JP2007103663A - 磁気素子、記録再生素子、論理演算素子および論理演算器 - Google Patents

磁気素子、記録再生素子、論理演算素子および論理演算器 Download PDF

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Abstract

【課題】記録再生素子(装置)、論理演算素子(演算器、装置)に用いられる磁気素子において、単純かつ集積化に適した構造を提供する。
【解決手段】磁性層FM1には、第1の方向と、第1の方向に反平行の第2の方向とのいずれかに磁化可能な磁化可変領域と、その内部に電流を導入するための電極L1,L2とが具備され、非磁性層NMには、磁性層FM1の磁化可変領域上に位置して自身に所定の電位を付与するための電極L3が具備され、磁性層FM2には、非磁性層NM上に位置し、自身の電位を検出するための電極L4が具備され、磁性層FM2の内部磁化を、予め第1、第2の方向のいずれかの方向に固着させた上で、磁性層FM1の磁化可変領域における磁化状態の変化を検出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、記憶素子や論理演算素子として機能させることが可能な磁気素子ならびに当該磁気素子を用いた記録再生素子、論理演算素子および論理演算器に関するものである。
シリコン(Si)デバイスに代表される従来の半導体エレクトロニクス素子は、記憶素子、論理演算素子などとして広く用いられている。しかしながら、これらの半導体素子は、本質的に抵抗が高く、キャリア濃度が小さいため、素子の集積化という観点に鑑みると、消費電力の増加や、ダウンサイジングによる誤動作などの問題が顕在化している。
一方、半導体素子の製造に用いられる微細加工技術の進展は著しく、近時、電子スピンの緩和長と同等あるいはそれ以下のスケールの構造を持つ素子(磁気素子)の製造が可能になった。例えば、ハードディスク用の磁気ヘッド(GMRヘッド)が代表的なものとして挙げられる。
従来の半導体エレクトロニクス素子では、電子が有する性質のうち電荷としての性質のみが利用されているのに対し、近時のエレクトロニクス素子では、上述したような微細加工技術の進展に伴って、電子が有する電荷以外の性質として、スピンの性質を活用することが可能になった。このようなスピンの性質を利用するエレクトロニクス素子は、スピンエレクトロニクス素子と呼ばれ、これまでに多数の発明がなされ、今後も、性能の向上と機能や利用範囲の拡大が期待されている。
その一例として、M.Johnsonによって発明された「スピントランジスタ」と呼ばれる3端子機能素子が存在する(非特許文献1参照)。この文献に開示される素子においては、第1端子および第2端子の間に電圧を与えることで、非磁性体へのスピン注入を行い、このとき注入されるスピンの方向に応じて、第3端子から異なる符号の出力電圧を得ることができる。
このスピントランジスタを、トランジスタとして機能させるためには、上述の構造に加えて、磁化方向制御機構が必要とされる。ただし、この機構を実現するための一例として、素子の周辺に配線を配置し、この配線を流れる電流によって生成される磁界を通じて素子の内部状態(磁化方向)を制御する手法が開示されている(非特許文献2参照)。
なお、上記技術に関連する文献として、スピン注入素子における出力電圧が小さいという問題を解決するものとして、例えば、下記非特許文献3で用いられている構造の素子などに、スピン注入される非磁性層に半導体等の導電性の低い材料を用いる技術を開示した文献が存在する(特許文献1参照)。
また、上記技術に関連する他の文献として、電流磁界に代えてスピン・トランスファ・トルクを利用した磁化スイッチング技術も提案されている(特許文献2参照)。
特開2004−186274号公報 米国特許第5695864号明細書 M.Johnson:Science,260,320(1993) M.Johnson:IEEE Spectrum 31,47(1994) F.J.Jedema et al.:Nature 416,713(2002)
しかしながら、上記非特許文献2などに示される従来技術では、磁界の空間的な広がりによる誤作用の問題を回避することができないという問題点があった。また、書き込みのための配線を考慮すると実質1素子につき5端子が必要となるため、集積化に適した構造を有しているとは言い難かった。さらには、セルサイズの微細化とともに書き込みに必要な電流が増大するといった問題点があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、単純な構造を有し、集積化に適した、磁気素子(機能性磁気素子)を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明にかかる磁気素子を用いることにより、集積化に優れ、低消費電力で動作する記録再生素子を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明にかかる磁気素子を用いることにより、集積化に優れ、低消費電力で動作する論理演算素子を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明にかかる論理演算素子を用いることにより、省電力化に優れた論理演算器を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる磁気素子は、第1の方向と該第1の方向に対して反平行の第2の方向とのいずれかの方向に磁化可能な磁化可変領域を含み、自身の内部に電流を導入するための第1の電極を具備する第1の磁性層と、前記第1の磁性層の前記磁化可変領域にその表面が接し、自身に所定の電位を付与するための第2の電極を具備する非磁性層と、前記非磁性層の裏面に接し、その内部磁化が予め前記第1、第2の方向のいずれかの方向に固着されるとともに、自身の電位を検出するための第3の電極を具備する第2の磁性層と、を備えることを特徴とする。
また、本発明にかかる記録再生素子は、磁気素子の前記第1の電極を構成する一対の電極、または該第1の電極および前記第3の電極のいずれか一つの組に前記磁化可変領域の磁化方向を反転制御するための所定電流を流すことにより所定データの記録を行い、前記第2の電極に所定電位を与え、前記磁化可変領域の磁化状態に応じた電位を前記第3の電極にて検出することにより記録データの再生を行うことを特徴とする。
また、本発明にかかる論理演算素子は、磁気素子の前記第1の電極を構成する一対の電極、または該第1の電極および前記第3の電極のいずれか一つの組に前記磁化可変領域の磁化方向を反転制御するための所定電流を流すことにより該磁化可変領域を初期状態に設定し、該初期状態を設定する際に使用された一組の電極間に該磁化可変領域の磁化方向を反転制御するための所定電流を流すことにより所定データの入力を行い、前記第2の電極に所定電位を与え、前記磁化可変領域の磁化状態に応じた電位を前記第3の電極にて検出することにより入力データの論理演算を行うことを特徴とする。
また、本発明にかかる論理演算器は、1個または複数個からなる論理演算素子の所定の入力電極と所定の出力電極とが相互に接続され、初期状態を設定する際に使用される一組の電極のうちの一方の電極に入力される1ビットのデータAと、他方の電極に入力される1ビットのデータBからなる入力データビットに対して、A∨¬B、または、A∧¬B(「∨」:論理和演算,「∧」:論理積演算,「¬」:否定演算)にて行われる論理演算を基本演算として、A∧B,A∨B,¬(A∧B)および¬(A∨B)を含む論理演算を実行することを特徴とする。
本発明にかかる磁気素子によれば、第2の磁性層の内部磁化を、予め第1、第2の方向のいずれかの方向に固着させた上で、第1の磁性層の磁化可変領域における磁化状態の変化を検出するようにしているので、単純な構造を有し、集積化に適した磁気素子(機能性磁気素子)を提供することができるという効果を奏する。
本発明にかかる記録再生素子によれば、単純な構造を有し、集積化に適した磁気素子によって構成されるので、集積化に優れ、低消費電力で動作する記録再生素子を提供することができるという効果を奏する。
本発明にかかる論理演算素子によれば、単純な構造を有し、集積化に適した磁気素子によって構成されるので、集積化に優れ、低消費電力で動作する論理演算素子を提供することができるという効果を奏する。
本発明にかかる論理演算器によれば、集積化に優れ、低消費電力で動作する論理演算素子によって構成されるので、小型化、省電力化に優れた論理演算器を提供することができるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかる磁気素子、記録再生素子、論理演算素子および論理演算器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下に示す図面は模式的なものであり、各部分の厚みや、厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは現実のものとは異なる。さらに、図面の相互間において、同一部分を指す場合であっても、互いの寸法や比率が異なって示されることもある。
(実施の形態1)
[実施の形態1にかかる磁気素子の基本構造]
まず、本発明の実施の形態1にかかる磁気素子の基本構造について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる磁気素子(以下「磁気素子W」と表記)の断面構造を模式的に示す図である。同図に示すように、この磁気素子は、磁性層FM1、非磁性層NM、磁性層FM2がこの順に積層された多層構造を有している。磁性層FM1には、自身の内部に、後述する磁壁DW(Domain Wall)の形成を容易化するとともに、形成された磁壁を安定化するための括れ部CSが設けられている。なお、この括れ部CSは、磁壁をこの位置で安定的に停止させるための機構として設けたものであり、必須の要件ではない。また、この括れ部CSは、図示するような局所的な括れを必ずしも有している必要はなく、層内に幅や厚みの変化を生じさせるような構造であってもよい。
また、各層には、1または2の電極が接続されている。具体的には、磁性層FM1は2つの電極L1,L2と接続され、非磁性層NMは電極L3と接続され、磁性層FM2は電極L4と接続されている。これらの電極は、各層と直接接続することもでき、あるいは非磁性導体を介して間接的に接続することもできる。なお、磁気素子Wにおける各層のサイズや各層に用いられる材料、また各層が多層構造を有する場合の各サブレイヤに用いることのできる材料については、後述する。
[磁気素子Wの基本構造−磁性層FM2の特徴]
磁性層FM2は、自身の磁化が特定の方向に固着される磁化固着層として機能する。磁化を固着するための磁化固着手法としては、例えば磁性層FM2として異方性エネルギーKuが大きい材料を用いる手法や、磁性層FM2と電極L4との間に反強磁性層を設ける手法などがある。なお、磁性層FM2を2個以上の磁性サブレイヤと0個以上の非磁性サブレイヤからなる多層構造とすることができる。
[磁気素子Wの基本構造−非磁性層NMの特徴]
非磁性層NMは、1個以上の導体あるいは半導体サブレイヤと0個以上の絶縁体サブレイヤとからなる多層構造とすることができる。この場合、電極L2は、導体あるいは半導体サブレイヤと直接または間接的に接続されていればよい。また、多層構造を有する場合の各サブレイヤの断面積は一致している必要がない。なお、磁性層FM2と非磁性層NMとの間の界面と、磁性層FM1と非磁性層NMとの間の界面との距離は、後述する理由によりスピン拡散長(各層に用いられる材料にも依存するが、例えば数100nm程度のオーダー)の範囲内に存している必要があるので、これらの界面間の距離、すなわち非磁性層NMの厚さは、スピン拡散長の範囲内に収められる。
[磁気素子Wの基本構造−磁性層FM1の特徴]
磁性層FM2が磁化固着層であるのに対し、磁性層FM1は、磁化可変層となる。すなわち、磁性層FM1は、複数の磁区からなる磁気構造を有しており、各磁区を分離する際に形成される磁壁DWを自身に設けた括れ部CSに形成させることができる。なお、図1に示す例では、2つの括れ部CSを設けるようにしているので、磁壁DWの位置は、後述する磁壁可変手法を用いて、括れ部CS間を移動させることができる。このように、磁性層FM1は、形成された磁壁の位置を可変することができるので、磁化固着層である磁性層FM2に対比して、磁化可変層と位置づけることができる。なお、磁性層FM1における磁壁の移動が可能な領域を磁化可変領域と定義することができる。
[磁化可変領域における磁化状態の制御手法(第1の手法)]
つぎに、磁性層FM1内に磁壁DWを形成させる手法および当該位置を制御する手法について図2および図3を参照して説明する。なお、図2は、磁性体の層間交換結合を利用して2つ以上の磁区からなる磁気構造を磁性層FM1内に形成して磁壁DWを形成する第1の手法の一例を示す図であり、図3は、非磁性層を介した2つの磁性体間の相互間距離に対する磁気的結合の強さを示す図である。
図2において、磁性層FM1の一端(同図の右端)近傍では、磁性層FM1と反強磁性層AF1とが接合されている。一方、磁性層FM1の他端(同図の左端)近傍では、非磁性層N2を介して磁性層FM1と強磁性層F2とが接合されるとともに、この強磁性層F2を介して非磁性層N2と反強磁性層AF1とが接合されている。このような状態では、反強磁性層AF1と磁性層FM1の間の交換結合により、磁性層FM1内部の、磁性層FM1と反強磁性層AF1の界面を含む領域の磁化状態は第1の方向(例えば、図示するような「左向き矢印」の方向)に固着される。
また、一般的に、非磁性層を介した2つの磁性体の間には、図3に示すように、各磁性体間の相互間距離に対して振動的な性質を持つ結合が存在する。そのため、例えば、磁性層FM1と磁性層F2の間に挟まれる非磁性層N2の厚みを図3における位置t2にとれば、結合定数(J:カップリング)が負、つまり反強磁性的な結合が実現される。例えば、磁性層F2を反強磁性層AF2と接続するなどすれば、磁性層F2の磁化方向を、第1の方向とすることができる。一方、磁性層FM1内の、非磁性層N2との界面近傍領域は、磁性層F2と反強磁性的に結合するため、この領域での磁化状態は、第1の方向に対して反平行になる。つまり、磁性層FM1内では、第1の方向の磁化、すなわち第1の方向に平行な磁化(平行磁化)を持つ領域と、第1の方向に反平行な磁化(反平行磁化)を持つ領域とに分かれ、両者の領域間の、例えば括れ部CS1に磁壁DWが形成されることになる。ここで、ある磁化方向に対して「平行」とは、2つの磁化の向きが略一致することを意味し、ある磁化方向に対して「反平行」とは、2つの磁化の向きが互いに略反対であることを意味している。以下の説明においても、「平行」、「反平行」という表現、および「平行磁化」、「反平行磁化」という表現は、この定義に従うものとする。
[磁化可変領域における磁化状態の制御手法(第2の手法)]
つぎに、磁性層FM1内に磁壁DWを形成させる他の手法について図4−1および図4−2を参照して説明する。なお、図4−1は、磁性層FM1内に形成する磁壁DWを電流磁界の作用を利用して形成する第2の手法の一例を示す図であり、図4−2は、同一の手法を用いて図4−1とは異なる(逆向きの)磁化状態および当該磁化状態に基づいて形成される磁壁を示す図である。図4−1および図4−2に示す例では、磁性層FM1の外部かつ磁性層FM1の一端の所定近傍領域に配線層WLが設けられている。
まず、配線層WLに電流を流していない状態において、磁性層FM1の磁化の方向と磁性層FM2の磁化の方向とが「反平行」となるような状態に制御されているものとする(図4−1参照)。この状態において、配線層WL中を、同図に示すような紙面の裏側から表側に向かう方向の電流が流れると、その周囲に磁界が発生する。磁性層FM1の一部は、この磁界の作用を受けて磁化状態を反転させる。したがって、括れ部CS1の左側部の磁化の方向と括れ部CS1の右側部の磁化の方向とが反平行となり、磁区の境界を表す磁壁DWが括れ部CS1に形成される。
一方、配線層WLに電流を流していない状態において、磁性層FM1の磁化の方向と磁性層FM2の磁化の方向とが「平行」となるような状態に制御されているものとする(図4−2参照)。この状態において、配線層WL中を、同図に示すような紙面の表側から裏側に向かう方向の電流が流れると、その周囲に図4−1とは逆方向の磁界が発生する。磁性層FM1の一部は、この磁界の作用を受けて磁化状態を反転させる。したがって、括れ部CS1の左側部の磁化の方向と括れ部CS1の右側部の磁化の方向とが反平行となり、磁壁DWが括れ部CS1に形成される。
このように、第2の磁壁形成手法では、配線中に流す電流の向きに応じた方向に磁性層FM1の一部の磁化を形成させることができる。また、この手法は、第1の手法と比べて、磁区内の磁化方向を素子の製作後に制御できるという利点がある。
[磁化可変領域における磁化状態の制御手法(第3の手法)]
つぎに、磁性層FM1内に磁壁DWを形成させる第1、第2の手法とは異なる他の手法について図5−1および図5−2を参照して説明する。なお、図5−1は、磁性層FM1内に形成する磁壁DWをスピン・トランスファ・トルクによる磁化反転を利用して形成する第3の手法に基づく構成例を示す図であり、図5−2は、図5−1に示す構成の変形例を示す図である。
図5−1および図5−2において、磁性層FM1の一端の近傍において、磁性層FM1の上部(図5−1)または下部(図5−2)に、電極Lsを接続する強磁性層FM3と非磁性層N3とからなる多層膜が形成されている。なお、磁性層FM1と直接接続される層は必ず非磁性層N3であり、この非磁性層N3の厚みはスピン拡散長より小さくする必要がある。
いま、2つの電極L1,Ls間に電流を流すと、磁性層FM1と非磁性層N3との界面近傍領域の磁化は、強磁性層FM3を通過あるいは反射したスピンフィルタ効果に基づくスピン偏極電流からのスピン・トランスファ・トルクを受け、電極L1,Ls間に流した電流の向きに応じた方向を向く。このことはスピン拡散長よりも短い厚みを持った非磁性層N3を介して磁性層FM1と接続されている強磁性層FM3は、スピン偏極電流の供給源として作用することを意味する。したがって、図5−1あるいは図5−2に示す構成を用い、電極L1,Ls間に磁性層FM1に形成されている磁化方向を反転させるに足る所定電流を流すことにより、括れ部CS1に磁壁DWを形成することができる。
なお、ここで述べた第3の手法は、第2の手法と同様に、磁区内の磁化方向を素子製作後に制御できるという利点がある。また、第2の手法と比較して、素子サイズが微細なスケールになればなるほど、逆磁区領域形成に必要な電流量を小さくできるという利点がある。
また、これまでに取り上げた上記3つの手法は、ごく一例を示したに過ぎず、磁壁を形成する手法は、上述の例に限定されるものではない。
[磁壁DWの移動手法]
つぎに、上記3つの手法に共通的に適用できる磁壁DWの移動手法について、例えば図1を参照して説明する。同図において、磁壁DWを移動させるには、電極L1と電極L2との間に、ある閾値以上の電流を流すことにより行われる。このとき、磁壁DWは、電流と逆方向に移動する。つまり、例えば、電極L1から電極L2に向かって電流を流すと、磁壁DWは、電極L2から電極L1に向かう方向に移動する。なお、磁壁の移動範囲である磁化可変領域は、磁性層FM1と非磁性層NMの接合部を含んでいればよいので、図示するような当該接合部領域から端部に向かう方向にわずかに進んだ位置に、括れ部CSを設けるようにすれば、磁化可変領域が最大限に活用され、磁化可変層における磁化状態を安定化することができる。
[磁化可変領域における磁化方向の検出手法]
つぎに、磁化可変領域における磁化方向の検出手法について、例えば図1を参照して説明する。磁化可変領域における電位は、電極L1に与えられる電位と電極L2に与えられる電位の間の範囲に分布する。電極L3にこれらの電位より高い電位を与えると、電子が磁性層FM1から非磁性層NMに向かって流れる。このとき、磁性層FM1から非磁性層NMに向かって流れる電子は、磁化可変領域の磁化に平行な方向にスピン偏極している。よって、非磁性層NM内には、この方向のスピン蓄積が生じる。非磁性層NMの厚みはスピン拡散長より小さいので、非磁性層NMの内部で、スピン蓄積が維持される。非磁性層NMに接する強磁性層FM2の化学ポテンシャルは、このNMにおけるスピン蓄積の影響を受ける。もし、磁化可変領域の磁化方向と磁化固着層である磁性層FM2の磁化方向とが平行であれば、磁化固着層の化学ポテンシャルは上昇し、電極L4の電位が電極L3を基準として正になる。一方、これとは逆に、磁化可変領域の磁化方向と磁化固着層である磁性層FM2の磁化方向とが反平行であれば、磁化固着層の化学ポテンシャルは下降し、電極L4の電位が電極L3を基準として負になる。このように磁化可変領域における磁化方向は、電極L1,L2にそれぞれ与える電位によって決定される磁化の方向を、電極L1,L2にそれぞれ与える電位よりも高い電位を電極L3に付与し、このとき検出される電極L4の電位の符号に基づいて検出することができる。
[磁気素子Wにおける素子構造の変形例]
図6−1〜図6−3は、実施の形態1にかかる磁気素子Wにおける素子構造の変形例を示す斜視図である。図6−1および図6−2に示す素子構造は、非磁性層NMに接合された電極L3と磁性層FM2に接合された電極L4とを結ぶ線と、電極L1と電極L2とを結ぶ磁性層FM1の長手方向を示す線との関係(以下単に「電極配置関係」という)が略直交するように配置した例である。一方、図6−3に示す素子構造では、電極配置関係が略平行となるように配置した例を示している。また、図6−1および図6−3には、非磁性層NMが絶縁体サブレイヤSRを含む構造が示されている。この絶縁体サブレイヤSRは、非磁性層NMを構成するサブレイヤの中で磁性層FM1に接する位置にあり、非磁性層NMを構成する他のサブレイヤと比べて面積が小さいという特徴を有している。このように、図示するような絶縁体サブレイヤSRを含んだ構造を用いると、電極L1と電極L2との間に電流を流して磁化可変領域の磁化方向を変化させる際に、電流密度を減少させることなく非磁性層NMへの電流の流入量が抑制されるので、所定の書き込み効率を維持しつつ、電力消費量を抑制することができるという効果が得られる。なお、絶縁体サブレイヤSRの厚みは、絶縁性を確保しつつ、この種の効果を得る観点に鑑みて、1nm以下の厚みに設定されることが好ましく、また、結晶性のある構造体であればさらに好ましい。
以上説明したように、この実施の形態によれば、磁性層FM1には、第1の方向と、第1の方向に反平行の第2の方向とのいずれかに磁化可能な磁化可変領域と、その内部に電流を導入するための電極L1,L2とが具備され、非磁性層NMには、磁性層FM1の磁化可変領域上に位置して自身に所定の電位を付与するための電極L2が具備され、磁性層FM2には、非磁性層NM上に位置し、自身の電位を検出するための電極L4が具備され、磁性層FM2の内部磁化を、予め第1、第2の方向のいずれかの方向に固着させた上で、磁性層FM1の磁化可変領域における磁化状態の変化を検出するようにしているので、単純な構造を有し、集積化に適した磁気素子が提供される。
[磁気素子Wにかかる実施例(実施例1)]
つぎに、上述した磁気素子Wにかかる実施例(実施例1)について説明する。なお、各サンプルにおける反強磁性層AFは、磁化固着層である磁性層FM2の固着磁化の安定化のために用いている。また、所望の磁壁を形成させるために図1に示した磁気素子Wに付加される各層(例えば、第1の手法であれば、強磁性層F2、非磁性層N2および反強磁性層AF1の各層、第3の手法であれば、強磁性層FM3、非磁性層N3の各層)などを総称して「磁化方向付与層」として定義する。
磁気素子Wにかかる実施例として、図2に示したような、基本素子構造に加えて磁化方向付与層を有する、以下の構造、材料、サイズを持つサンプル1〜3を作製した。
(1)サンプル1:
磁性層FM1:Co(層厚2.5nm)
非磁性層NM:Cu(層厚5nm)
磁性層FM2:Co(層厚10nm)
反強磁性層AF:PtMn(層厚15nm)
(2)サンプル2:
磁性層FM1:Co(層厚2.5nm)
非磁性層NM:MgO(層厚0.8nm)/Cu(層厚5nm)
磁性層FM2:Co (層厚10nm)
反強磁性層AF:PtMn(層厚15nm)
(3)サンプル3:
磁性層FM1:FeCo(層厚2.5nm)
非磁性層NM:MgO(層厚0.8nm)/GaAs(層厚5nm)
磁性層FM2:FeCo(層厚10nm)
反強磁性層AF:PtMn(層厚15nm)
(4)磁化方向付与層(サンプル1,2,3で共通):
反強磁性層AF1:PtMn(層厚15nm)
反強磁性層AF2:PtMn(層厚15nm)
強磁性層F2:FeCo(層厚12nm)
非磁性層N2:Ru(層厚0.8nm)
これらのサンプルでは、Siウェーハ上に、超高真空スパッタ装置を用いて各層の成膜が行われ、レジスト塗布後の電子ビーム(EB)露光およびイオンミリングにおけるエッチング工程により微細加工され、作製された。また、セルの加工サイズに関しては、磁性層FM1は250nm×50nmであり、中間層を構成する非磁性層NMのCuサブレイヤは200nm×50nmであり、その他の層は100nm×50nmである。なお、磁化固着層である磁性層FM1への磁気異方性の付与は、反強磁性層AFの成膜後さらに保護膜を成膜した上で、磁場中真空炉にて270℃で10時間、磁場中アニールすることにより行われた。さらに、その上部にSi2を成膜した後、表面の平滑化を行い、保護膜表面を露出させた。最後に、この保護膜の表面上に電極L4が形成され、図2に示す構造の磁気素子Wが形成される。
[実施例1−各サンプルの比較結果]
上記の各サンプルについて、電極L1と電極L2との間に電流を流した後、電極L3に電位を与えながら電極L4の電位を測定した。まず、電極L1と電極L2の間に流す電流の向きに応じて電極L4の電位の符号が変化することが確認された。また、電極L3に与える電位が同じときでも、サンプル2,3はサンプル1に比べて、L4の電位の絶対値が大きかった。これは、結晶性絶縁体サブレイヤを挿入したことにより、電極L3に電位を与えたときの非磁性層NMへのスピン注入の効率が高くなったためと考えられる。
(実施の形態2)
[実施の形態2にかかる磁気素子の基本構造]
ここでは、本発明の実施の形態2にかかる磁気素子の基本構造について説明する。図7は、本発明の実施の形態1にかかる磁気素子(以下「磁気素子C4」と表記)の断面構造を模式的に示す図である。同図に示すように、この磁気素子C4は、磁性層FM1、非磁性層NM、磁性層FM2が、この順に積層された多層構造を有している。また、磁性層FM1の一端側の側面部には、電極L1が接続されるとともに、磁性層FM1の他端側(反対側)の側面部には、非磁性層NRを介して磁性層FRが接続され、さらに、磁性層FRの非磁性層NRが接合されていない側の側面部には電極L2が接続されている。一方、非磁性層NMは、電極L3と接続され、磁性層FM2は、電極L4と接続されている。
実施の形態1の磁気素子Wと同様に、磁気素子C4の磁性層FM2は磁化固着層であり、その磁化方向はある方向に固着される。また、磁性層FM2の磁化固着層着手法は、実施の形態1と同様である。一方、磁性層FRの磁化は、磁性層FM2の磁化と平行あるいは反平行な方向に固着される(図7の例では、磁性層FM2の磁化と平行な方向に固着されている)。さらに、磁性層FM1は磁化可変層であり、この部位の磁化の状態を磁性層FM2の磁化と平行または反平行のいずれかに設定することで情報の記録が可能となる。
[磁気素子C4における素子構造の変形例]
図8−1,図8−2は、実施の形態2にかかる磁気素子C4における素子構造の変形例を示す断面図である。すなわち、非磁性層NMと磁性層FM2とを積層する層は、電極L1に接続される磁性層FM1である必要はなく、例えば図8−1に示すように、電極L2に接続される磁性層FM1であってもよい。この場合、磁性層FM2と磁性層FLとが磁化固着層となる。また、例えば図8−2に示すように、電極L1に接続される磁性層FLと、電極L2に接続される磁性層FRとが、それぞれ非磁性層NL,NRを介して磁性層FM1の両側に接続されるような構成としてもよい。なお、図8−2に示す構成は、図7または図8−1に示す構成に比べて、非磁性層NMへのスピン注入の効率が高くなるので、書き込み効率が増大するという効果が得られる。
[磁化可変領域の定義]
例えば、図7において、磁性層FM1の磁化は自身の内部全体で実質的に一様に変化するので、磁性層FM1全体を磁化可変領域と定義することができる。
[磁化可変領域における磁化状態の制御手法]
この実施の形態にかかる磁気素子C4において、磁化可変領域すなわち磁性層FM1の磁化状態を変化させるには、電極L1と電極L2との間に電流を流す必要がある。このとき、磁性層FLおよび/または磁性層FRから磁性層FM1へのスピントランスファ現象が起こり、磁性層FM1の磁化が電極L1,L2間を流れる電流の向きに応じた方向を向く。
例えば図7に示す磁気素子C4では、電流が電極L1から電極L2の方向に流れるとき、磁性層FM1の磁化は磁性層FRの磁化に対して平行な向きを向く。一方、電流が電極L2から電極L1の方向に流れるとき、磁性層FM1の磁化は磁性層FRの磁化に対して反平行な向きを向く。
また、例えば図8−1に示す磁気素子C4では、電流が電極L1から電極L2の方向に流れるとき、磁性層FM1の磁化は磁性層FLの磁化に対して反平行な向きを向く。また、電流が電極L2から電極L1の方向に流れるとき、磁性層FM1の磁化は磁性層FLの磁化に対して平行な向きを向く。
また、例えば図8−2に示す磁気素子C4の磁性層FM1には、図7におけるスピン・トランスファ・トルクと、図8−1におけるスピン・トランスファ・トルクとが合成されたトルクが作用する。そのため、磁性層FLの磁化および磁性層FRの磁化が反平行な方向を向いているとき、2つのトルクが同方向に働くので、磁化反転効率が向上するとともに、磁化反転に必要な電流が低減化されるという効果が得られる。
[磁化可変領域における磁化状態の検出手法]
本実施の形態の磁化可変領域における磁化状態の検出手法は、実施の形態1の場合と同様である。すなわち、非磁性層NMに接続された電極L3に電位を与えたときの電極L4の電位を読み取ることにより行うことができる。
以上説明したように、この実施の形態の磁気素子によれば、磁性層FM1の長手方向における少なくとも一の端部には、非磁性層NRを介して接続される磁性層FRが具備され、電極L1,L2間に所定電位を与えた際に流れる電流に基づいて磁化可変領域の磁化方向を反転制御するようにしているので、所定の情報の記録や読み取りが可能となる。
(実施の形態3)
[実施の形態3にかかる磁気素子の基本構造]
つぎに、本発明の実施の形態3にかかる磁気素子の基本構造について説明する。ここで、図9は、本発明の実施の形態3にかかる磁気素子(以下「磁気素子C3」と表記)の断面構造を模式的に示す図である。同図に示すように、この磁気素子C3は、磁性層FM1、非磁性層NM、磁性層FM2が、この順に積層された多層構造を有している。また、磁性層FM1には電極L1が接続され、磁性層FM2には電極L2が接続され、非磁性層NMには電極L3が接続されている。
実施の形態1の磁気素子Wと同様に、磁気素子C3の磁性層FM2は磁化固着層であり、その磁化方向はある方向に固着される。また、磁性層FM2の磁化固着層着手法は、実施の形態1における磁性層FM2の磁化固着層着手法と同様である。
[磁気素子C3における素子構造の変形例]
図10は、実施の形態3にかかる磁気素子C3における素子構造の変形例を示す断面図である。同図に示すように、磁性層FM1と電極L1との間に磁性層FBと非磁性層NBが挟まれた構造とすることもできる。このとき、磁性層FBの磁化方向は固着され、その磁化固着手法は、実施形態1Wにおける磁性層FM2の磁化固着方法と同様である。なお、反強磁性層を用いる場合には、磁性層FBと電極L1との間に挿入することができる。
[磁化可変領域の定義]
例えば、図9において、磁性層FM1の磁化は自身の内部全体で実質的に一様に変化するので、実施の形態2の磁気素子C4と同様に、磁性層FM1全体を磁化可変領域と定義することができる。
[磁化可変領域における磁化状態の制御手法]
この実施の形態にかかる磁気素子C3において、磁化可変領域すなわち磁性層FM1の磁化状態を変化させるには、電極L1と電極L2との間に電流を流す必要がある。このとき、磁性層FM2および/または磁性層FBから磁性層FM1へのスピントランスファ現象が起こり、磁性層FM1の磁化が電極L1,L2間を流れる電流の向きに応じた方向を向く。
例えば図9に示す磁気素子C3において、電流が電極L1から電極L2の方向に流れるとき、磁性層FM1の磁化は磁性層FM2の磁化に対して平行な向きを向く。一方、電流が電極L2から電極L1の方向に流れるとき、磁性層FM1の磁化は磁性層FM2の磁化に対して反平行な向きを向く。
また、例えば図10に示す磁気素子C3では、電流が電極L1から電極L2の方向に流れるとき、磁性層FM1には、磁性層FM2からのスピン・トランスファ・トルクおよび磁性層FBからのスピン・トランスファ・トルクが同時に働く。ここで、磁性層FM2からのスピン・トランスファ・トルクは、図7に示した磁気素子C4の場合と同一方向である。一方、磁性層FBからのスピン・トランスファ・トルクは、電流が電極L1から電極L2方向に流れる場合、磁性層FM1の磁化が磁性層FBの磁化と反平行な向きを向く方向に働き、電流が電極L2から電流L1の方向に流れる場合には、磁性層FM1の磁化が磁性層FBの磁化と平行な向きを向く方向に働く。したがって、図10に示すように、磁性層FBの磁化方向が磁性層FM2の磁化方向と反平行な方向に固着されていれば、磁性層FM2および磁性層FBからの2つのスピン・トランスファ・トルクが同一方向に働くので、磁化反転効率が向上し、磁化反転に必要な電流が低減化されるという効果が得られる。
[磁化可変領域における磁化状態の検出手法]
本実施の形態の磁化可変領域における磁化状態の検出手法は、実施の形態1,2の場合と同様である。すなわち、非磁性層NMに接続された電極L3に電位を与えたときの電極L2の電位を読み取ることにより行うことができる。
このように、この実施の形態の磁気素子によれば、電極L1と電極L3との間に所定電位を与えた際に流れる電流に基づいて磁化可変領域の磁化方向を反転制御するようにしているので、所定の情報の記録や読み取りが可能となる。また、実施の形態2の磁気素子に比べて入力/出力端子数の数を削減しているの、集積化に優れた構造を提供することができる。
[磁気素子C3にかかる実施例(実施例2)]
つぎに、上述した磁気素子C3にかかる実施例(実施例2)について説明する。なお、磁気素子C3にかかる実施例として、図9に示す構造を持つサンプル1、図10に示す構造を持つサンプル2,3を作製した。また、サンプル1〜3の各層に用いられる材料および層厚は以下のとおりである。なお、各サンプルにおける反強磁性層AFは、磁化固着層である磁性層FM2の固着磁化の安定化のために用いている。また、電極材料にはCuを用いている。なお、これらのサンプルは、実施の形態1における実施例1のサンプルと同様な、成膜、加工および着磁工程により作製している。
(1)サンプル1:
磁性層FM1:Co(層厚3nm)
非磁性層NM:MgO(層厚0.6 nm)Cu(層厚5nm)の積層
磁性層FM2:Co(層厚15nm)
反強磁性層AF:PtIrMn(層厚18nm)
(2)サンプル2:
反強磁性層AFAF:FeMn(層厚12nm)
磁性層FB:Co(層厚10nm)
非磁性層NB:Al2O3(層厚0.7nm)
磁性層FM1:CoFe(層厚1nm)/Ru(層厚0.8nm)/CoFe(層厚1nm)の積層NM:MgO(層厚0.6nm)Cu(層厚5nm)の積層
磁性層FM2:Co(層厚12nm)
反強磁性層AF:FeMn(層厚12nm)
(3)サンプル3:
反強磁性層AF:IrMn(層厚14nm)
磁性層FB:Fe2O3(層厚11nm)
非磁性層NB:MgO(層厚0.6nm)
磁性層FM1:FeNi(層厚2nm)Co(層厚1nm)の積層
非磁性層NM:MgO(層厚0.6nm)Cu(層厚5nm)の積層
磁性層FM2:Co(層厚10nm)
反強磁性層AF:IrMn(層厚14nm)
[実施例2−各サンプルの比較結果]
上記の各サンプルについて、電極L1と電極L2との間に電流を流した後、電極L3に電位を与えながら電極L2の電位を測定した。その結果、電極L1と電極L2の間に流す電流の向きに応じてL2の電位の符号が変化することを確認した。なお、出力電位である電極L2の電位については、サンプル1〜3の間でほとんど変化がなかった。逆に、磁化反転に必要な電流を比較すると、サンプル2はサンプル1に比べて約1/3であり、サンプル3はさらに1桁程小さな値を示した。このことは、磁性層FM2および磁性層FBからの2つのスピン・トランスファ・トルクが同一方向に働くことで磁化反転効率が向上し、磁化反転に必要な電流が低減化されるという上記した内容を裏付けるものである。
[実施の形態1〜3の磁気素子に関する補足事項]
つぎに、実施の形態1〜3にかかる磁気素子W,C4およびC3に関する補足事項について説明する。
[補足事項−素子構造の変形例]
実施の形態1〜3の各項で示した断面図において、磁性層FM1および磁性層FM2内に書かれた矢印は、各層または各磁区における磁化の方向を表している。これらの図では、その一例として、磁化方向が、電極L1と電極L2の間に電圧を与えたときに流れる電流方向に沿う方向になる場合が示されているが、磁化方向は、この例に限定されない。例えば、磁性層FM2の磁化方向が、同図に示した方向に対して垂直であり、磁性層FM1の各磁区での磁化方向が、この方向に平行あるいは反平行となっても構わない。
また、本発明の磁気素子W,C4およびC3において、実施形態1〜3の各項で示した図を上下反転させた構造とすることができる。
さらに、磁性層FM2を、強磁性サブレイヤを2層以上含み、非磁性サブレイヤを0層以上含む多層構造とすることもできる。なお、この場合の磁性層FM2の磁化方向は、非磁性層NMに最も近い強磁性サブレイヤの磁化方向であると定義すればよい。
[補足事項−磁気素子における各層の構成材料]
つぎに、本発明の磁気素子W,C4およびC3における各層の構成材料について説明する。
[補足事項−各層の構成材料−磁性層]
磁気素子W,C4およびC3の各磁性層には、Co,Fe,Niまたはこれらを含む合金を用いることができる。
磁気素子C4,C3において、磁性層FM1からスピン拡散長より短い距離の非磁性層を介して対向する各磁性層は、この磁性層と磁性層FM1の間に垂直に電流を流したときの磁化反転効率を高くする観点から、スピン分極率が高い材料を用いることが好ましい。また、これらの各層の厚さは、0.2nm−50nmの範囲内とすることが好ましい。
このような観点から、ハーフメタルと呼ばれる高スピン分極率材料は理想的である。なお、ハーフメタルの例として、ホイスラー系合金、ルチル型酸化物、スピネル型酸化物、ペロブスカイト型酸化物、二重ペロブスカイト型酸化物、閃亜鉛鉱型クロム化合物、パイライト型マンガン化合物、センダスト合金などが含まれる。
また、磁気素子W,C4およびC3において、大きな出力電圧を得るためには、非磁性層NMへのスピン注入効率を高めることが必要である。このためには、磁性層FM1に、スピン分極率が高い材料を用いることが好ましい。また、磁性層FM1の厚さは、0.2nm−50nmの範囲内とすることが好ましい。
さらに、磁性層FM1や、その他の磁性層を構成する磁性体には、Ag、Cu、Au、Al、Mg、Si、Bi、Ta、B、C、O、N、Pd、Pt、Zr、Ir、W、Mo、Nb、Hなどの非磁性元素を添加することで、磁気特性や、その他の結晶性、機械的特性、化学的特性などの各種物性を調節することができる。
また、各磁性層が多層膜構造を有する場合、それを構成する非磁性サブレイヤの材料として、例えばCu,Au,Ag,Ru,Ir,Osあるいは、これらのいずれか一種以上を含む合金を用いることができる。
さらには、磁性層FM2などの固着磁化を安定化させるための反強磁性層AFの材料として、例えばFe−Mn,Pt−Mn,Pt−Cr−Mn,Ni−Mn,Pd−Mn,Pd−Pt−Mn,Ir−Mn,Pt−Ir−Mn,NiO,Fe23や、磁性半導体などを用いることが好ましい。
[補足事項−各層の構成材料−非磁性層]
磁気素子W,C4およびC3において、非磁性層または非磁性層を構成するサブレイヤとして非磁性金属を用いる場合には、Au,Cu,Cr,Zn,Ga,Nb,Mo,Ru,Pd,Ag,Hf,Ta,W,Pt,Biのうちのいずれか、あるいは、これらのいずれか一種以上を含む合金を用いることができる。また、この非磁性金属層の厚さは、0.2nm−50nmの範囲内とすることが望ましい。
また、非磁性層を構成するサブレイヤとして絶縁体を用いる場合には、Al23(酸化アルミニウム)、SiO2(酸化シリコン)、MgO(酸化マグネシウム)、AlN(窒化アルミニウム)、Bi23(酸化ビスマス)、MgF2(フッ化マグネシウム)、CaF2(フッ化カルシウム)、SrTiO2(酸化チタン・ストロンチウム)、AlLaO3(酸化ランタン・アルミニウム)、Al−N−O(酸化窒化アルニウム)、Si−N−Oなどを用いることができ、非磁性半導体を用いる場合には、ZnO、InMn、GaN、GaAs、TiO2、Zn、Te、またはそれらに遷移金属がドープされたものなどを用いることができる。これらの化合物は、化学量論的にみて完全に正確な組成である必要はなく、酸素、窒素、フッ素などの欠損、あるいは過不足が存在していてもよい。また、この絶縁体または半導体サブレイヤの厚さは、0.2nm−50nmの範囲内とすることが好ましい。
(実施の形態4)
この実施の形態では、本発明にかかる磁気素子が本来的に有する記録再生機能について説明するとともに、磁気素子(記録再生素子)を記録再生装置に適用する場合の実施の形態および具体的な実施例について説明する。
[記録再生機能−記録再生素子]
実施形態1〜3にて詳述した各素子は、上述したような性質を有しているため、データを記録する記録再生素子として用いることができる。具体的には、磁化可変層における磁化可変領域の磁化方向が、磁化固着層の磁化方向に対して平行であるか反平行であるかによって、「0」または「1」の値をとる1ビットデータを保存した状態に対応させることができる。なお、以下の説明では、磁化可変層の磁化が磁化固着層の磁化に対して、平行である状態のときを「0」とし、反平行であるときを「1」として定義する。なお、上述の手法によって、磁化可変層の磁化状態を所望の状態に設定することをデータの書き込み(記録)と呼称し、磁化可変状態の磁化状態を検出することをデータの読み出し(再生)と呼称する。
[記録再生機能−記録再生装置]
本発明の磁気素子を多数配列し、特定の素子を選択して書き込みおよび読み出し動作を行わせることで記録再生装置として用いることができる。以下、これらの動作について説明する。
磁気素子W,C4には各4個の電極が接続され、磁気素子C3には3個の電極が接続されている。そこで、まず、これらの電極を、それぞれ直接または間接的に所定の配線に接続するかまたは接地するようにする。磁気素子への記録は、所定の2本の配線を選択することで、特定の磁気素子の2つの電極La,Lbが選択され、これらの電極La,Lb間に所定の電流が流れることによって行われる。また、記録データの再生は、1本の配線に所定の電位を与えることにより、磁気素子の所定電極Lcに電位が与えられ、その際、同時に所定電極Ldに接続された配線の電位を読み取ることによって行われる。なお、これらの電極La,Lb,LcおよびLdの各記号は、電極の機能に基づいて識別したものであり、用いられる磁気素子によって、L1〜L4(磁気素子C3の場合にはL1〜L3)のいずれかの電極が割り当てられる。以下、その対応を表1に列挙する。
Figure 2007103663
[記録再生装置にかかる実施例(実施例3)]
つぎに、記録再生装置にかかる具体的な実施例(実施例3)について説明する。図11は、磁気素子Wまたは磁気素子C4のいずれかを行列状に配置することにより構成された記録再生装置の一例を示す模式図である。ただし、この図は、その一部を抜き出したものであり、実際にはさらに多数の素子が配線を介して相互に接続されている。また、各配線を選択するデコーダ、読み出し回路等の周辺回路は図示を省略している。なお、これらの周辺回路は、公知技術を用いて構成することができる。
[記録再生装置−実施例3−装置の構成]
図11に示す記録再生装置において、同一行に属する素子の電極L1は、行方向に伸びる同一配線W1に接続されている。同一列に属する素子の電極L2は、選択トランジスタT1を介して列方向に伸びる同一配線W2を介して接続されている。なお、各選択トランジスタは回路記号を用いて表している。例えば、選択トランジスタT1の一端はL2に接続され、他端は典型的な例として接地端に接続され、ゲート端は配線W2に接続されている。
また、同一列に属する非磁性層NMを構成するサブレイヤである非磁性層NM1が相互に接続されるとともに、図示を省略したデコーダに接続され、特定列に属する非磁性層に電位を与えることができる。さらに、同一行に接続されている電極L4は、行方向に伸びる同一配線W4に選択トランジスタT2を介して接続されている。また、選択トランジスタT2の一端はL4に接続され、他端は典型的な例として接地端に接続され、ゲート端は配線W4に接続されている。
[記録再生装置−実施例3−記録制御]
つぎに、図11に示した記録再生装置の記録制御動作について説明する。記録時には、まず、外部からのアドレス信号に応じたアドレスを有する記録再生素子R1に接続された選択トランジスタT1の配線が選択され、選択トランジスタT1がオンとされる。つづいて、この選択トランジスタT1を接続する記録再生素子R1に接続された配線W1に記録電流Iwを流すことにより、記録が行われる。なお、記録電流Iwは「0」を記録する場合と「1」を記録する場合とで異なる符号を持つ。ただし、いずれの場合も磁化可変領域の磁化状態を変化させるのに必要な電流値よりも大きな電流を流す必要がある。
[記録再生装置−実施例3−再生制御]
つぎに、図11に示した記録再生装置の再生制御動作について説明する。再生時には、まず、外部からのアドレス信号に応じたアドレスを有する記録再生素子R1に接続された選択トランジスタT2の配線が選択され、選択トランジスタT2がオンとされる。つづいて、この選択トランジスタを接続した記録再生素子R1が属する列の非磁性層に電位を与える。さらに、この記録再生素子R1と接続された配線W4の電位を読み出すことにより再生が行われる。
[記録再生装置−実施例3−他の実施例、変形例]
なお、この実施例の変形例として、電極L2と配線W2との間に選択トランジスタを接続する代わりに、電極L1と配線W1の間に選択トランジスタを接続することもできる。また、他の変形例として、同一列に属する素子の電極L1を同一配線に接続し、かつ、同一行に属する素子の電極L2を同一配線に接続することもできる。さらに、他の実施例として、選択トランジスタの代わりに他のスイッチング素子、例えばダイオードを用いることもできる。
[記録再生装置にかかる実施例(実施例4)]
つぎに、記録再生装置にかかる具体的な実施例(実施例4)について説明する。図12は、磁気素子C3を行列状に配置することにより構成された記録再生装置の一例を示す模式図である。ただし、この図は、その一部を抜き出したものであり、実際にはさらに多数の素子が配線を介して相互に接続されている。また、各配線を選択するデコーダ、読み出し回路等の周辺回路は図示を省略している。なお、これらの周辺回路は、公知技術を用いて構成することができる。
[記録再生装置−実施例4−装置の構成]
図12に示す記録再生装置において、同一列に属する素子の電極L1は、選択トランジスタT1を介して行方向に伸びる同一配線W1に接続されている。また、同一行に属する素子の電極L2は、行方向に伸びる同一配線W2に接続されている。さらに、選択トランジスタT1の一端はL1に接続され、他端は典型的な例として接地端に接続され、ゲート端は配線W1に接続されている。また、同一列に属する非磁性層NMを構成する一のサブレイヤである非磁性層NM1が相互に接続されるとともに、図示を省略したデコーダに接続され、特定列に属する非磁性層に電位を与えることができる。
[記録再生装置−実施例4−記録制御]
つぎに、図12に示した記録再生装置の記録制御について説明する。記録時には、まず、外部からのアドレス信号に応じたアドレスを有する記録再生素子R2に接続された選択トランジスタT1の配線を選択することにより選択トランジスタT1がオンとされる。つづいて、この選択トランジスタT1を接続する記録再生素子R2に接続された配線W2に記録電流Iwを流すことにより、記録が行われる。なお、記録電流Iwは「0」を記録する場合と「1」を記録する場合とで異なる符号を持つ。ただし、いずれの場合も磁化可変領域の磁化状態を変化させるのに必要な電流の値より大きい値としなければならないことは、実施例3と同様である。
[記録再生装置−実施例4−再生制御]
つぎに、図12に示した記録再生装置の再生制御について説明する。再生時には、まず、外部からのアドレス信号に応じたアドレスを有する記録再生素子R2に接続された選択トランジスタT1の配線が選択され、選択トランジスタT1がオンとされる。つづいて、この選択トランジスタT1を接続した記録再生素子R2が属する列の非磁性層に電位を与える。さらに、この記録再生素子R2と接続された配線W2の電位を読み出すことにより、再生が行われる。
[記録再生装置−実施例4−他の実施例、変形例]
図13は、図12に示した実施例4にかかる記録再生装置の変形例を示す模式図である。同図に示すように、同一列の配線層W1に接続される磁気素子R3,R4が、それぞれ異なる非磁性層NM1,NM1’に接続されるように構成されていてもよい。また、同一の非磁性層NM1に接続される磁気素子R3,R5が、それぞれ異なる配線W4,W4’に接続されるように構成されていてもよい。また、実施例3と同様に、選択トランジスタの代わりに別のスイッチング素子、例えばダイオードを用いることもできる。
以上説明したように、この実施の形態によれば、実施の形態1〜3で説明した磁気素子を記録再生素子として使用するようにしているので、記録再生装置の小型化・大容量化に寄与することができる。
(実施の形態5)
この実施の形態では、本発明にかかる磁気素子を1個以上用いることにより構成される論理演算素子/論理演算器について説明するとともに、この論理演算素子/論理演算器を論理演算装置に適用する場合の実施の形態および具体的な実施例について説明する。
[論理演算素子(2ビット入力/1ビット出力)]
実施形態1〜3にて詳述した各素子は、上述したような性質を有しているため、これらのいずれかの素子1個を2ビット入力/1ビット出力の論理演算素子として用いることが可能である。なお、本素子を用いた論理演算は、
(1)リセット動作
(2)データ入力
(3)データ出力
の3つのステップを順に行うことにより実行できる。ただし、場合によっては(2),(3)のステップを同時に行うことが可能である。
[論理演算素子−リセット動作]
まず、リセット動作について説明する。上記の「記録再生機能」の項でも詳述したように、これらの磁気素子に接続された電極La,Lbの間に電流を流し、電流を流す向きを変化させることにより、磁化可変領域の磁化方向を磁化固着層の磁化方向に対して平行、反平行のそれぞれに設定することが可能である。なお、平行に設定することをリセット動作Pと呼び、反平行方向に設定することをリセット動作APと呼ぶことにする。
[論理演算素子−データ入力]
つぎに、磁気素子(論理演算素子)へのデータ入力について説明する。まず、電極の電位がとりうる値を2値とし、これらの2値のうち、高い方の電位をとるときを「0」、低い方の電位をとるときを「1」と定義(以下「第1の定義」と呼称)する。つまり、「0」のときの電位V0と、「1」のときの電位V1との間には、V0>V1の関係が成り立つ。このようにして、各入力電極には、各ビットの値に応じて電位V0またはV1を与えるようにする。なお、これとは逆に、電極の電位がとりうる2値のうち、高い方の電位を「1」、低い方の電位を「0」と定義(以下「第2の定義」と呼称)してもよく、この場合の例については後述する。
入力データに関し、上記「第1の定義」がなされる場合において、入力データが「00」のときには、電極La,Lbに与える電位はともにV0である。また、「11」のときには、これらはともにV1である。なぜなら、これらの場合、電極Laと電極Lbとの間には電流が流れないか、あるいは、流れたとしても、磁化可変領域の磁化状態を変化させるには十分でないため、磁化可変領域の磁化状態は、リセット動作直後の状態に維持されるからである。
また、入力データが「01」のとき電極La、電極Lbに与える電位は、それぞれV0,V1になる。このとき、電極Laから電極Lbに向かって電流が流れ、磁化可変領域の磁化方向は磁化固着層の磁化に対して平行になる。
一方、入力データが「10」のとき電極La、電極Lbに与える電位は、それぞれV1、V0になる。このとき、電極Lbから電極Laに向かって電流が流れ、磁化可変領域の磁化方向は磁化固着層の磁化に対して反平行になる。
[論理演算素子−データ入力]
つぎに、磁気素子(論理演算素子)からのデータ出力について説明する。電極Lcに電位V(V>V0、かつ、V>V1)を与えたとき、磁化固着層に接続された電極Ldの電位は、磁化可変領域の磁化状態が磁化固着層に対して平行、反平行のとき、それぞれVp,Vapになる。なお、上述したように、平行磁化の場合には化学ポテンシャルが増加し、反平行磁化の場合には化学ポテンシャルが減少するので、これらのVpとVapとの間には、Vp>Vapの関係が成り立つ。つまり、検出電位がVpのときには「0」、Vapのときには「1」の出力データが得られることになる。
なお、下記表2および表3は、本発明にかかる磁気素子を、2ビット入力/1ビット出力の論理演算素子として機能させる場合の入力データと出力データとの関係を示す真理値表である。なお、入力第1ビット(電極Laに与える電位に対応)を記号Aで表し、入力第2ビット(電極Lbに与える電位に対応)を記号Bで表している。
Figure 2007103663
Figure 2007103663
これらの表2および表3に示されるように、リセット動作Pを行うときの演算およびリセット動作APを行うときの演算は、連言演算子「∧」、選言演算子「∨」、否定演算子「¬」を用いて、それぞれ「A∨¬B」、「A∧¬B」と書くことができる。なお、これらの論理演算は、条件法演算子「⇒」を使って、それぞれ「B⇒A」、「¬(A⇒B)」と書くこともできるが、以下の説明では、連言演算子、選言演算子、否定演算子以外の演算子は使わずに説明する。
以上説明したように、本素子1個を「A∨¬B」の処理を行う演算素子あるいは「A∧¬B」の処理を行う演算素子のどちらとして機能させるかは、リセット動作により決定することができる。つまり、本素子をプログラマブルな論理演算素子として使用することができる。
[論理演算素子−第2の定義に基づく動作]
つぎに、上記「第2の定義」、すなわち、各電極の電位がとりうる2値のうち、高い方の電位を「1」、低い方の電位を「0」と定義する場合について説明する。この場合の演算は、上記の演算において、「A」の代わりに「¬A」を、「B」の代わりに「¬B」を代入した結果を否定したものになる。つまり、リセット動作P,APを行ったときに得られる演算は、それぞれ、「¬(¬A∨B)」=「A∧¬B」,「¬(¬A∧B)」=「A∨¬B」となる。つまり、リセット動作P,APの役割が逆になる。したがって、本発明にかかる論理演算素子は、(0,1)の定義には依存しない論理演算機能を提供することができる。
[論理演算素子(1ビット入力/1ビット出力)]
前項で述べた2ビット入力/1ビット出力の論理演算素子において、データ入力の際に一方の電極に与える電位を固定するか、あるいは1ビットデータに応じた電位を2つの入力電極に共通に与えることにより、1ビット入力/1ビット出力を行う論理演算素子が実現される。
[論理演算素子(1ビット入力/1ビット出力)−第1の例]
このような論理演算素子の第1の例として、電極Lbを接地し、電極Laに正または負の電位を与える場合を説明する。上記第1の定義に場合、各電極に与える正、負の電位は、それぞれ入力電位「0」,「1」に対応する。したがって、入力データが「0」のとき、電極Laから電極Lbに電流が流れ、出力電位Lpが得られ、それに対応する出力データは「0」である。また、入力データが「1」のとき、電極Lbから電極Laに電流が流れ、出力電位Lapが得られ、それに対応する出力データは「1」である。したがって、この第1の例では、入力データをそのまま出力する動作が行われる。ただし、入力電位と出力電位の各絶対値は異なっているので、何らかの定義が必要となる。本明細書では、このような入力データをそのまま出力する演算を、「keep演算」と呼称することにする。
[論理演算素子(1ビット入力/1ビット出力)−第2の例]
つぎに、第2の例として、電極Laを接地し、電極Lbに正または負の電位を与える場合を説明する。この場合、入力データが「0」のとき、電極Lbから電極Laに電流が流れ、出力電位Lapが得られ、それに対応する出力データは「1」である。また、入力データが「1」のとき、電極Laから電極Lbに電流が流れ、出力電位Lpが得られ、それに対応する出力データは「0」である。したがって、この第2の例では、否定演算が実行される。
[論理演算素子(1ビット入力/1ビット出力)−第3の例]
つぎに、第3の例として、入力データが「0」のとき電極La,Lbにそれぞれ電位V0、V1を与え、入力データが「1」のとき電極La,Lbにそれぞれ電位V1、V0を与えることができる。この論理演算素子は、第1の例と同じ演算を行う。
なお、上記の各例において、リセット動作を省略することも可能である。
[論理演算器]
本発明にかかる磁気素子(論理演算素子)を複数個組み合わせることで、各種論理演算器を実現することができる。例えば、基本的な4つの論理演算に関し、以下の恒等式が成り立つ。
「AND演算」 :A∧B=A∧¬(A∧¬B) ・・・(1)
「OR演算」 :A∨B=A∨¬(A∨¬B) ・・・(2)
「NAND演算」:¬(A∧B)=(A∧¬B)∨¬A ・・・(3)
「NOR演算」 :¬(A∨B)=(A∨¬B)∧¬A ・・・(4)
これらの恒等式は、「AND(A∧B)」,「OR(A∨B)」,「NAND(¬(A∧B))」および「NOR(¬(A∨B))」の各論理演算が、「A∨¬B」演算と「A∧¬B」演算とを2回行うことで実現できることを示している。なお、これらの基本的な4つの演算を、上記に示した以外の恒等式を用いても構わない。
また、本発明にかかる磁気素子(論理演算素子)は、上記に示したように「NOT演算素子」として用いることも可能であるので、例えば「AND演算」に対応する恒等式「A∧B=A∧¬(¬B)」を用いることで、「A∨¬B」演算と「¬B」演算とを2回行うことで「AND演算」を実現することができる。また、本素子を複数個用いて実行できる論理演算は、ここに示した例に限定されず、種々の論理演算を実行することができる。
[論理演算器−4端子素子を用いたAND演算器、OR演算器]
ここでは、論理演算器の一例として、AND演算を実行する論理演算器の構成例について説明する。ここで、図14は、磁気素子Wまたは磁気素子C4のいずれかの4端子素子を3個用いてAND演算を実行する論理演算器の構成例を示す図である。同図に示すように、第1の素子である素子1の電極Laと、第2の素子である素子2の電極Laとは、ともに入力端子1に接続されている。一方、素子1の電極Lbは接地されている。また、第2の素子である素子2の電極Lbは、入力端子2に接続されている。さらに、素子1の電極Ldと第3の素子である素子3の電極Laとが配線で接続されるとともに、この配線はリセット端子である入力端子3に接続されている。同様に、素子2の電極Ldと素子3の電極Lbとが配線で接続されるとともに、この配線はリセット端子である入力端子4に接続されている。
なお、この論理演算器は、上記の(1)式に示す恒等式を具現化したものである。すなわち、素子1では「keep演算」が行われ、また、素子2,3ではリセット動作APによって、上記「表3」に示した「A∧¬B」の演算が行われるので、素子3の出力は、A∧¬(A∧¬B)=A∧Bとなって、所望する「AND演算」が行われることになる。
つぎに、この論理演算器のより詳細な動作について図14を参照して説明する。まず、この論理演算器は、動作に先立ってリセット動作が行われる。なお、素子1についてはリセット動作が不要である。リセット動作では、素子2,3のそれぞれに対してリセット動作APが行われる。この動作は、入力端子1に電位V1を与え、入力端子2に電位V0を与え、入力端子3に電位V1’を与え、入力端子4に電位V0’を与えることにより行われる。なお、これらの各電位間には、V0>V1,V0’>V1’の関係が存在する。
つぎに、データ入力と出力結果の検出とが同時に行われる。この処理は、入力端子1および入力端子2に入力データの第1ビットと第2ビットに対応した電位をそれぞれ与え、素子1,2の各電極L3に電位Vを与え、素子3の電極L3に電位V’を与え、素子3の電極Ldの電位を読み出すことにより行われる。ここで、素子3の電極L3を介して素子3の非磁性層に十分高い電位を与えてスピン注入を起こさせる必要がある。例えば、素子1,2の出力電極Ldのとりうる電位の値Vd0,Vd1よりも高い電位を第3素子の電極L3に与えればよい。
また、この論理演算器では、リセット動作を変更することにより、他の演算を行うことが可能である。例えば、この論理演算器は、素子2,3に対してリセット動作Pを行うことにより、上記の(2)式に示す恒等式が具現化され、「OR演算器」として動作させることができる。すなわち、素子1では「keep演算」が行われ、また、素子2,3ではリセット動作Pによって、上記「表2」に示した「A∨¬B」の演算が行われるので、素子3の出力は、A∨¬(A∨¬B)=A∨Bとなって、所望する「OR演算」が行われることになる。このリセット動作では、入力端子1に電位V0が与えられ、入力端子2に電位V1が与えられ、入力端子3に電位V0’が与えられ、入力端子4に電位V1’が与えられることにより行われる。なお、これらの各電位間には、V0>V1,V0’>V1’の関係が存在する。
このように、図14に示した論理演算器は、リセット動作に基づいてAND演算器として、あるいはOR演算器として機能させることができる。
[論理演算装置]
上述のように、本発明にかかる磁気素子(論理演算素子)を1個以上用いることで、各種の論理演算器が構成できることから、これらの磁気素子を多数並べ、それらの出力電極と入力電極とを相互に接続し、多ビット入力/多ビット出力を行う各種の論理演算装置を構成することができる。
このような論理演算装置の第1の実施例として、基板に平行な2次元平面内に、本発明の磁気素子を多数配置し、各磁気素子の入力電極と出力電極とを、適宜、配線を用いて接続することができる。
また、このような論理演算装置の第2の実施例として、第1の実施例に述べたような2次元平面内に磁気素子が多数配置されたものを第1段目の素子群とし、この素子群を基板に垂直な方向に多段積み上げた構造とすることもできる。このような多段構造において、隣接する段の出力電極同士、あるいは入力電極同士を互いに接続し、論理演算を順次行うことができる。このような構造を用いれば、同一段に属する異なる磁気素子の入力電極あるいは出力電極が当該段における磁気素子の非磁性層NMを挟む位置にあったとしても、それらを直接接続する必要がないため、各段の非磁性層NMを磁気素子ごとに分離し、入力電極と出力電極とを接続する配線層の場所を確保する必要がなくなる。また、各段の磁気素子の非磁性層の全部または一部を共有化することで微細加工の必要がなくなり、製造が容易になる。また、多段構造を用いることにより、高集積化が可能である。
図15は、本発明にかかる磁気素子(論理演算素子)を複数配置した多段構造を持つ論理演算装置の一部を示す図である。同図に示されるように、各段の素子群を垂直方向に多段化して配置しているので、入力電極と出力電極とを接続するための配線の引き回しが容易となる。また、各段の磁気素子に具備される非磁性層の位置が直線的に結ばれるような配置となるので、これらの非磁性層の共有化が容易となる。したがって、本発明にかかる磁気素子(論理演算素子)を多段構成に配置することにより、製造および高集積化に対する容易性が確保される。
つぎに、これらの論理演算装置を用いて実行することのできる論理演算の種類と、多段階の論理演算を1度に行う手法について詳述する。
まず、nビットの入力データ「A1,A2,・・・,An」に対して1段階の論理演算で実行できる演算とは、Ai∨¬Aj、Ai∧¬Aj、Ai,¬Aiである。ただし、i,jは、1からnの任意の自然数とする。
また、これらのnビットの入力データ「A1,A2,・・・,An」に対してm段階(mは2以上の整数)の論理演算で実行できる演算とは、(m−1)段階の論理演算で実行できる演算の出力結果の集合A(m−1,1),A(m1,2),・・・,A(m−1,p)(pは自然数)を用いて、A(m−1,i)∨¬A(m−1,j),A(m−1,i)∧¬A(m−1,j),A(m−1,i),¬A(m−1,i)である。(ただし、i,jは1からpの任意の自然数。)
本発明の論理演算装置を構成する各磁気素子は、上述したように、2ビット入力または1ビット入力の論理演算素子のいずれかである。このうち、2ビット入力の論理演算素子のことを2ビット入力素子と呼称し、1ビット入力の論理演算素子のことを1ビット入力素子と呼称する。
また、本発明の論理演算装置を構成する磁気素子のうち、当該論理演算装置への入力信号(この信号を「第0段階信号」と呼称)が直接(つまり、他の磁気素子を介さないで)入力される磁気素子を第1段階素子と呼称する。本発明の磁気素子を用いて、多ビットの入力データに対する多段階の論理演算を一度に行い、その結果を出力する装置を構成する場合、第1段階素子への入力信号は、全て(この素子が1ビット入力素子であれば1つ、2ビット入力素子であれば2つとも)第0段階信号である必要がある。
また、第k段階素子(k=1,2,・・・)の出力信号を第k段階信号と呼称する。いま、第k段階信号が入力される第k+1段階素子について考える。例えば、第k+1段階素子が2ビット入力素子である場合、この素子の2つの入力電極に異なる段階の信号が入力されることはない。したがって、ある磁気素子が第X段階素子である場合、Xは一意に定義される。
つぎに、多段階論理演算を行う手法について、具体的な実例を挙げて説明する。例えば、いま、「A∧¬(B∨¬(¬C∧¬D))」という演算を行う必要があるとする。この場合、図16に示すような、論理演算素子の接続構成(多段構成)が必要となる。この論理演算装置では、入力信号(第0段階信号)のそれぞれが4段階の磁気素子を通過し、第4段階素子の出力が最終的な出力となる。なお、例えば、同図のAのように、第4段階素子に入力されるまでの間、3段階の「keep演算」が行われ、入力信号(第0段階信号)データが維持される。一般的な論理演算であれば、このような「keep演算」を行う必要はないが、本発明にかかる磁気素子(論理演算素子)では、同図に示すような「keep演算」を、第1,2,3の各段階において行う必要があるkeep演算を行う磁気素子を経由させる必要がある。なお、異なる段階に属する素子の電極Lcに与える電位は異なっている必要がある。一方、同一段階に属する素子の電極Lcに与える電位は同一である必要はない。ただし、「AND演算器」の構成例でも述べたように、第k段階素子の電極Lcに与える電位は、第k−1段階信号の電位よりも高ければ十分である。なお、典型的な例としては、同一段階に属する各素子の電極Lcには同一電位を与え、第k段階に属する素子の電極Lcに与える電位をVkとするとV1<V2<V3<・・・Vkとなるように段階が増える毎に高くする必要がある。
これまで、幾つかの具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気素子を構成する各要素の具体的な寸法関係や材料、その他、電極、パッシベーション、絶縁構造などの形状や材質に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
以上説明したように、この実施の形態によれば、それらを直接接続する必要がないため、各段の非磁性層NMを磁気素子ごとに分離し、入力電極と出力電極とを接続する配線層の場所を確保する必要がなくなる。また、各段の磁気素子の非磁性層の全部または一部を共有化することで微細加工の必要がなくなり、製造が容易になる。また、多段構造を用いることにより、高集積化が可能である。
なお、磁気素子における反強磁性層、中間層、絶縁層などの構成要素は、それぞれ、単層として形成してもよく、あるいは、2以上の層を積層した構造としてもよい。
また、その他、本発明の実施の形態として上述した磁気素子や記録再生装置、論理演算器、論理演算装置に基づいて、当業者が適宜設計変更して実施しうる全ての磁気素子、記録再生装置、論理演算器、論理演算装置なども、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
以上のように、本発明にかかる磁気素子は、集積化に優れた機能性磁気素子として有用であり、特に、記録再生素子、論理演算素子、論理演算器、記録再生装置、論理演算装置の単位素子として好適である。
本発明の実施の形態1にかかる磁気素子(以下「磁気素子W」と呼称)の断面構造を模式的に示す図である。 磁性体の層間交換結合を利用して2つ以上の磁区からなる磁気構造を磁性層FM1内に形成して磁壁DWを形成する第1の手法の一例を示す図である。 非磁性層を介した2つの磁性体間の相互間距離に対する磁気的結合の強さを示す図である。 磁性層FM1内に形成する磁壁DWを電流磁界の作用を利用して形成する第2の手法の一例を示す図である。 第2の手法を用いて図4−1とは異なる向き(逆向き)の磁化状態および当該磁化状態に基づいて形成される磁壁を示す図である。 磁性層FM1内に形成する磁壁DWをスピン・トランスファ・トルクによる磁化反転を利用して形成する第3の手法に基づく構成例を示す図である。 図5−1に示す構成の変形例を示す図である。 実施の形態1にかかる磁気素子Wにおける素子構造の変形例(非磁性層のサブレイヤ:有、電極配置:直交)を示す斜視図である。 実施の形態1にかかる磁気素子Wにおける素子構造の変形例(非磁性層のサブレイヤ:無、電極配置:直交)を示す斜視図である。 実施の形態1にかかる磁気素子Wにおける素子構造の変形例(非磁性層のサブレイヤ:有、電極配置:平行)を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1にかかる磁気素子C4の断面構造を模式的に示す図である。 実施の形態2にかかる磁気素子C4における素子構造の変形例を示す断面図である。 実施の形態2にかかる磁気素子C4における素子構造の他の変形例を示す断面図である。 本発明の実施の形態3にかかる磁気素子C3の断面構造を模式的に示す図である。 実施の形態3にかかる磁気素子C3における素子構造の変形例を示す断面図である。 磁気素子Wまたは磁気素子C4のいずれかを行列状に配置することにより構成された記録再生装置の一例を示す模式図である。 磁気素子C3を行列状に配置することにより構成された記録再生装置の一例を示す模式図である。 図12に示した実施例4にかかる記録再生装置の変形例を示す模式図である。 磁気素子Wまたは磁気素子C4のいずれかの4端子素子を3個用いてAND演算を実行する論理演算器の構成例を示す図である。 本発明にかかる磁気素子(論理演算素子)を複数配置した多段構造を持つ論理演算装置の一部を示す図である。 例えば「A∧¬(B∨¬(¬C∧¬D))」という論理演算を行う際に必要な論理演算素子の接続構成(多段構成)を示す図である。
符号の説明
W,C4,C3,R,R1,R2,R3,R4,R5 磁気素子
FM1,FM2,FR,FL 磁性層
FM3,F2 強磁性層
NM,NM1,NM2,N2,NR,NL 非磁性層
AF,AF1,AF2 反強磁性層
SR 絶縁体サブレイヤ
DW 磁壁
CS,CS1 磁壁
L1,L2,L3,L4,Ls,La,Lb,Lc,Ld 電極

Claims (20)

  1. 第1の方向と該第1の方向に対して反平行の第2の方向とのいずれかの方向に磁化可能な磁化可変領域を含み、自身の内部に電流を導入するための第1の電極を具備する第1の磁性層と、
    前記第1の磁性層の前記磁化可変領域にその表面が接し、自身に所定の電位を付与するための第2の電極を具備する非磁性層と、
    前記非磁性層の裏面に接し、その内部磁化が予め前記第1、第2の方向のいずれかの方向に固着しており、自身の電位を検出するための第3の電極を具備する第2の磁性層と、
    を備えることを特徴とする磁気素子。
  2. 前記磁化可変領域の磁化方向は、その内部に導入された電流の流れる方向に応じた方向に可変であり、
    前記非磁性層に所定の電位を与えた場合に、前記第3の電極の電位が、前記磁化可変領域の磁化方向に応じて変化することを特徴とする請求項1に記載の磁気素子。
  3. 前記非磁性層が、1層以上の導体または半導体サブレイヤ、あるいは1層以上の導体または半導体サブレイヤと1層以上の絶縁体サブレイヤからなる多層構造を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気素子。
  4. 前記絶縁体サブレイヤの厚みが1nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の磁気素子。
  5. 前記絶縁体サブレイヤが結晶性を有することを特徴とする請求項3または4に記載の磁気素子。
  6. 前記第2の磁性層が、2層以上の磁性サブレイヤ、あるいは2層以上の磁性サブレイヤと1層以上の非磁性サブレイヤとからなる多層構造を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の磁気素子。
  7. 前記第1の磁性層の一端の前記磁化可変領域を含まない部分に形成され、当該部分にある前記第1の磁性層内の磁化を反転させる磁化方向付与層をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3、6のいずれか一つに記載の磁気素子。
  8. 前記磁化方向付与層による前記第1の磁性層内の磁化が、内部に導入された電流の流れる方向に応じ設定されることを特徴とする請求項7に記載の磁気素子。
  9. 前記第1の磁性層内の磁化反転が、前記磁化方向付与層と該第1の磁性層との間の強磁性的または反強磁性的な層間結合作用に基づいて行われることを特徴とする請求項7に記載の磁気素子。
  10. 前記磁化方向付与層は、
    前記第1の磁性層上に位置する非磁性層と、
    該非磁性層上に位置する強磁性層と、
    を備えることを特徴とする請求項9に記載の磁気素子。
  11. 前記第1の磁性層内の磁化反転が、電気的に絶縁された位置に配された配線中を流れる電流から発生した磁界の作用に基づく前記第1の磁性層の前記磁化可変領域を含まない部分の磁化反転制御によって行われることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の磁気素子。
  12. 前記第1の電極は、前記磁化可変領域を含まない前記第1の磁性層の一端部および他端部にそれぞれ一方および他方の電極が設けられる一対の電極として構成されるとともに、該第1の磁性層には、前記磁化反転によって反転された反転磁化と反転されずに残った非反転磁化とを分離する磁壁が形成され、
    前記一対の電極間に所定電位を与えた際に流れる電流に基づいて前記磁壁を移動させることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一つに記載の磁気素子。
  13. 前記第1の磁性層には、前記磁壁の形成を容易化かつ安定化するための括れ部、突起部または膜厚の変更部が設けられることを特徴とする請求項12に記載の磁気素子。
  14. 前記第1の磁性層の長手方向における少なくとも一の端部には、非磁性層を介して接続される磁性層が具備され、
    前記第1の電極を構成する一対の電極は、前記第1の磁性層、前記非磁性層および該非磁性層を介した前記磁性層が接合されてなる層の両端部に接続されるとともに、前記第1の磁性層の全部の領域が前記磁化可変領域として使用され、前記一対の電極間に所定電位を与えた際に流れる電流に基づいて前記磁化可変領域の磁化方向を反転制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の磁気素子。
  15. 前記第1の磁性層の全部の領域が前記磁化可変領域として使用され、前記第1の電極と前記第3の電極との間に所定電位を与えた際に流れる電流に基づいて前記磁化可変領域の磁化方向を反転制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の磁気素子。
  16. 非磁性層と磁性層とを具備する接合層が、前記第1の電極と前記第1の磁性層との間に該第1の磁性層が該接合層を構成する非磁性層に接続される形で挿入されることを特徴とする請求項15に記載の磁気素子。
  17. 請求項1〜14に記載の磁気素子の前記第1の電極を構成する一対の電極、または該第1の電極および前記第3の電極のいずれか一つの組に前記磁化可変領域の磁化方向を反転制御するための所定電流を流すことにより所定データの記録を行い、前記第2の電極に所定電位を与え、前記磁化可変領域の磁化状態に応じた電位を前記第3の電極にて検出することにより記録データの再生を行うことを特徴とする記録再生素子。
  18. 請求項1〜16に記載の磁気素子の前記第1の電極を構成する一対の電極、または該第1の電極および前記第3の電極のいずれか一つの組に前記磁化可変領域の磁化方向を反転制御するための所定電流を流すことにより該磁化可変領域を初期状態に設定し、該初期状態を設定する際に使用された一組の電極間に該磁化可変領域の磁化方向を反転制御するための所定電流を流すことにより所定データの入力を行い、前記第2の電極に所定電位を与え、前記磁化可変領域の磁化状態に応じた電位を前記第3の電極にて検出することにより入力データの論理演算を行うことを特徴とする論理演算素子。
  19. 前記初期状態を設定する際に使用する一組の電極のうちの一方の電極に入力される1ビットのデータAと、他方の電極に入力される1ビットのデータBからなる入力データビットに対して、A∨¬B、または、A∧¬B(「∨」:論理和演算,「∧」:論理積演算,「¬」:否定演算)の論理演算を行うことを特徴とする請求項18に記載の論理演算素子。
  20. 1個または複数個からなる請求項19に記載の論理演算素子の所定の入力電極と所定の出力電極とが相互に接続され、前記A∨¬B、または、A∧¬Bの論理演算を基本演算として、A∧B,A∨B,¬(A∧B)および¬(A∨B)を含む論理演算を実行することを特徴とする論理演算器。
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