JP2007175659A - タンタル系酸窒化物光触媒及びその製造方法 - Google Patents

タンタル系酸窒化物光触媒及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可視光域で水の光分解を効率的に行うことができる新規の光触媒を提供する。
【解決手段】BaCOとTaのモル比(5−x):4(0.25≦x≦1)の混合物を空気中で焼成してBa5−xTa15−xを得て、このBa5−xTa15−xとLaのモル比1:xの混合物をNH雰囲気下で焼成することで本発明のタンタル系酸窒化物光触媒が得られる。本発明のタンタル系酸窒化物光触媒は、一般式:Ba5-xLaTa15-x(0.25≦x≦1)で表される。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規のタンタル系酸窒化物光触媒及びその製造方法に関する。
エネルギー源として利用されている化石燃料は限りがあり、化石燃料の使用により地球温暖化などの環境問題が発生している。また、原子力発電は二酸化炭素を発生せず、高効率でエネルギーを発生できる長所を有しているが、放射能が人体に悪影響を及ぼすため、安全性の面において厳重な管理が必要であるという問題があった。
このような背景から、新しいクリーンなエネルギー源として、水素が注目を浴びている。そして、光触媒を用いた水の分解反応を用いれば、無尽蔵な太陽光エネルギーを利用して水素を生成することができることから、水素を効率的に生成するための新しい光触媒の開発が活発に行われている。
例えば、非特許文献1には、紫外光を用いて効率よく水の光分解を行うことができる光触媒として、BaとTaの複合酸化物が開示されている。
Y. Sakata, et al, ChemLett, 34, 822-823, (2005).
しかし、非特許文献1に開示されている複合酸化物は、太陽光エネルギーの大部分を占める可視光を用いて水の光分解を行うことができないため、可視光域で水の光分解を効率的に行うことができる新規の光触媒の開発が求められていた。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、可視光域で水の光分解を効率的に行うことができる新規の光触媒を提供することをその目的とする。
上記課題を達成するため種々検討した結果、BaとTaの複合酸化物にLaを加えて窒化することによって、可視光域で水の光分解活性を有するタンタル系酸窒化物光触媒が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の請求項1記載のタンタル系酸窒化物光触媒は、一般式:Ba5-xLaTa15-x(0.25≦x≦1)で表されることを特徴とする。
また、本発明の請求項2記載のタンタル系酸窒化物光触媒は、請求項1において、NiOまたはRuOを担持させたことを特徴とする。
本発明の請求項3記載のタンタル系酸窒化物光触媒の製造方法は、BaCOとTaのモル比(5−x):4(0.25≦x≦1)の混合物を空気中で焼成してBa5−xTa15−xを得て、このBa5−xTa15−xとLaのモル比1:xの混合物をNH雰囲気下で焼成することを特徴とする。
また、本発明の請求項4記載のタンタル系酸窒化物光触媒の製造方法は、請求項3において、さらにPt,NiOまたはRuOを担持させることを特徴とする。
本発明のタンタル系酸窒化物光触媒及びタンタル系酸窒化物光触媒によれば、可視光域で水の光分解を効率的に行うことができる新規の光触媒を提供することができる。
本発明のタンタル系酸窒化物光触媒は、一般式:Ba5-xLaTa15-x(0.25≦x≦1)で表される、Ba−La−Ta固溶体からなる。または、さらにこれに助触媒として、Pt,NiOまたはRuOを担持させたものである。
本発明のタンタル系酸窒化物光触媒の製造方法は、まず、BaCOとTaのモル比(5−x):4(0.25≦x≦1)の混合物を空気中で焼成してBa5−xTa15−xを前駆体として得る。そして、この前駆体としてのBa5−xTa15−xとLaのモル比1:xの混合物をNH雰囲気下で焼成する。このとき、NHを供給しながら、800℃〜1000℃の温度において、1〜24時間焼成するのが好ましい。また、NHの純度は99.8%以上であるのが好ましい。さらに必要に応じて、助触媒としてPt,NiOまたはRuOを担持させる。
NiOを担持させる場合は、例えば、Ni又はNiの硝酸塩を含む水溶液にBa5−xLaTa15−xを含浸させ、空気中において約200℃で1時間程度焼成すればよい。また、RuOを担持させる場合は、例えば、Ru(CO)12のテトラヒドロフラン(THF)溶液にBa5−xLaTa15−xを含浸させ、空気中において約400℃で3時間程度焼成すればよい。Ptを担持するには、HPtClを溶液中に溶かし、光照射により光触媒の表面上に電着すればよい。
本発明の一般式:Ba5-xLaTa15-x(0.25≦x≦1)で表されるタンタル系酸窒化物光触媒は、600nm付近までの可視光を吸収する特性を示す。さらに、助触媒としてPt,NiOまたはRuOを担持させることにより、水を光分解して、特に水素を生成する光触媒として有効に機能する。このほか、有機物を光分解するための光触媒としても有効に用いられる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
株式会社関東化学製の純度99.99%のBaCOとTaを4.5:4のモル比で混合し、この混合物を空気中で焼成してBa4.5Ta14.5を前駆体として得た。この前駆体にLaをモル比で1:0.5の割合で加えた粉末とし、この粉末を長さ80〜100cm、内径2〜3cmのアルミナ管で構成された窒化装置の中央に配置したアルミナボードに敷いた。アンモニアボンベから1/8インチのステンレス管を通して、住友精化株式会社製の純度99.999%のアンモニアガスを窒化装置のアルミナ管へ平均流速50mL/分で流通させた。このとき、マスフローコントローラーにより流速が25〜100mL/分の範囲に収まるように調整した。そして、粉末が敷かれているアルミナ管の中央付近を、幅30cmの管状電気炉により1000℃で3時間加熱して窒化処理を行った。
窒化処理により得られた焼成物をX線回折装置(マック・サイエンス(株)製)MX−Labo)を用いたX線回折(XRD)パターンにより評価した。この結果を図1に示す。上側(a)は得られた焼成物のX線回折パターンであり、下側(b)は前駆体酸化物であるBa4.5Ta14.5のX線回折パターンである。Laが構造中に取り込まれたBa−La−Ta固溶体が得られたことが確認された。また、この分析結果とXPSによる分析結果により、この固溶体の組成は、Ba4.5La0.5Ta14.50.5であることが確認された。
実施例1で得た固溶体を、Niを含む水溶液に含浸させ、空気中において200℃で1時間焼成することで、0.5質量%のNiOを担持させた。そして、このNiOを担持させた固溶体0.5gを純水中に懸濁させ、400Wの高圧水銀灯を用いてパイレックス(登録商標)製ジャケットを通して290nmより長波長側の光を照射した。図2に示すように水が分解されて水素と酸素が生成し、本実施例で作成したNiOを担持させた固溶体は光触媒活性を有することが確認された。
実施例1で得たBa4.5La0.5Ta14.50.5の組成の固溶体と、Ba4.5Ta14.5の組成の前駆体の紫外可視吸収スペクトルを、紫外可視分光計(日本分光(株)製のV−550型)により測定した。図3に示すとおり、前駆体(a)は可視領域においてほとんど吸収を示さないのに対し、実施例1で得られた固溶体(b)は600nmまでの可視領域に強い吸収を示すことが確認された。
実施例1で得られた本化合物の水素生成反応の際に、HPtClを反応溶液中(MeOH80質量%水溶液)に溶かし、光照射により表面上にPtが1質量%となるように電着を行った。酸素の生成反応では0.01mol/lのAgNO溶液にpH調整剤にLaを0.2g入れ反応を行った。光源には、420nm以下の波長の光をカットした300Wキセノンランプを用いた。水素、酸素が発生し光触媒活性を有することが確認された。
実施例1で得たBa4.5La0.5Ta14.50.5の組成の固溶体を、Ru(CO)12をテトラヒドロフラン(THF)数mLに溶かした溶液に浸し、湯浴中でTHFを蒸発乾固させた。これを空気中、400℃で3時間焼成し、RuOを担持させた。このときの担持量は1質量%であった。そして、このRuOを担持させた固溶体0.3gを純水420dm中に懸濁させ、450W高圧水銀灯を光源とし、亜硝酸ナトリウム溶液フィルターを通して400nmより長波長側の光を照射した。水が分解されて水素と酸素が生成し、本実施例で作成したRuOを担持させた固溶体は光触媒活性を有することが確認された。
窒化処理における焼成温度を1000℃で一定とし、Ba5-xLaTa15-x(x=0.25,0.5,0.75,1.0)の組成の4種類の固溶体を得た。これら固溶体のX線回折パターンを図4に、吸収スペクトルを図5に示す。なお、図中oxideと表示しているのは、前駆体である。結晶構造はどの組成のものもほとんど同じであるが、x=0.5の組成のときに、最も長波長側に吸収スペクトルを有することが確認された。
実施例6で得た各固溶体にNiOを0.5質量%担持したもの0.5gを純水200mL中に懸濁し、400W高圧水銀灯を光源としてパイレックス(登録商標)製ジャケットを通して290nmより長波長側の光を照射し、光触媒活性を測定した。図6に水素および酸素の生成量を示す。x=0.5の組成のときに、最も光触媒活性が高いことが確認された。
実施例6で得た各固溶体について、XPSにより結合エネルギーを測定した結果を図7,図8に示す。なお、図7は窒素の結合エネルギーを示すXPS−Nスペクトル、図8はTa−Nの結合エネルギーを示すXPS−Taスペクトルである。図7からは、実施例5で得られた各固溶体の構造中に窒素が存在していることが確認された。図8からは、窒化物Ta,TaONは酸化物BaTa15に比べてスペクトルが低エネルギー側となっているが、実施例6で得られた各固溶体も低エネルギー側にスペクトルを有していることから、実施例6で得られた各固溶体においてTa−Nの結合が存在することが確認された。
本発明のタンタル系酸窒化物光触媒は、可視光領域の光エネルギーを利用した実用的な光水分解による水素生産システム設計を可能にするものと期待される。
実施例1で得たBa4.5La0.5Ta14.50.5のXRDパターン(a)とBa4.5Ta14.5のXRDパターン(b)を示すチャートである。 実施例2で得たNiOを担持させたBa4.5La0.5Ta14.50.5を光触媒として用いたときの水素(○)及び酸素(●)の生成量を示すグラフである。 実施例1で得たBa4.5La0.5Ta14.50.5の紫外可視吸収スペクトル(b)とBa4.5Ta14.5の紫外可視吸収スペクトル(a)を示すチャートである。 実施例6で得たBa5-xLaTa15-x(x=0.25,0.5,0.75,1.0)のXRDパターンを示すチャートである。 実施例6で得たBa5-xLaTa15-x(x=0.25,0.5,0.75,1.0)の紫外可視吸収スペクトルを示すチャートである。 実施例7で得たNiOを担持させたBa5-xLaTa15-x(x=0.25,0.5,0.75,1.0)を光触媒として用いたときの水素及び酸素の生成量を示すグラフである。 実施例6で得たBa5-xLaTa15-x(x=0.25,0.5,0.75,1.0)のXPS−Nスペクトルを示すチャートである。 実施例6で得たBa5-xLaTa15-x(x=0.25,0.5,0.75,1.0)のXPS−Taスペクトルを示すチャートである。

Claims (4)

  1. 一般式:Ba5-xLaTa15-x(0.25≦x≦1)で表されることを特徴とするタンタル系酸窒化物光触媒。
  2. NiOまたはRuOを担持させたことを特徴とする請求項1記載のタンタル系酸窒化物光触媒。
  3. BaCOとTaのモル比(5−x):4(0.25≦x≦1)の混合物を空気中で焼成してBa5−xTa15−xを得て、このBa5−xTa15−xとLaのモル比1:xの混合物をNH雰囲気下で焼成することを特徴とするタンタル系酸窒化物光触媒の製造方法。
  4. さらにPt,NiOまたはRuOを担持させることを特徴とする請求項3記載のタンタル系酸窒化物光触媒の製造方法。
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