JP6112739B2 - アンモニア製造方法およびアンモニア製造装置 - Google Patents

アンモニア製造方法およびアンモニア製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、アンモニア製造方法およびアンモニア製造装置に関する。特に、水素キャリアエネルギーとなるアンモニアを高効率かつ安価に製造するアンモニア製造技術に関する。
太陽光、風力等の再生可能エネルギーは、自然現象に由来するため季節や時間による変動が大きく、電力需要と供給のピークが一致しないという本質的な課題がある。また、大規模太陽光発電は広大な土地面積を必要とすること、風力発電は適する地域が洋上であったり沿岸部であることから、両者ともにエネルギー消費地と距離的に離れており、その送電線の敷設もコスト面で課題を有する。
これらの課題を解決するために、最近、エネルギーキャリアシステムが提案されている。このエネルギーキャリアシステムとは、再生可能エネルギーによって生産される電力を用いて水素を含有する化学物質であるアンモニアを製造し、液化アンモニアとして貯蔵する工程と、液化アンモニアを電力消費地に輸送し、必要に応じて液化アンモニアを水素に転換して燃料電池車に供給したり、燃料電池で発電する工程とで構成される。
このエネルギーキャリアシステムは、再生可能エネルギーによって生産される電力をその場で液化アンモニアとして貯留できる。このため送電線が不要であり、また電力の不安定さを解消する方法を容易に構築でき、上記の再生可能エネルギーの本質的課題を解決することができる。
エネルギーキャリアシステムを具現化する技術として、例えば特許文献1では、太陽光で発電した電力で水素を製造する方法が示されている。また例えば特許文献2では、水素と窒素からアンモニアを合成するための方法が示されている。特許文献1の方法と特許文献2の方法を組み合わせることによって、太陽光で発電した電力を水素に変換し、その水素を原料としてアンモニアを合成して貯留することができる。しかしながら特許文献1と特許文献2の技術を組み合わせた場合、電力からアンモニアへの総合変換効率は10パーセント程度である。そこで、より総合変換効率の高いアンモニア合成法が望まれている。
発明者らは、硝酸を原料とすればアンモニアを高い変換効率で製造できることに着眼し、硝酸を原料としたアンモニアの製造方法および製造装置についての検討を進めた。アンモニアを製造する方法として、たとえば非特許文献1の方法が知られている。非特許文献1に開示される技術は、1gの酸化チタン粒子に1mgのパラジウム、白金,またはルテニウムのいずれか一つを担持した触媒を0.001vol%の希薄な硝酸を含む常温の硝酸水溶液に混合し、キセノンランプから発せられる185〜2000nmの幅広い波長域の光を照射することで、酸化チタン粒子の光触媒効果と貴金属の触媒効果により硝酸イオンを還元し、アンモニウムイオンを生成している。しかし,非特許文献1の方法では、貴金属触媒が硝酸によって溶解しないように硝酸濃度を極めて低い濃度にしなければならず、アンモニア生成量は微量であること、還元効率は10%程度と低いこと、および貴金属触媒が高価であることが問題となっていた。このため、より大量、高効率、かつ安価にアンモニアを製造し、その技術をエネルギーキャリアシステムに適用することが求められていた。
特開2014−203274号公報 特開2013−209685号公報
J. Photochemistry and Photobiology A:Chemistry,108,1997,73−78.
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、アンモニアを従来よりも大量に、高効率に、かつ安価に製造するアンモニア製造方法及びアンモニア製造装置を提供することを解決すべき課題としている。
発明者は,硝酸水溶液に、従来知られているよりも安価な還元剤である水酸化チタンを混合することによって、上記課題を解決できることを見いだして、本発明を完成させるに至った。請求項1記載のアンモニア製造方法は、硝酸からアンモニアを製造するアンモニア製造方法であって、硝酸水溶液に水酸化チタンを供給して混合液とする原料供給工程と、水酸化チタンの還元作用によって硝酸からアンモニアを製造する還元工程を備えていることを特徴とする。
請求項2記載のアンモニア製造方法の還元工程は、硝酸と水酸化チタンとからなる混合液に波長308nm以下の短波長の光を照射することを特徴とする。波長308nm以下の短波長の光は光還元効果を有しており、この光を照射することで還元反応速度を増し、還元効率をより高めることが可能となる。
請求項3記載のアンモニア製造方法の還元工程は、硝酸と水酸化チタンとからなる混合液の温度を15℃以上100℃以下とすることを特徴とする。混合液の温度を15℃以上100℃以下に維持することにより、還元反応速度を増し、還元効率をより高めることが可能となる。
請求項4記載のアンモニア製造方法の原料供給工程は、硝酸水溶液と塩化チタンと水酸化ナトリウムとを供給して混合液とする。そして、混合液中で塩化チタンおよび水酸化ナトリウムから水酸化チタンを生成して硝酸に供給することを特徴とする。硝酸水溶液中で水酸化チタンを製造しつつ還元反応を起こすことで、高濃度の硝酸を還元することができる。
本発明はまた、硝酸からアンモニアを製造するアンモニア製造装置を提供する。請求項5記載のアンモニア製造装置は、反応器と、硝酸供給部と、チタン供給部と、波長308nm以下の短波長の光を発生する光源と、を備えていることを特徴とする。
請求項6記載のアンモニア製造装置は、チタン供給部が塩化チタンと水酸化ナトリウムとを供給し、反応器内で塩化チタンと水酸化ナトリウムとを反応させて水酸化チタンを供給することを特徴とする。
本発明の硝酸を水酸化チタンで還元するアンモニア製造方法およびアンモニア製造装置によれば、従来よりも大量に、高効率に、かつ安価にアンモニアを製造することが可能となる。
硝酸と水酸化チタンとを含む混合液に波長308nm以下の短波長の光を照射することで、水酸化チタンの光触媒効果により水酸化チタンから還元反応に必要な電子を十分に供給でき、混合液中の硝酸イオンを高効率にアンモニウムイオンに還元して高効率にアンモニアを生成することができる。
硝酸と水酸化チタンとを含む混合液の温度を15℃以上として還元反応速度を増すことで、より低温のときよりも短時間の反応時間でアンモニウムイオンを生成することができ、一層高効率にアンモニアを生成することができる。
硝酸水溶液と塩化チタンと水酸化ナトリウムを供給し混合することによって,高濃度の硝酸が存在する混合液中においても還元剤となる水酸化チタンが生成し、還元反応が進行して大量のアンモニアを製造することができる。また、塩化チタンと水酸化ナトリウムの反応によって水酸化チタンを合成して還元剤とすることで、直接水酸化チタンを供給するよりも、アンモニアを安価に製造することができる。
本発明のアンモニア製造装置およびアンモニア製造方法は、加圧も減圧も必要としない常圧下で還元反応を行ってアンモニアを製造することが可能であり、一層安価にアンモニアを製造することができる。
本発明のアンモニア製造装置の実施形態を模式的に示す概略図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る好適なアンモニア製造方法とアンモニア製造装置の二つの実施形態について説明する。
図1は、第一の実施形態と第二の実施形態で共通するアンモニア製造装置の構成を模式的に示す図である。アンモニア製造装置1は、反応器2と、硝酸供給部4と、チタン供給部6と、光源3と、を備えている。さらにアンモニア製造装置1は、攪拌機10と、水供給部5と、水酸化ナトリウム供給部7と、加熱手段11とを備えている。
反応器2は円筒状の容器であって、硝酸供給部4、水供給部5、チタン供給部6、および水酸化ナトリウム供給部7とそれぞれ連通している。反応器2の上部にはアンモニアガス通路9が設けられており、下部には生成物排出路8が設けられている。生成物排出路8とアンモニアガス通路9とは、図示されないアンモニア回収手段に接続されている。また、攪拌機10が反応器2の上部から挿入されており、反応器2に供給された水溶液を還元工程が終了するまで攪拌し続けて、溶質を均一に分布させ、水溶液の温度を均一に保つ。
光源3は、電源12に接続されて反応器2の中心に配置されている。本実施形態における光源3には、中心波長308nmの紫外線を発するエキシマ光源または波長254nmを含む紫外線を放射する低圧水銀ランプが好適に用いられる。光源3の使用は必須ではないが、水溶液に紫外線を照射することによって、より効率よくアンモニアを製造することができる。光源の種類としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、XeCl,Br,XeBr,Cl,HgXe,XeI,KrF,KrCl,KrBr,ArFエキシマを生成するガスを夫々封入したエキシマランプ、キセノンランプ、重水素ランプ、UV−LED、紫外線蛍光ランプ、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、XeClエキシマレーザー、F2レーザー、UV固体レーザー(たとえばNd−YAGの高調波の266nm)等が挙げられる。これら以外の光源を用いて、照射する紫外線の波長をより短くした場合は、紫外線が液体に吸収されるので水酸化チタンの光触媒効果が充分に得られず、アンモニアの製造効率はさほど向上しない。
反応器2の底部に接するように加熱手段11が配置されており、供給された水溶液を加熱する。加熱手段11は、たとえば、水溶液の温度を15℃に維持したり、100℃まで加熱することができる。加熱手段11を使用して水溶液の保温又は加熱を行うことで、アンモニアをより効率よく製造することができる。
第一の実施形態において、アンモニアの原料となる硝酸は、水溶液として硝酸供給部4から反応器2に供給される。水供給部5は、供給される硝酸水溶液の濃度が所定の値を超えて濃くなった場合、硝酸水溶液を希釈するために水を供給する。チタン供給部6は、硝酸と当量になるように水酸化チタンを供給する。水溶液中の硝酸イオンは水酸化チタンによって還元されてアンモニウムイオンを生成する。還元工程の終了後に、生成したアンモニウムイオンを含む弱酸性の水溶液に水酸化ナトリウム供給部7から水酸化ナトリウムを加えて中和または弱アルカリ性とすることで、アンモニアガスが発生する。発生したアンモニアガスは、アンモニアガス通路9を経由して、アンモニアガス回収手段によって回収することができる。
第二の本実施形態では、チタン供給部6からは、塩化チタンが供給される。また水酸化ナトリウム供給部7は、塩化チタンと反応して水酸化チタンを生成するための水酸化ナトリウムを供給する。
第二の実施形態では、反応器2に、硝酸供給部4から供給される硝酸水溶液と、チタン供給部6から供給される塩化チタンと、水酸化ナトリウム供給部7から供給される水酸化ナトリウムとが同時に供給される。反応器2内に供給された硝酸と水と塩化チタンと水酸化ナトリウムとは攪拌機10によって混合攪拌されて均一な混合液となり、硝酸は式1によって中和される。また、塩化チタンは式2によって水酸化チタンとなる。水溶液中の硝酸イオンは,式3の反応によって、硝酸イオンからアンモニウムイオンを生成する還元工程が進行する。総括の還元反応は、式4で表わされる。
Figure 0006112739
式1は硝酸を水酸化ナトリウムによって中和する反応であり、混合液のpHを5〜6程度に保つ。式1の中和反応によって、式2の反応で生成する水酸化チタン粒子が、強酸性の硝酸水溶液に溶解し還元剤の作用を損なうことが防止される。また、式1の中和反応によって硝酸濃度を高くすることができ、大量のアンモニアを生成することが可能となる。
式2は、塩化チタンと水酸化ナトリウムの反応により、還元剤である水酸化チタンを混合液中で生成する反応である。
式3は、硝酸イオンからアンモニウムイオンを生成するイオン式(半反応式)であり、還元反応のメカニズムを表わした式である。イオン式左項のHは、硝酸から供給される。式4は、硝酸からアンモニアを生成する還元反応式である。水酸化チタンは還元作用が強く、硝酸の還元速度を高め、高効率にアンモニアを生成することが可能となる。
還元工程では、混合液を室温より高い温度、例えば常圧下で100℃に加熱することにより、水酸化チタンの生成速度を速めることができる。また、混合液に波長308nm以下の短波長の光を照射することで、光触媒効果により式3のH生成量は増加し、式4の還元速度を高めることができる。
本実施形態のアンモニア製造装置は、硝酸水溶液を硝酸と当量の水酸化ナトリウムで中和しながら水酸化チタンを供給することと、およびここで供給する水酸化チタンは硝酸水溶液中でより安価なチタンと水酸化ナトリウムとを反応させて生成することとを特徴とするアンモニア製造方法に用いられる製造装置である。このようにすれば、高い硝酸濃度でも高効率で還元反応を起こすことができる。
以下、本発明の実施形態を具現化したアンモニア製造方法とアンモニア製造装置とを用いた実施例について説明する。
(実施例1)
内径(R1)95mm、高さ(H1)175mmの反応器2を備えたアンモニア製造装置1を用いて、アンモニアを製造した。反応器2の中央には、1台の低圧水銀ランプで構成されている光源3を配置した。使用した低圧水銀ランプは、波長254nmを含む紫外線を発生するランプ(ヘレウス(株)製,G8T5VH/4)である。ここでは、ランプ径(R2)10mm、発光長(L2)100mmの低圧水銀ランプを用いている。
本実施例では、反応器2に、硝酸供給部4から0.05wt%の硝酸水溶液200mLを供給し、チタン供給部6からこの硝酸の8倍当量となる水酸化チタンを供給している。そして、反応器2内に供給した硝酸水溶液と水酸化チタンとからなる混合液を攪拌機10で混合攪拌しつつ還元工程を行うことで、アンモニアを製造した。
混合液を常温(15℃)で3時間還元する還元工程を行い、アンモニアを製造したときの還元効率の測定結果を、表1の番号1に示す。同様に、混合液を加熱手段11によって100℃に加熱しながら3時間還元工程を行い、アンモニアを製造したときの還元効率の測定結果を、番号2に示す。混合液を常温(15℃)で、低圧水銀ランプの光を照射しながら3時間還元する還元工程を行い、アンモニアを製造したときの還元効率の測定結果を番号3に示す。混合液を100℃に加熱し且つ低圧水銀ランプの光を照射して3時間還元工程を行い、アンモニアを製造したときの還元効率の測定結果を、番号4に示す。ここでいう還元効率とは、以下の式5で算出される値である。「反応後液中のアンモニウムイオン濃度」は、液体イオンクロマトグラフィーで測定している。
Figure 0006112739
Figure 0006112739

番号1のアンモニア製造条件での還元効率と、番号2のアンモニア製造条件での還元効率とを比較することにより、アンモニア製造装置1を用いた場合の100℃加熱の効果を知ることができる。加熱によって式4の還元反応速度が増加し、還元効率が高くなったと考えられる。加熱は、還元効率を8%上昇させた。
番号1のアンモニア製造条件での還元効率と番号3のアンモニア製造条件での還元効率とを比較することにより、アンモニア製造装置1を用いた場合の光照射の効果を知ることができる。光照射による光触媒効果によってチタン粒子が式3におけるHを多量に放出するため、式4の還元反応速度が増加し、還元効率が高くなったと考えられる。光照射は、還元効率を26%上昇させた。
本実施例においては、番号4のアンモニア製造条件を適用した場合、すなわち硝酸水溶液と水酸化チタンの混合液を100℃に加熱しながら低圧水銀ランプの光を照射した場合に、最も効率よくアンモニアを製造することができた。加熱によって還元反応の速度が増加し、しかも光照射によってチタンから放出されるH量が増加した両方の効果が加わることで、還元効率は43%となり、加熱も光照射も行わない場合の12%と比較して31%上昇した。
反応器2内に供給した硝酸水溶液と水酸化チタンとを攪拌機10で混合し、常温(15℃)で光照射なしに3時間還元反応を行った場合であっても、従来知られているアンモニア製造方法と比較するとその還元効率は同等以上である。また高価な触媒を使用しないという点で、従来技術(非特許文献1)よりも安価にアンモニアを製造することができるという独自の効果が確認された。
実施例1においては、硝酸濃度を0.05%以上にしたとき、反応器2内の混合液が強酸となって水酸化チタンが溶解した。表1には示さないが、水酸化チタンが溶解した場合、光触媒効果が失われて還元効率は10%に低下した。したがって、実施例1のアンモニア製造装置1を用いた製造方法では、アンモニアを大量に製造するには供給する硝酸水溶液の濃度に限界があることが予想された。
(実施例2)
一度に大量のアンモニアを製造するために、アンモニア製造装置1を用いて、より濃度の高い硝酸を供給可能な製造方法の検討を進めた。本実施例では、硝酸水溶液を硝酸と当量の水酸化ナトリウムで中和すると同時に、塩化チタンと水酸化ナトリウムとを供給して水酸化チタンを製造しながら硝酸の還元反応を行なうアンモニア製造方法を採用した。そのため、チタン供給部6からは塩化チタンを供給することとし、さらに、水酸化ナトリウム供給部7から、硝酸水溶液と中和するための水酸化ナトリウムに加えて、塩化チタンと反応させて水酸化チタンを生成するための水酸化ナトリウムを供給することとした。本実施例では、実施例1と同一の反応器2と、同一の低圧水銀ランプで構成されている光源3とを用いた。
最初に、水酸化チタンを製造しながら還元反応を行なうアンモニア製造方法の有効性を確認するために、実施例1と同じ濃度の硝酸水溶液を用い、同じ反応時間でアンモニアを製造して還元効率を比較した。アンモニア製造装置1の反応器2に、硝酸供給部4から0.05wt%の硝酸水溶液200mLを供給し、チタン供給部6から硝酸と当量の塩化チタンを供給し、水酸化ナトリウム供給部7から硝酸の4倍当量の水酸化ナトリウムを供給した。そして反応器2内に供給した水と硝酸と塩化チタンと水酸化ナトリウムとからなる混合液を、攪拌機10で攪拌混合しつつ加熱手段11によって100℃に加熱して、3.0時間還元する還元工程を行った。この方法でアンモニアを製造した場合の還元効率を、表2の番号5に示す。
実施例1の番号4の製造方法と実施例2の番号5の製造方法とを比較することにより、実施例2における硝酸と塩化チタンと水酸化ナトリウムを同時に供給することの顕著な効果が定量化される。実施例1では、混合液が強酸性となるため、供給した水酸化チタンの一部は硝酸水溶液に溶解して還元剤として充分作用してはいないと考えられる。番号5の製造方法は、番号4の製造方法と比較して還元効率は20%高くなっている。
次に、硝酸濃度と反応時間とが還元効率に与える影響を評価した。アンモニア製造装置1の反応器2に、硝酸供給部4から0.2wt%の硝酸水溶液200mLを供給し、チタン供給部6から硝酸と当量の塩化チタンを供給し、水酸化ナトリウム供給部7から硝酸の4倍当量の水酸化ナトリウムを供給した。そして反応器2内に供給した水と硝酸と塩化チタンと水酸化ナトリウムとからなる混合液を、攪拌機10で攪拌混合しつつ、還元工程を実施した。
常温(15℃)の混合液を1.5時間還元する還元工程を行ってアンモニアを製造した場合の還元効率を、表2の番号6に示す。混合液を加熱手段11によって100℃に加熱しつつ1.5時間還元する還元工程を行ってアンモニアを製造した場合の還元効率を、表2の番号7に示す。混合液を常温に保持し、低圧水銀ランプの光を照射つつ1.5時間還元する還元工程を行ってアンモニアを製造した場合の還元効率を、表2の番号8に示す。混合液を100℃に加熱し且つ低圧水銀ランプの光を照射しながら1.5時間還元反応を行ってアンモニアを製造した場合の還元効率を表2の番号9に示す。
Figure 0006112739

本実施例では、番号9で示した、水と硝酸と塩化チタンと水酸化ナトリウムとからなる混合液を100℃に加熱しながら低圧水銀ランプの光を照射する還元工程によってアンモニアを製造した場合の還元効率が、最も高く77%となった。これは、光照射による効果と、加熱による効果と、硝酸濃度が高くなることによって総括還元反応速度が増加する効果と、の相乗効果によって、実施例1と比較して還元反応時間が1.5時間短くなったにもかかわらず還元効率が高くなったと考えられる。硝酸水溶液と水酸化ナトリウムと塩化チタンとを同時に供給し、硝酸水溶液を硝酸と当量の水酸化ナトリウムで中和しながら、水酸化ナトリウムと塩化チタンの反応によって水酸化チタンを供給することで、供給する硝酸濃度を高め、且つ反応時間を短くした場合であっても、還元効率を高めることができた。すなわち、番号9に示した製造方法は、番号4の製造方法と比較して、還元効率が34%上昇した。
番号6に示したアンモニアの製造方法と番号7に示したアンモニアの製造方法の還元効率を比較することにより、本実施例における加熱の効果を知ることができる。加熱によって式4の還元反応速度が増加し、番号6よりも番号7の製造方法の還元効率が高くなったと考えられる。混合液の100℃の加熱は、15℃で維持した場合よりも還元効率を12%上昇させた。
番号6に示したアンモニアの製造方法と番号8に示したアンモニアの製造方法の還元効率を比較することにより、本実施例における光照射の効果を知ることができる。光照射によって式3に示したHが多量に生成されて、式4の還元反応速度を増加させ、番号6と比較して番号8は還元効率が高くなったと考えられる。光照射は、還元効率を39%上昇させた。
番号6に示したアンモニアの製造方法と番号9に示したアンモニアの製造方法の還元効率を比較することにより、本実施例における加熱と光照射との相乗効果を知ることができる。上記の加熱による還元効率の上昇分12%と、光照射による還元効率の上昇分39%とを合算すると51%の還元効率の上昇効果が期待されるが、番号6と比較して番号9は62%還元効率が高くなり、加熱と光照射との相乗効果が確認された。
しかも、実施例1で原料とした水酸化チタンに比較して、実施例2で原料として用いる塩化チタンは安価であり、硝酸水溶液と水酸化ナトリウムと塩化チタンとを同時に反応器2に供給する製造方法の方が、硝酸水溶液と水酸化チタンとを用いる製造方法よりも原料コストを低減することができ、一層安価にアンモニアを製造することができる。
本実施例において硝酸供給部から供給した硝酸水溶液の濃度は0.2wt%であるが、硝酸の濃度をさらに高めることができる。式1と式2と式4に従って、供給した硝酸のモル濃度の25倍のモル濃度の水酸化ナトリウムと、供給した硝酸のモル濃度の8倍のモル濃度の塩化チタンとを同時に供給すれば良いことは明らかである。
(実施例3)
本実施例では、光源3に中心波長308nmの紫外線を発するエキシマ光源を光源3に用いて、照射する光の波長の影響を検証した。その他のアンモニア製造装置の構成については、実施例1および実施例2のアンモニア製造装置1と同一であり、重複説明を割愛する。反応器2に供給した原料は、0.2wt%の硝酸水溶液200mLと、硝酸と当量の塩化チタンと、硝酸の4倍当量の水酸化ナトリウムであり、これは実施例2で用いた原料と同一である。反応器2内に供給した硝酸水溶液と塩化チタンと水酸化ナトリウムとからなる混合液を攪拌機10で混合しつつ、室温(15℃)で維持して中心波長308nmの光を照射しながら1.5時間還元する還元工程を行った。そして、還元工程の終了後に、還元効率を測定した。その結果を、表3の番号10に示す。
Figure 0006112739

表3の番号10に示したとおり、中心波長308nmの光を照射した還元工程で、還元効率は33%であった。実施例2の番号6に示したように、紫外線を照射しない場合の還元効率が15%であったことから、本実施例により、中心波長308nmの光の照射による効果が確認されたことになる。すなわち、波長308nmを含む紫外線の照射を行った場合、光を照射しない場合よりも有意に効率よくアンモニアを製造できることが確認された。
(実施例4)
本実施例では、還元剤を合成するために使用する塩化チタンと水酸化ナトリウムの供給量を変更して、還元効率に及ぼす当量比の影響を検証した。アンモニア製造装置の構成については、実施例1から3のアンモニア製造装置1と同一であり、重複説明を割愛する。反応器2に供給した原料は、0.2wt%の硝酸水溶液200mLと、硝酸の12倍当量の塩化チタンと、硝酸の37倍当量の水酸化ナトリウムである。この場合、当量比は、1.5である。反応器2内に供給した硝酸水溶液と塩化チタンと水酸化ナトリウムとからなる混合液を攪拌機10で混合しつつ、混合液を100℃に加熱しながら波長254nmを含む紫外線を照射して1.5時間還元する還元工程を行った。そして、還元工程の終了後に、還元効率を測定した。その結果を、表4の番号11に示す。
Figure 0006112739

本実施例のアンモニア製造方法による還元効率(番号11)と実施例2の番号8の還元効率とを比較することにより、還元効率に及ぼす当量比の影響を知ることができる。実施例2での当量比において還元効率は77%であるのに対し、実施例4での還元効率は85%に向上した。したがって、供給した硝酸に対して、当量比以上の塩化チタンと水酸化ナトリウムとを供給することが還元効率の面では好ましいことが確認された。原料コストを考慮することで、最適な当量比を決定することができる。
以上、実施例1から実施例4まで、硝酸からアンモニアを製造する製造装置と製造方法とを検討してきたが、その結果、硝酸水溶液と塩化チタンと水酸化ナトリウムとを混合し、混合液を100℃に加熱しながら波長254nmを含む紫外線を照射することが、高効率で大量にアンモニアを製造する方法として特に好ましいことが判明した。硝酸水溶液と塩化チタンと水酸化ナトリウムを同時に混合することによって,高濃度の硝酸中においても還元剤となる水酸化チタンが生成するため還元反応が進行し、大量のアンモニアを製造することができる。また、特に波長254nmを含む紫外線の光照射によって、水酸化チタンの光触媒効果により、水酸化チタンから還元反応に必要なHを十分に供給でき、混合液中の硝酸イオンを高効率にアンモニウムイオンに還元することができる。さらに、混合液を100℃に加熱することによって、還元反応速度を増し、加熱しない時に比較して、より短時間の反応時間でアンモニウムイオンを生成することができる。
実施例1〜4で説明したアンモニア製造装置及びアンモニア製造方法は、適宜変更が可能である。例えば、硝酸供給部4が供給する硝酸水溶液の濃度を1.0wt%として、水供給部5が供給する水の量によって硝酸水溶液の濃度を最終的に0.05wt%から0.2wt%に調整しても良い。また、アンモニアガス通路9と生成物排出路8とは、同一のアンモニア回収手段と接続されていても良いし、また異なるアンモニア回収手段に接続されていても良い。アンモニア回収手段は、従来知られている方法によって、アンモニアガス通路9から排出されたアンモニアガスと生成物排出路8から排出されたアンモニウムイオンとを液化アンモニアとして回収することができる。
本発明に係るアンモニア製造方法及びアンモニア製造装置は、光源の電源に、再生可能エネルギーによって生産される電力を利用することにより、再生可能エネルギーをアンモニアとして貯留することに利用可能である。
1 アンモニア製造装置
2 反応器
3 光源
4 硝酸供給部
5 水供給部
6 チタン供給部
7 水酸化ナトリウム供給部
8 生成物排出路
9 アンモニアガス通路
10 攪拌機
11 加熱手段
12 電源
10 攪拌機
11 加熱手段

Claims (6)

  1. 硝酸からアンモニアを製造するアンモニア製造方法であって、
    硝酸水溶液と水酸化チタンとを供給して混合液とする原料供給工程と、
    水酸化チタンの還元作用によって硝酸からアンモニアを製造する還元工程と、を備えていることを特徴とするアンモニア製造方法。
  2. 前記還元工程は、前記混合液に波長308nm以下の短波長の光を照射することを特徴とする請求項1に記載のアンモニア製造方法。
  3. 前記還元工程は、前記混合液の温度を15℃以上100℃以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載のアンモニア製造方法。
  4. 前記原料供給工程は、硝酸水溶液と塩化チタンと水酸化ナトリウムとを供給して混合液とし、当該混合液中で塩化チタンおよび水酸化ナトリウムから水酸化チタンを生成して硝酸に供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアンモニア製造方法。
  5. 硝酸からアンモニアを製造するアンモニア製造装置であって、
    反応器と、
    硝酸供給部と、
    チタン供給部と、
    波長308nm以下の短波長の光を発生する光源と、
    を備えていることを特徴とするアンモニア製造装置。
  6. 前記チタン供給部が塩化チタンと水酸化ナトリウムとを供給し、前記反応器内で塩化チタンと水酸化ナトリウムとを反応させて水酸化チタンを供給することを特徴とする請求項5記載のアンモニア製造装置。
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