JP2022048078A - 複合焼結体、半導体製造装置部材および複合焼結体の製造方法 - Google Patents

複合焼結体、半導体製造装置部材および複合焼結体の製造方法 Download PDF

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恭平 阿閉
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浩文 山口
Hirofumi Yamaguchi
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Abstract

【課題】電極中におけるZrO2の偏在を抑制する。【解決手段】複合焼結体20は、Al2O3を主材料とする基材と、当該基材の内部または表面に配置される電極23と、を備える。電極23は、Ruと、ZrO2と、Al2O3とを含む。これにより、電極23中におけるZrO2の偏在を抑制することができる。その結果、当該偏在の影響による電極23と基材との熱膨張係数の差に起因する基材のクラックや電極23の剥離を抑制することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、複合焼結体、半導体製造装置部材および複合焼結体の製造方法に関する。
従来、半導体基板の製造装置等において、半導体基板を吸着して保持する静電チャック、半導体基板を加熱するヒーター、これらを組み合わせた静電チャックヒーター等の、サセプターが利用されている。当該サセプターは、セラミックの焼結体を主材料とする基材と、当該基材の内部等に配置される電極とを備える。当該電極は、抵抗率を小さくするために、通常、金属を主材料として形成される。
上述のサセプターは、例えば、基材と電極とを一体焼成することにより形成される。当該焼成においては、基材の熱膨張係数と電極の熱膨張係数との差に起因する悪影響が生じるおそれがある。例えば、基材にクラックが生じたり、電極が基材から剥離するおそれがある。また、基材が薄い場合、基材に反りが生じるおそれもある。
そこで、特許文献1では、酸化アルミニウムまたは希土類金属酸化物の焼結体であるセラミック基体に設けられる電極の主成分をルテニウムとし、フィラー成分として酸化ジルコニウム、窒化チタンまたは酸化アルミニウムを添加することにより、セラミック基体と電極との熱膨張係数の差を低減し、セラミック基体の反りを抑制する技術が提案されている。
国際公開第2016/042957号
ところで、サセプターの作成において基材の表面に電極材料のペーストを印刷して一体焼成する場合、当該ペーストが基材に吸引され、電極材料中の特定の成分が基材側に偏るおそれがある。例えば、特許文献1のように、ルテニウムに酸化ジルコニウムを添加した電極を用いる場合、ペースト中の酸化ジルコニウムが基材側に偏在した状態で焼成が行われることにより、電極と基材との熱膨張係数の差が局所的に増大し、基材のクラックや電極の剥離等が生じるおそれがある。上記酸化ジルコニウムの偏りは、ルテニウムが展性に富み粉砕が容易ではないため、ペースト中におけるルテニウムの粒径が比較的大きい(例えば、十数μm)のに対し、酸化ジルコニウムの粒径が小さい(例えば、0.1μm)ことによる、と考えられる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、電極中における特定成分の偏在を抑制することを目的としている。
本発明の好ましい一の形態に係る複合焼結体は、酸化アルミニウムを主材料とする基材と、前記基材の内部または表面に配置される電極と、を備える。前記電極は、ルテニウムと、酸化ジルコニウムと、酸化アルミニウムと、を含む。
好ましくは、前記電極と前記基材との熱膨張係数の差の絶対値は、40℃以上かつ1000℃以下の範囲において、0.3ppm/℃以下である。
好ましくは、前記電極の室温における抵抗率は、3.0×10-5Ω・cm以下である。
好ましくは、前記電極における前記酸化ジルコニウムおよび前記酸化アルミニウムの合計含有率は20体積%以上である。
好ましくは、前記電極における前記酸化アルミニウムの含有率は、前記酸化ジルコニウムの含有率の0.2倍以上かつ3.6倍以下である。
好ましくは、前記電極における前記酸化アルミニウムの含有率は、前記酸化ジルコニウムの含有率の3.6倍よりも大きくかつ3.8倍以下である。
好ましくは、前記電極中の固体物における前記ルテニウム、前記酸化ジルコニウムおよび前記酸化アルミニウムの合計含有率は、100体積%である。
好ましくは、前記電極において、X線回折法により得られる前記ルテニウムと前記酸化ジルコニウムとのメインピークの強度比は、0.80以上かつ1.0未満である。
好ましくは、前記電極の厚さ方向に平行な前記電極の断面SEM画像を厚さ方向に3等分し、厚さ方向の一方側から順に第1領域、第2領域および第3領域とすると、中央の前記第2領域における前記酸化ジルコニウムの面積は、前記第2領域と前記基材との間の前記第1領域における前記酸化ジルコニウムの面積の0.5倍以上かつ2.0倍以下である。
好ましくは、前記電極の前記基材に対する密着強度は、90MPa以上である。
本発明は、半導体製造装置において使用される半導体製造装置部材にも向けられている。当該半導体製造装置部材は、上述の複合焼結体を用いて作製される。前記基材は円板状である。前記基材の主面に半導体基板が載置される。
本発明は、複合焼結体の製造方法にも向けられている。当該複合焼結体の製造方法は、a)酸化アルミニウムを主材料とする成形体、仮焼体または焼結体である第1部材および第2部材を準備する工程と、b)前記第1部材上に、ルテニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化アルミニウムを含むペースト状の電極材料を付与して乾燥させる工程と、c)前記第1部材上に前記第2部材を積層して積層体を形成する工程と、d)前記積層体をホットプレス焼成する工程と、を備える。
好ましくは、前記a)工程における前記第1部材は仮焼体またはテープ成形体である。
好ましくは、前記d)工程の終了後における前記電極と前記第1部材との熱膨張係数の差の絶対値は、40℃以上かつ1000℃以下の範囲において、0.3ppm/℃以下である。
好ましくは、前記d)工程における焼成温度は、1550℃以上かつ1650℃以下である。
本発明では、電極中における酸化ジルコニウムの偏在を抑制することができる。
一の実施の形態に係るサセプターの断面図である。 複合焼結体の製造の流れを示す図である。 実施例の複合焼結体の断面SEM画像である。 電極の密着強度を求める際の試験片および治具を示す断面図である。 比較例の複合焼結体の断面SEM画像である。
図1は、本発明の一の実施の形態に係るサセプター1の断面図である。サセプター1は、半導体製造装置において使用される半導体製造装置部材である。サセプター1は、略円板状の半導体基板9(以下、単に「基板9」と呼ぶ。)を、図1中の下側から支持する。以下の説明では、図1中の上側および下側を、単に「上側」および「下側」と呼ぶ。また、図1中の上下方向を、単に「上下方向」と呼ぶ。図1中の上下方向は、サセプター1が半導体製造装置に設置される際の実際の上下方向と必ずしも一致する必要はない。
サセプター1は、本体部21と、ベース部22と、電極23とを備える。本体部21は、セラミックを主材料とする略板状(例えば、略円板状)の基材である。本体部21の上側の主面(すなわち、上面)上には基板9が載置される。ベース部22は、平面視において本体部21よりも大きい略板状(例えば、略円板状)の部材である。本体部21は、ベース部22上に取り付けられる。図1に示す例では、電極23は、本体部21の内部に配置(すなわち、埋設)される。電極23は、例えば、平面視において所定のパターンを描く略帯状の部材である。電極23は、比較的高い融点を有する材料により形成されることが好ましい。本体部21および電極23は、複数の材料により形成された複合焼結体である。以下の説明では、本体部21および電極23をまとめて「複合焼結体20」とも呼ぶ。本体部21および電極23の材料については後述する。なお、電極23の形状は様々に変更されてよい。また、電極23は、本体部21の表面に設けられてもよい。
図1に示す例では、サセプター1は、電極23に直流電圧が印加されることにより発生する熱によって基板9を加熱するヒータである。すなわち、電極23は、基板9を加熱する抵抗発熱体である。サセプター1では、電極23に加えて、クーロン力またはジョンソン・ラーベック力を利用して基板9を静電吸着するチャック用電極が、本体部21の内部に設けられてもよい。あるいは、電極23がチャック用電極として利用されてもよい。
本体部21は、酸化アルミニウム(Al)を主材料として形成されている。本体部21では、酸化マグネシウム(MgO)および/またはマグネシウムアルミニウムスピネル(MgAl)等の添加材料が、Alに添加されていてもよい。本体部21では、主材料であるAlの含有率は、95質量%~100質量%であり、所望する本体部21の材料特性に合わせて当該含有率は調整される。
電極23は、ルテニウム(Ru)と、酸化ジルコニウム(ZrO)と、Alとを含む。本実施の形態では、電極23中の固体物は、実質的にRu、ZrOおよびAlのみにより形成されている。換言すれば、電極23中の固体物における(以下、単に「電極23における」とも言う。)Ru、ZrOおよびAlの合計含有率は100体積%である。
電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は、例えば、10体積%~65体積%である。好ましくは、当該合計含有率は、20体積%以上である。電極23におけるAlの含有率は、例えば、ZrOの含有率の0.2倍以上かつ3.6倍以下である。換言すれば、電極23におけるAlの含有率をZrOの含有率により除算した値(以下、「Al/ZrO含有率比」とも呼ぶ。)は、0.2以上かつ3.6以下である。電極23におけるAlの含有率は、例えば、ZrOの含有率の3.6倍よりも大きくかつ3.8倍以下であってもよい。すなわち、Al/ZrO含有率比は、0.2以上かつ3.8以下である。Al/ZrO含有率比は、好ましくは、0.3以上かつ1.3以下である。
電極23において、X線回折法(XRD)により得られるRuとZrOとのメインピークの強度比(以下、「Ru-ZrOピーク比」とも呼ぶ。)は、例えば、0.80以上かつ1.0未満であり、電極23と本体部21との熱膨張係数の差が実質的に0に近づくように調整される。Ru-ZrOピーク比は、Ruのメインピーク強度を、Ruのメインピーク強度とZrOのメインピーク強度との合計により除算した値である。
Ruの熱膨張係数(熱膨張率ともいう。)は、40℃以上かつ1000℃以下の範囲において、7.6ppm/℃(すなわち、ppm/K)である。以下の説明における熱膨張係数は、温度条件の記載が無い場合、40℃以上かつ1000℃以下の範囲における熱膨張係数である。ZrOの熱膨張係数は10.5ppm/℃である。Alの熱膨張係数は8.1ppm/℃である。本体部21の熱膨張係数は、主材料であるAlに添加される添加材料の種類および割合により変化するが、例えば、8.1ppm/℃~8.3ppm/℃である。
電極23に含まれるRuの熱膨張係数は、本体部21の熱膨張係数よりも低い。電極23に含まれるZrOの熱膨張係数は、本体部21の熱膨張係数よりも高い。電極23に含まれるAlの熱膨張係数は、本体部21の熱膨張係数とおよそ同じである。40℃以上かつ1000℃以下の範囲における電極23と本体部21との熱膨張係数の差の絶対値(以下、「CTE差」とも呼ぶ。)は、例えば0.3ppm/℃以下であり、好ましくは0.2ppm/℃以下である。CTE差の下限は特に限定されないが、0.0ppm/℃以上である。
電極23の室温における抵抗率は、例えば3.0×10-5Ω・cm以下であり、好ましくは2.5×10-5Ω・cm以下である。当該抵抗率の下限は特に限定されないが、例えば1.0×10-5Ω・cm以上である。
電極23の本体部21に対する密着強度(以下、単に「密着強度」とも呼ぶ。))は、好ましくは50MPa以上であり、より好ましくは90MPa以上である。電極23の密着強度の上限は特に限定されないが、例えば300MPa以下である。電極23の密着強度は、本体部21の第1部材と第2部材との破壊剪断力を電極面積で除算した値である。第1部材と第2部材との破壊剪断力は、第1部材および第2部材を、第1部材と第2部材との接合面に平行にずらしたときの破壊剪断力(すなわち、電極23が第1部材および/または第2部材から剥離する際の剪断力)である。
次に、図2を参照しつつサセプター1の本体部21および電極23(すなわち、複合焼結体20)の製造方法の一例について説明する。当該例では、本体部21の下半分の略円板状の部位(以下、「第1部材」と呼ぶ。)と、上半分の略円板状の部位(以下、「第2部材」と呼ぶ。)とを作成し、第1部材と第2部材との間に電極23の材料を挟んで焼成を行うことにより、本体部21および電極23を製造する。
当該製造方法では、まず、本体部21の第1部材および第2部材を準備する(ステップS11)。ステップS11において準備される第1部材および第2部材は、成形体、仮焼体および焼結体のいずれの状態であってもよい。ステップS11では、まず、本体部21(すなわち、第1部材および第2部材)の原料粉末を所定の組成となるように秤量し、当該原料粉末を湿式混合した上で、一軸加圧成形等により所定形状の成形体に成形する。
ステップS11では、Al原料として、例えば、市販の高純度微粒粉末が使用される。また、本体部21にMgOが含まれる場合、MgO原料として、例えば、市販の高純度微粒粉末が使用される。本体部21にMgAlが含まれる場合、例えば、上述の市販のMgO粉末と市販のAlの高純度微粒粉末とを加熱合成したものが、MgAl原料として使用される。あるいは、MgAl原料として、市販のMgAlの高純度微粒粉末が使用されてもよい。Al原料、MgO原料およびMgAl原料の純度および平均粒径等は、適宜決定される。
ステップS11では、原料粉末の混合条件(例えば、混合時間、溶媒種類等)は、適宜決定される。当該溶媒としては、例えば、有機溶媒またはイオン交換水が使用可能である。なお、ステップS11では、乾式混合により原料粉末が混合されてもよい。
ステップS11では、成形体の成形条件(例えば、付与される圧力等)は、適宜決定される。成形体の形状が板状である場合には、原料粉末がホットプレスダイス等に充填されることにより、成形体が成形されてもよい。当該成形体の成形は、形状を保持できるのであれば、他の様々な方法により行われてもよい。例えば、湿式混合後のスラリーを、流動性のある状態のままモールドに流し込んだ後に溶媒成分を除去し、所定形状の成形体としてもよい。あるいは、ドクターブレード等を利用したテープ成形法により、所定計上のテープ成形体が形成されてもよい。
ステップS11において、第1部材および/または第2部材の仮焼体または焼結体が準備される場合、上述の方法により形成された成形体がホットプレス法等により焼成され、仮焼体(すなわち、仮焼結体)または焼結体が形成される。当該成形体の焼成における焼成条件(例えば、プレス圧、焼成温度、焼成時間等)は、適宜決定される。また、当該成形体の焼成は、ホットプレス法以外の方法により行われてもよい。
次に、電極23の原料粉末を所定の組成となるように秤量し、当該原料粉末を混合した上で、溶媒およびバインダ等と混練して、電極23の前駆体である電極ペーストを生成する(ステップS12)。ステップS12では、Ru原料、ZrO原料およびAl原料として、例えば、市販の高純度微粒粉末が使用される。Ru原料、ZrO原料およびAl原料の純度および平均粒径等は、適宜決定される。Ruは展性に富み、粉砕が容易ではないため、Ru原料の平均粒径は、例えば十数μmである。また、ZrO原料およびAl原料の平均粒径は、例えば、1μm未満である。
上述の電極23の原料粉末の混合は、例えば、湿式混合により行われる。原料粉末の混合条件(例えば、混合時間、溶媒種類等)は、適宜決定される。当該溶媒としては、例えば、有機溶媒またはイオン交換水が使用可能である。なお、ステップS12では、乾式混合により原料粉末が混合されてもよい。ステップS12では、原料粉末と共に混練される上記溶媒(例えば、有機溶媒)およびバインダの種類は、適宜決定される。なお、ステップS12は、ステップS11よりも前に、または、ステップS11と並行して行われてもよい。
ステップS12にて生成された電極ペーストは、ステップS11にて形成された第1部材の上面に、スクリーン印刷等により所定の形状にて付与される(ステップS13)。ステップS13において成形体である第1部材上に電極ペーストが付与される場合、第1部材は、例えばテープ成形体である。なお、ステップS13では、電極ペーストの塗布は、スクリーン印刷以外の方法により行われてもよい。また、成形体または仮焼体である第1部材は、第1部材の前駆体と捉えられてもよい。したがって、ステップS13において成形体または仮焼体である第1部材上に電極ペーストが付与される場合、電極ペーストは第1部材の前駆体の上面に付与される、とも捉えられる。そして、電極ペーストが大気中等において所定時間(例えば、1時間)乾燥された後、第1部材および電極ペーストの上に、第2部材が積層されて積層体が形成される(ステップS14)。
その後、ステップS14にて形成された積層体が、ホットプレス法等により焼成されることにより、第1部材と第2部材とが一体化し、本体部21および電極23(すなわち、複合焼結体20)が形成される(ステップS15)。ステップS15における焼成条件(例えば、プレス圧、焼成温度、焼成時間等)は、適宜決定される。ステップS15における焼成温度(すなわち、焼成時の最高温度)は、例えば、1550℃以上かつ1650℃以下である。ステップS15における積層体の焼成は、ホットプレス法以外の方法により行われてもよい。
次に、表1~表3を参照しつつ、本発明に係る複合焼結体20(すなわち、本体部21および電極23)の実施例1~26、および、複合焼結体20と比較するための比較例1~4の複合焼結体について説明する。実施例1~26では、電極23がRu、ZrOおよびAlを含むのに対し、比較例1~4では、電極23はAlを含まない。
Figure 2022048078000002
Figure 2022048078000003
Figure 2022048078000004
実施例1~26、および、比較例1~4では、本体部21および電極23の製造は、上述のステップS11~S15により行った。実施例1~26、および、比較例1~4では、ステップS11におけるAlへの添加剤としてMgOを使用した。Al原料としては、市販のAlの高純度微粒粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.5μm)を使用した。また、MgO原料として、市販のMgOの高純度微粒粉末(純度99%以上、平均粒径1.2μm)を使用した。
実施例1~26、および、比較例1~4では、ステップS11における原料粉末の湿式混合は、アルミナボールおよびポリポットを用いたボールミルにより行った。混合時間は20時間であり、使用した溶媒は有機溶媒である。湿式混合により生成されたスラリーを、乾燥させた後に篩にかけることにより、本体部21の原料粉末を得た。また、ステップS11における成形体の成形は、一軸加圧成形用の金型に原料粉末を充填することにより行った。当該一軸加圧成形時の圧力は、100kgf/cmである。実施例1~26、および、比較例1~4では、直径50mm、厚さ10mmの略円板状の成形体を成形した。なお、実施例1~26、および、比較例1~4では、実際の複合焼結体20よりも小さい試験体を作製、使用する。
実施例1~26、および、比較例1~4では、ステップS13,S14において、第1部材および第2部材として、成形体、仮焼体または焼結体のいずれかを使用した。第1部材または第2部材として成形体を使用する場合、上述のステップS11で得られたものを使用する。
第1部材または第2部材として仮焼体を使用する場合、実施例1~26、および、比較例1~4では、前述した成形体と同様の手法で成形体を作製し、熱処理をして作製した。焼成温度(すなわち、熱処理時の最高温度)は、800℃以上かつ1000℃以下である。そして、得られた仮焼体を、直径50mm、厚さ5mmの略円板状に加工した。なお、仮焼体は、原料粉末に有機バインダなどの成形助剤を添加して保形した成形体を加熱処理して作製するなど、既存の方法を適宜採用すればよく、その作製条件は上記に限定されるものではない。
第1部材または第2部材として焼結体を使用する場合、ホットプレス法により成形体の焼成を行った。具体的には、上述の成形体をホットプレス用の黒鉛型に収容し、ホットプレス炉にセットして焼成を行った。焼成時のプレス圧は、250kgf/cmである。焼成温度(すなわち、焼成時の最高温度)は、1550℃以上かつ1650℃以下である。焼成時間は、8時間である。昇温速度および降温速度は、300℃/hである。焼成雰囲気は、窒素ガス雰囲気である。そして、得られた焼結体を、直径50mm、厚さ5mmの略円板状に加工した。
実施例1~26、および、比較例1~4では、ステップS12において、Ru原料、ZrO原料およびAl原料として、市販のRuの高純度微粒粉末(純度99.9%以上、平均粒径15μm)、ZrOの高純度微粒粉末(純度99%以上、平均粒径0.4μm)、および、Alの高純度微粒粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.5μm)を使用した。
実施例1~26、および、比較例1~4では、ステップS12における原料粉末の湿式混合は、アルミナボールおよびポリポットを用いたボールミルにより行った。混合時間は20時間であり、使用した溶媒は有機溶媒である。湿式混合により生成されたスラリーを、乾燥させた後に篩にかけることにより、電極23の原料粉末を得た。また、電極ペーストの生成時に当該原料粉末と混練される溶媒およびバインダとして、ブチルカルビトールおよびポリメタクリル酸-n-ブチルを使用した。
実施例1~26、および、比較例1~4では、ステップS13における電極ペーストの塗布は、スクリーン印刷により行われた。当該電極ペーストの塗布パターンは、ベタ塗りである。実施例1~26、および、比較例1~4では、第1部材上に塗布された電極ペーストの形状は、幅5mm、長さ15mmの略長方形である。電極ペーストの厚さは、60μm~70μmである。
実施例1~26、および、比較例1~4では、ステップS15における積層後の焼成は、ホットプレス法により行った。具体的には、上述の積層体をホットプレス用の黒鉛型に収容し、ホットプレス炉にセットして焼成を行った。焼成時のプレス圧は、250kgf/cmである。焼成温度(すなわち、焼成時の最高温度)は、実施例1~26、および、比較例1~4では、1550℃以上かつ1650℃以下である。焼成時間は、4時間~8時間である。昇温速度および降温速度は、300℃/hである。焼成雰囲気は、窒素ガス雰囲気である。
表1~表3において、基材(すなわち、本体部21の第1部材および第2部材)の熱膨張係数は、本体部21から切り出した焼結体試料を用いて、JIS-R1618に準じた方法により、40℃~1000℃の範囲で測定した。また、電極23の熱膨張係数は、Ru、ZrOおよびAlのそれぞれ単体の熱膨張係数と、電極23におけるRu、ZrOおよびAlの含有率とに基づいて求めた。具体的には、Ru単体の熱膨張係数と電極23におけるRuの含有率(体積%)との積、ZrO単体の熱膨張係数と電極23におけるZrOの含有率(体積%)との積、および、Al単体の熱膨張係数と電極23におけるAlの含有率(体積%)との積の合計を、電極23の熱膨張係数とした。Ru、ZrOおよびAlのそれぞれ単体の熱膨張係数は、ステップS12で使用した市販のRu粉末、ZrO粉末およびAl粉末を、ステップS11と同様の条件でホットプレス焼成して作製されたバルク材を用いて、JIS-R1618に準じた方法により、40℃~1000℃の範囲で測定した。CTE差は、上述の電極23の熱膨張係数と本体部21の熱膨張係数の差の絶対値である。
電極23におけるRu-ZrOピーク比は、上述のXRDにより測定されたRuとZrOとのメインピークの強度比である。Ru-ZrOピーク比は、Ruのメインピークである(101)面の強度をI1とし、ZrOのメインピークである(111)面の強度をI2として、I1/(I1+I2)を算出した。また、XRDによる測定の際には、第2部材を除去し、第1部材上に位置する電極23を露出させて測定を行った。X線回折装置として、封入管式X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス株式会社製 D8-ADVANCE)を使用した。測定条件はCuKα、40kV、40mA、2θ=10~70°、ステップ幅を0.002°とした。
ZrO占有面積比は、電極23におけるZrOの偏在の程度を示すパラメータであり、次のように求めた。まず、ステップS15にて形成された複合焼結体20から上下方向(すなわち、電極23の厚さ方向)に略平行な断面を有する試験片を切り出す。試験片は、上下方向の略中央部に電極23が位置するように切り出される。続いて、試験片の上記断面を鏡面状に研磨仕上げし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて当該断面の画像(すなわち、断面SEM画像)を取得する。
図3は、実施例1の複合焼結体20の断面SEM画像である。図3中の上下方向の中央部の白っぽい領域は電極23に対応する。また、電極23の下側の黒い帯状の領域は、本体部21の第1部材に対応し、電極23の上側の黒い帯状の領域は、本体部21の第2部材に対応する。電極23に対応する領域内において、背景部分となる最も広く色の薄い領域はRuであり、Ruよりも色の濃い灰色の島状の領域はZrOである。後述する図5においても同様である。また、図3中の電極23に対応する領域内において、ほぼZrO上に位置するとともにZrOよりも色の濃い黒色の点状の領域はAlである。
次に、当該断面SEM画像において電極23に対応する領域(すなわち、電極23の断面SEM画像)を上下方向に3等分し、上下方向に並ぶ3つの略矩形状の領域を設定する。以下の説明では、当該3つの領域を、上下方向の一方側である下側(すなわち、第1部材側)から順に「第1領域231」、「第2領域232」および「第3領域233」と呼ぶ。図3では、第1領域231、第2領域232および第3領域233をそれぞれ、二点鎖線にて囲んで示す。その後、画像処理ソフト(伯東株式会社「Image-Pro」)を用いて、第1領域231におけるZrOの専有面積、および、第2領域232におけるZrOの専有面積を算出した。そして、第2領域232におけるZrOの専有面積を、第1領域231におけるZrOの専有面積で除算することにより、ZrO占有面積比を求めた。
ZrO占有面積比が1.0に近づくほど、第1領域231におけるZrOの占有率と、第2領域232におけるZrOの占有率との差が小さくなる。すなわち、ZrO占有面積比が1.0に近づくほど、第1領域231および第2領域232においてZrOが略均等に分散している状態に近づく。また、ZrO占有面積比が1.0以下の範囲で小さくなるに従って、第1領域231におけるZrOの占有率が、第2領域232におけるZrOの占有率よりも大きくなる。すなわち、ZrO占有面積比が1.0以下の範囲で小さくなるに従って、第2領域232(すなわち、電極23の厚さ方向の中央領域)に比べて、第1領域231(すなわち、第1部材側の領域)におけるZrOの偏在の程度が漸次増大する。
電極23の抵抗率は、次のように求めた。まず、ステップS15にて形成された複合焼結体20から、幅、長さおよび厚さがそれぞれ9mmの略直方体状の試験片を切り出す。試験片は、中央部に幅5mm、長さ9mmの電極23が内蔵されるように切り出される。試験片の両端面には、幅5mmの電極23が露出している。電極23の断面積S(cm)は、試験片の端面における電極23の幅および長さを光学顕微鏡により測定して求めた。また、電極23が露出する試験片の両端面間の距離をノギスにより測定し、電極23の長さL(cm)とした。抵抗測定用の回路は、電極23の両端面に導電性ペーストを塗布した上でリード線を接続して構成した。そして、大気中、室温において、電極23に微少電流I(mA)を0mA~150mAの範囲で付与し、その際に発生する微小電圧値V(mV)を測定し、電極23の抵抗R(Ω)をR=V/Iにより求めた。その後、電極23の抵抗率ρ(Ω・cm)を、ρ=R×S/Lにより求めた。
電極23の密着強度は、次のように求めた。まず、ステップS15にて形成された複合焼結体20から、上下方向(すなわち、複合焼結体20の厚さ方向)に延びる略円柱状の試験片が切り出される。密着強度の測定用の試験片が切り出される複合焼結体20は、上記他の測定に使用するものとは、厚さおよび電極ペーストの塗布形状が異なる。具体的には、直径50mm、厚さ10mmの略円板状の第1部材上に、第1部材よりも少し直径が小さい略円形状に電極ペーストが塗布される。電極ペーストの厚さは、50μm~60μmである。そして、第1部材および電極ペースト上に、直径50mm、厚さ10mmの略円板状の第2部材が積層されることにより、直径50mm、厚さ20mmの略円板状の積層体が形成される。その後、当該積層体が1600℃~1700℃にて焼成されることにより複合焼結体20が形成される。
当該複合焼結体20からは5つの試験片が切り出される。複合焼結体20における試験片の切り出し位置(すなわち、平面視における各試験片の中心位置)は、複合焼結体20の平面視における中心、および、当該中心周りの同一円周上において周方向に等角度間隔にて配列される4つの位置である。当該試験片の長手方向(すなわち、上下方向)に垂直な断面の直径は9.9mmである。当該試験片では、長手方向の略中央部に略円板状の電極23が存在し、電極23の下側および上側の部位がそれぞれ、本体部21の第1部位および第2部位である。当該試験片では、電極23は、第1部位の上端面および第2部位の下端面の略全面に亘って設けられる。
続いて、図4に示すように、長手方向が水平になるように配置された試験片200を、治具201の内部に収容した。治具201の内部には、試験片200と略同形状の収容空間が設けられている。治具201は、左右方向にて隣接する2つの治具要素202,203を備えており、試験片200の電極23よりも左側の部位は治具要素202の内部に収容され、試験片200の電極23よりも右側の部位は治具要素203の内部に収容される。左右方向にて面接触している治具要素202と治具要素203との境界面は、試験片200の電極23と左右方向の同じ位置に位置する。治具要素202の下面は治具要素203の下面よりも下方に突出しており、治具要素203の上面は治具要素202の上面よりも上方に突出している。
試験片200を収容した治具201は、株式会社島津製作所製「オートグラフAG-10TD」において上下から挟まれるようにセットされる。次に、治具要素202および治具要素203に対して、それぞれ上向きおよび下向きの荷重が付与される。すなわち、電極23に対する剪断荷重が付与される。そして、当該荷重を漸次増大させ、試験片200の電極23の左右の部位(すなわち、本体部21の第1部位および第2部位)が破断するまで試験を行う。その後、測定された最大荷重を、電極23の長手方向に垂直な面積(すなわち、試験片200の長手方向に垂直な断面積)で除算することにより、電極23の密着強度を求めた。
実施例1~26、および、比較例1~4では、本体部21の主材料はAlであり、添加物はMgOである。また、上述のように、実施例1~26では、電極23はRu、ZrOおよびAlにより形成される。一方、比較例1では、電極23はRuのみにより形成され、ZrOおよびAlを含まない。また、比較例2~4では、電極23はRuおよびZrOにより形成され、Alを含まない。
実施例1では、ステップS13において電極ペーストが付与される本体部21の第1部材は仮焼体である。また、ステップS14において第1部材上に積層される第2部材は成形体である。本体部21のMgOの含有率は0.025質量%であり、本体部21の熱膨張係数は8.1ppm/℃である。なお、本体部21のMgO以外の残部はAlである(他の実施例および比較例においても同様)。電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は23.8体積%であり、Al/ZrO含有率比は0.5である。電極23の熱膨張係数は8.1ppm/℃である。複合焼結体20の焼成温度(すなわち、焼成時の最高温度)は1600℃である。
実施例1では、CTE差(すなわち、40℃以上かつ1000℃以下の範囲における電極23と本体部21との熱膨張係数の差の絶対値)は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.96であった。ZrO占有面積比は0.8であった。電極23の抵抗率は、1.8×10-5Ω・cmであった。
実施例1では、ZrO占有面積比が1.0に近いため、第1部材上に付与された電極ペーストが第1部材に吸引される際に電極ペースト中のZrOが第1部材側(すなわち、下側)に偏ることが抑制され、焼成後の電極23においてZrOが第1部材側に偏在することが抑制されていることがわかる。また、CTE差が0.3ppm/℃以下と小さく、かつ、上述のようにZrOの偏在も抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。さらに、電極23の抵抗率は3.0×10-5Ω・cm以下と小さかった。
実施例2では、本体部21におけるMgOの含有率が1.0質量%であり、本体部21の熱膨張係数は8.2ppm/℃である。電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は27.0体積%であり、Al/ZrO含有率比は0.4である。電極23の熱膨張係数は8.2ppm/℃である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例2では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.91であった。ZrO占有面積比は0.8であった。電極23の抵抗率は、1.9×10-5Ω・cmであった。実施例2では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例3では、本体部21におけるMgOの含有率が5.0質量%であり、本体部21の熱膨張係数は8.3ppm/℃である。電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は30.2体積%であり、Al/ZrO含有率比は0.4である。電極23の熱膨張係数は8.3ppm/℃である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例3では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.86であった。ZrO占有面積比は1.2であった。電極23の抵抗率は、2.0×10-5Ω・cmであった。実施例3では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例1~3に注目すると、本体部21の熱膨張係数を上記範囲(すなわち、8.1ppm/℃~8.3ppm/℃)で変更した場合であっても、CTE差を0.0ppm/℃とし、ZrO占有面積比を0.8~1.2とすることができ、本体部21のクラックや電極23の剥離を防止することができた。
実施例4では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は19.7体積%であり、Al/ZrO含有率比は0.2である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例4では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.95であった。ZrO占有面積比は0.4であった。電極23の抵抗率は、1.6×10-5Ω・cmであった。実施例4では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が比較的抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例5では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は21.3体積%であり、Al/ZrO含有率比は0.3である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例5では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.97であった。ZrO占有面積比は0.5であった。電極23の抵抗率は、1.7×10-5Ω・cmであった。実施例5では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例6では、複合焼結体20の焼成温度が1550℃である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例6では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.95であった。ZrO占有面積比は0.7であった。電極23の抵抗率は、1.8×10-5Ω・cmであった。実施例6では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例7では、複合焼結体20の焼成温度が1650℃である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例7では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.96であった。ZrO占有面積比は2.0であった。電極23の抵抗率は、1.5×10-5Ω・cmであった。実施例7では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例1,6,7に注目すると、複合焼結体20の焼成温度を上記範囲(すなわち、1550℃~1650℃)で変更した場合であっても、CTE差を0.0ppm/℃とし、ZrO占有面積比を0.7~2.0とすることができ、本体部21のクラックや電極23の剥離を防止することができた。
実施例8では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は29.6体積%であり、Al/ZrO含有率比は1.0である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例8では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.95であった。ZrO占有面積比は1.2であった。電極23の抵抗率は、1.8×10-5Ω・cmであった。実施例8では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例9では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は63.8体積%であり、Al/ZrO含有率比は3.6である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例9では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.82であった。ZrO占有面積比は1.4であった。電極23の抵抗率は、3.0×10-5Ω・cmであった。実施例9では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が比較的抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例1,5,8,9に注目すると、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率を上記範囲(すなわち、19.7体積%~63.8体積%)で変更し、Al/ZrO含有率比を上記範囲(すなわち、0.2~3.6)で変更した場合であっても、CTE差を0.0ppm/℃とし、ZrO占有面積比を0.5~0.8とすることができ、本体部21のクラックや電極23の剥離を防止することができた。
なお、実施例1,5,8,9では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は21.3体積%~63.8体積%(すなわち、20体積%以上)であるのに対し、実施例4では、当該合計含有率は19.7体積%(すなわち、20体積%未満)であった。このため、実施例1,5,8,9のZrO占有面積比は0.5~1.4(すなわち、0.5以上かつ2.0以下)であるのに対し、実施例4のZrO占有面積比は0.4(すなわち、0.5未満)であった。実施例1,5,8,9では、実施例4に比べて、電極23におけるZrOの偏在がより好適に抑制されている。
実施例10では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は33.4体積%であり、Al/ZrO含有率比は0.3である。また、電極23の熱膨張係数は8.4ppm/℃である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例10では、CTE差は0.3ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.80であった。ZrO占有面積比は1.3であった。電極23の抵抗率は、2.1×10-5Ω・cmであった。実施例10では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例11では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は30.2体積%であり、Al/ZrO含有率比は0.4である。また、電極23の熱膨張係数は8.3ppm/℃である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例11では、CTE差は0.2ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.85であった。ZrO占有面積比は1.2であった。電極23の抵抗率は、1.9×10-5Ω・cmであった。実施例11では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例12では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は17.6体積%であり、Al/ZrO含有率比は0.8である。また、電極23の熱膨張係数は7.9ppm/℃である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例12では、CTE差は0.2ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.98であった。ZrO占有面積比は0.6であった。電極23の抵抗率は、1.6×10-5Ω・cmであった。実施例12では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例13では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は14.3体積%であり、Al/ZrO含有率比は1.3である。また、電極23の熱膨張係数は7.8ppm/℃である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例13では、CTE差は0.3ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.99であった。ZrO占有面積比は0.5であった。電極23の抵抗率は、1.5×10-5Ω・cmであった。実施例13では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例1,10~13に注目すると、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率およびAl/ZrO含有率比を変更し、CTE差を上記範囲(すなわち、0.0ppm/℃~0.3ppm/℃)で変更した場合であっても、ZrO占有面積比を0.5~1.3とすることができ、本体部21のクラックや電極23の剥離を防止することができた。
実施例14では、ステップS14において第1部材上に積層される第2部材は仮焼体である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例14では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.96であった。ZrO占有面積比は0.8であった。電極23の抵抗率は、1.8×10-5Ω・cmであった。実施例14におけるこれらの数値は、実施例1と同じである。このため、実施例14では、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例15では、ステップS14において第1部材上に積層される第2部材は焼結体である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例15では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.95であった。ZrO占有面積比は0.7であった。電極23の抵抗率は、1.8×10-5Ω・cmであった。実施例15におけるこれらの数値は、実施例1とほぼ同じである。このため、実施例15では、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例1,14,15に注目すると、ステップS14において第1部材上に積層される第2部材を成形体、仮焼体および焼結体のいずれとした場合であっても、CTE差を0.0ppm/℃とし、ZrO占有面積比を0.7~0.8とすることができ、本体部21のクラックや電極23の剥離を防止することができた。
実施例16では、ステップS13において電極ペーストが付与される第1部材はテープ成形体である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例16では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.95であった。ZrO占有面積比は0.9であった。電極23の抵抗率は、1.9×10-5Ω・cmであった。実施例16では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例17では、ステップS13において電極ペーストが付与される第1部材は焼結体である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例17では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.97であった。ZrO占有面積比は1.0であった。電極23の抵抗率は、1.7×10-5Ω・cmであった。実施例17では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例1,16,17に注目すると、ステップS13において電極ペーストが付与される第1部材を仮焼体、成形体および焼結体のいずれとした場合であっても、CTE差を0.0ppm/℃とし、ZrO占有面積比を0.8~1.0とすることができ、本体部21のクラックや電極23の剥離を防止することができた。
実施例18では、ステップS14において第1部材上に積層される第2部材は仮焼体である。その他の条件は、実施例17と同様である。
実施例18では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.97であった。ZrO占有面積比は1.1であった。電極23の抵抗率は、1.7×10-5Ω・cmであった。実施例18におけるこれらの数値は、実施例17とほぼ同じである。このため、実施例18では、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例19では、ステップS14において第1部材上に積層される第2部材は焼結体である。その他の条件は、実施例17と同様である。
実施例19では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.96であった。ZrO占有面積比は1.0であった。電極23の抵抗率は、1.8×10-5Ω・cmであった。実施例19におけるこれらの数値は、実施例17とほぼ同じである。このため、実施例19では、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。
実施例17~19に注目すると、ステップS14において第1部材上に積層される第2部材を成形体、仮焼体および焼結体のいずれとした場合であっても、CTE差を0.0ppm/℃とし、ZrO占有面積比を1.0~1.1とすることができ、本体部21のクラックや電極23の剥離を防止することができた。
実施例20では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は30.1体積%であり、Al/ZrO含有率比は1.1である。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例20では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.98であった。ZrO占有面積比は1.5であった。電極23の抵抗率は、2.0×10-5Ω・cmであった。実施例20では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が比較的抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。なお、実施例20では、電極23の密着強度を測定するための試験片200(図4参照)の切り出しを行ったが、切り出し途上において第1部位と第2部位とが分離したため測定できなかった。
実施例21では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は36.7体積%であり、Al/ZrO含有率比は1.8である。その他の条件は、実施例20と同様である。
実施例21では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.96であった。ZrO占有面積比は1.6であった。電極23の抵抗率は、2.2×10-5Ω・cmであった。実施例21では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が比較的抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。なお、実施例21では、実施例20と同様に、切り出し途上において第1部位と第2部位とが分離したため、電極23の密着強度は測定できなかった。
実施例22では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は43.2体積%であり、Al/ZrO含有率比は2.7である。その他の条件は、実施例20と同様である。
実施例22では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.83であった。ZrO占有面積比は1.0であった。電極23の抵抗率は、2.7×10-5Ω・cmであった。実施例22では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が比較的抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。さらに、電極23の密着強度は99MPaであった。実施例22では、当該密着強度が90MPa以上であり、比較的大きいため、機械的衝撃等による電極23の本体部21からの剥離を好適に抑制することができる。
実施例23では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は46.6体積%であり、Al/ZrO含有率比は3.2である。その他の条件は、実施例20と同様である。
実施例23では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.81であった。ZrO占有面積比は0.9であった。電極23の抵抗率は、2.8×10-5Ω・cmであった。実施例23では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が比較的抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。さらに、電極23の密着強度は121MPaであった。実施例23では、当該密着強度が90MPa以上であり、比較的大きいため、機械的衝撃等による電極23の本体部21からの剥離を好適に抑制することができる。
実施例24では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は49.8体積%であり、Al/ZrO含有率比は3.8である。その他の条件は、実施例20と同様である。
実施例24では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.83であった。ZrO占有面積比は1.1であった。電極23の抵抗率は、2.9×10-5Ω・cmであった。実施例24では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が比較的抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。さらに、電極23の密着強度は146MPaであった。実施例24では、当該密着強度が90MPa以上であり、比較的大きいため、機械的衝撃等による電極23の本体部21からの剥離を好適に抑制することができる。
実施例20~24に注目すると、電極23の密着強度を増大させるという観点からは、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は、40体積%以上であることが好ましい。また、Al/ZrO含有率比は、2.0以上であることが好ましい。
実施例20~23に注目すると、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率を上記範囲(すなわち、30.1体積%~46.6体積%)で変更し、Al/ZrO含有率比を上記範囲(すなわち、1.1~3.2)で変更した場合であっても、CTE差を0.0ppm/℃とし、ZrO占有面積比を0.9~1.6とすることができ、本体部21のクラックや電極23の剥離を防止することができた。
また、実施例24では、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率を49.8体積%とし、Al/ZrO含有率比を3.8とした場合であっても、CTE差を0.0ppm/℃とし、ZrO占有面積比を1.1とすることができ、本体部21のクラックや電極23の剥離を防止することができた。
実施例25では、本体部21におけるMgOの含有率が0.1質量%である。また、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は23.6体積%であり、Al/ZrO含有率比は0.5である。その他の条件は、実施例20と同様である。
実施例25では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.92であった。ZrO占有面積比は1.8であった。電極23の抵抗率は、1.9×10-5Ω・cmであった。実施例25では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が比較的抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。さらに、電極23の密着強度は59MPaであった。実施例25では、当該密着強度が50MPa以上であるため、機械的衝撃等による電極23の本体部21からの剥離を抑制することができる。
実施例26では、本体部21におけるMgOの含有率が0.1質量%である。その他の条件は、実施例24と同様である。
実施例26では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.82であった。ZrO占有面積比は1.1であった。電極23の抵抗率は、2.9×10-5Ω・cmであった。実施例26では、CTE差が小さく、かつ、ZrOの偏在が比較的抑制されているため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離は生じなかった。また、電極23の抵抗率は小さかった。さらに、電極23の密着強度は250MPaであった。実施例26では、当該密着強度が90MPa以上であり、比較的大きいため、機械的衝撃等による電極23の本体部21からの剥離を好適に抑制することができる。
実施例24,26に注目すると、電極23の密着強度を増大させるという観点からは、本体部21におけるMgOの含有率は0.1質量%以上であることが好ましい。
比較例1では、上述のように、電極23がRuのみにより形成され、ZrOおよびAlを含まない。電極23の熱膨張係数は7.6ppm/℃である。その他の条件は、実施例17と同様である。比較例1では、CTE差が0.5ppm/℃と大きいため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離が生じた。
比較例2では、上述のように、電極23がRuおよびZrOにより形成され、Alを含まない。電極23におけるZrOの含有率は10.0体積%であり、電極23の熱膨張係数は7.9ppm/℃である。その他の条件は、実施例1と同様である。
比較例2では、CTE差は0.2ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.99であった。ZrO占有面積比は0.2であった。電極23の抵抗率は、1.3×10-5Ω・cmであった。比較例2では、ZrO占有面積比が1.0よりもかなり小さく、ZrOが第1部材側に偏在している。このため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離が生じた。
比較例3では、電極23におけるZrOの含有率は17.2体積%であり、電極23の熱膨張係数は8.1ppm/℃である。その他の条件は、比較例2と同様である。
比較例3では、CTE差は0.0ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.95であった。ZrO占有面積比は0.2であった。電極23の抵抗率は、1.5×10-5Ω・cmであった。比較例3では、ZrO占有面積比が1.0よりもかなり小さく、図5に示すように、ZrOが第1部材側(すなわち、図5中の下側)に偏在している。このため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離が生じた。
比較例4では、電極23におけるZrOの含有率は27.6体積%であり、電極23の熱膨張係数は8.4ppm/℃である。その他の条件は、比較例2と同様である。
比較例4では、CTE差は0.3ppm/℃であった。Ru-ZrOピーク比は0.81であった。ZrO占有面積比は0.3であった。電極23の抵抗率は、1.8×10-5Ω・cmであった。比較例4では、ZrO占有面積比が1.0よりもかなり小さく、ZrOが第1部材側に偏在している。このため、本体部21と電極23との熱膨張係数の差に起因する本体部21のクラックや電極23の剥離が生じた。
以上に説明したように、複合焼結体20は、Alを主材料とする基材(上記例では、本体部21)と、当該基材の内部または表面に配置される電極23と、を備える。電極23は、Ruと、ZrOと、Alとを含む。これにより、実施例1~19に示すように、電極23中におけるZrOの偏在を抑制することができる。その結果、当該偏在の影響による電極23と基材との熱膨張係数の差に起因する基材のクラックや電極23の剥離を抑制することができる。また、電極23の抵抗率の増大を抑制することもできるため、電極23による発熱量を精度良く制御することができる。
上述のように、電極23と基材との熱膨張係数の差の絶対値は、40℃以上かつ1000℃以下の範囲において、0.3ppm/℃以下であることが好ましい。これにより、電極23と基材との熱膨張係数の差に起因する基材のクラックや電極23の剥離をさらに抑制することができる。
上述のように、電極23の室温における抵抗率は、3.0×10-5Ω・cm以下であることが好ましい。これにより、電極23による発熱量をさらに精度良く制御することができる。
上述のように、電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は20体積%以上であることが好ましい。これにより、実施例1,5,8,9と実施例4との対比にて示すように、電極23中におけるZrOの偏在をさらに抑制することができる。
上述のように、電極23におけるAlの含有率は、ZrOの含有率の0.2倍以上かつ3.6倍以下であることが好ましい。これにより、電極23中におけるZrOの偏在を好適に抑制することができる。
また、電極23におけるAlの含有率は、ZrOの含有率の3.6倍よりも大きく、かつ、3.8倍以下であることも好ましい。この場合も、電極23中におけるZrOの偏在を好適に抑制することができる。
上述のように、電極23中の固体物におけるRu、ZrOおよびAlの合計含有率は、100体積%であることが好ましい。これにより、電極23の材料の種類増加による製造コスト増大を防止することができる。
上述のように、電極23において、X線回折法により得られるRuとZrOとのメインピークの強度比(すなわち、Ru-ZrOピーク比)は、0.80以上かつ1.0未満であることが好ましい。このように、電極23におけるRuとZrOとの組成比を好適な範囲とすることにより、電極23の抵抗率の増大を好適に抑制しつつ、電極23と基材との熱膨張係数の差を好適に小さくすることができる。
上述のように、電極23の厚さ方向に平行な電極23の断面SEM画像を厚さ方向に3等分し、厚さ方向の一方側から順に第1領域231、第2領域232および第3領域233とすると、中央の第2領域232におけるZrOの面積は、第2領域232と基材との間の第1領域231におけるZrOの面積の0.5倍以上かつ2.0倍以下であることが好ましい。このように、電極23中におけるZrOの偏在を好適に抑制することにより、当該偏在の影響による電極23と基材との熱膨張係数の差に起因する基材のクラックや電極23の剥離を好適に抑制することができる。
上述のように、電極23の基材に対する密着強度は、90MPa以上であることが好ましい。これにより、機械的衝撃等による電極23の基材からの剥離を好適に抑制することができる。
上述のように、複合焼結体20では、電極23の抵抗率の増大を抑制しつつ、電極23中におけるZrOの偏在を抑制し、基材のクラックや電極23の剥離を抑制することができる。このため、複合焼結体20は、半導体製造装置において使用される半導体製造装置部材に適している。複合焼結体20は、特に、ハイパワーエッチング装置等の高出力半導体製造装置において使用される半導体製造装置部材に適している。複合焼結体20を用いて作成される半導体製造装置部材の好適な一例として、上述のサセプター1が挙げられる。サセプター1では、上述のように、本体部21は円板状であり、本体部21の主面に基板9が載置される。
上述の複合焼結体20の製造方法は、Alを主材料とする成形体、仮焼体または焼結体である第1部材および第2部材を準備する工程(ステップS11)と、第1部材上に、Ru、ZrOおよびAlを含むペースト状の電極材料を付与して乾燥させる工程と(ステップS13)、第1部材上に第2部材を積層して積層体を形成する工程(ステップS14)と、当該積層体をホットプレス焼成する工程(ステップS15)と、を備える。これにより、上記と同様に、電極23中におけるZrOの偏在を抑制することができる。その結果、当該偏在の影響による電極23と基材との熱膨張係数の差に起因する基材のクラックや電極23の剥離を抑制することができる。
上述のように、当該製造方法によれば電極23中におけるZrOの偏在を抑制することができるため、当該製造方法は、ステップS11における第1部材が、電極ペーストを比較的吸引しやすい仮焼体またはテープ成形体である場合に特に適している。
上述のように、ステップS15の終了後における電極23と第1部材との熱膨張係数の差の絶対値は、40℃以上かつ1000℃以下の範囲において、0.3ppm/℃以下であることが好ましい。これにより、電極23と基材との熱膨張係数の差に起因する基材のクラックや電極23の剥離をさらに抑制することができる。
上述のように、ステップS15における焼成温度は、1550℃以上かつ1650℃以下であることが好ましい。当該温度範囲における焼成により、基材(上記例では、本体部21)を十分に焼結させつつ、電極23において、Ruの粒成長に伴うZrOドメインの粗大化を抑制することができる。その結果、電極23の特性を安定させることができる。
上述の複合焼結体20、半導体製造装置部材、および、複合焼結体20の製造方法では、様々な変更が可能である。
例えば、複合焼結体20のCTE差は、0.3ppm/℃よりも大きくてもよい。
電極23の室温における抵抗率は、3.0×10-5Ω・cmよりも高くてもよい。
電極23におけるZrOおよびAlの合計含有率は、20体積%未満であってもよい。
電極23におけるAl/ZrO含有率比は、0.2未満であってもよく、3.8よりも大きくてもよい。
電極23中の固形物におけるRu、ZrOおよびAlの合計含有率は、100体積%未満であってもよい。
電極23では、Ru-ZrOピーク比は0.80未満であってもよい。
ZrO占有面積比は0.5未満であってもよく、2.0よりも大きくてもよい。
電極23の基材に対する密着強度は、90MPa未満であってもよく、50MPa未満であってもよい。
複合焼結体20の製造方法では、上述のステップS15における焼成温度は、1550℃未満であってもよく、1650℃よりも高温であってもよい。
複合焼結体20は、上記製造方法とは異なる方法により製造されてもよい。
複合焼結体20は、サセプター1以外にも、半導体製造装置に設けられる他の半導体製造装置部材(例えば、リング、シャワーヘッド等)の作製に用いられてよい。また、複合焼結体20により半導体製造装置以外の装置にて使用される部材が作製されてもよい。例えば、複合焼結体20は、半導体基板以外の基板を支持するサセプターの作製に用いられてもよく、対象物を加熱するセラミックヒーターの作製に用いられてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
本発明は、半導体製造装置に関する分野、例えば、半導体基板を保持して加熱するサセプターの製造に利用可能である。
1 サセプター
9 基板
20 複合焼結体
21 本体部
23 電極
231 第1領域
232 第2領域
233 第3領域
S11~S15 ステップ

Claims (15)

  1. 複合焼結体であって、
    酸化アルミニウムを主材料とする基材と、
    前記基材の内部または表面に配置される電極と、
    を備え、
    前記電極は、
    ルテニウムと、
    酸化ジルコニウムと、
    酸化アルミニウムと、
    を含むことを特徴とする複合焼結体。
  2. 請求項1に記載の複合焼結体であって、
    前記電極と前記基材との熱膨張係数の差の絶対値は、40℃以上かつ1000℃以下の範囲において、0.3ppm/℃以下であることを特徴とする複合焼結体。
  3. 請求項1または2に記載の複合焼結体であって、
    前記電極の室温における抵抗率は、3.0×10-5Ω・cm以下であることを特徴とする複合焼結体。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の複合焼結体であって、
    前記電極における前記酸化ジルコニウムおよび前記酸化アルミニウムの合計含有率は20体積%以上であることを特徴とする複合焼結体。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の複合焼結体であって、
    前記電極における前記酸化アルミニウムの含有率は、前記酸化ジルコニウムの含有率の0.2倍以上かつ3.6倍以下であることを特徴とする複合焼結体。
  6. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の複合焼結体であって、
    前記電極における前記酸化アルミニウムの含有率は、前記酸化ジルコニウムの含有率の3.6倍よりも大きくかつ3.8倍以下であることを特徴とする複合焼結体。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の複合焼結体であって、
    前記電極中の固体物における前記ルテニウム、前記酸化ジルコニウムおよび前記酸化アルミニウムの合計含有率は、100体積%であることを特徴とする複合焼結体。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の複合焼結体であって、
    前記電極において、X線回折法により得られる前記ルテニウムと前記酸化ジルコニウムとのメインピークの強度比は、0.80以上かつ1.0未満であることを特徴とする複合焼結体。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1つに記載の複合焼結体であって、
    前記電極の厚さ方向に平行な前記電極の断面SEM画像を厚さ方向に3等分し、厚さ方向の一方側から順に第1領域、第2領域および第3領域とすると、中央の前記第2領域における前記酸化ジルコニウムの面積は、前記第2領域と前記基材との間の前記第1領域における前記酸化ジルコニウムの面積の0.5倍以上かつ2.0倍以下であることを特徴とする複合焼結体。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の複合焼結体であって、
    前記電極の前記基材に対する密着強度は、90MPa以上であることを特徴とする複合焼結体。
  11. 半導体製造装置において使用される半導体製造装置部材であって、
    請求項1ないし10のいずれか1つに記載の複合焼結体を用いて作製され、
    前記基材は円板状であり、前記基材の主面に半導体基板が載置されることを特徴とする半導体製造装置部材。
  12. 複合焼結体の製造方法であって、
    a)酸化アルミニウムを主材料とする成形体、仮焼体または焼結体である第1部材および第2部材を準備する工程と、
    b)前記第1部材上に、ルテニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化アルミニウムを含むペースト状の電極材料を付与して乾燥させる工程と、
    c)前記第1部材上に前記第2部材を積層して積層体を形成する工程と、
    d)前記積層体をホットプレス焼成する工程と、
    を備えることを特徴とする複合焼結体の製造方法。
  13. 請求項12に記載の複合焼結体の製造方法であって、
    前記a)工程における前記第1部材は仮焼体またはテープ成形体であることを特徴とする複合焼結体の製造方法。
  14. 請求項12または13に記載の複合焼結体の製造方法であって、
    前記d)工程の終了後における前記電極と前記第1部材との熱膨張係数の差の絶対値は、40℃以上かつ1000℃以下の範囲において、0.3ppm/℃以下であることを特徴とする複合焼結体の製造方法。
  15. 請求項12ないし14のいずれか1つに記載の複合焼結体の製造方法であって、
    前記d)工程における焼成温度は、1550℃以上かつ1650℃以下であることを特徴とする複合焼結体の製造方法。
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