JP2004061879A - 表面保護膜を備えた光学要素 - Google Patents

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Hirobumi Oda
小田 博文
Masao Kamiya
神谷 雅男
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Abstract

【目的】撥水性、防汚性、及び耐擦傷性が良好であるとともに、従来と同様な方法で何ら問題なく2次加工(カット)することができる表面保護膜を備えた光学要素を提供すること。
【構成】光学基材10に形成された無機光学薄膜16上に表面保護膜18を備えた光学要素。表面保護膜18は、フッ素変成有機基と反応性のシリル基を有するフッ素系シラン化合物を主剤とする表面保護剤を塗布して形成する。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、撥水撥油性・防汚性等を付与するための表面保護膜を備えた光学要素に関する。
【0002】
【背景技術】
眼鏡や写真用レンズの場合、水滴が付着すると、結像がゆがめられるため、水滴が付着しがたいことが望ましい。水滴付着の原因は、親水性の無機ガラス基材や、有機ガラス基材の表面に、反射率低減または増大のための親水性の金属酸化物・ハロゲン化物層(以下「金属酸化物層」)に、手あか・塵埃等の汚れが付着したり、また、微細な傷が生じたりすると、不均一な親水性面となるからである。
【0003】
そして、前記金属酸化物等は、通常、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等で代表されるPVD(Physical Vapor Deposition)法で形成されている。この為、金属酸化物層等の表面は微細凹凸が存在し、より汚れ等が付着し易く、付着後も除去しがたいとともに、微細な傷も発生し易く、また、水滴付着の傾向が増大するという問題点がある。
【0004】
このような場合、最表面に撥水・防汚処理をすることが考えられ、同処理を行うことで滑り性が増し、拭き傷等も付きにくくなる。
【0005】
そして、従来技術としては、下記のような特許文献がある。
【0006】
▲1▼特開平5−215905・6−340966号公報
フルオロアルキルシラザン等のシラザン化合物を多孔質材料(焼結フィルター・スチールウール等)に含浸させて、無機コート膜に真空下・加熱蒸着させて撥水処理を行う。
【0007】
▲2▼特公平6−5324号公報
有機ポリシロキサン系重合物またはパーフルオロアルキル基含有化合物を重合してなる重合物からなる有機物含有硬化物質層を、浸漬後・硬化(反応)させて無機コート膜上に形成することにより成形して撥水処理を行う。
【0008】
しかし、上記従来の撥水処理技術は、未処理物に比べ、防汚性、撥水性及び滑り性は確かに向上するものの実用面においては未だ不十分であった。
【0009】
一方、上記問題を更に改善すべく、近年含フッ素シラン化合物で最表面を処理された防汚眼鏡レンズが上市されてきている。しかしながら同処理された眼鏡レンズは、小売り店でフレームの形状に合わせてレンズをカット(玉摺り)する際、滑り性がよいため、レンズ保持が非常に困難となり、いわゆる二次加工が実質的に不可能であった。
【0010】
特に、表面保護膜を光学要素の最表面に酸化珪素を形成した場合、その傾向はより顕著となる。
【0011】
【発明の開示】
本発明は、上記にかんがみて、撥水性、防汚性、及び耐擦傷性が良好であるとともに、従来と同様な方法で何ら問題なく2次加工(カット)することができる表面保護膜を備えた光学要素を提供することを目的とする。
【0012】
本発明者らは,上記課題を解決するために,鋭意開発に努力をした結果、下記構成の光学要素に想到した。
光学基材上に表面保護膜を備えた光学要素において、
前記表面保護膜がフッ素変成有機基と反応性のシリル基を有するフッ素有機基導入シラン化合物で形成されていることを特徴とする。
【0013】
特定のフッ素有機基導入シラン化合物で表面保護膜を形成することにより、撥水性、防汚性を付与できるとともに、耐擦傷性の向上が可能となる。従来よりすべり性が向上するためである。
【0014】
上記構成において、表面保護膜が、光学無機薄膜上に形成されていることが、本発明の効果顕著とする。従来は、反射低減膜(反射防止膜)や反射増加膜(ミラーコート)上にすべり性の良好なフッ素系シラン化合物を形成した場合、二次加工が困難とされていたが、後述の実施例で示す如く、すべり性が良好であるにもかかわらず、二次加工が可能となった。
【0015】
本発明を適用する光学要素は、通常、光学無機薄膜が、光学基材上に必要によりプライマーコートを介してハードコート上に形成されているものとする。
【0016】
また、上記各構成において、表面保護膜の膜厚は、0.001〜0.05μmとする。
【0017】
そして、光学無機薄膜は、反射低膜又は反射増加膜とする。
【0018】
上記表面保護膜の形成方法の一つは、フッ素系シラン化合物を主剤とする表面保護剤を繊維状の導電性物質の塊に付着させ、それを1〜0.0001Paの真空下で加熱することにより前記表面保護膜を有しない光学要素上に付着させて表面保護膜を形成する、いわゆる乾式処理法(乾式コーティング法)である。
【0019】
この乾式処理法は、密着性の良好なかつレべリング性(均一性)に優れた表面保護膜を得易いとともに、同一真空槽を使用して連続的に表面保護膜を形成でき、生産性・効率において後述の湿式処理法に比して優れている。
【0020】
表面保護膜の形成方法における他の一つは、同表面保護剤を表面保護膜を有しない光学要素上に塗布後、湿度(RH)10〜90%、温度10〜60℃の雰囲気下に所定時間放置することにより表面保護膜を形成するいわゆる湿式処理法(湿式コーティング法)である。
【0021】
この湿式処理法は、大気中で、大型(大面積)の基板や複雑な形状のものに表面保護膜を形成する場合に適している。
【0022】
【構成の詳細な説明】
本発明は、光学基材上に表面保護膜を備えた光学要素を前提とする。
【0023】
ここで,光学基材としては、無機ガラス基材,有機ガラス基材を問わない。そして、光学要素としては、眼鏡レンズ、カメラ用レンズなどの光学用レンズ、さらには、各種ディスプレイの前面ガラスないし前面フィルター、さらには、光学プリズム等も含まれるものである。
【0024】
上記無機ガラスとしては、屈折率(n )として、1.55以上のものが得易い、バリウムクラウンガラス(BaK)1.54〜1.60、重クラウンガラス(SK)>1.54、特重クラウンガラス(SSK)>1.60、軽バリウムフリント(BaLF)>1.55、バリウムフリント(BaF)>1.56、重バリウムフリント(BaSF)>1.585等が好適である。なお、各無機ガラス略号の後の数字は、各ガラスの屈折率(n) を示す。
【0025】
上記有機ガラス基材としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、脂肪族アリルカーボネート、芳香族アリルカーボネート、ポリチオウレタン等からなるものを挙げることができる。
【0026】
そして、耐擦傷性(特に、有機ガラス基材の場合)、通常、ハードコート膜を形成し、さらに、該ハードコート膜(1)を形成する場合には、耐衝撃性を高めるため、プライマー層(2)を基材との間に介在させる。
【0027】
(1)上記ハードコートは、ガラス表面に耐擦傷性等を付与できるものなら特に限定されないが下記シリコーン系(i)又はアクリル系(ii)のものが、好適に使用できる。
【0028】
(i) シリコーン系ハードコート;
例えば、オルガノアルコキシシランの加水分解物に、触媒、金属酸化物微粒子(複合微粒子を含む)を加え、希釈溶剤にて塗布可能な粘度になるように調節する。さらに、このハードコート液には、適宜界面活性剤、紫外線吸収剤等の添加も可能である。
【0029】
▲1▼上記オルガノアルコキシシランとしては、下記一般式にて示されるものが使用可能である。
【0030】
R1R2Si(OR3 )4−(a+b)
(但し、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリルオキシ基、フェニル基であり、R2 は炭素数1〜3の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、アリール基、R3 は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基である。また、a=0又は1、b=0、1又は2である)。
【0031】
具体的には、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。これらは、単独使用の他に、2種以上を併用することも可能である。
【0032】
▲2▼上記触媒としては、トリメリト酸、無水トリメリト酸、イタコン酸、ピロメリト酸、無水ピロメリト酸等の有機カルボン酸、メチルイミダゾール、ジシアンジアミド等の窒素含有有機化合物、チタンアルコキシド、ジルコアルコキシド等の金属アルコキシド、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄等の金属錯体、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属有機カルボン酸塩を使用できる。
【0033】
▲3▼金属酸化物微粒子としては、平均粒径が5〜50mμのコロイダルシリカ、コロイダルチタニア、コロイダルジルコニア、コロイダル酸化セリウム(IV)、コロイダル酸化タンタル(V)、コロイダル酸化スズ(IV)、コロイダル酸化アンチモン(III )、コロイダルアルミナ、コロイダル酸化鉄(III )等を使用でき、これらは、単一使用の他に、2種以上を併用、または複合微粒子として使用することも可能である。
【0034】
▲4▼希釈溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類及びセロソルブ類等の極性溶剤を好適に使用できる。
【0035】
▲5▼コーティング方法としては、ディッピング法、スピンコート法等の公知の方法から選ばれる。硬化条件は、80〜120℃で1〜4時間である。
【0036】
(ii)アクリル系ハードコート;
例えば、1分子中に3個以上のアクリロイルオキシ基を有する多官能アクリル系オリゴマー、モノマーに、目的機能を有するモノマー、オリゴマー、及び光重合開始剤を加えたものを必須成分とする。必要に応じて、重合禁止剤、レベリング剤及び紫外線吸収剤等の添加剤、熱可塑性樹脂や酸化金属微粒子等の改質剤の添加も可能である。
【0037】
▲1▼上記多官能アクリル系オリゴマー、モノマーとは、1分子中に3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物で、下記のものを例示できる。
【0038】
ポリオールアクリレート(多価アルコールまたはポリエーテル型多価アルコールの(メタ)アクリレート):トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート等
ポリエステルアクリレート(多塩基酸と多価アルコールとアクリル酸の三成分を反応させて得られるポリエステルの(メタ)アクリレート):例えば多塩基酸としてはフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等、多価アルコールとしてはトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール等をそれぞれ代表的に使用できる。
【0039】
ウレタンアクリレート(3価以上のポリオール成分、3価以上のポリイソシアナートまたはポリオールポリイソシアナートと水酸基含有多官能(メタ)アクレートの三成分を反応させて得られる。):例えば、ポリオール成分としてはトリメチロールプロパン等、ポリイソシアナートとしてはHMDIのビューレット又は三量体、水酸基含有多官能(メタ)アクレートとしてはペンタエリトリトールトリアクリレート等の前記ポリオールアクリレートを、それぞれ代表的に使用できる。
【0040】
エポキシアクリレート(エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる):グリセリントリグリシジルエーテルトリアクリレート、トリス(グリシジルエーテルエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテルテトラアクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルポリアクリレート、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルポリアクリレート等。
【0041】
その他:トリスアクリロイルオキシイソシアヌレート、アミノポリアクリレート、ヘキサキスメタクリロイルオキシエチルホスファゼン、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート等
▲2▼上記光重合開始剤としては、下記例示のものを使用できる。
【0042】
アセトフェノン系:4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、混合光開始剤(アリルケトン類起源)、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、アリルケトン含有光開始剤、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等
ベンゾイン系:ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール等
ベンゾフェノン系:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等
チオキサンソン系:チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等
特殊グループ:α−アシロキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル−9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等
このときトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、等の光重合開始助剤を併用することもできる。
【0043】
重合開始剤の濃度としては、硬化性樹脂に対して0.5〜10wt%、好ましくは1〜7wt%である。
【0044】
▲3▼上記重合禁止剤としては、下記例示ものを使用できる。
【0045】
ヒドロキノン、メトキノン、p−ベンゾキノン、フェノチアジン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、カテコール、p−t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、アンスラキノン、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン等
▲4▼上記レベリング剤としては、炭化水素系、シリコーン系、フッ素系が使用できる。
【0046】
▲5▼上記紫外線吸収剤としては、ヒドロキシベンゾフェノン系、サルチレート系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系等を挙げることができる。
【0047】
▲6▼上記熱可塑性樹脂は、ポリウレタンエラストマー、ポリブタジエンエラストマー、アクリルニトリル/ブタジエンエラストマー等を挙げることができる。
【0048】
▲7▼上記酸化金属微粒子及び希釈溶剤としては、上記シリコーン系で例示したものと同様のものが使用できる。
【0049】
コーティング方法も、シリコーン系の場合と同様である。
【0050】
硬化条件は、管壁負荷80〜160W/cmの高圧水銀ランプ系またはメタルハライドランプ系紫外線光源下にて2〜180秒とする。
【0051】
(ii)プライマー層としては、特に、耐衝撃性に優れたプライマーを使用して形成することが望ましい。
【0052】
具体的には、▲1▼ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)に金属酸化物無機微粒子を添加したTPUプライマー組成物、▲2▼塗膜形成ポリマーの全部または主体がエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)に上記と同様の金属酸化物無機微粒子を添加したTPEEプライマー組成物が好適に使用できる。
【0053】
▲1▼TPUは、長鎖ポリオールとポリイソシアナートからなるソフトセグメントと短鎖ポリオールとポリイソシアナートからなるハードセグメントとで構成されるもので、水性エマルション(乳濁液)の形態で添加されることが望ましい。
【0054】
金属酸化物微粒子は、前述のハードコートに使用したものを使用出来る。
【0055】
▲2▼TPEEは、ハードセグメントにポリエステル、ソフトセグメントにポリエーテル又はポリエステルを使用したマルチブロック共重合体で、このハードセグメントとソフトセグメントとの重量比率は、通常、前者/後者=約30/70〜10/90とする。
【0056】
また、ウレタン系プライマーと同様の金属酸化物無機微粒子を屈折率調整用として用いる。
【0057】
(3)上記ハードコート上には、適宜、無機薄膜を形成して反射防止膜やミラーコート(反射増加膜)とすることがある。
【0058】
すなわち、金属酸化物・金属ハロゲン化物などのセラミックス及び金属膜からなる単層又は2種類以上の物質からなる多層の薄膜を形成して、光学的に反射率を低減させたり、増大させたりして形成する。
【0059】
ここで、無機薄膜材料としては:
チタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブ、アンチモン、イットリウム、インジウム、スズ、ランタン、セリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素等のいずれか、又は2種以上の複数を成分とする無機酸化物、
マグネシウム、ランタン、アルミニウム、リチウム等の無機ハロゲン化物、
珪素、ゲルマニウム、クロム、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、白金等の金属単体又はこれらの内から2種以上の複数を成分とする金属混合体(焼結体、合金を含む。)、
などを挙げることができる。
【0060】
反射防止膜及びミラーコートは、通常、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、アーク放電法などの乾式メッキ法(PVD法)を使用して形成する。
【0061】
本発明では、そして、上記ガラス基材上に、プライマー、ハードコートさらには、適宜、反射低減又は反射増加のために光学薄膜を形成したものに、下記構成の表面保護膜を形成することを特徴的構成とする。なお、本発明では、それらの表面処理膜の全てを備えている必要はなく、直接、ガラス基材上に表面保護膜を形成したものも、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0062】
具体的には、本発明の表面保護膜は、フッ素変成有機基と反応性のシリル基を有するフッ素有機基導入シラン化合物を膜成分(主剤)とするコーティング剤からなり、水に対する接触角が80℃以上であるものである。
【0063】
このフッ素有機基導入シラン化合物は、防汚性及び耐擦傷性が良好であるとともに、光学無機薄膜を備えていても、従来と同様な方法での2次加工が可能となることを見出した。
【0064】
ここで、二次加工とは、光学素材をフレーム形状に合わせるように、切削ないし研削処理を行うことをいう。
【0065】
表面保護膜(撥水撥油膜)の膜厚は、通常0.001〜0.05μm、好ましくは0.001〜0.03μm、さらに好ましくは0.001〜0.02μmとする。表面保護膜の膜厚が0.001μm未満では、撥水撥油性能が期待できず、耐擦傷性や耐薬品性能に問題を生じる。また、0.05μmを超えると表面保護膜の表面光散乱による透過率の低下が生じ易くなる。
【0066】
フッ素有機基導入シラン化合物を膜成分とする表面保護剤(コーティング剤)としては、具体的には、信越化学工業(株)製のフッ素有機基導入シラン化合物「X−71−130」をフッ素系溶剤(例えば、住友3M(株)製HFE−7200、信越化学工業(株)製FRシンナー等)で適当な濃度に希釈したものを使用できる。
【0067】
そして、表面保護膜の形成方法は、下記乾式処理法(a)でも湿式処理法(b)でもよい。
【0068】
(a)乾式処理法(乾式コーティング法)
フッ素有機基導入シラン化合物をフッ素系溶剤に適宜濃度に希釈したコーティング剤(表面保護剤)を繊維状の導電性物質の塊に付着させ、それを1〜0.0001Paの真空下で加熱することにより光学要素上に付着させて表面保護膜を形成する(例えば、特開平6−340966号公報参照)。
【0069】
ここで、成膜時の真空圧は、1〜0.0001Pa、好ましくは0.5〜0.005Pa更に好ましくは0.1〜0.001Paとすることが望ましい。真空圧が1Paより高いと、蒸発分子の平均自由行程が短く適当な成膜速度が得られず、また0.0001Paより低いと成膜速度は得られるがその真空状態とするのに時間を要する。
【0070】
また、成膜速度は、0.05〜5.0Å/s、好ましくは0.1〜2.0Å/sとする。0.05Å/s以下では生産性が劣り成膜コスト高となり、2.0Å/s以上では適当な膜厚分布を得ることが難しくなる。成膜速度は、真空圧/加熱温度を調節することにより調整が可能である。
【0071】
(b)湿式処理法(湿式コーティング法)
同表面保護剤を、光学要素上に塗布後、湿度(RH)10〜90%(望ましくは20〜80%)、温度10〜60℃(20〜50℃)の雰囲気下に所定時間放置することにより表面保護膜を形成する。上記所定時間は、表面保護剤の反応速度、雰囲気条件により異なるが、通常、0.5〜24h(望ましくは1〜10h)とする。
【0072】
塗布方法は、ディッピング法・スピンコーティング法・刷毛塗り法・スプレー法など任意である。
【0073】
上記において雰囲気湿度が低すぎると反応基が十分な(加水分解による)反応性を得難く、逆に高過ぎると外観不良をきたし易い。
【0074】
また、雰囲気温度が低すぎるとシラン化合物の反応が遅く、逆に高過ぎると工学無機薄膜にクラックや光学要素基材の変形等の外観不良が発生し易い。
【0075】
例えば、「フッ素コーティング剤KY−8(3)」(信越化学工業社)の製品カタログに記載されている下記方法がある。
【0076】
”フッ素系溶剤(好適溶剤HFE−7200[住友3M社製],FRシンナー[信越化学工業社製]など)で適当な濃度に希釈し、ディッピング、刷毛塗りなどにより基材表面に塗工する。下記条件で放置して硬化させた後、表面を乾いた布などでき取る。
【0077】
・室温、湿度40%・・・24時間以上
・60℃、湿度80%・・・2時間以上(推奨条件)”
【0078】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認をするために行った実施例及び比較例について詳細に説明をする。図1に実施例/比較例の光学基本構成を示すモデル断面図をしめす。
【0079】
(1)薬剤及び光学基材は、下記のものである。
【0080】
<薬剤>
・TPEE「ペスレジンA−160P」(高松油脂株式会社製、ポリエステル・ポリエーテル型水分散エマルジョン(水性)、固形分濃度27%)
・チタニア系酸化金属微粒子A「オプトレイク1130F−2(A−8)」(触媒化成工業株式会社製、固形分濃度30%、分散溶媒メチルアルコール)
・チタニア系酸化金属微粒子B「オプトレイク1120Z(S−7,G)」(触媒化成工業株式会社製、固形分濃度20%、分散溶媒メチルアルコール)
・コロイダルシリカ「メタノールシリカゾル」(日産化学株式会社製、固形分濃度30%、分散溶媒メチルアルコール)
<光学基材(レンズ本体)>
・屈折率1.50:「CR−39」(PPG Co製)
・屈折率1.60:「MR−8」(三井化学株式会社製)
・屈折率1.67:「MR−7」(三井化学株式会社製)
・屈折率1.74:「HIE−1」(三井化学株式会社製)
各基材は、前処理として40℃の10%水酸化ナトリウム水溶液に3分浸漬させ、次いで水洗、乾燥させたものを使用した。
【0081】
(2)各プライマー組成物は下記の如く調製したものである。
【0082】
<プライマー組成物1>
市販のTPEE「ペスレジンA−160P」100部に、チタニア系酸化金属微粒子「オプトレイク1120Z(S−7.G)」57部、希釈剤としてメチルアルコール350部、及びシリコーン系界面活性剤「L−7001」1部を混合し、均一な状態になるまで撹拌して、プライマー組成物を調製した。
【0083】
<プライマー組成物2>
チタニア系酸化金属微粒子「オプトレイク1120Z(S−7,G)」を210部に変更する以外はプライマーコート1と同様にして調製した。
【0084】
なお、上記プライマー組成物及びハードコート組成物の塗布は、ディッピング法(引き上げ速度:105mm/min)で行った。
【0085】
(3)各ハードコート組成物は下記の如く調製したものである。
【0086】
<ハードコート組成物1>
γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン109部、テトラエトキシシラン40部、γーグリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン27部に、メチルアルコール160部を加え、撹拌しながら0.01Nの塩酸38部を滴下して一昼夜加水分解を行って加水分解物を調製した。
【0087】
該加水分解物に、コロイダルシリカ390部、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー製「SILWET Lー7001」)1部と、触媒としてアセチルアセトン鉄1.5部を混合し、一昼夜撹拌して、ハードコート組成物を調製した。
【0088】
<ハードコート組成物2>
γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン150部、テトラエトキシシラン25部に、メチルアルコール150部を加え、撹拌しながら0.01Nの塩酸40部を滴下して一昼夜加水分解を行って加水分解物を調製した。
【0089】
該加水分解物に、チタニア系酸化金属微粒子「オプトレイク1130F−2(A−8)」170部、シリコーン系界面活性剤(L−7001)1部と、触媒としてアセチルアセトンアルミニウム1.0部を混合し、一昼夜撹拌し、ハードコート組成物を調製した。
【0090】
<ハードコート組成物3>
チタニア系酸化金属微粒子「オプトレイク1130F−2(A−8)」を 350部に変更する以外はハードコート2と同様にして調製した。
【0091】
(4)各光学無機薄膜(反射防止膜又はミラーコート)は下記の如く形成したものである。
【0092】
<光学無機薄膜1>
真空室を60℃に加熱しながら、圧力1.33×10−3Paまで排気し、酸素イオンクリーニングを行った後、基板側から
第1層 SiO 屈折率 1.46 光学膜厚 26nm
第2層 ZrO 屈折率 2.05 光学膜厚 81nm
第3層 SiO 屈折率 1.46 光学膜厚 22nm
第4層 ZrO 屈折率 2.05 光学膜厚 132nm
第5層 SiO 屈折率 1.46 光学膜厚 131nm
の順に真空蒸着を行い、反射防止膜を形成する。
【0093】
<光学無機薄膜2>
真空室を60℃に加熱しながら、圧力1.33×10−3Paまで排気し、酸素イオンクリーニングを行った後、基板側から
第1層 SiO 屈折率 1.46 光学膜厚 26nm
第2層 ZrO 屈折率 2.05 光学膜厚 93nm
第3層 SiO 屈折率 1.46 光学膜厚 18nm
第4層 ZrO 屈折率 2.05 光学膜厚 135nm
第5層 SiO 屈折率 1.46 光学膜厚 131nm
の順に真空蒸着を行い、反射防止膜を形成する。
【0094】
<光学無機薄膜3>
真空室を60℃に加熱しながら、圧力1.33×10−3Paまで排気し、酸素イオンクリーニングを行った後、基板側から
第1層 SiO 屈折率 1.46 光学膜厚 26nm
第2層 TiO 屈折率 2.36 光学膜厚 34nm
第3層 SiO 屈折率 1.46 光学膜厚 45nm
第4層 TiO 屈折率 2.36 光学膜厚 120nm
第5層 SiO 屈折率 1.46 光学膜厚 18nm
第6層 TiO 屈折率 2.36 光学膜厚 94nm
第7層 SiO 屈折率 1.46 光学膜厚 129nm
の順に真空蒸着を行い、反射防止膜を形成する。なお、第2,4,6層のTiOは、酸素イオンアシスト蒸着で行った。
【0095】
<光学無機薄膜4>
真空室を60℃に加熱しながら、圧力1.33×10−3Paまで排気し、酸素イオンクリーニングを行った後、基板側から
第1層 ZrO 屈折率n 2.05 光学膜厚 130nm
第2層 SiO 屈折率n 1.46 光学膜厚 130nm
第3層 ZrO 屈折率n 2.05 光学膜厚 130nm
第4層 SiO 屈折率n 1.46 光学膜厚 130nm
第5層 ZrO 屈折率n 2.05 光学膜厚 130nm
第6層 SiO2 屈折率n 1.46 光学膜厚 130nm
の順に真空蒸着を行い、ミラーコートを形成した。
【0096】
なお、上記において、「イオンクリーニング」及び「イオンアシスト法」とは、それぞれ下記方法を意味する。
【0097】
▲1▼イオンクリーニング:
光学無機薄膜を成膜する際は、光学無機薄膜の付着力を高めるため、前処理として、ハードコート膜の表面処理を行うことが望ましい。具体的な例として、高周波による酸素またはアルゴンによるプラズマ処理、酸、アルカリによる薬品処理、イオン銃による酸素イオンまたはアルゴンイオン照射処理等が挙げられる。
【0098】
上記のうち、イオン銃による酸素イオンまたはアルゴンイオン照射処理により良好な表面を得ることが望ましい。(特開平10−123301号公報等参照)
▲2▼イオンアシスト法:
少なくとも高屈折率層の成膜は、イオンビームアシスト法を使用して蒸着を行い、その他の膜についても、イオンビームアシスト法を使用してもよいし、その他の物理的蒸着法を使用してもよい。(特開平11−174205号公報等参照)
(5)各表面保護膜は、下記の如く形成したものである。
【0099】
<表面保護膜1>
▲1▼薬品調製
フッ素系コーティング剤(信越化学工業(株)製X−71−130(固形分20%品))をフッ素系溶剤(信越化学工業(株)製FRシンナー)で希釈して固形分3%となるように調製したものを、スチールウール(日本スチールウール(株)製、♯0、線径0.025mm)0.5gを上方が解放の円筒形の銅(容量:内径16mm×内高さ6mm)に詰めた容器に充填(薬品充填量1.0g)した後、120℃で1時間乾燥させた。
【0100】
▲2▼成膜
薬品を充填した上記容器を真空蒸発装置内にセットし、0.01Paの真空とした後、加熱源としてモリブデン製抵抗加熱ボートで0.6Å/sの成膜速度で蒸発させ0.005μmの表面保護膜を各被処理要素表面に形成した。
【0101】
<表面保護膜2>
▲1▼薬品調製
フッ素変性有機基と反応性のシリル基を有するフッ素系コーティング剤(信越化学工業(株)製X−71−130(固形分20%品))をフッ素系溶剤(信越化学工業(株)製FR
シンナー)で希釈して固形分0.3%となるように調製した。
【0102】
▲2▼成膜
上記組成物に被処理光学要素を浸漬、引き上げスピード100mm/minの速度で引き上げ後、室温・湿度40%で24時間放置し乾燥、硬化させた。
【0103】
<表面保護膜3>
▲1▼薬品調製
両末端にシラノール基を有するジメチルシロキサン(数平均分子量:26,000)10部、炭化水素溶媒(Exxon Mobil社製「アイパーE」)10部を添加・混合し、さらにエチルトリアセトキシシラン1部、ジブチル錫アセテート0.05部を添加・混合し、24時間放置した。その後、メチルイソブチルケトン540部と、シクロヘキサノン540部を添加・混合した。
【0104】
▲2▼成膜
上記組成物に被処理光学要素を浸漬、引き上げスピード100mm/minで引き上げ後、24時間室温で乾燥、硬化させた。
【0105】
<表面保護膜4>
▲1▼薬品調製
下式で示される含フッ素シラン化合物(分子量:約5000)をパーフルオロヘキサンで希釈して濃度2.0g/Lの溶液とした。
【0106】
【化1】
Figure 2004061879
▲2▼成膜
上記組成物に被処理光学要素を、浸漬、引き上げスピード150mm/minの速度で引き上げ後、室温・湿度40%で24時間放置し乾燥、硬化させた。
【0107】
(6)各実施例/比較例は、下記の如く行った。
【0108】
<実施例−1>
CR−39レンズ(n1.50)にハードコート1を塗布し、110℃×2時間の条件で硬化させ、ハードコート膜を形成した。
【0109】
該ハードコート膜を施したレンズを回転するレンズドームにセットし、光学無機薄膜4(ミラーコート)を形成した後、最表面に表面保護層1を成膜した。
【0110】
<実施例−2>
MR−8レンズ(n1.60)にプライマーコート1を塗布し、100℃×20分の硬化後、ハードコート2を塗布し、110℃×2時間の条件で硬化させ、プライマー/ハードコート膜を形成した。
【0111】
プライマーハードコート膜を施したレンズを回転するレンズドームにセットし、光学無機薄膜1(反射防止膜)を形成した後、最表面に表面保護膜1を成膜した。
【0112】
<実施例−3>
MR−7レンズにハードコート3を塗布し、110℃×2時間の条件で硬化させ、ハードコート膜を形成した。
【0113】
該ハードコート膜を施したレンズを回転するレンズドームにセットし、光学無機薄膜2(反射防止膜)を形成した後、最表面に表面保護膜1を成膜した。
【0114】
<実施例−4>
HIE−1レンズ(n1.74)にプライマーコート2を塗布し、100℃×20分の硬化後、ハードコート3を塗布し、110℃×2時間の条件で硬化させ、プライマーハードコート層を形成した。
【0115】
プライマーハードコート膜を施したレンズを回転するレンズドームにセットし、光学無機薄膜3(反射防止膜)を形成した後、最表面に表面保護膜1を成膜した。
【0116】
<実施例−5>
光学無機薄膜までは実施例4と同様にして行った後、最表面に表面保護膜2を成膜した。
【0117】
<比較例−1>
光学無機薄膜までは実施例1と同様にして行った後、最表面に表面保護膜3を成膜した。
【0118】
<比較例−2>
光学無機薄膜までは実施例1と同様にして行った後、最表面に表面保護膜4を成膜した。
【0119】
<比較例−3>
光学無機薄膜までは実施例2と同様にして行った後、最表面に表面保護膜3を成膜した。
【0120】
<比較例−4>
光学無機薄膜までは実施例2と同様にして行った後、表面保護膜4を成膜した。
【0121】
<比較例−5>
光学無機薄膜までは実施例3と同様にして行った後、最表面に表面保護膜3を成膜した。
【0122】
<比較例−6>
光学無機薄膜までは実施例3と同様にして行った後、最表面に表面保護膜4を成膜した。
【0123】
<比較例−7>
光学無機薄膜までは実施例4と同様にして行った後、最表面に表面保護膜3を成膜した。
【0124】
<比較例−8>
光学無機薄膜までは実施例4と同様にして行った後、最表面に表面保護膜4を成膜した。
【0125】
(7)上記の如く製造した各実施例/比較例について、下記各項目の物性/評価試験を行った。
【0126】
<試験項目>
▲1▼耐擦傷性試験
スチールウール(#0000)に1,000gの荷重を加え、各試験片の反射防止膜の表面を50回/50秒にて擦り、傷の入り具合を蛍光灯による反射光及び透過光による目視検査にて判定した。
【0127】
○:傷の入った面積が10%以内
△:傷の入った面積が10%を越えて30%以内
×:傷の入った面積が30%を越える
▲2▼密着性試験
試験片に1cm四方に1mm間隔で100個の升目を形成し、セロハン製粘着テープを強く押しつけた後、90°方向に急激に剥がし、剥離しない升目の数を数えた。
【0128】
▲3▼耐温水性試験
80℃の湯中に試験片を10分間浸漬させ、密着性試験(前述)を行った。
【0129】
▲4▼耐候性試験
促進耐候性試験:カーボンアーク型サンシャインスーパーロングライフウエザーメーター(スガ試験機社製)で100時間暴露して、耐擦傷性及び密着性(前述)を評価した。
【0130】
▲5▼撥水性試験
接触角計(協和界面科学株式会社製CA−D型)にて純水に対する接触角を測定した。
【0131】
○:接触角100度以上
△:接触角 80度以上
×:接触角 80度未満
▲6▼耐薬品性
耐酸:20℃の硝酸水溶液(PH1)に試験片を6時間浸漬させ、水洗した後、接触角を測定(前述)した。
【0132】
耐アルカリ:20℃の水酸化ナトリウム水溶液(PH11)に試験片を6時間浸漬させ、水洗した後、接触角を測定(前述)した。
【0133】
▲7▼防汚性
市販の油性マジック(寺西化学工業(株)社製マジックインキNo.500)にて試験片表面に1cm長の線を引き、ハンカチにて5往復擦り、ふき取れるか否かで判定した。
【0134】
○:完全にふき取れる
△:若干残る
×:ふき取れずに広がる
▲8▼枠入れ加工性
枠入れ加工機((株)ニデック製SE−9090)にて、枠入れ加工を行い指定した型どおりに枠入れ加工ができるか否かで判定した。
各基材20枚ずつ行い、良品率調査を行った。
【0135】
○:良品率95%以上
×:良品率95%未満
<効果の確認>
上記試験結果を表1・2に示す。
【0136】
本発明の各実施例は、各種耐久性(耐擦傷性・耐アルカリ性)及び、防汚性・枠入れ加工性の優れた光学要素を提供することを可能とすることことが分かる。すなわち、耐擦傷性・防汚性を向上させた上で枠入れ加工性を両立させることができた。
【0137】
【表1】
Figure 2004061879
【0138】
【表2】
Figure 2004061879

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する光学要素のモデル断面図
【符号の説明】
10 光学基材(レンズ本体)
12 プライマーコート
14 ハードコート
16 光学無機薄膜(反射防止膜またはミラーコート)
18 表面保護膜

Claims (8)

  1. 光学基材上に表面保護膜を備えた光学要素において、
    前記表面保護膜がフッ素変成有機基と反応性のシリル基を有するフッ素有機基導入シラン化合物で形成されていることを特徴とする光学要素。
  2. 前記表面保護膜が、光学無機薄膜上に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光学要素。
  3. 前記光学無機薄膜が、光学基材上に必要によりプライマーコートを介してハードコート上に形成されていることを特徴とする請求項2記載の光学要素。
  4. 前記表面保護膜が膜厚0.001〜0.05μmであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光学要素。
  5. 前記光学無機薄膜が反射防止膜であることを特徴とする請求項2又は3記載の光学要素。
  6. 前記光学無機薄膜がミラーコートであることを特徴とする請求項2又は3記載の光学要素。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の光学要素における表面保護膜の形成方法であって、前記フッ素有機基導入シラン化合物を主剤とする表面保護剤を繊維状の導電性物質の塊に付着させ、それを1〜0.0001Paの真空下で加熱することにより前記表面保護膜を有しない光学要素上に付着させて表面保護膜を形成することを特徴とする表面保護膜の形成方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の光学要素における表面保護膜の形成方法であって、フッ素有機基導入シラン化合物を主剤とする表面保護剤を前記表面保護膜を有しない光学要素上に塗布後、湿度(RH)10〜90%、温度10〜60℃の雰囲気下に所定時間放置することにより表面保護膜を形成することを特徴とする表面保護膜の形成方法。
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