JP2007127681A - プラスチックレンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レンズ基材表面にプライマー層とハードコート層を介して基材側からSiO2層とZrO2層を交互に積層し、眼鏡用プラスチックレンズ表面に7層の反射防止膜を構築する。この時、前記レンズ基材側から第3層目となる屈折率層を他の層よりも厚く構成する。この反射防止膜の屈折率層の構造は第1〜第3の屈折率層の膜厚の総和を180〜220nmとし、第1の屈折率層の膜厚を10〜50nmとし、第3の屈折率層の膜厚を150〜190nmとし、更に第1層〜第3層のみをイオンアシスト照射下で蒸着させる。
【選択図】 図1
Description
反射防止膜のクラック発生の要因はいくつか考えられるがレンズ基材との膨張率の差に基づく(実際にはレンズ基材はハードコート層等の中間層に被覆されていることが多いためその場合にはそれら中間層を含めた膨張率の差)引っ張り応力が最も大きな要因として考えられる。そのため、クラック防止手段として反射防止膜の層構造でレンズ基材側に密着して配置される第1層の厚さを増すことによって第1層の内部抵抗を大きくするということが考えられる。
クラック防止を直接的に意図した技術ではないが、この発想に近い技術である特許文献1を挙げる。特許文献1は5層構造の反射防止膜において主として擦傷性の向上のために反射防止膜の第1層(下地層)を厚くする技術であり、第1層(下地層)を厚くすることによって反射防止膜のレンズ基材への密着度を高めるというものである。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、光学性能を維持したまま耐熱性の向上を図ることの可能な7層構造以上の反射防止膜が形成されたプラスチックレンズを提供することにある。
請求項2の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、第1〜第3の前記屈折率層の膜厚の総和が180〜220nmであることをその要旨とする。
請求項3の発明では請求項2に記載の発明の構成に加え、第1の前記屈折率層の膜厚が10〜50nmであることをその要旨とする。
請求項4の発明では請求項2又は3に記載の発明の構成に加え、第3の前記屈折率層の膜厚が150〜190nmであることをその要旨とする。
請求項5の発明では請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成に加え、奇数屈折率層をSiO2層で構成するようにしたことをその要旨とする。
請求項6の発明では請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記反射防止膜のうち第1層〜第3層のみがイオンアシスト照射下で蒸着されていることをその要旨とする。
請求項7の発明では請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記反射防止膜のうち第1層及び第3層のみがイオンアシスト照射下で蒸着されていることをその要旨とする。
請求項8の発明では請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記反射防止膜のうち第3層のみがイオンアシスト照射下で蒸着されていることをその要旨とする。
請求項9の発明では請求項1〜8のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記中間層はオルガノシロキサン系ハードコート膜であることをその要旨とする。
請求項10の発明では請求項9に記載の発明の構成に加え、前記中間層は前記ハードコート膜と、同ハードコート膜の下層膜としてプライマー膜から構成されていることをその要旨とする。
更に、第3の屈折率層の膜厚が150〜190nmであることが好ましい。第3の屈折率層はクラック発生防止のバッファ層としての効果と光学特性とを考慮するとこの範囲がもっとも両方の機能を発揮する領域とされる。
プラスチックレンズは眼鏡用レンズのみならず双眼鏡、望遠鏡のレンズ等も含む概念である。プラスチックとしては例えばアクリル樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エピスルフィド樹脂、ポリエ−テルサルホン樹脂ポリ4-メチルペンテン-1樹脂、ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボネ−ト樹脂等が挙げられる。
中間層としてハードコート層の下層膜にプライマー層を配置してもよい。プライマー層はハードコート層とレンズ基材との密着性の向上のためこの位置に配置される連結層であって、例えばポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、有機ケイ素系樹脂等から構成される。プライマー層は一般にレンズ基材をプライマー液に浸漬させて成膜させる。プライマー液は水又はアルコール系の溶媒にこれらから選択された樹脂材料と無機酸化物微粒子ゾルを混合させた液である。これらの樹脂の中では、特にウレタン樹脂が好適である。
ここに、イオンアシスト照射はイオンアシスト蒸着法(エネルギーイオン化蒸着法)において蒸発した分子の一部を電子ビーム源でイオン化し、レンズ基材に向けて加速させながら照射させることであって蒸着分子のエネルギーレベルの向上を図ることが可能となる。本発明ではイオン化ガス源としては酸素やアルゴンの使用が可能である。
(a)60℃、70℃、80℃、90℃の各温度に設定された加熱槽を用意し、各加熱槽内に試料レンズ(実施例)を置いて、クラック発生の有無を観察した。低温の加熱槽から順次高温の加熱槽へと移しながらクラックの状況を確認した。
(b)各加熱槽内に試料レンズを導入して加熱し、5分経過した段階で取り出して25℃前後の室温にてクラックの有無を確認した。クラック確認作業は同時にいくつかの試料レンズに対して行うため2〜3分程度の時間を要した。クラックの有無の確認後、再度加熱槽に導入し上記を繰り返す。このような加熱槽への出し入れを各加熱槽で6回以内(トータルで最大30分の加熱)で繰り返し行った。クラックの状態は白熱電球(60W)と高輝度光源としてのセナーを使用して暗箱中にて目視確認で行った。
イ)クラックが確認されない場合には上記回数に至るまで当該加熱槽で5分ずつ加熱を繰り返す。
ロ)クラックが確認された場合にはその段階で加熱を終了する。
ハ)トータル30分の間まったくクラックが確認されなかった場合には、その次に高温の加熱槽で上記加熱を繰り返す。
(c)評価結果の基準
イ)○ : 30分の加熱でまったくクラックが生じなかった場合
ロ)Tmin消失: T分の加熱においてクラックが生じたが、室温において確認時間内で消失した場合(T=5,10,15,20,25,30)
ハ)Tmin残留: T分の加熱においてクラックが生じ室温において確認時間内で消失できなかった場合(T=5,10,15,20,25,30)
(a)図1に実施例と比較例の光学特性についての特性図を示す。図1において縦軸が反射率で横軸が波長となる。
本実施例及び比較例では下記の中間層としてのハードコート層及びプライマー層を備えた眼鏡用プラスチックレンズを使用した。
[基材]
ビス(β―エピチオプロピル)スルフィド85重量部、チオフェノール15重量部に、触媒として2−ジエタノールアミノエタノール0.5重量部を室温で均一溶液とした。次にこの液をレンズ用モールドに注入し、脱気後に引続きオーブン中で10℃から120℃まで22時間をかけてゆっくりと重合硬化させ、屈折率1.698、アッベ数36の光学特性を有する度数0.00のフラットレンズを形成した。これを玉型加工したものを試料レンズとした。
[第1層目]
A.プライマー層の形成
ブロック型のポリイソシアネート「コロネート2529」(日本ポリウレタン工業社)25重量部、ポリエステルポリオール「ニッポラン1100」(日本ポリウレタン工業社)18重量部、エチルセロソルブ100重量部を混合して、そこへ市販の酸化スズと酸化タングステンの複合ゾル(メタノール分散ゾル、平均粒子径10−15nm、酸化スズと酸化タングステンの比率100重量部/40重量部、固形分30%)を140重量部、シリコーン系界面活性剤を0.15重量部添加し、充分に撹拌混合することにより、プライマー液を調整した。
この液を上記の基材上に引き上げ速度10cm/minでディッピングしてコートした。塗布したレンズは120℃で30分間加熱硬化し、1.0μのプライマー層を成膜した。
B.ハードコート層の形成
反応容器中に、エタノール206g、メタノール分散チタニア系ゾル300g(触媒化成工業社品 固形分30%)、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン60g、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン30g、テトラエトキシシラン60gを滴下し、その混合液中に0.01Nの塩酸水溶液を滴下、攪拌して加水分解を行った。次にフロー調整剤0.5g(日本ユニカ社L−7604)および触媒1.0gを加え、室温で3時間攪拌してハードコート液を調整した。このハードコート液をディッピング法で塗布し、風乾後、110℃×2h加熱硬化させて、膜厚2.0μのハードコート層を成膜した。
C.反射防止膜の形成
上記のハードコートレンズを真空槽内にセットし、基本的に真空蒸着法によって蒸着処理を行った。各実施例及び比較例に応じて適宜イオンアシスト蒸着法に変更して蒸着処理を行った。
膜の構成はいずれの実施例及び比較例も、基材側から順にSiO2層とZrO2層を交互に配置した構造とした。つまり1,3,5,7の奇数層をSiO2層とし、2,4,6の偶数層をZrO2層とした。
(実施例1)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表1の通りである。第1層の物理膜厚50.69nm(光学膜厚0.150λ)、第3層の物理膜厚150.39nm(光学膜厚0.445λ)、第1層〜第3層の物理膜厚209.11nmとした。実施例1では第1層と第3層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度0.7nm/secとし、イオン源として酸素イオンを使用した。それら以外の層は真空蒸着法(真空度5.0×10-3Pa)によって成膜した。
<結果>
耐熱性能については表2にその結果をまとめた。光学性能については図1にその特性を示す。
(実施例2)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表1の通りである。第1層の物理膜厚50.69nm(光学膜厚0.150λ)、第3層の物理膜厚150.39nm(光学膜厚0.445λ)、第1層〜第3層の物理膜厚209.11nmとした。実施例2ではイオンアシスト照射はせず、真空蒸着法(SiO2層については真空度1.0×10-3、ZrO2層については真空度5.0×10-3)によって成膜した。
<結果>
耐熱性能については表2にその結果をまとめた。光学性能については図1にその特性を示す。
(実施例3)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表1の通りである。第1層の物理膜厚50.69nm(光学膜厚0.150λ)、第3層の物理膜厚150.39nm(光学膜厚0.445λ)、第1層〜第3層の物理膜厚209.11nmとした。実施例3では第3層のみについてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は実施例1と同様である。それら以外の層は真空蒸着法(SiO2層については真空度1.0×10-3、ZrO2層については真空度5.0×10-3)によって成膜した。
<結果>
耐熱性能については表2にその結果をまとめた。光学性能については図1にその特性を示す。
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表1の通りである。第1層の物理膜厚33.80nm(光学膜厚0.100λ)、第3層の物理膜厚168.98nm(光学膜厚0.500λ)、第1層〜第3層の物理膜厚214.58nmとした。実施例4では第1層と第3層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は実施例1と同様である。それら以外の層は真空蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。
<結果>
耐熱性能については表2にその結果をまとめた。光学性能については図1にその特性を示す。
(実施例5)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表1の通りである。第1層の物理膜厚33.80nm(光学膜厚0.100λ)、第3層の物理膜厚168.98nm(光学膜厚0.500λ)、第1層〜第3層の物理膜厚214.58nmとした。実施例5ではイオンアシスト照射はせず、真空蒸着法(SiO2層については真空度1.0×10-3、ZrO2層については真空度5.0×10-3)によって成膜した。
<結果>
耐熱性能については表2にその結果をまとめた。光学性能については図1にその特性を示す。
(実施例6)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表1の通りである。第1層の物理膜厚33.80nm(光学膜厚0.100λ)、第3層の物理膜厚168.98nm(光学膜厚0.500λ)、第1層〜第3層の物理膜厚214.58nmとした。実施例6では第3層のみについてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は実施例1と同様である。それら以外の層は真空蒸着法(SiO2層については真空度1.0×10-3、ZrO2層については真空度5.0×10-3)によって成膜した。
<結果>
耐熱性能については表2にその結果をまとめた。光学性能については図1にその特性を示す。
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表1の通りである。第1層の物理膜厚33.80nm(光学膜厚0.100λ)、第3層の物理膜厚168.98nm(光学膜厚0.500λ)、第1層〜第3層の物理膜厚214.58nmとした。実施例7では第1層〜第3層についてイオンアシスト蒸着法(SiO2層については真空度5.0×10-3、ZrO2層については真空度7.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は実施例1と同様である。それら以外の層は真空蒸着法(SiO2層については真空度1.0×10-3、ZrO2層については真空度5.0×10-3)によって成膜した。
<結果>
耐熱性能については表2にその結果をまとめた。光学性能については図1にその特性を示す。
(実施例8)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表1の通りである。第1層の物理膜厚33.80nm(光学膜厚0.100λ)、第3層の物理膜厚168.98nm(光学膜厚0.500λ)、第1層〜第3層の物理膜厚214.58nmとした。実施例8では第1層、第3層及び第4層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は第1層及び第3層については実施例1と同様である。第4層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度0.4nm/secとした。それら以外の層は真空蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。
<結果>
耐熱性能については表2にその結果をまとめた。光学性能については図1にその特性を示す。
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表1の通りである。第1層の物理膜厚50.69nm(光学膜厚0.150λ)、第3層の物理膜厚101.39nm(光学膜厚0.300λ)、第1層〜第3層の物理膜厚168.45nmとした。実施例9では第1層と第3層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は加速電圧500V、加速電流250mAで酸素イオンを使用した。それら以外の層は真空蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。
<結果>
耐熱性能については表2にその結果をまとめた。光学性能については図1にその特性を示す。
(実施例10)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表1の通りである。第1層の物理膜厚33.80nm(光学膜厚0.100λ)、第3層の物理膜厚130.12nm(光学膜厚0.385λ)、第1層〜第3層の物理膜厚173.22nmとした。実施例10では第1層と第3層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は加速電圧500V、加速電流250mAで酸素イオンを使用した。それら以外の層は真空蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。
<結果>
耐熱性能については表2にその結果をまとめた。光学性能については図1にその特性を示す。
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。実施例Aでは表4に示すように第1層〜第3層並びに第6層及び第7層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は第1層〜第3層についは実施例7と同様の条件で行い、第6層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度0.7nm/secとし、第7層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度1.4nm/secとした。
<結果>
結果を表5にまとめた。
(実施例B)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。実施例Bでは表4に示すように第1層〜第4層並びに第6層及び第7層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は第1層〜第4層についは実施例8と同様の条件で行い、第6層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度0.7nm/secとし、第7層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度1.4nm/secとした。
<結果>
結果を表5にまとめた。
(実施例C)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。実施例Cでは表4に示すように第4層以外の各層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は第1層〜第3層についは実施例7と同様の条件で行い、第6層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度0.7nm/secとし、第5及び第7層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度1.4nm/secとした。
<結果>
結果を表5にまとめた。
(実施例D)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。実施例Dでは表4に示すようにすべての層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は奇数層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度1.4nm/secとし、偶数層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度0.7nm/secとした。
<結果>
結果を表5にまとめた。
(実施例E)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。実施例Eでは表4に示すように第4〜第7層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は奇数層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度1.4nm/secとし、偶数層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度0.7nm/secとした。
<結果>
結果を表5にまとめた。
(実施例F)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。実施例Fでは表4に示すように第3層以外の各層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は奇数層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度1.4nm/secとし、偶数層については加速電圧500V、加速電流250mA、蒸着速度0.7nm/secとした。
<結果>
結果を表5にまとめた。
(比較例1〜4)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表6の通りである。比較例1〜4では第1層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は実施例1と同様である。それら以外の層は真空蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。
(比較例5〜8)
上記プライマー層及びハードコート層が形成されたレンズ基材を真空槽内にセットし、上記のような7層の反射防止膜を成膜した。反射防止膜の設計条件は表6の通りである。比較例5〜8では第5層についてイオンアシスト蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。イオンアシスト条件は実施例1と同様である。それら以外の層は真空蒸着法(真空度5.0×10-3)によって成膜した。
<結果>
耐熱性能(但し、比較例5のみ)については表5に、光学性能については図2及び図3にその結果をまとめた。
実施例については耐熱性能及び光学性能ともに良好であった。特に耐熱性能は第3層を含む層にイオンアシスト蒸着法で成膜することによってさらなる向上が見られた。一方、表2と表6との比較で第3層より外層をイオンアシスト蒸着法で成膜してもそれほどの耐熱性能の向上は認められなかった。一方、第3層をイオンアシスト蒸着法で成膜しない場合には第3層をイオンアシスト蒸着法で成膜した場合に比べて耐熱性能は劣る傾向にあることが認められた。つまり、第3層までをイオンアシスト蒸着法で成膜すればそれより外層は必ずしもイオンアシスト蒸着法で成膜する必要性はないことが認められた。
また、比較例では図2及び図3から第3層以外の膜厚を厚くすると光学性能が劣る(偶数層については引っ張り応力を残留応力として内在しているため、耐熱性に寄与しないことが明らかである)ことが認められ、表6の比較例5の結果より第5層を厚くすることによる耐熱性能については格別な効果が認められないことが確認された。
Claims (10)
- レンズ基材表面に直接あるいは中間層を介して低屈折率層と高屈折率層を交互に積層し、7層以上の反射防止膜を構築したプラスチックレンズにおいて、
前記レンズ基材側から第3層目となる屈折率層をSiO2層とし、同第3層屈折率層を他の層よりも厚く構成したことを特徴とするプラスチックレンズ。 - 第1〜第3の前記屈折率層の膜厚の総和が180〜220nmであることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックレンズ。
- 第1の前記屈折率層の膜厚が10〜50nmであることを特徴とする請求項2に記載のプラスチックレンズ。
- 第3の前記屈折率層の膜厚が150〜190nmであることを特徴とする請求項2又は3に記載のプラスチックレンズ。
- 奇数屈折率層をSiO2層で構成するようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
- 前記反射防止膜のうち第1層〜第3層のみがイオンアシスト照射下で蒸着されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
- 前記反射防止膜のうち第1層及び第3層のみがイオンアシスト照射下で蒸着されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
- 前記反射防止膜のうち第3層のみがイオンアシスト照射下で蒸着されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかにに記載のプラスチックレンズ。
- 前記中間層はオルガノシロキサン系ハードコート膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の眼鏡用プラスチックレンズ。
- 前記中間層は前記ハードコート膜と、同ハードコート膜の下層膜としてプライマー膜から構成されていることを特徴とする請求項9に記載の眼鏡用プラスチックレンズ。
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