JP3068243B2 - 反射防止膜を有する光学部材 - Google Patents
反射防止膜を有する光学部材Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は反射防止膜を有する光学
部材に関する。
部材に関する。
【０００２】
【従来の技術】合成樹脂からなる光学部材の表面反射特
性を改善するために、合成樹脂の表面上に反射防止膜を
施すことは良く知られている。この反射防止膜を有する
光学部材として、例えば特開昭５６−１１６００３号公
報（以下、「公報１」という）には、基板をＣＲ−３９
（ジエチレングリコールビスアリルカーボネート）樹脂
とし、ＣＲ−３９樹脂上に、基板側から順にＳｉＯ2 か
らなり膜厚が１．５λの下地層と、ＺｒＯ2 層とＳｉＯ
2 層とによって構成される２層等価膜からなり合計膜厚
が約０．２５λの第１の低屈折率層と、ＺｒＯ2 からな
り膜厚が約０．５０λの高屈折率層と、ＳｉＯ2 からな
り膜厚が約０．２５λの第２の低屈折率層とを有する反
射防止膜を設けた光学部材が開示されている。しかしな
がら、公報１に開示されている光学部材は、ガラス基板
のように蒸着時の基板温度を高くして反射防止膜を成膜
することができないため、例えばＺｒＯ2 からなる層は
耐熱温度が不充分となり、また経時的に耐熱温度が大き
く低下してしまう。したがって反射防止膜全体の耐熱温
度が実用上不充分で、さらに経時的な耐熱温度の低下が
大きく、例えば眼鏡レンズとして用いるには実用上不充
分である問題を有している。この問題を解決するため
に、例えば特開平２−２９１５０２号公報（以下、「公
報２」という）には、高屈折率層に、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｚｒ
Ｏ2 及びＹ2 Ｏ3 を含む蒸着膜を用いた反射防止膜を有
する光学部材が開示されている。
性を改善するために、合成樹脂の表面上に反射防止膜を
施すことは良く知られている。この反射防止膜を有する
光学部材として、例えば特開昭５６−１１６００３号公
報（以下、「公報１」という）には、基板をＣＲ−３９
（ジエチレングリコールビスアリルカーボネート）樹脂
とし、ＣＲ−３９樹脂上に、基板側から順にＳｉＯ2 か
らなり膜厚が１．５λの下地層と、ＺｒＯ2 層とＳｉＯ
2 層とによって構成される２層等価膜からなり合計膜厚
が約０．２５λの第１の低屈折率層と、ＺｒＯ2 からな
り膜厚が約０．５０λの高屈折率層と、ＳｉＯ2 からな
り膜厚が約０．２５λの第２の低屈折率層とを有する反
射防止膜を設けた光学部材が開示されている。しかしな
がら、公報１に開示されている光学部材は、ガラス基板
のように蒸着時の基板温度を高くして反射防止膜を成膜
することができないため、例えばＺｒＯ2 からなる層は
耐熱温度が不充分となり、また経時的に耐熱温度が大き
く低下してしまう。したがって反射防止膜全体の耐熱温
度が実用上不充分で、さらに経時的な耐熱温度の低下が
大きく、例えば眼鏡レンズとして用いるには実用上不充
分である問題を有している。この問題を解決するため
に、例えば特開平２−２９１５０２号公報（以下、「公
報２」という）には、高屈折率層に、Ｔａ2 Ｏ5 、Ｚｒ
Ｏ2 及びＹ2 Ｏ3 を含む蒸着膜を用いた反射防止膜を有
する光学部材が開示されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】公報２に開示されてい
る光学部材は、前述した公報１に開示されている光学部
材よりも初期の耐熱温度の面で改善されているが、反射
防止膜において経時的に耐熱温度が低下する程度が大き
いという問題を有する。この問題は例えば以下に記す不
具合が生じる。プラスチック製眼鏡フレームにプラスチ
ックレンズを枠入れする際にはプラスチック製眼鏡フレ
ームのリム部を加熱変形してプラスチックレンズを入れ
ている。前記眼鏡フレームのリム部を加熱して枠入れす
る際、眼鏡フレームのリム部とプラスチックレンズが接
触するので、プラスチックレンズも熱伝導により加熱さ
れやすい。したがって公報２に開示されている光学部材
を作製して４ヶ月以上経過した後にプラスチック製眼鏡
フレームに枠入れすると、前記光学部材の反射防止膜に
ひび割れが生じやすい。
る光学部材は、前述した公報１に開示されている光学部
材よりも初期の耐熱温度の面で改善されているが、反射
防止膜において経時的に耐熱温度が低下する程度が大き
いという問題を有する。この問題は例えば以下に記す不
具合が生じる。プラスチック製眼鏡フレームにプラスチ
ックレンズを枠入れする際にはプラスチック製眼鏡フレ
ームのリム部を加熱変形してプラスチックレンズを入れ
ている。前記眼鏡フレームのリム部を加熱して枠入れす
る際、眼鏡フレームのリム部とプラスチックレンズが接
触するので、プラスチックレンズも熱伝導により加熱さ
れやすい。したがって公報２に開示されている光学部材
を作製して４ヶ月以上経過した後にプラスチック製眼鏡
フレームに枠入れすると、前記光学部材の反射防止膜に
ひび割れが生じやすい。
【０００４】本発明は上述した課題を解決するためにな
れたものであり。その目的は耐熱性が良好で且つ経時的
な耐熱温度の低下が小さい反射防止膜を有する光学部材
を提供することにある。
れたものであり。その目的は耐熱性が良好で且つ経時的
な耐熱温度の低下が小さい反射防止膜を有する光学部材
を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した目的を
達成するためになされたもので、合成樹脂基材の上に、
基材側から順に、Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを含む層と、
ＳｉＯ2 層より構成される第１の低屈折率層；Ｙ2 Ｏ3
とＬａ2 Ｏ3 とを含む混合物からなる高屈折率層；Ｓｉ
Ｏ2 より構成される第２の低屈折率層を積層してなるこ
とを特徴とする反射防止膜を有する光学部材である。
達成するためになされたもので、合成樹脂基材の上に、
基材側から順に、Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを含む層と、
ＳｉＯ2 層より構成される第１の低屈折率層；Ｙ2 Ｏ3
とＬａ2 Ｏ3 とを含む混合物からなる高屈折率層；Ｓｉ
Ｏ2 より構成される第２の低屈折率層を積層してなるこ
とを特徴とする反射防止膜を有する光学部材である。
【０００６】以下、本発明について詳述する。本発明の
光学部材は合成樹脂基材の上に、反射防止効果を担う第
１の低屈折率層、高屈折率層、第２の低屈折率層を順に
積層するものである。反射防止膜の積層構造は実質的に
λ／４−λ／２−λ／４の３層膜を基本設計とすること
が好ましい。
光学部材は合成樹脂基材の上に、反射防止効果を担う第
１の低屈折率層、高屈折率層、第２の低屈折率層を順に
積層するものである。反射防止膜の積層構造は実質的に
λ／４−λ／２−λ／４の３層膜を基本設計とすること
が好ましい。
【０００７】第１の低屈折率層はＹ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3
とを含む層と、ＳｉＯ2 層より構成される。
とを含む層と、ＳｉＯ2 層より構成される。
【０００８】前記Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを含む層にお
いて、Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを必須成分にした理由
は、前記２成分を必須成分とすることにより、耐擦傷
性、耐熱性に優れ、経時的な耐熱温度の低下の程度が小
さい層を形成することができるためである。Ｙ2 Ｏ3 の
みを必須成分にすると経時的な耐熱温度の低下の程度が
大きくなり、またＬａ2 Ｏ3 のみを必須成分にすると層
の耐擦傷性が弱くなってしまうため、耐熱性に優れ、経
時的な耐熱温度の低下が小さく、且つ良好な耐擦傷性を
有する反射防止膜を得ることができにくい。
いて、Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを必須成分にした理由
は、前記２成分を必須成分とすることにより、耐擦傷
性、耐熱性に優れ、経時的な耐熱温度の低下の程度が小
さい層を形成することができるためである。Ｙ2 Ｏ3 の
みを必須成分にすると経時的な耐熱温度の低下の程度が
大きくなり、またＬａ2 Ｏ3 のみを必須成分にすると層
の耐擦傷性が弱くなってしまうため、耐熱性に優れ、経
時的な耐熱温度の低下が小さく、且つ良好な耐擦傷性を
有する反射防止膜を得ることができにくい。
【０００９】Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 との混合比は、Ｙ2
Ｏ3 １モルに対してＬａ2 Ｏ3 が０．０１〜１モルが好
ましい。その理由は、Ｌａ2 Ｏ3 が０．０１モル未満で
あると、経時的な耐熱温度の低下の程度が大きくなりや
すく、１モルを超えると充分な耐擦傷性を得ることがで
きにくくなるからである。尚、Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 と
を含む層には所望に応じてＴａ2 Ｏ5 、ＺｒＯ2 、Ｓｉ
Ｏ2 、ＴｉＯ2 などの金属酸化物を添加することができ
る。
Ｏ3 １モルに対してＬａ2 Ｏ3 が０．０１〜１モルが好
ましい。その理由は、Ｌａ2 Ｏ3 が０．０１モル未満で
あると、経時的な耐熱温度の低下の程度が大きくなりや
すく、１モルを超えると充分な耐擦傷性を得ることがで
きにくくなるからである。尚、Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 と
を含む層には所望に応じてＴａ2 Ｏ5 、ＺｒＯ2 、Ｓｉ
Ｏ2 、ＴｉＯ2 などの金属酸化物を添加することができ
る。
【００１０】Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを含む層の表面上
にはＳｉＯ2 層が積層される。ＳｉＯ2 を用いた理由
は、耐熱性が良好で且つ、ＳｉＯ2 の屈折率が１．４３
〜１．４７と低いため第１の低屈折率層全体の屈折率、
膜厚を比較的自由に調整することができるためである。
にはＳｉＯ2 層が積層される。ＳｉＯ2 を用いた理由
は、耐熱性が良好で且つ、ＳｉＯ2 の屈折率が１．４３
〜１．４７と低いため第１の低屈折率層全体の屈折率、
膜厚を比較的自由に調整することができるためである。
【００１１】第１の低屈折率層の好ましい屈折率、膜厚
の実質的な範囲は屈折率が１．５０〜１．６５、膜厚が
０．１５λ〜０．３０λである。その理由は後述する高
屈折率層、第２の低屈折率層の組合せより反射防止膜全
体の反射防止効果を最大限に発揮させることができやす
いためである。
の実質的な範囲は屈折率が１．５０〜１．６５、膜厚が
０．１５λ〜０．３０λである。その理由は後述する高
屈折率層、第２の低屈折率層の組合せより反射防止膜全
体の反射防止効果を最大限に発揮させることができやす
いためである。
【００１２】高屈折率層は、Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを
含む混合物からなる。Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを必須成
分としている理由、Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 との混合比及
び添加できる金属酸化物は、前記第１の低屈折率層のＹ
2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを含む層と同様であるので、ここ
ではその理由を省略する。
含む混合物からなる。Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを必須成
分としている理由、Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 との混合比及
び添加できる金属酸化物は、前記第１の低屈折率層のＹ
2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを含む層と同様であるので、ここ
ではその理由を省略する。
【００１３】高屈折率層の好ましい屈折率、膜厚の実質
的な範囲は、屈折率が１．７０〜１．９５、膜厚が０．
４５λ〜０．５５λである。その理由は前記第１の低屈
折率層、第２の低屈折率層の組合せより反射防止膜全体
の反射防止効果を最大限に発揮させることができやすい
ためである。
的な範囲は、屈折率が１．７０〜１．９５、膜厚が０．
４５λ〜０．５５λである。その理由は前記第１の低屈
折率層、第２の低屈折率層の組合せより反射防止膜全体
の反射防止効果を最大限に発揮させることができやすい
ためである。
【００１４】次に第２の低屈折率層は、ＳｉＯ2 より構
成され、前記高屈折率層の上に形成れるものである。第
２の低屈折率層を構成する物質としてＳｉＯ2 を用いた
理由は、ＳｉＯ2 は低屈折率で耐熱温度が高く、さらに
前記高屈折率層のＹ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを含む層との
密着性が良好なためである。
成され、前記高屈折率層の上に形成れるものである。第
２の低屈折率層を構成する物質としてＳｉＯ2 を用いた
理由は、ＳｉＯ2 は低屈折率で耐熱温度が高く、さらに
前記高屈折率層のＹ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを含む層との
密着性が良好なためである。
【００１５】第２の低屈折率層の好ましい屈折率、膜厚
の実質的な範囲は、屈折率が１．４３〜１．４７、膜厚
が０．２０λ〜０．３０λである。その理由は、前記第
１の低屈折率層、高屈折率層で記した理由と同じなので
省略する。
の実質的な範囲は、屈折率が１．４３〜１．４７、膜厚
が０．２０λ〜０．３０λである。その理由は、前記第
１の低屈折率層、高屈折率層で記した理由と同じなので
省略する。
【００１６】本発明の光学部材に用いる合成樹脂として
は、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリ
レートと１種以上の他のモノマーとをモノマー成分とす
る共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカー
ボネートと１種以上の他のモノマーとをモノマー成分と
する共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン含有共重
合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリウレタンなどが挙げられる。
は、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリ
レートと１種以上の他のモノマーとをモノマー成分とす
る共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカー
ボネートと１種以上の他のモノマーとをモノマー成分と
する共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン含有共重
合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリウレタンなどが挙げられる。
【００１７】合成樹脂の上に反射防止膜を設ける場合に
は、合成樹脂表面に有機ケイ素化合物を含むハードコー
ト層をディッピング法、スピンコート法等の塗布法によ
り成膜し、このハードコード層上に反射防止膜を設ける
ことが好ましい。また、合成樹脂と反射防止膜との密着
性、耐擦傷性等の向上を図るうえで、合成樹脂と反射防
止膜との間、あるいは合成樹脂表面に成膜したハードコ
ード層と反射防止膜との間に下地層を介在させることが
好ましく、このような下地層としては、例えば酸化ケイ
素等の蒸着膜を使用することができる。
は、合成樹脂表面に有機ケイ素化合物を含むハードコー
ト層をディッピング法、スピンコート法等の塗布法によ
り成膜し、このハードコード層上に反射防止膜を設ける
ことが好ましい。また、合成樹脂と反射防止膜との密着
性、耐擦傷性等の向上を図るうえで、合成樹脂と反射防
止膜との間、あるいは合成樹脂表面に成膜したハードコ
ード層と反射防止膜との間に下地層を介在させることが
好ましく、このような下地層としては、例えば酸化ケイ
素等の蒸着膜を使用することができる。
【００１８】なお、本発明の反射防止膜を成膜するにあ
たっては、真空蒸着法の他、同様の焼結体をターゲット
材料とするスパッタリング法や、イオンプレーティング
法等の方法を用いることもできる。
たっては、真空蒸着法の他、同様の焼結体をターゲット
材料とするスパッタリング法や、イオンプレーティング
法等の方法を用いることもできる。
【００１９】本発明によれば、合成樹脂のように蒸着時
の基板温度を７０〜８５℃と低い温度で成膜しなくては
ならない場合でも耐熱性が良好で、経時的に耐熱性が低
下しにくい反射防止膜を有する光学部材を得ることがで
きる。
の基板温度を７０〜８５℃と低い温度で成膜しなくては
ならない場合でも耐熱性が良好で、経時的に耐熱性が低
下しにくい反射防止膜を有する光学部材を得ることがで
きる。
【００２０】本発明の反射防止膜を有する光学部材は、
眼鏡レンズのほか、カメラ用レンズ、自動車の窓ガラ
ス、ワードプロセッサーのディスプレイに付設する光学
フィルターなどに使用することが可能である。
眼鏡レンズのほか、カメラ用レンズ、自動車の窓ガラ
ス、ワードプロセッサーのディスプレイに付設する光学
フィルターなどに使用することが可能である。
【００２１】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定れるものではな
い。
るが、本発明はこれらの実施例に限定れるものではな
い。
【００２２】なお実施例及び比較例で得られた反射防止
膜を有する光学部材は、以下に示す試験方法により、諸
物性を測定した。
膜を有する光学部材は、以下に示す試験方法により、諸
物性を測定した。
【００２３】（ａ）耐擦傷性試験 ＃００００のスチールウールにより表面を往復回数で１
０回こすって耐擦傷性を次のように判定した。 Ａ：わずかに傷がつく Ｂ：多く傷がつく Ｃ：膜のはがれが生じる
０回こすって耐擦傷性を次のように判定した。 Ａ：わずかに傷がつく Ｂ：多く傷がつく Ｃ：膜のはがれが生じる
【００２４】（ｂ）密着性試験 ＪＩＳ−Ｚ−１５２２に従いゴバン目を１０×１０個作
りセロファン粘着テープにより剥離試験を３回行い、残
ったゴバン目の数を数えた。
りセロファン粘着テープにより剥離試験を３回行い、残
ったゴバン目の数を数えた。
【００２５】（ｃ）視感反射率（片面） 日立製作所製Ｕ３４１０型自記分光光度計を用い、視感
反射率を求めた。
反射率を求めた。
【００２６】（ｄ）耐熱性試験 蒸着膜形成直後の反射防止膜を有する光学部材をオーブ
ンに１時間入れて加熱し、クラックの発生の有無を調べ
た。加熱温度は５０℃より始め、５℃ずつ上げて、クラ
ックが発生する温度を調べた。
ンに１時間入れて加熱し、クラックの発生の有無を調べ
た。加熱温度は５０℃より始め、５℃ずつ上げて、クラ
ックが発生する温度を調べた。
【００２７】（ｅ）経時的な耐熱性試験 蒸着膜形成直後の反射防止膜を有する光学部材を４ヶ月
間屋外暴露を行ない、その後、前記した耐熱性試験と同
じ方法により評価を行なった。
間屋外暴露を行ない、その後、前記した耐熱性試験と同
じ方法により評価を行なった。
【００２８】
【実施例】実施例１ まず反射防止膜を設ける合成樹脂として、ジエチレング
リコールビスアリルカーボネートを主成分とし、紫外線
吸収剤として２−ヒドロキシ−４−ｎ−オプトキシベン
ゾフェノンを、前者／後者に重量比が９９．９７／０．
０３となるように含有する、屈折率が１．４９９のプラ
スチックレンズを用意した。
リコールビスアリルカーボネートを主成分とし、紫外線
吸収剤として２−ヒドロキシ−４−ｎ−オプトキシベン
ゾフェノンを、前者／後者に重量比が９９．９７／０．
０３となるように含有する、屈折率が１．４９９のプラ
スチックレンズを用意した。
【００２９】（ｉ）ハードコード層（ｎｄ１．５０）の
形成 前記プラスチックレンズを、８０モル％のコロイダルシ
リカと２０モル％のγ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランを含有するコーティング液に浸漬硬化してハ
ードコード層を設けた。
形成 前記プラスチックレンズを、８０モル％のコロイダルシ
リカと２０モル％のγ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランを含有するコーティング液に浸漬硬化してハ
ードコード層を設けた。
【００３０】（ｉｉ）反射防止膜の形成 前記ハードコード層を有するプラスチックレンズを８０
℃に加熱し、前記ハードコード層の上に真空蒸着法（真
空度２×１０-5Ｔｏｒｒ）によりＳｉＯ2 からなる下地
層［屈折率１．４６、膜厚０．６λ（λは５００ｎｍで
ある）］を形成した。次に下地層の上にＹ2 Ｏ3 とＬａ
2 Ｏ3 との混合層（屈折率１．７７、膜厚０．０５６λ
と、ＳｉＯ2 層（屈折率１．４６、膜厚０．１１λ）よ
りなる第１の低屈折率層（屈折率１．５６、膜厚０．１
６６λ）を形成した。次にこの第１の低屈折率層の上に
Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3との混合層より構成される高屈折
率層（屈折率１．７７、膜厚０．５０λ）を形成した。
次に前記高屈折率層の上にＳｉＯ2 からなる第２の低屈
折率層（屈折率１．４６、膜厚０．２５λ）を形成し
て、反射防止膜付きプラスチックレンズを得た。尚、前
記第１の低屈折率層から第２の低屈折率層は前記下地層
を形成した同様の真空蒸着法により形成した。
℃に加熱し、前記ハードコード層の上に真空蒸着法（真
空度２×１０-5Ｔｏｒｒ）によりＳｉＯ2 からなる下地
層［屈折率１．４６、膜厚０．６λ（λは５００ｎｍで
ある）］を形成した。次に下地層の上にＹ2 Ｏ3 とＬａ
2 Ｏ3 との混合層（屈折率１．７７、膜厚０．０５６λ
と、ＳｉＯ2 層（屈折率１．４６、膜厚０．１１λ）よ
りなる第１の低屈折率層（屈折率１．５６、膜厚０．１
６６λ）を形成した。次にこの第１の低屈折率層の上に
Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3との混合層より構成される高屈折
率層（屈折率１．７７、膜厚０．５０λ）を形成した。
次に前記高屈折率層の上にＳｉＯ2 からなる第２の低屈
折率層（屈折率１．４６、膜厚０．２５λ）を形成し
て、反射防止膜付きプラスチックレンズを得た。尚、前
記第１の低屈折率層から第２の低屈折率層は前記下地層
を形成した同様の真空蒸着法により形成した。
【００３１】得られた反射防止膜付きプラスチックレン
ズの試験結果を表３に示す。実施例１で得られた反射防
止膜付きプラスチックレンズは耐擦傷性、密着性が良好
なだけでなく、クラック発生温度が１１０℃と耐熱性に
優れ、４ヶ月後のクラック発生温度が８５℃と経時的な
耐熱温度の低下の程度が低いものであった。
ズの試験結果を表３に示す。実施例１で得られた反射防
止膜付きプラスチックレンズは耐擦傷性、密着性が良好
なだけでなく、クラック発生温度が１１０℃と耐熱性に
優れ、４ヶ月後のクラック発生温度が８５℃と経時的な
耐熱温度の低下の程度が低いものであった。
【００３２】実施例２ 合成樹脂としてジエチレングリコールビスアリルカーボ
ネート３０重量部、ベンジルメタクリレート２０重量
部、ジアリルテレフタレート４５重量部及びメチルメタ
クリレート５重量部を出発原料とする屈折率が１．５４
９のプラスチックレンズを用いた。
ネート３０重量部、ベンジルメタクリレート２０重量
部、ジアリルテレフタレート４５重量部及びメチルメタ
クリレート５重量部を出発原料とする屈折率が１．５４
９のプラスチックレンズを用いた。
【００３３】（ｉ）ハードコード層（ｎｄ１．５６）の
形成 前記プラスチックレンズを５０モル％の五酸化アンチモ
ンゾルと５０モル％のγ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシランとを含有するコーティング液に浸漬してハ
ードコード層を設けた。
形成 前記プラスチックレンズを５０モル％の五酸化アンチモ
ンゾルと５０モル％のγ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシランとを含有するコーティング液に浸漬してハ
ードコード層を設けた。
【００３４】さらに実施例１と同様な方法で、表１に示
す膜構成を有する反射防止膜付きプラスチックレンズを
得た。実施例２で得られた反射防止膜付きプラスチック
レンズも表３に示すように耐熱性に優れ、経時的な耐熱
性の低下の小さいものであった。
す膜構成を有する反射防止膜付きプラスチックレンズを
得た。実施例２で得られた反射防止膜付きプラスチック
レンズも表３に示すように耐熱性に優れ、経時的な耐熱
性の低下の小さいものであった。
【００３５】実施例３〜６ 表１と表２に示したプラスチックレンズ基板を用い、第
１の低屈折率層、高屈折率層、第２の低屈折率層を表１
と表２に示したような膜構成にした以外は実施例１、２
と同様にして反射防止膜付きプラスチックレンズを得
た。得られた反射防止膜付きプラスチックレンズは、表
３から表４に示すように耐擦傷性、密着性は実施例１、
２と同様なものが得られ、更に耐熱性、経時的な耐熱性
の低下も実施例１、２のもと同様で優れたものであっ
た。
１の低屈折率層、高屈折率層、第２の低屈折率層を表１
と表２に示したような膜構成にした以外は実施例１、２
と同様にして反射防止膜付きプラスチックレンズを得
た。得られた反射防止膜付きプラスチックレンズは、表
３から表４に示すように耐擦傷性、密着性は実施例１、
２と同様なものが得られ、更に耐熱性、経時的な耐熱性
の低下も実施例１、２のもと同様で優れたものであっ
た。
【００３６】比較例１〜２ 比較例として特開平２−２９１５０２号公報に開示され
ている反射防止膜付きプラスチックレンズの例を挙げ
る。第１の低屈折率層、高屈折率層、第２の低屈折率層
を表２に示した膜構成にした以外は実施例１、２と同様
にして反射防止膜付きプラスチックレンズを得た。得ら
れた反射防止膜付きプラスチックレンズは、表４に示す
ように耐擦傷性、密着性、耐熱性は実施例１、２と同様
なものが得られたが、４ヶ月屋外暴露した後のクラック
発生温度が５５℃と、経時的な耐熱温度の低下が実施例
のレンズと比べ大きいものであった。
ている反射防止膜付きプラスチックレンズの例を挙げ
る。第１の低屈折率層、高屈折率層、第２の低屈折率層
を表２に示した膜構成にした以外は実施例１、２と同様
にして反射防止膜付きプラスチックレンズを得た。得ら
れた反射防止膜付きプラスチックレンズは、表４に示す
ように耐擦傷性、密着性、耐熱性は実施例１、２と同様
なものが得られたが、４ヶ月屋外暴露した後のクラック
発生温度が５５℃と、経時的な耐熱温度の低下が実施例
のレンズと比べ大きいものであった。
【００３７】
【表１】
【００３８】
【表２】
【００３９】
【表３】
【００４０】
【表４】
【００４１】
【発明の効果】本発明の反射防止膜を有する光学部材
は、耐擦傷性、密着性、耐熱性が良好なばかりでなく、
経時的な耐熱性の低下が小さい。したがって、本発明の
光学部材は例えば、作製して長時間保存する可能性のあ
る眼鏡レンズなどに好適に用いることができる。
は、耐擦傷性、密着性、耐熱性が良好なばかりでなく、
経時的な耐熱性の低下が小さい。したがって、本発明の
光学部材は例えば、作製して長時間保存する可能性のあ
る眼鏡レンズなどに好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−250001（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−251901（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−130139（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−7683（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) G02B 1/10
Claims (4)
- 【請求項１】 合成樹脂基材の上に、基板側から順に、
Ｙ2 Ｏ3とＬａ2 Ｏ3 とを含む層と、ＳｉＯ2 層より構
成される第１の低屈折率層；Ｙ2 Ｏ3 とＬａ2 Ｏ3 とを
含む混合物からなる高屈折率層；ＳｉＯ2 より構成され
る第２の低屈折率層を積層してなることを特徴とする反
射防止膜を有する光学部材。 - 【請求項２】 第１の低屈折率層から第２の低屈折率層
の光学的膜厚が設計波長をλとしたとき、５００ｎｍ〜
６００ｎｍにおいて 第１の低屈折率層 ０．１５λ〜０．３０λ 高屈折率層 ０．４５λ〜０．５５λ 第２の低屈折率層 ０．２０λ〜０．３０λ であ
り、 屈折率が、 第１の低屈折率層 １．５０〜１．６５ 高屈折率層 １．７０〜１．９５ 第２の低屈折率層 １．４３〜１．４７ であることを特徴とする請求項１記載の反射防止膜を有
する光学部材。 - 【請求項３】 合成樹脂基材と第１の低屈折率層の間に
有機ケイ素化合物を含むハードコート層を設けたことを
特徴とする請求項１または２記載の反射防止膜を有する
光学部材。 - 【請求項４】 前記反射防止膜を有する光学部材が眼鏡
用レンズであることを特徴とする請求項１〜３のいずれ
か１項に記載の反射防止膜を有する光学部材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3155216A JP3068243B2 (ja) | 1991-05-31 | 1991-05-31 | 反射防止膜を有する光学部材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3155216A JP3068243B2 (ja) | 1991-05-31 | 1991-05-31 | 反射防止膜を有する光学部材 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH04355403A JPH04355403A (ja) | 1992-12-09 |
| JP3068243B2 true JP3068243B2 (ja) | 2000-07-24 |
Family
ID=15601058
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3155216A Expired - Fee Related JP3068243B2 (ja) | 1991-05-31 | 1991-05-31 | 反射防止膜を有する光学部材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3068243B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP5225421B2 (ja) * | 2010-05-18 | 2013-07-03 | キヤノン株式会社 | 電子写真装置および電子写真感光体 |
| JP6362105B2 (ja) * | 2014-08-27 | 2018-07-25 | キヤノン株式会社 | 反射防止膜を有する光学素子、光学系、光学機器 |
-
1991
- 1991-05-31 JP JP3155216A patent/JP3068243B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH04355403A (ja) | 1992-12-09 |
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