JP6073355B2 - 眼鏡レンズ、及び眼鏡レンズの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学部品、光学部品の製造方法、及びゴースト光の定量方法に関する。
本願は、2012年11月5日に出願された特願2012−243956号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、眼鏡レンズでは、軽量で耐衝撃性に優れ、かつ染色しやすいとの利点からプラスチックレンズが多用されている。眼鏡レンズに使用されるプラスチックレンズには、表面反射を防止する目的で、その両面に反射防止膜が通常施されている。眼鏡レンズ用反射防止膜は、一般的に400nm〜700nmの可視領域全域にわたって、低い反射特性(広帯域低反射特性)を有する。
眼鏡レンズ等の光学部品において、例えば特許文献1〜3に開示されているようなプラスチックの基材と、その基材上に配置される反射防止膜とを備えた光学部品が知られている。
特開平11−30703号公報 特開2006−251760号公報 特開2007−127681号公報
しかし、最近の研究より、必ずしも可視領域全域にわたって低い反射特性を有することが視認性及び目の健康に対して望ましいことではないことがわかってきた。例えば、可視光線の青色領域(380〜500nm)をカットすることにより、眩しさが低減され視認性、コントラストが向上する。
また、目の健康に対して、可視光線の青色領域(380〜500nm)はエネルギーが強いため、網膜などに好ましくない影響を与える原因になると言われている。
可視光線をカットする手段としては、サングラスなどの染色レンズが知られている。しかし、染色レンズでは全可視領域をカットするため、光量低下により視認性が悪くなることがある。また、眼鏡レンズ表面の光学多層膜で反射させることで可視光線をカットする方法がある。
しかし、この方法では多層膜の反射率が高く、レンズ内で強い多重反射を起こし、鮮明なゴースト光が視界に入ってしまう可能性がある。
本発明の態様は、防眩効果を有し、疲労感を軽減させ、眼病予防にも効果的で、かつ、比較的高い反射率を有しながら視認性が良好な光学部品及び光学部品の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の態様は、光学部品内で、光の多重反射により生じるゴースト光の定量方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る眼鏡レンズは、プラスチック基材と、前記プラスチック基材の1面と2面からなる両面に配設された多層膜とを備えた眼鏡レンズであって、前記プラスチック基材の前記1面に配設された前記多層膜に関して波長と反射率との関係を示す分光特性曲線が、380〜780nmの波長範囲における第1波長で一つの極大値を有するとともに、前記第1波長から長波長側200nm以内の第2波長に一つの極小値を有し、前記第1波長から前後25nmの波長範囲において、前記1面に配設された前記多層膜の平均反射率が50%以下であり、前記第1波長から前後25nmの前記波長範囲において、前記プラスチック基材の前記2面に配設された前記多層膜の平均反射率が、前記1面に配設された前記多層膜の平均反射率の40%以下であり、前記プラスチック基材の前記2面に配設された前記多層膜に関して波長と反射率との関係を示す分光特性曲線が、前記第1波長から前後25nmの前記波長範囲において、極大値を有さず、刺激値Yによって評価されるゴースト光強度が2.0×10−2以下であり、前記刺激値Yは、前記1面に配設された前記多層膜の分光反射率R (λ)[%]と、前記2面に配設された前記多層膜の分光反射率R (λ)[%]と、以下の式(1)とから、A (λ)を求め、
Figure 0006073355
(式中、nは1以上の整数を表す。)
前記R (λ)と、前記R (λ)と、前記A (λ)と、前記プラスチック基材による光吸収率F(λ)[%]と、以下の式(2)とから、光学部品内での多重反射によるゴースト光の分光特性T gn (λ)[%]を求め、
Figure 0006073355
(式中、nは1以上の整数を表す。)
JIS8701に従い、標準光源(D65)の相対分光強度S(λ)と、等色関数y(λ)と、以下の式(3)とから、Kを求め、
Figure 0006073355
前記Kと、前記S(λ)と、前記等色関数y(λ)と、前記T gn (λ)とから、以下の式(4)によって求められることを特徴とする。
Figure 0006073355
本発明の一態様に係る眼鏡レンズの製造方法は、プラスチック基材と、前記プラスチック基材の1面と2面からなる両面に配設された多層膜とを備えた眼鏡レンズの製造方法であって、前記プラスチック基材を加熱する工程と、前記加熱によって前記プラスチック基材を所定温度に調整した後、前記プラスチック基材上に前記多層膜を形成する工程と、を備え、前記多層膜を形成する工程は、高屈折率材料と低屈折率材料とを交互に複数積層し多層構造の高屈折率層を形成する処理と、前記高屈折率層の屈折率より低い屈折率の低屈折率材料からなる低屈折率層を前記高屈折率層上に形成する処理と、を有し、前記プラスチック基材の前記1面に配設された前記多層膜に関して波長と反射率との関係を示す分光特性曲線が、380〜780nmの波長範囲における第1波長で一つの極大値を有するとともに、前記第1波長から長波長側200nm以内の第2波長に一つの極小値を有し、前記第1波長から前後25nmの波長範囲において、前記1面に配設された前記多層膜の平均反射率が50%以下となるようにし、前記第1波長から前後25nmの前記波長範囲において、前記プラスチック基材の前記2面に配設された前記多層膜の平均反射率が、前記1面に配設された前記多層膜の平均反射率の40%以下となるようにし、前記プラスチック基材の前記2面に配設された前記多層膜に関して波長と反射率との関係を示す分光特性曲線が、前記第1波長から前後25nmの前記波長範囲において、極大値を有しないようにし、刺激値Yによって評価されるゴースト光強度が2.0×10−2以下であり、前記刺激値Yは、前記1面に配設された前記多層膜の分光反射率R (λ)[%]と、前記2面に配設された前記多層膜の分光反射率R (λ)[%]と、以下の式(1)とから、A (λ)を求め、
Figure 0006073355
(式中、nは1以上の整数を表す。)
前記R (λ)と、前記R (λ)と、前記A (λ)と、前記プラスチック基材による光吸収率F(λ)[%]と、以下の式(2)とから、光学部品内での多重反射によるゴースト光の分光特性T gn (λ)[%]を求め、
Figure 0006073355
(式中、nは1以上の整数を表す。)
JIS8701に従い、標準光源(D65)の相対分光強度S(λ)と、等色関数y(λ)と、以下の式(3)とから、Kを求め、
Figure 0006073355
前記Kと、前記S(λ)と、前記等色関数y(λ)と、前記T gn (λ)とから、以下の式(4)によって求められることを特徴とする。
Figure 0006073355
本発明の態様に係る光学部品によれば、高い反射率を有する多層膜を配設した場合においても、良好な視認性を維持したまま充分な防眩効果が得ることができる。
また、本発明の態様に係る光学部品の製造方法によれば、レンズ内の多重反射を軽減し、見え易く、疲労、眼病予防にも効果的な光学特性を有した光学部品を提供することが可能となる。
第1実施形態に係る光学部品の一例を示す模式図である。 第1実施形態に係る光学部品の分光特性図である。 第1実施形態に係る蒸着装置の一例を示す模式図である。 第1実施形態に係る成膜装置の一例を示す模式図である。 実施例1のレンズの1面における分光特性図である。 図5Aの分光特性の数値データである。 実施例1のレンズの2面における分光特性図である。 図6Aの分光特性の数値データである。 実施例2のレンズの1面における分光特性図である。 図7Aの分光特性の数値データである。 実施例2のレンズの2面における分光特性図である。 図8Aの分光特性の数値データである。 実施例3のレンズの1面における分光特性図である。 図9Aの分光特性の数値データである。 実施例3のレンズの2面における分光特性図である。 図10Aの分光特性の数値データである。 比較例1のレンズの両面における分光特性図である。 図11Aの分光特性の数値データである。 比較例2のレンズの両面における分光特性図である。 図12Aの分光特性の数値データである。
以下、本発明を実施形態によって詳しく説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[光学部品]
図1は、本発明の実施形態に係る光学部品を模式的に示す側断面図である。図1において符号1は眼鏡レンズ用の光学部品である。
光学部品1は、プラスチック基材2と、プラスチック基材2の1面に配設された無機多層膜3とを備えている。プラスチック基材2の1面と無機多層膜3との間には、本実施形態では機能性薄膜4が配設されている。機能性薄膜4は、本実施形態ではプライマー層5とハードコート層6とからなっている。
プラスチック基材2は、例えば透明なプラスチックであるアクリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、メタクリル系樹脂、アリル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エピスルフィド樹脂、ポリエ−テルサルホン樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)、ポリ塩化ビニル樹脂、ハロゲン含有共重合体、及びイオウ含有共重合体等によって形成される。
また、本実施形態では、プラスチック基材2の屈折率(nd)としては、例えば1.50、1.60、1.67、及び1.74のうちから選択されたものが用いられる。なお、プラスチック基材2の屈折率を1.6以上にする場合、プラスチック基材2としては、アリルカーボネート系樹脂、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、及びチオウレタン系樹脂等を使用することができる。
また、プラスチック基材2は透光性を有していれば透明でなくてもよく、着色されていてもよい。着色されたプラスチック基材2の透過率は、5〜85%とすることができる。
機能性薄膜4は、上述のようにプラスチック基材2と無機多層膜3との間に配置され、プラスチック基材2に接して配設されたプライマー層5と、このプライマー層5に接し、かつ無機多層膜3に接して配設されたハードコート層6とからなっている。
プライマー層5は、プラスチック基材2とハードコート層6との密着性を良好にするためのもので、密着層として機能するようになっている。また、光学部品1に対する衝撃を吸収するためのものでもあり、衝撃吸収層としても機能するようになっている。
このプライマー層5は、ポリウレタン系樹脂を主成分とするもので、本実施形態では、ポリウレタン系樹脂に例えば無機材料の微粒子を含有させたものである。なお、プライマー層5は、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、及び有機珪素系樹脂の少なくとも一種を含んでいてもよい。プライマー層5の厚み(実際の厚み)は、0.5μm以上1.0μm以下程度とすることができる。
プライマー層5は、プライマー層5の形成材料液にプラスチック基材2を浸漬し、その後引き上げて乾燥することにより、プラスチック基材2上に所定の厚さで形成することができる。プライマー層5の形成材料液としては、例えば水又はアルコール系の溶媒に、上記のプライマー層5となる樹脂と無機酸化物微粒子ゾルとを分散又は溶解し、混合した液を用いることができる。
ハードコート層6は、プラスチック基材2を保護し、プラスチック基材2の損傷を抑制する機能を有するもので、耐擦傷性膜として機能するようになっている。
ハードコート層6は、例えばオルガノシロキサン系ハードコート層からなっている。オルガノシロキサン系ハードコート層は、オルガノシロキサン系樹脂に無機酸化物の微粒子を分散させたものである。無機酸化物としては、例えばルチル型の酸化チタンや、ケイ素、錫、ジルコニウム、及びアンチモンの酸化物が用いられる。また、ハードコート層6として、例えば特公平4−55615号公報に開示されているような、コロイド状シリカ含有の有機ケイ素系樹脂であってもよい。ハードコート層6の厚み(実際の厚み)は、2μm以上4μm以下程度とすることができる。
ハードコート層6は、ハードコート層6の形成材料液に、プライマー層5を形成したプラスチック基材2を浸漬し、その後引き上げて乾燥することにより、プラスチック基材2上のプライマー層5上に所定の厚さで形成することができる。ハードコート層6の形成材料液としては、例えば水又はアルコール系の溶媒に、上記のハードコート層6となる樹脂と無機酸化物微粒子ゾルとを分散又は溶解し、混合した液を用いることができる。
プライマー層5及びハードコート層6を含む機能性薄膜4については、その屈折率と、プラスチック基材2の屈折率とが実質的に同じであれば、機能性薄膜4とプラスチック基材2との界面での反射で生じる干渉縞の発生及び透過率の低下を抑制することができる。したがって、プラスチック基材2の屈折率に応じて、機能性薄膜4の屈折率が調整される。機能性薄膜4(プライマー層5、ハードコート層6)の屈折率の調整は、機能性薄膜4の主成分となる樹脂の種類(物性)を選択すること、あるいは、その主成分となる樹脂に添加する微粒子の種類(物性)を選択すること等によって行うことができる。
なお、本実施形態においては、機能性薄膜4がプライマー層5及びハードコート層6を含んで形成されているが、例えばプライマー層5とハードコート層6とのうち、いずれか一方、あるいは両方が省略されていてもよい。また、機能性薄膜4の構成膜として、例えばITO(Indium Tin Oxide)などからなる誘電体膜や金属膜を、プライマー層5及びハードコート層6に加えて配設してもよい。
また、本実施形態において、無機多層膜を構成する高屈折率無機材料と低屈折率無機材料との間に、厚さ20nm以下の誘電体膜又は金属膜を配設してもよい。なお、誘電体膜又は金属膜の厚さは、10nm以下であってもよい。
無機多層膜3は、プラスチック基材2に、高屈折率無機材料と低屈折率無機材料とが交互に複数積層されてなる多層構造の高屈折率層7を有し、高屈折率層7上に、この高屈折率層7の屈折率より低い屈折率の低屈折率無機材料からなる低屈折率層8を有した複層に構成されている。無機多層膜3は、入射した光の反射を防止する反射防止膜としての機能を有する。
また、本実施形態においては、多層膜として無機多層膜を用いているが、本発明の効果を損なわない限り、有機多層膜を用いてもよい。
高屈折率層7は、本実施形態では、プラスチック基材2側に設けられた高屈折率無機材料よりなる第1層9と、第1層9上に設けられた低屈折率無機材料よりなる第2層10と、第2層10上に設けられた高屈折率無機材料よりなる第3層11と、からなる。
第1層9は、ハードコート層6に接して設けられ、屈折率が2.0の二酸化ジルコニウム(ZrO)からなっている。なお、第1層9を構成する高屈折率無機材料としては、ZrO以外にも、例えば二酸化チタン(TiO)や二酸化タンタル(Ta)を用いることもできる。さらには、ジルコニウム、チタン、タンタルの複数種からなる合金の酸化物によって形成することもできる。また、これら以外にも、例えば酸化アルミニウム(Al)、二酸化イットリウム(Y)、二酸化ハフニウム(HfO)、Nb(二酸化ニオブ)を用いることもできる。
ここで、このように第1層9を高屈折率無機材料(ZrO)で形成することにより、第1層9とハードコート層6との間の密着性を得ることができる。すなわち、高屈折率無機材料からなる層(ZrO)とハードコート層6との密着性(密着力)のほうが、低屈折率無機材料からなる層(SiO)とハードコート層6との密着性(密着力)よりも大きいためである。また、機能性薄膜4(プライマー層5、ハードコート層6)が省略された場合においても、高屈折率層(ZrO)とプラスチック基材2との密着性(密着力)のほうが、低屈折率層(SiO)とプラスチック基材2との密着性(密着力)よりも大きいため、密着性についてより有利になる。
第2層10は、第1層9に接して設けられたもので、屈折率が1.47の二酸化珪素(SiO)からなっている。なお、第2層10を構成する低屈折率無機材料としては、SiO以外にも、例えば屈折率が1.36のMgFを用いることができる。
第3層11は、第2層10に接して設けられたもので、第1層9と同様に二酸化ジルコニウム(ZrO)からなっている。なお、この第3層11についても、第1層9と同様に、ZrO以外の高屈折率無機材料によって形成することもできる。
また、高屈折率層7については、上記のように第1層9、第2層10、第3層11の3層構造で形成することなく、上述した反射率についての条件を満たせば、2層、または4層以上で構成することもできる。
低屈折率層8は、第3層11に接して設けられたもので、第2層10と同様に二酸化珪素(SiO)からなっている。
また、本実施形態では、無機多層膜3の上、すなわちプラスチック基材2から最も遠い無機多層膜3の最外層(低屈折率層8)の上に、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を含む撥水撥油膜12が設けられている。
撥水撥油膜12は、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を主成分とするもので、撥液性(撥水性、撥油性)を有するものである。すなわち、撥水撥油膜12は、光学部品の表面エネルギーを低下させ、水やけ防止、汚れ防止の機能を発揮するとともに、光学部品表面のすべり性能を向上させ、その結果として、耐擦傷性を向上させることができる。
フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物としては、下記一般式(1):
Figure 0006073355
(式(1)中、Rfは炭素数1〜16の直鎖状又は分岐状パーフルオロアルキル基を表し、Yはヨウ素又は水素を表し、Y’は水素または炭素数1〜5の低級アルキル基を表し、Y”はフッ素又はトリフルオロメチル基を表し、Rは加水分解可能な基を表し、Rは水素又は不活性な一価の有機基を表し、a、b、c、dはそれぞれ0〜200の整数を表し、eは0又は1を表し、sおよびtはそれぞれ0〜2の整数を表し、wは1〜10の整数を表す。)及び下記一般式(2)〜(5):
Figure 0006073355
Figure 0006073355
Figure 0006073355
Figure 0006073355
(式(2)〜(5)中、Xは酸素又は二価の有機基を表し、X’は加水分解可能な基を表し、X”は二価の有機シリコーン基を表し、Rは炭素数1〜22の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表し、qは1〜3の整数を表し、m、n、oはそれぞれ0〜200の整数を表し、pは1又は2を表し、rは2〜20の整数を表し、kは0〜2の整数を表し、zはkが0又は1である場合に0〜10の整数を表す。)及び下記一般式(6):
Figure 0006073355
(式(6)中、Rfは2価の直鎖状のパーフルオロポリエーテル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは加水分解可能な基を表し、iは0〜2の整数を表し、jは1〜5の整数を表し、uは2又は3を表す。)の中から選択される。
ここで、撥水撥油膜12に優れた耐久性を付与するために、一般式(1)〜(5)の中から選択されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物と、一般式(6)から選択されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物とを組み合わせて用いることができる。
一般式(1)〜(5)で示されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物としては、ダイキン工業株式会社製オプツール−DSX、オプツール−AES4などを用いることができる。また、一般式(6)で示されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物としては、信越化学工業株式会社製KY−130、KY−164などを用いることができる。
この光学部品1は、更に、プラスチック基材2の2面に配設された無機多層膜3’を備えている。プラスチック基材2の2面と無機多層膜3’との間には、1面と同様、機能性薄膜4が配設されている。
無機多層膜3’は、プラスチック基材2に、高屈折率無機材料と低屈折率無機材料とが交互に複数積層されてなる多層構造の高屈折率層7’を有し、高屈折率層7’上に、高屈折率層7’の屈折率より低い屈折率の低屈折率無機材料からなる低屈折率層8’を有した複層に構成されている。
高屈折率層7’は、本実施形態では、プラスチック基材2側に設けられた高屈折率無機材料よりなる第1層9’と、第1層9’上に設けられた低屈折率無機材料よりなる第2層10’と、第2層10’上に設けられた高屈折率無機材料よりなる第3層11’と、からなる。
本実施形態における第1層9’、第2層10’、第3層11’に用いられる無機材料としては、第一の実施形態における第1層9、第2層10、第3層11に用いられる無機材料と同様のものが挙げられる。
高屈折率層7’については、第一の実施形態における高屈折率層7と同様に、三層構造で形成することなく、二層、または四層以上で構成することもできる。
なお、本実施形態においては、機能性薄膜4がプライマー層5及びハードコート層6を含んで形成されているが、1面と同様、例えばプライマー層5とハードコート層6とのうち、いずれか一方、あるいは両方が省略されていてもよい。また、機能性薄膜4の構成膜として、例えばITO(Indium Tin Oxide)などからなる誘電体膜や金属膜を、プライマー層5及びハードコート層6に加えて配設してもよい。
また、本実施形態において、無機多層膜を構成する高屈折率無機材料と低屈折率無機材料との間に、厚さ20nm以下の誘電体膜又は金属膜を配設してもよい。なお、誘電体膜又は金属膜の厚さは、10nm以下であってもよい。
また、本実施形態においては、多層膜として無機多層膜を用いているが、本発明の効果を損なわない限り、有機多層膜を用いてもよい。
本実施形態において、プラスチック基材両面のうち、どちらが表面であっても後面であってもよい。具体的には、例えば、1面を表面とし、2面を後面とすることができる。
図2は、光波長と、その光波長における無機多層膜3(1面に配設された多層膜)又は無機多層膜3’(2面に配設された多層膜)の反射率との関係を示す分光特性曲線である。
本実施形態において、波長範囲と、その波長範囲における無機多層膜3の反射率との関係を示す分光特性曲線O1は、380〜780nmの波長範囲に、一つの(反射率)極大値(図2中、点X1における反射率)と、その極大値に対応する波長(第1波長)から長波長側200nm以内に一つの(反射率)極小値(図2中、点X2における反射率)を有する。点X1について、例えば青色光の好ましくない影響を有効に低減することを目的とした場合、その波長領域は、400〜500nmが好ましく、410〜465nmがより好ましく、430〜450nmが特に好ましい。
更に、極大値に対応する波長(図2中、点X1における波長)から前後25nmの波長範囲(図2中、点X3〜点X4における波長範囲)における平均反射率が50%以下であり、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
極大値に対応する波長から前後25nmの波長範囲(図2中、点X3〜点X4における波長範囲)において、無機多層膜3’(2面に配設された多層膜)の平均反射率が、無機多層膜3(1面に配設された多層膜)の平均反射率の40%以下であり、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
更に、波長範囲と、その波長範囲における無機多層膜3’の反射率との関係を示す分光特性曲線O2は、分光特性曲線O1の極大値(図2中、点X1における反射率)に対応する波長から前後25nmの波長範囲(図2中、点X3〜点X4における波長範囲)において、極大値を有しない。
図2では、プラスチック基材2の1面に配設された無機多層膜3に関して波長と反射率との関係を示す分光特性曲線O1が、380〜780nmの波長範囲における第1波長(図2中、点X1における波長)で一つの極大値(図2中、点X1における反射率)を有するとともに、第1波長から長波長側200nm以内の第2波長(図2中、点X2における波長)に一つの極小値(図2中、点X2における反射率)を有し、第1波長から前後25nmの波長範囲(図2中、点X3〜点X4における波長範囲)における平均反射率が50%以下であり、第1波長から前後25nmの波長範囲において、プラスチック基材2の2面に配設された無機多層膜3’の平均反射率が、1面に配設された無機多層膜3の平均反射率の40%以下であり、プラスチック基材2の2面に配設された無機多層膜3’に関して波長と反射率との関係を示す分光特性曲線O2が、第1波長から前後25nmの波長範囲において、極大値を有しない。
本実施形態において、無機多層膜3及び無機多層膜3’が上記特性を有することにより、光学部品内に生じるゴースト光の発生を抑制できる。
また、本実施形態において、無機多層膜3及び無機多層膜3’は、以下の条件を満たす性質を有することができる。
先ず、1面に配設された多層膜(無機多層膜3)の分光反射率R(λ)[%]と、前記2面に配設された多層膜(無機多層膜3’)の分光反射率R(λ)[%]と、以下の式(1)とから、A(λ)を求める。
Figure 0006073355
次いで、R(λ)と、R(λ)と、A(λ)と、プラスチック基材2による光吸収率F(λ)[%]と、以下の式(2)とから、光学部品内での多重反射によるゴースト光の分光特性Tgn(λ)[%]を求める。
Figure 0006073355
次いで、Tgn(λ)を用いて、JIS8701に従い、標準光源(D65)の相対分光強度S(λ)と、等色関数x(λ)y(λ)z(λ)と、以下の式(3)とから、Kを求める。
Figure 0006073355
Figure 0006073355
Figure 0006073355
本実施形態において、例えば、無機多層膜3及び無機多層膜3’は、2.0x10−2以下のY値を有するように構成される。無機多層膜3及び無機多層膜3’ が、このようなY値を有することにより、光学部品内に生じるゴースト光の発生をより効果的に抑制できる。
[光学部品の製造方法]
次に、光学部品1の実施形態に基づき、本発明の光学部品の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は、プラスチック基材2に対して従来と同様の方法で機能性薄膜4(プライマー層5、ハードコート層6)を形成する工程と、プラスチック基材2を加熱する工程と、加熱によってプラスチック基材2を所定温度(例えば70℃)に調整した後、このプラスチック基材2の1面と2面からなる両面に、無機多層膜3及び無機多層膜3’をそれぞれ形成する工程と、無機多層膜3及び無機多層膜3’上に撥水撥油膜12を形成する工程と、を備える。
無機多層膜3及び無機多層膜3’を形成する工程は、高屈折率無機材料と低屈折率無機材料とを交互に複数積層して多層構造の高屈折率層7,7’を形成する処理と、この高屈折率層7,7’上に、低屈折率無機材料からなる低屈折率層8,8’を形成する処理と、を有している。これら各層の形成には、例えば、真空蒸着法を用いることができる。
図3は、無機多層膜3の各層を形成するための蒸着装置(成膜装置)30の一例を示す図である。図3に示すように蒸着装置30は、第1成膜室31と第2成膜室32と第3成膜室33とを備えて構成されている。これら第1成膜室31、第2成膜室32、第3成膜室33は、それぞれの内部が実質的に真空に減圧され、その状態に保持されるようになっている。また、蒸着装置30は、図示しない温調手段により、第1成膜室31、第2成膜室32、第3成膜室33のそれぞれの内部温度が調整可能になっている。
蒸着装置30は、第1成膜室31、第2成膜室32、第3成膜室33のそれぞれの内部空間に、保持部材34を備えている。保持部材34は、その上面(保持面)が曲面状になっており、かつ、回転可能に構成されており、この上面に複数のプラスチック基材2を保持するようになっている。
蒸着装置30の蒸着源35は、第2成膜室32の内側の空間に配置されている。蒸着源35は、第1蒸着源35A及び第2蒸着源35Bからなる。また、第2成膜室32には、蒸着源35にビームを照射可能な光源装置36が配置されている。光源装置36は、蒸着源35に対して電子を照射して蒸着源35の構成粒子を叩き出すことができる。
光源装置36から射出された電子が蒸着源35に照射されることによって、蒸着源35から、無機多層膜3及び無機多層膜3’を形成するための材料(ガス)が放出される。
例えば、光源装置36が第1蒸着源35Aにビームを照射することにより、ZrOの蒸気を第1蒸着源35Aから放出させ、保持部材34に保持されているプラスチック基材2上に供給し蒸着させる。これにより、無機多層膜3及び無機多層膜3’の高屈折率層7,7’における第1層9,9’と第3層11,11’を形成することができる。同様に、第2蒸着源35Bにビームを照射することにより、SiOの蒸気を第2蒸着源35Bから放出させ、保持部材34に保持されているプラスチック基材2上に供給し蒸着させる。これにより、無機多層膜3及び無機多層膜3’の高屈折率層7,7’における第2層10,10’と、低屈折率層8,8’を形成することができる。
すなわち、第1蒸着源35Aに対するビームの照射と第2蒸着源35Bに対するビームの照射とを交互に行うことにより、保持部材34に保持されているプラスチック基材2上に、高屈折率無機材料からなる層と低屈折率無機材料からなる層とを交互に形成し積層することができる。
ただし、本発明の実施形態に係る光学部品は、波長範囲と、その波長範囲におけるプラスチック基材2の1面に配設された多層膜(無機多層膜3)の反射率との関係を示す分光特性曲線が、380〜780nmの波長範囲に、一つの極大値と、その極大値に対応する波長(第1波長)から長波長側200nm以内の第2波長に一つの極小値を有し、極大値に対応する波長から前後25nmの波長範囲におけるプラスチック基材2の1面に配設された多層膜の平均反射率が50%以下となるようにし、極大値に対応する波長(第1波長)から前後25nmの波長範囲において、プラスチック基材2の2面に配設された多層膜(無機多層膜3’)の平均反射率が、1面に配設された多層膜の平均反射率の40%以下となるようにし、波長範囲と、その波長範囲におけるプラスチック基材2の2面に配設された多層膜の反射率との関係を示す分光特性曲線が、極大値に対応する波長から前後25nmの波長範囲において、極大値を有しないように設計する。
なお、第1蒸着源35Aとして酸化ジルコニウム(ZrO)からなる蒸着源を用い、第2成膜室32の内部空間に酸素を導入しながら第1蒸着源35Aにビームを照射し、二酸化ジルコニウム(ZrO)からなる高屈折率無機材料層を形成するようにしてもよい。
また、本実施形態の光学部品の製造方法において、無機多層膜3及び無機多層膜3’を形成する工程は、無機多層膜3及び無機多層膜3’を構成する層のうちの少なくとも一層を、イオンビームアシストを施しながら成膜を行う工程を含んでいてもよい。本実施形態の光学部品の製造方法が、このような工程を含むことにより、無機多層膜を構成する高屈折率無機材料と低屈折率無機材料との間に、誘電体膜が配設される。
図4は、イオンビームアシストを施すための成膜装置30’の一例を示す図である。成膜装置30’は、図3で示された蒸着装置30の第2成膜室にイオンガン37が備え付けられた構成となっている。図4において、図3に示した蒸着装置30と同じ構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態においては、無機多層膜3及び無機多層膜3’を構成する高屈折率層7,7’と低屈折率層8,8’との間に、ITO等の誘電体膜を配設する際に、イオンビームアシストを施しながら成膜を行う。
なお、第2成膜室32内で無機多層膜3を構成する層のうち少なくとも一層を、イオンビームアシストを施しながら成膜を行えばよく、イオンビームアシストを施す対象は、誘電体膜に限定されない。
本実施形態において、この成膜装置30’の第2成膜室は、プラスチック基材2上に高屈折率層7,7’が成膜された基材を保持する保持部材34と、蒸着源35’と、蒸着源35’と離間して配置されたイオンガン37と、光源装置36を主体として構成されている。
また、成膜装置30’はその内部が実質的に真空に減圧され、プラスチック基材2の周囲を真空雰囲気に保持できるように構成されている。更に成膜装置30’には、ガスボンベ等の雰囲気ガス供給源が接続されていて、真空容器の内部を真空等の低圧状態で、かつ、酸素ガス、アルゴンガス、またはその他の不活性ガス雰囲気、あるいは、酸素を含む不活性ガス雰囲気にすることができるように構成されている。
蒸着源35’は、例えばITOを含む。光源装置36が蒸着源35’にビームを照射することによって、ガス化されたITOがその蒸着源35’から放出され、保持部材34に保持されているプラスチック基材2に供給される。これにより、高屈折率層7,7’の上にITOからなる誘電体膜を形成することができる。
イオンガン37は、第2成膜室32の内部に、イオン化させるガスを導入するガス導入部と、正面に引き出し電極を備えて構成されている。イオンガン37は、ガスの原子または分子の一部をイオン化し、そのイオン化した粒子を引き出し電極で発生させた電界で制御してイオンビームとして照射する装置である。
光源装置36は、イオンガン37と同等の構成をなし、蒸着源35’に対して電子を照射して蒸着源35’の構成粒子を叩き出すことができる。なお、成膜装置30’においては、蒸着源35’の構成粒子を叩き出すことができることが重要であるので、蒸着源35’に高周波コイル等で電圧を印加して蒸着源35’の構成粒子を叩き出し可能なように構成し、光源装置36を省略しても良い。
次に上記構成の成膜装置30’を用いてプラスチック基材2上の高屈折率層7,7’上にITOの誘電体膜を形成する場合について説明する。ITOの誘電体膜を形成するには、ITOの蒸着源35’を用いるとともに、イオンガン37から照射されるイオンを保持部材34の上面に照射できるようにする。次にプラスチック基材2を収納している成膜室32の内部を真空引きして減圧雰囲気とする。そして、イオンガン37と光源装置36を作動させる。
光源装置36から蒸着源35’に電子を照射すると、蒸着源35’の構成粒子が叩き出されて高屈折率層7,7’上に飛来する。そして、高屈折率層7,7’上に、蒸着源35’から叩き出した構成粒子を堆積させると同時に、イオンガン37からアルゴンイオンをイオンビームとして照射する。
本実施形態において、イオンビームアシストは、不活性ガス、酸素ガス、及び不活性ガスと酸素ガスの混合ガスから選ばれる少なくとも一種のガスを用いて行われる。不活性ガスとして、例えば、アルゴンを用いることができる。
このようにして無機多層膜3及び無機多層膜3’を形成したら、これらの上に撥水撥油膜12を形成する。
撥水撥油膜12の形成方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法などの湿式法、あるいは真空蒸着法などの乾式法がある。
湿式法の中では、ディッピング法が一般的であり、よく用いられる。この方法は、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を有機溶剤に溶解した液中に、無機多層膜3,3’まで形成した光学部品を浸漬し、一定条件で引き上げ、乾燥させて成膜する方法である。
有機溶剤としては、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ−4−メトキシブタン、パーフルオロ−4−エトキシブタン、メタキシレンヘキサフルオライドなどが使用される。
有機溶剤による希釈濃度は、0.01〜0.5重量%とすることができ、0.03〜0.1重量%が好ましい。濃度が低すぎると十分な膜厚の撥水撥油層12が得られないことがあり、また、濃度が高すぎると塗布むらが発生しやすく、材料コストも高くなってしまうことがある。
乾式法の中では、真空蒸着法がよく用いられる。この方法は、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を真空槽内で加熱して蒸発させ、撥水撥油膜12を形成する方法である。
このようにして形成された光学部品1にあっては、無機多層膜3及び無機多層膜3’が上記特性を有するように設計したので、光学部品内に生じるゴースト光の発生を抑制できる
また、光学部品の製造方法にあっては、このようなバランスのとれた優れた光学部品を確実に提供することができる。
[ゴースト光の定量方法]
次に、上記光学部品1の説明に基づき、本実施形態のゴースト光の定量方法について説明する。
本実施形態のゴースト光の定量方法は、プラスチック基材2と、プラスチック基材2の1面と2面からなる両面に配設された多層膜とを備えた光学部品内で、光の多重反射により生じるゴースト光の定量方法であって、1面に配設された多層膜の分光反射率R(λ)[%]と、2面に配設された多層膜の分光反射率R(λ)[%]と、以下の式(1)とから、A(λ)を求め、
Figure 0006073355
(λ)と、R(λ)と、A(λ)と、プラスチック基材による光吸収率F(λ)[%]と、以下の式(2)とから、光学部品内での多重反射によるゴースト光の分光特性Tgn(λ)[%]を求め、
Figure 0006073355
gn(λ)を用いて、JIS8701に従い、標準光源(D65)の相対分光強度S(λ)と、等色関数x(λ)y(λ)z(λ)と、以下の式(3)とから、Kを求め、
Figure 0006073355
Kと、S(λ)と、等色関数x(λ)y(λ)z(λ)と、Tgn(λ)と、以下の式(4)とから、三刺激値XYZのY値を求め、
Figure 0006073355
得られたY値の値をゴースト光の強度とする。このように、本発明者は、光学部品に生じるゴースト光の強度を定量化する方法を見出した。本発明の実施形態に係る方法を用い、光学部品に配設される多層膜の基準として、例えば、Y値が、2.0x10−2以下であるもの、と設定することにより、ゴースト光の低減に優れた光学部品を製造することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
≪実験1≫
ウレタン系合成樹脂基板上に、屈折率1.67のシリコン系ハードコート、及び屈折率1.67のプライマーコートを加熱硬化にて施し、以下に示すように真空蒸着法により成膜した。
<実施例1>
1面:レンズを真空槽内に設けられた回転するドームにセットし、真空槽内の温度を70度に加熱し、圧力が1.0×10−3Paになるまで排気し、加速電圧500V、加速電流100mAの条件でArイオンビームクリーニングを60秒間施した後、プラスチック基材側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.110λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.130λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.160λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.060λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.190λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.340λで積層した。尚、λは設計の中心波長で500nmとした。
2面:1面と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で前処理後、プラスチック基材側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.050λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.080λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.150λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.040λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.110λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.220λで積層した。尚、λは設計の中心波長で500nmとした。
実施例1のレンズの1面における分光特性を図5Aに示す。図5Aの分光特性の数値データを図5Bに示す。実施例1のレンズの2面における分光特性を図6Aに示す。図6Aの分光特性の数値データを図6Bに示す。
<実施例2>
1面:レンズを真空槽内に設けられた回転するドームにセットし、真空槽内の温度を70度に加熱し、圧力が1.0×10−3Paになるまで排気し、加速電圧500V、加速電流100mAの条件でArイオンビームクリーニングを60秒間施した後、プラスチック基材側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.120λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.050λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.150λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.500λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.170λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.110λ、第7層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.190λ、第8層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.280λで積層した。尚、λは設計の中心波長で500nmとした。
2面:1面と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で前処理後、プラスチック基材側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.110λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.090λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.220λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.060λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.200λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.330λで積層した。尚、λは設計の中心波長で500nmとした。
実施例2のレンズの1面における分光特性を図7Aに示す。図7Aの分光特性の数値データを図7Bに示す。実施例2のレンズの2面における分光特性を図8Aに示す。図8Aの分光特性の数値データを図8Bに示す。
<実施例3>
1面:レンズを真空槽内に設けられた回転するドームにセットし、真空槽内の温度を70度に加熱し、圧力が1.0×10−3Paになるまで排気し、加速電圧500V、加速電流100mAの条件でArイオンビームクリーニングを60秒間施した後、プラスチック基材側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.100λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.100λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.200λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.060λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.160λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.340λで積層した。尚、λは設計の中心波長で500nmとした。
2面:1面と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で前処理後、プラスチック基材側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.070λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.070λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.140λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.050λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.120λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.290λで積層した。尚、λは設計の中心波長で500nmとした。
実施例3のレンズの1面における分光特性を図9Aに示す。図9Aの分光特性の数値データを図9Bに示す。実施例3の2面における分光特性を図10Aに示す。図10Aの分光特性の数値データを図10Bに示す。
<比較例1>
1面:レンズを真空槽内に設けられた回転するドームにセットし、真空槽内の温度を70度に加熱し、圧力が1.0×10−3Paになるまで排気し、加速電圧500V、加速電流100mAの条件でArイオンビームクリーニングを60秒間施した後、プラスチック基材側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.100λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.100λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.200λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.060λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.160λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.340λで積層した。尚、λは設計の中心波長で500nmとした。
2面:1面と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で前処理後、プラスチック基材側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.100λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.100λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.200λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.060λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.160λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.340λで積層した。尚、λは設計の中心波長で500nmとした。
比較例1のレンズの両面における分光特性を図11Aに示す。図11Aの分光特性の数値データを図11Bに示す。
<比較例2>
1面:レンズを真空槽内に設けられた回転するドームにセットし、真空槽内の温度を70度に加熱し、圧力が1.0×10−3Paになるまで排気し、加速電圧500V、加速電流100mAの条件でArイオンビームクリーニングを60秒間施した後、プラスチック基材側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.150λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.050λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.170λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.550λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.160λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.090λ、第7層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.200λ、第8層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.310λで積層した。尚、λは設計の中心波長で500nmとした。
2面:1面と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で前処理後、プラスチック基材側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.150λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.050λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.170λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.550λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.160λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.090λ、第7層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.200λ、第8層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.310λで積層した。尚、λは設計の中心波長で500nmとした。
比較例2のレンズの両面における分光特性を図12Aに示す。図12Aの分光特性の数値データを図12Bに示す。
実施例1〜3及び比較例1〜2における各成膜層の詳細を表1〜表2に示す。
Figure 0006073355
Figure 0006073355
また、実施例1〜3及び比較例1〜2において、1面の分光反射率をR(λ)[%]、2面の分光反射率をR(λ)[%]とし、基材による光吸収率をF(λ)[%]とすると、ゴースト光の分光分布は、
Figure 0006073355
で与えられる。ここで、A(λ)は以下の式で与えられる。尚、式(1)及び式(2)において、n=1で計算している。
Figure 0006073355
これを用いてJIS8701に従い、標準光源(D65)の相対分光強度をS(λ)、等色関数をx(λ)y(λ)z(λ)として三刺激値XYZのY値を計算すると、Yは、
Figure 0006073355
で与えられる。ここで、Kは以下の式で与えられる。
Figure 0006073355
このY値をゴースト光の強度として定量的な比較評価に用いた。更に、分光特性曲線において、1面の反射率が極値を示す波長(第1波長)から前後25nmの波長範囲における1面の平均反射率と、この波長範囲における2面の平均反射率の和を計算した。結果を表3に示す。
Figure 0006073355
実施例1は、上記の波長範囲における平均反射率が、比較例1と同程度を維持しているにもかかわらず、ゴースト光を40%低減していた。同様に、実施例3と比較例1を比較すると、実施例3は63%ゴースト光を低減していることが確認された。更に実施例2と比較例2を比較すると、実施例2は72%ゴースト光を低減していることが確認された。
さらに、これらの光学部品を用いて装用評価を行った。
(装用評価)
実施例に沿って作成した光学部品を装備した眼鏡を装用し、蛍光灯照明によるゴースト光の評価を行った。評価時の条件は以下の通りである。
モニタ人数 :10名
照明:蛍光灯(昼光色)
以上の条件で実施例1〜3と比較例1〜2を比較して、ゴースト光の強度が低いものから順位付けを行った。結果を表4に示す。
Figure 0006073355
このような装用比較評価を行った結果、官能試験においても比較例1と2に比べて実施例1〜3はレンズ内での多重反射によるゴースト光の強度が改善されていることが確認された。
以上の結果から、本発明の態様によれば防眩効果を有し、疲労感を軽減させ、眼病予防にも効果的で、かつ、比較的高い反射でありながら視認性が良好な光学部品及び光学部品の製造方法、並びに、光学部品内で、光の多重反射により生じるゴースト光の定量方法を提供できることが明らかである。
1…光学部品、2…プラスチック基材、3,3’…無機多層膜、4…機能性薄膜、5…プライマー層(機能性薄膜)、6…ハードコート層(機能性薄膜)、7,7’…高屈折率層、8,8’…低屈折率層、9,9’…第1層、10,10’…第2層、11,11’…第3層、12…撥水撥油膜、30…蒸着装置、30’…成膜装置、31…第1成膜室、32…第2成膜室、33…第3成膜室、34…保持部材、35,35’…蒸着源、35A…第1蒸着源、35B…第2蒸着源、36…光源装置、37…イオンガン。

Claims (13)

  1. プラスチック基材と、前記プラスチック基材の1面と2面からなる両面に配設された多層膜とを備えた眼鏡レンズであって、
    前記プラスチック基材の前記1面に配設された前記多層膜に関して波長と反射率との関係を示す分光特性曲線が、380〜780nmの波長範囲における第1波長で一つの極大値を有するとともに、前記第1波長から長波長側200nm以内の第2波長に一つの極小値を有し、
    前記第1波長から前後25nmの波長範囲において、前記1面に配設された前記多層膜の平均反射率が50%以下であり、
    前記第1波長から前後25nmの前記波長範囲において、前記プラスチック基材の前記2面に配設された前記多層膜の平均反射率が、前記1面に配設された前記多層膜の平均反射率の40%以下であり、
    前記プラスチック基材の前記2面に配設された前記多層膜に関して波長と反射率との関係を示す分光特性曲線が、前記第1波長から前後25nmの前記波長範囲において、極大値を有さず、
    刺激値Yによって評価されるゴースト光強度が2.0×10−2以下であり、
    前記刺激値Yは、前記1面に配設された前記多層膜の分光反射率R (λ)[%]と、前記2面に配設された前記多層膜の分光反射率R (λ)[%]と、以下の式(1)とから、A (λ)を求め、
    Figure 0006073355
    (式中、nは1以上の整数を表す。)
    前記R (λ)と、前記R (λ)と、前記A (λ)と、前記プラスチック基材による光吸収率F(λ)[%]と、以下の式(2)とから、光学部品内での多重反射によるゴースト光の分光特性T gn (λ)[%]を求め、
    Figure 0006073355
    (式中、nは1以上の整数を表す。)
    JIS8701に従い、標準光源(D65)の相対分光強度S(λ)と、等色関数y(λ)と、以下の式(3)とから、Kを求め、
    Figure 0006073355
    前記Kと、前記S(λ)と、前記等色関数y(λ)と、前記T gn (λ)とから、以下の式(4)によって求められることを特徴とする眼鏡レンズ。
    Figure 0006073355
  2. 前記プラスチック基材は、着色され、5〜85%の透過率を有する請求項に記載の眼鏡レンズ。
  3. 前記プラスチック基材から最も遠い、前記多層膜の少なくとも一方の最外層の上に、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を含む撥水撥油膜を更に備える請求項1又は2に記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物は、下記一般式(1):
    Figure 0006073355
    (式(1)中、Rfは炭素数1〜16の直鎖状又は分岐状パーフルオロアルキル基を表し、Yはヨウ素又は水素を表し、Y’は水素または炭素数1〜5の低級アルキル基を表し、Y”はフッ素又はトリフルオロメチル基を表し、Rは加水分解可能な基を表し、Rは水素又は不活性な一価の有機基を表し、a、b、c、dはそれぞれ0〜200の整数を表し、eは0又は1を表し、sおよびtはそれぞれ0〜2の整数を表し、wは1〜10の整数を表す。)及び下記一般式(2)〜(5):
    Figure 0006073355
    Figure 0006073355
    Figure 0006073355
    Figure 0006073355
    (式(2)〜(5)中、Xは酸素又は二価の有機基を表し、X’は加水分解可能な基を表し、X”は二価の有機シリコーン基を表し、Rは炭素数1〜22の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表し、qは1〜3の整数を表し、m、n、oはそれぞれ0〜200の整数を表し、pは1又は2を表し、rは2〜20の整数を表し、kは0〜2の整数を表し、zはkが0又は1である場合に0〜10の整数を表す。)及び下記一般式(6):
    Figure 0006073355
    (式(6)中、Rfは2価の直鎖状のパーフルオロポリエーテル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは加水分解可能な基を表し、iは0〜2の整数を表し、jは1〜5の整数を表し、uは2又は3を表す。)の中から選択される1種類以上のフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物である請求項に記載の眼鏡レンズ。
  5. 前記多層膜は、4層以上の多層膜である請求項1〜のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
  6. 前記プラスチック基材と前記多層膜との間に、機能性薄膜を備えた請求項1〜のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
  7. 前記多層膜を構成する高屈折率材料と低屈折率材料との間に、厚さ20nm以下の誘電体膜又は金属膜を備えた請求項1〜のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
  8. 前記高屈折率材料は、二酸化ジルコニウムを含み、前記低屈折率材料は、二酸化珪素を含む請求項に記載の眼鏡レンズ。
  9. プラスチック基材と、前記プラスチック基材の1面と2面からなる両面に配設された多層膜とを備えた眼鏡レンズの製造方法であって、
    前記プラスチック基材を加熱する工程と、前記加熱によって前記プラスチック基材を所定温度に調整した後、前記プラスチック基材上に前記多層膜を形成する工程と、を備え、
    前記多層膜を形成する工程は、高屈折率材料と低屈折率材料とを交互に複数積層し多層構造の高屈折率層を形成する処理と、前記高屈折率層の屈折率より低い屈折率の低屈折率材料からなる低屈折率層を前記高屈折率層上に形成する処理と、を有し、
    前記プラスチック基材の前記1面に配設された前記多層膜に関して波長と反射率との関係を示す分光特性曲線が、380〜780nmの波長範囲における第1波長で一つの極大値を有するとともに、前記第1波長から長波長側200nm以内の第2波長に一つの極小値を有し、前記第1波長から前後25nmの波長範囲において、前記1面に配設された前記多層膜の平均反射率が50%以下となるようにし、
    前記第1波長から前後25nmの前記波長範囲において、前記プラスチック基材の前記2面に配設された前記多層膜の平均反射率が、前記1面に配設された前記多層膜の平均反射率の40%以下となるようにし、
    前記プラスチック基材の前記2面に配設された前記多層膜に関して波長と反射率との関係を示す分光特性曲線が、前記第1波長から前後25nmの前記波長範囲において、極大値を有しないようにし、
    刺激値Yによって評価されるゴースト光強度が2.0×10−2以下であり、
    前記刺激値Yは、前記1面に配設された前記多層膜の分光反射率R (λ)[%]と、前記2面に配設された前記多層膜の分光反射率R (λ)[%]と、以下の式(1)とから、A (λ)を求め、
    Figure 0006073355
    (式中、nは1以上の整数を表す。)
    前記R (λ)と、前記R (λ)と、前記A (λ)と、前記プラスチック基材による光吸収率F(λ)[%]と、以下の式(2)とから、光学部品内での多重反射によるゴースト光の分光特性T gn (λ)[%]を求め、
    Figure 0006073355
    (式中、nは1以上の整数を表す。)
    JIS8701に従い、標準光源(D65)の相対分光強度S(λ)と、等色関数y(λ)と、以下の式(3)とから、Kを求め、
    Figure 0006073355
    前記Kと、前記S(λ)と、前記等色関数y(λ)と、前記T gn (λ)とから、以下の式(4)によって求められることを特徴とする請求項1〜のいずれかの一項に記載の眼鏡レンズの製造方法。
    Figure 0006073355
  10. 前記多層膜を、真空蒸着法を用いて形成する工程を含む請求項に記載の眼鏡レンズの製造方法。
  11. 前記多層膜を形成する工程は、前記多層膜を構成する層のうちの少なくとも一層を、イオンビームアシストを施しながら成膜を行う工程を含む請求項又は10に記載の眼鏡レンズの製造方法。
  12. 前記イオンビームアシストは、不活性ガス、酸素ガス、及び不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスのうちから選ばれる少なくとも一種のガスを用いて行われる請求項11に記載の眼鏡レンズの製造方法。
  13. 前記不活性ガスはアルゴンである請求項12に記載の眼鏡レンズの製造方法。
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