JP5248516B2 - 光学部品、及び光学部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学部品、及び光学部品の製造方法に関する。
本願は、2007年9月28日に、日本に出願された特願2007−254334号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、眼鏡レンズでは、軽量で耐衝撃性に優れ、かつ染色しやすいとの利点から、プラスチックレンズが多用されている。眼鏡レンズに使用されるプラスチックレンズでは、表面反射を防止する目的で、その両面に反射防止膜が通常施されている。
眼鏡レンズ用反射防止膜としては、400nm〜700nmの可視領域全域にわたって、低い反射特性(広帯域低反射特性)を有すること、グリーン系反射色を有すること、などの光学性能に関して高い性能が要求されている。これに加え、密着性、耐擦傷性、耐熱性、耐薬品性、などの物性に関しても高い性能が要求されている。
眼鏡レンズ等の光学部品において、例えば下記特許文献に開示されているような、プラスチックの基材と、その基材上に配置される反射防止膜とを備えた光学部品が知られている。
特開平11−30703号公報 特開2006−251760号公報 特開2007−127681号公報
しかしながら、これらの先行技術では必ずしも満足のできる物性の反射防止膜を得ることは困難であった。それは、要求される物性の中には、トレードオフの関係にあるものも少なくないためである。例えば、反射防止膜の膜厚を厚くすれば、耐擦傷性は向上するが、ハードコートとの密着性、および耐熱性は低下する傾向がある。また、反射防止膜中の低屈折率層の割合を上げれば耐熱性は向上するが、広帯域低反射特性が得られにくくなる、などである。
本発明の態様は、優れた光学特性、すなわち、グリーン系反射色を有し、かつ広帯域低反射特性を有し、かつ密着性、耐擦傷性、耐熱性においてもバランスの取れた性能を有する光学部品を提供することを目的とする。また本発明の態様は、性能の低下を抑制できる優れた光学特性を有し、物性においてもバランスの取れた性能を有する光学部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様は、以下の構成の光学部品を提供する。
プラスチックの基材と、前記基材上に配置される反射防止膜とを備えた光学部品であって:前記反射防止膜は、交互に積層された高屈折率層及び低屈折率層を含む8層の多層膜であり;前記基材に最も近い前記反射防止膜の第1層が、前記高屈折率層であり;前記反射防止膜に入射する光の波長をλとしたとき、λが、480nm ≦ λ ≦ 530nm を満たし;前記第1層の光学的厚みD1が、0.02λ ≦ D1 ≦ 0.04λ を満たし;前記基材から最も遠い前記反射防止膜の最外層から数えて5番目の層の光学的厚みDmが、0.19λ ≦ Dm ≦ 0.75λ を満たし;前記反射防止膜全体の物理的厚みdtが、350nm ≦ dt ≦ 480nm を満たし;前記低屈折率層の物理的厚みの和daが、0.65dt ≦ da ≦0.80dt を満たす;光学部品。
本発明の態様は、以下の光学部品の製造方法を提供する。
プラスチックの基材と、前記基材上に配置される反射防止膜とを備えた光学部品の製造方法であって:前記基材を加熱する処理と;前記加熱によって、前記基材が所定温度に調整された後、前記基材上に、高屈折率層及び低屈折率層を交互に積層して、8層の多層膜からなる前記反射防止膜を形成する処理と;を含み、前記反射防止膜を形成する処理において:前記反射防止膜に入射する光の波長をλとしたとき、λが、480nm ≦ λ ≦ 530nm を満たし;前記基材に最も近い前記反射防止膜の第1層が、前記高屈折率層であり;前記第1層の光学的厚みD1が、0.02λ ≦ D1 ≦ 0.04λ を満たし;前記基材から最も遠い前記反射防止膜の最外層から数えて5番目の層の光学的厚みDmが、0.19λ ≦ Dm ≦ 0.75λ を満たし;前記反射防止膜全体の物理的厚みdtが、350nm ≦ dt ≦ 480nm を満たし;前記低屈折率層の物理的厚みの和daが、0.65dt ≦ da ≦0.80dt を満たす。
本発明の態様によれば、光学部品の性能の低下を抑制できる。
図1は、第1実施形態に係る光学部品の一例を示す模式図である。 図2は、第1実施形態に係る蒸着装置の一例を示す模式図である。 図3は、第2実施形態に係る光学部品の一例を示す模式図である。 図4は、第3実施形態に係る光学部品の一例を示す模式図である。 図5は、実施例1に係る反射防止膜の分光特性図である。 図6は、実施例2に係る反射防止膜の分光特性図である。 図7は、比較例1及び比較例2に係る反射防止膜の分光特性図である。 図8は、実施例3に係る反射防止膜の分光特性図である。
符号の説明
1…第1層、2…第2層、3…第3層、4…第4層、5…第5層、6…第6層、7…第7層、8…第8層、9…撥水撥油膜、10A、10B…反射防止膜、14…中間層、20A、20B、20C…光学部品
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら例示的に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下に示す(第1実施形態)は、参考の実施形態を含む。
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る光学部品20Aの一例を示す模式図である。本実施形態においては、光学部品20Aが、眼鏡レンズ用である場合を例にして説明する。
図1において、光学部品20Aは、プラスチックの基材11と、基材11上に配置される反射防止膜10Aとを備えている。本実施形態において、基材11の表面と反射防止膜10Aとの間には、中間層14が配置されている。本実施形態において、中間層14は、プライマー層12及びハードコート層13を含む。
なお、以下の説明においては、基材11の表面に形成される各膜14、10Aについて主に説明する。実際には、基材11の裏面にも、表面に形成される各膜14、10Aと同等の膜が形成される。
また、図1においては、便宜上、基材11を平板として図示してある。しかし、眼鏡レンズ用の基材11の表面(裏面)は、通常、曲率を有し、湾曲している。また、基材11の表面(裏面)が湾曲しているとき、その基材11上に形成される各膜14、10Aも、基材11の表面(裏面)に沿って湾曲する。
基材11は、プラスチック製である。基材11として、例えば透明なプラスチックであるアクリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、メタクリル系樹脂、アリル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エピスルフィド樹脂、ポリエ−テルサルホン樹脂ポリ4−メチルペンテン−1樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)、ポリ塩化ビニル樹脂、ハロゲン含有共重合体、及びイオウ含有共重合体等を使用できる。本実施形態において、基材11の屈折率(nd)は、例えば1.50、1.60、1.67、及び1.74の少なくとも1つである。なお、基材11の屈折率を1.6以上にする場合、基材11として、アリルカーボネート系樹脂、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、及びチオウレタン系樹脂等を使用することが好ましい。なお、基材11は、透明でなくてもよい。また、基材11に無機材料が含有されていてもよい。
中間層14は、基材11と反射防止膜10Aとの間に配置される。中間層14は、基材11の表面と接触している。また、中間層14は、反射防止膜10Aと接触している。
本実施形態において、中間層14は、プライマー層12とハードコート層13とを含む。プライマー層12は、基材11と接触している。プライマー層12は、基材11とハードコート層13との間に配置されている。プライマー層12は、基材11とハードコート層13との密着性を得るための層であり、密着層として機能する。また、プライマー層12は、光学部品20Aに対する衝撃を吸収するための層であり、衝撃吸収層として機能する。
本実施形態において、プライマー層12は、ポリウレタン系樹脂を主成分とする。本実施形態においては、プライマー層12は、ポリウレタン系樹脂に、例えば無機材料の微粒子を含有したものである。なお、プライマー層12が、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、及び有機珪素系樹脂の少なくとも1つを含むものであってもよい。プライマー層12の厚み(物理的厚み)は、例えば0.5μm以上1.0μm以下である。
プライマー層12は、プライマー層12を形成するための溶液に基材11を浸けることによって、基材11上に形成できる。プライマー層12を形成するための溶液としては、例えば水又はアルコール系の溶媒にプライマー層12となる樹脂と無機酸化物微粒子ゾルとを混合させた液体を用いてもよい。
ハードコート層13は、プライマー層12と反射防止膜10Aとの間に配置されている。ハードコート層13は、基材11を保護する機能(基材11の損傷を抑制する機能)を有する。
ハードコート層13としては、例えば、オルガノシロキサン系ハードコート層を用いてもよい。オルガノシロキサン系ハードコート層は、オルガノシロキサン系樹脂と無機酸化物の微粒子とを含む。無機酸化物は、例えばルチル型の酸化チタン、ケイ素、錫、ジルコニウム、及びアンチモンの少なくとも1つの酸化物を含む。また、ハードコート層13が、例えば例えば特公平4−55615号公報に開示されているような、コロイド状シリカ含有の有機ケイ素系樹脂でもよい。ハードコート層13の厚み(物理的厚み)は、例えば2μm以上4μm以下である。
ハードコート層13は、ハードコート層13を形成するための溶液にプライマー層12が形成された基材11を浸けることによって、プライマー層12上に形成できる。ハードコート層13を形成するための溶液としては、例えば水又はアルコール系の溶媒にハードコート層13となる樹脂と無機酸化物微粒子ゾルとを混合させた液体を用いてもよい。
プライマー層12及びハードコート層13を含む中間層14の屈折率と、基材11の屈折率とがほぼ同じである場合、中間層14と基材11との界面での反射による干渉縞の発生及び透過率の低下を抑制できる。したがって、例えば基材11の特性に応じて、中間層14の屈折率を調整することが望ましい。例えば、中間層14(プライマー層12、ハードコート層13)の屈折率の調整は、中間層14の主成分となる樹脂の種類(物性)を選択すること、あるいは、その主成分となる樹脂に添加する微粒子の種類(物性)を選択すること等によって実行可能である。
なお、本実施形態においては、中間層14がプライマー層12及びハードコート層13を含むが、例えばプライマー層12が省略されてもよい。また、プライマー層12及びハードコート層13の両方が省略されてもよい。
反射防止膜10Aは、交互に積層された高屈折率層及び低屈折率層を含む6層以上の多層膜である。本実施形態において、高屈折率層の屈折率(nd)は、1.90以上2.60以下である。低屈折率層の屈折率(nd)は、1.36以上1.50以下である。反射防止膜10Aは、中間層14のハードコート層13上に形成されている。反射防止膜10Aは、ハードコート層13と接触している。反射防止膜10Aは、入射した光の反射を防止する機能を有する。本実施形態において、反射防止膜10Aは、可視光(波長が例えば400nm以上700nm以下)の反射を防止する。
本実施形態において、反射防止膜10Aは、6層の多層膜であり、基材11に最も近い第1層1と、基材11に2番目に近い第2層2と、基材11に3番目に近い第3層3と、基材11に4番目に近い第4層4と、基材11に5番目に近い第5層5と、基材11に6番目に近い第6層6とを有する。第1層1は、ハードコート層13と接触している。
本実施形態においては、基材11に最も近い反射防止膜10Aの第1層1が、高屈折率層である。また、第3層3及び第5層5が、高屈折率層である。また、本実施形態においては、基材11から最も遠い反射防止膜10Aの第6層6が、低屈折率層である。また、第2層2及び第4層4が、低屈折率層である。
第1層1〜第6層6はそれぞれ、厚み(物理的厚み)d1〜d6を有する。また、第1層1〜第6層6はそれぞれ、屈折率nd1〜nd6を有する。また、第1層1〜第6層6はそれぞれ、光学的厚みD1〜D6を有する。光学的厚みは、物理的厚みと屈折率との積である。例えば、D1=d1×nd1である。
本実施形態において、高屈折率層、すなわち第1層1、第3層3、及び第5層5は、ジルコニウム(Zr)を含む。本実施形態において、高屈折率層は、ジルコニウム(Zr)の酸化物ZrO(二酸化ジルコニウム)である。なお、高屈折率層が、チタン(Ti)及びタンタル(Ta)の少なくとも一方の酸化物でもよい。例えば、高屈折率層が、TiO(二酸化チタン)、Ta(二酸化タンタル)でもよい。また、高屈折率層が、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、及びタンタル(Ta)の2つ以上の合金からなる酸化物でもよい。また、高屈折率層が、例えばAL(酸化アルミニウム:アルミナ)、Y(二酸化イットリウム)、HfO(二酸化ハフニウム)、二酸化ニオブ(Nb)であってもよい。
本実施形態において、低屈折率層、すなわち第2層2、第4層4、及び第6層6は、珪素(Si)を含む。本実施形態において、低屈折率層は、珪素(Si)の酸化物SiO(二酸化珪素)である。
上述のように、本実施形態において、第1層1は、高屈折率層(ZrO)である。これにより、第1層1と中間層14との密着性を得ることができる。すなわち、高屈折率層(ZrO)と中間層14との密着性(密着力)のほうが、低屈折率層(SiO)と中間層14との密着性(密着力)よりも大きい。また、中間層14が省略された場合においても、高屈折率層(ZrO)と基材11との密着性(密着力)のほうが、低屈折率層(SiO)と基材11との密着性(密着力)よりも大きい。
また、λが、反射防止膜10Aに入射する光の波長としたとき、
480nm ≦ λ ≦ 530nm …(1A)である場合において、本実施形態においては、第1層1の光学的厚みD1は、
0.02λ ≦ D1 ≦ 0.04λ …(2A)の条件を満足する。これにより、反射防止膜10A(第1層1)と中間層14又は基材11との密着性を得ることができるとともに、反射防止膜10Aの透過率の低下を抑制できる。すなわち、第1層1の光学的厚みD1が薄すぎると、中間層14(基材11)との十分な密着性を得ることができない。その結果、反射防止膜10Aが剥がれたりする等、反射防止膜10Aを含む光学部品20Aの耐久性及び光学特性が低下する可能性がある。一方、第1層1の光学的厚みD1が厚すぎると、十分な透過率を得ることができず、光学部品20Aの光学特性が低下する可能性がある。(2A)式の条件を満足することによって、光学部品20Aの光学特性の低下及び耐久性の低下を抑制できる。
また、本実施形態において、第4層4の光学的厚みD4は、
0.19λ ≦ D4 ≦ 0.75λ …(3A)の条件を満足する。このように、第4層4の厚みを、他の低屈折率層の厚みより厚くすることによって、反射防止膜10Aの反射防止機能を維持しつつ、反射防止膜10Aの硬さを得ることができる。この結果、耐擦傷性等、耐久性を得ることができる。また、反射防止膜10Aの耐熱性を高めることができる。このように、(3A)式の条件を満足することによって、光学部品20Aの光学特性の低下及び耐久性の低下を抑制できる。なお、第4層4の光学的厚みD4は、
0.25λ ≦ D4 ≦ 0.50λ …(3A’)の条件を満足してもよい。
また、本実施形態において、反射防止膜10A全体の物理的厚みdtは、
350nm ≦ dt ≦ 480nm …(4A)の条件を満足する。本実施形態において、dt=d1+d2+d3+d4+d5+d6である。これにより、反射防止膜10Aの反射防止機能を維持しつつ、耐擦傷性等、耐久性を得ることができる。このように、(4A)式の条件を満足することによって、光学部品20Aの光学特性の低下及び耐久性の低下を抑制できる。
また、本実施形態において、低屈折率層の物理的厚みの和daは、
0.65dt ≦ da ≦0.80dt …(5A)の条件を満足する。本実施形態において、da=d2+d4+d6である。このように、反射防止膜10Aにおいて低屈折率層が占める割合を高めることによって、反射防止膜10Aの反射防止機能を維持しつつ、反射防止膜10Aの硬さを得ることができる。この結果、耐擦傷性、耐熱性等、耐久性を得ることができる。このように、(5A)式の条件を満足することによって、光学部品20Aの光学特性の低下及び耐久性の低下を抑制できる。
次に、光学部品20Aの製造方法の一例について説明する。本実施形態においては、光学部品20Aの製造方法は:基材11を加熱する処理と;加熱によって、基材11が所定温度(本実施形態においては約70℃)に調整された後、基材11上に、高屈折率層及び低屈折率層を交互に積層して、反射防止膜10Aを形成する処理と;を含む。本実施形態においては、反射防止膜10Aを形成する処理に、真空蒸着法を用いる。
図2は、光学部品20Aの反射防止膜10Aを形成するための蒸着装置30の一例を示す図である。図2において、蒸着装置30は、第1チャンバ31と第2チャンバ32と第3チャンバ33とを有する。蒸着装置30は、第1、第2、第3チャンバ31、32、33のそれぞれの内側の空間をほぼ真空状態に調整できる。また、蒸着装置30は、第1、第2、第3チャンバ31、32、33のそれぞれの内側の空間の温度を調整できる。
蒸着装置30は、第1、第2、第3チャンバ31、32、33のそれぞれの内側の空間に配置される保持部材34を備える。保持部材34の上面(保持面)は、曲面であり、回転する。保持部材34は、複数の基材11を上面に保持できる。
蒸着装置30の蒸着源35は、第2チャンバ32の内側の空間に配置されている。蒸着源35は、酸化ジルコニウム(ZrO)を含む第1蒸着源35A及び二酸化珪素(SiO)を含む第2蒸着源35Bを含む。また、第2チャンバ32には、蒸着源35にビームを照射可能な光源装置36が配置されている。光源装置36から射出されたビームが蒸着源35に照射されることによって、その蒸着源35から、反射防止膜10Aを形成するための材料(ガス)が放出される。例えば、光源装置36が第1蒸着源35Aにビームを照射することによって、ガス化されたZrOがその第1蒸着源35Aから放出され、保持部材34に保持されている基材11に供給される。同様に、光源装置36が第2蒸着源35Bにビームを照射することによって、ガス化されたSiOがその第2蒸着源35Bから放出され、保持部材34に保持されている基材11に供給される。蒸着装置30は、第1蒸着源35Aに対するビームの照射と第2蒸着源35Bに対するビームの照射とを交互に実行することにより、保持部材34に保持されている基材11上に、高屈折率層及び低屈折率層を交互に積層できる。
なお、第1蒸着源35Aとしてジルコニウム(Zr)を含む蒸着源を用い、第2チャンバ32の内側の空間に酸素を導入しながら第1蒸着源35Aにビームを照射して高屈折率層を積層してもよい。
本実施形態においては、反射防止膜10Aを形成される前の基材11が、第1チャンバ31の内側の空間に配置されている保持部材34に保持され、その第1チャンバ31内において温度調整される。第1チャンバ31は、基材11を約70℃に加熱する。第1チャンバ31内で基材11を加熱する処理が実行されているとき、第2チャンバ32内では、先に第1チャンバ31内で加熱する処理が実行された別の基材11に対して反射防止膜10Aを形成する処理が実行される。第2チャンバ32内の基材11に対する反射防止膜10Aを形成する処理が終了すると、その基材11を保持した保持部材34が、第3チャンバ33に移動する。これととともに、第1チャンバ31内で加熱処理を終えた基材11を保持した保持部材34が、第2チャンバ32に移動する。蒸着装置30は、第2チャンバ32に移動された基材11に対する反射防止膜10Aを形成する処理を開始する。また、第2チャンバ32内から第3チャンバ33へ移動された保持部材34に保持されている基材11(光学部品20A)は、第3チャンバ33から外部に搬出された後、必要に応じて、別の処理を施される。
以上説明したように、本実施形態によれば、交互に積層された高屈折率層及び低屈折率層を含む反射防止膜10Aにおいて、上述した条件を満足するように、反射防止膜10Aの構造を定めたので、光学特性及び耐久性を含む、光学部品20Aの性能の低下を抑制できる。これにより、例えば、光学部品20Aを眼鏡レンズとして使用した場合、視界が不良となることを抑制できる。
また、本実施形態においては、基材11上に反射防止膜10Aを形成する前に、予め、基材11を所定温度に加熱し、基材11が所定温度に調整された後、その基材11上に反射防止膜10Aを形成するようにした。このため、基材11上に反射防止膜10Aを良好に形成できる。
また、本実施形態においては、反射防止膜10Aに入射する光の波長λが480nm以上530nm以下の範囲にある場合、反射防止膜10Aの反射率のピークが、0.6%以上1.5%以下であり、反射色が緑色となる。また、波長λが420nm以上480nm以下、又は、600nm以上660nm以下の範囲にある場合、反射防止膜10Aの最低反射率が、0.1%以上0.3%以下であり、反射色が緑色となる。従って、光学部品20Aは、所望の色となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図3は、第2実施形態に係る光学部品20Bを示す模式図である。図3に示す光学部品20Bの反射防止膜10Bは、8層の多層膜である。
本実施形態において、第1層1、第3層3、第5層5、及び第7層7は、ZrOからなる高屈折率層である。第2層2、第4層4、第6層6、及び第8層8は、SiOからなる低屈折率層である。すなわち、基材11に最も近い反射防止膜10Bの第1層1は、高屈折率層であり、基材11から最も遠い反射防止膜10Bの第8層8が、低屈折率層である。
第1層1〜第8層8はそれぞれ、厚み(物理的厚み)d1〜d8を有する。また、第1層1〜第8層8はそれぞれ、屈折率nd1〜nd8を有する。また、第1層1〜第8層8はそれぞれ、光学的厚みD1〜D8を有する。
本実施形態においては、反射防止膜10Bは、8層の多層膜であり、基材11から最も遠い反射防止膜10Bの第8層8から数えて5番目の第4層4の光学的厚みD4が、上述の(3A)式の条件を満足する。
本実施形態においても、上述の各条件を満足するように、反射防止膜10Bの構造が定められている。これにより、本実施形態においても、光学部品20Bは、所望の性能を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図4は、第3実施形態に係る光学部品20Cを示す模式図である。図4において、光学部品20Cは、反射防止膜10Bを覆う撥水撥油膜9を備えている。撥水撥油膜9以外の構成は、第2実施形態の光学部品20Bと同様である。撥水撥油膜9は、第8層8を覆っている。撥水撥油膜9は、基材11から最も遠い反射防止膜10Bの最外層に配置されている。
撥水撥油膜9は、例えばフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を主成分とし、撥液性(撥水性、撥油性)である。撥水撥油膜は光学部品の表面エネルギーを低下させ、水やけ防止、汚れ防止の機能を持たせる。これとともに、光学部品表面のすべり性能を向上させ、その結果として、耐擦傷性を向上させることができる。
フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物としては、下記一般式(1)〜(6)の中から選択される。
Figure 0005248516
式(1)中、Rfは炭素数1〜16の直鎖状又は分岐状パーフルオロアルキル基を表し、Yはヨウ素又は水素を表し、Y’は水素または低級アルキル基を表し、Y”はフッ素又はトリフルオロメチル基を表し、Rは加水分解可能な基を表し、Rは水素又は不活性な一価の有機基を表し、a、b、c、dはそれぞれ0〜200の整数を表し、eは0又は1を表し、sおよびtはそれぞれ0〜2の整数を表し、wは1〜10の整数を表す。
Figure 0005248516
Figure 0005248516
Figure 0005248516
Figure 0005248516
式(2)〜(5)中、Xは酸素又は二価の有機基を表し、X’は加水分解可能な基を表し、X”は二価の有機シリコーン基を表し、Rは炭素数1〜22の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表し、qは1〜3の整数を表し、m、n、oはそれぞれ0〜200の整数を表し、pは1又は2を表し、rは2〜20の整数を表し、kは0〜2の整数を表し、zはkが0又は1である場合に0〜10の整数を表す。
Figure 0005248516
式(6)中、Rfは2価の直鎖状のパーフルオロポリエーテル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは加水分解可能な基を表し、iは0〜2の整数を表し、jは1〜5の整数を表し、uは2又は3を表す。
撥水撥油膜に優れた耐久性を持たせるため、一般式(1)〜(5)の中から選択されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物と、一般式(6)から選択されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を組み合わせて使用することが好ましい。
一般式(1)〜(5)で示されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物としては、ダイキン工業株式会社製オプツール−DSX、オプツール−AES4などを用いてもよい。また、一般式(6)示されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物としては、信越化学工業株式会社製KY−130、KY−164などを用いてもよい。
撥水撥油膜の形成方法は、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法などの湿式法、あるいは真空蒸着法などの乾式法がある。
湿式法の中ではディッピング法が一般的によく用いられる。この方法では、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を有機溶剤に溶解した液中に、反射防止膜つきレンズを浸漬し、一定条件で引き上げて塗布する。有機溶剤としては、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ−4−メトキシブタン、パーフルオロ−4−エトキシブタン、メタキシレンヘキサフルオライドなどが使用できる。
有機溶剤で希釈するときの濃度は、0.01〜0.5重量%が好ましく、0.03〜0.1重量%がより好ましい。濃度が低すぎると十分な膜厚の撥水撥油層が得られない。一方、濃度が高すぎると、塗布むらが発生しやすく、材料コストも高くなる。
乾式法の中では、真空蒸着法がよく用いられる。この方法は、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を真空槽内で加熱して蒸発させ、撥水撥油層を形成させるものである。
なお、上述の第1〜第3実施形態において、反射防止膜を形成する層(高屈折率層、低屈折率層)の数は、6層以上で偶数であれば、上述の条件を満足する範囲内で、任意に定めることができる。その場合、上述の(3A)式の条件は、基材から最も遠い反射防止膜の最外層から数えて5番目の層の光学的厚みに適用してもよいし、基材に4番目に近い反射防止膜の第4層の光学的厚みに適用してもよい。
(第4実施形態)
以下、本発明に係る光学部品の性能を評価するために行った実験及びその結果について説明する。
(実験1)
屈折率(nd)が1.67の基材11上に、屈折率1.67のハードコート層13を形成し、以下に説明する手順で、真空蒸着法を用いて反射防止膜を形成した。まず、基材11を保持部材34にセットし、蒸着装置30のチャンバ内の温度を70度に加熱し、圧力が1.0×10−3Paになるまで排気した。加速電圧500V、加速電流100mAの条件で、Arイオンビームクリーニングを60秒間施した。その後、上述の蒸着装置30を用いて、基材11上に、高屈折率層及び低屈折率層を交互に積層した。
続いて、以下の手順で反射防止膜表面に撥水撥油膜を形成した。
住友スリーエム製フッ素系溶剤ノベックHFE−7200を995gビーカーに取り、オプツール−AES4(撥水撥油剤濃度20%溶液)を2.5g、KY−164(撥水撥油剤濃度20%)を2.5g溶解した。この撥水撥油剤濃度は0.1重量%である。この溶液に、反射防止膜付きプラスチックレンズを10秒間浸漬し、その後8mm/秒の速度で引き上げを行った。その後、50℃で1時間、安定化を行い、撥水撥油膜付きレンズを作成した。
実施例1及び実施例2として、基材11上に、本発明に係る条件を満足する反射防止膜を形成した。実施例1、実施例2では、反射防止膜は、第1〜第8層を有する。そのうち、第1層は高屈折率層(ZrO)、第8層は低屈折率層(SiO)である。また、比較例1として、基材11上に、本発明に係る条件を満足しない反射防止膜を形成した。比較例1では、反射防止膜は、第1〜第5層を有し、第1層は低屈折率層(SiO)、第層は高屈折率層(ZrO)である。
(実施例1)
第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.02λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.15λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.06λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.25λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.14λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.07λ、第7層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.28λ、第8層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.27λで積層した。なおλは、設計の中心波長で500nmとした。図5に、実施例1に係る反射防止膜の分光特性図を示す。なお、図5において、横軸は、反射防止膜に入射する光の波長、縦軸は、反射防止膜の反射率である。
(実施例2)
第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.02λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.12λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.04λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.50λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.12λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み光学的膜厚0.07λ、第7層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.28λ、第8層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.27λで積層した。なおλは、設計の中心波長で500nmとした。図6に、実施例2に係る反射防止膜の分光特性図を示す。なお、図6において、横軸は、反射防止膜に入射する光の波長、縦軸は、反射防止膜の反射率である。
(比較例1)
第1層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.10λ、第2層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.16λ、第3層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.06λ、第4層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.25λ、第5層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.28λで積層した。なおλは、設計の中心波長で500nmとした。図7に、比較例1に係る反射防止膜の分光特性図を示す。なお、図7において、横軸は、反射防止膜に入射する光の波長、縦軸は、反射防止膜の反射率である。
実施例1、実施例2、及び比較例1の各条件を、表1に示す。
Figure 0005248516
次に、実施例1、実施例2、及び比較例1に係る光学部品の性能試験を行った。
(耐擦傷性試験1)
スチールウールを用い、光学部品の表面を1,000gの荷重で、50回摩擦し、傷のつきにくさを調べ、比較した。判定は次のように行った。
二重丸印:全く傷がつかない。 一重丸印:ほとんど傷がつかない。 バツ印:傷がつく。
(耐熱クラック発生温度試験)
光学部品を60℃の温風オーブンの中に入れた。温度を10℃ずつ上昇させ、上昇の毎に目視により状態を確認した。
(耐荷重クラック発生圧力試験)
光学部品の表面に対し垂直に荷重を30kgから加えた。荷重を10kgずつ上昇させ、上昇の毎に目視により状態を確認した。
実施例1、実施例2、及び比較例1に係る光学部品の性能試験結果を、表2に示す。
Figure 0005248516
(実験2)
屈折率(nd)が1.74の基材11上に、屈折率1.67のハードコート層13を形成し、以下に説明する手順で、真空蒸着法を用いて反射防止膜を形成した。まず、基材11を保持部材34にセットし、蒸着装置30のチャンバ内の温度を70度に加熱し、圧力が1.0×10−3Paになるまで排気した。加速電圧400V、加速電流100mAの条件で、Arイオンビームクリーニングを90秒間施した後、上述の蒸着装置30を用いて、基材11上に、高屈折率層及び低屈折率層を交互に積層した。
続いて、実験1と同様の手順で反射防止膜表面に撥水撥油膜を形成させた。
実施例3として、基材11上に、本発明に係る条件を満足する反射防止膜を形成した。実施例3では、反射防止膜は、第1〜第8層を有し、第1層は高屈折率層(ZrO)、第8層は低屈折率層(SiO)である。また、比較例2として、基材11上に、本発明に係る条件を満足しない反射防止膜を形成した。比較例2では、反射防止膜は、第1〜第5層を有し、第1層は低屈折率層(SiO)、第1層は高屈折率層(ZrO)である。
(実施例3)
第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.04λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.14λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.05λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.50λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.11λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み光学的膜厚0.06λ、第7層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.26λ、第8層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.27λで積層した。なおλは、設計の中心波長で500nmとした。図8に、実施例3に係る反射防止膜の分光特性図を示す。なお、図8において、横軸は、反射防止膜に入射する光の波長、縦軸は、反射防止膜の反射率である。
(比較例2)
第1層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.10λ、第2層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.16λ、第3層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.06λ、第4層ZrO(屈折率2.00)を光学的厚み0.25λ、第5層SiO(屈折率1.47)を光学的厚み0.28λで積層した。なおλは、設計の中心波長で500nmとした。比較例2に係る反射防止膜の分光特性は、比較例1に係る反射防止膜の分光特性とほぼ同一である。
実施例3、及び比較例2の各条件を、表3に示す。
Figure 0005248516
次に、実施例3、及び比較例2に係る光学部品の性能試験を行った。試験方法は、上述した試験方法と同じである。
実施例3、及び比較例2に係る光学部品の性能試験結果を、表4に示す。
Figure 0005248516
実験1、実験2により、実施例1、実施例2、及び実施例3は、比較例1、及び比較例2と比較して、優れた耐擦傷性能、耐熱クラック性能、耐荷重クラック性能が得られることが確認された。その結果、高い耐久性を有し、かつ光学特性にも優れた反射防止性能を有した反射防止膜を得ることができた。また、反射防止膜の膜厚における低屈折率層の物理的厚みの和の比率(SiO比率)が高い方が、良好な耐久性を得ることができる。
本発明の態様によれば、光学部品の性能の低下を抑制できる。

Claims (8)

  1. プラスチックの基材と、前記基材上に配置される反射防止膜とを備えた光学部品であって:
    前記反射防止膜は、交互に積層された高屈折率層及び低屈折率層を含む8層の多層膜であり;
    前記基材に最も近い前記反射防止膜の第1層が、前記高屈折率層であり;
    前記反射防止膜に入射する光の波長をλとしたとき、λが、
    480nm ≦ λ ≦ 530nm を満たし;
    前記第1層の光学的厚みD1が、
    0.02λ ≦ D1 ≦ 0.04λ を満たし;
    前記基材から最も遠い前記反射防止膜の最外層から数えて5番目の層の光学的厚みDmが、
    0.19λ ≦ Dm ≦ 0.75λ を満たし;
    前記反射防止膜全体の物理的厚みdtが、
    350nm ≦ dt ≦ 480nm を満たし;
    前記低屈折率層の物理的厚みの和daが、
    0.65dt ≦ da ≦0.80dt を満たす;光学部品。
  2. 請求項1記載の光学部品であって、前記基材から最も遠い前記反射防止膜の最外層に配置され、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を含む撥水撥油膜を更に備える光学部品。
  3. 請求項2記載の光学部品であって:
    前記フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物は、一般式(1)から(6)の中から選択される1種類以上のフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物であり;
    Figure 0005248516
    式(1)中、Rfは炭素数1〜16の直鎖状又は分岐状パーフルオロアルキル基を表し、Yはヨウ素又は水素を表し、Y’は水素または低級アルキル基を表し、Y”はフッ素又はトリフルオロメチル基を表し、R1は加水分解可能な基を表し、R2は水素又は不活性な一価の有機基を表し、a、b、c、dはそれぞれ0〜200の整数を表し、eは0又は1を表し、sおよびtはそれぞれ0〜2の整数を表し、wは1〜10の整数を表し;
    Figure 0005248516
    Figure 0005248516
    Figure 0005248516
    Figure 0005248516
    式(2)〜(5)中、Xは酸素又は二価の有機基を表し、X’は加水分解可能な基を表し、X”は二価の有機シリコーン基を表し、R3は炭素数1〜22の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表し、qは1〜3の整数を表し、m、n、oはそれぞれ0〜200の整数を表し、pは1又は2を表し、rは2〜20の整数を表し、kは0〜2の整数を表し、zはkが0又は1である場合に0〜10の整数を表し;
    Figure 0005248516
    式(6)中、Rf2は2価の直鎖状のパーフルオロポリエーテル基を表し、R4は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、R5は加水分解可能な基を表し、iは0〜2の整数を表し、jは1〜5の整数を表し、uは2又は3を表す;光学部品。
  4. 請求項1〜のいずれか一項記載の光学部品であって:前記高屈折率層は、酸化ジルコニウムを含み;前記低屈折率層は、二酸化珪素を含む;光学部品。
  5. 請求項1〜のいずれか一項記載の光学部品であって、眼鏡レンズに用いられる、光学
    部品。
  6. プラスチックの基材と、前記基材上に配置される反射防止膜とを備えた光学部品の製造方法であって:
    前記基材を加熱する処理と;
    前記加熱によって、前記基材が所定温度に調整された後、前記基材上に、高屈折率層及び低屈折率層を交互に積層して、8層の多層膜からなる前記反射防止膜を形成する処理と;を含み、
    前記反射防止膜を形成する処理において:
    前記反射防止膜に入射する光の波長をλとしたとき、λが、
    480nm ≦ λ ≦ 530nm を満たし;
    前記基材に最も近い前記反射防止膜の第1層が、前記高屈折率層であり;
    前記第1層の光学的厚みD1が、
    0.02λ ≦ D1 ≦ 0.04λ を満たし;
    前記基材から最も遠い前記反射防止膜の最外層から数えて5番目の層の光学的厚みDmが、
    0.19λ ≦ Dm ≦ 0.75λ を満たし;
    前記反射防止膜全体の物理的厚みdtが、
    350nm ≦ dt ≦ 480nm を満たし;
    前記低屈折率層の物理的厚みの和daが、
    0.65dt ≦ da ≦0.80dt を満たす;光学部品の製造方法。
  7. 請求項記載の製造方法であって、前記反射防止膜を形成する処理に、真空蒸着法を用いる、製造方法。
  8. 請求項6又は7記載の製造方法であって、前記高屈折率層は、酸化ジルコニウムを含み、前記低屈折率層は、二酸化珪素を含む、製造方法。
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