JP4629355B2 - プラスチック製ミラーコートレンズ - Google Patents
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Description
第1層は下地層として機能し、第2層及び第3層は二層等価膜の中屈折率層として機能し、第4層〜第6層は三層等価膜の高屈折率層として機能し、第7層は低屈折率層として機能し、第8層及び第9層は、増反射を与える層として機能する。
レンズの凹面を基準とした場合、第2層〜第7層は、基本的にはλ/4−λ/2−λ/4の反射防止膜として機能している。第8層及び第9層は、レンズの凹面からでは、何ら反射増加、反射防止には寄与しない。
第1層は下地層として機能し、第2層及び第3層は二層等価膜の中屈折率層として機能し、第4層は高屈折率層として機能し、第5層は低屈折率層として機能し、第6層及び第7層は、増反射を与える層として機能する。
レンズの凹面を基準とした場合、第2層〜第5層は、基本的にはλ/4−λ/2−λ/4の反射防止膜として機能している。また、第6層及び第7層は増反射層として機能する。
(1)視感反射率
プラスチックレンズの表面側視感反射率Y1は、日立分光光度計U−3410を用い、内面側を黒色マジックで塗り、反射を除去して視感反射率を測定した。プラスチックレンズの裏面側視感反射率Y2は、日立分光光度計U−3410を用い、まず凹面側に反射防止膜を設けたレンズの視感反射率を測定し、同様の反射防止膜を設け凸面を黒色マジックで塗り、反射を除去したレンズの凹面視感反射率(裏面側視感反射率を含む)を測定し、比較品の凹面視感反射率から先に測定した視感反射率を引き、裏面側視感反射率Y2とした。
(2)視感透過率
プラスチックレンズの視感透過率Y3は、日立分光光度計U−3410を用いて測定した。
(3)鏡面効果
得られたミラーコートレンズに関し、ミラーコートとしての鏡面効果を有しているか肉眼で観察した。ミラーコートとしての鏡面効果を有しているものは「○」、鏡面効果を有していないものは「×」とした。
(4)密着性
プラスチックレンズの表面に剃刀にて1mm×1mmの升目を100個作成し、升目上にセロハンテープを貼り、一気にテープをはがし、残った升目の数で評価した。表中、残った升目の数/100で記載した。
(5)耐摩耗性
プラスチックレンズの表面にスチールウール(日本スチールウール(株)製 規格
#0000)にて98kPa(1kgf/cm2) の荷重をかけ、20ストローク擦り、表面状態により以下の基準で評価した。
UA:殆ど傷なし
A:細い傷数本あり
B:細い傷多数、太い傷数本あり
C:細い傷多数、太い傷多数あり
D:殆ど膜はげ状態
(6)耐熱性
プラスチックレンズをドライオーブンで1時間加熱し、クラックの発生温度を測定した。
(7)耐アルカリ性
プラスチックレンズを10%NaOH水溶液に1時間浸漬し、表面状態により以下の基準で評価した。
UA:殆ど変化なし
A:点状の膜はげ数個あり
B:点状の膜はげが全面にあり
C:点状のはげが全面、面状のはげ数個あり
D:殆ど全面膜はげ
ガラス製容器に、コロイダルシリカ(スノーテックス−40、日産化学工業(株))90重量部、有機ケイ素化合物のメチルトリメトキシシラン81.6重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン176重量部、0.5N塩酸2.0重量部、酢酸20重量部、水90重量を加えた液を、室温にて8時間攪拌後、室温にて16時間放置して加水分解溶液を得た。この溶液に、イソプロピルアルコール120重量部、n−ブチルアルコール120重量部、アルミニウムアセチルアセトン16重量部、シリコーン系界面活性剤0.2重量部、紫外線吸収剤0.1重量部を加え、室温にて8時間攪拌後、室温にて24時間熟成させコーティング液を得た。アルカリ水溶液で前処理したプラスチックレンズ基板(HOYA(株)製、眼鏡用プラスチックレンズ(素材:ジエチレングリコールビスアリルカーボネート)、屈折率1.50)を、前記コーティング液の中に浸漬させ、浸漬終了後、引き上げ速度20cm/分で引き上げたプラスチックレンズを120℃で2時間加熱して硬化膜を形成した。その後、表1及び表3に記載したイオン加速電圧、照射時間の条件で酸素(O2 )ガスを用いて、イオン銃処理を行い、ハードコート層(A層とする)を形成した。次に、ハードコートA層の上に、真空蒸着法にて、表1及び表3に記載した第1層〜第7層からなる機能膜又は第1層〜第9層からなる機能膜を形成し、プラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズについて上記(1)〜(7)を評価し、それらの結果を表1及び表3に示す。尚、表中、λは照射光の波長で、λ=500nm、Tは視感透過率での透過率を示す。
ガラス製容器に、有機ケイ素化合物のγ−グリシドキシプロピルメトキシシラン142重量部を加え、撹拌しながら、0.01N塩酸1.4重量部、水32重量部を滴下した。滴下終了後、24時間撹拌を行いγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解溶液を得た。この溶液に、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル(メタノール分散、全金属酸化物31.5重量%、平均粒子径10〜15ミリミクロン)460重量部、エチルセロソルブ300重量部、さらに滑剤としてシリコーン系界面活性剤0.7重量部、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート8重量部を加え、充分に撹拌した後、濾過を行ってコーティング液を得た。アルカリ水溶液で前処理したプラスチックレンズ基板(HOYA(株)製、眼鏡用プラスチックレンズ(商品名:EYAS)、屈折率1.60)を、前記コーティング液の中に浸漬させ、浸漬終了後、引き上げ速度20cm/分で引き上げたプラスチックレンズを120℃で2時間加熱して硬化膜を形成した。その後、表2及び表3に記載したイオン加速電圧、照射時間の条件で酸素(O2 )ガスを用いて、イオン銃処理を行い、ハードコート層(B層とする)を形成した。次に、ハードコートB層の上に、真空蒸着法にて、表2及び表3に記載した第1層〜第7層または第1層〜第9層からなる機能膜を形成し、プラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズについて上記(1)〜(7)を評価し、それらの結果を表2及び表3に示す。尚、表中、λは照射光の波長で、λ=500nm、Tは視感透過率での透過率を示す。
実施例1と同様のプラスチックレンズ基材に、同様に硬化膜を形成し、
その後、表4及び表5に記載したイオン加速電圧、照射時間の条件で酸素(O2)ガスを用いて、イオン銃処理を行い、ハードコート層(A層)を形成した。次に、ハードコートA層の上に、真空蒸着法にて、表4及び表5に記載した第1層〜第6層からなる機能膜又は第1層〜第8層からなる機能膜を形成し、プラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズについて上記(1)〜(7)を評価し、それらの結果を表4及び表5に示す。尚、表中、λは照射光の波長で、λ=500nm、Tは視感透過率での透過率を示す。
Claims (8)
- レンズ用プラスチック基板の凸面に機能膜が設けられ、凸面が反射増加効果を有し、凹面が反射防止効果を有するレンズであって、該機能膜が該プラスチック基板の表面から順に第1層〜第7層が積層された膜を有するものであり、第1層が、SiO2からなり、膜厚が0.02〜1.05λ(λは照射光の波長で、λ=450〜550nm)の層、第2層が、Ta2O5、ZrO2、Y2O3、TiO2、Nb2O5及びAl2O3の中から選ばれる少なくとも一種類の金属酸化物からなり、膜厚が0.01〜0.25λ(λ=450〜550nm)の層、第3層が、SiO2からなり、膜厚が0.01〜0.25λ(λ=450〜550nm)の層、第4層が、Cr、Ta、Nb、Ti及びZrの中から選ばれる少なくとも一種類の金属からなり、透過率(λ=450〜550nm)が65〜95%の層、第5層が、Ta2O5、ZrO2、Y2O3、TiO2、Nb2O5及びAl2O3の中から選ばれる少なくとも一種類の金属酸化物からなり、膜厚が0.01〜0.55λ(λ=450〜550nm)の層、第6層が、Cr、Ta、Nb、Ti及びZrの中から選ばれる少なくとも一種類の金属からなり、透過率(λ=450〜550nm)が60〜90%の層、第7層が、SiO2からなり、膜厚が0.01〜0.50λ(λ=450〜550nm)の層であるプラスチック製ミラーコートレンズ。
- 請求項1に記載のプラスチック製ミラーコートレンズにおいて、前記機能膜が、第7層の上に、さらに第8層及び第9層がこの順に積層された膜であり、第8層が、Ta2O5、ZrO2、Y2O3、TiO2、Nb2O5及びAl2O3の中から選ばれる少なくとも一種類の金属酸化物からなり、膜厚が0.01〜0.35λ(λは照射光の波長で、λ=450〜550nm)の層、第9層が、SiO2からなり、膜厚が0.01〜1.0λ(λ=450〜550nm)の層であるプラスチック製ミラーコートレンズ。
- 第2層及び第5層の金属酸化物がTa2O5である請求項1に記載のプラスチック製ミラーコートレンズ。
- 第2層、第5層及び第8層の金属酸化物がTa2O5である請求項2に記載のプラスチック製ミラーコートレンズ。
- レンズ用プラスチック基板の凸面に機能膜が設けられ、凸面が反射増加効果を有し、凹面が反射防止効果を有するレンズであって、該機能膜が該プラスチック基板の表面から順に第1層〜第7層が積層された膜を有するものであり、第1層が、SiO2からなり、膜厚が0.02〜1.05λ(λは照射光の波長で、λ=450〜550nm)の層、第2層が、Ta2O5、ZrO2、Y2O3、TiO2、Nb2O5及びAl2O3の中から選ばれる少なくとも一種類の金属酸化物からなり、膜厚が0.01〜0.25λ(λ=450〜550nm)の層、第3層が、SiO2からなり、膜厚が0.01〜0.25λ(λ=450〜550nm)の層、第4層が、Ta2O5、ZrO2、Y2O3、TiO2、Nb2O5及びAl2O3の中から選ばれる少なくとも一種類の金属酸化物からなり、膜厚が0.20〜0.55λ(λ=450〜550nm)の層、第5層が、SiO2からなり、膜厚が0.01〜0.50λ(λ=450〜550nm)の層、第6層が、Ta2O5、ZrO2、Y2O3、TiO2、Nb2O5及びAl2O3の中から選ばれる少なくとも一種類の金属酸化物からなり、膜厚が0.01〜0.35λ(λは照射光の波長で、λ=450〜550nm)の層、第7層が、SiO2からなり、膜厚が0.01〜1.0λ(λ=450〜550nm)の層であるプラスチック製ミラーコートレンズ。
- 前記プラスチック基板と前記機能膜との間に、プラスチックレンズの耐擦傷性を向上させるハードコート層を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラスチック製ミラーコートレンズ。
- 前記プラスチック基板と前記ハードコート層との間に耐衝撃性及び密着性を向上させるプライマー層を設けたことを特徴とする請求項6に記載のプラスチック製ミラーコートレンズ。
- 視感透過率が40〜75%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラスチック製ミラーコートレンズ。
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