(1)第1実施形態
本発明の第1の実施形態は、電界効果型トランジスタを提供する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るトランジスタの構成を示す部分垂直断面図である。図2は、図1に示すトランジスタのゲート付近の電界を示す部分拡大垂直断面図である。
(構成)
本発明の第1の実施形態に係る電界効果型トランジスタは、図1に示すように、シリコン基板1上に設けられる。具体的には、フィールド酸化膜2がシリコン基板1上に選択的に設けられる。該フィールド酸化膜2は、シリコン基板1の活性領域を画定する。該活性領域には、P型ウェル4が設けられる。該電界効果型トランジスタは、該P型ウェル4に設けられる。該電界効果型トランジスタは、ゲート絶縁膜3と、該ゲート絶縁膜3上に設けられるゲート構造体と、該ゲート構造体の両側壁に設けられる第1及び第2のサイドウォール構造体と、ソース領域と、ドレイン領域と、該ソース領域と該ドレイン領域との間に画定されるチャネル領域とを含み得る。
該ドレイン領域は、ドレイン11−1と、該ドレイン11−1の内側であって且つゲート絶縁膜3の直下に延在する第1のエクステンション9−1と、該ドレイン11−1の内側であって且つ該第1のエクステンション9−1の直下に延在する第1のポケット領域8−1と、該ドレイン11−1の直上であってゲート絶縁膜3の外側に延在する第3のシリサイド層14−1とを含み得る。ドレイン11−1の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ドレイン11−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の外側端部及び第1のポケット領域8−1の外側端部と接する。第1のポケット領域8−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の内側端部より更に内側に位置する。ドレイン11−1と第1のエクステンション9−1及び第1のポケット領域8−1との境界は、第1のサイドウォール構造体の外側端部より僅かに内側に位置する。ドレイン11−1の上部内側領域は、ゲート絶縁膜3の側部直下に位置する。第3のシリサイド層14−1の内側端部は、ゲート絶縁膜3の外側端部で画定される。第3のシリサイド層14−1の底部は、ゲート絶縁膜3の底面より下に位置し、第3のシリサイド層14−1の上部は、ゲート絶縁膜3の上面より上に位置する。第3のシリサイド層14−1の上部領域の内側端部は、第1のサイドウォール構造体の下部領域の外側端部に接する。該ドレイン領域を構成するドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1と、第3のシリサイド層14−1とは、実質同電位、即ちドレイン電位を有する。
該ソース領域は、ソース11−2と、該ソース11−2の内側であって且つゲート絶縁膜3の直下に延在する第2のエクステンション9−2と、該ソース11−2の内側であって且つ該第2のエクステンション9−2の直下に延在する第2のポケット領域8−2と、該ソース11−2の直上であってゲート絶縁膜3の外側に延在する第4のシリサイド層14−2とを含み得る。ソース11−2の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ソース11−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の外側端部及び第2のポケット領域8−2の外側端部と接する。第2のポケット領域8−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の内側端部より更に内側に位置する。ソース11−2と第2のエクステンション9−2及び第2のポケット領域8−2との境界は、第2のサイドウォール構造体の外側端部より僅かに内側に位置する。ソース11−2の上部内側領域は、ゲート絶縁膜3の側部直下に位置する。第4のシリサイド層14−2の内側端部は、ゲート絶縁膜3の外側端部で画定される。第4のシリサイド層14−2の底部は、ゲート絶縁膜3の底面より下に位置し、第4のシリサイド層14−2の上部は、ゲート絶縁膜3の上面より上に位置する。第4のシリサイド層14−2の上部領域の内側端部は、第2のサイドウォール構造体の下部領域の外側端部に接する。該ソース領域を構成するソース11−2と、第2のエクステンション9−2と、第4のシリサイド層14−2とは、実質同電位、即ちソース電位を有する。
前述のゲート構造体は、ゲート絶縁膜3上に延在するゲート5と、該ゲート5上に延在する第5のシリサイド層15とを含み得る。該ゲート構造体を構成するゲート5と第5のシリサイド層15とは、実質同電位、即ちゲート電位を有する。
前述した第1のサイドウォール構造体は、ゲート絶縁膜3上に設けられる。この場合、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成する。また、この構成に代えて、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみに形成し、該第1のサイドウォール構造体の下には、ゲート絶縁膜3と異なる絶縁体を延在させてもよい。このゲート絶縁膜3と異なる絶縁体は、ゲート5とオーバーラップするようゲート5の第1の側壁近傍領域の下に延在させてもよい。即ち、第1のサイドウォール構造体は、第1の絶縁性層構造体上に設けられればよい。ここで、該第1の絶縁性層構造体は、ゲート5の外側に延在するゲート絶縁膜3の一部で構成してもよく、或いはこれに代えてゲート絶縁膜3と異なる絶縁体で構成してもよく、或いは、これらの組み合わせで構成してもよい。該組み合わせで構成する場合、多層構造としてもよく、或いはゲート5に近い領域にゲート絶縁膜3を延在させ、ゲート5から遠い領域にはゲート絶縁膜3と異なる絶縁膜を設けてもよい。以下、ゲート絶縁膜3がゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成され、前述した第1のサイドウォール構造体が、ゲート絶縁膜3上に設けられる場合を典型例として説明するが、前述したように、必ずしもこの構成に限定する必要はない。
該第1のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第1の側壁に接する第1の絶縁性サイドウォール構造体と、該第1の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、第3のシリサイド層14−1の上部領域の内側端部に接する第1の導電性サイドウォール構造体とを含み得る。
該第1の導電性サイドウォール構造体は、該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共に前述のドレイン領域の一部に接することで、該ドレイン領域を構成するドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1と、第3のシリサイド層14−1と実質同電位、即ちドレインと実質同一の電位を有する。該第1の導電性サイドウォール構造体は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1と第1のシリサイド層13−1とを含み得る。該第1のゲート側壁導電膜10−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第1の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、第3のシリサイド層14−1の上部領域の内側端部に接する。一方、第1のシリサイド層13−1は、第1のゲート側壁導電膜10−1によりゲート絶縁膜3から離間され、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1及び該第1の絶縁性サイドウォール構造体により、ゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、第3のシリサイド層14−1の上部領域の内側端部に接する。
該第1の絶縁性サイドウォール構造体は、第1のゲート側壁絶縁膜6−1と、第3のゲート側壁絶縁膜7−1と、第1の絶縁性カバー膜12―1とを含み得る。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の第1の側壁に接する。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側底部に接する外側底部を有する。該第3のゲート側壁絶縁膜7−1は、該第1のゲート側壁絶縁膜6−1により該ゲート構造体から離間されると共に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側側部に接する。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1と該第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせは、該第1の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。第1の絶縁性カバー膜12―1は、該第1のゲート側壁絶縁膜6−1と該第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせの上部及び該第1の導電性サイドウォール構造体の上部に亘り延在する。
前述した第2のサイドウォール構造体は、ゲート絶縁膜3上に設けられる。この場合、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成する。また、この構成に代えて、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみに形成し、該第2のサイドウォール構造体の下には、ゲート絶縁膜3と異なる絶縁体を延在させてもよい。このゲート絶縁膜3と異なる絶縁体は、ゲート5とオーバーラップするようゲート5の第2の側壁近傍領域の下に延在させてもよい。即ち、第2のサイドウォール構造体は、第2の絶縁性層構造体上に設けられればよい。ここで、該第2の絶縁性層構造体は、ゲート5の外側に延在するゲート絶縁膜3の一部で構成してもよく、或いはこれに代えてゲート絶縁膜3と異なる絶縁体で構成してもよく、或いは、これらの組み合わせで構成してもよい。該組み合わせで構成する場合、多層構造としてもよく、或いはゲート5に近い領域にゲート絶縁膜3を延在させ、ゲート5から遠い領域にはゲート絶縁膜3と異なる絶縁膜を設けてもよい。以下、ゲート絶縁膜3がゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成され、前述した第2のサイドウォール構造体が、ゲート絶縁膜3上に設けられる場合を典型例として説明するが、前述したように、必ずしもこの構成に限定する必要はない。
該第2のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第2の側壁に接する第2の絶縁性サイドウォール構造体と、該第2の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、第4のシリサイド層14−2の上部領域の内側端部に接する第2の導電性サイドウォール構造体とを含み得る。
該第2の導電性サイドウォール構造体は、該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共に前述のソース領域の一部に接することで、該ソース領域を構成するソース11−2と、第2のエクステンション9−2と、第4のシリサイド層14−2と実質同電位、即ちソースと実質同一の電位を有する。該第2の導電性サイドウォール構造体は、更に、第2のソース側壁導電膜10−2と第2のシリサイド層13−2とを含み得る。該第2のゲート側壁導電膜10−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第2の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、第4のシリサイド層14−2の上部領域の内側端部に接する。一方、第2のシリサイド層13−2は、第2のゲート側壁導電膜10−2によりゲート絶縁膜3から離間され、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2及び該第2の絶縁性サイドウォール構造体により、ゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、第4のシリサイド層14−2の上部領域の内側端部に接する。
該第2の絶縁性サイドウォール構造体は、第2のゲート側壁絶縁膜6−2と、第4のゲート側壁絶縁膜7−2と、第2の絶縁性カバー膜12―2とを含み得る。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の第2の側壁に接する。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側底部に接する外側底部を有する。該第4のゲート側壁絶縁膜7−2は、該第2のゲート側壁絶縁膜6−2により該ゲート構造体から離間されると共に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側側部に接する。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2と該第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせは、該第2の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。第2の絶縁性カバー膜12―2は、該第2のゲート側壁絶縁膜6−2と該第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせの上部及び該第2の導電性サイドウォール構造体の上部に亘り延在する。
図2は、図1に示すトランジスタのゲート付近の電界を示す部分拡大垂直断面図である。ここで、ソースが0V、ゲートが0V、ドレインが1.5Vの電位をそれぞれとった場合のゲート付近の電界を示す。図2に示すように、第1のエクステンション9−1からゲート絶縁膜3を介してゲート5へ走る電界が生じるだけでなく、第1の導電性サイドウォール構造体から第1の絶縁性サイドウォール構造体を介してゲート構造体の第1の側面へ走る電界も生じる。即ち、第1の導電性サイドウォール構造体から第1の絶縁性サイドウォール構造体を介してゲート構造体の第1の側面へ走る電界が生じることで、第1のエクステンション9−1からゲート絶縁膜3を介してゲート5へ走る電界の集中が緩和される。換言すれば、第1の導電性サイドウォール構造体を含む第1のサイドウォール構造体の存在は、ゲート−ドレイン間の電界集中を緩和する。
バンド間トンネル電流は、ゲート−ドレイン間の電界集中が第1のエクステンション9−1内に急峻なバンドの曲がりを形成することにより起きる。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、前述した急峻なバンドの曲がりは起こらない。このため、前述した第1のサイドウォール構造体は、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
更に、前述した第1のエクステンション9−1の内側端部は、該ゲート構造体の第1の側壁と整合するか、或いは、僅かにオーバーラップ或いはオフセットしてもよい。該オーバーラップ或いはオフセットの量は、特に限定するものではないが、好ましくは、±10nmを超えないことが好ましい。即ち、前述した第1のエクステンション9−1と前述したゲート5との実質的に大きなオーバーラップ或いはオフセットは形成されない。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、ゲート5が高電位をとると、第1のエクステンション9−1の上部領域に蓄積層を形成し、且つ、ゲート5の下方のチャネル領域に反転層を形成する。このため、実質的に大きなオーバーラップ構造を有していないにもかかわらず、チャネル領域及び第1のエクステンション9−1での抵抗増大は発生しない。
従って、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含む前述した第1のサイドウォール構造体は、トランジスタの駆動能力を低下させることなく、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
以下、前述した構造の実現方法につき具体的に説明する。
前述したゲート構造体は、ゲート5と第5のシリサイド層15とを含み得るが、必ずしもこの構成に限定するものではない。前述したゲート構造体は、ゲートとしての役目を果たすことが可能な構成であればよい。前述したゲート構造体を、ゲート5と第5のシリサイド層15とで構成する場合、典型的には、以下のように構成することが可能である。ゲート5は、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ポリシリコン膜の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、150nmであってもよい。ゲート長さは、特に限定するものではないが、典型的には、130nmであってもよい。ゲート幅は、特に限定するものではない。第5のシリサイド層15は、金属シリサイド化反応により形成することが可能である。ポリシリコン膜のシリコン原子とシリサイド反応させる金属としては、典型的には、高融点金属であってもよく、例えば、Co(コバルト)であってもよい。コバルトシリサイド層をポリシリコン層上に形成する場合、その膜厚は、特に限定するものではないが、例えば、150nmであってもよい。第5のシリサイド層15のゲート長さ方向及びゲート幅方向の寸法は、ゲート5のそれと同じである。
前述のゲート絶縁膜3は、絶縁体で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、例えば、SiON(シリコン酸窒化物)で構成することが可能である。ゲート絶縁膜3の膜厚は、特に限定するものではないが、例えば、20Åであってもよい。
第1のサイドウォール構造体は、第1の絶縁性サイドウォール構造体と第1の導電性サイドウォール構造体とからなる。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、膜構造を特に限定するものではなく、第1の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁するものであればよい。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、例えば、第1のゲート側壁絶縁膜6−1と第3のゲート側壁絶縁膜7−1と第1の絶縁性カバー膜12―1とから構成し得る。第1のゲート側壁絶縁膜6−1と第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせは、オフセットスペーサーとしての役割を果たす。
第1の絶縁性サイドウォール構造体は、絶縁体であれば特に限定するものではないが、典型的にはシリコン窒化物で構成することが可能である。第1の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、第1の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁することができればよく、特に限定するものでは無いが、典型的には20nmであってもよい。更に、第1の絶縁性サイドウォール構造体の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、前述のゲート構造体のゲート幅と同一の寸法にすることが可能である。第1の絶縁性カバー膜12―1は、絶縁体で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、例えば、SiN(シリコン窒化物)で構成することが可能である。第1の絶縁性カバー膜12―1の膜厚は、特に限定するものではないが、例えば、30nmであってもよい。第1の絶縁性カバー膜12―1の幅、即ちゲート長さ方向の寸法は、第1のサイドウォール構造体のゲート長さ方向の寸法と同一であることが好ましい。
第1の導電性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第1の導電性サイドウォール構造体は、例えば、第1のゲート側壁導電膜10−1と第1のシリサイド層13−1とで構成し得る。第1のゲート側壁導電膜10−1は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、2E20[1/cm3]であってもよい。第1のゲート側壁導電膜10−1の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第1のゲート側壁導電膜10−1の幅、即ちゲート幅方向の寸法は、前述したゲート構造体のゲート幅と同一であることが好ましい。第1のシリサイド層13−1は、金属シリサイド化反応により形成することが可能である。ポリシリコン膜のシリコン原子とシリサイド反応させる金属としては、典型的には、高融点金属であってもよく、例えば、Co(コバルト)であってもよい。コバルトシリサイド層をポリシリコン層上に形成する場合、その膜厚は、特に限定するものではないが、例えば、20nmであってもよい。第1のシリサイド層13−1の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、ゲート構造体のゲート幅と同一であってもよい。
第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート電位に追従せず、ドレイン電位を追従すればよい。第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、必ずしも、ドレイン電位と同一である必要はない。しかし、典型的には、第1の導電性サイドウォール構造体は、ドレイン11−1と実質同電位をとるよう構成することが可能であり、このため、第1の導電性サイドウォール構造体を第3のシリサイド層14−1に接触させる構造とした。
第2のサイドウォール構造体は、前述した第1のサイドウォール構造体と同一の構造でもよく、或いは、異なる構造でもよい。前述したように、ゲートとドレインとの間の電界集中を緩和することが、本発明に係るトランジスタにとって重要となる。そこで、ドレイン側に位置する第1のサイドウォール構造体が、第1の導電性サイドウォール構造体を含み、更に、該第1の導電性サイドウォール構造体が、ゲートから電気的に絶縁され且つドレインと電気的に結合されることで、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位が、ゲート電位を追従せずに、ドレイン電位を追従するようにすればよい。従って、ソース側に位置する第2のサイドウォール構造体に、このような要求がない場合には、必ずしも、前述した第1の導電性サイドウォール構造体と同一の構造にする必要はない。例えば、第2のサイドウォール構造体を既知のサイドウォール構造体で構成することが可能である。また、第2のサイドウォール構造体を前述した第1のサイドウォール構造体と類似の構造、即ち、層構造は同一であるが、各膜厚や物質等が異なる構成とすることも可能である。しかし、第2のサイドウォール構造体が第1のサイドウォール構造体と同一の構造とすることで、トランジスタの製造工程の数を低減することが容易になる。以下、第2のサイドウォール構造体が第1のサイドウォール構造体と同一の構造とる場合につき説明する。
第2のサイドウォール構造体は、第2の絶縁性サイドウォール構造体と第2の導電性サイドウォール構造体とからなる。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、膜構造を特に限定するものではなく、第2の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁するものであればよい。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、例えば、第2のゲート側壁絶縁膜6−2と第4のゲート側壁絶縁膜7−2と第2の絶縁性カバー膜12―2とから構成し得る。第2のゲート側壁絶縁膜6−2と第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせは、オフセットスペーサーとしての役割を果たす。
第2の絶縁性サイドウォール構造体は、絶縁体であれば特に限定するものではないが、典型的にはシリコン窒化物で構成することが可能である。第2の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、第2の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁することができればよく、特に限定するものでは無いが、典型的には20nmであってもよい。更に、第2の絶縁性サイドウォール構造体の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、前述のゲート構造体のゲート幅と同一の寸法にすることが可能である。第2の絶縁性カバー膜12―2は、絶縁体で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、例えば、SiN(シリコン窒化物)で構成することが可能である。第2の絶縁性カバー膜12―2の膜厚は、特に限定するものではないが、例えば、30nmであってもよい。第2の絶縁性カバー膜12―2の幅、即ちゲート長さ方向の寸法は、第2のサイドウォール構造体のゲート長さ方向の寸法と同一であることが好ましい。
第2の導電性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第2の導電性サイドウォール構造体は、例えば、第2のゲート側壁導電膜10−2と第2のシリサイド層13−2とで構成し得る。第2のゲート側壁導電膜10−2は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、2E20[1/cm3]であってもよい。第2のゲート側壁導電膜10−2の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第2のゲート側壁導電膜10−2の幅、即ちゲート幅方向の寸法は、前述したゲート構造体のゲート幅と同一であることが好ましい。第2のシリサイド層13−2は、金属シリサイド化反応により形成することが可能である。ポリシリコン膜のシリコン原子とシリサイド反応させる金属としては、典型的には、高融点金属であってもよく、例えば、Co(コバルト)であってもよい。コバルトシリサイド層をポリシリコン層上に形成する場合、その膜厚は、特に限定するものではないが、例えば、20nmであってもよい。第2のシリサイド層13−2の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、ゲート構造体のゲート幅と同一であってもよい。
第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート電位に追従せず、ソース電位を追従すればよい。第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、必ずしも、ソース電位と同一である必要はない。しかし、典型的には、第2の導電性サイドウォール構造体は、ソース11−2と実質同電位をとるよう構成することが可能であり、このため、第2の導電性サイドウォール構造体を第4のシリサイド層14−2に接触させる構造とした。
前述したように、ドレイン領域は、ドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1と、第1のポケット領域8−1と、第3のシリサイド層14−1とで構成し得る。ドレイン11−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該ドレイン11−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、ドレイン11−1は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ドレイン11−1の深さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。ドレイン11−1上に形成される第3のシリサイド層14−1は、金属シリサイド化反応により形成することが可能である。ポリシリコン膜のシリコン原子とシリサイド反応させる金属としては、典型的には、高融点金属であってもよく、例えば、Co(コバルト)であってもよい。第3のシリサイド層14−1の上部内側側部が第1の導電性サイドウォール構造体の下部外側側部に接する必要があるため、第3のシリサイド層14−1の上部領域が、ゲート絶縁膜3より高いレベルとなるように、第3のシリサイド層14−1の厚さを決める必要がある。第3のシリサイド層14−1の膜厚は、例えば、100nmであってもよい。
第1のエクステンション9−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第1のエクステンション9−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、第1のエクステンション9−1は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、ドレイン11−1の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E20[1/cm3]であってもよい。第1のエクステンション9−1の深さは、ドレイン11−1の深さより浅ければ特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第1のエクステンション9−1の外側端部は、ドレイン11−1の内側端部で画定される。第1のエクステンション9−1の内側端部は、ゲート構造体の第1の側壁にほぼ整合し、該第1のエクステンション9−1がゲート5に対して大きくオーバーラップもオフセットもしないことが好ましい。具体的には、第1のエクステンション9−1の内側端部は、ゲート構造体の第1の側壁に対して±10nmの誤差で整合することが好ましい。
第1のポケット領域8−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第1のポケット領域8−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、P型不純物で構成することが可能である。即ち、第1のポケット領域8−1は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、第1のエクステンション9−1の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E18[1/cm3]であってもよい。第1のポケット領域8−1の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。第1のポケット領域8−1の外側端部は、ドレイン11−1の内側端部で画定される。第1のポケット領域8−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の内側端部より内側且つゲート構造体の第1の側壁より内側に位置することが好ましいが、必ずしもその必要はない。
ソース領域は、ドレイン領域と同一の構造でもよく、或いは異なる構造でもよい。前述したように、ゲートとドレインとの間のバンド間トンネル電流を抑制することが、本発明に係るトランジスタにとって重要となる。従って、ソース領域に、このような要求がない場合には、必ずしも、前述したドレイン領域と同一の構造にする必要はない。例えば、ソース領域を既知の構成とすることが可能である。また、ソース領域を前述したドレイン領域と類似の構造、即ち、層構造は同一であるが、各層厚や不純物の濃度等が異なる構成とすることも可能である。しかし、ソース領域がドレイン領域と同一の構造とすることで、トランジスタの製造工程の数を低減することが容易になる。以下、ソース領域がドレイン領域と同一の構造とる場合につき説明する。
前述したように、ソース領域は、ソース11−2と、第2のエクステンション9−2と、第2のポケット領域8−2と、第4のシリサイド層14−2とで構成し得る。ソース11−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該ソース11−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、ソース11−2は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ソース11−2の深さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。ソース11−2上に形成される第4のシリサイド層14−2は、金属シリサイド化反応により形成することが可能である。ポリシリコン膜のシリコン原子とシリサイド反応させる金属としては、典型的には、高融点金属であってもよく、例えば、Co(コバルト)であってもよい。第4のシリサイド層14−2の上部内側側部が第2の導電性サイドウォール構造体の下部外側側部に接する必要があるため、第4のシリサイド層14−2の上部領域が、ゲート絶縁膜3より高いレベルとなるように、第4のシリサイド層14−2の厚さを決める必要がある。第4のシリサイド層14−2の膜厚は、例えば、100nmであってもよい。
第2のエクステンション9−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第2のエクステンション9−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、第2のエクステンション9−2は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、ソース11−2の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E20[1/cm3]であってもよい。第2のエクステンション9−2の深さは、ソース11−2の深さより浅ければ特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第2のエクステンション9−2の外側端部は、ソース11−2の内側端部で画定される。第2のエクステンション9−2の内側端部は、ゲート構造体の第2の側壁にほぼ整合し、該第2のエクステンション9−2がゲート5に対して大きくオーバーラップもオフセットもしないことが好ましい。具体的には、第2のエクステンション9−2の内側端部は、ゲート構造体の第2の側壁に対して±10nmの誤差で整合することが好ましい。
第2のポケット領域8−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第2のポケット領域8−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、P型不純物で構成することが可能である。即ち、第2のポケット領域8−2は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、第2のエクステンション9−2の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E18[1/cm3]であってもよい。第2のポケット領域8−2の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。第2のポケット領域8−2の外側端部は、ソース11−2の内側端部で画定される。第2のポケット領域8−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の内側端部より内側且つゲート構造体の第2の側壁より内側に位置することが好ましいが、必ずしもその必要はない。
シリコン基板1中に形成されるP型ウェル4は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。濃度は、特に限定されるものではないが、典型的には、5E17[1/cm3]であってもよい。
(効果)
バンド間トンネル電流は、ゲート−ドレイン間の電界が、第1のエクステンション9−1内に急峻なバンドの曲がりを形成することにより起きる。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、前述した急峻なバンドの曲がりは起こらない。このため、前述した第1のサイドウォール構造体は、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
更に、前述した第1のエクステンション9−1の内側端部は、該ゲート構造体の第1の側壁と整合するか、或いは、僅かにオーバーラップ或いはオフセットしてもよい。該オーバーラップ或いはオフセットの量は、特に限定するものではないが、好ましくは、±10nmを超えないことが好ましい。即ち、前述した第1のエクステンション9−1と前述したゲート5との実質的に大きなオーバーラップ或いはオフセットは形成されない。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、ゲート5が高電位をとると、第1のエクステンション9−1の上部領域に蓄積層を形成し、且つ、ゲート5の下方のチャネル領域に反転層を形成する。このため、実質的に大きなオーバーラップ構造を有していないにもかかわらず、チャネル領域及び第1のエクステンション9−1での抵抗増大は発生しない。
従って、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含む前述した第1のサイドウォール構造体は、トランジスタの駆動能力を低下させることなく、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
(製造方法)
図3乃至図8は、本発明の第1の実施形態に係るトランジスタの一連の製造工程を示す部分垂直断面図である。図1及び図2に示したトランジスタの製造方法につき、図を参照しながら、以下説明する。
図3(a)に示すように、シリコン基板1の表面を酸化することで、該表面上に膜厚10nmのパッド酸化膜51を形成する。
図3(b)に示すように、パッド酸化膜51上に既知のデポジション方法で窒化膜を堆積し、該窒化膜を既知の方法でパターニングすることで、パッド酸化膜51上に選択的に窒化膜パターン52を形成する。
図3(c)に示すように、窒化膜パターン52をマスクとして使用し、既知のLOCOS酸化(Local Oxidation Of Silicon)を行うことで、シリコン基板1の表面に選択的にフィールド酸化膜2を形成する。
図3(d)に示すように、窒化膜パターン52とパッド酸化膜51とを既知のドライエッチングにより除去し、フィールド酸化膜2で覆われていないシリコン基板1の表面を露出させる。
図4(a)に示すように、シリコン基板1の露出表面を熱酸化することにより、膜厚2nmのゲート酸化膜3を該露出表面上に形成する。
図4(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2を覆うと共に、ゲート酸化膜3上にウインドウを有するレジストパターン53を形成する。
図4(c)に示すように、該レジストパターン53をマスクとして使用して、選択的にイオン注入を行うことで、シリコン基板1の上部領域に選択的にP型ウェル4を形成する。該イオン注入は、基板面に対し垂直方向から、P型イオン種としてBF2を使用して、加速エネルギー80KeV、ドーズ量5E12[1/cm2]の条件の下で行うことができる。イオン種BF2は、ゲート酸化膜3を貫通してシリコン基板1の上部領域に打ち込まれる。この場合、P型ウェル4の深さは、200nmとなる。
図4(d)に示すように、該レジストパターン53を既知の方法により除去する。
図5(a)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚1500Åのポリシリコン膜54をゲート酸化膜3上及びフィールド酸化膜2上に亘り堆積する。
図5(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、ポリシリコン膜54を覆うと共に、ゲート酸化膜3の上方にウインドウを有するレジストパターン55を形成する。該レジストパターン55をマスクとして使用して、N型イオン種としてP(リン)を選択的にポリシリコン膜54にイオン注入する。該イオン注入は、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー15KeV、ドーズ量2E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、ゲート酸化膜3上に延在するポリシリコン膜54にN型不純物を導入する。
図5(c)に示すように、該レジストパターン55を除去し、その後、リソグラフィー技術により、新たなレジストパターンをポリシリコン膜54上に形成する。その後、該新たなレジストパターンをマスクとして使用して、ポリシリコン膜54をパターニングすることで、不純物が導入されたポリシリコンからなるゲート5を、ゲート酸化膜3上に選択的に形成する。ポリシリコン膜54のパターニングは、ドライエッチングを使用して行うことが可能である。ゲートの長さと幅は、前述した通りである。具体的には、ゲート長さは、特に限定する必要はないが、典型的には100nmであってもよい。また、ゲート幅は、特に限定する必要はない。
図5(d)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚20nmの酸化膜56を、ゲート5の上面及び側壁、更に、ゲート絶縁膜3上、並びに、フィールド酸化膜2上に形成する。
図6(a)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚10nmの窒化膜を酸化膜56上に堆積する。その後、ドライエッチングにより、窒化膜と酸化膜56とをエッチングし、ゲート5の上面及び側壁のみ残すことで、ゲート5の上面及び側壁のみに延在するゲート側壁絶縁膜6と、ゲート5の側壁のみに延在する第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2とを選択的に形成する。ここで、ゲート5の側壁に位置するゲート側壁絶縁膜6と第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2との組み合わせは、サイドウォールスペーサーとしての役割を果たす。
図6(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2上に選択的にレジストパターン57を形成する。ここで、レジストパターン57の端部とサイドウォールスペーサーとの距離を0.5μmにする。その後、該レジストパターン57及びゲート5、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2をマスクとして使用して、基板面に対し斜め方向から、P型イオン種としてBF2(二弗化ホウ素)を選択的にP型ウェル4にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、シリコン基板1を回転させながら、基板面に30度の傾斜角度で、加速エネルギー80KeV、ドーズ量2E13[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、P型ウェル4に、底部の深さが200nm且つ不純物濃度が1E18[1/cm3]の第1及び第2のポケット領域8−1、8−2を選択的に形成する。この段階では、イオン注入された不純物の活性化のための熱処理は行わない。第1及び第2のポケット領域8−1、8−2は、ゲート絶縁膜3から離間した深い領域において、フィールド酸化膜2から内側に向かって延在する。第1及び第2のポケット領域8−1、8−2の内側端部は、イオンの斜め打ち込みにより形成するので、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2より内側に位置する。
図6(c)に示すように、前述のレジストパターン57及びゲート5、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2をマスクとして再度使用して、基板面に対し垂直方向から、N型イオン種としてAs(砒素)を選択的にP型ウェル4にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー5KeV、ドーズ量1E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、P型ウェル4に、底部の深さが50nm且つ不純物濃度が2E20[1/cm3]の第1及び第2のエクステンション9−1、9−2を選択的に形成する。第1及び第2のエクステンション9−1、9−2は、第1及び第2のポケット領域8−1、8−2上、且つゲート酸化膜3下に延在する。第1及び第2のエクステンション9−1、9−2は、イオンの垂直方向での打ち込みにより形成するので、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に概ね自己整合する。具体的には、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に±10nmの誤差で整合する。換言すると、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に自己整合するか、或いは、10nm以内の量だけオーバーラップするか、或いは、10nm以内の量だけオフセットする。この段階では、イオン注入された不純物の活性化のための熱処理は行わない。その後、レジストパターン57を既知の方法で除去する。
図6(d)に示すように、フィールド酸化膜2、ゲート絶縁膜3、ゲート側壁絶縁膜6、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2上に、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚50nmのポリシリコン膜を堆積する。その後、該ポリシリコン膜をドライエッチングにより選択的に除去し、ゲート5の側壁に位置すると共に、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2に接する部分のみ残し、更に、オーバーエッチすることで、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2を形成する。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2は、ゲート酸化膜3上であって且つゲート5の側壁近傍に位置すると共に、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2に接する。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2のゲート長さ方向における寸法は、50nmである。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の上面のレベルは、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2の上面レベルより僅かに低い。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2は、この時点では、不純物が導入されていないポリシリコンで構成される。
図7(a)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2上に選択的にレジストパターン58を形成する。その後、該レジストパターン58、ゲート5、ゲート側壁絶縁膜6、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2をマスクとして使用して、N型イオン種としてP(リン)を、ゲート5及び第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2、並びに、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2及び第1及び第2のポケット領域8−1、8−2に選択的にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー20KeV、ドーズ量5E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、不純物が導入されたポリシリコンからなるゲート5と、不純物が導入されたポリシリコンからなる第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2とを形成すると共に、P型ウェル4中には、ドレイン11−1及びソース11−2を選択的に形成する。
N型不純物は、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の底部までは達しないので、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の直下のゲート酸化膜3部分は、該イオン注入によりダメージを受けることはない。更に、N型不純物は、ゲート5の底部までは達しないので、ゲート5の直下のゲート酸化膜3部分は、該イオン注入によりダメージを受けることはない。
ドレイン11−1及びソース11−2の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ドレイン11−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の外側端部及び第1のポケット領域8−1の外側端部と境界を接している。ソース11−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の外側端部及び第2のポケット領域8−2の外側端部と境界を接している。前述したように、ドレイン11−1及びソース11−2の不純物濃度は、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の不純物濃度より高い。更に、ドレイン11−1及びソース11−2は、P型不純物が導入された第1及び第2のポケット領域8−1、8−2の外側領域及びN型不純物が導入された第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の外側領域に選択的にN型不純物を導入して形成したため、ドレイン11−1及びソース11−2は、上部領域で濃度が高く、下部領域で濃度が低くなる。該イオン注入の後、レジストパターン58を既知の方法により除去する。
その後、前述のイオン注入工程で導入されたイオン、即ち、第1及び第2のポケット領域8−1、8−2中に導入されたP型不純物、並びに、ゲート5中、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2中、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2中、ドレイン11−1中及びソース11−2中に導入されたN型不純物を活性化するため、熱処理を行う。該熱処理は、RTA(Rapid Thermal Anneal)で行うことが可能である。具体的には、RTAは、1000℃の温度で10秒間行う。
図7(b)に示すように、ゲート側壁絶縁膜6上、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2上、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2上、ゲート酸化膜3上、及びフィールド酸化膜2上に、シリコン窒化膜59を、既知の方法により堆積する。
図7(c)に示すように、既知のエッチング方法により、シリコン窒化膜59を選択的に除去し、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2上のみ残すことで、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2上にそれぞれ延在するシリコン窒化膜からなる第1及び第2の絶縁性カバー膜12―1、12−2を形成する。
図7(d)に示すように、シリコン窒化膜からなる第1及び第2の絶縁性カバー膜12―1、12−2をマスクとして、ゲート5の上面に延在するゲート側壁絶縁膜6、及びゲート酸化膜3の露出部分を、ウエットエッチングで除去する。結果、ゲート5の上面、並びに、ドレイン11−1の上面及びソース11−2の上面が露出する。ゲート酸化膜3の両端部は、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の外側端部に整合する。更に、ゲート5の側壁、即ち、ゲート5と第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2との間に、第1のゲート側壁絶縁膜6−1と第3のゲート側壁絶縁膜7−1とからなるサイドウォールスペーサー、及び第2のゲート側壁絶縁膜6−2と第4のゲート側壁絶縁膜7−2とからなるサイドウォールスペーサーが形成される。
図8(a)に示すように、ゲート5の露出上面、第1及び第2のゲート側壁絶縁膜6−1、6−2上、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2上、第1及び第2の絶縁性カバー膜12―1、12−2上、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の側面、ドレイン11−1の露出上面、ソース11−2の露出上面、フィールド酸化膜2上に、既知の方法、例えば、スパッタリングによりCo(コバルト)膜60を堆積する。
図8(b)に示すように、熱処理を行い、シリサイド化反応を起こす。該熱処理は、例えば、600℃の温度で30秒の時間行うことで、Co(コバルト)膜60とポリシリコンからなるゲート5の上面との界面、Co(コバルト)膜60とポリシリコンからなる第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の側壁との界面、Co(コバルト)膜60とシリコンからなるドレイン11−1及びソース11−2の界面で、コバルトシリサイド反応を引き起こす。結果、ゲート5の上面、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の側壁、ドレイン11−1及びソース11−2の上面に延在するCo(コバルト)膜60が選択的にシリサイド化される。該熱処理の後、Co(コバルト)膜60の未反応部分のみウエットエッチングにより除去し、シリサイド反応した部分のみ残すことで、ゲート5の上面に第5のシリサイド層15を自己整合的に形成し、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の側壁に第1及び第2のシリサイド層13−1、13−2をそれぞれ形成し、ドレイン11−1及びソース11−2の上面に第3及び第4のシリサイド層14−1、14−2をそれぞれ自己整合的に形成する。ここで、ゲート5と第5のシリサイド層15とは、オーミックコンタクトをとる。更に、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の側壁と第1及び第2のシリサイド層13−1、13−2とは、それぞれ、オーミックコンタクトをとる。更に、ドレイン11−1及びソース11−2の上面と第3及び第4のシリサイド層14−1、14−2とは、それぞれ、オーミックコンタクトをとる。
前述した製造工程の結果得られる第1のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第1の側壁に接する第1の絶縁性サイドウォール構造体と、該第1の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、第3のシリサイド層14−1の上部領域の内側端部に接する第1の導電性サイドウォール構造体とで構成される。
該第1の導電性サイドウォール構造体は、該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共に前述のドレイン領域の一部に接することで、該ドレイン領域を構成するドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1と、第3のシリサイド層14−1と実質同電位、即ちドレインと実質同一の電位を有する。該第1の導電性サイドウォール構造体は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1と第1のシリサイド層13−1とを含む。該第1のゲート側壁導電膜10−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第1の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、第3のシリサイド層14−1の上部領域の内側端部に接する。一方、第1のシリサイド層13−1は、第1のゲート側壁導電膜10−1によりゲート絶縁膜3から離間され、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1及び該第1の絶縁性サイドウォール構造体により、ゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、第3のシリサイド層14−1の上部領域の内側端部に接する。
該第1の絶縁性サイドウォール構造体は、第1のゲート側壁絶縁膜6−1と、第3のゲート側壁絶縁膜7−1と、第1の絶縁性カバー膜12―1とを含む。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の第1の側壁に接する。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側底部に接する外側底部を有する。該第3のゲート側壁絶縁膜7−1は、該第1のゲート側壁絶縁膜6−1により該ゲート構造体から離間されると共に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側側部に接する。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1と該第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせは、該第1の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。第1の絶縁性カバー膜12―1は、該第1のゲート側壁絶縁膜6−1と該第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせの上部及び該第1の導電性サイドウォール構造体の上部に亘り延在する。
前述した第2のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第2の側壁に接する第2の絶縁性サイドウォール構造体と、該第2の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、第4のシリサイド層14−2の上部領域の内側端部に接する第2の導電性サイドウォール構造体とを含む。
該第2の導電性サイドウォール構造体は、該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共に前述のソース領域の一部に接することで、該ソース領域を構成するソース11−2と、第2のエクステンション9−2と、第4のシリサイド層14−2と実質同電位、即ちソースと実質同一の電位を有する。該第2の導電性サイドウォール構造体は、更に、第2のソース側壁導電膜10−2と第2のシリサイド層13−2とを含む。該第2のゲート側壁導電膜10−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第2の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、第4のシリサイド層14−2の上部領域の内側端部に接する。一方、第2のシリサイド層13−2は、第2のゲート側壁導電膜10−2によりゲート絶縁膜3から離間され、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2及び該第2の絶縁性サイドウォール構造体により、ゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、第4のシリサイド層14−2の上部領域の内側端部に接する。
該第2の絶縁性サイドウォール構造体は、第2のゲート側壁絶縁膜6−2と、第4のゲート側壁絶縁膜7−2と、第2の絶縁性カバー膜12―2とを含む。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の第2の側壁に接する。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側底部に接する外側底部を有する。該第4のゲート側壁絶縁膜7−2は、該第2のゲート側壁絶縁膜6−2により該ゲート構造体から離間されると共に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側側部に接する。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2と該第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせは、該第2の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。第2の絶縁性カバー膜12―2は、該第2のゲート側壁絶縁膜6−2と該第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせの上部及び該第2の導電性サイドウォール構造体の上部に亘り延在する。
尚、前述した不純物の導電型や、各膜の膜厚や不純物濃度の記載は、あくまで一例であって、必ずしもその記載事項に限定されるものではない。
(変更例1)
前述した電界効果型トランジスタは、シリコン基板1上に選択的に形成したP型ウェル4中に形成したが、例えば、シリコン基板1上に選択的に形成したスーパースティープレトログレードウェル(Super Steep Retrograde Well)中に形成することも可能である。図9は、本発明の第1の実施形態に対する第1の変更例に係るトランジスタの構成を示す部分垂直断面図である。通常のウェルは、実質的に均一の不純物濃度を有するが、スーパースティープレトログレードウェル(Super Steep Retrograde Well)16を形成することで、ゲート絶縁膜3との界面領域16−1で不純物濃度が1E17[1/cm3]と急峻に低下し、それ以外の領域では不純物濃度が1E18[1/cm3]である。該構造を用いることで、トランジスタのオン抵抗を減少させ、駆動能力を向上させることが可能となる。スーパースティープレトログレードウェル(Super Steep Retrograde Well)16の製造方法は、既知であるので、ここでは説明を省略する。
(変更例2)
前述した電界効果型トランジスタは、シリコン基板1上に選択的に形成したP型ウェル4中に形成したが、例えば、SOI(Silicon―On―Insulator)基板上に形成することも可能である。図10は、本発明の第1の実施形態に対する第2の変更例に係るトランジスタの構成を示す部分垂直断面図である。シリコン基板1に埋め込み酸化膜17が設けられ、該埋め込み酸化膜17上に、シリコンからなるSOI(Silicon―On―Insulator)膜18が設けられる。前述した電界効果型トランジスタは、このSOI(Silicon―On―Insulator)膜18に形成される。SOI基板の製造方法は、既知であるので、ここでは説明を省略する。
(変更例3)
前述した電界効果型トランジスタは、シリコン基板1上に選択的に形成したP型ウェル4中に形成したが、例えば、SOS(Silicon―On―Sapphire)基板上に形成することも可能である。図11は、本発明の第1の実施形態に対する第3の変更例に係るトランジスタの構成を示す部分垂直断面図である。サファイア基板19を使用し、該サファイア基板19上に、シリコンからなるSOS(Silicon―On―Sapphire)膜20が設けられる。前述した電界効果型トランジスタは、このSOS(Silicon―On―Sapphire)膜20に形成される。SOS基板の製造方法は、既知であるので、ここでは説明を省略する。
(変更例4)
前述した電界効果型トランジスタは、シリコン基板1上に選択的に形成したP型ウェル4中に形成したが、例えば、SOQ(Silicon―On―Quartz)基板上に形成することも可能である。図12は、本発明の第1の実施形態に対する第4の変更例に係るトランジスタの構成を示す部分垂直断面図である。クォーツ基板21を使用し、該クォーツ基板21上に、シリコンからなるSOQ(Silicon―On―Quartz)膜22が設けられる。前述した電界効果型トランジスタは、このSOQ(Silicon―On―Quartz)膜22に形成される。SOQ基板の製造方法は、既知であるので、ここでは説明を省略する。
(2)第2実施形態
本発明の第2の実施形態は、電界効果型トランジスタを提供する。図13は、本発明の第2の実施形態に係るトランジスタの構成を示す部分垂直断面図である。図14は、図13に示すトランジスタのゲート付近の電界を示す部分拡大垂直断面図である。本実施形態が前述した第1の実施形態と異なる主な点は、ゲート、ドレイン及びソース上にシリサイド層が形成されることなく、サイドウォール構造体に含まれる導電性サイドウォール構造体が、直接ドレイン及びソースの上面に接することである。
(構成)
本発明の第2の実施形態に係る電界効果型トランジスタは、図13に示すように、シリコン基板1上に設けられる。具体的には、フィールド酸化膜2がシリコン基板1上に選択的に設けられる。該フィールド酸化膜2は、シリコン基板1の活性領域を画定する。該活性領域には、P型ウェル4が設けられる。該電界効果型トランジスタは、該P型ウェル4に設けられる。該電界効果型トランジスタは、ゲート絶縁膜3と、該ゲート絶縁膜3上に設けられるゲート構造体と、該ゲート構造体の両側壁に設けられる第1及び第2のサイドウォール構造体と、ソース領域と、ドレイン領域と、該ソース領域と該ドレイン領域との間に画定されるチャネル領域とを含み得る。
該ドレイン領域は、ドレイン11−1と、該ドレイン11−1の内側であって且つゲート絶縁膜3の直下に延在する第1のエクステンション9−1と、該ドレイン11−1の内側であって且つ該第1のエクステンション9−1の直下に延在する第1のポケット領域8−1とを含み得る。ドレイン11−1の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ドレイン11−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の外側端部及び第1のポケット領域8−1の外側端部と接する。第1のポケット領域8−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の内側端部より更に内側に位置する。ドレイン11−1と第1のエクステンション9−1及び第1のポケット領域8−1との境界は、第1のサイドウォール構造体の外側端部より僅かに内側に位置する。ドレイン11−1の上部内側領域は、ゲート絶縁膜3の側部直下に位置する。該ドレイン領域を構成するドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1とは、実質同電位、即ちドレイン電位を有する。
該ソース領域は、ソース11−2と、該ソース11−2の内側であって且つゲート絶縁膜3の直下に延在する第2のエクステンション9−2と、該ソース11−2の内側であって且つ該第2のエクステンション9−2の直下に延在する第2のポケット領域8−2とを含み得る。ソース11−2の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ソース11−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の外側端部及び第2のポケット領域8−2の外側端部と接する。第2のポケット領域8−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の内側端部より更に内側に位置する。ソース11−2と第2のエクステンション9−2及び第2のポケット領域8−2との境界は、第2のサイドウォール構造体の外側端部より僅かに内側に位置する。ソース11−2の上部内側領域は、ゲート絶縁膜3の側部直下に位置する。該ソース領域を構成するソース11−2と、第2のエクステンション9−2とは、実質同電位、即ちソース電位を有する。
前述のゲート構造体は、ゲート絶縁膜3上に延在するゲート5を含み得る。該ゲート構造体を構成するゲート5は、ゲート電位を有する。
前述した第1のサイドウォール構造体は、ゲート絶縁膜3上に設けられる。この場合、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成する。また、この構成に代えて、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみに形成し、該第1のサイドウォール構造体の下には、ゲート絶縁膜3と異なる絶縁体を延在させてもよい。このゲート絶縁膜3と異なる絶縁体は、ゲート5とオーバーラップするようゲート5の第1の側壁近傍領域の下に延在させてもよい。即ち、第1のサイドウォール構造体は、第1の絶縁性層構造体上に設けられればよい。ここで、該第1の絶縁性層構造体は、ゲート5の外側に延在するゲート絶縁膜3の一部で構成してもよく、或いはこれに代えてゲート絶縁膜3と異なる絶縁体で構成してもよく、或いは、これらの組み合わせで構成してもよい。該組み合わせで構成する場合、多層構造としてもよく、或いはゲート5に近い領域にゲート絶縁膜3を延在させ、ゲート5から遠い領域にはゲート絶縁膜3と異なる絶縁膜を設けてもよい。以下、ゲート絶縁膜3がゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成され、前述した第1のサイドウォール構造体が、ゲート絶縁膜3上に設けられる場合を典型例として説明するが、前述したように、必ずしもこの構成に限定する必要はない。
該第1のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第1の側壁に接する第1の絶縁性サイドウォール構造体と、該第1の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、ドレイン11−1の上面に接する第1の導電性サイドウォール構造体とを含む。
該第1の導電性サイドウォール構造体は、該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共に前述のドレイン領域の一部に接することで、該ドレイン領域を構成するドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1と実質同電位、即ちドレインと実質同一の電位を有する。該第1の導電性サイドウォール構造体は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1と第3のゲート側壁導電膜23−1とを含み得る。該第1のゲート側壁導電膜10−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第1の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、第3のゲート側壁導電膜23−1の内側端部に接する。該第3のゲート側壁導電膜23−1は、ドレイン11−1の直上に延在し、該第3のゲート側壁導電膜23−1の底部は、ドレイン11−1の上部と接触する。
該第1の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート側壁絶縁膜6と、第3のゲート側壁絶縁膜7−1とを含み得る。該ゲート側壁絶縁膜6は、ゲート5の上面及び側壁並びにゲート絶縁膜3上に延在する。該ゲート側壁絶縁膜6は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側底部に接する外側底部を有する。該第3のゲート側壁絶縁膜7−1は、該ゲート側壁絶縁膜6により該ゲート構造体から離間されると共に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側側部に接する。該ゲート側壁絶縁膜6と該第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせは、該第1の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。
前述した第2のサイドウォール構造体は、ゲート絶縁膜3上に設けられる。この場合、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成する。また、この構成に代えて、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみに形成し、該第2のサイドウォール構造体の下には、ゲート絶縁膜3と異なる絶縁体を延在させてもよい。このゲート絶縁膜3と異なる絶縁体は、ゲート5とオーバーラップするようゲート5の第2の側壁近傍領域の下に延在させてもよい。即ち、第2のサイドウォール構造体は、第2の絶縁性層構造体上に設けられればよい。ここで、該第2の絶縁性層構造体は、ゲート5の外側に延在するゲート絶縁膜3の一部で構成してもよく、或いはこれに代えてゲート絶縁膜3と異なる絶縁体で構成してもよく、或いは、これらの組み合わせで構成してもよい。該組み合わせで構成する場合、多層構造としてもよく、或いはゲート5に近い領域にゲート絶縁膜3を延在させ、ゲート5から遠い領域にはゲート絶縁膜3と異なる絶縁膜を設けてもよい。以下、ゲート絶縁膜3がゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成され、前述した第2のサイドウォール構造体が、ゲート絶縁膜3上に設けられる場合を典型例として説明するが、前述したように、必ずしもこの構成に限定する必要はない。
該第2のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第2の側壁に接する第2の絶縁性サイドウォール構造体と、該第2の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、ソース11−2の上面に接する第2の導電性サイドウォール構造体とを含む。
該第2の導電性サイドウォール構造体は、該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共に前述のドレイン領域の一部に接することで、該ドレイン領域を構成するソース11−2と、第2のエクステンション9−2と実質同電位、即ちソースと実質同一の電位を有する。該第2の導電性サイドウォール構造体は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2と第4のゲート側壁導電膜23−2とを含み得る。該第2のゲート側壁導電膜10−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第2の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、第4のゲート側壁導電膜23−2の内側端部に接する。該第4のゲート側壁導電膜23−2は、ソース11−2の直上に延在し、該第4のゲート側壁導電膜23−2の底部は、ソース11−2の上部と接触する。
該第2の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート側壁絶縁膜6と、第4のゲート側壁絶縁膜7−2とを含み得る。該ゲート側壁絶縁膜6は、ゲート5の上面及び側壁並びにゲート絶縁膜3上に延在する。該ゲート側壁絶縁膜6は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側底部に接する外側底部を有する。該第4のゲート側壁絶縁膜7−2は、該ゲート側壁絶縁膜6により該ゲート構造体から離間されると共に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側側部に接する。該ゲート側壁絶縁膜6と該第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせは、該第2の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。
図14は、図13に示すトランジスタのゲート付近の電界を示す部分拡大垂直断面図である。ここで、ソースが0V、ゲートが0V、ドレインが1.5Vの電位をそれぞれとった場合のゲート付近の電界を示す。図14に示すように、第1のエクステンション9−1からゲート絶縁膜3を介してゲート5へ走る電界が生じるだけでなく、第1の導電性サイドウォール構造体から第1の絶縁性サイドウォール構造体を介してゲート構造体の第1の側面へ走る電界も生じる。即ち、第1の導電性サイドウォール構造体から第1の絶縁性サイドウォール構造体を介してゲート構造体の第1の側面へ走る電界が生じることで、第1のエクステンション9−1からゲート絶縁膜3を介してゲート5へ走る電界の集中が緩和される。換言すれば、第1の導電性サイドウォール構造体を含む第1のサイドウォール構造体の存在は、ゲート−ドレイン間の電界集中を緩和する。
バンド間トンネル電流は、ゲート−ドレイン間の電界集中が第1のエクステンション9−1内に急峻なバンドの曲がりを形成することにより起きる。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、前述した急峻なバンドの曲がりは起こらない。このため、前述した第1のサイドウォール構造体は、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
更に、前述した第1のエクステンション9−1の内側端部は、該ゲート構造体の第1の側壁と整合するか、或いは、僅かにオーバーラップ或いはオフセットしてもよい。該オーバーラップ或いはオフセットの量は、特に限定するものではないが、好ましくは、±10nmを超えないことが好ましい。即ち、前述した第1のエクステンション9−1と前述したゲート5との実質的に大きなオーバーラップ或いはオフセットは形成されない。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、ゲート5が高電位をとると、第1のエクステンション9−1の上部領域に蓄積層を形成し、且つ、ゲート5の下方のチャネル領域に反転層を形成する。このため、実質的に大きなオーバーラップ構造を有していないにもかかわらず、チャネル領域及び第1のエクステンション9−1での抵抗増大は発生しない。
従って、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含む前述した第1のサイドウォール構造体は、トランジスタの駆動能力を低下させることなく、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
以下、前述した構造の実現方法につき具体的に説明する。
前述したゲート構造体は、単一層構造のゲート5を含み得るが、必ずしもこの構成に限定するものではない。前述したゲート構造体は、ゲートとしての役目を果たすことが可能な構成であればよい。前述したゲート構造体を、単一層構造のゲート5で構成する場合、典型的には、以下のように構成することが可能である。ゲート5は、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ポリシリコン膜の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、150nmであってもよい。ゲート長さは、特に限定するものではないが、典型的には、130nmであってもよい。ゲート幅は、特に限定するものではない。
前述のゲート絶縁膜3は、絶縁体で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、例えば、SiON(シリコン酸窒化物)で構成することが可能である。ゲート絶縁膜3の膜厚は、特に限定するものではないが、例えば、20Åであってもよい。
第1のサイドウォール構造体は、第1の絶縁性サイドウォール構造体と第1の導電性サイドウォール構造体とからなる。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、膜構造を特に限定するものではなく、第1の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁するものであればよい。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、例えば、ゲート側壁絶縁膜6と第3のゲート側壁絶縁膜7−1とから構成し得る。ゲート側壁絶縁膜6と第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせは、オフセットスペーサーとしての役割を果たす。
第1の絶縁性サイドウォール構造体は、絶縁体であれば特に限定するものではないが、典型的にはシリコン窒化物で構成することが可能である。第1の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、第1の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁することができればよく、特に限定するものでは無いが、典型的には20nmであってもよい。更に、第1の絶縁性サイドウォール構造体の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、前述のゲート構造体のゲート幅と同一の寸法にすることが可能である。
第1の導電性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第1の導電性サイドウォール構造体は、例えば、第1のゲート側壁導電膜10−1と第3のゲート側壁導電膜23−1とで構成し得る。第1のゲート側壁導電膜10−1は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、2E20[1/cm3]であってもよい。第1のゲート側壁導電膜10−1の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第1のゲート側壁導電膜10−1の幅、即ちゲート幅方向の寸法は、前述したゲート構造体のゲート幅と同一であることが好ましい。第3のゲート側壁導電膜23−1は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、2E20[1/cm3]であってもよい。第3のゲート側壁導電膜23−1の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、ドレイン11−1の寸法とほぼ同一にすることが可能である。第3のゲート側壁導電膜23−1の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、ゲート構造体のゲート幅と同一であってもよい。
第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート電位に追従せず、ドレイン電位を追従すればよい。第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、必ずしも、ドレイン電位と同一である必要はない。しかし、典型的には、第1の導電性サイドウォール構造体は、ドレイン11−1と実質同電位をとるよう構成することが可能であり、このため、第3の導電性サイドウォール構造体をドレインに接触させる構造とした。
第2のサイドウォール構造体は、前述した第1のサイドウォール構造体と同一の構造でもよく、或いは、異なる構造でもよい。前述したように、ゲートとドレインとの間の電界集中を緩和することが、本発明に係るトランジスタにとって重要となる。そこで、ドレイン側に位置する第1のサイドウォール構造体が、第1の導電性サイドウォール構造体を含み、更に、該第1の導電性サイドウォール構造体が、ゲートから電気的に絶縁され且つドレインと電気的に結合されることで、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位が、ゲート電位を追従せずに、ドレイン電位を追従するようにすればよい。従って、ソース側に位置する第2のサイドウォール構造体に、このような要求がない場合には、必ずしも、前述した第1の導電性サイドウォール構造体と同一の構造にする必要はない。例えば、第2のサイドウォール構造体を既知のサイドウォール構造体で構成することが可能である。また、第2のサイドウォール構造体を前述した第1のサイドウォール構造体と類似の構造、即ち、層構造は同一であるが、各膜厚や物質等が異なる構成とすることも可能である。しかし、第2のサイドウォール構造体が第1のサイドウォール構造体と同一の構造とすることで、トランジスタの製造工程の数を低減することが容易になる。以下、第2のサイドウォール構造体が第1のサイドウォール構造体と同一の構造とる場合につき説明する。
第2のサイドウォール構造体は、第2の絶縁性サイドウォール構造体と第2の導電性サイドウォール構造体とからなる。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、膜構造を特に限定するものではなく、第2の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁するものであればよい。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、例えば、ゲート側壁絶縁膜6と第4のゲート側壁絶縁膜7−2とから構成し得る。ゲート側壁絶縁膜6と第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせは、オフセットスペーサーとしての役割を果たす。
第2の絶縁性サイドウォール構造体は、絶縁体であれば特に限定するものではないが、典型的にはシリコン窒化物で構成することが可能である。第2の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、第2の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁することができればよく、特に限定するものでは無いが、典型的には20nmであってもよい。更に、第2の絶縁性サイドウォール構造体の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、前述のゲート構造体のゲート幅と同一の寸法にすることが可能である。
第2の導電性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第2の導電性サイドウォール構造体は、例えば、第2のゲート側壁導電膜10−2と第4のゲート側壁導電膜23−2とで構成し得る。第2のゲート側壁導電膜10−2は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、2E20[1/cm3]であってもよい。第2のゲート側壁導電膜10−2の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第2のゲート側壁導電膜10−2の幅、即ちゲート幅方向の寸法は、前述したゲート構造体のゲート幅と同一であることが好ましい。第4のゲート側壁導電膜23−2は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、2E20[1/cm3]であってもよい。第4のゲート側壁導電膜23−2の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、ソース11−2の寸法とほぼ同一にすることが可能である。第4のゲート側壁導電膜23−2の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、ゲート構造体のゲート幅と同一であってもよい。
第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート電位に追従せず、ソース電位を追従すればよい。第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、必ずしも、ソース電位と同一である必要はない。しかし、典型的には、第1の導電性サイドウォール構造体は、ドレイン11−1と実質同電位をとるよう構成することが可能であり、このため、第3の導電性サイドウォール構造体をドレインに接触させる構造とした。
前述したように、ドレイン領域は、ドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1と、第1のポケット領域8−1とで構成し得る。ドレイン11−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該ドレイン11−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、ドレイン11−1は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ドレイン11−1の深さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。
第1のエクステンション9−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第1のエクステンション9−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、第1のエクステンション9−1は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、ドレイン11−1の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E20[1/cm3]であってもよい。第1のエクステンション9−1の深さは、ドレイン11−1の深さより浅ければ特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第1のエクステンション9−1の外側端部は、ドレイン11−1の内側端部で画定される。第1のエクステンション9−1の内側端部は、ゲート構造体の第1の側壁にほぼ整合し、該第1のエクステンション9−1がゲート5に対して大きくオーバーラップもオフセットもしないことが好ましい。具体的には、第1のエクステンション9−1の内側端部は、ゲート構造体の第1の側壁に対して±10nmの誤差で整合することが好ましい。
第1のポケット領域8−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第1のポケット領域8−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、P型不純物で構成することが可能である。即ち、第1のポケット領域8−1は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、第1のエクステンション9−1の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E18[1/cm3]であってもよい。第1のポケット領域8−1の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。第1のポケット領域8−1の外側端部は、ドレイン11−1の内側端部で画定される。第1のポケット領域8−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の内側端部より内側且つゲート構造体の第1の側壁より内側に位置することが好ましいが、必ずしもその必要はない。
ソース領域は、ドレイン領域と同一の構造でもよく、或いは異なる構造でもよい。前述したように、ゲートとドレインとの間のバンド間トンネル電流を抑制することが、本発明に係るトランジスタにとって重要となる。従って、ソース領域に、このような要求がない場合には、必ずしも、前述したドレイン領域と同一の構造にする必要はない。例えば、ソース領域を既知の構成とすることが可能である。また、ソース領域を前述したドレイン領域と類似の構造、即ち、層構造は同一であるが、各層厚や不純物の濃度等が異なる構成とすることも可能である。しかし、ソース領域がドレイン領域と同一の構造とすることで、トランジスタの製造工程の数を低減することが容易になる。以下、ソース領域がドレイン領域と同一の構造とる場合につき説明する。
前述したように、ソース領域は、ソース11−2と、第2のエクステンション9−2と、第2のポケット領域8−2とで構成し得る。ソース11−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該ソース11−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、ソース11−2は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ソース11−2の深さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。
第2のエクステンション9−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第2のエクステンション9−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、第2のエクステンション9−2は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、ソース11−2の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E20[1/cm3]であってもよい。第2のエクステンション9−2の深さは、ソース11−2の深さより浅ければ特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第2のエクステンション9−2の外側端部は、ソース11−2の内側端部で画定される。第2のエクステンション9−2の内側端部は、ゲート構造体の第2の側壁にほぼ整合し、該第2のエクステンション9−2がゲート5に対して大きくオーバーラップもオフセットもしないことが好ましい。具体的には、第2のエクステンション9−2の内側端部は、ゲート構造体の第2の側壁に対して±10nmの誤差で整合することが好ましい。
第2のポケット領域8−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第2のポケット領域8−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、P型不純物で構成することが可能である。即ち、第2のポケット領域8−2は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、第2のエクステンション9−2の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E18[1/cm3]であってもよい。第2のポケット領域8−2の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。第2のポケット領域8−2の外側端部は、ソース11−2の内側端部で画定される。第2のポケット領域8−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の内側端部より内側且つゲート構造体の第2の側壁より内側に位置することが好ましいが、必ずしもその必要はない。
シリコン基板1中に形成されるP型ウェル4は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。濃度は、特に限定されるものではないが、典型的には、5E17[1/cm3]であってもよい。
(効果)
バンド間トンネル電流は、ゲート−ドレイン間の電界が、第1のエクステンション9−1内に急峻なバンドの曲がりを形成することにより起きる。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、前述した急峻なバンドの曲がりは起こらない。このため、前述した第1のサイドウォール構造体は、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
更に、前述した第1のエクステンション9−1の内側端部は、該ゲート構造体の第1の側壁と整合するか、或いは、僅かにオーバーラップ或いはオフセットしてもよい。該オーバーラップ或いはオフセットの量は、特に限定するものではないが、好ましくは、±10nmを超えないことが好ましい。即ち、前述した第1のエクステンション9−1と前述したゲート5との実質的に大きなオーバーラップ或いはオフセットは形成されない。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、ゲート5が高電位をとると、第1のエクステンション9−1の上部領域に蓄積層を形成し、且つ、ゲート5の下方のチャネル領域に反転層を形成する。このため、実質的に大きなオーバーラップ構造を有していないにもかかわらず、チャネル領域及び第1のエクステンション9−1での抵抗増大は発生しない。
従って、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含む前述した第1のサイドウォール構造体は、トランジスタの駆動能力を低下させることなく、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
(製造方法)
図15乃至図19は、本発明の第2の実施形態に係るトランジスタの一連の製造工程を示す部分垂直断面図である。図13及び図14に示したトランジスタの製造方法につき、図を参照しながら、以下説明する。
図15(a)に示すように、シリコン基板1の表面を酸化することで、該表面上に膜厚10nmのパッド酸化膜51を形成する。
図15(b)に示すように、パッド酸化膜51上に既知のデポジション方法で窒化膜を堆積し、該窒化膜を既知の方法でパターニングすることで、パッド酸化膜51上に選択的に窒化膜パターン52を形成する。
図15(c)に示すように、窒化膜パターン52をマスクとして使用し、既知のLOCOS酸化(Local Oxidation Of Silicon)を行うことで、シリコン基板1の表面に選択的にフィールド酸化膜2を形成する。
図15(d)に示すように、窒化膜パターン52とフィールド酸化膜2とを既知のドライエッチングにより除去し、フィールド酸化膜2で覆われていないシリコン基板1の表面を露出させる。
図16(a)に示すように、シリコン基板1の露出表面を熱酸化することにより、膜厚2nmのゲート酸化膜3を該露出表面上に形成する。
図16(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2を覆うと共に、ゲート酸化膜3上にウインドウを有するレジストパターン53を形成する。
図16(c)に示すように、該レジストパターン53をマスクとして使用して、選択的にイオン注入を行うことで、シリコン基板1の上部領域に選択的にP型ウェル4を形成する。該イオン注入は、基板面に対し垂直方向から、P型イオン種としてBF2を使用して、加速エネルギー80KeV、ドーズ量5E12[1/cm2]の条件の下で行うことができる。イオン種BF2は、ゲート酸化膜3を貫通してシリコン基板1の上部領域に打ち込まれる。この場合、P型ウェル4の深さは、200nmとなる。
図16(d)に示すように、該レジストパターン53を既知の方法により除去する。
図17(a)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚1500Åのポリシリコン膜54をゲート酸化膜3上及びフィールド酸化膜2上に亘り堆積する。
図17(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、ポリシリコン膜54を覆うと共に、ゲート酸化膜3の上方にウインドウを有するレジストパターン55を形成する。該レジストパターン55をマスクとして使用して、N型イオン種としてP(リン)を選択的にポリシリコン膜54にイオン注入する。該イオン注入は、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー15KeV、ドーズ量2E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、ゲート酸化膜3上に延在するポリシリコン膜54にN型不純物を導入する。
図17(c)に示すように、該レジストパターン55を除去し、その後、リソグラフィー技術により、新たなレジストパターンをポリシリコン膜54上に形成する。その後、該新たなレジストパターンをマスクとして使用して、ポリシリコン膜54をパターニングすることで、不純物が導入されたポリシリコンからなるゲート5を、ゲート酸化膜3上に選択的に形成する。ポリシリコン膜54のパターニングは、ドライエッチングを使用して行うことが可能である。ゲートの長さと幅は、前述した通りである。具体的には、ゲート長さは、特に限定する必要はないが、典型的には100nmであってもよい。また、ゲート幅は、特に限定する必要はない。
図17(d)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚70nmの酸化膜56を、ゲート5の上面及び側壁、更に、ゲート絶縁膜3上、並びに、フィールド酸化膜2上に形成する。
図18(a)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚10nmの窒化膜を酸化膜56上に堆積する。その後、ドライエッチングにより、窒化膜と酸化膜56とをエッチングし、ゲート5の上面及び側壁のみ残すことで、ゲート5の上面及び側壁のみに延在するゲート側壁絶縁膜6と、ゲート5の側壁のみに延在する第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2とを選択的に形成する。ここで、ゲート5の側壁に位置するゲート側壁絶縁膜6と第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2との組み合わせは、サイドウォールスペーサーとしての役割を果たす。
図18(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2上に選択的にレジストパターン57を形成する。ここで、レジストパターン57の端部とサイドウォールスペーサーとの距離を0.5μmにする。その後、該レジストパターン57及びゲート5、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2をマスクとして使用して、基板面に対し斜め方向から、P型イオン種としてBF2(二弗化ホウ素)を選択的にP型ウェル4にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、シリコン基板1を回転させながら、基板面に30度の傾斜角度で、加速エネルギー80KeV、ドーズ量2E13[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、P型ウェル4に、底部の深さが200nm且つ不純物濃度が1E18[1/cm3]の第1及び第2のポケット領域8−1、8−2を選択的に形成する。この段階では、イオン注入された不純物の活性化のための熱処理は行わない。第1及び第2のポケット領域8−1、8−2は、ゲート絶縁膜3から離間した深い領域において、フィールド酸化膜2から内側に向かって延在する。第1及び第2のポケット領域8−1、8−2の内側端部は、イオンの斜め打ち込みにより形成するので、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2より内側に位置する。
図18(c)に示すように、前述のレジストパターン57及びゲート5、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2をマスクとして再度使用して、基板面に対し垂直方向から、N型イオン種としてAs(砒素)を選択的にP型ウェル4にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー5KeV、ドーズ量1E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、P型ウェル4に、底部の深さが50nm且つ不純物濃度が2E20[1/cm3]の第1及び第2のエクステンション9−1、9−2を選択的に形成する。第1及び第2のエクステンション9−1、9−2は、第1及び第2のポケット領域8−1、8−2上、且つゲート酸化膜3下に延在する。第1及び第2のエクステンション9−1、9−2は、イオンの垂直方向での打ち込みにより形成するので、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に概ね自己整合する。具体的には、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に±10nmの誤差で整合する。換言すると、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に自己整合するか、或いは、10nm以内の量だけオーバーラップするか、或いは、10nm以内の量だけオフセットする。この段階では、イオン注入された不純物の活性化のための熱処理は行わない。その後、レジストパターン57を既知の方法で除去する。
図18(d)に示すように、フィールド酸化膜2、ゲート絶縁膜3、ゲート側壁絶縁膜6、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2上に、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚50nmのポリシリコン膜を堆積する。その後、該ポリシリコン膜をドライエッチングにより選択的に除去し、ゲート5の側壁に位置すると共に、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2に接する部分のみ残し、更に、オーバーエッチすることで、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2を形成する。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2は、ゲート酸化膜3上であって且つゲート5の側壁近傍に位置すると共に、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2に接する。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2のゲート長さ方向における寸法は、50nmである。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の上面のレベルは、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2の上面レベルとほぼ同一である。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2は、この時点では、不純物が導入されていないポリシリコンで構成される。
図19(a)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2上に選択的にレジストパターン58を形成する。その後、該レジストパターン58、ゲート5、ゲート側壁絶縁膜6、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2をマスクとして使用して、N型イオン種としてP(リン)を、ゲート5及び第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2、並びに、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2及び第1及び第2のポケット領域8−1、8−2に選択的にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー20KeV、ドーズ量5E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、不純物が導入されたポリシリコンからなるゲート5と、不純物が導入されたポリシリコンからなる第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2とを形成すると共に、P型ウェル4中には、ドレイン11−1及びソース11−2を選択的に形成する。
N型不純物は、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の底部までは達しないので、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の直下のゲート酸化膜3部分は、該イオン注入によりダメージを受けることはない。更に、N型不純物は、ゲート5の底部までは達しないので、ゲート5の直下のゲート酸化膜3部分は、該イオン注入によりダメージを受けることはない。
ドレイン11−1及びソース11−2の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ドレイン11−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の外側端部及び第1のポケット領域8−1の外側端部と境界を接している。ソース11−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の外側端部及び第2のポケット領域8−2の外側端部と境界を接している。前述したように、ドレイン11−1及びソース11−2の不純物濃度は、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の不純物濃度より高い。更に、ドレイン11−1及びソース11−2は、P型不純物が導入された第1及び第2のポケット領域8−1、8−2の外側領域及びN型不純物が導入された第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の外側領域に選択的にN型不純物を導入して形成したため、ドレイン11−1及びソース11−2は、上部領域で濃度が高く、下部領域で濃度が低くなる。
その後、前述のイオン注入工程で導入されたイオン、即ち、第1及び第2のポケット領域8−1、8−2中に導入されたP型不純物、並びに、ゲート5中、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2中、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2中、ドレイン11−1中及びソース11−2中に導入されたN型不純物を活性化するため、熱処理を行う。該熱処理は、RTA(Rapid Thermal Anneal)で行うことが可能である。具体的には、RTAは、1000℃の温度で10秒間行う。
図19(b)に示すように、該イオン注入の後、レジストパターン58を既知の方法により除去する。
図19(c)に示すように、既知の選択的エッチング方法により、ドレイン11−1及びソース11−2の上面に接しているゲート酸化膜3を選択的に除去することで、ドレイン11−1及びソース11−2の上面を露出させる。
図19(d)に示すように、フィールド酸化膜2、ドレイン11−1及びソース11−2の露出上面、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10―2の上面及び側面、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2の上面、及びゲート側壁絶縁膜6の上面に、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、ポリシリコン膜を堆積する。その後、該ポリシリコン膜をドライエッチングにより選択的に除去し、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の側壁に接すると共に、ドレイン11−1及びソース11−2の上面に接する部分のみ残すことで、第3及び第4のゲート側壁導電膜23−1、23−2を形成する。該第3及び第4のゲート側壁導電膜23−1、23−2は、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の側壁及びドレイン11−1及びソース11−2の上面に延在する。該第3及び第4のゲート側壁導電膜23−1、23−2のゲート長さ方向における寸法は、ドレイン11−1及びソース11−2のそれと実質同一である。該第3及び第4のゲート側壁導電膜23−1、23−2の上面のレベルは、ゲート側壁絶縁膜6及び第3、第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2及び第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の上面レベルとほぼ同一である。その後、必要に応じて、ゲート5中、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2中及び該第3及び第4のゲート側壁導電膜23−1、23−2中にN型イオン種としてP(リン)をイオン注入して、N型不純物が導入された第3及び第4のゲート側壁導電膜23−1、23−2を形成してもよい。
前述した製造工程の結果得られる第1のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第1の側壁に接する第1の絶縁性サイドウォール構造体と、該第1の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、ドレイン11−1の上面に接する第1の導電性サイドウォール構造体とで構成される。
該第1の導電性サイドウォール構造体は、該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共に前述のドレイン領域の一部に接することで、該ドレイン領域を構成するドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1と実質同電位、即ちドレインと実質同一の電位を有する。該第1の導電性サイドウォール構造体は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1と第3のゲート側壁導電膜23−1とを含む。該第1のゲート側壁導電膜10−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第1の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、第3のゲート側壁導電膜23−1の内側端部に接する。一方、第3のゲート側壁導電膜23−1は、第1のゲート側壁導電膜10−1及び該第1の絶縁性サイドウォール構造体により、ゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、ドレイン11−1の上部に接する。
前述した第2のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第2の側壁に接する第2の絶縁性サイドウォール構造体と、該第2の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、ソース11−2の上部に接する第2の導電性サイドウォール構造体とを含む。
該第2の導電性サイドウォール構造体は、該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共に前述のソース領域の一部に接することで、該ソース領域を構成するソース11−2と、第2のエクステンション9−2と実質同電位、即ちソースと実質同一の電位を有する。該第2の導電性サイドウォール構造体は、更に、第2のソース側壁導電膜10−2と第4のソース側壁導電膜23−2とを含む。該第2のゲート側壁導電膜10−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第2の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、第4のソース側壁導電膜23−2の内側端部に接する。一方、第4のソース側壁導電膜23−2は、第2のゲート側壁導電膜10−2及び該第2の絶縁性サイドウォール構造体により、ゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、ソース11−2の上部に接する。
尚、前述した不純物の導電型や、各膜の膜厚や不純物濃度の記載は、あくまで一例であって、必ずしもその記載事項に限定されるものではない。更に、前述の実施形態同様、前述した電界効果型トランジスタを、スーパースティープレトログレードウェル(Super Steep Retrograde Well)中に形成することも可能である。また、前述した電界効果型トランジスタを、SOI基板上、SOS基板上、或いはSOQ基板上に形成することも可能である。
(3)第3実施形態
本発明の第3の実施形態は、電界効果型トランジスタを提供する。図20は、本発明の第3の実施形態に係るトランジスタの構成を示す部分垂直断面図である。図21は、図20に示すトランジスタのゲート付近の電界を示す部分拡大垂直断面図である。本実施形態が前述した第1の実施形態と異なる主な点は、サイドウォール構造体に含まれる導電性サイドウォール構造体が、ゲート並びにドレイン及びソースから電気的に絶縁されると共に、ゲートの電位よりもドレイン及びソースの電位により強く追従する電位を有することである。
(構成)
本発明の第3の実施形態に係る電界効果型トランジスタは、図20に示すように、シリコン基板1上に設けられる。具体的には、フィールド酸化膜2がシリコン基板1上に選択的に設けられる。該フィールド酸化膜2は、シリコン基板1の活性領域を画定する。該活性領域には、P型ウェル4が設けられる。該電界効果型トランジスタは、該P型ウェル4に設けられる。該電界効果型トランジスタは、ゲート絶縁膜3と、該ゲート絶縁膜3上に設けられるゲート構造体と、該ゲート構造体の両側壁に設けられる第1及び第2のサイドウォール構造体と、ソース領域と、ドレイン領域と、該ソース領域と該ドレイン領域との間に画定されるチャネル領域とを含み得る。
該ドレイン領域は、ドレイン11−1と、該ドレイン11−1の内側であって且つゲート絶縁膜3の直下に延在する第1のエクステンション9−1と、該ドレイン11−1の内側であって且つ該第1のエクステンション9−1の直下に延在する第1のポケット領域8−1と、該ドレイン11−1の直上であってゲート絶縁膜3の外側に延在する第3のシリサイド層14−1とを含み得る。ドレイン11−1の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ドレイン11−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の外側端部及び第1のポケット領域8−1の外側端部と接する。第1のポケット領域8−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の内側端部より更に内側に位置する。ドレイン11−1と第1のエクステンション9−1及び第1のポケット領域8−1との境界は、第1のサイドウォール構造体の外側端部より僅かに内側に位置する。ドレイン11−1の上部内側領域は、ゲート絶縁膜3の側部直下に位置する。第3のシリサイド層14−1の内側端部は、ゲート絶縁膜3の外側端部で画定される。第3のシリサイド層14−1の底部は、ゲート絶縁膜3の底面より下に位置し、第3のシリサイド層14−1の上部は、ゲート絶縁膜3の上面より上に位置する。第3のシリサイド層14−1の上部領域の内側端部は、第1のサイドウォール構造体の下部領域の外側端部に接する。該ドレイン領域を構成するドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1と、第3のシリサイド層14−1とは、実質同電位、即ちドレイン電位を有する。
該ソース領域は、ソース11−2と、該ソース11−2の内側であって且つゲート絶縁膜3の直下に延在する第2のエクステンション9−2と、該ソース11−2の内側であって且つ該第2のエクステンション9−2の直下に延在する第2のポケット領域8−2と、該ソース11−2の直上であってゲート絶縁膜3の外側に延在する第4のシリサイド層14−2とを含み得る。ソース11−2の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ソース11−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の外側端部及び第2のポケット領域8−2の外側端部と接する。第2のポケット領域8−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の内側端部より更に内側に位置する。ソース11−2と第2のエクステンション9−2及び第2のポケット領域8−2との境界は、第2のサイドウォール構造体の外側端部より僅かに内側に位置する。ソース11−2の上部内側領域は、ゲート絶縁膜3の側部直下に位置する。第4のシリサイド層14−2の内側端部は、ゲート絶縁膜3の外側端部で画定される。第4のシリサイド層14−2の底部は、ゲート絶縁膜3の底面より下に位置し、第4のシリサイド層14−2の上部は、ゲート絶縁膜3の上面より上に位置する。第4のシリサイド層14−2の上部領域の内側端部は、第2のサイドウォール構造体の下部領域の外側端部に接する。該ソース領域を構成するソース11−2と、第2のエクステンション9−2と、第4のシリサイド層14−2とは、実質同電位、即ちソース電位を有する。
前述のゲート構造体は、ゲート絶縁膜3上に延在するゲート5と、該ゲート5上に延在する第5のシリサイド層15とを含み得る。該ゲート構造体を構成するゲート5と第5のシリサイド層15とは、実質同電位、即ちゲート電位を有する。
前述した第1のサイドウォール構造体は、ゲート絶縁膜3上に設けられる。この場合、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成する。また、この構成に代えて、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみに形成し、該第1のサイドウォール構造体の下には、ゲート絶縁膜3と異なる絶縁体を延在させてもよい。このゲート絶縁膜3と異なる絶縁体は、ゲート5とオーバーラップするようゲート5の第1の側壁近傍領域の下に延在させてもよい。即ち、第1のサイドウォール構造体は、第1の絶縁性層構造体上に設けられればよい。ここで、該第1の絶縁性層構造体は、ゲート5の外側に延在するゲート絶縁膜3の一部で構成してもよく、或いはこれに代えてゲート絶縁膜3と異なる絶縁体で構成してもよく、或いは、これらの組み合わせで構成してもよい。該組み合わせで構成する場合、多層構造としてもよく、或いはゲート5に近い領域にゲート絶縁膜3を延在させ、ゲート5から遠い領域にはゲート絶縁膜3と異なる絶縁膜を設けてもよい。以下、ゲート絶縁膜3がゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成され、前述した第1のサイドウォール構造体が、ゲート絶縁膜3上に設けられる場合を典型例として説明するが、前述したように、必ずしもこの構成に限定する必要はない。
該第1のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第1の側壁に接する第1の絶縁性サイドウォール構造体と、第3のシリサイド層14−1の上部領域の内側端部に接する第3の絶縁性サイドウォール構造体と、該第1の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、該第3の絶縁性サイドウォール構造体により該第3のシリサイド層14−1から離間され且つ電気的に絶縁される第1の導電性サイドウォール構造体とを含み得る。即ち、該第1の導電性サイドウォール構造体は、ゲート構造体及びドレイン領域から電気的に絶縁され、電気的に浮遊されている。
該第1の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート5と該第1の導電性サイドウォール構造体との間に、第1の容量C1を提供する。ゲート絶縁膜3は、該第1の導電性サイドウォール構造体と第1のエクステンション9−1及びドレイン11−1との間に、第2の容量C2を提供する。該第3の絶縁性サイドウォール構造体は、該第1の導電性サイドウォール構造体と該第3のシリサイド層14−1との間に、第3の容量C3を提供する。ここで、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きい。更に、第1の容量C1の逆数は、第3の容量C3の逆数より大きい。この関係により、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるが、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。容量Cの逆数は、該誘電体の誘電率εと面積Sとの積で誘電体の膜厚Tを割った値で与えられる。即ち、1/C=T/(εS)の関係が成立する。従って、一般的には、該第1の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート構造体と該第1の導電性サイドウォール構造体との距離は、ゲート絶縁膜3の膜厚より大きく構成することが可能である。更に、該第1の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート構造体と該第1の導電性サイドウォール構造体との距離は、該第3の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、該第3のシリサイド層14−1と該第1の導電性サイドウォール構造体との距離より大きく構成することが可能である。いずれにしても、前述した関係、即ち、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きく、且つ第3の容量C3の逆数より大きければ、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるものの、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。
該第1の導電性サイドウォール構造体は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1を含み得る。該第1のゲート側壁導電膜10−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第1の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、該第3の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第3の絶縁性サイドウォール構造体により第3のシリサイド層14−1から離間且つ電気的に絶縁される。
該第1の絶縁性サイドウォール構造体は、第1のゲート側壁絶縁膜6−1と、第3のゲート側壁絶縁膜7−1とを含み得る。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の第1の側壁に接する。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側底部に接する外側底部を有する。該第3のゲート側壁絶縁膜7−1は、該第1のゲート側壁絶縁膜6−1により該ゲート構造体から離間されると共に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側側部に接する。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1と該第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせは、該第1の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。
該第3の絶縁性サイドウォール構造体は、第5のゲート側壁絶縁膜24−1を含み得る。該第5のゲート側壁絶縁膜24−1は、該第1のゲート側壁絶縁膜6−1と該第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせの上部、並びに、該第1の導電性サイドウォール構造体の上部及び外側側壁に亘り延在する。第5のゲート側壁絶縁膜24−1は、該第1の導電性サイドウォール構造体を該ドレイン領域から離間すると共に電気的に絶縁する。
前述した第2のサイドウォール構造体は、ゲート絶縁膜3上に設けられる。この場合、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成する。また、この構成に代えて、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみに形成し、該第2のサイドウォール構造体の下には、ゲート絶縁膜3と異なる絶縁体を延在させてもよい。このゲート絶縁膜3と異なる絶縁体は、ゲート5とオーバーラップするようゲート5の第2の側壁近傍領域の下に延在させてもよい。即ち、第2のサイドウォール構造体は、第2の絶縁性層構造体上に設けられればよい。ここで、該第2の絶縁性層構造体は、ゲート5の外側に延在するゲート絶縁膜3の一部で構成してもよく、或いはこれに代えてゲート絶縁膜3と異なる絶縁体で構成してもよく、或いは、これらの組み合わせで構成してもよい。該組み合わせで構成する場合、多層構造としてもよく、或いはゲート5に近い領域にゲート絶縁膜3を延在させ、ゲート5から遠い領域にはゲート絶縁膜3と異なる絶縁膜を設けてもよい。以下、ゲート絶縁膜3がゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成され、前述した第2のサイドウォール構造体が、ゲート絶縁膜3上に設けられる場合を典型例として説明するが、前述したように、必ずしもこの構成に限定する必要はない。
該第2のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第2の側壁に接する第2の絶縁性サイドウォール構造体と、第4のシリサイド層14−2の上部領域の内側端部に接する第4の絶縁性サイドウォール構造体と、該第2の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、該第4の絶縁性サイドウォール構造体により該第4のシリサイド層14−2から離間され且つ電気的に絶縁される第2の導電性サイドウォール構造体とを含み得る。即ち、該第2の導電性サイドウォール構造体は、ゲート構造体及びドレイン領域から電気的に絶縁され、電気的に浮遊されている。
該第2の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート5と該第2の導電性サイドウォール構造体との間に、第1の容量C1を提供する。ゲート絶縁膜3は、該第2の導電性サイドウォール構造体と第2のエクステンション9−2及びソース11−2との間に、第2の容量C2を提供する。該第3の絶縁性サイドウォール構造体は、該第2の導電性サイドウォール構造体と該第4のシリサイド層14−2との間に、第3の容量C3を提供する。ここで、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きい。更に、第1の容量C1の逆数は、第3の容量C3の逆数より大きい。この関係により、該第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つソース領域の電位とも異なるが、ゲート構造体の電位に比べソース領域の電位により強く追従する。容量Cの逆数は、該誘電体の誘電率εと面積Sとの積で誘電体の膜厚Tを割った値で与えられる。即ち、1/C=T/(εS)の関係が成立する。従って、一般的には、該第2の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート構造体と該第2の導電性サイドウォール構造体との距離は、ゲート絶縁膜3の膜厚より大きく構成することが可能である。更に、該第2の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート構造体と該第2の導電性サイドウォール構造体との距離は、該第4の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、該第4のシリサイド層14−2と該第2の導電性サイドウォール構造体との距離より大きく構成することが可能である。いずれにしても、前述した関係、即ち、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きく、且つ第3の容量C3の逆数より大きければ、該第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるものの、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。
該第2の導電性サイドウォール構造体は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2を含み得る。該第2のゲート側壁導電膜10−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第2の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、該第4の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第4の絶縁性サイドウォール構造体により第4のシリサイド層14−2から離間且つ電気的に絶縁される。
該第2の絶縁性サイドウォール構造体は、第2のゲート側壁絶縁膜6−2と、第4のゲート側壁絶縁膜7−2とを含み得る。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の第2の側壁に接する。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側底部に接する外側底部を有する。該第4のゲート側壁絶縁膜7−2は、該第2のゲート側壁絶縁膜6−2により該ゲート構造体から離間されると共に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側側部に接する。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2と該第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせは、該第2の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。
該第4の絶縁性サイドウォール構造体は、第6のゲート側壁絶縁膜24−2を含み得る。該第6のゲート側壁絶縁膜24−2は、該第2のゲート側壁絶縁膜6−2と該第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせの上部、並びに、該第1の導電性サイドウォール構造体の上部及び外側側壁に亘り延在する。第6のゲート側壁絶縁膜24−2は、該第2の導電性サイドウォール構造体を該ドレイン領域から離間すると共に電気的に絶縁する。
図21は、図20に示すトランジスタのゲート付近の電界を示す部分拡大垂直断面図である。ここで、ソースが0V、ゲートが0V、ドレインが1.5Vの電位をそれぞれとった場合のゲート付近の電界を示す。前述したように、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるが、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。具体的には、第1のゲート側壁導電膜10−1は、ゲート電位0Vに比べドレイン電位1.5Vにより強く追従するため、例えば、1.0Vの電位をとる可能性がある。従って、第1のゲート側壁導電膜10−1で構成される第1の導電性サイドウォール構造体が電気的に浮遊されていても、図21に示すように、第1のエクステンション9−1からゲート絶縁膜3を介してゲート5へ走る電界が生じるだけでなく、第1の導電性サイドウォール構造体から第1の絶縁性サイドウォール構造体を介してゲート構造体の第1の側面へ走る電界も生じる。更に、第1のエクステンション9−1及び第3のシリサイド層14−1から第1のゲート側壁導電膜10−1へ走る電界が生じる。即ち、第1の導電性サイドウォール構造体から第1の絶縁性サイドウォール構造体を介してゲート構造体の第1の側面へ走る電界が生じることで、第1のエクステンション9−1からゲート絶縁膜3を介してゲート5へ走る電界の集中が緩和される。換言すれば、第1の導電性サイドウォール構造体を含む第1のサイドウォール構造体の存在は、ゲート−ドレイン間の電界集中を緩和する。
バンド間トンネル電流は、ゲート−ドレイン間の電界集中が第1のエクステンション9−1内に急峻なバンドの曲がりを形成することにより起きる。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、前述した急峻なバンドの曲がりは起こらない。このため、前述した第1のサイドウォール構造体は、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
更に、前述した第1のエクステンション9−1の内側端部は、該ゲート構造体の第1の側壁と整合するか、或いは、僅かにオーバーラップ或いはオフセットしてもよい。該オーバーラップ或いはオフセットの量は、特に限定するものではないが、好ましくは、±10nmを超えないことが好ましい。即ち、前述した第1のエクステンション9−1と前述したゲート5との実質的に大きなオーバーラップ或いはオフセットは形成されない。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、ゲート電位に比較してよりドレイン電位に近い電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、ゲート5が高電位をとると、第1のエクステンション9−1の上部領域に蓄積層を形成し、且つ、ゲート5の下方のチャネル領域に反転層を形成する。このため、実質的に大きなオーバーラップ構造を有していないにもかかわらず、チャネル領域及び第1のエクステンション9−1での抵抗増大は発生しない。
従って、ゲート電位に比較してよりドレイン電位に近い電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含む前述した第1のサイドウォール構造体は、トランジスタの駆動能力を低下させることなく、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
以下、前述した構造の実現方法につき具体的に説明する。
前述したゲート構造体は、ゲート5と第5のシリサイド層15とを含み得るが、必ずしもこの構成に限定するものではない。前述したゲート構造体は、ゲートとしての役目を果たすことが可能な構成であればよい。前述したゲート構造体を、ゲート5と第5のシリサイド層15とで構成する場合、典型的には、以下のように構成することが可能である。ゲート5は、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ポリシリコン膜の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、150nmであってもよい。ゲート長さは、特に限定するものではないが、典型的には、130nmであってもよい。ゲート幅は、特に限定するものではない。第5のシリサイド層15は、金属シリサイド化反応により形成することが可能である。ポリシリコン膜のシリコン原子とシリサイド反応させる金属としては、典型的には、高融点金属であってもよく、例えば、Co(コバルト)であってもよい。コバルトシリサイド層をポリシリコン層上に形成する場合、その膜厚は、特に限定するものではないが、例えば、150nmであってもよい。第5のシリサイド層15のゲート長さ方向及びゲート幅方向の寸法は、ゲート5のそれと同じである。
前述のゲート絶縁膜3は、絶縁体で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、例えば、SiON(シリコン酸窒化物)で構成することが可能である。ゲート絶縁膜3の膜厚は、特に限定するものではないが、例えば、20Åであってもよい。
第1のサイドウォール構造体は、第1の絶縁性サイドウォール構造体と第3の絶縁性サイドウォール構造体と第1の導電性サイドウォール構造体とからなる。
第1の絶縁性サイドウォール構造体は、膜構造を特に限定するものではなく、第1の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁するものであればよい。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、例えば、第1のゲート側壁絶縁膜6−1と第3のゲート側壁絶縁膜7−1とから構成し得る。第1のゲート側壁絶縁膜6−1と第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせは、オフセットスペーサーとしての役割を果たす。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、絶縁体であれば特に限定するものではないが、典型的にはシリコン窒化物で構成することが可能である。第1の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、第1の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁することができればよく、特に限定するものでは無いが、典型的には20nmであってもよい。更に、第1の絶縁性サイドウォール構造体の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、前述のゲート構造体のゲート幅と同一の寸法にすることが可能である。
第3の絶縁性サイドウォール構造体は、膜構造を特に限定するものではなく、第1の導電性サイドウォール構造体をドレイン領域、具体的には、第3のシリサイド層14−1から離間し且つ電気的に絶縁するものであればよい。第3の絶縁性サイドウォール構造体は、多層構造で構成することも可能であるが、前述したように単一層構造とすることも可能である。第3の絶縁性サイドウォール構造体は、例えば、第5のゲート側壁絶縁膜24−1から構成し得る。第3の絶縁性サイドウォール構造体は、絶縁体であれば特に限定するものではないが、典型的にはシリコン窒化物或いはシリコン酸化物で構成することが可能である。第3の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、第1の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁することができればよく、特に限定するものでは無いが、前述の第1の絶縁性サイドウォール構造体の膜厚より薄く構成することが好ましい。更に、第3の絶縁性サイドウォール構造体の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、前述のゲート構造体のゲート幅と同一の寸法にすることが可能である。
第1の導電性サイドウォール構造体は、多層構造で構成することも可能であるが、前述したように単一層構造とすることも可能である。第1の導電性サイドウォール構造体は、例えば、第1のゲート側壁導電膜10−1で構成し得る。第1のゲート側壁導電膜10−1は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、2E20[1/cm3]であってもよい。第1のゲート側壁導電膜10−1の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第1のゲート側壁導電膜10−1の幅、即ちゲート幅方向の寸法は、前述したゲート構造体のゲート幅と同一であることが好ましい。
第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート電位に追従せず、ドレイン電位を追従すればよい。第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、必ずしも、ドレイン電位と同一である必要はない。そこで、第1の導電性サイドウォール構造体は、ゲート電位に比べてよりドレイン電位に近い電位をとるよう構成することが可能であり、このため、前述した関係、即ち、第1の容量C1の逆数は、第3の容量C3の逆数より大きくなるよう、第1の絶縁性サイドウォール構造体及び第3の絶縁性サイドウォール構造体を構成した。
第2のサイドウォール構造体は、前述した第1のサイドウォール構造体と同一の構造でもよく、或いは、異なる構造でもよい。前述したように、ゲートとドレインとの間の電界集中を緩和することが、本発明に係るトランジスタにとって重要となる。そこで、ドレイン側に位置する第1のサイドウォール構造体が、第1の導電性サイドウォール構造体を含み、更に、該第1の導電性サイドウォール構造体が、ゲート及びドレインから電気的に絶縁され、且つ第1の容量C1の逆数は、第3の容量C3の逆数より大きくすることで、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位が、ゲート電位に比較してよりドレインを強く追従するようにすればよい。従って、ソース側に位置する第2のサイドウォール構造体に、このような要求がない場合には、必ずしも、前述した第1の導電性サイドウォール構造体と同一の構造にする必要はない。例えば、第2のサイドウォール構造体を既知のサイドウォール構造体で構成することが可能である。また、第2のサイドウォール構造体を前述した第1のサイドウォール構造体と類似の構造、即ち、層構造は同一であるが、各膜厚や物質等が異なる構成とすることも可能である。しかし、第2のサイドウォール構造体が第1のサイドウォール構造体と同一の構造とすることで、トランジスタの製造工程の数を低減することが容易になる。以下、第2のサイドウォール構造体が第1のサイドウォール構造体と同一の構造とる場合につき説明する。
第2のサイドウォール構造体は、第2の絶縁性サイドウォール構造体と第4の絶縁性サイドウォール構造体と第2の導電性サイドウォール構造体とからなる。
第2の絶縁性サイドウォール構造体は、膜構造を特に限定するものではなく、第2の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁するものであればよい。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、例えば、第2のゲート側壁絶縁膜6−2と第4のゲート側壁絶縁膜7−2とから構成し得る。第2のゲート側壁絶縁膜6−2と第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせは、オフセットスペーサーとしての役割を果たす。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、絶縁体であれば特に限定するものではないが、典型的にはシリコン窒化物で構成することが可能である。第2の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、第2の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁することができればよく、特に限定するものでは無いが、典型的には20nmであってもよい。更に、第2の絶縁性サイドウォール構造体の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、前述のゲート構造体のゲート幅と同一の寸法にすることが可能である。
第4の絶縁性サイドウォール構造体は、膜構造を特に限定するものではなく、第2の導電性サイドウォール構造体をソース領域、具体的には、第4のシリサイド層14−2から離間し且つ電気的に絶縁するものであればよい。第4の絶縁性サイドウォール構造体は、多層構造で構成することも可能であるが、前述したように単一層構造とすることも可能である。第4の絶縁性サイドウォール構造体は、例えば、第6のゲート側壁絶縁膜24−2から構成し得る。第4の絶縁性サイドウォール構造体は、絶縁体であれば特に限定するものではないが、典型的にはシリコン窒化物或いはシリコン酸化物で構成することが可能である。第4の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、第2の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁することができればよく、特に限定するものでは無いが、前述の第2の絶縁性サイドウォール構造体の膜厚より薄く構成することが好ましい。更に、第4の絶縁性サイドウォール構造体の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、前述のゲート構造体のゲート幅と同一の寸法にすることが可能である。
第2の導電性サイドウォール構造体は、多層構造で構成することも可能であるが、前述したように単一層構造とすることも可能である。第2の導電性サイドウォール構造体は、例えば、第2のゲート側壁導電膜10−2で構成し得る。第2のゲート側壁導電膜10−2は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、2E20[1/cm3]であってもよい。第2のゲート側壁導電膜10−2の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第2のゲート側壁導電膜10−2の幅、即ちゲート幅方向の寸法は、前述したゲート構造体のゲート幅と同一であることが好ましい。
第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート電位に追従せず、ソース電位を追従すればよい。第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、必ずしも、ソース電位と同一である必要はない。そこで、第2の導電性サイドウォール構造体は、ゲート電位に比べてよりソース電位に近い電位をとるよう構成することが可能であり、このため、前述した関係、即ち、第1の容量C1の逆数は、第3の容量C3の逆数より大きくなるよう、第1の絶縁性サイドウォール構造体及び第3の絶縁性サイドウォール構造体を構成した。
前述したように、ドレイン領域は、ドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1と、第1のポケット領域8−1と、第3のシリサイド層14−1とで構成し得る。ドレイン11−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該ドレイン11−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、ドレイン11−1は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ドレイン11−1の深さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。ドレイン11−1上に形成される第3のシリサイド層14−1は、金属シリサイド化反応により形成することが可能である。ポリシリコン膜のシリコン原子とシリサイド反応させる金属としては、典型的には、高融点金属であってもよく、例えば、Co(コバルト)であってもよい。第3のシリサイド層14−1の上部内側側部が第5のゲート側壁絶縁膜24−1の下部外側側部に接する必要があるため、第3のシリサイド層14−1の上部領域が、ゲート絶縁膜3より高いレベルとなるように、第3のシリサイド層14−1の厚さを決める必要がある。第3のシリサイド層14−1の膜厚は、例えば、100nmであってもよい。
第1のエクステンション9−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第1のエクステンション9−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、第1のエクステンション9−1は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、ドレイン11−1の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E20[1/cm3]であってもよい。第1のエクステンション9−1の深さは、ドレイン11−1の深さより浅ければ特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第1のエクステンション9−1の外側端部は、ドレイン11−1の内側端部で画定される。第1のエクステンション9−1の内側端部は、ゲート構造体の第1の側壁にほぼ整合し、該第1のエクステンション9−1がゲート5に対して大きくオーバーラップもオフセットもしないことが好ましい。具体的には、第1のエクステンション9−1の内側端部は、ゲート構造体の第1の側壁に対して±10nmの誤差で整合することが好ましい。
第1のポケット領域8−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第1のポケット領域8−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、P型不純物で構成することが可能である。即ち、第1のポケット領域8−1は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、第1のエクステンション9−1の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E18[1/cm3]であってもよい。第1のポケット領域8−1の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。第1のポケット領域8−1の外側端部は、ドレイン11−1の内側端部で画定される。第1のポケット領域8−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の内側端部より内側且つゲート構造体の第1の側壁より内側に位置することが好ましいが、必ずしもその必要はない。
ソース領域は、ドレイン領域と同一の構造でもよく、或いは異なる構造でもよい。前述したように、ゲートとドレインとの間のバンド間トンネル電流を抑制することが、本発明に係るトランジスタにとって重要となる。従って、ソース領域に、このような要求がない場合には、必ずしも、前述したドレイン領域と同一の構造にする必要はない。例えば、ソース領域を既知の構成とすることが可能である。また、ソース領域を前述したドレイン領域と類似の構造、即ち、層構造は同一であるが、各層厚や不純物の濃度等が異なる構成とすることも可能である。しかし、ソース領域がドレイン領域と同一の構造とすることで、トランジスタの製造工程の数を低減することが容易になる。以下、ソース領域がドレイン領域と同一の構造とる場合につき説明する。
前述したように、ソース領域は、ソース11−2と、第2のエクステンション9−2と、第2のポケット領域8−2と、第4のシリサイド層14−2とで構成し得る。ソース11−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該ソース11−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、ソース11−2は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ソース11−2の深さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。ソース11−2上に形成される第4のシリサイド層14−2は、金属シリサイド化反応により形成することが可能である。ポリシリコン膜のシリコン原子とシリサイド反応させる金属としては、典型的には、高融点金属であってもよく、例えば、Co(コバルト)であってもよい。第4のシリサイド層14−2の上部内側側部が第6のゲート側壁絶縁膜24−2の下部外側側部に接する必要があるため、第4のシリサイド層14−2の上部領域が、ゲート絶縁膜3より高いレベルとなるように、第4のシリサイド層14−2の厚さを決める必要がある。第4のシリサイド層14−2の膜厚は、例えば、100nmであってもよい。
第2のエクステンション9−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第2のエクステンション9−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、第2のエクステンション9−2は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、ソース11−2の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E20[1/cm3]であってもよい。第2のエクステンション9−2の深さは、ソース11−2の深さより浅ければ特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第2のエクステンション9−2の外側端部は、ソース11−2の内側端部で画定される。第2のエクステンション9−2の内側端部は、ゲート構造体の第2の側壁にほぼ整合し、該第2のエクステンション9−2がゲート5に対して大きくオーバーラップもオフセットもしないことが好ましい。具体的には、第2のエクステンション9−2の内側端部は、ゲート構造体の第2の側壁に対して±10nmの誤差で整合することが好ましい。
第2のポケット領域8−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第2のポケット領域8−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、P型不純物で構成することが可能である。即ち、第2のポケット領域8−2は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、第2のエクステンション9−2の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E18[1/cm3]であってもよい。第2のポケット領域8−2の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。第2のポケット領域8−2の外側端部は、ソース11−2の内側端部で画定される。第2のポケット領域8−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の内側端部より内側且つゲート構造体の第2の側壁より内側に位置することが好ましいが、必ずしもその必要はない。
シリコン基板1中に形成されるP型ウェル4は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。濃度は、特に限定されるものではないが、典型的には、5E17[1/cm3]であってもよい。
(効果)
バンド間トンネル電流は、ゲート−ドレイン間の電界が、第1のエクステンション9−1内に急峻なバンドの曲がりを形成することにより起きる。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、ゲート電位に比べてよりドレイン電位に強く追従する第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、前述した急峻なバンドの曲がりは起こらない。このため、前述した第1のサイドウォール構造体は、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
更に、前述した第1のエクステンション9−1の内側端部は、該ゲート構造体の第1の側壁と整合するか、或いは、僅かにオーバーラップ或いはオフセットしてもよい。該オーバーラップ或いはオフセットの量は、特に限定するものではないが、好ましくは、±10nmを超えないことが好ましい。即ち、前述した第1のエクステンション9−1と前述したゲート5との実質的に大きなオーバーラップ或いはオフセットは形成されない。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、ゲート5が高電位をとると、第1のエクステンション9−1の上部領域に蓄積層を形成し、且つ、ゲート5の下方のチャネル領域に反転層を形成する。このため、実質的に大きなオーバーラップ構造を有していないにもかかわらず、チャネル領域及び第1のエクステンション9−1での抵抗増大は発生しない。
従って、ゲート電位に比べドレイン電位により強く追従する電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含む前述した第1のサイドウォール構造体は、トランジスタの駆動能力を低下させることなく、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
(製造方法)
図22乃至図28は、本発明の第3の実施形態に係るトランジスタの一連の製造工程を示す部分垂直断面図である。図20及び図21に示したトランジスタの製造方法につき、図を参照しながら、以下説明する。
図22(a)に示すように、シリコン基板1の表面を酸化することで、該表面上に膜厚10nmのパッド酸化膜51を形成する。
図22(b)に示すように、パッド酸化膜51上に既知のデポジション方法で窒化膜を堆積し、該窒化膜を既知の方法でパターニングすることで、パッド酸化膜51上に選択的に窒化膜パターン52を形成する。
図22(c)に示すように、窒化膜パターン52をマスクとして使用し、既知のLOCOS酸化(Local Oxidation Of Silicon)を行うことで、シリコン基板1の表面に選択的にフィールド酸化膜2を形成する。
図22(d)に示すように、窒化膜パターン52とフィールド酸化膜2とを既知のドライエッチングにより除去し、フィールド酸化膜2で覆われていないシリコン基板1の表面を露出させる。
図23(a)に示すように、シリコン基板1の露出表面を熱酸化することにより、膜厚2nmのゲート酸化膜3を該露出表面上に形成する。
図23(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2を覆うと共に、ゲート酸化膜3上にウインドウを有するレジストパターン53を形成する。
図23(c)に示すように、該レジストパターン53をマスクとして使用して、選択的にイオン注入を行うことで、シリコン基板1の上部領域に選択的にP型ウェル4を形成する。該イオン注入は、基板面に対し垂直方向から、P型イオン種としてBF2を使用して、加速エネルギー80KeV、ドーズ量5E12[1/cm2]の条件の下で行うことができる。イオン種BF2は、ゲート酸化膜3を貫通してシリコン基板1の上部領域に打ち込まれる。この場合、P型ウェル4の深さは、200nmとなる。
図23(d)に示すように、該レジストパターン53を既知の方法により除去する。
図24(a)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚1500Åのポリシリコン膜54をゲート酸化膜3上及びフィールド酸化膜2上に亘り堆積する。
図24(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、ポリシリコン膜54を覆うと共に、ゲート酸化膜3の上方にウインドウを有するレジストパターン55を形成する。該レジストパターン55をマスクとして使用して、N型イオン種としてP(リン)を選択的にポリシリコン膜54にイオン注入する。該イオン注入は、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー15KeV、ドーズ量2E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、ゲート酸化膜3上に延在するポリシリコン膜54にN型不純物を導入する。
図24(c)に示すように、該レジストパターン55を除去し、その後、リソグラフィー技術により、新たなレジストパターンをポリシリコン膜54上に形成する。その後、該新たなレジストパターンをマスクとして使用して、ポリシリコン膜54をパターニングすることで、不純物が導入されたポリシリコンからなるゲート5を、ゲート酸化膜3上に選択的に形成する。ポリシリコン膜54のパターニングは、ドライエッチングを使用して行うことが可能である。ゲートの長さと幅は、前述した通りである。具体的には、ゲート長さは、特に限定する必要はないが、典型的には100nmであってもよい。また、ゲート幅は、特に限定する必要はない。
図24(d)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚70nmの酸化膜56を、ゲート5の上面及び側壁、更に、ゲート絶縁膜3上、並びに、フィールド酸化膜2上に形成する。
図25(a)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚10nmの窒化膜を酸化膜56上に堆積する。その後、ドライエッチングにより、窒化膜と酸化膜56とをエッチングし、ゲート5の上面及び側壁のみ残すことで、ゲート5の上面及び側壁のみに延在するゲート側壁絶縁膜6と、ゲート5の側壁のみに延在する第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2とを選択的に形成する。ここで、ゲート5の側壁に位置するゲート側壁絶縁膜6と第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2との組み合わせは、サイドウォールスペーサーとしての役割を果たす。
図25(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2上に選択的にレジストパターン57を形成する。ここで、レジストパターン57の端部とサイドウォールスペーサーとの距離を0.5μmにする。その後、該レジストパターン57及びゲート5、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2をマスクとして使用して、基板面に対し斜め方向から、P型イオン種としてBF2(二弗化ホウ素)を選択的にP型ウェル4にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、シリコン基板1を回転させながら、基板面に30度の傾斜角度で、加速エネルギー80KeV、ドーズ量2E13[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、P型ウェル4に、底部の深さが200nm且つ不純物濃度が1E18[1/cm3]の第1及び第2のポケット領域8−1、8−2を選択的に形成する。この段階では、イオン注入された不純物の活性化のための熱処理は行わない。第1及び第2のポケット領域8−1、8−2は、ゲート絶縁膜3から離間した深い領域において、フィールド酸化膜2から内側に向かって延在する。第1及び第2のポケット領域8−1、8−2の内側端部は、イオンの斜め打ち込みにより形成するので、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2より内側に位置する。
図25(c)に示すように、前述のレジストパターン57及びゲート5、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2をマスクとして再度使用して、基板面に対し垂直方向から、N型イオン種としてAs(砒素)を選択的にP型ウェル4にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー5KeV、ドーズ量1E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、P型ウェル4に、底部の深さが50nm且つ不純物濃度が2E20[1/cm3]の第1及び第2のエクステンション9−1、9−2を選択的に形成する。第1及び第2のエクステンション9−1、9−2は、第1及び第2のポケット領域8−1、8−2上、且つゲート酸化膜3下に延在する。第1及び第2のエクステンション9−1、9−2は、イオンの垂直方向での打ち込みにより形成するので、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に概ね自己整合する。具体的には、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に±10nmの誤差で整合する。換言すると、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に自己整合するか、或いは、10nm以内の量だけオーバーラップするか、或いは、10nm以内の量だけオフセットする。この段階では、イオン注入された不純物の活性化のための熱処理は行わない。その後、レジストパターン57を既知の方法で除去する。
図25(d)に示すように、フィールド酸化膜2、ゲート絶縁膜3、ゲート側壁絶縁膜6、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2上に、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚50nmのポリシリコン膜を堆積する。その後、該ポリシリコン膜をドライエッチングにより選択的に除去し、ゲート5の側壁に位置すると共に、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2に接する部分のみ残すことで、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2を形成する。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2は、ゲート酸化膜3上であって且つゲート5の側壁近傍に位置すると共に、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2に接する。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2のゲート長さ方向における寸法は、50nmである。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の上面のレベルは、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2の上面レベルと実質同一である。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2は、この時点では、不純物が導入されていないポリシリコンで構成される。
図26(a)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2上に選択的にレジストパターン58を形成する。その後、該レジストパターン58、ゲート5、ゲート側壁絶縁膜6、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2をマスクとして使用して、N型イオン種としてP(リン)を、ゲート5及び第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2、並びに、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2及び第1及び第2のポケット領域8−1、8−2に選択的にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー20KeV、ドーズ量5E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、不純物が導入されたポリシリコンからなるゲート5と、不純物が導入されたポリシリコンからなる第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2とを形成すると共に、P型ウェル4中には、ドレイン11−1及びソース11−2を選択的に形成する。
N型不純物は、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の底部までは達しないので、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の直下のゲート酸化膜3部分は、該イオン注入によりダメージを受けることはない。更に、N型不純物は、ゲート5の底部までは達しないので、ゲート5の直下のゲート酸化膜3部分は、該イオン注入によりダメージを受けることはない。
ドレイン11−1及びソース11−2の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ドレイン11−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の外側端部及び第1のポケット領域8−1の外側端部と境界を接している。ソース11−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の外側端部及び第2のポケット領域8−2の外側端部と境界を接している。前述したように、ドレイン11−1及びソース11−2の不純物濃度は、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の不純物濃度より高い。更に、ドレイン11−1及びソース11−2は、P型不純物が導入された第1及び第2のポケット領域8−1、8−2の外側領域及びN型不純物が導入された第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の外側領域に選択的にN型不純物を導入して形成したため、ドレイン11−1及びソース11−2は、上部領域で濃度が高く、下部領域で濃度が低くなる。該イオン注入の後、レジストパターン58を既知の方法により除去する。
その後、前述のイオン注入工程で導入されたイオン、即ち、第1及び第2のポケット領域8−1、8−2中に導入されたP型不純物、並びに、ゲート5中、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2中、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2中、ドレイン11−1中及びソース11−2中に導入されたN型不純物を活性化するため、熱処理を行う。該熱処理は、RTA(Rapid Thermal Anneal)で行うことが可能である。具体的には、RTAは、1000℃の温度で10秒間行う。
図26(b)に示すように、ゲート側壁絶縁膜6上、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2上、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2上、及びゲート酸化膜3上に、シリコン酸化膜61を、既知の方法により堆積する。
図26(c)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、レジストパターン62を形成する。該レジストパターン62は、フィールド酸化膜2を覆うと共に、ゲート側壁絶縁膜6上、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2上、及び第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2上に亘り延在するシリコン酸化膜61の部分を覆い、ドレイン11−1及びソース11−2の上方にウインドウを有する。
図26(d)に示すように、レジストパターン62をマスクとして使用して、シリコン酸化膜61を選択的に除去することで、ドレイン11−1及びソース11−2の上面に延在するゲート酸化膜3を選択的に露出させる。その後、該レジストパターン62を既知の方法により除去する。
図27(a)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、レジストパターン63を形成する。該レジストパターン63は、ゲート5の上方にウインドウを有する。
図27(b)に示すように、該レジストパターン63をマスクとして使用して、ゲート5の上方に延在するゲート側壁絶縁膜6及び酸化膜61を選択的に除去し、ゲート5の上面を露出させる。結果、第1及び第2のゲート側壁絶縁膜6−1、6−2、及び第5及び第6のゲート側壁絶縁膜24−1、24−2を形成する。
図27(c)に示すように、該レジストパターン63を既知の方法により除去する。
図27(d)に示すように、ゲート5の露出上面、第1及び第2のゲート側壁絶縁膜6−1、6−2の内側上部、第5及び第6のゲート側壁絶縁膜24−1、24−2の上面及び側面、ドレイン11−1の露出上面、ソース11−2の露出上面、及びフィールド酸化膜2上に、既知の方法、例えば、スパッタリングによりCo(コバルト)膜60を堆積する。
図28に示すように、熱処理を行い、シリサイド化反応を起こす。該熱処理は、例えば、600℃の温度で30秒の時間行うことで、Co(コバルト)膜60とポリシリコンからなるゲート5の上面との界面、Co(コバルト)膜60とシリコンからなるドレイン11−1及びソース11−2の界面で、コバルトシリサイド反応を引き起こす。結果、ゲート5の上面、ドレイン11−1及びソース11−2の上面に延在するCo(コバルト)膜60が選択的にシリサイド化される。該熱処理の後、Co(コバルト)膜60の未反応部分のみウエットエッチングにより除去し、シリサイド反応した部分のみ残すことで、ゲート5の上面に第5のシリサイド層15を自己整合的に形成し、ドレイン11−1及びソース11−2の上面に第3及び第4のシリサイド層14−1、14−2をそれぞれ自己整合的に形成する。ここで、ゲート5と第5のシリサイド層15とは、オーミックコンタクトをとる。更に、ドレイン11−1及びソース11−2の上面と第3及び第4のシリサイド層14−1、14−2とは、それぞれ、オーミックコンタクトをとる。
前述した製造工程の結果、前述した第1及び第2のサイドウォール構造体が形成される。即ち、前述した製造工程の結果得られる第1のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第1の側壁に接する第1の絶縁性サイドウォール構造体と、ドレイン領域に含まれる第3のシリサイド層14−1の上部領域の内側端部に接する第3の絶縁性サイドウォール構造体と、該第1の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、該第3の絶縁性サイドウォール構造体により第3のシリサイド層14−1から離間され且つ電気的に絶縁される第1の導電性サイドウォール構造体とで構成される。
該第1の導電性サイドウォール構造体は、該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共、該第3の絶縁性サイドウォール構造体により前述のドレイン領域から電気的に絶縁される。該第1の導電性サイドウォール構造体は、該第1の絶縁性サイドウォール構造体、該第3の絶縁性サイドウォール構造体及びゲート絶縁膜3により、電気的に浮遊される。前述したように、該第1の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート5と該第1の導電性サイドウォール構造体との間に、第1の容量C1を提供する。ゲート絶縁膜3は、該第1の導電性サイドウォール構造体と第1のエクステンション9−1及びドレイン11−1との間に、第2の容量C2を提供する。該第3の絶縁性サイドウォール構造体は、該第1の導電性サイドウォール構造体と該第3のシリサイド層14−1との間に、第3の容量C3を提供する。ここで、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きい。更に、第1の容量C1の逆数は、第3の容量C3の逆数より大きい。この関係により、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるが、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。
該第1の導電性サイドウォール構造体は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1を含む。該第1のゲート側壁導電膜10−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第1の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、該第3の絶縁性サイドウォール構造体により前述のドレイン領域から離間且つ電気的に絶縁される。
該第1の絶縁性サイドウォール構造体は、第1のゲート側壁絶縁膜6−1と、第3のゲート側壁絶縁膜7−1とを含む。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の第1の側壁に接する。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側底部に接する外側底部を有する。該第3のゲート側壁絶縁膜7−1は、該第1のゲート側壁絶縁膜6−1により該ゲート構造体から離間されると共に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側側部に接する。該第1のゲート側壁絶縁膜6−1と該第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせは、該第1の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。
該第3の絶縁性サイドウォール構造体は、第5のゲート側壁絶縁膜24−1を含む。該第5のゲート側壁絶縁膜24−1は、該第1のゲート側壁絶縁膜6−1と該第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせの上部、並びに、該第1の導電性サイドウォール構造体の上部及び外側側壁に亘り延在する。第5のゲート側壁絶縁膜24−1は、該第1の導電性サイドウォール構造体を該ドレイン領域から離間すると共に電気的に絶縁する。
前述した製造工程の結果得られる第2のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第2の側壁に接する第2の絶縁性サイドウォール構造体と、ソース領域に含まれる第4のシリサイド層14−2の上部領域の内側端部に接する第4の絶縁性サイドウォール構造体と、該第2の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、該第4の絶縁性サイドウォール構造体により第4のシリサイド層14−2から離間され且つ電気的に絶縁される第2の導電性サイドウォール構造体とで構成される。
該第2の導電性サイドウォール構造体は、該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共、該第4の絶縁性サイドウォール構造体により前述のソース領域から電気的に絶縁される。該第2の導電性サイドウォール構造体は、該第2の絶縁性サイドウォール構造体、該第4の絶縁性サイドウォール構造体及びゲート絶縁膜3により、電気的に浮遊される。前述したように、該第2の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート5と該第2の導電性サイドウォール構造体との間に、第1の容量C1を提供する。ゲート絶縁膜3は、該第2の導電性サイドウォール構造体と第2のエクステンション9−2及びソース11−2との間に、第2の容量C2を提供する。該第4の絶縁性サイドウォール構造体は、該第2の導電性サイドウォール構造体と該第4のシリサイド層14−2との間に、第3の容量C3を提供する。ここで、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きい。更に、第1の容量C1の逆数は、第3の容量C3の逆数より大きい。この関係により、該第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つソース領域の電位とも異なるが、ゲート構造体の電位に比べソース領域の電位により強く追従する。
該第2の導電性サイドウォール構造体は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2を含む。該第2のゲート側壁導電膜10−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第2の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁され、更に、該第4の絶縁性サイドウォール構造体により前述のドレイン領域から離間且つ電気的に絶縁される。
該第2の絶縁性サイドウォール構造体は、第2のゲート側壁絶縁膜6−2と、第4のゲート側壁絶縁膜7−2とを含む。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の第2の側壁に接する。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側底部に接する外側底部を有する。該第4のゲート側壁絶縁膜7−2は、該第2のゲート側壁絶縁膜6−2により該ゲート構造体から離間されると共に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側側部に接する。該第2のゲート側壁絶縁膜6−2と該第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせは、該第2の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。
該第4の絶縁性サイドウォール構造体は、第6のゲート側壁絶縁膜24−2を含む。該第6のゲート側壁絶縁膜24−2は、該第2のゲート側壁絶縁膜6−2と該第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせの上部、並びに、該第2の導電性サイドウォール構造体の上部及び外側側壁に亘り延在する。第6のゲート側壁絶縁膜24−2は、該第2の導電性サイドウォール構造体を該ドレイン領域から離間すると共に電気的に絶縁する。
尚、前述した不純物の導電型や、各膜の膜厚や不純物濃度の記載は、あくまで一例であって、必ずしもその記載事項に限定されるものではない。更に、前述の実施形態同様、前述した電界効果型トランジスタを、スーパースティープレトログレードウェル(Super Steep Retrograde Well)中に形成することも可能である。また、前述した電界効果型トランジスタを、SOI基板上、SOS基板上、或いはSOQ基板上に形成することも可能である。
(4)第4実施形態
本発明の第4の実施形態は、電界効果型トランジスタを提供する。図29は、本発明の第4の実施形態に係るトランジスタの構成を示す部分垂直断面図である。図30は、図29に示すトランジスタのゲート付近の電界を示す部分拡大垂直断面図である。本実施形態が前述した第1の実施形態と異なる主な点は、サイドウォール構造体に含まれる導電性サイドウォール構造体が、ゲート並びにドレイン及びソースから電気的に絶縁されると共に、ゲートの電位よりもドレイン及びソースの電位により強く追従する電位を有することである。
(構成)
本発明の第4の実施形態に係る電界効果型トランジスタは、図29に示すように、シリコン基板1上に設けられる。具体的には、フィールド酸化膜2がシリコン基板1上に選択的に設けられる。該フィールド酸化膜2は、シリコン基板1の活性領域を画定する。該活性領域には、P型ウェル4が設けられる。該電界効果型トランジスタは、該P型ウェル4に設けられる。該電界効果型トランジスタは、ゲート絶縁膜3と、該ゲート絶縁膜3上に設けられるゲート構造体と、該ゲート構造体の両側壁に設けられる第1及び第2のサイドウォール構造体と、ソース領域と、ドレイン領域と、該ソース領域と該ドレイン領域との間に画定されるチャネル領域とを含み得る。
該ドレイン領域は、ドレイン11−1と、該ドレイン11−1の内側であって且つゲート絶縁膜3の直下に延在する第1のエクステンション9−1と、該ドレイン11−1の内側であって且つ該第1のエクステンション9−1の直下に延在する第1のポケット領域8−1とを含み得る。ドレイン11−1の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ドレイン11−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の外側端部及び第1のポケット領域8−1の外側端部と接する。第1のポケット領域8−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の内側端部より更に内側に位置する。ドレイン11−1と第1のエクステンション9−1及び第1のポケット領域8−1との境界は、第1のサイドウォール構造体の外側端部より僅かに内側に位置する。ドレイン11−1の上部内側領域は、ゲート絶縁膜3の側部直下に位置する。該ドレイン領域を構成するドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1とは、実質同電位、即ちドレイン電位を有する。
該ソース領域は、ソース11−2と、該ソース11−2の内側であって且つゲート絶縁膜3の直下に延在する第2のエクステンション9−2と、該ソース11−2の内側であって且つ該第2のエクステンション9−2の直下に延在する第2のポケット領域8−2とを含み得る。ソース11−2の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ソース11−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の外側端部及び第2のポケット領域8−2の外側端部と接する。第2のポケット領域8−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の内側端部より更に内側に位置する。ソース11−2と第2のエクステンション9−2及び第2のポケット領域8−2との境界は、第2のサイドウォール構造体の外側端部より僅かに内側に位置する。ソース11−2の上部内側領域は、ゲート絶縁膜3の側部直下に位置する。該ソース領域を構成するソース11−2と、第2のエクステンション9−2とは、実質同電位、即ちソース電位を有する。
前述のゲート構造体は、ゲート絶縁膜3上に延在するゲート5を含み得る。該ゲート構造体を構成するゲート5は、実質同電位、即ちゲート電位を有する。
前述した第1のサイドウォール構造体は、ゲート絶縁膜3上に設けられる。この場合、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成する。また、この構成に代えて、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみに形成し、該第1のサイドウォール構造体の下には、ゲート絶縁膜3と異なる絶縁体を延在させてもよい。このゲート絶縁膜3と異なる絶縁体は、ゲート5とオーバーラップするようゲート5の第1の側壁近傍領域の下に延在させてもよい。即ち、第1のサイドウォール構造体は、第1の絶縁性層構造体上に設けられればよい。ここで、該第1の絶縁性層構造体は、ゲート5の外側に延在するゲート絶縁膜3の一部で構成してもよく、或いはこれに代えてゲート絶縁膜3と異なる絶縁体で構成してもよく、或いは、これらの組み合わせで構成してもよい。該組み合わせで構成する場合、多層構造としてもよく、或いはゲート5に近い領域にゲート絶縁膜3を延在させ、ゲート5から遠い領域にはゲート絶縁膜3と異なる絶縁膜を設けてもよい。以下、ゲート絶縁膜3がゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成され、前述した第1のサイドウォール構造体が、ゲート絶縁膜3上に設けられる場合を典型例として説明するが、前述したように、必ずしもこの構成に限定する必要はない。
該第1のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第1の側壁に接する第1の絶縁性サイドウォール構造体と、該第1の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、該ゲート絶縁膜3により該第1のエクステンション9−1とドレイン11−1とから離間され且つ電気的に絶縁される第1の導電性サイドウォール構造体とを含み得る。即ち、該第1の導電性サイドウォール構造体は、ゲート構造体及びドレイン領域から電気的に絶縁され、電気的に浮遊されている。
該第1の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート5と該第1の導電性サイドウォール構造体との間に、第1の容量C1を提供する。ゲート絶縁膜3は、該第1の導電性サイドウォール構造体と第1のエクステンション9−1及びドレイン11−1との間に、第2の容量C2を提供する。ここで、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きい。この関係により、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるが、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。容量Cの逆数は、該誘電体の誘電率εと面積Sとの積で誘電体の膜厚Tを割った値で与えられる。即ち、1/C=T/(εS)の関係が成立する。従って、一般的には、該第1の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート構造体と該第1の導電性サイドウォール構造体との距離は、ゲート絶縁膜3の膜厚より大きく構成することが可能である。いずれにしても、前述した関係、即ち、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きければ、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるものの、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。
該第1の導電性サイドウォール構造体は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1と、第7のゲート側壁導電膜25−1とを含み得る。該第1のゲート側壁導電膜10−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第1の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁される。該第7のゲート側壁導電膜25−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第1のゲート側壁導電膜10−1に接し、且つ該第1のゲート側壁導電膜10−1により該第1の絶縁性サイドウォール構造体から離間され、更に、該第1のゲート側壁導電膜10−1と電気的に導通し、更に、ゲート絶縁膜3により前述のドレイン領域を構成する第1のエクステンション9−1とドレイン11−1とから離間されると共に電気的に絶縁される。
該第1の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート側壁絶縁膜6と、第3のゲート側壁絶縁膜7−1とを含み得る。該ゲート側壁絶縁膜6は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の上面と第1及び第2の側壁とに接する。該ゲート側壁絶縁膜6は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側底部に接する外側底部を有する。該第3のゲート側壁絶縁膜7−1は、該ゲート側壁絶縁膜6により該ゲート構造体から離間されると共に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側側部に接する。該ゲート側壁絶縁膜6と該第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせは、該第1の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。
前述した第2のサイドウォール構造体は、ゲート絶縁膜3上に設けられる。この場合、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成する。また、この構成に代えて、ゲート絶縁膜3は、ゲート5直下のみに形成し、該第2のサイドウォール構造体の下には、ゲート絶縁膜3と異なる絶縁体を延在させてもよい。このゲート絶縁膜3と異なる絶縁体は、ゲート5とオーバーラップするようゲート5の第2の側壁近傍領域の下に延在させてもよい。即ち、第2のサイドウォール構造体は、第2の絶縁性層構造体上に設けられればよい。ここで、該第2の絶縁性層構造体は、ゲート5の外側に延在するゲート絶縁膜3の一部で構成してもよく、或いはこれに代えてゲート絶縁膜3と異なる絶縁体で構成してもよく、或いは、これらの組み合わせで構成してもよい。該組み合わせで構成する場合、多層構造としてもよく、或いはゲート5に近い領域にゲート絶縁膜3を延在させ、ゲート5から遠い領域にはゲート絶縁膜3と異なる絶縁膜を設けてもよい。以下、ゲート絶縁膜3がゲート5直下のみでなくその外側にも延在するよう構成され、前述した第2のサイドウォール構造体が、ゲート絶縁膜3上に設けられる場合を典型例として説明するが、前述したように、必ずしもこの構成に限定する必要はない。
該第2のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第2の側壁に接する第2の絶縁性サイドウォール構造体と、該第2の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、該ゲート絶縁膜3により該第2のエクステンション9−2とソース11−2とから離間され且つ電気的に絶縁される第2の導電性サイドウォール構造体とを含み得る。即ち、該第2の導電性サイドウォール構造体は、ゲート構造体及びドレイン領域から電気的に絶縁され、電気的に浮遊されている。
該第2の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート5と該第2の導電性サイドウォール構造体との間に、第1の容量C1を提供する。ゲート絶縁膜3は、該第2の導電性サイドウォール構造体と第2のエクステンション9−2及びソース11−2との間に、第2の容量C2を提供する。ここで、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きい。この関係により、該第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるが、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。容量Cの逆数は、該誘電体の誘電率εと面積Sとの積で誘電体の膜厚Tを割った値で与えられる。即ち、1/C=T/(εS)の関係が成立する。従って、一般的には、該第2の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート構造体と該第2の導電性サイドウォール構造体との距離は、ゲート絶縁膜3の膜厚より大きく構成することが可能である。いずれにしても、前述した関係、即ち、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きければ、該第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるものの、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。
該第2の導電性サイドウォール構造体は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2と、第8のゲート側壁導電膜25−2とを含み得る。該第2のゲート側壁導電膜10−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第2の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁される。該第8のゲート側壁導電膜25−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第2のゲート側壁導電膜10−2に接し、且つ該第2のゲート側壁導電膜10−2により該第2の絶縁性サイドウォール構造体から離間され、更に、該第2のゲート側壁導電膜10−2と電気的に導通し、更に、ゲート絶縁膜3により前述のドレイン領域を構成する第2のエクステンション9−2とソース11−2とから離間されると共に電気的に絶縁される。
該第2の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート側壁絶縁膜6と、第4のゲート側壁絶縁膜7−2とを含み得る。該ゲート側壁絶縁膜6は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の上面と第1及び第2の側壁とに接する。該ゲート側壁絶縁膜6は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側底部に接する外側底部を有する。該第4のゲート側壁絶縁膜7−2は、該ゲート側壁絶縁膜6により該ゲート構造体から離間されると共に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側側部に接する。該ゲート側壁絶縁膜6と該第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせは、該第2の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。
図30は、図29に示すトランジスタのゲート付近の電界を示す部分拡大垂直断面図である。ここで、ソースが0V、ゲートが0V、ドレインが1.5Vの電位をそれぞれとった場合のゲート付近の電界を示す。前述したように、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるが、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。具体的には、第1のゲート側壁導電膜10−1は、ゲート電位0Vに比べドレイン電位1.5Vにより強く追従するため、例えば、1.0Vの電位をとる可能性がある。従って、第1のゲート側壁導電膜10−1で構成される第1の導電性サイドウォール構造体が電気的に浮遊されていても、図30に示すように、第1のエクステンション9−1からゲート絶縁膜3を介してゲート5へ走る電界が生じるだけでなく、第1の導電性サイドウォール構造体から第1の絶縁性サイドウォール構造体を介してゲート構造体の第1の側面へ走る電界も生じる。更に、第1のエクステンション9−1からゲート絶縁膜3を介して第1のゲート側壁導電膜10−1へ走る電界が生じると共に、ドレイン11−1からゲート絶縁膜3を介して第7のゲート側壁導電膜25−1へ走る電界が生じる。即ち、第1の導電性サイドウォール構造体から第1の絶縁性サイドウォール構造体を介してゲート構造体の第1の側面へ走る電界が生じることで、第1のエクステンション9−1からゲート絶縁膜3を介してゲート5へ走る電界の集中が緩和される。換言すれば、第1の導電性サイドウォール構造体を含む第1のサイドウォール構造体の存在は、ゲート−ドレイン間の電界集中を緩和する。
バンド間トンネル電流は、ゲート−ドレイン間の電界集中が第1のエクステンション9−1内に急峻なバンドの曲がりを形成することにより起きる。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、前述した急峻なバンドの曲がりは起こらない。このため、前述した第1のサイドウォール構造体は、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
更に、前述した第1のエクステンション9−1の内側端部は、該ゲート構造体の第1の側壁と整合するか、或いは、僅かにオーバーラップ或いはオフセットしてもよい。該オーバーラップ或いはオフセットの量は、特に限定するものではないが、好ましくは、±10nmを超えないことが好ましい。即ち、前述した第1のエクステンション9−1と前述したゲート5との実質的に大きなオーバーラップ或いはオフセットは形成されない。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、ゲート電位に比較してよりドレイン電位に近い電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、ゲート5が高電位をとると、第1のエクステンション9−1の上部領域に蓄積層を形成し、且つ、ゲート5の下方のチャネル領域に反転層を形成する。このため、実質的に大きなオーバーラップ構造を有していないにもかかわらず、チャネル領域及び第1のエクステンション9−1での抵抗増大は発生しない。
従って、ゲート電位に比較してよりドレイン電位に近い電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含む前述した第1のサイドウォール構造体は、トランジスタの駆動能力を低下させることなく、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
以下、前述した構造の実現方法につき具体的に説明する。
前述したゲート構造体は、ゲート5の単層で構成し得るが、必ずしもこの構成に限定するものではない。前述したゲート構造体は、ゲートとしての役目を果たすことが可能な構成であればよい。前述したゲート構造体を、ゲート5単層で構成する場合、典型的には、以下のように構成することが可能である。ゲート5は、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ポリシリコン膜の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、150nmであってもよい。ゲート長さは、特に限定するものではないが、典型的には、130nmであってもよい。ゲート幅は、特に限定するものではない。
前述のゲート絶縁膜3は、絶縁体で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、例えば、SiON(シリコン酸窒化物)で構成することが可能である。ゲート絶縁膜3の膜厚は、特に限定するものではないが、例えば、20Åであってもよい。
第1のサイドウォール構造体は、第1の絶縁性サイドウォール構造体と第1の導電性サイドウォール構造体とからなる。
第1の絶縁性サイドウォール構造体は、膜構造を特に限定するものではなく、第1の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁するものであればよい。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、例えば、ゲート側壁絶縁膜6と第3のゲート側壁絶縁膜7−1とから構成し得る。ゲート側壁絶縁膜6と第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせは、オフセットスペーサーとしての役割を果たす。第1の絶縁性サイドウォール構造体は、絶縁体であれば特に限定するものではないが、典型的にはシリコン窒化物で構成することが可能である。第1の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、第1の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁することができればよく、特に限定するものでは無いが、典型的には20nmであってもよい。更に、第1の絶縁性サイドウォール構造体の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、前述のゲート構造体のゲート幅と同一の寸法にすることが可能である。
第1の導電性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第1の導電性サイドウォール構造体は、例えば、第1のゲート側壁導電膜10−1と、該第1のゲート側壁導電膜10−1に接する第7のゲート側壁導電膜25−1とで構成し得る。第1のゲート側壁導電膜10−1は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、2E20[1/cm3]であってもよい。第1のゲート側壁導電膜10−1の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第1のゲート側壁導電膜10−1の幅、即ちゲート幅方向の寸法は、前述したゲート構造体のゲート幅と同一であることが好ましい。第7のゲート側壁導電膜25−1は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、前述した第1のゲート側壁導電膜10−1と同一の2E20[1/cm3]であってもよい。第7のゲート側壁導電膜25−1の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、典型的には、ドレイン11−1の寸法と同一であってもよい。第7のゲート側壁導電膜25−1の幅、即ちゲート幅方向の寸法は、前述したゲート構造体のゲート幅と同一であることが好ましい。この場合、ドレイン11−1のコンタクトを形成するための第1のコンタクトホール26−1を該第7のゲート側壁導電膜25−1中及びゲート絶縁膜3中にそれぞれ形成する。該第7のゲート側壁導電膜25−1のゲート長さ方向における寸法を、ドレイン11−1の寸法より短くする場合、ドレインコンタクトを該第7のゲート側壁導電膜25−1より外側に形成してもよい。この場合、ゲート絶縁膜3中に第1のコンタクトホール26−1を形成してもよい。該第7のゲート側壁導電膜25−1の上面のレベルは、該第1のゲート側壁導電膜10−1、10−2、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2の上面レベルと実質同一である。該第7のゲート側壁導電膜25−1は、この時点では、不純物が導入されていないポリシリコンで構成される。従って、該第7及び第8のゲート側壁導電膜25−1、25−2に、該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の不純物と同一導電型の不純物を、概ね同一不純物濃度で導入することが可能である。
第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート電位に追従せず、ドレイン電位を追従すればよい。第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、必ずしも、ドレイン電位と同一である必要はない。そこで、第1の導電性サイドウォール構造体は、ゲート電位に比べてよりドレイン電位に近い電位をとるよう構成することが可能であり、このため、前述した関係、即ち、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きくなるよう、第1の絶縁性サイドウォール構造体及びゲート絶縁膜3を構成した。
第2のサイドウォール構造体は、前述した第1のサイドウォール構造体と同一の構造でもよく、或いは、異なる構造でもよい。前述したように、ゲートとドレインとの間の電界集中を緩和することが、本発明に係るトランジスタにとって重要となる。そこで、ドレイン側に位置する第1のサイドウォール構造体が、第1の導電性サイドウォール構造体を含み、更に、該第1の導電性サイドウォール構造体が、ゲート及びドレインから電気的に絶縁され、且つ第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きくすることで、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位が、ゲート電位に比較してよりドレインを強く追従するようにすればよい。従って、ソース側に位置する第2のサイドウォール構造体に、このような要求がない場合には、必ずしも、前述した第1の導電性サイドウォール構造体と同一の構造にする必要はない。例えば、第2のサイドウォール構造体を既知のサイドウォール構造体で構成することが可能である。また、第2のサイドウォール構造体を前述した第1のサイドウォール構造体と類似の構造、即ち、層構造は同一であるが、各膜厚や物質等が異なる構成とすることも可能である。しかし、第2のサイドウォール構造体が第1のサイドウォール構造体と同一の構造とすることで、トランジスタの製造工程の数を低減することが容易になる。以下、第2のサイドウォール構造体が第1のサイドウォール構造体と同一の構造とる場合につき説明する。
第2のサイドウォール構造体は、第2の絶縁性サイドウォール構造体と第2の導電性サイドウォール構造体とからなる。
第2の絶縁性サイドウォール構造体は、膜構造を特に限定するものではなく、第2の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁するものであればよい。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、例えば、ゲート側壁絶縁膜6と第4のゲート側壁絶縁膜7−2とから構成し得る。ゲート側壁絶縁膜6と第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせは、オフセットスペーサーとしての役割を果たす。第2の絶縁性サイドウォール構造体は、絶縁体であれば特に限定するものではないが、典型的にはシリコン窒化物で構成することが可能である。第2の絶縁性サイドウォール構造体の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、第2の導電性サイドウォール構造体をゲート構造体から離間し且つ電気的に絶縁することができればよく、特に限定するものでは無いが、典型的には20nmであってもよい。更に、第2の絶縁性サイドウォール構造体の幅、即ち、ゲート幅方向の寸法は、前述のゲート構造体のゲート幅と同一の寸法にすることが可能である。
第2の導電性サイドウォール構造体は、単一層構造で構成することも可能であるが、前述したように多層構造とすることも可能である。第2の導電性サイドウォール構造体は、例えば、第2のゲート側壁導電膜10−2と、該第2のゲート側壁導電膜10−2に接する第8のゲート側壁導電膜25−2とで構成し得る。第2のゲート側壁導電膜10−2は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、2E20[1/cm3]であってもよい。第2のゲート側壁導電膜10−2の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第2のゲート側壁導電膜10−2の幅、即ちゲート幅方向の寸法は、前述したゲート構造体のゲート幅と同一であることが好ましい。第8のゲート側壁導電膜25−2は、導電性物質で構成することが可能であり、特に物質を限定するものではないが、典型的には、不純物が導入されたポリシリコン膜で構成し得る。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、前述した第2のゲート側壁導電膜10−2と同一の2E20[1/cm3]であってもよい。第8のゲート側壁導電膜25―2の厚さ、即ち、ゲート長さ方向の寸法は、特に限定するものではないが、典型的には、ソース11−2の寸法と同一であってもよい。第8のゲート側壁導電膜25−2の幅、即ちゲート幅方向の寸法は、前述したゲート構造体のゲート幅と同一であることが好ましい。この場合、ソース11−2のコンタクトを形成するための第2のコンタクトホール26−2を該第8のゲート側壁導電膜25−2中及びゲート絶縁膜3中にそれぞれ形成する。該第8のゲート側壁導電膜25−2のゲート長さ方向における寸法を、ソース11−2の寸法より短くする場合、ソースコンタクトを該第8のゲート側壁導電膜25−2より外側に形成してもよい。この場合、ゲート絶縁膜3中に第2のコンタクトホール26−2を形成してもよい。該第8のゲート側壁導電膜25−1の上面のレベルは、該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2の上面レベルと実質同一である。該第8のゲート側壁導電膜25−2は、この時点では、不純物が導入されていないポリシリコンで構成される。従って、該第8のゲート側壁導電膜25−2に、該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の不純物と同一導電型の不純物を、概ね同一不純物濃度で導入することが可能である。
第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート電位に追従せず、ソース電位を追従すればよい。第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、必ずしも、ソース電位と同一である必要はない。そこで、第2の導電性サイドウォール構造体は、ゲート電位に比べてよりソース電位に近い電位をとるよう構成することが可能であり、このため、前述した関係、即ち、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きくなるよう、第2の絶縁性サイドウォール構造体及びゲート絶縁膜3を構成した。
前述したように、ドレイン領域は、ドレイン11−1と、第1のエクステンション9−1と、第1のポケット領域8−1とで構成し得る。ドレイン11−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該ドレイン11−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、ドレイン11−1は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ドレイン11−1の深さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。
第1のエクステンション9−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第1のエクステンション9−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、第1のエクステンション9−1は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、ドレイン11−1の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E20[1/cm3]であってもよい。第1のエクステンション9−1の深さは、ドレイン11−1の深さより浅ければ特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第1のエクステンション9−1の外側端部は、ドレイン11−1の内側端部で画定される。第1のエクステンション9−1の内側端部は、ゲート構造体の第1の側壁にほぼ整合し、該第1のエクステンション9−1がゲート5に対して大きくオーバーラップもオフセットもしないことが好ましい。具体的には、第1のエクステンション9−1の内側端部は、ゲート構造体の第1の側壁に対して±10nmの誤差で整合することが好ましい。
第1のポケット領域8−1は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第1のポケット領域8−1が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、P型不純物で構成することが可能である。即ち、第1のポケット領域8−1は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、第1のエクステンション9−1の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E18[1/cm3]であってもよい。第1のポケット領域8−1の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。第1のポケット領域8−1の外側端部は、ドレイン11−1の内側端部で画定される。第1のポケット領域8−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の内側端部より内側且つゲート構造体の第1の側壁より内側に位置することが好ましいが、必ずしもその必要はない。
ソース領域は、ドレイン領域と同一の構造でもよく、或いは異なる構造でもよい。前述したように、ゲートとドレインとの間のバンド間トンネル電流を抑制することが、本発明に係るトランジスタにとって重要となる。従って、ソース領域に、このような要求がない場合には、必ずしも、前述したドレイン領域と同一の構造にする必要はない。例えば、ソース領域を既知の構成とすることが可能である。また、ソース領域を前述したドレイン領域と類似の構造、即ち、層構造は同一であるが、各層厚や不純物の濃度等が異なる構成とすることも可能である。しかし、ソース領域がドレイン領域と同一の構造とすることで、トランジスタの製造工程の数を低減することが容易になる。以下、ソース領域がドレイン領域と同一の構造とる場合につき説明する。
前述したように、ソース領域は、ソース11−2と、第2のエクステンション9−2と、第2のポケット領域8−2とで構成し得る。ソース11−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該ソース11−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、ソース11−2は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、特に限定するものではないが、典型的には、2E20[1/cm3]であってもよい。ソース11−2の深さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。
第2のエクステンション9−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第2のエクステンション9−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、N型不純物で構成することが可能である。即ち、第2のエクステンション9−2は、N型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、ソース11−2の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E20[1/cm3]であってもよい。第2のエクステンション9−2の深さは、ソース11−2の深さより浅ければ特に限定するものではないが、典型的には、50nmであってもよい。第2のエクステンション9−2の外側端部は、ソース11−2の内側端部で画定される。第2のエクステンション9−2の内側端部は、ゲート構造体の第2の側壁にほぼ整合し、該第2のエクステンション9−2がゲート5に対して大きくオーバーラップもオフセットもしないことが好ましい。具体的には、第2のエクステンション9−2の内側端部は、ゲート構造体の第2の側壁に対して±10nmの誤差で整合することが好ましい。
第2のポケット領域8−2は、不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。該第2のポケット領域8−2が、P型ウェル4に形成される場合、該不純物は、P型不純物で構成することが可能である。即ち、第2のポケット領域8−2は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。不純物の濃度は、第2のエクステンション9−2の不純物の濃度より低ければ特に限定するものではないが、典型的には、1E18[1/cm3]であってもよい。第2のポケット領域8−2の厚さは、特に限定するものではないが、典型的には、200nmであってもよい。第2のポケット領域8−2の外側端部は、ソース11−2の内側端部で画定される。第2のポケット領域8−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の内側端部より内側且つゲート構造体の第2の側壁より内側に位置することが好ましいが、必ずしもその必要はない。
シリコン基板1中に形成されるP型ウェル4は、P型不純物が導入されたシリコンで構成することが可能である。濃度は、特に限定されるものではないが、典型的には、5E17[1/cm3]であってもよい。
(効果)
バンド間トンネル電流は、ゲート−ドレイン間の電界が、第1のエクステンション9−1内に急峻なバンドの曲がりを形成することにより起きる。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、ゲート電位に比べてよりドレイン電位に強く追従する第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、前述した急峻なバンドの曲がりは起こらない。このため、前述した第1のサイドウォール構造体は、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
更に、前述した第1のエクステンション9−1の内側端部は、該ゲート構造体の第1の側壁と整合するか、或いは、僅かにオーバーラップ或いはオフセットしてもよい。該オーバーラップ或いはオフセットの量は、特に限定するものではないが、好ましくは、±10nmを超えないことが好ましい。即ち、前述した第1のエクステンション9−1と前述したゲート5との実質的に大きなオーバーラップ或いはオフセットは形成されない。しかし、前述した第1のサイドウォール構造体が、実質的にドレインと同電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含んでいるため、ゲート5が高電位をとると、第1のエクステンション9−1の上部領域に蓄積層を形成し、且つ、ゲート5の下方のチャネル領域に反転層を形成する。このため、実質的に大きなオーバーラップ構造を有していないにもかかわらず、チャネル領域及び第1のエクステンション9−1での抵抗増大は発生しない。
従って、ゲート電位に比べドレイン電位により強く追従する電位をとる第1の導電性サイドウォール構造体を含む前述した第1のサイドウォール構造体は、トランジスタの駆動能力を低下させることなく、バンド間トンネル電流を抑制することを可能にする。
(製造方法)
図31乃至図35は、本発明の第4の実施形態に係るトランジスタの一連の製造工程を示す部分垂直断面図である。図29及び図30に示したトランジスタの製造方法につき、図を参照しながら、以下説明する。
図31(a)に示すように、シリコン基板1の表面を酸化することで、該表面上に膜厚10nmのパッド酸化膜51を形成する。
図31(b)に示すように、パッド酸化膜51上に既知のデポジション方法で窒化膜を堆積し、該窒化膜を既知の方法でパターニングすることで、パッド酸化膜51上に選択的に窒化膜パターン52を形成する。
図31(c)に示すように、窒化膜パターン52をマスクとして使用し、既知のLOCOS酸化(Local Oxidation Of Silicon)を行うことで、シリコン基板1の表面に選択的にフィールド酸化膜2を形成する。
図31(d)に示すように、窒化膜パターン52とフィールド酸化膜2とを既知のドライエッチングにより除去し、フィールド酸化膜2で覆われていないシリコン基板1の表面を露出させる。
図32(a)に示すように、シリコン基板1の露出表面を熱酸化することにより、膜厚2nmのゲート酸化膜3を該露出表面上に形成する。
図32(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2を覆うと共に、ゲート酸化膜3上にウインドウを有するレジストパターン53を形成する。
図32(c)に示すように、該レジストパターン53をマスクとして使用して、選択的にイオン注入を行うことで、シリコン基板1の上部領域に選択的にP型ウェル4を形成する。該イオン注入は、基板面に対し垂直方向から、P型イオン種としてBF2を使用して、加速エネルギー80KeV、ドーズ量5E12[1/cm2]の条件の下で行うことができる。イオン種BF2は、ゲート酸化膜3を貫通してシリコン基板1の上部領域に打ち込まれる。この場合、P型ウェル4の深さは、200nmとなる。
図32(d)に示すように、該レジストパターン53を既知の方法により除去する。
図33(a)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚1500Åのポリシリコン膜54をゲート酸化膜3上及びフィールド酸化膜2上に亘り堆積する。
図33(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、ポリシリコン膜54を覆うと共に、ゲート酸化膜3の上方にウインドウを有するレジストパターン55を形成する。該レジストパターン55をマスクとして使用して、N型イオン種としてP(リン)を選択的にポリシリコン膜54にイオン注入する。該イオン注入は、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー15KeV、ドーズ量2E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、ゲート酸化膜3上に延在するポリシリコン膜54にN型不純物を導入する。
図33(c)に示すように、該レジストパターン55を除去し、その後、リソグラフィー技術により、新たなレジストパターンをポリシリコン膜54上に形成する。その後、該新たなレジストパターンをマスクとして使用して、ポリシリコン膜54をパターニングすることで、不純物が導入されたポリシリコンからなるゲート5を、ゲート酸化膜3上に選択的に形成する。ポリシリコン膜54のパターニングは、ドライエッチングを使用して行うことが可能である。ゲートの長さと幅は、前述した通りである。具体的には、ゲート長さは、特に限定する必要はないが、典型的には100nmであってもよい。また、ゲート幅は、特に限定する必要はない。
図33(d)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚70nmの酸化膜56を、ゲート5の上面及び側壁、更に、ゲート絶縁膜3上、並びに、フィールド酸化膜2上に形成する。
図34(a)に示すように、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚10nmの窒化膜を酸化膜56上に堆積する。その後、ドライエッチングにより、窒化膜と酸化膜56とをエッチングし、ゲート5の上面及び側壁のみ残すことで、ゲート5の上面及び側壁のみに延在するゲート側壁絶縁膜6と、ゲート5の側壁のみに延在する第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2とを選択的に形成する。ここで、ゲート5の側壁に位置するゲート側壁絶縁膜6と第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2との組み合わせは、サイドウォールスペーサーとしての役割を果たす。
図34(b)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2上に選択的にレジストパターン57を形成する。ここで、レジストパターン57の端部とサイドウォールスペーサーとの距離を0.5μmにする。その後、該レジストパターン57及びゲート5、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2をマスクとして使用して、基板面に対し斜め方向から、P型イオン種としてBF2(二弗化ホウ素)を選択的にP型ウェル4にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、シリコン基板1を回転させながら、基板面に30度の傾斜角度で、加速エネルギー80KeV、ドーズ量2E13[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、P型ウェル4に、底部の深さが200nm且つ不純物濃度が1E18[1/cm3]の第1及び第2のポケット領域8−1、8−2を選択的に形成する。この段階では、イオン注入された不純物の活性化のための熱処理は行わない。第1及び第2のポケット領域8−1、8−2は、ゲート絶縁膜3から離間した深い領域において、フィールド酸化膜2から内側に向かって延在する。第1及び第2のポケット領域8−1、8−2の内側端部は、イオンの斜め打ち込みにより形成するので、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2より内側に位置する。
図34(c)に示すように、前述のレジストパターン57及びゲート5、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2をマスクとして再度使用して、基板面に対し垂直方向から、N型イオン種としてAs(砒素)を選択的にP型ウェル4にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー5KeV、ドーズ量1E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、P型ウェル4に、底部の深さが50nm且つ不純物濃度が2E20[1/cm3]の第1及び第2のエクステンション9−1、9−2を選択的に形成する。第1及び第2のエクステンション9−1、9−2は、第1及び第2のポケット領域8−1、8−2上、且つゲート酸化膜3下に延在する。第1及び第2のエクステンション9−1、9−2は、イオンの垂直方向での打ち込みにより形成するので、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に概ね自己整合する。具体的には、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に±10nmの誤差で整合する。換言すると、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の内側端部は、ゲート5に自己整合するか、或いは、10nm以内の量だけオーバーラップするか、或いは、10nm以内の量だけオフセットする。この段階では、イオン注入された不純物の活性化のための熱処理は行わない。その後、レジストパターン57を既知の方法で除去する。
図34(d)に示すように、フィールド酸化膜2、ゲート絶縁膜3、ゲート側壁絶縁膜6、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2上に、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚50nmのポリシリコン膜を堆積する。その後、該ポリシリコン膜をドライエッチングにより選択的に除去し、ゲート5の側壁に位置すると共に、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2に接する部分のみ残すことで、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2を形成する。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2は、ゲート酸化膜3上であって且つゲート5の側壁近傍に位置すると共に、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2に接する。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2のゲート長さ方向における寸法は、50nmである。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の上面のレベルは、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2の上面レベルと実質同一である。該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2は、この時点では、不純物が導入されていないポリシリコンで構成される。
図35(a)に示すように、既知のリソグラフィー技術により、フィールド酸化膜2上に選択的にレジストパターン58を形成する。その後、該レジストパターン58、ゲート5、ゲート側壁絶縁膜6、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2をマスクとして使用して、N型イオン種としてP(リン)を、ゲート5及び第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2、並びに、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2及び第1及び第2のポケット領域8−1、8−2に選択的にイオン注入する。該イオン注入は、具体的には、基板面に対し垂直方向から、加速エネルギー20KeV、ドーズ量5E15[1/cm2]の条件の下で行うことができる。結果、不純物が導入されたポリシリコンからなるゲート5と、不純物が導入されたポリシリコンからなる第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2とを形成すると共に、P型ウェル4中には、ドレイン11−1及びソース11−2を選択的に形成する。
N型不純物は、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の底部までは達しないので、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の直下のゲート酸化膜3部分は、該イオン注入によりダメージを受けることはない。更に、N型不純物は、ゲート5の底部までは達しないので、ゲート5の直下のゲート酸化膜3部分は、該イオン注入によりダメージを受けることはない。
ドレイン11−1及びソース11−2の外側端部は、フィールド酸化膜2で画定される。ドレイン11−1の内側端部は、第1のエクステンション9−1の外側端部及び第1のポケット領域8−1の外側端部と境界を接している。ソース11−2の内側端部は、第2のエクステンション9−2の外側端部及び第2のポケット領域8−2の外側端部と境界を接している。前述したように、ドレイン11−1及びソース11−2の不純物濃度は、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の不純物濃度より高い。更に、ドレイン11−1及びソース11−2は、P型不純物が導入された第1及び第2のポケット領域8−1、8−2の外側領域及びN型不純物が導入された第1及び第2のエクステンション9−1、9−2の外側領域に選択的にN型不純物を導入して形成したため、ドレイン11−1及びソース11−2は、上部領域で濃度が高く、下部領域で濃度が低くなる。
その後、前述のイオン注入工程で導入されたイオン、即ち、第1及び第2のポケット領域8−1、8−2中に導入されたP型不純物、並びに、ゲート5中、第1及び第2のエクステンション9−1、9−2中、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2中、ドレイン11−1中及びソース11−2中に導入されたN型不純物を活性化するため、熱処理を行う。該熱処理は、RTA(Rapid Thermal Anneal)で行うことが可能である。具体的には、RTAは、1000℃の温度で10秒間行う。
図35(b)に示すように、該イオン注入の後、レジストパターン58を既知の方法により除去する。
図35(c)に示すように、フィールド酸化膜2、ゲート絶縁膜3、ゲート側壁絶縁膜6、第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2上に、既知の熱CVD(Thermal Chemical Vapor Deposition)法により、ポリシリコン膜を堆積する。その後、該ポリシリコン膜をドライエッチングにより選択的に除去し、第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の外側側壁に接すると共に、ドレイン11−1及びソース11−2の上方且つゲート酸化膜3の直上に延在する部分のみ残すことで、第7及び第8のゲート側壁導電膜25−1、25−2を形成する。ここで、該第7及び第8のゲート側壁導電膜25−1、25−2中及びゲート絶縁膜3中に、第1及び第2のコンタクトホール26−1、26−2がそれぞれ形成されるように、前述のドライエッチングを行う。該第7及び第8のゲート側壁導電膜25−1、25−2は、ドレイン11−1及びソース11−2の上方且つゲート酸化膜3直上であって、更に該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の外側側壁に接するよう形成される。該第7及び第8のゲート側壁導電膜25−1、25−2のゲート長さ方向における寸法は、ドレイン11−1及びソース11−2の寸法と同一にすることが可能である。この場合、ドレイン11−1及びソース11−2のコンタクトを形成するための第1及び第2のコンタクトホール26−1、26−2を該第7及び第8のゲート側壁導電膜25−1、25−2中及びゲート絶縁膜3中にそれぞれ形成する。該第7及び第8のゲート側壁導電膜25−1、25−2のゲート長さ方向における寸法を、ドレイン11−1及びソース11−2の寸法より短くする場合、ドレインコンタクト及びソースコンタクトを該第7及び第8のゲート側壁導電膜25−1、25−2より外側に形成してもよい。この場合、ゲート絶縁膜3中に第1及び第2のコンタクトホール26−1、26−2を形成してもよい。該第7及び第8のゲート側壁導電膜25−1、25−2の上面のレベルは、該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2、ゲート側壁絶縁膜6及び第3及び第4のゲート側壁絶縁膜7−1、7−2の上面レベルと実質同一である。該第7及び第8のゲート側壁導電膜25−1、25−2は、この時点では、不純物が導入されていないポリシリコンで構成される。従って、該第7及び第8のゲート側壁導電膜25−1、25−2に、該第1及び第2のゲート側壁導電膜10−1、10−2の不純物と同一導電型の不純物を、概ね同一不純物濃度で導入することが可能である。
前述した製造工程の結果、前述した第1及び第2のサイドウォール構造体が形成される。即ち、前述した製造工程の結果得られる第1のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第1の側壁に接する第1の絶縁性サイドウォール構造体と、該第1の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、該ゲート絶縁膜3により第1のエクステンション9−1及びドレイン11−1から離間され且つ電気的に絶縁される第1の導電性サイドウォール構造体とで構成される。
該第1の導電性サイドウォール構造体は、該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共、該ゲート絶縁膜3により前述のドレイン領域から電気的に絶縁される。該第1の導電性サイドウォール構造体は、該第1の絶縁性サイドウォール構造体及びゲート絶縁膜3により、電気的に浮遊される。前述したように、該第1の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート5と該第1の導電性サイドウォール構造体との間に、第1の容量C1を提供する。ゲート絶縁膜3は、該第1の導電性サイドウォール構造体と第1のエクステンション9−1及びドレイン11−1との間に、第2の容量C2を提供する。ここで、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きい。この関係により、該第1の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるが、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。
該第1の導電性サイドウォール構造体は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1と、第7のゲート側壁導電膜25−1とを含む。該第1のゲート側壁導電膜10−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に該第1の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第1の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁される。該第7のゲート側壁導電膜25−1は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第1のゲート側壁導電膜10−1に接し、且つ該第1のゲート側壁導電膜10−1により該第1の絶縁性サイドウォール構造体から離間され、更に、該第1のゲート側壁導電膜10−1と電気的に導通し、更に、ゲート絶縁膜3により前述のドレイン領域を構成する第1のエクステンション9−1とドレイン11−1とから離間されると共に電気的に絶縁される。
該第1の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート側壁絶縁膜6と、第3のゲート側壁絶縁膜7−1とを含む。該ゲート側壁絶縁膜6は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の上面と第1及び第2の側壁とに接する。該ゲート側壁絶縁膜6は、更に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側底部に接する外側底部を有する。該第3のゲート側壁絶縁膜7−1は、該ゲート側壁絶縁膜6により該ゲート構造体から離間されると共に、第1のゲート側壁導電膜10−1の内側側部に接する。該ゲート側壁絶縁膜6と該第3のゲート側壁絶縁膜7−1との組み合わせは、該第1の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。
前述した製造工程の結果得られる第2のサイドウォール構造体は、ゲート構造体の第2の側壁に接する第2の絶縁性サイドウォール構造体と、該第2の絶縁性サイドウォール構造体によりゲート構造体から離間され且つ電気的に絶縁されると共に、該ゲート絶縁膜3により第2のエクステンション9−2及びソース11−2から離間され且つ電気的に絶縁される第2の導電性サイドウォール構造体とで構成される。
該第2の導電性サイドウォール構造体は、該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から電気的に絶縁されると共、該ゲート絶縁膜3により前述のソース領域から電気的に絶縁される。該第2の導電性サイドウォール構造体は、該第2の絶縁性サイドウォール構造体及びゲート絶縁膜3により、電気的に浮遊される。前述したように、該第2の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート5と該第2の導電性サイドウォール構造体との間に、第1の容量C1を提供する。ゲート絶縁膜3は、該第2の導電性サイドウォール構造体と第2のエクステンション9−2及びソース11−2との間に、第2の容量C2を提供する。ここで、第1の容量C1の逆数は、第2の容量C2の逆数より大きい。この関係により、該第2の導電性サイドウォール構造体の電位は、ゲート構造体の電位と異なり、且つドレイン領域の電位とも異なるが、ゲート構造体の電位に比べドレイン領域の電位により強く追従する。
該第2の導電性サイドウォール構造体は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2と、第8のゲート側壁導電膜25−2とを含む。該第2のゲート側壁導電膜10−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第2の絶縁性サイドウォール構造体に接し、且つ該第2の絶縁性サイドウォール構造体により該ゲート構造体から離間且つ電気的に絶縁される。該第8のゲート側壁導電膜25−2は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該第2のゲート側壁導電膜10−2に接し、且つ該第2のゲート側壁導電膜10−2により該第1の絶縁性サイドウォール構造体から離間され、更に、該第2のゲート側壁導電膜10−2と電気的に導通し、更に、ゲート絶縁膜3により前述のドレイン領域を構成する第2のエクステンション9−2とソース11−2とから離間されると共に電気的に絶縁される。
該第2の絶縁性サイドウォール構造体は、ゲート側壁絶縁膜6と、第4のゲート側壁絶縁膜7−2とを含む。該ゲート側壁絶縁膜6は、ゲート絶縁膜3上に延在すると共に、該ゲート構造体の上面と第1及び第2の側壁とに接する。該ゲート側壁絶縁膜6は、更に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側底部に接する外側底部を有する。該第4のゲート側壁絶縁膜7−2は、該ゲート側壁絶縁膜6により該ゲート構造体から離間されると共に、第2のゲート側壁導電膜10−2の内側側部に接する。該ゲート側壁絶縁膜6と該第4のゲート側壁絶縁膜7−2との組み合わせは、該第2の導電性サイドウォール構造体を該ゲート構造体から離間すると共に電気的に絶縁する。
尚、前述した不純物の導電型や、各膜の膜厚や不純物濃度の記載は、あくまで一例であって、必ずしもその記載事項に限定されるものではない。更に、前述の実施形態同様、前述した電界効果型トランジスタを、スーパースティープレトログレードウェル(Super Steep Retrograde Well)中に形成することも可能である。また、前述した電界効果型トランジスタを、SOI基板上、SOS基板上、或いはSOQ基板上に形成することも可能である。