JP7399963B2 - ミラーコーティング及び耐摩耗性改善のための多層系を有する光学レンズ - Google Patents

ミラーコーティング及び耐摩耗性改善のための多層系を有する光学レンズ Download PDF

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Description

本発明は、改善された耐摩耗性及び良好な耐熱性を有する多層透明干渉コーティング、典型的にはミラーコーティングでコーティングされた基材を含む光学物品、特には眼用レンズ、及びそのような光学物品の製造方法に関する。
完成品に追加の又は改善された光学的又は機械的特性を付与するために、光学基材の少なくとも1つの主面を複数のコーティングでコーティングすることは当該技術分野における一般的な慣行である。これらのコーティングは、一般的に機能性コーティングと呼ばれている。
複数の機械的及び/又は光学的特性を付与するために使用され得る様々なコーティングは、耐衝撃性コーティング層、耐摩耗性及び/若しくは耐擦り傷性コーティング層、反射防止及び/若しくは反射コーティング層、並びに/又は防汚層及び/若しくは防曇層とすることができる。
環境からの擦り傷を受けやすい光学物品の耐摩耗性を改善するための様々な方法を文献の中で見ることができる。例えば、反射防止コーティングの下方に比較的厚い副層を使用するか、又は特開2003-195003号公報及び特開2003-294906号公報におけるように反射防止コーティングの総厚を増大することが提案されており、この中で、レンズがプライマーコーティング、ハードコート、並びにSiO及びTiOの交互層を含む7層の反射防止コーティングでコーティングされていることが記載されており、後者はイオン支援により堆積されており、且つ、光分解し易いことが知られていることが記載されている。特開2003-294906号公報では、反射防止コーティングの(基材側から数えて)最初の3層の膜厚を制御し、最初の3層に対して計算された、(SiO層の物理的厚さの合計)/(TiO層の物理的な厚さの合計)の高い比率を使用することがアドバイスされている。
米国特許第8982466号明細書は、ハードコートと多層反射防止コーティングとを有し、TiOから作られた高屈折率層が一体となり40nm未満の厚さを有する光学レンズに関する。
欧州特許第2775341号明細書には、ハードコート層と、厚さ360~390nmのSiO副層と、SiO、ZrO、及び/又はTaから作られた4層の干渉コーティングとを有する眼鏡用レンズが開示されており、これらの層は、特定のナノインデンテーション硬度と圧縮応力を有しており、また通常イオン支援蒸着によって堆積されたものである。この堆積技術は圧縮応力を増加させ、その結果層間剥離を引き起こす可能性がある。
特開2002-122820号公報には、物理的厚さが89~178nm(光学厚さ:520nmで0.25~0.5λ)のSiO副層と4層反射防止コーティング(ZrO/SiO/ZrO/SiO)とでコーティングされたハードコートされた基材について記載されている。この文献によれば、様々な材料の層間でコーティングの厚さと応力のバランスをとれることにより、高い臨界温度に到達させることができる。しかしながら、調査された唯一のパラメータは副層の厚さであった。その厚さは、比率(副層を含むSiO層の物理的厚さの合計)/(ZrO層の物理的厚さの合計)が2~3の範囲になるようにする必要がある。高い比率は、反射防止コーティングの耐久性が低下するため望ましくないとされている。
米国特許第7692855号明細書には、低屈折率層/高屈折率層の物理的厚さの比率が通常2.1よりも大きい多層反射防止コーティングでコーティングされた少なくとも1つの主面を有する基材を含む、反射防止特性及び高い耐熱性を有する光学物品が開示されている。
米国特許出願公開第2008/206470号明細書は、副層、副層、及び多層積層体を含む、反射防止特性又は反射特性を有する光学物品を製造するための方法に関する。光学物品の耐摩耗性を高めるために、副層は、堆積工程中に追加のガスを供給しながら真空チャンバー内で堆積されなければならず、また、多層積層体を堆積する前に副層の露出面に対してイオン衝撃処理を行わなければならない。
国際公開第2018/192998号パンフレットでは、光学物品の耐摩耗性を高めるために、干渉コーティングの中の層の厚さを制御すること、すなわち、2以上の、外的な低屈折率層/外的な高屈折率層の物理的厚さの比率を使用することが提案されている。更に、光学物品は、干渉縞を制限するためのインピーダンスコーティングを含み得る。典型的には、この場合、インピーダンスコーティングは、任意選択的にコーティングされている基材上に、この順序で堆積された厚さ4~50nmのSiO層と、副層と接触している厚さ4~15nmのZrO又はTa層とを含む。
本発明の目的は、干渉コーティング、好ましくはレンズ、より好ましくは眼鏡用の眼用レンズを有する有機又は無機ガラス基材を含み、改善された耐摩耗性と、基材への良好な付着性と、熱及び温度変化に対する良好な耐性(すなわち高い臨界温度)とを有する透明な光学物品を提供することであり、これは、既に知られている反射又は反射防止コーティングを有する光学物品の代替となるであろう。これらの特性は、反射防止又は反射性能など、前記物品の光学的性能及び他の機械的性能を低下させずに得られる必要がある。
本発明のもう1つの目的は、上で規定した物品を製造する方法を提供することであり、これは、従来の製造チェーンに容易に組み込むことができ、基材の加熱が回避されるであろう。
本発明者らは、これらの目的が干渉コーティングの厚い副層の下に堆積された層の特定の組み合わせを使用することによって達成できることを見出した。これにより、特に、干渉コーティングの付着特性を低下させることなく、光学物品の耐摩耗性を高めることが可能になる。
従来の干渉コーティングと比較して、本発明の干渉コーティングは、より高い耐摩耗性、より良好な付着性、及び同様の又は改善された臨界温度を有する。
それゆえ、本発明は前面主面と後面主面を有する基板を含み、そのうちの少なくとも一方の主面が:
- (A)1.55より高い屈折率を有し、Ta層を一切含まない第1の高屈折率シート、
- (B)1.55以下の屈折率を有し、前者のシートと直接接触する第2の低屈折率シート、
- (C)1.55より高い屈折率を有し、前者のシートと直接接触する第3の高屈折率シート、
- 60nm以上、好ましくは100nm以上の厚さを有し、前者のシート(C)と直接接触する単層副層、
- 1.55より高い屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層と1.55以下の屈折率を有する少なくとも1つの低屈折率層の積層体を含む多層干渉コーティング、
により連続して被覆され、
- 少なくとも一方の主面上の380nm~780nmの、平均光反射係数Rvは15%以上であるか、又は
- 前記前面主面上の280nm~380nmの平均反射係数RUVをISO 13666:1998規格で定義される関数W(λ)で重み付けしたものは、15°以下の入射角で10%以上であるか、又は
- 少なくとも一方の主面上の780nm~2000nmの太陽光近赤外スペクトルにおける反射率RsNIRをISO 13666:1998規格で定義されている関数Illum(λ)で重み付けしたものは10%以上である
光学レンズに関する。シート(A)、(B)、及び(C)並びに副層から構成される系は、本明細書において、機械的及び付着系として使用され、干渉コーティングは光学系として使用される。
用語「含む(comprise)」(並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などのその文法的変形形態)、「有する(have)」(並びに「有する(has)」及び「有する(having)」などのその文法的変形形態)、「含む(contain)」(並びに「含む(contains)」及び「含む(containing)」などのその文法的変形形態)、並びに「含む(include)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(including)」などのその文法的変形形態)は、オープンエンドの連結動詞である。これらは、述べられる特徴、整数、工程、若しくは構成要素、又はこれらの群の存在を規定するために使用されるが、1つ以上のその他の特徴、整数、工程、若しくは構成要素、又はこれらの群の存在又は追加を排除するものではない。結果として、1つ以上の工程又は要素を「含む(comprises)」、「有する」、「含む(contains)」、又は「含む(includes)」方法又は方法内の工程は、それらの1つ以上の工程又は要素を有するが、それらの1つ以上の工程又は要素のみを有することに限定されない。
別段の指示がない限り、本明細書で使用される成分の量、範囲、反応条件などを指す全ての数字又は表現は、全ての場合において用語「約」によって修飾されているものとして理解される。
光学物品が1つ以上の表面コーティングを含む場合、「光学物品上にコーティング又は層を堆積する」という語句は、コーティング又は層が光学物品の最も外側のコーティング、すなわち空気に最も近いコーティング上に堆積されることを意味する。
レンズの片面の「上」にあるコーティングは、(a)その面の上方に配置されており、(b)その面と接触する必要がなく、すなわち1つ以上の介在するコーティングがその面と対象のコーティングとの間に配置されていてもよく(ただし好ましくはその面と接触している)、(c)その面を完全に被覆している必要はない、コーティングとして定義される。
「コーティング」という用語は、基材と、及び/又は別のコーティング、例えば、ゾル-ゲルコーティング若しくは有機樹脂製のコーティングと接触し得る任意の層、層積層体若しくは膜を意味することが理解される。コーティングは、湿式プロセス、ガス状プロセス及びフィルム複写を含む種々の方法によって堆積又は形成されてよい。
「シート」という用語は、単一の層(単層)又は二重層、すなわち、互いに直接接触している2つの層のセットを意味すると理解される。(1.55より高い屈折率を有する)高屈折率シートが2層を有する場合、両方の層が高屈折率層である。同様に、(1.55以下の屈折率を有する)低屈折率シートが2層を有する場合、両方の層が低屈折率層である。
本出願では、材料に基づく層は、少なくとも80重量%の前記材料、より好ましくは少なくとも90重量%の前記材料、更に好ましくは前記材料の層からなる層として定義されている。例えば、ZrOベースの層は、少なくとも80重量%のZrOを含む。
本発明に従って作製される光学物品は、透明な光学物品、好ましくは光学レンズ又はレンズブランク、より好ましくは眼用レンズ又はレンズブランクである。光学物品は、その凸状の主面(前面)、凹状の主面(後面/背面)、又は両方の面を、好ましくは凸状(前面)の主面を、シート(A)~(C)、副層、及び本発明による多層干渉コーティングでコーティングされていてもよい。本明細書で使用される場合、基材の背面は、眼用レンズの場合、物品を使用する時に着用者の眼から最も近い面を意味するように意図されている。これは、一般的に凹面である。逆に基材の前面は、物品を使用する時に、着用者の眼から最も遠く離れている表面である。これは、一般的に凸面である。光学物品は、平面物品であることも可能である。
本明細書において、「レンズ」という用語は、様々な性質の1つ以上のコーティングでコーティングされ得るレンズ基材を含む有機又は無機ガラスレンズを意味する。
「眼用レンズ」という用語は、例えば眼を保護し、且つ/又は視力を矯正するために眼鏡フレームに合わせられたレンズを意味するために使用される。前記レンズは、無限焦点、一焦点、二焦点、三焦点、累進レンズから選択することができる。眼用の光学系が本発明の好ましい分野であるものの、本発明は、例えば、写真又は天文学における光学機器用のレンズ、光学照準レンズ、眼用バイザー、照明システムの光学系などの他のタイプの光学物品に適用できることが理解されるであろう。
本明細書では、別段の明記がない限り、光学物品/材料は、前記光学物品を介した画像の観察がコントラストの有意な損失なく知覚される場合、すなわち前記光学物品を通した画像の形成が画像の品質に悪影響を及ぼすことなく得られる場合、透明であると理解される。「透明」という用語のこの定義は、別段の明記がない限り、説明においてそのように修飾された全てのものに対して適用され得る。
基材は、本発明の意味において、未コーティングの基材を意味するものとして理解されるべきであり、且つ一般に2つの主面を有する。基材は、特に、光学物品、例えばガラスに取り付けられる眼用レンズの形状を有する光学的に透明な材料であり得る。これに関連して、「基材」という用語は、光学レンズ、特に眼用レンズのベース成分材料を意味するものとして理解される。この材料は、1つ以上の機能性コーティング又は層の積層体のための支持体として機能する。
基材は、無機ガラス製であっても有機ガラス製であってもよく、好ましくは有機ガラス製である。有機ガラスは、ポリカーボネートや熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性材料、又はジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)ポリマーやコポリマー(特にはPPG IndustriesのCR-39(登録商標))などの熱硬化性(架橋)材料、熱硬化性ポリウレタン、ポリチオウレタン、好ましくは、1.60又は1.67の屈折率を有するポリチオウレタン樹脂、ポリエポキシド、1.74の屈折率を有するものなどのポリエピスルフィド、(メタ)アクリルポリマー及びビスフェノール-A由来のコポリマーを含む基材などのポリ(メタ)アクリレート及びコポリマーに基づく基材、ポリチオ(メタ)アクリレート、並びにこれらのコポリマー及びこれらのブレンドのいずれかであってもよい。レンズ基材に適した材料は、ポリカーボネート(PC)、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)ポリマー、及び熱硬化性ポリチオウレタン樹脂から得られた基材であり、これらはMitsui Toatsu Chemicals companyからMRシリーズ、特にMR6(登録商標)、MR7(登録商標)、MR8(登録商標)樹脂として販売されている。後者の基材、並びにそれらの製造に使用されるモノマーは特に、米国特許第4,689,387号明細書、米国特許第4,775,733号明細書、米国特許第5,059,673号明細書、米国特許第5,087,758号明細書、及び米国特許第5,191,055号明細書に記載されている。
シート(A)~(C)、副層、干渉コーティング、又は他の機能性コーティングを堆積する前に、堆積される層の付着性を改善するため、物品の表面に対して、国際公開第2013/013929号パンフレットに開示されているような物理的又は化学的な表面活性化及び洗浄前処理が通常行われる。この前処理は、通常、耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティング(ハードコート)の表面上で行われる。
この前処理は、通常真空下で行われる。これは、エネルギー種による衝撃、例えば、イオンビーム法(「イオンプレクリーニング」又は「IPC」)若しくは電子ビーム法、コロナ処理、イオン破砕処理、紫外線処理、又は典型的には酸素若しくはアルゴンプラズマを使用する真空化下でのプラズマ処理であってもよい。これは、超音波処理あり又はなしの酸若しくは塩基による表面処理及び/又は溶媒による表面処理(水又は有機溶媒を使用)であってもよい。多くの処理方法を組み合わせることができる。これらの洗浄処理により、基材表面の清浄性が最適化される。
エネルギー種とは、1~300eV、好ましくは1~150eV、より好ましくは10~150eV、最も好ましくは40~150eVの範囲のエネルギーを有する種を意味する。エネルギー種は、イオンやラジカルなどの化学種、又は光子や電子などの種とすることができる。
干渉コーティングは、光学系、特に眼用光学系の分野で従来使用されている事実上全ての干渉コーティングであり得る。干渉コーティングは、非限定的な方法で、赤外線ミラー又は紫外線ミラーなどの反射(ミラー)コーティング、ブルーカットフィルタ又はブルーパスフィルタなどの可視スペクトルにおけるフィルタであってもよいが、好ましくはミラーコーティングである。
ミラーは、製品の表面上に堆積され、前記表面上に到達する光の少なくとも一部を反射するコーティングである。前記ミラーは、スペクトルの所定の部分にわたる製品/空気界面における光反射を増大させる。反射は、紫外スペクトル内でも、可視スペクトル又は赤外スペクトル内でもよい。
本発明の多層干渉コーティングは、1.55より高い屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層と、1.55以下の屈折率を有する少なくとも1つの低屈折率層との積層体を含む。
より好ましくは、これは、低屈折率(LI)を有する少なくとも2つの層と、高屈折率(HI)を有する少なくとも2つの層とを含む。干渉コーティング内の層の総数は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、好ましくは8又は7以下、より好ましくは6以下、更により好ましくは5以下、最も好ましくは5層に等しい。
本明細書で使用される場合、干渉コーティングの層(又はシート(A)、(B)若しくは(C)からの一層)は、1nm以上の厚さを有するものとして定義される。したがって、干渉コーティングの層の数を数える際には、1nm未満の厚さを有する層は考慮されない。副層、及びシート(A)~(C)の層はいずれも、干渉コーティングの層数を数える時、又はその厚さを示す時に考慮されない。
HI層及びLI層は、本発明の一実施形態によれば、必ずしも積層体内で互いに交互である必要はないが、交互である場合もある。2つのHI層(又はそれ以上)は互いの上に設けられてもよく、並びに2つのLI層(又はそれ以上)が互いの上に設けられてもよい。
本出願において、干渉コーティングの層は、その屈折率が1.55以上、好ましくは1.6以上、更に好ましくは1.8又は1.9以上、最も好ましくは2以上である場合に、高屈折率(HI)の層であるとされる。前記HI層は、好ましくは、2.2又は2.1以下の屈折率を有する。その屈折率が1.55以下、好ましくは1.52以下、より好ましくは1.48又は1.47以下である場合に、低屈折率層(LI)であるとされる。前記LI層は、好ましくは1.1以上の屈折率を有する。
HI層は、通常、限定するものではないが、ジルコニア(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、アルミナ(Al)、五酸化タンタル(Ta)、ネオジム酸化物(Nd)、プラセオジム酸化物(Pr)、チタン酸プラセオジム(PrTiO)、La、Nb、Yなどの1種以上の金属酸化物を含む。ただし、TiOは干渉コーティングの最も外側の高屈折率層には存在しない。本発明のいくつかの態様では、干渉コーティングの最も外側の高屈折率層は、チタン酸化物を含まない。好ましい実施形態では、干渉コーティングは、TiO、又はより一般的にはチタン酸化物を含むあらゆる層を含まない。本明細書において、チタン酸化物は、二酸化チタン又は準化学量論的なチタン酸化物(TiOx、x<2)を意味することが意図されている。チタン酸化物含有層は実際光劣化しやすい。
任意選択的には、HI層は、上で示したように、1.55より高い屈折率を有するという条件で、低屈折率のシリカ又は他の材料を更に含んでいてもよい。好ましい材料としては、ZrO、PrTiO、Nb、Ta、Y、及びこれらの混合物が挙げられる。
一実施形態では、干渉コーティングの(1.55より高い屈折率を有する)全ての高屈折率層は、ZrOを含む。別の実施形態では、干渉コーティングは、少なくとも1つのTaベースの層を含む。
LI層もよく知られており、限定するものではないが、SiO、MgF、又はシリカとアルミナとの混合物、特にアルミナでドープされたシリカが含まれ得る。後者は干渉コーティングの耐熱性の増加に寄与する。LI層は、好ましくは、層の総重量に対して、少なくとも80重量%のシリカ、より好ましくは少なくとも90重量%のシリカを含む層であり、更に好ましくは、シリカ層からなる。
任意選択的には、得られる層の屈折率が1.55以下であるという条件で、LI層は、高屈折率の材料を更に含んでいてもよい。
干渉コーティングの外層、すなわち、基材から最も遠いその層は、通常、層の総重量に対して、少なくとも80重量%のシリカ、より好ましくは少なくとも90重量%のシリカを含むシリカベースの層(例えばアルミナでドープされたシリカ層)であり、更に好ましくはシリカ層からなる。
通常、HI層及びLI層は、10~120nm、好ましくは20~110nmの範囲の物理的厚さを有する。
一般に、干渉コーティングの総厚+副層の厚さ+シート(A)~(C)の厚さは、1μm未満、好ましくは800nm以下、より好ましくは500nm以下、更により好ましくは450nm以下である。干渉コーティングの総厚は、一般に100nmより高く、好ましくは200nmより高く、好ましくは1μm又は500nmより低い。
更に、光学物品は、熱及び温度変動、すなわち、高い臨界温度に対して良好な耐性を有する。本特許出願では、物品の臨界温度は、基材の表面(いずれかの主面上)に存在するコーティング内にクラックが現れ始め、コーティング(一般に干渉コーティング)の劣化をもたらす、開始温度として定義される。本発明に従ってコーティングされた物品の臨界温度は、好ましくは≧70℃、より好ましくは≧75℃、80℃、90℃、100℃、又は110℃である。
米国特許第7692855号明細書で定義されている以下のR比率とはわずかに異なる、以下のRT1比率を定義することが可能である。
Figure 0007399963000001
本発明では、干渉コーティングの層のみが、前記比率RT1の計算のために考慮され、すなわち、副層の上方に位置する層のみが考慮される。
一実施形態では、RT1は0.8以上であり、好ましくは1、1.3、1.5、1.9、2、2.1、2.2、又は2.5以上である。一実施形態では、RT1は5未満であり、好ましくは4、3.5、3の値のうちの少なくとも1つよりも低い。別の実施形態では、RT1は0.8~2.5の範囲にある。高耐摩耗性を呈すると同時に、より高い臨界温度を示す物品を得るために、高いRT1比率を有することが好ましい。
本発明では、多層干渉コーティングは、60nm以上の厚さを有する単層副層の上に堆積される。そのような副層は干渉コーティングに属さないことに留意する必要がある。前記副層は、好ましくは干渉コーティングと直接接触している。
本明細書において、干渉コーティングの副層又は付着層は、干渉コーティングの耐摩耗性及び/若しくは耐擦り傷性などの機械的特性を改善するために、並びに/又は基材若しくは下にあるコーティングへの付着を強化するために使用される、比較的厚いコーティングを意味することが意図されている。
副層は、一般に、600nm、500nm、450nm、400nm、375nmのうちのいずれかの値以下であり、一般に、65nm、70nm、100nm、又は110nm以上、より好ましくは120、130、140、150、160、又は180nm以上の厚さを有する。副層の厚さを増加させると耐摩耗性が改善される。
副層は、好ましくは、SiOベースの層であり、この層は、層の総重量に対して好ましくは少なくとも80重量%のシリカ、より好ましくは少なくとも90重量%のシリカを含み、更に好ましくはシリカ層からなる。別の実施形態では、このSiOベースの層は、本明細書の上で規定したような量のアルミナでドープされたシリカ層であり、好ましくは、アルミナでドープされたシリカ層からなる。
本発明では、単層副層は、3つのシート(A)、(B)、及び(C)の系上に堆積され、任意選択的にコーティングされた基材上にこの順序で堆積される。そのようなシートは干渉コーティングに属さないことに留意する必要がある。前記副層は、シート(C)と直接接触している。この系は、副層と、その下にあるコーティング又は基材との間の付着の問題に悩まされることなく、光学物品の耐摩耗性を改善することを可能にする。
実際に、好ましくは追加のガス供給なしに、その圧縮/密度を高めるために、副層の厚さを増大させ、及び/又は低圧下で副層を堆積するなど、光学物品の耐摩耗性を改善するための何らかの手段が実施される場合、機械的応力による付着の問題が観察され得る。
1.55より高い屈折率を有する第1の高屈折率シート(A)は、Ta層を含まず、好ましくはTaベースの層を含まない。シート(A)は、1つの単一の高屈折率層、又は直接接触している2つの高屈折率層を含み得る。シート(A)の層は、一般に、1つ以上の金属酸化物を含み、これは干渉コーティングの高屈折率層に対して前述した金属酸化物から選択することができる。Taは存在することができるが、好ましくは80重量%未満、より好ましくは75重量%、50重量%、25重量%、10重量%、5重量%、又は1重量%未満の量である。一実施形態では、シート(A)の層はTaを含まない。
シート(A)は、好ましくはZrOベースの層を含み、より好ましくはZrOベースの層である。一実施形態では、シート(A)は、ZrO層を含み、より好ましくはZrO層である。
シート(A)は、好ましくは60nm以下、より好ましくは50nm、40nm、30nm、25nm、20nm、又は15nm以下の厚さを有する。シート(A)は、好ましくは4nm以上、より好ましくは5nm又は7nm以上の厚さを有する。
一実施形態では、シート(A)は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、又はドデカメチルペンタシロキサンなどの、少なくとも1つの金属酸化物及び少なくとも1つの有機ケイ素化合物の、イオン源の支援による真空堆積によって得られる、国際公開第2017/021669号パンフレットに開示されるような高屈折率ケイ素有機層を含み、前記層は、ZrOなどの1.8以上の屈折率を有する少なくとも1つの金属酸化物を含む。
一実施形態では、シート(A)は、直接接触する2つの高屈折率層を含み、任意選択的にコーティングされた基材と直接接触するその高屈折率層は、付着層である。前記付着層は、クロム、1.55より大きい屈折率を有するような、0.5<x<1.5、好ましくは0.9<x<1.1の準化学量論的酸化ケイ素SiOx、及びクロム、ケイ素、及び酸素、好ましくはクロム及び酸化ケイ素を含み、ここで酸化ケイ素が前記層の50~95重量%、好ましくは65~92重量%を表す混合物、から選択される金属又は金属酸化物を含み得る。クロム、シリコン、及び酸素を含む前記付着層を形成するために使用できる市販の材料の例は、Umicore Materials AG companyによって提供される、材料Malbunit8/1(SiOとCrとの混合物)及びFlexo(SiOとCrとの混合物)である。この実施形態では、シート(A)とその下にある任意選択的にコーティングされた基材との間の付着が改善され、層間剥離の発生(付着不良)が低減される。
1.55以下の屈折率を有する第2の低屈折率シート(B)は、シート(A)と直接接触している。シート(B)は、1つの単一の低屈折率層、又は直接接触している2つの低屈折率層を含み得る。シート(B)の層は、一般に、1つ以上の金属酸化物を含み、これは干渉コーティングの低屈折率層に関して前述した金属酸化物から選択することができる。
シート(B)は、好ましくはSiOベースの層を含み、より好ましくはSiOベースの層である。一実施形態では、シート(B)は、SiO層を含み、より好ましくは、SiO層である。
一実施形態では、シート(B)は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン又はドデカメチルペンタシロキサンなどの、少なくとも1つの有機ケイ素化合物の、イオン源の支援による真空堆積によって得られる、国際公開第2017/021669号パンフレットに開示されるような低屈折率ケイ素有機層を含む。
シート(B)は、好ましくは80nm以下、より好ましくは75nm又は70nm以下の厚さを有する。シート(B)は、好ましくは20nm以上、より好ましくは25nm又は30nm以上の厚さを有する。耐摩耗性を向上させるために、シート(B)を十分に厚くすることが重要である。
シート(A)が1.55以上の屈折率を有するコーティングされていない基材と直接接触している場合、又は1.55以上の屈折率を有するコーティング(通常、耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティング)と直接接触している場合、シート(B)の厚さは、好ましくは60nm又は55nm以下である。
一実施形態では、シート(B)の層の堆積は真空チャンバー内で実行され、真空チャンバーでは前記堆積中に補助ガスは供給されず、その密度を増大させる。
1.55より高い屈折率を有する第3の高屈折率シート(C)は、シート(B)と直接接触している。シート(C)は、1つの単一の高屈折率層、又は直接接触している2つの高屈折率層を含み得る。シート(C)の層は、一般に、1つ以上の金属酸化物を含み、これは、Ta、Nb、PrTiO、ZrO、及びYなどの、干渉コーティングの高屈折率層に関して前述した金属酸化物から選択することができる。
一実施形態では、シート(C)は、Ta層、好ましくはTaベースの層を含まない。別の実施形態では、Taは、シート(C)の層中に、80重量%未満、好ましくは75重量%、50重量%、25重量%、10重量%、5重量%、又は1重量%未満の量で存在する。一実施形態では、シート(C)の層はTaを含まない。
シート(C)は、好ましくはZrOベースの層を含み、より好ましくはZrOベースの層である。一実施形態では、シート(C)は、ZrO層を含み、より好ましくはZrO層である。
シート(C)は、好ましくは60nm以下、より好ましくは50nm、40nm、30nm、25nm、20nm、又は15nm以下の厚さを有する。一実施形態では、これらの厚さ要件は、シート(A)及び(C)によって同時に満たされる。シート(A)は、好ましくは4nm以上、より好ましくは5nm、7nm、又は10nm以上の厚さを有する。
一実施形態では、シート(C)は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、又はドデカメチルペンタシロキサンなどの、少なくとも1つの金属酸化物及び少なくとも1つの有機ケイ素化合物の、イオン源の支援による真空堆積によって得られる、国際公開第2017/021669号パンフレットに開示されるような高屈折率ケイ素有機層を含み、前記層は、ZrOなどの1.8以上の屈折率を有する少なくとも1つの金属酸化物を含む。
シート(A)、(B)、及び(C)の総厚は、好ましくは40~120nm、より好ましくは45~110nm又は50~100nmの範囲にある。
シート(A)及び(C)の屈折率は、干渉コーティングの高屈折率層に関して前述した屈折率から独立して選択することができる。シート(B)の屈折率は、干渉コーティングの低屈折率層に関して前述した屈折率から選択することができる。
シート(A)~(C)の系の層の総数は、3~6の範囲であり、より好ましくは3~4又は5であり、理想的には3に等しい。換言すれば、シート(A)及び/又は(B)及び/又は(C)は、好ましくは単層である。この系は、好ましくは、基材から離れる方向に、ZrOベースの層、SiOベースの層、及びZrOベースの層を含み、より好ましくは、ZrOベースの層、SiOベースの層、及びZrOベースの層からなる。この系は、好ましくは、基材から離れる方向に、ZrO層、SiO層、及びZrO層を含み、より好ましくは、ZrO層、SiO層、及びZrO層からなる。
任意選択的には、干渉コーティングの第1の層を堆積する前に、副層の露出面に対して物理的又は化学的活性化処理を行うことができ、この処理は、既に上述した副層を堆積する前に基材に対して行うことができる前処理から選択することができる。好ましい前処理は、例えばイオン銃によって発生したアルゴンイオンビームを使用することによるイオン衝撃である。そのような物理的又は化学的活性化処理(好ましくはイオン衝撃処理)は、前記多層干渉コーティングの後続の層を堆積する前に、多層干渉コーティングの1つ以上の層の露出面で行うこともできる。
本発明の光学物品は、物品の表面に存在する積層体の中に、好ましくは干渉コーティングの中に少なくとも1つの導電層を組み込むことによって、帯電防止に、すなわち、多量の静電荷を保持及び/又は発生させないようにすることができる。
布切れでこすったり、任意の他の手段を使用したりして静電荷(コロナによって加えられた電荷...)を生成した後に得られた静電荷をレンズが除去する能力は、前記電荷が散逸するために要する時間を測定することによって定量化することができる。したがって、帯電防止レンズは約数百ミリ秒、好ましくは500ms以下の放電時間を有する一方で、静電レンズではこれは約数十秒である。本出願では、放電時間は、仏国特許第2943798号明細書に公開されている方法に従って測定される。
本明細書において、「導電層」又は「帯電防止層」は、これが基材の表面上に存在することに起因して、電荷蓄積により埃/粒子を引き付ける光学物品の能力を低下させる層を意味することが意図されている。好ましくは、非帯電防止基材(すなわち500msより長い放電時間を有する)の上に設けられる場合、帯電防止層は、光学物品が多量の静電荷を保持及び/又は発生させないように、例えばその表面上に静電荷が加えられた後に500ms以下の放電時間を有するようにすることができ、その結果、静電気の影響を防ぐことにより小さな埃の光学物品への付着が防止される。
導電層は、その反射特性又は反射防止特性が影響を受けないことを条件として、積層体内の様々な位置に、通常は干渉コーティング内に、又は干渉コーティングと接触して、配置することができる。これは、好ましくは干渉コーティングの2つの層の間に配置される、及び/又は好ましくはそのような干渉コーティングの高屈折率層に隣接している。一実施形態では、導電層は、干渉コーティングの低屈折率層のすぐ下に配置され、最も好ましくは、干渉コーティングのLI外層のすぐ下に配置されることによる干渉コーティングの最後から2番目の層である。
一実施形態では、導電層は、1.55以下の屈折率を有する2つの層と直接接触しており、前記導電層は、好ましくは、基材から離れる方向に干渉コーティングの最後から2番目の位置に配置されている。
導電層は、干渉コーティングの透明性を変えないように十分に薄くする必要がある。導電層は、好ましくは、導電性且つ透明性の高い材料、通常は任意選択的にドープされていてもよい金属酸化物から製造される。この場合、その厚さは、好ましくは1~15nm、より好ましくは1~10nm、理想的には2~8nmの範囲である。好ましくは、導電層は、インジウム、スズ、亜鉛酸化物、及びこれらの混合物から選択される、任意選択的にドープされていてもよい金属酸化物を含む。スズ-インジウム酸化物(In:Sn、スズでドープされたインジウム酸化物)、アルミニウムでドープされた亜鉛酸化物(ZnO:Al)、インジウム酸化物(In)、及びスズ酸化物(SnO)が好ましい。最も好ましい実施形態では、導電性且つ光学的に透明な層は、スズ-インジウム酸化物層であり、ITO層又はスズ酸化物層と呼ばれる。
一般に、導電層は、積層体内で、ただしその薄い厚さのために限定的な形で、干渉特性を得ることに寄与し、典型的には、前記コーティングにおいて高屈折率を有する層を表す。これは、ITO又はSnO層などの導電性且つ透明度の高い材料から製造された層の場合である。したがって、これが存在する場合には、導電層は、好ましくは、干渉コーティングの最も外側の高屈折率層、又は1つ以上の高屈折率層に隣接する場合には干渉コーティングの最も外側の高屈折率層の1つである。
導電層は、任意の適切な方法に従って、例えば真空蒸着によって、好ましくは、その透明性を高めるためにイオンビーム支援(IAD、以下で説明)によって、又はカソードスパッタリングによって、堆積することができる。
導電層は、典型的には厚さ1nm未満、好ましくは厚さ0.5nm未満の貴金属(Ag、Au、Ptなど)の非常に薄い層であってもよい。
干渉コーティング、副層、及びシート(A)~(C)の様々な層は、好ましくは、以下の方法のいずれかに従って、真空下で、気相堆積によって堆積される。i)蒸着によって、任意選択的にはイオンビーム支援下で;ii)イオンビーム噴霧によって;iii)カソードスパッタリングによって;iv)プラズマ支援化学蒸着によって;のいずれかの方法に従って真空下で気相堆積により堆積される。これらの様々な方法は、参考文献「Thin Film Processes」及び「Thin Film Processes II」、Vossen&Kern編、Academic Press、1978年及び1991年にそれぞれ記載されている。特に推奨される方法は、真空下での蒸着である。好ましくは、上述した各層の堆積は、真空下での蒸着によって行われる。そのようなプロセスは、基材の加熱を有利に回避し、これは、有機ガラスなどの熱の影響を受けやすい基材をコーティングするために特に興味深い。
干渉コーティング、副層、又はシート(A)~(C)の様々な層のうちの1つ以上を堆積する間に、上で定義したようなエネルギー種による処理工程を行うこともできる。特に、イオン支援下で作業することで、前記層が形成されている間にこれらをパッキングすることができ、これらの圧縮率及び屈折率が増加する。層の堆積中にイオン支援を使用すると、イオン支援なしで堆積された層とは構造的に異なる層が生成される。
イオン支援堆積法又はIADは、特に、米国特許出願公開第2006/017011号明細書及び米国特許第5,268,781号明細書に記載されている。イオン支援下での気相堆積は、それが形成されている間、好ましくはイオン銃によって得られるイオン衝撃下で、前記層にイオンビームによって同時に衝撃を与えることによって材料の層を基材上に堆積することを含む。イオン衝撃により、形成されるコーティングで原子の再配列が生じ、これによってその密度が増加する。IADは、堆積された層の付着性を改善するだけでなく、それらの屈折率も増加させることができる。IADの実施はイオン銃によって行うことができ、この場合のイオンはガス原子から構成される粒子であり、そこから1つ以上の電子が取り出される。これは、好ましくは、酸素イオンで処理される表面に衝撃を与えることからなる。他のイオン化ガスは、酸素と組み合わせて、又は組み合わせずに、例えばアルゴン、窒素、特に2:1~1:2の範囲の体積比率によるOとアルゴンとの混合物を使用することができる。
干渉コーティングの最も外側の低屈折率層は、好ましくは、イオン支援なしで、好ましくはエネルギー種を用いた付随処理なしで堆積される。別の実施形態では、干渉コーティング及び/又は副層の低屈折率層は、イオン支援なしで、好ましくはエネルギー種を用いた付随処理なしで堆積される。
一実施形態では、導電層を除いて(干渉コーティング中に存在する場合)、いずれの干渉コーティングの層もイオン支援下で堆積されない(好ましくは、いずれの干渉コーティングの層もエネルギー種を用いた付随処理下で堆積されない)。
別の実施形態では、干渉コーティングの少なくとも1つのHI層は、導電層又はTa層(干渉コーティング内に存在する場合)などのイオン支援下で堆積される。
任意選択的には、層の1つ以上の堆積は、米国特許出願公開第2008/206470号明細書に開示されているように、真空チャンバー内での層の堆積工程中に(補助)ガスを供給することによって行われる。具体的には、希ガス、例えばアルゴン、クリプトン、キセノン、ネオンなどの追加のガス;酸素、窒素、又はこれらのうちの2つ以上のガスの混合物などのガスが、層が堆積されている間に真空蒸着チャンバーの中に導入される。この堆積工程中に使用されるガスは、イオン化ガスではなく、より好ましくは活性化ガスではない。
このガス供給により圧力の調整が可能になり、これはイオン支援などのイオン衝撃処理とは異なる。これは、通常、干渉コーティングの応力を制限し、層の付着を強化することを可能にする。ガス圧調整下での堆積と呼ばれるこのような堆積方法を使用する場合には、酸素雰囲気(いわゆる「パッシブ酸素」)下で作業することが好ましい。層の堆積中に追加のガス供給を使用すると、追加のガス供給なしで堆積された層とは構造的に異なる層が生成される。
本発明の一実施形態では、副層の堆積は、真空チャンバー内で、1.6×10-4mBar未満、好ましくは10-4mBar未満、より好ましくは8.10-5mBar未満の圧力下で行われる。
本発明の好ましい実施形態では、副層の堆積は、前記堆積中に補助ガスが供給されない真空チャンバー中で行われる。低圧下で、理想的には更に低い圧力を得るためにガス供給なしで副層を堆積すると、より低い空隙率、より高い圧縮率、及び密度を有する副層、並びに光学物品の耐摩耗性の増加が得られることが見出された。
別の実施形態では、導電層を除いて(最も外側の位置に存在する場合)、干渉コーティングの最も外側の高屈折率層は、真空チャンバーの中で堆積され、その場合少なくとも1つの補助ガスが前記堆積中に供給される。別の実施形態では、導電層(最も外側の位置に存在する場合)を除いて、干渉コーティングの高屈折率層は、真空チャンバーの中で堆積され、その場合少なくとも1つの補助ガスが前記堆積中に供給される。
特に好ましい実施形態によれば、光学物品は、プライマーコーティング及び/又はハードコートなどの1つ以上の機能性コーティングで任意選択的にコーティングされた基材の表面から開始して、3~20nm、より好ましくは4~18nmの厚さを有する、好ましくはジルコニアの(Ta層ではない)高屈折率層(シート(A))、20~75nm、好ましくは30~70nmの厚さを有する、好ましくはシリカの低屈折率層(シート(B))、5~25nm、好ましくは6~20nmの厚さを有する、好ましくはジルコニアの高屈折率層(シート(C))、60~300nm、より好ましくは65~250nm、更により好ましくは70~200nmの厚さを有する副層、好ましくはシリカベースの副層、及び干渉コーティング、好ましくはミラーコーティングを含み、干渉コーティングは、以下の順序で、8~40nm、好ましくは10~35nmの厚さを有する、好ましくはジルコニア又はTaの高屈折率層と、10~50nm、好ましくは13~45nmの厚さを有する、好ましくはシリカの低屈折率層と、20~100nm、好ましくは25~95nmの厚さを有する、好ましくはジルコニア又はTaの高屈折率層と、任意選択的な3~15nm、好ましくは4~8nmの厚さを有する、好ましくはスズ酸化物又はITO製の導電層と、60~150nm、好ましくは65~140nmの厚さを有する、好ましくはシリカの低屈折率層と、を含む。
干渉コーティング/副層/シート(A)~(C)の系は、裸の基材上に直接堆積させることができる。いくつかの用途では、本発明の干渉コーティングを堆積する前に、基材の主面を、その光学的及び/又は機械的特性を改善する1つ以上の機能性コーティングでコーティングすることが好ましい。光学において従来使用されているこれらの機能性コーティングは、限定するものではないが、耐衝撃性プライマー層、耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティング(ハードコート)、偏向コーティング、帯電防止コーティング、フォトクロミックコーティング、着色コーティング、又はそのようなコーティングの2つ以上から作られた積層体であってもよい。
本発明で使用され得る耐衝撃性プライマーコーティングは、完成した光学物品の耐衝撃性を改善するために典型的に使用される任意のコーティングであってもよい。定義上は、耐衝撃性プライマーコーティングは、同じ光学物品であるが耐衝撃性プライマーコーティングがない物品と比較して、完成した光学物品の耐衝撃性を改善するコーティングである。
典型的な耐衝撃性プライマーコーティングは、(メタ)アクリル系コーティング及びポリウレタン系コーティングである。特に、本発明による耐衝撃性プライマーコーティングは、ポリ(メタ)アクリルラテックス、ポリウレタンラテックス、又はポリエステルラテックスなどのラテックス組成物から製造することができる。
好ましいプライマー組成物としては、特開昭63-141001号公報及び特開昭63-87223号公報に記載されているものなどの熱可塑性ポリウレタンに基づく組成物、米国特許第5,015,523号明細書及び米国特許第6,503,631号明細書に記載されているものなどのポリ(メタ)アクリルプライマー組成物、欧州特許第0404111号明細書に記載されているものなどの熱硬化性ポリウレタンに基づく組成物、並びに米国特許第5,316,791号明細書及び欧州特許第0680492号明細書に記載されているものなどのポリ(メタ)アクリルラテックス又はポリウレタンラテックスに基づく組成物が挙げられる。好ましいプライマー組成物は、ポリウレタンに基づく組成物及びラテックスに基づく組成物、特にポリウレタンラテックス、ポリ(メタ)アクリルラテックス、及びポリエステルラテックス、並びにこれらの組み合わせに基づく組成物である。一実施形態では、耐衝撃性プライマーはコロイド状フィラーを含む。
ポリ(メタ)アクリルラテックスは、例えばスチレンなどの少なくとも1種の他のコモノマーを典型的には少量で含む、例えばエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、又はエトキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートから本質的に製造されたコポリマーに基づくラテックスである。
本発明における使用に適した市販のプライマー組成物としては、Witcobond(登録商標)232、Witcobond(登録商標)234、Witcobond(登録商標)240、Witcobond(登録商標)242組成物(BAXENDEN CHEMICALSから販売)、Neorez(登録商標)R-962、Neorez(登録商標)R-972、Neorez(登録商標)R-986、及びNeorez(登録商標)R-9603(ZENECA RESINSから販売)、並びにNeocryl(登録商標)A-639(DSM coating resinsから販売)が挙げられる。
硬化後の耐衝撃性プライマーコーティングの厚さは、典型的には0.05~30μm、好ましくは0.2~20μm、より具体的には0.5~10μm、更には0.6~5μm又は0.6~3μm、最も好ましくは0.8~1.5μmの範囲にある。
耐衝撃性プライマーコーティングは、好ましくは、耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティングと直接接触している。一実施形態では、その屈折率は、1.45~1.55の範囲にある。別の実施形態では、その屈折率は、1.55以上である。
耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティングは、眼用レンズの分野で耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティングとして従来使用されている任意の層であってもよい。
耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティングは、好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート又はシランに基づくハードコーティングであり、通常、硬化後のコーティングの硬度及び/又は屈折率を高めることを目的とした1種以上の無機フィラーを含む。
耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性のコーティングは、好ましくは、少なくとも1種のアルコキシシラン及び/又は例えば塩酸溶液並びに任意選択的な縮合及び/又は硬化触媒を用いた加水分解によって得られるその加水分解物を含有する組成物から作製される。
本発明に推奨される適切なコーティングとしては、欧州特許第0614957号明細書、米国特許第4211823号明細書、及び米国特許第5,015,523号明細書に記載されているものなどのエポキシシラン加水分解物に基づくコーティングが挙げられる。
好ましい耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティング組成物は、出願人の名義の欧州特許第0614957号明細書に開示されているものである。これは、エポキシトリアルコキシシラン及びジアルキルジアルコキシシランの加水分解物、コロイド状シリカ、及び触媒量のアルミニウムアセチルアセトネートなどのアルミニウム系硬化触媒を含み、残部はそのような組成物を配合するために従来使用されている溶媒から本質的に構成される。好ましくは、使用される加水分解物は、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)及びジメチルジエトキシシラン(DMDES)の加水分解物である。
耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティング組成物は、公知の方法によって堆積することができ、その後、好ましくは熱又は紫外線照射を使用して硬化される。(硬化した)耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティングの厚さは、通常2~10μm、好ましくは3~5μmで様々である。
本発明による光学物品は、疎水性及び/又は疎油性コーティング(防汚トップコート)などの、干渉コーティング上に形成されており且つその表面特性を変更することができるコーティングも含んでいてもよい。これらのコーティングは、好ましくは、干渉コーティングの外層上に堆積される。通常、それらの厚さは10nm以下であり、好ましくは1~10nm、より好ましくは1~5nmの範囲である。汚防トップコートは、一般にフルオロシラン又はフルオロシラザン型のコーティングであり、好ましくはフルオロポリエーテル部分、より好ましくはパーフルオロポリエーテル部分を含むものである。これらのコーティングに関するより詳細な情報は、国際公開第2012076714号パンフレットに開示されている。
疎水性コーティングの代わりに、防曇特性を付与する親水性コーティング(防曇コーティング)、又は界面活性剤と結び付いた際に防曇特性を付与する防曇コーティング前駆体が使用されてもよい。そのような防曇前駆体コーティングの例は、国際公開第2011/080472号パンフレットに記載されている。
プライマー、ハードコート、及び防汚トップコートなどの追加のコーティングは、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、蒸着、スパッタリング、化学蒸着、及びラミネーションなどの前記技術分野で公知の方法を使用して、基材の主面に堆積させることができる。
典型的には、本発明による光学物品は、耐衝撃性プライマー層、耐摩耗性及び/若しくは耐擦り傷性層、シート(A)~(C)、副層、並びに本発明による干渉コーティング、並びに疎水性及び/若しくは疎油性コーティング、又は防曇特性を付与する親水性コーティング、又は防曇前駆体コーティングで連続的にコーティングされた基材を含む。
シート(A)~(C)の本発明による、副層及び干渉コーティング(一例としてミラーコーティング)の存在のため、本発明の光学物品は、以降に記載するバイエルASTM(バイエルサンド)操作プロトコルに従って、すなわちASTM F735-81規格に従って測定される高い値の耐摩耗性を示す。バイエルASTM測定の場合、コーティングされた面は凸面である必要がある。実施例では、コーティングが凹面に堆積される場合、バイエルASTM値は、同じコーティング(シート(A)~(C)、副層、及び干渉コーティング)で行われたが、凸面に堆積された測定値である。
本発明によれば、その主面、好ましくは前面が本発明の干渉積層体によって覆われている光学物品は、5.5より高い、好ましくは6、6.5、7、7.5、8、9、10、11のうちのいずれか1つよりも高い、ASTM F735-81規格に従って測定されたバイエル値(サンドバイエル値)を呈する。したがって、本発明は、光学物品の典型的なサンドバイエル値が約5であることから、高い耐摩耗性を有する光学物品を提供する。そのような値は、副層及びシート(A)~(C)、特にシート(B)の厚さ、RT1比率、及び/又は堆積パラメータ、特に副層の堆積中の圧力を制御することによって得ることができる。
一実施形態では、光学物品はレンズであり、干渉コーティング、シート(A)~(C)、及び副層は、レンズの前面主面上、及び/又はレンズの背面主面上、好ましくはレンズの前面主面上に塗布される。
別の実施形態では、光学物品はレンズであり、干渉コーティング、シート(A)~(C)、及び副層が、レンズの前面主面上(又は後面主面上)に塗布されており、レンズの背面主面(又は前面主面)は、他の面の干渉コーティングと同一又は異なる干渉コーティング、好ましくはミラーコーティングで、任意選択的に他の面の副層と同一又は異なる副層で、任意選択的に他の面のシート(A)~(C)と同一又は異なるシート(A)~(C)で、並びに任意選択的に他の面のそれらと同一又は異なる耐衝撃性プライマーコーティング及び/又は耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティングで、コーティングされている。明らかに、後面の層は、前面と同様の順序で積み重ねられる。
1つの実施形態において、多層干渉コーティング、副層、及びシート(A)~(C)は、レンズの一方の主面上にコーティングされ、レンズの他方の主面は、可視、UV、及び/又はNIR範囲の光を反射する本発明によるミラーコーティングで被覆される。
他の実施形態において、多層干渉コーティング、副層、及びシート(A)~(C)は、レンズの一方の主面上にコーティングされ、前記多層干渉コーティングは本発明によるミラーコーティングである。
1つの実施形態において、本発明の光学レンズは、レンズに到達するUVA-及びUVB-放射範囲(それぞれ315~380nm及び280~315nm)の光を反射して、UV光に対する最善の健康保護を提供できるように、又はレンズに到達するNIR範囲(780~2000nm)の光を反射して、NIR光に対する最善の保護を提供できるように、又はレンズに到達する可視範囲(380~780nm)の光を反射して、装用者にとってのグレアを回避するように構成される。
眼鏡の着用者は、網膜に特に有害なUVA及びUVB放射範囲で透過を大幅に低減する眼用レンズを、両眼のそれぞれの前に着用することが勧められている。そのようなレンズは、コントラスト感度を増大させるため、視覚性能もまた向上し得る。
レンズ前面でUV光を反射させることは、UV光を完全には吸収しない基板の場合に強く推奨される。一方で、紫外線領域において効果的である反射防止コーティングがレンズに施されていない場合、着用者の後ろに位置する光源から生じるUV放射がレンズの背面上で反射して着用者の眼に届く場合があり、それによって着用者の健康に影響を与える可能性がある。レンズの背面上で反射して着用者の眼に到達し得る光線は、30~45°(斜め入射)の範囲の狭い入射角範囲を有することが観察されている。その結果、UV光を反射させることは、レンズの前面については賢明であるが、レンズの後面では回避すべきである。
これに関して、ISO 13666:1998規格で定義されている関数W(λ)によって重み付けされた、280nm~380nmの基材の前面主面での平均反射係数RUVは、入射角15°未満で、好ましくは10%、15%又は20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更により好ましくは50%以上である。これらの性能は、レンズの前面主面上に堆積されたミラーコーティングを使用することによって得られ得る。
ISO 13666:1998規格で定義されている関数W(λ)によって重み付けされた、280nm~380nmの基材の前面主面での平均反射係数RUVは、以下の関係によって定義される。
Figure 0007399963000002
ここで、R(λ)は所与の波長におけるレンズスペクトル反射係数を表し、W(λ)は太陽スペクトル放射照度Es(λ)と効率相対スペクトル関数S(λ)の積に等しい重み関数を表す。
紫外線放射透過係数の計算を可能にするスペクトル関数W(λ)は、ISO 13666:1998規格に従って定義されている。UVA光線と比較してグローバルに放出されるUVB光線が少なく、スペクトル効率S(λ)であり、UVB光線がUVA光線よりも有害である、両方の太陽スペクトルエネルギーEs(λ)を同時に考慮に入れるため、ユーザが、そのような放射の相対スペクトル効率によって加減された紫外線太陽放射分布を表現することが可能になる。紫外線領域におけるこれらの3つの機能の値は、(刊行物、国際公開第2012/076714号パンフレットの6ページに複製されている)ISO 13666:1998規格に開示されている表に与えられている。
Ruvは、本出願では、好ましくは前面主面に対して15°の入射角で測定される。30°及び45°での入射角に対するRuvの計算例は、国際公開第2012/076714号パンフレットに与えられている。当業者は、所望の入射角でそれぞれの面上で測定された反射値に基づいて、計算を容易に行うことができる。
グレアを回避するために、眼鏡装用者は、しばしばサンレンズと呼ばれる光透過を減衰させるレンズを装用することが賢明である。減衰は幾つかの手段により、特にレンズ主前面での光の反射により実現し得る。このようなレンズは、ミラーサンレンズと呼ばれることが多い。他方で、装用者の背後にある光源からの反射は、レンズに十分な反射防止コーティングが施されていないと、レンズの後面で反射して装用者の眼に到達し得、それゆえ、後面で反射した光がレンズを透過する光と同等の強度を有する場合は、装用者の健康及び/又は装用者の快適さに悪影響を与える可能性がある。レンズ後面へと反射し、装用者の眼に到達し得る光線は、30~45°の狭い入射角範囲を有することが観察される(斜入射)。その結果、可視及びUV光を反射することは、レンズの前面については賢明であるが、レンズ後面では回避すべきである。
「平均光反射係数」は、Rと記され、「視感反射率」とも呼ばれ、ISO 13666:1998規格の中で定義されているとおりであり、ISO 8980-4規格にしたがって(17°未満、典型的には15°の入射角で)測定され、すなわちこれは380~780nmの可視スペクトル全体にわたる分光反射加重平均である。
本発明によるミラーコーティングで被覆されたレンズの主面(好ましくは、前面主面)の平均光反射係数Rは、好ましくは15%又は20%以上、好ましくは55%以上、より好ましくは80%以上である。
眼鏡装用者は、両眼の各々の前にNIR(近赤外)放射範囲における透過率を強力に低下させる眼鏡レンズを装用することも賢明である。
通常の眼鏡基板はNIR放射を吸収しない。NIR光透過率の減衰は、前面主面又は後面主面上のいずれか(好ましくは、前面主面)上に配置され、レンズに到達するNIR放射を反射するミラーによって実現され得る。
「太陽近赤外スペクトルにおける反射率」RsNIRは、780nm~2000nmのスペクトル反射率として定義され、気団2の海面での太陽スペクトルパワー分布によって重み付けされ、以下の式で定義される。
Figure 0007399963000003
ここで、R(λ)は所与の波長λでの反射率を表し、Illum(λ)は気団2の海面での太陽スペクトルパワー分布を表す。NIR領域での後者の関数の値は、ISO 13666:1998規格に開示されている表に与えられている。
(17°未満、通常は15°の入射角の場合)ISO 8980-4規格に従って測定することができる。
本発明によるミラーコーティングで被覆されたレンズの主前面又は後面主面の「太陽光近赤外スペクトルにおける反射率」RsNIRは、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは25%以上、さらにより好ましくは35%以上である。
本発明のこの実施形態によれば、レンズの後面での可視及びUV光の反射を回避することも好ましい。好ましい実施形態は、レンズの主前面上にミラーコーティングを有し、可視及びUV光の反射防止コーティングがレンズの後面主面にコーティングされることである。
これらの実施形態のそれぞれにおいて、干渉コーティング、好ましくはミラーコーティング内の層の総数は、好ましくは3以上、好ましくは5以下、及び/又は干渉コーティング(好ましくはミラーコーティング)+副層の厚さ+シート(A)~(C)の厚さ、の総厚は、好ましくは1マイクロメートル未満、より好ましくは800nm又は500nm以下である。
国際表色CIE L*a*b*での、本発明の光学物品の表色係数C*及びhは、標準光源D65及び観察者を考慮して(入射角:15°)、380~780nmで計算される。観察者は、国際表色系CIE L*a*b*で定義される「標準観察者」(10°)である。
前記干渉コーティング(反射光の色)によって表示される残留色に関する、好ましくは40°~300°、より好ましくは50°~290°の範囲の、それらの色相角(h)に関して制限なしに、干渉コーティングを準備することが可能である。いくつかの実施形態では、光学物品は、240°~300°、好ましくは250°~290°、より好ましくは260°~280°の範囲の色相角(h)を有し、したがって知覚される残留反射色は青色から紫色、好ましくは紫色に近くなる。別の実施形態では、光学物品は、135°以上、より好ましくは140°以上、更に好ましくは140°~160°の範囲の色相角(h)を有し、それによって緑色の反射を有する干渉コーティングが得られる。別の実施形態では、光学物品は、40°~90°、好ましくは50°~90°、更に好ましくは50°~70°の範囲の色相角(h)を有し、そのため金色の反射を有する干渉コーティングが得られる。
本発明のいくつかの態様では、干渉コーティングは、15未満(入射角15°について)、より好ましくは13未満の彩度(C*)を有する。眼用レンズの場合には、着用者の快適性の観点から、低い残留色強度(彩度)の物品を得ることが好ましい。
1つの実施形態において、光学製品の少なくとも一方の主面の420ナノメートル~450ナノメートルの波長範囲内での平均青色光反射係数(Rm,B)は、0°~15°の入射角範囲で5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満である。1つの実施形態において、前記少なくとも一方の主面は前面主面及び/又は後面主面、好ましくは前面主面である。
1つの実施形態において、本発明の多層干渉コーティングで被覆された主面の420ナノメートル~450ナノメートルの波長範囲内での平均青色光反射係数(Rm,B)は、0°~15°の入射角範囲で5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満である。
平均反射係数は、Rと略され、規格ISO 13666:1998で定義されているとおりであり、規格ISO 8980-4にしたがって(17°未満、典型的には15°の入射角で)測定され、すなわちこれは400nm~700nmの光スペクトル全体での分光反射率(重み付けしない)平均を表す。
類推から、平均青色光反射係数は420nm~450nmの間で画定され、Rm,Bと略され、420nm~450nmの波長範囲内の分光反射率(重み付けしない)平均に確かに対応する。
平均青色光反射係数Rm,Bは、0°(直角入射)~15°の範囲、好ましくは15°の関係主面への入射角について測定され得る。
本発明はさらに、前述のような光学製品の製造方法に関し、これは:
- 前面主面と後面主面を有する基板を含む光学レンズを提供することと、
- 基板の少なくとも一方の主面上に、1.55より高い屈折率を有し、Ta層を一切含まない第1の高屈折率シート(A)、1.55以下の屈折率を有し、前者のシート(A)と直接接触するようにされる第2の低屈折率シート(B)、1.55より高い屈折率を有し、前者のシート(B)と直接接触するようにされる第3の高屈折率シート(C)、露出面と60nm以上の厚さとを有し、前者のシート(C)と直接接触するようにされる単層副層、及び1.55より高い屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層と1.55以下の屈折率を有する少なくとも1つの低屈折率層の積層体を含む多層干渉コーティングをこの順序で堆積させ、それによって被覆された光学製品を得ることと、
を含み、
- 少なくとも一方の主面上の380nm~780nmの平均光反射係数Rvは15%以上であるか、又は
- 前記前面主面上の280nm~380nmの平均反射係数RUVをISO 13666:1998規格で定義される関数W(λ)で重み付けしたものは、15°以下の入射角で10%以上であるか、又は
- 少なくとも一方の主面上の780nm~2000nmの太陽光近赤外スペクトルにおける反射率RsNIRをISO 13666:1998規格で定義される関数Illum(λ)で重み付けしたものは、10%以上である。
好ましい実施形態では、副層の露出面は、前記多層干渉コーティングを堆積する前にイオン衝撃処理を受けたものである、及び/又は副層の堆積は、前記堆積中に補助ガスが供給されない真空チャンバー内で行われる。
別の実施形態では、多層干渉コーティングの少なくとも1つの層の露出面は、前記多層干渉コーティングの後続の層を堆積する前にイオン衝撃処理を受けたものである。
別の実施形態では、基材から最も遠い前記コーティングの層を除いた多層干渉コーティングの各層の露出面は、前記多層干渉コーティングの後続の層を堆積する前にイオン衝撃処理を受けたものである。複数の層間の衝撃を含むこの実施形態は、好ましくは、干渉積層体内の層の良好な付着性を得るために、副層が低圧下(<1.6×10-4mBar又は更に好ましくは堆積中の追加のガスの供給なしの真空チャンバー内)で堆積される際に実施される。
シート(C)の露出面は、好ましくは、副層である後続の層を堆積する前に、イオン衝撃処理を受ける。
別の実施形態では、以下の層の露出面は、後続の層、すなわち、シート(C)、副層、及び前記コーティングの最外層を除いた多層干渉コーティングの各層、を前記層上に堆積する前にイオン衝撃処理を受ける。
一実施形態では、本光学物品は、基材上にプライマーコーティング並びに/又は耐摩耗性及び/若しくは耐擦り傷性コーティングを第1の製造場所で形成し、別のコーティングを第2の製造場所で形成することによって製造される。
以下の実施例は、より詳細であるが、非限定的な様式で本発明を例示する。別段の規定がない限り、本出願で開示される全ての厚さは、物理的な厚さに関する。表中で与えられる百分率は、重量百分率である。別段の規定がない限り、本出願で言及される屈折率は、550nmの波長について20~25℃で表される。
1.基本手順
実施例で使用した物品は、高屈折率コロイドの添加により屈折率が1.6になるように変更された国際公開第2010/109154号パンフレットの実験項に開示されている耐衝撃性プライマーコーティングと、欧州特許第0614957号明細書の実施例3に開示されている耐摩耗性及び耐擦り傷性コーティング(ハードコート)(高屈折率コロイドの添加により1.5ではなく1.6の屈折率を有するように変更された)と、シート(A)、(B)、(C)と、副層と、ミラーコーティングと、特許出願国際公開第2010/109154号パンフレットの実験項に開示されている防汚コーティング、すなわちDaikin Industriesから販売されているOptool DSX(登録商標)化合物の真空下での蒸着による防汚コーティング(厚さ:2~5nm)とでその凸面がコーティングされている、球面度数-2.00ディオプトリ及び厚さ1.2mmを有する直径65mmのポリチオウレタンMR8(登録商標)レンズ基材(Mitsui Toatsu Chemicals Inc.より、屈折率=1.59)を含む。
基材の凹面主面は、同じ耐衝撃性プライマーコーティング及び耐摩耗性及び耐擦り傷性コーティング(ハードコート)で、及び反射防止コーティングで、コーティングされた。
副層、シート(A)、(B)、及び(C)、並びに前面のミラーコーティング及び背面の反射防止コーティングの層などの様々な層は、真空蒸着によって、任意選択的には指定されている場合には酸素ビーム及び場合によってはアルゴンイオンにより堆積中に支援された(IAD)真空蒸着によって(蒸着源:電子銃)、及び任意選択的には指示されている場合にはチャンバー内に(パッシブ)Oガスを供給することによる圧力制御下での蒸着によって、基材を加熱することなく堆積した。
様々なミラー及び反射防止層を堆積させることを可能にする真空蒸着装置は、材料を蒸発させるための2つのシステム、電子銃蒸着システム及び熱蒸着器(ジュール効果蒸着システム)を有するPhysimecaの真空コーターBAK、並びにアルゴンイオン衝撃による基材表面の準備の予備段階(IPC)及び層のイオン支援堆積(IAD)において使用するためのVeecoのMark2+イオン銃であった。
2.光学物品の作製
レンズは、凹面を蒸着源及びイオン銃に向けて、処理するレンズを収容することを目的とした円形の開口部を備えたカルーセル上に置いた。
光学物品を製造するための方法は、プライマー及び耐摩耗性コーティングを備えたレンズ基材を真空蒸着チャンバーの中に入れ、高真空が形成されるまでポンピング工程を行い、続いてイオン銃のコンディショニング工程(仏国特許第2957454号明細書に開示されているようなIGC、開始圧力として3.5×10-5mBar、140V、3.5A、アルゴン、60秒)を行い、開始圧力5.10-4mBarのアルゴンイオンビームによる衝撃を使用した基材表面活性化工程(IPC)(イオン銃を1.8A、100V、60秒に設定)を行い、イオン照射を停止し、その後0.4~3nm/sの範囲の速度で必要な数の層(シート(A)、(B)、及び(C)、副層、ミラーコーティング層、及び防汚コーティング)を逐次的に蒸着し、最後に通気工程を行うことを含む。
本発明によるミラー積層体の形成は、7.0×10-5mBarのO圧力下で1nm/sの速度でZrO層(シート(A))を堆積する工程、2nm/sの速度でSiO層(シート(B))を堆積する工程、7.0×10-5mBarのO圧力下で1nm/sの速度でZrO層(シート(C))を堆積する工程、アルゴンイオンビームを使用して30秒間このZrO層の表面を活性化する工程(既に基材上で直接行われたIPCと同じ処理)、任意選択的にO雰囲気下で、3nm/sの速度でSiO副層を堆積する工程(Oガスが供給された実施例6及び比較例2では1.6×10-4mBarの圧力で、又は補助ガスの供給が行われなかった他の実施例では5×10-5mBarの圧力で)、アルゴンイオンビームを使用して30秒間副層の表面を活性化する工程(既に基材上で直接行われたIPCと同じ処理)、2nm/sの速度でHI層(ZrO又はTa)を堆積する工程、2nm/sの速度でLI層(SiO)を堆積する工程、2nm/sの速度でHI層(ZrO又はTa)を堆積する工程、酸素イオン支援(イオン銃:2A、120V)により1nm/sの速度で薄い導電層(HI、ITO、又はSnO)を堆積する工程、2~3nm/sの速度でLI層(SiO)を堆積する工程、最後に0.4nm/sの速度でOptool DSX(登録商標)層を堆積する工程、を含む。
ZrOのHI層の堆積工程は、ガス供給(O、7.5×10-5mBarの圧力下)で行われた。
TaのHI層の堆積工程は、酸素イオン支援(イオン銃:3A、130V)を用いて行われ、約2×10-4mBarの圧力をもたらした。
比較例1及び2では、シート(A)は省略された。
比較例8では、シート(A)及び(B)は省略された。
比較例9では、シート(A)、(B)及び(C)は省略された。
比較例10では、Ta材料を使用してシート(A)を形成した。
3.試験方法
本発明に従って作製した光学物品を評価するために以下の試験手順を使用した。各系の複数のサンプルを測定用に作製し、報告されたデータを様々なサンプルの平均を使用して計算した。
本発明の積層体でコーティングされた面の(反射における)表色測定:国際表色CIE(L*,a*,b*)空間における反射係数Rv、色相角h、及び彩度C*は、標準光源D65及び10°の標準観察者を考慮して(h及びC*について)、Zeiss分光計を用いて行った。これらは15°の入射角のために準備される。
Ruv及びRsNIRは、同じ反射測定値から計算された。
物品の臨界温度は、特許出願国際公開第2008/001011号パンフレットに示されている方法で測定した。物品作製の1か月後に測定された。
層の厚さは、水晶振動子マイクロバランスによって制御した。
耐摩耗性は、国際公開第2012/173596号パンフレットに開示の通りに決定した。具体的には、耐摩耗性は、物品の製造から24時間後に、ASTM F735-81規格に従ってサンドバイエル試験によって測定された。
干渉コーティング全体の基材への付着特性は、国際特許出願国際公開第2010/109154号パンフレット及び国際公開第99/49097号パンフレットに記載されている、仏語で一般に「n×10coups」試験と呼ばれる試験(すなわち「n×10ブロー」試験)によってレンズの凸面で確認した。試験は、ISTM02-011に従って行われる。簡潔に説明すると、試験するサンプルをクランプに配置し、イソプロピルアルコールを染み込ませたセルヴィットクロスで被覆する。併進移動するホルダー上に配置した消しゴムをクロスと接触させる。消しゴムを、レンズと接触して配置されているセルヴィットクロスに押し付ける(力=60ニュートン)。この試験は、各サンプルについて、ミラーコーティングに欠陥が生じるまでに必要とされるサイクル数を決定することからなる。したがって、n×10ブロー試験で得られた値(10サンプルの平均)が高いほど、任意選択的にコーティングされた基材、すなわちシート(A)とその下にあるコーティング又は基材の間の干渉コーティングの付着が良好になる。20サイクル後に欠陥がない場合に、物品は試験に合格した。
4.結果
実施例で得た眼用レンズの構造的特徴、並びに光学的、機械的、及び熱機械的性能を以下に詳述する。副層は灰色である。記載されている総厚さは、ミラーコーティングと、以下の追加の層:副層、シート(A)、(B)、及び(C)とを含む積層体の厚さを言う。表内に表示がない場合、積層体は、眼用レンズの前面の主面上に配置されている。
Figure 0007399963000004
Figure 0007399963000005
シート(A)、(B)及び(C)、並びに副層を有する本発明による光学物品は、比較的な物品よりも(実施例5を比較例8及び実施例9と比較して)、同様のレベルの耐熱性を維持しながら、反射防止コーティングの良好な耐摩耗性及び良好な付着性を呈する。得られたバイエル値は6を概ね超えており、非常に高レベルの耐摩耗性を示している。
第1の高屈折率シート(A)の抑制により、耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティングとの界面において付着の問題が生じることが観察されている(データは示されていない)。
第1の高屈折率シート(A)及び第2の低屈折率シート(B)を抑制すると、(実施例5と比較例8とを比較して)耐摩耗性が低下する。更に、耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティングとの界面における付着の問題が観察される(データは示されていない)。
第1の高屈折率シート(A)、第2の低屈折率シート(B)、及び第3の高屈折率シート(C)を抑制すると、耐摩耗性が低くなり、基材への付着不良が観察される(実施例5と比較例9とを比較)。比較例12でRT1比率を増加させても、耐摩耗性は回復しなかった。
実施例3の実施例4との比較は、高いRT1比率を有することの、耐摩耗性及び臨界温度に対する有益な効果を示している。バイエル値では1.2ポイントの差が得られ、これは非常に有意である。
副層の堆積中にガス供給を回避することにより、耐摩耗性及び臨界温度は改善したが、本発明によるシート(A)~(C)が存在しない場合に付着の問題を引き起こした(比較例1及び比較例2を参照)。これらの付着問題は、副層の堆積中のガス供給を回避する場合に、本発明によるシート(A)~(C)の存在下では観察されず、耐摩耗性及び臨界温度が依然として改善された(実施例5を実施例6と比較)。
実施例5と比較例10との比較は、第1の高屈折率シート(A)及び/又は第3の高屈折率シート(C)におけるZrOではなくTaの使用は、この変更が耐摩耗性及び付着特性を大幅に低減させるため回避すべきであることを示している。更に、反射防止コーティングにZrOを使用すると、耐摩耗性の点でTaを使用した場合よりもわずかに良好な結果が得られる。
実施例5の実施例4との比較は、干渉コーティングにZrOではなくTaを使用することにより、臨界温度がわずかに改善されることを示している。実際、実施例4の様々なレンズで得られた臨界温度は95℃において平均化し、実施例5の様々なレンズで得られた臨界温度は98℃において平均化する。臨界温度は通常10℃離散ステップで与えられるため、両方の値は表では100℃に丸められている。
実施例13~14は、本発明による光学製品のまた別の例であり、それぞれの凹状主面上にUV範囲(280~380nm)において非常に低い反射である反射防止コーティングを有する。
実施例13は、前面主面上にUV光のためのミラーコーティングを有し、Ruv(15°)=70%であり、それゆえ、有害なUV光の大部分がレンズの前面主面に到達するのが防止される。
実施例13bisは、前面主面上にUV光のためのミラーコーティングを有し、Ruv(15°)=69%であり、それゆえ、有害なUV光の大部分がレンズの前面主面に到達するのが防止される。
実施形態14は、前面主面上にNIR光のためのミラーコーティングを有し、RsNIR(15°)=21%であり、それゆえ、NIR光のかなりの部分がレンズの前面主面に到達するのが防止される。
実施例13及び14に関して、凹状(裏)主面上でRuv(35°)=2.2%である。
実施例15及び16は、前面主面上に可視光のためのミラーコーティングを有し、実施例15はRv(15°)=29.7%、実施例16はRv(15°)=15%である。
本開示の実施態様の一部を以下の[項目1]-[項目14]に記載する。
[項目1]
前面主面と後面主面を有する基板を含み、そのうちの少なくとも一方の主面が:
- (A)1.55より高い屈折率を有し、Ta 層を一切含まない第1の高屈折率シート、
- (B)1.55以下の屈折率を有し、前記前者のシートと直接接触する第2の低屈折率シート、
- (C)1.55より高い屈折率を有し、前記前者のシートと直接接触する第3の高屈折率シート、
- 100nm以上の厚さを有し、前記前者のシート(C)と直接接触する単層副層、
- 1.55より高い屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層と1.55以下の屈折率を有する少なくとも1つの低屈折率層の積層体を含む多層干渉コーティング、
により連続して被覆される光学レンズであって、前記屈折率は550nmの波長について表され、
- 少なくとも一方の主面上の380nm~780nmの、ISO 13666:1998規格で定義される平均光反射係数R は15%以上であるか、又は
- 前記前面主面上の280nm~380nmの平均反射係数R UV をISO 13666:1998規格で定義される関数W(λ)で重み付けしたものは、15°以下の入射角で10%以上であるか、又は
- 少なくとも一方の主面上の780nm~2000nmの太陽光近赤外スペクトルにおける反射率RsNIRをISO 13666:1998規格で定義される関数Illum(λ)で重み付けしたものは10%以上である
光学レンズ。
[項目2]
前記副層の前記堆積が、前記堆積中に補助ガスが供給されない真空チャンバー内で行われる、項目1に記載の光学レンズ。
[項目3]
前記副層がSiO ベースの層である、項目1又は2に記載の光学レンズ。
[項目4]
前記干渉コーティングが、少なくとも1つのTa ベースの層を含む、項目1~3のいずれか一項に記載の光学レンズ。
[項目5]
前記干渉コーティングが、少なくとも1つの導電層、好ましくはSnO ベースの層を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の光学レンズ。
[項目6]
前記干渉コーティングが、反射防止コーティングである、項目1~5のいずれか一項に記載の光学レンズ。
[項目7]
前記光学レンズが、眼用レンズである、項目1~6のいずれか一項に記載の光学レンズ。
[項目8]
1.55より高い屈折率を有する前記第1の高屈折率シート(A)が、ZrO ベースの層である、項目1~7のいずれか一項に記載の光学レンズ。
[項目9]
1.55以下の屈折率を有する前記第2の低屈折率シート(B)が、SiO ベースの層である、項目1~8のいずれか一項に記載の光学レンズ。
[項目10]
1.55より高い屈折率を有する前記第3の高屈折率シート(C)が、Ta 、Nb 、PrTiO 、ZrO 、及びY から選択される少なくとも1つの材料を含む、項目1~9のいずれか一項に記載の光学レンズ。
[項目11]
前記比率、すなわち、
Figure 0007399963000006
が、0.8以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上である、項目1~10のいずれか一項に記載の光学レンズ。
[項目12]
1.55以下の屈折率を有する前記第2の低屈折率シート(B)の前記厚さが、80nm以下、好ましくは70nm以下である、項目1~11のいずれか一項に記載の光学レンズ。
[項目13]
1.55より高い屈折率を有する前記第1の高屈折率シート(A)、及び1.55より高い屈折率を有する前記第3の高屈折率シート(C)が、60nm以下、好ましくは25nm以下の厚さを有する、項目1~12のいずれか一項に記載の光学レンズ。
[項目14]
項目1~13のいずれか一項に記載の光学レンズの製造方法において、
- 前面主面と後面主面を有する基板を含む光学レンズを提供することと、
- 前記基板の少なくとも一方の主面上に、1.55より高い屈折率を有し、Ta 層を一切含まない第1の高屈折率シート(A)、1.55以下の屈折率を有し、前記前者のシート(A)と直接接触するようにされる第2の低屈折率シート(B)、1.55より高い屈折率を有し、前記前者のシート(B)と直接接触するようにされる第3の高屈折率シート(C)、100nm以上の厚さを有し、前記前者のシート(C)と直接接触するようにされる単層副層、及び1.55より高い屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層と1.55以下の屈折率を有する少なくとも1つの低屈折率層の積層体を含む多層干渉コーティングをこの順序で堆積させることと、を含み、前記屈折率は550nmの波長について表され、
- 少なくとも一方の主面上の380nm~780nmの、ISO 13666:1998規格で定義される平均光反射係数R は15%以上であるか、又は
- 前記前面主面上の280nm~380nmの平均反射係数R UV をISO 13666:1998規格で定義される関数W(λ)で重み付けしたものは、15°以下の入射角で10%以上であるか、又は
- 少なくとも一方の主面上の780nm~2000nmの太陽光近赤外スペクトルにおける反射率RsNIRをISO 13666:1998規格で定義される関数Illum(λ)で重み付けしたものは、10%以上である、方法。

Claims (18)

  1. 前面主面と後面主面を有する基板を含み、そのうちの少なくとも一方の主面が:
    - (A)1.55より高い屈折率を有し、Ta層を一切含まない第1の高屈折率シート、
    - (B)1.55以下の屈折率を有し、シート(A)と直接接触する第2の低屈折率シート、
    - (C)1.55より高い屈折率を有し、シート(B)と直接接触する第3の高屈折率シート、
    - 100nm以上の厚さを有し、シート(C)と直接接触する単層副層、
    - 1.55より高い屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層と1.55以下の屈折率を有する少なくとも1つの低屈折率層の積層体を含む多層干渉コーティング、
    により連続して被覆される光学レンズであって、前記屈折率は550nmの波長について表され、
    - 少なくとも一方の主面上の380nm~780nmの、ISO 13666:1998規格で定義される平均光反射係数Rは15%以上であるか、又は
    - 前記前面主面上の280nm~380nmの平均反射係数RUVをISO 13666:1998規格で定義される関数W(λ)で重み付けしたものは、15°以下の入射角で10%以上であるか、又は
    - 少なくとも一方の主面上の780nm~2000nmの太陽光近赤外スペクトルにおける反射率RsNIRをISO 13666:1998規格で定義される関数Illum(λ)で重み付けしたものは10%以上である
    光学レンズ。
  2. 前記単層層が、真空チャンバー内で堆積され、ここで前記堆積中に補助ガスが供給されない、請求項1に記載の光学レンズ。
  3. 前記単層副層がSiOベースの層である、請求項1又は2に記載の光学レンズ。
  4. 前記多層干渉コーティングが、少なくとも1つのTaベースの層を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  5. 前記多層干渉コーティングが、少なくとも1つの導電層を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  6. 前記多層干渉コーティングが、少なくとも1つのSnOベースの層を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  7. 前記多層干渉コーティングが、反射防止コーティングである、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  8. 前記光学レンズが、眼用レンズである、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  9. 1.55より高い屈折率を有する前記第1の高屈折率シート(A)が、ZrOベースの層である、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  10. 1.55以下の屈折率を有する前記第2の低屈折率シート(B)が、SiOベースの層である、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  11. 1.55より高い屈折率を有する前記第3の高屈折率シート(C)が、Ta、Nb、PrTiO、ZrO、及びYから選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  12. 率、すなわち、
    Figure 0007399963000007
    が、0.8以上である、請求項1~11のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  13. 率、すなわち、
    Figure 0007399963000008
    が、2以上である、請求項1~11のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  14. 1.55以下の屈折率を有する前記第2の低屈折率シート(B)が、80nm以下の厚さを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  15. 1.55より高い屈折率を有する前記第1の高屈折率シート(A)、及び1.55より高い屈折率を有する前記第3の高屈折率シート(C)が、60nm以下の厚さを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  16. 1.55より高い屈折率を有する前記第1の高屈折率シート(A)、及び1.55より高い屈折率を有する前記第3の高屈折率シート(C)が、25nm以下の厚さを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  17. 前記多層干渉コーティングが、以下の特性を呈する、請求項1~16のいずれか一項に記載の光学レンズ:
    - 少なくとも一方の主面上の380nm~780nmの、ISO 13666:1998規格で定義される平均光反射係数Rは15%以上であるか、又は
    - 前記前面主面上の280nm~380nmの平均反射係数RUVをISO 13666:1998規格で定義される関数W(λ)で重み付けしたものは、15°以下の入射角で10%以上であるか、又は
    - 少なくとも一方の主面上の780nm~2000nmの太陽光近赤外スペクトルにおける反射率RsNIRをISO 13666:1998規格で定義される関数Illum(λ)で重み付けしたものは10%以上である。
  18. 請求項1~17のいずれか一項に記載の光学レンズの製造方法において、
    - 前面主面と後面主面を有する基板を含む光学レンズを提供することと、
    - 前記基板の少なくとも一方の主面上に、1.55より高い屈折率を有し、Ta層を一切含まない第1の高屈折率シート(A)、1.55以下の屈折率を有し、シート(A)と直接接触するようにされる第2の低屈折率シート(B)、1.55より高い屈折率を有し、シート(B)と直接接触するようにされる第3の高屈折率シート(C)、100nm以上の厚さを有し、シート(C)と直接接触するようにされる単層副層、及び1.55より高い屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層と1.55以下の屈折率を有する少なくとも1つの低屈折率層の積層体を含む多層干渉コーティングをこの順序で堆積させることと、を含み、前記屈折率は550nmの波長について表され、
    - 少なくとも一方の主面上の380nm~780nmの、ISO 13666:1998規格で定義される平均光反射係数Rは15%以上であるか、又は
    - 前記前面主面上の280nm~380nmの平均反射係数RUVをISO 13666:1998規格で定義される関数W(λ)で重み付けしたものは、15°以下の入射角で10%以上であるか、又は
    - 少なくとも一方の主面上の780nm~2000nmの太陽光近赤外スペクトルにおける反射率RsNIRをISO 13666:1998規格で定義される関数Illum(λ)で重み付けしたものは、10%以上である、方法。
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