JP5135753B2 - 光学物品 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラスあるいはプラスチック製の光学基板の上に、反射防止層などの機能性
薄膜(機能層)を備えた光学物品およびその製造方法に関するものである。
各種の光学物品を製造する過程においては、ガラスや樹脂性の光学基板の上に、直接、
またはプライマー層を挟んで、ハードコート層、着色用の層、反射防止層、防汚層を含む
各種の機能性薄膜(機能層)を形成する。また、眼鏡レンズあるいは他の光学物品を製造
する過程においては、ガラスや樹脂性の光学基板の上に、直接、ハードコート層、または
プライマー層およびハードコート層に重ねて、光の反射を抑制し、光の透過性を高めるた
めに、反射防止層を形成する。反射防止層の1つの形態は、低屈折率のサブレイヤと、高
屈折率のサブレイヤとを積層した多層構成の反射防止層である。低屈折率のサブレイヤを
構成する材料として好適なものはSiO2、SiOx等の酸化ケイ素、MgF2である。高
屈折率のサブレイヤを構成する材料として好適なものは、ZrO2、Ta25、TiO2
CeO2、Y23等である。Al23、CeF3等の中屈折率のサブレイヤを含める構成も
可能である。
機能性薄膜や多層構成の反射防止層の形成には、真空中にて薄膜を構成する物質や各サ
ブレイヤを構成する物質を電子銃や抵抗加熱などで加熱・蒸発させて光学基板の上に積層
していく真空蒸着法が多く用いられている。
特許文献1には、3つのチャンバーを備えた成膜装置が開示されており、3つ目のチャ
ンバーは、反射防止層の上に、防汚層を形成するために用いられている。1つ目のチャン
バーに光学基板を投入後、2つ目のチャンバーで反射防止膜を蒸着し、3つ目のチャンバ
ーで、反射防止膜上に防汚層を形成している。
特開2005−187936号公報 特開平5−214515号公報
多層構造の反射防止層の耐久性、特に、耐擦傷性が向上することは、光学物品の光学特
性に影響の大きな表面の状態を良好に保持するために重要である。イメージセンサなどの
半導体光学部品において、耐久性が高く、透光性に優れた特性を持つものとして窒化珪素
薄膜が知られている。
特許文献2では、珪素の真空蒸着を行うのと同時に、または相互に基板に窒素イオンを
照射することにより窒化珪素薄膜を形成することが開示されている。窒化珪素の層は、透
光性に優れている。このため、多層構成の反射防止層のサブレイヤの一つとして窒化珪素
の層を採用することが可能である。反射防止層として、所定の光学的効果を得るためには
、均質な層を所定の厚みで形成する必要がある。しかしながら、窒化ケイ素の層を安定し
て形成することは困難である。そして、特許文献2に開示された方法では、珪素の蒸着速
度と窒素イオンの照射量の精密な制御が要求される。
また、上述した組成による、低屈折率の層と、高屈折率の層とを用いた反射防止層の光
学設計は、現在まで幾つか行われており、透過性の高いシステムが得られている。しかし
ながら、窒化ケイ素の層は、上述した組成による層とは屈折率が異なる。窒化ケイ素の層
は、基本的には高屈折率であるが、他の高屈折率の組成とは屈折率が異なるので、新たに
システムを設計する必要がある。
さらに、窒化ケイ素の層を高屈折率の層として採用したとき、低屈折率の層として採用
される二酸化ケイ素の層との境界部分は、SiONxという組成状態になることが予想さ
れる。この境界部分を含めて、屈折率とそれに対応する膜厚とを管理することが難しくな
る。例えば、Si34の屈折率は、約2.05で、高屈折率であるが、SiNxyとSi
2が混在している状態であると、屈折率は1.45〜2.05の範囲になる。窒化ケイ
素のサブレイヤと二酸化ケイ素のサブレイヤとで構成された反射防止層の耐久性は、大幅
に向上すると考えられる。しかしながら、反射防止層としての十分な光学的性能を備えた
ものを製造することは難しい。
また、耐久性、特に、耐擦傷性が向上するための機能性薄膜を設けることは、光学物品
の光学特性に影響の大きな表面の状態を良好に保持するために重要である。イメージセン
サなどの半導体光学部品において、耐久性が高く、透光性に優れた特性を持つものとして
窒化ケイ素薄膜が知られている。
光学基板上には、一般的に二酸化ケイ素薄膜を単独または多層膜の一部として形成する
ことが多い。特に、光学基板が樹脂製である場合には、二酸化ケイ素薄膜の耐擦傷性が弱
いことは光学基板の耐久性にも影響を与える。
二酸化ケイ素薄膜の耐擦傷性を向上させたものとして、窒化ケイ素薄膜がある。特許文
献2では、ケイ素の真空蒸着を行うのと同時にまたは相互に基板に窒素イオンを照射する
ことにより窒化ケイ素薄膜を形成することが開示されている。しかしながら、窒化ケイ素
の薄膜を安定して形成することは困難である。特許文献2に開示された方法では、ケイ素
の蒸着速度と窒素イオンの照射量の精密な制御が要求される。
本発明の一態様は、光学製品を含む光学物品である。この光学物品は、光学基板の上に
直にまたは少なくとも1つの他の層を挟んで形成されたSiOxを主成分とする層であっ
て、光学基板側とは反対側の表面に窒化処理された部分を含む層を有する。
この光学物品によれば、窒化処理された部分を含む層が、光学基板側とは反対側の表面
に窒化された部分を含んでいるため、窒化処理された部分を含む層の耐久性、特に耐擦傷
性を向上させることができる。
この光学物品では、窒化処理された部分は、主として、Sistu(s>0、t≧0
、u>0)である。
この光学物品の一つの形態は、光学基板の上に直にまたは少なくとも1つの他の層を挟
んで形成された反射防止層と、この反射防止層の上に直に形成された防汚層とを有するも
のである。反射防止層は、複数の層を含み、この複数の層のうち、反射防止層の最表層を
除く少なくとも1層は、上述した窒化処理された部分を含む層である。
この反射防止層の一つの形態は、低屈折率の複数の層と、低屈折率の複数の層の間に挟
まれた高屈折率の少なくとも1つの層とを含み、低屈折率の複数の層の1つは、最表層で
あり、低屈折率の複数の層の他の1つの層は、上述した窒化処理された部分を含む層であ
る。
光学物品の他の形態の一つは、光学基板の上に直にまたは少なくとも1つの他の層を挟
んで形成された反射防止層を有するものである。反射防止層は、複数の層を含み、複数の
層のうちの少なくとも最表層は、上述した窒化処理された部分を含む層である。
本発明の他の態様は、光学基板の上に直にまたは少なくとも1つの他の層を挟んで形成
された機能層であって、少なくとも1つの層を含む機能層を有する光学物品の製造方法で
ある。
ここで言う機能層とは、反射防止層をはじめとして、ローパスフィルター、ハイパスフ
ィルター、バンドフィルター等の光学フィルター、硬質膜など、特定の機能を持たせた薄
膜である。
この光学物品の製造方法は、機能層を形成する工程を有する。さらに、機能層を形成す
る工程は、1つの層を真空蒸着により形成する層形成工程と、この層形成工程で得られた
1つの層を含む層の表面を窒化処理する工程とを含む。
この光学物品の製造方法では、窒化処理する工程は、層形成工程を行う真空チャンバー
内に窒素を含むガスを導入し、プラズマ処理またはイオンガン処理を行う(工程を含む)
ことが好ましい。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の一態様は、光学基板の上に直に、または少なくとも1つの他
の層を挟んで、二酸化ケイ素から成る少なくとも1つのサブレイヤを含む多層構成の反射
防止層を形成する工程を有する光学物品の製造方法である。反射防止層を形成する工程は
、二酸化ケイ素から成る少なくとも1つのサブレイヤを真空蒸着により形成する層形成工
程と、二酸化ケイ素から成る少なくとも1つのサブレイヤの表面を窒化処理する工程とを
含む。
ここで、本願で述べるサブレイヤとは、多層構成の反射防止層または機能層を構成する
各層を示す。具体的には、SiO2、SiOx等の酸化ケイ素、MgF2等の材料から構成
される低屈折率層、およびZrO2、Ta25、TiO2、CeO2、Y23等の材料から
構成される高屈折率層、およびAl23、CeF3等の材料から構成される中屈折率層を
示す。
この光学物品の製造方法では、窒化ケイ素を多層構成の1つの単独のサブレイヤとして
用いるのではなく、真空蒸着された二酸化ケイ素から成る1つまたは複数のサブレイヤを
窒化処理する。すなわち、二酸化ケイ素から成るサブレイヤの表面を、部分的に窒化して
窒化ケイ素としての効果を得ようとしている。
窒化処理する工程は、層を形成する工程を行う真空チャンバー内に窒素を含むガスを導
入し、プラズマ処理またはイオンガン処理を行う。この製造方法の窒化処理では、層形成
工程により作られた、二酸化ケイ素から成る1つのサブレイヤの表面を、部分的に、ある
いは全体的に窒化することを目的としている。このため、厳密な膜厚管理は不用である。
さらに、イオン電流を制御した時間を精度良く管理しなくても、多層構成の反射防止層に
、容易に窒化ケイ素の要素を導入できる。窒化ケイ素の要素による耐擦傷性の向上を図る
ことができる。特にプラズマ処理では、イオン源も不用であり、真空蒸着用の装置あるい
は蒸着過程の中で簡単に窒化ケイ素の要素を導入できる。
本発明の第1の実施形態の他の態様は、光学基板の上に直に、または少なくとも1つの
他の層を挟んで形成された反射防止層を有する光学物品である。反射防止層は、二酸化ケ
イ素から成る少なくとも1つのサブレイヤを含む多層構成であり、二酸化ケイ素から成る
少なくとも1つのサブレイヤの光学基板側とは反対側の面は、窒化処理されている。
また、本発明の第1の実施形態の他の態様の光学物品の反射防止層の二酸化ケイ素から
成る少なくとも1つのサブレイヤは、光学基板側とは反対側の面に、窒素を含むパーシャ
ルレイヤを備えているものである。ここで、本願で述べるパーシャルレイヤとは、二酸化
ケイ素から成るサブレイヤの表層部分を示す。本発明は、この二酸化ケイ素から成る少な
くとも1つのサブレイヤの表層部分を窒化処理したものである。すなわち、二酸化ケイ素
から成る少なくとも1つのサブレイヤは、窒化処理された部分を含む層(表層窒化処理層
)である。
二酸化ケイ素から成るサブレイヤを窒化処理することにより、二酸化ケイ素から成る少
なくとも1つのサブレイヤは、光学基板の反対側に、窒素を含むパーシャルレイヤが形成
される。したがって、擦傷されやすい表面が窒化ケイ素化となるため、耐擦傷性を改善で
きる。
パーシャルレイヤは、Sistu(s、uは正の数、tは0以上の数)を含むもので
ある。二酸化ケイ素から成るサブレイヤを窒化処理した場合、サブレイヤの表面に部分的
あるいは全体的に窒化ケイ素を含む領域が形成され、耐擦傷性の改善を図ることができる
。また、窒化処理により形成されるパーシャルレイヤは、厚みおよび/または面積が限定
的であり、サブレイヤとしては、二酸化ケイ素の光学的性能が維持される。したがって、
反射防止層としての膜設計のやり直しはほぼ不用である。また、窒化ケイ素により耐擦傷
性の改善と共に、基板および上層との密着性といった二酸化ケイ素から成るサブレイヤの
特性を活かすことができる。
本発明の第1の実施形態にかかる光学物品では、窒化処理されている二酸化ケイ素から
成る少なくとも1つのサブレイヤが、反射防止層における光学基板から最も離れた層であ
ることが望ましい。また、本発明の第1の実施形態にかかる光学物品では、窒素を含むパ
ーシャルレイヤの少なくとも1つは、反射防止層における最表層であることが望ましい。
窒化処理され、反射防止層の耐擦傷性の改善に寄与するであろう二酸化ケイ素から成る少
なくとも1つのサブレイヤは、多層構成のいずれの層であっても良い。最も、擦傷による
影響を受け易いのが、最上層、すなわち、光学基板の反対側の面を形成するサブレイヤで
あると考えられるので、この層を窒化処理することが望ましい。
図1に、支持装置80に搭載された基板(ワーク)40の表面に真空蒸着により多層構
成の反射防止層3を形成する成膜装置50の概略構成を示している。支持装置80は、上
方に凸に湾曲した円盤状のドーム81を備えており、そのドーム81に、同心円状に複数
のワーク基板(光学基板、具体的にはレンズ基板)40を配列し、ドーム81を回転させ
ながら成膜する。成膜装置50は、支持装置80が内部を通過可能な3つのチャンバーC
H1、CH2およびCH3を備えている。各々のチャンバーCH1〜CH3は相互に密封
できるようになっており、各チャンバーCH1〜CH3の内圧は、真空生成装置52、5
3および54によりそれぞれ制御される。
チャンバーCH1は、エントランスまたはゲートチャンバーであり、外部から支持装置
80を導入した後、一定時間、一定の圧力以下にチャンバーCH1の内部を保持すること
により、脱ガスを行う。チャンバーCH1には、ロータリーポンプ52a、ルーツポンプ
52bおよびクライオポンプ52cを備えた真空生成装置52が設けられている。
チャンバーCH2は、反射防止層(AR層)を成膜する第2のチャンバーである。この
ため、このチャンバーCH2の内部には、AR蒸着源55aおよび55b、このAR蒸着
源55を蒸着させる電子銃56、および蒸着量を調整する開閉可能なシャッタ57が設け
られている。反射防止層は、二酸化ケイ素を主成分とする低屈折率のサブレイヤと、他の
組成からなる高屈折率のサブレイヤ、たとえば、TiO2、Nb23、Ta25、ZrO2
の1つまたは複数が積層された構造が採用される。このため、少なくとも2つの蒸着源5
5aおよび55bと、それらを加熱溶融するための電子銃56とが用意されている。チャ
ンバーCH2は、ロータリーポンプ53a、ルーツポンプ53bおよびクライオポンプ5
3cを備えた真空生成装置53により適当な圧力に保持される。
さらに、チャンバーCH2は、チャンバー内の雰囲気を制御するマスフローコントロー
ラ66が接続されている。このマスフローコントローラ66には、酸素ガス63と窒素ガ
ス64aの供給源が接続されており、チャンバーCH2内の雰囲気をそれらのガス100
%または適当な比率となるように制御できる。
また、チャンバーCH2には、高周波プラズマを発生するためのRFコイル60が収納
されている。RFコイル60を、マッチングボックス61を介して高周波発振器62と接
続することにより、チャンバー内に、所定の周波数で、所定の出力のプラズマを発生させ
ることができる。
さらに、チャンバーCH2には、イオンガン70が収納されている。このイオンガン7
0は、DC電源71およびRF電源72に接続されており、支持装置80に支持されたワ
ーク基板40に対して、所定のエネルギーのイオンを照射することができる。イオンガン
70には、酸素の供給源63および窒素の供給源64aがマスフローコントローラ69を
介して接続されており、それらの酸素イオンあるいは窒素イオンをワーク基板40に照射
できる。
チャンバーCH3は、取り出し用のチャンバーである。一方の面に反射防止層が形成さ
れたワーク基板40が搭載された支持装置80をチャンバーCH2からチャンバーCH3
に移動した後、ワーク基板40を反転させて、再度チャンバーCH2に戻す。そして、反
対側の面に反射防止層を形成した後に、チャンバーCH3に戻し、チャンバーの圧力を大
気圧に戻して取り出す。チャンバーCH3は、ロータリーポンプ54a、ルーツポンプ5
4bおよびターボ分子ポンプ54cを備えた真空生成装置54により適当な圧力に保持さ
れる。チャンバーCH3から支持装置80ごと取り出されたワーク基板40は、恒温恒湿
槽(不図示)に投入され適当な湿度と温度の雰囲気でアニールされる。さらに、所定時間
室内放置することによってエージングが行われる。
この成膜装置50は、チャンバーCH2に設置されたプラズマ発生装置(RFコイル)
60またはイオンガン70を用いて二酸化ケイ素を主成分とする低屈折率のサブレイヤを
窒化処理することが可能である。オートプレッシャーコントローラ65によりチャンバー
内を窒素雰囲気、または窒素と酸素の混合雰囲気にした後に、RFコイル60によりプラ
ズマを発生させることにより窒素イオンを二酸化ケイ素から成るサブレイヤに照射して窒
化できる。雰囲気は、窒素−アルゴン、窒素−酸素−アルゴンであっても良い。また、イ
オンガン70により窒素イオンをワーク基板40に照射することにより、二酸化ケイ素か
ら成るサブレイヤの表面を窒化できる。
窒化ケイ素から成るサブレイヤを真空蒸着で形成するのは困難である。しかしながら、
酸化ケイ素をプラズマ処理もしくはイオンガン処理することによって表面に窒化物を形成
するのは、比較的容易である。この場合、表面にはSi34以外に、Sistu(s、
uは正の整数、tは0以上の整数)等の窒素とケイ素の化合物がSiO2と混在する形で
形成される。すなわち、窒化物を含むパーシャルレイヤが、二酸化ケイ素から成るサブレ
イヤの表面を全体的に、あるいは部分的に覆った状態で形成され、その部分の耐久性が向
上する。そして、窒化物を含むパーシャルレイヤが形成されるのは、二酸化ケイ素から成
るサブレイヤのごく表層のみであるため、反射防止層としての膜設計にはほとんど影響を
与えない。
図2に、この成膜装置50において、ワーク基板40に多層構成の反射防止層を形成す
るプロセスをフローチャートで示している。また、図3に、反射防止層3を含めた本例の
光学物品10aの膜構成(層構成)を断面により示している。
反射防止層3の例として、基材1の上の第1層31が酸化ケイ素、第2層32が酸化ジ
ルコニウム、第3層33が酸化ケイ素、第4層34が酸化ジルコニウム、第5層35が酸
化ケイ素である場合を考える。
光学基板(基材)1がプラスチック製の場合、ステップ11において、反射防止層3に
先立って、光学基板1の上にハードコート層2を形成する。ハードコート層2と基板1と
の密着性を向上するためにプライマー層をさらに形成する場合もある。ハードコート層2
は、プラスチックレンズ1に耐擦傷性を付与する。それと共に、ハードコート層2は、プ
ラスチックレンズ1と反射防止層3の間に介在し、反射防止層3の密着性を良好にして剥
離を防止する働きを有する。プラスチックレンズ1に対する密着性がそれほど高くない反
射防止層3であってもハードコート層2を介在させることにより密着性を改善できる。
ハードコート層2の形成方法としては、ハードコート層2を形成できる硬化性組成物を
プラスチックレンズ1の表面に塗布し、塗膜を硬化させる方法が一般的である。プラスチ
ックレンズ1が熱可塑性樹脂である場合、熱硬化型よりも紫外線等の電磁波や電子ビーム
等の電離放射線で硬化するものを用いることが好ましい。
例えば、無機微粒子含有熱硬化性組成物がある。この組成物は、紫外線の照射によりシ
ラノール基を生成するシリコーン化合物および、シラノール基を縮合反応するハロゲン原
子やアミノ基等の反応基を有するオルガノポリシロキサンを主成分とする光硬化性シリコ
ーン組成物を含む。さらに、この組成物は、三菱レイヨン株式会社製のUK−6074等
のアクリル系紫外線硬化型モノマー組成物と、SiO2、TiO2などの粒径1〜100n
mの無機微粒子とを含む。さらに、この組成物は、光硬化性シリコーン組成物と、アクリ
ル系紫外線硬化型モノマー組成物と、無機微粒子とを、ビニル基、アリル基、アクリル基
またはメタクリル基等の重合性基、およびメトキシ基等の加水分解性基を有するシラン化
合物やシランカップリング剤中に分散させたものである。
ハードコート層2となる塗膜の形成方法としては、ディッピング法、スピンコート法、
スプレー法、フロー法、ドクターブレード法などを採用できる。なお、塗膜を形成する前
に、密着性を向上させるため、プラスチックレンズ1の表面を、コロナ放電やマイクロ波
などの高電圧放電などで表面処理をすることが好ましい。形成した塗膜を熱、紫外線、電
子ビームなどで硬化させてハードコート層2が得られる。
ハードコート層2が形成された基板1が、ワーク基板40として支持装置80にセット
され、成膜装置50に搬入される。成膜装置50では、ステップ12において、まず、支
持装置80がチャンバーCH1に導入され、脱ガスされ、さらに、支持装置80がチャン
バーCH2に移動され、プラズマ処理される。ステップ13において、第1層31の酸化
ケイ素から成るサブレイヤを形成後(層形成工程)、ステップ14において、プラズマ処
理もしくはイオンガン処理によって表面を窒化する(窒化処理する工程)。これにより、
酸化ケイ素から成るサブレイヤ31の表面(基板1と反対側の面)に、その表面の全部ま
たは一部を覆う、窒化物を含むパーシャルレイヤ39が形成される。この際の導入ガスは
、窒素を含んだ任意の組成のガスを用いる。例として、窒素100%、窒素と酸素の混合
ガス、窒素とアルゴンの混合ガス、窒素と酸素とアルゴンの混合ガスなどが挙げられる。
ステップ15において、第2層32の酸化ジルコニウムのサブレイヤを形成後、ステッ
プ16において、第3層33の酸化ケイ素のサブレイヤを形成する。さらに、ステップ1
7において、ステップ14と同様に表面を窒化する。ステップ15および16においては
、高屈折率の第2の層32と、低屈折率の第3の層33とが連続して形成される。そして
、その後、ステップ17において窒化処理することにより、直近に形成された低屈折率の
第3の層33の表面を窒化処理することができる。すなわち、ステップ16の層形成工程
と、ステップ17の窒化処理する工程とを連続して行うことにより層形成工程により形成
された層の表面を窒化処理できる。ステップ15および16を1つの層形成工程とすると
、窒化処理する前に形成された層の表面を、ステップ17において窒化することができる
ステップ18において、第4層34の酸化ジルコニウムのサブレイヤを形成後、ステッ
プ19において、第5層35の酸化ケイ素を形成する。ステップ20において、ステップ
14と同様に表面を窒化する。これにより、光学物品の一方の面に5層構成の反射防止層
3が形成されるので、ステップ21で、基板40を反転して支持装置80にセットし、多
層の反射防止層3を形成するためのステップ12〜20を繰り返す。基板40の両面に反
射防止層3が形成されると、ステップ22において基板1(ワーク基板40)を取り出す
ここで、窒化処理を行うのは、全3層ある酸化ケイ素層31、33、35の内、最上層
35のみ、もしくは、最上層35を含む任意の2層でも良い。上記の処理では、酸化ケイ
素のサブレイヤのごく表面のみが窒化しているため、反射防止層3としての性能には、ほ
とんど影響を与えない。
(実施例1−1)
以下では、図2に示した製造方法により、プラスチック眼鏡レンズを光学物品として製
造する幾つかの例を説明する。以下の各実施例および比較例では、光学基材1として、眼
鏡用プラスチックレンズ基材(セイコーエプソン株式会社製:セイコースーパーソブリン
)を使用する。ステップ11において、光学基材1の両面にハードコート層2を形成する
。以下では、それをワーク基板40として、その上に反射防止層3を形成する。
ワーク基材40は、凹面を下にして、支持装置80のドーム81にセットされ、成膜装
置50に搬入される。ステップ12において、チャンバーCH1で脱ガスした後、チャン
バーCH2において、アルゴン100%ガスを導入し、圧力を4.0×10-2Paに制御
しつつ、高周波プラズマ発生装置でプラズマを発生させて処理する。プラズマ発生条件は
、13.56MHz、400Wであり、1分間のプラズマ処理を行った。これは、基板1
と反射防止層3の密着性を向上させるために、基板表面を清浄化するのを目的としている
引き続き、ステップ13〜20を行い、SiO2のサブレイヤ31、33および35と
、ZrO2のサブレイヤ32および34とを交互に蒸着し、これらのサブレイヤからなる
反射防止層3を形成した。第1層(SiO2)31の膜厚は0.09λ、第2層(ZrO2
)32の膜厚は、0.16λ、第3層(SiO2)33の膜厚は、0.05λ、第4層(
ZrO2)34の膜厚は、0.27λ、第5層(SiO2)35の膜厚は、0.27λに調
整した。
この反射防止層3の最上層35は、SiO2層である。なお、ステップ14、17およ
び20の窒化処理においては、プラズマ発生装置60を用いた。そのため、SiO2層の
蒸着終了後、チャンバー内に窒素ガスと酸素ガスを7:3の割合で導入し、圧力を4.0
×10-2Paに制御しつつ、高周波プラズマ発生装置でプラズマを発生させた。プラズマ
発生条件は、13.56MHz、600Wで、5分間のプラズマ処理を行った。これによ
り、第1層31、第3層33、および第5層35のSiO2層の表面に窒化物を含むパー
シャルレイヤ39が形成される。すなわち、第1層31、第3層33、および第5層35
は、窒化処理された部分を含む層(表層窒化処理層)となる。
その後、ステップ21で、チャンバーCH3に支持装置80を移動し、支持装置80を
チャンバーから取り出し、レンズを反転して凸面を下にして支持装置80のドーム81に
セットし、再び上記と同様の処理を行う。そして、ステップ22で、チャンバーCH3か
らワーク基材40を取り出す。これによって、ワーク基材40(レンズ基材1)の両面に
、すなわち、ハードコート層2の基材1と反対側に反射防止層3を有するプラスチックレ
ンズ(サンプルS1−1)を製造した。サンプルS1−1は、反射防止層3の二酸化ケイ
素のサブレイヤ31、33および35の表面、すなわち、基材1とは反対側の面が窒化処
理されている。
(実施例1−2)
実施例1−2においては、ステップ14および17を除いて、5層構成の反射防止層3
を有するプラスチックレンズ(サンプルS1−2)を製造した。その他は、実施例1−1
と同様である。したがって、この実施例1−2のサンプルS1−2は、反射防止層3に含
まれる二酸化ケイ素のサブレイヤ31、33および35の内、最外層(第5層)35、す
なわち、反射防止層3の、光学基板1の反対側の面を形成するサブレイヤ35のみに窒化
処理が行われ、窒化物を含むパーシャルレイヤ39が形成されている。
(実施例1−3)
実施例1−3においては、ステップ14を除いて、5層構成の反射防止層3を有するプ
ラスチックレンズ(サンプルS1−3)を製造した。その他は、実施例1−1と同様であ
る。したがって、この実施例1−3のサンプルS1−3は、反射防止層3に含まれる二酸
化ケイ素のサブレイヤ31、33および35の内、第3層33と、第5層35とのみに窒
化処理が行われ、窒化物を含むパーシャルレイヤ39が形成されている。
(実施例1−4)
実施例1−4においては、ステップ17を除いて、5層構成の反射防止層3を有するプ
ラスチックレンズ(サンプルS1−4)を製造した。その他は、実施例1−1と同様であ
る。したがって、この実施例1−4のサンプルS1−4は、反射防止層3に含まれる二酸
化ケイ素のサブレイヤ31、33および35の内、第1層31と、第5層35とのみに窒
化処理が行われ、窒化物を含むパーシャルレイヤ39が形成されている。
(実施例1−5)
実施例1−5においては、ステップ12から20を行い、反射防止層3に含まれる二酸
化ケイ素のサブレイヤ31、33および35の全層に対して窒化処理を行った。ただし、
ステップ14、17および20の窒化処理は、プラズマ発生装置60の代わりにイオンガ
ン70を用いた。そのため、イオンガン70に窒素ガス64aと酸素ガス63を7:3の
割合で35SCCMに制御して導入し、イオンを照射した。イオン照射条件は、周波数1
3.56MHz、RF450W、加速電圧500V、サプレッサー電圧300Vであり、
5分間のイオン照射を行った。処理時の圧力は4×10-3Paであった。その他は、実施
例1−1と同様である。
したがって、この実施例1−5のサンプルS1−5は、反射防止層3に含まれる二酸化
ケイ素のサブレイヤ31、33および35の全てに窒化処理が行われ、窒化物を含むパー
シャルレイヤ39が形成されている。
(実施例1−6)
実施例1−6においては、7層構成の反射防止層3を有するレンズを製造した。このた
め、第6層を蒸着する工程と、最外層の第7層として二酸化ケイ素を蒸着する工程と、そ
の最外層の二酸化ケイ素を窒化処理する工程が追加された。さらに、高屈折率のサブレイ
ヤを形成する際に、ZrO2の代わりにTiO2を用いて形成した。その他は、実施例1−
1と同様である。
これらの高屈折率の層を形成する工程において、TiO2蒸着は、イオンアシスト蒸着
で行った。この際のイオン照射条件は、イオンガン70に酸素100%ガスを35SCC
Mに制御して導入し、周波数13.56MHz、RF450W、加速電圧500V、サプ
レッサー電圧300Vに調整した。処理時のチャンバー内の圧力は、4×10−3Paで
あった。また、第1層(SiO2)の膜厚は0.08λ、第2層(TiO2)の膜厚は、0
.07λ、第3層(SiO2)の膜厚は0.10λ、第4層(TiO2)の膜厚は、0.1
8λ、第5層(SiO2)の膜厚は0.07λ、第6層(TiO2)の膜厚は、0.14λ
、第7層(SiO2)の膜厚は0.26λに調整した。
したがって、この実施例1−6のサンプルS1−6は、反射防止層3に含まれる二酸化
ケイ素のサブレイヤの全てに窒化処理が行われ、窒化物を含むパーシャルレイヤ39が形
成されている。
(比較例1−1)
比較例1−1では、ステップ14、17および20を除いて、実施例1−1と同じ組成
、すなわち、SiO2の低屈折率のサブレイヤと、ZrO2の高屈折率のサブレイヤからな
る5層構成の反射防止層3を有し、窒化処理を行わないプラスチックレンズ(サンプルS
R1−1)を製造した。その他は実施例1−1と同様である。したがって、この比較例1
−1のサンプルSR1−1は、反射防止層3に含まれる二酸化ケイ素のサブレイヤ31、
33および35の全てが窒化処理されていない。
(比較例1−2)
比較例1−2では、実施例1−6と同じ組成、すなわち、SiO2の低屈折率のサブレ
イヤと、TiO2の高屈折率のサブレイヤからなる7層構成の反射防止層3を有し、窒化
処理を行わないプラスチックレンズ(サンプルSR1−2)を製造した。その他は実施例
1−6と同様である。したがって、この比較例1−2のサンプルSR1−2は、反射防止
層3に含まれる二酸化ケイ素のサブレイヤの全てが窒化処理されていない。
(評価)
実施例1−1〜1−6および比較例1−1および1−2により製造されたサンプルS1
−1〜S1−6、SR1−1およびSR1−2の耐擦傷性を次の方法で評価した。その結
果を図4に纏めて示している。各サンプルS1−1〜S1−6、SR1−1およびSR1
−2の反射防止層3の最外面を、スチールウール(#0000)を冶具に巻きつけ、2k
gの荷重を加えて50回往復させた。それにより発生したキズの度合いを、標準サンプル
と比較してA、B、C、Dの4段階で評価した。ここで、Aが最良であり、以下、B、C
、Dと悪化する。
実施例1−1〜1―6のサンプルS1−1〜S1−6は、二酸化ケイ素のサブレイヤの
少なくともいずれかに窒化処理を行った。これらのサンプルS1−1〜S1−6の耐擦傷
性試験の評価は良好(A)である。それに対して、窒化処理を行わなかった比較例1−1
および比較例1−2のサンプルSR1−1およびSR1−2の耐擦傷性試験の評価は不良
(D)であった。
総合的に評価すると、製品としては、実施例のサンプルS1−1〜S1−6は全て◎(
優)である。比較例のサンプルSR1−1〜SR1−2は全て×(不可)である。この結
果、二酸化ケイ素のサブレイヤの少なくともいずれかを窒化処理することにより、耐擦傷
性を改善できることが分かる。
なお、図4に示した表(評価結果)には現れていない程度ではあるが、最上層のみと、
最上層を含む任意の2層に窒化処理を行った実施例1−2、1−3および1−4のサンプ
ルでは、耐擦傷性のレベルが、全ての二酸化ケイ素のサブレイヤを窒化処理した実施例1
−1、1−5、1−6のサンプルよりも、同じ良好(A)ではあるが、若干劣るものであ
った。しかし、十分に許容できる範囲内である。
なお、上記の第1の実施形態(実施例)は、ハードコート層を備えたプラスチック眼鏡
レンズに反射防止層を形成した光学物品である。ガラス製の基材を備えた光学物品の場合
は、ハードコート層を介さずに反射防止層を形成する場合もあり、そのような光学物品に
対して上記の実施形態において開示した製造方法を適用可能である。また、光学物品は、
眼鏡レンズに限定されず、画像表示装置の光学系の素子、プリズム、光ファイバー、情報
記録媒体用の素子、フィルタなどの光学製品を含み、これらにも上記の実施形態において
開示した製造方法を適用可能である。
(第2の実施形態)
眼鏡レンズのような日常的に使用される光学物品においては、撥水性などの防汚機能を
備えた層(防汚層)を形成することが多い。防汚層は、油脂などにより表面が汚染される
ことによる光学性能の低下を抑制することを1つの目的としている。防汚層を形成する組
成として最も適当なものは、含フッ素シラン化合物である。含フッ素シラン化合物による
防汚層は、撥水性能が高く、防汚性能が高い。さらに、含フッ素シラン化合物による防汚
層は、反射防止層の最上層に酸化ケイ素が採用されている場合は、反射防止層の表面と防
汚層との密着性が高く、耐久性も高いという利点を備えている。これは、反射防止層と防
汚層との間に、反射防止層の表面の酸素原子を介してシロキサン結合が形成されているた
めと考えられている。
一方、酸化ケイ素の層の替わりに、窒化ケイ素の層が反射防止層の最上層になると、シ
ロキサン結合が形成されにくく、防汚層の耐久性が低下し易い。したがって、窒化ケイ素
層が反射防止層の最上層に存在すると、その上に形成される防汚層との反応が阻害され、
防汚機能の耐久性が低下するという問題が生じる。
本発明の第2の実施形態の一態様は、光学基板の上に直に、または少なくとも1つの他
の層を挟んで、複数の低屈折率のサブレイヤと少なくとも1つの高屈折率のサブレイヤと
を含む多層構成の反射防止層と防汚層とを形成する工程を有する光学物品の製造方法であ
って、反射防止層と防汚層とを形成する工程は、低屈折率の第1のサブレイヤを形成する
第1の工程と、低屈折率の第1のサブレイヤの表面を窒化処理する窒化処理工程と、低屈
折率の第1のサブレイヤの、光学基板側とは反対側に、少なくとも1つの高屈折率のサブ
レイヤを挟んで、低屈折率の第2のサブレイヤを形成する第2の工程と、低屈折率の第2
のサブレイヤの、光学基板側とは反対側に、直に防汚層を形成する工程とを含む。
ここで述べるサブレイヤは、第1の実施形態で記載した通りである。この光学物品の製
造方法では、窒化ケイ素を多層構成の1つの単独のサブレイヤとして用いるのではなく、
二酸化ケイ素などからなる低屈折率のサブレイヤを窒化処理する、すなわち、低屈折率の
サブレイヤの表面を部分的に窒化して、それにより膜強度が向上するという効果を得よう
としている。この製造方法は、例えば、二酸化ケイ素を低屈折率のサブレイヤとして使用
する反射防止層の層構造を維持したまま、窒化によるメリットを享受できるので、防汚層
が積層される低屈折率の第2のサブレイヤは窒化しないという選択が可能であり、反射防
止層に防汚層が積層されたシステムにおいて、防汚層の耐久性も確保できる。
したがって、第1の工程および第2の工程では、二酸化ケイ素により低屈折率の第1の
サブレイヤおよび低屈折率の第2のサブレイヤを形成することが望ましい。
また、この製造方法においては、第1の工程では、真空蒸着により低屈折率の第1のサ
ブレイヤを形成し、窒化処理する工程では、第1の工程を行う真空チャンバー内に窒素を
含むガスを導入し、プラズマ処理またはイオンガン処理を行うことにより、二酸化ケイ素
などの低屈折率のサブレイヤの表面を、部分的に、あるいは全体的に窒化できる。このた
め、窒化された層を導入するための厳密な膜厚管理は不用であり、イオン電流を制御した
り、時間管理を精度良く行わなくても、多層構成の反射防止層に、容易に窒化膜の要素を
導入でき、それによる耐擦傷性の向上を図ることができる。特にプラズマ処理では、イオ
ン源も不用であり、真空蒸着用の装置あるいは蒸着過程の中で簡単に、窒化ケイ素の要素
を導入できる。
本発明の第2の実施形態の他の態様は、光学基板の上に直に、または少なくとも1つの
他の層を挟んで形成された反射防止層および防汚層を有する光学物品であり、反射防止層
は、低屈折率の第1のサブレイヤと、低屈折率の第2のサブレイヤとを含み、低屈折率の
第1のサブレイヤの光学基板側とは反対側の面は窒化処理され、低屈折率の第2のサブレ
イヤは、低屈折率の第1のサブレイヤの、光学基板側とは反対側に、少なくとも1つの高
屈折率のサブレイヤを挟んで形成され、さらに、低屈折率の第2のサブレイヤの、光学基
板側とは反対側に、防汚層が直に積層されているものである。
また、本発明の第2の実施形態の他の態様の光学物品は、光学基板の上に直に、または
少なくとも1つの他の層を挟んで形成された反射防止層および防汚層を有し、反射防止層
は、低屈折率の第1のサブレイヤと、低屈折率の第2のサブレイヤとを含み、低屈折率の
第1のサブレイヤは、光学基板側とは反対側に、窒素を含むパーシャルレイヤを備え、低
屈折率の第2のサブレイヤは、低屈折率の第1のサブレイヤの光学基板側とは反対側に、
少なくとも1つの高屈折率のサブレイヤを挟んで形成され、さらに、低屈折率の第2のサ
ブレイヤの光学基板側とは反対側に、防汚層が直に積層されているものである。ここで述
べるパーシャルレイヤは、第1の実施形態で記載した通りである。
すなわち、上記の光学物品は、光学基板の上に直にまたは少なくとも1つの他の層を挟
んで形成された反射防止層と、この反射防止層の上に直に形成された防汚層とを有し、反
射防止層は、複数の層を含み、複数の層のうち、当該反射防止層の最表層を除く少なくと
も1層は、表層窒化処理層、すなわち、SiOxを主成分とする層であって、光学基板側
とは反対側の表面に窒化処理された部分を含む層である。反射防止層の1つの形態は、低
屈折率の複数の層を含み、これら低屈折率の複数の層の1つは、最表層であり、これら低
屈折率の複数の層の他の少なくとも1つは、表層窒化処理層であって、最表層の低屈折率
の層は、他の低屈折率の層の、光学基板側とは反対側に、少なくとも1つの高屈折率の層
を挟んで形成されているものである。
低屈折率の第1のサブレイヤを窒化処理することにより、少なくとも1つのサブレイヤ
は、光学基板側とは反対側に、窒素を含むパーシャルレイヤが形成され、擦傷されやすい
表面を窒化して耐擦傷性を改善できる。そして、防汚層が積層される低屈折率の第2のサ
ブレイヤは窒化しないことにより、防汚層との密着性を維持し、防汚層の耐久性を向上で
きる。
低屈折率の第1および第2のサブレイヤは、二酸化ケイ素により形成されていることが
好ましい。その場合、パーシャルレイヤは、Sistu(s、uは正の整数、tは0以
上の整数)を含むものである。二酸化ケイ素のサブレイヤを窒化処理した場合、サブレイ
ヤの表面に部分的あるいは全体的に窒化ケイ素を含む領域が形成され、耐擦傷性の改善を
図ることができる。また、窒化処理により形成されるパーシャルレイヤは厚みおよび/ま
たは面積が限定的であり、サブレイヤとしては二酸化ケイ素の光学的性能が維持される。
したがって、反射防止層としての膜設計のやり直しはほぼ不用である。また、窒化ケイ素
により耐擦傷性の改善と共に、基板および上層との密着性といった二酸化ケイ素のサブレ
イヤの特性を活かすことができる。さらに、防汚層が積層される最上層の酸化ケイ素は窒
化しないことにより、防汚機能の耐久性を保ちつつ、耐擦傷性を向上することが可能とな
る。
防汚層を形成する組成の好適なものは含フッ素シラン化合物である。防汚層に適した含
フッ素シラン化合物の一例は、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 0005135753
ただし、一般式(1)において、式中、Rf1はパーフルオロアルキル基、Xは水素、
臭素、またはヨウ素、Yは水素または低級アルキル基、Zはフッ素またはトリフルオロメ
チル基、R1は水酸基または加水分解可能な基、R2は水素または1価の炭化水素基を表す
。a、b、c、d、eは0または1以上の整数で、a+b+c+d+eは少なくとも1以
上であり、a、b、c、d、eでくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において
限定されない。fは0、1または2を表す。gは1、2または3を表す。hは1以上の整
数を表す。
防汚層に適した含フッ素シラン化合物の他の例は、下記一般式(2)で表されるもので
ある。
Figure 0005135753
ただし、一般式(2)において、式中、Rf2は、式:−(Ck2k)O−(式中、kは
1〜6の整数である)で表される単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリ
アルキレンエーテル構造を有する2価の基を表す。R3は炭素原子数1〜8の一価炭化水
素基であり、Xは加水分解性基またはハロゲン原子を表す。pは0、1または2を表す。
nは1〜5の整数を表す。mおよびrは2または3を表す。
図5に、支持装置80に搭載された基板(ワーク)40の表面に真空蒸着により多層構
成の反射防止層を形成する成膜装置50の概略構成を示してある。
図1に示した成膜装置50に対して、チャンバーCH3の機能が異なる。この成膜装置
50では、チャンバーCH3が出口チャンバーとしての機能に加え、含フッ素シラン化合
物を蒸着することにより防汚層を形成する。このため、チャンバー内部には、含フッ素シ
ラン化合物が含浸された防汚層蒸着源59aと、加熱ヒータ(ハロゲンランプ)68と、
開度を調整することにより含フッ素シラン化合物の放出量を制御するための補正板67と
が設置されている。チャンバーCH3は、ロータリーポンプ54a、ルーツポンプ54b
およびターボ分子ポンプ54cを備えた真空生成装置54により適当な圧力に保持される
。チャンバーCH3から支持装置80ごと取り出されたワーク基板40は、恒温恒湿槽(
不図示)に投入され適当な湿度と温度の雰囲気でアニールされる。さらに、所定時間室内
放置することによってエージングが行われる。他の構成および作用は、第1の実施形態の
成膜装置50と同様であるため、重複する説明は、図面に同符号を付して省略する。
図6に、この成膜装置50において、ワーク基板40に多層構成の反射防止層を形成す
るプロセスをフローチャートで示している。また、図7に、反射防止層3および防汚層4
を含めた本例の光学物品10bの膜構成を断面により示している。反射防止層3の例とし
て、基材の上の第1層31が酸化ケイ素、第2層32が酸化ジルコニウム、第3層33が
酸化ケイ素、第4層34が酸化ジルコニウム、第5層35が酸化ケイ素である。
光学基板(基材)1がプラスチック製の場合、ステップ101において、図2に示した
製造方法と同様に、反射防止層3に先立って、光学基板1の上にハードコート層2を形成
する。
ハードコート層2が形成された基板1が、ワーク基板40として支持装置80にセット
され、成膜装置50に搬入される。成膜装置50では、ステップ102において、まず、
支持装置80がチャンバーCH1に導入され、脱ガスされ、さらに、支持装置80がチャ
ンバーCH2に移動され、プラズマ処理される。ステップ103において、第1層31の
酸化ケイ素のサブレイヤを形成後(層形成工程(第1の工程))、ステップ104におい
て、プラズマ処理もしくはイオンガン処理によって表面を窒化する(窒化処理する工程)
。これにより、酸化ケイ素のサブレイヤ31の表面(基板1と反対側の面)に、その表面
の全部または一部を覆う、窒化物を含むパーシャルレイヤ39が形成される。この際の導
入ガスは、窒素を含んだ任意の組成のガスを用いる。例として、窒素100%、窒素と酸
素の混合ガス、窒素とアルゴンの混合ガス、窒素と酸素とアルゴンの混合ガスなどが挙げ
られる。
ステップ105において、第2層32の酸化ジルコニウムのサブレイヤを形成後、ステ
ップ106において、第3層33の酸化ケイ素のサブレイヤを形成し(層形成工程(第1
の工程))、さらに、ステップ107において、ステップ104と同様に表面を窒化する
(窒化処理する工程)。
ステップ108において、第4層34の酸化ジルコニウムのサブレイヤを形成後、ステ
ップ109において、第5層35の酸化ケイ素のサブレイヤを形成する(層形成工程(第
2の工程))。第5層35は、反射防止層3の最上層となる。このため、層形成工程(第
2の工程)の後、ステップ110において、チャンバーCH3に支持装置80を移動し、
第5層の酸化ケイ素のサブレイヤ35の上に、直に、含フッ素シラン化合物の防汚層4を
形成する。これにより、光学物品の一方の面に5層構成の反射防止層3と防汚層4とが形
成される。ステップ111で基板40を反転して支持装置80にセットし、ステップ10
2から110を繰り返す。基板40の両面に反射防止層3および防汚層4が形成されると
、ステップ112において基板40を取り出す。
ここで、全3層ある酸化ケイ素層31、33、35の内、窒化処理を行う低屈折率のサ
ブレイヤは最上層35を除く2層31および33の一方または両方であっても良い。最上
層35は、低屈折率の第2のサブレイヤであり、窒化処理は行われない。また、上記の処
理では、酸化ケイ素のサブレイヤのごく表面のみを窒化しているため、反射防止層3とし
ての性能には、ほとんど影響を与えない。
(実施例2−1)
以下では、図6に示した製造方法により、プラスチック眼鏡レンズを光学物品として製
造する幾つかの例を説明する。以下の各実施例および比較例では、光学基材1として、眼
鏡用プラスチックレンズ基材(セイコーエプソン株式会社製、商品名「セイコースーパー
ソブリン」)を使用する。ステップ101において、光学基材1の両面にハードコート層
2が形成され、それをワーク基板40として、その上に反射防止層3を形成する。
ワーク基材40は、凹面を下にして、支持装置80のドーム81にセットされ、成膜装
置50に搬入される。ステップ102において、チャンバーCH1で脱ガスした後、チャ
ンバーCH2において、アルゴン100%ガスを導入し、圧力を4.0×10-2Paに制
御しつつ、高周波プラズマ発生装置でプラズマを発生させて処理する。プラズマ発生条件
は、13.56MHz、400Wであり、1分間のプラズマ処理を行った。これは、基板
1と反射防止層3の密着性を向上させるために、基板表面を清浄化することを目的として
いる。
引き続き、ステップ103から110を行い、SiOのサブレイヤ31、33および
35と、ZrO2のサブレイヤ32および34とを交互に蒸着し、これらのサブレイヤか
らなる反射防止層3を形成した。第1層(SiO2)31の膜厚は0.09λ、第2層(
ZrO2)32の膜厚は0.16λ、第3層(SiO2)33の膜厚は0.05λ、第4層
(ZrO2)34の膜厚は0.27λ、第5層(SiO2)35の膜厚は0.27λに調整
した。
この反射防止層3の最上層35は、SiO2層である。なお、ステップ104および1
07の窒化処理においては、プラズマ発生装置60を用いた。そのため、SiO2層の蒸
着終了後、チャンバーCH2内に窒素ガスと酸素ガスを7:3の割合で導入し、圧力を4
.0×10-2Paに制御しつつ、高周波プラズマ発生装置でプラズマを発生させた。プラ
ズマ発生条件は、13.56MHz、600Wで、5分間のプラズマ処理を行った。これ
により、第1層31および第3層33のSiO2層の表面に、窒化物を含むパーシャルレ
イヤ39が形成される。すなわち、第1層31および第3層33は、窒化処理された部分
を含む層(表層窒化処理層)となる。
その後、チャンバーCH3に支持装置80を移動し、防汚層4を形成した(ステップ1
10)。蒸着源59aとして、信越化学工業株式会社製のフッ素含有有機ケイ素化合物(
製品名「KY−130」、上記の一般式(2))を用いた。このKY−130を、フッ素
系溶剤(住友スリーエム株式会社製、製品名「ノベックHFE−7200」)に希釈して
固形分濃度3%溶液を調製し、これを多孔質セラミックス製のペレットに1g含浸させ乾
燥させたものを蒸着源59aとしてチャンバーCH3にセットした。成膜中は、ハロゲン
ランプを加熱ヒータ68として使用し、蒸着源59aのペレットを600℃に加熱して、
フッ素含有有機ケイ素化合物を蒸発させた。蒸着時間は3分である。
防汚層4の形成後、支持装置80をチャンバーから取り出し、レンズを反転して凸面を
下にして支持装置80のドーム81にセットし、再び上記と同様の処理を行うことによっ
て、レンズ両面に、すなわち、ハードコート層2の基材1と反対側に反射防止層3および
防汚層4を有するプラスチックレンズ(サンプルS2−1)を製造した。サンプルS2−
1は、反射防止層3の二酸化ケイ素のサブレイヤ31および33が低屈折率の第1のサブ
レイヤとして、その表面、すなわち、基材1とは反対側の面が窒化処理されている。また
、サブレイヤ35が低屈折率の第2のサブレイヤとして、その上に直に防汚層4が形成さ
れている。
(実施例2−2)
実施例2−2においては、ステップ107を除いて、5層構成の反射防止層3を有する
プラスチックレンズ(サンプルS2−2)を製造した。その他は、実施例2−1と同様で
ある。したがって、この実施例2−2のサンプルS2−2は、反射防止層3に含まれる二
酸化ケイ素のサブレイヤ31、33および35の内、最内層(第1層)31、すなわち、
反射防止層3の、光学基板1の側を形成するサブレイヤ31のみに窒化処理が行われ、窒
化物を含むパーシャルレイヤ39が形成されている。
(実施例2−3)
実施例2−3においては、ステップ104を除いて、5層構成の反射防止層3を有する
プラスチックレンズ(サンプルS2−3)を製造した。その他は、実施例2−1と同様で
ある。したがって、この実施例2−3のサンプルS2−3は、反射防止層3に含まれる二
酸化ケイ素のサブレイヤ31、33および35の内、第3層33のみに窒化処理が行われ
、窒化物を含むパーシャルレイヤ39が形成されている。
(実施例2−4)
実施例2−4においては、ステップ102〜110を行い、反射防止層3に含まれる二
酸化ケイ素のサブレイヤ31および33に対して窒化処理を行った。ただし、ステップ1
04および107の窒化処理は、プラズマ発生装置60の代わりにイオンガン70を用い
た。そのため、イオンガン70に窒素ガス64aと酸素ガス63を7:3の割合で35S
CCMに制御して導入し、イオンを照射した。イオン照射条件は、周波数13.56MH
z、RF450W、加速電圧500V、サプレッサー電圧300Vであり、5分間のイオ
ン照射を行った。処理時の圧力は4×10-3Paであった。その他は、実施例2−1と同
様である。
したがって、この実施例2−4のサンプルS2−4は、反射防止層3の二酸化ケイ素の
サブレイヤ31および33が低屈折率の第1のサブレイヤとして、その表面、すなわち、
基材1とは反対側の面が窒化処理され、窒化物を含むパーシャルレイヤ39が形成されて
いる。さらに、サブレイヤ35が低屈折率の第2のサブレイヤとして、その上に直に防汚
層4が形成されている。
(実施例2−5)
実施例2−5においては、実施例2−1と同様に、ステップ102〜110を行い、反
射防止層3に含まれる二酸化ケイ素のサブレイヤ31および33に対して窒化処理を行っ
た。ただし、ステップ110において防汚層4を形成するための蒸着源59aとして、ダ
イキン工業株式会社製のフッ素含有有機ケイ素化合物(製品名「オプツールDSX」、上
記の一般式(1))を用いた。このため、オプツールDSXを、フッ素系溶剤(ダイキン
工業株式会社製、製品名「デムナムソルベント」)に希釈して固形分濃度3%溶液を調製
し、これを多孔質セラミックス製のペレットに1g含浸させ乾燥させたものを蒸着源59
aとしてチャンバーCH3にセットした。
したがって、この実施例2−5のサンプルS2−5は、反射防止層3の二酸化ケイ素の
サブレイヤ31および33が低屈折率の第1のサブレイヤとして、その表面、すなわち、
基材1とは反対側の面が窒化処理され、窒化物を含むパーシャルレイヤ39が形成されて
いる。さらに、サブレイヤ35が、低屈折率の第2のサブレイヤとして、その上に直に防
汚層4が形成されている。
(実施例2−6)
実施例2−6においては、7層構成の反射防止層を有するレンズを製造した。このため
、第5層の二酸化ケイ素を窒化処理する工程と、第6層を蒸着する工程と、最外層の第7
層として二酸化ケイ素を蒸着する工程とが追加され、ステップ110においては、第7層
の二酸化ケイ素の表面に防汚層4が形成された。さらに、高屈折率のサブレイヤを形成す
る際に、ZrO2の代わりにTiO2を用いて形成した。その他は、実施例2−1と同様で
ある。これらの高屈折率の層を形成する工程において、TiO2蒸着は、イオンアシスト
蒸着により行った。この際のイオン照射条件は、イオンガン70に酸素100%ガスを3
5SCCMに制御して導入し、周波数13.56MHz、RF450W、加速電圧500
V、サプレッサー電圧300Vに調整した。処理時のチャンバー内の圧力は4×10-3
aであった。また、第1層(SiO2)の膜厚は0.08λ、第2層(TiO2)の膜厚は
、0.07λ、第3層(SiO2)の膜厚は0.10λ、第4層(TiO2)の膜厚は、0
.18λ、第5層(SiO2)の膜厚は0.07λ、第6層(TiO2)の膜厚は、0.1
4λ、第7層(SiO2)の膜厚は0.26λに調整した。
したがって、この実施例2−6のサンプルS2−6は、反射防止層3に含まれる二酸化
ケイ素のサブレイヤの内、最表層のサブレイヤを除いた全てに窒化処理が行われ、窒化物
を含むパーシャルレイヤ39が形成されている。
(実施例2−7)
実施例2−7では、低屈折率の第1のサブレイヤに相当する層31および33を窒化処
理するステップ104および107を省き、逆に、低屈折率の第2のサブレイヤに相当す
る層35を窒化した後に、防汚層4を形成する製造方法により、実施例2−1と同じ組成
、すなわち、SiO2の低屈折率のサブレイヤと、ZrO2の高屈折率のサブレイヤからな
る5層構成の反射防止層3と防汚層4とを有するプラスチックレンズ(サンプルS2−7
)を製造した。その他は実施例2−1と同様である。
(実施例2−8)
実施例2−8では、実施例2−6と同じ組成、すなわち、SiO2の低屈折率のサブレ
イヤと、TiO2の高屈折率のサブレイヤからなる7層構成の反射防止層3を有し、低屈
折率の第2のサブレイヤに相当する、反射防止層3の最上層のサブレイヤのみを窒化処理
して、その上に防汚層4を形成したプラスチックレンズ(サンプルS2−8)を製造した
。その他は実施例2−6と同様である。
(比較例2−1)
比較例2−1では、ステップ104および107を除いて、実施例2−1と同じ組成、
すなわち、SiO2の低屈折率のサブレイヤと、ZrO2の高屈折率のサブレイヤからなる
5層構成の反射防止層3と防汚層4とを有し、窒化処理を行わないプラスチックレンズ(
サンプルSR2−1)を製造した。その他は実施例2−1と同様である。したがって、こ
の比較例2−1のサンプルSR2−1は、反射防止層3に含まれる二酸化ケイ素のサブレ
イヤ31、33および35の全てが窒化処理されていない。
(比較例2−2)
比較例2−2では、実施例2−6と同じ組成、すなわち、SiO2の低屈折率のサブレ
イヤと、TiO2の高屈折率のサブレイヤからなる7層構成の反射防止層3を有し、窒化
処理を行わないプラスチックレンズ(サンプルSR2−2)を製造した。その他は実施例
2−6と同様である。したがって、この比較例2−2のサンプルSR2−2は、反射防止
層3に含まれる二酸化ケイ素のサブレイヤの全てが窒化処理されていない。
(評価)
実施例2−1〜2−8および比較例2−1〜2−2により製造されたサンプルS2−1
〜S2−8、SR2−1〜SR2−2の耐擦傷性と、防汚層4の耐久性とを次の方法で評
価し、その結果を図8(a)および(b)に纏めて示している。
耐擦傷性を評価するために、各サンプルS2−1〜S2−8、SR2−1〜SR2−2
の反射防止層3の最外面を、スチールウール(#0000)を冶具に巻きつけ、2kgの
荷重を加えて50回往復させた。それにより発生したキズの度合いを、標準サンプルと比
較してA、B、C、Dの4段階で耐擦傷性を評価した。ここで、Aが最良であり、以下、
B、C、Dと悪化する。
防汚層4の耐久性を評価するために、木綿布を用い、レンズの凸面を200gの荷重を
かけながら5000回往復させる加速処理を行った。その加速処理の前後の防汚性能を、
接触角と油性インクの拭取性によって評価した。接触角の測定には接触角計(協和科学株
式会社製、型番「CA−D型」)を使用し、液滴法による純水の接触角を測定した。油性
インクの拭取性は、レンズの凸面に、黒色油性マーカー(ゼブラ株式会社製、商品名「ハ
イマッキーケア」)により約4cmの直線を引き、5分間放置した。放置後、該マーク部
をワイプ紙(株式会社クレシア製、商品名「ケイドライ」)によって拭き取りを行い、そ
の拭き取りやすさを下記の基準にて判定した。
○:10回以下の拭き取りで完全に除去できる。
△:11回〜20回の拭き取りで完全に除去できる。
×:20回の拭き取り後も除去されない部分が残る。
二酸化ケイ素のサブレイヤのいずれかに窒化処理を行った実施例2−1〜2−8のサン
プルS2−1〜S2−8は、耐擦傷性試験の評価は良好(A)または可(B)である。そ
れに対して、窒化処理を行わなかった比較例2−1および比較例2−2のサンプルSR2
−1およびSR2−2は、耐擦傷性試験の結果は不良(D)であった。この結果、二酸化
ケイ素のサブレイヤの少なくともいずれかを窒化処理することにより、耐擦傷性を改善で
きることが分かる。なお、1層のみに窒化処理を行った実施例2−2および2−3のサン
プルでは、耐擦傷性のレベルが、最表層を除く全ての二酸化ケイ素のサブレイヤを窒化処
理した例のサンプルよりも評価が低いBになっているが、十分に許容できる範囲内である
防汚層の耐久性については、反射防止層3の最上層の低屈折率の層を窒化処理していな
い実施例2−1〜2−6のサンプルS2−1〜S2−6、および比較例2−1および2−
2のサンプルSR2−1およびSR2−2は、加速処理の前後において拭き取り性能は変
わらず、十分な耐久性を備えていた。これらに対し、反射防止層3の最上層の低屈折率の
層を窒化処理した実施例2−7および2−8のサンプルS2−7およびS2−8では、加
速処理の前の拭き取り性能は十分であったのに対し、加速処理の後の拭き取り性能は低下
している。したがって、反射防止層3の最上層35の低屈折率の層を窒化処理しないこと
により、防汚層4の耐久性を大幅に向上できることが分かる。
総合的に評価すると、製品としては、実施例のサンプルS2−1〜S2−8は全て◎(
優)または○(良)であり、比較例のサンプルSR2−1〜SR2−2は全て×(不可)
であった。この結果、二酸化ケイ素のサブレイヤの少なくともいずれかを窒化処理するこ
とにより、耐擦傷性を改善できることが分かる。加えて、反射防止層3の最上層の低屈折
率の層を窒化処理しないことにより、拭き取り性能も改善できることがわかる。
なお、上記の第2の実施形態(実施例)は、ハードコート層を備えたプラスチック眼鏡
レンズに反射防止層および防汚層を形成した光学物品であるが、ガラス製の基材の場合は
、ハードコート層を介さずに反射防止層を形成する場合もある。また、光学物品は、眼鏡
レンズに限定されず、画像表示装置の光学系の素子、プリズム、光ファイバー、情報記録
媒体用の素子、フィルタなどの光学製品を含み、これらにも上記の実施形態において開示
した製造方法を適用可能である。
(第3の実施形態)
第3の実施形態において説明される発明の1つ(第1の発明)は、光学基板上に一層以
上の薄膜を有する光学物品の製造方法であって、前記薄膜の内、最表層を形成する薄膜が
低屈折率の薄膜であり、前記低屈折率の薄膜表面を窒化処理することを特徴とする。
上記第1の発明によれば、光学基板上に形成された最表面の低屈折率の薄膜の表面を窒
化処理することによって、薄膜の耐久性、特に耐擦傷性を向上させることができる。
第3の実施形態において説明される発明の他の1つ(第2の発明)は、上記第1の発明
において、前記低屈折率の薄膜を真空蒸着により形成後、前記窒化処理を行い、前記窒化
処理が、前記真空蒸着を行う真空チャンバー内に窒素を含むガスを導入し、プラズマ処理
またはイオンガン処理を行うことを特徴とする。
上記第2の発明によれば、光学基板上に低屈折率の薄膜を形成後、窒素を含むガスを真
空チャンバー内に導入し、プラズマ処理またはイオンガン処理することによって前記低屈
折率薄膜の表面を窒化することができる。これによって、薄膜の耐久性、特に耐擦傷性を
向上させることができる。
第3の実施形態において説明される発明のさらに他の1つ(第3の発明)は、上記第1
の発明または上記第2の発明において、前記低屈折率の薄膜が二酸化ケイ素を主成分とし
て形成されていることを特徴とする。
上記第3の発明によれば、二酸化ケイ素を主成分とした低屈折率の薄膜を窒化処理する
ことによって、光学物品の耐久性、特に耐擦傷性を向上させることができる。
第3の実施形態において説明される発明のさらに他の1つ(第4の発明)は、光学基板
上に一層以上の薄膜を有する光学物品であって、前記薄膜の内、最表層を形成する薄膜が
低屈折率の薄膜であり、前記低屈折率の薄膜が、前記光学基板側とは反対側面に、窒素を
含むパーシャルレイヤを備えていることを特徴とする。ここで、本願で述べるパーシャル
レイヤとは、低屈折率薄膜の表層部分を示す。本発明は、この表層部分を窒化処理したも
のである。
上記第4の発明によれば、最表面の低屈折率の薄膜の表面に窒素を含むパーシャルレイ
ヤが形成されているために、光学物品の耐久性、特に耐擦傷性を向上させることができる
第3の実施形態において説明される発明のさらに他の1つ(第5の発明)は、上記第4
の発明において、前記低屈折率の薄膜が二酸化ケイ素を主成分として形成されていること
を特徴とする。
上記第5の発明によれば、二酸化ケイ素を主成分とした薄膜を窒化処理することによっ
て、光学物品の耐久性、特に耐擦傷性を向上させることができる。
第3の実施形態では、二酸化ケイ素などからなる低屈折率の薄膜を窒化処理する、すな
わち、低屈折率の薄膜の表面全体を、または部分的に、窒化して、窒素を含むパーシャル
レイヤを形成し、擦傷されやすい表面の耐擦傷性を改善できる。その場合、パーシャルレ
イヤは、Sistu(s、uは正の整数、tは0以上の整数)を含むものである。
また、上述した製造方法においては、真空チャンバー内に窒素を含むガスを導入し、プ
ラズマ処理またはイオンガン処理を行うことにより、二酸化ケイ素などの低屈折率の薄膜
の表面を、部分的に、あるいは全体的に窒化できる。このため、窒化された層を導入する
ための厳密な膜厚管理は不用であり、イオン電流を制御したり、時間管理を精度良く行わ
なくても、容易に窒化膜の要素を導入でき、それによる耐擦傷性の向上を図ることができ
る。特にプラズマ処理では、イオン源も不用であり、真空蒸着用の装置あるいは蒸着過程
の中で簡単に、窒化ケイ素の要素を導入できる。
前記の二酸化ケイ素などからなる低屈折率の薄膜は、各種の機能性薄膜、例えば反射防
止膜の一部を形成することが可能である。二酸化ケイ素の場合、形成されたパーシャルレ
イヤにはSiO2とSistu(s、uは正の整数、tは0以上の整数)が混在している
状態であるため、パーシャルレイヤの屈折率は、1.45〜2.05の範囲となるが、そ
の厚みおよび/または面積は限定的であるため、反射防止膜としての膜設計に与える影響
は極めて少ない。
また、機能性薄膜の最上層に防汚膜を形成しても良い。この場合、低屈折率の薄膜の窒
素を含むパーシャルレイヤ上に更に低屈折率の薄膜を形成するのが好ましい。こうするこ
とにより、防汚層が積層される最上層の酸化ケイ素は窒化しないことにより、防汚機能の
耐久性を保ちつつ、耐擦傷性を向上することが可能となる。
防汚層を形成する組成の好適なものは含フッ素シラン化合物である。防汚層に適した含
フッ素シラン化合物の一例は、上記一般式(1)で表されるものである。
防汚層に適した含フッ素シラン化合物の他の例は、上記一般式(2)で表されるもので
ある。
図9に、支持装置80に搭載された基板(ワーク)40の表面に真空蒸着により各種の
機能性薄膜を形成する成膜装置50の概略構成を示してある。支持装置80は、図1に示
したものと同様である。成膜装置50は、支持装置80が内部を通過可能な3つのチャン
バーCH1、CH2およびCH3を備えている。各々のチャンバーCH1〜CH3は相互
に密封できるようになっている。各チャンバーCH1〜CH3の内圧は、真空生成装置5
2、53および54によりそれぞれ制御される。チャンバーCH1は、エントランスまた
はゲートチャンバーである。チャンバーCH2は、各種の機能性薄膜を成膜する第2のチ
ャンバーである。さらに、チャンバーCH2は、チャンバー内の雰囲気を制御するマスフ
ローコントローラ66が接続されている。このマスフローコントローラ66には、酸素ガ
ス63とアルゴンガス64bと窒素ガス(図示せず)の供給源が接続されており、チャン
バーCH2内の雰囲気をそれらのガス100%または適当な比率となるように制御できる
チャンバーCH3は、含フッ素シラン化合物を蒸着することにより防汚層を形成するた
めのチャンバーである。このため、チャンバー内部には、含フッ素シラン化合物が含浸さ
れた防汚層蒸着源59bと、加熱ヒータ(ハロゲンランプ)68と、開度を調整すること
により含フッ素シラン化合物の放出量を制御するための補正板67とが設置されている。
チャンバーCH3は、ロータリーポンプ54a、ルーツポンプ54bおよびターボ分子ポ
ンプ54cを備えた真空生成装置54により適当な圧力に保持される。チャンバーCH3
から支持装置80ごと取り出されたワーク基板40は、防汚層が形成されている場合は、
恒温恒湿槽(不図示)に投入され適当な湿度と温度の雰囲気でアニールされる。さらに、
所定時間室内放置することによってエージングが行われる。チャンバーCH3で防汚層を
形成しなかった場合は、前記のアニールとエージングは不要である。他の構成および作用
は、第1の実施形態の成膜装置50と同様であるため、重複する説明は、図面に同符号を
付して省略する。
図10に、この成膜装置50において、ワーク基板40に機能性薄膜を形成するプロセ
スの例として、単層の低屈折率薄膜を形成するプロセスをフローチャートで示している。
また、図11に、本例の光学物品10cの膜構成を断面により示している。
光学基板(基材)1がプラスチック製の場合、ステップ151において、低屈折率の薄
膜30に先立って、光学基板1の上にハードコート層2を形成する。このハードコート層
2は、上記の実施形態と同様のものを同様に成膜できる。
ハードコート層2が形成された基板1が、ワーク基板40として支持装置80にセット
され、成膜装置50に搬入される。成膜装置50では、まず、支持装置80がチャンバー
CH1に導入され、脱ガスされ、さらに、支持装置80がチャンバーCH2に移動され、
ステップ152において、プラズマ処理される。これは、基板1上のハードコート層2と
低屈折率の薄膜30の密着性を向上させるために、表面を清浄化することを目的としてい
る。
ステップ153において、低屈折率の薄膜として二酸化ケイ素の薄膜を形成後、ステッ
プ154において、プラズマ処理もしくはイオンガン処理によって表面を窒化する。これ
により、二酸化ケイ素の薄膜30の表面(基板1と反対側の面)に、その表面の全部また
は一部を覆う、窒化物を含むパーシャルレイヤ39が形成される。すなわち、二酸化ケイ
素の薄膜30は、窒化処理された部分を含む層(表面窒化処理層)となる。この際の導入
ガスは、窒素を含んだ任意の組成のガスを用いる。例として、窒素100%、窒素と酸素
の混合ガス、窒素とアルゴンの混合ガス、窒素と酸素とアルゴンの混合ガスなどが挙げら
れる。
これにより、光学物品の一方の面に機能性薄膜が形成されるので、ステップ155で基
板40を反転して支持装置80にセットし、ステップ152から154を繰り返す。基板
40の両面に機能性薄膜が形成されると、ステップ156において基板40を取り出す。
(実施例3−1)
以下では、図10に示した製造方法により、プラスチック眼鏡レンズを光学物品として
製造する幾つかの例を説明する。以下の各実施例および比較例では、光学基材1として、
眼鏡用プラスチックレンズ基材(セイコーエプソン株式会社製、商品名「セイコースーパ
ーソブリン」)を使用し、その両面にステップ151によりハードコート層2が形成され
たワーク基板40を用い、その上に低屈折率の薄膜として二酸化ケイ素の薄膜30を形成
する。
ワーク基材40は、凹面を下にして、支持装置80のドーム81にセットされ、成膜装
置50に搬入される。チャンバーCH1で脱ガスした後、チャンバーCH2において、ス
テップ152として、アルゴン100%ガスを導入し、圧力を4.0×10-2Paに制御
しつつ、高周波プラズマ発生装置でプラズマを発生させて処理する。プラズマ発生条件は
、13.56MHz、400Wであり、1分間のプラズマ処理を行った。これは、基板1
と低屈折率の薄膜30の密着性を向上させるために、基板表面を清浄化することを目的と
している。
引き続き、ステップ153を行い、二酸化ケイ素の薄膜30を蒸着した。膜厚は、硬質
膜・反射防止膜として良好な性能を示す90nmとした。
ステップ154の窒化処理においては、プラズマ発生装置60を用いた。そのため、二
酸化ケイ素の薄膜を蒸着終了後、チャンバーCH2内に窒素ガスと酸素ガスを7:3の割
合で導入し、圧力を4.0×10-2Paに制御しつつ、高周波プラズマ発生装置でプラズ
マを発生させた。プラズマ発生条件は、13.56MHz、600Wで、5分間のプラズ
マ処理を行った。これにより、二酸化ケイ素の薄膜30の表面に、窒化物を含むパーシャ
ルレイヤ39が形成される。
その後、チャンバーCH3に移動した支持装置80をチャンバーから取り出し、レンズ
を反転して凸面を下にして支持装置80のドーム81にセットし、再び上記と同様の処理
を行った。(サンプルS3−1)
(実施例3−2)
実施例3−2においては、実施例3−1の窒化処理後、再び二酸化ケイ素の薄膜を蒸着
した。これは、防汚層の下地層(準備層)であって、窒化された二酸化ケイ素の薄膜30
の上に、防汚層を形成する際に有効である。窒化処理後に形成する二酸化ケイ素(下地層
)の膜厚は、最低(少なくとも)5nmあれば、防汚層は、良好な耐久性を示す。
その後、チャンバーCH3に支持装置80を移動し、防汚層を形成した。蒸着源59b
として、信越化学工業株式会社製のフッ素含有有機ケイ素化合物(製品名「KY−130
」、上記の一般式(2))を用いた。このKY−130を、フッ素系溶剤(住友スリーエ
ム株式会社製、製品名「ノベックHFE−7200」)に希釈して固形分濃度3%溶液を
調製し、これを多孔質セラミックス製のペレットに1g含浸させ乾燥させたものを蒸着源
59bとしてチャンバーCH3にセットした。成膜中は、ハロゲンランプを加熱ヒータ6
8として使用し、蒸着源59bのペレットを600℃に加熱して、フッ素含有有機ケイ素
化合物を蒸発させた。蒸着時間は3分である。
その後、チャンバーCH3の支持装置80をチャンバーから取り出し、レンズを反転し
て凸面を下にして支持装置80のドーム81にセットし、再び上記と同様の処理を行った
。(サンプルS3−2)
(比較例3−1)
比較例3−1では、実施例3−1において、窒化処理を行わないプラスチックレンズ(
サンプルSR3−1)を製造した。
(比較例3−2)
比較例3−2では、実施例3−2において、窒化処理を行わないプラスチックレンズ(
サンプルSR3−2)を製造した。
(評価)
実施例3−1,3−2および比較例3−1,3−2により製造されたサンプルS3−1
,S3−2、SR3−1,SR3−2の耐擦傷性を次の方法で評価し、その結果を図12
に纏めて示している。
耐擦傷性を評価するために、各サンプルS3−1,S3−2、SR3−1,SR3−2
の最外面を、スチールウール(#0000)を冶具に巻きつけ、2kgの荷重を加えて5
0回往復させた。それにより発生したキズの度合いを、標準サンプルと比較してA、B、
C、Dの4段階で評価した。ここで、Aが最良であり、以下、B、C、Dと悪化する。
二酸化ケイ素に窒化処理を行った実施例3−1,3−2のサンプルS3−1,S3−2
は、耐擦傷性試験の評価は良好(A)である。それに対して、窒化処理を行わなかった比
較例3−1および比較例3−2のサンプルSR3−1およびSR3−2は、耐擦傷性試験
の結果は不良(D)であった。この結果、二酸化ケイ素の薄膜を窒化処理することにより
、耐擦傷性を改善できることが分かる。
総合的に判断すると、製品としては、実施例のサンプルS3−1およびS3−2は全て
◎(優)であり、比較例のサンプルSR3−1およびSR3−2は全て×(不可)であっ
た。
なお、上記の第3の実施形態(実施例)は、ハードコート層を備えたプラスチック眼鏡
レンズに機能性薄膜を形成した光学物品であるが、ガラス製の基材の場合は、ハードコー
ト層を介さずに反射防止層を形成する場合もある。本例は、最表層に表面が窒化処理され
た二酸化ケイ素の薄膜を設ける構成であるが、さらに当該層上に反射防止機能を有する多
層薄膜を形成した場合にも、本例と同様の効果が得られる。また、光学物品は、眼鏡レン
ズに限定されず、画像表示装置の光学系の素子、プリズム、光ファイバー、情報記録媒体
用の素子、フィルタなどの光学製品を含み、これらにも上記の実施形態において開示した
製造方法を適用可能である。
反射防止層を成膜する装置の概略構成を示す図。 第1の実施形態にかかるレンズの製造方法の概略を示すフローチャート。 反射防止層の概略構成を拡大して示す断面図。 第1の実施形態において、実施例および比較例で得られたレンズの評価結果を纏めた図。 反射防止層および防汚層を成膜する装置の概略構成を示す図。 第2の実施形態にかかるレンズの製造方法の概略を示すフローチャート。 反射防止層および防汚層の概略構成を拡大して示す断面図。 (a)および(b)は、第2の実施形態において、実施例および比較例で得られたレンズの評価結果を纏めた図。 機能性薄膜および防汚層を成膜する装置の概略構成を示す図。 第3の実施形態にかかるレンズの製造方法の概略を示すフローチャート。 機能性薄膜の概略構成を拡大して示す断面図。 第3の実施形態において、実施例および比較例で得られたレンズの評価結果を纏めた図。
符号の説明
1 光学基板(プラスチックレンズ)、2 ハードコート層
3 反射防止層(機能層)、4 防汚層
10a、10b、10c 光学物品、30 薄膜
31〜34 サブレイヤ、35 最上層(最外層、サブレイヤ)
39 パーシャルレイヤ、40 ワーク基板(基材)
50 成膜装置、52、53、54 真空生成装置、55 AR蒸着源
60 プラズマ発生装置(RFコイル)、70 イオンガン
80 支持装置、81 ドーム

Claims (2)

  1. 光学基板の上に直にまたは少なくとも1つの他の層を挟んで真空蒸着によって形成された反射防止層と、
    前記反射防止層の上に直に形成された防汚層とを有し、
    前記反射防止層は、SiOxを主成分とする低屈折率の複数の層と、前記低屈折率の複数の層の間に挟まれ、ZrO 2 またはTiO 2 からなる高屈折率の少なくとも1つの層とを含み、前記低屈折率の複数の層の1つは、当該反射防止層の最表層であり、前記低屈折率の複数の層の他の少なくとも1つは、窒化処理された部分を含む層である、光学物品。
  2. 請求項1において、前記窒化処理された部分は、SisOtNu(s>0、t≧0、u>0)である、光学物品。
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