JP5066967B2 - 光学物品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、複数の層が積層された反射防止層を有する光学物品の製造方法に関する。
一般に、メガネレンズなどの光学物品の表面には、傷防止のためのハードコート層や、ゴースト及びちらつきを防止するための反射防止層、そして撥水効果を付与するための防汚層などが形成されている。
反射防止層はハードコート層表面に異なる屈折率を持つ物質を交互に積層してなるいわゆる多層反射防止層として形成される。このような多層反射防止層を構成する物質としては、例えば、低屈折率層に主に二酸化珪素が用いられ、高屈折率層にZrO(酸化ジルコニウム)、Ta(酸化タンタル)、TiO(酸化チタン)、Nb(酸化ニオブ)等が用いられた構成が特許文献1に記載されている。また、低屈折率層に酸化珪素、高屈折率層に窒化珪素を用いた反射防止層の製造方法に関する技術が特許文献2に開示されている。
特開2004−170500号公報 特開平11−242102号公報
しかしながら、これらの組み合わせにより形成された光学物品の耐擦傷性は、使用者の乱暴な取り扱いや不注意などにより、必ずしも最表面の傷を防げることはなく、耐擦傷性に問題があった。また、他の性能、例えば耐熱性なども十分でなかった。
したがって、本発明の目的は、従来の光学特性を維持するとともに、耐擦傷性および耐熱性に優れた光学物品の製造方法を提供することである。
本発明の光学物品の製造方法は、ハードコート層を有するプラスチック基材の表面に、二酸化珪素からなる複数の第1の層および窒化珪素からなる複数の第2の層が交互に積層してなる反射防止層が設けられる光学物品を製造する方法であって、前記複数の第2の層のうち、前記ハードコート層に最も近い層の膜厚は、前記複数の第2の層のうち前記ハードコート層に最も近い層ではない層の膜厚よりも厚く、前記複数の第2の層のうち、前記ハードコート層に最も近い層の膜応力が圧縮応力10〜200MPaであり、前記第2の層のうち前記ハードコート層に最も近い層ではない層の膜応力が圧縮応力200〜400MPaであり、前記第1の層と前記第2の層とはスパッタリング法で形成され、前記複数の第2の層のうち、前記ハードコート層に最も近い層形成時のアルゴン導入圧が5〜10Paであり、前記第2の層のうち前記ハードコート層に最も近い層ではない層形成時のアルゴン導入圧が2〜5Paであることを特徴とする。
この発明によれば、二酸化珪素からなる第1の層と窒化珪素からなる第2の層とを交互に積層した反射防止層において、複数の第2の層のうち、ハードコート層に最も近い層を厚肉層としている。なお、この厚肉層は、第2の層のうち厚肉層以外の層よりも厚く形成される。第2の層のうちハードコート層に最も近い層ではない層を厚肉層とすると、可視光領域(380m〜700nm)における反射率が悪くなり、光学特性を維持することができない。
第2の層を形成する窒化珪素は、耐擦傷性の点から四窒化三珪素であることが好ましい。
このように、第2の層のうちハードコート層に最も近い層を厚肉層とすることにより、反射防止層全体の耐擦傷性および耐熱性を向上させることができる。
しかも、第2の層のうちハードコート層に最も近い層の膜応力が圧縮応力10〜200MPa、第2の層のうちハードコート層に最も近い層ではない層の膜応力が圧縮応力200〜400MPaであるので、第2の層のうちハードコート層に最も近い層の膜応力は第2の層のうちハードコート層に最も近い層ではない層に比べて緻密性が低い。このように複数の第2の層の膜応力を変えることで、反射防止層全体の耐擦傷性および耐熱性を向上させることができる。
その上、第2の層のうちハードコート層に最も近い層を形成するスパッタリング工程において、アルゴン導入圧を5〜10Paとする。一方、第2の層のうちハードコート層に最も近い層でない層を形成する際には、アルゴン導入圧を2〜5Paとする。これにより、前述の膜応力が圧縮応力10〜200MPaである層と膜応力が圧縮応力200〜400MPaである層を形成することができる。
本発明の光学物品の製造方法は、前記複数の第2の層のうち前記ハードコート層に最も近い層の膜厚は2.5λ以上かつ3λ以下であることが好ましい。
この発明によれば、複数の第2の層のうち、ハードコート層に最も近い層を2.5λ以上かつ3λ以下の厚肉層としている。この厚肉層は、第2の層のうち厚肉層以外の層よりも厚く形成される。ハードコート層に最も近い層ではない層を厚肉層とすると、可視光領域(380nm〜700nm)における反射率が悪くなり、光学特性を維持することができない。
厚肉層の厚みが3λを超えると、可視光領域における反射率が悪化してしまい、光学物品としての特性を維持することができない。したがって、厚肉層の厚みは、2.5λ以上かつ3.0λ以下の範囲内に設定することで、光学特性を維持するとともに、前述の耐擦傷性を向上させることができる。
本発明の光学物品の製造方法は、前記第1の層のうち1層は前記ハードコート層に接し、この第1の層の上に前記第2の層、前記第1の層、前記第2の層および前記第1の層がこの順番で積層されることが好ましい。
この発明によれば、反射防止層は5層で構成される。これらの反射防止層のうち、ハードコート層に近い側から第1層、第2層、第3層、第4層および第5層とすると、第2層および第4層が窒化珪素からなる第2の層であり、第2層および第4層のうち第2層が厚肉層となる。したがって、前述のとおり、耐擦傷性および耐熱性を向上させることができる。
さらに、第1層を二酸化珪素からなる第1の層としたので、ハードコート層と反射防止層との密着性に優れ、耐擦傷性がさらに向上するとともに、ムクミを防止することができる。
本発明の光学物品の製造方法は、前記第2の層のうち1層は前記ハードコート層に接し、この第2の層の上に前記第1の層、前記第2の層および前記第1の層がこの順番で積層されることが好ましい。
この発明によれば、反射防止層は4層で構成される。前述の5層構成の反射防止層のうち二酸化珪素からなる第1層が積層されていない構成であり、ハードコート層の直上に窒化珪素からなる厚みが2.5λ以上の厚肉層が積層されている。したがって、耐擦傷性および耐熱性を向上させることができるとともに、第1層を積層する手間を省くことができるので工程を簡略化することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のメガネレンズの断面図である。
[第一実施形態](1.メガネレンズ1Aの構成)
メガネレンズ1Aは、レンズ基材10の表面に、ハードコート層11、低屈折率層である第1の層と高屈折率層である第2の層とが交互に積層された反射防止層12Aおよび防汚層13が順に積層される。
(2.レンズ基材10)
レンズ基材10は、屈折力、機械的強度、透過率など、メガネまたは光学物品における基本特性を維持するための機能を有する。
レンズ基材10は特に限定されないが、(メタ)アクリル樹脂をはじめとしてスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明なプラスチック樹脂等を例示することができる。
(3.ハードコート層11)
ハードコート層11としては、本来の機能である耐擦傷性を向上するものであればよい。例えば、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等を用いたハードコート膜が挙げられるが、シリコーン系樹脂を用いたハードコート膜が最も好ましい。例えば、金属酸化物微粒子、シラン化合物からなるコーティング組成物を塗布し硬化させてハードコート膜を形成することができる。このコーティング組成物にはコロイダルシリカ、および多官能性エポキシ化合物等の成分を含んでいてもよい。
さらにハードコート層11は、従来公知の各種添加剤を含むことができる。例えば、塗布性の向上を目的とした各種レベリング剤、耐候性の向上を目的とした紫外線吸収剤や酸化防止剤、さらに染料や顔料等の添加剤などが挙げられる。
このようなハードコート層11を形成する方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法により、ハードコート層11を構成する組成物を塗布し、その後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥する方法が例示できる。
(4.反射防止層12A)
(4−1.反射防止層12Aの構成)
次に、反射防止層12Aについて説明する。
反射防止層12Aは、反射防止、フィルタリング等の光学機能のほか、耐擦傷性機能も有する。なお、反射防止層12Aは、可視光領域(380nm〜700nm)で反射率が5%以下の機能を有する。
反射防止層12Aは、低屈折率層である第1の層と高屈折率層である第2の層とが交互に積層され、ハードコート層11の側から、第1層121、第2層122、第3層123、第4層124および第5層125が順に積層されている。
第1層121、第3層123、第5層125は二酸化珪素(SiO)からなる低屈折率層であり、第2層122および第4層124は四窒化三珪素(Si)からなる高屈折率層となっている。第2層122は第4層124よりも厚く形成された厚肉層であり、設計波長λに対して2.5〜3.0λの範囲の厚みを有している。
(4−2.反射防止層12Aの形成)
反射防止層12Aは、スパッタリング法により積層される。図2は、メガネレンズ1Aを製造するためのスパッタリング装置2を模式的に示した図である。
このスパッタリング装置2により、ハードコート層11が積層されたレンズ基材10の表面に、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層され、反射防止層12Aを形成する。
以下、スパッタリング装置2の構成と、このスパッタリング装置2を用いた反射防止層12Aの形成方法とについて詳述する。
スパッタリング装置2は、ケーシング2Aを備え、このケーシング2Aの内部に基材保持台21が配置されている。基材保持台21にはメガネレンズ1Aがセットされる。また、基材保持台21と対向するようにターゲット設置台22が設けられ、ターゲット設置台22には、メガネレンズ1Aの表面と対向するようにターゲット23が設置されている。ターゲット23は、メガネレンズ1Aの表面に積層する物質で形成される。
また、図示しない真空排気装置(ターボ分子ポンプ、メカニカルブースターポンプ、ドライポンプ等)で排気できるようになっており、APC(自動圧力制御装置)によってスパッタリング装置2内の圧力は一定に保たれる。
基材保持台21とターゲット23の間には高周波電圧が印可する電源装置24が設けられており、このスパッタリング装置2が作動すると、スパッタリング装置2内でイオン化された希ガスがターゲット23に衝突し、はじき飛ばされたターゲット物質がメガネレンズ1Aの表面に成膜される。
次に、反射防止層12Aを形成する方法について説明する。
ハードコート層11が積層されたメガネレンズ1Aを基材保持台21に載せ、基材保持台21をスパッタリング装置2内に設置し、真空排気した後、約80℃に加熱する。
ターゲット23には、まず、SiOからなるターゲットを使用する。希ガスとして、Arを2〜5Paの圧力で導入する。これは、通常実施されるものと同じ圧力である。基材保持台21とターゲット23に高周波電圧を印加してスパッタリング装置2内にプラズマを発生させると、メガネレンズ1A上にSiOからなる第1層121を形成することができる。
次に、ターゲット23を、SiOからなるターゲットからSiからなるターゲットに代え、アルゴン導入圧を5〜10Paとして第2層122を形成する。なお、第2層122は、設計波長λに対して2.5λ〜3.0λの範囲内となるように形成する。
次に、第3層123の形成を第1層121と同じように行った後、第4層124を形成する。第4層124は、第2層122と同じようにSiからなるターゲットを使用し、アルゴン導入圧を2〜5Paで行う。そして、最後に第5層の形成125を第1層121と同じように行い、反射防止層12Aを形成する。
本実施形態における各層の厚みは設計波長λに対して、第1層121が0.10λ、第2層122が2.71λ、第3層123が0.13λ、第4層124が0.62λ、第5層125が1.24λである。
(5.防汚層13)
反射防止層12Aの表面には、防汚層13が形成される。
防汚層13は、メガネレンズを使用するに際し、レンズ面に手垢、汗、化粧料等による汚れが付着し難く、しかも汚れを拭き取りやすくするために、防汚性能(撥水撥油性能)を付与する。
防汚層13は、フッ素系のフルオロアルキシシラン等を用いて形成することができる。また、塗布方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法などの公知の方法が使用可能である。
以上説明した第一実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)ハードコート層11に最も近い高屈折率層である第2層122は、厚みが設計波長λに対して2.71λと厚く、かつ、アルゴン導入圧5〜10Paの範囲内でスパッタリングを行ったので低緻密性となっている。また、防汚層13に最も近い高屈折率層である第4層124は、厚みが薄く、かつ、高緻密性となっている。
したがって、メガネレンズ1Aは耐擦傷性および耐熱性に優れているとともに、メガネレンズ1Aの可視光領域(380nm〜700nm)における反射率は5%以下であり、光学特性を維持することができる。
(2)ハードコート層11の直上にSiOからなる第1層121を積層したので、ハードコート層11と反射防止層12Aとの密着性が向上し、耐久性に優れる。また、ムクミを防止することもできる。
(3)反射防止層12Aにおいて、第2層122を形成する際にアルゴン導入圧を5〜10Paの範囲内となるように設定して行ったので、低密度かつ低膜応力(低緻密性)の層を形成することができる。また、第4層124を形成する際はアルゴン導入圧を2〜5Paの範囲内となるように設定して行ったので、高密度かつ高膜応力(高緻密性)の層を形成することができる。これにより、耐擦傷性および耐熱性を備えたメガネレンズ1Aを提供することができる。
(4)第2層122および第4層124の緻密性を変えるには、各層の形成時のアルゴンの導入圧を変えるだけでよい。したがって、特別な設備や工程を必要としないので、コストや手間がかからず簡単に製造することができる。
[第二実施形態]
第二実施形態のメガネレンズ1Bは、反射防止層の層構成が異なる以外は第一実施形態と同様である。図3に第二実施形態にかかるメガネレンズの断面図を示す。
第二実施形態では、ハードコート層11の直上にSiからなる第2層122を積層し、その上にSiOからなる第3層123、Siからなる第4層124およびSiOからなる第5層125を順次積層して反射防止層12Bとする。
以上説明した第二実施形態によれば、第一実施形態の(1)(3)(4)および以下の作用効果を奏することができる。
(5)第二実施形態では、ハードコート層11の直上に、Siからなる第2層122を積層しているので、第一実施形態で示したように第1層を積層する必要がない。したがって、反射防止層12Bの形成において工程を簡略化することができる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。
例えば、第一実施形態および第二実施形態では、ハードコート層11は単層となっているが、プライマー層を含む多層構造であってもよい。プライマー層は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂などで形成され、レンズ基材10とハードコート層11との密着性をより高めることができる。また、熱的な影響でレンズ基材10が膨張する変形を緩和して上層の反射防止層のクラック発生を防止して耐熱性を向上させることができる。さらには、耐衝撃性を向上させることもできる。
また、第一実施形態および第二実施形態では、反射防止層を5層構成または4層構成としたが、6層や7層構成とすることもできる。また、第3層以降をSiO、Si以外の材料から形成してもよく、さらには、第1層と第2層との間にSiO、Si以外の材料からなる中間層を設けてもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。
以下の実施例および比較例に示される方法でメガネレンズを作製し、耐擦傷性試験、耐熱性試験、恒温恒室試験、反射率測定試験を行い、評価した。
[実施例1]
第一実施形態に記載の方法でメガネレンズを作製した。
プラスチック製光学物品として、プラスチック製メガネレンズ(セイコーエプソン(株)製、商品名:セイコースーパーソブリン(SSV))の表面に、ハードコート層が積層されたものを準備し、スパッタリング法により反射防止層の形成を行った。
低屈折率層には二酸化珪素(SiO)を用い、希ガスとしてアルゴンを使用した。このときのアルゴン導入圧は、通常の2〜5Paで行った。
一方、高屈折率層には四窒化三珪素膜(Si)を用い、最下層となる四窒化三珪素膜を形成する際にはアルゴン導入圧を5〜10Pa、その他の四窒化三珪素膜を形成する際にはアルゴン導入圧を2〜5Paで行った。
レンズ基材側から、第1層は0.10λ(物理膜厚9nm)の光学膜厚を持つSiO層、第2層は2.71λ(物理膜厚168nm)の光学膜厚を持つSi層、第3層は0.13λ(物理膜厚11nm)の光学膜厚を持つSiO層、第4層は、0.62λ(物理膜厚39nm)の光学膜厚を持つSi層、第5層は1.24λ(物理膜厚96nm)の光学膜厚を持つSiO層を順次積層して反射防止層とした(図1参照)。
反射防止層の表面には、防汚層または撥水層として、フッ素系のフルオロアルキシシラン等を積層した。例えば、GE東芝シリコーン株式会社製TSL8233(商品名)、TSL8257(商品名)、ダイキン工業株式会社製オプツールDSX(商品名)等を使用することができる。
[実施例2]
反射防止層の各層の膜厚を次のように形成した以外は実施例1と同様である。
レンズ基材側から、第1層は0.10λ(物理膜厚9nm)の光学膜厚を持つSiO層、第2層は2.50λ(物理膜厚155nm)の光学膜厚を持つSi層、第3層は0.15λ(物理膜厚13nm)の光学膜厚を持つSiO層、第4層は、0.69λ(物理膜厚43nm)の光学膜厚を持つSi層、第5層は1.10λ(物理膜厚95nm)の光学膜厚を持つSiO層を順次積層して反射防止層とした(図1参照)。
[実施例3]
反射防止層の各層の膜厚を次のように形成した以外は実施例1と同様である。
レンズ基材側から、第1層は0.10λ(物理膜厚9nm)の光学膜厚を持つSiO層、第2層は3.00λ(物理膜厚186nm)の光学膜厚を持つSi層、第3層は0.15λ(物理膜厚13nm)の光学膜厚を持つSiO層、第4層は、0.58λ(物理膜厚36nm)の光学膜厚を持つSi層、第5層は1.10λ(物理膜厚95nm)の光学膜厚を持つSiO層を順次積層して反射防止層とした。
[実施例4]
反射防止層の各層の膜厚を次のように形成した以外は実施例1と同様である。
レンズ基材側から、第1層は2.50λ(物理膜厚155nm)の光学膜厚を持つSi層、第2層は0.15λ(物理膜厚13nm)の光学膜厚を持つSiO層、第3層は、0.69λ(物理膜厚43nm)の光学膜厚を持つSi層、第4層は1.10λ(物理膜厚95nm)の光学膜厚を持つSiO層を順次積層して反射防止層とした。
[実施例5]
反射防止層を7層構成とし、各層の膜厚を次のように形成した以外は実施例1と同様である。
レンズ基材側から、第1層は0.10λ(物理膜厚9nm)の光学膜厚を持つSiO層、第2層は2.50λ(物理膜厚155nm)の光学膜厚を持つSi層、第3層は0.18λ(物理膜厚16nm)の光学膜厚を持つSiO層、第4層は0.91λ(物理膜厚56nm)の光学膜厚を持つSi層、第5層は0.22λ(物理膜厚19nm)の光学膜厚を持つSiO層、第6層は、0.95λ(物理膜厚59nm)の光学膜厚を持つSi層、第7層は1.03λ(物理膜厚 88nm)の光学膜厚を持つSiO層を順次積層して反射防止層とした。
[比較例1]
反射防止層の積層を以下のように行った以外は実施例1と同様である。
レンズ基材側から、第1層は2.05λ(物理膜厚175nm)の光学膜厚を持つSiO層、第2層は、0.51λ(物理膜厚31nm)の光学膜厚を持つSi層、第3層は0.25λ(物理膜厚21nm)の光学膜厚を持つSiO層、第4層は、1.03λ(物理膜厚64nm)の光学膜厚を持つSi層、第5層は1.00λ(物理膜厚86nm)の光学膜厚を持つSiO層を順次積層した。
[比較例2]
反射防止層の積層を以下のように行った以外は実施例1と同様である。
レンズ基材側から順に、SiO層とZrO層とを交互に積層させ、5層からなる反射防止層を形成した。SiO層およびZrO層は、真空蒸着法(真空度5.0×10−4Pa)で形成した。レンズ基材側から、第1層は1.70λ(物理膜厚146nm)の光学膜厚を持つSiO層、第2層は、0.50λ(物理膜厚30nm)の光学膜厚を持つZrO層、第3層は0.24λ(物理膜厚21nm)の光学膜厚を持つSiO層、第4層は、0.95λ(物理膜厚58nm)の光学膜厚を持つZrO層、第5層は1.00λ(物理膜厚85nm)の光学膜厚を持つSiO層を順次積層した。
[比較例3]
実施例1における反射防止層の第2層を3.50λ(物理膜厚217nm)とした。
[比較例4]
反射防止層の積層を以下のように行った以外は実施例1と同様である。
レンズ基材側から、第1層は0.10λ(物理膜厚9nm)の光学膜厚を持つSiO層、第2層は0.62λ(物理膜厚39nm)の光学膜厚を持つSi層、第3層は0.13λ(物理膜厚11nm)の光学膜厚を持つSiO層、第4層は、2.71λ(物理膜厚168nm)の光学膜厚を持つSi層、第5層は1.24λ(物理膜厚96nm)の光学膜厚を持つSiO層を順次積層して反射防止層とした。
[比較例5]
実施例5において、第2層を0.61λ(物理膜厚37nm)の光学膜厚を持つSi層、第6層を2.50λ(物理膜厚155nm)の光学膜厚を持つSi層とした。
実施例1〜5および比較例1〜5により得られたメガネレンズを以下の耐擦傷性試験、耐熱性試験、恒温恒室試験、反射率測定試験により評価した。
(耐擦傷性試験)
スチールウール試験を行った。メガネレンズにボンスター#0000スチールウール(日本スチールウール(株)製)で1kgの荷重をかけ、10往復表面を摩擦し、傷ついた程度を目視で観察した。
評価基準は、傷の程度を目視の観察により10段階(1(悪)〜10(良))にランク付けし、以下のように評価した。
◎:段階10〜8で非常に耐擦傷性が高い。
〇:段階7〜6で耐擦傷性が高い。
△:段階5〜4で耐擦傷性は若干低い。
×:段階3〜1で耐擦傷性が低い。
(耐熱性試験)
反射防止層を形成後、オーブンで30分加熱した後、クラックの有無を評価し、クラックの発生した温度をその耐熱温度とした。加熱温度は40℃よりはじめて、5℃ずつ上げた。耐熱温度が高いほど耐熱性に優れている。
(恒温恒室試験)
この試験により、密着性の評価を行った。
レンズ凹面と凸面上にカッターで升目大きさ1mmの四角形100個を刻む。それを温度60℃湿度100%の恒温恒室槽に置き、7日目に刻んだレンズのクロスカット試験を行った。クロスカット試験は刻んだ部分にニチバンセロハンテープ(商品名)幅12mm(JIS Z1522)を密着させ、すばやくテープをはがすことにより、ハガレの面積により評価した。
評価基準はハガレの面積を目視の観察により4段階にランク付けし、以下のように評価した。
◎:残った面積100で非常に密着性が高い。
〇:残った面積99〜85で密着性が高い。
△:段残った面積84〜35で密着性がやや低い。
×:段階34以下で密着性が低い。
(反射率測定試験)
可視光領域(380nm〜700nm)における反射率の測定を行った。実施例1の測定結果をグラフにしたものを図4に示す。図4において、横軸は波長(Wavelength)、縦軸は反射率(Reflectance)である。測定は分光光度計(U−3500 HITACHI製)を用いた。
実施例1の反射率の測定結果を図4に示した。実施例2〜4の測定結果は図4とほぼ同様の測定結果であった。また、実施例5の反射率の測定結果を図5に示した。また、比較例4の反射率の測定結果を図6に示し、比較例5の反射率の測定結果を図7に示した。
これらの評価結果を以下の表1に示す。
Figure 0005066967
実施例1〜5は、耐擦傷性試験の評価が高いので耐擦傷性に優れている。また、耐熱評価温度も高いので耐熱性も良好である。さらに、可視光領域における反射率も5%以下となっており、従来と同等の光学特性が得られた。なお、実施例4はハードコート層と反射防止層との間にSiO層を設けていないために密着性が良くなかったが、実用上問題なかった。
比較例1〜2は、実施例1〜4に比べて耐擦傷性および耐熱性が劣っている。比較例3〜5は、耐擦傷性および耐熱性は良好であったが、可視光領域における反射率が悪く、光学特性を発揮できない。
本発明は、メガネレンズなどのプラスチック製光学物品に使用できる。
本発明の第一実施形態にかかるメガネレンズの断面図。 本発明の第一実施形態にかかるスパッタリング装置の模式図。 本発明の第二実施形態にかかるメガネレンズの断面図。 本発明の実施例にかかる測定結果をグラフ化した図。 本発明の実施例にかかる測定結果をグラフ化した図。 本発明の実施例にかかる測定結果をグラフ化した図。 本発明の実施例にかかる測定結果をグラフ化した図。
符号の説明
1A、1B…メガネレンズ、11…ハードコート層、12A、12B…反射防止層、13…防汚層

Claims (4)

  1. ハードコート層を有するプラスチック基材の表面に、二酸化珪素からなる複数の第1の層および窒化珪素からなる複数の第2の層が交互に積層してなる反射防止層が設けられる光学物品を製造する方法であって、
    前記複数の第2の層のうち、前記ハードコート層に最も近い層の膜厚は、前記複数の第2の層のうち前記ハードコート層に最も近い層ではない層の膜厚よりも厚く、
    前記複数の第2の層のうち、前記ハードコート層に最も近い層の膜応力が圧縮応力10〜200MPaであり、前記第2の層のうち前記ハードコート層に最も近い層ではない層の膜応力が圧縮応力200〜400MPaであり、
    前記第1の層と前記第2の層とはスパッタリング法で形成され、
    前記複数の第2の層のうち、前記ハードコート層に最も近い層形成時のアルゴン導入圧が5〜10Paであり、
    前記第2の層のうち前記ハードコート層に最も近い層ではない層形成時のアルゴン導入圧が2〜5Paである
    ことを特徴とする光学物品の製造方法
  2. 請求項1に記載の光学物品の製造方法において、
    前記複数の第2の層のうち前記ハードコート層に最も近い層の膜厚は2.5λ以上かつ3λ以下である
    ことを特徴とする光学物品の製造方法
  3. 請求項1または請求項2に記載の光学物品の製造方法において、
    前記第1の層のうち1層は前記ハードコート層に接し、
    この第1の層の上に前記第2の層、前記第1の層、前記第2の層および前記第1の層がこの順番で積層される
    ことを特徴とする光学物品の製造方法
  4. 請求項1または請求項2に記載の光学物品の製造方法において、
    前記第2の層のうち1層は前記ハードコート層に接し、
    この第2の層の上に前記第1の層、前記第2の層および前記第1の層がこの順番で積層される
    ことを特徴とする光学物品の製造方法
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