JP2008076598A - プラスチックレンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】プラスチックレンズ基材上にハードコート層を有し、ハードコート層の表面に反射防止層を備えたプラスチックレンズにおいて、反射防止層の密着性や擦傷性などの耐久品質の向上したプラスチックレンズを提供する。
【解決手段】プラスチック眼鏡レンズ1は、プラスチックレンズ基材2の表面にハードコート層3が形成され、ハードコート層3の表面に、光学膜厚2.05λのSiO2膜からなる第1層41、光学膜厚0.51λのSi3N4膜からなる第2層42、光学膜厚0.25λのSiO2膜からなる第3層43、光学膜厚1.03λのSi3N4膜からなる第4層44、光学膜厚1.00λのSiO2膜からなる第5層45が形成され、さらに反射防止層4の表面に防汚層5が形成される。
【選択図】図1
【解決手段】プラスチック眼鏡レンズ1は、プラスチックレンズ基材2の表面にハードコート層3が形成され、ハードコート層3の表面に、光学膜厚2.05λのSiO2膜からなる第1層41、光学膜厚0.51λのSi3N4膜からなる第2層42、光学膜厚0.25λのSiO2膜からなる第3層43、光学膜厚1.03λのSi3N4膜からなる第4層44、光学膜厚1.00λのSiO2膜からなる第5層45が形成され、さらに反射防止層4の表面に防汚層5が形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、耐擦傷性を有するプラスチックレンズに関する。
プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて軽量であり、成形性、加工性等に優れ、しかも割れ難く安全性も高いため、特に、眼鏡レンズ分野において急速に普及してきている。
こうしたプラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて傷が付き易いため、一般的に、プラスチックレンズの表面にハードコート層を形成して、表面硬度を向上させている。また、表面反射を防止する目的でハードコート層の表面に無機物質を蒸着した反射防止層を形成したり、さらに表面の撥水撥油性能を向上させる目的で反射防止層の表面にフッ素を含有する有機珪素化合物からなる防汚膜を設けたりすることが行われている。このようにプラスチックレンズは、表面処理の技術革新により、高機能レンズとしてさらなる発展をしている。
こうしたプラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて傷が付き易いため、一般的に、プラスチックレンズの表面にハードコート層を形成して、表面硬度を向上させている。また、表面反射を防止する目的でハードコート層の表面に無機物質を蒸着した反射防止層を形成したり、さらに表面の撥水撥油性能を向上させる目的で反射防止層の表面にフッ素を含有する有機珪素化合物からなる防汚膜を設けたりすることが行われている。このようにプラスチックレンズは、表面処理の技術革新により、高機能レンズとしてさらなる発展をしている。
これらの表面処理のうち、反射防止膜(反射防止層)についても数多くの提案がされており、例えば、CRT等のディスプレイの表面反射を防止する手段として、1種類の材料をベースとして、スパッタリング法を用いて反射防止膜を形成することを目的に、高屈折率膜と低屈折率膜とを順次複数回積層して形成される反射防止膜の高屈折率膜が窒化珪素膜であり、低屈折率膜が酸化珪素膜である反射防止膜とその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このようにスパッタリング法を用いて成膜された反射防止層(無機反射防止層)は、一般的に膜密度が高く、プラスチックレンズ外からの酸素、水分、紫外光等の耐久性を劣化させる因子を遮蔽する優れた保護効果を有するが、特に、反射防止層の下層にハードコート層を形成した場合には、反射防止層の密着性や擦傷性などの耐久品質が十分であるとは言えず、より高い耐久性を有することが要求される。
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたもので、プラスチックレンズ基材上にハードコート層を有し、ハードコート層の表面に反射防止層を備えたプラスチックレンズにおいて、反射防止層の密着性や擦傷性などの耐久品質の向上したプラスチックレンズを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のプラスチックレンズは、プラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたハードコート層と、前記ハードコート層の表面に形成された反射防止層を備えたプラスチックレンズにおいて、前記反射防止層は、低屈折率膜と高屈折率膜とが交互に積層された多層膜からなり、前記低屈折率膜が二酸化珪素(SiO2)膜であり、前記高屈折率膜が四窒化三珪素(Si3N4)膜であることを特徴とする。
これによれば、プラスチックレンズ基材上にハードコート層を備え、ハードコート層の表面に、二酸化珪素からなる低屈折率膜と、四窒化三珪素からなる高屈折率膜とが交互に積層された多層膜の反射防止層が形成されることにより、反射防止層の密着性や擦傷性などの耐久品質の向上したプラスチックレンズが得られる。
また、本発明のプラスチックレンズは、前記ハードコート層の表面に形成される前記反射防止層の第1層が、前記二酸化珪素(SiO2)膜であることを特徴とする。
これによれば、プラスチックレンズ基材上にハードコート層と、ハードコート層の表面に、二酸化珪素からなる低屈折率膜と、四窒化三珪素からなる高屈折率膜とが交互に積層された多層膜の反射防止層の第1層が、二酸化珪素膜であることにより、ハードコート層と反射防止層との間に良好な密着性が得られるとともに、反射防止層の擦傷性などの耐久品質の向上したプラスチックレンズが得られる。
これによれば、プラスチックレンズ基材上にハードコート層と、ハードコート層の表面に、二酸化珪素からなる低屈折率膜と、四窒化三珪素からなる高屈折率膜とが交互に積層された多層膜の反射防止層の第1層が、二酸化珪素膜であることにより、ハードコート層と反射防止層との間に良好な密着性が得られるとともに、反射防止層の擦傷性などの耐久品質の向上したプラスチックレンズが得られる。
また、本発明のプラスチックレンズは、前記プラスチックレンズが、眼鏡レンズであることを特徴とする。
これによれば、プラスチックレンズ基材上にハードコート層と、ハードコート層の表面に、二酸化珪素からなる低屈折率膜と、四窒化三珪素からなる高屈折率膜とが交互に積層された多層膜の反射防止層を備えたプラスチックレンズが、眼鏡レンズであることにより、反射防止層の密着性や擦傷性などの耐久品質が向上し、しかもレンズ表面の反射を高性能に防止(低下)した反射防止機能を有するプラスチック眼鏡レンズを得ることができる。
これによれば、プラスチックレンズ基材上にハードコート層と、ハードコート層の表面に、二酸化珪素からなる低屈折率膜と、四窒化三珪素からなる高屈折率膜とが交互に積層された多層膜の反射防止層を備えたプラスチックレンズが、眼鏡レンズであることにより、反射防止層の密着性や擦傷性などの耐久品質が向上し、しかもレンズ表面の反射を高性能に防止(低下)した反射防止機能を有するプラスチック眼鏡レンズを得ることができる。
以下、本発明のプラスチックレンズの実施形態を説明する。なお、本実施形態は、プラスチックレンズとしてプラスチック眼鏡レンズを用いた場合で説明する。
本実施形態のプラスチック眼鏡レンズ(以後、プラスチックレンズと表す)は、少なくとも、プラスチックレンズ基材の表面に形成されたハードコート層と、このハードコート層の表面に形成された反射防止層を有する。
本実施形態のプラスチック眼鏡レンズ(以後、プラスチックレンズと表す)は、少なくとも、プラスチックレンズ基材の表面に形成されたハードコート層と、このハードコート層の表面に形成された反射防止層を有する。
プラスチックレンズ基材は、特に限定されず、(メタ)アクリル樹脂をはじめとしてスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られた透明樹脂等を例示することができる。
先ず、こうしたプラスチックレンズ基材の表面に形成されるハードコート層について説明する。
ハードコート層は、プラスチックレンズ基材に耐擦傷性を付与すると共に、一般的にプラスチック基材に対する反射防止層の密着性が劣るため、プラスチックレンズ基板と反射防止層の間に介在させて反射防止層の密着性を良好にして剥離を防止する働きをする。
ハードコート層は、例えば、金属酸化物微粒子、有機ケイ素化合物を含有するコーティング用組成物を塗布した後、硬化させて形成される。
ハードコート層は、プラスチックレンズ基材に耐擦傷性を付与すると共に、一般的にプラスチック基材に対する反射防止層の密着性が劣るため、プラスチックレンズ基板と反射防止層の間に介在させて反射防止層の密着性を良好にして剥離を防止する働きをする。
ハードコート層は、例えば、金属酸化物微粒子、有機ケイ素化合物を含有するコーティング用組成物を塗布した後、硬化させて形成される。
金属酸化物微粒子の具体例としてはSiO2、Al2O3、SnO2、Sb2O5、Ta2O5、CeO2、La2O3、Fe2O3、ZnO、WO3、ZrO2、In2O3、TiO2等の金属酸化物からなる微粒子、またはこれらの内の2種以上の金属酸化物からなる複合微粒子を、分散媒、例えば水、アルコール系またはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させたゾルが挙げられる。
有機ケイ素化合物は、ハードコート層のバインダー剤としての役割を果たす。
有機ケイ素化合物の具体例としては、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルジアルコキシメチルシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物は、単独あるいは2種類以上を混合して用いられる。
有機ケイ素化合物の具体例としては、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルジアルコキシメチルシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物は、単独あるいは2種類以上を混合して用いられる。
ハードコート層を形成するためのコーティング用組成物は、金属酸化物微粒子を分散媒にコロイド状に分散させたゾルと、有機ケイ素化合物とを混合して用いられる。
この混合の際に、金属酸化物微粒子の配合量は、ハードコート組成物中の固形分の10〜50重量%程度の範囲であることが望ましい。配合量が少なすぎると、形成されるハードコート層の耐摩耗性が不十分となる場合がある。一方、配合量が多すぎると、ハードコート層にクラックが生じる場合がある。
この混合の際に、金属酸化物微粒子の配合量は、ハードコート組成物中の固形分の10〜50重量%程度の範囲であることが望ましい。配合量が少なすぎると、形成されるハードコート層の耐摩耗性が不十分となる場合がある。一方、配合量が多すぎると、ハードコート層にクラックが生じる場合がある。
なお、コーティング用組成物は、必要に応じ、さらに、溶剤に希釈してハードコート液として用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。
また、ハードコート液のハードコート組成物中には、多官能性エポキシ化合物を含有することができる。多官能性エポキシ化合物は、ハードコート層の下層にプライマー層が形成された場合に、プライマー層に対するハードコート層の密着性を向上させるとともに、ハードコート層の耐水性およびプラスチックレンズの耐衝撃性を向上させることができる。
また、ハードコート液のハードコート組成物中には、多官能性エポキシ化合物を含有することができる。多官能性エポキシ化合物は、ハードコート層の下層にプライマー層が形成された場合に、プライマー層に対するハードコート層の密着性を向上させるとともに、ハードコート層の耐水性およびプラスチックレンズの耐衝撃性を向上させることができる。
多官能性エポキシ化合物の具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールヒドロキシヒバリン酸エステルのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールジグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテル、等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
さらに、ハードコート液のハードコート組成物中には、必要に応じて少量の金属キレート化合物、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散染料、油溶染料、顔料、フォトクロミック化合物、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール系等の添加剤を含むことができる。これらの添加剤を含むことで、耐候性や耐熱性などの被膜性能を向上、あるいはコーティング液の塗布性の向上を図ることができる。
ハードコート層の形成方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法、フロー法、ドクターブレード法などの塗布方法を用いて塗膜を形成した後に、塗膜に熱、紫外線等の電磁波または電子ビームなどを用いて硬化して形成される。
例えば、熱を用いる場合には、ハードコート液を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間程度、加熱乾燥する方法が例示できる。
例えば、熱を用いる場合には、ハードコート液を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間程度、加熱乾燥する方法が例示できる。
形成されるハードコート層の膜厚は、0.05〜30μmであることが好ましく、より好ましくは、1〜5μm程度である。膜厚が0.05μm未満では、基本性能が発現できない。また、膜厚が30μmを越えると表面の平滑性が損われたり、光学歪みが発生してしまう場合がある。また、形成されるハードコート層は、多層の構成の場合であってもよい。
また、ハードコート層を形成する場合は、プラスチックレンズ基材の表面に予めアルカリ処理、酸処理、微粒子による研磨処理、プラズマ処理等を行うことが好ましい。これにより、プラスチックレンズ基材とハードコート層との密着性がより向上する。
また、プラスチックレンズ基材とハードコート層との間にプライマー層を設けてもよい。プライマー層は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂などで形成され、プラスチックレンズ基材とハードコート層との密着性をより高める必要がある場合や、熱的な影響でプラスチックレンズ基材が膨張する変形を緩和して、ハードコート層の表面に形成される反射防止層の耐熱性を向上させる必要がある場合、さらに耐衝撃性を向上させる必要がある場合などに設けることができる。
そして、ハードコート層の表面に、反射防止層が形成される。
反射防止層は、低屈折率膜として二酸化珪素膜(以後、SiO2膜と表す)、高屈折率膜として四窒化三珪素膜(以後、Si3N4膜と表す)が用いられ、SiO2膜とSi3N4膜とが交互に積層された多層膜が形成される。
反射防止層は、低屈折率膜として二酸化珪素膜(以後、SiO2膜と表す)、高屈折率膜として四窒化三珪素膜(以後、Si3N4膜と表す)が用いられ、SiO2膜とSi3N4膜とが交互に積層された多層膜が形成される。
ハードコート層上の第1層にはSiO2膜(低屈折率膜)が成膜される。成膜される多層膜は、膜性能および成膜作業の効率性を考慮すると、5層または7層程度が好ましく、その反射防止層の総膜厚は、100nm〜500nmの範囲が好ましい。より好ましい膜厚は、200nm〜300nmの範囲である。また、形成される反射防止層の最上層は、SiO2膜であることが望ましい。
反射防止層の成膜には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理蒸着法(PVD法)、あるいは化学蒸着法(CVD法)などを採用することができる。この内、スパッタリング法を好ましく用いることができる。
SiO2膜は、例えば、スパッタリング法により成膜される。例えば、マグネトロンスパッタリング装置内に2〜5Pa程度の圧力のアルゴンを導入し、電界で加速したアルゴンイオンをターゲットのSiO2に照射して、ハードコート層の表面に成膜する。一方、Si3N4膜は、同様に、マグネトロンスパッタリング装置内に2〜5Pa程度の圧力のアルゴンを導入し、電界で加速したアルゴンイオンをターゲットのSi3N4に照射して成膜される。なお、膜構成の詳細は、後述する実施例において説明する。
以上のように、プラスチックレンズ基材上に、ハードコート層、反射防止層が形成されたプラスチックレンズは、さらに反射防止層の表面に、プラスチックレンズ表面の撥水撥油性能を向上させる目的で、含フッ素シラン化合物からなる防汚層を形成するのが好ましい。
防汚層を形成する含フッ素シラン化合物としては、パーフルオロポリアルキレンエーテル変性シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、n−トリフルオロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)プロピルシラザンなどが挙げられる。
また、これらの商品名としては、例えば、オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)、TSL8233(GE東芝シリコーン株式会社製)、TSL8257(GE東芝シリコーン株式会社製)、KP−801(信越化学工業株式会社製)等があげられる。
また、これらの商品名としては、例えば、オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)、TSL8233(GE東芝シリコーン株式会社製)、TSL8257(GE東芝シリコーン株式会社製)、KP−801(信越化学工業株式会社製)等があげられる。
含フッ素シラン化合物は、有機溶剤に溶解し、所定濃度に調整した撥水処理液を用いて反射防止層上に塗布する方法を採用することができる。塗布方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法、フロー法、ドクターブレード法、ロールコート塗装、グラビアコート塗装、カーテンフロー塗装、刷毛塗り等を用いることができる。
有機溶剤としては、含フッ素シラン化合物の溶解性に優れるパーフルオロ基を有し、炭素数が4以上の有機化合物が好ましく、例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロシクロブタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−4−メトキシブタン、パーフルオロ−4−エトキシブタン、メタキシレンヘキサフロライドなどが挙げられる。これらの有機溶剤の1種を単独、または2種以上を混合して用いることができる。
有機溶剤で希釈するときの濃度は、0.03〜1重量%の範囲が好ましい。濃度が低すぎると十分な厚さの防汚層の形成が困難であり、十分な撥水撥油効果が得られない場合がある。一方、濃すぎると形成される防汚層が厚くなり過ぎる虞があり、塗布後塗りムラをなくすためのリンス作業の負担が増す。
防汚層の膜厚は、特に限定されないが、0.001〜0.03μm程度が好ましい。防汚層の膜厚が薄すぎると撥水撥油効果が低く、厚すぎると表面がべたつくので好ましくない。また、防汚層の厚さが0.03μmを超えて厚くなると反射防止効果が低下するため好ましくない。
以上により、プラスチックレンズ基材の表面にハードコート層、ハードコート層の表面に反射防止層、さらに反射防止層の表面に防汚層が形成されたプラスチックレンズが完成する。なお、これらのハードコート層、反射防止層および防汚層は、プラスチックレンズ基材の一方のレンズ面に形成される場合であっても良いが、他方のレンズ面を含む両面に形成されるのが好ましい。
以下、本実施形態に基づく実施例、および比較例を説明する。
なお、以下に説明する実施例および比較例は、反射防止層の密着性や擦傷性等の耐久品質を確認するためのものであり、プラスチックレンズは、何れもプラスチックレンズ基材の表面にハードコート層を形成し、そのハードコート層の表面に反射防止層を形成した後、さらに反射防止層の表面に防汚層を形成した。
なお、以下に説明する実施例および比較例は、反射防止層の密着性や擦傷性等の耐久品質を確認するためのものであり、プラスチックレンズは、何れもプラスチックレンズ基材の表面にハードコート層を形成し、そのハードコート層の表面に反射防止層を形成した後、さらに反射防止層の表面に防汚層を形成した。
ハードコート層、反射防止層および防汚層の形成方法は、何れも上記実施形態において説明した方法により行った。したがって、以下の実施例および比較例は、ハードコート層の表面に形成された反射防止層の構成のみ、具体的に説明する。
(実施例1)
図1は、実施例1における膜構成を説明するためのプラスチックレンズの断面模式図である。なお、各構成要素の寸法や比率は、説明の便宜のために実際のものとは異なる。このことは、以下に示す比較例における図面の場合においても同様である。
図1は、実施例1における膜構成を説明するためのプラスチックレンズの断面模式図である。なお、各構成要素の寸法や比率は、説明の便宜のために実際のものとは異なる。このことは、以下に示す比較例における図面の場合においても同様である。
図1において、プラスチックレンズ1は、プラスチックレンズ基材2の表面にハードコート層3が形成され、ハードコート層3の表面に多層膜からなる反射防止層4が形成され、さらに反射防止層4の表面に防汚層5が形成されている。
反射防止層4は、SiO2膜(低屈折率膜)を第1層41として、Si3N4膜(高屈折率膜)とを交互に積層した5層の多層膜で構成される。
具体的には、プラスチックレンズ基材2の表面に形成されたハードコート層3側から順に、光学膜厚2.05λ(物理膜厚175nm)のSiO2膜からなる第1層41、光学膜厚0.51λ(物理膜厚31nm)のSi3N4膜からなる第2層42、光学膜厚0.25λ(物理膜厚21nm)のSiO2膜からなる第3層43、光学膜厚1.03λ(物理膜厚64nm)のSi3N4膜からなる第4層44、光学膜厚1.00λ(物理膜厚86nm)のSiO2膜からなる第5層45が形成されている。5層からなる反射防止層4の物理膜厚は377nmであった。なお、λは設計波長であり、その値は550nmである。
具体的には、プラスチックレンズ基材2の表面に形成されたハードコート層3側から順に、光学膜厚2.05λ(物理膜厚175nm)のSiO2膜からなる第1層41、光学膜厚0.51λ(物理膜厚31nm)のSi3N4膜からなる第2層42、光学膜厚0.25λ(物理膜厚21nm)のSiO2膜からなる第3層43、光学膜厚1.03λ(物理膜厚64nm)のSi3N4膜からなる第4層44、光学膜厚1.00λ(物理膜厚86nm)のSiO2膜からなる第5層45が形成されている。5層からなる反射防止層4の物理膜厚は377nmであった。なお、λは設計波長であり、その値は550nmである。
(比較例1)
図2は、比較例1における膜構成を説明するためのプラスチックレンズの断面模式図である。
図2において、プラスチックレンズ10は、プラスチックレンズ基材2の表面にハードコート層3が形成され、ハードコート層3の表面に多層膜からなる反射防止層6が形成され、さらに反射防止層6の表面に防汚層5が形成されている。
図2は、比較例1における膜構成を説明するためのプラスチックレンズの断面模式図である。
図2において、プラスチックレンズ10は、プラスチックレンズ基材2の表面にハードコート層3が形成され、ハードコート層3の表面に多層膜からなる反射防止層6が形成され、さらに反射防止層6の表面に防汚層5が形成されている。
反射防止層6は、Si3N4膜(高屈折率膜)を第1層61として、SiO2膜(低屈折率膜)とを交互に積層した4層の多層膜で構成される。
具体的には、プラスチックレンズ基材2の表面に形成されたハードコート層3側から順に、光学膜厚0.51λ(物理膜厚31nm)のSi3N4膜からなる第1層61、光学膜厚0.25λ(物理膜厚21nm)のSiO2膜からなる第2層62、光学膜厚1.03λ(物理膜厚64nm)のSi3N4膜からなる第3層63、光学膜厚1.00λ(物理膜厚86nm)のSiO2膜からなる第4層64が形成されている。
具体的には、プラスチックレンズ基材2の表面に形成されたハードコート層3側から順に、光学膜厚0.51λ(物理膜厚31nm)のSi3N4膜からなる第1層61、光学膜厚0.25λ(物理膜厚21nm)のSiO2膜からなる第2層62、光学膜厚1.03λ(物理膜厚64nm)のSi3N4膜からなる第3層63、光学膜厚1.00λ(物理膜厚86nm)のSiO2膜からなる第4層64が形成されている。
(比較例2)
図3は、比較例2における膜構成を説明するためのプラスチックレンズの断面模式図である。
図3において、プラスチックレンズ20は、プラスチックレンズ基材2の表面にハードコート層3が形成され、ハードコート層3の表面に反射防止層7が形成され、さらに反射防止層7の表面に防汚層5が形成されている。
反射防止層7は、光学膜厚1.61λ(物理膜厚100nm)のSi3N4膜のみが形成されている。
図3は、比較例2における膜構成を説明するためのプラスチックレンズの断面模式図である。
図3において、プラスチックレンズ20は、プラスチックレンズ基材2の表面にハードコート層3が形成され、ハードコート層3の表面に反射防止層7が形成され、さらに反射防止層7の表面に防汚層5が形成されている。
反射防止層7は、光学膜厚1.61λ(物理膜厚100nm)のSi3N4膜のみが形成されている。
(比較例3)
図4は、比較例3における膜構成を説明するためのプラスチックレンズの断面模式図である。
図4において、プラスチックレンズ30は、プラスチックレンズ基材2の表面にハードコート層3が形成され、ハードコート層3の表面に反射防止層8が形成され、さらに反射防止層8の表面に防汚層5が形成されている。
図4は、比較例3における膜構成を説明するためのプラスチックレンズの断面模式図である。
図4において、プラスチックレンズ30は、プラスチックレンズ基材2の表面にハードコート層3が形成され、ハードコート層3の表面に反射防止層8が形成され、さらに反射防止層8の表面に防汚層5が形成されている。
反射防止層8は、SiO2膜(低屈折率膜)を第1層81として、SiO2膜とZrO2膜(二酸化ジルコニア膜、高屈折率膜)とを交互に積層した5層の多層膜で構成される。
具体的には、プラスチックレンズ基材2の表面に形成されたハードコート層3側から順に、光学膜厚1.70λ(物理膜厚146nm)のSiO2膜からなる第1層81、光学膜厚0.50λ(物理膜厚30nm)のZrO2膜からなる第2層82、光学膜厚0.24λ(物理膜厚21nm)のSiO2膜からなる第3層83、光学膜厚0.95λ(物理膜厚58nm)のZrO2膜からなる第4層84、光学膜厚1.00λ(物理膜厚85nm)のSiO2膜からなる第5層85が形成されている。
具体的には、プラスチックレンズ基材2の表面に形成されたハードコート層3側から順に、光学膜厚1.70λ(物理膜厚146nm)のSiO2膜からなる第1層81、光学膜厚0.50λ(物理膜厚30nm)のZrO2膜からなる第2層82、光学膜厚0.24λ(物理膜厚21nm)のSiO2膜からなる第3層83、光学膜厚0.95λ(物理膜厚58nm)のZrO2膜からなる第4層84、光学膜厚1.00λ(物理膜厚85nm)のSiO2膜からなる第5層85が形成されている。
なお、ZrO2膜は、SiO2膜と同様に、マグネトロンスパッタリング装置内に2〜5Pa程度の圧力のアルゴンを導入し、電界で加速したアルゴンイオンをターゲットのZrO2に照射して成膜した。
以上の実施例1および比較例1〜3から得られたプラスチックレンズを、以下に示す評価方法で反射防止層の品質評価を行った。
評価項目は、耐擦傷性試験に基づく耐擦傷性と、密着性試験に基づく密着性との2項目で評価した。なお、密着性試験は、恒温恒湿試験による耐久性の確認を兼ねて行った。以下、各評価項目の評価方法を説明する。
評価項目は、耐擦傷性試験に基づく耐擦傷性と、密着性試験に基づく密着性との2項目で評価した。なお、密着性試験は、恒温恒湿試験による耐久性の確認を兼ねて行った。以下、各評価項目の評価方法を説明する。
(1)耐擦傷性試験
ボンスター#0000スチールウール(日本スチールウール(株)製)を用いて、プラスチックレンズ1,10,20,30の表面に1kgの荷重を印加しながら、3〜4cmの距離を10往復擦った後、レンズ表面に付いた擦り傷の状態を目視で観察し、その程度を10段階にランク付けし、そのランクに対して◎、〇、△、×の4段階で評価した。
◎…段階10〜8:非常に耐擦傷性が高い。
〇…段階7〜6:耐擦傷性が高い。
△…段階5〜4:耐擦傷性は若干低い。
×…段階3〜1:耐擦傷性が低い。
ボンスター#0000スチールウール(日本スチールウール(株)製)を用いて、プラスチックレンズ1,10,20,30の表面に1kgの荷重を印加しながら、3〜4cmの距離を10往復擦った後、レンズ表面に付いた擦り傷の状態を目視で観察し、その程度を10段階にランク付けし、そのランクに対して◎、〇、△、×の4段階で評価した。
◎…段階10〜8:非常に耐擦傷性が高い。
〇…段階7〜6:耐擦傷性が高い。
△…段階5〜4:耐擦傷性は若干低い。
×…段階3〜1:耐擦傷性が低い。
(2)密着性試験
レンズ表面を約1mm間隔で碁盤状に100升目にクロスカットしたプラスチックレンズ1,10,20,30を、温度60℃、湿度98%の恒温恒湿炉中に7日間投入した後、恒温恒湿炉中から取り出して、常温環境下でクロスカット試験を行った。
クロスカット試験は、クロスカットした部分にテープ幅12mmの粘着テープ(ニチバン(株)製、セロテープ(登録商標))を強く貼着し、急速に粘着テープを剥がすことにより、膜剥れのなかった升目を計数し、その升目数に対して、◎、〇、△、×の4段階で評価した。
◎…100升目(全て膜剥がれがない):非常に密着性が高い。
〇…99〜85升目。
△…84〜35升目。
×…34升目以下:密着性が低い。
レンズ表面を約1mm間隔で碁盤状に100升目にクロスカットしたプラスチックレンズ1,10,20,30を、温度60℃、湿度98%の恒温恒湿炉中に7日間投入した後、恒温恒湿炉中から取り出して、常温環境下でクロスカット試験を行った。
クロスカット試験は、クロスカットした部分にテープ幅12mmの粘着テープ(ニチバン(株)製、セロテープ(登録商標))を強く貼着し、急速に粘着テープを剥がすことにより、膜剥れのなかった升目を計数し、その升目数に対して、◎、〇、△、×の4段階で評価した。
◎…100升目(全て膜剥がれがない):非常に密着性が高い。
〇…99〜85升目。
△…84〜35升目。
×…34升目以下:密着性が低い。
その結果を表1に示す。なお、表1中の耐擦傷性の欄には、◎、〇、△、×の4段階評価と、括弧内にランク数を示し、密着性の欄には、◎、〇、△、×の4段階評価と、括弧内に膜剥れのなかった升目数を示す。また、耐擦傷性および密着性を踏まえた4段階(◎、〇、△、×)の総合評価を総合評価欄に示す。
これに対して、第1層61にSi3N4膜(高屈折率膜)からなる反射防止層6が形成された比較例1、および反射防止層7が1層のSi3N4膜からなる比較例2は、実施例1または比較例3と比較して低いが、許容範囲程度の耐擦傷性が得られる。しかし、密着性が極端に劣り、使用に供するプラスチックレンズが得られない。
次に、良好な密着性および高耐擦傷性が得られた実施例1のプラスチックレンズ1の反射率測定による反射防止性能の確認を行った。
図5は、実施例1におけるプラスチックレンズの可視光領域における反射率を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)、縦軸は反射率(%)を示す。
図5は、実施例1におけるプラスチックレンズの可視光領域における反射率を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)、縦軸は反射率(%)を示す。
図5において、プラスチックレンズ1(図1参照)の反射率は、可視光領域(380nm〜700nm)において3%以下であり、レンズ表面の反射を高性能に防止(低下)した反射防止機能を有するプラスチックレンズ1が得られた。
以上の実施形態によれば、プラスチックレンズ(プラスチック眼鏡レンズ)1のプラスチックレンズ基材2上にハードコート層3を備え、ハードコート層3の表面に、SiO2(二酸化珪素)からなる低屈折率膜と、Si3N4(四窒化三珪素)からなる高屈折率膜とが交互に積層された多層膜の反射防止層4が形成されることにより、反射防止層4の密着性や擦傷性などの耐久品質の向上したプラスチックレンズ1が得られる。
また、反射防止層4の第1層41が、SiO2膜から形成されていることにより、反射防止層4の下層に形成されたハードコート層3と反射防止層4との間の良好な密着性が得られる。
また、プラスチックレンズ1は、反射防止層の密着性や擦傷性などの耐久品質が向上し、しかもレンズ表面の反射を高性能に防止(低下)した反射防止機能を有するプラスチックレンズを得ることができる。
また、プラスチックレンズ1は、反射防止層の密着性や擦傷性などの耐久品質が向上し、しかもレンズ表面の反射を高性能に防止(低下)した反射防止機能を有するプラスチックレンズを得ることができる。
以上に説明した本実施形態の実施例1および比較例1〜3において、形成されたそれぞれの反射防止層4,6,7,8の表面に、防汚層5が形成された場合で説明したが、防汚層5が形成されない場合であってもよく、防汚層5の有無による各反射防止層の耐擦傷性および密着性などの耐久品質は、これに左右されない。
また、以上に説明した実施形態は、プラスチックレンズとしてプラスチック眼鏡レンズの場合で説明したが、プラスチックレンズであれば制限なく適用することができる。例えば、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズ等の光学レンズを挙げることができる。さらに、基材が少なくともプラスチックからなり、反射防止層の下層にハードコート層を有する光学フィルターや、レンズアレイなどの光学物品にも同様に適用することができる。
1,10,20,30…プラスチック眼鏡レンズ、2…プラスチック眼鏡レンズ基材、3…ハードコート層、4,6,7,8…反射防止層、5…防汚層。
Claims (3)
- プラスチックレンズ基材と、前記プラスチックレンズ基材上に形成されたハードコート層と、前記ハードコート層の表面に形成された反射防止層を備えたプラスチックレンズにおいて、
前記反射防止層は、低屈折率膜と高屈折率膜とが交互に積層された多層膜からなり、
前記低屈折率膜が二酸化珪素(SiO2)膜であり、前記高屈折率膜が四窒化三珪素(Si3N4)膜であることを特徴とするプラスチックレンズ。 - 請求項1に記載のプラスチックレンズにおいて、
前記ハードコート層の表面に形成される前記反射防止層の第1層が、前記二酸化珪素(SiO2)膜であることを特徴とするプラスチックレンズ。 - 請求項1または2に記載のプラスチックレンズにおいて、
前記プラスチックレンズが、眼鏡レンズであることを特徴とするプラスチックレンズ。
Priority Applications (1)
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JP2006253874A JP2008076598A (ja) | 2006-09-20 | 2006-09-20 | プラスチックレンズ |
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CN105487143A (zh) * | 2015-11-19 | 2016-04-13 | 蓝思科技(长沙)有限公司 | 一种无色硬质ar膜及其制备方法 |
WO2023210687A1 (ja) * | 2022-04-27 | 2023-11-02 | ニデック株式会社 | 光学部材およびレンズユニット |
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- 2006-09-20 JP JP2006253874A patent/JP2008076598A/ja not_active Withdrawn
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