JP2006179524A - 磁気記録素子、磁気記録装置、および情報の記録方法 - Google Patents

磁気記録素子、磁気記録装置、および情報の記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 反転電流密度の低減と反転の高速化を実現することが可能な磁気記録素子を提供する。
【解決手段】 磁気記録素子Rは、第1固着層FPWを含む。第1固着層は、相互に向き合う第1面および第2面を有し、電子を第1面と第2面とを通過する方向に書き込み時に供給され、第1面と第2面とに亘る方向に磁化方向が固定される。第1中間層SWは、第2面と面し、非磁性材料から実質的になる。自由層FFは、記第1中間層の第1固着層と反対の面と面し、磁化容易軸方向および磁化困難軸方向が第1面または第2面に沿い、大きさが第1値の一軸異方性磁界を有し、第1固着層を通ったスピン偏極した電子が作用することにより磁化方向が変化する。磁界発生層HBは、磁化困難軸方向に沿い且つ第1値より大きさの小さい磁界を自由層に印加する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気記録素子、磁気記録装置、および情報の記録方法に関し、例えばスピン偏極した電子を流すことにより、磁性体の磁化方向を制御し、データの記録を行うことが可能な磁気記録素子に関する。
近年における、広範囲かつ高度に情報化された社会を支え、また、牽引していく存在として、大容量、高速、耐久性、低コストといった様々な要求を満たす情報記録装置が使われており、さらにこれらの特長を向上させる技術が求められている。中でも、強磁性体の磁気モーメントを利用した磁気記録装置は、例えば、ハードディスクドライブとして現在広く使われている他、最近では、高速性と不揮発性を合わせ持つ磁気ランダムアクセスメモリ(Magnetic Random Access Memory(MRAM))としての利用も提案されている。
しかしながら、最近の高密度化の要求は、1ビットのデータを格納する単位セルとして100ナノメートルから数10ナノメートル、あるいはそれ以下の長さスケールに至り、データの書き込み方式における技術的な壁が見え始めている。つまり、ハードディスクドライブやMRAMで用いられている電流磁界書き込み方式では、メモリセルのサイズを小さくするに従って、書き込みに必要な磁界を発生させるための電流量が増大する他、隣接セルへの誤作用(クロストーク)といった問題が避けられない。
最近、F. J. Albert et al.、Appl. Phys. Lett.、3809 2000、p.77(非特許文献1)などで実証されつつある、スピン偏極電流の注入による磁化反転は、電流磁界書き込み方式の問題を解決できる新しい磁気記録方式として期待されている。
この現象は、磁性体の磁化方向と反平行方向にスピン偏極した電子の流れが磁性体を通過する際に、伝導電子のスピン角運動量を、磁性体の磁化に作用および伝達することで生じるトルクを使って磁化反転を起こすというものである。この現象を用いることにより、電流磁界による磁化反転と比べて、ナノスケールの磁性体に対して、より直接的な作用を及ぼすことが可能である。そのため、クロストークが生じないとともに、高速な磁化反転が期待できる。また、セルサイズが小さくなるに従って書き込みに必要な電流量が減少するという利点もある。
しかしながら、スピン偏極電流注入による磁化反転において、現在最も一般的に用いられている方法では、スピン偏極電流注入技術の潜在能力を十分に発揮できるとは言い難い。磁化反転に必要な電流は、セルのサイズが100ナノメートルから数10ナノメートル程度の場合でも、10ミリアンペアから数ミリアンペアと極めて大きく、素子破壊の危険性があるとともに低消費電力性の要求にも応えられない。また、反転時間についても、ナノ秒程度かかるとの報告があり(例えば(R. H. Koch et al.、Phys. Rev. Lett.、088302、2004、p.92(非特許文献2))、例えば、高速マイクロプロセッサと情報のやり取りをするような用途には、さらなる高速化が求められる。
以下、従来のスピン偏極電流注入による磁化反転方法について説明する。まず、本明細書において従来の方法1と称する、スピン偏極電流注入による磁化反転について説明する。従来の方法1では、図48に示したような、固着層FP、中間層S、自由層FFからなる積層構造を基本構造とする磁気記録素子を用いる。自由層FFの磁化方向は、固着層FPの磁化方向に対して平行あるいは反平行であり、ある臨界値Jc以上の大きさの電流を、この素子の膜面(各積層膜が向き合う面)に垂直方向に流すことにより磁化を反転することができる。このような素子に、臨界値Jcの1.5倍の電流を流した場合のシミュレーションを行った。この際、自由層FFの磁化方向の固着層FPの磁化方向に対する初期角度は、膜面内で5度とした。この結果、磁化の反転に要する時間は約7nsであった。これより電流が小さい場合や初期角度が小さい場合には、さらに反転時間が長くなる。
スピン偏極電流の注入によって磁化反転させる方法として、これ以外の方法(従来の方法2と呼ぶ)も提案されている(特開2002−261352(特許文献1))。従来の方法2では、従来の方法1とは異なり、自由層の磁化方向に直交する方向にスピン偏極した電流を注入することにより行われる。図49は、従来の方法2において用いられる記録素子の断面構造を模式的に表したものである。この素子は、スピン供給層FPW、中間層SW、自由層FF、中間層SR、固着層FPRからなる積層構造を有しており、スピン供給層FPWの磁化方向は膜面に対して垂直である。
このような素子に電流を流し続けると、自由層FFの磁化は歳差運動を行う。一方、電流の注入を停止すると、電流を注入した時間幅に応じた挙動を示す。すなわち、ある時刻t1で電流の導入を停止すると磁化が初期状態から反転する。A. D. Kent et al.、Appl. Phys. Lett.、2004、p.84(非特許文献3)には、本質的にこれと同じ方法を用いて50psでの反転が可能であると述べられている。しかし、電流の停止時刻がt1から少しずれると、磁化方向は初期状態に戻ってしまう。つまり、この方法においては、素子毎の磁化方向のばらつきを抑えた上で、電流を注入する時間幅を精確に制御する必要がある。
このように、現在のスピン注入磁化反転技術は、低電流性と高速性が十分でない。従来の方法2は、原理的には高速磁化反転を可能にするが、素子毎の磁化方向のばらつきの抑制、電流の時間幅の精確な制御が課題として残る。
特開2000-261352号公報 F. J. Albert et al.、Appl. Phys. Lett.、3809 2000、p.77 R. H. Koch et al.、Phys. Rev. Lett.、088302、2004、p.92 A. D. Kent et al.、Appl. Phys. Lett.、2004、p.84 J. C. Slonczewski, J. Magn. Magn. Mater., 159, L1 (1996)
本発明は、電流直接駆動による磁化反転の際の反転電流を低減させるとともに高速磁化反転を可能にする磁気記録素子およびそれを用いた磁気記録装置、また情報の記録方法を提供することにある。
本発明の第1の視点による磁気記録素子は、相互に向き合う第1面および第2面を有し、電子を前記第1面と前記第2面とを通過する方向に書き込み時に供給され、前記第1面と前記第2面とに亘る方向に磁化方向が固定された第1固着層と、前記第2面と面し、非磁性材料から実質的になる第1中間層と、前記第1中間層の前記第1固着層と反対の面と面し、磁化容易軸方向および磁化困難軸方向が前記第1面または前記第2面に沿い、大きさが第1値の一軸異方性磁界を有し、前記第1固着層を通ったスピン偏極した電子が作用することにより磁化方向が変化する自由層と、前記磁化困難軸方向に沿い且つ前記第1値より大きさの小さい磁界を前記自由層に印加する磁界発生層と、を具備することを特徴とする。
本発明の第2の視点による情報の記録方法は、相互に向き合う第1面および第2面を有し、且つ前記第1面と前記第2面とに亘る方向に磁化方向が固定された第1固着層の前記第1面と前記第2面とを通過する方向に電子を供給することにより、前記電子をスピン偏極させる工程と、非磁性材料から実質的になる第1中間層を介して前記第2面と面し、且つ磁化容易軸方向および磁化困難軸方向が前記第1面または前記第2面に沿う自由層に、前記電子を供給する工程と、前記磁化困難軸方向に沿い且つ前記自由層の一軸異方性磁界より小さい大きさの磁界を前記自由層に印加する工程と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、記録素子に流す電流の低減化および記録の高速化が実現できる。また、この磁気記録素子を用いることにより低消費電力、高速記録を実現する磁気記録装置および情報の記録方法を提供できる。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(1)第1実施形態
[1−1]構造
図1は、本発明の第1実施形態に係る磁気記録素子の断面構造を模式的に示す図である。この磁気記録素子Rは、以下で基本積層膜と称する積層膜BMLと、基本積層膜BMLの近傍に配置されたハードバイアス層(磁界発生層)HBとからなる。ハードバイアス層HBと基本積層膜BMLとの間には、非磁性の絶縁層を挟んで磁気的、電気的に絶縁することが望ましい。
基本積層膜BMLは、強磁性層FFを含み、より詳しくは、図2から図5のいずれかによって模式的に表された断面構造を有している。以下の説明で、基本積層膜BMLの膜面が、相互に直交するx軸、y軸、z軸からなる空間のzy平面に沿っているものとする。図2または図3に示されているように、基本積層膜BMLは、強磁性層FPW、中間層SW、強磁性層FFがこの順に積層されたものである。もしくは、図4または図5に示されているように、強磁性層FPW、中間層SW、強磁性層FF、中間層SR、強磁性層FPRがこの順に積層されたものである。なお、強磁性層FPW、強磁性層FF、および強磁性層FPRは、後述するように複数のサブレイヤーからなる積層構造とすることもできる。しかし、まず、強磁性層FPW、FF、FPRが単層である場合を例に取り、説明する。
強磁性層FPWの磁化方向は固着されている。これは、例えば、強磁性層FPWの中間層SWと反対の面側に反強磁性層AFWを設けることにより行うことができる。あるいは、強磁性層FPWに、一軸異方性定数Kが非常に大きい磁性材料を用いることにより行うことができる。以下、強磁性層FPWを第1固着層と称する。
第1固着層FPWの磁化方向は、以下の条件を満たす方向とされている。従来の方法2による書き込みの場合、スピン供給層FPWの磁化方向は必ずしも膜面に垂直である必要は無く、スピン供給層FPWの磁化の膜面に垂直な方向の成分が、書き込みに寄与する。このため、少なくとも第1固着層FPWの磁化のx軸方向成分の値が、基本積層膜BMLの膜面を通過する方向に電流が流れる(後に詳述)ことにより自由層FFの磁化方向が反転するに足る大きさを有するような方向に、第1固着層FPWの磁化方向が向いていればよい。よって、第1固着層FPWの磁化方向は、少なくとも、第1固着層FPWの2つの膜面を結ぶ方向を向いている。より具体的には、第1固着層FPWの磁化方向は、x軸から±30°の範囲内であり、典型的にはx軸と平行(yz平面に垂直)である。ただし、本明細書を通じて「垂直」には製造工程のばらつき等による厳密な垂直からのずれが含まれるものとする。同様に、本明細書を通じて、「平行」は、厳密な平行を意味するものではない。
一方、強磁性層FFの磁化方向に関しては、このような固着化機構を設けない。よって、強磁性層FFの磁化方向は可変である。以下、強磁性層FFを自由層と称する。自由層FFの容易軸方向(磁化容易軸方向)は、膜面(yz平面)内にある。ただし、第1固着層FPWの場合と同様に、自由層FFの磁化方向は、yz平面に厳密に平行である必要は無い。すなわち、自由層FFの容易軸方向は、第1固着層FPWの磁化方向のx軸方向成分との関係に応じて、基本積層膜BMLの膜面を通過する方向に電流が流れることにより自由層FFの磁化方向が反転する方向を向いていればよい。このため、製造工程のばらつき等に起因して、自由層FFの磁化方向がzy平面から多少傾いていても問題は無い。
強磁性層FPRの磁化方向は固着されている。これは、例えば、強磁性層FPRの中間層SRと反対の面側に反強磁性層AFRを設けることにより行うことができる。以下、強磁性層FPRを第2固着層と称する。第2固着層FPRの磁化方向は、自由層FFの容易軸方向に沿っている。ここでも、第2固着層FPRの磁化方向と、自由層FFの容易軸方向とは、厳密に同じ方向に沿っている必要は無い。すなわち、第2固着層FPRの磁化方向は、自由層FFの磁化方向との相対的な関係から、磁気抵抗効果を利用して基本積層膜BMLから情報を読み出すことができるような方向とされていればよい。
中間層SWは、非磁性材料からなり、固着層FPWと自由層FFとの間に働く直接的な相互作用が無視できる程度に固着層FPWと自由層FFとを隔離するだけの膜厚が必要である。同時に、素子に電流を流した場合に、固着層FPWを透過した伝導電子が自由層FFに至るまでに電子のスピンの方向が反転しないことが要求されるため、中間層SWの膜厚はスピン拡散長よりも薄いことが必要である。
同様に、中間層SRは、固着層FPRと自由層FFとの間に働く直接的な相互作用が無視できる程度に固着層FPRと自由層FFとを隔離するだけの膜厚が必要である。同時に、素子に電流を流した場合に、固着層FPRを透過した伝導電子が自由層FFに至るまでに電子のスピンの方向が反転しないことが要求されるため、中間層SRの膜厚はスピン拡散長よりも薄いことが必要である。中間層SWおよび中間層SRとして、非磁性金属、非磁性半導体、絶縁膜等を用いることができる。
ハードバイアス層HBは、磁化方向がyz平面において自由層FFの容易軸方向と直交する方向(磁化困難軸方向)に固着され、ハードバイアス層HBにより自由層FFにy方向のバイアス磁界Hが加えられる。しかしながら、この向きは最も典型的な例であり、ハードバイアス層HBの磁化方向は、ハードバイアス層HBの磁化方向のy方向成分が後述する条件で自由層FFに作用すれば、この向きに限定されない。したがって、yz平面と角度を有していても良いし、y軸と角度を有していても構わない。バイアス磁界Hが大き過ぎると、自由層FFの磁化が困難軸方向を向いてしまうため、自由層FFの保持力(一軸異方性磁界)に比べて小さいことが必要である。ただし、バイアス磁界Hが小さ過ぎると、本実施形態で得られるはずの効果が期待できないため、バイアス磁界Hの大きさには、上限と下限が設けられる。バイアス磁界Hの大きさの最適な範囲については、後記の書き込みと読み出しの項で述べる。
この素子は、スパッタリング技術とリソグラフィー技術によって作製される。詳細は、後記の実施例の項で述べる。
[1−2]書き込みと読み出し
次に[1−1]で述べた磁気記録素子Rにおけるデータの書き込みと読み出しの方法について説明する。なお、説明の簡略化のために、以下の説明において、第1固着層FPWの磁化方向はx軸に沿っており、自由層FFの容易軸方向および第2固着層FPRの磁化方向はz軸に沿っており、バイアス磁界Hはy軸に沿っているものとする。さらに、第1固着層FPWの磁化方向は、+x方向とすることも−x方向とすることもできるが、ここでは、まず、+x方向の場合を例に取って説明する。また、バイアス磁界Hの方向は、+y方向とすることも−y方向とすることもできるが、ここでは、まず、+y方向の場合を例に取って説明する。また、書き込み方法は、基本積層膜BMLが図2乃至図5のいずれの構造を取ったかによらずに同じである。
図6は、自由層FFの磁化方向をyz平面に沿って示す図である。図6に示すように、電流を注入する前後において、バイアス磁界Hの影響がなければ、自由層FFの磁化の安定方向は、+z方向または−z方向のいずれかである。これに、自由層FFの一軸異方性磁界Hより小さい大きさのバイアス磁界Hが困難軸方向に印加されると、自由層FFの磁化の安定方向は、膜面内で角度θ回転した方向になる。つまり、+z方向を基準とする角度θがθ=θ°、またはθ=180−θ°の状態が安定である。ここで、0°≦θ≦90°であり、sinθ=H/Hの関係がある。十分大きな読み出しの効率を得ることや、熱揺らぎによる意図しない磁化反転を防止するためには、θは、45°以内であることが望ましい。つまり、|H|≦0.7|H|であることが望ましい。
自由層FFの磁化方向を変化させるには、自由層FFの2つの膜面を通過する方向に電子流を流す。より具体的には、角度θ°方向から角度(180−θ°)方向に反転させるには、電子流を自由層FFから固着層FPWに向けて流す。逆に、自由層FFの磁化を角度(180−θ°)方向から角度θ°方向に反転させるには、電子流を固着層FPWから自由層FFに向けて流す。
この方法により磁化が所望の方向に反転することは、図7に示したシミュレーション結果により明らかになる。図7は、本実施形態における自由層FFの磁化の角度θの時間変化の一例を示している。この例では、バイアス磁界Hの大きさは自由層FFの一軸異方性磁界の50%とし、流す電流の大きさは従来の方法1における臨界電流Jcの50%でとした。図7の実線は、電子流を固着層FPWから自由層FFに向けて流した場合の角度の変化、破線は、電子流を自由層FFから固着層FPWに向けて流した場合の角度の変化、にそれぞれ対応する。図7から、本実施形態によって磁化反転が起こることが確認できる。しかも、従来の方法1と比べて電流低減化が実現されているだけでなく、反転に要する時間は0.2ns程度であり、高速化も実現されている。さらに、従来の方法2と比べて、磁化の振動は減衰する傾向にあるため、電流導入時間を精確に制御する必要がない。
次に、書き込みに最適なバイアス磁界と電流の大きさの範囲について説明する。無次元化されたランダウ−リフシッツ−ギルバート方程式
dm/dt=−αm×dm/dt+γHm×heff
eff=(−2m/k,h−jm,m+jm
に注目すると、この系を特徴付けるパラメータは、
Figure 2006179524
であることが分かる。
ここで、
α:減衰定数
γ:磁気回転比
t:時間
e:電子の電荷量(電気素量)
:電流の大きさ
V:自由層の体積
g:トルクの効率を表す因子(無次元量)
である。なお、gに関しては、J. C. Slonczewski, J. Magn. Magn. Mater., 159, L1 (1996)において言及されている。
自由層FFに用いる材料について、飽和磁化Mが大きく一軸異方性磁界Hが小さい材料はkが小さく、飽和磁化Mが小さく異方性Hが大きい材料はkが大きい。例えば、一軸異方性磁界Hがあまり大きくないCoのような材料では、kの値が小さく、k=0.02程度である。また、一軸異方性磁界Hが大きいFePtのような材料では、kの値が大きく、k=25程度である。
図8、図9、図10はそれぞれk=0.02、1、50の場合に、バイアス磁界hと電流jの大きさを変化させた場合の、磁化方向の動的挙動についての相図である。ただし、電流およびバイアス磁界は、それぞれ、無次元化された量j、hで表されている。バイアス磁界に加えて電流を導入した場合の磁化の動的挙動は、(R)反転する、(S)電流導入前の状態を維持する、(P)初期状態と反転状態の間で振動を続ける、の3つのタイプに分類できる。つまり、図8、図9、図10のそれぞれにおいて、領域Rが、本実施形態を実施することが可能な電流の大きさおよびバイアス磁界強度の範囲を表している。領域R内において、特に、バイアス磁界の値が同じならば、電流jの値が小さい方が望ましい。また、電流jの値が同じならば、バイアス磁界hの値が小さい方が、角度θが小さくなるため望ましい。
また、第1固着層FPWの磁化方向が−x方向であり、バイアス磁界Hの方向が+y方向である場合には、電流を上で述べた方向と逆方向に注入することにより、同様の磁化反転を行うことができる。
また、第1固着層FPWの磁化方向が+x方向であり、バイアス磁界Hの方向が−y方向である場合には、電流を上で述べた方向と逆方向に注入することにより、同様の磁化反転を行うことができる。
また、第1固着層FPWの磁化方向が−x方向であり、バイアス磁界Hの磁化方向が−y方向である場合には、電流を上で述べた方向と同方向に注入することにより、同様の磁化反転を行うことができる。
基本積層膜BMLとして図4や図5に示された構造を持つ場合、自由層FFの磁化方向として格納されたデータは、磁気抵抗効果を利用して読み出すことができる。すなわち、自由層FFと固着層FPRの間に、反転電流以下の強度のセンス電流を流したとき、自由層FFの磁化方向が固着層FPRの磁化方向に対して平行であれば磁気抵抗は比較的小さな値になり、また、反平行であれば磁気抵抗は比較的大きな値になる。
[1−3]構造の変形例
図11乃至図40は、第1固着層FPW、自由層FF、第2固着層FPRに適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図である。図11乃至図40の各サブレイヤー内の矢印は、磁化の方向を示している。図11乃至図25の各サブレイヤーの磁化方向は、上記した、自由層FFおよび第2固着層FPRが有する磁化方向の特徴と同じ特徴を有しており、典型的にはz軸に沿っている。また、図26乃至図40の各サブレイヤーの磁化方向は、上記した、第1固着層FPWが有する磁化方向の特徴と同じ特徴を有しており、典型的にはx軸に沿っている。図11乃至図25のいずれかの構造を、自由層FF、第2固着層FPRに適用することができる。図26乃至図40のいずれかの構造を、第1固着層FPWに適用することができる。また、固着層FPW、FPRおよび自由層FFを構成する強磁性サブレイヤーは、複数の強磁性膜が積層された構造を有していても良い。つまり、固着層FPW、FPRおよび自由層FFは、それぞれ、強磁性体の単層膜であるか、2層以上の強磁性体が積層された多層膜、あるいは、強磁性および非磁性のサブレイヤーが積層された多層膜である。
一般に、非磁性層を介した2つの強磁性層の間の交換結合は、図41に模式的に表したように非磁性層の膜厚に対して正負に振動する。したがって、図41において正または負のピーク位置のいずれかに対応するように図12乃至図25、図27乃至図40の非磁性サブレイヤーの膜厚を設定すれば、その両側に隣接する強磁性サブレイヤーの間の交換結合を、強磁性的および反強磁性的にそれぞれ設定できる。図12乃至図25、図27乃至図40において、非磁性サブレイヤーFCは、この両側に隣接する強磁性サブレイヤーを強磁性的に結合させる特徴を有しており、その膜厚は、例えば図41におけるt2に調節される。非磁性サブレイヤーACは、この両側に隣接する強磁性サブレイヤーを反強磁性的に結合させる特徴を有しており、その膜厚は、例えば図41におけるt1に調節される。
図11、図26の構造では、1層の強磁性サブレイヤーFM1のみが設けられている。図12乃至図18、図27乃至図33は、最上の強磁性サブレイヤーFM1と、最下の強磁性サブレイヤーFM2とが強磁性的に交換結合している場合を例示している。
図12、図27の構造では、最下の強磁性サブレイヤーFM1、最上の強磁性サブレイヤーFM2の間に非磁性サブレイヤーFCが設けられる。強磁性サブレイヤーFM1は、強磁性サブレイヤーFM2と強磁性結合している。
図13、図28の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーFC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーFCが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1、FM2と強磁性結合している。
図14、図29の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーAC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーACが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1、FM2と反強磁性結合している。
図15、図30の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーFC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーFC、強磁性サブレイヤーFM4、非磁性サブレイヤーFCが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1、FM4と強磁性結合し、強磁性サブレイヤーFM4は、強磁性サブレイヤーFM2と強磁性結合している。
図16、図31の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーFC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーAC、強磁性サブレイヤーFM4、非磁性サブレイヤーACが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1と強磁性結合している。強磁性サブレイヤーFM4は、強磁性サブレイヤーFM2、FM3と反強磁性結合している。
図17、図32の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーAC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーFC、強磁性サブレイヤーFM4、非磁性サブレイヤーACが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1と反強磁性結合し、強磁性サブレイヤーFM4と強磁性結合している。強磁性サブレイヤーFM4は、強磁性サブレイヤーFM2と反強磁性結合している。
図18、図33の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーAC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーAC、強磁性サブレイヤーFM4、非磁性サブレイヤーFCが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1、FM4と反強磁性結合し、強磁性サブレイヤーFM4は、強磁性サブレイヤーFM2と強磁性結合している。
図19乃至図25、図34乃至図40では、最上の強磁性サブレイヤーFM1と、最下の強磁性サブレイヤーFM2とが反強磁性的に交換結合している場合を示している。図19、図34の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に非磁性サブレイヤーACが設けられる。強磁性サブレイヤーFM1は、強磁性サブレイヤーFM2と反強磁性結合している。
図20、図35の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーFC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーACが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1と強磁性結合し、強磁性サブレイヤーFM2と反強磁性結合している。
図21、図36の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーAC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーFCが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1と反強磁性結合し、強磁性サブレイヤーFM2と強磁性結合している。
図22、図37の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーAC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーAC、強磁性サブレイヤーFM4、非磁性サブレイヤーACが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1、FM4と反強磁性結合し、強磁性サブレイヤーFM4は、強磁性サブレイヤーFM2と反強磁性結合している。
図23、図38の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーAC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーFC、強磁性サブレイヤーFM4、非磁性サブレイヤーFCが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1と反強磁性結合し、強磁性サブレイヤーFM4と強磁性結合している。強磁性サブレイヤーFM4は、強磁性サブレイヤーFM2と強磁性結合している。
図24、図39の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーFC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーAC、強磁性サブレイヤーFM4、非磁性サブレイヤーFCが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1と強磁性結合し、強磁性サブレイヤーFM4と反強磁性結合している。強磁性サブレイヤーFM4は、強磁性サブレイヤーFM2と強磁性結合している。
図25、図40の構造では、強磁性サブレイヤーFM1、FM2の間に、下から順に積層された非磁性サブレイヤーFC、強磁性サブレイヤーFM3、非磁性サブレイヤーFC、強磁性サブレイヤーFM4、非磁性サブレイヤーACが設けられる。強磁性サブレイヤーFM3は、強磁性サブレイヤーFM1、FM4と強磁性結合し、強磁性サブレイヤーFM4は、強磁性サブレイヤーFM2と反強磁性結合している。
図12乃至図25、図27乃至40の構造が採用された場合、図2乃至図5の反強磁性層AFR、AFWと接する強磁性サブレイヤーFMの磁化方向が、これら反強磁性層により固着される。そして、この反強磁性層AFR、AFWと接する強磁性サブレイヤーFMの磁化方向を基準に、残りの強磁性サブレイヤーFMの磁化方向が、各非磁性サブレイヤーAC、FCを介して、図12乃至図25、図27乃至40のように1つの方向に固着される。また、この場合、図1の中間層SR、SWと接する強磁性サブレイヤーFMの磁化方向が、書き込みおよび読み出しの際の第1固着層FPW、自由層FF、第2固着層FPRの磁化方向としての役割を担う。特に、図4、図5の場合は、中間層SRと接する強磁性サブレイヤーFMの磁化方向が、読み出しの際の自由層FFの磁化方向としての役割を担う。
ハードバイアス層HBは、自由層FFにy方向のバイアス磁界Hを加えることができるならば、必ずしも基本積層膜BMLのy軸方向に存在しなくても良い。例えば、図42乃至図44に示すように、基本積層膜BMLに対してx方向に存在していても良い。図42、図43、図44において、ハードバイアス層HBは、基本積層膜BMLの上下一方または両方に、基本積層膜BMLと離れて設けられている。また、図45乃至図47に示すように、基本積層膜BMLに対してx方向とy方向のそれぞれに配置させることもできる。図45、図46、図47において、ハードバイアス層HBは、基本積層膜BMLの左右両方と、上下一方または両方と、基本積層膜BMLと離れて設けられている。
[1−4]各層の材料および膜厚
次に、上記磁気記録素子の各層の構成材料について説明する。
反強磁性層AFW、AFRの材料としては、Fe−Mn、Pt−Mn、Pt−Cr−Mn、Ni−Mn、Pd−Mn、Pd−Pt−Mn、Ir−Mn、Pt−Ir−Mn、NiO、Fe23、磁性半導体などを用いることが望ましい。
自由層FFに用いる磁性材料として、Co、Fe、Ni、またはこれらを含む合金を用いることができる。また、自由層FFの厚さは、0.6nm以上100nm以下の範囲内とすることが望ましい。
第1固着層FPWに用いる磁性材料として、一軸異方性定数Kが大きく、垂直磁気異方性を示すFePt、CoPt、FePd、CoPdなどを用いることができる。また、hcp構造(最密六方構造)の結晶構造を持ち、垂直磁気異方性を示す磁性材料を用いることもできる。このような磁性材料としては、Coを主成分とする金属を含むものが代表的であるが、他のhcp構造を有する金属を用いることもできる。その他、希土類元素と鉄族遷移元素との合金で、垂直磁気異方性を示す材料を用いることもできる。具体的には、GdFe、GdCo、GdFeCo、TbFe、TbCo、TbFeCo、GdTbFe、GdTbCo、DyFe、DyCo、DyFeCoなどが挙げられる。また、第1固着層FPWの材料のスピン分極率が高いほどスピントランスファの効率が高くなり、すなわち、反転電流低減化の効果が大きくなるため、スピン分極率の高い材料を用いることが望ましい。また、第1固着層FPWの厚さは、0.2nm以上50nm以下の範囲内とすることが望ましい。第1固着層FPWが積層構造を有する場合、それを構成する強磁性サブレイヤーとしてCoを、非磁性サブレイヤーとしてPtまたはPdを用いることができる。
第2固着層FPRには、Co、Fe、Ni、またはこれらを含む合金を用いることができる。また、第2固着層FPRの材料のスピン分極率が高い方が第2固着層FPRと自由層FFの間に垂直に電流を流したときのMR比が大きくなり、読み出しが容易になるので好ましい。従って、ハーフメタルと呼ばれる高スピン分極率材料は、理想的な材料である。ハーフメタルの例として、ホイスラー系合金、ルチル型酸化物、スピネル型酸化物、ペロブスカイト型酸化物、二重ペロブスカイト型酸化物、閃亜鉛鉱型クロム化合物、パイライト型マンガン化合物、センダスト合金が含まれる。また、第2固着層FPRの厚さは、0.2nm以上50nm以下の範囲内とすることが望ましい。
また、これらの、第1固着層FPW、第2固着層FPR、自由層FFに用いられる磁性体には、Ag、Cu、Au、Al、Mg、Si、Bi、Ta、B、C、O、N、Pd、Pt、Zr、Ir、W、Mo、Nb、Hなどの非磁性元素を添加して、磁気特性を調節したり、その他、結晶性、機械的特性、化学的特性などの各種物性を調節することができる。
第1固着層FPW、第2固着層FPRおよび(あるいは)自由層FFが多層膜構造を有する場合、それを構成する非磁性サブレイヤーの材料として、Cu、Au、Ag、Ru、Ir、Osあるいは、これらのいずれか一種以上を含む合金を用いることができる。
中間層SW、SRとして非磁性金属を用いる場合には、Au、Cu、Cr、Zn、Ga、Nb、Mo、Ru、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Biのうちのいずれか、あるいは、これらのいずれか一種以上を含む合金を用いることができる。また、この非磁性金属からなる中間層SW、SRの厚さは、0.2nm以上20nm以下の範囲内とすることが望ましい。
図4および図5の基本積層膜BMLの磁気抵抗効果を大きくするには、中間層SRの材料をトンネルバリア層として機能させることが効果的である。この場合、中間層SRの材料として、Al23、SiO2、MgO、AlN、Bi23、MgF2、CaF2SrTiO2、AlLaO3、Al−N−O、Si−N−O、非磁性半導体(ZnO、InMn、GaN、GaAs、TiO2、Zn、Te、またはそれらに遷移金属がドープされたもの)などを用いることができる。これらの化合物は、化学量論的にみて完全に正確な組成である必要はなく、酸素、窒素、フッ素などの欠損、あるいは過不足が存在していてもよい。また、この絶縁材料からなる中間層SRの厚さは、0.2nm以上50nm以下の範囲内とすることが望ましい。
ハードバイアス層HBの材料としては、CoPtや絶縁性の高いCoFe24などの各種磁性材料を用いることができる。
[1−5]実施例
本実施形態の実施例の1つとしての磁気記録素子のサンプル1、および比較例としてのサンプル2、サンプル3を作製した。サンプル1は、図1の構造に図5の基本積層膜BMLが適用された構造を有し、以下の材料を持つ。サンプル2は、図48の構造および以下の材料を持ち、従来の方法1によって書き込みを行う。サンプル3は、図49の構造および以下の材料を持ち、従来の方法2によって書き込みを行う。なお、図1、図48、図49には示されていないが、サンプル1の基本積層膜BML、サンプル2、サンプル3、のそれぞれの上方および下方に、電極(配線)EL1、電極(配線)EL2が設けられている例を以下に示す。以下の記載において、()内の単位nmが付加された値は膜厚である。
サンプル1:電極EL1(Cu)/反強磁性層AFR(PtMn:20nm)/第2固着層FPR(Co:10nm)/中間層SR(Al23:0.6nm)/自由層FF(CoFeNi:2nm/Co:1nmの積層膜)/中間層SW(Cu:6nm)/第1固着層FPW(FePt:10nm)/電極EL2(Cu)、ハードバイアス層:CoFe24
サンプル2:電極EL1(Cu)/自由層FF(CoFeNi:2nm/Co:1nmの積層膜)/中間層S(Al23:0.6nm)/固着層FP(Co:10nm)/反強磁性層AF(PtMn:20nm)/電極EL2(Cu)。
サンプル3:電極EL1(Cu)/反強磁性層AFR(PtMn:20nm)/第2固着層FPR(Co:10nm)/中間層SR(Al23:0.6nm)/自由層FF(CoFeNi:2nm/Co:1nmの積層膜)/中間層SW(Cu:6nm)/スピン供給層FPW(FePt:10nm)/電極EL2(Cu)。
サンプル1の磁気記録素子は、以下の工程により作製された。すなわち、まず、ウェーハの上方に下側電極EL2が形成された。次に、超高真空スパッタ装置を使って、第1固着層FPWが成膜された。このウェーハを磁場中真空炉にて、500℃で10時間、磁場中アニールすることにより、第1固着層FPWに垂直磁気異方性が付与された。その後、超高真空スパッタ装置を使って、中間層SW、自由層FF、中間層SR、第2固着層FPR、反強磁性層AFRからなる積層構造が第1固着層FPWの上に形成され、さらにその上に保護膜が形成された。このウェーハを磁場中真空炉にて、270℃で10時間、磁場中アニールすることにより、強磁性層FF、第2固着層FPRに一方向異方性が付与された。
次に、保護膜上にEB(electron beam)レジストが塗布され、このEBレジストが露光されることにより、磁気記録素子の形状に応じたマスクが形成された。次にイオンミリング装置によりマスクに被覆されない領域がエッチングされた。セルの加工サイズは、100nm×50nmとした。エッチング後、マスクが剥離され、さらにセルの相互間にSiO2、CoFe24、SiO2が、順次、超高真空スパッタ装置を使って成膜された。その後、表面がイオンミリングにより平滑化され、保護膜の表面を露出させる「頭出し」の工程を行った。この保護膜の表面の上に上側電極EL1が形成された。この結果、図5および図1相当の磁気記録素子が形成される。サンプル2、3も同様の工程により作製された。なおサンプル3のスピン供給層FPWには垂直磁気異方性が付与される。
得られたサンプルについて、各層の接合面に対して垂直方向に流す電流量に対する抵抗の変化から、自由層FFの磁化方向の反転に必要な電流の下限値(反転電流値)を求めた。その結果、反転電流値の平均は、サンプル1で0.9mA、サンプル2で2.5mAであった。また、電流をパルス化し、強度を固定し、パルス幅を変化させて反転時間を測定したところ、サンプル1は、1.0mAの電流を0.5ns流すと磁化方向が反転した。サンプル2は、3mAの電流を流した場合、平均して5ns程度の反転時間を要した。つまり、従来の方法1の代わりに本実施形態の構造の素子を用いることにより、反転電流が低減化すると同時に高速化した。
また、サンプル3は、試料によっては、1.1mAの電流を流した場合に磁化方向の反転が観測されたが、同一試料においても測定毎に反転したり反転しなかったりするなど、ばらつきが大きかった。サンプル1やサンプル2では、このようなばらつきは、サンプル3に比べて小さかった。つまり、従来の方法2の代わりに本実施形態の構造の素子を用いることにより、磁化反転の制御性が向上したといえる。
[1−6]効果
本発明の第1実施形態に係る磁気記録素子によれば、基本積層膜BML中の自由層FFの困難軸方向にバイアス磁界が印加される。このため、従来の2種の磁気記録素子よりも、少ない反転電流、高速な反転時間、高い磁化反転の制御性を実現可能な磁気記録素子を提供できる。
(2)第2実施形態
第2実施形態では、第1実施形態のうち、基本積層膜BMLの外部に存在するハードバイアス層HBが、基本積層膜BMLにハードバイアス層HBが加えられる。
[2−1]構造
図50、図51は、本発明の第2実施形態に係る磁気記録素子の断面構造を模式的に示す図である。図50に示すように、基本積層膜BMLの最下部に、最下の層と接するように、ハードバイアス層HBが設けられる。同様に、図51に示す構造の場合、基本積層膜BMLの最上部に、最上の層と接するように、ハードバイアス層HBが設けられる。ハードバイアス層HBの磁化方向は、第1実施形態の図42や図43に示した構造のハードバイアス層HBの磁化方向と同じである。この素子は、第1実施形態の磁気記録素子Rと同様の製造工程により作製される。基本積層膜BMLの構造および材料として、第1実施形態に示したあらゆる形態を適用することができる。また、書き込みおよび読み出し方法も第1実施形態と同じである。
[2−2]実施例
本実施形態の実施例の1つとして、図50の構造に図4の基本積層膜BMLが適用され、且つ以下の材料を持つ磁気記録素子のサンプル1、2を作製した。このサンプル1は、第1実施形態の実施例のサンプル1と同様のプロセスを用いて作製された。なお、図50には示されていないが、サンプル1、2の基本積層膜BMLの上方および下方に、電極(配線)EL1、電極(配線)EL2が設けられている例を以下に示す。以下の記載において、()内の単位nmが付加された値は膜厚である。
サンプル1:電極EL1(Cu)/第1固着層FPW(TbCo:10nm)/中間層SW(Cu:6nm)/自由層FF(FeNi:2nm)/中間層SR(MgO:0.8nm)/第2固着層FPR(Co:6nm)/反強磁性層AFR(IrMn:20nm)/ハードバイアス層HB(CoPt:10nm)/電極EL2(Cu)。
サンプル2:電極EL1(Cu)/第1固着層FPW(TbCo:10nm)/中間層SW(Cu:6nm)/自由層FF(FeNi:2nm)/中間層SR(MgO:0.8nm)/第2固着層FPR(Fe34:10nm)/反強磁性層AFR(PtIrMn:15nm)/ハードバイアス層HB(CoPt:10nm)/電極EL2(Cu)。
これらの構造を持つ磁気記録素子による磁化反転の特性は、第1実施形態の場合と同様であった。サンプル2では、第2固着層FPRにサンプル1よりスピン分極率の高い材料を用いたが、サンプル1と比べて反転電流値にほとんど変化が見られなかった。これは、反転前の状態において、自由層FFの磁化方向と第2固着層FPRの磁化方向のなす角度が小さいため、第2固着層FPRの磁化方向にスピン偏極した電流が及ぼすスピントランスファトルクは、第1固着層FPWの磁化方向にスピン偏極した電流が及ぼすスピントランスファトルクに比べて小さいためであると考えられる。すなわち、反転電流の値は、第2固着層FPRの特性よりも、第1固着層FPWの特性により大きく左右される。
一方で、磁気抵抗比はサンプル1で20%、サンプル2で70%であり、大きな差異が見られた。これは、第2固着層FPRに高スピン分極材料を用いることにより、中間層SRを流れるトンネル電流の磁気抵抗比が大きくなるためであると考えられる。すなわち、磁気抵抗比の値は、第2固着層FPRの特性により大きく影響される。よって、第2固着層FPRに高スピン分極材料を用いることが、より好ましい。
[2−3]効果
本発明の第2実施形態に係る磁気記録素子によれば、第1実施形態と同じく、基本積層膜BML中の自由層FFの困難軸方向にバイアス磁界が印加される。このため、第1実施形態と同じ効果を得られる。さらに、第2実施形態に係る磁気記録素子によれば、基本積層膜BMLの内部にハードバイアス層HBが設けられる。このため、メモリセルの面積削減が図れる他、ハードバイアス層HBと、基本積層膜BMLの他の部分と、を同時に加工することができるなど、製造上のメリットが大きい。
(3)第3実施形態
本実施形態では、基本積層膜BMLまたは基本積層膜BMLを含む磁気記録素子の近傍に配線が設けられ、この配線を流れる電流による磁界がバイアス磁界として用いられる。
[3−1]構造
図52は、本発明の第3実施形態に係るメモリセルを模式的に示す斜視図である。図52に示すように、メモリセルは、基本積層膜BMLを含む磁気記録素子R、および配線BL、配線WLを有する。磁気記録素子Rは、基本積層膜BMLのみから構成されていても良いし、第2実施形態で示したように基本積層膜BMLにハードバイアス層HBが付加された構造を有していても良い。さらに、導電膜(図示せぬ)が上下に付加された構造を有していても良い。また、磁気記録素子Rの周囲には、第1実施形態で示したように、ハードバイアス層HBが設けられていても良い。
配線BLは、例えば磁気記録素子R(または基本積層膜BML)の上面と接続されている。配線WLは、例えば磁気記録素子R(または基本積層膜BML)の下面と接続されている。
[3−2]書き込み
磁気記録素子Rへのデータの書き込みは、配線BLの一端と配線WLの一端の間に電圧を与えるか、あるいはこの間に電流を流すことによって行われる。磁気記録素子Rを流れる電流(配線電流)Iによって、書き込み時に自由層FFには、自由層FFを横切って流れるスピン偏極電流の作用(スピントランスファトルク)と電流磁界の作用が同時に働く。この2つの作用によって自由層FFの磁化方向を所望の方向に向けることが可能である。
自由層FFに作用する磁界は、配線BLおよび配線WLを流れる電流によって生じる磁界(電流磁界)とハードバイアス層HBおよび基本積層膜BML内の他の磁性層が作る漏れ磁界(バイアス磁界)の合成磁界である。電流磁界の大きさがバイアス磁界の大きさに対して10%未満である場合、すなわちバイアス磁界が支配的である場合の書き込み方法は、第1実施形態の場合と同様である。
次に、電流磁界の大きさがバイアス磁界の大きさに対して10%以上あり、よって電流磁界を無視できない場合に、本実施形態を実施するのに最適な配線電流の流し方について、図52、図53を参照して説明する。図53は、第3実施形態に係るメモリセルの上面図である。図52、図53に示すように、自由層FFの容易軸方向(z方向)から測った配線BLの角度をθとし、配線BLから自由層FFの中心までの距離をLとする。このとき、配線BLを流れる電流Iが自由層FFの位置に作る磁界は、容易軸方向に対して角度θー90°をなす方向を持ち、その大きさは距離Lに反比例する。
また、配線WLについても同様に、自由層FFの容易軸方向から測った配線WLの角度をθとし、配線WLから自由層FFの中心までの距離をLとする。このとき、配線WLを流れる電流Iが自由層FFの位置に作る磁界は、容易軸方向に対して角度θ+90°をなす方向を持ち、その大きさは距離Lに反比例する。
自由層FFは、配線BLにより発生する磁界と、配線WLにより発生する磁界との合成磁界を受ける。この合成磁界が自由層の困難軸方向(+y方向)を向くためには、例えば、次に示すいずれかの関係が満たされればよい。
(1−1)L≪L、かつθ=180°
(1−2)L≫L、かつθ=0°
(1−3)L=L、かつ(θB,θ)=(135°,45°)または(−135,−45°)。
また、合成磁界が自由層FFの困難軸方向(−y方向)を向くためには、例えば、次に示すいずれかの関係が満たされればよい。
(2−1)L≪L、かつθ=0°
(2−2)L≫L、かつθ=180°
(2−3)LB=LW、かつ(θ,θ)=(45°,135°)または(−45°,−135°)。
(1−1)、(1−2)、(2−1)、(2−2)の場合に比べて、(3−1)、(3−2)の場合は、同じ大きさの磁界を生じさせるのに必要な電流量が1/√2≒0.7倍で済むという利点がある。
第1実施形態の書き込み方法の項で述べたように、本発明の各実施形態が適用できる磁界の大きさと電流の大きさには上限および下限が存在する。そのため、本実施形態を実施するためには、バイアス磁界の大きさを適宜調整して、バイアス磁界と電流磁界の合成磁界の大きさと電流の大きさを上記範囲に収める必要がある。また、ハードバイアス層HBを用いずに本実施形態を実施するためには、電流の大きさと電流磁界の大きさを独立に変化させ、上記範囲に収める必要がある。これは、例えば、第1固着層FPWの材料としてスピン分極率が異なる物質を用いることにより実現可能である。つまり、スピン分極率が異なる材料に同じ大きさの電流を流すと、生じるスピントランスファトルクの大きさが異なるため、結果として電流強度の調整が可能になる。
[3−3]実施例
本実施形態の実施例の1つとして、第1実施形態の図1の構造の磁気記録素子を持ち、以下の材料からなるメモリセルのサンプル1、2を、第1実施形態の実施例(項目[1−5])と同様の工程により作製した。ただし、サンプル1、2は、電極EL1、EL2の膜厚が異なる他は、全く同じ構造、材料、膜厚が用いられている。以下の記載において、()内の単位nmが付加された値は膜厚である。
サンプル1、2の構造:配線BL/電極EL1(Cu)/反強磁性層AFR(PtMn:20nm)/第2固着層FPR(Co:10nm)/中間層SR(Al23:0.6nm)/自由層FF(Co:2nm)/中間層SW(Cu:6nm)/第1固着層FPW(FePt:15nm)/電極EL2(Cu)/配線WL、バイアス層HB:CoFe24
これらのサンプルにおいて、まず、外部から磁界を印加して、磁気抵抗を測定し、自由層FFの保持力を測定した。その結果、電流を流さない状態でのバイアス磁界としてサンプル1、2ともに、20Oeが印加されていることを確認した。サンプル1に電流1.0mAを流すと、自由層FFの磁化方向が再現性よく反転した。一方、電流を1.5mA 以上にすると、磁化方向の反転は確率的になった。また、サンプル2に1.3mA以上の電流を流すと磁化方向が反転する場合があったが、確率的にしか反転しなかった。
一般に、半直線電流が距離r離れた位置に作る磁界の大きさHextは、
ext[Oe]=28×I[mA]×(r[nm]/35)-1
である。サンプル1では、配線BLから自由層FFの中心までの距離Lと、配線WLから自由層FFの中心までの距離Lとはほぼ等しく、それぞれ35nmである。サンプル2では、距離Lと距離Lとはほぼ等しく、それぞれ100nmである。これらの状態を得られるように、電極層EL1、EL2の膜厚が決定されている。
配線BLおよび配線WLは、自由層FFの容易軸方向に対して45°の角度を持つように配置されている(θ=135°、θ=45°)。電流をこれらサンプル1、2に流したときに、配線BL、配線WLが自由層FFの中心において生成する電流磁界Hextを計算することができる。すなわち、1mAの電流を導入するとサンプル1では40Oe、サンプル2では10Oeである。したがって、1mAの電流を導入すると自由層FFには、サンプル1の場合、合計60Oeのバイアス磁界が印加され、サンプル2の場合、合計30Oeのバイアス磁界が印加されることになる。
これらのバイアス磁界の値は、Co(k=0.02程度)からなる自由層FFの一軸異方性磁界H=150Oeで規格化すると、バイアス磁界h=0.4、h=0.26に対応する。この値を図8と比較すると、このような測定結果が得られた理由が説明される。つまり、サンプル1において、電流の大きさを増やしていくと、S→R→Pの変化が見られた。これに対し、サンプル2では、配線BLおよび配線WLからの自由層FFまでの距離が離れているため十分なバイアス磁界が作用せず、電流の大きさを0から増やしていくと、S→Pの変化が見られたと考えられる。
[3−4]効果
第3実施形態に係るメモリセルによれば、第1実施形態の基本積層膜BMLまたは第2実施形態の磁気記録素子Rと接続された配線BL、WLを流れる電流の電流磁界が、バイアス磁界として自由層FFの困難軸方向に印加される。このため、第1実施形態と同様の原理により、従来の2種の磁気記録素子よりも、少ない反転電流、高速な反転時間、高い磁化反転の制御性を実現可能な磁気記録素子を提供できる。
(4)第4実施形態
[4−1]構造
第4実施形態は、第3実施形態の変形に係る。第4実施形態では、配線BLおよび配線WLに加えて、第3の配線TLが導入され、配線BL、配線WL、配線TLからの電流磁界の合成磁界が、書き込みの際に自由層FFに印加される。
図54および図55は、本発明の第4実施形態に係るメモリセルを模式的に示す斜視図である。図56は、第4実施形態に係るメモリセルの上面図である。図54、図55に示すように、図52の構成に加えて、配線WLの下方(図54の場合)、または配線BLの上方(図55の場合)に配線TLが設けられる。この構成のメモリセルへのデータの書き込みの際、配線TLの両端の間にも電圧が印加されるか、この間に電流が供給される。この結果、配線TLを流れる電流Iによる電流磁界が自由層FFに印加される。
各配線BL、WL、TLが自由層FFにおいて生成する電流磁界の大きさは、配線BL、WL、TLから自由層FFの中心までの距離に反比例し、配線BL、WL、TLを流れる電流の大きさに比例する。また、各配線BL、WL、TLの電流磁界の角度は、自由層FFの膜面内で、各配線BL、WL、TLの延びる方向に直交する方向である。したがって、各配線BL、WL、TLから自由層FFの中心までの距離、配線BL、WL、TLの角度、電流を流す向き、流す電流の大きさを調整し、3つの電流磁界の合成磁界が困難軸方向を向くようにすることができる。例えば、配線BL、WLは、第3実施形態で述べたように、自由層FFの容易軸方向に対してそれぞれ45°、135°の方向を向くように配置される。また、配線TLが、図56に示すように、自由層FFの容易軸に平行するように配置されることによって、配線TLに電流を流したときに自由層FFの困難軸方向を向く磁界を加えることができる。
なお、1本の配線TLが設けられている場合を例に取り説明したが、複数本設けられていても良い。その場合、配線BL、配線WL、配線TLのすべてに同時に電流を流したときに発生する電流磁界の合成磁界が困難軸方向になることが望まれる。
[4−2]効果
本発明の第4実施形態に係るメモリセルによれば、第3実施形態と同じく、基本積層膜BMLまたは磁気記録素子Rと接続された配線BL、WLを流れる電流の電流磁界が、バイアス磁界Hとして自由層FFの困難軸方向に印加される。このため、第1実施形態と同じ効果を得られる。
さらに、第4実施形態によれば、配線TLが設けられ、配線TLの電流磁界が、自由層FFの困難軸方向に印加される。このため、自由層FFに印加されるバイアス磁界Hの大きさを、配線BL、WL、TLの電流値により設定できるため、より細かく調整できる。
(5)第5実施形態
第5実施形態は、第3実施形態の変形に係る。第5実施形態では、磁気記録素子Rの近傍に導体層Cが設けられ、この導体層Cを流れる電流によって発生する磁界が書き込みの際に用いられる。
[5−1]構造
図57、図59、図61、図63は、それぞれ、本発明の第5実施形態に係るメモリセルの1つを模式的に示す斜視図である。図58、図60、図62、図64は、それぞれ、図57、図59、図61、図63の上面図である。図57、図59、図61、図63の違いは、導体層Cと接続されている配線の組み合わせが相互に異なることである。
図57、図58に示すように、磁気記録素子Rの近傍に、磁気記録素子Rと離れて導体層Cが設けられている。磁気記録素子Rと導体層Cとは電気的に絶縁されている。導体層Cの一端は配線BLと接続され、他端は配線WLと接続されている。
図57、図58の構成のメモリセルへのデータの書き込みは、配線BLの一端と配線WLの一端の間に電圧が印加されるか、この間に電流が供給されることによって行われる。この結果、導体層Cを電流Iが流れ、電流Iによる電流磁界が自由層FFに印加される。
第4実施形態の場合と同様に、配線BL、WLおよび導体層Cがそれぞれ電流磁界を発生し、自由層FFに対して作用を及ぼす。したがって、各配線WL、BLの方向や流す電流の大きさを適宜調整し、自由層FFに対して、困難軸方向を向く合成磁界が印加されるようにすることができる。例えば、配線BL、WLが第3実施形態で述べたように、自由層FFの容易軸に対して、それぞれ45°、135°になるように配置される。また、導体層Cは、自由層FFの容易軸の延長線上(およびその近傍)に配置される。この結果、導体層Cから、自由層FFにおいて困難軸方向を向く磁界を加えることができる。
また、導体層Cからの電流磁界とバイアス磁界の合成磁界が、第3実施形態に例示したような条件に収まるように設定される。この条件が満たされるように、導体層Cの材料および大きさ等が適切に選択されることにより導体層Cからの電流磁界の大きさが調整される。
図59、図60では、配線BLと平行な配線BL2が設けられ、導体層Cは配線BL2と配線WLとの間に接続される。この構成のメモリセルへのデータの書き込みの際、図57、図58の場合に加えて、配線BL2の一端と配線WLの一端の間にも電圧が印加されるか、この間に電流が供給される。この結果、配線BL2を電流IB2が流れ、導体層Cを電流Iが流れる。そして、電流Iによる電流磁界が自由層FFに印加される。
図61、図62では、配線WLと平行な配線WL2が設けられ、導体層Cは配線BLと配線WL2との間に接続される。この構成のメモリセルへのデータの書き込みの際、図57、図58の場合に加えて、配線BLの一端と配線WL2の一端の間にも電圧が印加されるか、この間に電流が供給される。この結果、配線WL2を電流IW2が流れ、導体層Cを電流Iが流れる。そして、電流Iによる電流磁界が自由層FFに印加される。
図63、図64では、配線BLと平行な配線BL2、および配線WLと平行な配線WL2が設けられる。導体層Cは配線BL2と配線WL2との間に接続される。この構成のメモリセルへのデータの書き込みの際、図57、図58の場合に加えて、配線BL2の一端と配線WL2の一端の間にも電圧が印加されるか、この間に電流が供給される。この結果、配線BL2を電流IB2が流れ、配線WL2を電流IW2が流れ、導体層Cを電流Iが流れる。そして、電流Iによる電流磁界が自由層FFに印加される。
[5−2]効果
第5実施形態に係るメモリセルによれば、磁気記録素子Rの近傍に導体層Cが設けられ、この導体層Cからの電流磁界が、バイアス磁界Hとして自由層FFの困難軸方向に印加される。このため、第1実施形態と同じ効果を得られる。
(6)第6実施形態
第1乃至第5実施形態に係る磁気記録素子、メモリセルは、微小かつ磁化反転機構を有することから、各種用途に適用できる。より詳しくは、これらの磁気記録素子を、多数並べることにより、MRAM等の記録再生装置に適用することができる。第6実施形態は、第1乃至第5実施形態に係る磁気記録素子およびメモリセルを用いた磁気記録装置に関する。
[6−1]構造
図65乃至図70は、それぞれ、本発明の第6実施形態に係る磁気記録装置の1つを模式的に示す上面図である。図65乃至図68では、ハードバイアス層は、第1実施形態に示した材料による永久磁石から構成される。一方、図69、図70では、ハードバイアス層は、電磁石により構成される。また、図65乃至図68の違いは、ハードバイアス層HBの配置の仕方である。
図65乃至図70に示すように、第1実施形態の基本積層膜BML、または第2実施形態の磁気記録素子R、または第5実施形態の磁気記録素子Rと導体層Cとからなる構造と、配線BLと、配線WLとにより、1つのメモリセルが構成される。複数のメモリセルが行列状に配置されることによりメモリセルアレイMCAが構成される。各メモリセルは絶縁層によって相互に電気的に絶縁されている。
第3、第5実施形態における配線WLおよび配線BLは同一直線上に並ぶ複数のメモリセルによって共有されている。配線WLおよび配線BLは各メモリセルセルアレイMCAの周囲に配置された周辺回路Pに接続されている。この周辺回路Pにより、配線WLと配線BLをそれぞれ一本ずつ選択し、その間に電流を流すことができる。このとき、選択された配線WLと配線BLの両方に接続されたメモリセルが一意に選択され、このメモリセルに対して、第3、第5実施形態で述べた方法により、書き込みまたは読み出しが行われる。
第5実施形態のメモリセルの場合、各配線BLと平行に配線BL2が配置され(図示せぬ)、各配線WLと平行に配線WL2が配置されている(図示せぬ)。そして、配線BL2および配線WL2も周辺回路Pと接続され、周辺回路Pにより、書き込み対象のメモリセルの導体層Cに一意に電流が供給される。
図65では、第1実施形態のハードバイアス層HBは、メモリセルの列方向に平行な直線上に1列ごとに設けられ、また各列ごとにおいて相互に分離されている。
図66および図67では、ハードバイアス層HBは、メモリセルの列方向に平行な直線上に配置され、同一列上では分離されていない。さらに、図66では、ハードバイアス層はメモリセルの1列ごとに設けられ、図67は、幾つかの列(図では2列を例示)ごとに、設けられている。
図68では、ハードバイアス層HBは複数のメモリセルからなる矩形領域の外側に設けられている。そして、各メモリセルアレイMCAを構成する全てのメモリセルが、同一のハードバイアス層HBからバイアス磁界Hを印加される。
図69では、ハードバイアス層HBは、メモリセルアレイMCAの外側に、メモリセルの列方向に沿った周辺回路Pに隣接して設けられる。相互に隣接するメモリセルアレイMCA間で、ハードバイアス層HBが共用される。図70では、図68と同じように配置される。
[6−2]実施例
本実施形態の実施例の1つとして、第3実施形態の実施例のサンプルと同様の構造を持つ磁気記録素子を用いて磁気記録装置を作製した実施例について説明する。図71は、1つのメモリセルが、磁気記録素子Rと選択トランジスタTとを含む例である。図71においてハードバイアス層HBは省略されている。磁気記録素子Rは、配線(ビット線)BLと選択トランジスタTの一端との間に接続される。選択トランジスタTの他端は、典型的には接地電位とされ、ゲートは配線(ワード線)WLと接続される。
図71に示す実施例では、磁気記録素子Rの選択に選択トランジスタTを用いたが、他のスイッチング素子を用いてもよい。できれば、オン時の抵抗が低抵抗のものが好ましい。このような素子として、例えば、図72に示すように、ダイオードDを用いてもよい。この場合、各メモリセルにおいて、直列接続された磁気記録素子RとダイオードDが、ワード線WLとビット線BLとの間に接続される。
メモリセルは、例えば以下の工程により作製される。すなわち、図73に示すように、半導体基板(図示せぬ)上に、リソグラフィー工程、RIE(Reactive Ion Etching)等の異方性エッチング、イオン注入等の工程により、選択トランジスタT(図示せぬ)、および選択トランジスタTと電気的に接続された下層配線WLが設けられる。次に、この下層配線WL上に第1実施形態の実施例に記載したものと同様の方法により、磁気記録素子Rやハードバイアス層HBが形成され、さらに磁気記録素子R上に上層配線BLが形成される。各磁気記録素子RおよびハードバイアスHB相互間は、絶縁膜Iにより埋め込まれている。
このようなメモリセルが、メモリセルアレイMCAにおいて行列状に配置され、同じ行に属するメモリセルの各選択トランジスタTのゲートは、同じ配線WLと接続されている。同様に、同じ列に属するメモリセルの各メモリセルは同じ配線BLと接続されている。そして、メモリセルアレイMCAの周囲にデコーダ、読み出し回路、電流供給回路等の周辺回路Pが設けられる。配線BL、配線WLは周辺回路Pに接続される。
デコーダにより、外部からのアドレス信号に応じたアドレスを有するメモリセルを通る配線BL、配線WLに、書き込み電流、再生電流等が供給される。すなわち、情報の書き込みまたは読み出しの際、対象のメモリセルと接続されたトランジスタTの配線を選択することにより選択トランジスタTがオンとされる。次いで、このメモリセルと接続された配線に書き込み電流または再生電流を流すことにより、記録、再生が行われる。書き込みおよび再生における電流値の許容範囲およびその方法については、第1実施形態の項で述べたとおりである。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気記録素子を構成する各要素の具体的な寸法関係や材料、その他、電極、パッシベーション、絶縁構造などの形状や材質に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、磁気記録素子における反強磁性層、中間層、絶縁層などの構成要素は、それぞれ、単層として形成しても良く、あるいは、2以上の層を積層した構造としても良い。
また、本発明の実施の形態として上述した磁気記録素子や磁気記録装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施しうる全ての磁気記録素子、磁気記録装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
第1実施形態に係る磁気記録素子の断面構造を模式的に示す図。 基本積層膜の構造の一例を模式的に示す図。 基本積層膜の構造の一例を模式的に示す図。 基本積層膜の構造の一例を模式的に示す図。 基本積層膜の構造の一例を模式的に示す図。 自由層の磁化方向をyz平面に沿って示す図。 第1実施形態における自由層の磁化方向の角度θの時間変化の一例を示す図。 バイアス磁界と電流の大きさを変化させた場合の、磁化方向の動的挙動についての相図。 バイアス磁界と電流の大きさを変化させた場合の、磁化方向の動的挙動についての相図。 バイアス磁界と電流の大きさを変化させた場合の、磁化方向の動的挙動についての相図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 固着層および自由層に適用可能な構造の断面構造を模式的に示す図。 非磁性層の厚さとこの非磁性層を挟む2つの強磁性層間の結合力との関係を示す図。 ハードバイアス層の配置の他の例を模式的に示す図。 ハードバイアス層の配置の他の例を模式的に示す図。 ハードバイアス層の配置の他の例を模式的に示す図。 ハードバイアス層の配置の他の例を模式的に示す図。 ハードバイアス層の配置の他の例を模式的に示す図。 ハードバイアス層の配置の他の例を模式的に示す図。 比較例としての磁気記録素子の断面構造を模式的に示す図。 比較例としての磁気記録素子の断面構造を模式的に示す図。 第2実施形態に係る磁気記録素子の断面構造を模式的に示す図。 第2実施形態に係る磁気記録素子の断面構造を模式的に示す図。 第3実施形態に係るメモリセルを模式的に示す斜視図である。 第3実施形態に係るメモリセルの上面図。 第4実施形態に係るメモリセルの1つを模式的に示す斜視図。 第4実施形態に係るメモリセルの1つを模式的に示す斜視図。 第4実施形態に係るメモリセルの上面図。 第5実施形態に係るメモリセルの1つを模式的に示す斜視図。 図57の上面図。 第5実施形態に係るメモリセルの1つを模式的に示す斜視図。 図59の上面図。 第5実施形態に係るメモリセルの1つを模式的に示す斜視図。 図61の上面図。 第5実施形態に係るメモリセルの1つを模式的に示す斜視図。 図63の上面図。 第6実施形態に係る磁気記録装置の1つを模式的に示す上面図。 第6実施形態に係る磁気記録装置の1つを模式的に示す上面図。 第6実施形態に係る磁気記録装置の1つを模式的に示す上面図。 第6実施形態に係る磁気記録装置の1つを模式的に示す上面図。 第6実施形態に係る磁気記録装置の1つを模式的に示す上面図。 第6実施形態に係る磁気記録装置の1つを模式的に示す上面図。 第6実施形態の実施例に係る磁気記録装置を模式的に示す図。 第6実施形態の実施例に係る磁気記録装置を模式的に示す図。 第6実施形態の実施例に係るメモリセルの一部を示す断面図。
符号の説明
R…磁気記録素子、BML…基本積層膜、HB、HB…ハードバイアス膜、FPW…強磁性層(第1固着層)、FF…強磁性層(自由層)、SW、SR…中間層、FPR…強磁性層(第2固着層)、AFW、AFR…反強磁性層、FM1、FM2、FM3、FM4…強磁性サブレイヤー、FC、AC…非磁性サブレイヤー、BL、BL2、WL、WL2、TL…配線、C…導体層、T…選択トランジスタ、D…ダイオード、I…絶縁膜。

Claims (10)

  1. 相互に向き合う第1面および第2面を有し、電子を前記第1面と前記第2面とを通過する方向に書き込み時に供給され、前記第1面と前記第2面とに亘る方向に磁化方向が固定された第1固着層と、
    前記第2面と面し、非磁性材料から実質的になる第1中間層と、
    前記第1中間層の前記第1固着層と反対の面と面し、磁化容易軸方向および磁化困難軸方向が前記第1面または前記第2面に沿い、大きさが第1値の一軸異方性磁界を有し、前記第1固着層を通ったスピン偏極した電子が作用することにより磁化方向が変化する自由層と、
    前記磁化困難軸方向に沿い且つ前記第1値より大きさの小さい磁界を前記自由層に印加する磁界発生層と、
    を具備することを特徴とする磁気記録素子。
  2. 前記自由層の前記第1中間層と反対の面と面し、非磁性材料から実質的になる第2中間層と、
    前記第2中間層の前記自由層と反対の面と面し、磁化容易軸方向が前記第1面または前記第2面に沿う第2固着層と、
    をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録素子。
  3. 前記磁界発生層が、永久磁石または電磁石を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気記録素子。
  4. 前記磁界発生層が、前記第1固着層と電気的に接続された第1配線と、前記自由層または前記第2固着層と電気的に接続された第2配線と、のうちの少なくとも一方を含み、
    前記磁界発生層から前記自由層に印加される磁界と、前記自由層の磁化方向を反転させるに足る電子流が前記第1配線または前記第2配線を流れることにより発生する磁界と、の合成磁界の前記磁化困難軸方向における成分が、前記第1値より小さい、
    ことを特徴とする請求項2に記載の磁気記録素子。
  5. 前記磁界発生層が、書き込み時に電流を供給される導電層を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気記録素子。
  6. 前記第1中間層または前記第2中間層が非磁性金属から実質的になることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の磁気記録素子。
  7. 前記第2中間層が絶縁体または半導体を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の磁気記録素子。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の磁気記録素子を複数個含み、
    前記磁気記録素子が行列状に配置されたメモリセルアレイを含む、
    ことを特徴とする磁気記録装置。
  9. 前記磁気記録素子のそれぞれは、第1端と第2端を有し、
    同じ行に属する前記磁気記録素子のそれぞれの第1端と電気的に接続された第1配線と、
    同じ列に属する前記磁気記録素子のそれぞれの第2端と電気的に接続された第2配線と、
    前記第1配線および前記第2配線と接続され、前記第1配線および前記第2配線に電流を流すことにより前記磁気記録素子の任意の1つを対象とした情報の書き込みおよび読み出しを行う制御回路と、
    をさらに具備することを特徴とする請求項8に記載の磁気記録装置。
  10. 相互に向き合う第1面および第2面を有し、且つ前記第1面と前記第2面とに亘る方向に磁化方向が固定された第1固着層の前記第1面と前記第2面とを通過する方向に電子を供給することにより、前記電子をスピン偏極させる工程と、
    非磁性材料から実質的になる第1中間層を介して前記第2面と面し、且つ磁化容易軸方向および磁化困難軸方向が前記第1面または前記第2面に沿う自由層に、前記電子を供給する工程と、
    前記磁化困難軸方向に沿い且つ前記自由層の一軸異方性磁界より小さい大きさの磁界を前記自由層に印加する工程と、
    を具備することを特徴とする情報の記録方法。
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