を表1に示す。また、剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。表2における「面積比」は、短径aが0.5~5μmでかつ短径aに対する長径bの比(b/a)が2以上の柱状結晶粒子の面積比である。
(実施例2~7)
分離材に使用するSN粉(分離材SN粉)を表1に記載された条件に変更した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例8)
原料に使用するSN粉(原料SN粉)を表1に記載された条件に変更した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例9~13)
分離材SN粉の塗布量を表1に記載された条件に変更した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例14および15)
焼結時の最高温度を表1に記載された条件に変更した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例16~18)
焼結時の最高温度での保持時間を表1に記載された条件に変更した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例19)
焼結時の窒素ガス圧力を表1に記載された条件に変更した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例20)
焼結時の窒素ガス圧力と最高温度での保持時間を表1に記載された条件に変更した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例21)
ブラスト研磨の後にラップ研磨加工を行った以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例22)
得られた窒化ケイ素基板のRaが0.48μmとなるように表面研磨加工におけるブラスト研磨の程度を調整した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例23)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例24)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例25)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例2と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例26)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例3と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例27)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例4と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例28)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例5と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例29)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例6と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例30)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例7と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例31)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例9と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例32)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例10と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例33)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例11と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例34)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例12と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例35)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例2と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例36)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例3と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例37)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例4と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例38)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例5と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例39)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例6と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例40)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例7と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例41)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例9と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例42)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例10と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例43)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例11と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例44)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例12と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例51~53)
分離材のSN粉を表1に記載された条件に変更した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例54および55)
分離材のSN粉の塗布量を表1に記載された条件に変更した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例56~58)
焼結時の焼成条件を表1に記載された条件に変更した以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例59)
焼結条件を表1に記載された条件に変更し、ブラスト研磨の後にRaが0.02μmとなるまでラップ研磨加工を行った以外は、実施例1と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例61~66)
実施例61~66では、公知の方法である、非晶質Si-N(-H)系化合物(アモルファス窒化ケイ素)を坩堝に充填して焼成するイミド熱分解法で製造された比表面積11.5m/g、酸素含有量1.35重量%の原料SN粉に変更した以外は、それぞれ、実施例1~6と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例67)
BN製セッタ3上に積層されたグリーンシート2の周りに窒化ケイ素(SN)粉を詰めた以外は、実施例61と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例68)
BN製セッタ3を窒化ケイ素(SN)製セッタに変更した以外は、実施例61と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例69)
焼結時の最高温度での保持時間を22時間に変更した以外は、実施例61と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例70)
焼結時の最高温度を1900℃に変更した以外は、実施例61と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例71)
焼結助剤として表1に記載された量のSiOを追加した以外は、実施例61と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例72)
焼結助剤に表1に記載された量のSiOを追加し、焼結時の最高温度での保持時間を22時間に変更した以外は、実施例61と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
(実施例73)
焼結助剤として表1に記載された量のSiOを追加し、焼結時の最高温度を1900℃に変更した以外は、実施例61と同じ方法で窒化ケイ素基板を製造し、同様の評価を行った。剥離性、窒化ケイ素基板の特性を表2に示す。
Figure 0007272370000001
Figure 0007272370000002
Figure 0007272370000003
Figure 0007272370000004
Figure 0007272370000005
Figure 0007272370000006
Figure 0007272370000007
Figure 0007272370000008
上記実施例では、分離材としてSN粉を用いることによって、窒化ケイ素基板の表面にはBN粉が残存することがないので、窒化ケイ素基板に銅を接合した際の耐ヒートサイクル性に優れることができる。さらに、窒化ケイ素基板の表面から分離材を除去した後に表面に残存するBN量は、BNセッタを用いた場合であっても、表2の実施例1~22に示されるように、ホウ素(B)の蛍光X線強度とケイ素(Si)の蛍光X線強度の比(B/Si)で12×10-5以下と極めて少なく、窒化ケイ素基板に銅を接合した際の耐ヒートサイクル性に優れるのみならず、SN製セッタを用いたり、SN粉の詰め粉をすると、窒化ケイ素基板の表面にBNは検出されなかった。
上記表1および表2の実施例1~44に示されるように、分離材として比表面積が1m/g以上20m/g以下、D50が20μm以下、酸素量が0.3質量%以上2重量%未満、アルミニウム含有量が50ppm未満の窒化ケイ素(SN)粉を用いSN粉のグリーンシート表面への塗布量を0.1mg/cm以上3mg/cm以下とすると、実施例1~44の全てにおいて焼結後の剥離性が良好であり、曲げ強度が900MPa以上、熱伝導率が90W/(m・K)以上、さらには95W/(m・K)以上の高い窒化ケイ素基板が得られることを確認した。
なお、実施例51では、分離材SN粉の比表面積が0.4m/gのとき、焼結後の剥離性が実施例1と比べて劣り、曲げ強度は850MPaを示した。
実施例52では、分離材SN粉の比表面積を23.2m/gのとき、焼結後の剥離性が実施例1と比べて劣り、曲げ強度は800MPaを示した。
実施例53では、分離材SN粉のアルミニウム含有量を70ppmとしたとき、剥離性は良好だが、熱伝導率が80W/(m・K)であった。
実施例54および55では、分離材SN粉の塗布量を0.07および3.5mg/cmとしたとき、焼結後の剥離性が実施例1と比べて劣り、曲げ強度が830および800MPaであった。
実施例56では、焼結時の最高温度が1900℃としたとき、得られた窒化ケイ素基板の柱状結晶粒子の面積比が43%と高くなり、剥焼結後の剥離性が実施例1と比べて劣り、曲げ強度は780MPaを示した。
実施例57では、焼結時の最高温度の保持時間を30時間としたとき、得られた窒化ケイ素基板の柱状結晶粒子の面積比が53%と高くなり、焼結後の剥離性が実施例1と比べて劣り、曲げ強度は730MPaを示した。
実施例58では、焼結時のガス圧力を4MPaとしたとき、得られた窒化ケイ素基板の面積比が37%と高くなり、焼結後の剥離性が実施例1と比べて劣り、曲げ強度は840MPaを示した。
実施例59では、焼結時の最高温度が1780℃としたとき、面積比が12%で、剥離性は良好だが、曲げ強度が860MPaと熱伝導率が80W/(m・K)を示した。
実施例51~59においては、窒化ケイ素基板の曲げ強度及び熱伝導率は、実施例1~44には劣るものの、従来技術によるものと比べると同等以上に優れている。さらに、窒化ケイ素基板の表面にはBN粉が残存することがなく、BNセッタを用いているにもかかわらず、ホウ素(B)の蛍光X線強度とケイ素(Si)の蛍光X線強度の比(B/Si)で16×10-5以下と極めて少なく、窒化ケイ素基板に銅を接合した際の耐ヒートサイクル性に優れることができるものである。
実施例61~66では、原料SN粉の比表面積が11.5m/g、全酸素量が1.35%のとき、窒化ケイ素基板の曲げ強度は830~880MPa、熱伝導率は86~87W/(m・K)を示した。
実施例67では、原料SN粉の比表面積が11.5m/g、全酸素量が1.35%とし、グリーンシートの周りを窒化ケイ素(SN)粉で覆ったとき、窒化ケイ素基板にホウ素(B)は検出されず、窒化ケイ素基板の曲げ強度は890MPa、熱伝導率は87W/(m・K)を示した。
実施例68では、原料SN粉の比表面積が11.5m/g、全酸素量が1.35%とし、窒化ケイ素(SN)製セッタを用いたとき、窒化ケイ素基板にホウ素(B)は検出されず、窒化ケイ素基板の曲げ強度は870MPa、熱伝導率は86W/(m・K)を示した。
実施例69では、原料SN粉の比表面積が11.5m/g、全酸素量が1.35%とし、焼結時の最高温度での保持時間を22時間にしたとき、窒化ケイ素基板の曲げ強度は830MPa、熱伝導率は90W/(m・K)を示した。
実施例70では、原料SN粉の比表面積が11.5m/g、全酸素量が1.35%とし、焼結時の最高温度を1900℃にしたとき、窒化ケイ素基板の曲げ強度は820MPa、熱伝導率は92W/(m・K)を示した。
実施例71では、原料SN粉の比表面積が11.5m/g、全酸素量が1.35%とし、焼結助剤として0.8質量%のSiOを追加し、焼結時の最高温度を1900℃にしたとき、窒化ケイ素基板の曲げ強度は850MPa、熱伝導率は88W/(m・K)を示した。
実施例72では、原料SN粉の比表面積が11.5m/g、全酸素量が1.35%とし、焼結助剤として0.8質量%のSiOを追加し、焼結時の最高温度での保持時間を22時間にしたとき、窒化ケイ素基板の曲げ強度は830MPa、熱伝導率は93W/(m・K)を示した。
実施例73では、原料SN粉の比表面積が11.5m/g、全酸素量が1.35%とし、焼結助剤として0.8質量%のSiOを追加し、焼結時の最高温度での保持時間を22時間にしたとき、窒化ケイ素基板の曲げ強度は810MPa、熱伝導率は95W/(m・K)を示した。
実施例61~73においては、窒化ケイ素基板の曲げ強度及び熱伝導率は、実施例1~44には劣るものの、従来技術によるものと比べると同等以上に優れている。さらに、BNセッタを用いた場合でも、分離材としてSN紛を用いることで、窒化ケイ素基板の表面にはBN粉が残存することがなく、窒化ケイ素基板におけるホウ素(B)の蛍光X線強度とケイ素(Si)の蛍光X線強度の比(B/Si)で14.5×10-5以下と極めて少ない。また、グリーンシートの周りをSN紛で覆ったり、SN製セッタを用いると、窒化ケイ素基板にホウ素(B)の蛍光X線強度は検出されなかった。したがって、実施例61~73の窒化ケイ素基板は、銅を接合した際の耐ヒートサイクル性に優れることができるものである。
本発明の窒化ケイ素基板の製造方法により、複数枚のグリーンシートを積層して焼結した後に分離することによって得られる窒化ケイ素基板であって、銅を接合した際の耐ヒートサイクル性に優れる窒化ケイ素基板が提供され、さらに、剥離性がよく、高い曲げ強度および高い熱伝導率を有し、変形の少ない窒化ケイ素基板を得ることができる。この窒化ケイ素基板はパワー素子モジュール等の基板として用いることができる。
1 分離材(SN粉)
2 グリーンシート
3 セッタ
4 スペーサ
5 詰め粉(SN粉)
8 窒化ケイ素粒子(柱状結晶粒子)
9 分離材(SN粉)

Claims (14)

  1. 窒化ケイ素粉末および焼結助剤を含む複数枚のグリーンシートをそれらの間に分離材を配置して積層し、前記分離材は窒化ケイ素粉のみを含み、
    得られる積層体中の前記複数枚のグリーンシートを焼結し、
    前記積層体から分離することによって複数枚の窒化ケイ素焼結体を得、
    前記窒化ケイ素焼結体から窒化ケイ素基板を得る
    ことを特徴とする窒化ケイ素基板の製造方法。
  2. 前記複数枚のグリーンシートの前記焼結を、窒化ケイ素製囲繞体又は窒化ホウ素製囲繞体内で行うことを特徴とする請求項1に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
  3. 前記複数枚のグリーンシートの周りを窒化ケイ素粉で覆って前記焼結を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
  4. 前記焼結後に得られる前記窒化ケイ素焼結体の表面に残存する前記分離材を除去することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
  5. 前記分離材は、BET法により測定される比表面積が1m/g以上20m/g以下であり、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の50%粒子径D50が20μm以下であり、かつ、酸素量が0.3重量%以上2重量%未満であり、
    前記分離材は0.1mg/cm以上3mg/cm以下の塗布量で前記グリーンシートの表面に塗布されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
  6. 前記分離材のアルミニウム含有量が50ppm未満であることを特徴とする請求項5に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
  7. 前記焼結が、窒素雰囲気中でガス圧力0.15MPa以上3MPa以下、焼結温度1750℃以上1910℃以下で6時間以上22時間以下保持して行われることを特徴とする請求項5又は6に記載の窒化ケイ素基板の製造方法。
  8. 窒化ケイ素粒子と焼結助剤を含有する窒化ケイ素焼結体からなる窒化ケイ素基板であって、厚さが0.5mm以下であり、前記基板の表面に結合した窒化ホウ素粉を有していないことを特徴とする窒化ケイ素基板。
  9. 前記基板の表面における窒化ホウ素と窒化ケイ素の比がホウ素(B)の蛍光X線強度とケイ素(Si)の蛍光X線強度の比(B/Si)で6.5×10-5以下であることを特徴とする請求項8に記載の窒化ケイ素基板。
  10. 窒化ケイ素粒子と焼結助剤を含有する窒化ケイ素焼結体からなる窒化ケイ素基板であって、前記窒化ケイ素粒子は、短径aが0.5~5μmでかつ短径aに対する長径bの比(b/a)が2以上の柱状結晶粒子を前記基板表面における面積比で30%以下(但し、30%は除く。)とし、かつ前記基板表面の算術平均表面粗さが0.03μm以上0.5μm以下であり、前記基板表面における窒化ホウ素と窒化ケイ素の比がホウ素(B)の蛍光X線強度とケイ素(Si)の蛍光X線強度の比(B/Si)で6.5×10-5以下であることを特徴とする窒化ケイ素基板。
  11. 前記基板の表面に結合した窒化ホウ素粉を有していないことを特徴とする請求項10に記載の窒化ケイ素基板。
  12. 熱伝導率が室温において80W/(m・K)以上であり、4点曲げ強度が室温において800MPa以上であることを特徴とする請求項10又は11に記載の窒化ケイ素基板。
  13. 厚さが0.5mm以下であることを特徴とする請求項10~12のいずれか一項に記載の窒化ケイ素基板。
  14. 請求項8~13のいずれか一項に記載の窒化ケイ素基板を用いたことを特徴とする絶縁基板または回路基板。
JP2020553947A 2018-11-01 2019-10-29 窒化ケイ素基板の製造方法および窒化ケイ素基板 Active JP7272370B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018206946 2018-11-01
JP2018206946 2018-11-01
PCT/JP2019/042413 WO2020090832A1 (ja) 2018-11-01 2019-10-29 窒化ケイ素基板の製造方法および窒化ケイ素基板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2020090832A1 JPWO2020090832A1 (ja) 2021-09-16
JP7272370B2 true JP7272370B2 (ja) 2023-05-12

Family

ID=70463227

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020553947A Active JP7272370B2 (ja) 2018-11-01 2019-10-29 窒化ケイ素基板の製造方法および窒化ケイ素基板

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP7272370B2 (ja)
CN (1) CN112912356B (ja)
WO (1) WO2020090832A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116161970A (zh) * 2022-12-29 2023-05-26 无锡海古德新技术有限公司 一种高性能氮化硅陶瓷基板的叠层烧结工艺方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000193241A (ja) 1998-12-25 2000-07-14 Ngk Spark Plug Co Ltd 窒化珪素質焼結体及びそれを用いたセラミックヒ―タ
JP2002513374A (ja) 1997-01-27 2002-05-08 アライドシグナル・インコーポレーテッド 高い強度と応力破断抵抗を有するガス圧焼結された窒化ケイ素
JP2011216577A (ja) 2010-03-31 2011-10-27 Hitachi Metals Ltd 窒化珪素基板の製造方法及び窒化珪素基板並びにそれを使用した回路基板
JP2013012591A (ja) 2011-06-29 2013-01-17 Kyocera Corp 回路基板
WO2013146789A1 (ja) 2012-03-26 2013-10-03 日立金属株式会社 窒化珪素焼結体基板及びその製造方法

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02246105A (ja) * 1989-03-17 1990-10-01 Sumitomo Metal Ind Ltd セラミック素体の製造方法
EP0589997B1 (en) * 1991-06-17 1995-07-19 AlliedSignal Inc. High toughness-high strength sintered silicon nitride
JP3121769B2 (ja) * 1996-09-18 2001-01-09 株式会社東芝 窒化ケイ素多層基板およびその製造方法
JP2000072552A (ja) * 1998-08-31 2000-03-07 Kyocera Corp 窒化珪素質放熱部材及びその製造方法
JP2001019557A (ja) * 1999-06-30 2001-01-23 Denki Kagaku Kogyo Kk 窒化珪素焼結体とその製造方法、及び回路基板
JP2002293642A (ja) * 2001-03-30 2002-10-09 Hitachi Metals Ltd 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法と回路基板
JP2010208898A (ja) * 2009-03-11 2010-09-24 Hitachi Metals Ltd 窒化珪素基板及びその製造方法並びにそれを使用した回路基板
JP5339214B2 (ja) * 2010-03-01 2013-11-13 日立金属株式会社 窒化珪素基板の製造方法および窒化珪素基板
JP5673847B2 (ja) * 2011-10-11 2015-02-18 日立金属株式会社 窒化珪素基板および窒化珪素基板の製造方法
WO2013121861A1 (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 三井金属鉱業株式会社 窒化珪素焼結体及びその製造方法
US20160159648A1 (en) * 2013-07-11 2016-06-09 Ube Industries, Ltd. Silicon nitride powder for mold release agent of casting mold for casting polycrystalline silicon ingot and method for manufacturing said silicon nitride powder, slurry containing said silicon nitride powder, casting mold for casting polycrystalline silicon ingot and method for manufacturing same, and method for manufacturing polycrystalline silicon ingot using said casting mold
TW201605763A (zh) * 2014-06-16 2016-02-16 Ube Industries 氮化矽粉末、氮化矽燒結體及電路基板、以及氮化矽粉末之製造方法
US10308560B2 (en) * 2015-01-23 2019-06-04 Kabushiki Kaisha Toshiba High thermal conductive silicon nitride sintered body, and silicon nitride substrate and silicon nitride circuit board and semiconductor apparatus using the same
CN106631039A (zh) * 2016-11-04 2017-05-10 广东工业大学 一种氮化硅陶瓷基板的制备方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002513374A (ja) 1997-01-27 2002-05-08 アライドシグナル・インコーポレーテッド 高い強度と応力破断抵抗を有するガス圧焼結された窒化ケイ素
JP2000193241A (ja) 1998-12-25 2000-07-14 Ngk Spark Plug Co Ltd 窒化珪素質焼結体及びそれを用いたセラミックヒ―タ
JP2011216577A (ja) 2010-03-31 2011-10-27 Hitachi Metals Ltd 窒化珪素基板の製造方法及び窒化珪素基板並びにそれを使用した回路基板
JP2013012591A (ja) 2011-06-29 2013-01-17 Kyocera Corp 回路基板
WO2013146789A1 (ja) 2012-03-26 2013-10-03 日立金属株式会社 窒化珪素焼結体基板及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN112912356A (zh) 2021-06-04
JPWO2020090832A1 (ja) 2021-09-16
CN112912356B (zh) 2023-05-02
WO2020090832A1 (ja) 2020-05-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5339214B2 (ja) 窒化珪素基板の製造方法および窒化珪素基板
US9938444B2 (en) Method for producing silicon nitride substrate
JP5819816B2 (ja) 半導体製造装置用耐食性部材及びその製法
JP7062229B2 (ja) 板状の窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法
JP2011168472A (ja) アルミナ焼結体、その製法及び半導体製造装置部材
JP7062230B2 (ja) 板状の窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法
JP7248653B2 (ja) 複合焼結体、半導体製造装置部材および複合焼結体の製造方法
JP5440947B2 (ja) 窒化珪素基板の製造方法及び窒化珪素基板並びにそれを使用した回路基板
JP5406565B2 (ja) 酸化アルミニウム焼結体、その製法及び半導体製造装置部材
JP7272370B2 (ja) 窒化ケイ素基板の製造方法および窒化ケイ素基板
TWI764320B (zh) 複合燒結體及複合燒結體的製造方法
CN114180942B (zh) 复合烧结体、半导体制造装置构件及复合烧结体的制造方法
JP7278326B2 (ja) 窒化ケイ素焼結体の製造方法
JP2002110772A (ja) 電極内蔵セラミックス及びその製造方法
TWI240985B (en) Wafer holder for semiconductor manufacturing device and semiconductor manufacturing device in which it is installed
JP7278325B2 (ja) 窒化ケイ素焼結体
JP7339980B2 (ja) 窒化ケイ素焼結体の製造方法
JP7339979B2 (ja) 窒化ケイ素焼結体の製造方法
JP5718780B2 (ja) 炭化珪素接合体およびその製造方法
JP7201734B2 (ja) 窒化ケイ素焼結体
WO2024084631A1 (ja) 窒化ケイ素焼結体
JP4092122B2 (ja) 半導体製造装置用部材及びその製造方法
JP6412886B2 (ja) AlN基板
JP5832213B2 (ja) 半導体製造装置用部材
JP2022048078A (ja) 複合焼結体、半導体製造装置部材および複合焼結体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210406

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220510

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220705

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230328

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230410

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7272370

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150