JP2503732B2 - バ―ナの燃焼制御方法 - Google Patents

バ―ナの燃焼制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ボイラ等の燃焼設備に使用するバーナの燃
焼制御方法に関するものである。
(従来の技術) 液体または気体の燃料を燃焼させるバーナにおいて
は、燃焼中にその燃焼状態を最適に維持することが望ま
しい。バーナにおける火炎の燃焼状態は、一般に空気と
燃料との混合比率(空気比または排ガス中のO2濃度比)
によって大きく変化する。そして良好な燃焼状態を保つ
ために、従来、燃焼装置に対して燃焼制御装置を設け、
この燃焼制御装置により排ガスO2のフィードバック制御
を行なって、燃焼装置への空気供給量、ひいては空気比
を調整することが多く行われている。
燃焼制御を行う方法と装置の一例としては、特開昭63
−306310号公報に開示されているように、バーナの火炎
が発生する光強度信号をフォトトランジスタ、フォトダ
イオードあるいは太陽電池等の半導体を利用して電気信
号に変換し、その振動波形の周波数解析の結果得たパワ
ースペクトルの積分値を利用するものが知られている。
この特開昭63−306310号公報に開示された燃焼制御方式
は、光振動のパワースペクトラム比の変化と空気比の変
化等に起因する燃焼状態の変化に強い相関関係があるこ
とに着目して完成されたものである。
(発明が解決しようとする課題) 上記のように燃焼制御指標として光パワースペクトラ
ム比を用いる場合には、火炎の燃焼特性のために光パワ
ースペクトラムのバラツキが生ずるという問題があっ
た。また、負荷変動の大きいボイラの燃焼制御を行う場
合、燃焼供給量の変化に応じて空気の供給量を制御する
必要があるが、ボイラにはそれぞれ固有の燃焼負荷特性
がある、すなわち、負荷100%では空気比が11であり、
負荷80%では空気比が12であり、負荷50%では空気比が
13等、燃焼量の変化に応じて適切な空燃比となるように
調節しなければならない。さらに、燃料の供給量が急に
変化する場合に、空気の供給量を追従して変化させる必
要があるという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、特開昭
63−306310号公報に開示された燃焼制御方法をさらに改
良して、火炎の燃焼特性のために生ずる光パワースペク
トラムのバラツキに影響されることなく、ボイラに固有
の燃焼負荷特性に対応することができ、燃料の急な供給
量の変化に空気の供給量を追従して変化させることがで
きる、バーナの燃焼制御方法を提供することを目的とす
る。
(課題を解決するための手段) 本発明は、上記課題を解決するための手段として、バ
ーナの火炎を監視してその変化量から火炎信号を得ると
共に、バーナの火炎によって加熱されるドラム内の水の
圧力に応じてバーナに供給される燃料の供給量を検出
し、火炎信号の振動周波数を周波数解析してパワースペ
クトル信号を得、該パワースペクトル信号を所定回数で
平均化し、該平均化されたパワースペクトル信号から燃
焼状態を検出し、該燃焼状態と検出された燃料の供給量
に対応して予め設定された最適燃焼状態とを比較して得
られた偏差から(所定の上下限値の範囲内で)バーナへ
の空気の供給量を制御することを特徴とするものであ
る。
(作用) このような構成とした燃焼制御方法によれば、火炎信
号の振動周波数を周波数解析して得られたパワースペク
トル信号を所定回数で平均化することにより、パワース
ペクトル信号のバラツキの巾が縮小して短時間の変化が
ならされると共にボイラの燃焼特性に応じた最適の移動
平均値を得ることができる。また、バーナに供給される
燃料の供給量を検出することにより、検出された燃料の
供給量に対応して予め設定された最適燃焼状態のパワー
スペクトル信号が選定される。そして、平均化されたパ
ワースペクトル信号と燃料の供給量に対応して予め設定
された最適燃焼状態のパワースペクトル信号とを比較し
て偏差を求め、この偏差に基づいて最適燃焼状態となる
ようにバーナに供給する空気量を適切に制御する。(燃
料の供給量の変化が大きく、それに伴って空気の供給量
が所定の上下限値を越える場合であっても、空気の供給
量は所定の上下限値の範囲内で供給制御される。) (実施例) 以下、本発明に係るバーナの燃焼方法を説明するが、
まず、本発明方法を実現するための装置を第1図につい
て説明する。1は煙管ボイラであって、2はその外壁、
3は外壁2内の上部に設けられたドラムである。ドラム
3の内部には水4が充填されている。外壁2の一部には
バーナ5が取付けられており、このバーナ5が発する火
炎6はドラム3の下部を横方向に噴射するようになって
いる。バーナ5には途中に燃料制御弁7を接続した燃料
供給管8が接続されており、バーナ5に燃料を供給する
ようになっている。バーナ5にはさらに、途中に燃焼用
空気量調節弁9を装備した空気供給ダクト10が接続さ
れ、送風ファン11からの燃焼用空気が供給されるように
なっている。
燃料制御弁7と燃焼用空気量調節弁9は、ともにモジ
ュトロールモータによって開度制御されるものであり、
燃料制御弁7のアーム12はリンク13を介してモジュトロ
ールモータ14のアーム15に結合しており、燃焼用空気量
調節弁9のアーム16はリンク17を介してモジュトロール
モータ18のアーム19に結合している。モジュトロールモ
ータ14は信号線20を介して与えられる圧力調節計21から
の信号で作動するものであるが、図示しないポテンショ
メータ等によって生成されるその作動信号(燃料制御弁
7の開度信号)は、信号線22により燃焼制御装置23に供
給されるようになっている。モジュトロールモータ18に
は信号線24により燃焼制御装置23の出力信号が与えられ
るようになっている。
圧力調節計21はタンク3内の水の圧力(蒸気圧)をあ
らかじめ設定した設定圧力と比較し、ドラム3内の水の
圧力が設定圧力を超えたときに燃料制御弁7を閉じるよ
うな信号をモジュトロールモータ14に出力するようにな
っている。このためこの圧力調節計21の入力側には、ド
ラム3内の圧力を検出するドラム圧力発信器25の出力側
が接続されている。煙管ボイラ1の外壁でバーナ5を取
付けた部分に対向したところには覗き窓26が設けられて
おり、この覗き窓26には光ファイバ等からなる光ガイド
27の先端が固定されている。光ガイド27の基端は、火炎
6の状態を検出するセンサアンプ28の入力側に接続され
ており、このセンサアンプ28の出力側は信号線29によっ
て燃焼制御装置23の入力側に接続されている。センサア
ンプとしては、周知のフォトトランジスタあるいはフォ
トダイオード等と、その出力信号を増幅するトランジス
タアンプ等を使用することができる。
次に、このような構成からなる燃焼制御装置を使用し
ての本発明方法を説明する。まずドラム3内に水4を充
填し、その後バーナ5を、図示しないパイロットバーナ
を点火させることにより着火させる。燃料としては、ガ
スまたは重油等を考えることができる。バーナ5には燃
料のほか送風ファン11によって発生する空気流が供給さ
れる。バーナ5の火炎6の状態は覗き窓26から光ガイド
27を介して伝えられるセンサアンプ28によって終始監視
され、適当レベルに増幅された後、燃焼制御装置23に入
力される。一方、ドラム3の上部中央に設けられた圧力
発信器25はドラム3内の圧力検出を行ない、その出力信
号を圧力調節計21に送ることになる。
圧力調節計21は圧力発信器25からの信号をあらかじめ
設定した圧力値と比較した上、ドラム3内の圧力値が常
に一定となるような調節作用をする。この調節はモジュ
トロールモータ14の回転方向を制御し、燃料制御弁7を
開閉することによって行なう。なお、この燃料制御弁7
の開度信号は、この燃料制御弁7を駆動するモジュトロ
ールモータ14から発信され、燃焼制御装置23に印加され
る。バーナ5が作動して火炎6が発生したとき、この火
炎6の強弱は光ガイド27を介して伝えられるセンサアン
プ28によって終始監視されて電流信号に変換され、適当
レベルに増幅された後、燃焼制御装置23に入力される。
燃焼制御装置23はこの信号と燃料制御弁7の開度信号の
両者を演算処理し、その結果得た出力信号によってモジ
ュトロールモータ18の制御をする。
次に、第2図により、第1図中の燃焼制御装置23の内
部で行なわれる制御内容の説明をする。まず、燃焼制御
装置23に次の準備をする。すなわち、ある燃料量に対し
て設定された値となるように、PID(Proportional Inte
gral and Derivative Control)演算および燃料量変化
率モニタレシオ演算、測定値下限モニタレシオ演算によ
り出力された操作出力に対し、操作信号上下限リミッタ
を設ける。上下限のリミット値は、あらかじめ燃料流量
に対応して設定し、テーブル化しておく。これにより、
リミッタに入力された操作出力値が上下限リミットの範
囲内であればそのまま出力されるが、上限値を越える場
合、あるいは下限値を下回る場合にはそれぞれのリミッ
ト値に強制的に制限されて出力される。
このように作動することにより、たとえば燃料流量が
急激に減少したような場合、この燃料の減少速度に対し
てPID演算によるダンパの閉動作が遅れても、燃料流量
に対応した操作出力上限リミットによりダンパは強制的
に閉じられるため、燃料量に対する遅れもなく追従する
ことができることになる。また下限リミットによりダン
パ開度が強制的に制御されるため、必要以上にダンパを
閉じて発煙あるいは失火となることを防止することがで
きる。さらに燃料流量増加時に変化率モニタが動作して
レシオ演算した場合、必要以上にダンパを開けてオーバ
ーシュートを招いていたが、上限リミットにより必要以
上にダンパを開けることを防ぎ、必要最小限の空気量に
よるオーバーシュートの少ない空気先行制御が可能とな
る。
作動の説明をする。センサアンプ28(第1図参照)よ
り入力された電気信号は、FFT(Fast Fourier Transfom
er)処理部30により振動周波数を解析してパワースペク
トラム比として出力され、次に移動平均処理部31にて移
動平均回数テーブル32で設定された回数で平均化され、
分岐部33で加算器34およびPV下限モニタ35に出力され
る。折線テーブル36には、燃料流量計37あるいは燃料調
節弁7(第1図参照)の開度信号を移動平均回数テーブ
ル38に設定された回数で移動平均を行なう移動平均処理
部39を介して、バーナに供給される現状の燃料流量また
は燃料調節弁開度信号が入力される。
この折線テーブル36では、検出された燃料の供給量ま
たは燃料調節弁開度信号に対応して予め設定された最適
燃焼状態のときのパワースペクトラム比の設定値をテー
ブルにより選定して加算器34に出力すると同時に、この
ときのパワースペクトラム比下限設定値をPV下限モニタ
35に出力している。加算器34では折線テーブル36より出
力された設定値と移動平均処理部31より入力された現在
値との比較を行ない、その結果を不感帯処理部40からPI
D演算部41に導いて、偏差に対応した出力値を加算器42
に出力する。
加算器42では、PV下限モニタ43により、折線テーブル
36で設定されたパワースペクトラム比下限値と分岐部33
より入力されたパワースペクトラム比現在値との比較を
行ない、現在値がパワースペクトラム下限設定値以下と
なった場合には、その変化量に応じた修正出力を出すよ
うにPV加減モニタレシオ演算部43にて演算し、比較選択
部44に出力することになる。比較選択部44には、現状の
燃料流量または燃料弁開度信号が、分岐部45より変化率
モニタ46にて変化率として演算され、さらに変化率モニ
タレシオ演算部47を介して入力される。
比較選択部44では、これらスペクトラム比下限変化率
と燃料流量または燃料弁開度信号のうち絶対値の大きい
ものを選択して加算器42に出力する。加算器42ではこの
信号をPID演算部41より出力された信号に加算して出力
上下限リミッタ48に出力する。出力上下限リミッタ48で
上限の出力を設定された操作出力は空気量調節弁9(第
1図参照)に出力される。出力上下限リミッタ48には加
算器42からの入力信号と、出力リミッタテーブル49から
の信号が入力される。出力リミッタテーブル49は分岐点
50より入力される燃料流量信号あるいは燃料調節弁開度
信号に対応した操作出力の上下限値が設定されている。
第3図はこの設定値を示すもので、は上限リミット
を、または下限リミットを表わす。
出力上下限リミッタ48では、この出力リミッタテーブ
ル49からの入力信号と加算器42からの入力信号とを比較
し、加算器42からの信号が出力リミッタテーブル49の
上、下限値範囲内であれば、そのままの信号を出力し、
もし上限を越えるか下限を下回る場合には、それぞれ強
制的に上限値、下限値の操作信号を空気量調節弁9に出
力することになる。
本発明において上述したように構成した実施例によれ
ば、次のような改良された利点を備えることができる。
すなわち、 燃料流量検出時毎に空気を供給制御するためのダンパ
の最低開度を設定することができるため、制御により必
要以上にダンパを絞る必要がなく、発煙および失火を防
止することができて安全性の高い制御が実現可能とな
る。
燃料流量検出時、および現実の燃焼状態と最適燃焼状
態とを比較・演算実行時に空気を供給制御するためのダ
ンパ開度の上限を設定することができるため、必要以上
に空気の供給量を増加させることがなく、オーバーシュ
ートの少ない空気先行制御が可能となる。
(発明の効果) 本発明は以上説明したように、バーナの火炎を監視し
てその変化量から火炎信号を得ると共に、バーナの火炎
によって加熱されるドラム内の水の圧力に応じてバーナ
に供給される燃料の供給量を検出し、火炎信号の振動周
波数を周波数解析してパワースペクトル信号を得、該パ
ワースペクトル信号を所定回数で平均化し、該平均化さ
れたパワースペクトル信号から燃焼状態を検出し、該燃
焼状態と検出された燃料の供給量に対応して予め設定さ
れた最適燃焼状態とを比較して得られた偏差から(所定
の上下限値の範囲内で)バーナへの空気の供給量を制御
することを特徴とするバーナの燃焼制御方法であるか
ら、火炎の燃焼特性のために生じる光パワースペクトラ
ムのバラツキに影響されることなく、ボイラに固有の燃
焼負荷特性に対応することができ、燃料の急な供給量の
変化に空気の供給量を追従して変化させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法を実現する燃焼装置の系統図、第2
図は第1図中の燃焼制御装置の内部で行なわれる制御内
容を説明するためのフローチャート図、第3図は第1図
中の燃焼制御装置内部に設定される燃料調節弁開度信号
に対応した操作出力の上下限値を表わすグラフである。 1……煙管ボイラ 2……外壁 3……ドラム 5……バーナ 6……火炎 7……燃焼制御弁 9……燃焼用空気調節弁 14,18……モジュトロールモータ 21……圧力調節計 23……燃焼制御装置 28……センサアンプ 32……移動平均回数テーブル 36……折線テーブル 46……変化率モニタ 48……出力上下限リミッタ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バーナの火炎を監視してその変化量から火
    炎信号を得ると共に、バーナの火炎によって加熱される
    ドラム内の水の圧力に応じてバーナに供給される燃料の
    供給量を検出し、火炎信号の振動周波数を周波数解析し
    てパワースペクトル信号を得、該パワースペクトル信号
    を所定回数で平均化し、該平均化されたパワースペクト
    ル信号から燃焼状態を検出し、該燃焼状態と検出された
    燃料の供給量に対応して予め設定された最適燃焼状態と
    を比較して得られた偏差から(所定の上下限値の範囲内
    で)バーナへの空気の供給量を制御することを特徴とす
    るバーナの燃焼制御方法。
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