JP4910619B2 - メガネレンズの製造方法 - Google Patents

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本発明は、低屈折率層と高屈折率層からなる反射防止層を有するメガネレンズの製造方法に関する。
一般に、メガネレンズなどの光学物品の表面には、傷防止のためのハードコート層や、ゴースト及びちらつきを防止するための反射防止層、そして撥水効果を付与するための防汚層などが形成されている。
反射防止層はハードコート層表面に異なる屈折率を持つ物質を交互に積層してなるいわゆる多層反射防止層として形成される。このような多層反射防止層を構成する物質としては、低屈折率層に主に二酸化ケイ素が用いられ、高屈折率層にZrO(酸化ジルコニウム)、Ta(酸化タンタル)、TiO(酸化チタン)、Nb(酸化ニオブ)等が用いられていた。これらの組み合わせにより形成された光学物品の耐擦傷性は、使用者の乱暴な取り扱いや不注意などにより、必ずしも最表面の傷を防げることはなかった。
そこで、低屈折率層に酸化ケイ素、高屈折率層に窒化ケイ素を持つ構造とすることによって、耐擦傷性をさらに高めることができる技術が開発された。例えば、特許文献1には低屈折率層に二酸化ケイ素、高屈折率層に四窒化三ケイ素を用いた反射防止層を製造する技術が開示されている。
特開平11−242102号公報
しかしながら、特許文献1で用いた四窒化三ケイ素は、二酸化ケイ素の約10倍の高いガスバリア性を持っているため、製造工程から使用時にいたるまでの長時間にわたってプラスチック基材から発生する水分を食い止めてしまう。その結果、基材が膨潤してムクミ(膜浮き)が発生し、プラスチックレンズの耐久性を低下させてしまうという問題があった。
したがって、本発明の目的は、プラスチック基材から発生する水分を外部に逃がすことによって、ムクミの発生しない、かつ、耐擦傷性に優れたメガネレンズの製造方法を提供することである。
本発明のメガネレンズの製造方法は、ハードコート層を有するプラスチック基材表面に、第1膜と第2膜とが交互に積層してなり最外層が第1層である反射防止層が設けられ、前記第1膜が二酸化ケイ素膜であり、前記第2膜が窒化ケイ素膜であるメガネレンズを製造する方法であって、前記第1膜と前記第2膜とが、それぞれ希ガスを導入して行われるスパッタリングによって形成され、前記第1膜の形成時の希ガスの圧力が2〜5Pa、前記第2膜形成時の希ガスの圧力が、前記第1膜の形成時よりも大きく、かつ、5〜10Paとして、前記第2膜を形成する工程で、前記第2膜をポーラス化したことを特徴とする。
ここで、ポーラス化とは、多孔質化することである。窒化ケイ素膜を多孔質にすると、プラスチック基材から発生した水分は、形成された孔をつたって窒化ケイ素膜の外部に放出される。
したがって、ムクミが発生せず、耐久性に優れたプラスチック製メガネレンズを提供することができる。
また、二酸化ケイ素からなる低屈折率層と、窒化ケイ素からなる高屈折率層とが交互に積層されているので、耐擦傷性にも優れている。
その上、この発明によれば、反射防止層の第1膜および第2膜はスパッタリングにより形成される。スパッタリングでは通常、希ガスを導入して行われるが、窒化ケイ素膜からなる第2膜を形成する時には、通常よりも大きい圧力で希ガスを導入する。
その結果、窒化ケイ素膜を形成するとともに、希ガスが窒化ケイ素膜に取り込まれ、多数の孔が形成される。すなわち、窒化ケイ素膜がポーラス化(多孔質化)される。
したがって、プラスチック基材から発生した水分は、これらの孔をつたって外部に放出されるので、ムクミの発生しない耐久性に優れたプラスチック製メガネレンズが得られる。
しかも、この発明によれば、スパッタリング工程において、第1膜である酸化ケイ素膜は、希ガスの導入圧を通常の2〜5Paで積層する。一方、第2膜である窒化ケイ素膜は、第1膜の形成時よりも大きく、かつ、5〜10Paの範囲で積層されるので、窒化ケイ素膜に多数の孔が形成され、ポーラス化(多孔質化)することができる。
5Pa未満の場合は、窒化ケイ素膜に導入される希ガスが不足し、水分が通過できる程度の孔が形成されない。一方、10Paを越えると、窒化ケイ素膜に多数の孔ができすぎて、高屈折率層としての機能を果たさなくなってしまう。
本発明のメガネレンズの製造方法において、前記ポーラス化は、窒化ケイ素膜をエッチングすることにより行われることが好ましい。
この発明によれば、第2膜である窒化ケイ素膜を形成した後に、窒化ケイ素膜を腐食させて、窒化ケイ素膜に多数の孔を形成し、ポーラス化(多孔質化)する。したがって、プラスチック基材から発生した水分は、エッチングにより形成された多数の孔を通って外部に排出されるので、ムクミは発生しない。
本発明のメガネレンズの製造方法において、ハードコート層の直上が反射防止層の第1膜であることが好ましい。
この発明によれば、ハードコート層に接する面に第1膜である酸化ケイ素膜が積層されているので、ハードコート層に対する反射防止層の密着性が優れ、耐擦傷性も向上する。なお、ハードコート層に接する面に第2膜である窒化ケイ素膜を積層した場合には、密着性に問題があり、ムクミの原因ともなり得る。
本発明のメガネレンズの製造方法において、反射防止層の最上層が第1膜であることが好ましい。
この発明によれば、反射防止層の最上層に第1膜である酸化ケイ素膜が積層されるので、耐擦傷性に優れる。
また、反射防止層の表面に防汚層などを積層する場合に、防汚層の反射防止層への密着性が優れ、耐久性に優れた光学物品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のメガネレンズの断面図である。
[第一実施形態]
(1.メガネレンズ1の構成)
メガネレンズ1は、レンズ基材10の表面に、ハードコート層11、反射防止層12、防汚層13が順に積層される。
反射防止層12は、低屈折率層である第1膜121と、高屈折率層である第2膜122とが交互に積層され、ハードコート層11側から順に第1膜121、第2膜122、第3膜123、第4膜124、第5膜125からなる5層で構成されている。第3膜123および第5膜125は、第1膜121と同じ低屈折率層であり、第4膜124は、第2膜122と同じ高屈折率層である。
(2.レンズ基材)
レンズ基材10は、屈折力、機械的強度、透過率など、メガネまたは光学物品における基本特性を維持するための機能を有する。
レンズ基材10は特に限定されないが、(メタ)アクリル樹脂をはじめとしてスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明なプラスチック樹脂等を例示することができる。
(3.ハードコート層)
ハードコート層11としては、本来の機能である耐擦傷性を向上するものであればよい。例えば、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等を用いたハードコート膜が挙げられるが、シリコーン系樹脂を用いたハードコート膜が最も好ましい。例えば、金属酸化物微粒子、シラン化合物からなるコーティング組成物を塗布し硬化させてハードコート膜を形成することができる。このコーティング組成物にはコロイダルシリカ、および多官能性エポキシ化合物等の成分を含んでいてもよい。
さらにハードコート層11は、従来公知の各種添加剤を含むことができる。例えば、塗布性の向上を目的とした各種レベリング剤、耐候性の向上を目的とした紫外線吸収剤や酸化防止剤、さらに染料や顔料等の添加剤などが挙げられる。
このようなハードコート層11を形成する方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法により、ハードコート層11を構成する組成物を塗布し、その後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥する方法が例示できる。
(4.反射防止層)
(4−1.反射防止層の構成)
次に、反射防止層12について説明する。
反射防止層12は、反射防止、フィルタリング等の光学機能のほか、耐擦傷性機能も有する。なお、反射防止層12は、可視光領域(380nm〜700nm)で反射率が3%以下の機能を有する。
反射防止層12は、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層され、第1膜121と第2膜122と第3膜123と第4膜124と第5膜125とからなる5層で形成される。
第1膜121、第3膜123、第5膜125は二酸化ケイ素(SiO)からなる低屈折率層であり、第2膜122および第4膜124は四窒化三ケイ素(Si)からなる高屈折率層となっている。
(4−2.反射防止層12の形成)
反射防止層12は、スパッタリングにより積層される。図2は、メガネレンズ1を製造するためのスパッタリング装置2を模式的に示した図である。
このスパッタリング装置2により、ハードコート層11が積層されたレンズ基材10の表面に、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層され、反射防止層12を形成する。
以下、スパッタリング装置2の構成と、このスパッタリング装置2を用いた反射防止層12の形成方法とについて詳述する。
スパッタリング装置2は、ケーシング2Aを備え、このケーシング2Aの内部に基材保持台22が配置されている。基材保持台22にはメガネレンズ1がセットされる。また、基材保持台22と対向するようにターゲット設置台25が設けられ、ターゲット設置台25には、メガネレンズ1の表面と対向するようにターゲット26が設置されている。ターゲット26は、メガネレンズ1の表面に積層する物質で形成される。
また、図示しない真空排気装置(ターボ分子ポンプ、メカニカルブースターポンプ、ドライポンプ等)で排気できるようになっており、APC(自動圧力制御装置)によってスパッタリング装置2内の圧力は一定に保たれる。
基材保持台22とターゲット26の間には高周波電圧が印可する電源装置27が設けられており、このスパッタリング装置2が作動すると、スパッタリング装置2内でイオン化された希ガスがターゲット26に衝突し、はじき飛ばされたターゲット物質がメガネレンズ1の表面に成膜される。
次に、反射防止層12を形成する方法について説明する。
ハードコート層11が積層されたメガネレンズ1を基材保持台22に載せ、基材保持台22を蒸着装置2内に設置し、真空排気した後、約80℃に加熱する。
ターゲット26には、まず、SiOからなるターゲットを使用する。希ガスとして、Arを2〜5Paの圧力で導入する。これは、通常実施されるものと同じ圧力である。基材保持台22とターゲット26に高周波電圧を印加してスパッタリング装置2内にプラズマを発生させると、メガネレンズ1上にSiOからなる第1膜121を形成することができる。
次に、ターゲット26を、SiOからなるターゲットからSiからなるターゲットに代え、第1膜121形成時よりも大きいアルゴン導入圧力で第2膜122を形成する。この場合の具体的なアルゴン導入圧力は5〜10Paである。
これらを繰り返し、SiOからなる第3膜123、Siからなる第4膜124、さらにSiOからなる第5膜125を形成し、反射防止層12を形成することができる
(5.防汚層)
反射防止層12の表面には、防汚層13が形成される。
防汚層13は、メガネレンズを使用するに際し、レンズ面に手垢、汗、化粧料等による汚れが付着し難く、しかも汚れを拭き取りやすくするために、防汚性能(撥水撥油性能)を付与する。
防汚層13は、フッ素系のフルオロアルキシシラン等を用いて形成することができる。また、塗布方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法などの公知の方法が使用可能である。
以上説明した第一実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)反射防止層12の第2膜122である窒化ケイ素膜は、第1膜121形成時の通常の圧力よりも大きい圧力(5〜10Pa)でアルゴンを導入して形成されるので、窒化ケイ素膜中に多数の孔が形成(ポーラス化)される。したがって、レンズ基材10から発生した水分は、これらの孔をつたって外部に放出されるため、ムクミが発生しない。したがって、耐久性に優れたメガネレンズを得ることができる。
(2)また、反射防止層12は、酸化ケイ素からなる低屈折率層(第1膜121)と窒化ケイ素からなる高屈折率層(第2膜122)を交互に積層して形成されるので、耐擦傷性に優れたメガネレンズを得ることができる。
(3)第一実施形態では、アルゴンの導入圧を変えるだけで第2膜122および第4膜124の窒化ケイ素膜をポーラス化できるので、特別な設備や工程を必要とせず、コストや手間がかからずに製造できる。
(4)反射防止層12の最下層および最上層は、SiOで形成されているので、反射防止層12と接するハードコート層11および防汚層13との密着性がより高くなり、優れた耐久性を付与することができる。
[第二実施形態]
第二実施形態は、反射防止膜12の第2膜122および第4膜124の窒化ケイ素(Si)膜をポーラス化する方法が異なる以外は第一実施形態と同様である。
第二実施形態では、エッチングによりポーラス化を行う。エッチングは、第一実施形態において、Si層が形成された後、すなわち、第2膜122および第4膜124の形成後に行われる。
例えば、レンズの一方の面にSiOからなる第1膜121およびSiからなる第2膜122を形成した後、レンズを反転して他方の面の第1膜121および第2膜122も形成する。
そして、Siからなる第2膜122に対してエッチングを行う。エッチングに用いられる組成物は、組成比がHF:NHF:HO=1:2:2からなる緩衝フッ酸(BHF)や、組成比がHPO:HNO:HO=4:1:1からなるリン硝酸などが挙げられる。
エッチングの所要時間は、あらかじめSiのエッチングレートを測定しておき、所定の膜厚となるように時間を調整する。
エッチング後、洗浄および乾燥を行い、再びスパッタリング法によって第3膜123のSiO層および第4膜124のSi層を形成する。他方の面も同様に行う。
第4膜124のSi3 4層の形成後に、第2膜122形成後に行ったエッチングと同様の手順でエッチングを行う。
最後に第5膜125のSiO層を形成して反射防止層12とすることができる。
以上説明した第二実施形態によれば、第一実施形態の(1)(2)(4)および以下の作用効果を奏することができる。
(5)高屈折率層である窒化ケイ素膜に対して、エッチングを行うことによりポーラス化するので、エッチングの所要時間を変えるだけで、ポーラス化の度合いを調整できる。したがって、高屈折率層としての機能と、水分を透過させる機能とを備えた窒化ケイ素膜を正確に形成することができる。
なお、本発明は第一実施形態および第二実施形態に限定されるものではなく、
例えば、本実施形態では、ハードコート層11は単層となっているが、プライマー層を含む多層構造であってもよい。プライマー層は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂などで形成され、レンズ基材10とハードコート層11との密着性をより高めることができる。また、熱的な影響でレンズ基材10が膨張する変形を緩和して上層の反射防止層12のクラック発生を防止して耐熱性を向上させることができる。さらには、耐衝撃性を向上させることもできる。
また、本実施形態では、反射防止層12を第1膜から第5膜までの5層構成としたが、反射防止層12の最下層と最上層がSiO(酸化ケイ素)膜で形成されていればよいので、7層構成とすることもできる。また、第3層以降をSiO、Si以外の材料から形成してもよく、さらには、第1層と第2層との間にSiO、Si以外の材料からなる中間層を設けてもよい。
以下の実施例および比較例に示される方法でメガネレンズを作製し、耐擦傷性試験および恒温恒室試験を行った。
[実施例1]
第一実施形態に記載の方法でメガネレンズを作製した。
プラスチック製光学物品として、プラスチック製メガネレンズ(セイコーエプソン(株)製、商品名:セイコースーパーソブリン(SSV))の表面に、ハードコート層が積層されたものを準備し、スパッタリング法により反射防止層の形成を行った。
低屈折率層には二酸化ケイ素(SiO)を用い、希ガスとしてアルゴンを使用した。このときのアルゴン導入圧は、通常の2〜5Paで行った。
一方、高屈折率層には四窒化三ケイ素膜(Si)を用い、アルゴン導入圧を5〜10Paで行った。
レンズ基材側から順に、第1層は2.05λ(物理膜厚175nm)の光学膜厚を持つSiO層、第2層は、0.51λ(物理膜厚31nm)の光学膜厚を持つSiON層、第3層は0.25λ(物理膜厚21nm)の光学膜厚を持つSiO層、第4層は、1.03λ(物理膜厚64nm)の光学膜厚を持つSiON層、第5層は1.00λ(物理膜厚86nm)の光学膜厚を持つSiO層を順次積層した。
反射防止層の表面には、防汚層または撥水層として、フッ素系のフルオロアルキシシラン等を積層した。例えば、GE東芝シリコーン株式会社製TSL8233(商品名)、TSL8257(商品名)、ダイキン工業株式会社製オプツールDSX(商品名)等を使用することができる。
[実施例2]
第二実施形態に記載の方法で、メガネレンズを作製した。反射防止層の形成方法以外は、実施例1と同様である。
低屈折率層には二酸化ケイ素(SiO)を用い、希ガスとしてアルゴンを使用した。また、高屈折率層には四窒化三ケイ素(Si)を用いた。低屈折率層、高屈折率層のどちらの場合も、通常のアルゴン導入圧2〜5Paで行った。 四窒化三ケイ素(Si)膜を積層後、四窒化三ケイ素(Si)膜に対してエッチングを行った。エッチングには、容量比が、HF:NHF:HO=1:2:2の緩衝フッ酸(BHF)を用いた。
各層の厚さは実施例1と同様に、レンズ基材側から順に、第1層は2.05λ(物理膜厚175nm)の光学膜厚を持つSiO層、第2層は、0.51λ(物理膜厚31nm)の光学膜厚を持つSiON層、第3層は0.25λ(物理膜厚21nm)の光学膜厚を持つSiO層、第4層は、1.03λ(物理膜厚64nm)の光学膜厚を持つSiON層、第5層は1.00λ(物理膜厚86nm)の光学膜厚を持つSiO層を順次積層した。
[比較例1] 実施例1において、第2膜および第4膜の四窒化三ケイ素(Si)膜を形成するときのアルゴン導入圧を通常の2〜5Paにした以外は、実施例1と同様の方法でメガネレンズを作製した。
実施例1、実施例2および比較例1により得られたメガネレンズを以下の試験により評価した。
(耐擦傷試験)
スチールウール試験を行った。メガネレンズにボンスター#0000スチールウール(日本スチールウール(株)製)で1kgの荷重をかけ、10往復表面を摩擦し、傷ついた程度を目視で観察した。
評価基準は、傷の程度を目視の観察により10段階(1(悪)〜10(良))にランク付けし、以下のように評価した。
◎:段階10〜8で非常に耐擦傷性が高い。
〇:段階7〜6で耐擦傷性が高い。
△:段階5〜4で耐擦傷性は若干低い。
×:段階3〜1で耐擦傷性が低い。
(恒温恒室試験)
この試験により、密着性と外観評価を行った。
密着性の評価は、レンズ凹面と凸面上にカッターで升目大きさ1mmの四角形100個を刻む。それを温度60℃湿度100%の恒温恒室層に置き、7日目に刻んだレンズのクロスカット試験を行った。クロスカット試験は、刻んだ部分にニチバンセロハンテープ幅12mm(JIS Z1522)を密着させ、すばやくテープをはがすことにより、ハガレの面積により評価した。
評価基準はハガレの面積を目視の観察により4段階にランク付けし、以下のように評価した。
◎:残った面積100で非常に密着性が高い。
〇:残った面積99〜85で密着性が高い。
△:段残った面積84〜35で密着性がやや低い。
×:段階34以下で密着性が低い。
外観評価試験は、図3に示すような透過検査法により行った。具体的には、まず反射の少ない黒色の背景(床、壁)Fを持つ検査室内で、照度を200〜250ルクス、試験位置における照度を350〜500ルクスとし、肉眼により明視できる環境とした(JIS T7313〜T7315に準拠)。また、蛍光灯Lは3波長域発光形昼白色タイプを使用した。そして、レンズを上下させ、レンズに残存しているクラックやムクミを観察した後、さらに45〜90度回転して、レンズを上下させ外観を観察した。各々10個のサンプルについて評価を行った(n=10)。
なお、外観評価試験は、図4に示すような反射検査法により行ってもよく、また両者を併用してもよい。図4の反射検査法においては、検査室内の環境は図3の透過検査法と同様であるが、レンズの傾斜角を変えて評価を行う。具体的には、いったんレンズを観察した後、45〜90度回転して再度同様に評価を行う。
評価結果を以下に示す。
Figure 0004910619
実施例1および実施例2は、比較例1と同等のスチールウール試験の結果が得られた。すなわち、実施例1および実施例2が比較例1と同等の高耐擦傷性を持つことを示した。
実施例1、実施例2および比較例1はともにクロスカット試験が良好で、高い密着性の結果が得られた。
外観は比較例1においてムクミの発生がみられた。
したがって、実施例1および実施例2は、高耐擦傷性かつムクミ防止機能をもつ反射防止膜であるといえる。
本発明は、メガネレンズなどのプラスチック製光学物品に使用できる。
本発明の一実施形態にかかるメガネレンズの断面図。 本発明の一実施形態にかかるスパッタリング装置の模式図。 本発明の実施例にかかる外観評価の透過検査法を示す概略図。 本発明の実施例にかかる外観評価の反射検査法を示す概略図。
符号の説明
1…メガネレンズ
11…ハードコート層
12…反射防止層
13…防汚層

Claims (4)

  1. ハードコート層を有するプラスチック基材の表面に、第1膜と第2膜とが交互に積層してなり最外層が第1層である反射防止層が設けられ、前記第1膜が二酸化ケイ素膜であり、前記第2膜が窒化ケイ素膜であるメガネレンズを製造する方法であって、
    前記第1膜と前記第2膜とが、それぞれ希ガスを導入して行われるスパッタリングによって形成され、前記第1膜の形成時の希ガスの圧力が2〜5Pa、前記第2膜形成時の希ガスの圧力が、前記第1膜の形成時よりも大きく、かつ、5〜10Paとして、前記第2膜を形成する工程で、前記第2膜をポーラス化したことを特徴とするメガネレンズの製造方法
  2. 請求項1に記載のメガネレンズの製造方法において、
    前記ポーラス化は、前記第2膜をエッチングすることにより行われることを特徴とするメガネレンズの製造方法
  3. 請求項1又は請求項2に記載のメガネレンズの製造方法において、
    前記ハードコート層の直上が、前記反射防止層の前記第1膜であることを特徴とするメガネレンズの製造方法
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のメガネレンズの製造方法において、
    前記反射防止層の最上層が前記第1膜であることを特徴とするメガネレンズの製造方法
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