JP6581653B2 - 眼鏡レンズ - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチックレンズの両面に多層膜を備える眼鏡レンズに関する。
近年、眼鏡レンズでは、軽量で耐衝撃性に優れ、かつ染色しやすいとの利点からプラスチックレンズが多用されている。
眼鏡用プラスチックレンズは、コスメティック効果、目の保護、遮光効果等の目的から全体を所望の色に均一に染色するか、または濃度勾配(グラデーション)をつけて染色することもさかんに行われている。
さらに、近年、コスメティック効果以外に染色により一定の機能を付与した眼鏡レンズが提案され(特許文献1、及び2参照)、盛んに発売されている。
特に、眼鏡レンズとしては、コントラストアップや眼精疲労軽減などの効果を付与するため、可視光の中でエネルギーが大きい青色光(380nm〜500nm)を効果的にカットするものが主流である。
本出願人の出願に係る特許文献1には、380nm〜450nmの短波長光のみを効果的にカットすることができる特定の化合物を用いて染色して得られた、380nm〜450nmの短波長光吸収性能に優れた染色レンズが開示されている。
また、特許文献2には、可視光に対する眩しさと関連した不快感やコントラストの不鮮明感、視覚疲労等を軽減する防眩性機能を付与するために、565nm〜605nmの間に主吸収ピークを有する有機系色素を含有するプラスチック眼鏡レンズを開示している。
特許文献2に開示の眼鏡レンズは、565nm〜605nmの間に主吸収ピーク波長における透過率の低下が極めて大きく、視感透過率Yが、実施例等に開示されているものでも14.1%〜73.4%であり、視感透過率の低下が大きいものである。
このため、特許文献2に開示の眼鏡レンズでは、585nm付近に波長選択的にシャープな光吸収ピークを有しているため、優れた防眩性能とコントラスト増強効果を付与することができ、特定吸収ピークのシャープさに由来して585nm付近以外での光透過性が良好で明視野が確保できるため、防眩性と視認性のバランスが極めて良好であり、かつグレーやブラウンなどの各種の色調化が実現しやすいとしている。
特開2013−054275号公報 特開2013−061653号公報
しかしながら、一般的に人の水晶体は、加齢に伴って黄色く着色することが知られている。このため、図10に示す分光比視感度曲線から明らかなように、人の目は、加齢に伴い、380nm〜500nmの青色光の波長領域において、視感度が低下していく。
したがって、年配者、例えば、40歳以上の年配者においては、元々、短波長帯の青色光を黄色く着色した水晶体でカットしていることになる。このため、年配者が、眼鏡レンズとして主流である青色光を効果的にカットした、特許文献1に開示されているような眼鏡レンズを装用しても、若年者ほどの効果が得られないことが予想されると言う問題があった。
また、年配者においては、水晶体が黄色く着色しているため、白色、特に、パソコン(PC)等の画面の白色が、きれいな白に見えないことが予想されると言う問題があった。
さらに、図11に示すように、人の目においては、一般的に言われているように、加齢に伴い、光感度が低下し、必要とする必要照度が増加していく。一方、図12に示すように、人の目では、明るいところで赤色と青色が同じような明るさに見えても、薄暗いところでは赤はくすんで暗く見えることがプルキンエ現象として知られている。
このため、年配者、例えば、40歳以上の年配者においては、若年者より、薄暗いところでは、物が明るく見えない、特に、赤の鮮やかさが失われ、赤がよりくすんで暗く見えるという問題があった。
また、特許文献2に開示のプラスチック眼鏡レンズは、視感透過率が大幅に低い為、極めて明るい高照度の環境下で使用することで防眩効果等を発揮できるものであるが、常用することが想定されておらず、要求照度が増加している年配者が通常装用すると、見えにくく、薄暗いところでは、物が明るく見えない、特に、赤の鮮やかさが更に失われ、赤が更によりくすんで暗く見えるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、年配者の目に好適な眼鏡レンズを提供することを目的とする。
即ち、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、年配者が装用した時に、薄暗いところでも、物が明るく鮮やかに、特に、赤の鮮やかさが失われず、赤が明るく見えるようにすることができ、白色、例えば、パソコン(特にLEDバックライト)の白い画面がより白く見えるようにすることができ、その結果、白色を注視する必要のある作業、例えば、パソコン作業をより快適に行うことができる眼鏡レンズを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、下記眼鏡レンズは、プラスチックレンズ基材の両面に多層膜を備える眼鏡レンズであって、プラスチックレンズ基材の両面の内、少なくとも片側の面に配設された多層膜の少なくとも530〜570nmの波長範囲における平均反射率が、2.5〜5.5%であり、プラスチックレンズ基材の両面に配設された多層膜の430〜470nmの波長範囲における平均反射率の和が、2.0%以下であり、プラスチックレンズ基材の両面に配設された多層膜の630〜670nmの波長範囲における平均反射率の和が、2.0%以下であることを特徴とする。
ここで、プラスチックレンズ基材の両面の内、少なくとも片側の面に配設された前記多層膜において、少なくとも530〜570nmの波長範囲における反射率に1つの極大値を有し、その反射率の極大値が、2.0〜6.0%であることが好ましい。
た、プラスチックレンズ基材の両面に配設された多層膜の少なくとも530〜570nmの波長範囲における平均反射率の和が、3.0〜6.0%であることが好ましい。
また、プラスチックレンズ基材の両面の内、片側の面に配設された多層膜において、その視感反射率が、1.5〜5.0%以下であることが好ましい。
また、少なくとも530〜570nmの波長範囲は、530〜580nmの波長範囲であることがより好ましい。
た、多層膜は、高屈折率材料と低屈折率材料とによって構成され、多層膜を構成する高屈折率材料と低屈折率材料との間に、厚さ20nm以下の誘電体膜又は金属膜を備えることが好ましい。
また、高屈折率材料は、二酸化ジルコニウムを含み、低屈折率材料は、二酸化珪素を含むことが好ましい。
また、多層膜は、層以上の多層膜であることが好ましい。
また、プラスチック基材と前記多層膜との間に、機能性薄膜を備えることが好ましい。
本発明によれば、以上のように構成されているので、年配者の目に好適な眼鏡レンズを提供することができる。
また、本発明によれば、以上のように構成されているので、年配者が装用した時に、薄暗いところでも、物が明るく鮮やかに、特に、赤の鮮やかさが失われず、赤が明るく見えるようにすることができ、白色、例えば、パソコン(特にLEDバックライト)の白い画面がより白く見えるようにすることができ、その結果、白色を注視する必要のある作業、例えば、パソコン作業をより快適に行うことができる。
本発明の一実施形態に係る眼鏡レンズの一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る眼鏡レンズの3種の多層膜の反射分光特性を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る眼鏡レンズを製造する真空蒸着装置の一実施形態を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る眼鏡レンズを製造する成膜装置の一実施形態を示す模式図である。 実施例1の眼鏡レンズの前面の多層膜の反射分光特性を示すグラフである。 実施例1〜2及び比較例2〜3の眼鏡レンズの後面、並びに比較例1の眼鏡レンズの両面の多層膜の反射分光特性を示すグラフである。 実施例2の眼鏡レンズの前面の多層膜の反射分光特性を示すグラフである。 比較例2の眼鏡レンズの前面の多層膜の反射分光特性を示すグラフである。 比較例3の眼鏡レンズの前面の多層膜の反射分光特性を示すグラフである。 波長に対する対数比視感度で表される人の目の分光比視感度曲線を示すグラフである。 人の年齢に対する要求照度で表される人の目の光視感度を説明する説明図である。 波長に対する絶対視感度で表される人の目のプルキンエ現象を説明する説明図である。
以下、本発明に係る眼鏡レンズを添付の図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に示す好適実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る眼鏡レンズの一例を模式的に示す側断面図である。
同図に示す眼鏡レンズ1は、プラスチックレンズ基材(以下、プラスチック基材という)2と、プラスチック基材2の前面(表面:眼球と反対側(外側)の面)に配設された光学多層膜3aと、プラスチック基材2の後面(裏面:眼球側(顔側)の面)に配設された光学多層膜3bとを備えて構成されている。
本実施形態の眼鏡レンズ1では、プラスチック基材2の前面と光学多層膜3aとの間、及びプラスチック基材2の後面と光学多層膜3bとの間には、機能性薄膜4が配設されていることが好ましい。この機能性薄膜4は、プライマ層5とハードコート層6とからなっている。また、本実施形態では、さらに、光学多層膜3a及び3bの上には撥水撥油膜12が設けられていることが好ましい。この撥水撥油膜12については後述する。
プラスチック基材2は、例えば透明なプラスチックであるアクリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、メタクリル系樹脂、アリル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エピスルフィド樹脂、ポリエ−テルサルホン樹脂ポリ4−メチルペンテン−1樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)、ポリ塩化ビニル樹脂、アリルジグリコールカーボネート樹脂、ハロゲン含有共重合体、及びイオウ含有共重合体等によって形成されたものである。
また、本実施形態では、プラスチック基材2の屈折率(nd)としては、例えば1.50、1.55、1.60、1.67、1.70及び1.74のうちから選択されたものが用いられる。なお、プラスチック基材2の屈折率を1.6以上にする場合、プラスチック基材2としては、アリルカーボネート系樹脂、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、及びチオウレタン系樹脂、エピスルフィド系樹脂等を使用することが好ましい。
また、プラスチック基材2は透光性を有していれば透明でなくてもよく、着色されていてもよい。着色されたプラスチック基材2の透過率は、5〜85%であることが好ましい。
機能性薄膜4は、上述したようにプラスチック基材2と光学多層膜3aとの間、及びプラスチック基材2と光学多層膜3bとの間に配置されるもので、プラスチック基材2に接して配設されたプライマ層5と、このプライマ層5に接し、かつ光学多層膜3a及び3bにそれぞれ接して配設されたハードコート層6とからなっている。
プライマ層5は、プラスチック基材2とハードコート層6との密着性を良好にするためのもので、密着層として機能するようになっている。また、眼鏡レンズ1に対する衝撃を吸収するためのものでもあり、衝撃吸収層としても機能するようになっている。
このプライマ層5は、ポリウレタン系樹脂を主成分とするもので、本実施形態では、ポリウレタン系樹脂に、例えば光学材料の微粒子を含有させたものである。なお、プライマ層5は、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、及び有機珪素系樹脂の少なくとも一種を含んでいてもよい。プライマ層5の厚み(実際の厚み)については、0.5μm以上1.0μm以下程度とするのが好ましい。
このようなプライマ層5は、プライマ層5の形成材料液にプラスチック基材2を浸漬し、その後引き上げて乾燥することにより、プラスチック基材2上に所定の厚さで形成することができる。プライマ層5の形成材料液としては、例えば水又はアルコール系の溶媒に、上述したプライマ層5となる樹脂と光学酸化物微粒子ゾルとを分散又は溶解し、混合した液を用いることができる。
ハードコート層6は、プラスチック基材2を保護し、プラスチック基材2の損傷を抑制する機能を有するもので、シリコーン系耐擦傷性向上ハードコート膜等の耐擦傷性膜として機能するようになっていることが好ましい。
ハードコート層6は、シリコーン系耐擦傷性向上ハードコート膜として、例えばオルガノシロキサン系ハードコート層からなっている。オルガノシロキサン系ハードコート層は、オルガノシロキサン系樹脂に光学酸化物の微粒子を分散させたものである。光学酸化物としては、例えばルチル型の酸化チタンや、ケイ素、錫、ジルコニウム、及びアンチモンの酸化物が好適に用いられる。また、ハードコート層6として、例えば特公平4−55615号公報に開示されているような、コロイド状シリカ含有の有機ケイ素系樹脂であってもよい。ハードコート層6の厚み(実際の厚み)については、2μm以上4μm以下程度とするのが好ましい。
なお、ハードコート層6として、特に制限的ではなく、例えば、ウレタン系耐衝撃性向上ハードコート層等の従来公知のハードコート層を用いても良い。
ハードコート層6は、ハードコート層6の形成材料液に、プライマ層5を形成したプラスチック基材2を浸漬し、その後引き上げて乾燥することにより、プラスチック基材2上のプライマ層5上に所定の厚さで形成することができる。ハードコート層6の形成材料液としては、例えば水又はアルコール系の溶媒に、上述したハードコート層6となる樹脂と光学酸化物微粒子ゾルとを分散又は溶解し、混合した液を用いることができる。
これらプライマ層5及びハードコート層6を含む機能性薄膜4については、その屈折率と、プラスチック基材2の屈折率とがほぼ同じであれば、機能性薄膜4とプラスチック基材2との界面での反射で生じる干渉縞の発生及び透過率の低下を抑制することができる。したがって、プラスチック基材2の屈折率に応じて、機能性薄膜4の屈折率を調整するのが望ましい。機能性薄膜4(プライマ層5、ハードコート層6)の屈折率の調整については、機能性薄膜4の主成分となる樹脂の種類(物性)を選択すること、あるいは、その主成分となる樹脂に添加する微粒子の種類(物性)を選択すること等によって行うことができる。
なお、本実施形態においては、機能性薄膜4がプライマ層5及びハードコート層6を含んで形成されているが、例えばプライマ層5とハードコート層6とのうち、いずれか一方、あるいは両方が省略されていてもよい。また、機能性薄膜4の構成膜として、例えばITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ、又はスズドープ酸化インジウムという)などからなる導電体膜やNi,Cr等の金属膜や可視光の吸収層を、上述のプライマ層5及びハードコート層6に加えて配設してもよい。
本実施形態の眼鏡レンズでは、プラスチック基材2の前面と光学多層膜3aとの間、及びプラスチック基材2の後面と光学多層膜3bとの間には、同じ機能性薄膜4が配設されているのが好ましいが、本発明はこれに限定されず、プラスチック基材2の前面と後面とで、異なる機能性薄膜が配設されていても良い。
また、本実施形態においては、光学多層膜3a及び3bをそれぞれ構成する高屈折率光学材料と低屈折率光学材料との間に、厚さ20nm以下のITO等の導電体膜、Ni,Cr等の金属膜又は可視光の吸収膜等を配設してもよい。導電体膜、金属膜又は可視光の厚さは、10nm以下であってもよい。
また、導電体膜、金属膜又は可視光の吸収膜は、本実施形態の多層膜に用いられる高屈折率光学材料である酸化物に比べて、電気伝導性があり、又、可視光の吸収が大きく着色が起こるので、本実施形態の多層膜に用いられる高屈折率光学材料に用いることができず、この高屈折率光学材料とは明確に区別され、本実施形態の多層膜に用いられる高屈折率光学材料には、含まれない。
光学多層膜3a及び3bは、上述のプラスチック基材2に、高屈折率光学材料(高屈折率物質)と低屈折率光学材料(低屈折率物質)とが交互に複数積層されてなる多層構造、具体的には、高屈折率物質からなる高屈折率層と低屈折率物質からなる低屈折率層とを4層以上の重ね合わせた多層構造であり、入射した光の反射を防止する反射防止膜としての機能を有するものである。
本実施形態においては、プラスチック基材2の両面に配設される光学多層膜3a及び3bの少なくとも一方、即ち3a又は3bの一方は、その少なくとも530nm〜570nm、好ましくは530nm〜580nmの波長範囲(緑光)における平均反射率が2.5%〜5.5%であるように設計されている。
なお、光学多層膜3a及び3bは、その少なくとも530nm〜570nm、好ましくは530nm〜580nmの波長範囲(緑光)における両方の平均反射率の和が、3.0%〜6.0%であるように設計されていることが好ましい。
この波長範囲における両光学多層膜3a及び3bの少なくとも一方の平均反射率、即ち、どちらか一方の平均反射率を2.5%〜5.5%に限定する理由は、以下の通りである。
どちらか一方の平均反射率を2.5%以上5.5%以下に設定した場合には、光学多層膜3a及び3bを備える本実施形態の眼鏡レンズ1は、年配者が装用した時に、薄暗いところでも、物が明るく鮮やかに、特に、赤の鮮やかさが失われず、赤が明るく見えるようにすることができ、白色、例えば、パソコン(特にLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)バックライト)の白い画面がより白く見えるようにすることができ、その結果、白色を注視する必要のある作業、例えば、パソコン作業をより快適に行うことができるからである。
これに対し、この波長範囲における平均反射率を2.5%未満に設定した場合には、かかる眼鏡レンズを装用する際に、反射率が低すぎて反射が少なすぎるために装用者が上記効果を得られず、実感し難いという問題があるからであり、平均反射率を5.5%超に設定した場合には、かかる眼鏡レンズを装用する際に、反射率が高すぎるために眼鏡レンズの反射が装用者に強く感じられるようになり、装用者の視界内で煩わしく感じられたり、装用者が不快に感じたりするという問題があるからである。
なお、光学多層膜3a及び3bの両方の平均反射率の和を、3.0%以上6.0%以下に設定した場合には、本実施形態の眼鏡レンズ1による上述した種々の効果をより高いものとすることができる。
ここで、本実施形態の眼鏡レンズ1においては、上記限定に加え、プラスチック基材2の両面のうち、少なくとも片側の面に配設された光学多層膜3a及び3bの少なくとも一方は、少なくとも530〜570nm、好ましくは530nm〜580nmの波長範囲における反射率に1つの極大値を有し、その反射率の極大値が2.0%〜6.0%であることが好ましい。
即ち、光学多層膜3a及び3bの少なくとも一方は、図2に示す反射分光特性(分光反射率曲線)A及びBのように、530〜570nm、好ましくは530nm〜580nmの波長範囲において、反射率の極大値を有し、その極大値が2.0%以上6.0%以下の範囲内にあることが好ましい。
その理由は、この波長範囲に反射率の極大値を有し、その反射率の極大値が2.0〜6.0%の範囲内にあれば、選択的に緑光をカットすることができ、そうすることでフィルター効果を得ることができ、上述した効果を得ることができるからである。
なお、本実施形態の眼鏡レンズ1においては、光学多層膜3a及び3bの両方が530〜570nm、好ましくは530nm〜580nmの波長範囲において、反射率の極大値を有し、その極大値が2.0%以上6.0%以下の範囲にあることがより好ましい。
ところで、380nm〜780nmの可視領域全域にわたって、低い反射分光特性(広帯域低反射特性)を有する一般的な眼鏡レンズ用反射防止膜は、図2に示す反射分光特性Cのように、530〜570nmの波長範囲において反射率の極大値が無く、反射率自体も2.0%未満である。
なお、詳細は後述するが、図2に示す反射分光特性A及びBは、それぞれ実施例1及び2の眼鏡レンズ1の前面の光学多層膜3aの反射分光特性であり、図2に示す反射分光特性Cは、実施例1及び2の眼鏡レンズ1の後面の光学多層膜3bの反射分光特性である。
実施例1の反射分光特性A及びCの組み合わせ、及び実施例2の反射分光特性B及びCの組み合わせから、光学多層膜3a及び3bの530〜570nmの波長範囲における平均反射率の和が、3.0〜6.0の範囲に入ることが分かる。また、実施例2の反射分光特性Bから、光学多層膜3a単独の530〜570nmの波長範囲における平均反射率が、3.0〜6.0の範囲に入ることも分かる。
本実施形態の眼鏡レンズ1においては、プラスチック基材2の両面のうち、少なくとも片側の面に配設された光学多層膜3a及び3bの少なくとも一方は、可視領域の全体、特に、大凡430nm〜670nmに亘る反射率である視感反射率が1.5%〜5.0%であることが好ましい。
その理由は、光学多層膜3a及び3bの少なくとも一方であっても、可視領域の全体に亘って視感反射率を1.5%〜5.0%での範囲に少し低く抑えることにより、上述した効果を得易くなるからであり、視感反射率が1.5%未満では、上述した効果を感じにくくなり、5.0%超では、眼鏡レンズの反射が装用者に強く感じられるようになり装用者が不快に感じたりする恐れがあるからである。
なお、本実施形態の眼鏡レンズ1においては、光学多層膜3a及び3bの一方の視感反射率が1.5%〜5.0%の規定範囲内であれば、装用者が感じる反射のギラツキを抑えることができるので、もう一方の面はなるべく低反射の多層膜であった方が眼鏡レンズとして好ましい。
また、本実施形態の眼鏡レンズ1においては、上記限定に加え、プラスチック基材2の両面に配設された光学多層膜3a及び3bの430〜470nmの波長範囲における平均反射率の和が、2.0%以下であることが好ましい。
その理由は、この平均反射率の和が、2.0%超では、黄味が比較的強く感じられるようになり、装用者が上述した効果を感じにくくなるからである。
また、本実施形態の眼鏡レンズ1においては、上記限定に加え、プラスチック基材2の両面に配設された光学多層膜3a及び3bの630nm〜670nmの波長範囲における平均反射率の和が、2.0%以下であることが好ましい。
その理由は、この平均反射率の和が、2.0%超では、青みが感じられるようになったり、装用者が上述した効果を実感し難くなったりするからである。
図示例の光学多層膜3aは、上述のように、プラスチック基材2に高屈折率光学材料と低屈折率光学材料とが交互に5層積層されてなる5層構造であり、プラスチック基材2側に設けられた低屈折率光学材料よりなる第1層(低屈折率層)7aと、第1層7a上に設けられた高屈折率光学材料よりなる第2層(高屈折率層)8aと、第2層8a上に設けられた低屈折率光学材料よりなる第3層(低屈折率層)9aと、第3層9a上に設けられた高屈折率光学材料よりなる第4層(高屈折率層)10aと、第4層10a上に設けられた低屈折率光学材料よりなる第5層(低屈折率層)11aと、からなる。
図示例の光学多層膜3bも、上述のように、プラスチック基材2に高屈折率光学材料と低屈折率光学材料とが交互に5層積層されてなる5層構造であり、プラスチック基材2側に設けられた低屈折率光学材料よりなる第1層(低屈折率層)7bと、第1層7b上に設けられた高屈折率光学材料よりなる第2層(高屈折率層)8bと、第2層8b上に設けられた低屈折率光学材料よりなる第3層(低屈折率層)9bと、第3層9b上に設けられた高屈折率光学材料よりなる第4層(高屈折率層)10bと、第4層10b上に設けられた低屈折率光学材料よりなる第5層(低屈折率層)11bと、からなる。
本実施形態においては、光学多層膜3a及び3bは、それぞれプラスチック基材2の前面及び後面に、高屈折率光学材料と低屈折率光学材料とが交互に3層以上積層されていれば、特制限的ではなく、何層積層したものであっても良いが、上記光学多層膜を眼鏡レンズに用いる場合、例えば、3〜12層であるのが好ましく、4〜10層であるのがより好ましく、5〜8層であるのが更に好ましい。なお、眼鏡レンズ用の光学多層膜を設計する際、一般的に、その層数は3〜12層程度で設計することが好ましい。
光学多層膜3a及び3bにおいて、それぞれ3層以上積層するのは、3層以上でないと、高屈折率光学材料と低屈折率光学材料とを交互に積層することができないからであり、12層以下であれば十分な生産性を維持しつつ目的の分光反射特性を得ることができるからである。
図1に示す例では、光学多層膜3a及び3bは、共に高屈折率光学材料と低屈折率光学材料とが交互に5層積層されてなる5層構造であるが、本発明はこれに限定されず、高屈折率光学材料の高屈折率層と、低屈折率光学材料の低屈折率層とが交互に積層されていれば、光学多層膜3aと3bとで積層される層の数が異なっていても良いし、積層順序も異なっていても良い。
図1に示すように、第1層7a及び7bは、それぞれハードコート層6に接して設けられるもので、屈折率が1.47の二酸化珪素(SiO)からなる低屈折率層である。なお、第1層7a及び7bを構成する低屈折率光学材料としては、SiO以外にも、例えば屈折率が1.36のMgFを用いることができる。
本実施形態における低屈折率層は、例えば、好ましくは屈折率が1.50以下、より好ましくは1.30〜1.50の低屈折率光学材料からなる層である。
眼鏡レンズ用の光学多層膜を設計する際、一般的に、このような低屈折率層の光学膜厚は、0.030λ〜1.000λの間で設計することが好ましい。
この際に、設計の中心波長は、400〜600nmとして設計することが好ましい。
図1に示すように、第2層8a及び8bは、それぞれ第1層7a及び7bに接して設けられるもので、屈折率が2.00の二酸化ジルコニウム(ZrO)からなる高屈折率層である。なお、第2層8a及び8bを構成する高屈折率光学材料としては、ZrO以外にも、例えば二酸化チタン(TiO)や二酸化タンタル(Ta)を用いることもできる。さらには、ジルコニウム、チタン、タンタルの複数種からなる合金の酸化物によって形成することもできる。また、これら以外にも、例えば酸化アルミニウム(Al)、二酸化イットリウム(Y)、二酸化ハフニウム(HfO)、Nb(二酸化ニオブ)を用いることもできる。
本実施形態における高屈折率層は、例えば、屈折率が1.60以上であるのが好ましく、より好ましくは1.80〜2.40の高屈折率光学材料からなる層であるということもできる。
眼鏡レンズ用の光学多層膜を設計する際、このような高屈折率層の光学膜厚も、0.030λ〜1.000λの間で設計することが好ましく、一般的である。
第3層9a及び9bは、それぞれ第2層8a及び8bに接して設けられたもので、第1層7a及び7bと同様に、屈折率が1.47の二酸化珪素(SiO)からなる低屈折率層である。なお、この第3層9a及び9bについても、第1層7a及び7bと同様に、SiO以外の低屈折率光学材料によって形成することもできる。
第4層10a及び10bは、それぞれ第3層9a及び9bに接して設けられたもので、第2層8a及び8bと同様に、二酸化ジルコニウム(ZrO)からなる高屈折率層である。なお、この第4層10a及び10bについても、第2層8a及び8bと同様に、ZrO以外の高屈折率光学材料によって形成することもできる。
第5層11a及び11bは、それぞれ第4層10a及び10bに接して設けられたもので、第2層8a及び8bと同様に、屈折率が1.47の二酸化珪素(SiO)からなる低屈折率層である。なお、この第5層11a及び11bについても、第1層7a及び7bと同様に、SiO以外の低屈折率光学材料によって形成することもできる。
また、本実施形態では、上述のように、光学多層膜3a及び3bの上、すなわちプラスチック基材2から最も遠い光学多層膜3a及び3bの最外層(低屈折率層である第5層11a及び11b)の上に、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を含む撥水撥油膜12が設けられている。
この撥水撥油膜12は、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を主成分とするもので、撥液性(撥水性、撥油性)を有するものである。すなわち、この撥水撥油膜12は、眼鏡レンズ1の後面エネルギーを低下させ、水やけ防止、曇り防止、及び汚れ防止の機能を発揮するとともに、眼鏡レンズ後面のすべり性能を向上させ、その結果として、耐擦傷性を向上させることができる。
フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物としては、下記一般式(1):
(式(1)中、Rfは炭素数1〜16の直鎖状又は分岐状パーフルオロアルキル基を表し、Yはヨウ素又は水素を表し、Y’は水素または炭素数1〜5の低級アルキル基を表し、Y”はフッ素又はトリフルオロメチル基を表し、Rは加水分解可能な基を表し、Rは水素又は不活性な一価の有機基を表し、a、b、c、dはそれぞれ0〜200の整数を表し、eは0又は1を表し、s及びtはそれぞれ0〜2の整数を表し、wは1〜10の整数を表す。)
及び下記一般式(2)〜(5):
(式(2)〜(5)中、Xは酸素又は二価の有機基を表し、X’は加水分解可能な基を表し、X”は二価の有機シリコーン基を表し、Rは炭素数1〜22の直鎖状又は分岐上アルキレン基を表し、qは1〜3の整数を表し、m、n、oはそれぞれ0〜200の整数を表し、pは1又は2を表し、rは2〜20の整数を表し、kは0〜2の整数を表し、zはkが0又は1である場合に0〜10の整数を表す。)
及び下記一般式(6):
(式(6)中、Rfは2価の直鎖状のパーフルオロポリエーテル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rは加水分解可能な基を表し、iは0〜2の整数を表し、jは1〜5の整数を表し、uは2又は3を表す。)
の中から選択される。
ここで、撥水撥油膜12に優れた耐久性を付与するには、一般式(1)〜(5)の中から選択されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物と、一般式(6)から選択されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物とを組み合わせて用いるのが好ましい。
一般式(1)〜(5)で示されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物としては、ダイキン工業株式会社製オプツール−DSX、オプツール−AES4などを用いることができる。また、一般式(6)示されるフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物としては、信越化学工業株式会社製KY−130、KY−164などを用いることができる。
[眼鏡レンズの製造方法]
次に、本実施形態の眼鏡レンズの製造方法の一例について説明する。以下では、上述の図1に示す両面に光学多層膜3a及び3bが配設されている眼鏡レンズ1の製造方法に基づいて説明を行う。
本実施形態の製造方法は、プラスチック基材2の前面及び後面の両面に対して従来と同様の方法で機能性薄膜4(プライマ層5、ハードコート層6)を形成する工程と、プラスチック基材2を加熱する工程と、加熱によってプラスチック基材2を所定温度(例えば70℃)に調整した後、このプラスチック基材2の両面上にそれぞれ光学多層膜3a及び3bを形成する工程と、光学多層膜3a及び3b上にそれぞれ撥水撥油膜12を形成する工程と、を備えてなる。
光学多層膜3a及び3bを形成する工程は、高屈折率光学材料と低屈折率光学材料とを交互に複数積層して多層構造の膜を形成する処理であり、第1層7a及び7bの低屈折率光学材料からなる低屈折率層、その上に、第2層8a及び8bの高屈折率光学材料からなる高屈折率層、その上に、第3層9a及び9bの低屈折率層、その上に、第4層10a及び10bの高屈折率層の厚膜、その上に、第5層11a及び11bの低屈折率層を順次形成する処理である。これらの第1層〜第5層の各層の形成には、真空蒸着法が好適に用いられる。
図3は、光学多層膜3a及び3bの各層7a及び7b〜11a及び11bを形成するための真空蒸着装置(以下、単に蒸着装置ともいう)30の一例を示す図である。図3に示すように蒸着装置30は、第1成膜室31と第2成膜室32と第3成膜室33とを備えて構成されている。これら第1成膜室31、第2成膜室32、第3成膜室33は、それぞれの内部がほぼ真空に減圧され、その状態に保持されるようになっている。なお、真空蒸着装置30を用いて、本実施形態の眼鏡レンズ1用の光学多層膜3a及び3bを成膜する際、一般的に、その蒸着圧力を、1.0×10−3Pa〜1.0×10−4Pa程度の真空にして蒸着することが好ましい。
また、蒸着装置30は、図示しない温調手段により、第1成膜室31、第2成膜室32、第3成膜室33のそれぞれの内部温度が調整可能になっている。
蒸着装置30は、第1成膜室31、第2成膜室32、第3成膜室33のそれぞれの内部空間に、保持部材34を備えている。保持部材34は、その上面(保持面)が曲面状になっており、かつ、回転可能に構成されており、この上面に複数のプラスチック基材2を保持するようになっている。
蒸着装置30の蒸着源35は、第2成膜室32の内側の空間に配置されている。蒸着源35は、第1蒸着源35A及び第2蒸着源35Bからなる。また、第2成膜室32には、蒸着源35にビームを照射可能な光源装置36が配置されている。光源装置36は、蒸着源35に対して電子を照射して蒸着源35の構成粒子を叩き出すことができるものである。
光源装置36から射出された電子が蒸着源35に照射されることによって、その蒸着源35から、光学多層膜3a及び3bを形成するための材料(ガス)が放出される。
例えば、光源装置36が、第2蒸着源35Bにビームを照射することにより、SiOの蒸気を第2蒸着源35Bから放出させ、保持部材34に保持されているプラスチック基材2の両面上に供給し、蒸着させる。これにより、光学多層膜3a及び3bの低屈折率層である第1層7a及び7b、第3層9a及び9b及び第5層11a及び11bを形成することができる。同様に、光源装置36が、第1蒸着源35Aにビームを照射することにより、ZrOの蒸気を第1蒸着源35Aから放出させ、保持部材34に保持されているプラスチック基材2の両面上に供給し蒸着させる。これにより、光学多層膜3の高屈折率層である第2層8a及び8bと第4層10a及び10bとを形成することができる。
すなわち、第1蒸着源35Aに対するビームの照射と第2蒸着源35Bに対するビームの照射とを交互に行うことにより、保持部材34に保持されているプラスチック基材2の両面上に、高屈折率光学材料からなる層と低屈折率光学材料からなる層とを交互に形成し積層することができる。但し、本実施形態では、プラスチック基材2の両面上に光学多層膜3a及び3bを、その530〜570nmの波長範囲における平均反射率の和が3.0〜6.0%となるように形成する。
なお、第1蒸着源35Aとして酸化ジルコニウム(ZrO)からなる蒸着源を用い、第2成膜室32の内部空間に酸素を導入しながら第1蒸着源35Aにビームを照射し、二酸化ジルコニウム(ZrO)からなる高屈折率光学材料層を形成するようにしてもよい。
また、本実施形態の眼鏡レンズの製造方法において、光学多層膜3a及び3bを形成する工程は、光学多層膜3a及び3bを構成する層のうちの少なくとも一層を、イオンビームアシストを施しながら成膜を行う工程を含んでいてもよい。本実施形態の眼鏡レンズの製造方法が、かかる工程を含むことにより、光学多層膜を構成する高屈折率光学材料と低屈折率光学材料との間に、ITOや金属等の導電体膜が配設される。
図4は、イオンビームアシストを施すための成膜装置30aの一例を示す図である。成膜装置30aは、図3で示された真空蒸着装置30の第2成膜室にイオンガン37が備え付けられた構成となっている。図4において、図3に示した真空蒸着装置30と同じ構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態においては、光学多層膜3a及び3bを構成する高屈折率層である第4層10a及び10bと低屈折率層である第5層11a及び11bとの間に、ITOや金属等の導電体膜を配設する際に、イオンビームアシストを施しながら成膜を行う。
なお、成膜室32内で光学多層膜3a及び3bを構成する層のうち少なくとも一層を、イオンビームアシストを施しながら成膜を行えばよく、イオンビームアシストを施す対象は、導電体膜に限定されない。
本実施形態において、この成膜装置30aの第2成膜室は、プラスチック基材2上に第4層10a及び10bが成膜された基材を保持する保持部材34と、蒸着源35aと、蒸着源35aと離間して配置されたイオンガン37と、光源装置36を主体として構成されている。
また、成膜装置30aはその内部が真空蒸着装置30と同様にほぼ真空に減圧され、プラスチック基材2の周囲を真空雰囲気に保持できるようになっている。更に成膜装置30aには、ガスボンベ等の雰囲気ガス供給源が接続されていて、真空容器の内部を真空等の低圧状態で、かつ、酸素ガス、アルゴンガス、またはその他の不活性ガス雰囲気、あるいは、酸素を含む不活性ガス雰囲気にすることができるようになっている。
蒸着源35aは、例えばITOを含むものである。光源装置36が蒸着源35aにビームを照射することによって、ガス化されたITOがその蒸着源35aから放出され、保持部材34に保持されているプラスチック基材2に供給される。これにより、第4層10a及び10bの上にITOからなる導電体膜を形成することができる。
イオンガン37は、第2成膜室32の内部に、イオン化させるガスを導入し、正面に引き出し電極を備えて構成されている。そして、ガスの原子または分子の一部をイオン化し、そのイオン化した粒子を引き出し電極で発生させた電界で制御してイオンビームとして照射する装置である。
光源装置36は、イオンガン37と同等の構成をなし、蒸着源35aに対して電子を照射して蒸着源35aの構成粒子を叩き出すことができるものである。なお、成膜装置30aにおいては、蒸着源35aの構成粒子を叩き出すことができることが重要であるので、蒸着源35aに高周波コイル等で電圧を印加して蒸着源35aの構成粒子を叩き出し可能なように構成し、光源装置36を省略しても良い。
次に、上述の構成の成膜装置30aを用いてプラスチック基材2上の高屈折率層の第4層10a及び10bの上にITOの導電体膜を形成する場合について説明する。ITOの導電体膜を形成するには、ITOの蒸着源35aを用いるとともに、イオンガン37から照射されるイオンを保持部材34の上面に照射できるようにする。次にプラスチック基材2を収納している成膜室32の内部を真空引きして減圧雰囲気とする。そして、イオンガン37と光源装置36を作動させる。なお、成膜装置30aでイオンビームアシストを用いて眼鏡レンズ用の光学多層膜を成膜する際、イオン源の方式によって変化するので、一般的に規定するのは難しいが、例えば一例として、その加速電圧は100V〜1000Vの間で、加速電流は10〜500mAで成膜することが好ましい。
光源装置36から蒸着源35aに電子を照射すると、蒸着源35aの構成粒子が叩き出されて第4層10a及び10b上に飛来する。そして、第4層10a及び10b上に、蒸着源35aから叩き出した構成粒子を堆積させると同時に、イオンガン37からアルゴンイオンを照射する。
本実施形態において、イオンビームアシストは、不活性ガス、酸素ガス、及び不活性ガスと酸素ガスの混合ガスから選ばれる少なくとも一種のガスを用いて行われることが好ましい。該不活性ガスはアルゴンであることが好ましい。
このようにして光学多層膜3a及び3bを形成したら、これらの上に撥水撥油膜12をそれぞれ形成して、眼鏡レンズ1を形成する。
撥水撥油膜12の形成方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法などの湿式法、あるいは真空蒸着法などの乾式法がある。
湿式法の中では、ディッピング法が一般的であり、よく用いられる。この方法は、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を有機溶剤に溶解した液中に、光学多層膜3a及び3bまで形成し眼鏡レンズを浸漬し、一定条件で引き上げ、乾燥させて成膜する方法である。有機溶剤としては、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ−4−メトキシブタン、パーフルオロ−4−エトキシブタン、メタキシレンヘキサフルオライドなどが使用される。
有機溶剤による希釈濃度は、0.01〜0.5重量%が好ましく、0.03〜0.1重量%がより好ましい。濃度が低すぎると十分な膜厚の撥水撥油層12が得られず、また、濃度が高すぎると塗布むらが発生しやすく、材料コストも高くなってしまう。
乾式法の中では、真空蒸着法がよく用いられる。この方法は、フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物を真空槽内で加熱して蒸発させ、撥水撥油膜12を形成する方法である。
このようにして形成された本実施形態の眼鏡レンズ1にあっては、光学多層膜3a及び3bをその530〜570nmの波長範囲における平均反射率の和が、3.0〜6.0%であるように構成したので、上述したように、年配者が装用した時に、薄暗いところでも、物が明るく鮮やかに、特に、赤の鮮やかさが失われず、赤が明るく見えるようにすることができ、白色、例えば、パソコンの白い画面がより白く見えるようにすることができ、その結果、パソコン作業等の白色を注視する作業をより快適に行うことができる。
なお、本実施形態の眼鏡レンズは、装用して光源を観察した場合、人工太陽照明灯、昼光色LED電球、及び昼光色蛍光灯などのいずれの光源においても、装用しない場合に比べて、光源の色温度を1%〜3%上昇させることができる。
また、眼鏡レンズの製造方法にあっては、このような年配者の目に好適な優れた眼鏡レンズを確実に提供することができる。
上述したように、本実施形態の眼鏡レンズ1は、両面の光学多層膜3a及び3bの530nm〜570nmの中波長範囲の光を選択的にカットするものであり、また、好ましくは、少なくとも片側の面の光学多層膜において、その視感反射率を所定範囲内に収めて、他の可視波長領域の大部分において僅かに光をカットするものである。
上記従来技術において、図12を用いて説明したように、人の目は、明るい所では視感度(視感効率)自体は低く、感度ピークは、555nm付近となるが、光が足りなくなって暗くなってくると、視感度は上昇して高くなり、感度ピークは、短波長側にシフトし、ずれてくる。このため、人の目には、明るいところで赤色と青色が同じような明るさに見えても、薄暗いところでは赤はくすんで暗く見えるプルキンエ現象が生じる。
このため、530nm〜570nmの中波長領域における光を選択的にカットすると共に、好ましくは他の可視波長領域の大部分において僅かに光をカットして、薄暗いところでの感度が低くなり、暗く見える薄い赤色の本実施形態の眼鏡レンズを装用することによって、薄暗いところでも物が明るく鮮やかに見えると言う効果を更に得ることができる。
以下に、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示すプラスチック基材2であるウレタン系合成樹脂基板の両面(眼鏡レンズ1の表面(前面;外側)及び後面(顔側))上に、屈折率1.67のプライマコート、及び屈折率1.67のシリコン系ハードコートを加熱硬化にて施してプライマ層5及びハードコート層6からなる機能性薄膜4を形成する前処理を行った後、それらの上に、以下に示すように、真空蒸着法により光学多層膜3a及び3bを成膜して、実施例1の眼鏡レンズ1を作製した。
後面:ウレタン系合成樹脂基板(以下、プラスチック基材2と表す)を真空槽内に設けられた回転するドームにセットし、真空槽内の温度を70度に加熱し、圧力が1.0×10−3Paになるまで排気し、加速電圧500V、加速電流100mAの条件でArイオンビームクリーニングを60秒間施した後、プラスチック基材2の後面に、後面側から順次、第1層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.100λ、第2層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.150λ、第3層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.080λ、第4層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.250λ、第5層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.300λで積層して、光学多層膜3bを形成した。
表面(前面;外側):顔側の表面と同様の装置、加工雰囲気下で、前処理後のプラスチック基材2の前面に、前面側から順次、第1層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.150λ、第2層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.080λ、第3層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.040λ、第4層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.500λ、第5層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.250λで積層して、光学多層膜3aを形成した。
なお、各実施例及び各比較例において、両面の光学多層膜3a及び3bとも、波長λは、設計の中心波長で500nmとした。
こうして作製された実施例1の眼鏡レンズ1の表面(前面)の光学多層膜3aの反射分光特性を図5に示し、実施例1の後面の光学多層膜3bの反射分光特性を図6に示す。
また、530〜570nm、430〜470nm、及び630〜730nm、並びに530〜580nmの各波長領域における前面及び後面の光学多層膜3a及び3bの各平均反射率、及び前面と後面との平均反射率の和を求めた。なお、平均反射率は、波長1nmおきに測定した反射率の平均である。また、前面及び後面の光学多層膜3a及び3bの各視感反射率、及び前面と後面との視感反射率の和を求めた。
実施例1の多層膜の構成及び膜特性として求められた530〜570nm、530〜580nm、430〜470nm、及び630〜730nmの4つの波長範囲の平均反射率及び視感反射率の値を、後面、表面(前面)、及び後面と表面(前面)の和それぞれについて表1に示す。
図5から明らかなように、実施例1の前面の光学多層膜3aは、その530〜570nmの波長範囲における分光反射率が中程度に高くなっており、図6に示す反射分光特性を持ち、眼鏡レンズに用いられる一般的な反射防止膜である実施例1の後面の光学多層膜3bと組み合わせることにより、530〜570nm、及び530〜580nmの波長範囲以外の波長範囲の光をカットしすぎることなく、530〜570nm(530〜580nm)の緑光を適切にカットできていることが分かる。
さらに、図5から明らかなように、実施例1の光学多層膜3aは、530〜570nm(530〜580nm)の波長範囲における分光反射率に1つの極大値を有し、その反射率の極大値が、3.0%であり、2.0〜6.0%の範囲内にあることが分かる。
なお、上述したように、実施例1の前面の光学多層膜3aでは、530〜570nmの波長範囲を530〜580nmの波長範囲に拡大しても、同様な反射分光特性を示すことがわかる。
<実施例2>
実施例1と同様に、プラスチック基材2の両面上に前処理を行った後、以下に示すように、真空蒸着法により、光学多層膜3a及び3bを成膜して、実施例2の眼鏡レンズ1を作製した。
前面:実施例1と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で、真空蒸着法により、前処理後のプラスチック基材2の前面に、前面側から順次、第1層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.250λ、第2層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.040λ、第3層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.060λ、第4層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.550λ、第5層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.250λで積層して、光学多層膜3aを形成した。
後面:実施例1と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で、真空蒸着法により、前処理後のプラスチック基材2の後面に、実施例1の後面の光学多層膜3bと全く同一の多層膜の構成を有する実施例2の後面の光学多層膜3bを形成した。
こうして作製された実施例2の眼鏡レンズ1の前面の光学多層膜3aの反射分光特性を図7に示す。なお、実施例2の後面の光学多層膜3bの反射分光特性は、図6に示す実施例1の後面の光学多層膜3bと同様であった。
また、実施例1と同様にして、膜特性として、上述した4つの波長範囲の平均反射率、及び視感反射率を前面(表面)、後面、及び前面(表面)、後面の和それぞれについて求めた。
実施例2の多層膜の構成及び膜特性を表1に示す。
図7から明らかなように、実施例2の前面の光学多層膜3aは、その530〜570nmの波長範囲における分光反射率が中程度に高くなっており、図6に示す反射分光特性を持ち、眼鏡レンズに用いられる一般的な反射防止膜である実施例2の後面の光学多層膜3bと組み合わせることにより、530〜570nmの波長範囲以外の波長範囲の光をカットしすぎることなく、530〜570nmの緑光を適切にカットできていることが分かる。
さらに、図7から明らかなように、実施例2の光学多層膜3aは、530〜570nmの波長範囲における分光反射率に1つの極大値を有し、その反射率の極大値が、5.0%であり、2.0〜6.0%の範囲内にあることが分かる。
また、実施例2の前面の光学多層膜3aでは、実施例1と同様に、530〜570nmの波長範囲を530〜580nmの波長範囲に拡大しても、同様な反射分光特性を示すことがわかる。
<比較例1>
前面:実施例1と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で、真空蒸着法により、前処理後のプラスチック基材2の前面に、実施例1の後面の光学多層膜3bと全く同一の多層膜の構成を有する比較例1の前面の光学多層膜を形成した。
後面:実施例1と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で、真空蒸着法により、前処理後のプラスチック基材2の後面に、実施例1の後面の光学多層膜3bと全く同一の多層膜の構成を有する比較例1の後面の光学多層膜を形成した。
こうして、比較例1の眼鏡レンズを作製した。
こうして作製された比較例1の前面及び後面の光学多層膜の反射分光特性は、実施例1及び2の後面の光学多層膜3bと同様に、眼鏡レンズに用いられる一般的な反射防止膜の反射分光特性である図6に示されるものとなった。
また、実施例1と同様にして、比較例1の前面及び後面の光学多層膜の4つの波長範囲の平均反射率、及び視感反射率を求めた。
比較例1の多層膜の構成及び膜特性を表2に示す。
図6から明らかなように、比較例1の前面及び後面の光学多層膜は、共に眼鏡レンズに用いられる一般的な反射防止膜であり、その530〜570nm(530〜580nm)の波長範囲における分光反射率が高くなっておらず、実施例1の図5に示す反射分光特性とは全く異なる反射分光特性を示していることが分かる。
<比較例2>
前面:実施例1と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で、真空蒸着法により、前処理後のプラスチック基材2の前面に、前面側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.100λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.080λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.060λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.400λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.150λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.100λ、第7層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.180λ、第8層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.280λで積層して、比較例2の前面の光学多層膜を形成した。
後面:実施例1と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で、真空蒸着法により、前処理後のプラスチック基材2の後面に、実施例1の後面の光学多層膜3bと全く同一の多層膜の構成を有する比較例2の後面の光学多層膜を形成した。
こうして、比較例2の眼鏡レンズを作製した。
こうして作製された比較例2の眼鏡レンズ1の前面の光学多層膜の反射分光特性を図8に示す。なお、比較例2の後面の光学多層膜の反射分光特性は、図6に示す実施例1の後面の光学多層膜3bと同様であった。
また、実施例1と同様にして、比較例2の前面及び後面の光学多層膜の4つの波長範囲の平均反射率、及び視感反射率を求めた。
比較例2の多層膜の構成及び膜特性を表2に示す。
図8から明らかなように、比較例2の前面の光学多層膜は、その530〜570nm(530〜580nm)の波長範囲における分光反射率が高くなりすぎており、実施例1の図5に示す反射分光特性とは全く異なる反射分光特性を示していることが分かる。また、比較例2の前面の光学多層膜は、図6に示す反射分光特性を持ち、一般的な反射防止膜である比較例2の後面の光学多層膜と組み合わせても、530〜570nm(530〜580nm)の緑光をカットしすぎることになることが分かる。
<比較例3>
前面:実施例1と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で、真空蒸着法により、前処理後のプラスチック基材2の前面に、前面側から順次、第1層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.100λ、第2層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.060λ、第3層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.060λ、第4層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.420λ、第5層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.150λ、第6層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.100λ、第7層ZrO(屈折率2.00)を光学的膜厚0.180λ、第8層SiO(屈折率1.47)を光学的膜厚0.270λで積層して、比較例3の前面の光学多層膜を形成した。
後面:実施例1と同様の装置を用いて、同様の加工雰囲気下で、真空蒸着法により、前処理後のプラスチック基材2の後面に、実施例1の後面の光学多層膜3bと全く同一の多層膜の構成を有する比較例3の後面の光学多層膜を形成した。
こうして、比較例3の眼鏡レンズを作製した。
こうして作製された比較例3の眼鏡レンズ1の前面の光学多層膜の反射分光特性を図9に示す。なお、比較例3の後面の光学多層膜の反射分光特性は、図6に示す実施例1の後面の光学多層膜3bと同様であった。
また、実施例1と同様にして、比較例3の前面及び後面の光学多層膜の4つの波長範囲の平均反射率および、視感反射率を求めた。
比較例3の多層膜の構成及び膜特性を表2に示す。
図9から明らかなように、比較例3の前面の光学多層膜は、その530〜570nm(530〜580nm)の波長範囲における分光反射率が高くなりすぎており、実施例1の図5に示す反射分光特性とは全く異なる反射分光特性を示していることが分かる。また、比較例3の前面の光学多層膜は、図6に示す反射分光特性を持ち、一般的な反射防止膜である比較例2の後面の光学多層膜と組み合わせても、530〜570nm(530〜580nm)の緑光をカットしすぎることになることが分かる。
このようにして得られた実施例1〜2と比較例1〜3を比較すると、以下の結果が得られた。
まず、実施例1の前面の光学多層膜3aは、表1から明らかなように、それらの530〜570nm、及び530〜580nmの波長範囲における平均反射率が、それぞれ、3.0%、及び2.9%であり、いずれも、2.5〜5.5%の範囲内にあることが分かる。また、実施例1の光学多層膜3a及び3bは、表1から明らかなように、それらの530〜570nm、及び530〜580nmの波長範囲における平均反射率の和が、それぞれ、3.6%、及び3.4%であり、いずれも、3.0〜6.0%の範囲内にあることが分かる。また、実施例1の前面及び後面の光学多層膜3a及び3bは、各視感反射率が、それぞれ2.4%及び0.6%であり、前面の光学多層膜3aの視感反射率が1.5%〜5.0%の範囲内にあることが分かる。さらに、実施例1の前面の光学多層膜3aは、430〜470nmの波長範囲における平均反射率が、0.5%で、630〜670nmの波長範囲における平均反射率が、0.6%であり、いずれも2.0%以下であることが分かる。また、実施例1の前面及び後面の光学多層膜3a及び3bは、それらの430〜470nmの波長範囲における平均反射率の和が、1.0%で、630〜670nmの波長範囲における平均反射率の和が、1.2%であり、いずれも2.0%以下の範囲内にあることが分かる。
次に、実施例2の前面の光学多層膜3aは、表1から明らかなように、それらの530〜570nm、及び530〜580nmの波長範囲における平均反射率が、それぞれ、4.9%、及び4.8%であり、いずれも、2.5〜5.5%の範囲内にあることが分かる。また、実施例2の光学多層膜3a及び3bは、表1から明らかなように、それらの530〜570nm、及び530〜580nmの波長範囲における平均反射率の和が、それぞれ、5.5%、及び5.3%であり、いずれも、3.0〜6.0%の範囲内にあることが分かる。また、実施例2の前面及び後面の光学多層膜3a及び3bは、各視感反射率が、それぞれ4.6%及び0.6%であり、前面の光学多層膜3aの視感反射率が1.5%〜5.0%の範囲内にあることが分かる。さらに、実施例2の前面の光学多層膜3aは、430〜470nmの波長範囲における平均反射率が、0.7%で、630〜670nmの波長範囲における平均反射率が、1.1%であり、いずれも2.0%以下であることが分かる。また、実施例2の前面及び後面の光学多層膜3a及び3bは、それらの430〜470nmの波長範囲における平均反射率の和が、1.2%で、630〜670nmの波長範囲における平均反射率の和が、1.7%であり、いずれも2.0%以下の範囲内にあることが分かる。
次に、比較例1、2及び3の前面及び後面の光学多層膜は、両面の光学多層膜の530〜570nmの波長範囲における平均反射率の和が、それぞれ、1.2%、7.4%及び9.4%であり、また、両面の光学多層膜の530〜580nmの波長範囲における平均反射率の和が、それぞれ、1.0%、7.2%、及び9.1%であり、いずれも、3.0〜6.0%の範囲から外れていることが分かる。
次に、実施例1〜2及び比較例1〜3の眼鏡レンズをフレームに枠入れし、眼鏡レンズとして被験者による装用テストを実施し、官能評価を行った。この官能評価は、被験者として、30〜60歳代の一般的な人を選び、実施例1〜2及び比較例1〜3の眼鏡レンズを装用させて、眼鏡レンズを装用しない状態と比べてパソコンの画面(特にエクセルファイルでの作業)がより白く感じるか否かのアンケートを行った。
眼鏡レンズを装用しない状態と比較して、薄暗い環境で風景や物、特に赤が鮮やかに明るく見えたり、白いパソコン画面がより白く見えたりする効果が感じられたものを〇と評価した。眼鏡レンズを装用しない状態と比較して、効果が感じられなかった、又はレンズ表面の反射の煩わしさや暗さを感じた場合には×と評価した。
さらに、人工太陽(照明)灯、昼光色LED(電球)、昼光色蛍光灯の光源の色温度を、分光放射輝度計を用いて、実施例1、2、比較例1、2、3のレンズを通した場合と通さない場合で測定し、比較を行った。
アンケートによる官能評価結果と各光源の色温度の測定結果を表3に示す。
実施例1及び2は、上述の3つの各波長領域における両面の光学多層膜の平均反射率の和が、本発明範囲に収まるもので、薄暗い環境での物、特に物の赤の見えの鮮やかさ及び明るさの向上効果、並びに白いパソコン画面等の白の見えの向上効果が見られ、評価が〇であった。
また、それぞれの光源の色温度を、実施例1及び2の眼鏡レンズを通して測定した場合、眼鏡レンズを通さず測定した色温度よりも高く測定されている。
これに対し、比較例1は、530〜570nm(530〜580nm)における平均反射率の和が、3.0〜6.0%の限定範囲よりも低く、効果が得られず、評価が×であった。色温度も眼鏡レンズ無しの場合とほぼ等しい値が測定されている。
さらに、比較例2及び3は、色温度は高く測定されているが、530〜570nm(530〜580nm)における平均反射率の和が3.0〜6.0%の限定範囲よりも高く、効果が得られず評価が×であった。これは、眼鏡レンズとして装用する際に、反射率が高すぎるために、眼鏡レンズの反射が装用者の視界内で煩わしく感じられることなどが原因に挙げられた。
以上の結果から、本実施形態のレンズを通して光源を観測する場合、かけない場合に比べて観測される光源の色温度が1〜3%上昇することが好ましいことが分かる。
以上から、本実施形態によれば、年配者が装用した時に、薄暗いところでも、物が明るく鮮やかに、特に、赤の鮮やかさが失われず、赤が明るく見えるようにすることができ、白色、例えば、パソコンの白い画面がより白く見えるようにすることができ、その結果、パソコン作業等の白色を注視する作業をより快適に行うことができる眼鏡レンズを提供することができることが明らかである。
1…眼鏡レンズ、2…プラスチック基材、3a,3b…光学多層膜、4…機能性薄膜、5…プライマ層(機能性薄膜)、6…ハードコート層(機能性薄膜)、7a,7b…第1層(低屈折率層)、8a,8b…第2層(高屈折率層)、9a,9b…第3層(低屈折率層)、10a,10b…第4層(高屈折率層)、11a,11b…第5層(低屈折率層)、12…撥水撥油膜、30…真空蒸着装置(蒸着装置)、30a…成膜装置、31…第1成膜室、32…第2成膜室、33…第3成膜室、34…保持部材、35,35a…蒸着源、35A…第1蒸着源、35B…第2蒸着源、36…光源装置、37…イオンガン

Claims (9)

  1. プラスチックレンズ基材の両面に多層膜を備える眼鏡レンズであって、
    前記プラスチックレンズ基材の両面の内、少なくとも片側の面に配設された前記多層膜の少なくとも530〜570nmの波長範囲における平均反射率が、2.5〜5.5%であり、
    前記プラスチックレンズ基材の両面に配設された前記多層膜の430〜470nmの波長範囲における平均反射率の和が、2.0%以下であり、
    前記プラスチックレンズ基材の両面に配設された前記多層膜の630〜670nmの波長範囲における平均反射率の和が、2.0%以下である眼鏡レンズ。
  2. 前記プラスチックレンズ基材の両面の内、少なくとも片側の面に配設された前記多層膜において、少なくとも530〜570nmの波長範囲における反射率に1つの極大値を有し、その反射率の極大値が、2.0〜6.0%である請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  3. 前記プラスチックレンズ基材の両面に配設された前記多層膜の少なくとも530〜570nmの波長範囲における平均反射率の和が、3.0〜6.0%である請求項1又は2に記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記プラスチックレンズ基材の両面の内、片側の面に配設された前記多層膜において、その視感反射率が、1.5〜5.0%である請求項1〜のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  5. 前記少なくとも530〜570nmの波長範囲は、530〜580nmの波長範囲である請求項1〜のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  6. 前記多層膜は、高屈折率材料と低屈折率材料とによって構成され、
    前記多層膜を構成する高屈折率材料と低屈折率材料との間に、厚さ20nm以下の導電体膜又は金属膜を備える請求項1〜のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  7. 前記高屈折率材料は、二酸化ジルコニウムを含み、
    前記低屈折率材料は、二酸化珪素を含む請求項に記載の眼鏡レンズ。
  8. 前記多層膜は、3層以上の多層膜である請求項1〜のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  9. 前記プラスチックレンズ基材と前記多層膜との間に、機能性薄膜を備える請求項1〜のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
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